(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
光モジュールは、一般に、光サブアッセンブリと変調電気信号を出力する駆動IC等を実装したプリント基板(以下PCB)を内部に有した形態をとる。光サブアッセンブリの筐体は、光半導体素子を収容し、フレキシブルプリント基板(以下FPC)が接続されている。
【0003】
光モジュールは、近年のブロードバンドネットワークの普及とともに高速化、小型化、低コスト化が図られている。光モジュールの小型化実現のため、光サブアッセンブリの小型化のみならず、周辺IC(Integrated Circuit)やPCBの小型化も必要となる。ICを小型化するため、近年のICパッケージはBGA(Ball Grid Array)型として提供されており、ボールピッチは概ね0.5mmで配置される。更に搭載面の格子上すべてが端子で埋め尽くされたフルグリッドの形態によって高密度実装を実現している。しかしながら、0.5mmのボール間に配線を通すことは不可能であるため、2列目又はそれよりも内側の端子には、多層配線構造によって配線をつなぐ必要がある。
【0004】
多層配線構造のビアをドリルで形成すると、ランド径が大きくなって隣接するボールが干渉するため、フルグリッドの内側にある端子には配線することができない。そこで、ランド径が小さくなるように、レーザーでビアを形成する必要がある。レーザーで形成したビアであれば、フルグリッドの端子すべてに配線することができるが、PCBを構成する基材は、レーザーの出力やコスト等の制約を受け、基材の厚み、誘電率、誘電正接などにも設計の自由度が低い。
【0005】
また、近年では高速化要求のため25Gbit/s級の高速電気信号を伝送可能な光モジュールの需要が拡大しており、FPCに実装された光サブアッセンブリは、上記制約を受けたPCBに半田等を用いて接続される場合、接続点において特性インピーダンスの不整合が生じ、電気信号の反射が甚大となり、光モジュールの波形品質を劣化させてしまう問題が生じた。
【0006】
そこで、特性インピーダンスの不整合を緩和するため、特許文献1では、FPCとPCBの接続部直下のGNDを除去し、特性インピーダンスの低下を防いでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1で提案されるような方法では、小型化されたPCBとFPCとの接続部で20GHzを超える周波数領域まで、特性インピーダンスを所望の値に整合させることが困難であった。また、FPCのPCBと接続する端子幅を調整することでも、特性インピーダンスの微調は可能だが、半田付けの作業性を低下させ、工数の上昇を招いていてしまう。
【0009】
本発明は、多層基板と多層基板との接続箇所において、特性インピーダンス不整合によって生じる反射特性の低下の改善を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る光モジュールは、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光サブアセンブリと、前記光サブアセンブリに電気的に接続される第1多層基板と、前記第1多層基板に部分的に重なって電気的に接続される第2多層基板と、を有する光モジュールであって、前記第1多層基板は、第1導電層及び第2導電層を含み、前記第2多層基板は、第3導電層、第4導電層及び第5導電層を含み、前記第1導電層は、前記光サブアセンブリに接続される第1信号配線を含み、前記第1信号配線は、端部を除いた位置に他の部分よりも幅の広い幅広部を有し、前記第2導電層は、前記第1信号配線の前記端部に導通する信号電極と、前記幅広部と重なる第1グランドプレーンと、前記第1グランドプレーンに接続されるグランド端子と、を含み、前記第3導電層は、前記信号電極に重なって接合される端部を有する第2信号配線と、前記グランド端子に重なって接合されるグランド電極と、を含み、前記第4導電層は、前記グランド電極と導通する第2グランドプレーンを含み、前記第2グランドプレーンは、前記第2信号配線の前記端部と重なる貫通穴を有し、前記第5導電層は、前記第2グランドプレーンに導通する第3グランドプレーンを含み、前記第3グランドプレーンは、前記貫通穴の内側で前記第2信号配線の前記端部に重なることを特徴とする。本発明によれば、第1多層基板においては幅広部によって、第1信号配線と第1グランドプレーンとの間の容量を増やしている。第2多層基板では、貫通穴によって第2信号配線と第2グランドプレーンとの間の容量を減らす一方で、貫通穴の内側で、第2信号配線と第3グランドプレーンとの間に容量を設けている。これらの、容量の増減によって、特性インピーダンス不整合によって生じる反射特性の改善を図っている。
