(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6570981
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】測定装置および測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 27/26 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
G01R27/26 C
G01R27/26 L
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-228323(P2015-228323)
(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公開番号】特開2017-96733(P2017-96733A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 康良
【審査官】
永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−139811(JP,A)
【文献】
特公昭48−24556(JP,B1)
【文献】
米国特許第4473796(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/26
G01R 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に印加する測定用交流電圧を生成する電圧生成部と、前記測定用交流電圧の印加状態のときに測定電流が流れることによって前記測定対象の両端間に発生する両端間電圧を検出する電圧検出部と、前記測定電流を検出する電流検出部と、前記両端間電圧、前記測定電流および前記測定用交流電圧の周波数に基づいて、前記測定対象としてのキャパシタのキャパシタンス値を測定する測定処理を実行する処理部とを備えている測定装置であって、
前記処理部は、前記両端間電圧と前記測定電流との間の位相差θを検出する位相差検出処理を実行し、かつ前記測定処理を実行する際には、前記キャパシタンス値を測定する際の前記測定用交流電圧の電圧値として予め規定されている規定電圧値を1/sinθ倍した補正規定電圧値で前記電圧生成部に前記測定用交流電圧を生成させる測定装置。
【請求項2】
測定対象に印加する測定用交流電圧を生成する電圧生成部と、前記測定用交流電圧の印加状態のときに測定電流が流れることによって前記測定対象の両端間に発生する両端間電圧を検出する電圧検出部と、前記測定電流を検出する電流検出部と、前記両端間電圧、前記測定電流および前記測定用交流電圧の周波数に基づいて、前記測定対象としてのインダクタのインダクタンス値を測定する測定処理を実行する処理部とを備えている測定装置であって、
前記処理部は、前記両端間電圧と前記測定電流との間の位相差θを検出する位相差検出処理を実行し、かつ前記測定処理を実行する際には、前記インダクタンス値を測定する際の前記測定用交流電圧の電圧値として予め規定されている規定電圧値を1/sinθ倍した補正規定電圧値で前記電圧生成部に前記測定用交流電圧を生成させる測定装置。
【請求項3】
測定対象に測定用交流電圧を印加する印加ステップと、前記測定用交流電圧の印加状態のときに測定電流が流れることによって前記測定対象の両端間に発生する両端間電圧を検出する電圧検出ステップと、前記測定電流を検出する電流検出ステップと、前記両端間電圧、前記測定電流および前記測定用交流電圧の周波数に基づいて前記測定対象としてのキャパシタのキャパシタンス値を測定する測定ステップとを実行する測定方法であって、
前記両端間電圧と前記測定電流との間の位相差θを検出する位相差検出ステップを実行し、
前記測定ステップを実行する際には、前記印加ステップにおいて、前記キャパシタンス値を測定する際の前記測定用交流電圧の電圧値として予め規定されている規定電圧値を1/sinθ倍した補正規定電圧値で前記測定用交流電圧を印加する測定方法。
【請求項4】
測定対象に測定用交流電圧を印加する印加ステップと、前記測定用交流電圧の印加状態のときに測定電流が流れることによって前記測定対象の両端間に発生する両端間電圧を検出する電圧検出ステップと、前記測定電流を検出する電流検出ステップと、前記両端間電圧、前記測定電流および前記測定用交流電圧の周波数に基づいて前記測定対象としてのインダクタのインダクタンス値を測定する測定ステップとを実行する測定方法であって、
