特許第6570722号(P6570722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6570722水素製造装置、水素製造方法、水素純度監視制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6570722
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】水素製造装置、水素製造方法、水素純度監視制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/50 20060101AFI20190826BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   C01B3/50
   C01B3/38
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-212505(P2018-212505)
(22)【出願日】2018年11月12日
【審査請求日】2019年1月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 晃平
(72)【発明者】
【氏名】櫛 拓人
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 広基
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−179487(JP,A)
【文献】 特開2015−189629(JP,A)
【文献】 特開2006−225210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00−6/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改質器から放出された改質ガスを、オフガスと水素とに分離して水素を精製する水素精製器と、
前記水素精製器によって分離された水素の純度を監視する監視部と、
前記監視部で監視した水素の純度に基づいて、前記水素の供給先を選択して送出する送出制御部とを有し、
前記水素精製器で分離された前記水素を案内する流路を分岐する切替弁が設けられ、
前記送出制御部が、前記切替弁の切り替えを制御して、前記水素の純度が所定以上の場合に、製品水素として送出する第1流路に切り替えると共に、
前記水素の純度が所定未満の場合に、大気放出する第2流路に切り替えることを特徴とする水素製造装置。
【請求項2】
改質器から放出された改質ガスを、オフガスと水素とに分離して水素を精製する水素精製器によって分離された水素の純度を監視し、
監視した水素の純度に基づいて、前記水素の供給先を選択して送出し
前記水素精製器で分離された前記水素を案内する流路を分岐する切替弁の切り替えを制御して、前記水素の純度が所定以上の場合に、製品水素として送出する第1流路に切り替えると共に、
前記水素の純度が所定未満の場合に、大気放出する第2流路に切り替えることを特徴とする水素製造方法。
【請求項3】
コンピュータを、
請求項1記載の水素製造装置の監視部及び送出制御部として機能させる、
水素純度監視制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素原料を改質して水素を製造する水素製造装置、水素製造方法、及び精製した水素の純度を監視する水素純度監視制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素を得るための水素製造装置としては、原料炭化水素を水蒸気改質装置で改質ガスに改質した後、PSA(Pressure Swing Adsorption)装置へ供給する構成がある。この水素製造装置では、PSA装置から送出されたオフガスを改質器のバーナに供給して燃焼させている。
【0003】
PSA装置で精製された水素は、製品として基準を満たした純度の水素であり、言い換えれば、当該基準を満たす能力を持つことが必要である。
【0004】
ところで、水素製造装置の稼働直後は、例えば、水蒸気改質装置が十分な温度に達していない場合があり(過渡期という)、この過渡期では、製品として基準を満たした純度の水素とならない場合がある。
【0005】
特許文献1には、改質器等が十分に昇温しておらず、装置全体として高純度の水素の製造がすぐに実行できないことを課題とし、水素製造装置を効率的に待機運転させ、かつ、待機運転からの起動後速やかに、水素の供給及び製造を可能とすることが記載されている。
【0006】
この特許文献1において、水素分離部が、改質部で改質された改質ガスから水素以外の不純物を分離すべく、PSA装置(水素精製部)と、製品タンクと、オフガスタンクとを備え、水素精製部にて精製された、水素濃度が95から99.99体積%の水素リッチガスが、流路を介して、製品水素として供給されることは記載されている。
【0007】
なお、参考として、特許文献2には、光学的に水素の純度を検出する水素純度検知システムについて記載されている。特許文献2の背景技術にも記載されているように、水素純度監視機器として、典型的な熱伝導率検出(TDC)を含め、供給を受けた側では水素の純度が重要であることがうかがえる。
【0008】
