特許第6571029号(P6571029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571029排ガスの熱回収装置およびこれを用いた排ガス処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571029
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】排ガスの熱回収装置およびこれを用いた排ガス処理システム
(51)【国際特許分類】
   F27D 17/00 20060101AFI20190826BHJP
   F28D 7/12 20060101ALI20190826BHJP
   F28F 21/04 20060101ALI20190826BHJP
   F23J 15/06 20060101ALI20190826BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   F27D17/00 101A
   F27D17/00 105A
   F27D17/00 104G
   F28D7/12
   F28F21/04
   F23J15/06
   F23J15/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-45755(P2016-45755)
(22)【出願日】2016年3月9日
(65)【公開番号】特開2017-161150(P2017-161150A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507182807
【氏名又は名称】クアーズテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 柱
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 政志
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊宏
【審査官】 静野 朋季
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−093252(JP,A)
【文献】 特開2005−016749(JP,A)
【文献】 特開平09−126665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮性の酸成分または/および水分を含む排ガスを対象とし、内管部分と外管部分から構成され一端が閉塞したシングルエンド型の2重管型のセラミックス管を用い、該セラミックス管の内部に液体の熱媒体が流通可能な流路を有する熱交換部が該排ガスの流通路に備えられた熱回収装置であって、
前記セラミックス管の外管部分が、全成分100質量(重量)%に対して、SiCが90質量(重量)%以上占める成分とするセラミックス材料で構成され、
前記熱交換部において、前記排ガスとの熱交換によって加熱された前記熱媒体を介して排ガスの温熱が回収されるとともに、
前記セラミックス管表面において、前記流通路に供給される排ガス中の水分量または排ガス露点を基準に、前記排ガスの露点以下となる低温領域とこれに近接し露点以上となる高温領域が形成されるように前記熱媒体の温度および流量が設定され、
かつ前記熱回収装置から供出される排ガス温度が、該排ガスの露点以上とされる
ことを特徴とする排ガスの熱回収装置。
【請求項2】
前記セラミックス管上部の表面に前記低温領域が形成され、前記セラミックス管下部の表面に前記高温領域が形成されるように、前記セラミックス管に導入または/および導出される前記熱媒体の温度および流量が設定されることを特徴とする請求項1記載の排ガスの熱回収装置。
【請求項3】
前記セラミックス管からの熱媒体の導出流路に温度測定器が設けられ、導出される前記熱媒体の温度を測定し、該温度を指標として前記熱媒体の流量が調整・設定されることを特徴とする請求項1または2記載の排ガスの熱回収装置。
【請求項4】
前記排ガスの流通路に対して非直線もしくは直線的に配設された複数の前記セラミックス管から構成され、該セラミックス管に対して前記熱媒体を並列的に導入するとともに、各セラミックス管表面において、前記排ガスの露点以下となる低温領域とこれに近接し露点以上となる高温領域が形成されるように、前記熱媒体の温度および各セラミックス管に導入する前記熱媒体の流量が設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排ガスの熱回収装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の排ガスの熱回収装置と、排ガスに含有される酸成分の除害処理が行われる除害処理部と、排ガスに含有される粉塵の除塵処理が行われる除塵処理部と、を備えた排ガス処理システムであって、
該熱回収装置において、前記除害処理および除塵処理が行われた排ガスの温熱が回収されることを特徴とする排ガス処理システム。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の排ガスの熱回収装置と、該熱回収装置に対して前置され排ガスの1次冷却が行われる冷却処理部と、排ガスに含有される酸成分の除害処理が行われる除害処理部と、排ガスに含有される粉塵の除塵処理が行われる除塵処理部と、を備えた排ガス処理システムであって、
該冷却処理部において、排ガスの露点以上かつ前記熱回収装置に備えられたセラミックス管の耐熱温度以下に、排ガスの1次冷却処理が行われ、
