(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
【0033】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る伝送装置1及び光モジュール2の構成を示す模式図である。伝送装置1は、プリント回路基板11を備えている。また、光モジュール2は、プリント回路基板21を備えている。当該実施形態に係るプリント回路基板は、これらプリント回路基板11,21のいずれか又は両方である。
【0034】
伝送装置1は、IC12をさらに備える。伝送装置1は、例えば、大容量のルータやスイッチである。伝送装置1は、例えば交換機の機能を有しており、基地局などに配置される。伝送装置1は、光モジュール2より受信用のデータ(受信用の電気信号)を取得し、IC12などを用いて、どこへ何のデータを送信するかを判断し、送信用のデータ(送信用の電気信号)を生成し、プリント回路基板11を介して、該当する光モジュール2へそのデータを伝達する。
【0035】
光モジュール2は、送信機能及び受信機能を有するトランシーバであり、光ファイバ3Aを介して受信する光信号を電気信号に変換するROSA23Aと、電気信号を光信号に変換して光ファイバ3Bへ送信するTOSA23Bと、を含んでいる。プリント回路基板21と、ROSA23A及びTOSA23Bとは、それぞれフレキシブル基板22A,22Bを介して接続されている。ROSA23Aより電気信号がフレキシブル基板22Aを介してプリント回路基板21へ伝送され、プリント回路基板21より電気信号がフレキシブル基板22Bを介してTOSA23Bへ伝送される。光モジュール2と伝送装置1とは電気コネクタ5を介して接続される。ROSA23AやTOSA23Aは、プリント回路基板21に電気的に接続され、光信号又は電気信号のうち一方から他方へ変換する光素子である。
【0036】
当該実施形態に係る伝送システムは、2個以上の伝送装置1と2個以上の光モジュール2と、1個以上の光ファイバ3を含む。各伝送装置1に、1個以上の光モジュール2が接続される。2個の伝送装置1にそれぞれ接続される光モジュール2の間を、光ファイバ3が接続している。一方の伝送装置1が生成した送信用のデータが接続される光モジュール2によって光信号に変換され、かかる光信号を光ファイバ3へ送信される。光ファイバ3上を伝送する光信号は、他方の伝送装置1に接続される光モジュール2によって受信され、光モジュール2が光信号を電気信号へ変換し、受信用のデータとして当該他方の伝送装置1へ伝送する。
【0037】
ここで、各光モジュール2が送受信する電気信号のビットレートは400Gbit/s級のものであり、光モジュール2は、送信用に8チャンネル、受信用に8チャンネルの多チャンネル方式である。各々のチャネルを伝送する電気信号のビットレートは50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかである。
【0038】
図2は、当該実施形態に係るプリント回路基板31の一部の平面を示す模式図である。
図3は、当該実施形態に係るプリント回路基板31の一部の断面を示す模式図である。
図3に、
図2のIII−III線による断面が示されている。
図2及び
図3は、プリント回路基板31の構造を理解するために、平面及び断面をそれぞれ模式的に示しており、実際の平面図及び断面図とは異なっている。
【0039】
当該実施形態に係るプリント回路基板31は、高速デジタル信号用の伝送線路を複数備えている。すなわち、プリント回路基板31は複数のチャネルを有している。
図2及び
図3には、複数の伝送線路のうち、1つの伝送線路(1チャネル)が示されている。ここで、伝送される電気信号のビットレートは56Gbit/sである。そして、伝送線路は、第1伝送線路と第2伝送線路とを含んでいる。ここで、前述の通り、第1伝送線路は、ストリップ線路であり、2枚の平面導体層と、その間に配置されるストリップ導体とを、含んでいる。第2伝送線路は、例えばマイクロストリップ線路によって構成される。なお、ここで、プリント回路基板31は、光モジュール2のプリント回路基板21であるが、前述の通り、伝送装置1のプリント回路基板11であってもよい。
【0040】
プリント回路基板31は、それぞれ誘電体層を介して複数の導体層が形成される多層構造(ここでは、14層)のプリント配線基板である。理解を容易にするために、
図3に示す断面では、高さ方向の縮尺が横方向の8倍に拡大されている。
図3には、14層のうち、上部の6層の構造のみが示されている。
【0041】
図2及び
図3に示す通り、プリント回路基板31は、信号ビア101と、複数の接地ビアと、2つのストリップ導体104,114と、2つの接地導体層105,115と、を備える。プリント回路基板31は、さらに、接地導体層105とストリップ導体104との間に、誘電体層109Aを、2つの接地導体層105,115との間に、誘電体層109Bを、接地導体層115の裏面側に、誘電体層109Cを、それぞれ備える。ここで、複数の接地ビアは、複数の第1接地ビア102と複数の第2接地ビア103とを含んでいる。プリント回路基板31の表面に、ストリップ導体104を覆って、カバーレイ108が配置される。
【0042】
誘電体層109Bは、第1誘電体層であり、誘電体層109Aは、第2誘電体層である。ストリップ導体114は第1信号配線であり、誘電体層109Bの内部を通る。接地導体層105は第1接地導体層であり、誘電体層109Bの表面(
図3の上側の面)に配置される。誘電体層109Aは、接地導体層105の表面(
図3の上側の面)に配置される。すなわち、誘電体層109Aは、接地導体層105の、ストリップ導体114とは反対側の面に配置される。接地導体層115は第2接地導体層であり、誘電体層109Bの裏面(
図3の下側の面)に、すなわち、表面とは反対側の面に配置される。言い換えれば、誘電体層109Bは、接地導体層105の裏面と、接地導体層115の表面に挟まれて配置される。
【0043】
