(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570853
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】端末呼出し制御方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/432 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
H04M3/432
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-58651(P2015-58651)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-178555(P2016-178555A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】出井 翼
(72)【発明者】
【氏名】柳通 幸一
(72)【発明者】
【氏名】宮村 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】會田 信一
【審査官】
吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−204751(JP,A)
【文献】
特開平03−268655(JP,A)
【文献】
特開2002−354124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q50/00
H04B7/24−7/26
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−11/10
H04Q3/58−3/62
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内線番号が割当てられた電話機に対して、呼出し時刻が設定され、指定された呼出し時刻に前記内線番号により電話機の呼出しを行い、前記呼出しが不応答のときに、構内交換機が他の端末を呼び出す端末呼出し制御方法であって、
前記構内交換機は、中央処理装置と、プログラムとデータを保持する主記憶装置と、一つ以上の携帯端末と通信を行う一つ以上の基地局と、前記携帯端末毎に、最寄りの基地局の番号を保持する第一のテーブルと、前記内線番号が割当てられた電話機の場所に対して、最寄りの基地局の番号を保持する第二のテーブルと、を有し、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記携帯端末からの通信により、前記携帯端末の最寄りの基地局を求めるステップと、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記第一のテーブルに、前記携帯端末に対して、最寄りの基地局の番号を書き込むステップと、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記指定された呼出し時刻に前記内線番号の電話機に対して、呼出しを行うステップと、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、呼出し回数又は呼出し時間により、前記電話機の呼出しが不応答であるか否かを判定するステップと、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記電話機の呼出しが不応答であるか否かを判定するステップにおいて不応答であると判定したときに、前記第一のテーブルと前記第二のテーブルとを参照し、前記内線番号から、前記内線番号が割当てられた電話機の場所に最も近くにある携帯端末を呼出すステップと、を有することを特徴とする端末呼出し制御方法。
【請求項2】
内線番号が割当てられた電話機に対して、呼出し時刻が設定され、指定された呼出し時刻に前記内線番号により電話機の呼出しを行い、前記呼出しが不応答のときに、構内交換機が他の端末を呼び出す端末制御方法であって、
前記構内交換機は、中央処理装置と、プログラムとデータを保持する主記憶装置と、前記内線番号が割当てられた電話機の場所に対して、時間帯毎に端末を分類したグループ番号を保持する第三のテーブルと、前記グループ番号毎に、呼出す端末を対応させた第四のテーブルと、を有し、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記端末からの通信により、前記端末の最寄りの基地局を求めるステップと、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記指定された呼出し時刻に前記内線番号の電話機に対して、呼出しを行うステップと、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、呼出し回数又は呼出し時間により、前記電話機の呼出しが不応答であるか否かを判定するステップと、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、現在時刻を求めるステップと、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記電話機の呼出しが不応答であるか否かを判定するステップにおいて不応答であると判定したときに、前記現在時刻を求めるステップで求められた現在時刻に基づいて前記第三のテーブルと前記第四のテーブルとを参照し、内線番号が割当てられた電話機の場所に対応するグループ番号の端末を呼出すステップと、を有することを特徴する端末呼出し制御方法。
