(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パチンコ遊技機がその上に載置される水平なテーブルと、テーブルに載置されたパチンコ遊技機の上方に位置する水平な上板とを備えているパチンコ遊技機設置台ユニットに取付けて用いられるものであり、枠に取付けられた状態のパチンコ遊技機を前記上板と固定するためのパチンコ遊技機の取付装置であって、
前記上板と固定されるベース部材と、
前記ベース部材に接続された、前記枠の上側の部材である上枠をその上下から挟持する挟持部と、
を備えており、
前記挟持部を、請求項1〜6のいずれかに記載の挟持具により構成した、
パチンコ遊技機の取付装置。
【背景技術】
【0002】
主に板状とされている、挟持の対象物となる対象物を挟持するための挟持具が古くから広く普及している。
挟持具には様々なタイプのものが存在するが、例えば、手持ちタイプの挟持具の1つとして、米国のIrwin Industrial Tool Companyが製造販売するバイスグリップ(商標)と呼ばれる挟持具がある。
【0003】
Irwin Industrial Tool Companyが製造販売するバイスグリップには幾つかのタイプが存在するが、その中の1つの概略的な図を
図18〜21に示す。
かかる挟持具は、その先端に第1の挟持部である第1挟持部911を備えるとともに、その基端に第1のハンドルである第1ハンドル912を備え、また、第1挟持部911と第1ハンドル912との間に位置する第1接続部913を備える、側面視した場合に棒状であり、縦断面が下に開口となる略U字型の第1部材910を備えている。なお、第1挟持部911の部分においては、第1部材910の縦断面の形状はU字型ではなく、中実である。
なお、本願では、挟持具の第1部材における第1挟持部が存在する側を、挟持具における或いはその部材における「先端(側)」又は「前(側)」と表現し、挟持具の第1部材が存在しない側を、「基端(側)」又は「後(側)」と表現するものとする。他の部材においても、これに倣う。
また、かかる挟持具は、その先端に第1挟持部911と対向する第2の挟持部である第2挟持部921を備えるとともに、その基端側の第1部材910寄りの部分に、第1の軸である第1軸991を介して、第1部材910の第1接続部913に、第1部材910に対して回転可能として接続される第2接続部922を備え、また、その基端側の第1部材910から離れた位置に、第3接続部923を備え、第2挟持部921、第2接続部922、及び第3接続部923が、側面視で三角形を形作るようにされている、板状の第2部材920を備えている。
また、かかる挟持具は、その先端に、第2の軸である第2軸992を介して、第2部材920の第3接続部923に、第2部材920に対して回転可能として接続される第4接続部931を備えているとともに、その基端に、第1部材910の第1ハンドル912と対になる第2のハンドルである第2ハンドル932を備え、また、第4接続部931と第2ハンドル932との間に位置する第5接続部933を備える、側面視した場合に棒状の、縦断面が上に開口を持つ略U字型の第3部材930を備えている。
また、かかる挟持具は、その先端に、第3の軸である第3軸993を介して、第3部材930の第5接続部933に、第3部材930に対して回転可能として接続される第6接続部941を備えているとともに、その基端に、第7接続部942を備えている、側面視した場合に棒状であり、板状の第4部材940を備えている。
また、かかる挟持具は、また、第5部材950を備えている。第5部材950は、例えば円筒形状のベース951とベース951に接続された、これには限られないが、半小判型の板である第8接続部952とを備えている。第8接続部952は、第4の軸である第4軸994を介して、第4部材940の第7接続部942に、第4部材940に対して回転可能として接続される。
第5部材950は、以下のようにして、第1部材910の長さ方向に沿うようにして、前後動できるようになっている。第5部材950は、第6部材960と接続されている。第6部材960は、第5部材950を前後動させるための部材であり、これには限られないがその一部を、第1部材910に、その前後方向の位置を任意に位置決めできるようにして接続されている。具体的には、第1部材910の基端側には、その内周面にネジ切りのされたネジ孔914が設けられており、第6部材960はそのネジ孔914に螺合可能とされたネジ溝がその外周に切られているボルトとなっている。第6部材960をその軸周りに回転させると、第6部材960はネジ孔914に螺合したまま第1部材910に対して前後方向に移動し、第6部材960の前後動に伴って第5部材950も前後方向に移動するようになっている。なお、第6部材960の先端は、第5部材950のベース951と接続されてはいるものの、第6部材960はベース951に対して空回りできるようになっているので、第6部材960が回転しても、第5部材950は回転しない。
【0004】
図18に示した、挟持具は、4角形の頂点に位置する第1軸991、第2軸992、第3軸993、及び第4軸994によって接続される第1部材910、第2部材920、第3部材930、第4部材940、及び第5部材950が形成するリンク機構によって、第1部材910の第1ハンドル912と、第3部材930の第2ハンドル932とを、ユーザが片手でまとめて握ることで第1部材910と第3部材930の基端側同士を近づけることによって、第1部材910の第1挟持部911と、第2部材920の第2挟持部921とが、互いに接近した状態となる(
図19)。
【0005】
また、上述の挟持具では、第5部材950が第1部材910に対して前後動可能となっている。かかる第5部材950の第1部材910に対する前後動は、以下のような効果を生じる。
例えば、
図18の状態にある挟持具において、第6部材960を第1部材910に対して回転させることによって、第5部材950を第1部材910に対して後退させたとする。そうすると、第4軸994が後方に移動することに伴って、第2軸992、及び第3軸993が後方に移動し、第1軸991、第2軸992、第3軸993、及び第4軸994がその頂点に位置する上述の四角形が変形することによって、挟持具の第1部材910の第1挟持部911と、第2部材920の第2挟持部921との間に隙間が広がった状態となる(
図20)。
図20に示した状態で、第1部材910の第1ハンドル912と、第3部材930の第2ハンドル932とを、ユーザが片手でまとめて握ることで第1部材910と第3部材930の基端側同士を近づけたとする。そうすると、
図18の状態から
図19の状態に変化する場合と同様に、挟持具における第1挟持部911と、第2挟持部921とは近づくが、第1部材910と第3部材930の基端側同士を最も近づけた場合であっても、第1挟持部911と、第2挟持部921とは当接しない(
図21)。
つまり、第5部材950の第1部材910に対する前後動は、第1部材910と第3部材930の基端側同士を近づけた場合における、第1挟持部911と、第2挟持部921との距離を変化させられるようになる、という効果を生じるものである。そして、かかる効果は、挟持具で挟持すべき対象物の厚さの変化に挟持具が対応できるようになる、という効果を生じるものである。対象物の厚さは常に一定とは限らず、場合により対象物の厚さは異なるものとなるため、ユーザは、第5部材950の第1部材910に対する前後位置を適宜に位置決めすることによって、第1部材910と第3部材930の基端側同士を近づけた場合における、第1挟持部911と、第2挟持部921との距離を適宜に調節することが可能となるから、どのような厚さの対象物であっても、挟持具の第1挟持部911と、第2挟持部921との間でしっかりと挟持できるようになるのである。
【0006】
なお、第1部材910と第3部材930の基端側同士を近づけることにより、第1挟持部911と、第2挟持部921との距離が狭まった挟持具の状態(例えば、
図19、
図21に示された状態)を、本願発明では閉状態と呼ぶことがあり、逆に、第1部材910と第3部材930の基端側同士を遠ざけることにより、第1挟持部911と、第2挟持部921との距離が広がった挟持具の状態(例えば、
図18、
図20に示された状態)を、本願発明では開状態と呼ぶことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した如き、閉状態における第1挟持部911と、第2挟持部921の間隔の調整は、上述したように、挟持具が対象物の厚さの変更に対応できるようになるという点で非常に有益であり、多くの挟持具において採用されている。
しかしながら、かかる挟持具にも改良の余地がある。
上述の挟持具では、第1部材910に対する第5部材950の前後位置の調整を適切に行うことにより、閉状態における第1挟持部911と、第2挟持部921の間隔の調整を正しく行うことが可能となる。
しかし、そもそも、第1部材910に対する第5部材950の前後位置の調整は面倒である。しかも、第1部材910に対する第5部材950の前後位置の調整を適切に行うことにより、閉状態における第1挟持部911と、第2挟持部921の間隔の調整を正しく行うことが可能となる上述の機構では、第1部材910に対する第5部材950の前後位置の調整を行った場合、それにより閉状態における第1挟持部911と、第2挟持部921の間隔が特定の距離に定まり、しかもその関係にまったく遊びがないため、ある対象物を挟持具で挟持しようとした場合には、その対象物の厚さが閉状態における第1挟持部911と第2挟持部921の間隔とたまたま一致している場合を除き、第1部材910に対する第5部材950の前後位置の調整が、基本的に必ず必要となってしまう。
つまり、上述の挟持具では、それを用いようとしたときに、第1部材910に対する第5部材950の前後位置の調整を、閉状態における第1挟持部911と、第2挟持部921の間隔と挟持の対象となる対象物の厚さとの差が僅かでもあるのであれば、省略せずに必ず実行しなければならない。
