特許第6570857号(P6570857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570857
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】透光性パネルの枠構造
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   E01F8/00
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-60946(P2015-60946)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-180240(P2016-180240A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2018年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100178283
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 孝太
(72)【発明者】
【氏名】山本 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 秀成
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−328325(JP,A)
【文献】 特開平07−217143(JP,A)
【文献】 特開2012−215017(JP,A)
【文献】 特開平07−247517(JP,A)
【文献】 米国特許第05942736(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路や鉄道等軌道の境界に設置される透光性パネルの枠構造であって、
平面状に延びて形成される透光板と、前記透光板より奥行方向で路側となる正面側に取り付けられる押縁と、前記透光板より背面側に背面側支承壁が設けられる支持枠とを備え、
前記押縁は、路側に配置される外側フランジと、前記透光板側に配置される内側フランジとを有し、前記外側フランジの側端に前記支持枠に係止される外側突出部が形成されるとともに、前記内側フランジの側端に前記支持枠に係止される内側突出部が形成されて、
前記支持枠は、前記外側突出部と互いに係止される外側係止部と、前記内側突出部と互いに係止される内側係止部とを有し、
前記内側突出部及び前記内側係止部の何れか一方又は両方は、互いに係止させるときに摺動するものとして、奥行方向で傾斜して延びるテーパ面が形成され
前記押縁は、前記内側フランジと前記透光板との間隙から、押込治具を挿入し、前記押込治具の先端部で前記内側フランジを奥行方向の正面側に向けて押し込むことにより、前記押縁と前記支持枠との係止状態を解除可能に取り付けられていること
を特徴とする透光性パネルの枠構造。
【請求項2】
道路や鉄道等軌道の境界に設置される透光性パネルの枠構造であって、
平面状に延びて形成される透光板と、前記透光板より奥行方向で路側となる正面側に取り付けられる押縁と、前記透光板より背面側に背面側支承壁が設けられる支持枠とを備え、
前記押縁は、路側に配置される外側フランジと、前記透光板側に配置される内側フランジとを有し、前記外側フランジの側端に前記支持枠に係止される外側突出部が形成されるとともに、前記内側フランジの側端に前記支持枠に係止される内側突出部が形成されて、
前記支持枠は、前記外側突出部と互いに係止される外側係止部と、前記内側突出部と互いに係止される内側係止部とを有し、
前記内側突出部及び前記内側係止部の何れか一方又は両方は、互いに係止させるときに摺動するものとして、奥行方向で傾斜して延びるテーパ面を有した係止爪が形成され
前記外側突出部は、係止されている際に前記外側係止部と当接する奥行き方向に延びる当接面を有し、前記外側突出部と前記外側係止部は、いずれか一方に形成された前記当接面から他方へ突出する断面円弧状に湾曲した突出部が、他方に形成された当該突出部の湾曲した形状に応じた形状の凹溝に内包されていることで互いに係止されていること
を特徴とする透光性パネルの枠構造。
【請求項3】
前記内側突出部及び前記内側係止部は、互いに係止させた後に面状に当接するものとして、奥行方向で傾斜することなく延びる係合面が形成されること
を特徴とする請求項1又は2に記載の透光性パネルの枠構造。
【請求項4】
前記押縁は、前記外側フランジと前記内側フランジとが奥行方向で互いに離間することで、前記透光板側から前記内側フランジを奥行方向に変形させるものとして、前記内側係止部及び前記外側係止部に向けて開口する開口部が形成されること
を特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の透光性パネルの枠構造。
【請求項5】
前記押縁は複数の前記支持枠のうち、少なくとも一つ以上の支持枠に対して透光板を保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透光性パネルの枠構造。
【請求項6】
前記押縁は、前記透光板側に傾斜する前記内側フランジの傾斜部が、前記内側フランジ
に形成されて、内側係止部が前記傾斜部よりも外側で前記支持枠に係止されていること
を特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の透光性パネルの枠構造。
【請求項7】
前記透光板は、前記背面側支承壁との間に緩衝材が設けられるとともに、前記押縁との間で前記透光板に接着させてシール材が設けられること
を特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の透光性パネルの枠構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や鉄道等の軌道の境界に設置される透光性パネルの枠構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、押縁を固定するビスにせん断力を作用させないことを目的として、特許文献1に開示される透光性遮音パネルが提案されており、また、落下物防止柵と同程度の落下防止機能を備えること等を目的として、特許文献2、3に開示される透光性遮音壁が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された透光性遮音パネルは、透光材支持枠の枠内側面には、押縁用係止溝を備え枠内側に突出する係止溝壁と押縁支承受部が突出するように設けられ、押縁は、透光材に平行に配置されたビスにより透光材支持枠にねじ込まれて固定され、押縁は、基端側底部と荷重受用面板と、外側面板と、接続板を備え、荷重受用面板に係止用凸部が設けられ、基端側底部に凹部が設けられ、接続板と基端側底部には、ビス挿通孔が設けられ、押縁における係止用凸部が、透光材支持枠側の押縁用係止溝に係止されていると共に、押縁における外側面板が、透光材支持枠側の押縁支承受部に面接触している。