2つの接地導体層105,115と、その間に配置されるストリップ導体114と、を含んで、第1伝送線路が構成される。接地導体層105とストリップ導体114の間隔(接地導体層105の裏面と、ストリップ導体114の表面と、の距離)、及び接地導体層115とストリップ導体114の間隔(接地導体層115の表面と、ストリップ導体114の裏面と、の距離)は、ともに等しく、ここでは、0.112mmである。言い換えれば、誘電体層109Bの、ストリップ導体114より上側に位置する部分の厚みと、誘電体層109Bの、ストリップ導体114より下側に位置する部分の厚さは、とも等しく、ここでは、0.112mmである。ストリップ導体114の幅は0.126mmであり、厚さtは12μmである。これら寸法は、第1伝送線路の特性インピーダンスZoによって決定され、ここでは、特性インピーダンスZoは50Ωである。電磁界解析によれば、これら寸法により、第1伝送線路の特性インピーダンスZoに近い値が実現している。
【0044】
接地導体層105は、平面視して、ストリップ導体114の一端となる位置に貫通穴106を有しているが、貫通穴106を除いて、広く広がる平面層となっている。接地導体層115は、広く広がる平面層となっている。しかしながら、第1伝送線路を構成するためには、接地導体層105,115が配置される領域は、平面視して、ストリップ導体114と対向する領域と、かかる領域の外側へ広がる領域とを少なくとも含んでいればよい。なお、ストリップ導体114の一端は、平面視して、貫通穴106へ延びている。
【0045】
ストリップ導体104は、第2信号配線であり、接地導体層105の、ストリップ導体114とは反対側に配置される。ここでは、接地導体層105の表面に誘電体層109Aが配置されており、誘電体層109Aの表面(
図3の上側の面)に、ストリップ導体104が配置される。なお、ストリップ導体104の一端は、平面視して、貫通穴106へ延びている。
【0046】
接地導体層105と、ストリップ導体104と、を含んで、第2伝送線路が構成される。第2伝送線路を構成するためには、接地導体層105が形成される領域は、平面視して、ストリップ導体104と対向する領域と、かかる領域の外側へ広がる領域とを少なくとも含んでいればよい。ここで、接地導体層105とストリップ導体104の間隔(誘電体層109Aの厚さ)は0.050mmであり、ストリップ導体104の幅は0.16mmであり、厚さtは12μmである。また、カバーレイ108のうち、ストリップ導体104に形成される部分の厚み(ストリップ導体104の上面から空気50までの距離)は0.050mmである。これら寸法は、第2伝送線路の特性インピーダンスZoによって決定され、第2伝送線路のインピーダンスは、一般には、第1伝送線路の特性インピーダンスと等しく、ここでは、特性インピーダンスZoは50Ωである。電磁界解析によれば、これら寸法により、第2伝送線路の特性インピーダンスZoに近い値が実現している。
【0047】
なお、当該実施形態に係るプリント回路基板31では、第1伝送線路に含まれる一方の接地導体層と、第2伝送線路に含まれる接地導体層とは、同一の接地導体層(接地導体層105)によって実現している。ストリップ導体104は、接地導体層105の上面に配置される誘電体層109Aの上面に、配置されているが、これに限定されることはない。すなわち、第1伝送線路に含まれる一方の接地導体層と、第2伝送線路に含まれる接地導体層とは、別々の接地導体層であってもよく、第2信号配線は、第1接地導体層の、第1信号配線とは反対側に、少なくとも第2誘電体層を介して、配置されていればよい。
【0048】
信号ビア101は、貫通穴106を通るビアホールであり、ビアホールの内壁に金属メッキ加工を施すことにより、ストリップ導体114とストリップ導体104とを電気的に接続する。接地導体層105に信号ビア101を囲うように設けられる貫通穴106は、クリアランスホールとも呼ばれる。信号ビア101と貫通穴106との間が誘電体によって埋め込まれることにより、信号ビア101は接地導体層105と電気的に遮断される。なお、クリアランスホールはアンチパッドと呼ばれることもある。貫通穴106の直径は、例えば0.70mmである。
【0049】
複数の接地ビアは、信号ビア101を囲うとともに、それぞれ、誘電体層109Bを貫通して、接地導体層105と接地導体層115とを電気的に接続する。前述の通り、複数の接地ビアは、複数の第1接地ビア102(第1接地ビア群)と複数の第2接地ビア103(第2接地ビア群)とを含んでいる。
【0050】
図4は、当該実施形態に係る複数の接地ビアの配置を示す模式図である。複数の第1接地ビア102(第1接地ビア群:V1)は、複数の第1点にそれぞれ配置される。ここでは、
図4に示す通り、信号ビア101の近傍に、信号ビア101を取り囲むように、4個の第1点が等間隔で配置され、隣り合う第1点を結ぶと正方形となる。隣り合う第1点の間の距離のうち最大値をLs1とする。ここで、隣り合う第1点の間の距離は等間隔であるので、距離Ls1は当該等間隔の値である。各第1接地ビア102は、該当する第1点を含む位置に配置され、理想的には、第1点と第1接地ビア102の中心とが一致するように、第1接地ビア102が配置される。信号ビア101及び複数の第1接地ビア102(第1接地ビア群)は、第1伝送線路と第2伝送線路との接続部分であり、信号ビア101及び複数の第1接地ビア102を含んで、同軸線路を模擬した伝送線路(第3伝送線路)が構成される。当該伝送線路は、第3伝送線路をさらに含んでいる。第1伝送線路と、第2伝送線路と、該第1伝送線路及び該第2伝送線路とを接続する第3伝送線路と、を含んで、高速デジタル用のチャネル(伝送線路)が構成される。
【0051】
複数の第1接地ビア102がそれぞれ配置される複数の第1点は、平面視して、第1多角形の線上であって、少なくともすべての頂点に配置される。第1多角形は内側に信号ビア101を含んでいる。ここでは、第1多角形は正方形であり、複数の第1点は、正方形の頂点に配置される4個の第1点である。言い換えれば、該正方形の線上のうち、頂点を除いて、辺上には第1点は配置されていないが、正方形の頂点(4個の頂点)に加えて、該正方形の辺上に第1点がさらに配置されていてもよい。
【0052】