前記両端間電圧と前記測定電流との間の位相差θを検出する位相差検出ステップを実行し、
前記測定ステップを実行する際には、前記印加ステップにおいて、前記インダクタンス値を測定する際の前記測定用交流電圧の電圧値として予め規定されている規定電圧値を1/sinθ倍した補正規定電圧値で前記測定用交流電圧を印加する測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタやインダクタなどの測定対象のインピーダンスを測定する測定装置および測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の測定装置として、本願出願人は下記特許文献1に開示された測定装置を既に提案している。この測定装置は、キャパシタ(コンデンサ)を測定対象としてその静電容量を測定する静電容量測定装置であり、測定用交流信号を供給可能な発振器(交流信号供給部)と、測定用交流信号の印加時において測定対象を流れる電流を電流電圧変換する増幅回路(電流電圧変換部)と、測定用交流信号の印加時において測定対象の両端間に発生する両端間電圧を検出する電圧検出部と、測定用交流信号の周波数、電流電圧変換部によって電流電圧変換された電圧の波形および両端間電圧の波形に基づいて測定対象のインピーダンスと静電容量を測定する制御部とを備えている。
【0003】
ところで、測定対象によっては電圧依存性(測定時に印加される電圧の電圧値によって流れる電流、ひいては測定されるインピーダンスや静電容量が変化する性質)があるものがあり(例えば積層セラミックコンデンサなど)、このような測定対象を測定する際には規定の定電圧(例えばJISなどの規格で規定された定電圧)を正確に印加する必要がある。このため、この種の測定対象を測定する場合には、例えば制御部が交流信号供給部から供給される測定用交流信号の振幅を制御することにより、電圧検出部で検出している両端間電圧が規定の定電圧となるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−121125号公報(第4−6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のようにして両端間電圧を定電圧にする構成を採用する測定装置には、以下のような改善すべき課題が存在している。すなわち、この測定装置では、電圧検出部で検出している両端間電圧が規定の定電圧となるようにしているが、測定装置がインピーダンスを2端子法で測定する場合には、電圧検出部に接続されるプローブと交流信号供給部に接続されるプローブとが共通となることから、このプローブと測定対象の端子との間の接触抵抗やこのプローブの配線抵抗(測定対象に対して直列の状態で存在している抵抗)での電圧降下分が両端間電圧に含まれている。また、測定装置がインピーダンスを2端子法および4端子法のいずれの方法で測定する場合においても測定対象がキャパシタの場合にはキャパシタ成分だけでなく抵抗成分がこのキャパシタ成分と直列の状態で存在しており、測定対象がインダクタの場合にはインダクタ成分だけでなく抵抗成分がこのインダクタ成分と直列の状態で存在しているため、この抵抗成分での電圧降下分が両端間電圧に含まれている。つまり、電圧検出部で検出している両端間電圧は、キャパシタ成分やインダクタ成分(以下、キャパシタ成分等という)に印加されている電圧と、キャパシタ成分等に対して直列に配設されている抵抗成分での電圧降下分(この抵抗成分に印加されている電圧)の合成電圧となっている。したがって、この測定装置には、規定の電圧を測定対象のキャパシタ成分やインダクタ成分に正確に印加した状態でのキャパシタンス値やインダクタンス値の測定が困難であり、これを改善すべきとの課題が存在している。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、測定対象のキャパシタ成分等に規定の電圧を正確に印加した状態でキャパシタンス値等を測定し得る測定装置および測定方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、測定対象に印加する測定用交流電圧を生成する電圧生成部と、前記測定用交流電圧の印加状態のときに測定電流が流れることによって前記測定対象の両端間に発生する両端間電圧を検出する電圧検出部と、前記測定電流を検出する電流検出部と、前記両端間電圧、前記測定電流および前記測定用交流電圧の周波数に基づいて、前記測定対象としてのキャパシタのキャパシタンス値を測定する測定処理を実行する処理部とを備えている測定装置であって、前記処理部は、前記両端間電圧と前記測定電流との間の位相差θを検出する位相差検出処理を実行し、かつ前記測定処理を実行する際には、前記キャパシタンス値を測定する際の前記測定用交流電圧の電圧値として予め規定されている規定電圧値を1/sinθ倍した補正規定電圧値で前記電圧生成部に前記測定用交流電圧を生成させる。