また、参考として、特許文献3には、水素分離型改質器より流出する水素を貯蔵する水素貯蔵手段から、水素を放出する際に、放出初期の2秒〜5分の範囲内で、一旦パージガスとして水素を放出した後、その後の水素ガスのみをさらに後段へ供給することが記載されている。なお、2秒は不純物の十分なパージ時間、5分は水素流量変動を考慮したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016−675号公報
【特許文献2】特開2011−197008号公報
【特許文献3】特開2002−37605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、待機運転によって水素の純度が基準に満たしているか否かの信頼性に乏しく、基準に満たない低純度水素が製品水素として供給される場合がある。
【0011】
構造的にも、製品水素を製品タンクへ供給する流路に水素濃度(純度)を検出するようなデバイスは設けられていない。
【0012】
本発明は上記事実を考慮し、製品としての基準を満たした水素のみを、確実に供給することができる水素製造装置、水素製造方法、水素純度監視制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る水素製造装置は、改質器から放出された改質ガスを、オフガスと水素とに分離して水素を精製する水素精製器と、前記水素精製器によって分離された水素の純度を監視する監視部と、前記監視部で監視した水素の純度に基づいて、前記水素の供給先を選択して送出する送出制御部とを有し、前記水素精製器で分離された前記水素を案内する流路を分岐する切替弁が設けられ、前記送出制御部が、前記切替弁の切り替えを制御して、前記水素の純度が所定以上の場合に、製品水素として送出する第1流路に切り替えると共に、前記水素の純度が所定未満の場合に、大気放出する第2流路に切り替えることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、水素精製器で精製された水素を常に監視しており、例えば、運転初期の過渡期(改質ガス等の圧力や温度が不安定な状態が発生し易い時期)に精製された水素の純度を監視することで、不適正(基準を満たさない)な純度の水素を水素の供給先へ供給されることを回避することができる。
【0016】
水素の純度が所定未満の場合に、切替弁を制御して、送出先を大気放出とすることで、水素の供給先へ供給されることを回避することができる。
【0017】
なお、前記水素精製器で分離された前記水素を案内する流路を分岐する切替弁が設けられ、前記送出制御部が、前記切替弁の切り替えを制御して、前記水素の純度が所定以上の場合に、製品水素として送出する第1流路に切り替えると共に、前記水素の純度が所定未満の場合に、前記オフガスの流路に連通する第3流路に切り替えることを特徴としてもよい。
【0018】
水素の純度が所定未満の場合に、切替弁を制御して、送出先をオフガスの流路に連通することで、水素の供給先へ供給されることを回避することができる。また、オフガスとして利用できるため、燃費等の向上を図ることができる。
【0019】
また、前記水素精製器で分離された前記水素を案内する流路を分岐する切替弁が設けられ、前記送出制御部が、前記切替弁の切り替えを制御して、前記水素の純度が所定以上の場合に、製品水素として送出する第1流路に切り替えると共に、前記水素の純度が所定未満の場合に、前記水素精製器へフィードバックする第4流路に切り替えることを特徴としてもよい
【0020】
水素の純度が所定未満の場合に、切替弁を制御して、送出先を水素精製器とすることで、水素の供給先へ供給されることを回避することができる。また、水素精製器へフィードバックするため、所定以上の純度の水素の精製率を向上することができる。
【0021】
本発明に係る水素製造方法は、改質器から放出された改質ガスを、オフガスと水素とに分離して水素を精製する水素精製器によって分離された水素の純度を監視し、監視した水素の純度に基づいて、前記水素の供給先を選択して送出し、前記水素精製器で分離された前記水素を案内する流路を分岐する切替弁の切り替えを制御して、前記水素の純度が所定以上の場合に、製品水素として送出する第1流路に切り替えると共に、前記水素の純度が所定未満の場合に、大気放出する第2流路に切り替えることを特徴としている。
【0023】
なお、前記水素精製器で分離された前記水素を案内する流路を分岐する切替弁の切り替えを制御して、前記水素の純度が所定以上の場合に、製品水素として送出する第1流路に切り替えると共に、前記水素の純度が所定未満の場合に、前記オフガスの流路に連通する第3流路に切り替えることを特徴としてもよい
【0024】
また、前記水素精製器で分離された前記水素を案内する流路を分岐する切替弁の切り替えを制御して、前記水素の純度が所定以上の場合に、製品水素として送出する第1流路に切り替えると共に、前記水素の純度が所定未満の場合に、前記水素精製器へフィードバックする第4流路に切り替えることを特徴としてもよい
【0025】
本発明に係る水素製造監視制御プログラムは、コンピュータを、本発明の水素製造装置の監視部及び送出制御部として機能させることを特徴としている。
【0026】
