(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
<画像形成装置>
以下、まず本発明の第1実施形態に係る画像形成装置Aの全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1に示す様に、画像形成装置Aはシートにトナー像を転写する画像形成部と、画像形成部へシートを供給するシート給送部と、シートにトナー像を定着する定着部と、を備える。
【0015】
画像形成部は、感光体ドラム1(像担持体)、帯電ローラ2、レーザ装置3、現像装置4、転写ローラ5(転写手段)などを備える。
【0016】
画像形成に際しては、
図3に示すCPU100がプリント信号を発すると、給送ローラ9及び搬送ローラ8によってシート積載部10に積載収納されたシートが画像形成部に送り出される。
【0017】
一方、画像形成部においては、帯電ローラ2に帯電バイアスが印加されることにより、帯電ローラ2と接触する感光体ドラム1の表面が帯電させられる。
【0018】
そして、レーザ装置3が、内部に備える光源(不図示)からレーザ光を出射し、レーザ光を感光体ドラム1に照射する。このとき、レーザ光は回転多面鏡18によって掃引され、レンズ16及びミラー17によって感光体ドラム1表面に照射される。これにより、感光体ドラム1の電位が部分的に低下して画像情報に応じた静電潜像が感光体ドラム1の表面上に形成される。
【0019】
その後、現像装置4が備える現像スリーブ6に現像バイアスが印加されることにより、現像スリーブ6から感光体ドラム1表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像が形成される。感光体ドラム1表面に形成されたトナー像は、感光体ドラム1と転写ローラ5との間に形成された転写ニップ部に送り込まれる。トナー像が転写ニップ部に到着すると、転写ローラ5にトナーと逆極性の転写バイアスが印加されてトナー像がシートに転写される。
【0020】
その後、トナー像が転写されたシートは定着装置11に送られ、定着装置11の加熱部12と加圧部13との間に形成された定着ニップ部において加熱・加圧され、トナー像がシートに定着される。その後、シートは排出ローラ14によって搬送されて排出部15に排出される。
【0021】
<現像装置>
次に、本実施形態に係る現像装置4の構成について説明する。現像装置4は、
図2に示す様に、現像容器31と、現像容器31に着脱可能なトナーボトル32を有する。また、現像容器31は隔壁によって現像室33と撹拌室34に区分けされている。なお、本実施形態において現像装置4に収容されるトナーは磁性一成分トナーを用いる。
【0022】
トナーボトル32はトナーボトル32内のトナーを均一に撹拌しつつ現像容器31にトナーを搬送する第1撹拌搬送部材37を有する。第1撹拌搬送部材37はトナー補給口35を介して現像容器31にトナーを補給する。なお、本実施形態において第1撹拌搬送部材37は26.38rpmで回転する。
【0023】
現像容器31内の現像室33は、トナーを担持して感光体ドラム1表面に形成された静電潜像にトナーを供給して画像を現像する現像スリーブ6を有する。また、トナーを帯電させ、かつ現像スリーブ6に担持されたトナーの層厚を規制する現像ブレード36を有する。また、現像室33内のトナーを撹拌して搬送する第3撹拌搬送部材39を有する。なお、本実施形態において第3撹拌搬送部材39は250.5rpmで回転する。
【0024】
現像容器31内の撹拌室34は、撹拌室34内のトナーを均一に撹拌して現像室33にトナーを搬送する第2撹拌搬送部材38を有する。なお、本実施形態において第2撹拌搬送部材38は100.57rpmで回転する。また、撹拌室34内には検知面付近に存在するトナーの透磁率に応じた出力電圧を、
図3に示すセンサ出力検知部58に出力するトナーセンサ40を有する。
【0025】
<制御部>
次に、本実施形態に係る画像形成装置Aの制御部の構成について説明する。
図3に示す様に、CPU100には画像信号処理部50、ROM51、RAM52、表示部53、センサ出力検知部58、メインモータ制御部60などが接続されている。