【0008】
また、請求項2記載の測定装置は、測定対象に印加する測定用交流電圧を生成する電圧生成部と、前記測定用交流電圧の印加状態のときに測定電流が流れることによって前記測定対象の両端間に発生する両端間電圧を検出する電圧検出部と、前記測定電流を検出する電流検出部と、前記両端間電圧、前記測定電流および前記測定用交流電圧の周波数に基づいて、前記測定対象としてのインダクタのインダクタンス値を測定する測定処理を実行する処理部とを備えている測定装置であって、前記処理部は、前記両端間電圧と前記測定電流との間の位相差θを検出する位相差検出処理を実行し、かつ前記測定処理を実行する際には、前記インダクタンス値を測定する際の前記測定用交流電圧の電圧値として予め規定されている規定電圧値を1/sinθ倍した補正規定電圧値で前記電圧生成部に前記測定用交流電圧を生成させる。
【0009】
また、請求項3記載の測定方法は、測定対象に測定用交流電圧を印加する印加ステップと、前記測定用交流電圧の印加状態のときに測定電流が流れることによって前記測定対象の両端間に発生する両端間電圧を検出する電圧検出ステップと、前記測定電流を検出する電流検出ステップと、前記両端間電圧、前記測定電流および前記測定用交流電圧の周波数に基づいて前記測定対象としてのキャパシタのキャパシタンス値を測定する測定ステップとを実行する測定方法であって、前記両端間電圧と前記測定電流との間の位相差θを検出する位相差検出ステップを実行し、前記測定ステップを実行する際には、前記印加ステップにおいて、前記キャパシタンス値を測定する際の前記測定用交流電圧の電圧値として予め規定されている規定電圧値を1/sinθ倍した補正規定電圧値で前記測定用交流電圧を印加する。
【0010】
また、請求項4記載の測定方法は、測定対象に測定用交流電圧を印加する印加ステップと、前記測定用交流電圧の印加状態のときに測定電流が流れることによって前記測定対象の両端間に発生する両端間電圧を検出する電圧検出ステップと、前記測定電流を検出する電流検出ステップと、前記両端間電圧、前記測定電流および前記測定用交流電圧の周波数に基づいて前記測定対象としてのインダクタのインダクタンス値を測定する測定ステップとを実行する測定方法であって、前記両端間電圧と前記測定電流との間の位相差θを検出する位相差検出ステップを実行し、前記測定ステップを実行する際には、前記印加ステップにおいて、前記インダクタンス値を測定する際の前記測定用交流電圧の電圧値として予め規定されている規定電圧値を1/sinθ倍した補正規定電圧値で前記測定用交流電圧を印加する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の測定装置および請求項3記載の測定方法では、両端間電圧と測定電流との間の位相差θを検出する位相差検出処理(位相差検出ステップ)を実行し、測定処理(測定ステップ)を実行する際には、測定対象であるキャパシタのキャパシタンス値を測定する際の測定用交流電圧の電圧値として予め規定されている規定電圧値を1/sinθ倍した補正規定電圧値で電圧生成部に測定用交流電圧を生成させる。
【0012】
したがって、この測定装置および測定方法によれば、測定対象であるキャパシタのキャパシタ成分の両端間に実際に印加される電圧の電圧値を正確に規定電圧値とした状態でキャパシタンス値を測定することができる。
【0013】
請求項2記載の測定装置および請求項4記載の測定方法では、両端間電圧と測定電流との間の位相差θを検出する位相差検出処理(位相差検出ステップ)を実行し、測定処理(測定ステップ)を実行する際には、測定対象であるインダクタのインダクタンス値を測定する際の測定用交流電圧の電圧値として予め規定されている規定電圧値を1/sinθ倍した補正規定電圧値で電圧生成部に測定用交流電圧を生成させる。
【0014】
したがって、この測定装置および測定方法によれば、測定対象であるインダクタのインダクタ成分の両端間に実際に印加される電圧の電圧値を正確に規定電圧値とした状態でインダクタンス値を測定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、測定装置および測定方法の実施の形態について説明する。
【0017】
測定装置の一例としての測定装置1は、