以上説明した如く本発明では、直接的に、供給直前の水素の純度を検出することで、遅滞なく、かつ、精度よく、製品としての基準を満たした水素を供給でき、かつ、例えば、当該基準を満たす以前の水素をフィードバックさせて改質器の燃焼の原料として利用することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明した如く本発明では、製品としての基準を満たした水素のみを、確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施の形態に係る水素製造装置の構成を示す概略図である。
図2】第1の実施の形態に係る水素純度監視制御ルーチンを示すフローチャートである(大気開放)。
図3】第2の実施の形態に係る水素製造装置の構成を示す概略図である。
図4】第2の実施の形態に係る水素純度監視制御ルーチンを示すフローチャートである(オフガス合流)。
図5】第3の実施の形態に係る水素製造装置の構成を示す概略図である。
図6】第3の実施の形態に係る水素純度監視制御ルーチンを示すフローチャートである(PSA回送)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施の形態)
【0030】
図1に示される如く、水素製造装置10は、改質器12と、昇圧前水分離部(ドレンタンク)14と、圧縮機16と、昇圧後水分離部(ドレンタンク)18と、PSA(Pressure Swing Adsorption)装置20とを備える。
【0031】
PSA装置20は、本発明の水素精製器の一例である。水素製造装置10は、炭化水素原料から水素を製造するものであり、第1の実施形態では、炭化水素原料の一例としてメタンを主成分とする都市ガスが用いられる場合について説明する。
【0032】
第1の実施の形態に係る改質器12は、同心円上に異なる径寸法で多重に配置された複数の筒状壁で仕切られた複数の空間を有しており(多重円筒形状)、第1の実施の形態では、4層の空間が形成され、内側の2層が下端部で連通し、外側の2層が上端で連通している。
【0033】
空間は、内側から順に、燃焼室、燃焼排ガス流路、予熱流路、及び改質ガス流路とされている。なお、第1の実施の形態の多重円筒形状の改質器12の構造は一例であり、当該構造が限定されるものではない。
【0034】
燃焼室にはバーナが配置され、都市ガス又はオフガスが燃料として供給され、燃焼室で空気と混合されて燃焼し、燃焼排ガスが燃焼排ガス流路へ案内され、予熱流路に流入される原料としての都市ガスと、改質用の水とが予熱され、混合ガスが生成される。
【0035】
予熱流路には、改質触媒層が設けられ、混合ガスは、燃焼排ガス流路を流れる燃焼排ガスからの熱を受け、水蒸気改質反応することによって、水素を成分とする改質ガスG1が生成される。
【0036】
改質ガスは、最外層の空間である改質ガス流路を通過するときに、CO変成触媒層(及び必要に応じてCO選択酸化触媒層)を通過することで、改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気とが反応して、水素と二酸化炭素に変換され、一酸化炭素が低減された改質ガスG2として排出される。なお、上記では、改質触媒層とCO変成触媒槽とが一体となる構造を想定しているが、改質触媒層とCO変成触媒槽とが一体ではない構造もとり得る。
【0037】
改質器12は、流路管22を介して、昇圧前水分離部(ドレンタンク)14と接続されている。改質器12から流出する改質ガスG2は、熱交換部24(図1、並びに、後述する図3及び図5では、Heat Exchangerの略語として、「HEx」と称す。)において、液体室(チラー)26の冷却管内の冷却水との熱交換によって冷却され、昇圧前水分離部14へ流入する。
【0038】
昇圧前水分離部14は、上部が気体室とされ、下部が液体室とされている。昇圧前水分離部14の気体室に流入した改質ガスG2は、水が凝縮されて分離され、貯留される。
【0039】
貯留された水は、水回収管15へ送出され、図示しないポンプの駆動によって、改質用の水として、改質器12へ戻される。
【0040】
昇圧前水分離部14は、流路管28を介して、圧縮機16と接続されている。昇圧前水分離部14において、改質ガスG2から水が分離した改質ガスG3は、圧縮機16へ流入する。なお、流路管28には、バッファタンク30が介在されており、改質ガスG3は、このバッファタンク30で圧力(例えば、大気圧)が安定された状態で圧縮機16へ流入される。
【0041】
圧縮機16は、昇圧前水分離部14から供給された改質ガスG3を図示しないポンプで圧縮する。なお、圧縮機16は、例えば、公共の水(市水32)によって冷却されるようになっている。
【0042】
圧縮機16は、流路管34を介して、昇圧後水分離部(ドレンタンク)18と接続されている。圧縮機16で圧縮された改質ガスG4は、熱交換部36において、液体室(チラー)38の冷却管内の冷却水との熱交換によって冷却され、昇圧後水分離部18へ流入する。
【0043】
昇圧後水分離部18は、上部が気体室とされ、下部が液体室とされている。昇圧後水分離部18の気体室に流入する改質ガスG4は、水が凝縮されて分離され、貯留される。
【0044】
貯留された水は、水回収管19へ送出され、図示しないポンプの駆動によって、改質用の水として、改質器12へ戻される。
【0045】
昇圧後水分離部18は、流路管40を介して、バッファタンク42と接続されており、昇圧後水分離部18で改質ガスG4から水が分離した改質ガスG5は、バッファタンク42へ流入する。
【0046】