該熱回収装置において、前記1次冷却処理,除害処理および除塵処理が行われた排ガスの温熱が回収されることを特徴とする排ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスの熱回収装置およびこれを用いた排ガス処理システムに関し、特に、硫黄化合物等凝縮性の酸成分を含有する排ガスの熱回収装置およびこれを用いた排ガス処理システムにおいて有用である。
【背景技術】
【0002】
加熱炉、熱処理炉、焼却炉等の工業用炉からは、数100℃〜1000℃を超える高温で、硫黄化合物等凝縮性の酸成分を含有する排ガスが排出される。こうした排ガスは大きなエネルギー源であることから、如何に効率よく熱回収を行うかという課題と向き合いながら、温熱として熱回収され、具体的に、水蒸気を発生させて発電用に、あるいは燃焼用空気の加熱用等に利用されている。また、同時に、含有する酸成分や粉塵等を如何に処理して無害化をするかが大きな課題となっている。
【0003】
例えば、メンテナンスを容易にし、その熱交換チューブの変形、破損を容易に防止できるようにすると共に、寿命を向上させることを目的として、図8のような工業用炉の排熱回収装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。具体的には、煙道の途中に設けられる筒体101の上壁部にレキュペレータ102a,102bの上部ヘッダ104,105を支持し、該上部ヘッダから下部ヘッダ106に連なる複数本の熱交換チューブ107を筒体内に垂下し、該レキュペレータに燃焼用空気を循環させることにより該煙道を通って排出される排ガスの顕熱により該燃焼用空気が予熱されるようにした排熱回収装置において、筒体の下部側壁に扉112によって開閉可能なるダスト清掃口111を設け、該ダスト清掃口から該筒体の底面と下部ヘッダとの間隙110a,110bに溜まるダストを排出し得るようにする。ここで、108a,108bは開口、109a,109bはピット、110は支持縁、114a,114bはレンガを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−017029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような排熱回収装置等では、次のような問題が生じる。
(i)上記のように非常に高温(800〜1500℃)の排ガスは、電力用の蒸気発生用や燃焼用空気の加熱用の温熱として好適である。反面、例えば250℃以下の低温の排ガスからの熱回収は、熱回収効率が悪いことから、そうした低温状態まで熱回収された排ガスは、そのまま排出されることが多かった。しかしながら、こうした熱回収装置を含む排ガス処理システムや工業用炉を含む製造プロセス全体のエネルギー効率の観点からは、未回収の温熱は無視できず、その効率的な熱回収が大きな課題となっていた。
(ii)工業用炉からの排ガスには硫黄化合物等酸成分が含まれており、腐食性がある。従って、熱交換器の直接排ガスが接する部分には耐腐食性の高い部材を用いる必要がある。特に、上記(i)における低温状態は、排ガス中に発生する硫酸ミスト等凝縮性の酸成分の露点以下の温度条件に相当することから、通常の耐腐食性の素材では長期間の使用はできなかった。一方、熱交換器は、その熱交換効率の確保するために、排ガスの温熱を熱媒体に伝達し易い素材を用いる必要がある。また、熱交換効率を向上させるためには、接触表面積を大きくする等特有の構成を有することから加工性の高い素材が好ましい。こうした条件を確保するには、特殊な素材を用いることが要求され、特に酸成分の露点以下の条件での使用ができる素材の選択は、大きな課題であった。
(iii)また、排ガスの露点以下の低温条件においては、発生した水滴や硫酸ミスト等の酸ミストが粉塵と結合・凝集して成長した粒子等によって、接ガス部分の腐食や細部の閉塞等を生じることがある。低温条件での熱回収時においては、こうした状況を生じないような熱回収処理を行う必要があり、従前からの課題であった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、排ガスからの熱回収を効率よく行うことができ、かつ排ガスの露点に対応した排ガス処理を行うことができる熱回収装置を提供し、これを用いたエネルギー効率の高い排ガス処理システムを提供することである。また、長期使用が可能で安全性の高い熱回収装置を提供し、特に低温領域までの排ガスの熱回収を、効率よく行うことができる排ガス処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す排ガスの熱回収装置およびこれを用いた排ガス処理システムによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
本発明は、凝縮性の酸成分または/および水分を含む排ガスを対象とし、内管部分と外管部分から構成され一端が閉塞したシングルエンド型の2重管型のセラミックス管を用い、該セラミックス管の内部に液体の熱媒体が流通可能な流路を有する熱交換部が該排ガスの流通路に備えられた熱回収装置であって、
前記セラミックス管の外管部分が、全成分100質量(重量)%に対して、SiCが90質量(重量)%以上占める成分とするセラミックス材料で構成され、
前記熱交換部において、前記排ガスとの熱交換によって加熱された前記熱媒体を介して排ガスの温熱が回収されるとともに、
前記セラミックス管表面において、前記流通路に供給される排ガス中の水分量または排ガス露点を基準に、前記排ガスの露点以下となる低温領域とこれに近接し露点以上となる高温領域が形成されるように前記熱媒体の温度および流量が設定され、
かつ前記熱回収装置から供出される排ガス温度が、該排ガスの露点以上とされる
ことを特徴とする。
【0009】
