【実施例】
【0038】
図1には、本発明に係る給湯システムの一実施例のシステム構成が模式的に示されている。同図に示されている給湯システム1は、貯湯ユニット3と熱源器130(補助熱源装置)を有しており、熱源器130は、給湯バーナ23と、給湯バーナ23により加熱される給湯熱交換器21,22を備えた給湯回路とを有している。また、熱源器130は、暖房用バーナ13と、液体循環通路5を備えた暖房回路とを有しており、この暖房回路は暖房装置に接続される。液体循環通路5には、暖房用バーナ13により加熱される暖房用熱交換器11,12と、該暖房用熱交換器11,12を通して液体の熱媒体(例えば温水)を循環させる液体循環ポンプ51とが設けられている。
【0039】
熱源器130は器具ケース42を有しており、器具ケース42内に設けられた燃焼室10に暖房用バーナ13と暖房用熱交換器11,12とが設けられ、燃焼室
20に給湯バーナ23と給湯熱交換器21,22が設けられている。暖房用バーナ13の下部側には暖房用バーナ13の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン14が設けられ、給湯バーナ23の下部側には給湯バーナ23の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン24が設けられている。
【0040】
暖房用熱交換器12と給湯熱交換器22は、これらの熱交換器12,22を通る熱媒体(例えば水)によって排気ガス中の顕熱を回収するメインの熱交換器(一次熱交換器)であり、暖房用熱交換器11と給湯熱交換器21は、これらの熱交換器11,21を通る熱媒体(例えば水)によって燃焼ガス中の潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器(二次熱交換器)である。暖房用熱交換器11を通った熱媒体(例えば湯水)が暖房用熱交換器12に導入され、給湯熱交換器21を通った湯水が給湯熱交換器22に導入される。
【0041】
なお、例えば
図7には、これらの一次熱交換器と二次熱交換器の接続状態を簡略化した模式図が示されており、これらの熱交換器を通る熱媒体(ここでは水および湯)の流れの方向が矢印Wで示され、バーナ装置からの燃焼ガスの流れが破線矢印により示されている。バーナ装置からは例えば平均1000〜1500℃の燃焼ガス(燃焼排ガス)が発生し(図のA、B部、参照)、この熱い燃焼ガスによって一次熱交換器が加熱される。なお、同図に示されるように、これらの熱交換器の管路周辺を流れる燃焼ガスの流れ方向と熱交換器内を通る水が流れる方向とは逆方向になる。
【0042】
熱交換器が結露するかどうかは、例えば給湯システムが配置されている環境にも左右され、例えば雨の日等の湿度が高いときには結露が生じやすいが、そのような結露が生じやすい環境下でも顕熱回収用の熱交換器(一次熱交換器・メインの熱交換器)には結露が生じないように、顕熱回収用の熱交換器の熱効率が設定される。
【0043】
つまり、顕熱回収用の熱交換器は通常、銅製であるため、結露すると腐食してしまうので潜熱を回収しないように設計されており、一次熱交換器の管路周辺を流れる燃焼ガスの温度が低くても例えば平均210℃以上となるように(例えば一次熱交換器の出側に至るまで、つまり、図のCの部分でも170℃〜250℃程度になるように)、熱源装置の構成が設計される。なお、一次熱交換器の管路周辺を流れる燃焼ガスには温度分布があり、周知の如く、一次熱交換器の管路の周りには、一般に、管路と略直交する方向に互いに間隔を介してフィンが設けられるが、そのフィンの近傍を通る燃焼ガスの温度は低めとなる。
【0044】
それに対し、二次熱交換器は例えばステンレス製であって結露による腐食が生じないので、燃焼ガスの顕熱を回収すると共に、例えば平均210℃以上の燃焼ガスの温度を平均50℃程度に下げ(図のDの部分の燃焼ガス温度が平均50℃程度)、二次熱交換器の管路近傍においては、その温度よりも低い例えば45℃以下に燃焼ガスの温度を下げて燃焼ガスの潜熱も回収する。つまり、二次熱交換器は燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器であるが、当然、燃焼ガスの顕熱も回収する。
【0045】
また、燃焼ガスの温度と熱交換器に導入される水の温度との温度差が大きいほど熱交換器の熱効率が高くなる傾向があり、例えば
図6には、暖房設定温度を60℃としたときの暖房側の入水温度の違いによる熱効率(暖房効率)の推定データ(実験に基づく推定データ)が示されているが、