複数の第2接地ビア103(第2接地ビア群:V2)は、複数の第2点にそれぞれ配置される。複数の第1接地ビア102(第1接地ビア群)を取り囲むように、6個の第2点が等間隔で配置され、隣り合う第2点を結ぶと正六角形となる。隣り合う第2点の間の距離のうち最大値をLs2とする。ここで、隣り合う第2点の間の距離は等間隔であるので、距離Ls2は当該等間隔の値である。各第2接地ビア103は、該当する第2点を含む位置に配置され、理想的には、第2点と第2接地ビア103の中心とが一致するように、第2接地ビア103が配置される。
【0053】
複数の第2接地ビア103がそれぞれ配置される複数の第2点は、平面視して、第2多角形の線上であって少なくともすべての頂点に配置される。第2多角形は、その辺上又は辺の内側に前記第1多角形を含んでいる。ここでは、第2多角形は、辺の内側に第1多角形を含んでいる。第2多角形は正六角形であり、複数の第2点は、正六角形の頂点に配置される6個の第2点である。言い換えれば、該正六角形の線上のうち、頂点を除いて、辺上には第2点は配置されていないが、該正六角形の頂点(6個の頂点)に加えて、該正六角形の辺上に第2点がさらに配置されていてもよい。
【0054】
本明細書において、「第2多角形は、辺上又は辺の内側に前記第1多角形を含む」とは、以下の2つの場合を含むものとする。第1の場合は、第1多角形が第2多角形の各辺に接することなく、第1多角形が第2多角形の内側に包含されるよう位置している。当該実施形態はこの場合に属する。第2の場合は、第1多角形の1個以上の頂点が、第2多角形の辺上(頂点を除く)にあり、第1多角形が一部分も第2多角形の外側へはみ出ないように位置している。なお、第2の場合に、第1多角形の各頂点が第2多角形の辺上(頂点を除く)にある場合、すなわち、第1多角形が第2多角形に内接する場合が、含まれる。
【0055】
当該実施形態において、複数の接地ビアが
図2及び
図4に示す配列となっていることにより、平面視して、第2信号配線(ストリップ導体104)と信号ビア101と第1信号配線(ストリップ導体114)とが、一直線上に配置することが出来ている。第2信号配線が信号ビアへ到達する方向に沿って、第1信号配線が信号ビアより延伸している。第1信号配線は、複数の接地ビアと重ならず、該方向に沿って、複数の接地ビアの外側(第2多角形の外側)へ延伸している。当該実施形態では、複数の接地ビアの外側に、さらなる接地ビアを含んでおらず、第1信号配線の設計自由度が格別に向上している。
【0056】
当該実施形態に係るプリント回路基板の特徴は、複数の第1点及び複数の第2点の配列にある。第1の特徴は、隣り合う第1点の間の距離は、すべて第1距離以下であることにある。当該実施形態では、複数の第1点は等間隔に配置されており、隣り合う第1点の間の距離はすべて距離Ls1であり、ここで距離Ls1は0.707mmである。また、第1距離(L1)について詳細は後述するが、ここで第1距離は1.0mmである。
【0057】
第2の特徴は、隣り合う第2点の間の距離はすべて第1距離以下であることにある。当該実施形態では、複数の第2点は等間隔に配置されており、隣り合う第2点の間の距離はすべて距離Ls2であり、ここで距離Ls2は1.0mmである。
【0058】
第3の特徴は、隣り合ういずれの1対の第1点から、ともに第1距離以内に、第2点が少なくとも1つあることにある。隣り合う1対の第1点と、近傍の第2点と、で構成する三角形のうち、第1点と第2点とを結ぶ辺の最大の長さを、距離Ls3とする。当該実施形態では、長さが距離Ls3となる辺を含む三角形は、
図4に網掛けとともに示す三角形である。ここで距離Ls3は、0.995mmである。すなわち、距離Ls1,Ls2,Ls3の値はすべて第1距離(L1)である1.0mm以下である。すなわち、1.0mmと等しいか、又はより小さい。
【0059】
第4の特徴は、信号ビアの外側であって第2多角形の内側となる領域に、接地電位以外の電位に接続されるビアを含まず、第2多角形の外側に第2多角形から第1距離以内に配置される接地ビアを含まないことにある。第2多角形の外側にさらなる接地ビアも配置されないのが望ましく、何らかの必要により接地ビアを配置する場合であっても、かかる接地ビアを第2多角形から第1距離よりも離れて配置する。第2多角形の外側に第1距離より離れて接地ビアを配置する場合には、かかる接地ビアの配置密度を、複数の第1接地ビア(第1接地ビア群)及び複数の第2接地ビア(第2接地ビア群)の配置密度に比べて疎とすればよく、隣り合う該接地ビアの中心間隔が第1距離(L1)を越えていればよい。
【0060】
以下に、当該実施形態に係るプリント回路基板31の構造の詳細を説明する。前述の通り、プリント回路基板31は高速デジタル信号用の伝送線路を複数備えており、伝送される電気信号のビットレートは56Gbit/sである。例えばビルドアップ工法により、ストリップ導体や接地導体層などの配線層をパターニングで形成し、その上側に誘電体層を積層し、それを繰り返して、プリント回路基板31を形成する。
【0061】
ストリップ導体104,114や接地導体層105,115には、銅箔が用いられる。誘電体層109A,109B,109Cには、ガラス布基材とエポキシ樹脂からなる材料(ガラスエポキシ樹脂)、液晶ポリマ(LCP:Liquid Crystal Polymer)、フッ素系樹脂(PTFE:PolyTetraFluoroEthylene)などのうち、いずれかを用いる。例えば、誘電体層109A,109B,109Cの比誘電率は3.0である。
【0062】
カバーレイ108は、誘電体からなる保護フィルムであり、例えば比誘電率は3.0である。カバーレイ108は、プリント回路基板31が外環境(例えば空気50)に曝されるのを防いでいる。カバーレイ108の代わりにソルダレジスト層と呼ばれるハンダ付着防止用の誘電体膜であってもよい。
【0063】
