特許第6570765号(P6570765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6570765試料から粒子を抽出するためのマイクロ流体デバイス、アセンブリおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570765
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】試料から粒子を抽出するためのマイクロ流体デバイス、アセンブリおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20190826BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20190826BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20190826BHJP
   B81B 1/00 20060101ALN20190826BHJP
【FI】
   B01J19/00 321
   G01N1/10 C
   G01N37/00 101
   !B81B1/00
【請求項の数】15
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2018-546775(P2018-546775)
(86)(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公表番号】特表2019-504766(P2019-504766A)
(43)【公表日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】IB2015059219
(87)【国際公開番号】WO2017093780
(87)【国際公開日】20170608
【審査請求日】2018年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】518188658
【氏名又は名称】ルクミクロ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】RQMICRO AG
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】シャフハウザー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ケセルエ,ハンス−アントン
(72)【発明者】
【氏名】アケプシマイディス,ゲオルギオス
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−503334(JP,A)
【文献】 特開2012−76016(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/155489(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/048616(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0175980(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0072290(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00
G01N 1/10
G01N 37/00
B81B 1/00
B03B 5/00
B03C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面(4a)および第2の反対側の表面(4b)を有するパレットを含むマイクロ流体デバイス(1)において、
第1の表面(4a)が、その内部に画定された状態で、主流路(5)、および主流路(5)の一方の端部に位置づけられた第1の接合部(7)で主流路(5)と各々流体連通状態にある1つ以上の入口補助流路(6a、6b)、および主流路(5)の第2の反対側の端部に位置づけられた第2の接合部(9)で主流路(5)と各々流体連通状態にある対応する1つ以上の出口補助流路(8a、8b)を有しており、
ここで、1つ以上の入口補助流路(6a、6b)の深さ(「d」)および1つ以上の出口補助流路(8a、8b)の深さ(「x」)が、主流路(5)の深さ(「f」)より小さく、こうして第1の接合部(7)および第2の接合部(9)に画定された段(106a、106b、108a、108b)が存在するようになっており、
第2の反対側の表面(4b)が、その内部に画定された状態で、磁場を発生するための手段を収容できる溝(15)を有しており、ここで溝(15)は主流路(5)と一列に並んでおり、この主流路に対して平行に延在している、
マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
1つ以上の入口補助流路の深さが、1つ以上の出口補助流路の深さと等しい、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
第1の接合部において主流路に相対する両側で主流路と合流するように配置された2つの入口補助流路、および第2の接合部において主流路に相対する両側で主流路と合流するように配置された2つの出口補助流路が具備されている、請求項1または2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
2つの入口補助流路が具備され、2つの出口補助流路が具備され、2つの入口補助流路の長さが等しく、2つの出口補助流路の長さが等しい、請求項1〜3のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
第1の接合部と第2の接合部との間の主流路の長さが、入口補助流路の長さの半分に等しい、請求項1〜4のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
主流路、1つ以上の入口補助流路、および1つ以上の出口補助流路を覆って流体の流れをそれぞれの流路内に限定するために、第1の表面を覆うフィルムをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
溝の長さが主流路の長さに等しい、請求項1〜6のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
溝が、次第に細くなる横断面を有する、請求項1〜7のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
主流路と流体連通状態で配置され、主流路内に補給されるべき緩衝液を保持することのできる緩衝剤供給源タンクと、
1つ以上の入口補助流路と流体連通状態で配置され、1つ以上の入口補助流路内に補給されるべき試料液体を保持することのできる試料供給源タンクと、
主流路と流体連通状態で配置され、主流路に沿って流れた緩衝液を収容することのできる緩衝剤排出タンクと、
1つ以上の出口補助流路と流体連通状態で配置され、1つ以上の出口補助流路に沿って流れた試料液体を保持することのできる試料排出タンクと、
をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
試料から強磁性、常磁性および/または反磁性粒子を抽出する方法において、
請求項1〜9のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイスを提供するステップと、
1つ以上の入口補助流路に沿っておよび主流路に沿って流れる強磁性、常磁性および/または反磁性粒子を含む試料を提供するステップと、
主流路に沿って流れる緩衝剤を提供するステップであって、ここで試料と緩衝剤は主流路に沿って同時に流れるステップと、
主流路内を流れる試料に対して磁場を適用するステップであって、ここで磁場は、試料から緩衝剤中に前記粒子を移動させるステップと、
前記粒子が実質的に不在である試料を、1つ以上の出口補助流路内に収容するステップと、
前記粒子を含む緩衝剤を収集するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
試料に磁場を適用するステップが、マイクロ流体デバイスのパレットの前記溝内に磁場発生用手段を移動させるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
試料に磁場を適用するステップが、主流路の流路床が平面である場合にはこの流路床に直交する方向で、または主流路の流路床が湾曲している場合にはこの流路床の頂点に対する接線に直交する方向で、前記粒子を試料から緩衝剤中へと移動させる磁場を提供するステップを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つに記載のマイクロ流体デバイス、およびパレットの溝内に位置づけられた磁場発生用手段を含むアセンブリ。
【請求項14】
磁場発生用手段が、三角形の横断面を有する永久磁石である、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
磁場発生用手段が、パレット内の溝の形状に対応する形状を有し、磁場発生用手段が、主流路の長さに少なくとも等しい長さにわたり延在している、請求項13または14に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を試料から抽出するために使用することのできるマイクロ流体デバイスに関する。さらに、このマイクロ流体デバイスを含む対応するアセンブリ、ならびに強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を試料から抽出する対応する方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を試料から抽出する既存の技術には、磁場を用いて試料から緩衝液内に横方向に前記粒子を移動させることが関与する。特に試料および緩衝液は、マイクロ流体デバイスの流路に沿って同時に流れ、マイクロ流体デバイスのこの流路は、平面の流路床を有し(例えば流路は矩形の横断面を有する)、粒子は試料から緩衝液中へと、平面の流路床に対して平行である方向に移動させられる。いくつかの事例では、マイクロ流体デバイスの流路は、湾曲した流路床を有し、その場合、粒子は、流路床の曲面の頂点に対する接線に平行な方向で移動させられる。しかしながら、強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を試料から抽出するための既存の解決法には、処理能力が低いという問題がある。
【0003】