図6の特性線aに示されるように、顕熱回収の熱効率は、入水温度が高くなるにつれて低くなり、入水温度が低くなるにつれて高くなると推定される。
【0046】
また、前記の如く、潜熱回収用熱交換器は燃焼ガスの顕熱(顕熱回収用の熱交換器によって回収できなかった顕熱)と潜熱の両方を回収し、潜熱回収用熱交換器による顕熱回収は、例えば潜熱回収用熱交換器に導入される水の温度が高めでも(例えば40℃を超えても)支障なく行われる。そのため、潜熱回収用熱交換器を設けると、たとえ給湯システムの配置環境によって顕熱熱交換器の顕熱回収率が低いときでも顕熱熱交換器によって回収しきれなかった顕熱を潜熱回収用熱交換器により回収できる。そのため、潜熱回収用熱交換器を設けると、潜熱回収用熱交換器を設けない場合に比べて熱交換器全体としての熱効率を向上でき、給湯システムの熱効率を向上できる。
【0047】
さらに、潜熱回収用熱交換器による燃焼ガス中の潜熱の回収は、導入される水の温度が40℃以下の場合には暖房効率良く行われるので、潜熱回収用熱交換器に導入される水の温度が40℃以下の低い温度となるようにすると、さらに給湯システムの熱効率を向上できる。なお、潜熱回収用熱交換器によって燃焼ガス(例えば温度が1000℃を超えるガス)中の潜熱回収を行うことによりもたらされる熱効率の向上作用も、燃焼ガスの温度と熱交換器に導入される水の温度との温度差が大きいほど熱効率が高くなる傾向があると考えられ、潜熱回収も含めた熱効率の推定値は
図6の特性線bに示されるようになる。
【0048】
なお、潜熱回収用熱交換器においてはドレンが発生するので、
図1に示されるように、暖房用熱交換器11と給湯熱交換器21の下側にドレン回収手段(ドレン受け部)171が設けられ、このドレン回収手段171によって回収されるドレンは、ドレン排出通路72を通してドレン中和器73に導入され、ドレン中和器73で中和された後に、ドレン排出通路74を通って給湯システム1の外部(ドレン排出通路74の先端部が接続されている排水口等)に導かれる。
【0049】
暖房用バーナ13にはガス管30から分岐したガス管31が接続されており、給湯バーナ23にはガス管30から分岐したガス管32が接続されている。ガス管30には元電磁弁301が設けられ、ガス管31には比例弁311と電磁弁312が、ガス管32には比例弁321と電磁弁322がそれぞれ設けられている。給湯バーナ23および暖房用バーナ13は、それぞれ複数段の燃焼面を持ち、暖房用バーナ13と給湯バーナ23の各燃焼面に供給される燃料の量が、対応する比例弁311,321の開弁量と電磁弁312,322の開閉制御(燃料の供給や停止)により調節される。
【0050】
前記液体循環通路5には、シスターンタンク53が設けられており、シスターンタンク53の一部は大気開放と成している。また、シスターンタンク53には、例えば液体の体積膨張等によってシスターンタンク53から溢れた液体のオーバーフロー通路153が接続されて、オーバーフロー通路153の先端部は給湯システム1の外部(排水口等)に導かれている。
【0051】
液体循環通路5は、器具ケース42内に設けられた管路511,512、513,514,515,518,520,521,522,523,525,526,527,528と、器具ケース42の外部に設けられた外部通路の管路612,613,621,622とを有し、管路512には低温能力切り替え熱動弁52が設けられている。管路520は暖房用熱交換器12の出側に設けられており、管路520には暖房用熱交換器12を通って導出される液体の温度を検出する暖房高温サーミスタ5122が設けられている。
【0052】
また、管路526には暖房戻り温検出サーミスタ145が設けられており、暖房戻り温検出サーミスタ145は、暖房回路を循環する熱媒体の暖房用熱交換器側への戻り温度を検出する。暖房用熱交換器12の入側の管路511には、暖房用熱交換器12に導入される液体の温度を検出する暖房低温サーミスタ5121が設けられている。
【0053】
前記給湯熱交換器21の入口側には給水通路71が設けられており、給水通路71には、給水通路71を流れる湯水の量を検出することにより給湯の水量を検出する流量検出センサ711と入水温度を検出する入水温度センサ712と、給湯流量を可変するため水量サーボ713が設けられている。また、給水通路71には、接続通路74と補給水電磁弁741を介し、シスターン53が設けられた前記液体循環通路5が接続されている。給湯熱交換器22の出口側には給湯通路72が設けられており、給湯通路72の先端側は、適宜の給湯先に導かれている。