従前、工業用炉等からの排ガス処理プロセスにおいては、排ガス中に含まれるダストや硫黄化合物(特に硫酸ミスト)等の凝縮性の酸成分または/および水分の処理とともに、排ガスが有する温熱を低温領域(例えば250℃以下)まで効率よく熱回収することは非常に難しかった。本発明において、検証過程における以下の知見(a)〜(d)を基に、こうした構成の排ガスの熱回収装置を用いることによって、排ガスからの熱回収を効率よく行うことができ、かつ排ガスの露点に対応した排ガス処理を行うことができることを見出した。
(a)排ガスの温度(露点)に対応した熱回収処理を行うことによって、低温領域まで効率よく熱回収することができる。つまり、熱回収用の低温熱媒体の温度制御が容易な特性およびセラミックス管表面温度を排ガスの露点近傍まで低下させた場合に熱回収効率が最大となるとの知見を利用して、排ガスの露点以下の低温領域まで熱回収部分(セラミックス管表面)を冷却し、その内部を流通する熱媒体を介して熱回収を行うことによって、効率よくかつ安定的に排ガスの温熱を回収することができる。
(b)また、SiCを主成分としたセラミックス管を用いた熱交換器を適用することによって、酸ミスト等の発生があっても腐食されることなく、長期使用が可能で安全性の高い熱回収装置を構成することができる。従って、回収された熱媒体の温熱を、低温条件において精度の高い温度制御が要求される低温ボイラ用温水作製用等の温熱として利用することができる。
(c)内部に熱媒体が流通可能な流路を有する熱交換部においては、内部の熱媒体は外部の排ガスの温熱と熱交換によって導入部から徐々に温度上昇が生じ、熱交換部表面に温度差(温度分布)が生じる。つまり、熱交換部表面の一部において排ガスの露点以下(最大量の温熱を吸収することができる)になるまで冷却することができる部分を形成するとともに、他の部分を露点以上にすることによって他の部分における酸成分の凝縮を防止し、もし凝縮が発生した場合にはこれを蒸散させることができる部分を形成することによって、供出される排ガス温度を露点以上に設定し、熱交換部表面における酸成分の凝集や酸成分と粉塵等の凝集の形成を防止することができる。
(d)このとき、一端が閉塞したシングルエンド型の2重管型のセラミックス管を用い、2重管の内管または外管のいずれかを流通した最も低温の熱媒体と排ガスを熱交換させ、熱交換部表面の一部において排ガスの露点以下になるまで排ガスを低温化させることによって、最大量の温熱を回収することができる。
【0010】
本発明は、上記排ガスの熱回収装置であって、前記セラミックス管上部の表面に前記低温領域が形成され、前記セラミックス管下部の表面に前記高温領域が形成されるように、前記セラミックス管に導入または/および導出される前記熱媒体の温度および流量が設定されることを特徴とする。
上記のように、本発明に係る排ガスの熱回収装置における熱交換部は、その表面の一部が露点以下となるように、その内部に熱媒体を流通させることによって、排ガスの温熱を効率よく回収することができる。具体的には、セラミックス管が2重管を形成し、内管または外管のいずれかを流通した最も低温の熱媒体と排ガスを熱交換させることによって、最大量の温熱を回収することができる。また、上記知見(c)のように、排ガスの露点以下の低温条件にあっては、酸成分の一部の凝縮が生じる。しかしながら、セラミックス管表面において当該低温部分より下部に温度上昇した部分を設けた場合、つまり、セラミックス管上部の表面(以下「表面上部」という)に排ガスの露点以下となる低温領域が形成され、セラミックス管下部の表面(以下「表面下部」という)に排ガスの露点以上となる高温領域が形成された場合、低温領域において凝縮した酸成分は、自重による自然落下及び排ガスの流れによって、その管下部に形成された高温領域に移動し、再び気化・蒸散し、酸成分の凝集や酸成分と粉塵等の凝集の形成を防止することができる。ここで、「表面上部・下部」とは、例えば凝縮した酸成分が自重により「表面上部」から「表面下部」に自然落下により移動する場合における部位をいい、以下同様である。本発明は、上記のようなセラミックス管の2重管構造および熱媒体の流通形態を適用し、セラミックス管表面における熱回収の最適条件となるように熱媒体の温度および流量を設定することによって、低温領域での効率的な熱回収と熱交換部分での異物の凝集による熱交換効率の低下を未然に防止することが可能となった。
【0011】
本発明は、上記の排ガスの熱回収装置において、前記セラミックス管からの熱媒体の導出流路に温度測定器が設けられ、導出される前記熱媒体の温度を測定し、該温度を指標として前記熱媒体の流量が調整・設定されることを特徴とする。
上記のように、検証過程において知見(a)〜(d)を基に構成された排ガスの熱回収装置を用いることによって、排ガスからの熱回収を効率よく行うことができ、かつ排ガスの露点に対応した排ガス処理を行うことができることを見出した。また、同時に、以下(e)の知見に基づき、セラミックス管から導出される熱媒体の温度を指標として、導入する熱媒体の流量を調整することによって、より効率よくかつ安定的に排ガスの温熱を回収することができることを見出した。
(e)個々のセラミックス管における熱回収効率は、導入される熱媒体の流量の増加に伴い上昇するとともに、所定の流量以上において熱回収効率上昇速度の低下、さらに熱回収効率の低下を生じる(後述するように、その相関をグラフ化すると、排ガスの露点近傍を最大とする熱回収効率の変曲点を生じる)。セラミックス管の表面における排ガス中の水分または酸成分の結露に伴う凝縮潜熱、比熱が大きい液滴の発生に伴う温熱吸収、およびセラミックス管の表面における液膜の発生に伴う熱伝達率の低下、によるものと推察させる。また、このとき、セラミックス管から導出される熱媒体の温度は、熱媒体の低流量域からの流量の増加に伴い、徐々に低下するとともに、上記変曲点に対応する流量以上の領域において、その低下勾配が大きくなる(後述するように、その相関をグラフ化すると、上記熱回収効率の変曲点近傍において熱媒体の温度の変曲点を生じる)との知見を得た。