信号ビア101、及び複数の接地ビア(第1接地ビア102及び第2接地ビア103)は、レーザビア(LVH)を用いるのが好適である。ビア径は例えば0.1mmとする。信号ビア101、及び複数の接地ビアは、積層方向に沿って複数のランド107をそれぞれ含んでいる。ランド107は導体層に形成される導体パターンの一部であり、積層方向に延びるレーザビアにおいて、配線層に中継する導体層である。ここで、ランド107は円形状であり、その直径は例えば0.3mmである。特に、ストリップ導体104と信号ビア101との接続部分、及びストリップ導体114と信号ビア101との接続部分は、電気的接続を十分とするために、ランド107が形成されている。パターニングされる銅箔は、ストリップ導体104(114)の部分と、ランド107の部分とを含んでおり、ストリップ導体104(114)の一端がランド107に繋がっている。ストリップ導体104(114)の一端はランド107であるとしてもよい。以上、当該実施形態に係るプリント回路基板31の構造の詳細を説明した。
【0064】
次に、第1距離について説明する。第1距離は、本発明に係る複数の接地ビアの配列を規定する基準値である。第1距離は、複数の接地ビアが第1接地層と第2接地導体層とを電気的に接続するよう正三角格子状に配列される場合に、伝送する電気信号に対応する周波数を遮断周波数とする正三角格子間距離である。すなわち、複数の接地ビアが正三角格子状に配列される周期構造において、当該伝送線路を伝送する電気信号に対応する周波数を遮断周波数とする距離である。ここで、遮断周波数は、TEモード及びTMモードの電磁波を遮断する最高の周波数と定義される。当該実施形態に係るプリント回路基板31において、各々のチャネルを伝送する電気信号のビットレートは50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかであり、かかるビットレート帯に対応できるよう、遮断周波数を56GHzとする。すなわち、当該伝送線路を伝送する電気信号に対応する周波数は56GHzである。
【0065】
図5は、接地ビアが正三角格子状に配列される周期構造を示す模式図である。
図5に示すプリント回路基板41は、当該実施形態に係る第1伝送線路と同様の伝送線路を含んでおり、ここで、プリント回路基板41の伝送線路は、当該実施形態に係る第1伝送線路と同じ寸法をしている。
図5に、2枚の接地導体層のうち、上側の接地導体層205が示されている。2枚の接地導体層を接続する複数の接地ビア202が、正三角格子状に等間隔に配置される。前述の通り、当該伝送線路の断面構造および各層の厚さは当該実施形態に係る第1伝送線路と同じである。2枚の接地導体層は、十分に又は無限に広く、複数の接地ビア202による周期構造も、十分に又は無限に続いているものとする。複数の接地ビア202による周期構造は、正三角格子(equilateral triangular lattice)又は六角格子(hexagonal lattice)と呼ばれる二次元格子構造である。この2枚の接地導体層に挟まれた領域に存在できるTEモード及びTMモードの電磁波は、電磁界解析ツールを用いれば比較的容易に、かつ正確に算出することができる。隣り合う接地ビア202のビア中心間の距離、すなわち、中心間隔(Via Pitch)を変化させ、TEモード及びTMモードの電磁波が存在しうる最低の周波数、すなわちTE及びTMモードの電磁波の遮断周波数を算出する。
【0066】
図6は、
図5に示す周期構造の中心間隔における遮断周波数の計算結果を示す図である。
図6は、当該実施形態に係る第1伝送線路と同様に、ストリップ導体と上下それぞれの接地導体層との間隔(誘電体層の厚さ)が0.112mmの場合に加え、その約1/2倍(0.050mm)、約2倍(0.236mm)の場合もプロットされている。隣り合う接地ビア202の中心間隔(Via Pitch)を狭くするに従い、遮断周波数は急激な上昇を示している。
【0067】
これに対して、誘電体層の厚さを1/2倍〜2倍の範囲で変化させても、遮断周波数の変化は非常に小さい。デジタル変調信号のビットレートをFとする。ここでは、ビットレートは、56Gbit/sである。2枚の接地導体層で誘電体層が挟まれる領域では、0からFまでの周波数領域でTEモード及びTMモードの電磁波が遮断されることが望まれる。
【0068】
図6より、遮断周波数をビットレートに対応する周波数F(56GHz)とするのに必要な複数の接地ビア202の中心間隔(Via Pitch)を求めることが出来る。かかる中心間隔(正三角格子間距離)が第1距離(L1)である。遮断周波数が56GHzであるとき、第1距離(L1)は1.0mmである。また、遮断周波数が28GHzであるとき、第1距離(L1)は1.8mmである。
【0069】
実際のプリント回路基板において、接地導体層の領域は有限であり、配置される接地ビア202の個数も有限である。その場合の遮断周波数は、
図6に示す曲線より求まる遮断周波数より必ず高くなるという結果を得ている。よって、実際のプリント回路基板において、複数の接地ビア202の中心間隔を第1距離(L1)、すなわち1.0mmとする場合、
図6に示す遮断周波数、すなわち56GHzよりも、実際の遮断周波数は高くなる。また、実際のプリント回路基板において、隣り合う3つの接地ビア202がなす三角形は、必ずしも正三角形であるとは限らない。その場合であっても、接地ビアの全てが三角形を構成し、その三角形の三辺の長さがすべて第1距離(L1)以下の値であれば、
図6に示す曲線より求まる遮断周波数よりも、実際の遮断周波数は必ず高くなる。よって、複数の接地ビア202の中心間隔を第1距離(L1)を1.0mmとすれば、周波数が0からF=56GHzまでの周波数領域で、TEモード及びTMモードの電磁波を遮断することが出来る。以上、第1距離について説明した。
【0070】
発明者らは、さらなる種々の検討により、当該実施形態に係るプリント回路基板が上記第1乃至上記第4の特徴を有することにより、伝送線路に電気信号が伝搬する際に、信号ビアで発生する電磁波(TEモード及びTMモード)の伝搬を十分に遮断できることを見出している。その結果、信号ビアと他のチャネルの信号ビアとの間のクロストークを十分に抑圧できる。
【0071】
図7は、当該実施形態に係るプリント回路基板31の一部の平面を示す模式図である。