【0004】
特許文献2に開示された透光性遮音壁は、合成樹脂製の透光板と、左右の縦辺に配置した縦枠材、及び上下の横辺に配置した横枠材、並びに透光板を縦枠材、横枠材へ固定した押縁とで透光型遮音パネルが構成され、透光板の各周辺部は縦枠材及び横枠材に必要十分に深い挟み代で固定・支持されている。縦枠材は、支柱の前面へ当てがわれる基板部と、基板部の内側縁部から背面方向へ略直角に屈曲された側辺部とからなり、基板部の前面側に、透光板の縦辺を挿入でき、押縁の透光板押さえ側端部を止める受け溝部、及び押縁の他端を止める支持溝部が形成されている。遮音パネルは、前記縦枠材の基板部を貫通させたボルトにより前記支柱の前面部へ固定されている。
【0005】
特許文献3に開示された透光性遮音壁は、透光板と、該透光板の左右の縦辺に配置した縦枠材と、上下の横辺に配置した横枠材、及び透光板を縦枠材、横枠材へ固定する押縁とで構成されている。縦枠材は、中空の角形支柱の前面へ当接される基板部と、前記基板部の一端から直角に屈曲され、前記角形支柱の側面に沿って延びる側辺部とからなる。前記基盤部には、前記押縁の一端を止める段部、及び押縁の他端を止める溝部が形成されている。遮音パネルは、前記縦枠材の基板部を貫通させたボルトにより前記中空の角形支柱へ取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−215017号公報
【特許文献2】特開2003−328325号公報
【特許文献3】特開2002−146724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された透光性遮音パネルは、透光材支持枠に押縁を固定するためにビスを必要とするものであるため、透光材を押縁で固定して透光材支持枠に取り付けるときの押縁の組付作業時に、多数のビスの締込作業が必要となることで、透光性遮音パネルの製造効率が低下するおそれがあった。
【0008】
また、特許文献1に開示された透光性遮音パネルは、破損した透光材を交換するときの押縁の交換作業時にも、多数のビスの取外作業と締込作業とが必要となるため、高速道路等の道路境界に設置されて透光材が部分的に破損した場合に、破損した透光材のみの交換作業を容易に実施することができず、高速道路等の長時間の通行規制が必要となるおそれがあった。
【0009】
特許文献2、3に開示された透光性遮音壁は、縦枠材の受け溝部に当接した押縁の透光板押さえ側端部と、縦枠材の支持溝部に挿入した押縁の他端とで、縦枠材を挟み込むことにより押縁が固定されるため、押縁の透光板押さえ側端部を中途半端に取り付けても、一見すると押縁が正確に取り付けられているように見えるものとなり、押縁の組付精度が低下するおそれがあった。
【0010】
また、特許文献2、3に開示された透光性遮音壁は、押縁が中途半端に取り付けられた状態で、高速道路等の道路境界に設置されると、車両等が通行するときの振動、落下した積荷の衝突、風等の透光板に対する外力により、押縁が脱落して透光板が外れるおそれも考えられる。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、押縁の組付精度を十分に確保しながら、車両等が通行するときの振動、落下した積荷の衝突、風等の透光板に対する外力により、押縁が脱落して透光板が外れるおそれもなく、ビスの締込作業及び取外作業を必要としないものとして、製造効率及び交換容易性を向上させることのできる透光性パネルの枠構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る透光性パネルの枠構造は、道路や鉄道等軌道の境界に設置される透光性パネルの枠構造であって、平面状に延びて形成される透光板と、前記透光板より奥行方向で路側となる正面側に取り付けられる押縁と、前記透光板より背面側に背面側支承壁が設けられる支持枠とを備え、前記押縁は、路側に配置される外側フランジと、前記透光板側に配置される内側フランジとを有し、前記外側フランジの側端に前記支持枠に係止される外側突出部が形成されるとともに、前記内側フランジの側端に前記支持枠に係止される内側突出部が形成されて、前記支持枠は、前記外側突出部と互いに係止される外側係止部と、前記内側突出部と互いに係止される内側係止部とを有し、前記内側突出部及び前記内側係止部の何れか一方又は両方は、互いに係止させるときに摺動するものとして、奥行方向で傾斜して延びるテーパ面が形成され、前記押縁は、前記内側フランジと前記透光板との間隙から、押込治具を挿入し、前記押込治具の先端部で前記内側フランジを奥行方向の正面側に向けて押し込むことにより、前記押縁と前記支持枠との係止状態を解除可能に取り付けられていることを特徴とする。
第2発明に係る透光性パネルの枠構造は、道路や鉄道等軌道の境界に設置される透光性パネルの枠構造であって、平面状に延びて形成される透光板と、前記透光板より奥行方向で路側となる正面側に取り付けられる押縁と、前記透光板より背面側に背面側支承壁が設けられる支持枠とを備え、前記押縁は、路側に配置される外側フランジと、前記透光板側に配置される内側フランジとを有し、前記外側フランジの側端に前記支持枠に係止される外側突出部が形成されるとともに、前記内側フランジの側端に前記支持枠に係止される内側突出部が形成されて、前記支持枠は、前記外側突出部と互いに係止される外側係止部と、前記内側突出部と互いに係止される内側係止部とを有し、前記内側突出部及び前記内側係止部の何れか一方又は両方は、互いに係止させるときに摺動するものとして、奥行方向で傾斜して延びるテーパ面を有した係止爪が形成され、前記外側突出部は、係止されている際に前記外側係止部と当接する奥行き方向に延びる当接面を有し、前記外側突出部と前記外側係止部は、いずれか一方に形成された前記当接面から他方へ突出する断面円弧状に湾曲した突出部が、他方に形成された当該突出部の湾曲した形状に応じた形状の凹溝に内包されていることで互いに係止されていることを特徴とする。
【0013】
発明に係る透光性パネルの枠構造は、第1発明又は第2発明において、前記内側突出部及び前記内側係止部は、互いに係止させた後に面状に当接するものとして、奥行方向で傾斜することなく延びる係合面が形成されることを特徴とする。
【0014】