【0012】
本発明は、上記排ガスの熱回収装置であって、前記排ガスの流通路に対して非直線もしくは直線的に配設された複数の前記セラミックス管から構成され、該セラミックス管に対して前記熱媒体を並列的に導入するとともに、各セラミックス管表面において、前記排ガスの露点以下となる低温領域とこれに近接し露点以上となる高温領域が形成されるように、前記熱媒体の温度および各セラミックス管に導入する前記熱媒体の流量が設定されることを特徴とする。
上記のように、本発明は、セラミックス管表面において排ガス中の酸成分の凝縮が発生する限界温度で熱回収を行うことによって、低温領域の排ガスの温熱を効率よく回収することが可能となる一方、熱回収装置から供出する排ガス温度を露点以上とすることによって、凝縮した酸成分(酸ミスト)による排ガス流路の腐食等を未然に防止することが可能となる。このとき、排ガスの流通路に複数のセラミックス管を配設することによって、大容量の排ガスに対しても排熱の回収効率の向上を図ることができる。このとき、セラミックス管に対して熱媒体を並列的に導入するとともに、導入する熱媒体の流量を各セラミックス管に設定することによって、任意の所望の温度条件の温熱を回収することが可能となり、効率的に排熱を回収することが可能となった。
【0013】
本発明は、排ガス処理システムであって、上記のいずれかの排ガスの熱回収装置と、排ガスに含有される酸成分の除害処理が行われる除害処理部と、排ガスに含有される粉塵の除塵処理が行われる除塵処理部と、を備え、該熱回収装置において、前記除害処理および除塵処理が行われた排ガスの温熱が回収されることを特徴とする。
上記のように、本発明に係る排ガスの熱回収装置を用いることによって、排ガスからの熱回収を効率よく行うことができ、かつ排ガスの露点に対応した排ガス処理を行うことができる。しかしながら、排ガス温度の低下に伴う酸ミスト等の発生と粉塵の存在は、粉塵等の凝集等を発生させ、熱回収効率の低下を招来する。本発明は、予め凝集等が生じない程度の細かな除塵処理を行い、また、予め酸ミスト等酸成分の除害処理を行うことによって、酸ミスト等の発生があっても粉塵等の凝集等の発生を防止することができる排ガス処理システムを構成することができる。
【0014】
本発明は、排ガス処理システムであって、上記のいずれかの排ガスの熱回収装置と、該熱回収装置に対して前置され排ガスの1次冷却が行われる冷却処理部と、排ガスに含有される酸成分の除害処理が行われる除害処理部と、排ガスに含有される粉塵の除塵処理が行われる除塵処理部と、を備えた排ガス処理システムであって、
該冷却処理部において、排ガスの露点以上かつ前記熱回収装置に備えられたセラミックス管の耐熱温度以下に、排ガスの1次冷却処理が行われ、
該熱回収装置において、前記1次冷却処理,除害処理および除塵処理が行われた排ガスの温熱が回収されることを特徴とする。
上記のように、排ガス処理システムの熱回収処理は、高温領域での高い熱回収効率に比較し、低温領域での熱回収効率は非常に低い。また、熱回収装置において重要な機能を果たすセラミックス管の長期使用のためには、その耐熱温度以下での使用が好ましい。本発明に係る排ガス処理システムは、セラミックス管の耐熱温度および排ガスの露点という2つの指標を基に、高温領域および低温領域での2段階の異なる手法による熱回収処理を行うことによって、低温領域まで効率よく熱回収することを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る排ガス熱回収装置の基本的な構成を例示する概略図
図2】本装置に用いるセラミックス管の表面温度と排ガス露点との関係を例示する概略図
図3】本発明に係る排ガス熱回収装置の検証結果を例示する概略図
図4】本発明に係る排ガス熱回収装置の検証結果を例示する概略図
図5】本発明に係る排ガス熱回収装置の基本構成例の実施形態を例示する概略図
図6】本発明に係る排ガス熱回収装置の他の構成例を示す概略図
図7】本発明に係る排ガス処理システムの基本的な構成を例示する概略図
図8】従来技術に係る工業用炉の排熱回収装置を例示する概略図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る排ガスの熱回収装置(以下「本装置」という)は、凝縮性の酸成分または/および水分を含む排ガスを対象とし、SiCを主成分とした一端が閉塞したシングルエンド型の2重管型のセラミックス管を用い、該セラミックス管の内部に液体の熱媒体が流通可能な流路を有する熱交換部を備え、前記セラミックス管の耐熱温度以下の排ガスの流通路に設けられ、該排ガスとの熱交換によって加熱された前記熱媒体を介して排ガスの温熱が回収されるとともに、流通路に供給される排ガス中の水分量または排ガス露点を基準に、セラミックス管表面の一部分の温度が前記排ガスの露点以下となる低温領域とこれに近接し露点以上となる高温領域が形成されるように熱媒体の温度および流量が設定され、かつ供出される排ガス温度が、該排ガスの露点以上とされることを特徴とする。こうした構成の排ガスの熱回収装置を用いることによって、低温領域での排ガスからの熱回収を効率よく行うことができ、かつ排ガスの露点に対応した排ガス処理を行うことができる。以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
<本発明に係る排ガスの熱回収装置の基本構成>