【0026】
CPU100は各種の演算処理などを行う。またROM51には、画像形成のための各種の制御プログラムが格納されている。またRAM52には、制御プログラム実行中の各種データ等を一時的に格納する。また表示部53には、画像形成装置Aの動作状態や操作メッセージ、或いはトナーエンド状態やニアエンド状態である旨などを表示する。
【0027】
センサ出力検知部58は、トナーセンサ40から出力される出力電圧に基づいて、現像装置4内のトナー残量を検知する。具体的な検知方法については後述する。
【0028】
メインモータ制御部60は、現像装置4に駆動ギア(不図示)を介して回転力を付与する駆動源としてのメインモータ59を制御する。また、駆動時間カウント手段として現像装置4の駆動時間をカウントし、CPU100を介してカウント結果をRAM52に記憶する。
【0029】
画像信号処理部50は、画像データ取込部54と接続され、画像データ取込部54から取り込まれた画像データをビデオ信号に変換する。そして、このビデオ信号をレーザ駆動パルスに変換してレーザ装置3に送信する。また画像信号処理部50は、画像信号カウント手段として、画像のドットを形成する個々の画像信号をカウントし、CPU100を介してカウント結果をRAM52に記憶する。具体的な画像信号のカウント方法については後述する。
【0030】
画像データ取込部54は、複製機能などに用いられるスキャナ55、外部機器が出力する画像データを受信するプリンタインターフェース56、電話回線網から画像データを受信するモデム57から構成されている。画像データ取込部54はこれらによって画像データを画像形成装置Aに取り込む。
【0031】
<画像信号カウント手段>
次に、本実施形態に係る画像形成装置Aが行う制御のうち、特にニアエンド状態やトナーエンド状態を検知する制御に関連する制御について説明する。ニアエンド状態やトナーエンド状態の検知は、現像装置4内のトナーの攪拌量や画像の濃度値やトナーセンサ40の出力値に基づいて行う。これらは、現像装置4の駆動時間や画像のドットを形成する個々の画像信号のカウント値などから求められる。以下、まずは画像信号カウント手段としての画像信号処理部50により、画像のドットを形成する個々の画像信号をカウントする制御について説明する。なお、本実施形態においては、画像のドットを形成する個々の画像信号をドット数に換算してカウントする。
【0032】
ここではレターサイズのシートを例示して画像のドットを形成する個々の画像信号をカウントする制御を説明する。本実施形態において、レターサイズ(216mm×279mm)のシートの画像形成可能領域は204mm×269mmである。これを600dpiにおけるドット数として換算すると、4819ドット×6354ドットとなる。そこで本実施形態ではシート1ページを40×60=2400個の領域に分ける。このとき、領域1個当たりのドット数は120ドット×106ドットとなる。
【0033】
まず画像形成処理が開始され、画像データ取込部54が画像データを電気信号として取り込むと、画像データは画像信号処理部50に送信される。次に、画像信号処理部50では、画像データを1走査ライン毎のビデオ信号に変換し、これをレーザ駆動パルスとしてレーザ装置3に送信する。レーザ装置3はそのパルス幅に対応する時間だけレーザ光を照射する。これにより、主走査方向である感光体ドラム1の軸方向で、画像を形成する範囲に応じた露光が行われる。
【0034】
ここで、画像信号処理部50は、ビデオ信号をレーザ駆動パルスとして送るタイミングで、画像のドットを形成する個々の画像信号をドット数に換算してカウントし、CPU100を介してカウント結果をRAM52に記憶する。
【0035】
具体的には、本実施形態ではシート1ページを40個×60個の領域に分けたため、画像信号処理部50は主走査方向の走査1回分の時間を40分割して1/40走査時間が経過する度に画像信号をゼロからカウントする。これにより、画像のドットを形成する個々の画像信号に応じて120ドット毎にドット数をカウントすることができる。
【0036】