発明に係る透光性パネルの枠構造は、第1発明発明の何れかにおいて、前記押縁は、前記外側フランジと前記内側フランジとが奥行方向で互いに離間することで、前記透光板側から前記内側フランジを奥行方向に変形させるものとして、前記内側係止部及び前記外側係止部に向けて開口する開口部が形成されることを特徴とする。
第5発明に係る透光性パネルの枠構造は、第1発明〜第4発明の何れかにおいて、前記押縁は複数の前記支持枠のうち、少なくとも一つ以上の支持枠に対して透光板を保持することを特徴とする。
【0015】
発明に係る透光性パネルの枠構造は、第1発明〜第発明の何れかにおいて、前記押縁は、前記透光板側に傾斜する前記内側フランジの傾斜部が、前記内側フランジに形成されて、内側係止部が前記傾斜部よりも外側で前記支持枠に係止されていることを特徴とする。
【0016】
第7発明に係る透光性パネルの枠構造は、第1発明〜第発明の何れかにおいて、前記透光板は、前記背面側支承壁との間に緩衝材が設けられるとともに、前記押縁との間で前記透光板に接着させてシール材が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1発明〜第発明によれば、外側突出部と外側係止部とを互いに係止させるとともに、内側突出部と内側係止部とを互いに係止させるため、押縁を固定するためのビスを用いることなく、押縁を支持枠に取り付けることができるものとなり、押縁の組付作業時に、多数のビスの締込作業を必要としないものとして、透光性パネルの製造効率を向上させることが可能となる。
【0018】
第1発明〜第発明によれば、特に、押縁の内側フランジで、内側突出部と内側係止部とがテーパ面と係合面とで容易かつ正確に係止されて、落下した積荷の衝突、風等の外力又は施工、運搬時の衝撃力等の押圧力により容易に離脱しないものとしながら、人為的な作業によってのみ押縁を容易に取り外すことができるものとして、透光板の交換容易性を向上させることができるため、支持枠からの押縁の脱落を防止して、透光性パネルが境界に設置された高速道路等の通行の安全性を向上させると同時に、透光板が部分的に破損した場合には、透光板の交換作業を容易に実施して、高速道路等の長時間の通行規制を回避することが可能となる。
【0019】
第1発明〜第発明によれば、押縁が支持枠に正確に取り付けられるため、押縁を中途半端に取り付けられないものとなることで、高速道路等の道路や鉄道等軌道の境界に透光性パネルを設置して、車両等が通行するときの振動、又は、落下した積荷の衝突、風等の外力が作用したとしても、支持枠から押縁が脱落しないものとなり、透光板の外れを防止することが可能となる。
【0020】
特に、第発明によれば、内側突出部と内側係止部とが係合面で互いに係止されて、押縁が支持枠に正確に取り付けられるものとなるため、押縁を中途半端に取り付けることができないものとなり、押縁の組付精度を向上させることが可能となる。
【0021】
特に、第発明によれば、奥行方向の透光板側から内側フランジを奥行方向に弾性変形又は塑性変形させるものとして、内側係止部及び外側係止部に向けて開口する開口部が形成されるため、押縁を支持枠から容易に取り外すことができないものとすると同時に、押込治具で人為的に内側フランジを破壊等することにより、ビスの取外作業を必要とすることなく、押縁を支持枠から人為的な作業で容易に取り外すことが可能となる。
【0022】
特に、第発明によれば、押縁の内側フランジに傾斜部が形成されることで、押込治具で内側フランジを正面側に押し込みやすくして、押込治具で内側フランジを容易に破壊等させることができるものとなり、人為的な作業による透光板の交換容易性を一段と向上させることが可能となる。
【0023】
特に、第発明によれば、透光板と内側フランジとにシール材が接着されるため、万が一、内側突出部と内側係止部との係止が解除された場合であっても、押縁が脱落しないものとなり、透光板の外れを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明を適用した透光性パネルを使用した透光性遮音壁の全体斜視図である。
図2】本発明を適用した透光性パネルの枠構造が導入される透光性パネルを示す斜視図である。
図3】本発明を適用した透光性パネルの枠構造が導入される透光性パネルを示す正面図である。
図4】本発明を適用した透光性パネルの枠構造が導入される透光性パネルを示す平面図である。
図5】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の押縁を示す斜視図である。
図6】本発明を適用した透光性パネルの枠構造を示す平面図である。
図7】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第1実施形態に係る押縁を示す拡大平面図である。
図8】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第2実施形態に係る押縁を示す拡大平面図である。
図9】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第3実施形態に係る押縁を示す拡大平面図である。
図10】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第3実施形態に係る押縁の変形例を示す拡大平面図である。
図11】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第4実施形態に係る押縁を示す拡大平面図である。
図12】本発明を適用した透光性パネルの枠構造で押縁を取り付ける状態を示す平面図である。
図13】(a)は、本発明に係る透光性パネルの枠構造の第1実施形態〜第3実施形態に係る押縁が外側突出部で回転する状態を示す拡大平面図であり、(b)は、その第4実施形態に係る押縁が外側突出部で回転する状態を示す拡大平面図である。
図14】(a)は、本発明に係る透光性パネルの枠構造の第1実施形態に係るテーパ面が摺動する状態を示す拡大平面図であり、(b)は、その係合面で互いに係止された状態を示す拡大平面図である。
図15】(a)は、本発明に係る透光性パネルの枠構造の第2実施形態に係るテーパ面が摺動する状態を示す拡大平面図であり、(b)は、その係合面で互いに係止された状態を示す拡大平面図である。
図16】(a)は、本発明に係る透光性パネルの枠構造の第3実施形態、第4実施形態に係るテーパ面が摺動する状態を示す拡大平面図であり、(b)は、その係合面で互いに係止された状態を示す拡大平面図である。
図17】本発明を適用した透光性パネルの枠構造でシール材を切除した状態を示す平面図である。
図18】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第1実施形態に係る押縁の内側フランジを破壊等する状態を示す拡大平面図である。