図1(A),(B)は、本装置1の基本的な概略全体構成を例示する(第1構成例)。工業用炉等(図示せず)から供出された排ガスGが、冷却処理等の前置処理された後、その流通路に設けられた本装置1に対して、所定温度(セラミックス管の耐熱温度以下)で供給される。本装置1には、SiCを主成分とした一端が閉塞したシングルエンド型の2重管型のセラミックス管を用い、該セラミックス管の内部に液体の熱媒体Mが流通可能な流路を有する熱交換部2を備えられ、排ガスGとの熱交換によって加熱された熱媒体Mを介して排ガスGの温熱が回収される。熱媒体Mの流量は流量調整弁Vによって設定される。このとき、流通路に供給される排ガス中の水分量または排ガス露点を基準に、セラミックス管表面の一部分の温度が排ガスGの露点以下となる低温領域とこれに近接し露点以上となる高温領域が形成されるように熱媒体Mの温度および流量が設定され、かつ本装置1から供出される排ガス温度が、排ガスGの露点以上とされることによって、排ガスGからの熱回収を効率よく行うことができ、かつ排ガスGの露点に対応した排ガス処理を行うことができる。
【0018】
本装置1において処理対象となる排ガスGは、凝縮性の酸成分(例えば硫酸ミストSO等の酸ミスト)または/および水分を含有する排ガス等が該当する。具体的には、加熱炉や熱処理炉等の工業用炉からの凝縮性の酸成分ミスト(例えば硫酸ミストSO等の酸ミスト)または/水分を含有する排ガスが対象となる。こうした排ガスは、非常に高温で高エネルギーを有するとともに、多くの酸ミストまたは/および水分が含まれることから、効率よくかつ安定的に熱回収するには、その露点に対応した排ガス処理が必要となる。具体的には、脱硫処理によって酸成分の低減処理(酸成分の露点の低下)と同時に露点を下げ(除害処理)、かつ供出される排ガス温度が、該排ガスの露点以上とされることによって効率よくかつ安定的に熱回収することが好ましい。特に、後述するように、セラミックス管表面温度を排ガスの露点近傍まで低下させた場合、熱回収効率が最大となるとの知見から、排ガス中の水分量または排ガス露点を基準に、セラミックス管表面の一部分の温度がこうした条件となるように熱媒体の温度および流量が設定されることが好ましい。また、酸ミスト等の発生し易い温度以下に冷却処理する場合には、酸ミストによる腐食および酸ミストと粉塵との結合・凝集を防止するように、耐食性素材の利用および微細粒子までの除塵処理が好ましい。
【0019】
ここで、セラミックス管は、SiCを主成分(ここでいう主成分とは、セラミックス管を構成する全成分100質量(重量)%に対して、90質量(重量)%以上占める成分であり、95質量(重量)%以上であることが好適である。)としたセラミックス素材(例えばクアーズテック社製、商品名CERASIC[登録商標]−B)を用い、例えば半球状の一端部を有し、他端部から熱媒体Mの導入・流通が可能な円筒形状とすることが好ましい。耐熱性,耐食性および熱伝導性に優れるとともに、本装置の使用に必要な強度を確保することができる。また、SiCを主成分としたセラミックス管を用いることによって、酸ミスト等の発生があっても腐食されることなく、長期使用が可能で安定な熱交換効率を確保することができる熱回収装置を構成することができる。なお、ここでいう「2重管型のセラミックス管」とは、セラミックス管の外管部分について上記SiCを主成分とするセラミックス材料で構成し、内管部分はセラミックスまたは他の素材(例えば鉄やステンレス等)の耐熱性材料で構成された2重管をいう。熱媒体Mとしては、熱容量の大きな液体の熱媒体が好ましく、例えば市水や井戸水等を用いることによって、低温条件において精度の高い温度制御を行うことができる。また、熱交換部2として用いるセラミックス管は、一端が閉塞したシングルエンド型の2重管を形成することが好ましい。後述するように、内管2aまたは外管2bのいずれかを流通した熱媒体Mを、最も低温条件で排ガスGと熱交換させることによって、低温領域の排ガスGであっても、その温熱を最大量回収することができる。このとき、排ガスG温度が比較的高温の場合、熱交換部2に導入された液体の熱媒体Mが、排ガスGの温熱を回収した後の内管2aまたは外管2bのいずれかにおいて気化するように設定することも可能である。気化熱として大きな温熱を回収することによって、排ガスGからの熱回収をより効率よく行うことができる。
【0020】
具体的には、図1(A)に例示する構成においては、排ガスの流通路の上方から一端が閉塞したシングルエンド型の2重管型のセラミックス管が挿入された場合において、該セラミックス管の内管2aから導入された熱媒体M(例えば10〜20℃)がセラミックス管の内部流路を流通して外管2bを介して導出され、セラミックス管の管壁を介して所定温度(例えば300〜450℃)の排ガスGが有する温熱が回収処理される。回収された温熱は、蓄熱槽3に蓄熱され、熱媒体Mまたは他の媒体を介して、温水作製用等の温熱として利用される。このとき、回収される熱量は、導入された熱媒体Mの所定の流量範囲において、熱媒体Mの流量によって制御することができる。具体的には、流量調整弁Vによって設定された当初の熱媒体Mの流量条件において、セラミックス管は、内管2aから内部流路下部に導出された低温の熱媒体Mによって冷却され、セラミックス管表面の下部(以下「表面下部」という)2eが最も低温となり(例えば80℃)、上方に従い、表面中央部2d(例えば90℃)、表面上部2c(例えば100℃)と順次温度が上昇する。ここで、熱媒体Mの流量を増加させ、表面下部2eの温度を排ガスGの露点(例えば60℃)以下とすることによって、排ガスGの温熱を最大量吸収することができる。セラミックス管外表面における凝縮水の発生・付着は、該外表面からの放熱・排ガスによる移送を阻害することから、熱媒体Mによる排ガスGの温熱の回収効率は、セラミックス管外表面温度が排ガスGの露点近傍のときに最大となると解され、後述する実機での検証において実証された。つまり、排ガスG中の水分量または排ガスGの露点を基準に、熱媒体Mの温度・流量を制御することによって、排ガスGの温熱の回収効率を最大とすることができる。また、表面下部2e以外のセラミックス管表面温度はこれよりも高く、そこでの酸成分の凝縮を防止し、また凝縮が発生した場合にはこれを蒸散させることによって、供出される排ガス温度を露点以上に設定し、酸成分の凝集や酸成分と粉塵等の凝集の形成を防止することができる。