また、レーザ駆動パルスがレーザ装置3に送信されるとき、始めに水平同期信号が送信され、その一定時間後にビデオ信号が送信される。従って、水平同期信号を検知することで主走査方向におけるビデオ信号の開始位置が分かり、1走査ライン毎に画像信号をカウントすることができる。本実施形態では1つの領域が120ドット×106ドットで構成されるため、主走査方向における画像信号のカウントを、感光体ドラム1の軸方向に直交する方向(副走査方向)にずらしながら水平同期信号を106回検知するまで行う。これにより、40領域に形成される画像のドットを形成する個々の画像信号を、ドット数に換算してカウントすることができる。
【0037】
そして、水平同期信号が106回検知される度に新たな領域として上記制御により画像信号をカウントしていく。このような制御を合計60回行うことで、40領域×60領域の2400領域、すなわち1ページ分の画像信号をドット数に換算してカウントすることができる。
【0038】
<トナー検知手段>
次に、トナー検知手段としてのセンサ出力検知部58の検知結果から、現像装置4内のトナー残量を検知する制御について説明する。
【0039】
本実施形態においては、まずトナーセンサ40が第2撹拌搬送部材38の1周期中に63回、トナーに含まれる磁性体の透磁率に応じた出力電圧をセンサ出力検知部58に出力する。
【0040】
センサ出力検知部58は、出力電圧の値が2.5V以上のときをトナー有と判断し、2.5V未満のときをトナー無と判断する。そして、第2撹拌搬送部材38の1周期中の63回の出力のうちのトナー有の回数(例えば20回)から1ブロック出力値(例えば20/63)を検知し、CPU100を介してRAM52に記憶する。そして、この1ブロック出力値に基づいてニアエンド状態などを検知する。具体的なニアエンド状態の検知方法は後述する。
【0041】
<ニアエンド検知制御>
次に、ニアエンド状態を検知する制御について
図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、ニアエンド状態とはトナーエンド状態よりもトナーが所定量多い状態を意味し、通常はトナーエンド状態が検知される直前の所定の時期に設定される。これは、トナーエンド状態を検知する前にニアエンド状態の検知し、トナーエンド状態までの間にユーザにトナーを準備する時間を提供することが目的である。
【0042】
図4のフローチャートに示す様に、まず現像装置4に新たなトナーボトル32がセットされると、トナーボトル設置シーケンスが実行される(S1)。次に、画像形成装置Aが画像形成処理を行う度に画像信号処理部50が画像のドットを形成する個々の画像信号をカウントする(S2)。また、メインモータ制御部60が現像装置4の駆動時間をカウントする(S3)。また、センサ出力検知部58がトナーセンサ40の出力値を検知する(S4)。
【0043】
次にCPU100は、センサ出力検知部58がRAM52に記憶した1ブロック出力値の情報を取得する。そして、1ブロック出力値が
図5に示す閾値α(第2閾値)に達したか否かを判定する(S5)。ここで、本実施形態においては閾値αを24/63とする。また、1ブロック出力値にノイズが含まれ得ることを考慮して、1ブロック出力値24/63以下が7回連続したときにCPU100は1ブロック出力値が閾値αに達したものと判断する。
【0044】
ここで、1ブロック出力値24/63以下が7回連続しないときは、センサ出力検知部58のトナー残量検知の結果としてトナーがまだ十分残っており、ニアエンド状態に達していないと判断する。従って、CPU100は再度RAM52に記憶された1ブロック出力値の情報を取得し(S4)、1ブロック出力値が閾値αに達したか否かを判定する制御を繰り返す(S5)。
【0045】