【0054】
また、給湯通路72と給水通路71とを、給湯交換器21,22を介さずに接続するバイパス通路73が設けられ、バイパス通路73の給水通路71との接続部には、バイパス流量弁としてのバイパスサーボ731が設けられている。給湯通路72には、バイパス通路73の形成部よりも下流側に出湯湯温検出センサ722が設けられ、給湯熱交換器22側に出湯湯温検出センサ721が設けられている。
【0055】
また、この給湯システム1には、往管791と戻り管792を有する追い焚き循環路793を介して浴槽79が接続されており、この追い焚き循環路793は、熱交換器55を介して前記液体循環通路5と熱的に接続されている。熱交換器55は追い焚き循環路793と液体循環通路5の管路527との液―液熱交換器により形成された浴槽湯水追い焚き用の熱交換器であり、管路527の熱交換器55への入口側には流量制御弁551が設けられている。追い焚き循環路793には、浴槽湯水を循環させる浴槽湯水循環ポンプ77が設けられ、熱交換器55は、浴槽湯水循環ポンプ77の駆動によって追い焚き循環路793を循環する湯水を、液体循環通路5を通る(循環する)液体との熱交換によって加熱する構成と成している。
【0056】
追い焚き循環路793には、浴槽湯水の温度を検出する風呂温度センサ781と、浴槽湯水の水位を検出する水位センサ782と、追い焚き循環路793の水流を検知する風呂水流スイッチ783とが設けられている。浴槽湯水循環ポンプ77の吸入口側に、戻り管792の一端側が接続され、戻り管792の他端側が循環金具790を介して浴槽79に連通接続されている。浴槽湯水循環ポンプ77の吐出口側には、往管791の一端側が接続され、往管791の他端側は循環金具790を介して浴槽79に連通接続されている。
【0057】
前記給湯通路72には、バイパス通路73の形成部および出湯湯温検出センサ722の配設部よりも下流側に、管路75を介して注湯水ユニット750が接続されており、注湯水ユニット750には風呂用注湯導入通路76の一端側が接続され、風呂用注湯導入通路76の他端側は、前記浴槽湯水循環ポンプ77に接続されている。注湯水ユニット750には、湯張り電磁弁751、湯張り水量センサ752、逆止弁753、754が設けられている。なお、給湯熱交換器21,22から給湯通路72と管路75、注湯水ユニット750、風呂用注湯導入通路76、浴槽湯水循環ポンプ77、熱交換器55、往管791を順に通って浴槽79に至るまでの通路によって、湯張りや注水を行うための湯張り注水通路が構成されている。
【0058】
前記貯湯ユニット3は、
図4に示した構成と同様の構成と後述する構成とを有しており、
図1に示されるように、給水通路61が給水供給源に接続されている。また、
図1には示されていないが、貯湯タンク120には、貯湯タンク120内の湯水温を検出する貯湯槽内湯水温検出手段が、貯湯タンク120内または貯湯タンク120の側壁に、互いに上下方向に間隔を介して複数設けられている。
【0059】
また、貯湯ユニット3の接続ユニット64が熱源器130の給水通路71に図の矢印Yの位置で接続されており、貯湯タンク120から湯の通路63と通路66とを通して熱源器130の前記給湯回路に湯が導入される構成を有している。なお、
図1においては、図の簡略化のために、
図4に示した接続ユニット64を三方弁の記号により示しているが、接続ユニット64は
図4に示したような構成としてもよいし、三方弁により形成してもよい。熱源器130は、導入される湯を給湯熱交換器21,22により加熱して又は該給湯熱交換器21,22による加熱を行わずに給湯先に給湯する機能を有している。
【0060】
また、本実施例において、貯湯ユニット3には、熱媒体としての水を貯留するサブタンク4が設けられており、サブタンク4は、熱媒体流通管路6,7と経路切り替え弁15とを介して熱源器130の暖房回路の通路526に接続されている。また、サブタンク4にはサブタンク4内の熱媒体加熱用のサブタンク加熱用熱交換器8が設けられ、この例では、サブタンク4の側壁にサブタンク加熱用熱交換器8が設けられてサブタンク4と熱的に接続されている。サブタンク加熱用熱交換器8と貯湯タンク120とは共に、加熱手段としての発熱体2により加熱される構成と成している。サブタンク4には、サブタンク4内の熱媒体の温度を検出するサブタンク内熱媒体温度検出手段(図示せず)が設けられている。
【0061】
なお、
図1はシステム図であるので、サブタンク4と貯湯タンク120とは離れた位置に示されているが、例えば