【請求項3】
前記電話機の呼出しに不応答のときに呼出す端末が固定電話機であり、
前記グループ番号毎に、呼出す端末を対応させた第四のテーブルが、前記グループ番号毎に、呼出す端末の内線番号を保持することを特徴とする請求項2記載の端末呼出し制御方法。
【請求項4】
前記端末は、携帯端末であり、
前記構内交換機は、一つ以上の携帯端末と通信を行う一つ以上の基地局と、前記携帯端末毎に、最寄りの基地局の番号を保持する第一のテーブルと、を有し、
前記グループ番号毎に、呼出す端末を対応させた第四のテーブルが、前記グループ番号毎に、基地局の番号を保持し、
さらに、前記携帯端末からの通信により、前記携帯端末の最寄りの基地局を求めるステップと、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記第一のテーブルに、前記携帯端末に対して、最寄りの基地局の番号を書き込むステップと、を有し、
前記構内交換機が、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記電話機の呼出しが不応答であるか否かを判定するステップにおいて不応答であると判定したときに、前記現在時刻を求めるステップで求められた現在時刻に基づいて前記第三のテーブルと前記第四のテーブルとを参照し、前記内線番号が割当てられた電話機の場所に対応する前記グループ番号を求め、前記グループ番号から対応する基地局の番号を求め、前記前記第一のテーブルを参照し、前記内線番号が割当てられた電話機の場所に最も近くにある携帯端末を呼出すことを特徴とする請求項2記載の端末呼出し制御方法。
【請求項5】
内線番号が割当てられた電話機に対して、呼出し時刻が設定され、指定された呼出し時刻に前記内線番号により電話機の呼出しを行い、前記呼出しが不応答のときに、構内交換機が他の端末を呼び出す端末呼出し制御システムであって、
前記構内交換機は、
中央処理装置と、
プログラムとデータを保持する主記憶装置と、
前記指定された呼出し時刻に前記内線番号の電話機に対して、呼出しを行う手段と、
呼出し回数又は呼出し時間により、前記電話機の呼出しが不応答であるか否かを判定する手段と、
一つ以上の携帯端末と通信を行う一つ以上の基地局と、
前記携帯端末からの通信により、前記携帯端末の最寄りの基地局を求める手段と、
前記携帯端末毎に、最寄りの基地局の番号を保持する第一のテーブルと、
前記内線番号が割当てられた電話機の場所に対して、最寄の基地局の番号を保持する第二のテーブルと、を有し、
前記構内交換機は、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記指定された呼出し時刻に前記内線番号の電話機に対して、呼出しを行い、前記電話機の呼出しが不応答であると判定したときに、前記第一のテーブルと前記第二のテーブルとを参照し、前記内線番号から、前記内線番号が割当てられた電話機の場所に最も近くにある携帯端末を呼出すことを特徴とする端末呼出し制御システム。
【請求項6】
内線番号が割当てられた電話機に対して、呼出し時刻が設定され、指定された呼出し時刻に前記内線番号により電話機の呼出しを行い、前記呼出しが不応答のときに、構内交換機が他の端末を呼び出す端末呼出し制御システムであって、
前記構内交換機は、
中央処理装置と、
プログラムとデータを保持する主記憶装置と、
現在時刻を取得する手段と、前記指定された呼出し時刻に前記内線番号の電話機に対して、呼出しを行う手段と、
呼出し回数又は呼出し時間により、前記電話機の呼出しが不応答であるか否かを判定する手段と、
前記内線番号が割当てられた電話機の場所に対して、時間帯毎に端末を分類したグループ番号を保持する第三のテーブルと、
前記グループ番号毎に、呼出す端末を対応させた第四のテーブルと、を有し、
前記構内交換機は、前記中央処理装置により前記プログラムを実行することによって、前記指定された呼出し時刻に前記内線番号の電話機に対して、呼出しを行い、前記電話機の呼出しが不応答であると判定したときに、現在時刻を取得し、前記現在時刻に基づいて前記第三のテーブルと前記第四のテーブルとを参照し、前記内線番号が割当てられた電話機の場所に対応するグループ番号の端末を呼出すことを特徴する端末呼出し制御システム。
