特許第6570859号(P6570859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570859
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】ゲート装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/28 20060101AFI20190826BHJP
   E05F 15/72 20150101ALI20190826BHJP
   E05F 15/79 20150101ALI20190826BHJP
   B61B 1/02 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   E06B7/28 D
   E05F15/72
   E05F15/79
   B61B1/02
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-64000(P2015-64000)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-183491(P2016-183491A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2018年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 祥子
(72)【発明者】
【氏名】小森 美樹
(72)【発明者】
【氏名】濱中 均
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0134128(US,A1)
【文献】 米国特許第03341974(US,A)
【文献】 実開平03−066380(JP,U)
【文献】 実開昭51−042646(JP,U)
【文献】 特開昭58−135288(JP,A)
【文献】 特開2007−320438(JP,A)
【文献】 実開平06−037753(JP,U)
【文献】 実開平06−035573(JP,U)
【文献】 特開2000−108897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
E06B 5/00
E06B 7/28
E01F 1/00
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に気体の流路を有する扉と、
前記流路を移動する気体を加熱する加熱手段と、
前記流路に連通する連通流路と
を備え、
前記加熱手段を前記連通流路内に有し、
前記流路において前記気体が流入する開口部を前記扉の下部に有するゲート装置。
【請求項2】
前記流路の中の気体を移動させる送風手段
を備える請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
前記流路の一部は前記扉の閉じられた状態において他の部材と当接する端部の内部または近傍に配置されている
請求項1または2に記載のゲート装置。
【請求項4】
前記端部は前記流路の一部を有する弾性体である
請求項に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記扉または外気の温度を計測する温度計測手段と、
前記温度計測手段により計測された温度に基づき、前記加熱手段の動作を制御する制御手段と
を備える請求項1乃至のいずれか1項に記載のゲート装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記扉の開閉状態に基づき、前記加熱手段の動作を制御する
請求項に記載のゲート装置。
【請求項7】
前記扉の閉状態の継続時間を計測する時間計測手段を備え、
前記制御手段は、前記時間計測手段により計測された時間に基づき、前記加熱手段の動作を制御する
請求項に記載のゲート装置。
【請求項8】
前記扉が閉状態のときに前記扉が有する前記流路と連通して気体の循環流路を形成する流路を内部に有する筐体を備える
請求項1乃至のいずれか1項に記載のゲート装置。
【請求項9】
前記加熱手段は前記筐体に収容される
請求項に記載のゲート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷地においてゲート装置の扉が凍結により開閉不全に陥る場合がある。凍結による扉の開閉不全を解消するための技術を開示する文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、寒冷地においてガイドレール上をスライドして開閉される車両の乗降口ドアの凍結を防止するために、乗降口ドアのガイドとガイドレールとが接する部分を凍結防止ヒータで温める仕組みが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−108897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