前述の通り、当該実施形態に係るプリント回路基板31は、複数のチャネル(伝送線路)を含んでいる。すなわち、当該実施形態に係るプリント回路基板31は、複数の伝送線路構造を備えており、各伝送線路構造は、第1信号配線(ストリップ導体114)と、第2信号配線(ストリップ導体104)と、信号ビア101と、複数の接地ビア(第1接地ビア102及び第2接地ビア103)と、を含んでいる。
図7は、そのうち2つのチャネルの一部を表している。なお、簡単のため、
図7には、複数の接地ビアの一部が記載されている。
【0072】
各チャネルにおいて、第1伝送線路の両端にそれぞれ、第3伝送線路を介して、第2伝送線路が延びている。すなわち、
図7の左から右へ順に、第2伝送線路、第3伝送線路、第1伝送線路、第3伝送線路、及び第2伝送線路が接続されている。各チャネルは、ともに
図2に示す構造を有している。2つのチャネルは、平面視して、ともに所定の間隔を維持し、互いに平行になるように、図の横方向に延伸している。2つのチャネルの信号ビア101の中心間距離D1は9mmである。各チャネルにおける2つの信号ビア101の中心間距離D2(ストリップ導体114の長さ)は25mmである。
【0073】
図8は、当該実施形態に係るプリント回路基板31の信号ビア101のクロストーク特性を示す図である。プリント回路基板31は、
図7に示す2つのチャネルを有しており、
図8に示す曲線は、当該2つのチャネルに対する近端クロストーク特性であり、周波数0から60GHzの範囲で−50dB以下、周波数0から33GHzの範囲では−60dB以下と、非常に良好な特性が得られている。また、遠端クロストーク特性もほぼ同じ値が得られている。このように、当該実施形態に係るプリント回路基板31では、送信チャネル間、受信チャネル間、及び送信チャネル−受信チャネル間それぞれのクロストーク量を低減できる。さらに、第1接地ビア102及び第2接地ビア103の配置領域(第2多角形)の面積を低減することが出来ており、ストリップ導体114の設計自由度が向上しており、高速化と高密度実装を両立する効果が得られる。
【0074】
当該実施形態に係るプリント回路基板では、複数の第2接地ビア(第2多角形)の外側に、積極的に接地ビアを配置する必要がなく、プリント回路基板の設計自由度を高めている。それゆえ、
図7に示す通り、複数の伝送線路構造が容易に実現される。
図7に示す1つのチャネルの信号ビア101について考察する。該信号ビア101の中心と、他のチャネルの信号ビア101との中心間距離D1は9mmであり、他のチャネルの信号ビア101を囲う複数の第1接地ビア102及び複数の接地ビア103は、該信号ビア101を囲う複数の接地ビア103(第2多角形)から第1距離L1より遠くに配置されており、当該実施形態に係る第4の特徴を満たしている。同様に、各チャネルにおける一方と他方の信号ビア101の中心間距離D2は25mmであり、他方の信号ビア101を囲う複数の第1接地ビア102及び複数の接地ビア103は、一方の信号ビア101を囲う複数の接地ビア103(第2多角形)から第1距離L1より遠くに配置されており、当該実施形態に係る第4の特徴を満たしている。言い換えれば、1つの伝送線路構造が、他の伝送線路構造の配置に与える影響は非常に小さい。これに対して、複数の接地ビアを二次元格子状に配置する場合(例えば、特許文献2及び特許文献3)、プリント回路基板の設計自由度は制限される。設計上のなんらかの理由により、二次元格子の1つの格子点の位置に接地ビアを配置しない場合、接地ビアが配置されないことがクロストーク増大に招いてしまう。
【0075】
光ファイバ伝送用の光送受信機(光トランシーバモジュール)は近年のブロードバンドネットワークの普及と共に、高速化及び小型・低コスト化が図られている。高速化に関しては、現在ではビットレートが100Gbit/s級のものが用いられ始めている。小型・低コスト化に関しては、イーサネット(登録商標)系のMSA(Multi Source Agreement)が主導となり、現在のCFPからCFP2,CFP4(各MSA規格)へとケース体積の縮小化・部品数の削減化が進んでいる。
【0076】
これらのうち、CFP2,CFP4においては光送受信機(TOSAやROSA)とそれを装着する伝送装置との間はプリント回路基板の一面上に設けた差動伝送線路(平衡伝送線路)からなるチャネル(伝送路)を介してシリアルデータを電気信号として伝送する。その仕様はOIF CEI−28Gに基づいており、送信用が4チャネル、受信用が4チャネルであり、各々のチャネルを伝送する電気信号のビットレートは25Gbit/s乃至28Gbit/sである。
【0077】
光送受信機の高速化はさらに進行中であり、次は400Gbit/s級のものが主流になることが予想される。プリント回路基板の伝送線路からなるチャネルは、送信用が8チャネル、受信用が8チャネル、各々のチャネルを伝送する電気信号のビットレートは50Gbit/s乃至56Gbit/sとなるであろう。その場合の仕様はOIF CEI−56Gに基づく予定である。当該実施形に係るプリント回路基板31は、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが50Gbit/s以上となる場合に望ましく、特に、50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかとなる場合に、好適である。
【0078】
本発明は、発明者らが検討し、得られた知見に基づいてなされたものである。各チャネルを伝送するデジタル電気信号のビットレートが、例えば、50Gbit/s乃至56Gbit/sといった高い領域においても、送信チャネル間、受信チャネル間、及び送信チャネル−受信チャネル間それぞれのクロストーク量を低減させることが必要となる。特に、送信チャネル−受信チャネル間のクロストーク量はさらに低く抑える必要がある。送信信号の強度に比べて、受信信号の強度が小さいからである。発明者らは、当該実施形態に係るプリント回路基板31と同様に、第1伝送線路と、第2伝送線路と、該第1伝送線路及び該第2伝送線路とを接続する第3伝送線路とで、高速デジタル用のチャネルにおけるメカニズムを、実測及び三次元電磁界解析ツールを用いて解析して、以下の知見を得ている。