同様に、試料から緩衝液中に粒子を移動させるのに使用される磁場は、マイクロ流体デバイスに統合された、磁化されたまたは磁化可能な構造によって提供される。マイクロ流体デバイスに統合された、磁化されたまたは磁化可能な構造を有することによって、マイクロ流体デバイスの製造コストは増大する。平面の流路床に平行に粒子を移動させることができるためには、磁化されたまたは磁化可能な構造は、その磁場勾配が平面流路床に平行となるように、マイクロ流体デバイス内に厳密に位置付けされる必要がある。実際には、磁化されたまたは磁化可能な構造のサイズは、粒子に適用され得る磁力に正比例する。したがって、試料から強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を緩衝液中へ有効に抽出できるようにするためには、大型の磁化されたまたは磁化可能な構造がマイクロ流体デバイスに統合される必要があり、このことが今度はマイクロ流体デバイスの寸法を増大させる。
【0004】
当該技術分野においては、試料からの強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子の抽出の改善を達成することのできるマイクロ流体デバイスを提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を試料から抽出するための既存の解決法に付随する欠点の少なくともいくつかを取り除くか、または軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、これらの目的は、第1の表面および第2の反対側の表面を有するパレットを含むマイクロ流体デバイスにおいて、第1の表面が、その内部に画定された状態で主流路、および主流路の一方の端部に位置づけられた第1の接合部で各々主流路と流体連通状態にある1つ以上の入口補助流路、および主流路の第2の反対側の端部に位置づけられた第2の接合部で各々主流路と流体連通状態にある対応する1つ以上の出口補助流路を有しており、ここで、1つ以上の入口補助流路の深さおよび1つ以上の出口補助流路の深さが主流路の深さより小さく、こうして第1の接合部および第2の接合部に画定された段が存在するようになっており、第2の反対側の表面が、その内部に画定された状態で、磁場を発生するための手段を収容できる溝を有しており、ここで、溝は主流路と一列に並んでおり、この主流路に対して平行に延在している、マイクロ流体デバイスを用いて達成される。
【0007】
1つ以上の入口補助流路の深さは、1つ以上の出口補助流路の深さと等しいものであり得る。
【0008】
第1の接合部において主流路に相対する両側で主流路と合流するように配置された2つの入口補助流路が具備されてよく、第2の接合部において主流路に相対する両側で主流路と合流するように配置された2つの出口補助流路が具備されていてよい。
【0009】
2つの入口補助流路が具備されていてよく、2つの出口補助流路が具備されていてよく、ここで2つの入口補助流路の長さは等しく、2つの出口補助流路の長さは等しい。
【0010】
第1の接合部と第2の接合部との間の主流路の長さは、入口補助流路の長さの半分に等しいものであってよい。
【0011】
好ましくは、第1の接合部と第2の接合部との間の主流路の長さは、1〜50mmであってよい。最も好ましくは、第1の接合部と第2の接合部との間の主流路の長さは20mmである。
【0012】
主流路の幅と深さの間の比率は0.2〜5であり得る。
【0013】
マイクロ流体デバイスは、主流路、1つ以上の入口補助流路、および1つ以上の出口補助流路を覆って流体の流れをそれぞれの流路内に限定するために、第1の表面を覆うフィルムをさらに含んでいてよい。このフィルムは、第1の表面に対して着脱可能な形で取付けられていてよい。
【0014】
溝の長さは、主流路の長さに等しいものであり得る。
【0015】
溝の中心は、主流路の中心と一列に並んで良い。
【0016】
溝は、次第に細くなる横断面を有していてよい。
【0017】
溝は、丸みのある頂点を伴う、次第に細くなる横断面を有していてよい。溝の丸みのある頂点は、0.05mm〜0.5mmの間の曲率半径を有していてよい。好ましくは溝の丸みのある頂点は、0.2mmの曲率半径を有するであろう。
【0018】
溝は、平面の基部を伴う次第に細くなる横断面を有していてよい。例えば溝は、先端を切った三角形の形状を有する横断面を有していてよい。
【0019】
溝は、V字形横断面を有していてよい。
【0020】
溝と主流路との間のパレットの厚みは、0.01mm〜10mmである。好ましくは、溝と主流路との間のパレットの厚みは0.15mmの間である。
【0021】
マイクロ流体デバイスは、主流路と流体連通状態で配置され、主流路内に補給されるべき緩衝液を保持することのできる、緩衝剤供給源タンクを含んでいてよい。
【0022】
マイクロ流体デバイスは、1つ以上の入口補助流路と流体連通状態で配置され、1つ以上の入口補助流路内に補給されるべき試料液体を保持することのできる、試料供給源タンクを含んでいてよい。
【0023】
マイクロ流体デバイスは、主流路と流体連通状態で配置され、主流路に沿って流れた緩衝液を収容することのできる、緩衝剤排出タンクを含んでいてよい。
【0024】
マイクロ流体デバイスは、1つ以上の出口補助流路と流体連通状態で配置され、1つ以上の出口補助流路に沿って流れた試料液体を保持することのできる、試料排出タンクを含んでいてよい。
【0025】
溝と主流路との間のパレットの厚みは、0.01〜0.2mmであってよい。
【0026】
パレットは、透明な材料で構成されていてよい。
【0027】
本発明のさらなる態様によると、試料から強磁性、常磁性および/または反磁性粒子を抽出する方法において、
− 上述のマイクロ流体デバイスのいずれか1つに係るマイクロ流体デバイスを提供するステップと、
− 1つ以上の入口補助流路に沿っておよび主流路に沿って流れる強磁性、常磁性および/または反磁性粒子を含む試料を提供するステップと、
− 主流路に沿って流れる緩衝剤を提供するステップであって、ここで試料と緩衝剤は主流路に沿って同時に流れるステップと、
− 主流路内を流れる試料に対して磁場を適用するステップであって、ここで磁場は、試料から緩衝剤中に前記粒子を移動させるステップと、
− 前記粒子が実質的に不在である試料を、1つ以上の出口補助流路内に収容するステップと、
− 前記粒子を含む緩衝剤を収集するステップと、
を含む方法が提供されている。
【0028】
試料に磁場を適用するステップは、マイクロ流体デバイスのパレットの前記溝の中に、磁場発生用手段を移動させるステップを含んでいてよい
【0029】
試料に磁場を適用するステップは、主流路の流路床が平面である場合にはこの流路床に直交する方向で、または主流路の流路床が湾曲している場合にはこの流路床の頂点に対する接線に直交する方向で、前記粒子を試料から緩衝剤中へと移動させる磁場を提供することを含んでいてよい。
【0030】
試料に磁場を適用するステップは、主流路に沿った試料および緩衝剤の流れの方向に直交すると同時に、主流路の流路床が平面である場合にはこの流路床に直交する方向で、または主流路の流路床が湾曲している場合にはこの流路床の頂点に対する接線に直交する方向で、前記粒子を試料から緩衝剤中へと移動させる磁場を提供することを含んでいてよい。
【0031】
該方法は、試料および緩衝剤の流量が主流路に沿って等しくなるような形で、試料および緩衝剤の流量を調整するステップを含み得る。
【0032】
該方法は、第1の接合部における入口補助流路内の試料の流量と主流路内の緩衝剤の流量の間の比率が0.1〜10になるような形で、試料および緩衝剤の流量を調整するステップを含み得る。最も好ましくは、前記比率は0.5〜2の間である。一実施形態において、試料の流量は、第1の接合部において緩衝剤の流量の2倍である。別の実施例において、緩衝剤の流量は、第1の接合部において試料の流量の2倍である。
【0033】
該方法は、第2の接合部における出口補助流路内の試料と主流路内の緩衝剤の流量の間の比率が0.1〜10となるような形で、試料と緩衝剤の流量を調整するステップを含み得る。最も好ましくは、前記比率は、0.5〜2の間にある。一実施形態において、試料の流量は、第2の接合部において緩衝剤の流量の2倍である。別の実施例において、緩衝剤の流量は、第2の接合部において試料の流量の2倍である。
【0034】
本発明のさらなる態様によると、上述のマイクロ流体デバイスのいずれか1つにしたがったマイクロ流体デバイス、およびパレットの溝内に位置づけられた磁場発生用手段を含むアセンブリが提供される。
【0035】
磁場発生用手段は、三角形の横断面を有する永久磁石であり得る。
【0036】
磁場発生用手段は、パレット内の溝の形状に対応する形状を有していてよい。
【0037】
磁場発生用手段は、少なくともマイクロ流体デバイス内の主流路の長さに等しい長さにわたり延在していてよい。
【0038】
磁場発生用手段は好ましくは、その磁化が主流路の平面流路床に直交するような形で配置されている。磁場発生用手段は好ましくは、その磁化が、流路床の横断面の頂点に対する接線に直交するような形で配置される(例えば、主流路の流路床が湾曲している場合、または流路がV字形の横断面を有する場合)。
【0039】
磁場発生用手段は好ましくは、その磁化が、主流路内の緩衝剤および試料の流れの方向に直交するような形で配置される。
【0040】
磁場発生用手段は、次第に細くなる横断面を有していてよい。
【0041】
磁場発生用手段は、丸みのある先端部を伴った次第に細くなる横断面を有していてよい。磁場発生用手段の丸みのある先端部は、0.05mm〜0.5mmの曲率半径を有していてよい。好ましくは、磁場発生用手段の丸みのある先端部は、0.2mmの曲率半径を有していてよい。
【0042】
磁場発生用手段は、平担な頂点を伴った次第に細くなる横断面を有する。例えば磁場発生用手段は、先端を切った三角形の形状を有する横断面を有していてよい。
【0043】
磁場発生用手段は、三角形の横断面を有していてよい。
【0044】
磁場発生用手段は、主流路の長さ以上の長さに沿って、一定の横断面形状を有していてよい。
【0045】
磁場発生用手段は、永久磁石であってよい。
【0046】
本発明のさらなる態様によると、マイクロ流体デバイスと協働するのに好適なインタフェースコンポーネントにおいて、
1つ以上の要素に流体を供給することのできる空気圧システムに対して選択的に連結され得る1つ以上の要素を含むインタフェースコンポーネントであって、
1つ以上の要素の各々が、空気圧システムに対し選択的に流体連結され得る入力ポートと、入力ポートと流体連通状態で配置された流れ制限器であって要素を通る流体の流れを制限することができる流れ制限器と、調整可能な流れ制限器と流体連通状態となるように配置されているエアロゾルフィルタとを含み、
インタフェースコンポーネントがさらに、1つ以上の出口を含み、この1つ以上の出口の各々はそれぞれの要素と流体連通状態にあり、こうして流体は1つ以上の出口を介してインタフェースコンポーネントを出て要素から流出できるようになっており、1つ以上の出口の各々が、マイクロ流体デバイスのそれぞれのタンクと流体連通状態になるように選択的に配置され得る、
インタフェースコンポーネントが提供されている。