扉を開閉することにより通行人の通行を許可および禁止するゲート装置のなかには、閉状態の扉の端部が対となる他の扉の端部や柱等に当接するものがある。このように扉の端部が他の部材(以下、「被当接部材」という)に当接するタイプのゲート装置が寒冷地において使用される場合、閉状態が長時間に渡り継続すると、扉の端部と被当接部材が氷により固着してしまい、扉を開くことができなくなる、という不都合が生じる。
【0005】
本発明は、上記の背景に鑑み、閉状態の扉の端部が被当接部材に当接するタイプのゲート装置が寒冷地において使用される際の氷による開閉不全を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、内部に気体の流路を有する扉と、前記流路を移動する気体を加熱する加熱手段と、前記流路に連通する連通流路とを備え、前記加熱手段を前記連通流路内に有し、前記流路において前記気体が流入する開口部を前記扉の下部に有するゲート装置を第1の態様として提供する。
【0007】
第1の態様のゲート装置によれば、扉の内部を移動する気体により扉が加熱されるため、氷による固着が生じにくく、扉の開閉不全が低減される。
【0008】
上記の第1の態様のゲート装置において、前記流路の中の気体を移動させる送風手段を備える、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0009】
の態様のゲート装置によれば、加熱された気体が扉の内部の流路を自然と流れる際の速度が遅い場合であっても、送風手段により気体が強制的に移動されるため、扉が効率的に加熱される。
【0010】
上記の第1またはの態様ゲート装置において、前記流路の一部は前記扉の閉じられた状態において他の部材と当接する端部の内部または近傍に配置されている、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0011】
の態様のゲート装置によれば、他の部材と当接する端部が効率的に加熱されるため、当該他の部材と扉との間の氷による固着が生じにくく、扉の開閉不全が低減される。
【0012】
上記の第の態様のゲート装置において、前記端部は前記流路の一部を有する弾性体である、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0013】
の態様のゲート装置によれば、扉が他の部材と当接する際、弾性体である端部により緩衝されるため、騒音や振動の発生が低減されるとともに、端部が効率的に加熱されるため、当該他の部材と扉との間の氷による固着が生じにくく、扉の開閉不全が低減される。
【0014】
上記の第1乃至第のいずれかの態様のゲート装置において、前記扉または外気の温度を計測する温度計測手段と、前記温度計測手段により計測された温度に基づき、前記加熱手段の動作を制御する制御手段とを備える、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0015】
の態様のゲート装置によれば、例えば外気が氷点下でない場合は加熱を行わない、といった制御が可能となる。従って、ゲート装置のエネルギー消費量が低減される。
【0016】
上記の第の態様のゲート装置において、前記制御手段は、前記扉の開閉状態に基づき、前記加熱手段の動作を制御する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0017】
の態様のゲート装置によれば、例えば扉が開いている状態においては加熱を行わない、といった制御が可能となる。従って、ゲート装置のエネルギー消費量が低減される。
【0018】
上記の第の態様のゲート装置において、前記扉の閉状態の継続時間を計測する時間計測手段を備え、前記制御手段は、前記時間計測手段により計測された時間に基づき、前記加熱手段の動作を制御する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0019】
の態様のゲート装置によれば、例えば扉が閉じられた状態の継続時間が、扉の端部に着氷が生じない程度の短時間である間は加熱を行わない、といった制御が可能となる。従って、ゲート装置のエネルギー消費量が低減される。
【0020】
上記の第1乃至第のいずれかの態様のゲート装置において、前記扉が閉状態のときに前記扉が有する前記流路と連通して気体の循環流路を形成する流路を内部に有する筐体を備える、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0021】
の態様のゲート装置によれば、扉が閉じられた状態において加熱された気体が循環するため、扉の効率的な加熱が行われる。