【請求項7】
前記電話機の呼出しに不応答のときに呼出す端末が固定電話機であり、
前記グループ番号毎に、呼出す端末を対応させた第四のテーブルが、前記グループ番号毎に、呼出す端末の内線番号を保持することを特徴とする請求項6記載の端末呼出し制御システム。
【請求項8】
前記端末は、携帯端末であり、
前記構内交換機は、一つ以上の携帯端末と通信を行う一つ以上の基地局と、前記携帯端末からの通信により、前記携帯端末の最寄りの基地局を求める手段と、前記携帯端末毎に、最寄りの基地局の番号を保持する第一のテーブルと、を有し、
前記グループ番号毎に、呼出す端末を対応させた第四のテーブルが、前記グループ番号毎に、基地局の番号を保持し、
前記中央処理装置は、前記プログラムを実行することにより、前記指定された呼出し時刻に前記内線番号の電話機に対して、呼出しを行い、前記電話機の呼出しが不応答であると判定したときに、前記第一のテーブルと前記第三のテーブルと前記第四のテーブルとを参照し、前記内線番号から、前記内線番号が割当てられた電話機の場所に最も近くにある携帯端末を呼出すことを特徴とする請求項6記載の端末呼出し制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末呼出し制御方法及びそのシステムに係り、特に、構内交換機経由でモーニングコールのサービスを行う場合に、モーニングコールに不応答のときに従業員の対応を迅速にする用途に好適な端末呼出し制御方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
宿泊業では、モーニングコールサービスを提供することが一般的になっている。モーニングコールとは、一般的には朝に起床することを目的として、主にホテルや旅館などで指定した時間に自分の客室へ電話をかけてもらうサービスである。現在の構内交換機(PBX:Private Branch eXchange)では、このモーニングコールを自動化する機能が提供されており、内線番号と、コールする時刻を設定しておけば、自動的に客室の内線番号の呼出しを行い、宿泊客が電話機を取った場合に登録された音源を流すようになっている。
【0003】
ところで、宿泊客がモーニングコールを取れなかった場合には、宿泊客になんらかの異変が発生している(例えば、急病等)ことが考えられるため、宿泊業者の実務としては、スタッフが客室まで出向いて、事後処理にあたることが通例である。このように、従来では、モーニングコールを申し込んだ宿泊客が呼出しに応じない場合には、コンソール等に通知し、従業員がその通知された情報を確認し、その事象内容によりスタッフが客室へ出向いていた。
【0004】
特許文献1には、モーニングコール不応答時に、ブザーの鳴動と同時に、表示装置に部屋情報を表示させる技術が開示されている。また、特許文献2には、客室のランク毎に、再呼出し回数を登録しておき、それに基づいて構内交換システムが、モーニングコールの不応答時に再呼出しを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−268655号公報
【特許文献2】特開平11−331383号公報
【特許文献3】特開2010−213094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように従来の実務では、モーニングコールが不応答のときには、例えば大規模なホテルの場合、コンソールで確認したスタッフが別館等に移動し客室へ向かう、又は他のスタッフに連絡し客室へ向かう様に指示するようにしていた。そのため、移動や連絡に時間が掛かり迅速な対応がとれておらず、顧客の安全確認に時間を要してしまうという問題点があった。また、特定のスタッフが一時的に本来の職場から離れることとなり効率もよくなかった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、その目的は、構内交換機経由でモーニングコールのサービスを行う場合に、モーニングコールに不応答のときに従業員の対応が迅速に行うことができる端末呼出し制御方法及びそのシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る端末呼出し制御システムは、好ましい例によれば、内線番号が割当てられた電話機に対して、呼出し時刻が設定され、指定された呼出し時刻に内線番号により電話機の呼出しを行い、呼出しが不応答のときに、構内交換機が他の端末を呼び出す端末呼出し制御システムであって、構内交換機は、中央処理装置と、プログラムとデータを保持する主記憶装置と、指定時刻に内線番号の電話機に対して、呼出しを行う手段と、呼出し回数又は呼出し時間により、電話機の呼出しが不応答であるか否かを判定する手段と、一つ以上の携帯端末と通信を行う一つ以上の基地局と、携帯端末からの通信により、携帯端末の最寄りの基地局を求める手段と、携帯端末毎に、最寄りの基地局の番号を保持する第一のテーブルと、内線番号が割当てられた電話機の場所に対して、最寄の基地局の番号を保持する第二のテーブルとを有するようにしたものである。構内交換機は、中央処理装置によりプログラムを実行することによって、指定時刻に内線番号の電話機に対して、呼出しを行い、電話機の呼出しが不応答であると判定したときに、第一のテーブルと第二のテーブルとを参照し、内線番号から、内線番号が割当てられた電話機の場所に最も近くにある携帯端末を呼出すようにする。