かかる課題は、手持ちタイプの挟持具に限らず、対象物をその両面から挟むタイプの挟持具或いは挟持具をその一部とする製品に共通する課題となり得るものである。
【0008】
本願発明は、少なくとも閉状態における第1挟持部と、第2挟持部の間隔と挟持の対象となる対象物の厚さとの間に差がある場合においても、第1部材に対する第5部材の前後位置の調整を省略できるような挟持具を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本願発明における挟持具は、以下のようなものである。
本願発明の挟持具は、側面視した場合に棒状であり、その先端に第1の挟持部である第1挟持部を備え、且つその基端側ではない位置に第1接続部を備えている、第1部材と、前記第1挟持部と対向する第2の挟持部である第2挟持部をその先端側に備えるとともに、その基端側の前記第1部材寄りの位置に第1の軸である第1軸を介して、前記第1部材の前記第1接続部に、前記第1部材に対して回転可能に接続される第2接続部を備え、且つその基端側の前記第1部材から前記第2接続部よりも遠い位置に、第3接続部が、前記第2挟持部と前記第2接続部と前記第3接続部とが側面視で三角形を作るようにして設けられている、第2部材と、側面視した場合に棒状であり、その先端に、第2の軸である第2軸を介して、前記第3接続部に、前記第2部材に対して回転可能に接続される第4接続部を備えているとともに、その基端に、前記第1部材の基端側と対向するハンドルである第2ハンドルを備え、且つ前記第3接続部と前記第2ハンドルとの間に第5接続部を備える、第3部材と、側面視した場合に棒状であり、その先端に、第3の軸である第3軸を介して、前記第5接続部と前記第3部材に対して回転可能に接続される第6接続部を備えているとともに、その基端に第7接続部を備えている、第4部材と、を備えており、前記第4部材の前記第7接続部は、前記第1部材の前記第1接続部よりも基端側の位置に取付けられた第5部材に、第4の軸である第4軸を介して、前記第5部材に対して回動可能として接続されており、且つ、前記第1軸、前記第2軸、前記第3軸、及び前記第4軸によって接続される前記第1部材、前記第2部材、前記第3部材、前記第4部材、及び前記第5部材が形成するリンク機構によって、前記第5部材の基端側を前記第1部材の基端側に近づけると、前記第1部材の前記第1挟持部と、前記第2部材の前記第2挟持部とが互いに近づくようになっている挟持具をその基本とする。
本願発明の挟持具が備えるここまでのかかる構成は、基本的に、従来技術で説明した挟持具と同じである。異なるのは、第1部材の基端側に第1ハンドルが存在しなくても良いという点と、また第5部材の構成である。第1部材に関しては、その基端側に第1ハンドルが存在しない場合には、挟持具は一般に、手持ちタイプではない挟持具となる。他方、前記第1部材の基端側には、前記第3部材の第2ハンドルと対になるハンドルである第1ハンドルが設けられていても構わない。その場合には、第1ハンドルと第2ハンドルとを片手でまとめて握りしめられるような形状、大きさにすることにより、その挟持具は、従来技術で説明したのと同様の手持ちタイプの挟持具となる。
【0010】
話を戻す。本願発明の挟持具における前記第5部材は、前記第1部材の長さ方向に沿って前後動可能とされており、且つ前記第1部材には、前記第5部材に対して前向きの付勢力を与える弾性体と、前記弾性体の付勢力によって前記第1部材の先端側に進もうとする前記第5部材の先端側への移動を妨げる規制部材とが取付けられている。
本願発明の挟持具における第5部材は、上述した従来技術の挟持具における第5部材とは異なり、必ずしも側面視で棒状である必要はない。
もっとも、本願発明の挟持具における第5部材は、従来技術の挟持具の第5部材と同様に第1部材の長さ方向に沿って前後動可能とされている。本願発明の挟持具では、第5部材を前後させることにより、第1部材、第2部材、第3部材、第4部材、及び第5部材が形成するリンク機構が変形し、第1部材と第3部材の基端側同士を近づけた場合における、第1挟持部と、第2挟持部との距離を変化させられるようになる。この点も、従前の挟持具と何ら変わらない。
しかしながら、本願発明の挟持具における第5部材は、第1部材に対する前後方向の位置を固定的に位置決めされることがない。第5部材は、第1部材の先端側(前側)への移動を規制する規制部材によって、第1部材に対してある位置以上に前側へは移動できないようになっている。他方、第5部材は、第1部材に取付けられた弾性体から、前向きの付勢力を与えられている。したがって、第5部材は、後向きの力を受けていない状態では、規制部材によって定められたそれより前方には移動できない位置にまで弾性体による付勢力により位置させられることになるが、弾性体からの付勢力に抗する力を受けた場合には、弾性体からの付勢力に抗して後方に移動することが可能となっている。
本願発明の挟持具でも、従来技術で説明した挟持具の場合と同様に、第5部材が後方に移動した場合には、第1部材と第3部材の基端側同士を近づけた場合における、第1挟持部と、第2挟持部との距離が大きくなる。したがって、本願発明の挟持具は、第1部材と第3部材の基端側同士を近づけた場合における、第1挟持部と、第2挟持部との距離が、挟持具による挟持の対象となる対象物の厚さに一致するように、規制部材により最も前に位置するときの第5部材の位置を適切に決定しておくことによって、第1部材と第3部材の基端側同士を近づけることによって、第1挟持部と第2挟持部によりしっかりと、対象物を挟持することができる。また、それだけでなく、この挟持具は、第1部材と第3部材の基端側同士を近づけることにより、その対象物よりも幾らか厚さの大きな対象物を挟持しようとした場合には、第1部材と第3部材の基端側同士を近づけた場合における第1挟持部と第2挟持部との距離が対象物の厚さよりも小さいことから、第1挟持部と第2挟持部が対象物から受ける力により、第5部材に後向きの力がはたらき、第5部材が弾性体からの前向きの付勢力に抗して後方に下がることになる。これにより、第1部材、第2部材、第3部材、第4部材、及び第5部材が形成するリンク機構が、ユーザの操作によらずに自動的に変形し、第1部材と第3部材の基端側同士を近づけた場合における第1挟持部と第2挟持部との距離が、その幾らか厚さの大きな対象物の厚さに応じたものに変化する。
したがって、本願発明の挟持具は、それらの厚さの差が弾性体による付勢力に抗して移動する第5部材の移動によって吸収できる程度の範囲に収まる、異なる厚さの対象物を、第5部材の位置を調整するためのユーザの操作なしに、挟持できるようになる。
【0011】
なお、本願発明における側面視とは、「第1部材と第2部材が相対的に移動する平面に対して垂直な方向から挟持具(又は挟持部)を見た場合」、を意味するものとする。また、側面視した場合に棒状の形状は、棒状の形状であるか否かを問わず、例えば板状であっても構わない。
【0012】
規制部材は、第1部材に対してある特定の位置に、不動に固定されていても良い。他方、前記規制部材は、前記第1部材の長さ方向に沿って移動可能とされており、且つ前記第1部材の長さ方向の任意の位置に位置決めして固定できるようになっていてもよい。
上述したように、本願発明の挟持具は、それらの厚さの差が弾性体による付勢力に抗して移動する第5部材の移動によって吸収できる程度の範囲に収まる、異なる厚さの対象物を、第5部材の位置を調整するためのユーザの操作なしに、挟持できるものではある。しかしながら、かかる挟持具で挟持することのできる対象物の最小の厚さは、規制部材によって規制される最も前に位置するときの第5部材の位置によって決定される。また、かかる挟持具で挟持することのできる対象物の最大の厚さは、弾性体による付勢力に抗して移動した第5部材が最も後方に下がった位置によって決定される。
そして、対象物の厚さが、上記最小の厚さと、最大の厚さから外れた場合においては、挟持具によりその対象物をしっかりと挟持することができなくなる可能性がある。
規制部材が、前記第1部材の長さ方向に沿って移動可能とされており、且つ前記第1部材の長さ方向の任意の位置に位置決めして固定できるようになっていれば、規制部材を移動させることによって、第5部材が移動できる最も前側の位置を変化させることが可能となる。それにより、規制部材は、上記最小の厚さと、最大の厚さから外れた厚さの対象物をも挟持できるようになり、より様々な厚さの対象物をしっかりと挟持できるものとなる。
前記規制部材はどのような方法で、第1部材の長さ方向に沿って移動可能とされており、且つ第1部材の長さ方向の任意の位置に位置決めして固定できるようにされていても良い。例えば、ラチェット機構により、これを実現することも可能である。或いは、ネジ孔に対して螺合しているボルトによってもこれを実現することが可能である。
なお、前記規制部材は、必ずしもこの限りではないが、前記第5部材のハンドルを前記第1部材の基端側に近づけたときに、前記第1挟持部と、前記第2挟持部とが当接しないような位置に設けられていても良い。
前記規制部材、前記第5部材及び前記弾性体は、互いの前後の相対的な位置関係を保ったままで、前記第1部材の長さ方向に沿って移動可能とされており、且つ前記第1部材の長さ方向の任意の位置に位置決めして固定できるようになっていてもよい。上述のように、規制部材は、第1部材の長さ方向に沿って移動可能とされており、且つ第1部材の長さ方向の任意の位置に位置決めして固定できるようにされていても良い。第5部材は、前後方向に移動する前側の位置を第5部材により決定され、且つ弾性体から前向きの付勢力を受けるものであるから、規制部材が移動した場合には、特に後向きの外力を受けていない限り、その前後の相対的な位置関係を維持しながら規制部材とともに移動することになる。他方、弾性体は、規制部材の前後方向の移動に追随して移動するとは限らず、規制部材の前後方向の移動に追随するようにも、追随しないようにもすることができる。弾性体が、規制部材の前後方向の移動に追随しない場合には、弾性体と第5部材との前後方向の相対的な位置関係が変わり、弾性体が第5部材を前向きに押す付勢力に変化が生じる場合がある。付勢力は、第1挟持部と第2挟持部とが対象物を挟持する力に関連するので、付勢力の変化が好ましくない場合もある。規制部材、第5部材及び弾性体は、互いの前後の相対的な位置関係を保ったままで、第1部材の長さ方向に沿って移動可能とされており、且つ第1部材の長さ方向の任意の位置に位置決めして固定できるようになっていれば、そのような不具合を解消することができる。