【0079】
(A)第1伝送線路又は第2伝送線路を伝搬する電磁波(TEMモード)の一部が、第3伝送線路(信号ビア構造)により、TEモード及びTMモードに変換される。
【0080】
(B)第3伝送線路の信号ビアで発生した電磁波(TEモード及びTMモード)は、第1伝送線路を伝搬して、比較的遠い位置の他のチャネルの信号ビアまで到達し、当該他のチャネルの第3伝送線路(信号ビア構造)により、TEモード及びTMモードからTEMモードに変換される。
【0081】
(C)当該他のチャネルの第3伝送線路(信号ビア構造)で発生した電磁波(TEMモード)が、当該他のチャネルの第1伝送線路又は第2伝送線路を伝搬し、クロストークが生じる。
【0082】
発明者らは、上記(B)を抑圧することにより、上記メカニズムによるクロストーク量を抑圧できるかを検討している。しかしながら、以下の述べる問題点があり、クロストーク量の低減と高密度実装とを両立するには不適当であることを見出した。
【0083】
特許文献1に、上下を接地電位の導体層で覆われた空間全体に接地ビアを2mmピッチで正方格子状に配置した構造が開示されている。特許文献3を参考にすると、接地ビアによる格子を配置した領域がTEモード及びTMモードを遮断して、信号ビアで発生した電磁波の伝搬を阻止しうることが推定できる。しかし、2mmピッチの格子配列された接地ビアで遮断できる上限の周波数は、特許文献3によると29GHz程度であり、伝送速度の高速化には限界がある。例えば、ビットレート50Gbit/s乃至56Gbit/sの電気信号のクロストーク量を抑圧するには特性が不足している。
【0084】
特許文献2において、上下を導体層で覆われた空間全体に任意電位のビアを1mmピッチで正方格子状に配置した構造が開示されている。特許文献3を参考にして、上下の導体層に正方格子状に配置したビア(金属柱)を接続することを想定した場合、格子状にビアを配置した領域においてTEモード及びTMモードを遮断して、信号ビアで発生した電磁波の伝搬を阻止しうることが推定できる。1mmピッチの正方格子状の配列で遮断できる上限の周波数は、我々の検討によると52GHz程度である。それゆえ、ビットレート52Gbit/s程度の電気信号のクロストーク量を抑圧する効果を有する。
【0085】
しかしながら、特許文献2において内層の信号配線の配置が例示されているが、ビアの配置に占める面積が大であるとともに、信号配線を敷設するのに極めて自由度が小さい配置である。それゆえ、高密度実装を目指す上で障害となると考えられる。さらに、実際のプリント回路基板上には、送受信号以外の制御信号配線や、ICへの電源供給配線を敷設するために、接地ビア以外の制御信号用ビア、電源配線用ビアを当該領域に配置する必要がある。特許文献2において、接地ビアの格子配置を保ちながら接地ビア以外のビアを配置することは困難である。よって、他の部品の搭載領域を確保することが難しいという点で問題があり、高密度実装との両立には不適当である。
【0086】
これに対して、当該実施形態に係るプリント回路基板に、複数の送信用信号用の伝送線路と複数の受信信号用の伝送線路とが配置される場合であっても、送信チャネル間、受信チャネル間、及び送信チャネル−受信チャネル間それぞれのクロストーク量を低減できる。さらに、内層の信号配線の配置自由度と、接地ビア以外のビアの配置自由度とを、確保することにより、配置領域の面積を低減することができ、高速化と高密度実装とが可能なプリント回路基板が実現される。特に、表層の信号配線と内層の信号配線とを接続する信号ビア構造により、送受信波形品位の確保と小型化を両立したプリント回路基板が提供される。
【0087】
本発明の効果を示すために、以下に示す比較例に係るプリント回路基板81におけるクロストーク特性を解析している。
【0088】
図21は、比較例に係るプリント回路基板81の一部の平面を示す模式図である。プリント回路基板81には、複数の第2接地ビア103が配置されていない。比較例に係るプリント回路基板81は、
図7に示す当該実施形態に係るプリント回路基板31と同様に、2つのチャネル(伝送線路)を含んでおり、プリント回路基板81は、複数の第2接地ビア103が配置されない以外は、当該実施形態に係るプリント回路基板31の伝送線路と同じ構造をしており、寸法も同じとする。すなわち、2つのチャネルの信号ビア101の中心間距離D1は9mmであり、各チャネルの信号ビア101の中心間距離D2(ストリップ導体114の長さ)は25mmである。
【0089】
図22は、比較例に係るプリント回路基板81の信号ビア101のクロストーク特性を示す図である。
図22に示す曲線は、実測により得た近端クロストーク特性であり、周波数33GHzから60GHzの範囲ではほとんど−50dBを超え、最大値で−34dBを示している。周波数11GHz乃至33GHzの範囲でも−50dBを超える場合が多く、最大値で−40dBを示している。
図22に示す通り、比較例に係るプリント回路基板81ではクロストーク量を十分に低く抑えることができないが、
図8に示す通り、当該実施形態に係るプリント回路基板31では、クロストーク量の抑制が大幅に改善できている。
【0090】
以上、当該実施形態に係るプリント回路基板31について説明した。当該実施形態に係るプリント回路基板31は複数の伝送線路(複数のチャネル)を備えており、送信チャネル間、受信チャネル間、及び送信チャネル−受信チャネル間それぞれのクロストーク量を低減することが出来ている。このように、複数のチャネルを備えるプリント回路基板に、本発明は格別の効果を奏する。以下の実施形態においても同様である。
【0091】
また、当該実施形態に係るプリント回路基板31のチャネル(伝送線路)を伝送する電気信号は、二値変調のデジタル信号としているが、これに限定されることはなく、多値変調されるデジタル信号であってもよい。この場合は、ビットレートをシンボルレート(又は変調レート)に、単位“bit/s”を単位“baud”に読み替えればよい。以下の実施形態においても同様である。