【0011】
(2)(1)に記載された光モジュールであって、前記第1導電層及び前記第2導電層の間に介在する第1絶縁層と、前記第3導電層及び前記第4導電層の間に介在する第2絶縁層と、前記第4導電層及び前記第5導電層の間に介在する第3絶縁層と、前記第1絶縁層を貫通して前記第1信号配線の前記端部及び前記信号電極を導通させる第1導通部と、前記第2絶縁層を貫通して前記グランド電極及び前記第2グランドプレーンを導通させる第2導通部と、前記第3絶縁層を貫通して前記第2グランドプレーン及び前記第3グランドプレーンを導通させる第3導通部と、をさらに有することを特徴としてもよい。
【0012】
(3)(1)又は(2)に記載された光モジュールであって、前記第2グランドプレーンの前記貫通穴は、前記第2信号配線が先端から延びる方向に、幅が徐々に狭くなる形状を有し、前記第2信号配線の前記端部及び前記第2グランドプレーンの、前記貫通穴に隣接した重畳領域が、前記第2信号配線が前記先端から延びる方向に、徐々に大きくなることを特徴としてもよい。
【0013】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記第2信号配線の前記端部は、前記信号電極よりも、幅が広いことを特徴としてもよい。
【0014】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記第1信号配線の前記幅広部は、前記第2グランドプレーンの前記貫通穴に重ならない位置にあることを特徴としてもよい。
【0015】
(6)(1)から(5)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記第1信号配線の前記幅広部は、前記第1グランドプレーンからはみ出す部分を有することを特徴としてもよい。
【0016】
(7)(1)から(6)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記第2信号配線は、一対の第2信号配線を含み、前記貫通穴は、前記一対の第2信号配線の端部の間の領域の少なくとも一部との重畳を避けて形成されていることを特徴としてもよい。
【0017】
(8)(1)から(7)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記第2信号配線の前記端部及び前記信号電極は、相互に接合する接合領域を有し、前記接合領域は、前記第1信号配線に沿った長さを有し、前記第1信号配線は、前記接合領域に隣接して、前記長さ以下の長さの範囲内に、前記幅広部を有することを特徴としてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る光モジュールの概略を示す平面図である。光モジュールとして、光送受信モジュールを例に挙げる。
図1は、筐体1の上板を取り除いた状態を示している。光送受信モジュールの光レセプタクル2から入力される光信号は、光ファイバ3を通って光受信部品4(ROSA; Receiver Optical Subassembly)で電気信号に変換される。
【0021】
光受信部品4が出力する高周波の電気信号は、電気高周波部品5(増幅器)で増幅され、カードエッジコネクタ6に接続された機器に出力される。
【0022】
また、カードエッジコネクタ6に接続された機器から入力される電気信号は、電気高周波部品7(増幅器)で増幅され、光送信部品8(TOSA; Transmitter Optical Subassembly)で光信号に変換される。光送信部品8にて変換された光信号は、光ファイバ3や合波器を経て光レセプタクル2から出力される。光受信部品4及び光送信部品8は、光信号及び電気信号を少なくとも一方から他方に変換するための光サブアセンブリの例である。
【0023】
図2は、光サブアセンブリ、第1多層基板及び第2多層基板の接続を示す図である。光サブアセンブリの一例として光受信部品4は、第1多層基板10の一方の端部に接続される。また、第1多層基板10は、
図1に示す電気高周波部品5が搭載された第2多層基板12に部分的に重なって電気的に接続される。第1多層基板10と第2多層基板12は、出力インピーダンスが差動50オームになるように、基材の厚さと誘電率が設計されるが、接続部でのインピーダンスをコントロールするための構造がさらに必要になる。以下、第1多層基板10及び第2多層基板12の構造について説明する。
【0024】
図3は、第1多層基板10を示す平面図である。
図4は、
図3に示す第1多層基板10のIV−IV線断面図である。
図5は、
図3に示す第1多層基板10のV−V線断面図である。
【0025】