【0013】
前記規制部材は、前記第1部材に対して取付けられた、棒状のガイド棒であり、その先端が前記第5部材に設けられた貫通孔を通って前記第5部材の前方に位置しているとともに、前記ガイド棒の先端は、前記貫通孔を通過できないようになっており、前記第5部材は、前記ガイド棒にガイドされながら後方へ移動できるようになっていてもよい。このような構成を採用すると、第5部材の移動がスムーズになる。
前記弾性体はコイルばねであり、前記ガイド棒は前記コイルばねを貫通した状態となっていてもよい。これにより、ガイド棒とコイルばねをコンパクトに配することができるようになる。
【0014】
上述したように、挟持具は、手持ちタイプの挟持具でも良い。
他方、挟持具は、手持ちタイプの挟持具である必要はなく、他の器具乃至装置に組込まれていても良い。
例えば、パチンコ遊技機がその上に載置される水平なテーブルと、テーブルに載置されたパチンコ遊技機の上方に位置する水平な上板とを備えているパチンコ遊技機設置台ユニットに取付けて用いられるものであり、枠に取付けられた状態のパチンコ遊技機を前記上板と固定するためのパチンコ遊技機の取付装置であって、前記上板と固定されるベース部材と、前記ベース部材に接続された、前記枠の上側の部材である上枠をその上下から挟持する挟持部と、を備えているものが存在する。そのような遊技機の取付装置における挟持部を、本願発明における挟持具により構成することができる。
【0015】
かかる遊技機の取付装置について、補足的に説明する。
パチンコ遊技機(以下、本願明細書ではこれを、単に『遊技機』という場合がある。)が一般店舗で使用される場合、パチンコ遊技機設置台ユニットに取付けられる。一般的には島と呼ばれるものであるパチンコ遊技機設置台ユニット(以下、簡単のため、これが島であることにして話を進める。)には、並列に多数のパチンコ遊技機が取付けられる。
パチンコ遊技機の島への取付けは従来、以下のように行われている。
遊技機は、通常は4枚の板材を矩形に組合わせて作られる所定幅の枠の内側に固定した後、その枠を島に固定することにより、島に取付けられる。
従来の枠の島への取付けは、島のテーブルの上に枠を載置した上で、枠が木製であるのが通常であるということもあり、釘や木ねじなどを用いて行っている。
しかしながら、かかる釘や木ねじなどを用いて行う、島への遊技機の固定には手間がかかり、また島から遊技機を取外すにも手間がかかる。一般店舗では、遊技機の入換が頻繁に行われているので、以上の手間はばかにならず、また以上の手間により生じるコストも過大となりがちである。
そのような点を考慮して本願出願人は、島に対する遊技機の固定、より正確には島に対する遊技機が固定された枠の着脱自在な固定をなすための器具を予てから提案している。その中の1つとして、遊技機の枠の上側の部材(板)を挟持する挟持部を有する遊技機の固定装置を本願出願人は提案している(特開2014−171686等)。もちろんこれのみに限定されるわけではないが、このようなタイプの遊技機固定装置における挟持部に、本願発明の挟持具を応用することが可能である。枠に用いられている板、特に遊技機の固定装置の挟持部で挟持される上側の板の厚さは、規格に沿ったものとはされているが、実際のところその厚さはそれ程正確に決定されているわけではない。厚さの異なる板でも、調整なしに挟持部で確実に挟持できるというのは、手間を削減することを目的とする遊技機の固定装置においては、極めて大きな利点となる。
【0016】
挟持部を遊技機の取付装置に応用した場合、前記挟持部は、上下又は前後方向に移動可能となっていてもよい。
これにより、この遊技機の取付装置は、枠の上側の板の厚さ以外の点において枠の寸法にバラつきがあっても、遊技機の固定された枠を遊技台設置ユニットに固定する際に、挟持部で確実に枠の上側の板を挟持できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本願発明を実施するための第1及び第2実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態において共通する対象には共通する符号を付すものとし、共通する説明は場合により省略するものとする。
【0019】
≪第1実施形態≫
この実施形態における挟持具は、
図1の側面図に示したようなものである。この挟持具は、手持ちタイプのものであり、従来技術の欄で説明したバイスグリップと、その基本的な構成を同じくする。
【0020】
挟持具の側面図を、
図1に示す。
挟持具は、第1部材710、第2部材720、第3部材730、第4部材740、及び第5部材750を備えている。これらはそれぞれ、背景技術の欄で説明した第1部材910、第2部材920、第3部材930、第4部材940、及び第5部材950と同じか殆ど同じものとされている。
なお、第1実施形態の挟持具は、すべての部分が金属製である。
【0021】
第1部材710は、側面視した場合に棒状である。第1部材710は、後述する第1挟持部711の部分を除く全長にわたって、下が開口となる略U字型の溝を有している。第1部材710は、第1の挟持部である第1挟持部711を有している。第1挟持部711は、後述する第2挟持部との間で、対象物を挟持するためのものである。これには限られないが、第1挟持部711は、対象物をより良くグリップするための歯を備えている。
第1部材710の基端には、第1のハンドルである第1ハンドル712が設けられている。第1ハンドル712は、後述する第2ハンドルと対になるものであり、ユーザがそれらをまとめて握りしめることができるように構成されている。第1ハンドル712は、ユーザがそれをしっかり握ることができるようにするために、滑り止めのための何らかの工夫を有している場合もあるが、そのような技術は周知技術であるから説明を省略する。
第1部材710の第1挟持部711と第1ハンドル712との間には、第1接続部713が設けられている。第1接続部713は、後述する第2部材の第2接続部との接続がなされる部分である。第1接続部713には、より詳細には、第1部材710の溝の両側の板状の部分の互いに対応する位置には、後述する第1軸を貫通させるための図示を省略の孔が設けられている。
【0022】
第2部材720は、板状である。第2部材720は、その先端に第1挟持部711と対向する第2の挟持部である第2挟持部721を備えている。第2挟持部721も第1挟持部711と同様の歯を備えている。
第2部材720の基端側の第1部材710寄りの部分には、第2接続部722が設けられている。第2接続部722は、第1の軸である第1軸791を介して、第1部材710の第1接続部713に接続される部分である。第1軸791を貫通させるための図示せぬ孔が、第2接続部722には設けられている。第2接続部722は、第1部材710の上述した溝の中に差込まれている。第1軸791は、例えばリベットであり、挟持具から脱落しないようにされている。第1軸791にまとめて貫かれた第1部材710と第2部材720は、第1軸791を軸として互いに回転できるようにされている。
第2部材720の基端側の第1部材710から離れた位置には、第3接続部723が設けられている。第3接続部723は、第3部材730の後述する第4接続部との、これも後述する第2軸を用いての接続がなされる部分である。第3接続部723には、第2軸を貫通させるための図示せぬ孔が穿たれている。
上述したように、第2部材720は板であるが、その側面視した場合の形状は、概ね、第2挟持部721、第2接続部722、及び第3接続部723が頂点となる三角形である。
【0023】
第3部材730は、側面視した場合に棒状である。また、第3部材730は、上が開口となる略U字型の溝をその全長にわたって備えている。
第3部材730の先端には、第4接続部731が設けられている。第4接続部731は、第2の軸である第2軸792を介して、第2部材720の第3接続部723と接続される部分である。第2軸792を貫通させるための図示せぬ孔が第4接続部731には穿たれている。第3接続部723は、第3部材730の上述した溝の中に差込まれている。第2軸792は、例えばリベットであり、挟持具から脱落しないようにされている。第2軸792にまとめて貫かれた第2部材720と第3部材730は、第2軸792を軸として互いに回転できるようにされている。
第3部材730の基端には、第1部材710の第1ハンドル712と対になる第2のハンドルである第2ハンドル732が設けられている。第2ハンドル732は、第1ハンドル712と同様のものとすることができる。この実施形態による第2ハンドル732は、第1ハンドル712とまとめてユーザが握りしめることができるように構成されている。
第3部材730の第4接続部731と第2ハンドル732との間には、第5接続部733が設けられている。第5接続部733は、第4部材740の後述する第6接続部との、これも後述する第3軸を用いての接続がなされる部分である。第5接続部733には、第3軸を貫通させるための図示せぬ孔が穿たれている。
【0024】
第4部材740は、側面視した場合に棒状であり、全体として板状である。
第4部材740は、その先端に、第6接続部741を備えている。第6接続部741は、第3の軸である第3軸793を介して、第3部材730の第5接続部733に接続される部分である。第3軸793を貫通させるための図示せぬ孔が第6接続部741には穿たれている。第6接続部741は、第3部材730の上述した溝の中に差込まれている。第3軸793は、例えばリベットであり、挟持具から脱落しないようにされている。第3軸793にまとめて貫かれた第3部材730と第4部材740は、第3軸793を軸として互いに回転できるようにされている。