【0092】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るプリント回路基板32は、第1の実施形態に係るプリント回路基板31と同様に、高速デジタル信号用の伝送線路を複数備えているが、かかる伝送線路は差動(ディファレンシャル)伝送線路である。差動伝送線路は1対のストリップ導体を含んでおり、1対の伝送線路で1つのチャネルを構成していると言ってもよい。
【0093】
図9は、当該実施形態に係るプリント回路基板32の一部の平面を示す模式図である。第1伝送線路は、2つの接地導体層105,115と、その間に配置される1対のストリップ導体114,134と、を含んでいる。第1信号配線は、1対の第1サブ信号配線を含み、該1対の第1サブ信号配線が1対のストリップ導体114,134である。第2伝送線路は、接地導体層105と、1対のストリップ導体104,124と、を含んでいる。第2信号配線は、1対の第2サブ信号配線を含み、該1対の第2サブ信号配線が1対のストリップ導体104,124である。第3伝送線路は、信号ビア101,121と、複数の第1接地ビア102とを含んでいる。第3伝送線路に備えられる信号ビア101,121は、1対のサブ信号ビアであり、信号ビアは1対のサブ信号ビアを含むとしてよい。信号ビア101は、ストリップ導体114とストリップ導体104とを電気的に接続し、信号ビア121は、ストリップ導体134とストリップ導体124とを電気的に接続する。すなわち、1対のサブ信号ビアは、1対の第1サブ信号配線の1つと1対の第2サブ信号配線の1つをそれぞれ別々に電気的に接続する。
【0094】
当該実施形態に係るプリント回路基板32は、第1の実施形態に係るプリント回路基板31とは、以下の点で異なっているが、それ以外については同じである。第1伝送線路は、ストリップ導体114に加えて、ストリップ導体134をさらに含む。そして、1対のストリップ導体114,134の形状が異なっている。第2伝送線路は、ストリップ導体104に加えて、ストリップ導体124をさらに含む。第3伝送線路は、信号ビア101に加えて、信号ビア121をさらに含む。そして、複数の第1接地ビア102及び複数の第2接地ビア103の個数と配置が異なっている。
【0095】
ここで、1対の信号ビア101,102の中心間距離は1mmである。1対のストリップ導体104,124は、互いに平行し、中心線間距離を1mmに維持して、
図9の右向きに延伸して、1対の信号ビア101,121にそれぞれ到達する。1対のストリップ導体114,134は、1対の信号ビア101,121から、互いに平行して右向きに延伸し、延伸する向き(右向き)に対して反時計方向に屈曲する。そして、1対のストリップ導体114,134は、互いに平行して図の右上の向きに延伸し、延伸する向き(右上の向き)に対して時計方向に屈曲し、さらに、図の右向きに延伸する。1対のストリップ導体114,134の中心線間距離は、図の右向きに延伸する部分において、1対のストリップ導体104,124の中心線間距離と同じ1mmに維持される。1対のストリップ導体114,134は、図の右上の向きに延伸する部分において、中心線の図の縦方向の距離が1mmに維持される。すなわち、かかる部分における中心線間距離は1mmより短い距離に維持される。1対のストリップ導体114,134が屈曲しているのは、第2接地ビア103の配置による。
【0096】
当該実施形態において、複数の接地ビアが
図9に示す配列となっていることにより、平面視して、第1信号配線(ストリップ導体114,134)が複数の接地ビアを避けるように屈曲している。平面視して、第2信号配線(ストリップ導体104,124)上に、第2接地ビア103が配置されているが、第2信号配線は、接地導体層105の上方に配置されているので、第2信号配線が第2接地ビア103と接することはない。これに対して、もしも第1信号配線(ストリップ導体114,134)が第2信号配線の延伸方向(図の横方向)に沿って直線状に延伸するならば、平面視して、第1信号配線上に、第2接地ビア103が配置されることとなる。第2信号配線は第1誘電体層(誘電体層109B)の内部に配置されているので、第1信号配線は第2接地ビア103が接し、電気的に接続される。よって、平面視して、第1信号配線は、第2信号配線の延伸方向(第2信号配線が信号ビアへ到達する方向)に対して屈曲し、複数の接地ビアと接することを避けることができる。
【0097】
図9に示す通り、複数(ここでは8個)の第1接地ビア102(第1接地ビア群)が配置される。第1の実施形態に係る第1接地ビア102と同様に、1対の信号ビア101,121それぞれを取り囲むように、それぞれ4個の第1接地ビア102(4個の第1点)が配置される。4個の第1点を結ぶと正方形となる。複数(ここでは8個)の第1接地ビア102がそれぞれ配置される複数(ここでは8個)の第1点は、平面視して、1対の信号ビア101,121(1対のサブ信号ビア)を内側に含むように、第1多角形線上に配置される。ここで、第1多角形は長方形(矩形)であり、複数の第1点は、長方形の頂点に配置される4個の第1点と、長方形の図の縦方向に延びる右辺上に配置される2個の第1点と、左辺上に配置される2個の第1点である。距離Ls1は、各サブ信号ビアを取り囲む4個の第1点がなす正方形の一辺の長さ(当該等間隔)であり、ここでは、距離Ls1は0.707mmである。
【0098】
複数(ここでは8個)の第1接地ビア102を取り囲むように、複数(ここでは10個)の第2接地ビア103が複数の第2点にそれぞれ配置される。複数の第2点は等間隔で配置され、隣り合う第2点を結ぶと長方形となる。すなわち、第2多角形は長方形であり、同じく長方形である第1多角形を内側に含んでいる。隣り合う第2点の距離は等間隔であるので、距離Ls2は当該等間隔の値であり、ここでは、距離Ls2は1.0mmである。
【0099】
当該実施形態では、長さが距離Ls3となる辺を含む三角形は、
図9に網掛けとともに示す三角形である。ここで、距離Ls3は、0.93mmである。すなわち、距離Ls1,Ls2,Ls3の値はすべて第1距離(L1)である1.0mm以下である。当該実施形態に係るプリント回路基板32は、第1の実施形態において説明した第1乃至第4の特徴をすべて有している。