図1に示すように、一例として、電圧生成部2、電圧検出部3、電流検出部4、処理部5、記憶部6および出力部7を備え、測定対象としての電子部品11の特性値を測定する。測定対象となる電子部品11としては、キャパシタとインダクタが存在し、キャパシタが電子部品11のときにはキャパシタンス値が特性値として測定され、インダクタが電子部品11のときにはインダクタンス値が特性値として測定される。以下では、キャパシタを電子部品11とし、そのキャパシタンス値Cを特性値として測定する例を挙げて説明する。
【0018】
電圧生成部2は、一例として、振幅を任意に設定可能な交流電圧生成器で構成されて、一定の周波数fの交流電圧を設定された振幅で測定用交流電圧Vmとして生成して不図示の一対の出力端子間から出力する。また、電圧生成部2は、外部から入力される電圧設定データDsで示される振幅で測定用交流電圧Vmを生成して出力する。なお、以下では、発明の理解を容易にするため、測定用交流電圧Vmの振幅(電圧値)についても符号Vmを付するものとする。また、電圧生成部2は、各出力端子に接続された一対の電圧印加用プローブPL1,PL2を介して電子部品11(キャパシタ)の各端子11a,11b間に測定用交流電圧Vmを印加する。
【0019】
電圧検出部3は、不図示の一対の電圧検出端子が一対の電圧印加用プローブPL1,PL2のうちの対応するプローブPLに接続されて、この一対の電圧印加用プローブPL1,PL2を介して電子部品11の各端子11a,11bに接続されている。この構成により、電圧検出部3は、測定用交流電圧Vmの印加状態のときに交流電流である測定電流Imが電子部品11に流れることによって電子部品11の両端間に発生する交流電圧である両端間電圧V1を電圧印加用プローブPL1,PL2を介して検出すると共に、この両端間電圧V1の電圧値(振幅)に比例して電圧値(振幅)が変化する交流信号である電圧検出信号Vvを生成して出力する。なお、以下では、発明の理解を容易にするため、両端間電圧V1の振幅(電圧値)についても符号V1を付するものとする。この場合、この両端間電圧V1には、各電圧印加用プローブPL1,PL2の抵抗成分および各電圧印加用プローブPL1,PL2と電子部品11の各端子11a,11bとの間の各接触抵抗(
図1では、この抵抗成分および接触抵抗の合成抵抗を模式的に抵抗R1,R2として表している)での電圧降下分が含まれている。また、測定対象となっている電子部品11としてキャパシタは、後述するように、本来のキャパシタ成分11cに抵抗成分11dが直列接続された等価回路で一般的に表されるため、この抵抗成分11dでの電圧降下分についても、両端間電圧V1に含まれている。なお、一般的には、この抵抗成分11dは上記の抵抗R1,R2に比べて抵抗値が小さいため、この抵抗値が無視し得る程度に十分に小さいときには、抵抗成分11dでの電圧降下分については考慮しないこともできる。また、電流検出部4での電圧降下は極めて小さいため、この電圧降下分については無視するものとする。
【0020】
電流検出部4は、測定用交流電圧Vmの印加状態のときに電圧印加用プローブPL1,PL2を介して電子部品11に流れる測定電流Imを検出すると共に、この測定電流Imの電流値(振幅)に比例して電圧値(振幅)が変化する交流信号である電流検出信号Viを生成して出力する。なお、本例では、電流検出部4は、
図1に示すように電圧印加用プローブPL2側に配設されているが、電圧印加用プローブPL1側に配設されていてもよい。また、以下では、発明の理解を容易にするため、測定電流Imの振幅(電流値)についても符号Imを付するものとする。
【0021】
処理部5は、例えば、A/D変換器およびコンピュータ(いずれも図示せず)を備えて構成されて、電圧検出信号Vvおよび電流検出信号Viを入力すると共に、電圧検出信号Vvをサンプリングすることによってその瞬時値を示す電圧波形データDvに変換し、かつ電流検出信号Viをサンプリングすることによってその瞬時値を示す電流波形データDiに変換して、少なくとも電圧検出信号Vvの一周期分の電圧波形データDvおよび電流波形データDiを記憶部6に記憶させる波形データ取得処理を実行する。また、処理部5は、記憶部6に記憶させた電圧波形データDvおよび電流波形データDiに基づいて、両端間電圧V1と測定電流Imとの間の位相差θ(測定用交流電圧Vmと測定電流Imとの間の位相差でもある)を検出する位相差検出処理を実行して、検出した位相差θを記憶部6に記憶させる。また、処理部5は、電圧設定データDsを電圧生成部2に出力して、電圧生成部2から出力される測定用交流電圧Vmの電圧値Vmを設定する電圧設定処理を実行する。また、処理部5は、電圧波形データDv、電流波形データDi、位相差θおよび測定用交流電圧Vmの既知の周波数fに基づいて、電子部品11(キャパシタ)のキャパシタンス値Cを測定すると共に出力部7に出力する測定処理を実行する。