第4部材740は、また、その基端に第7接続部742を備えている。第7接続部742は、第5部材750の後述する第8接続部との、これも後述する第4軸を用いての接続がなされる部分である。第7接続部742には、第4軸を貫通させるための図示せぬ孔が穿たれている。
【0025】
第5部材750は、これには限られないが、例えばその軸が前後方向に伸びる円筒形とされたベース751と、ベース751の前方にベース751に対して固定的に接続された、半小判形状とされた2枚の板である第8接続部752を備えている。第8接続部752は、第4の軸である第4軸794を介して、第4部材740の第7接続部742に接続される。その際、第7接続部742は、2枚の板である第8接続部752の間に差込まれる。第8接続部752を構成する2枚の板にはそれぞれ第4軸794を貫通させるための孔が穿たれている。第8接続部752と第7接続部742が第4軸794にまとめて貫かれることにより、第4部材740と第5部材750は、第4軸794を軸として、互いに回転可能となっている。
【0026】
この実施形態における第5部材750は、前後動可能となっている。第5部材750は、ある位置までなら前方への移動ができるようになっているが、それ以上は前方へ移動できないようになっている。それは、以下のような方法で実現されている。
第1部材710における
図1で破線で囲んだXの範囲に、
図2に示したようなガイド溝715が設けられている。ガイド溝715は、第1部材710の溝710Aの内側面に、互いに対向するようにして設けられている。両ガイド溝715には、第4軸794の両端が挿入されるようになっている。これにより、第4軸794は、ガイド溝715に案内され、前後には移動できるが、
図1における上下や奥行き方向への移動が規制されるようになる。ガイド溝715の前側の端部は開放されておらず、閉じている。したがって、第4軸794の端部はその位置よりも前方には進めないようになっている。
他方、第1部材710の第5部材750の後方には、弾性体760が設けられている。弾性体760は、第1部材710に対して前方向の付勢力を与えるものである。これには限られないが、弾性体760はコイルばねである。弾性体760は、その先端が、第5部材750のベース751の後端の面に当接しており、且つその後端が、第1部材710の溝710A(
図2参照)の内側面に応じた形状の板状の本体部771と、本体部771から前方に突出した突出部772とを備えたバネ固定部材770の突出部772に固定されている。かかる固定は、単にコイルばねである弾性体760の後端の内側に、固定部材770の突出部772を挿入することにより実現されている。弾性体760は、圧縮されている。したがって、第5部材750には常に、弾性体760から前方向への付勢力が働いた状態となっている。
弾性体760からの付勢力によって、第5部材750には常に前向きの力がはたらくので、外力がない状態では、第5部材750は最も前側の位置、つまり、第5部材750に取付けられた第4軸794がガイド溝715の前側の端部に係止される位置に導かれることになる。他方、第5部材750は、それに後向きの力がはたらいたときには、弾性体760からの前向きの付勢力に抗して後方へ移動することも可能である。この実施形態では、ガイド溝715の先端部分が、第5部材750がそれ以上前方に移動できない限界の位置を規定する。つまり、この実施形態では、ガイド溝715の先端の内周面が、本願発明で言う規制部材に相当することになる。
【0027】
なお、挟持具には、第1部材710にその基端が、第2部材720にその先端がそれぞれ固定されているばねである補助ばね781が存在している。補助ばね781は、第2部材720に対して第2部材720の第2挟持部721が第1部材710の第1挟持部711から離れる方向に回転させるための力を加えるものである。かかる補助ばね781は、背景技術の欄で説明した従来の挟持具も備えるものであり、その機能も従来と変わるものではない。
また挟持具には、閉状態にある第1部材710と第2部材720に対して、それらの基端側を開いて開状態に戻す力を加えるロック解除部材782も設けられている。ロック解除部材782は、その中程で第3部材730に対して軸支されており、第3部材730に対してシーソー運動を行えるようになっている。また、ロック解除部材782は、挟持具が閉状態となったときに、その先端側が第4部材740の
図1における下側、より詳細には、第4部材740の中程の後側に設けられた出っ張りの下側に入り込むようになっている。挟持具が閉状態にあるときに、ロック解除部材782の後端を第3部材730の後端に近づけるように押し込むと、ロック解除部材782の先端が、第4部材740の出っ張りを上側に押す。これにより、閉状態では寝た状態となっている第4部材740が立上がるので、挟持具は、第1部材710と第2部材720の基端側が互いに離れた開状態に近づくことになる。
【0028】
第1実施形態による挟持具の使用方法、及び動作について説明する。
なお、以下の説明では、上述した補助ばね781とロック解除部材782についての説明は省略することにする。
この挟持具の使い方は、背景技術の欄で説明した従来の挟持具の使い方と基本的に同じである。ただし、この挟持具は、異なる厚さの対象物でも、その対象物の厚さが所定の範囲内に収まるのであれば、何らの調節なしでも対象物を挟持できる点で、従来の挟持具とは異なる。
【0029】
この挟持具は、以下のようにして用いる。まず、挟持具を、
図1に示したような第1部材710と第3部材730の基端側が大きく離れた状態、つまり開状態とする。この状態では、第1部材710の第1挟持部711と、第2部材720の第2挟持部721とは互いに離れている。このとき第1挟持部711と第2挟持部721の隙間に対象物を挿入する。
次いで、第1部材710の第1ハンドル712と、第3部材730の第2ハンドル732とを、ユーザが片手でまとめて握ることで第1部材710と第3部材730の基端側同士を近づけた状態、つまり閉状態とする。閉状態になると、4角形の頂点に位置する第1軸791、第2軸792、第3軸793、及び第4軸794によって接続される第1部材710、第2部材720、第3部材730、第4部材740、及び第5部材750が形成するリンク機構によって、第1挟持部711と第2挟持部721が接近する。これにより、対象物が第1挟持部711と第2挟持部721の間に挟持される。第1ハンドル712と、第2ハンドル732とに互いに開く力を加えない限り、第1ハンドル712と、第2ハンドル732とはこの状態を保つ。
【0030】
ところで、この実施形態における挟持具では、第1部材710の第1ハンドル712と、第3部材730の第2ハンドル732とを、ユーザが握って第1部材710と第3部材730の基端側同士を近づけた場合には、第1挟持部711と第2挟持部721が略隙間なく当接しあうようになっている。したがって、対象物に厚さがある場合、第1挟持部711と第2挟持部721とは、上述のリンク機構が変形しない限りしっかりと対象物を挟持することができない。言い換えれば、上述のリンク機構には、第1挟持部711と第2挟持部721との間隔を適切な間隔にしようとする力が加わる。この力は、第5部材750に第5部材750を後方に押し下げようとする力として伝えられる。この後向きの力により、第5部材750は、弾性体760からの前向きの付勢力に抗して、幾らか後方に下がる。これにより、上述のリンク機構は第1挟持部711と第2挟持部721との間隔が、今その挟持具で挟持しようとしている対象物の厚さに対して適切な位置に自動的に調整される。
これにより、この挟持具によれば、リンク機構の調節、或いは第5部材750の第1部材710に対する前後の位置の調節をしなくとも、対象物をしっかりと第1挟持部711と第2挟持部721との間で挟持することができる。
なお、この挟持具を、第1部材710の第1ハンドル712と、第3部材730の第2ハンドル732とを、ユーザが握って第1部材710と第3部材730の基端側同士を近づけた場合、つまり、閉状態としたときに、対象物が挟まれていない場合における第1挟持部711と第2挟持部721の間に幾らかの隙間が空くようにすることも可能である。それは、前後動が可能となっている第5部材750の進める最も前の限界の位置を後方に下げることで達成できる。この実施形態でいえば、ガイド溝715の前端を後側にずらすことで、それは実現可能である。
【0031】
挟持具で対象物を挟持する必要がなくなったら、ユーザは、第1部材710の第1ハンドル712と、第3部材730の第2ハンドル732とを互いに離反させ、挟持具を開状態に戻せば良い。
【0032】
<変形例>
第1実施形態の挟持具の変形例について、
図3〜
図6を用いて説明する。
変形例による挟持具は、第1実施形態の挟持具と、その基本的な構成を同一とする。変形例による挟持具も手持ちタイプの挟持具である。
変形例による挟持具の第2部材720、第3部材730、第4部材740の構成は、第1実施形態の挟持具におけるそれらと完全に同一である。
対して、第1部材710、及び第5部材750については、変形例による挟持具と、第1実施形態の挟持具とで相違がある。
【0033】
変形例における挟持具の第1部材710は、第1実施形態の場合と同様、側面視した場合に棒状である。また、第1部材710は、第1挟持部711の部分を除く全長にわたって、下が開口となる略U字型の溝を有している点でも第1実施形態と同様であり、第1挟持部711、第1ハンドル712、第1接続部713を有する点、及びそれらの機能については、第1実施形態の挟持具と同様である。
異なるのは以下の点である。
まず、変形例による挟持具の第1部材710の内側面には、第1実施形態の場合に存在したガイド溝715が存在しない。
