特許第6570757号(P6570757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6570757伸縮可能かつ柔軟なシャツ用襟腰およびそれを備えるシャツ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570757
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】伸縮可能かつ柔軟なシャツ用襟腰およびそれを備えるシャツ
(51)【国際特許分類】
   A41B 1/12 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   A41B1/12
【請求項の数】49
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-541253(P2018-541253)
(86)(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公表番号】特表2019-510138(P2019-510138A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】US2017016090
(87)【国際公開番号】WO2017151266
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2018年8月29日
(31)【優先権主張番号】62/301,075
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516102407
【氏名又は名称】タロン テクノロジーズ、インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ループ、ハーマン
【審査官】 長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07146647(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0113697(US,A1)
【文献】 実開平02−142402(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 1/00 − 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャツ本体に取り付けられた襟腰を備え、
前記襟腰は、共布から形成され、その少なくとも2つの非対向方向において伸長性および復元性を有し、内側ピースおよび外側ピースを有し、
前記内側ピースおよび前記外側ピースの少なくとも1つは、可融基材と融着された前記共布から形成され、前記可融基材は、前記2つの非対向方向において伸長性および復元性を有し、前記2つの非対向方向の1つにおいて、より高い伸長性を有する、
シャツ。
【請求項2】
前記内側ピースおよび前記外側ピースは各々、可融基材と融着された前記共布から形成される、
請求項1に記載のシャツ。
【請求項3】
前記襟腰は、襟の硬質な部分に取り付けられている、
請求項1または2に記載のシャツ。
【請求項4】
前記可融基材は、水平方向の伸長性が、垂直方向の伸長性より高い、
請求項3に記載のシャツ。
【請求項5】
前記可融基材の伸長性は、前記水平方向の伸長性が90%、前記垂直方向の伸長性が10%である、
請求項4に記載のシャツ。
【請求項6】
前記襟は、硬質である、
請求項3から5のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項7】
前記襟のうち前記襟腰に取り付けられる部分は、硬質である、
請求項3から5のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項8】
前記内側ピースは、前記外側ピースと同じ形状およびサイズを有する、
請求項3から7のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項9】
前記襟の前記硬質な部分のうちの少なくとも一部は、前記襟腰の長さ寸法に沿って前記襟腰の前記内側ピースと前記外側ピースとの間に縫われている、
請求項3から8のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項10】
前記襟のうちの、前記内側ピースと前記外側ピースとの間に縫われている前記部分は、その長さに沿って1/8インチ(3.2mm)以上1/4インチ(6.4mm)以下の幅(W1)を有する、
請求項に記載のシャツ。
【請求項11】
前記シャツ本体の一部分が、前記襟腰の長さ寸法に沿って前記襟腰の前記内側ピースと前記外側ピースとの間に縫われている、