【0022】
記憶部6は、例えば、書き換え可能な記憶装置(ハードディスク装置やRAMなど)で構成されて、処理部5のための動作プログラム、キャパシタンス値Cの測定に際して電子部品11(キャパシタ)に印加すべき測定用交流電圧Vmの電圧値Vmについての規定電圧値Vrを予め記憶する。また、記憶部6は、周波数fについても記憶する。
【0023】
出力部7は、一例として液晶ディスプレイ装置などの表示装置で構成されて、処理部5から出力されたキャパシタンス値Cを画面に表示する。なお、外部装置にデータを送信するインタフェース装置で出力部7を構成して、測定されたキャパシタンス値Cを出力部7を介して外部装置に出力する構成を採用することもできるし、リムーバブルメディアにデータを記憶するインターフェース装置で出力部7を構成して、測定されたキャパシタンス値Cを出力部7を介してリムーバブルメディアに記憶する構成を採用することもできる。
【0024】
次に、測定装置1の動作と併せて、測定方法について、図面を参照して説明する。
【0025】
電圧生成部2および電圧検出部3が電圧印加用プローブPL1,PL2を介して電子部品11に接続されている状態において、処理部5は、まず、最初の電圧設定処理を実行する。この電圧設定処理では、処理部5は、記憶部6から規定電圧値Vrを読み出すと共にこの規定電圧値Vrを示す電圧設定データDsを電圧生成部2に出力して、電圧生成部2から出力される測定用交流電圧Vmの電圧値Vmを規定電圧値Vrに設定する。これにより、電圧生成部2は、電圧値Vmを規定電圧値Vrに設定して測定用交流電圧Vmを生成して電子部品11の両端間(両端子11a,11b間)に印加する。
【0026】
次いで、処理部5は、この状態において最初の波形データ取得処理を実行する。この波形データ取得処理では、処理部5は、電圧検出信号Vvおよび電流検出信号Viを入力してサンプリングすることによって電圧波形データDvおよび電流波形データDiに変換し、この各波形データDv,Diについて電圧検出信号Vvの一周期分を記憶部6に記憶させる。
【0027】
続いて、処理部5は、位相差検出処理を実行する(位相差検出ステップ)。この位相差検出処理では、処理部5は、記憶部6に記憶させた電圧波形データDvおよび電流波形データDiに基づいて、両端間電圧V1と測定電流Imとの間の位相差θ(測定用交流電圧Vmと測定電流Imとの間の位相差でもある)を検出すると共に、検出した位相差θを記憶部6に記憶させる。
【0028】
次いで、処理部5は、2回目の電圧設定処理を実行する。この電圧設定処理では、処理部5は、まず、記憶部6から規定電圧値Vrおよび位相差θを読み出すと共に規定電圧値Vrを1/sinθ倍した補正規定電圧値Vrcを算出する。次いで、処理部5は、この補正規定電圧値Vrcを示す電圧設定データDsを電圧生成部2に出力して、電圧生成部2から出力される測定用交流電圧Vmの電圧値Vmをこの補正規定電圧値Vrcに設定する。これにより、電圧生成部2は、電圧値Vmを補正規定電圧値Vrcに設定して測定用交流電圧Vmを生成して電子部品11の両端間(両端子11a,11b間)に印加する(印加ステップ)。
【0029】
このようにして、電圧生成部2に対して、規定電圧値Vrに代えて補正規定電圧値Vrcを電圧値Vmとして測定用交流電圧Vmを印加させる理由について説明する。測定対象となっている電子部品11としてキャパシタは、
図1に示すように、本来のキャパシタ成分11cに抵抗成分11dが直列接続された等価回路で一般的に表される。また、電子部品11には、上記した抵抗R1,R2が等価的に直列に接続されている。つまり、キャパシタ成分11cには、抵抗R1,R2および抵抗成分11dの直列合成抵抗が直列に接続されている。このため、電子部品11の両端間(両端子11a,11b間)に規定電圧値Vrを印加したとしても、規定電圧値Vrは上記の直列合成抵抗とキャパシタ成分11cとで分圧されることから、キャパシタ成分11cの両端間に実際に印加される電圧Vcは、Vr×sinθ(このθは、上記の位相差検出処理で求められる両端間電圧V1と測定電流Imとの間の位相差)となって、規定電圧値Vrよりも低い電圧となる。そこで、電圧生成部2から出力される測定用交流電圧Vmの電圧値Vmを、規定電圧値Vrを予め1/sinθ倍した補正規定電圧値Vrc(=Vr×(1/sinθ))に規定して出力させることで、キャパシタ成分11cの両端間に実際に印加される電圧Vcを、下記式のように規定電圧値Vrとしている。