他方、変形例による挟持具の第1部材710の基端側には、第1部材710の前後方向に向かって伸びる、その内周面にネジ切りのされた、ネジ孔716が設けられている。ネジ孔716には、その基端側が第1部材710の外側に露出し、且つその先端側が第1部材710の溝710Aの中に位置する、第1部材710の長さ方向に沿う、その外周面にネジ切りのされたボルト717が螺合されている。ボルト717の基端には、ユーザが摘みやすいように設計された、ボルト717のネジ切りのされた部分よりも大径の円板状とされた頭部717Aが、ボルト717のネジ切りのされた部分と同軸として設けられている。また、ボルト717の先端には、ボルト717のネジ切りのされた部分よりもその部分が小径となるようにされた、係止溝717Bがボルト717のネジ切りのされた部分と同軸として設けられている。ボルト717は、それを軸周りに回転させることにより、その全体が第1部材710のネジ孔716に対して前後動を行うようになっている。
【0034】
ボルト717の先に、第5部材750を含む、構造体が取付けられている。構造体は、第5部材750と接続されるガイドベース753を備えている。ガイドベース753は、その先端側の面と、上側の面が開放されている、略直方体形状の箱である。
ガイドベース753の基端側の板には、これには限られないがこの実施形態では円形である孔753Aが設けられている。孔753Aの径はボルト717のネジ切りされた部分の径よりも小径となっており、より詳細には、係止溝717Bの径よりも若干その径が大きくされている。ガイドベース753の基端側の板に穿たれた孔753Aの縁の部分は、ボルト717の係止溝717Bに嵌った状態となっている。上述したように、ボルト717はその全体が前後動を行えるようになっている。ボルト717の前後動にしたがって、ガイドベース753及びガイドベース753に後述するようにして接続された第5部材750を含む構造体は、それらが一体となったまま前後動を行うようになっている。
ガイドベース753の両側方の板には、前後方向に伸びる孔であるガイド孔753Bが設けられている。ガイド孔753Bは、第1実施形態におけるガイド溝715と同様の機能を有するものであり、第4軸794の両端を案内するものである。
【0035】
ガイドベース753の基端側には、これには限られないが、孔753Aが穿たれた板と平行とされた板である仕切り板753Cが設けられている。仕切り板753Cは後述する弾性体760の後端を支持するものである。
仕切り板753Cの前方には、仕切り板753Cの前側に向かって伸びるこれには限られないが断面円形の棒であるガイド棒753Dが設けられている。ガイド棒753Dの先端は、ガイド棒753Dの他の部分よりも大径とされた、ガイド棒753Dの他の部分と同軸である、円板状の前頭部753D1が設けられている。
ガイドベース753の前方側には、第5部材750が設けられている。第5部材750は、
図5に示したように、平面視した場合に、前方が開放された略コの字型形状をしている。変形例における第5部材750は、後方の矩形の板である矩形板754と、その両側方から前側に伸びる半小判形状とされた2枚の板である第8接続部752とを備えている。第4部材740の第7接続部742は、2枚の板である第8接続部752の間に差込まれる。その状態で、第8接続部752と第7接続部742とが第4軸794にまとめて貫かれることにより(
図5、
図6参照)、第4部材740と第5部材750は、第4軸794を軸として、互いに回転可能となっている。なお、第4軸794の両端は、ガイド孔753Bに挿入されている。なお、ガイドベース753の底面側の板には、ガイドベース753と第4部材740との干渉を避けるために切欠き753Eを設けるなどの工夫を行うことができる。
他方、第5部材750の矩形板754には、これには限られないがこの実施形態では円形である孔754Aが設けられている。孔754Aの径はガイド棒753Dの径よりも僅かに大径となっているが、ガイド棒753Dの前頭部753D1の径よりもその径が小さくされている。ガイド棒753Dは、矩形板754の孔754Aを貫通しており、前頭部753D1は矩形板754の前側に位置するようになっている。
【0036】
第5部材750の矩形板754と、ガイドベース753の基端側の板との間には、弾性体760が配置されている。弾性体760は、第5部材750に対して前向きの付勢力を与えるものであり、これには限られないがこの実施形態ではコイルばね、より詳細には圧縮されたコイルばねとされている。これには限られないが、弾性体760は、コイルばねであるその弾性体760の内側をガイド棒753Dに貫通させた状態で、矩形板754と、ガイドベース753の仕切り板753Cとの間に配置されている。
圧縮された弾性体760は、その先端で、第5部材750に対して前向きの付勢力を与えるようになっている。
【0037】
第5部材750の矩形板754に設けられた孔754Aは、ガイド棒753Dと固定されていないので、第5部材750は、ガイド孔753Bに第4軸794の両端を、またガイド棒753Dに矩形板754を案内されつつ、前後に移動できるようになっている。他方、上述したように、第5部材750には、弾性体760から前向きの付勢力が与えられている。したがって、第5部材750は、何らかの後向きの力を受けない限り、常に前方に移動しようとする。しかしながら、上述したように、第5部材750は、前側に移動しようとした場合に、矩形板754の前側の面がガイド棒753Dの前頭部753D1の後側の面に係止されるため、
図4に示された位置よりも前方には移動できないようになっている。他方、第5部材750は、弾性体760が第5部材750に与える前向きの付勢力に抗する後向きの力を与えることにより、後方に押し下げることが可能である。
この変形例では、ガイド棒753Dの前頭部753D1の後側の面が、第5部材750がそれ以上前方に移動できない限界の位置を規定する。つまり、この実施形態では、ガイド棒753Dの前頭部753D1の後側の面が、本願発明で言う規制部材に相当することになる。
【0038】
変形例による挟持具の使用方法、及び動作について説明する。
変形例による挟持具の使用方法、及び動作は、概ね第1実施形態の場合と同様である。
【0039】
変形例の挟持具は、以下のようにして用いる。まず、第1実施形態の場合と同様に、挟持具を、
図3に示したような第1部材710と第3部材730の基端側が大きく離れた状態、つまり開状態とする。この状態では、第1部材710の第1挟持部711と、第2部材720の第2挟持部721とは互いに離れている。このとき第1挟持部711と第2挟持部721の隙間に対象物を挿入する。
次いで、第1部材710の第1ハンドル712と、第3部材730の第2ハンドル732とを、ユーザが片手でまとめて握ることで第1部材710と第3部材730の基端側同士を近づけた状態、つまり閉状態とする。閉状態になると、4角形の頂点に位置する第1軸791、第2軸792、第3軸793、及び第4軸794によって接続される第1部材710、第2部材720、第3部材730、第4部材740、及び第5部材750が形成するリンク機構によって、第1挟持部711と第2挟持部721が接近する。これにより、対象物が第1挟持部711と第2挟持部721の間に挟持される。第1ハンドル712と、第2ハンドル732とに互いに開く力を加えない限り、第1ハンドル712と、第2ハンドル732とはこの状態を保つ。
【0040】
ユーザが挟持具を閉状態とした場合には、第1挟持部711と第2挟持部721が接近する。ここで、挟持具が閉状態になっている場合における、対象物が存在しないときの第1挟持部711と第2挟持部721との距離よりも、第1挟持部711と第2挟持部721との間に挟まれている対象物の厚さが幾らか厚かったとする。この場合、第5部材750は、第1実施形態の場合と同様に、弾性体760の前向きの付勢力に抗して後方に移動する。
それにより、変形例による挟持具においても、第1実施形態の場合と同様のリンク機構の変形が生じる。それにより、対象物の厚さが予定したものより多少厚かったとしても、リンク機構の調節、或いは第5部材750の第1部材710に対する前後の位置の調節をしなくとも、対象物をしっかりと第1挟持部711と第2挟持部721との間で挟持することができる。
【0041】
また、変形例による挟持具においては、ボルト717の頭部717Aをユーザが摘んで回転させることにより、ボルト717を前後させることができる。ボルト717が前後すると、当然にそれに伴って係止溝717Bも前後に移動する。
そうすると、それに伴って、ガイドベース753と第5部材750とを含む上述の構造体の全体が前後に移動する。これにより、挟持具が閉状態になっている場合における、対象物が存在しないときの第1挟持部711と第2挟持部721との距離を調整することができる。弾性体760を利用しての上述のリンク機構の変形には弾性体760の長さ等に基づく制限が存在するから、対象物の厚さが変化した場合においても第1挟持部711と第2挟持部721をしっかりと挟持できる、という効果にも限度がある。対象物の厚さの変化がかかる限度を超えた場合には、挟持具が閉状態となった場合に、第1挟持部711と第2挟持部721との間で対象物をしっかりと挟持できないということも起こりうるが、上述の構造体を前後させることにより、そのような不具合を解消することができる。のみならず、この実施形態では、第5部材750とガイド棒753Dと弾性体760とがその前後方向の相対的な位置関係を保ちながら移動するので、第5部材750の位置を前後させたとしても、弾性体760が第5部材750に与える付勢力がその前後で変化しない。
なお、この場合には、第1部材710に対する第5部材750の位置の調整が必要となるが、上述の構造体を前後に移動させた場合であっても、弾性体760が第5部材750に与える前向きの付勢力によって、リンク機構の形状が対象物の厚さに応じて自動的に調整されるという上述の効果はそのまま維持されるので、変形例による挟持具では、第5部材750の位置の調整をそれ程厳密に行う必要はない。
