特許第6570900号(P6570900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570900
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】ねじ類供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20190826BHJP
   B65G 65/40 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B65G47/14 H
   B65G65/40 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-131748(P2015-131748)
(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公開番号】特開2017-13950(P2017-13950A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】315008902
【氏名又は名称】有限会社サワ
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】澤村 捷郎
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−246264(JP,A)
【文献】 特開昭60−102313(JP,A)
【文献】 特開平09−315550(JP,A)
【文献】 特開2006−193331(JP,A)
【文献】 特表2003−531785(JP,A)
【文献】 特開2012−153446(JP,A)
【文献】 特開昭61−271074(JP,A)
【文献】 特開平04−112119(JP,A)
【文献】 実開昭63−088619(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ類を収容する収容部と、
ねじ類を装置外部へと順次搬送する搬送機構と、
前記収容部から前記搬送機構へとねじ類を供給する供給機構と、を備え、
前記搬送機構が、ガイドレール部と、該ガイドレール部を振動させる振動機構とを有し、
前記ガイドレール部が、二本のガイドレールを平行に配置し、ねじ類が前記二本のガイドレールの間の溝に軸部が挿入され、前記二本のガイドレールの上端部に頭部が当接して鉛直に吊下されるように構成された第1区間及び第3区間の間に、前記二本のガイドレールのうちの一方がなくなり、残った前記二本のガイドレールのもう一方を外側に傾斜させて、ねじ類が当該残ったガイドレールの上端部に頭部を係合させて斜めに吊下されるように構成された第2区間を有し、
前記ガイドレール部が、第1ガイドレール及び第2ガイドレールから構成され、
前記第2区間が、前記第1ガイドレールがなくなり、前記第2ガイドレールを外側に傾斜させて構成されており、
前記第2ガイドレールが、前記第1区間から前記第2区間へと遷移する領域において上端側から徐々に外側に倒れていき、前記第2区間から前記第3区間へと遷移する領域においては、下端側から徐々に傾斜を直していくように構成されていることを特徴とするねじ類供給装置。
【請求項2】
前記第1区間から前記第2区間へと遷移する領域においては、ねじ類がその頭部から徐々に外側へと倒れて斜めになっていき、前記第2区間から前記第3区間へと遷移する領域においては、ねじ類がその軸部を徐々に頭部の真下へと移動させて直立状態になっていくように、前記第2ガイドレールが構成されていることを特徴とする、請求項に記載のねじ類供給装置。
【請求項3】
前記第1区間と前記第2区間とが曲線的に連結されており、
前記第2区間と前記第3区間とがほぼ直線的に連結されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のねじ類供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部及び軸部からなるねじ類、ボルト、リベット、釘等を整列して連続的に供給するねじ類供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークのねじ締め作業を行う自動組み立てラインや組み立て作業者に対してねじを一つずつ整列して連続的に供給するために、各種のねじ類供給装置が提案されている。その具体的な装置構成としては、多数のねじを収容しておく収容部と、ねじを一つずつ整列して搬送するための二本の直線状のガイドレールからなる搬送機構とを備え、収容部に収容されているねじを搬送機構のガイドレール上に供給し、二本のレール間の溝にねじの棒状部が挿入されて吊り下がった状態で整列させ、順次搬送される仕組みが採用されている。