バッファタンク42は、昇圧後水分離部18から供給される改質ガスG5を蓄積する。バッファタンク42は、流路管44を介して、PSA装置20と接続されており、バッファタンク42で一旦蓄積されて一定の圧力とされた改質ガスG5は、PSA装置20へ流入する。
【0047】
(水素精製器)
【0048】
PSA装置20では、改質ガスG5を、不純物(可燃ガスを含むオフガス)と水素とに分離する(水素精製)。精製された水素は、水素供給配管46へ送出され、不図示のタンクへ貯留されたり、水素供給ラインへ送られたりする。
【0049】
なお、参考として、水素供給配管46に送られた後の製品水素の搬送形態としては、以下の形態を挙げることができる。
【0050】
(1)高圧ガス
【0051】
例えば、水素の利用先が燃料電池自動車の場合には、最終的に、70Mpa以上に昇圧する必要があるため、許容される高圧ガスでの輸送は有効である。
【0052】
(2)液体水素
【0053】
水素は、−235℃で液化し、体積が1/800となるため、輸送に適している。
【0054】
(3)有機ハイドライド
【0055】
水素をトルエン等の有機物に化合させて有機ハイドライドの形で輸送(又は貯蔵)することで、体積を通常のガスに比べて1/600程度とすることができる。
【0056】
(4)パイプライン
【0057】
都市ガスと同様にパイプラインで郵送することができる。
【0058】
図1に示される如く、PSA装置20で分離された水素以外のオフガスは、可燃ガス供給管48を流れて燃料として改質器12の燃焼室に設けられたバーナへ供給される。
【0059】
すなわち、可燃ガス供給管48には、オフガスバッファタンク50が設けられている。オフガスバッファタンク50には、PSA装置20から可燃ガス供給管48を介してオフガスが流入され、蓄積される。オフガスバッファタンク50の上流側及び下流側には開閉弁50A、50Bが取り付けられ、オフガスバッファタンク50へのオフガスの流入及び流出が制御される。
【0060】
また、オフガスバッファタンク50の下流側には、流量調整部52が設けられている。この流量調整部52は、オフガスバッファタンク50に蓄積されたオフガスを改質器12へ供給する流量を調整する。
【0061】
オフガスバッファタンク50の容量は、PSA装置20から送出されるオフガス量とバーナへ供給するオフガス量のバランスや、オフガスバッファタンク50内の圧力等を考慮して、設定されている
【0062】
一方、改質器12の燃焼室で燃焼した後の燃焼排ガスは、燃焼排ガス流路からガス排出管54に案内され、熱交換部56において、液体室(チラー)58の冷却管内の冷却水との熱交換によって冷却され、燃焼排ガス水分離部(ドレンタンク)60へ流入し、水が貯留され、排ガスが排気管62から外部へ排出される。
【0063】
貯留された水は、水回収管64へ送出され、図示しないポンプの駆動によって、改質用の水として、改質器12へ戻される。
【0064】
なお、各所に設置した熱交換部24、36、及び56で適用されるチラー26、38、及び58は単一構成として、冷媒を共有するようにしてもよい。
【0065】
(水素純度判定制御)
【0066】
ここで、特に、水素製造装置10の稼働直後は、例えば、改質器12の燃焼室が十分な温度に達していない場合があり(過渡期という)、この過渡期では、改質が不安定となり、製品として基準を満たした純度の水素とならない場合がある。
【0067】
そこで、第1の実施の形態では、PSA装置20で生成された水素の純度を監視する機構を設けた。
【0068】
図1に示される如く、PSA装置20で生成された水素を送出する水素供給配管46には、水素の純度を監視するセンサ66が取り付けられると共に、三方弁68が介在されている。三方弁68は、PSA装置20からの流路を、大気開放流路47A及び製品送出流路47Bとの何れかに切り替える弁体を備えている。
【0069】
センサ66及び三方弁68は、それぞれ水素純度監視コントローラ70に接続されている。
【0070】
水素純度監視コントローラ70は、水素製造装置10の全体を制御するコントローラ(MCU「マシンコントロールユニット」)の一部として機能する。水素純度監視コントローラ70は、MCUの不揮発性メモリに予め記憶された水素純度監視プログラムで構築されてもよいし、ICチップに水素純度監視制御を実行するプログラムを組み込んだASIC等であってもよい。さらには、論理回路に基づいて組み付けたリレーやダイオード等の電子部品を所定の配線パターンに配置したハード構成の制御基板であってもよい。
【0071】
水素の純度を監視するセンサ66としては、例えば、薄膜円筒の共振周波数が周囲のガス密度により変化することを原理として用いた水素純度計や、光学的に水素の純度を検出するセンサ等、水素の純度が監視可能であれば何れのセンサを用いてもよい。
【0072】
三方弁68は、ソレノイドへの励磁によって水素供給配管46の流路を、大気開放流路47A又は製品送出流路47Bに切り替え可能となっている(電磁弁構造)。三方弁68は、弁体とソレノイドが一体となった構造、或いは、水素純度監視コントローラ70内にソレノイドを配し、リンク機構等で弁体を切り替える構造等、電気信号に基づいて弁体が切り替え可能であればその構造は限定されるものではない。
【0073】
また、電磁弁に限定されず、モータ等の他の駆動系を用いた三方弁であってもよい。
【0074】
水素純度監視コントローラ70では、水素供給配管46を流れる水素の純度に応じたセンサ66からの信号を受け付けて、予め記憶された純度しきい値と比較する機能、比較結果に基づいてソレノイドの励磁を制御する機能を備えている。