【0022】
上記の第の態様のゲート装置において、前記加熱手段は前記筐体に収容される、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0023】
の態様のゲート装置によれば、筐体内に配置された加熱手段により加熱された気体が扉の内部の流路を循環するため、扉に加熱手段を配置するスペースがない場合であっても、扉の効率的な加熱が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態にかかる閉状態のゲート装置の正面図。
図2】一実施形態にかかる開状態のゲート装置の正面図。
図3】一実施形態にかかるゲート装置の本体が扉をスライドさせる機構を示した図。
図4】一実施形態にかかるゲート装置の扉が内部に有する流路を示した図。
図5】一実施形態にかかるゲート装置の筐体が内部に有する流路を示した図。
図6】一実施形態にかかるゲート装置が備える加熱制御装置の機能構成を示した図。
図7】一実施形態にかかるゲート装置の扉の内部の流路と筐体の内部の流路が連通した状態を示した図。
図8】一変形例にかかるゲート装置の扉の内部の流路を示した図。
図9】一変形例にかかるゲート装置の構成を示した図。
図10】一変形例にかかるゲート装置の構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[実施形態]
以下に本発明の一実施形態にかかるゲート装置1を説明する。ゲート装置1は、例えば駅のホームの線路側縁部等に配置されている防護壁の間に配置され、列車の利用者(通行人)の乗車および降車の際に扉を開き、それ以外の期間は扉を閉じる。図1は扉を閉じている状態(本願において「閉状態」という)のゲート装置1の正面図である。また、図2は扉を開いている状態(本願において「開状態」という)のゲート装置1の正面図である。
【0026】
ゲート装置1は本体11と扉12を備える。本体11は開状態において扉12を収容し、閉状態において水平方向に扉12を突出させた状態で保持する。なお、開状態において本体11は必ずしも扉12の全てを収容する必要はなく、例えば扉12の一部が開状態においても本体11から突出していてもよい。本体11の扉12を突出させる側と反対側の側面には、防護壁9Rが連結されている。
【0027】
扉12は開状態において本体11に収容され通行人の通行を許可し、閉状態において本体11から突出し、通行人の通行を禁止する規制手段の役割を果たす。本体11の扉12を突出させる側には、本体11から概ね扉12の突出する長さと等しい間隔をおいて、防護壁9Lが配置されている。扉12は本体121と、扉12の突出の方向における本体121の前側の縁部を覆うように配置された端部122を有する。なお、以下の説明においてゲート装置1の前後をいうとき、扉12の突出の方向における前後をいうものとする。
【0028】
閉状態において扉12の端部122は防護壁9Lの側面に当接する。端部122は、例えばゴム等の弾性体でできている。そのため、端部122が防護壁9Lの側面に当接する際に騒音や振動が生じにくい。なお、防護壁9Lの側面は扉12の端部122によって当接される被当接部材の一例である。
【0029】
図3は本体11が扉12をスライドさせる機構を示した図である。本体11の筐体111の内側底部には、スライドする扉12をガイドするためのガイドレール112が設けられている。また、筐体111の内部には、ガイドレール112の上に配置された扉12を水平方向にスライドさせる駆動ユニット113が設けられている。駆動ユニット113は開閉制御装置114の制御下で扉12をスライドさせて、ゲート装置1の閉状態と開状態を切り替える。
【0030】
扉12の内部には空気の流路が設けられている。図4は扉12が内部に有する流路123を示した図である。流路123は扉12の後側の下方に配置される開口部1231から流れ込む空気を端部122へと導き、さらに端部122の上方へと導いた後、扉12の後側の上方に配置される開口部1232から外部へと導く。
【0031】
端部122の内部には流路123の一部を形成する管状の空隙が設けられている。また、本体121の内部には流路123の一部を形成するパイプが設けられている。端部122の空隙と本体121内のパイプは互いに連通されて流路123を形成している。本体121内のパイプは、例えば断熱材でその周囲を覆われている。
【0032】
筐体111の内部には、閉状態において扉12が有する流路123と連通して、空気の循環流路を形成する流路が設けられている。図5は筐体111が内部に有する流路115を示した図である。流路115は閉状態の扉12の開口部1232に対面する位置に配置されたる開口部1151から流れ込む空気を筐体111内の後側に導き、下方へと導いた後、閉状態の扉12の開口部1231に対面する位置に配置される開口部1152から外部へと導く。流路115は筐体111内に配置されたパイプにより形成される。筐体111内のパイプは、例えば断熱材でその周囲を覆われている。