請求項8から10のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項12】
前記シャツ本体のうちの、前記内側ピースと前記外側ピースとの間に縫われている前記部分は、その長さに沿って1/8インチ(3.2mm)以上1/4インチ(6.4mm)以下の幅(W2)を有する、
請求項11に記載のシャツ。
【請求項13】
前記襟腰は、幅(W)を有し、
W1+W2が前記襟腰の前記幅(W)の5%以上50%以下である、
請求項12に記載のシャツ。
【請求項14】
W1+W2は、前記襟腰の前記幅(W)の20%以上40%以下である、
請求項13に記載のシャツ。
【請求項15】
前記共布は、そのバイアスで切断されている、
請求項1から14のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項16】
前記可融基材は、前記2つの非対向方向において伸長性および復元性を制御する、
請求項1から15のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項17】
前記2つの非対向方向のうちの一方は、前記2つの非対向方向のうちの他方と垂直である、
請求項1から16のいずれか一項に記載のシャツ。
【請求項18】
前記襟腰の前記共布は、綿と、ポリコットンと、リネンとから選択され、
前記シャツは、綿と、ポリコットンと、リネンとから選択された生地を備える、
請求項1から17のいずれか一項に記載のシャツ。
【請求項19】
前記襟腰の前記共布は、前記シャツの前記生地と同じである、
請求項18に記載のシャツ。
【請求項20】
前記可融基材は、双方向可融基材である、
請求項1から19のいずれか一項に記載のシャツ。
【請求項21】
シャツ本体に取り付けられた襟腰を備え、
前記襟腰は、共布から形成され、その少なくとも2つの非対向方向において伸長性および復元性を有し、内側ピースと、前記内側ピースと同じ形状およびサイズを有する外側ピースとを有し、
前記内側ピースおよび前記外側ピースの少なくとも1つは、その少なくとも2つの方向において伸長性および復元性を有する前記共布から形成され、
前記内側ピースおよび前記外側ピースのうちの少なくとも一方は、2つの方向において伸長性および復元性を提供および制御する可融基材と融着された前記共布を用いて形成され、前記可融基材は、前記2つの方向において伸長性および復元性を有し、前記2つの方向の1つにおいて、より高い伸長性を有し、
前記シャツ本体の一部分が、前記襟腰の長さ寸法に沿って前記襟腰の前記内側ピースと前記外側ピースとの間に縫われている
シャツ。
【請求項22】
前記可融基材は、水平方向の伸長性が、垂直方向の伸長性より高い、
請求項21に記載のシャツ。
【請求項23】
前記可融基材の伸長性は、前記水平方向の伸長性が90%、前記垂直方向の伸長性が10%である、
請求項22に記載のシャツ。
【請求項24】
前記襟腰は、襟の硬質な部分に取り付けられ、
前記襟の前記硬質な部分のうちの少なくとも一部は、前記襟腰の長さ寸法に沿って前記襟腰の前記内側ピースと前記外側ピースとの間に縫われており、
前記襟のうちの、前記内側ピースと前記外側ピースとの間に縫われている前記部分は、幅(W1)を有し、
前記シャツ本体のうちの、前記内側ピースと前記外側ピースとの間に縫われている前記部分は、幅(W2)を有し、
前記襟腰は、幅(W)を有し、
W1+W2は、前記襟腰の前記幅(W)の5%以上50%以下であり、
W1+W2は、前記襟腰の前記幅(W)の20%以上40%以下である、
請求項21から23のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項25】
W1は1/8インチ(3.2mm)以上1/4インチ(6.4mm)以下である、
請求項24に記載のシャツ。
【請求項26】
W2は1/8インチ(3.2mm)以上1/4インチ(6.4mm)以下である、
請求項25に記載のシャツ。
【請求項27】
前記襟は硬質である、
請求項24から26のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項28】
前記襟の、前記襟腰に取り付けられている部分が硬質である、
請求項24から26のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項29】
前記共布はそのバイアスで切断されている、
請求項21から28のいずれか1項に記載のシャツ。
【請求項30】
襟と襟腰との組み合わせであって、
前記襟腰は、共布から形成され、その少なくとも2つの別個の非対向方向において伸長性および復元性を有し、前記襟の硬質な部分に取り付けられ、内側ピースおよび外側ピースを備え、