図3に示されるように、サブタンク4と貯湯タンク120とが隣り合わせに配設され、貯湯タンク120とサブタンク4との間にサブタンク加熱用熱交換器8が配設されると、配設スペースの省スペース化が可能となり、好ましい。周知の如く、貯湯タンク120には耐圧性が求められるために、断面円形状等、貯湯タンク120内に貯留されている湯水の圧力がタンクの壁面に局部的に加わらない態様に形成しなければならないが、サブタンク4の形状は特に限定されないため、
図3に示されるような配設態様が有効となる。
【0062】
発熱体2は貯湯タンク120とサブタンク加熱用熱交換器の外部に設けられた発電装置により形成されており、この例では、発熱体2内に循環ポンプ123が設けられている。水供給通路121と熱回収用通路122は、それぞれ分岐されて、貯湯タンク120と、サブタンク4の側壁に設けられたサブタンク加熱用熱交換器8とに接続されており、水供給通路121の分岐部には三方弁9が設けられている。
【0063】
熱源器130に導入される湯(水)の加熱および非加熱の選択や加熱時における給湯バーナ23の燃焼制御等の制御による給湯運転制御は、熱源器130に設けられている制御装置(
図1には図示せず)により行われるものである。制御装置には、台所や浴室、居間等の適宜の場所に設けられたリモコン装置(図示せず)が信号接続されており、そのリモコン装置の操作によって定められる給湯設定温度の湯が給湯可能なように適宜の制御が行われる。
【0064】
また、本実施例において、貯湯タンク120の側壁には、貯湯タンク120と熱的に接続される貯湯槽加熱用熱交換器125が設けられており、貯湯槽加熱用熱交換器125は,通路516,517と三方弁141とを介して熱源器130内の通路526に接続されて、前記暖房回路に接続されている。なお、暖房回路を形成する前記液体循環通路5内の液体の熱媒体(例えば温水)は、必要に応じ、液体循環ポンプ51の駆動によって循環され、液体循環通路5に接続されている暖房装置の一つまたは複数に供給されるものであり、
図1では、液体循環通路5には、例えば浴室暖房機等の高温暖房装置61と2つの温水マット62が接続されている例が示されている。
【0065】
暖房装置への熱媒体の供給等の暖房運転制御も、熱源器130に設けられている前記制御装置によって行われるものである。高温暖房装置61には、
図1の矢印Aに示されるように、暖房用熱交換器11,12で加熱された熱媒体(例えば80℃の湯)が、管路520,523,612を順に通して供給され、供給された熱媒体は、高温暖房装置61の内部通路を通り、管路613を通って熱媒体合流手段63に導入される。なお、高温暖房装置61には、熱動弁611が設けられており、この熱動弁611が、例えば高温暖房装置61に信号接続されているリモコン装置の運転オンの操作に応じて開かれると、前記のように、熱媒体が高温暖房装置61に通される。
【0066】
また、この状態で、浴槽湯水の追い焚き運転も行うときには、管路520を通った液体(熱媒体)を、前記の如く管路523に通すと共に、流量制御弁551を開くことにより、管路527側にも通し、管路527側(熱交換器55側)に流れた液体を管路522を介して管路526に戻るようにしながら、浴槽湯水循環ポンプ77を駆動させて、浴槽湯水を追い焚き循環通路793内で循環させる。そして、熱交換器55(液−液熱交換器)を介しての、液体循環通路5を通る液体と追い焚き循環路793を通る浴槽湯水との熱交換によって、浴槽79内の湯水の温度(風呂温度センサ781の検出温度)が風呂設定温度となるまで、浴槽湯水の追い焚き運転を行う。
【0067】
一方、高温暖房装置61の暖房運転を行わずに浴槽湯水の追い焚き運転のみを行うときには、高温暖房装置61の熱動弁611が閉じられているので、暖房用熱交換器11,12で加熱した高温設定温度の液体(例えば80℃の液体)を、矢印Aに示すように管路520に通した後、管路523には通さずに管路527側に通す。そして、前記と同様に、この液体と浴槽湯水とを液―液熱交換器55を介して熱交換することにより浴槽79内の湯水の追い焚き運転を行う。
【0068】
温水マット62には、暖房用熱交換器11で加熱された熱媒体を、管路525に通した後に、
図1の矢印Dに示されるように通路514を通してシスターンタンク53に通し、管路518に通して液体循環ポンプ51から吐出し、管路528,621に順に通して供給される。なお、管路514には、暖房用熱交換器11,12側から導出された熱媒体が管路520側から管路512,515を介して導入され、合流した熱媒体がシスターン53内に導入される。また、必要に応じて低温能力切替熱動弁52を開くことによって、管路512,513を介しての管路520側から管路514側への熱媒体の導入も行われ、シスターン53内に導入される。