図19】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第3実施形態に係る押縁の内側フランジを破壊等する状態を示す拡大平面図である。
図20】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第4実施形態に係る押縁の内側フランジを破壊等する状態を示す拡大平面図である。
図21】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の押込治具を示す斜視図である。
図22】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第1実施形態に係る押縁に回転力及び押圧力が作用した状態を示す拡大平面図である。
図23】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第2実施形態に係る押縁に回転力及び押圧力が作用した状態を示す拡大平面図である。
図24】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第3実施形態に係る押縁に回転力及び押圧力が作用した状態を示す拡大平面図である。
図25】本発明を適用した透光性パネルの枠構造の第4実施形態に係る押縁に回転力及び押圧力が作用した状態を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、図1に示すように、高速道路等の道路や鉄道等軌道の境界に設置される透光性パネル8に導入される。
【0027】
透光性パネル8は、高速道路等の道路側又は鉄道等の軌道側において路側となる正面側Aと、高速道路等の側方の民地側となる背面側Bとを、奥行方向Zで隔てるようにして、高速道路等の道路や鉄道等軌道の境界に設置される。
【0028】
透光性パネル8は、H形鋼等で構成される支柱81の溝に、その両側部が落とし込まれる。支柱81は、道路又は鉄道等軌道に沿って間隔を空けて、複数隣り合わせて立設される。透光性パネル8は、必要に応じて、幅方向X及び高さ方向Yに複数並べられて、支柱81の溝に嵌合配置されることで、複数段に透光性パネル8が積まれて、透光性遮音壁80が形成されるものとなる。
【0029】
透光性パネル8は、図2に示すように、幅方向Xに延びる上横枠2及び下横枠3が設けられて、透光性パネル8の高さ方向Yの上端に上横枠2が配置されるとともに、透光性パネル8の高さ方向Yの下端に下横枠3が配置される。
【0030】
透光性パネル8は、高さ方向Yに延びる一対の支持枠4として、左縦枠41及び右縦枠42が設けられて、透光性パネル8の幅方向Xの左端に左縦枠41が配置されるとともに、透光性パネル8の幅方向Xの右端に右縦枠42が配置される。
【0031】
透光性パネル8は、上横枠2と下横枠3とが、高さ方向Yで互いに離間して、互いに略平行となるように設けられるとともに、左縦枠41と右縦枠42とが、幅方向Xで互いに離間して、互いに略平行となるように設けられる。
【0032】
透光性パネル8は、上横枠2及び下横枠3の幅方向Xの両端に、左縦枠41及び右縦枠42の各々が取り付けられて、略矩形状等となるように組み立てて形成される。透光性パネル8は、略矩形状等に形成された透光板5の上端、下端、左端及び右端の各々が、上横枠2、下横枠3、左縦枠41及び右縦枠42の各々に固定される。
【0033】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、図3に示すように、幅方向X及び高さ方向Yで平面状に延びて形成される透光板5と、左縦枠41及び右縦枠42に透光板5を固定するための押縁6と、透光板5を支持するための支持枠4とを備える。
【0034】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、図4に示すように、その両側部が支柱81の溝に嵌合配置されて、支柱81のフランジと左縦枠41及び右縦枠42との間に、バネ鋼等の固定部材(固定金具82)が設けられることで、支柱81のフランジに透光性パネル8を密着させて固定して、支柱81と透光性パネル8との隙間を無くして音漏れを防止するとともに、ガタ防止された状態で透光性パネル8が設置される。
【0035】
透光板5は、透光性を有する略平板状に形成された板材が用いられて、ポリカーボネート、アクリル又はガラス等を材質とする。透光板5は、例えば、正面側A及び背面側Bで単層又は合わせガラス等が用いられて、4mm〜15mm程度の板厚寸法tとなる。
【0036】
押縁6は、例えば、押出成形されるものであり、アルミニウム等を材質とする。押縁6は、奥行方向Zで透光板5より正面側Aに取り付けられて、奥行方向Zで透光板5より背面側Bに背面側支承壁43が設けられる支持枠4に、透光板5を固定するものとなる。
【0037】
押縁6は、図5に示すように、路側に配置されて高さ方向Yに延びる外側フランジ61と、透光板5側に配置されて高さ方向Yに延びる内側フランジ62とを有する。押縁6は、外側フランジ61と内側フランジ62とが、押縁6の幅方向Xの基端部6aで互いに連結される。
【0038】
押縁6は、外側フランジ61と内側フランジ62とが、押縁6の幅方向Xの中間部6bで、高さ方向Yに延びるウェブ63により互いに連結される。押縁6は、外側フランジ61、内側フランジ62及びウェブ63で取り囲まれて、略中空状のボックス部64が形成される。
【0039】
押縁6は、奥行方向Zで外側フランジ61に略直交させてウェブ63が設けられるが、外側フランジ61と内側フランジ62とが、奥行方向Zで斜めに延びるウェブ63で連結されてもよい。押縁6は、ウェブ63が斜めに延びることで、外側フランジ61と内側フランジ62との接続部が塑性変形しやすいものとなる。押縁6は、これに限らず、外側フランジ61と内側フランジ62とが、押縁6の基端部6aで互いに連結されるものとしながら、押縁6の中間部6bにウェブ63が設けられないものとして、略中空状のボックス部64が形成されないものとなってもよい。
【0040】
押縁6は、押縁6の幅方向Xの側端部6cで、外側フランジ61と内側フランジ62とが、奥行方向Zで互いに離間することで、外側フランジ61と内側フランジ62との間で、幅方向Xの側方に向けて開口する開口部60が形成されるものとなる。
【0041】
押縁6は、外側フランジ61の幅方向Xの側端に、外側突出部65が形成されるとともに、内側フランジ62の幅方向Xの側端に、内側突出部66が形成される。押縁6は、外側突出部65及び内側突出部66の各々が、奥行方向Zで開口部60の両側に配置される。
【0042】