前記内側ピースおよび前記外側ピースのうちの少なくとも一方は、前記少なくとも2つの別個の非対向方向において伸長性および復元性を提供および制御する可融基材と融着された前記共布を用いて形成され、
前記可融基材は、前記少なくとも2つの別個の非対向方向のうちの一方において、より高い伸長性を有する、
組み合わせ
【請求項31】
前記可融基材は、水平方向の伸長性が、垂直方向の伸長性より高い、
請求項30に記載の組み合わせ。
【請求項32】
前記可融基材の伸長性は、前記水平方向の伸長性が90%、前記垂直方向の伸長性が10%である、
請求項31に記載の組み合わせ。
【請求項33】
前記共布は、綿と、ポリコットンと、リネンとから選択される、
請求項30から32のいずれか1項に記載の組み合わせ
【請求項34】
記共布は、シャツ生地と同じである、
請求項30から32のいずれか1項に記載の組み合わせ
【請求項35】
襟腰をシャツ本体に取り付ける段階を備え、
前記襟腰は、共布から形成され、その少なくとも2つの方向において伸長性および復元性を有し、内側ピースおよび外側ピースを有し、
前記内側ピースおよび前記外側ピースの少なくとも1つは、可融基材と融着された前記共布から形成され、前記可融基材は、前記少なくとも2つの方向において伸長性および復元性を有し、前記少なくとも2つの方向の1つにおいて、より高い伸長性を有する、
シャツを製造する方法。
【請求項36】
前記内側ピースおよび前記外側ピースは各々、可融基材と融着された前記共布から形成される、
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記襟腰を襟に取り付ける段階をさらに備える、
請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記襟腰は、前記襟の硬質な部分に取り付けられる、
請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記可融基材は、水平方向の伸長性が、垂直方向の伸長性より高い、
請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記可融基材の伸長性は、前記水平方向の伸長性が90%、前記垂直方向の伸長性が10%である、
請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記共布を圧縮する段階と、
前記圧縮された共布を前記可融基材と組み合わせる段階と、
をさらに備える、請求項35から40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
襟腰であって、
内側ピースおよび外側ピースを備え、
前記内側ピースおよび前記外側ピースの少なくとも1つは、可融基材と融着された共布から形成され、
前記襟腰は、その少なくとも2つの非対向方向において伸長性および復元性を有
前記可融基材は、前記少なくとも2つの非対向方向において伸長性および復元性を有し、前記少なくとも2つの非対向方向の1つにおいて、より高い伸長性を有する、
襟腰。
【請求項43】
前記内側ピースおよび前記外側ピースは各々、可融基材と融着された共布から形成される、
請求項42に記載の襟腰。
【請求項44】
前記可融基材は、水平方向の伸長性が、垂直方向の伸長性より高い、
請求項42に記載の襟腰。
【請求項45】
前記可融基材の伸長性は、前記水平方向の伸長性が90%、前記垂直方向の伸長性が10%である、
請求項44に記載の襟腰。
【請求項46】
前記内側ピースは、前記外側ピースと同じ形状およびサイズを有する、
請求項42から45のいずれか1項に記載の襟腰。
【請求項47】
前記共布は、そのバイアスで切断されている、
請求項42から46のいずれか1項に記載の襟腰。
【請求項48】
前記共布は、綿と、ポリコットンと、リネンとから選択される、
請求項42から47のいずれか1項に記載の襟腰。
【請求項49】
襟と、シャツ本体と、請求項42から48のいずれか1項に記載の襟腰とを備え、
前記襟腰は、前記襟と前記シャツ本体とに取り付けられている、
シャツ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願 本願は、2016年2月29日に出願された米国仮出願第62/301,075号の利益を主張する。当該仮出願の全内容は、あらゆる目的で、参照により本明細書に完全に組み込まれている。
【0002】
著作権に関する記載 本特許文献は、著作権による保護の対象である資料を含む。著作権所有者は、本特許文献または米国特許商標庁のファイルにおけるあらゆる関連資料の複製に対して異議を唱えるものではないが、そうでない場合には、いかなる理由があろうとも全ての著作権を留保する。
【技術分野】
【0003】
本発明は、衣服、および衣服の製造に関する。より具体的には、本発明は、シャツおよび伸縮可能なシャツ用襟に関する。 [背景および概要]