第1多層基板10は、例えば、フレキシブルプリント基板であり、基材として第1絶縁層14を含む。第1絶縁層14の一方の面に第1導電層16が形成されている。第1導電層16は、第1信号配線18を含む。一対の第1信号配線18が差動線路を構成している。第1信号配線18は、図示しない光サブアセンブリに接続される。第1信号配線18は、端部を除いた位置に他の部分よりも幅(延びる方向に直交する方向の大きさ)の広い幅広部20を有する。幅広部20は、配線ラインの幅方向の一方に他方よりも大きく広がる。
図3の例では、幅広部20は、一対の第1信号配線18の相互に離れる方向に大きく、相互に近づく方向に小さく、配線ラインから突出する。
【0026】
第1導電層16は、後述するグランド端子32に導通する接続電極22を有する。一対の接続電極22が、一対の第1信号配線18を挟む位置にある。一対の第1信号配線18の間隔Aは、接続電極22と第1信号配線18との間隔Bよりも小さい。その効果は、
図12を参照して後述する。第1信号配線18(特に幅広部20)を覆うように第1保護層24が設けられている。第1保護層24は、第1信号配線18の端部を避けて設けられ、接続電極22の少なくとも一部を避けて設けられている。
【0027】
図6は、第1多層基板10の第2導電層26を示す図である。第1多層基板10は、第2導電層26を含む。第1導電層16及び第2導電層26の間に第1絶縁層14が介在する。第2導電層26は、信号電極28を含む。信号電極28は、第1信号配線18の端部に導通する。信号電極28と第1信号配線18は、幅が一致するようになっており、一対の信号電極28の間隔A(
図6)は、一対の第1信号配線18の間隔A(
図3)と同じである。
【0028】
第2導電層26は、第1グランドプレーン30を含む。第1絶縁層14を介する第1信号配線18と第1グランドプレーン30によってマイクロストリップ線路が構成される。
図6に示すように、第1グランドプレーン30は幅広部20と重なる。ただし、第1信号配線18の幅広部20は、第1グランドプレーン30からはみ出す部分を有する。第1グランドプレーン30にグランド端子32が接続する。
図5に示すように、グランド端子32は、接続電極22と重なり、幅が一致するようになっている。グランド端子32と信号電極28との間隔B(
図6)は、接続電極22と第1信号配線18との間隔B(
図3)と同じである。一対の信号電極28の間隔Aは、グランド端子32と信号電極28との間隔Bよりも小さい。その効果は、
図12を参照して後述する。
【0029】
第1グランドプレーン30(特にグランド端子32を除く部分の全体)を覆うように第2保護層34が設けられている。第2保護層34は、信号電極28の端部を避けて設けられ、グランド端子32の少なくとも一部を避けて設けられている。
【0030】
図5に示すように、第1信号配線18の端部及び信号電極28を導通させ、接続電極22及びグランド端子32を導通させるために、第1絶縁層14を貫通して第1導通部36が設けられている。詳しくは、
図3に示す第1保護層24から露出した位置で、第1信号配線18の端部及び接続電極22のそれぞれと第1絶縁層14を貫通する第1スルーホール38が形成され、溶融して流し込まれた半田Sが硬化して、第1導通部36が設けられる。同様に、第1保護層24から露出した位置で、接続電極22及びグランド端子32のそれぞれと第1絶縁層14を貫通する第1スルーホール38が形成され、溶融して流し込まれた半田Sが硬化して、第1導通部36が設けられる。
【0031】
第1導通部36を構成する半田Sは、溶融時に、
図6に示す第2保護層34から露出する範囲で、第2導電層26(信号電極28及びグランド端子32)の上で濡れ拡がり硬化する(
図5参照)。半田Sは、信号電極28及びグランド端子32と、後述する第3導電層40とを接合する。
【0032】
図7は、第2多層基板12を示す平面図である。
図8は、
図7に示す第2多層基板12のVIII−VIII線断面図である。
図9は、
図7に示す第2多層基板12のIX−IX線断面図である。
【0033】
第2多層基板12は、第1多層基板10に部分的に重なって電気的に接続される。第2多層基板12は、例えば、プリント配線板であってリジッド基板が例に挙げられる。第2多層基板12は、第3導電層40を含む。第3導電層40は、第2信号配線42を含む。一対の第2信号配線42が差動線路を構成している。第2信号配線42は、第2多層基板12に搭載された電気高周波部品5,7(
図1参照)に接続される。第2信号配線42は、端部がその手前の配線ラインよりも幅が広くなっている。
【0034】