一方、1ブロック出力値24/63以下が7回連続したとき、次にCPU100はRAM52に記憶された積算ドット数V(第2の積算手段の積算結果)を取得する(S6)。この積算ドット数Vは、画像の濃度値の積算値と対応する。また、現像装置4の累積駆動時間M(第1の積算手段の積算結果)を取得する(S7)。この現像装置4の累積駆動時間Mは、現像装置4内にあるトナーの攪拌量の積算値と対応する。これは、現像装置4内のトナー攪拌の速度は現像装置4の動作速度が一定の場合には形成される画像の印字率や濃度値に関わらず一定であるため、トナーの攪拌量は現像装置4の駆動時間に対応した値となるためである。なお、これらの積算ドット数Vや現像装置4の累積駆動時間Mは上記ステップS1においてトナーボトル32が新たに装着されてトナーが充填される度にリセットされる。
【0046】
その後、CPU100は以下の式(1)に基づいて、現像装置4の累積駆動時間当たりの積算ドット数S(カウント値S)を算出する(S8)。
【0048】
ここで、現像装置4の累積駆動時間当たりの積算ドット数Sが大きいということは、印字率や濃度値が低い画像形成が続いていない状態を意味する。従って、画像形成処理を行う度に多くのトナーが消費されている。このため、現像装置4内のトナーは撹拌搬送部材による物理ダメージをあまり受けておらず、トナーの凝集度は低いと推測され、トナー剤面の状況は良好であると推測される。よって、トナーセンサ40の出力値やセンサ出力検知部58によるトナー残量の検知結果は、後述する誤差を含む積算ドット数Vによる検知結果よりも正確であると推測される。
【0049】
そこで、次にCPU100は現像装置4の累積駆動時間当たりの積算ドット数Sが閾値β(第1閾値)より大きいか否かを判定する(S9)。そして、現像装置4の累積駆動時間当たりの積算ドット数Sが閾値βより大きいときは、CPU100はニアエンド状態を検知して表示部53に表示する(S12)。これにより、正確と推測されるセンサ出力検知部58の検知結果に基づいてニアエンド状態を検知することができ、ニアエンド状態の検知精度が向上する。
【0050】
一方、現像装置4の累積駆動時間当たりの積算ドット数Sが小さいときは、印字率や濃度値が低い画像形成が続いている状態を意味する。従って、現像装置4内のトナーの凝集度は高く、トナー剤面の状態も悪化していると推測される。従って、トナーセンサ40の出力精度やセンサ出力検知部58の検知精度が低下しているおそれがある。
【0051】
そこで本実施形態に係る画像形成装置Aは、現像装置4の累積駆動時間当たりの積算ドット数Sが閾値β以下(第1閾値以下)のときは、ニアエンド状態の検知を延長する。そして、CPU100はRAM52に記憶された積算ドット数Vを取得し(S10)、この積算ドット数Vに基づいてニアエンド状態を検知する。具体的には積算ドット数Vが閾値ωに達したか否かを判定する(S11)。なお、本実施形態においては、平均的なトナー消費量の画像パターンで3000枚画像形成を行ったときに相当するドット数である45×10
8dotを閾値ωとした。
【0052】
ここで、積算ドット数Vが閾値ω未満のとき、トナー消費量が少なく、ニアエンド状態には達していないと判断する。従って、CPU100は再度積算ドット数Vを取得し(S10)、積算ドット数Vが閾値ω未満か否かの判定を繰り返す(S11)。
【0053】
一方、積算ドット数Vが閾値ω以上のときは、トナー消費量が多いため、ニアエンド状態に達したと判断する。従って、CPU100はニアエンド状態を検知して表示部53に表示する(S12)。
【0054】
積算ドット数Vによるニアエンド状態の検知は、積算ドット数Vと予め定めた1ドットあたりのトナー消費量に基づいて行われる。1ドットあたりのトナー消費量はバラツキを考慮した値が設定され、そのため実際のトナー消費量との間に誤差が生じる場合がある。そのためニアエンド状態の検知の精度としては、精度の高い順に、トナーの凝集度が低い場合におけるトナーセンサ40の出力による検知、積算ドット数Vによる検知、トナーの凝集度が高い場合におけるトナーセンサ40の出力による検知、となる。
【0055】
よって、現像装置4内のトナーの凝集度が上昇し、トナー剤面の状態が悪化したと推測される場合であっても、積算ドット数Vからニアエンド状態を検知することで、ニアエンド状態をより正確に検知することが可能となる。
【0056】
以上の制御により、現像装置4の累積駆動時間Mと積算ドット数Vとからトナーの凝集度や剤面の状態を推測し、その推測結果に基づいてより良いニアエンド状態の検知方法を決定することができる。従って、ニアエンド状態の検知精度を向上させることができる。