排ガスの流通路の下方からセラミックス管が挿入された場合(図示せず)においては、熱媒体Mが該セラミックス管の外管2bから導入され、セラミックス管の内部流路を流通して内管2aを介して導出されることによって、これと同等の効果を得ることができる。このとき、低温の熱媒体Mが該セラミックス管の外管2bに導入されることによって、セラミックス管(外管2b)の表面下部に排ガスの露点以下の低温領域が形成され、セラミックス管(外管2b)の表面上部に排ガスの露点以上の温度となる高温領域が形成され、排ガスとの熱交換により高い温熱回収を行うことができる。
【0021】
一方、図1(B)に例示する構成においては、排ガスの流通路の上方からセラミックス管が挿入された場合において、該セラミックス管の外管2bから導入された熱媒体Mがセラミックス管の内部流路を流通して内管2aを介して導出され、排ガスGが有する温熱が回収処理される。このとき、図1(A)に例示する構成同様、当初の熱媒体Mの流量条件において、セラミックス管は、セラミックス管表面上部2cが最も低温となり(例えば80℃)、下方に従い、表面中央部2d(例えば90℃)、表面下部2e(例えば100℃)と順次温度が上昇する。ここで、流量調整弁Vによって熱媒体Mの流量を増加させ、表面上部2cの温度を排ガスGの露点(例えば60℃)以下とすることによって、排ガスの温熱を最大量吸収することができる。つまり、排ガスG中の水分量または排ガスGの露点を基準に、熱媒体Mの温度・流量を制御することによって、排ガスGの温熱の回収効率を最大とすることができる。また、表面上部2c以外のセラミックス管の表面温度はこれよりも高く、そこでの酸成分の凝縮は発生せず、また凝縮が発生した場合にはこれを蒸散させることによって、供出される排ガス温度を露点以上に設定し、酸成分の凝集や酸成分と粉塵等の凝集の形成を防止することができる。特に、図のように排ガス流通路の上方から熱交換部2を挿入した場合には、表面上部2cにおいて凝縮した酸成分は、自重による自然落下及び排ガスの流れによって、さらに温度が上昇した表面中央部2dおよび表面下部2eに移動し、再び気化・蒸散し、本装置1あるいはその下流側の排ガス流路での酸成分の凝集や酸成分と粉塵等の凝集の形成を防止することができる。
排ガスの流通路の下方からセラミックス管が挿入された場合(図示せず)においては、熱媒体Mが該セラミックス管の内管2aから導入され、内管2aを介してセラミックス管の外管2bの上方および内部流路を流通して外管2bの下方から導出されることによって、これと同等の効果を得ることができる。このとき、該セラミックス管の内管2aから導入された低温の熱媒体Mが、外管2bの内部流路の上方から下方に流通されることによって、セラミックス管(外管2b)の表面上部に排ガスの露点以下の低温領域が形成され、セラミックス管(外管2b)の表面下部に排ガスの露点以上の温度となる高温領域が形成され、排ガスとの熱交換により高い温熱回収を行うことができる。
【0022】
こうした機能は、本発明における上記知見(c)を基に、本装置1の構成において得られるものである。具体的には、熱交換部2を排ガス流路Lに配設し、排ガスGの露点を例えば55〜60℃とした場合のセラミックス管の表面温度と排ガスGの露点との関係によって実証する。図2は、55〜60℃の飽和水分量を有する197℃の排ガスGが流通する場合におけるセラミックス管の表面温度と排ガスGの露点(水分濃度:kg/kg)との関係を例示する。セラミックス管の表面温度が60℃以上の表面(Te)には、水分(酸成分)の凝縮はなく、凝縮した成分が存在した場合には、気化・蒸散する。表面温度が55〜60℃近傍の表面(Td)には、酸成分の凝縮が生じるが、凝縮した成分が凝集し拡大することはなく、気化・蒸散することもない。表面温度が55℃以下の表面(Tc)には、酸成分の凝縮が生じ、凝縮した成分が存在した場合、凝集し拡大する。つまり、表面温度が55℃近傍まで低下するように、セラミックス管内部を流通する熱媒体Mによって熱回収を図ることによって、酸成分の凝縮を抑えながら最大量の温熱を回収することができる。また、図1(A)に例示する構成では、図2(A)に例示するように、セラミックス管の表面下部が55〜60℃近傍の表面(Td)に対応するように設定することによって、凝縮した酸成分の凝集・拡大を防止することができる。一方、図1(B)に例示する構成では、図2(B)に例示するように、セラミックス管の表面上部が55℃以下の表面(Tc)に対応するように設定することによって、表面中央部が55〜60℃近傍の表面(Td)に対応し、表面下部が60℃以上の表面(Te)に対応することから、表面(Tc)において凝縮した酸成分は、表面(Td)を介して表面(Te)において気化・蒸散させることができる。つまり、後者の構成の方が、前者に比較してより表面温度を低く設定し、熱回収量を多くすることができる。
【0023】
〔本装置の特性の検証〕
本装置の第1構成例を有する実機について、所定温度の熱媒体Mを導入した場合における「熱媒体Mの流量と回収熱量の相関」および「熱媒体Mの流量とセラミックス管出口の熱媒体Mの温度の相関」を検証した。
(i)検証条件
図1(B)に例示するように排ガス流路に10つのセラミックス管を配設し、各セラミックス管に対して熱媒体Mを排ガスGと並流または向流方向に流した場合を設定した。ここで、排ガス流路(断面積0.72m:半径0.48mの円筒)に、2重管の内径φ90mm×φ76mm,有効長900mmからなるセラミックス管を配設し、モル比「O:N:HO=10:70:20」からなる排ガスG(露点約60℃)を流量15,000Nm/h,温度197℃で供給し、熱媒体Mとして温度18℃の水を流量約0.5〜1.4L/minで導入し、熱媒体Mの流量とセラミックス管出口の熱媒体Mの温度を測定した。回収熱量は、セラミックス管出入り口の熱媒体Mの温度差と熱媒体Mの流量から演算した。