【0075】
水素純度監視コントローラ70では、センサ66で検出した水素の純度がしきい値未満の場合は、例えば、水素製造装置10における過渡期であり、製品としての価値が低いため、三方弁68を大気開放流路47Aに切り替えるように制御する。
【0076】
一方、センサ66で検出した水素の純度がしきい値以上となった場合には、製品としての価値が高いため、三方弁68を製品送出流路47Bに切り替えるように制御する。
【0077】
以下に、第1の実施の形態に係る作用を説明する。
【0078】
まず、水素製造装置10による水素製造工程の概略の流れを説明する。
【0079】
都市ガスは、改質器12へ供給される。改質器12へ供給された都市ガスは、改質器12の予熱流路で改質用の水と混合されつつ加熱され、改質触媒層へ供給される。改質触媒層では、燃焼排ガス流路を流れる燃焼排ガスからの熱を受けて混合ガスの水蒸気改質反応によって、水素を主成分とする改質ガスG1が生成される。当該改質ガスは、改質ガス流路を通ってCO変成触媒層へ供給される。CO変成触媒層では、改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気が反応して、水素と二酸化炭素に変換され、一酸化炭素が低減される。
【0080】
さらに、CO変成触媒層を通過した改質ガスは、酸化剤ガス供給管から供給される酸化ガス(空気)と共にCO選択酸化触媒層へ供給され、CO変成触媒層(及び必要に応じてCO選択酸化触媒層)を通過することで、改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気とが反応して、水素と二酸化炭素に変換され、一酸化炭素が低減された改質ガスG2として排出される。改質ガスG2は、流路管44へ送出される。
【0081】
改質ガスG2は、流路管22を経て、昇圧前水分離部14へ供給される。昇圧前水分離部14では、熱交換部24での熱交換による冷却により凝縮された水が貯留され、水回収管15へ送出される。水が分離された改質ガスG3は、バッファタンク30を介して流路管28を流れ、圧縮機16へ供給されて、圧縮機16によって圧縮される。
【0082】
圧縮された改質ガスG4は、流路管34を流れて昇圧後水分離部18へ供給される。昇圧後水分離部18では、熱交換部36での熱交換による冷却により凝縮された水が貯留され、水回収管19へ送出される。水が分離された改質ガスG5は、バッファタンク42を介して流路管40を流れてPSA装置20へ供給される。
【0083】
PSA装置20では、改質ガスG5が不純物であるオフガスと水素とに分離され、水素は水素供給配管46へ送出される。送出された水素は、不図示のタンクへ貯留されたり、水素供給ラインへ送られたりする。
【0084】
水素以外の不純物を含むオフガスは、可燃ガス供給管48を経てオフガスバッファタンク50へ流入される。オフガスバッファタンク50に貯留されたオフガスは、流量調整部52で流量調整されて、改質器12のバーナへ供給される。
【0085】
改質器12の燃焼室では、オフガスが燃焼され、燃焼排ガスがガス排出管54を介して燃焼排ガス水分離部60へ供給される。燃焼排ガスに含まれる水は、熱交換部56での熱交換により冷却されて凝縮され、燃焼排ガス水分離部60に貯留され、水回収管64へ送出される。水が分離された燃焼排ガスは、排気管62を流れて外部へ排出される。
【0086】
次に、水素純度監視コントローラ70における水素純度監視制御を、図2のフローチャートに従い説明する。
【0087】
ステップ100では、水素純度監視制御の開始のトリガとして、PSA装置20による水素精製を確認したか否かを判断する。
【0088】
この確認は、例えば、PSA装置20による実質的な水素精製が、水素製造装置10の運転が開始されてから所定時間経過した後であることから、運転が開始されてから所定時間経過後であるか否かで判断する。
【0089】
なお、このステップ100での判断は、改質器12の動作状態(例えば、温度が所定以上になったか否か)、又は、PSA装置20の動作状態(例えば、圧力が所定以上になったか否か)等、他の要件の判断であってもよい。また、実質的な水素精製に関係なく、運転開始直後から水素純度監視制御を実行する場合は、当該ステップ100を省略してもよい。
【0090】
ステップ100で肯定判定されると、ステップ102へ移行して、三方弁68を大気開放流路47A側に切り替え、ステップ104へ移行する。
【0091】
ステップ104では、センサ66からの検出信号に基づいて、水素純度を検出し、ステップ106へ移行する。ステップ106では、しきい値を読み出し、ステップ108へ移行して、検出した純度としきい値とを比較し、ステップ110へ移行する。
【0092】
ステップ110では、センサ66で検出した水素(すなわち、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素)が、製品として基準の純度を満たしている水素であるか否かを判断する。
【0093】
このステップ110で否定判定された場合は、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素が、製品として基準の純度を満たしていないと判断し、ステップ102へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0094】