【0057】
<トナーエンド検知制御>
次に、本実施形態に係る画像形成装置Aのトナーエンド状態を検知する制御について説明する。
【0058】
上記ステップS12においてニアエンド状態が検知された後も、画像信号処理部50は画像形成が行われる度にドット数をカウントしてRAM52に記憶する。
【0059】
次に、CPU100は積算ドット数Vを取得する(S13)。そして、この積算ドット数Vが閾値γ(第3閾値)に達したか否かを判定する(S14)。なお、本実施形態において閾値γは、平均的なトナー消費量の画像パターンで4000枚画像形成を行ったときに相当するドット数の60×10
8dotとした。
【0060】
ここでCPU100は、積算ドット数Vが閾値γに達していないときは未だトナーエンド状態に達していないと判断し、再度積算ドット数Vを取得して(S13)、積算ドット数Vが閾値γに達したか否かの判定を繰り返す(S14)。一方、積算ドット数Vが閾値γに達したときはトナーエンド状態を検知して(S15)、画像形成を停止させる(S16)。そして、表示部53にトナーエンド状態を表示する。
【0061】
<第1変形例>
画像形成装置Aは高品質の印字性能を発揮するため、或いは苛酷な使用環境でも安定した性能を発揮するために装置の動作速度を変更する場合がある。例えば、第1変形例に係る画像形成装置Aは、通常の状態では94.5mm/secで動作し、画像形成に用いるシートが厚紙のときは半速である47.25mm/secで動作する。
【0062】
この場合、画像信号処理部50がカウントする1ページ当たりドット数は変わらないものの、現像装置4の駆動時間は画像形成装置Aの動作速度に応じて変わってしまう。また、第2撹拌搬送部材38の回転速度も画像形成装置Aの動作速度に応じて変わる。従って、上記制御によって正確にニアエンド状態を検知するためには、画像形成装置Aの動作速度に合わせて現像装置4の累積駆動時間Mを補正する必要が生じる。
【0063】
そこで、第1変形例では、
図4に示すフローチャートの上記ステップS3において、CPU100はメインモータ制御部60がカウントした現像装置4の駆動時間に対して画像形成装置Aの動作速度に応じた補正値Cを乗ずる。そして、補正後の現像装置4の駆動時間をRAM52に記憶する。
【0064】
このとき、現像装置4の累積駆動時間Mが、画像形成装置Aの動作速度が遅くなったときに小さく、動作速度が速くなったときに大きくなるように補正値Cの値を設定する。例えば、第1変形例に係る画像形成装置Aにおいては、画像形成に用いるシートが厚紙のときは、画像形成装置Aの動作速度は、通常の状態と比べて0.5倍となる。従って、このときには補正値Cを0.5に設定し、上記ステップS3においてCPU100は現像装置4の駆動時間に0.5を乗じる。
【0065】
以上の制御を行うことで、現像装置4の累積駆動時間Mは、画像形成装置Aの動作速度が遅くなったときに小さく、動作速度が速くなったときに大きくように補正される。従って、画像形成装置Aの動作速度が変化する場合でも、正確にニアエンド状態を検知することが可能となる。
【0066】
なお、上記の説明では画像形成装置Aの動作速度が半速になる場合のみを説明した。しかし、画像形成装置Aが数種類の動作速度を有している場合には、画像形成装置Aの動作速度に応じた補正値Cを動作速度に応じて適宜変更することで、上記同様の効果を得ることができる。
【0067】
<第2変形例>
前述の通り、現像装置4に収容されたトナーは、トナーの凝集度が上がるにつれてトナー剤面の状況が悪化する。ここで、印字率が極端に低い画像形成が続いてトナー剤面の状態が極度に悪化したとき、現像装置4の駆動時間が非常に少なくニアエンド状態に達していないことが明らかな場合であっても、上記ステップS5において1ブロック出力値が閾値αに達する場合がある。
【0068】