【0004】
シャツ、特に男性のドレスシャツは、典型的には、襟の周囲および袖の長さに基づいてサイズが決められる。いくつかのシャツ、特に男性のドレスシャツは一般に、(例えば、ボタンで)襟を閉じて着用されるようにサイズが決められる。よって、襟に何らかの縮みがあると、着用者に悪影響を及ぼす。残念ながら、ほとんどのドレスシャツに用いられている生地は、洗濯による縮みにさらされるので、ほとんどのドレスシャツは、複数回洗った後に着用が困難または不快なものになり得る。加えて、シャツの着用者は体重が増え得る。それにより、彼らの首回りが増して、彼らのドレスシャツは、首のところで閉じるのが困難になる。
【0005】
その形状を保持しつつ必要に応じて伸び、その元の長さに戻るシャツ用襟腰を提供することが望ましい。縮みがわずかであるか、または全くないシャツ用襟腰を提供することがさらに望ましい。バックヨークにつながる箇所のしわを無くすように、着用された場合に撓むシャツ用襟腰を提供することも望ましい。そのような襟腰を有するシャツを提供することがさらに望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の様々な他の目的、特徴および付随する利点が、添付図面とともに考えられた場合により良く理解されるようになるとおりに、完全に理解されるようになるであろう。添付図面において、同様の参照符号は、いくつかの図面を通じて、同じか、または類似の部分を示す。
【0007】
図1】本明細書の例示的な実施形態によるシャツ用襟の態様を示す。
【0008】
図2図1のシャツ用襟の態様の分解図を示す。
【0009】
図3】本明細書の例示的な実施形態による襟腰の態様を示す。
【0010】
図4】本明細書の例示的な実施形態による襟腰を用いたシャツに取り付けられたシャツ用襟の側面図である。
【0011】
図5】本明細書の例示的な実施形態による襟腰を用いたシャツに取り付けられたシャツ用襟の態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本明細書の例示的な実施形態による襟を組み込んだシャツ10を示す。例えば、線X‐X'に沿って縫われることにより、襟腰12がシャツ本体14に取り付けられている。襟腰12は、その一端にボタン16を、他端にボタン穴18を有し得、典型的には、シャツの首回りを画定する。例えば、襟20の実質的に硬質な部分を襟腰12に挿入し、線Y‐Y'に沿って縫うことにより、襟20が襟腰12に取り付けられている。図2は、図1のシャツ用襟の態様の分解図を示す。
【0013】
ここで図3を参照すると、本明細書の例示的な実施形態による襟腰12が、内側ピース22および外側ピース24という2つの実質的に適合するピースから形成されている。内側ピース22は、着用されている場合、シャツ10の内側に位置している。一方、外側ピース24は、着用されている場合、シャツ10の外側に位置している。内側ピース22および外側ピース24は、襟腰12を形成するように重ねられる。襟腰12は、シャツに取り付けられて着用されている場合、首の周りを曲がっていることが好ましい。
【0014】
本明細書の目的で、襟腰12の長さは図面において水平寸法であり、襟腰の幅は垂直寸法である。襟腰は、その長さにわたって同じ幅を有している必要はない(すなわち、襟腰は、いくつかの箇所において他の箇所より幅が広いことがある)。同様に、襟腰は、その幅にわたって同じ長さを有している必要はない(すなわち、襟腰は、いくつかの箇所において他の箇所より長いことがある)。例えば、図1を参照すると、長さY‐Y'は、長さX‐X'と同じである必要はない。一般に理解されているように、襟腰12の長さは長い方の寸法であり、その幅は短い方の寸法である。
【0015】
襟腰12の内側ピース22および外側ピース24は各々、共布を双方向可融基材と一緒に融着させることにより、形成され得る。双方向可融基材は、典型であって必ずではないが、互いに垂直な2つの方向において伸長性および復元性を提供する可融基材である。好ましい実施形態において、双方向可融基材は、その水平方向または長さ方向において、より高い伸長性を有する。水平方向への伸長が約90%、他の方向への伸長が約10%であることが好ましい。
【0016】
内側ピース22および外側ピース24を形成するために用いられる共布は、綿、ポリコットン、リネン等を含む任意の一般的なシャツ生地であり得る。共布は、シャツと同じ生地であり得るが、そうである必要はない。
【0017】
ピース22、24を形成するために用いられる共布は、任意の態様、例えば、その長さ、幅に沿って、またはバイアスで、などの態様で切断され得る。
【0018】
ピース22、24を形成するために用いられる共布は最初、伸長箇所(例えば、圧縮された織物材料または圧縮されたニット材料)を有しているか、または有していないことがある。