【0033】
筐体111内の後側のスペースには、流路115内の空気を図5の矢印で示す方向に強制的に移動させる送風装置116と、流路115を移動する空気を加熱する加熱装置117と、送風装置116および加熱装置117の動作を制御する加熱制御装置118が設けられている。加熱制御装置118には外気の温度を計測する温度計側装置119が接続されている。
【0034】
加熱制御装置118はASIC等の集積回路等を備える専用装置として実現されてもよいし、汎用のコンピュータがプログラムに従った処理を実行することにより実現されてもよい。図6は加熱制御装置118の機能構成を示した図である。温度計側装置119は、機能構成部として、開閉制御装置114から扉12の開閉状態を示す開閉状態データを取得する開閉状態取得手段1181と、温度計側装置119から外気の温度を示す温度データを取得する温度取得手段1182と、扉12の閉状態の継続時間を計測し計測結果を示す時間データを生成する時間計測手段1183と、送風装置116および加熱装置117の動作を制御する制御手段1184を備える。なお、送風装置116と加熱装置117の流路115における配置は逆であってもよい。
【0035】
制御手段1184は、開閉状態取得手段1181が取得する開閉状態データと、温度取得手段1182が取得する温度データと、時間計測手段1183が生成する時間データとに基づき、例えば以下の規則に従い送風装置116および加熱装置117の動作を制御する。
(1)扉12が開状態の間は送風装置116および加熱装置117を運転させない。
(2)外気の温度が予め定められた温度の閾値以上(例えば、摂氏0度以上)であれば、扉12の開閉状態にかかわらず、送風装置116および加熱装置117を運転させない。
(3)外気の温度が予め定められた温度の閾値未満(例えば、摂氏0度未満)のとき、扉12の閉状態の継続時間が、外気の温度に応じて変化する時間の閾値を超えたとき、送風装置116および加熱装置117を運転させる。なお、外気の温度に応じて変化する時間の閾値は、外気の温度が低いほど短い時間となるように、予め定められている。
(4)加熱装置117を運転させるとき、外気の温度が低いほど加熱装置117による加熱の温度を高くする。
【0036】
なお、制御手段1184が行う制御の規則は上述したものに限られない。例えば、前回に加熱装置117を運転させた時間や加熱の温度と、前回の加熱装置117の運転が終了した後の経過時間とに応じて、新たに加熱装置117を運転させる場合の時間の閾値を変化させたり、加熱の温度を変化させたりしてもよい。
【0037】
上述したように、扉12の内部に設けられた流路123と筐体111の内部に設けられた流路115は、扉12が閉状態のときに互いに連通して、空気の循環経路を形成する。図7は流路123と流路115が連通した状態を示した図である。図7に示されるように、扉12が閉状態のとき、流路123の開口部1231と流路115の開口部1152が連通し、流路123の開口部1232と流路115の開口部1151が連通する。
【0038】
流路123と流路115が連通した状態で、加熱制御装置118の制御下で送風装置116と加熱装置117が運転を行うと、加熱装置117により加熱された空気が送風装置116により図7の矢印で示す方向に循環する。端部122は内部の空隙を通過する加熱された空気により暖められる。そのため、端部122が氷により防護壁9Lの側面に固着されることはない。その結果、端部122と防護壁9Lの側面が氷により固着することに起因するゲート装置1の開閉不全が防止される。
【0039】
なお、ゲート装置1においては扉12に端部122を暖めるためのヒータや電線等を設ける必要がない。そのため、扉12の移動に伴い電線が断線する等による故障が生じず、保守性および耐久性において優れる。
【0040】
[変形例]
上述した実施形態は様々に変形することができる。以下にそれらの変形の例を示す。なお、上述した実施形態および以下に示す変形例は適宜組み合わされてもよい。
【0041】
(1)上述した実施形態において、流路123の一部は端部122の内部に形成されている。これに代えて、端部122の内部には流路123の一部を形成する空隙は設けず、流路123の一部が端部122の近傍に配置されてもよい。図8は端部122の内部ではなく近傍に配置される流路123の位置を例示した図である。図8において斜線が付された部分、すなわち本体121のうち端部122に近接する部分を、流路123の一部を形成するパイプが通過している。なお、本体121内に配置されたパイプのうち、図8において斜線が付された部分はその周囲は断熱材で覆われておらず、直接、もしくは熱良伝導材を介して、端部122に接している。そのため、加熱された空気の熱がパイプから端部122へと速やかに伝導し、端部122が効率的に暖められる。