そこで、第2変形例に係る画像形成装置Aは、第1実施形態の上記ステップS8の直前で、現像装置4の累積駆動時間Mが所定時間以下か否かを判定する。ここで、現像装置4の累積駆動時間Mが所定時間以下のときは、現像装置4の駆動時間やトナーの攪拌量が非常に少なくニアエンド状態に達していないことが明らである。従って、この場合にはCPU100はセンサ出力検知部58の検知結果からニアエンド状態を検知せず、積算ドット数Vの値に基づいてニアエンド状態を検知する。具体的には上記ステップS11の通り、積算ドット数Vが閾値ωに達したか否かを判定する(S11)。
【0069】
このような制御により、トナー剤面の態様が極度に悪化したときであっても、正確にニアエンド状態を検知することができる。
【0070】
なお、上記の第1実施形態、第1変形例、第2変形例においては、現像装置4の累積駆動時間Mと積算ドット数Vから現像装置4の累積駆動時間当たりの積算ドット数Sを算出し、その算出結果からニアエンド状態の検知方法を決定した。しかし、本発明はこれに限られない。すなわち、RAM52に記憶された現像装置4の駆動時間をMとし、画像信号処理部50がカウントする画像のドットを形成する個々の画像信号のカウント値をVとする。そして、上記式(1)に基づいて現像装置4の単位駆動時間当たりの前記画像信号のカウント値Sを算出し、その算出結果から上記同様にニアエンド状態の検知方法を決定する制御することで、上記同様の効果を得ることができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に本発明に係る画像形成装置Aの第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
画像の構成するドットの1ドット当たりのトナーの消費量は、製品の置かれる環境条件(温度、湿度)やトナーの状態(吸湿状態や乾燥状態)、ユーザの製品の使用状況などにより変化する。このため、画像信号処理部50がカウントした画像のドットを形成する個々の画像信号のカウント結果(例えば積算ドット数V)に基づいてトナーエンド状態を検知する場合、製品の置かれる環境条件などによって誤差が生じる場合がある。
【0073】
そこで本実施形態に係る画像形成装置Aは、トナーエンド状態の検知精度を向上させるため、積算ドット数Vだけでなく、センサ出力検知部58の検知結果を用いてトナーエンド状態を検知する制御とした。以下、
図6に示すフローチャートを用いてこの制御について説明する。なお、トナーボトル32が新たにセットされてから、ニアエンド状態を検知するまでの制御は第1実施形態の制御(S1〜S12)と同様のため説明を省略する。
【0074】
<トナーエンド検知手段>
図6のフローチャートに示すステップS12においてニアエンド状態を検知した後、本実施形態においては、引き続きセンサ出力検知部58の検知結果をCPU100が監視する。また、第1実施形態と同様に画像信号処理部50はドット数を引き続きカウントする。
【0075】
その後、CPU100は積算ドット数Vを取得する(S13)。そして、この積算ドット数Vが閾値γ(第3閾値)に達したか否かを判定する(S14)。なお、本実施形態も第1実施形態と同様に平均的なトナー消費量の画像パターンで4000枚画像形成を行ったときに相当するドット数である60×10
8dotを閾値γとした。
【0076】
ここで、積算ドット数Vが閾値γに達していないときは未だトナーエンド状態に達していないと判断し、CPU100は再度積算ドット数Vを取得し(S13)、その積算ドット数Vが閾値γに達したか否かの判定を行う(S14)。
【0077】
一方、積算ドット数Vが閾値γに達したとき、次にCPU100は、センサ出力検知部58の検知結果である1ブロック出力値の情報をRAM52から取得する(S15)。そして、1ブロック出力値が
図7に示す閾値λ(第4閾値)に達したか否かを判定する(S16)。ここで、本実施形態においては閾値λを12/63とする。また、1ブロック出力値にノイズが含まれ得ることを考慮して、1ブロック出力値12/63以下が20回連続したときに1ブロック出力値が閾値λに達したものとする。
【0078】
ここで、1ブロック出力値12/63以下が20回連続していないときは未だトナーエンド状態に達していないと判断し、CPU100は再度1ブロック出力値の情報を取得して1ブロック出力値が閾値λに達したか否かを判定する(S15、S16)。