支持枠4は、図6に示すように、奥行方向Zの背面側Bで透光板5を支持するための背面側支承壁43と、透光板5より奥行方向Zの正面側Aで押縁6が取り付けられる係止構造44とを有して、背面側支承壁43と押縁6との間に透光板5が挟み込まれるものとなる。
【0043】
支持枠4は、透光板5より奥行方向Zの正面側Aで押縁6を取り付けるための係止構造44として、押縁6の外側突出部65と互いに係止される外側係止部45と、押縁6の内側突出部66と互いに係止される内側係止部46とを有する。
【0044】
支持枠4は、係止構造44の外側係止部45が、押縁6の外側フランジ61の側端と幅方向Xで対応するように配置されるとともに、係止構造44の内側係止部46が、押縁6の内側フランジ62の側端と幅方向Xで互いに対応するように配置される。
【0045】
支持枠4は、押縁6が係止構造44に取り付けられて、押縁6の内側フランジ62と背面側支承壁43とが奥行方向Zで互いに離間することで、透光板5の幅方向Xの側端が挿入される枠溝部40が、押縁6の内側フランジ62と背面側支承壁43との間に形成される。
【0046】
透光板5は、支持枠4の背面側支承壁43との間に緩衝材51が設けられるとともに、押縁6との間にシール材52が設けられる。透光板5は、これに限らず、シール材52の代わりに緩衝材51が、押縁6との間に設けられてもよい。
【0047】
緩衝材51は、例えば、クロロプレンゴム、EPDM等を材質としたガスケット材が用いられる。緩衝材51は、支持枠4の背面側支承壁43に形成された溝43aに嵌め込まれて、奥行方向Zの背面側Bから透光板5に当接される。緩衝材51は、支持枠4の背面側支承壁43に沿わせて、高さ方向Yで連続的又は断続的に延びて設けられる。
【0048】
シール材52は、例えば、シリコン等を材質とするコーキング材が用いられる。シール材52は、押縁6の内側フランジ62と透光板5とが奥行方向Zで互いに離間して形成された間隙Sに充填されて、奥行方向Zの正面側Aから透光板5に接着される。シール材52は、押縁6の内側フランジ62に沿わせて、高さ方向Yで連続的又は断続的に間隙Sに充填される。
【0049】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、奥行方向Zに移動しないように透光板5を固定するものとなり、透光板5の幅方向Xの側端が、支持枠4の背面側支承壁43と、押縁6の内側フランジ62とに挟み込まれて、枠溝部40に透光板5が挿入された状態となる。
【0050】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、第1実施形態において、図7に示すように、押縁6の外側フランジ61の外側突出部65が、奥行方向Zの正面側Aに向けて湾曲させて形成されるとともに、押縁6の内側フランジ62の内側突出部66に、奥行方向Zの背面側Bに向けて突出させて、突出爪66aが形成されるものとなる。
【0051】
このとき、支持枠4の係止構造44は、押縁6の外側突出部65の湾曲した形状に合わせて、押縁6の外側突出部65を奥行方向Zに係止させる係止溝45aが、外側係止部45に形成される。外側係止部45は、係止溝45aの正面側Aに第1突起44aが設けられるとともに、係止溝45aの背面側Bに第2突起44bが設けられる。
【0052】
また、支持枠4の係止構造44は、奥行方向Zの正面側Aに向けて突出する係止爪46aが、押縁6の突出爪66aに背面側Bから係止されるものとして、内側係止部46に形成される。内側係止部46は、正面側Aに向けて突出する係止爪46aと、背面側Bに向けて突出する突出爪66aとが、幅方向Xで互いに係止されるものとなり、係止爪46aの背面側Bに第3突起44cが設けられる。
【0053】
内側突出部66及び内側係止部46は、互いに係止させるときに摺動するものとして、奥行方向Zで傾斜させて延びるテーパ面55が、突出爪66a及び係止爪46aの何れか一方又は両方の外側に形成される。また、内側突出部66及び内側係止部46は、互いに係止させた後に面状に当接するものとして、奥行方向Zで傾斜することなく略直線状に延びる係合面56が、突出爪66a及び係止爪46aの何れか一方又は両方の内側に形成される。
【0054】
テーパ面55は、内側突出部66の突出爪66aにおいて、奥行方向Zで背面側Bより正面側Aが、幅方向Xで支持枠4側に突出するものとなるように、奥行方向Zで傾斜させて延びるものとなり、また、内側係止部46の係止爪46aにおいて、奥行方向Zで正面側Aより背面側Bが、幅方向Xで押縁6側に突出するものとなるように、奥行方向Zで傾斜させて延びるものとなる。
【0055】
押縁6は、外側フランジ61と内側フランジ62とが、押縁6の幅方向Xの中間部6bより側端部6cで、奥行方向Zに離間したものとなるように、内側フランジ62に傾斜部62aが形成される。傾斜部62aは、幅方向Xで内側フランジ62の側端に向けて略直線状に、奥行方向Zで透光板5側に傾斜して形成される。
【0056】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、第2実施形態において、図8に示すように、押縁6の外側フランジ61の外側突出部65が、奥行方向Zの正面側Aに向けて湾曲させて形成されるとともに、押縁6の内側フランジ62の内側突出部66に、奥行方向Zの正面側Aに向けて突出させて、突出爪66aが形成されるものとなる。
【0057】
このとき、支持枠4の係止構造44は、押縁6の外側突出部65の湾曲した形状に合わせて、押縁6の外側突出部65を奥行方向Zに係止させる係止溝45aが、外側係止部45に形成される。外側係止部45は、係止溝45aの正面側Aに第1突起44aが設けられるとともに、係止溝45aの背面側Bに第2突起44bが設けられる。
【0058】
また、支持枠4の係止構造44は、奥行方向Zの背面側Bに向けて突出する係止爪46aが、押縁6の突出爪66aに正面側Aから係止されるものとして、内側係止部46に形成される。内側係止部46は、背面側Bに向けて突出する係止爪46aと、正面側Aに向けて突出する突出爪66aとが、幅方向Xで互いに係止されるものとなり、係止爪46aの正面側Aで第2突起44bに連続して第4突起44dが設けられるとともに、係止爪46aの背面側Bに第3突起44cが設けられる。
【0059】
内側突出部66及び内側係止部46は、互いに係止させるときに摺動するものとして、奥行方向Zで傾斜させて延びるテーパ面55が、突出爪66a及び係止爪46aの何れか一方又は両方の外側に形成される。また、内側突出部66及び内側係止部46は、互いに係止させた後に面状に当接するものとして、奥行方向Zで傾斜することなく略直線状に延びる係合面56が、突出爪66a及び係止爪46aの何れか一方又は両方の内側に形成される。
【0060】