【0042】
(2)上述した実施形態において、扉12の本体121内に設けられる流路123は、閉状態において筐体111内に設けられる流路115と連通して空気の循環流路を形成する。これに代えて、閉状態のゲート装置が空気の循環経路を形成しない構成が採用されてもよい。図9は閉状態において空気の循環経路を形成しない変形例にかかるゲート装置2の構成を示した図である。なお、図9においてゲート装置2が備える構成部のうちゲート装置1が備える構成部と共通するものには同じ符号を付している。
【0043】
ゲート装置2の扉22には、内部に「L」字を描くように流路223が形成されている。流路223は扉22の後側の下方に設けられた開口部2231から流れ込んだ空気を、端部222の下方から上方へと導き、端部222の上方に設けられた開口部2232から外部へ導く。
【0044】
ゲート装置2においては、筐体111内において加熱装置117により加熱された空気は送風装置116により前方へ押されて開口部2231から流路223へと流れ込み、端部222の内部を通過した後、開口部2232から外部へと流れ出す。ゲート装置2によっても、加熱された空気により端部222が暖められ、扉22の開閉不全が防止される。
【0045】
(3)上述した実施形態において、加熱装置117により加熱された空気は送風装置116により強制的に移動される。これに代えて、ゲート装置が送風装置116を備えない構成が採用されてもよい。図10は送風装置116を備えない変形例にかかるゲート装置3の構成を示した図である。なお、図10においてゲート装置3が備える構成部のうちゲート装置1が備える構成部と共通するものには同じ符号を付している。
【0046】
ゲート装置3の扉32には、内部に「L」字を描くように流路323が形成されている。流路323は扉32の側面の後側の下方に設けられた開口部3231から流れ込んだ空気を、扉32の前側縁部の近傍、すなわち端部322に近接する部分を下方から上方へと導き、扉32の前側の上方に設けられた開口部3232から外部へ導く。流路323のうち、開口部3231から端部322の下方に至るまでの部分の上面は、上流から下流に向かい高さが徐々に高くなるように傾斜している。
【0047】
ゲート装置3の筐体111内には、扉32が閉状態のときに流路323の開口部3231と連通する開口部3152を備える流路315が形成されている。ゲート装置3において、加熱装置117は流路315の内側に配置され、流路315内の空気を加熱する。流路315において加熱された空気は開口部3152に連通する開口部3231から流路323へと流れ込み、流路323内を移動して開口部3232から外部へと流れ出す。流路315の上面が上記のように傾斜しているため、加熱されて外気より軽くなった空気は上面に沿って自然に扉32内を前方へと移動した後、上昇する。従って、送風装置116による強制的な送付が行われなくても、加熱された空気が端部322の近傍を通過するように移動する。ゲート装置3によっても、加熱された空気により端部322が暖められ、扉32の開閉不全が防止される。
【0048】
(4)上述した実施形態において、閉状態の扉12が当接する被当接部材は防護壁9Lである。閉状態の扉12が当接する被当接部材は防護壁9Lに限られない。例えば、ゲート装置1と左右対称の構成の他のゲート装置から閉状態において突出する扉に対し、閉状態の扉12が当接する構成が採用されてもよい。この場合、他のゲート装置の扉が、ゲート装置1の扉12の被当接部材となる。
【0049】
(5)上述した実施形態において、端部122を暖めるための媒体は空気である。これに代えて、空気以外の気体が端部122を暖めるための媒体として用いられてもよい。なお、その場合、流路123および流路115はそれらの内部に充填された気体が外部に漏れ出さないように気密性を備えることが望ましい。
【符号の説明】
【0050】
1…ゲート装置、2…ゲート装置、3…ゲート装置、11…本体、12…扉、22…扉、32…扉、111…筐体、112…ガイドレール、113…駆動ユニット、114…開閉制御装置、115…流路、116…送風装置、117…加熱装置、118…加熱制御装置、119…温度計側装置、121…本体、122…端部、123…流路、222…端部、223…流路、315…流路、322…端部、323…流路、1151…開口部、1152…開口部、1181…開閉状態取得手段、1182…温度取得手段、1183…時間計測手段、1184…制御手段、1231…開口部、1232…開口部、2231…開口部、2232…開口部、3152…開口部、3231…開口部、3232…開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10