【0009】
また好ましい例によれば、本発明に係る端末呼出し制御システムは、内線番号が割当てられた電話機に対して、呼出し時刻が設定され、指定された呼出し時刻に内線番号により電話機の呼出しを行い、呼出しが不応答のときに、構内交換機が他の端末を呼び出す端末呼出し制御システムであって、構内交換機は、中央処理装置と、プログラムとデータを保持する主記憶装置と、現在時刻を取得する手段と、指定時刻に内線番号の電話機に対して、呼出しを行う手段と、呼出し回数又は呼出し時間により、電話機の呼出しが不応答であるか否かを判定する手段と、内線番号が割当てられた電話機の場所に対して、時間帯毎に端末を分類したグループ番号を保持する第三のテーブルと、グループ番号毎に、呼出す端末を対応させた第四のテーブルとを有するようにしたものである。構内交換機は、中央処理装置によりプログラムを実行することによって、指定時刻に内線番号の電話機に対して、呼出しを行い、電話機の呼出しが不応答であると判定したときに、現在時刻を取得し、現在時刻に基づいて第三のテーブルと第四のテーブルとを参照し、内線番号が割当てられた電話機の場所に対応するグループ番号の端末を呼出すようにしたものである。
また、本発明は、上記端末呼出し制御システムにおける端末呼出し制御方法として構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構内交換機経由でモーニングコールのサービスを行う場合に、モーニングコールに不応答のときに従業員の対応が迅速に行うことができる端末呼出し制御方法及びそのシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一の実施形態に係る端末呼出し制御システムの構成図である。
【
図2】PHS位置登録テーブルの一例を示す図である。
【
図3】客室毎最寄りBSテーブルの一例を示す図である。
【
図4】PHSがシステムに位置登録を行う手順を示すシーケンス図である。
【
図5】モーニングコール呼出しから不応答のときに、サポートのためにPHSの呼出しを行う手順を示すシーケンス図である。
【
図6】第二の実施形態に係る端末呼出し制御システムの構成図である。
【
図7】宿泊施設と端末呼出し制御システムの各装置の配置について説明する図である。
【
図8】客室毎不応答グループ呼出し時間管理テーブルの一例を示す図である。
【
図9】グループ毎呼出し先テーブルの一例を示す図である。
【
図10A】モーニングコール呼出しから不応答のときに、サポートのために多機能電話機又はPHSの呼出しを行う手順を示すシーケンス図である(その一)。
【
図10B】モーニングコール呼出しから不応答のときに、サポートのために多機能電話機又はPHSの呼出しを行う手順を示すシーケンス図である(その二)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る各実施形態を、
図1ないし
図10Bを用いて説明する。
【0013】
〔実施形態1〕
先ず、
図1を用いて第一の実施形態に係る端末呼出し制御システムの構成について説明する。
図1は、端末呼出し制御システムの構成図である。
【0014】
端末呼出し制御システムの構内交換機1は、
図1に示されるように、通話路スイッチ10、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)11、主記憶装置12、コンソール14、基地局(BS:Base Station)20、固定電話機30を有している。また、基地局20は、基地局インタフェース(BSI/F)21により、通話路スイッチ10と接続されており、固定電話機(固定電話端末)30は、内線回路31により、通話路スイッチ10と接続されている。また、コンソール14は、コンソール接続装置13により、構内交換機1のバス15に接続されている。また、PHS(Personal Handy Phone System)40は、携帯端末の一種であり、最寄りの基地局20と所定の周波数帯域を用いて、無線で通信を行う。本実施形態では、PHSを例に採り説明するが、構内交換機1から内線番号を呼び出す機能を有していれば、一般の携帯電話でもよいし、いわゆるスマートフォンであってもよい。
【0015】
なお、本実施形態の説明と図において、基地局20は、複数あるため、BS10(20−10)、BS11(20−11)…と表すことにする。また、同様に、PHS40も、PHS200(40−200)、PHS201(40−201)と表すことにする。固定電話機30は、各々に客室の内線番号が割り当てられており、その内線番号を100、200としたときに、固定電話機30−100、固定電話機30−200のように表すことにする。