テーパ面55は、内側突出部66の突出爪66aにおいて、幅方向Xで支持枠4側より押縁6側が、奥行方向Zで正面側Aに突出するものとなるように、奥行方向Zで傾斜させて延びるものとなり、また、内側係止部46の係止爪46aにおいて、幅方向Xで押縁6側より支持枠4側が、奥行方向Zで背面側Bに突出するものとなるように、奥行方向Zで傾斜させて延びるものとなる。
【0061】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、第3実施形態において、図9に示すように、押縁6の外側フランジ61の外側突出部65が、奥行方向Zの正面側Aに向けて湾曲させて形成されるとともに、押縁6の内側フランジ62の内側突出部66に、奥行方向Zの正面側Aに向けて突出させて、突出爪66aが形成されるものとなる。
【0062】
このとき、支持枠4の係止構造44は、押縁6の外側突出部65の湾曲した形状に合わせて、押縁6の外側突出部65を奥行方向Zに係止させる係止溝45aが、外側係止部45に形成される。外側係止部45は、係止溝45aの正面側Aに第1突起44aが設けられるとともに、係止溝45aの背面側Bに第2突起44bが設けられる。
【0063】
また、支持枠4の係止構造44は、奥行方向Zの背面側Bに向けて突出する係止爪46aが、押縁6の突出爪66aに正面側Aから係止されるものとして、内側係止部46に形成される。内側係止部46は、背面側Bに向けて突出する係止爪46aと、正面側Aに向けて突出する突出爪66aとが、幅方向Xで互いに係止されるものとなり、係止爪46aの正面側Aで第2突起44bと離間して第4突起44dが設けられる。
【0064】
内側突出部66及び内側係止部46は、互いに係止させるときに摺動するものとして、奥行方向Zで傾斜させて延びるテーパ面55が、突出爪66a及び係止爪46aの何れか一方又は両方の外側に形成される。また、内側突出部66及び内側係止部46は、互いに係止させた後に面状に当接するものとして、奥行方向Zで傾斜することなく略直線状に延びる係合面56が、突出爪66a及び係止爪46aの何れか一方又は両方の内側に形成される。
【0065】
テーパ面55は、内側突出部66の突出爪66aにおいて、幅方向Xで支持枠4側より押縁6側が、奥行方向Zで正面側Aに突出するものとなるように、奥行方向Zで傾斜させて延びるものとなり、また、内側係止部46の係止爪46aにおいて、幅方向Xで押縁6側より支持枠4側が、奥行方向Zで背面側Bに突出するものとなるように、奥行方向Zで傾斜させて延びるものとなる。
【0066】
なお、本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、第3実施形態において、図10に示すように、支持枠4の外側係止部45が、奥行方向Zの正面側Aに向けて湾曲させて形成されるとともに、支持枠4の外側係止部45の湾曲した形状に合わせて、支持枠4の外側係止部45を奥行方向Zに係止させる係止溝45aが、押縁6の外側突出部65に形成されてもよい。
【0067】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、第4実施形態において、図11に示すように、押縁6の外側フランジ61の外側突出部65に、奥行方向Zの背面側Bに向けて湾曲して突出させた回転爪65aが形成されるとともに、押縁6の内側フランジ62の内側突出部66に、奥行方向Zの正面側Aに向けて突出させて、突出爪66aが形成されるものとなる。
【0068】
このとき、支持枠4の係止構造44は、奥行方向Zの背面側Bに窪ませた係止溝45aが、押縁6の回転爪65aを正面側Aから係止させるものとして、外側係止部45に形成される。外側係止部45は、背面側Bに向けて突出する押縁6の回転爪65aを、背面側Bに窪ませた係止溝45aに幅方向Xで係止させるものとなり、係止溝45aの背面側Bに第2突起44bが設けられる。
【0069】
また、支持枠4の係止構造44は、奥行方向Zの背面側Bに向けて突出する係止爪46aが、押縁6の突出爪66aに正面側Aから係止されるものとして、内側係止部46に形成される。内側係止部46は、背面側Bに向けて突出する係止爪46aと、正面側Aに向けて突出する突出爪66aとが、幅方向Xで互いに係止されるものとなり、係止爪46aの正面側Aで第2突起44bと離間して第4突起44dが設けられる。
【0070】
内側突出部66及び内側係止部46は、互いに係止させるときに摺動するものとして、奥行方向Zで傾斜させて延びるテーパ面55が、突出爪66a及び係止爪46aの何れか一方又は両方の外側に形成される。また、内側突出部66及び内側係止部46は、互いに係止させた後に面状に当接するものとして、奥行方向Zで傾斜することなく略直線状に延びる係合面56が、突出爪66a及び係止爪46aの何れか一方又は両方の内側に形成される。
【0071】
テーパ面55は、内側突出部66の突出爪66aにおいて、幅方向Xで支持枠4側より押縁6側が、奥行方向Zで正面側Aに突出するものとなるように、奥行方向Zで傾斜させて延びるものとなり、また、内側係止部46の係止爪46aにおいて、幅方向Xで押縁6側より支持枠4側が、奥行方向Zで背面側Bに突出するものとなるように、奥行方向Zで傾斜させて延びるものとなる。
【0072】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、透光板5の正面側Aで、押縁6を支持枠4に取り付けるときに、第1実施形態〜第4実施形態の何れにおいても、図12に示すように、最初に、支持枠4の溝43aに緩衝材51を嵌め込んで、透光板5を背面側Bで緩衝材51に当接させるとともに、押縁6の外側フランジ61の外側突出部65を、支持枠4の外側係止部45に引っ掛ける。
【0073】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、次に、押縁6の外側突出部65を回転軸として、奥行方向Zの正面側Aから背面側Bに向けて押縁6を回転させることで、押縁6の内側フランジ62が奥行方向Zで透光板5に接近するとともに、押縁6の内側突出部66が幅方向Xで支持枠4の内側係止部46に接近する。
【0074】
このとき、本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、第1実施形態〜第3実施形態において、図13(a)に示すように、押縁6の湾曲した外側突出部65が、外側係止部45の湾曲した係止溝45aに挿入されて、湾曲した係止溝45aに沿って移動することで、押縁6の外側突出部65を回転軸として、押縁6が奥行方向Zの背面側Bに回転するものとなる。