また、ステップ110で肯定判定された場合は、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素が、製品として基準の純度を満たしている水素であると判断し、ステップ112へ移行して、三方弁68を製品送出流路47B側に切り替え、ステップ114へ移行する。
【0095】
ステップ114では、水素製造装置10の運転が終了したか否かを判断し、否定判定された場合は、ステップ104へ戻り、上記工程を繰り返す。また、ステップ114で肯定判定された場合は、ステップ116へ移行して、三方弁68を大気開放流路47A側に切り替え、このルーチンは終了する。このステップ116により、水素製造装置10が起動したとき、誤ってPSA装置20から基準の純度を満たしていない水素が漏出されたとしても、製品に混入することはない。
【0096】
すなわち、本実施の形態では、水素製造装置10の運転開始の過渡期での水素純度低下の判断のみならず、運転中も常に水素の純度を監視し、何らかの原因で製品として基準を満たさない水素が精製された場合は、即時に三方弁68を大気開放流路47A側に切り替えることができる。
【0097】
以上説明した如く第1の実施の形態では、水素供給配管46に水素の純度を検出するセンサ66を設け、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素の純度を監視し、当該センサ66で検出した水素の純度と、予め定めたしきい値とを比較することで、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素の内、特に、運転開始初期等、製品として基準の純度を満たしていない水素(非製品)を、大気開放流路47Aを介して大気開放するようにしたため、製品水素の品質(純度確保)を維持することができる。
【0098】
なお、第1の実施の形態では、水素製造装置10の運転開始の過渡期での水素純度低下の判断のみならず、運転中も常に水素の純度を監視するようにしたが、水素供給配管46を流れる水素が、最初に製品として基準を満たす純度になった時点で、水素純度監視制御を終了してもよい。
【0099】
(第2の実施の形態)
【0100】
以下に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付して、その構成の説明を省略する。
【0101】
第2の実施の形態の特徴は、三方弁68の切り替え制御において、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素の内、特に、運転開始初期等、製品として基準の純度を満たしていない水素を、オフガスとして再利用する点にある。
【0102】
図3は、第2の実施の形態に係る水素製造装置10Aの概略図である。
【0103】
図3に示される如く、三方弁68は、ソレノイドへの励磁によって水素供給配管46の流路を、オフガス合流流路72A又は製品送出流路72Bに切り替え可能となっている(電磁弁構造)。
【0104】
水素純度監視コントローラ70では、センサ66で検出した水素の純度がしきい値未満の場合は、例えば、水素製造装置10Aにおける過渡期であり、製品としての価値が低いため、三方弁68をオフガス合流流路72Aに切り替えるように制御する。
【0105】
一方、センサ66で検出した水素の純度がしきい値以上となった場合には、製品としての価値が高いため、三方弁68を製品送出流路72Bに切り替えるように制御する。
【0106】
以下に、第2の実施の形態の作用を図4のフローチャートに従い説明する。
【0107】
図4は、第2の実施の形態に係る水素純度監視コントローラ70における水素純度監視制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0108】
なお、第1の実施の形態として説明した図2のフローチャートと同一処理のステップについては、同一のステップ番号の末尾に符号「A」を付す。
【0109】
ステップ100Aでは、水素純度監視制御の開始のトリガとして、PSA装置20による水素精製を確認したか否かを判断する。
【0110】
この確認は、例えば、PSA装置20による実質的な水素精製が、水素製造装置10Aの運転が開始されてから所定時間経過した後であることから、運転が開始されてから所定時間経過後であるか否かで判断する。
【0111】
なお、このステップ100Aでの判断は、改質器12の動作状態(例えば、温度が所定以上になったか否か)、又は、PSA装置20の動作状態(例えば、圧力が所定以上になったか否か)等、他の要件の判断であってもよい。また、実質的な水素精製に関係なく、運転開始直後から水素純度監視制御を実行する場合は、当該ステップ100Aを省略してもよい。
【0112】
ステップ100Aで肯定判定されると、ステップ120へ移行して、三方弁68をオフガス合流流路72A側に切り替え、ステップ104Aへ移行する。
【0113】
ステップ104Aでは、センサ66からの検出信号に基づいて、水素純度を検出し、ステップ106Aへ移行する。ステップ106Aでは、しきい値を読み出し、ステップ108Aへ移行して、検出した純度としきい値とを比較し、ステップ110Aへ移行する。
【0114】