【0047】
好ましくは、インタフェースコンポーネントは、上述のマイクロ流体デバイスのいずれかと協働するために好適である。
【0048】
インタフェースコンポーネントは、少なくとも4つの要素および少なくとも4つの出口を含み得る。
【0049】
エアロゾルフィルタは疎水性材料を含み得る。
【0050】
エアロゾルフィルタは、0.1〜0.3μmの範囲内のサイズを有する細孔を含み得る。好ましくは、エアロゾルフィルタは、0.22μmのサイズを有する細孔を含み得る。
【0051】
インタフェースコンポーネントはさらに、1つ以上の磁気アセンブリを含み得る。磁気アセンブリの各々は、永久磁石を含み得る。
【0052】
磁気アセンブリの各々は、
− シャフトを有するプランジャであって、ここでこのシャフトの一方の端部が磁場発生用手段に連結されているプランジャと、
− 第1の方向にシャフトを偏向する偏向用手段と、
− シャフトと連動して、電磁石を動作させることで偏向用手段の偏向力に対抗して第2の反対の方向に移動するようシャフトを強制するようになっている電磁石と、
を含んでいてよい。
【0053】
好ましくは、インタフェースコンポーネントは、プラットフォームを含み、このプラットフォーム上に1つ以上の磁気アセンブリが支持され、1つ以上の要素が支持されている。シャフトが第2の方向に移動させられると、磁場発生用手段は、プラットフォームから離れた方向に移動させられる。シャフトが第1の方向に移動させられると、磁場発生用手段は、プラットフォームに向かう方向に移動させられる。
【0054】
好ましくは、インタフェースコンポーネントは、プラットフォーム上に列の形で配置された複数の磁気アセンブリを含む。例えばインタフェースコンポーネントは、プラットフォーム上で列の形で配置された4つの磁気アセンブリを含んでいてよい。好ましくは、複数の要素がこの列の一方の側に位置づけられ、複数の要素がこの列のもう一方の側に位置づけられる。
【0055】
磁場発生用手段は、次第に細くなる横断面を有していてよい。
【0056】
磁場発生用手段は、丸みのある先端部を伴った次第に細くなる横断面を有していてよい。磁場発生用手段の丸みのある先端部は、0.05mm〜0.5mmの曲率半径を有していてよい。好ましくは、磁場発生用手段の丸みのある先端部は、0.2mmの曲率半径を有していてよい。
【0057】
磁場発生用手段は、平担な頂点を伴った次第に細くなる横断面を有する。例えば磁場発生用手段は、先端を切った三角形の形状を有する横断面を有していてよい。
【0058】
磁場発生用手段は、三角形の横断面を有していてよい。
【0059】
磁場発生用手段は、主流路の長さ以上の長さに沿って、一定の横断面形状を有していてよい。
【0060】
磁場発生用手段は、永久磁石であってよい。永久磁石は、1〜50mmの長さを有していてよい。好ましくは永久磁石は、20mmの長さを有する。好ましくは永久磁石は、永久磁石の全長に沿って、一定の横断面を有する。
【0061】
プランジャのシャフトは、インタフェースコンポーネントのパレット内に画定された貫通孔を通る、少なくとも2つのピン部材により、前記磁場発生用手段に連結されていてよい。少なくとも2つのピンは、磁場発生用手段が磁気アセンブリの長手方向軸を中心にして回転するのを確実に防ぐことを助けるであろう。
【0062】
本発明のさらなる態様によると、
上述のマイクロ流体デバイスのいずれか1つにしたがったマイクロ流体デバイスと、
上述のインタフェースコンポーネントのいずれか1つにしたがったインタフェースコンポーネントと、
を含み、
ここで、インタフェースコンポーネントの出口の1つ以上が、マイクロ流体デバイスのそれぞれのタンクと流体連通状態になるように配置されている、
アセンブリが提供されている。
【0063】
アセンブリは、さらに、正の空気流を提供するように動作可能である空気圧システムを含み得る。アセンブリはさらに、負の空気流を提供するように動作可能である空気圧システムを含み得る。
【0064】
インタフェースコンポーネントは、磁気アセンブリの列、および磁気アセンブリの列の相対する側に位置づけられた要素を含んでいてよい。この列の一方の側に位置づけられた要素は、正の空気流を提供するために動作可能である空気圧システムに対して流体連結されてよく、列のもう一方の反対の側に位置づけられた要素は、負の空気流を提供するように動作可能である空気圧システムに流体連結されていてよい。
【0065】
1つ以上の出口の各々は、マイクロ流体デバイスのそれぞれのタンクと流体連通状態になるように配置される。
【0066】
少なくとも1つの出口は、試料供給源タンクと流体連通状態にある。前記少なくとも1つの出口と流体連通状態にある要素は、正の空気流を提供するように動作可能である空気圧システムに対して、流体連結されている。
【0067】
少なくとも1つの出口は、緩衝剤供給源タンクと流体連通状態にある。前記少なくとも1つの出口と流体連通状態にある要素は、正の空気流を提供するように動作可能である空気圧システムに対して、流体連結されている。
【0068】
少なくとも1つの出口は、試料排出タンクと流体連通状態にある。前記少なくとも1つの出口と流体連通状態にある要素は、負の空気流を提供するように動作可能である空気圧システムに対して、流体連結されている。
【0069】
少なくとも1つの出口は、緩衝剤排出タンクと流体連通状態にある。前記少なくとも1つの出口と流体連通状態にある要素は、負の空気流を提供するように動作可能である空気圧システムに対して、流体連結されている。
【0070】
本発明のさらなる態様によると、試料から強磁性粒子を抽出する方法において、上述のマイクロ流体デバイスのいずれか1つにしたがったマイクロ流体デバイスを提供するステップ、強磁性、常磁性および/または反磁性粒子を含む試料をマイクロ流体デバイスのタンク内に供給するステップ、マイクロ流体デバイスのタンク内に緩衝剤を供給するステップ、
出口の1つ以上が、マイクロ流体デバイスのそれぞれのタンクと流体連通状態になるように配置されるように、マイクロ流体デバイスと協働して、上述のインタフェースコンポーネントのいずれか1つにしたがったインタフェースコンポーネントを提供するステップ、
空気圧システムをインタフェースコンポーネントの1つ以上の要素の各々に連結するステップ、および
1つ以上の要素の各々の中で正の空気圧および/または負の空気圧を提供し、1つ以上の入口補助流路に沿っておよび主流路に沿って試料が流れるようにし、主流路に沿って緩衝剤が流れるようにするために、空気圧システムを動作させるステップ、
プランジャのシャフトを偏向用手段に対抗して移動させ、主流路内を流れる試料に磁場が適用されるようにマイクロ流体デバイスの溝の中に永久磁石を移動させるために、インタフェースコンポーネントの電磁石を動作させるステップであって、磁場が試料から緩衝剤中へと前記粒子を移動させるステップ、
前記粒子が実質的に不在である試料を、1つ以上の出口補助流路内に収容するステップ、
前記粒子を含む緩衝剤を収集するステップ、
をさらに含む方法が提供されている。
【0071】
本発明のさらなる態様によると、上述のインタフェースコンポーネントのいずれかの中で使用するために好適な流れ制限器において、
内部に画定された入口流路を有する入口部材と、
内部に画定された出口流路を有する出口部材であって、ここで入口流路と出口流路が流体連結されている出口部材と、
入口部材と出口部材との間に位置づけられた中間流路を含む毛細管部材と、
を含み、中間流路が入口流路および出口流路と流体連通状態にあり、中間流路が、入口および出口流路の寸法よりも小さい寸法を有する、流れ制限器が提供されている。
【0072】
好ましくは中間流路は、円形の横断面を有し、1〜100μmの直径を有する。
【0073】
好ましくは毛細管部材は、例えばガラスなどの透明な材料で構成されている。
【0074】
流れ制限器は、雄部材と雌部材を含んでいてよく、これらの部材は、合わせて固定できるように互いに機械的に協働できるように構成されており、
雄部材は入口部材を含み、雌部材は出口部材を含み、
雄部材および雌部材は各々、毛細管部材の一部分を収容できるポケットを有し、こうして毛細管部材の一部分が雄部材中のポケット内に格納され、毛細管部材の別の部分が雌部材のポケット内に格納されるようになっている。
【0075】
雄部材内のポケットの深さは、毛細管部材が、ポケットの基部と当接するようにポケット内に位置づけられた場合に、毛細管部材の長さの少なくとも0.5mmがポケットから外に延在するようなものである。
【0076】
好ましくは、雄部材内のポケットの深さは0.5mm〜19.5mmである。最も好ましくは、雄部材内のポケットの深さは1.5mmである。
【0077】
雄部材内のポケットは、円形の横断面を有する。雄部材内のポケットの直径は、好ましくは0.5mm〜5mmである。
【0078】
好ましくは、雌部材内のポケットの深さは0.5〜20mmである。最も好ましくは、雌部材内のポケットの深さは5mmである。
【0079】
雌部材内のポケットは、好ましくは円形横断面を有する。雌部材内のポケットの直径は、好ましくは0.5mm〜5mmである。
【0080】
毛細管部材は、2.20mm間の長さを有していてよい。最も好ましくは、毛細管部材は4〜8mmの長さを有する。
【0081】
好ましくは、雌部材のポケット内に格納されている毛細管部材の部分の長さは、少なくとも0.5mmである。
【0082】
流れ制限器はさらに、雄部材と雌部材の間の界面に位置づけられたOリングを含み得る。
【0083】
雄部材はさらに、Oリングを収容することのできる、内部に画定された環状溝を含み得る。
【0084】
Oリングは、雄部材、雌部材、および毛細管部材に同時に当接するように配置されてよい。
【0085】
毛細管部材は、Oリングを通って延在し得る。
【0086】
Oリングのコード厚みとOリングの内径の比率は0.1〜1であり得る。好ましくはOリングのコード厚みとOリングの内径の比率は、0.5または0.8である。
【0087】
入口流路は、円形の横断面を有していてよい。入口流路は、0.2mm〜1.5mmの範囲内の直径を有していてよい。
【0088】
出口流路は、円形の横断面を有していてよい。出口流路は、0.2mm〜1.5mmの範囲内の直径を有していてよい。
【0089】
雄部材は、外部ネジ山を有していてよく、雌部材は内部ネジ山を有する、あるいはその逆である。
【0090】
雄部材はさらに、その外部表面上に畝を含んでいてよい。雌部材はさらに、その外部表面上に畝を含んでいてよい。
【0091】
本発明のさらなる態様によると、
流路を含みさらに内部に画定されたポケットを有する雄部材、および内部に画定された流路を有しさらに内部に画定されたポケットを有する雌部材であって
ここで雄部材および雌部材は、各部材内のポケットが一列に並んで、毛細管部材を収容できる体積を画定するような形で、機械的に協働可能である、雄部材および雌部材と、
内部に画定された中間流路を各々有する複数の毛細管部材であって、