【0075】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、第4実施形態においても、図13(b)に示すように、押縁6の外側突出部65の湾曲させた回転爪65aが、外側係止部45の係止溝45aに当接されて回転移動することで、押縁6の外側突出部65を回転軸として、押縁6が奥行方向Zの背面側Bに回転するものとなる。
【0076】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、第1実施形態において、図14に示すように、押縁6の内側突出部66が幅方向Xで支持枠4の内側係止部46に接近して、内側突出部66と内側係止部46とを互いに係止させるときに、突出爪66aのテーパ面55と係止爪46aのテーパ面55とを互いに対向させて当接させながら、突出爪66aのテーパ面55が正面側Aに移動する。
【0077】
このとき、内側突出部66及び内側係止部46は、図14(a)に示すように、互いに係止させるときに、テーパ面55が摺動するものとなり、押縁6の内側フランジ62が正面側Aに傾斜して弾性変形することで、図14(b)に示すように、突出爪66aと係止爪46aとが幅方向Xで互いに係止されて、押縁6が支持枠4に正確に取り付けられるものとなる。
【0078】
また、内側突出部66及び内側係止部46は、互いに係止させた後に面状に当接するものとして、突出爪66a及び係止爪46aの内側に係合面56が形成されるため、押縁6が支持枠4に正確に取り付けられた状態から、押縁6の内側フランジ62を正面側Aに傾斜させて弾性変形等させない限り、押縁6を支持枠4から取り外すことができないものとなる。
【0079】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、第2実施形態〜第4実施形態においても、図15(a)、図16(a)に示すように、内側突出部66及び内側係止部46で、テーパ面55が摺動するため、押縁6の内側フランジ62が背面側Bに傾斜して弾性変形することで、図15(b)、図16(b)に示すように、押縁6が支持枠4に正確に取り付けられるとともに、押縁6を支持枠4から容易に取り外すことができないものとなる。
【0080】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、透光板5の正面側Aで、押縁6を支持枠4に取り付けた後に、第1実施形態〜第4実施形態の何れにおいても、図6に示すように、最後に、押縁6の内側フランジ62と透光板5との間隙Sにシール材52を充填することで、押縁6の内側フランジ62及び透光板5に、透光板5の正面側Aからシール材52を接着させる。
【0081】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、透光板5の正面側Aで、押縁6を支持枠4から取り外すときに、第1実施形態〜第4実施形態の何れにおいても、図17に示すように、最初に、透光板5の正面側Aから、透光板5及び内側フランジ62に接着したシール材52を切除して、シール材52が間隙Sに設けられていない状態とする。
【0082】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、次に、図18図20に示すように、第1実施形態、第3実施形態及び第4実施形態において、押縁6の内側フランジ62と透光板5との間隙Sから、枠溝部40に押込治具7を挿入して、押込治具7の先端部7aで内側フランジ62を奥行方向Zの正面側Aに向けて押し込むことで、内側フランジ62が奥行方向Zに弾性変形又は塑性変形されるものとなる。
【0083】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、外側フランジ61と内側フランジ62とが、奥行方向Zで互いに離間して開口部60が形成されるものであり、第1実施形態、第3実施形態及び第4実施形態の何れにおいても、奥行方向Zの透光板5側から、内側フランジ62を奥行方向Zに弾性変形又は塑性変形させるものとして、内側係止部46及び外側係止部45に向けて開口する開口部60が形成される。
【0084】
このとき、内側突出部66及び内側係止部46は、押縁6が支持枠4に取り付けられた状態から、押縁6の内側フランジ62が奥行方向Zに変形して破壊等されることで、突出爪66aと係止爪46aとの係止状態が解除されるものとなり、押縁6を支持枠4から容易に取り外すことができるものとなる。
【0085】
なお、押込治具7は、例えば、図21に示すように、高さ方向Yに延びるステンレスや鋼等を材質とする板材が、奥行方向Zの正面側Aから背面側Bに向けて屈曲させて形成されるとともに、幅方向Xの先端部7aが、奥行方向Zの正面側Aに向けて突出するように形成される。押込治具7は、これに限らず、鋏状の治具が用いられてもよく、また、幅方向Xの先端部7aが正面側Aに突出させて形成されなくてもよい。
【0086】
透光性遮音壁80は、図1に示すように、道路からの飛び石等により、路面に近接した下段の透光板5の破損する確率が高い。従来のパネルにおいては、複数段のパネルが高さ方向Yに積まれて設置されているため、支柱81から上段のパネルを全て引き抜いてから、パネルごと交換することが必要となる。これに対して、本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、パネルごと交換することを必要としないで、また、ビスの取付取外作業も必要なく、破損した透光板5のみを容易に交換することが可能となる。
【0087】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、図7図11に示すように、第1実施形態〜第4実施形態の何れにおいても、外側突出部65と外側係止部45とを互いに係止させるとともに、内側突出部66と内側係止部46とを互いに係止させるため、押縁6で固定するためのビスを用いることなく、押縁6を支持枠4に取り付けることができるものとなり、押縁6の組付作業時に、多数のビスの締込作業を必要としないものとして、透光性パネル8の製造効率を向上させることが可能となる。
【0088】
また、本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、図14図16に示すように、第1実施形態〜第4実施形態において、押縁6を支持枠4から容易に取り外すことができないものとすると同時に、特に、第1実施形態、第3実施形態及び第4実施形態においては、図18図20に示すように、押込治具7で人為的に内側フランジ62を破壊等することにより、ビスの取外作業を必要とすることなく、押縁6を支持枠4から人為的な作業で容易に取り外すことができる。
【0089】