(ii)検証結果
検証結果を、図3および図4に例示する。図3は「熱媒体Mの流量と回収熱量の相関」を示し、図4は「熱媒体Mの流量とセラミックス管出口の熱媒体Mの温度の相関」を示す。領域aおよびbにおいて、セラミックス管表面に凝縮物が発生していることが確認された。図3に例示するように、熱媒体Mの導入流量1.2L/min近傍において、回収熱量が最大値を示す相関結果を得た。また、図4に例示するように、熱媒体Mの導入流量1.3L/min近傍において、セラミックス管出口の熱媒体Mの温度が急激に低下する相関結果を得るとともに、その変曲点近傍は、排ガスの露点約60℃に対応する温度であるとの結果を得た。なお、本検証では、特定条件の排ガスG条件で実証結果を例示したが、いくつかの排ガスG条件において同様な実証結果を得ることができた。
【0024】
こうした検証結果から、既述のように、
(a)図3に例示する結果から、熱媒体Mの流量を増加させ、セラミックス管表面温度を排ガスGの露点(例えば55〜60℃)近傍まで低下させた場合に、熱回収効率が最大となるとの知見を得た。
これを利用して、熱媒体Mの流量を調整し、セラミックス管表面の一部分において排ガスGの露点以下の低温領域まで熱回収部分(セラミックス管表面)を冷却し、その内部を流通する熱媒体Mを介して熱回収を行うことによって、効率よくかつ安定的に排ガスGの温熱を回収することができる。排ガスGの特性に対応して、セラミックス管を用いた熱交換器が有する機能を有効に活かることによって、非常に高い熱回収効率を確保することができる。
【0025】
また、上記検証結果から、既述のように、
(e)図4に例示する結果から、熱媒体Mの流量を増加させ、セラミックス管表面温度を低下させた場合に、ほぼ一定の傾きを有していたセラミックス管出口の熱媒体Mの温度変化が、排ガスGの露点(例えば55〜60℃)近傍において急激に傾きが変化するとの知見を得た。
これを利用して、セラミックス管出口の熱媒体Mの温度を監視し、熱媒体Mの流量を調整することによって、セラミックス管表面の一部分において排ガスGの露点以下の低温領域まで冷却できているかを推定することができ、その内部を流通する熱媒体Mを介して熱回収を行うことによって、効率よくかつ安定的に排ガスGの温熱を回収することができる。また、熱媒体Mの流量に対するセラミックス管出口の熱媒体Mの温度変化を監視することによって、排ガス中の水分量の変化に対応した最適な熱媒体Mの流量を調整することができる。熱交換器において熱媒体Mにより回収された温熱を監視することによって間接的に熱媒体Mの流量と熱回収効率の最適な相関条件を把握することができ、熱媒体Mの流量調整によって非常に高い熱回収効率を確保することができる。具体的には、図5に例示する構成を挙げることができる。
【0026】
図5は、セラミックス管からの熱媒体Mの導出流路に温度測定器Tを設け、導出される熱媒体Mの温度の測定情報を制御部Cに送信し、該温度を指標として熱媒体Mの流量を設定し、熱媒体Mの導入流路に設けられた流量調整弁Vの開度を調整する機能を有する構成を例示する。ここでは、図1(A)に示す構成例を基本とする構成を例示したが、図1(B)に例示された構成等を種々の構成について適用することができる。排ガスGの組成が監視あるいは把握される場合において、その露点に対応した熱媒体Mの流量の制御・調整を行うとともに、セラミックス管から導出される熱媒体Mの温度を監視することによって、より効率よくかつ安定的に排ガスの温熱を回収することが可能となる。また、排ガスGの組成の監視あるいは把握が難しい場合においても、予めセラミックス管から導出される熱媒体Mの流量・温度と排ガスGの温度との相関を把握しておき、実測時の熱媒体Mの導入流量における導出される熱媒体Mの温度から上記変曲点を推定し、推定された変曲点における熱媒体Mの温度(または流量)から排ガスGの露点を推定し、該露点に対応した熱媒体Mの流量の制御・調整を行うことによって、より効率よくかつ安定的に排ガスの温熱を回収することが可能となる。
【0027】
〔本装置の他の構成例〕
本装置において、図6に例示するように、複数のセラミックス管が、排ガスGの流通路に対して非直線もしくは直線的に配設され、該セラミックス管に対して熱媒体Mを並列的に導入するとともに、各セラミックス管に導入する熱媒体の流量が設定されることが好ましい(第2構成例)。大容量の排ガスGに対しても排熱の回収効率の向上を図ることができるとともに、表面温度を露点以下に設定されたセラミックス管と露点以上に設定されたセラミックス管との組合せによる上記機能を確保することができる。また、異なった熱媒体の流量の設定により複数のセラミックス管から所望の異なった温度の熱媒体を取り出すことによって、任意の所望の温度条件の温熱を回収することができる。
【0028】
具体的には、図6に例示するように、4つのセラミックス管11〜14が、流路に対して並列的に配設された本装置10において、各セラミックス管11〜14に対して流量調整弁V1〜V4により任意の流量設定を行い熱媒体Mの流量を調整することによって各セラミックス管11〜14の導出部から所望の温度条件および量の温熱を回収することができる。また、セラミックス管11〜14からの温熱のいくつかを混合し所望の温熱として取り出し可能な構成を有することが好ましい。さらに、流路に対して各セラミックス管11〜14を直列に配設し(図示せず)、例えば上流側から第2のセラミックス管12に取出部を設け、直列的に流通する熱媒体Mの一部を取り出すことによって、最上流側のセラミックス管11から導出される熱媒体Mよりも低温で、より下流側のセラミックス管13から導出される熱媒体Mよりも高温の温熱を、任意の量回収することができる。