ここで毛細管部材の各々の長さは、それぞれの中間流路の長さが異なるように異なっており、毛細管部材の各々は、雄および雌部材内のポケットにより画定された体積内に完全に格納され得るような形で寸法決定されている毛細管部材と、
を有する、流れ制限器アセンブリが提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0092】
本発明は、一例として提供され以下の図中で例示されている一実施形態の説明の助けを借りて、より良く理解できるものである。
図1a.1b】本発明の一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの斜視図を示す。
図1c】前記マイクロ流体デバイスの第1の接合部の拡大斜視図を示す。
図1d図1bのライン「A」に沿って切り取ったマイクロ流体デバイスの一部の横断面図を提供する。
図1e】主流路の1つと主流路のそれぞれの2つの入口補助流路およびそれぞれの2つの出口補助流路を示す、マイクロ流体デバイスの一部の平面図である。
図1f】前記マイクロ流体デバイスの第2の接合部の拡大図を提供する。
図2a】本発明のさらなる態様に係るアセンブリの斜視図を提供する。
図2b図2a内のライン「A」に沿って切り取られた横断面図を提供する。
図3a】主流路および2つの入口補助流路内の試料および緩衝液の配置を例示する。
図3b】主流路および2つの出口補助流路内の試料および緩衝液の配置を例示する。
図4a.4b】本発明のさらなる態様に係るインタフェースコンポーネントの斜視図を提供する。
図5a図4aおよび4bに示されたインタフェースコンポーネントの一要素の流れ制限器の、一部横断面の斜視図を提供する。
図5b図4aおよび4bに示されたインタフェースコンポーネントの一要素の流れ制限器の分解組立図を提供する。
図6a.6b】図4aおよび4bに示されたインタフェースコンポーネントの磁気アセンブリの横断面図を各々提供する。
図6c図4aおよび4bに示されたインタフェースコンポーネントの磁気アセンブリの斜視図を提供する。
図7】本発明のさらなる態様に係るアセンブリの斜視図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図1aおよび1bは、本発明の一実施形態に係るマイクロ流体デバイス1の斜視図を提供する。マイクロ流体デバイス1は、第1の表面4aおよび第2の反対側の表面4bを有する、パレット3を含む。パレット3は、透明な熱可塑性の物質などの透明な材料で構成されている。図1aは、第1の表面4aを示すマイクロ流体デバイス1の斜視図であり、図1bは、第2の反対側の表面4bを示すマイクロ流体デバイス1の斜視図である。
【0094】
図1aを参照すると、第1の表面4aは、内部に画定された4つの主流路5を有する。第1の表面4a内には任意の数の主流路を画定してよい、ということが理解される。主流路5の各々は、第1の端部5aおよび第2の反対側の端部5bを有する。
【0095】
各々の主流路5について、それぞれの主流路5の第1の端部5aに位置づけられた第1の接合部7において、それぞれの主流路5と各々流体連通状態にある2つの入口補助流路6a、6bが提供されている。対応する2つの出口補助流路8a、8bは各々、それぞれの主流路5の第2の反対側の端部5bに位置づけられている第2の接合部9において、それぞれの主流路5と流体連通状態にある。各々の主流路5について、任意の数の入口補助流路および任意の数の出口補助流路を具備してよいということが理解される。しかしながら最も好ましくは、入口補助流路の数は、出口補助流路の数に対応するであろう。2つの入口補助流路6a、6bは、互いに鏡であり、2つの出口補助流路8a、8bも互いに鏡である。
【0096】
フィルム18が、主流路5、およびそれぞれの入口補助流路6a、6b、および出口補助流路8a、8bを覆って、流体の流れをそれぞれの流路5、6a、6b、8a、8b内に限定する。フィルム18は、第1の表面4aに対して着脱可能な形で取付け(または固定)され、こうして第1の表面4aから選択的に着脱され得るようになっている。フィルムは、ユーザーがマイクロ流体デバイス1内部の流体の流れを観察できるようにするため、透明な熱可塑性の物質などの透明材料で構成されている。
【0097】
図1cは、第1の接合部7の拡大図を提供する。マイクロ流体デバイス1内の第1の接合部7の全てが、同様の構成を有することが理解される。図1cから、2つの入口補助流路6a、6bの各々の深さ「d」が、主流路5の深さ「f」よりも小さいことが分かる。したがって、入口補助流路6a、6bの各々と主流路5との間の界面で、第1の接合部7に画定されたそれぞれの段106a、106bが存在する。第1の接合部7において、2つの入口補助流路6a、6bは、主流路5に相対する両側25a、25bで主流路5と合流するように配置されている。両方の入口補助流路6a、6b共、主流路5の長さに沿って同じ点で主流路5に合流する。この点に関して、本発明では、第1の接合部7は、2つの入口補助流路6a、6bが主流路5と遭遇する主流路5の長さに沿った点により画定される、ということを理解すべきである。
【0098】
図1fは、第2の接合部9の拡大図を提供する。マイクロ流体デバイス1内の第2の接合部9の全てが、同様の構成を有することが理解される。図1fから、2つの出口補助流路8a、8bの各々の深さ「x」が、主流路5の深さ「f」よりも小さいことが分かる。したがって、出口補助流路8a、8bの各々と主流路5との間の界面で、第2の接合部9に画定されたそれぞれの段108a、108bが存在する。2つの出口補助流路8a、8bの各々の深さ「x」は、2つの入口補助流路6a、6bの各々の深さ「d」に等しい。第2の接合部9において、2つの出口補助流路8a、8bは、主流路5に相対する両側25a、25bで主流路5と合流するように配置されている。両方の出口補助流路8a、8b共、主流路5の長さに沿って同じ点で主流路5に合流する。この点に関して、本発明では、第2の接合部9は、2つの入口補助流路6a、6bが主流路5と遭遇する主流路5の長さに沿った点により画定される、ということを理解すべきである。
【0099】
図1bを参照すると、この図は、パレット3の第2の反対側の表面4bを示すマイクロ流体デバイス1の斜視図を提供している。第2の反対側の表面4bには、磁場発生用手段(例えば磁石)を各々収容できる複数の溝15が、内部に画定されている。第2の反対側の表面4b内に画定された溝15の数は、パレット3の第1の表面4a内に画定された主流路5の数に対応する。したがって、この実施例において、第2の反対側の表面4b内には4つの溝15が画定されている。各々の溝15は、それぞれの主流路5と一列に並んでいる。各々の溝15は、第1の接合部7と第2の接合部9との間に延在する主流路の長さ(L8−図1e参照)に等しい長さ(L7)に沿って延在する。パレット3はさらに、一列に並ぶために使用されるノッチ128を含むことが分かる。詳細には、このノッチ128は、マイクロ流体デバイス1をアセンブリ(例えば後述するアセンブリなど)内の既定の位置に一列に並べるために使用される。
【0100】
図1dは、図1bのライン「A」に沿って切り取ったマイクロ流体デバイスの横断面図を提供する。図1dは、溝15の横断面図を含む。全ての溝15が、図1dに示されたものと同様の構成を有することが理解される。図1dにおいて、第1の表面4a内に画定されている主流路5が、幅「s」と深さ「f」を有する矩形の横断面を有することが分かる。主流路5の幅「s」と深さ「f」との間の比率は、好ましくは0.2〜5である。この特定の実施例において、主流路5の幅「s」と深さ「f」との間の比率は、1.75である。主流路は、平面である流路床5d、およびこの流路床5dに直交して矩形の横断面を画定する、相対する側面5e、5fを有する。
【0101】
溝15は、主流路5と一列に並んでいるものとして示されている。換言すると、溝15の中心は、軸16によって表わされている主流路5の中心と一列に並んでいる。溝15の幅「w」は次第に小さくなっている。具体的には、溝15を画定する側壁15a、15bが傾斜しており、こうして溝15の幅「w」は、溝15の基部を画定する表面15cに向かって次第に小さくなっている。溝15と流路5との間のパレット3の厚み「t」は、決して0.01mmより小さくならず、好ましくは0.15mm(または少なくとも0.01〜10mm)である。より具体的には、軸16(この軸上に溝15の中心および主流路5の中心が存在する)に沿って、パレット3の厚み「t」は0.01〜10mmであり、好ましくは0.15mmである。
【0102】
図1dに示されたこの実施例において、溝15の基部を画定する表面15cは平坦であるが、別の実施形態において、溝15の基部を画定する表面は湾曲しており、好ましくは、0.05mm〜0.5mmの曲率半径を有し、最も好ましくは、0.2mm間の曲率半径を有する。さらに別の実施形態において、溝15は、V字形の横断面を有する。
【0103】
図1bに示されているように、マイクロ流体デバイス1はさらに、複数の緩衝剤供給源タンク106、試料供給源タンク105、緩衝剤排出タンク107、および試料排出タンク108を含む。緩衝剤供給源タンク106の数は、パレットの第1の表面4a内に画定された主流路5の数に対応し、したがってこの実施例においては、4つの緩衝剤供給源タンク106が提供されている。試料供給源タンク105の数は、パレットの第1の表面4aの内に画定された主流路5の数に対応し、したがってこの実施例においては、4つの試料供給源タンク105が提供されている。緩衝剤排出タンク107の数は、パレットの第1の表面4a内に画定された主流路5の数に対応し、したがってこの実施例においては、4つの緩衝剤排出タンク107が提供されている。試料排出タンク108の数は、パレットの第1の表面4a内に画定された主流路5の数に対応し、したがってこの実施例においては、4つの試料排出タンク108が提供されている。各々の緩衝剤供給源タンク106は、それぞれの主流路5と流体連通状態に配置されており、主流路5内に補給すべき緩衝液を保持することができる。各々の試料供給源タンク105は、入口補助流路6a、6bのそれぞれの対と流体連通状態で配置され、入口補助流路6a、6b内に補給すべき試料液体を保持することができる。各々の緩衝剤排出タンク107は、それぞれの主流路5と流体連通状態で配置され、前記主流路5に沿って流動してきた緩衝液を収容することができる。各々の試料排出タンク108は、出口補助流路8a、8bのそれぞれの対と流体連通状態で配置され、主流路5から外にそして出口補助流路8a、8bに沿って流動してきた試料液体を収容することができる。
【0104】
今一度簡単に図1aを参照すると、各々の主流路5は、第1の導管11を介して、それぞれの緩衝剤供給源タンク106(図1bに図示)に対して流体連結されている。各々の主流路5のための2つの入口補助流路6a、6bは各々、共通の第2の導管12を介して、それぞれの試料供給源タンク105(図1bに図示)に対して流体連結されており、両方の入口補助流路6a、6bは、共通の第2の導管12を介して同じ試料供給源タンク105に流体連結されている。この実施例において、第1および第2の導管11、12は各々、第1の表面4aから第2の反対側の表面4bまで、パレット3内を通過する。