第1実施形態においては、特に、図22に示すように、透光板5に対する背面側Bからの風等の外力により、奥行方向Zの背面側Bから正面側Aに向けた回転力Rが、押縁6に作用した場合であっても、内側突出部66が第3突起44cに奥行方向Zで係止されるため、押縁6の内側フランジ62が、背面側Bからの外力により離脱することを防止することが可能となる。
【0090】
第1実施形態〜第4実施形態の何れにおいても、図22図25に示すように、透光板5と内側フランジ62とにシール材52が接着されるため、透光板5に対する正面側Aからの落下した積荷の衝突、風等の外力により、押縁6がシール材52で背面側Bに引っ張られることで、奥行方向Zの正面側Aから背面側Bに向けた回転力Rが、押縁6に作用するものとなる。
【0091】
このとき、第1実施形態〜第3実施形態の何れにおいても、図22図24に示すように、正面側Aから背面側Bに向けた回転力Rが、押縁6に作用した場合であっても、外側突出部65が第1突起44aに奥行方向Zで係止されるため、押縁6の外側フランジ61が、落下した積荷の衝突、風等の外力により離脱することを防止することが可能となる。
【0092】
また、第4実施形態においても、図25に示すように、押縁6がシール材52で背面側Bに引っ張られて、正面側Aから背面側Bに向けた回転力Rが、押縁6に作用した場合であっても、内側突出部66の突出爪66aが第4突起44dに食い込むことで、押縁6の内側フランジ62が、落下した積荷の衝突、風等の外力により離脱することを防止することが可能となる。
【0093】
第1実施形態〜第4実施形態の何れにおいても、図22図25に示すように、奥行方向Zの正面側Aから背面側Bに向けた押圧力Pが、押縁6の外側フランジ61に正面側Aから作用した場合であっても、外側突出部65が第2突起44bに奥行方向Zで係止されるため、押縁6の外側フランジ61が、施工、運搬時の衝撃力等に起因する押圧力Pにより離脱することを防止することが可能となる。
【0094】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、透光板5と内側フランジ62とにシール材52が接着されるため、万が一、内側突出部66と内側係止部46との係止が解除された場合であっても、押縁6が脱落しないものとなり、透光板5の外れを防止することが可能となる。
【0095】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、外側フランジ61又は内側フランジ62が、落下した積荷の衝突、風等の外力又は施工、運搬時の衝撃力等の押圧力Pにより容易に離脱しないものとしながら、枠溝部40からの押込治具7等による人為的な作業によってのみ押縁6を取り外すことができるものとして、透光板5の交換容易性を向上させることができる。
【0096】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、特に、押縁6の内側フランジ62で、内側突出部66と内側係止部46とが、テーパ面55と係合面56とで容易かつ正確に係止されて、支持枠4からの押縁6の脱落を防止して、透光性パネル8が境界に設置された高速道路等の通行の安全性を向上させると同時に、透光板5が部分的に破損した場合等には、透光板5の交換作業を容易に実施して、高速道路等の長時間の通行規制を回避することが可能となる。
【0097】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、押縁6の内側フランジ62に傾斜部62aが形成されることで、押込治具7で内側フランジ62を正面側Aに押し込みやすくして、押込治具7で内側フランジ62を容易に破壊等させることができるものとなり、枠溝部40からの人為的な作業による透光板5の交換容易性を一段と向上させることが可能となる。
【0098】
また、本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、図14図16に示すように、第1実施形態〜第4実施形態の何れにおいても、突出爪66aと係止爪46aとが幅方向Xで互いに係止されて、押縁6が支持枠4に正確に取り付けられるものとなるため、押縁6を中途半端に取り付けることができないものとなり、押縁6の組付精度を向上させることが可能となる。
【0099】
さらに、本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、押縁6の内側フランジ62が傾斜して弾性変形することで、突出爪66aと係止爪46aとが幅方向Xで互いに係止されるため、突出爪66a及び係止爪46aの寸法誤差を吸収しながら、押縁6を支持枠4に正確に取り付けることが可能となる。
【0100】
本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、押縁6が支持枠4に正確に取り付けられるため、押縁6を中途半端に取り付けることができないものとなることで、高速道路等の道路や鉄道等軌道の境界に透光性パネル8を設置して、車両等が通行するときの振動、又は、落下した積荷の衝突、風等の外力が作用したとしても、支持枠4から押縁6が脱落しないものとなり、透光板5の外れを防止することが可能となる。
【0101】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0102】
例えば、本発明を適用した透光性パネル8の枠構造1は、上横枠2及び下横枠3を支持枠4として、上横枠2及び下横枠3の何れか一方又は両方に、押縁6が取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 :枠構造
2 :上横枠
3 :下横枠
4 :支持枠
40 :枠溝部
41 :左縦枠
42 :右縦枠
43 :背面側支承壁
43a :溝
44 :係止構造
44a :第1突起
44b :第2突起
44c :第3突起
44d :第4突起
45 :外側係止部
45a :係止溝
46 :内側係止部
46a :係止爪
5 :透光板
51 :緩衝材
52 :シール材
55 :テーパ面
56 :係合面
6 :押縁
6a :基端部
6b :中間部
6c :側端部
60 :開口部
61 :外側フランジ
62 :内側フランジ
62a :傾斜部
63 :ウェブ
64 :ボックス部
65 :外側突出部
65a :回転爪
66 :内側突出部
66a :突出爪
7 :押込治具
7a :先端部
8 :透光性パネル
80 :支柱
81 :固定金具
82 :透光性遮音壁
A :正面側
B :背面側
X :幅方向
Y :高さ方向
Z :奥行方向
図1
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図3
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