【0029】
<本発明に係る排ガス処理システムの基本構成>
図7は、本発明に係る排ガス処理システム(以下「本システム」という)の基本的な概略全体構成を例示する。本システムは、上記のいずれかの熱回収装置10と、排ガスに含有される酸成分の除害処理が行われる除害処理部20と、排ガスに含有される粉塵の除塵処理が行われる除塵処理部30と、を備え、熱回収装置10において、除害処理および除塵処理が行われた排ガスの温熱が回収されることを特徴とする。予め凝集等が生じない程度の細かな除塵処理を行い、また、予め酸ミスト等酸成分の除害処理を行うことによって、酸ミスト等の発生があっても粉塵等の凝集等の発生を防止することができる排ガス処理システムを構成することができる。
【0030】
具体的には、図7に例示するように、所定温度(セラミックス管の耐熱温度以下)で供給された第1排ガスG1が、除害処理部20において除害処理されて第2排ガスG2が生成される。第2排ガスG2は、除塵処理部30において除塵処理され第3排ガスG3が生成された後、熱回収装置10に供給され第4排ガスG4が生成される。第4排ガスG4は、そのままあるいはさらに清浄化処理がされた後煙突等(図示せず)から排出される。熱回収装置10には、その表面温度が、第3排ガスの露点以下となるように設定されたセラミックス管11,12が設けられ、セラミックス管11,12の内部に導入された熱媒体Mと第3排ガスG3の間で熱交換される。第3排ガスG3が冷却処理されるとともに、加熱処理された熱媒体Mの温熱が回収される。本装置は、露点以上濾過材の耐熱温度以下に冷却処理(1次冷却処理,図示せず)され,除害処理および除塵処理されて清浄化された第3排ガスG3が、熱回収装置10に供給され熱交換されることによって、効率よく低温領域での熱回収を行うことができる(2次冷却処理)。
【0031】
〔除害処理部〕
除害処理部20では、第1排ガスG1に処理剤が添加され、第1排ガスG1中の硫黄化合物等の除去処理が行われる。予め酸ミストの源となる硫黄化合物を除去(減量)処理することによって、第2排ガスG2の露点を低下させ、下流段の2次冷却処理時(熱回収装置10)において発生する可能性のある酸ミストの低減することができる。処理剤としては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム,水酸化カルシウムあるいは水酸化アンモニウムなどの水酸化物,炭酸ナトリウムや炭酸カリウム,炭酸カルシウムあるいは炭酸アンモニウムなどの炭酸化物,炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウムあるいは炭酸水素カルシウムなどの炭酸水素化物あるいは酸化ナトリウムや酸化カリウムあるいは酸化カルシウムなどの酸化物を主成分とする薬剤、またはこれらの水溶液を挙げることができる。処理剤として水酸化ナトリウム水溶液等の水溶液を用いた場合には、排ガスに対して噴霧状に添加することによって、効率的に除害処理を行うことができる。また、水溶液を用いた場合には、さらに除害処理機能とともに当該水溶液による冷却処理機能をも利用することができる。このとき、過剰量のアルカリ処理液を供給し、その一部を循環的に再利用する供給系を用いた場合には、当該循環供給系の中に熱回収用の熱交換器(図示せず)を設けることによって、さらに効率的な熱回収を行うことができる。また、該循環供給系に中和処理等再生処理部(図示せず)を設けることによって、除害機能の効率を上げることができる。除害処理部20で除害処理された気体成分は、清浄化された第2排ガスG2として集塵処理部30に供出されると同時に、液体成分(固体成分を含む)が発生した場合には回収される。
【0032】
〔除塵処理部〕
除塵処理部30では、除害処理部20から供出された第2排ガスG2が、除塵処理される。酸ミスト等の発生があっても粉塵等の凝集等の発生を防止するためには、予め凝集等が生じない程度の細かな除塵処理を行うことが好適である。こうした除塵機能を有する除塵処理部30としては、電気集塵器やサイクロン式集塵器あるいは耐熱性濾過材を用いた濾過式集塵器を用い、これに対応する濾過能力を設定することが好ましい。分離された固体成分が、硫酸ナトリウム,シリカあるいはセレン等の化合物を含む粉塵として取り出される。分離され清浄化された気体成分は、第3排ガスG3として熱回収装置10に供給される。電気集塵器は、比較的小さな粒径の気固分離に優れ、また金属成分を含む粉塵の多い排ガスGの除塵において好適である。サイクロン式の除塵処理は、比較的大きな粒径の気固分離に優れ、排ガスGの流通負荷が小さく、本システムにおいても好適である。また、耐熱性の濾過材を用いた除塵処理は、任意の粒径の気固分離に適用することができ、本システムにおいても好適である。耐熱性の濾過材としては、ガラス繊維やPTFE、セラミック系の濾過材等を主成分とする濾過織布や濾過不織布,粒状体あるいは粉状体等を用いることが好ましい。特にPTFE系の濾過材は、酸性ダストに対する耐性を有することで、ダストの濾布からの剥離性に優れるため、低温条件下での酸ミスト形成の核となる物質の減少を図ることができる。こうした酸ミスト軽減機能は、除塵処理部30を熱回収装置10の上流段に設けることによって高い組合せ効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 熱回収装置(本装置)
2 熱交換部
2a 内管
2b 外管
2c 表面上部
2d 表面中央部
2e 表面下部
3 蓄熱槽
G 排ガス
M 熱媒体
V 流量調整弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8