【0105】
各々の主流路5も同様に、第3の導管13を介して、それぞれの緩衝剤排出タンク107(図1b中に図示)に流体連結されている。各主流路5のための2つの出口補助流路8a、8bは、共通の第4の導管14を介して、それぞれの試料排出タンク108(図1b中に図示)に流体連結されており、出口補助流路8a、8b双方が、共通の第4の導管14を介して、同じ試料排出タンク108に対して流体連結されている。この実施例において、第3および第4の導管13、14は各々、第1の表面4aから第2の反対側の表面4bまで、パレット3内を通過する。
【0106】
図1eは、主流路5の1つ、およびこの主流路のそれぞれの2つの入口補助流路6a、6b、およびそれぞれの2つの出口補助流路8a、8bの平面図を提供する。主流路5の全て、およびこれらの主流路のそれぞれの2つの入口補助流路6a、6b、およびそれぞれの2つの出口補助流路8a、8bは、図1dに示されたものと同じ構成を有する、ということが理解される。図1eを参照すると、この実施形態において、2つの入口補助流路6a、6b各々の第2の導管12から第1の接合部7までのそれぞれの長さ(L2、L3)が、第1の導管11から第1の接合部7までの主流路5の長さ(L1)の2倍に等しい(すなわち2・L1=L2および2・L1=L3)ことが分かる。また、2つの入口補助流路6a、6b各々の第2の導管12から第1の接合部7までのそれぞれの長さ(L2、L3)は等しい(すなわちL2=L3)。2つの出口補助流路8a、8b各々の第4の導管14から第2の接合部9までのそれぞれの長さ(L5、L6)は、第3の導管13から第2の接合部9までの主流路5の長さ(L4)の2倍に等しい(すなわち2・L4=L5および2・L4=L6)。また、2つの出口補助流路8a、8b各々の第4の導管14から第2の接合部9までのそれぞれの長さ(L5、L6)は等しい(すなわちL5=L6)。この実施例において、長さ「L2」、「L3」、「L5」および「L6」は互いに等しい。しかしながら、この条件は本発明にとって不可欠なものではない。最も好ましくは、長さ「L2」、「L3」、「L5」および「L6」は、20〜60mm、好ましくは40mmである。この実施例において、長さ「L1」および「L4」は互いに等しい。しかしながら、この条件は本発明にとって不可欠なものではない。最も好ましくは、長さ「L1」および「L4」は10〜40mm、好ましくは20mmであろう。第1の接合部7と第2の接合部9との間に延在する主流路5の長さ(L8)は、同様に図1e中でも例示されている。典型的には、第1の接合部7と第2の接合部9との間に延在する主流路5の長さ(L8)は、1mm〜50mmである。この実施例において、第1の接合部7と第2の接合部9との間に延在する主流路5の長さ(L8)は20mmである。
【0107】
図1a〜eに示されたマイクロ流体デバイス1は、本発明のさらなる態様に係るアセンブリを形成するために使用可能である。図2aは、本発明のさらなる態様に係るアセンブリの斜視図を提供し、図2bは、図2a中のライン「A」に沿って切り取られた横断面図を提供している。図2aおよび2bを参照すると、アセンブリにはマイクロ流体デバイス1(図1a〜eに示されているようなもの)、および永久磁石20a〜cの形をした磁場発生用手段が含まれていることが分かる。本発明は、永久磁石の形をした磁場発生用手段を必要とすることに限定されておらず、任意の好適な磁場発生用手段(例えば電磁石)を使用してよいということを理解すべきである。重要なことにアセンブリは、磁場発生用手段(永久磁石20a〜d)とは機械的に独立しているマイクロ流体デバイス1を有するモジュール式のものである。有利には、磁場発生用手段は、マイクロ流体デバイス1に統合されておらず、こうしてマイクロ流体デバイス1の製造コストは減少する。
【0108】
永久磁石20a〜dの各々は、パレット3の第2の表面4b内に画定されているそれぞれの溝15の中に収容される。各永久磁石20a〜dの横断面は、溝15の横断面の形状に対応する形状を有し、こうしてこの実施例において、各々の永久磁石20a〜dは、次第に細くなる幅「m」を有し、各々の永久磁石20a〜dはまた、溝15の基部を画定する平坦な表面15cに対応する平担な上面21を有する。溝15の横断面が湾曲した頂点を有した場合(すなわち湾曲した輪郭を有する基面15c)、各々の永久磁石20a〜dは、対応して湾曲した頂点を伴う横断面を有すると考えられることが理解される(この場合好ましくは、各々の永久磁石20a〜dは、0.05mm〜0.5mmの曲率半径を有する頂点を有する横断面を有すると考えられ、最も好ましくは、各々の永久磁石20a〜dは、0.2mmの曲率半径を有する頂点を有する横断面を有すると考えられる)。同様にして、溝がV字形横断面を有する場合には、永久磁石20a〜cも同様に対応するV字形横断面を有するように整形されると考えられる。溝15の横断面形状に対応する各々の永久磁石20a〜dの横断面形状を有することで、永久磁石20a〜dはそれぞれの溝15の中にぴったりと収まることができる。好ましくは、永久磁石20a〜dは、収容するそれぞれの溝5の基部を画定する表面15cに、各々の永久磁石20a〜dの頂点または上面が当接するような形で、それぞれの溝15の中にぴったり収まる。これにより、永久磁石20a〜dとそれぞれの溝15の基部を画定する表面15cとの間に、いかなる空隙も存在しないことが保証される。
【0109】
さらに、各々の永久磁石20a〜dの長さは、磁石を収容するそれぞれの溝15の長さに対応する。この実施例において、溝15の長さは、第1の接合部7と第2の接合部9との間の主流路5の長さに対応することから、各永久磁石20a〜dの長さは、第1の接合部7と第2の接合部9との間の主流路5の長さに対応するであろう。
【0110】
使用中、永久磁石20a〜dは、それぞれの主流路5の内部に磁場を提供することができる。各々の永久磁石20a〜dは、第1の接合部7と第2の接合部9との間の主流路5の長さに対応する長さを有することから、それぞれの永久磁石20a〜dの各々は、第1の接合部7と第2の接合部9との間のそれぞれの主流路の長さに沿って一定である磁場を生成することができる。
【0111】
図1a〜eに示されているマイクロ流体デバイス1は、本発明のさらなる態様に係る方法を実行するために使用されてよい。該方法の一実施形態は、以下で説明するように、強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を試料から除去するための方法である。図1a〜eに示されているようなマイクロ流体デバイス1が、第1に提供される。
【0112】
強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を含む試料は、試料供給源タンク105内に供給される。試料は、試料供給源タンク105から第2の導管12を介して入口補助流路6a、6bの対へと流れる。粒子を含まない水などの緩衝液が、緩衝剤供給源タンク106内に供給される。緩衝液は、緩衝剤供給源タンク106から第1の導管11を介して主流路5内へと流れる。緩衝液は、試料から除去すべき粒子(すなわち、除去すべき強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子)が不在である任意の流体であり得る、ということが理解される。粒子を含まない水以外にも、洗剤を含む水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液などの他の液体も使用することができる。
【0113】
試料は、入口補助流路6a、6bに沿って流れ、第1の接合部7で主流路5に入る。したがって接合部7で、主流路5は試料と緩衝液の両方を格納し、こうして試料と緩衝液は両方共主流路5に沿って同時に流れるようになっている。
【0114】
図3aおよび3bは、主流路5に沿って流れている主流路5内の試料30および緩衝液31の配置を示す。試料30および緩衝液31の主流路5に沿った流れの方向は、矢印で標示されている。第1の接合部7の上流側で、主流路5は、緩衝剤供給源タンク106に由来する緩衝液31だけを格納する。しかしながら、接合部7では、入口補助流路6a、6bの両方が主流路5に合流する。第1の接合部7において、それぞれの入口補助流路6a、6b内を流れる試料30は主流路5に入り、こうして試料30および緩衝剤31の両方が同時に主流路5に沿って流れるようになっている。
【0115】
図3aおよび3bを見れば分かるように、2つの試料流30a、30bが主流路5内で形成され、第1の試料流30aは、入口補助流路の一方6aに由来する試料30によって形成され、第2の試料流30bは、他方の入口補助流路6bに由来する試料30によって形成される。重要なことに、2つの入口補助流路6a、6bの各々の深さ「d」は主流路5の深さ「f」よりも小さいことから、試料30および緩衝液31は、主流路5内部で特定の配置を形成する。具体的には、緩衝液31は、試料流30a、30bの各々と主流路5の平面流路床5dとの間に間置させられる。
【0116】
主流路5に沿って同時に流れる試料30および緩衝剤31に対して、磁場が適用される。磁場は、試料流30a、30bの両方の中の試料30内に含まれている強磁性、常磁性(または超常磁性)および/または反磁性粒子を、緩衝剤31内へと移動させる。この実施例では、主流路5に沿って流れている試料30(および緩衝液31)に磁場を適用するために、試料30および緩衝剤31が内部を流れる前記主流路5と一列に並んでいる、パレット3の第2の表面4b上の溝15の中に、永久磁石20a〜dが移動させられている。永久磁石20a〜cは、主流路5内の試料30および緩衝剤31の流れの方向に直交しかつ主流路の平面流路床5dにも直交する(あるいは、主流路が湾曲した流路床を有する場合または主流路5がV字形の横断面を有する場合には、主流路の横断面の頂点に対する接線に直交する)方向における磁化を有する。試料30および緩衝剤31に対して適用される磁場を提供するためには、あらゆる磁場発生用手段を使用することができ、本発明は、永久磁石20a〜dの使用を必要とすることに限定されない、ということが理解される。溝の中に永久磁石20a〜dを提供することにより、図2aおよび2bに示されたアセンブリが形成されるという点が指摘される。
【0117】
有利にも、緩衝液31が、試料30各々と主流路5の流路床5dとの間に間置されることから、試料30の内部に含まれる強磁性、常磁性(または超常磁性)および/または反磁性粒子を、主流路5内の試料流30a、30bおよび緩衝液31の流れ方向に直交するかまたは実質的に直交する方向で、試料30から緩衝液31内に移動させることができる。より具体的には、試料30内に含まれる強磁性、常磁性(または超常磁性)および/または反磁性粒子を、主流路5の流路床5dに向かう方向(あるいは主流路5の流路床5dに直交する方向、または、主流路が湾曲した流路床を有する場合または主流路5がV字形横断面を有する場合、主流路の横断面の頂点に対する接線に直交する方向)において、試料流30a、30bの各々から緩衝液31内に移動させることができる。