【0003】
例えば特許文献1には、収容部から汲取機構によってねじを汲み上げて二本の案内レール部材からなる搬送機構上に落下させ、二本の案内レール部材の隙間にねじの軸部が案内されるとともに頭部が引っかかって位置するように順次嵌合し、ねじが整列した状態で排出部側に進行していくネジ類供給装置が開示されている。
【0004】
ところで、搬送機構上に無作為にねじを落下させると、うまく二本のレール部材間に軸部が嵌合して整列するものだけではなく、二本のレール部材の上に不正姿勢で載った状態のまま排出部方向に搬送されていってしまう状況が生じる。このような不整列のねじを排除するために、特許文献1のネジ類供給装置においては、レール部材の上面を刷毛で左右に掃き払う刷毛回動機構を設け、図6に示すように、刷毛回動機構によって刷毛を回動駆動させてレール部材の上に載ったねじを払い落とす構成が採用されている。
【0005】
また、図7に示すように、排出部近傍のレール部材上にねじの頭部だけが通過できる開口部を穿設したゲートを設置するゲート機構が採用されることもある。このようなゲート機構がレール部材上に設けられていると、レール部材間に嵌合して整列したねじは頭部が開口部を通過し、そのままゲートに引っ掛からずに排出部方向に搬送され続けるが(図7(a)を参照)、不整列のねじは開口部を通過できず、ゲートに引っ掛かったねじはレール部材の左右に落とされて排出部方向には搬送されない(図7(b)を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−227285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のネジ類供給装置に設けられた刷毛回動機構を駆動するためには、追加の駆動源及び駆動系を必要とするか、あるいは既存の駆動源を利用するとしても既存駆動源の駆動力をカムやリンク機構を用いて刷毛回動機構に伝えるための複雑な構造を必要とする。ねじ類供給装置のように連続的に使用されることが多い装置は故障やメンテナンスの必要が多くなるが、追加の駆動源や駆動系が増えたり、構造が複雑になったりすると、それだけ装置の故障が生じる可能性も高くなるという問題があるため、シンプルな構成が求められる。
【0008】
また、図7に示すようなゲート機構を設けた場合、ゲートを通過できなかったねじが必ずしもうまくレール部材の左右から落下するとは限らず、ゲート付近で引っ掛かってしまうこともあり、装置自体が故障することによってワークのねじ締め作業が中断させられるおそれもある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、特別な機構を設けることなく簡単な構成で不整列のねじ類を除去できるねじ類供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、ねじ類を収容する収容部と、ねじ類を装置外部へと順次搬送する搬送機構と、前記収容部から前記搬送機構へとねじ類を供給する供給機構と、を備え、前記搬送機構が、ガイドレール部と、該ガイドレール部を振動させる振動機構とを有し、前記ガイドレール部が、二本のガイドレールを平行に配置し、ねじ類が前記二本のガイドレールの間の溝に軸部が挿入され、前記二本のガイドレールの上端部に頭部が当接して鉛直に吊下されるように構成された第1区間及び第3区間の間に、前記二本のガイドレールのうちの一方がなくなり、残った前記二本のガイドレールのもう一方を外側に傾斜させて、ねじ類が当該残ったガイドレールの上端部に頭部を係合させて斜めに吊下されるように構成された第2区間を有するねじ類供給装置を提供する(発明1)。
【0011】