【0019】
いくつかの実施形態において、襟腰のピース(すなわち、内側ピース22および外側ピース24)は、最初に、基礎となる共布を圧縮してこの共布に伸長特性を与え、次に、圧縮された基礎となる共布を(この圧縮によってもたらされる伸長を制御し、記憶させるために)双方向可融基材と組み合わせることにより、形成され得る。理解されるべきであるように、基礎となる共布は伸長能力を有し、伸長性および復元性は可融基材により影響を受ける。
【0020】
図4は、本明細書の例示的な実施形態による襟腰24を用いてシャツ本体14に取り付けられたシャツ用襟20の側面図を示す。
【0021】
上述のように、襟腰12の底部は、例えば線X‐X'に沿ってシャツ本体14に取り付けられている(図1図2)。襟腰12の上部は、例えば、線Y‐Y'に沿って縫われることにより、襟20に取り付けられている(図1図2)。
【0022】
図2および図4を参照すると、襟20を襟腰12に結び付けるために、襟20の下側の実質的に硬質な部分が襟腰12の内側ピース22と外側ピース24との間に位置し、これらのピースは結び付けられる(例えば、一緒に縫い合わされる)。襟腰12の内側ピース22と外側ピース24との間に位置する、襟20の下側部分の幅(W1)は、約1/8インチ(3.2mm)から1/4インチ(6.4mm)までであることが好ましい。
【0023】
襟腰12の内側ピース22および外側ピース24は、2つの方向において伸長性および復元性を有する生地から形成されていることが好ましい。襟腰12は、襟腰の底部と実質的に平行であり、それによりシャツの上部と実質的に平行である、実質的に水平な方向において伸長性および復元性を有することが好ましい。襟腰は、襟腰の底部と実質的に垂直であり、それによりシャツの上部と実質的に垂直である、実質的に垂直な方向において伸長性および復元性を有することも好ましい。
【0024】
襟腰12をシャツ本体14に取り付けるために、シャツ本体14の上部が襟腰12の内側ピース22と外側ピース24との間に位置し、これらのピースは一緒に縫い合わされている。襟腰の内側ピースと外側ピースとの間に位置する、襟20のシャツ部分の幅(W2)は、約1/8インチ(3.2mm)から1/4インチ(6.4mm)であることが好ましい。
【0025】
幅W1は、襟腰12における過度に多くの空間を占有することなく、襟20を襟腰12において保持するのに十分であるべきことが理解されるべきである。同様に、幅W2は、やはり襟腰12における過度に多くの空間を占有することなく、シャツ本体に結び付けられた襟腰12を保持するのに十分であるべきである。
【0026】
図5を参照すると、襟腰12のうちの、襟20の一部分またはシャツ14の一部分のいずれかを覆わない部分の幅W3は、少なくとも襟腰12の実質的な長さにわたって、襟腰12の全幅の少なくとも80%であることが好ましい。当業者なら、本明細書を読めば、襟腰12内にある、襟およびシャツの部分が過度に大きい場合には、襟腰はその伸長特性および/または復元特性の一部を失ってしまうことを認識および理解しよう。本明細書のいくつかの好ましい実施形態において、幅W3は、平均で襟腰12の全幅(W)の50%と95%との間である。言い換えると、幅W1と幅W2の和は、平均で襟腰12の全幅(W)の5%と50%との間である。つまり、W1+W2は、襟腰12の長さに沿ってWの5%と50%との間であることが好ましい。例えば、例示的な襟腰は約1と1/4インチ(32mm)の全幅(W)を有し、襟の下側部分の幅(W1)は約1/4インチ(6.4mm)であり、シャツ部分の幅(W2)も約1/4インチ(6.4mm)である。本例において、幅(W3)は、約3/4インチ(19.2mm)または襟腰の全幅(W)の約60%である。
【0027】
述べられるように、襟腰12の内側ピース22と外側ピース24とは必ずしも平行ではないので、幅W1および幅W2と幅W3とは襟腰12の全体にわたって同じではないことがある。
【0028】
述べられるように、本明細書の好ましい実施形態において、襟20、または少なくとも襟20のうちの襟腰12に取り付けられた下側部分は、実質的に硬質である。いくつかの好ましい実施形態において、例えばドレスシャツ等については、襟20の全体が実質的に硬質である。シャツ本体は一般に、硬質ではない。従って、襟腰12の底部は、上部より大きく拡張し/伸び得る。襟腰が約15%圧縮されると、取り付けられたシャツの伸長性と適合し、伸長性があるシャツの伸長性とも適合し得る。
【0029】
本明細書において説明される、襟と襟腰との組み合わせは、従来のアプローチを越える数々の利点を提供する。襟腰は、圧縮されているので、圧縮されていない襟ほど多くは縮まない。しかしながら、襟腰が伸びた場合、襟腰は、実質的にその元の長さに戻る。
【0030】