【0069】
その結果、シスターン53内の温度が例えば60℃程度となるようにされるものであり、低温能力切替熱動弁52は温水マット62等の低温暖房装置の稼働時に必要に応じて開かれるので、低温能力切替熱動弁52が閉じているときは管路513を介しての管路520側から管路514側への熱媒体の導入は行われないが、管路515を介しての管路520側から管路514側への熱媒体の導入は行われ、この熱媒体の流量が検出されれば暖房用バーナ13の燃焼開始を行うことができる。
【0070】
温水マット62への熱媒体の供給は、器具ケース42内の液体分岐手段561に設けられている熱動弁56のうち、稼働する(運転する)温水マット62に対応する熱動弁56が、例えば温水マット62に信号接続されているリモコン装置の運転オンの操作に応じて開かれることにより行われる。高温暖房装置61の加熱や浴槽湯水の追い焚きを行わずに温水マット62を加熱するときには、例えば管路内が温められるまでの間に行われるホットダッシュ運転時には例えば80℃、それ以外は例えば60℃とされる。
【0071】
なお、液体循環ポンプ51の吐出側の通路は、以上のように温水マット62側に熱媒体を供給する管路528に加え、暖房用熱交換器12側に通じる管路511に分岐接続されており、管路511を通った熱媒体は暖房用熱交換器12側に導入される。
【0072】
温水マット62に供給された熱媒体は、温水マット62の内部通路を通り、管路622を通って熱媒体合流手段63に導入される。熱媒体合流手段63は、管路631を介して器具ケース42内の管路526に接続されており、熱媒体合流手段63に導入された熱媒体は、管路526を通って暖房用熱交換器11側に戻る。
【0073】
ところで、本実施例の給湯システム1において、前記の如く、給湯運転制御や暖房運転制御は、熱源器130に設けられた制御装置によって行われるものであり、制御装置は、
図2に示される構成を有している。つまり、制御装置101は、給湯・湯張り運転制御手段33と、燃焼制御手段34、暖房・追い焚き運転制御手段35、経路切り替え制御手段37を有しており、暖房・追い焚き運転制御手段35は暖房用熱媒体循環温度可変制御手段36を有している。
【0074】
給湯・湯張り運転制御手段33による給湯運転制御方法については周知であるので、その詳細説明は省略するが、リモコン装置40に設定されている給湯設定温度の湯の給湯が行われるように、接続ユニット64の制御を行ったり、燃焼制御手段34に指令を加えて給湯バーナ23の燃焼を行わせたりする。燃焼制御手段34は元電磁弁301、比例弁321,電磁弁322、燃焼ファン14,15の制御を適宜行う。また、湯張り時には、給湯時と同様の制御によって湯張り設定温度の湯を形成し、注湯水ユニット750を制御し、前記注湯通路を通して浴槽79への湯張りを行う。
【0075】
暖房・追い焚き運転制御手35による暖房運転制御や風呂の追い焚き運転制御は、前記のようにして暖房回路内に熱媒体(湯水)を循環させて行われるものであり、暖房用熱媒体循環温度可変制御手段36が、リモコン装置40の指令等に基づいて暖房回路に循環させる熱媒体(温水)の温度を決定し、温水の温度がその決定した温度になるように燃焼制御手段34に指令を加える(暖房用熱媒体循環温度可変制御手段36は、暖房回路を循環させる熱媒体の温度を可変可能な制御手段である)。
【0076】
例えば、暖房用熱媒体循環温度可変制御手段36は、高温暖房装置61が稼働する際には熱媒体である温水の供給温度を例えば80℃とする。また、温水マット62が稼働する際に、温水マット62が配設されている部屋が冷えた状態での運転時には、温水の温度を例えば80℃として供給し(前記ホットダッシュ時、参照)、部屋が暖まってからは温水の温度を例えば60℃となるように、燃焼制御手段34に指令を加える。
【0077】
燃焼制御手段34は、この指令に基づいて暖房回路内を循環させる温水の温度が前記のような温度になるように制御することを行う。この熱媒体温度制御の詳細な方法については周知であるのでその詳細は省略するが、元電磁弁301、比例弁311,電磁弁312、液体循環ポンプ51、燃焼ファン14,15の制御を適宜行う。
【0078】
なお、