第3導電層40は、グランド電極44を含む。一対のグランド電極44が、一対の第2信号配線42を挟む位置にある。一対の第2信号配線42の間隔A´は、第2信号配線42の端部とグランド電極44との間隔B´よりも小さい。その効果は、
図12を参照して後述する。第2信号配線42を覆うように第3保護層46が設けられている。第3保護層46は、第2信号配線42の端部を避けて設けられ、グランド電極44の少なくとも一部を避けて設けられている。
【0035】
第2信号配線42の端部は、信号電極28(
図6)に重なって接合される。信号電極28と第2信号配線42の端部とは、上述した半田Sによって接合される(
図9参照)。第2信号配線42の端部及び信号電極28は、相互に接合する接合領域を有する。
【0036】
第2信号配線42及び信号電極28の接合領域は、
図7に示すように、第1信号配線18(又は第2信号配線42)に沿った長さL1を有する。第1信号配線18は、
図7に示すように、接合領域に隣接して、長さL1以下の長さL2の範囲内に、幅広部20を有する。第2信号配線42の端部は、接合領域において、信号電極28よりも幅が広い。そのため、一対の第2信号配線42の間隔A´(
図7)は、一対の信号電極28の間隔A(
図6)よりも狭くなる。
【0037】
グランド電極44(
図7)は、グランド端子32(
図6)に重なって接合される。第2信号配線42の端部及び信号電極28は、相互に接合する接合領域を有し、接合領域において、グランド電極44はグランド端子32よりも幅が広い。そのため、第2信号配線42の端部とグランド電極44との間隔B´(
図7)は、信号電極28とグランド端子32との間隔B(
図6)よりも狭くなる。グランド電極44とグランド端子32とは、上述した半田Sによって接合される(
図5及び
図9)。
【0038】
第2多層基板12は、基材として第2絶縁層48を含む。第2絶縁層48の一方の面に第3導電層40が形成され、他方の面に第4導電層50が形成されている。第3導電層40及び第4導電層50の間に第2絶縁層48が介在する。
【0039】
図10は、第2多層基板12の第4導電層50を示す図である。第4導電層50は、第2グランドプレーン52を含む。
図9に示すように、第2信号配線42と第2グランドプレーン52によってマイクロストリップ線路が構成される。第2グランドプレーン52はグランド電極44と導通する。第2グランドプレーン52及びグランド電極44を導通させるために、第2絶縁層48を貫通して第2導通部54が設けられている。
【0040】
第2グランドプレーン52は、貫通穴56を有する。貫通穴56は、切り欠きとは異なり、周囲が第2グランドプレーン52の材料で切れ目なく囲まれる形状である(
図10)。貫通穴56は、
図7に示すように、第2信号配線42の端部と重なる。貫通穴56の内側に、第2信号配線42の端部が位置する。貫通穴56は、一対の第2信号配線42の端部の間の領域の少なくとも一部との重畳を避けて形成されている。つまり、一対の第2信号配線42の端部の間には、第2グランドプレーン52の材料が存在する。一対の第2信号配線42の端部は、相互に対向する側部が、貫通穴56からはみ出すようになっている。つまり、貫通穴56の内縁が、第2信号配線42の端部の領域内にある。
【0041】
第2グランドプレーン52の貫通穴56は、第2信号配線42が先端から延びる方向(
図7で下方向)に、幅が徐々に狭くなる形状を有する。第2信号配線42の端部及び第2グランドプレーン52は、貫通穴56に隣接した重畳領域を有する。この重畳領域は、第2信号配線42が先端から延びる方向に、徐々に大きくなる。
図7に示すように、第1信号配線18の幅広部20は、第2グランドプレーン52の貫通穴56に重ならない位置にある。
【0042】
図11は、第2多層基板12の第5導電層58を示す図である。第2多層基板12は、第5導電層58を含む。第4導電層50及び第5導電層58の間に第3絶縁層60が介在する。第5導電層58は、第3グランドプレーン62を含む。第3グランドプレーン62は、
図10に示す貫通穴56の内側で第2信号配線42の端部に重なる(
図9)。第3グランドプレーン62は第2グランドプレーン52に導通する。第3絶縁層60を貫通して第3導通部64が設けられ、第2グランドプレーン52及び第3グランドプレーン62を導通させる。
【0043】
第3保護層46から露出した位置で、
図9に示すように、グランド電極44、第2絶縁層48、第2グランドプレーン52、第3絶縁層60及び第3グランドプレーン62を貫通する第2スルーホール66が形成され、溶融して流し込まれた半田Sが硬化して、第2導通部54及び第3導通部64が設けられる。
図5に示す第1導通部36を構成する半田Sによって、溶融時に連続して、第2導通部54及び第3導通部64を構成してもよい。なお、第3グランドプレーン62の、第3絶縁層60とは反対側の面には、第4保護層68が設けられている。