【0118】
さらに、図3aおよび3bに示されているように、緩衝液31は、試料流30a、30bの間に間置されている。こうして、試料30内に含まれる強磁性、常磁性(または超常磁性)および/または反磁性粒子を、主流路5内の試料流30a、30bおよび緩衝液31の流れ方向に直交するかまたは実質的に直交する方向で、試料流30a、30bの各々から緩衝液31内に移動させることもできる。より具体的には、試料30内に含まれる強磁性、常磁性(または超常磁性)および/または反磁性粒子を、主流路5の流路床5dに平行な方向(あるいは主流路が湾曲した流路床またはV字形横断面を有する場合、主流路の横断面の頂点に対する接線に平行な方向)において、試料流30a、30bの各々から緩衝液31内に移動させることができる。
【0119】
試料30および緩衝液31が第2の接合部9に達する時までに、試料30内に含まれている強磁性、常磁性(または超常磁性)および/または反磁性粒子は全て(または実質的には全て)、試料流30a、30b内の両試料30から緩衝液31内へ、磁場によって移動されてしまっている。
【0120】
主流路5内の試料30および緩衝液31の配置に起因して、かつ2つの出口補助流路8a、8bの深さ「g」が2つの入口補助流路6a、6bの深さ「d」に対応することから、今やいかなる強磁性、常磁性(または超常磁性)および/または反磁性粒子も不在である試料流体30は、第2の接合部9においてそれぞれの出口補助流路8a、8b内へと流れる。より具体的には、試料流体30の第1の流30aは、出口補助流路8a内に収容され、試料流体30の第2の流30bはもう一方の出口補助流路8a内に収容される。出口補助流路8a、8bから、試料は、第4の導管14を介して試料排出タンク108内へと流れ、そこに収集される。
【0121】
しかしながら、第2の接合部9において、緩衝液は、試料30から除去された強磁性、常磁性(または超常磁性)および/または反磁性粒子を全て含んでいるだろう。主流路5内の試料30および緩衝液31の配置に起因して、かつ2つの出口補助流路8a、8bの深さ「g」は主流路5の深さより小さいことから、強磁性、常磁性(または超常磁性)および/または反磁性粒子を含む緩衝液は主流路5内にとどまり(出口補助流路8a、8bのいずれの中にも流入せず)、第3の導管13を介して緩衝剤排出タンク107内へと流れる。
【0122】
上述の実施例において、主流路5内で、主流路5に沿って流れる試料30の流量は、主流路5に沿って流れる緩衝液31の流量と等しい。第1の接合部7における入口補助流路6a、6b内の試料30の流量と主流路5内の緩衝液31の流量の間の比率は、0.1〜10であり、好ましくは0.5〜2であり、第2の接合部における出口補助流路8a、8b内の試料の流量と主流路内の緩衝剤の流量の間の比率は、0.1〜10であり、好ましくは0.5〜2である。
【0123】
図4aおよび4bは、本発明のさらなる態様に係るインタフェースコンポーネント40の斜視図を提供している。図4aはインタフェースコンポーネント40の上部の斜視図を提供し、図4bは、インタフェースコンポーネント40の底部の斜視図を提供する。インタフェースコンポーネント40は、図1aおよび1bに示されたマイクロ流体デバイス1と協働するのに好適なものである。インタフェースコンポーネント40がマイクロ流体デバイス1と協働状態に置かれた場合、本発明のさらなる態様に係るアセンブリが形成される。
【0124】
図4aおよび4bを参照すると、インタフェースコンポーネント40はさらに、複数の磁気アセンブリ44を含む。この実施例において、インタフェースコンポーネント40は4つの磁気アセンブリ44を含むが、インタフェースコンポーネント40は任意の数の磁気アセンブリ44を含むことができるということが理解される。
【0125】
インタフェースコンポーネント40はさらに、複数の要素41を含み、その各々は、要素41に流体(例えば加圧空気)を供給できる空気圧システムに対して選択的に連結され得る。この実施例において、インタフェースコンポーネント40は、16個の要素41を含むが、しかしながらインタフェースコンポーネント40は任意の数の要素41を含むことができ、好ましくはインタフェースコンポーネント40は少なくとも4つの要素41を含むことが理解される。
【0126】
各々の要素41は、空気圧システムに対して選択的に流体連結され得る入力ポート42と、入力ポート42に流体連結され、要素41を通る流体の流れを制限するように構成されている流れ制限器43と、調整可能な流れ制限器43と流体連通状態になるように配置されているエアロゾルフィルタ49とを含む。この実施例において、エアロゾルフィルタ49は、疎水性材料の層49により画定されており、この層49は、0.22μm(または少なくとも0.1〜0.3μmの範囲内)のサイズを有する細孔を含む。
【0127】
インタフェースコンポーネント40はさらに、磁気アセンブリ44と要素41の各々を支持するプラットフォーム46を含む。この実施例において、プラットフォーム46は、2つの平面ガスケット46a、46bと主要部材46cとで構成されたモジュール式のものである。2つの平面ガスケット46a、46bの各々は、主要部材46c内に画定されたそれぞれの切り抜き146内に収容される。
【0128】
インタフェースコンポーネント40はさらに、複数の出口45a〜pを含み、これらの出口45a〜pの各々はそれぞれの要素41と流体連通状態にあり、こうして流体は、要素41から、出口45a〜pを介してインタフェースコンポーネントの外へと流れることができる。図4aおよび4bに例示された実施例において、出口45a〜pは、プラットフォーム46内に画定された開口部45a〜pにより画定される。それぞれの要素41のエアロゾルフィルタ49を画定する疎水性材料層49が、出口45a〜pを画定するそれぞれの開口部45a〜pを覆う。
【0129】
出口45a〜pの数は好ましくは、要素41の数に対応する。したがってこの実施例において、インタフェースコンポーネント40は16個の出口41を含む。しかしながら、インタフェースコンポーネント40には任意の数の出口45a〜pが具備されていてよく、好ましくはインタフェースコンポーネント40は少なくとも4つの出口45a〜pを含む、ということが理解される。各々の出口45a〜pは、マイクロ流体デバイス1のそれぞれの試料供給源タンク105、緩衝剤供給源タンク106、緩衝剤排出タンク107、または試料排出タンク108と流体連通状態となるように選択的に配置され得る。
【0130】
図5aは、要素41の流れ制限器43の一部横断面の斜視図を提供している。図5bは、流れ制限器43の分解組立図を提供している。インタフェースコンポーネント40内の流れ制限器43の各々が、図5aおよび5bに例示されている流れ制限器43と同様の構成を有することが理解される。
【0131】
図5aおよび5bを参照すると、流れ制限器43は、内部に画定された入口流路708を有する入口部材707と、内部に画定された出口流路717を有する出口部材716とを含む。入口流路708と出口流路717は、流体連結されている。入口流路および出口流路708、717の各々は、円形横断面を各々有している。入口および出口流路708、717は各々、0.2mm〜1.5mmの範囲内の直径を有する。
【0132】
中間流路715を含む毛細管部材701が、入口流路708と出口流路717との間に間置される。中間流路715は、入口流路および出口流路708、717の寸法よりも小さい寸法を有する。具体的には、中間流路715の直径は、入口流路および出口流路708、717の各々の直径より小さい。好ましくは、中間流路は、1〜100μmの直径を有する円形横断面を有する。この実施例において、毛細管部材701はガラスで構成されている。ただし、毛細管部材701は、任意の好適な材料、例えばポリマーで構成され得る、ということが理解される。
【0133】
流れ制限器43は、雄部材703と雌部材704を含む。雄部材703は入口部材707を含み、雌部材704は出口部材716を含む。
【0134】
雄部材703および雌部材704は、共に合わせて固定されるようにそれらが互いに機械的に協働できるように構成されている。この実施例において、雄部材703は外部ネジ山721を有し、雌部材は対応する内部ネジ山722を有し、これにより部材703、704を合わせて固定することが可能である。雄部材703はさらに、その外部表面上に画定された畝711を含み、雌部材704はさらに、その外部表面上に畝718を含む。畝711、718は、部材703、704を互いとの関係において回転させて、部材のそれぞれのネジ山721、722を互いに係合できるようにするにつれて、部材703、704の把持を容易にする。
【0135】
雄部材703および雌部材704が機械的に協働させられている場合、雄部材703の終端部703aが、界面725において雌部材704に当接するであろう。
【0136】
雄部材703は、その終端部703aに、直交する表面726a、726bにより画定される環状溝726を含む。Oリング702が、両表面726a、726bに当接する。Oリングは同様に、雌部材704の基部を画定する表面704aに当接する。毛細管部材701は、Oリング702を通過する。Oリングの直径は、毛細管部材701の直径に実質的に等しく、こうしてOリングは同様に、毛細管部材701の外部表面701bにも当接する。本実施形態において、Oリング702のコード厚みとOリングの内径「r」の比率は0.5(または例えば0.8)である。ただし、Oリングのコード厚みと内径の比率は、0.5〜1の任意の値であってよい。
【0137】
実施形態の変形形態において、環状溝726は、雌部材内に画定されてよく、Oリング702は、雌部材内の環状溝を画定する表面に当接するように配置される。例えば、雌部材704の基部を画定する表面704aは、内部に画定された環状溝を含んでいてよく、Oリング702は、この環状溝を画定する表面に当接する。
【0138】
雄部材703は、内部に画定されたポケット719aを有し、雌部材704は、内部に画定されたポケット719bを有する。ポケット719a、bは各々、毛細管部材701の長さの一部分を収容することができ、こうして毛細管部材701の長さの一部分は、雄部材703のポケット719aの内部に格納され、毛細管部材701の長さの別の部分は、雌部材704のポケット719bの内部に格納されるようになっている。
【0139】