【0042】
≪第2実施形態≫
第2実施形態によるパチンコ遊技機の取付装置は、パチンコ遊技機設置台ユニットとしての島にパチンコ遊技機を着脱自在に取付けるための遊技機の取付装置である。この実施形態における取付装置は、遊技機を島に着脱自在に取付ける機能と、島に取付けられた遊技機の傾斜角を事後的に変化させる機能とを兼ね備えたものとなっている。
かかる取付装置の中に、本願発明における挟持具が組込まれている。
【0043】
この実施形態によるパチンコ遊技機の取付装置により島に取付けられる遊技機は、
図7の斜視図に示したような枠に取付けた状態で島に取付けられる。
この実施形態の枠200は、必ずしもこの限りではないが、木製である。枠200は、所定幅の4枚の板状の部材を矩形に組合わせてなる。枠200を作る上下左右の各部材の幅は、この実施形態では等しくされている。つまり、この実施形態では、枠200の前後方向の長さは枠200のすべての部分で等しい。また、枠200を構成する4枚の板状の部材の厚みは、必ずしもこの限りではないが、上下左右の部材のすべてで等しくなるようにされている。枠200の上側の板を上枠材201と呼ぶことにする。
枠200の内側の空間には、図示を省略の遊技機が嵌め込まれ固定される。かかる遊技機の枠200に対する固定は従来から普通に行われているので、適当な周知技術を用いて行うことができる。
【0044】
次に、上述の枠200に嵌めこまれた遊技機が取付けられる島について説明する。もっとも、この島も、基本的には極めてありふれたものである。
図8に島400の断面図を示す。
図8において、左側が遊技機の前面方向である。
島400は木材を組合わせて出来ている。図示を省略しているが、島400は縦方向に延びる多数の柱を備えている。多数の柱の隣合うもの同士は、横方向に延びる梁や、後述するテーブル、水平板などにより互いに連結されている。
島400は、図示を省略のテーブルを備えている。テーブルは板材により形成されており、下から52cm程度の高さに水平に取付けられている。テーブルは、その上に、遊技機をその内部に固定された上述の枠200を載置するためのものである。
島400の最上方ではないが上方には、水平板410が設けられている。水平板410は板材であり、上述の柱の間に水平に渡されている。水平板410は、本願における上板にあたる。
【0045】
島400の前側の水平板410の上方には、ランプ板420が取付けられている。ランプ板420は板材であり、その幅方向が鉛直となるようにして島400に取付けられている。かかる取付けは大抵の場合固定的であるが、場合によっては後述する幕板と同様に、幕板ごと、或いは幕板の下端に対してヒンジ接続されて開閉可能とされる。
ランプ板420の前面には、周知の呼出ランプ421が取付けられる。ランプ板420の後面側には、呼出ランプ421を制御するための図示せぬ制御回路等が存在するが、これは後述する取付装置100とは干渉しないようにされる。ランプ板420には、制御回路と呼出ランプ421とを接続するためのケーブルを通過させるための孔が穿たれているが、これも
図2においては記載を省略している。
【0046】
水平板410の更に上方には、幕板430が取付けられている。幕板430は板材であり、その幅方向が鉛直となるようにして島400に取付けられている。幕板430の上端は、ヒンジ440を介して島400を構成する天板450に取付けられている。天板450は、板材であり、上述の柱の間に水平に渡されている。幕板430は、
図2の矢印で示したようにヒンジ440を中心として回転運動を行なえるようになっており、島400に対して開閉できるようになっている。
天板450と水平板410に挟まれた空間には、上述の取付装置100や、その他の機器が置かれる。幕板430が開閉自在とされているのは、幕板430を開いた状態で、取付装置100やその他の機器の操作やメンテナンスを行えるようにするためである。かかる操作やメンテナンスを行い易くするため、必ずしもこの限りではないが幕板430は、島400に対して略水平な状態(つまり、幕板430を開いた状態)で、その位置を固定できるようになっている。
【0047】
次いで、取付装置100について説明する。
取付装置100は、
図8に示したように、水平板410の後方に取付けられる。この取付装置100は、2つを一組として、枠200の幅方向の両外側付近をそれぞれ固定するようになっている。取付装置100の水平板410への取付は、後述するように、木ねじ、ボルトなどを用いて適当に行われる。
取付装置100の外観の詳細は、
図9〜
図11に示されている。
【0048】
図9は、取付装置100をやや右よりの後方から見た状態を示す斜視図、
図10は、取付装置100の右側面図、
図11は、取付装置100の底面図である。
【0049】
なお、この限りではないが、特に断りのない場合、この実施形態の取付装置100は金属でできている。金属は、例えばアルミ、鉄、或いはステンレスである。
【0050】
取付装置100は、ベースレール部材111を備えている。ベースレール部材111は、細い板状でありそれらの間に幾らかの間を空けて平行に配された、板状の2本のベースレール部111Aと、2本のベースレール部111Aをその後端で接続する、2本のベースレール部111Aから垂直に立ち上がった板状の後板111Bとを備えている。ベースレール部材111は、平面視した場合の形状が前方が開放された略コの字型となっており、側面視した場合の形状が後方が立上がる略L字型となっている。
ベースレール部材111の後端には、補強部材111Cが取付けられている。補強部材111Cは、ベースレール部111Aの後端にその下面から当接する2つの矩形の下面板111C1、後板111Bにその後面から当接する後板111Bと同一形状の後面板111C2、及び下面板111C1と後面板111C2とを接続する三角板111C3を有し、ベースレール部111Aと後板111Bとの接続部分を下面、後面、及び側面から包み込んで補強するものとなっている。
【0051】
取付装置100のベースレール部材111の各ベースレール部111Aの後方と中央付近には、孔111A1が前後に2つ穿たれている(後方のものは図示を省略している。)とともに、各ベースレール部111Aの前方よりの位置には、孔111A2が2つ設けられている。
取付装置100の使用時において、ベースレール部材111は、ベースレール部111Aの前側部分の上面を水平板410の下面に当接させた状態で、孔111A2のうちの適当なものを貫通させたネジS2を水平板410に上向きに打込むことにより、水平板410の下面にネジ留め固定されるようになっている(
図8)。
【0052】
ベースレール部材111の上側には、スライドベース部材112が取付けられている。
スライドベース部材112は、例えば
図12に示されたように、ベースレール部111Aと略同じ幅を持つその前方に位置する前方部112AF、及びベースレール部111Aよりも広い幅を持つその後方に位置する後方部112ARを有するとともに、2本のベースレール部111Aの外側の縁とその外側の縁とが一致するようにされたベースレール部111Aよりも短い前後方向の長さを持つ2本の板状のスライドベース部112Aと、それらスライドベース部112Aの前端から垂直に立ち上がった前板112Bとを備えている。スライドベース部材112は、平面視した場合の形状が後方が開放された略コの字型となっており、側面視した場合の形状がベースレール部材111とは立上りが前後逆向きの略L字型となっている。
スライドベース部材112が有するスライドベース部112Aには、ベースレール部111Aに穿たれた2つの孔111A1に対応する位置にそれぞれ、その内周面にネジ切りのされた孔(図示を省略)が穿たれているとともに、その上面の前端に、後述するネジ112Dのうち前方のものの先端との干渉を避けるための孔を有する板状の補強板112Cが溶接されている。
【0053】
スライドベース部材112とベースレール部材111は、スライドベース部112Aの下面をベースレール部111Aの上面に当接させ、且つスライドベース部112Aの後端をベースレール部111Aの後端に一致させた状態で、互いに固定されている。かかる固定は、前方ではベースレール部111Aの孔111A1を貫通させたネジ112Dの先端をスライドベース部112Aのその内周面にネジ切りされた孔と螺合させ、後方では補強部材111Cの下面板111C1に設けられた孔及びベースレール部111Aの孔111A1を貫通させたネジ112Dの先端をスライドベース部112Aのその内周面にネジ切りされた孔と螺合させることによって行われている。
図12のスライドベース部材112とベースレール部材111のみを簡略化して示した斜視図を参照すれば理解できるように、スライドベース部材112とベースレール部材111とが固定された状態では、スライドベース部112Aの前方部112AFの内側縁はベースレール部材111のベースレール部111Aの内側縁に一致した状態となり、スライドベース部112Aの後方部112ARの内側縁はベースレール部材111のベースレール部111Aの内側縁から内側に更に食み出た状態となる。
【0054】
スライドベース部材112の前板112Bの下方には、左右2つずつ計4つの孔112B1が横並びに穿たれており、取付装置100の使用時において、その孔112B1のうちの適当なものを貫通させたネジS1を水平板410に後ろから横向きに打込むことにより、スライドベース部材112は、水平板410の後面にネジ留めされるようになっている(
図8)。
前板112Bの孔112B1を4つとしたのは、前板112Bの水平板410への固定を確実に行えるようにするためであり、また、前板112Bの両外側部分に半円形の張出し112B2を設けたのは、4つの孔112B1のうちの外側に位置するものを配置するスペースを前板112Bに設けるためである。半円形の張出し112B2が取付装置100の水平板410への固定を行う際に邪魔になる場合には、外側に位置する2つの孔112B1は、それが設けられている半円形の張り出し112B2ごと前板112Bから切取られる場合がある。