【0016】
中央処理装置11は、構内交換機1の各部を制御し、主記憶装置12に記憶されているデータを参照し、プログラムを実行する。主記憶装置12は、半導体記憶装置で実装され、通常の構内交換機の制御プログラムの外に、本実施形態に係る端末呼出しプログラム121、テーブル類122が記憶されている。テーブル類122は、端末呼出しプログラム121から参照され、値が設定されるテーブルである。このテーブル類122の具体例については、後に詳説する。
【0017】
コンソール14は、コンソール接続装置13を介して、ユーザにシステム情報を表示し、テーブルの値を入力する装置である。基地局20は、基地局インタフェース21を介して、最寄のPHS40と無線で通信の中継を行う装置である。固定電話機30は、客室に設置され、内線番号が割り振られて、構内交換機1を介して、他の内線や外線(図示せず)により、通話を行う装置である。固定電話機30は、内線回路31により、通話路スイッチ10により接続されており、内線番号が割り当てられて、内線による呼出しが可能になっている。内線回路31は、固定電話機30の受話器の上げ下げの検出、呼出信号の送出、通話回路の電源の供給や、音声のA/D・D/A変換を行う回路である。また、通話路スイッチ10は、構内交換機1内において回線交換を行うスイッチング装置である。構内交換機1は、PHS40毎にどの最寄りの基地局であるか否かを検出し、その情報を保持する機能を有している(詳細は、後述)。
【0018】
次に、
図2及び
図3を用いてテーブル類122について説明する。
図2は、PHS位置登録テーブルの一例を示す図である。
図3は、客室毎最寄りBSテーブルの一例を示す図である。
【0019】
本実施形態のテーブル類122は、
図2に示されるPHS位置登録テーブルT1と、
図3に示される客室毎最寄りBSテーブルT2がある。
【0020】
PHS位置登録テーブルT1は、
図2に示されるように、PHSの内線番号毎に、その内線を割当てられたPHSがどの基地局に一番近いかという情報を保持するテーブルである。例えば、
図2の例では、PHS内線番号200が割当てられたPHS200(40−200)の最寄りの基地局20が、BS10(20−10)であることを示している。ここで、PHSに対応する最寄り基地局の値は、PHS40を所持する者が移動するにしたがって、時事刻々変化することに留意する。
【0021】
次に、客室毎最寄りBSテーブルT2は、
図3に示されるように、客室内線番号が割当てられた客室(その客室に設置された固定電話機30)がどの基地局が一番近いかを示す情報を保持するテーブルである。例えば、
図3に示される例では、客室内線番号が割当てられた100の客室は、BS11(20−11)であることを示している。なお、客室毎最寄りBSテーブルT2の値は、客室に割り当てる内線番号を変更したり、構内交換機1の設備の更新をしたりするときには、書き換えられる可能性はあるが、そのようなことがないときには、通常は、固定されている。
【0022】
次に、
図4及び
図5を用いて第一の実施形態に係る端末呼出し制御システムの処理について説明する。
図4は、PHSがシステムに位置登録を行う手順を示すシーケンス図である。
図5は、モーニングコール呼出しから不応答のときに、サポートのためにPHSの呼出しを行う手順を示すシーケンス図である。
【0023】
先ず、
図4を用いてPHSがシステムに位置登録を行うときの手順について説明する。PHS40は、周囲の基地局に対して、一定時間ごとに、位置登録要求を行う(A01)。位置登録要求には、内線番号と通信した基地局20の番号の情報が含まれている。次に、基地局20は、内線番号と基地局の番号をペアにして、中央処理装置11に対して、位置登録要求を行う(A02)。中央処理装置11は、PHS位置登録テーブルT1に対して、そのPHSの内線番号に該当する最寄りの基地局の値を書き換える(S01)。
【0024】
そして、中央処理装置11から基地局20に位置登録応答がされ(A03)、基地局20からPHS40に位置登録応答がなされる(A04)。
【0025】
次に、
図5を用いてモーニングコール呼出しから不応答のときに、サポートのためのPHS呼出しを行う手順について説明する。なお、構内交換機1での処理は、中央処理装置11が、端末呼出しプログラム121を実行することよりなされる。
【0026】
先ず、構内交換機1で、モーニングコールの対象となる内線番号と、モーニングコールをする時刻の設定を行う(S10)。設定は、客室にある固定電話30から行うようにしてもよいし、従業員がコンソール14により行ってもよい。モーニングコール設定が行われた場合には、構内交換機1から登録された内線番号に対して、モーニングコールが行われる(A11)。宿泊客が、固定電話機30の受話器を取り上げ、モーニングコールに応答したときには、処理は終了となる(A12)。