図2においては、図を簡略化して分かりやすくするために、比例弁311,321、電磁弁312,322、燃焼ファン14,15をまとめて示しているが、燃焼制御手段34による制御は、給湯・湯張り運転制御手段33からの指令や暖房・追い焚き運転制御手段35からの指令に基づき、対応する比例弁311,321、電磁弁312,322、燃焼ファン14,15の制御が適宜行われるものである。
【0079】
また、本実施例では、制御装置101に、特徴的な制御を行う経路切り替え制御手段37が設けられており、この経路切り替え制御手段37は、循環ポンプ51の駆動によって暖房回路を循環する熱媒体(ここでは温水)の循環経路を、サブタンク4と熱媒体流通管路6,7とを介して循環させるサブタンク側経由経路にするか、サブタンク4側には通さずに循環させるメイン循環経路にするかの切り替えを行う。
【0080】
つまり、経路切り替え制御手段37は、経路切り替え弁15を制御し、予め定められるタンク貯留熱媒体導入条件が満たされたときに前記暖房回路を循環する熱媒体(温水)をサブタンク側経由経路で循環させ、それ以外の時には、熱媒体(温水)をサブタンク4側には通さずに、メイン循環経路で循環させる。
【0081】
例えば、経路切り替え制御手段37は、サブタンク4内の熱媒体の温度が予め定められる暖房適温基準温度(例えば58℃)以上であって(例えば前記サブタンク内熱媒体温度検出手段による検出温度が暖房適温基準温度以上であって)、かつ、暖房用熱媒体循環温度可変制御手段36による制御によって暖房回路を循環させる温水の温度が予め定められる熱媒体導入用設定温度(例えば60℃)以下とされたときに、タンク貯留熱媒体導入条件が満たされたと判断する。そして、経路切り替え弁15を制御し、例えば温水マット62を通って熱源器130に戻ってきた温水を、通路526から熱媒体流通管路6、サブタンク4、熱媒体流通管路7に順に通してから通路526に戻して(サブタンク側経由経路で)循環させる。
【0082】
なお、熱媒体導入用設定温度が60℃に設定された場合、実際に暖房回路に循環させる熱媒体の温度としては、例えば60±7℃にできるといったように、熱媒体導入用設定温度に対して、ある程度高い温度までと低い温度までの許容範囲が与えられる(許容範囲は例えば±7℃とされるが、±7℃とは限らず、適宜設定される)。それゆえ、サブタンク4内の熱媒体の温度が58℃であれば、許容範囲が例えば±7℃のときには58℃>(60−7)℃となる(58℃=(60−7)+α℃(α=4)となる)ので、サブタンク経由経路で熱媒体を循環させて、58℃以上の熱媒体を循環させても支障がない。
【0083】
前記のように暖房回路内を循環する熱媒体供給経路を切り替えることで、温水マット62のみの運転時で、暖房用のバーナ装置13の燃焼により熱媒体の加熱を行うと熱効率が悪いときに、その熱効率が悪いバーナ装置13の燃焼を全く行わずに、サブタンク4側から暖房回路に導入される熱媒体を循環させて温水マット62側に供給して暖房を行うことができるようになり、サブタンク4内に貯留された熱媒体の熱を非常に有効に利用することができ、省エネ性を向上させることができる。なお、サブタンク側経由経路で熱媒体(温水)を循環させる際、サブタンク4側から導入される熱媒体を必要に応じて少しだけ加熱するように、暖房用バーナ13を一時的に効率のよい全面燃焼させてもよい。
【0084】
また、経路切り替え制御手段37は、サブタンク4内の熱媒体の温度が予め定められる暖房適温基準温度以上のときに、暖房回路から暖房装置(高温暖房装置61や温水マット62)側に供給する暖房供給温度が前記低温暖房用設定温度以下であって、かつ、暖房装置の運転個数が予め定められる設定個数以下(例えば1個)のときにタンク貯留熱媒体導入条件が満たされたと判断するようにしてもよく、この場合も同様の効果を奏することができる。
【0085】
さらに、経路切り替え制御手段37は、サブタンク4内の熱媒体の温度が予め定められる暖房適温基準温度以上のときで、かつ、前記暖房回路から暖房装置側に供給する暖房供給温度から暖房戻り温検出サーミスタ145により検出される暖房戻り温度を差し引いた値が予め定められる設定温度範囲内のときにタンク貯留熱媒体導入条件が満たされたと判断するようにしてもよい。また、経路切り替え制御手段37は、サブタンク4内の熱媒体の温度が予め定められる暖房適温基準温度以上のときで、かつ、暖房戻り温検出サーミスタ145により検出される暖房戻り温度が予め定められる設定基準温度以上の時にタンク貯留熱媒体導入条件が満たされたと判断するようにしてもよい。
【0086】
例えば