スライドベース部材112の前板112Bの下方には、円形の丸孔112B3(
図14参照)が穿たれており、且つその全面には、円形の丸穴112B3を露出させるための孔(図示を省略)を備えた前補強板112B4が取付けられている。
【0055】
図13に示したように、ベースレール部材111の後板111Bの上端の幅方向の中央には、半円形の切欠き111B1が設けられているとともに、2つの孔111B2が穿たれている。
ベースレール部材111の後板111Bの前面には、その幅方向の中心に、その下端から上方に向かい、その上端が切欠き111B1に略対応する半円形状とされた細長い切欠きである長切欠き113Aを有するとともに、ベースレール部材111の後板111Bの孔111B2に対応する位置に設けられたその内周面にネジ切りのされた2つの孔113Bを有する、略台形形状であり板状の押え板113が取付けられている。
押え板113とベースレール部材111の後板111Bと補強部材111Cの背面板111C2とは、押え板113の孔113Bと、後板111Bの孔111B2と、補強部材111Cの後面板111C2に穿たれた孔(図示を省略)とを後面板111C2の側からまとめて貫くネジ113Cの先端を、その内周面にネジ切りのされた押え板113の孔113Bに螺合させることによって固定されている。
押え板113がベースレール部材111の後板111Bに取付けられた状態で、押え板113の長切欠き113A上端の半円形の部分と、ベースレール部材111の後板111Bの切欠き111B1は、前者が上、後者が下の位置関係で一体となって事実上円形の孔である丸孔113Xをなす。
押え板113の長切欠き113A上部の半円形の部分と、ベースレール部材111の後板111Bの切欠き111B1とがなす事実上円形の丸孔113Xの孔の中心と、スライドベース部材112の前板112Bに穿たれた円形の丸孔112B3の中心のベースレール部111Aからの高さは、等しくされている。
【0056】
押え板113の長切欠き113A上端の半円形の部分、及びベースレール部材111の後板111Bの切欠き111B1がなす事実上円形の丸孔113Xと、スライドベース部材112の前板112Bに穿たれた円形の丸孔112B3とにより、スライドボルト114の両端が支持されている(
図14)。
スライドボルト114は、その外周面にネジ切りのされたボルトにより構成されている。スライドボルト114の後側の端部には後軸114Aが、スライドボルト114の前側の端部には前軸114Bが、それぞれスライドボルト114のネジ切りのされているところよりも小径として、スライドボルト114のネジ切りのされているところと同軸に設けられている。
押え板113の長切欠き113A上端の半円形の部分、及びベースレール部材111の後板111Bの切欠き111B1がなす事実上円形の丸孔113Xが後軸114Aを、スライドベース部材112の前板112Bに穿たれた円形の丸孔112B3が、前軸114Bを、それぞれ回転可能に且つ上下方向に移動不可能に軸支している。
後軸114Aのベースレール部材111の後板111Bの直後には、後軸114Aよりも大径の円板であるボルトハンガー114Cが設けられており、スライドボルト114は、その前後方向の移動が規制されている。
【0057】
スライドベース部材112の前板112Bの丸孔112B3の上方には、スライドボルト114を中心とした円弧の一部に対応する弓型の孔である弓孔112B5が穿たれている。
スライドボルト114の前端側の所定の範囲では、その外周面にネジ切りがなされておらず、スライドボルト114のそのネジ切りがなされていない部分には、その外周に歯を備えたプーリーである第1プーリー114Dが取付けられている。
スライドベース部材112の前板112Bの直後には、後面と下面が開放された略直方体形状のベルトケース121が、その前側の板の下端近くをスライドボルト114に貫通された状態で配されており、ベルトケース121の下端に第1プーリー114Dが位置するようになっている。ベルトケース121はスライドボルト114を軸として一定の角度範囲で左右に回転できるようになっている。
ベルトケース121の前面をなす前面板121Aの、前板112Bに設けられた弓孔112B5に対応する位置の上方には、その下方が弓孔112B5の前面に位置するようにクランクされたクランク部材121A1が取付けられている。クランク部材121A1の弓孔112B5に対応する位置にはその内周面にネジ切りのされた孔(図示を省略)が、ベルトケース121の前面板121Aの弓孔112B5に対応する位置には孔(図示を省略)がそれぞれ設けられている。前面板121A側からネジを、前面板121Aの孔、弓孔112B5を貫通させ、且つクランク部材121A1の孔にネジ121A3の先端を螺合させることにより、前面板121Aとクランク部材121A1で前板112Bが挟持されるようになっている。このような構成により、ネジ121A3を弓孔112B5で案内させつつベルトケース121をスライドボルト114を軸として所望の角度に回転させた状態で、ベルトケース121を前板112Bに対して固定することができるようになっている。
【0058】
ベルトケース121内部の上端近くにはその外周に歯を備えたプーリーである第2プーリー(図示を省略)が収められたプーリーケース121Bが設けられている。第2プーリーの前側には、六角レンチの先端を挿入することができるようになっているレンチ穴(図示を省略)がその前面に穿たれたプーリー軸123が設けられており、プーリー軸123はベルトケース121の前面板121Aに設けられた孔(図示を省略)を貫通して前面板121Aの前面から露出している。
第1プーリー114Dと第2プーリーの外側には、両者の外周に設けられた歯と噛み合う歯をその内周面に備えた無端のベルトであるタイミングベルト122が嵌められている。
島の前面の一部を開放してそこから六角レンチの先端をレンチ穴に挿入し、六角レンチを回転させると、プーリー軸123と一体となった第2プーリーが回転し、その回転がタイミングベルト122を介して第1プーリー114Dに伝わることにより、第1プーリー114Dと固定されたスライドボルト114が回転するようになっている。結果として、レンチ穴にその先端を挿入した六角レンチを回転させることにより、スライドボルト114に固定された、後述のスライドタップ115を前後に移動させることができるようになっている。
【0059】
スライドボルト114には、スライドタップ115が螺合されている。
スライドタップ付近の分解図を、
図15に示す。
スライドタップ115は、略直方体形状である。スライドタップ115は、スライドボルト114の外径に対応した内径を持ち、スライドボルト114に螺合するようにその内周面にネジ切りのされた、それを前後方向に貫く孔(図示を省略)を有している。スライドタップ115は、スライドボルト114の回転に応じて、スライドベース部材112のスライドベース部112Aの後方部112ARに対応する範囲を前後に移動可能にして、スライドベース部材112のスライドベース部112Aから浮いた状態で、その図示せぬ孔をスライドボルト114に貫通された状態でスライドボルト114に螺合している。
図15に示したように、スライドタップ115の上側には、その上面に円形の固定穴116Aが穿たれた盛り上げ部116が設けられている。
【0060】
盛り上げ部116を備えたスライドタップ115は、ケース117に仕舞われた状態となっている。ケース117は、上面が開放された略直方体形状をしているケース本体117Aと、ケース本体117Aの上に取付けられるケース蓋117Bとを備えている。
ケース本体117Aの前面と後面には、スライドボルト114と、ケース本体117Aの前面及び後面との干渉を防ぐための切欠き117A1が設けられており、ケース本体117Aはあたかもその前後の面をスライドボルト114に貫かれたような状態となっている。
ケース本体117Aの左右の面には、その内周面にネジ切りがされた孔117A2が穿たれている。
ケース蓋117Bは、前方から見た場合、断面略コの字型をしており、その左右の面が、ケース本体117Aの左右の面の外側に位置するようにしてケース本体117Aに上側から蓋をするようになっている。
ケース蓋117Bの左右の面には孔117B1が穿たれており、ケース蓋117Bは、ケース本体117Aに蓋をした状態で、孔117B1を貫通しその先端をケース本体117Aの孔117A2に螺合させられるネジによって、ケース本体117Aと固定されている。
ケース蓋117Bの上面には、パンチ孔117B2が穿たれており、ケース蓋117Bのパンチ孔117B2の下方の部分は、パンチ孔117B2の径に対応する内径を有する円筒形状に下方に突出する突出部(図示せず)をなしている。
ケース117の内部には、盛り上げ部116の固定穴116Aの内周面にその下端を固定され、ケース蓋117Bのパンチ孔117B2の下方の突出部にその上端を固定されたバネ117Cが圧縮された状態で取付けられており、バネ117Cの弾性力によって、ケース蓋117B及びそれと固定されたケース本体117Aからなるケース117は、常に上方向に働く付勢力を受けるようになっている。ケースは通常、
図14(a)の位置にある。他方、ケース117に対して、バネ117Cの付勢力に抗した下向きの外力を与えることにより、ケース117は下方向に移動可能とされ、且つ斜め方向の外力を加えることにより前後方向に搖動できるようになっている(
図14(b)参照)。
【0061】
ケース本体117Aの下端の幅は、スライドベース部材112の2つのスライドベース部112Aの後方部112AR間の幅と略同じ程度となっている。
ケース本体117Aの下面には、スライドベース部材112の2つのスライドベース部112Aの前方部112AF間の幅と略同じ程度の幅を持ち、且つベースレール部材111のベースレール部111Aと略同じ程度の長さを持つものであり、水平板410に挿入された上枠材201を上側から押さえる矩形の板状のグリップベース710が溶接固定されている。