雄部材703内のポケット719aの深さは、毛細管部材701がポケット19aの基部719cに当接するようにポケット719a内に位置付けされた時点で、毛細管部材701の長さの少なくとも0.5mmが、雄部材703のポケット19aから外に延在することになるようなものである。図5に例示された実施例において、毛細管部材701は、2mmの長さ「L」を有する。しかしながら、毛細管部材701は0.5mm以上の任意の長さを有し得るということが理解される。毛細管部材701の長さの少なくとも0.5mmは雄部材703のポケット19aの外に延在しなければならないことから、雄部材703内に画定されたポケット719aは、1.5mmの深さを有する。しかしながら、雄部材703内に画定されたポケット719aは、1mm〜20mmの深さを有し得るということが理解される。雌部材704内に画定されたポケット719bの深さは、異なる長さを有する毛細管部材701の収容を可能にするため、できるかぎり大きいものでなければならない。好ましくは、雌部材704内に画定されたポケット719bの深さは、1〜20mmである。図5中に例示された実施例では、雌部材704内に画定されたポケット719bの深さは5mmである。
【0140】
本発明のさらなる態様において、アセンブリは、インタフェースコンポーネント40と、各々中間流路715を含む複数の毛細管部材701を含むが、毛細管部材701の長さ「L」は、各々が異なる長さの中間流路715を有するように、複数の毛細管部材701の各々の間で異なっている。好ましい実施形態において、複数の毛細管部材701の中間流路715の直径は等しい。インタフェースコンポーネント40の1つの要素41を通る流れに対する異なる制限レベルを達成するために、異なる長さ「L」の複数の毛細管部材701を使用することができる。ユーザーは、複数の毛細管部材701から、流れに対する適切な抵抗を提供する長さ「L」を有する1つの毛細管部材701を選択することができる。例えば、要素41を通る流れに対する制限を増大させるために、ユーザーは、より長い長さ「L」を有する毛細管部材701で、前記要素41内の毛細管部材701を交換することができる。同様にして、要素41を通る流れに対する制限を減少させるためには、ユーザーは、より短い毛細管部材701で、前記要素41内の毛細管部材701を交換することができる。重要なこととして、雄部材703内に提供されるポケット719aの深さに、雌部材704内で提供されるポケット719bの深さを加えたものは、複数の毛細管部材701の中で最も長い毛細管部材701の長さ以上でなければならない。
【0141】
図6aおよび6bは各々、磁気アセンブリ44の横断面図を提供する。図6cは、磁気アセンブリ44の斜視図を提供する。インタフェースコンポーネント40の磁気アセンブリ44の各々が、図6a〜6c内に例示されている磁気アセンブリ44と同様の構成を有することが理解される。
【0142】
図6a〜6cを参照すると、磁気アセンブリ44がプランジャ60を含むことが示されている。プランジャ60は、磁気アセンブリ44をインタフェースコンポーネント40のプラットフォーム46にしっかりと固定するために、プラットフォーム46内に画定された貫通孔65内に収容されるネジ付き部分608を有するハウジング633を含む。貫通孔65の表面も同様にネジ山が付いており、ネジ付き部分608の上に具備されたネジ山は、貫通孔65の表面上に具備されたネジ山と協働する。
【0143】
プランジャ60の一方の端部は、磁場発生用手段513に連結される。この実施例において、磁場発生用手段513は永久磁石513である。任意の好適な磁場発生用手段を具備してよいということが理解される。
【0144】
プランジャ60は、その第1の端部61aにおいてキャップ部材606を、そしてその第2の反対側の端部61bには支持部材512(図6a、6bに示されている1本のみのピン)を有するシャフト61を含んでいる。この実施例において、シャフト61は、第2の端部61bにネジ山が付いており、第2の端部61bは、支持部材512内に画定された対応するネジ孔の中に収容される。ハウジング633のネジ付き部分608は、管状であり、シャフト61は、管状ネジ付き部分608の内部に画定された体積を通って延在している。永久磁石513は、支持部材512の上に機械的に支持されている。支持部材512はさらに2つの平行なガイドピン514を含む。2つの平行なガイドピン514は、プラットフォーム46内に画定されたそれぞれのガイド貫通孔を通って延在する。2つの平行なピン514は、シャフト61の長手方向軸の周りでの永久磁石513の回転を防止するのを助ける。
【0145】
プランジャ60はさらに、ハウジング603内部に収納された電磁石603を含む。プランジャ60は、第1の位置に向かってシャフト61を偏向する、バネ605の形をした偏向用手段を含む。バネ605は、シャフト61上のキャップ部材606とハウジング603の間に間置される。電磁石603はシャフト61と協働し、こうして、電磁石603を動作させることでシャフト61はバネ605の偏向力に対抗し、第2の位置に向かって強制的に移動させられる。図6aは、バネ605の偏向力によってその第1の位置まで移動させられたシャフト61を示す。図6bは、バネ605の偏向力に対抗し、その第2の位置まで、電磁石603により移動させられたシャフト61を示す。シャフト61がその第1の位置に向かって移動させられた場合、永久磁石513は、プラットフォーム46に近づく方向に移動させられ、シャフト61がその第2の位置に向かって移動させられると、永久磁石513は、プラットフォーム46から離れる方向に移動させられる。
【0146】
図6aおよび6bは同様に、マイクロ流体デバイス1の横断面を例示し、溝15の横断面および主流路5の横断面を示している。図6aに示されているように、電磁石603は、シャフト61がその第1の位置に向かって移動させられ永久磁石513がプラットフォームに向かう方向に移動させられるように動作を停止させる。シャフト61がその第1の位置にある場合、インタフェースコンポーネント40は、磁気アセンブリ44の永久磁石513が、マイクロ流体デバイス1の第2の表面4b上に画定された溝15上に一列に並んでいるような形で位置付けられる。このとき、電磁石603は、電磁石603がバネ605の偏向力に対抗してシャフト61をその第2の位置まで移動させ、永久磁石513がプラットフォーム46から離れる方向に移動させられるように動作させられる。シャフト61がその第2の位置にある場合、永久磁石513はマイクロ流体デバイス1の溝15内に収容される。ひとたび溝15内に収容されると、永久磁石513は、主流路5に沿って同時に流れている強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を試料から緩衝液中に移動させる主流路5の領域内の磁化を提供することができる。
【0147】
永久磁石513は、マイクロ流体デバイス1内の溝15の形状に対応する形状を有する。具体的には、永久磁石513は、マイクロ流体デバイス1内の溝15の横断面形状に対応する横断面形状を有する。図6aおよび6b内に示された実施例において、溝15はV字形であり、したがって永久磁石513は、三角形の横断面を有する永久磁石513の少なくとも先端が溝15内に収容され得るようにする寸法を有する三角形の横断面を有する。永久磁石513は同様に、溝15の全長にわたり延在し、V字形の横断面輪郭は、永久磁石513の全長に沿って一定である。
【0148】
永久磁石513は任意の好適な形状を有し得るということが理解される。好ましくは永久磁石513の形状は、インタフェースコンポーネントと共に使用されるべきマイクロ流体デバイス1内に画定された溝15の形状に対応しており、こうして永久磁石513は、マイクロ流体デバイス1の溝15の中にぴったり収まることができるようになっている。上述の実施例において、永久磁石513は三角形の横断面を有し、こうして、V字形の横断面を有する溝15を有するマイクロ流体デバイスと共に使用するために理想的に適したものとなっている。永久磁石513は、(三角形の横断面の場合において尖った先端部ではなく)湾曲した先端部を有する横断面を有するように構成され得、湾曲した先端部を有する永久磁石513を伴うインタフェースコンポーネントは、湾曲した横断面を有する溝15を有するマイクロ流体デバイス1と共に使用するために理想的に適しており、好ましくは、永久磁石513の湾曲した先端部の曲率半径は、マイクロ流体デバイス1内の湾曲した溝15の曲率半径に等しい、ということが理解される。例示的実施形態において、永久磁石513は、0.05mm〜0.5mmの曲率半径を有し最も好ましくは0.2mmの曲率半径を有する、湾曲した先端部を有していてよい。別の実施形態において、永久磁石513は、平坦な先端部を有する横断面を有するように構成されてよく、平担な先端部を有する永久磁石513を伴うインタフェースコンポーネントは、平面基部を伴う溝15を有するマイクロ流体デバイス1と共に使用するために理想的に適している。
【0149】
図7は、本発明のさらなる態様に係るアセンブリ70の斜視図を提供する。アセンブリ70は、図1aおよび1bに示されたマイクロ流体デバイス1、および図4aおよび4bに示されたインタフェースコンポーネント40を含む。重要なこととして、アセンブリ70は、(永久磁石513を含む)インタフェースコンポーネント40とは機械的に独立しているマイクロ流体デバイス1を有するモジュール式であり、有利には、インタフェースコンポーネント40は、マイクロ流体デバイス1と機械的に協働するように選択的に配置され得る。ただし、永久磁石513は、マイクロ流体デバイス1に統合されておらず、こうして、マイクロ流体デバイス1の製造コストは減少する。
【0150】
図7に示されたアセンブリ7において、インタフェースコンポーネント40は、インタフェースコンポーネント40の出口45a〜pの各々が、マイクロ流体デバイス1のそれぞれの試料供給源タンク105、緩衝剤供給源タンク106、緩衝剤排出タンク107、または試料排出タンク108と流体連通状態になるような形で、マイクロ流体デバイス1と機械的に協働するように配置されている。図7に示されているこの実施例では、出口45a〜dは、出口45a〜dがそれぞれの試料供給源タンク105と流体連通状態になるようにマイクロ流体デバイス1のそれぞれの試料供給源タンク105を覆い、出口45e〜hは、出口45e〜hがそれぞれの緩衝剤供給源タンク106と流体連通状態になるようにマイクロ流体デバイス1のそれぞれの緩衝剤供給源タンク106を覆い、出口45i〜Lは、出口45i〜lがそれぞれの緩衝剤排出タンク107と流体連通状態になるようにマイクロ流体デバイス1のそれぞれの緩衝剤排出タンク107を覆い、出口45m〜pは、出口45i〜Lがそれぞれの試料排出タンク108と流体連通状態になるようにマイクロ流体デバイス1のそれぞれの試料排出タンク108を覆う。出口45a〜pの各々の横断面の寸法は、それぞれの緩衝剤供給源タンク106、試料供給源タンク105、緩衝剤排出タンク107、および試料排出タンク108の横断面寸法に対応し、こうして、機械的協働状態にある場合、それぞれのタンクおよび出口45a〜pの間に不透性シールが形成されることになる。出口45a〜pの相対的位置が、タンクの相対的位置に対応することも同様に指摘される。
【0151】