【0027】
モーニングコールが応答されないときには、構内交換機1は、不応答監視期間が満了するまで待ち(S11)、所定のリトライ回数分だけ、モーニングコールのリトライを繰り返す(S12、S13)。
【0028】
そして、不応答監視期間が満了し、かつ、所定のリトライ回数分だけモーニングコールが繰り返されても、宿泊客がモーニングコールに応答しないときには、構内交換機1の中央処理装置11は、主記憶装置12に格納されている
図2に示したPHS位置登録テーブルT1と、
図3に示した客室毎最寄りBSテーブルT2を参照し、呼出し先基地局とPHS位置登録の情報から、モーニングコールの対象となっている客室に最寄りのPHSの内線番号を検索し、そのPHSの内線番号により、呼出しを行う(S14、A13)。例えば、客室内線番号100のモーニングコールが不応答のときには、客室毎最寄りBSテーブルT2から最寄りの基地局が、BS11(20−11)であることが分かり、PHS位置登録テーブルT1からそのBS11に最寄りのPHSの内線番号が、201であることが分かる。したがって、構内交換機11から、PHSの内線番号201に対して、呼出しを行うことになる。呼出しは、通話のコールでもよいし、特許文献3に示されるように、表示メッセージ(例えば、「部屋番号:201、モーニングコール不応答、確認要」など)を、PHS40のディスプレイに表示してもよい。そして、そのPHS40を所持するスタッフは、問題の客室に出向いて、点検・確認作業を行う(A14)。
【0029】
なお、二つ以上、基地局に対して、最寄りPHSがある場合は、該当するPHSに、一斉に通報することにしてもよいし、PHSの内線番号が小さいものに、呼出しを行う、又は、予めPHSの内線番号の優先順位をつけておき、優先順位の高いPHSの内線番号の呼出しを行う、あるいは、電波強度が計測可能なときには、電波の強度が強いPHSの内線番号を呼び出すなどのようにすればよい。
【0030】
このように、基地局20で、PHS40の位置を把握しておき、モーニングコールに不応答のときに、そのPHS40を所持する客室に最寄りのスタッフが対応をとることより、迅速で効率的な対応が可能になる。
【0031】
〔実施形態2〕
以下、第二の実施形態を、
図6ないし
図10を用いて説明する。
【0032】
第一の実施形態では、モーニングコールが不応答のときに、構内交換機は、その宿泊客の客室の近くにいるスタッフが保持するPHSを呼び出すことにより、スタッフの迅速な対応を可能にした。これに対し、本実施形態は、ホテル・旅館などの宿泊施設での従業員の勤務体制を考慮に入れて、モーニングコールが不応答のときに、適切な位置にある電話の呼び出しを行うことにより、スタッフの能率的かつ迅速な対応を可能にするものである。
【0033】
先ず、
図6を用いて第一の実施形態に係る端末呼出し制御システムの構成について説明する。
図6は、端末呼出し制御システムの構成図である。
【0034】
本実施形態に係る端末呼出し制御システムの構内交換機1′は、
図6に示されるように、
図1に示した第一の実施形態の構内交換機1の構成に加えて、固定電話機の一種である多機能電話機(MFT:Multi Function Telephone)50が、MFTインタフェース装置(MFT I/F:MFT InterFace)51を介して接続されている。多機能電話機50は、固定電話機であり、通常の通話の機能の外、電話帳機能、内線交換機能や送られてきた文字メッセージをディスプレイに表示する機能を有する。ここで、例えば、多機能電話機50の内線が300のものを、MFT300(50−300)と表すことにする。
【0035】
なお、第一の実施形態と比較して、主記憶装置12に格納されているテーブル類122′が後に述べるように異なっている。
【0036】
次に、
図7を用いて本実施形態の宿泊業者の運営形態のモデルについて説明する。
図7は、宿泊施設と端末呼出し制御システムの各装置の配置について説明する図である。
【0037】
本実施形態では、呼出し先をグループ分けして、その態様によって、モーニングコールの不応答時の呼び出し先を変更するものである。通常、ホテルや旅館などの宿泊業者では、二十四時間体制でのサービスを行っており、従業員の勤務体制も考慮にいれて、昼間に受付けを施設の各階で運用していても、夜間には、他の階の受付けを停止して、メインのフロントのみを運用する場合が多い。本実施形態の端末呼出し制御システムは、モーニングコールの不応答時の対応において、そのような従業員の時間帯による配置部署の変更に最適な運用を行うことができる。
【0038】
例えば、
図7に示されるように、1Fには、内線100の固定電話機30−100が設置された客室100、内線101の固定電話機30−101が設置された客室101があるとする。また、1Fには、基地局20であるBS10(20−10)、BS11(20−11)があり、フロントには、多機能電話機MFT300(50−300)、MFT301(50−301)が置かれているものとする。