【0044】
本実施形態によれば、第1多層基板10においては幅広部20によって、第1信号配線18と第1グランドプレーン30との間の容量を増やしている(
図4)。第2多層基板12では、
図9に示すように、貫通穴56によって第2信号配線42と第2グランドプレーン52との間の容量を減らす一方で、貫通穴56の内側で、第2信号配線42と第3グランドプレーン62との間に容量を設けている。これらの、容量の増減によって、特性インピーダンス不整合によって生じる反射特性の改善を図っている。
【0045】
図12は、第2導電層26と第3導電層40の接合状態を説明する図である。上述したように、第1多層基板10の信号電極28及びグランド端子32は、それぞれ、第2多層基板12の第2信号配線42及びグランド電極44と接合される。信号電極28及び第2信号配線42からなるシグナル接続部と、グランド端子32及びグランド電極44からなるグランド接続部は、これらの幅方向に位置がずれることがある。ずれによって、シグナル接続部とグランド接続部が接近するとインピーダンスの不整合が生じる。
【0046】
本実施形態では、一対の信号電極28の間隔Aは、グランド端子32と信号電極28との間隔Bよりも小さい。また、一対の第2信号配線42の間隔A´は、第2信号配線42の端部とグランド電極44との間隔B´よりも小さい。これにより、シグナル接続部とグランド接続部が離れるので、実効的なインピーダンスへの影響を低減することができる。
【0047】
[実施例]
直接変調型TOSAを使用する光モジュールは消費電力制約のため、終端抵抗を設けず、低抵抗値の光半導体素子(8〜12Ohm)で終端される。そのため、高周波電気信号は、光半導体素子で反射され、駆動デバイスが搭載されている第2多層基板12側へ戻ってくる。第2多層基板12側へ戻ってきた反射波を、第1多層基板10及び第2多層基板12の接続部でさらに反射させることなく、駆動デバイスの終端抵抗まで導くことができれば問題は生じないが、接続部で反射してしまうと、高周波線路内に多重反射が顕在化し、光波形品質を劣化させてしまう。
【0048】
25GHzの高速動作には、第1多層基板10及び第2多層基板12の接続部におけるS11を、光半導体素子が応答する30GHzまでの周波数領域では−20dB以下、素子の応答が劣化し始める30GHz〜40GHzまでの周波数領域では−10dB以下に抑制することが必要となる。
【0049】
本実施例では、第1信号配線18の幅広部20の有無、第2グランドプレーン52の貫通穴56の有無、及び第3グランドプレーン62の有無によって、反射特性S11がどのように異なるかを高周波3次元電磁界シミュレータHFSS(High Frequency Structure Simulator)によってシミュレートした。
【0050】
図13は、反射特性を比較した結果を示す図である。Aは、第1信号配線18に幅広部20を形成し、第2グランドプレーン52に上述した平面形状の貫通穴56を形成し、貫通穴56に重なるように第3グランドプレーン62を設けた場合(つまり、本発明を適用した例)を示す。
【0051】
Bは、第1信号配線18の幅広部20を設けない点でAと異なり、
【0052】
Cは、第3グランドプレーン62を設けない点でAと異なり、
【0053】
Dは、第1信号配線18の幅広部20及び第3グランドプレーン62を設けない点でAと異なり、
【0054】
Eは、第2グランドプレーン52の貫通穴56を設けない点でAと異なり、
【0055】
Fは、第1信号配線18の幅広部20、第2グランドプレーン52の貫通穴56及び第3グランドプレーン62のいずれも有しない点でAと異なる。
【0056】
図13に示すように、本発明を適用した例(点線A)では、第1多層基板10及び第2多層基板12の接続部におけるS11を、光半導体素子が応答する30GHzまでの周波数領域では−20dB以下に抑制することができ、素子の応答が劣化し始める30GHz〜40GHzまでの周波数領域では−10dB以下に抑制することができた。B〜Fでは目標値を達成することができなかった。
【0057】
本発明を適用した実施例では、第2グランドプレーン52に第2信号配線42の端部と重なる貫通穴56を形成し、貫通穴56の内側で第2信号配線42の端部に重なる第3グランドプレーン62を配置し、貫通穴56を上述した形状にすることで特性インピーダンスを微調し、さらに補正しきれなかった高周波領域での不整合を第1信号配線18に形成した幅広部20に容量を持たせることで補償した。
【0058】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。