【0079】
一方、1ブロック出力値12/63以下が20回連続したときはトナーエンド状態に達したと判断し、CPU100はトナーエンド状態を検知して画像形成を停止させる(S17、S18)。また、表示部53にそのトナーエンド状態を表示する。
【0080】
なお、上記ステップS16では、上記ステップS9において積算ドット数Sが小さい場合においても、トナーセンサ40の1ブロック出力値に基づいてトナーエンド状態の判定を行っている。これは、トナーの凝集度が高いと推測される場合であっても、現像装置内のトナー量が少ないトナーエンド状態においては、トナー凝集度がトナーセンサ40の出力精度やセンサ出力検知部58の検知精度へ与える影響がわずかなためである。
【0081】
以上の制御により、積算ドット数Vとセンサ出力検知部58の検知結果からトナーエンド状態を検知することができる。従って、トナーエンド状態の検知精度を向上させることができる。
【0082】
なお、本実施形態ではセンサ出力検知部58から検知結果と画像信号処理部50のドット数のカウント結果の双方が所定条件を満たしたときにCPU100はトナーエンド状態を検知する制御とした。しかし、いずれか一方の条件が満たされたときにCPU100がトナーエンド状態を検知する制御としてもよい。または、ニアエンド状態をトナーセンサ40の出力で検知した場合にはトナーエンド状態もトナーセンサ40の出力で検知し、ニアエンド状態を積算ドット数Vで検知した場合にはトナーエンド状態も積算ドット数Vで検知する制御としてもよい。これにより、製品の置かれる環境条件やトナーの状態などに応じて、トナーの残量検知に誤検知が生じにくい方法を選択してトナーエンド状態を検知することが可能となり、トナーエンド状態の検知精度が向上する。
【0083】
なお、第1実施形態、第1変形例、第2変形例、及び第2実施形態に係る制御を組み合わせることで、ニアエンド状態やトナーエンド状態の検知精度が更に向上する。また、上記説明中の各数値は例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。
【0084】
また、上記した第1実施形態、第1変形例、第2変形例、及び第2実施形態に係る画像形成装置Aは、画像のドットを形成する個々の画像信号を積算ドット数Vとして逐次RAM52に記憶する。従って、積算ドット数Vからトナー残量の逐次算出し、その算出結果を%で表示部53に表示してユーザにトナーの消費状況やトナー残量を伝える構成とすることも可能である。
【0085】
また、現像装置4に収容されたトナーの凝集度は前述の通り現像装置4の駆動時間と深く関係するが、特に現像装置4内に備えられた撹拌搬送部材の回転時間や回転数と密接に関係する。このため、まず上記の現像装置4の累積駆動時間Mを、撹拌搬送部材の駆動時間や累積駆動時間、或いは撹拌搬送部材の回転数とする。そして、上記式(1)に基づいて撹拌搬送部材の単位駆動時間当たりの前記画像信号のカウント値などを算出し、その算出結果から上記制御と同様にニアエンド状態の検知方法を決定する制御とすることで、上記制御と同様の効果を得ることができる。
【0086】
また、本実施形態においては、トナーセンサとして透磁率センサを用い、現像装置4内のトナー残量によって変化する透磁率に応じた出力電圧を検知して、その検知結果などからニアエンド状態やトナーエンド状態を検知した。しかしこれに限らず、現像装置4に収容されたトナーのトナー量に応じて出力値を変化させる各種センサを用いることで、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0087】
また、本実施形態においては、感光体ドラム1と現像装置4とが別々になっている構成の画像形成装置Aを例示して説明した。しかしこれに限らず、感光体ドラム1と現像装置4とが一体で画像形成装置A本体に着脱自在なプロセスカートリッジを用いる構成としてもよい。また、現像装置4が画像形成装置Aに据え置きで交換可能なトナー収容容器を用いる構成としても本発明の効果を得ることができる。