【0039】
一方、2Fには、内線200の固定電話機30−200が設置された客室200、内線201の固定電話機30−201が設置された客室201があるとする。また、2Fには、基地局20であるBS20(20−20)、BS21(20−21)があり、2F受付には、多機能電話機MFT400(50−400)、MFT401(50−401)が置かれているものとする。
【0040】
次に、
図8及び
図9を用いてテーブル類122′について説明する。
図8は、客室毎グループ呼出し時間管理テーブルの一例を示す図である。
図9は、グループ毎呼出し先テーブルの一例を示す図である。
【0041】
客室毎グループ呼出し時間管理テーブルT3は、
図8に示されるように時間帯ごとの客室に対応するグループを定義するテーブルである。例えば、時間帯1(9:00〜17:00)では、客室100には、グループG1が対応し、客室200には、グループG2が対応していることを示している。
【0042】
グループ毎呼出し先テーブルT4は、モーニングコールの不応答時であるときに、客室に対応するグループごとに呼び出される多機能電話50の内線番号と、基地局20を定義するテーブルである。例えば、グループ番号G1のグループに対応する客室のモーニングコールの不応答のときには、構内交換機1は、多機能電話機MFT300(50−300)、MFT300(50−301)と、呼出し先がBS10(20−10)、BS11(20−11)に対応する(すなわち、この基地局に最寄りの)PHS40であることを示している。なお、本実施形態では、示さなかったが
図2に示したPHS位置登録テーブルT1も、テーブル類122′の中にあるものとする。
【0043】
次に、
図10A、
図10Bを用いて第二の実施形態に係る端末呼出し制御システムの処理について説明する。
図10A、
図10Bは、モーニングコール呼出しから不応答のときに、サポートのために多機能電話機又はPHSの呼出しを行う手順を示すシーケンス図である。
【0044】
図10AのA10、A11、S10〜S13の処理については、第一の実施形態の
図5と同様である。S10で、リトライ回数が満了したとき、構内交換機1の中央処理装置は、現在の時刻を取得する(
図10BのS20)。構内交換機1は、通常、現在の日時、時刻を保持しており、クロックにより更新する機能を有している。
【0045】
次に、モーニングコールの呼出し先の内線番号から該当する客室番号を求めて、客室毎グループ呼出し時間管理テーブルT3を参照して、客室番号と現在の時刻図の対応より、呼出し先グループ番号を抽出する(S21)。次に、グループ毎呼出し先テーブルテーブルT4を参照して、呼出し先グループ番号より、多機能電話機50の内線番号又は基地局20を抽出する(S22)。
【0046】
そして、呼出し先が、多機能電話機50か基地局20かを判定し(S23)、呼出し先が、多機能電話機50の場合には、その内線番号で呼出し、基地局20である場合には、呼出し先基地局とPHS位置登録の情報から、モーニングコールの対象となっている客室に最寄りのPHSの内線番号を検索し(S24)、そのPHSの内線番号により、呼出しを行う(A21)。多機能電話機50の呼出しは、通話のコールでもよいし、PHS40の説明と同様に、表示メッセージ(例えば、「部屋番号:201、モーニングコール不応答、確認要」など)を、のディスプレイに表示してもよい。
【0047】
そして、MFTで呼出した場合でも、PHS40で呼出した場合でも、スタッフは、問題の客室に出向いて、点検・確認作業を行うことは第一の実施形態と同様である(A22、A23)。
【0048】
なお、呼出し先が、多機能電話機50か基地局20の複数ある場合には、該当する多機能電話機50、基地局20の最寄りのPHS40に一斉に呼出しを行ってもよいし、いずれを優先するか、予め優先順位を設けて、優先順位の高いものを呼び出すようにしてもよい。
【0049】
以上のように、本実施形態の端末呼出し制御システムでは、例えば、
図7に示した宿泊施設のモデルにおいて、日中にはフロント及び2F受付の両方にスタッフが常駐しているが、夜間はフロントのみの運用になる場合、スタッフの勤務シフトや運用形態に合わせその呼出し先を変更することが可能になる。
【符号の説明】
【0050】
1…構内交換機
10…通話路スイッチ
11…中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)
12…主記憶装置、
13…コンソール制御装置
14…コンソール
15…バス
20…基地局(BS:Base Station)
21…基地局インタフェース(BSI/F)
30…固定電話機
31…内線回路
40…PHS(Personal Handy Phone System)
50…多機能電話機(MFT:Multi Function Telephone)