かかる発明(発明1)によれば、ガイドレール部を振動機構が振動させることによって、供給機構によりガイドレール部の第1区間に供給されたねじ類が第2区間、第3区間方向に搬送されていく。第1区間において二本のガイドレールの間の溝に軸部が挿入され、二本のガイドレールの上端部に頭部が当接して鉛直に吊下されたねじ類は、第2区間においても残ったガイドレールの上端部に頭部を係合させて斜めに吊下されて搬送され続け、第3区間で再び二本のガイドレールの間の溝に軸部が挿入され、二本のガイドレールの上端部に頭部が当接して鉛直に吊下された状態に戻り外部へと搬送されていくが、第1区間において二本のガイドレール上に不正姿勢で載っただけのねじ類は、第2区間でガイドレールが一本だけになることにより、ガイドレール上に不正姿勢で載っている状態を維持することができず、外側に傾斜したガイドレールの傾斜面を滑り落ちる。その結果、ガイドレール部上に不正姿勢で載ったねじ類は第2区間で排除され、整列したねじ類のみを第3区間を経て外部へ搬送することができることとなる。
【0012】
なお、本発明においてねじ類とは、螺旋状にねじ山の刻まれた軸部と軸部よりも径の太い頭部からなる一般にねじと呼ばれる固着具のみならず、ボルト、リベット、釘等の平面視円形又は多角形の頭部及び頭部の中心から延設された棒状の軸部を有する部品全般を含む概念である。
【0013】
上記発明(発明1)において、前記収容部の上部に、ねじ類を前記収容部へと供給するホッパを更に備えていることが好ましい(発明2)。
【0014】
かかる発明(発明2)によれば、収容部に対して継続的に大量のねじ類を供給することができるため、ねじ類の補給のために自動組み立てラインの操業を一旦停止したり、組み立て作業を一時中断したりする必要のない、連続運転可能なねじ類供給装置とすることができる。
【0015】
上記発明(発明2)において、少なくとも一部分が前記ホッパの排出口から前記ホッパの内部へと挿入された上下動可能な棒状部材を更に備えていることが好ましい(発明3)。
【0016】
ホッパにねじ類を大量に投入すると、ねじ類の構造上、複数のねじ類の軸部が絡み合ってしまい、ホッパの排出口に向かってねじ類がうまく流れていかずに詰まってしまう状況が起こり得る。かかる発明(発明3)によれば、撹拌用の棒状部材を上下動させることによってホッパ内のねじ類が撹拌され、ねじ類が絡み合った状態が解消されるため、ホッパ内でねじ類が絡み合って詰まることなく、排出口から収容部へと円滑にねじ類を供給することができる。
【0017】
上記発明(発明3)において、前記棒状部材に前記ホッパの排出口を開閉する蓋部材が取り付けられていることが好ましい(発明4)。
【0018】
かかる発明(発明3)によれば、ホッパの排出口を開閉する蓋部材の開閉動作を行う際に同時にホッパ内で絡み合ったねじ類を撹拌する動作を行うことができる。また、蓋部材の開閉動作とホッパ内のねじ類撹拌動作とを一つの駆動系で行うことができるため、ねじ類供給装置の構造を単純化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のねじ類供給装置によれば、ガイドレール部上に不正姿勢で載ったねじ類を排除する区間をガイドレール部の途中に設けた構造とすることにより、刷毛回動機構やゲート機構等の特別な機構を設けることなく不整列のねじ類を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るねじ類供給装置の基本構成を示す概略説明図である。
図2】同実施形態に係るガイドレール部の構造を示す斜視図である。
図3】同実施形態に係るガイドレール部の構造を示す平面図である。
図4】同実施形態に係るガイドレール部の構造とねじ類を吊下する様子を示す断面説明図である。
図5】同実施形態に係るねじ類補給機構の構造を示す概略説明図である。
図6】従来のねじ類供給装置における刷毛回動機構の動作を示す説明図である。
図7】従来のねじ類供給装置におけるゲート機構の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るねじ類供給装置について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