上述のように、襟腰12はシャツ本体14に結び付けられる。当業者には理解されるように、襟腰12は、シャツ本体14の異なる部分に結び付けられる。シャツの裏側において、襟腰12は典型的に、シャツのヨークまたはシャツのバックパネルに結び付けられる。本明細書において説明される襟腰は、襟腰がシャツに結び付けられている場所でのしわを減少させる。
【0031】
このしわは通常、不均一な外観をもたらす、洗浄後の反対方向における縮みまたは反対方向における伸長の結果として、または襟腰をシャツに(例えば、シャツのヨークに)つなげる場合に用いられる、誤った縫い合わせ張力により発生する。
【0032】
襟腰は2つの方向に動くことができるので、襟腰は、平坦なままであるか、または特に生地が首の周り全体を曲がらなければならない場合に普通は生じるしわを大幅に減少させることが可能になる。
【0033】
故に、その形状を保持しつつ必要に応じて伸び、実質的にその元の長さに戻るシャツ用襟腰が説明される。説明されるシャツ用襟腰は、縮みがほとんどないか、または全くなく、また、シャツのバックヨークにつながる箇所のしわを無くすように、着用された場合に撓む。
【0034】
あるプロセスが本明細書において説明される場合、当業者なら、当該プロセスがユーザによるいかなる介入もなしに機能し得ることを理解しよう。別の実施形態において、当該プロセスは、人間による介入を一部含む(例えば、あるステップが、人間により、または人間の支援の下で実行される)。
【0035】
本明細書において用いられるように、「部分」という用語は、一部または全部を意味する。よって、例えば、「Pの一部分」は、「P」の一部または「P」の全部を含み得る。ある会話の文脈において、「部分」という用語は、当該会話の一部または全部を意味する。
【0036】
特許請求の範囲を含め、本明細書において用いられるように、「少なくともいくつか」という表現は、「1または複数」を意味し、1つのみの場合を含む。故に、例えば、「少なくともいくつかのABC」という表現は、1または複数のABCを意味し、1つのみのABCの場合を含む。
【0037】
特許請求の範囲を含め、本明細書において用いられるように、「を用いて」という表現は、「を少なくとも用いて」を意味し、排他的なものではない。故に、例えば、「Zを用いて」という表現は、「少なくともZを用いて」を意味する。「のみ」という文言を用いて特に記載されない限り、「Zを用いて」という表現は、「Zのみを用いて」を意味するものではない。
【0038】
一般に、特許請求の範囲を含め、本明細書において用いられるように、「のみ」という文言が表現中で特に用いられない限り、その表現に解釈されるべきではない。
【0039】
特許請求の範囲を含め、本明細書において用いられるように、「別個」という表現は、「少なくとも部分的に別個」を意味する。特に記載されない限り、別個は完全に別個を意味するものではない。故に、例えば、「XはYとは別個である」という表現は、「Xは少なくとも部分的にYとは別個である」を意味し、「XはYと完全に別個である」を意味するものではない。故に、特許請求の範囲を含め、本明細書において用いられるように、「XはYとは別個である」という表現は、Xは少なくともいくつかの態様でYとは異なることを意味する。
【0040】
本明細書および特許請求の範囲における「第1」および「第2」という文言は、区別または識別するために用いられるものであって、連続的または数的な限定を示すものではないことを理解すべきである。同様に、(「(a)」、「(b)」等のような)文字または数的符号の使用は、区別および/または識別を助けるために用いられるものであって、いかなる連続的または数的な限定または順序も示すものではない。
【0041】
最も実際的かつ好ましい実施形態と現在考えられていることに関連して本発明が説明されてきたが、本発明は、開示される実施形態に限定されるべきではないが、反対に、添付の特許請求の範囲および趣旨内に含まれる様々な修正および同等の構成を包含することが意図されているということが理解されるべきである。
[項目1]
襟とシャツ本体とに取り付けられた襟腰を備え、
上記襟腰は、共布から形成され、その少なくとも2つの非対向方向において伸長性および復元性を有し、内側ピースおよび外側ピースを有し、
上記内側ピースおよび上記外側ピースは各々、可融基材と融着された上記共布から形成され、
上記襟腰は、上記襟の実質的に硬質な部分に取り付けられている、
シャツ。
[項目2]
上記襟は、実質的に硬質である、
項目1に記載のシャツ。
[項目3]
上記襟の全体より小さい部分が実質的に硬質である、
項目1に記載のシャツ。
[項目4]
上記内側ピースは、上記外側ピースと実質的に同じ形状およびサイズを有する、
項目1に記載のシャツ。
[項目5]