ステップ110Aでは、センサ66で検出した水素(すなわち、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素)が、製品として基準の純度を満たしている水素であるか否かを判断する。
【0115】
このステップ110Aで否定判定された場合は、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素が、製品として基準の純度を満たしていないと判断し、ステップ120へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0116】
また、ステップ110Aで肯定判定された場合は、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素が、製品として基準の純度を満たしている水素であると判断し、ステップ112Aへ移行して、三方弁68を製品送出流路72B側に切り替え、ステップ114Aへ移行する。
【0117】
ステップ114Aでは、水素製造装置10Aの運転が終了したか否かを判断し、否定判定された場合は、ステップ104Aへ戻り、上記工程を繰り返す。また、ステップ114Aで肯定判定された場合は、ステップ116Aへ移行して、三方弁68をオフガス合流流路72A側に切り替え、このルーチンは終了する。このステップ116Aにより、水素製造装置10が起動したとき、誤ってPSA装置20から基準の純度を満たしていない水素が漏出されたとしても、製品に混入することはない。
【0118】
すなわち、本実施の形態では、水素製造装置10Aの運転開始の過渡期での水素純度低下の判断のみならず、運転中も常に水素の純度を監視し、何らかの原因で製品として基準を満たさない水素が精製された場合は、即時に三方弁68をオフガス合流流路72A側に切り替えることができる。
【0119】
以上説明した如く第2の実施の形態では、水素供給配管46に水素の純度を検出するセンサ66を設け、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素の純度を監視し、当該センサ66で検出した水素の純度と、予め定めたしきい値とを比較することで、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素、特に、運転開始初期等、製品として基準の純度を満たしていない水素(非製品)を、オフガスとして利用するようにしたため、製品水素の品質(純度確保)を維持することができると共に、製品となり得ない純度の水素を、改質器12での燃焼用の燃料として利用することができる。
【0120】
なお、第2の実施の形態では、水素製造装置10Aの運転開始の過渡期での水素純度低下の判断のみならず、運転中も常に水素の純度を監視するようにしたが、水素供給配管46を流れる水素が、最初に製品として基準を満たす純度になった時点で、水素純度監視制御を終了してもよい。
【0121】
(第3の実施の形態)
【0122】
以下に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態において、第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付して、その構成の説明を省略する。
【0123】
第3の実施の形態の特徴は、三方弁68の切り替え制御において、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素の内、特に、運転開始初期等、製品として基準の純度を満たしていない水素を、再度PSA装置20へ回送して、純度を高める点にある。
【0124】
図5は、第2の実施の形態に係る水素製造装置10Bの概略図である。
【0125】
図5に示される如く、三方弁68は、ソレノイドへの励磁によって水素供給配管46の流路を、PSA回送流路74A又は製品送出流路74Bに切り替え可能となっている(電磁弁構造)。
【0126】
水素純度監視コントローラ70では、センサ66で検出した水素の純度がしきい値未満の場合は、例えば、水素製造装置10Bにおける過渡期であり、製品としての価値が低いため、三方弁68をPSA回送流路74Aに切り替えるように制御する。
【0127】
一方、センサ66で検出した水素の純度がしきい値以上となった場合には、製品としての価値が高いため、三方弁68を製品送出流路74Bに切り替えるように制御する。
【0128】
以下に、第3の実施の形態の作用を図6のフローチャートに従い説明する。
【0129】
図6は、第3の実施の形態に係る水素純度監視コントローラ70における水素純度監視制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0130】
なお、第1の実施の形態として説明した図2のフローチャートと同一処理のステップについては、同一のステップ番号の末尾に符号「B」を付す。
【0131】
ステップ100Bでは、水素純度監視制御の開始のトリガとして、PSA装置20による水素精製を確認したか否かを判断する。
【0132】
この確認は、例えば、PSA装置20による実質的な水素精製が、水素製造装置10の運転が開始されてから所定時間経過した後であることから、運転が開始されてから所定時間経過後であるか否かで判断する。
【0133】
なお、このステップ100Bでの判断は、改質器12の動作状態(例えば、温度が所定以上になったか否か)、又は、PSA装置20の動作状態(例えば、圧力が所定以上になったか否か)等、他の要件の判断であってもよい。また、実質的な水素精製に関係なく、運転開始直後から水素純度監視制御を実行する場合は、当該ステップ100Bを省略してもよい。