インタフェースコンポーネント40は、各々図6a、6bに例示された磁気アセンブリと同一である4つの磁気アセンブリ44の列を含む。4つの磁気アセンブリ44の列の第1の側55aに位置づけられている要素41a〜hは、(矢印50により標示された)正の空気流を提供する空気圧システム71aに対し全て流体連結されている。要素41a〜dに提供される正の空気流は、それぞれの要素41a〜dを通り、それぞれの出口45a〜dを介してそれぞれの試料供給源タンク105内へと移行する。正の空気流は、それぞれの試料供給源タンク105の中にある試料を押して、それぞれの第2の導管12を介して入口補助流路6a、6bのそれぞれの対の中へ、入口補助流路6a、6bのそれぞれの対に沿って流れるようにし、その後試料を押してマイクロ流体デバイス1のそれぞれの主流路5内に流れるようにする。
【0152】
同様に4つの磁気アセンブリ44の列の第1の側55aの上に位置づけられている要素41e〜hは全て、(矢印50によって標示された)正の空気流を提供する空気圧システム71aに対して同様に流体連結されている。要素e〜hに提供される正の空気流は、それぞれの要素41e〜hを通り、それぞれの出口45e〜hを介してそれぞれの緩衝剤供給源タンク106内へと移行する。正の空気流は、それぞれの緩衝剤供給源タンク106内にある緩衝液を押して、それぞれの第1の導管11を介して、マイクロ流体デバイス1のそれぞれの主流路5内へと流れるようにする。
【0153】
4つの磁気アセンブリ44の列の第2の反対の側55bに位置づけられている要素41i〜lは全て、(矢印51により標示される)負の空気流を提供する空気圧システム71bに対して流体連結されている。要素41i〜lに提供される負の空気流は、それぞれの要素41i〜lを通り、それぞれの出口45i〜lを介してそれぞれの試料供給源タンク105内へと移行する。正の空気流は、試料から除去された強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を含む緩衝液を、主流路5から第3の導管13を介してそれぞれの緩衝剤排出タンク107内へと吸い込む。
【0154】
4つの磁気アセンブリ44の列の第2の反対の側55b上に同様に位置づけられている要素41m〜pは同様に、(矢印51により標示される)負の空気流を提供する空気圧システム71bに対し全て流体連結されている。要素41m〜pに提供される負の空気流は、それぞれの要素41m〜pを通り、それぞれの出口45m〜pを介してそれぞれの試料排出タンク108内へと移行する。正の空気流は、強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子が存在しない試料流体を、主流路5から、出口補助流路8a、8bのそれぞれの対の中に、出口補助流路8a、8bのそれぞれの対に沿って、かつその後それぞれの試料排出タンク108内に第4の導管14を介して吸い込む。
【0155】
アセンブリ70は、本発明のさらなる実施形態に係る方法を実施するために使用可能である。アセンブリ70が提供される。強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を含む試料が、試料供給源タンク105の少なくとも1つの中に供給される。この実施例において、試料は、マイクロ流体デバイス内の全ての試料供給源タンク105内に供給される(この実施例において、マイクロ流体デバイス1は4つの試料供給源タンク105を含む)。緩衝液が緩衝剤供給源タンク106の少なくとも1つの中に供給される。この実施例では、マイクロ流体デバイス内の全ての緩衝剤供給源タンク106内に試料が供給される(この実施例では、マイクロ流体デバイス1は4つの緩衝剤供給源タンク106を含む)。この実施例においては同様に、対応する数の緩衝剤排出タンク107および試料排出タンク108、すなわち4つの緩衝剤排出タンク107、および4つの試料排出タンク108も存在する。
【0156】
ひとたび、それぞれの試料供給源タンク105および緩衝剤供給源タンク106が満たされたならば、次にインタフェースコンポーネント40をマイクロ流体デバイス1と機械的に協働するように配置する。具体的には、インタフェースコンポーネント40は、出口45a〜dがそれぞれの試料供給源タンク105と流体連通状態になるような形でマイクロ流体デバイス1のそれぞれの試料供給源タンク105を覆い、出口45e〜hがそれぞれの緩衝剤供給源タンク106と流体連通状態になるような形でマイクロ流体デバイス1のそれぞれの緩衝剤供給源タンク106を覆い、出口45i〜lがそれぞれの緩衝剤排出タンク107と流体連通状態になるような形でマイクロ流体デバイス1のそれぞれの緩衝剤排出タンク107を覆い、出口45i〜lがそれぞれの試料排出タンク108と流体連通状態になるような形でマイクロ流体デバイス1のそれぞれの試料排出タンク108を覆うように、配置されている。
【0157】
上述の方法でマイクロ流体デバイス1と機械的に協働するようにインタフェースコンポーネント40を配置することによって、各々の磁気アセンブリ44の永久磁石513は、マイクロ流体デバイス1のそれぞれの溝15上に一列に並べられる。この段階で、各磁気アセンブリ44の電磁石603は、シャフト61がその第1の位置を占有し、こうして永久磁石513がマイクロ流体デバイス1から離れた位置に確実にくるように、動作を停止させられてよい。しかしながら、ひとたびインタフェースコンポーネント40がマイクロ流体デバイス1と機械的に協働するように配置されたならば、各磁気アセンブリ44の電磁石603は次に動作させられる。電磁石は、各シャフト61をバネ605の偏向力に対抗してその第2の位置へと強制的に移動させ、こうして、各磁気アセンブリの永久磁石513は、マイクロ流体デバイス1内のそれぞれの溝15の中へ移動させられるようになっている。ひとたび溝15の中に収容されると、永久磁石513は、それぞれの主流路5の領域内で磁化を提供するように構成されており、磁化方向は、主流路の平面流路床5dに直交し、同様に主流路5に沿って試料および緩衝液の流れに対しても直交している。重要なこととして、主流路の流路床が湾曲している場合には、永久磁石513は、流路の曲線の頂点に対する接線に直交する方向での磁化を提供するように構成される。同様にしてまたは主流路の横断面がV字形である場合には、永久磁石513は、流路の頂点に対する接線に直交する方向での磁化を提供するように構成されている。最も好ましくは、この実施例では永久磁石513である磁場発生用手段513は、主流路5に向かう方向に次第に細くなる横断面を有する。好ましくは、この実施例においては永久磁石513である磁場発生用手段513は、永久磁石513の長手方向軸に直交する方向での磁化を提供するように構成されるであろう。最も好ましくは、この実施例においては永久磁石513である磁場発生用手段513は、永久磁石513の長手方向軸に直交しかつマイクロ流体デバイスのパレット3の平面に直交する方向での磁化を提供するように構成されるであろう。
【0158】
空気圧システム71a、71bは次に、正の空気流および負の空気流をそれぞれ提供するように動作させられる。空気圧システム71aは、磁気アセンブリ44の列の第1の側55aに位置づけられている要素41a〜hに対して正の空気流50を提供し、空気圧システム71bは、4つの磁気アセンブリ44の列の第2の反対の側55bに位置づけられた要素41i〜pに対して負の空気流51を提供する。動作させられた時点で、空気圧システム71a、71bは、試料を、第2の導管12を介してそれぞれの試料供給源タンク105から外に、補助入口流路6a、6bのそれぞれの対に沿って、強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子が試料から除去されるそれぞれの主流路5に沿って(緩衝液と同時に)、そしてその後、出口補助流路8a、8bのそれぞれの対に沿って、およびそこからそれぞれの第4の導管14を介してそれぞれの試料排出タンク108内へと流れさせる。動作させられた時点で、空気圧システム71a、71bは、緩衝液を、第1の導管11を介してそれぞれの緩衝剤供給源タンク106から外に、試料から除去された強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を緩衝液が受取る主流路5に沿って(緩衝液と同時に)、そしてその後、それぞれの第3の導管13を介してそれぞれの緩衝剤排出タンク107内へと、流れさせる。
【0159】
入口補助流路6a、6bのそれぞれの対からそれぞれの主流路内に流入する試料は、それぞれの主流路5各々の中に流入する2つの試料流30a、30bを形成する。重要なこととして、入口補助流路6a、6bの対の各々の深さ「d」は、それぞれの第1および第2の接合部7、9の間の主流路5に沿ったそれぞれの主流路5の深さ「f」よりも小さいことから、試料流30a、30bの各々と主流路の流路床5dとの間に緩衝液31が間置され、同様に、緩衝液は2つの試料流30a、30bの間に間置される。
【0160】
試料および緩衝液がそれぞれの主流路5に沿って同時に流れるにつれて、それぞれの永久磁石513により主流路5の領域内に提供される磁化は、試料内に含まれる強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子を、主流路内の試料および緩衝液の流れに直交しかつ同様に主流路の流路床5dにも直交する方向で、試料の外へかつ緩衝液の中へ移動させる。換言すると、試料内に含まれる強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子は、試料と主流路5の流路床5dとの間に位置づけられる緩衝液内へと移動させられる。
【0161】
強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子は同様に、主流路内の試料および緩衝液の流れに直交しかつ主流路の流路床5dに平行である方向に移動させられてもよい。換言すると、試料中に含まれる強磁性、常磁性(超常磁性を含む)および/または反磁性粒子は同様に、主流路5内を流れる2つの試料流30a、30bとの間に間置される緩衝液内へと移動させられてもよい。
【0162】
当業者にとっては、添付のクレーム中で定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の説明された実施形態に対するさまざまな修正および変形形態が明らかとなるものである。本発明について特定の好ましい実施形態に関連して説明してきたが、請求されている本発明は、このような特定の実施形態に必要以上に限定されるべきでないという点が理解されなければならない。
【符号の説明】
【0163】
1 マイクロ流体デバイス
4a 第1の表面
4b 第2の反対側の表面
5 主流路
6a 入口補助流路
6b 入口補助流路
7 第1の接合部
8a 出口補助流路
8b 出口補助流路
9 第2の接合部
15 溝
図1a-1b】
図1c
図1d
図1e
図1f
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a-4b】
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7