上記襟の上記実質的に硬質な部分のうちの少なくとも一部は、上記襟腰の長さ寸法に沿って上記襟腰の上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている、
項目4に記載のシャツ。
[項目6]
上記襟のうちの、上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている上記部分は、その長さに沿って1/8インチ(3.2mm)と1/4インチ(6.4mm)との間の幅(W1)を有する、
項目5に記載のシャツ。
[項目7]
上記シャツ本体の一部分が、上記襟腰の長さ寸法に沿って上記襟腰の上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている、
項目4に記載のシャツ。
[項目8]
上記シャツ本体のうちの、上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている上記部分は、その長さに沿って1/8インチ(3.2mm)と1/4インチ(6.4mm)との間の幅(W2)を有する、
項目7に記載のシャツ。
[項目9]
上記襟の上記実質的に硬質な部分のうちの少なくとも一部は、上記襟腰の長さ寸法に沿って上記襟腰の上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われており、
上記シャツ本体の一部分が、上記襟腰の長さ寸法に沿って上記襟腰の上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われており、
上記襟のうちの、上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている上記部分は、1/8インチ(3.2mm)と1/4インチ(6.4mm)との間の幅(W1)を有し、
上記シャツ本体のうちの、上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている上記部分は、1/8インチ(3.2mm)と1/4インチ(6.4mm)との間の幅(W2)を有する、
項目4に記載のシャツ。
[項目10]
上記襟腰は、幅(W)を有し、
W1+W2が上記襟腰の上記幅(W)の約5%と50%との間である、
項目9に記載のシャツ。
[項目11]
W1+W2は、上記襟腰の上記幅(W)の約20%と40%との間である、
項目10に記載のシャツ。
[項目12]
上記襟の上記実質的に硬質な部分のうちの少なくとも一部は、上記襟腰の長さ寸法に沿って上記襟腰の上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われており、
上記シャツ本体の一部分が、上記襟腰の長さ寸法に沿って上記襟腰の上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われており、
上記襟のうちの、上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている上記部分は、幅(W1)を有し、
上記シャツ本体のうちの、上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている上記部分は、幅(W2)を有し、
上記襟腰は幅(W)を有し、
W1+W2は、上記襟腰の上記幅(W)の約5%と50%との間である、
項目4に記載のシャツ。
[項目13]
W1+W2は、上記襟腰の上記幅(W)の20%と40%との間である、
項目12に記載のシャツ。
[項目14]
上記シャツ本体の一部分が、上記襟腰の長さ寸法に沿って上記襟腰の上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている
項目5に記載のシャツ。
[項目15]
上記シャツ本体の一部分が、上記襟腰の長さ寸法に沿って上記襟腰の上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている、
項目6に記載のシャツ。
[項目16]
上記共布は、そのバイアスで切断されている、
項目1に記載のシャツ。
[項目17]
上記可融基材は、2つの方向において伸長性および復元性を提供および制御する、
項目4に記載のシャツ。
[項目18]
上記2つの方向は、上記2つの非対向方向を含む、
項目17に記載のシャツ。
[項目19]
上記可融基材は、上記2つの方向のうちの一方において、より高い伸長性を有する、
項目17に記載のシャツ。
[項目20]
上記2つの非対向方向のうちの一方は、上記2つの非対向方向のうちの他方と実質的に垂直である、
項目1から19のいずれか一項に記載のシャツ。
[項目21]
上記襟腰の上記共布は、シャツ生地と、綿と、ポリコットンと、リネンとから選択され、
上記シャツは、シャツ生地と、綿と、ポリコットンと、リネンとから選択された生地を備える、