図5に示されるように、温水マット62によって、その配置空間(部屋)を暖める場合に、図の左側に示す部屋Aが冷えている状態のときに温水マット62に熱媒体を供給すると、冷えていた空間が温水マット62を通る熱媒体からの放熱(1時間当たり6300kcal)により暖められる分、暖房用熱交換器11,12に戻ってくる熱媒体の温度は急激に低下する(戻り温度は30℃)。
【0087】
一方、
図5の右側の部屋Bを温める場合には、部屋B内の空間がある程度暖められている状態であることから、温水マット62を通る熱媒体からの放熱量は小さくなり(1時間当たり2100kcal)、暖房用熱交換器11,12に戻ってくる熱媒体の温度低下は小さい(戻ってくる戻り温度は50℃)。このようなときには、前記の如くバーナ装置23の熱効率が悪いので、その熱効率が悪い暖房用のバーナ装置13の燃焼を全く行わずに(あるいは、サブタンク4側から導入される熱媒体を少しだけ加熱するために一時的に効率のよい全面燃焼を行うだけで)、サブタンク5側から暖房回路に導入される熱媒体を循環させて温水マット62側に供給して暖房を行うことができるようになり、サブタンク4内に貯留された熱媒体の熱を非常に有効に利用することができ、省エネ性を向上させることができる。
【0088】
なお、経路切り替え制御手段37は、タンク貯留熱媒体導入条件が満たされたと判断する基準として、サブタンク4内の熱媒体の温度が暖房適温基準温度以上であることを必須条件とすることに加え、サブタンク4内の熱媒体の温度が予め定められる暖房適温基準上限温度以下であることも必須条件としてもよい。つまり、サブタンク4内の熱媒体の温度が例えば前記許容範囲の上限値を超えて高い場合でも、その熱媒体に、暖房回路内の加熱されていない熱媒体を適宜加えることにより温度が低下した熱媒体を適宜混合させて許容範囲内とすることもできるが、サブタンク4内の熱媒体の温度が暖房適温基準上限温度よりも高い時には、その熱を一時的に高温暖房装置の暖房に利用するといったような別の制御を行うようにすることもできる。
【0089】
また、本実施例では、暖房回路内を循環する熱媒体の熱を利用して貯湯タンク120内の湯水を加温して給湯運転
を効率的に行える機能も有している。前記の如く、本実施例において発熱体2は発電装置により形成されており、発電装置のメンテナンス中には、発電装置によってサブタンク4内の熱媒体の加熱や貯湯タンク120内の湯水の加熱を行うことができない。そのため、前記のようにサブタンク4内の熱媒体を暖房回路側に導入するサブタンク側経由経路での熱媒体循環による暖房装置の加熱を適切に行うことができないし、貯湯槽120内の湯水の温度を高めることもできない。
【0090】
そこで、経路切り替え制御手段37は、発電装置のメンテナンス情報を取り込み、発電装置がメンテナンス中であると判断されたときには、温水を暖房回路に循環させるときの、温水マット62等の暖房装置からの戻り温度(暖房戻り温検出サーミスタ145による検出温度)が前記貯湯槽内湯水温検出手段により検出される温度よりも予め定められる例えば10℃といった設定余剰温度以上高い場合)には、原則として、三方弁141を貯湯タンク120側に切り替える。そして、暖房回路の熱媒体を、通路526から通路516を介して貯湯槽加熱用熱交換器125に通し、通路517を通して通路526に戻してから暖房用熱交換器11,12側に戻す(貯湯槽側経由経路で循環させる)。
【0091】
例えば、
図5の右側の部屋Bを温める場合等には、前記の如く放熱量が小さく、温水マット62を通って通路526側に戻ってくる温水の温度は高いので、前記のように貯湯タンク120側を経由させて熱媒体の熱を放熱してから潜熱回収用の暖房用熱交換器11に送り込むことによって、暖房用熱交換器11に戻る熱媒体の温度を、例えば40℃以下の温度に低くすることができるため、暖房用熱交換器11の潜熱回収効率を高くすることができる。
【0092】
なお、経路切り替え制御手段37は、床暖房等の戻り温度が低い場合(暖房戻り温検出サーミスタ145で検出される温度が貯湯槽内湯水温検出手段67により検出される温度よりも低い場合、または同じ場合、あるいは高くても予め定められる設定余剰温度未満の場合)には、三方弁141の貯湯タンク120側への切り替えは行わず、熱媒体を貯湯タンク120側に循環させずに、暖房用熱交換器11に戻すようにする。
【0093】
また、経路切り替え制御手段37は、温水マット62等の暖房装置が運転(稼働)されていない場合にも、必要に応じて、以下のようにして、暖房回路を通る熱媒体によって貯湯槽加熱用熱交換器125を介しての貯湯タンク120の湯水加温ができるようにする。
【0094】