本実施形態に係るねじ類供給装置9は、図1に示すように、筐体1と、ねじ類Nを収容する収容部2と、ねじ類Nを装置外部へと順次搬送するガイドレール部3と、ガイドレール部3を振動させる振動機構4と、収容部2からガイドレール部3へとねじ類Nを供給する供給機構5と、収容部2へねじ類Nを補給する補給機構6とから構成されている。ねじ類Nは図1に示した矢印の方向を搬送方向Dとしてガイドレール部3を搬送されて装置外部へと順次搬送される。ガイドレール部3の搬送方向Dの始点側の端部を始端部3S、搬送方向Dの終点側の端部を終端部3Eと呼ぶ。
【0023】
収容部2、ガイドレール部3、振動機構4、供給機構5及び補給機構6はいずれも筐体1内に配置されているが、ねじ類を装置外部へと搬送するために、ガイドレール部3の終端部3E側は筐体1の側面から装置外部へと突き出している。装置外部へと突き出したガイドレール部3の終端部3Eは、ねじ類供給装置9と一体化した、或いはねじ類供給装置9から独立して設けられた、ねじ類を整列した状態で自動組み立てライン又は組み立て作業者に提供するためのねじ類取出機構(不図示)に接続されている。また、補給機構6は、補給機構6内のねじ類Nの残量が目視にて確認できるように、その上部が筐体1の上方に露出している。
【0024】
筐体1は、収容部2、ガイドレール部3、振動機構4、供給機構5及び補給機構6が内部に配置された筐体本体11と、筐体本体11に着脱可能に取り付けられた筐体カバー12とからなる。筐体カバー12を取り外すことにより、筐体本体11の内部の各機構のメンテナンスを行うことができる。
【0025】
収容部2は、供給用のねじ類Nを収容するために筐体本体11内部に設けられた半円筒形状の空間であり、その底部21は、ガイドレール部3の終端部3E側が高く、始端部3S側が低くなるように、ねじ類Nの搬送方向Dとは反対の方向に向かって傾斜している。このように収容部2の底部21が傾斜していることにより、収容部2内に収容されているねじ類Nはその自重で供給装置5に向かって移動していく。また、補給機構6から収容部2へと補給されるねじ類Nや、搬送途中でガイドレール部3から収容部2へと落下したねじ類Nも、同様にその自重で供給装置5に向かって移動していく。
【0026】
ガイドレール部3は、全体としてねじ類Nの搬送方向Dに向かって下がるように設けられている。すなわち、ガイドレール部3の始端部3S側が高く、終端部3E側が低くなるように傾斜して設けられており、このガイドレール部3を振動機構4で振動させることによって、ねじ類Nがその自重によってガイドレール部3にガイドされながら終端部3Eに向かって移動するようになっている。なお、ガイドレール部3は必ずしもねじ類Nの搬送方向Dに向かって下がるように設けられる必要はなく、ほぼ水平に設けられていてもよい。ほぼ水平に設けられた場合でも、後述する振動機構4によるガイドレール部3への振動の与え方によってねじ類Nを搬送方向Dに向かって移動させていくことができる。
【0027】
ガイドレール部3は、図2及び図3に示すように、始端部3S側から順に第1区間3A、第2区間3B、第3区間3Cの三つの区間から構成されている。第1区間3Aにおいては、二本のガイドレール、すなわち右ガイドレール31と左第1ガイドレール32が平行に配置されており、ねじ類Nが二本のガイドレールの間の溝に軸部が挿入され、二本のガイドレールの上端部に頭部が当接して鉛直に吊下されるように構成されている(図4(a)を参照)。
【0028】
第2区間3Bにおいては、二本のガイドレールのうちの一方、すなわち左第1ガイドレール32がなくなり、残った二本のガイドレールのもう一方、すなわち右ガイドレール31を外側に傾斜させて、ねじ類Nが当該残った右ガイドレール31の上端部に頭部を係合させて斜めに吊下されるように構成されている(図4(b)を参照)。
【0029】
第3区間3Cにおいては、再び二本のガイドレール、すなわち右ガイドレール31と今度は左第2ガイドレール33が平行に配置されており、ねじ類Nが二本のガイドレールの間の溝に軸部が挿入され、二本のガイドレールの上端部に頭部が当接して鉛直に吊下されるように構成されている(図4(c)を参照)。
【0030】