Vc=Vrc×sinθ=Vr×(1/sinθ))×sinθ=Vr
【0030】
続いて、処理部5は、上記した2回目の電圧設定処理の実行後に、2回目の波形データ取得処理を実行する。この波形データ取得処理では、処理部5は、電圧検出信号Vvおよび電流検出信号Viを入力してサンプリングすることによって電圧波形データDvおよび電流波形データDiに変換し、この各波形データDv,Diについて電圧検出信号Vvの一周期分を記憶部6に記憶させる(電圧検出ステップおよび電流検出ステップ)。
【0031】
次いで、処理部5は、測定処理を実行する(測定ステップ)。この測定処理では、処理部5は、まず、記憶部6に記憶されている電圧波形データDvおよび電流波形データDi(2回目の波形データ取得処理で取得した波形データ)に基づいて、測定用交流電圧Vmの実効値Vrmと測定電流Imの実効値Irmとを算出する。次いで、処理部5は、算出した各実効値Vrm,Irmに基づいて、電子部品11のインピーダンスZ(=Vrm/Irm)を算出する。続いて、処理部5は、算出したインピーダンスZと記憶部6に記憶されている位相差θとに基づいて、電子部品11のリアクタンスX(=Z×sinθ)を算出する。次いで、処理部5は、算出したリアクタンスXと既知の周波数f(記憶部6に記憶されている周波数f)とに基づいて、電子部品11のキャパシタンス値C(=1/(2π×f×X))を算出して記憶部6に記憶させる。このようにして算出されたキャパシタンス値Cは、電子部品11のキャパシタ成分11cの両端間に印加されている電圧Vcが規定電圧値Vrのときの値であるため、電子部品11のキャパシタンス値を正確に表したものとなっている。最後に、処理部5は、算出したキャパシタンス値Cを出力部7に出力して表示させる。これにより、電子部品11のキャパシタンス値Cの測定が完了する。
【0032】
このように、この測定装置1および測定方法では、両端間電圧V1と測定電流Imとの間の位相差θを検出する位相差検出処理(位相差検出ステップ)を実行し、測定処理(測定ステップ)を実行する際には、電圧生成部2に対する電圧設定処理(印加ステップ)において、電子部品11のキャパシタンス値Cを測定する際の測定用交流電圧Vmの電圧値Vmとして予め規定されている規定電圧値Vrを1/sinθ倍した補正規定電圧値Vrcで電圧生成部2に測定用交流電圧Vmを生成させる。
【0033】
したがって、この測定装置1および測定方法によれば、測定対象である電子部品11としてのキャパシタのキャパシタ成分11cの両端間に実際に印加される電圧Vcの電圧値を正確に規定電圧値Vrとした状態で電子部品11のキャパシタンス値Cを測定することができる。これにより、この測定装置1および測定方法によれば、例えば積層セラミックコンデンサのような電圧依存性がある測定対象についても、そのキャパシタ成分11cの両端間に正確に規定電圧値Vrを印加した状態での正確なキャパシタンス値Cを測定することができる。
【0034】
なお、測定対象となる電子部品11としてキャパシタを例に挙げて説明したが、この測定装置1および測定方法は、インダクタが測定対象となる電子部品11の場合に対しても適用することができ、この場合には、電子部品11としてのキャパシタを測定対象とする際と同様にして、位相差検出ステップおよび印加ステップを実行することにより、抵抗成分と直列に存在するインダクタのインダクタ成分に対して規定電圧値Vrを印加した状態でインダクタの正確なインダクタンス値を測定することができる。
【0035】
また、測定装置1がインピーダンスZを2端子法で測定する例を挙げて説明したが、インピーダンスZを4端子法で測定する場合にも適用することができ、この場合には、キャパシタ成分11cに直列接続されている抵抗成分11dでの電圧降下分(測定対象がインダクタの場合にはインダクタ成分に直列接続されている抵抗成分での電圧降下分)を無視できない状況下においても、測定対象である電子部品11のキャパシタ成分11c(またはインダクタ成分)に正確に規定電圧値Vrを印加した状態でそのキャパシタンス値(またはインダクタンス値)を正確に測定することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 測定装置
2 電圧生成部
3 電圧検出部
4 電流検出部
5 処理部
11 電子部品(測定対象)
C キャパシタンス値
f 周波数
Im 測定電流
V1 両端間電圧
Vm 測定用交流電圧
Vr 規定電圧値
Vrc 補正規定電圧値