つまり、温水マット62等の暖房装置の運転が行われていないことにより、通路612を通しての高温暖房装置61への熱媒体供給や通路621を通しての温水マット62への熱媒体供給が行われなくても、流量制御弁551を開いて熱媒体を通路522に通すことにより(液体循環ポンプ51が駆動していなかった場合には駆動させ)、熱媒体を暖房回路に循環させることができるので、その熱媒体を前記貯湯槽側経由経路で循環させるようにしてもよい。なお、流量制御弁551を開いて熱媒体を通路522に通す際に、浴槽湯水の追い焚きが不要であれば、浴槽湯水循環ポンプ77を駆動せずに熱媒体を暖房回路に循環させる。
【0095】
本実施例では、以上のように、例えば発電装置のメンテナンス中に貯湯槽加熱用熱交換器125を経由させて暖房回路の熱媒体を循環させることによって、発電装置のメンテナンス中でも給湯能力が極端に低下(要求に対して不足)することなく、熱源器130の号数が小さくても(給湯能力が小さくても)十分な量の給湯を行うことができるので、給湯能力(号数)が小さい熱源器130を適用して給湯システムを形成でき、システムのコストダウンや小型化を図ることができる。
【0096】
なお、貯湯タンク120に貯留する水が高めのときには、貯湯槽加熱用熱交換器125による加熱を行わなくとも給湯設定温度の湯を十分に給湯できるため、貯湯槽加熱用熱交換器125による加熱を行わなくてもよく、また、貯湯タンク120内の湯水温が高めの状態で長く貯留された場合には衛生上の懸念も生じる。さらに、本実施例では発熱体2が発電装置により形成されて、貯湯タンク120からの冷却水を加熱するタイプであるので、貯湯タンク120側から発電体2側に送る水は冷却水となるため、その水温が低い方が好ましい。
【0097】
以上のようなことを考慮し、本実施例では、例えば貯湯タンク120の下部側の水の温度が予め定められる加熱不適貯湯槽水温度より高いとき、あるいは高くなりそうなときには、暖房回路の熱媒体を貯湯槽側経由経路で循環させずにメイン循環経路で循環させるようにしている。また、外気温が高いときには、大流量でシャワーを浴びる人は殆どいないし、気温が高めのときには給水温度(貯湯槽への入水温度)も高めであるため、暖房回路の熱媒体を貯湯槽側経由経路で循環させずにメイン循環経路で循環させるようにしている。
【0098】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において様々な態様を採り得る。例えば、サブタンク貯留熱媒体導入条件は前記実施例において定めた条件に限定されるものではなく、適宜設定されるものである。
【0099】
また、前記実施例では、貯湯ユニット3において、貯湯タンク120に貯湯槽加熱用熱交換器125を設け、暖房回路内を循環する熱媒体の熱を利用して貯湯タンク120内の湯水を加温して給湯運転
を効率的に行える機能を有する構成としたが、このような構成は省略することもできる。
【0100】
さらに、発熱体2は必ずしも発電装置とするとは限らず、従来例で述べたように、例えば太陽熱を集熱する集熱器を備えた太陽熱温水ユニットやヒートポンプユニット等を発熱体2として適用することもできる。ただし、発熱体2を発電装置により形成すると、発電装置により発電した電力を利用者の電力負荷装置に供給することにより、電力利用もできるため、より一層利便性と省エネ性とを備えた給湯システムを実現することができる。
【0101】
さらに、前記実施例では、熱源器130の暖房用熱交換器11,12と給湯熱交換器21,22は共に、潜熱回収用熱交換器とメインの熱交換器とを有する構成としたが、少なくとも一方の潜熱回収用熱交換器を省略することもできる。ただし、潜熱回収用熱交換器を設ける方が熱交換器の熱効率を向上させることができるので好ましい。
【0102】
さらに、前記実施例では、熱源器130において、暖房用熱交換器11,12と給湯熱交換器29とが個別に形成されて配置され、暖房用バーナ13と給湯バーナ23もそれぞれ個別に形成されていたが、暖房用バーナ13と給湯バーナ23とを共通のバーナとし(この共通のバーナが暖房用としても給湯用としても給湯と暖房の同時燃焼用としても用いられるようにし)、暖房用熱交換器11,12と給湯熱交換器21,22は、それぞれの熱交換器を形成する管路は別だが一体化配置されている構成(通称、一缶二水式)を有する熱源器130としてもよい。
【0103】
さらに、前記実施例では、熱源器130の暖房回路に2つの温水マット62と1つの高温暖房装置61を接続したが、暖房回路には適宜の暖房装置が接続されて本発明の給湯システムが用いられるものである。