項目1から19のいずれか一項に記載のシャツ。
[項目22]
上記襟腰の上記共布は、上記シャツの上記生地と同じである、
項目21に記載のシャツ。
[項目23]
上記可融基材は、双方向可融基材である、
項目1から19のいずれか一項に記載のシャツ。
[項目24]
襟とシャツ本体とに取り付けられた襟腰を備え、
上記襟腰は、共布から形成され、その少なくとも2つの非対向方向において伸長性および復元性を有し、上記襟の実質的に硬質な部分に取り付けられ、内側ピースと、上記内側ピースと実質的に同じ形状およびサイズを有する外側ピースとを有し、
上記内側ピースおよび上記外側ピースは各々、その少なくとも2つの方向において伸長性および復元性を有する上記共布から形成され、
上記内側ピースおよび上記外側ピースのうちの少なくとも一方は、2つの方向において伸長性および復元性を提供および制御する可融基材と融着された上記共布を用いて形成され、
上記襟の上記実質的に硬質な部分のうちの少なくとも一部は、上記襟腰の長さ寸法に沿って上記襟腰の上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われており、
上記シャツ本体の一部分が、上記襟腰の長さ寸法に沿って上記襟腰の上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われており、
上記襟のうちの、上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている上記部分は、幅(W1)を有し、
上記シャツ本体のうちの、上記内側ピースと上記外側ピースとの間に縫われている上記部分は、幅(W2)を有し、
上記襟腰は、幅(W)を有し、
W1+W2は、上記襟腰の上記幅(W)の約5%と50%との間である、
シャツ。
[項目25]
W1+W2は、上記襟腰の上記幅(W)の約20%と40%との間である、
項目24に記載のシャツ。
[項目26]
W1は1/8インチ(3.2mm)と1/4インチ(6.4mm)との間である、
項目25に記載のシャツ。
[項目27]
W2は1/8インチ(3.2mm)と1/4インチ(6.4mm)との間である、
項目26に記載のシャツ。
[項目28]
上記襟は実質的に硬質である、
項目24に記載のシャツ。
[項目29]
上記襟の全体より小さい部分が実質的に硬質である、
項目24に記載のシャツ。
[項目30]
上記共布はそのバイアスで切断されている、
項目24に記載のシャツ。
[項目31]
上記可融基材は、上記2つの方向のうちの一方において、より高い伸長性を有する、
項目24に記載のシャツ。
[項目32]
組み合わせて襟に取り付けられた襟腰であって、
上記襟腰は、共布から形成され、その少なくとも2つの別個の非対向方向において伸長性および復元性を有し、上記襟の実質的に硬質な部分に取り付けられ、内側ピースおよび外側ピースを備え、
上記内側ピースおよび上記外側ピースのうちの少なくとも一方は、上記少なくとも2つの別個の非対向方向において伸長性および復元性を提供および制御する可融基材と融着された上記共布を用いて形成され、
上記可融基材は、上記少なくとも2つの別個の非対向方向のうちの一方において、より高い伸長性を有する、
襟腰。
[項目33]
上記共布は、シャツ生地と、綿と、ポリコットンと、リネンとから選択される、
項目32に記載の襟腰。
[項目34]
シャツ生地を備え、
上記共布は、上記シャツ生地と同じである、
項目32または33に記載の襟腰。
[項目35]
襟腰を襟とシャツ本体とに取り付ける段階を備え、
上記襟腰は、共布から形成され、その少なくとも2つの方向において伸長性および復元性を有し、内側ピースおよび外側ピースを有し、
上記内側ピースおよび上記外側ピースは各々、可融基材と融着された上記共布から形成され、
上記襟腰は、上記襟の実質的に硬質な部分に取り付けられている、
シャツを製造する方法。
[項目36]
襟腰であって、
内側ピースおよび外側ピースを備え、
上記内側ピースおよび上記外側ピースは各々、可融基材と融着された共布から形成され、
上記襟腰は、その少なくとも2つの非対向方向において伸長性および復元性を有する、
襟腰。
[項目37]
上記内側ピースは、上記外側ピースと実質的に同じ形状およびサイズを有する、
項目36に記載の襟腰。
[項目38]
上記共布は、そのバイアスで切断されている、
項目36または37に記載の襟腰。
[項目39]
上記可融基材は、双方向可融基材を含む、
項目36または37に記載の襟腰。
[項目40]
上記共布は、シャツ生地と、綿と、ポリコットンと、リネンとから選択される、
項目36または37に記載の襟腰。
[項目41]
襟と、シャツ本体と、項目36または37に記載の襟腰とを備え、
上記襟腰は、上記襟と上記シャツ本体とに取り付けられている、
シャツ。
図1
図2
図3
図4
図5