ねじ類Nがスムーズに搬送されていくように、第1区間3Aと第2区間3Bとは曲線的に連結されており、特に右ガイドレール31は第1区間3Aから第2区間3Bへと遷移する領域において上端側から徐々に外側に倒れていく。その徐々に右ガイドレール31が外側に倒れていく遷移領域において、右ガイドレール31と左第1ガイドレール32との間に正しく係合して搬送されているねじ類Nが落下しないように、左第1ガイドレール32も右ガイドレール31の上端部との間隔を一定に保ちながら平行に曲折している。このように第1区間3Aから第2区間3Bへと遷移する領域を構成することによって、重力の影響を受けないようにねじ類Nがその頭部から徐々に外側へと倒れて斜めになっていく。
【0031】
第2区間3Bと第3区間3Cとはほぼ直線的に連結されているが、右ガイドレール31は第2区間3Bから第3区間3Cへと遷移する領域において今度は下端側から徐々に傾斜を直していく。その徐々に右ガイドレール31が傾斜を直していく遷移領域において、右ガイドレール31のみに頭部だけを係合させて斜めに吊下されて搬送されているねじ類Nが落下しないように、左第2ガイドレール33が右ガイドレール31の上端部との間隔を一定に保ち平行に設けられる。このように第2区間3Bから第3区間3Cへと遷移する領域を構成することによって、重力の影響を受けないように今度はねじ類Nがその軸部を徐々に頭部の真下へと移動させて直立状態になっていく。
【0032】
第1区間3Aから第2区間3Bへと遷移する領域においてねじ類Nがその頭部から徐々に外側へと倒れて斜めになっていき、第2区間3Bから第3区間3Cへと遷移する領域においてねじ類Nがその軸部を徐々に頭部の真下へと移動させて直立状態になっていくようにガイドレール部3を構成すると、ねじ類Nが自重を用いてスムーズに搬送されていく。すなわち、ねじ類Nは一般に頭部側に重心があるため、頭部から徐々に外側に倒れていく場合には重力の影響を受けずに抵抗なく斜めにすることができる。斜めの状態から直立状態に戻すときは、頭部を元の位置に戻すよりも軸部を頭部に追随させて頭部の真下に移動させると重力の影響を受けずに抵抗がない。
【0033】
振動機構4は、ガイドレール部3を微動・振動させてねじ類Nに前進するように作用する慣性力を付与できるものであれば特に限定されず、例えばガイドレール部3に振動体(ばね)を取り付け、その振動体を電磁コイル(ソレノイド)で微動させることによって、ガイドレール部3をその長手方向の前後に振動させる機構や、ガイドレール部3に振動体を取り付け、周縁部に複数の突起が設けられているギヤ状部材をモータで回転させ、当該突起が振動体に高速で当たることを繰り返すことによって、ガイドレール部3をその長手方向の前後に振動させる機構を採用することができる。
【0034】
供給機構5は、ねじ類Nを収容部2から汲み上げてガイドレール部3の第1区間3A上に落下供給することができるものであればその構造は特に限定されず、例えばドラムの内側にねじ類Nを収容可能な板状部材を複数取り付け、当該ドラムを回転させることによって板状部材がねじ類Nを収容部2からガイドレール部3の第1区間3A上方まで移動させて、ねじ類Nをガイドレール部3へと落下させる機構や、収容部2の底部21近傍に当該底部からガイドレール部3の第1区間3A上方まで上下動可能な羽根部材を設け、収容部2の底部21を供給機構5側に移動してきたねじ類Nが羽根部材に載った状態で羽根部材をガイドレール部3の第1区間3A上方まで動かして傾け、ねじ類Nをガイドレール部3へと搬送する機構を採用することができる。
【0035】
このように、ねじ類Nの搬送方向Dに向かって下がるように設けられたガイドレール部3を振動機構4で振動させることによって、供給機構5によりガイドレール部3の第1区間3Aに供給されたねじ類Nが第2区間3B、第3区間3C方向に搬送されていく。第1区間3Aにおいて二本のガイドレールの間の溝に軸部が挿入され、二本のガイドレールの上端部に頭部が当接して鉛直に吊下されたねじ類Nは、第2区間3Bにおいても残った右ガイドレール31の上端部に頭部を係合させて斜めに吊下されて搬送され続け、第3区間3Cで再び二本のガイドレールの間の溝に軸部が挿入され、二本のガイドレールの上端部に頭部が当接して鉛直に吊下された状態に戻り外部へと搬送されていくが、第1区間3Aにおいて二本のガイドレール上に不正姿勢で載っただけのねじ類Nは、第2区間3Bでガイドレールが一本だけになることにより、ガイドレール上に不正姿勢で載っている状態を維持することができず、外側に傾斜した右ガイドレール31の傾斜面を滑り落ちる。その結果、ガイドレール部3上に不正姿勢で載ったねじ類Nは第2区間3Bで排除され、整列したねじ類Nのみを第3区間3Cを経て外部へ搬送することができることとなる。