このグリップベース710を含めて、それより下側に位置する部材が、本願発明でいう挟持具に相当する。グリップベース710は、第1実施形態における第1部材710に相当する。それ故、第2実施形態では、第1実施形態における第1部材710とはその形状がやや異なるものの、グリップベース710に第1実施形態の第1部材710と同じ、「710」の符号を付す。また、以下の説明では、第2実施形態の取付装置において本願発明における挟持具に相当する部分を挟持部150と称することにする。
ケース本体117Aは、バネ117Cの弾性力によって常に上向きに付勢されているので、ケース117を構成するケース本体117Aと固定されているグリップベース710は、ベースレール部材111のベースレール部111Aの間に嵌り込み、且つその上面をベースレール部材111のベースレール部111Aの内側から内側に更に食み出たスライドベース部112Aの水平板410の内側に当接させた状態となるようになっている。
【0062】
グリップベース710の下側には、第2部材720、第3部材730、第4部材740、及び第5部材750が設けられている。これらは、いずれも第1実施形態におけるそれらと同様に構成されており、また第1実施形態におけるそれらと同様の第1軸791、第2軸792、第3軸793、及び第4軸794により互いに回転可能として接続されている。ただし、第2実施形態において第1実施形態における第1部材710に相当するグリップベース710には、第1実施形態の第1部材710が備えていた第1ハンドル712は存在しない。
この取付装置はもちろん、手持ちして用いるものではない。この取付装置では、第3部材730の第2ハンドル322を後方に持ち上げることにより、第1部材710と第2部材720の基端同士を近づけることが可能であり、そうすることでこの取付装置における挟持部150を、開状態から閉状態へ変化させることができるようになる。
グリップベース710、第2部材720、第3部材730、第4部材740、及び第5部材750は、第1実施形態の場合と同様のリンク機構を構成している。
【0063】
図16、
図17の分解図を参照しつつ、グリップベース710より下側に位置する各部材による、挟持部150の構成について説明する。
グリップベース710の下側には、断面略コの字型であり、下と先端側が開放された取付ケース800が設けられている。取付ケース800の両側面には、前後方向に伸びる孔である長孔810が設けられている。長孔810は、第1実施形態におけるガイド溝715及び変形例におけるガイド孔753Bと同様の機能を有するものであり、第4軸794の両端を案内するものである。
取付ケース800の基端側の板には、孔が穿たれており、この孔には、変形例においては単なる棒であったが、第2実施形態ではその基端側の略半分においてはその外周にネジ切りのされているボルトである、ガイド棒753Dが貫通するようにされている。ガイド棒753Dは、その孔の基端側に配されたナット753Fにその基端側を螺合された状態で、取付ケース800の内側に配されることになる。
なお、ガイド棒753Dの先端側には、変形例のガイド棒753Dが有していたのと同様の前頭部(図示を省略)が設けられている。第2実施形態における前頭部の役割は、変形例の場合と同様である。これも図示を省略しているが、変形例の場合と同様に、第2実施形態でも平面視コの字型に構成された第5部材750の矩形板754にはガイド棒753Dを貫通させるための、前頭部よりも小径とされた孔が穿たれているとともに、前頭部は矩形板よりも前側に位置するようにされている。これにより、矩形板754はその前面を、前頭部の後面に係止されることで、前方向への移動を制限されるようになっている。なお、上述のナット753Fに対してガイド棒753Dをどれだけの長さ螺合させるかによって、本願発明の規制部材として機能するガイド棒753Dの前頭部の前後方向の位置を決定することができる。この実施形態では、閉状態にある挟持部150における、何もその間に挟持していない第1挟持部711と第2挟持部721との間隔が、枠200の上枠材201の規格通りの厚さよりも僅かに小さくなるようにしている。
また、取付ケース800の内側には、弾性体760が設けられている。弾性体760は、これには限られないが圧縮されたコイルばねであり、変形例の場合と同様に、ガイド棒753Dに貫通された状態で、取付ケース800の内側に配されている。弾性体760は、第5部材750の矩形板754の後面と、取付ケース800の基端側の板との間に位置するので、前者を前側に、後者を後側に押す。弾性体760が、第5部材750に前向きの付勢力を常に与えるようになっていることも、変形例の場合と同様である。
【0064】
次いで、以上説明した、遊技機の取付装置100の使用方法、及び動作について説明する。
まず、取付装置100を、水平板410に固定する。より詳細には、取付装置100を、前板112Bの前面を水平板410の後面に当接させるとともに、ベースレール部111Aの上面を水平板410の上面に当接させた状態で、水平板410に固定する。これは
図8に示した通りである。
次いで、テーブルの上に、枠200を載置する。枠200の下側とテーブルとは、適当な方法で固定する。
【0065】
次いで、前後方向の適当な位置に、本願発明でいう挟持具に相当するグリップベース710よりも下の部材を移動させる。かかる移動は、幕板430(場合によっては天板450)を開放して、六角レンチ(或いは六角レンチに相当するものをその先端に接続した手動のドリル)にて第2プーリーを回転させることにより行う。上述のように、第2プーリーを回転させると、その回転がタイミングベルト122を介して第1プーリー114Dに伝えられ、それにより、第1プーリー114Dと固定されたスライドボルト114が回転する。このようにしてレンチ穴にその先端を挿入した六角レンチを回転させることにより、スライドボルト114に固定されたスライドタップ115を前後に移動させる。スライドタップ115が前後に移動すると、スライドタップ115の下面に固定されているグリップベース710も前後に移動するから、それにより挟持具150が前後に移動する。
【0066】
そして、取付装置に含まれる本願発明における挟持具に相当する部分を、前後方向の適当な位置に位置決めしたら、遊技機を固定した枠200の上枠材201をグリップベース710の第1挟持部711と、第2部材720の第2挟持部721との間に入れる。このとき、枠200の製造精度が低く、枠200の上枠材201が本来あるべき位置よりも下方に位置するとする。
その場合には、グリップベース710或いは、本願発明における挟持具に相当する部分のどこかを下方に引っ張れば良い。上述したようにスライドタップ115に接続されたケース117は、バネ117Cから上向きの弾性力を受けているが、その弾性力に抗して下向きの力を加えることで下方に移動できる。グリップベース710或いは、本願発明における挟持具に相当する部分のどこかを下方に引っ張れば、本願発明における挟持具に相当する部分全体が下方に移動するため、仮に枠200の上枠材201が本来あるべき位置よりも下方に位置したとしても、第1挟持部711と、第2挟持部721との間に上枠材201を入れることは可能である。
【0067】
次いで、第3部材730の第2ハンドル722を上方に持ち上げることにより、第1部材710と第2部材720の基端同士を近づける。そうすると、第1実施形態と変形例の場合と同様に、グリップベース710の先端側である第1挟持部711と、第2部材720の第2挟持部721とが近づき、挟持具が開状態から閉状態へ移行する。
【0068】
第2実施形態では、その間に何も挟んでいない場合における閉状態での第1挟持部711と、第2部材720の距離は、予定されている上枠材201の厚さよりも幾らか小さくなるように調整されている。なお、かかる調整は、ガイド棒753Dをどれだけの長さナット753Fに対して螺合させるか、言い換えればナット753Fに対するガイド棒753Dの前後方向の位置をどこにするか、を調整することによって実現することができる。したがって、本願発明における挟持具に相当する部分が閉状態となった場合、仮に上枠材201が予定されている本来の上枠材201の厚さよりも薄かったとしても、第1挟持部711と、第2挟持部721との間で上枠材201はしっかりと挟持される。
他方、上枠材201の厚さが、予定されている本来の上枠材201の厚さに等しいか、或いはそれより幾らかその厚さが大きかったとする。この場合、第1実施形態及び変形例の場合と同様に、弾性体760による前向きの付勢力に抗して第5部材750が後側に下がることにより、グリップベース710、第2部材720、第3部材730、第4部材740、及び第5部材750で作られる上述のリンク機構が自動的に変形する。これにより、第1挟持部711と、第2挟持部721との間で上枠材201はしっかりと挟持される。
【0069】
このようにして、枠200は、取付装置100によって固定される。
取付装置100による枠200の固定を行った後においても、上述した方法でスライドタップ115を前後に移動させて挟持部150を前後させることにより、遊技機の傾斜角を調整することもできる。
遊技機の傾斜角を変えると、上枠材201が水平な状態から幾らか傾斜する場合がある。しかしその場合でも、第1挟持部711を有するグリップベース710、及び第2挟持部731を有する第3部材730は、というよりも挟持部150の全体は、ケース117の揺動により追従することができるから、第1挟持部711、及び第2挟持部731による上枠材201の挟持力に影響がでないし、グリップベース710及び第3部材730を含む挟持部150の破損も生じない。
【0070】
取付装置による遊技機の固定を解除する場合には、第3部材730の第2ハンドル732を下方に押し下げることにより、本願発明における挟持具に相当する部分を閉状態から開状態にすれば良い。