【0134】
ステップ100Bで肯定判定されると、ステップ122へ移行して、三方弁68をPSA回送流路74A側に切り替え、ステップ104Bへ移行する。
【0135】
ステップ104Bでは、センサ66からの検出信号に基づいて、水素純度を検出し、ステップ106Bへ移行する。ステップ106Bでは、しきい値を読み出し、ステップ108Bへ移行して、検出した純度としきい値とを比較し、ステップ110Bへ移行する。
【0136】
ステップ110Bでは、センサ66で検出した水素(すなわち、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素)が、製品として基準の純度を満たしている水素であるか否かを判断する。
【0137】
このステップ110Bで否定判定された場合は、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素)が、製品として基準の純度を満たしていないと判断し、ステップ122へ戻り、上記工程を繰り返す。
【0138】
また、ステップ110Bで肯定判定された場合は、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素が、製品として基準の純度を満たしている水素であると判断し、ステップ112Bへ移行して、三方弁68を製品送出流路74B側に切り替え、ステップ114Bへ移行する。
【0139】
ステップ114Bでは、水素製造装置10Bの運転が終了したか否かを判断し、否定判定された場合は、ステップ104Bへ戻り、上記工程を繰り返す。また、ステップ114Bで肯定判定された場合は、ステップ116Bへ移行して、三方弁68をPSA回送流路74A側に切り替え、このルーチンは終了する。このステップ116Bにより、水素製造装置10が起動したとき、誤ってPSA装置20から基準の純度を満たしていない水素が漏出されたとしても、製品に混入することはない。
【0140】
すなわち、本実施の形態では、水素製造装置10の運転開始の過渡期での水素純度低下の判断のみならず、運転中も常に水素の純度を監視し、何らかの原因で製品として基準を満たさない水素が精製された場合は、即時に三方弁68をPSA回送流路74A側に切り替えることができる。
【0141】
以上説明した如く第3の実施の形態では、水素供給配管46に水素の純度を検出するセンサ66を設け、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素の純度を監視し、当該センサ66で検出した水素の純度と、予め定めたしきい値とを比較することで、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素、特に、運転開始初期等、製品として基準の純度を満たしていない水素(非製品)を、再度PSA装置20へ回送し、純度を高めるようにしたため、製品水素の品質(純度確保)を維持することができると共に、製品となり得ない純度の水素を軽減することができる。
【0142】
なお、第3の実施の形態では、水素製造装置10Bの運転開始の過渡期での水素純度低下の判断のみならず、運転中も常に水素の純度を監視するようにしたが、水素供給配管46を流れる水素が、最初に製品として基準を満たす純度になった時点で、水素純度監視制御を終了してもよい。
【符号の説明】
【0143】
G1〜G5 改質ガス
10 水素製造装置
12 改質器
14 昇圧前水分離部)
15 水回収管
16 圧縮機
18 昇圧後水分離部
19 水回収管
20 PSA装置(水素精製器)
22 流路管
24 熱交換部
26 液体室
28 流路管
30 バッファタンク
32 市水
34 流路管
36 熱交換部
38 液体室(チラー)
40 流路管
42 バッファタンク
44 流路管
46 水素供給配管
48 可燃ガス供給管
50 オフガスバッファタンク
50A、50B 開閉弁
52 流量調整部
54 ガス排出管
56 熱交換部
58 液体室(チラー)
60 燃焼排ガス水分離部(ドレンタンク)
62 排気管
64 水回収管
66 センサ(監視部)
68 三方弁(切替弁)
47A 大気開放流路(第2流路)
47B 製品送出流路(第1流路)
70 水素純度監視コントローラ(送出制御部)
(第2の実施の形態)
10A 水素製造装置
72A オフガス合流流路(第3流路)
72B 製品送出流路(第1流路)
(第3の実施の形態)
10B 水素製造装置
74A PSA回送流路(第4流路)
74B 製品送出流路(第1流路)
【要約】
【課題】製品としての基準を満たした水素のみを、確実に供給する。
【解決手段】水素供給配管46に水素の純度を検出するセンサ66を設け、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素の純度を監視し、当該センサ66で検出した水素の純度と、予め定めたしきい値とを比較することで、PSA装置20から水素供給配管46へ送られた水素、特に、運転開始初期等、製品として基準の純度を満たしていない水素(非製品)を、大気開放流路47Aを介して大気開放するようにしたため、製品水素の品質(純度確保)を維持することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6