【0036】
補給機構6は、図5に示すように、収容部2へと供給されるねじ類を収容するホッパ61と、少なくとも一部分がホッパ61の排出口611からホッパ61の内部空間612へと挿入された上下動可能な棒状部材62と、ホッパ61の排出口611を開閉する蓋部材63と、棒状部材62を上下動させるための駆動源64とから構成されている。このようにホッパ61を採用した補給機構6を有することにより、収容部2に対して継続的に大量のねじ類Nを供給することができるため、ねじ類Nの補給のために自動組み立てラインの操業を一旦停止したり、組み立て作業を一時中断したりする必要のない、連続運転可能なねじ類供給装置9とすることができる。
【0037】
ホッパ61は内部空間612に収容したねじ類Nを排出口611から収容部2に対して落下供給するものであり、排出口611側がじょうごのように窄められた箱状の構造を有する。ホッパ61の上部は内部空間612に収容されたねじ類Nがなくなった時に素早く補給できるよう開口している。またホッパ61は、ねじ類Nの残量が確認できるように透明部材で構成されている。
【0038】
ホッパ61にねじ類Nを大量に投入すると、ねじ類Nの構造上、複数のねじ類Nの軸部が絡み合ってしまい、ホッパ61の排出口611に向かってねじ類Nがうまく流れていかずに詰まってしまう状況が起こり得る。そこで本実施形態においては、少なくとも一部分がホッパ61の排出口611からホッパ61の内部空間612へと挿入された上下動可能な棒状部材62を補給機構6に採用している。この棒状部材62を上下動させることによってホッパ61内のねじ類Nが撹拌され、ねじ類Nが絡み合った状態が解消されるため、ホッパ61内でねじ類Nが絡み合って詰まることなく、排出口611から収容部2へと円滑にねじ類Nを供給することができる。
【0039】
棒状部材62にはホッパ61の排出口611に嵌合する形状を有する蓋部材63が挿通されている。このように蓋部材63を棒状部材62に取り付けることによって、ホッパ61の排出口611を開閉する蓋部材63の開閉動作を行う際に同時にホッパ61の内部空間612で絡み合ったねじ類Nを撹拌する動作を行うことができる。また、蓋部材63の開閉動作とホッパ61内のねじ類撹拌動作とを一つの駆動系で行うことができるため、ねじ類供給装置9の構造を単純化することができる。なお、蓋部材63を必ずしも設ける必要はなく、例えば蓋部材63がなくとも、サイフォンの原理によってホッパ61の排出口611から収容部2へとねじ類Nが徐々に流れ込むような構造とすることもできる。また、収容部2に収容しているねじ類Nのレベルを感知するセンサを別途設け、収容部2に収容しているねじ類Nが減少しているにもかかわらず、ホッパ61内でねじ類Nが絡み合って詰まってしまって収容部2へとねじ類Nが供給されない状況が生じている場合に棒状部材62を上下動させる仕組みを採用することもできる。
【0040】
駆動源64は棒状部材62を上下動させることができるものであれば特に限定されず、例えばモータとボールねじ又はギヤとを組み合わせてモータの回転運動を直線運動に変換する機構を採用することができる。また、駆動源64はねじ類供給装置9内の他の構成要素の駆動源、例えば供給機構5の駆動源と共通のものとすることもできる。
【0041】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記各実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上述したような本発明のねじ類供給装置は、簡単な構成とすることにより故障やメンテナンスを減らすことができるので、その産業上の利用可能性は極めて大きい。
【符号の説明】
【0043】
9 ねじ類供給装置
1 筐体
2 収容部
3 ガイドレール部
3A 第1区間
3B 第2区間
3C 第3区間
31 右ガイドレール
32 左第1ガイドレール
33 左第2ガイドレール
4 振動機構
5 供給機構
6 補給機構
61 ホッパ
62 棒状部材
63 蓋部材
64 駆動源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7