【0100】
当該実施形態に係るプリント回路基板32は、1つのチャネルが差動伝送線路によって構成されているが、かかる場合であっても、送信チャネル間、受信チャネル間、及び送信チャネル−受信チャネル間それぞれのクロストーク量を低減できる。さらに、第1接地ビア102及び第2接地ビア103の配置領域(第2多角形)の面積を低減することが出来ており、ストリップ導体114,134の設計自由度が向上しており、高速化と高密度実装を両立する効果が得られる。当該実施形に係るプリント回路基板32は、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかとなる場合に、好適である。
【0101】
以上、当該実施形態に係るプリント回路基板32について説明した。当該実施形態に係るプリント回路基板32では、1つのチャネルが差動伝送線路で構成されている。信号ビアは1対のサブ信号ビアを含んでおり、第1多角形の内側に1対のサブ信号ビアを含んでいる。すなわち、伝送線路がシングルエンド伝送路であっても差動伝送線路であっても、本発明は格別の効果を奏する。以下の実施形態においても同様である。
【0102】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るプリント回路基板33は、複数の接地ビアの配列が第1の実施形態に係るプリント回路基板31と異なる点を除いて、第1の実施形態と同じである。なお、第2信号配線(ストリップ導体104)と第1信号配線(ストリップ導体114)は、平面視して、一直線上に延伸している。
【0103】
図10は、当該実施形態に係るプリント回路基板33の一部の平面を示す模式図である。
図11は、当該実施形態に係るプリント回路基板33の一部の断面を示す模式図である。
図11に、
図10のXI−XI線による断面が示されている。
図10及び
図11は、第1の実施形態に係る
図2及び
図3にそれぞれ対応している。
【0104】
複数の第1接地ビア102(第1接地ビア群)は、複数の第1点にそれぞれ配置される。ここでは、
図10に示す通り、4個の第1点が等間隔で配置され、隣り合う第1点を結ぶと正方形となる。隣り合う第1点の間の距離は等間隔であるので、距離Ls1は当該等間隔の値である。信号ビア101及び複数の第1接地ビア102とを含んで、同軸線路を模擬した伝送線路(第3伝送線路)が構成される。
【0105】
複数の第1接地ビア102がそれぞれ配置される複数の第1点は、平面視して、第1矩形の線上であって、少なくともすべての頂点に配置される。ここでは、第1矩形は、正方形であり、内側に信号ビア101を含んでいる。また、複数の第1点は、正方形の頂点に配置される4個の第1点である。言い換えれば、該正方形の線上のうち、頂点を除いて、辺上には第1点は配置されていないが、正方形の頂点(4個の頂点)に加えて、該正方形の辺上に第1点がさらに配置されていてもよい。
【0106】
複数の第2接地ビア103(第2接地ビア群)は、複数の第2点にそれぞれ配置される。複数の第1接地ビア102を取り囲むように、12個の第2点が等間隔で配置され、隣り合う第2点を結ぶと正方形となる。隣り合う第2点の間の距離は等間隔であるので、距離Ls2は当該等間隔の値である。複数の第2接地ビア103がそれぞれ配置される複数の第2点は、平面視して、第2矩形の線上であって、少なくともすべての頂点に配置される。第2矩形は、その辺上又は辺の内側に第1矩形を含んでいる。ここでは、第2矩形は、その辺の内側に第1矩形を含んでいる。第2矩形は正方形であり、複数の第2点は、正方形(第2矩形)の頂点それぞれに配置される4個の第2点と、正方形の(頂点を除く)辺上それぞれに配置される2個の第2点、すなわち、8個の第2点と、の合計8個の第2点である。
【0107】
当該実施形態に係るプリント回路基板の特徴は、複数の第1点及び複数の第2点の配列にある。第1の特徴は、隣り合う第1点の間の距離は、すべて第2距離以下であることにある。当該実施形態では、複数の第1点は等間隔に配置されており、隣り合う第1点の間の距離はすべて距離Ls1であり、ここで距離Ls1は0.9mmである。また、第2距離(L2)について詳細は後述するが、ここで第2距離は0.9mmである。
【0108】
第2の特徴は、隣り合う第2点の間の距離はすべて第2距離以下であることにある。当該実施形態では、複数の第2点は等間隔に配置されており、隣り合う第2点の間の距離はすべて距離Ls2であり、ここで距離Ls2は0.9mmである。
【0109】
第3の特徴は、複数の第1点それぞれから、前記第2距離以内に、前記第2点が少なくとも1つあることにある。複数の第1点それぞれと、該第1点から最も近い位置にある第2点との距離のうち、最大の長さを、距離Ls4とする。当該実施形態では、複数の第1点及び複数の第2点は、正方格子の格子点にあり、4×4の正方格子(合計16個)上に配置されている。すなわち、複数の第1点それぞれと、最も近い第2点との距離は、当該等間隔である0.9mmであり、距離Ls4は0.9mm(Ls1=Ls2=Ls4)である。すなわち、距離Ls1,Ls2,Ls4の値はすべて第2距離(L2)である0.9mmと等しく、0.9mm以下である。
【0110】
第4の特徴は、信号ビアの外側であって第2矩形の内側となる領域に、接地電位以外の電位に接続されるビアを含まず、第2矩形の外側に第2矩形から第2距離以内に配置される接地ビアを含まないことにある。第2矩形の外側にさらなる接地ビアも配置されないのが望ましく、何らかの必要により接地ビアを配置する場合であっても、かかる接地ビアを第2矩形から第2距離より離れて配置する。第2矩形の外側に第2距離より離れて接地ビアを配置する場合には、該接地ビアの配置密度を、複数の第1接地ビア(第1接地ビア群)及び複数の第2接地ビア(第2接地ビア群)の配置密度に比べて疎とすればよく、隣り合う該接地ビアの中心間隔が第2距離(L2)を越えていればよい。
【0111】
当該実施形態に係る複数の接地ビアの配置を、第1の実施形態に係る第1乃至第4の特徴を満たすか否かを考察する。隣り合う第1点間の距離はすべて0.9mmであり、第1距離である1.0mmより小さい。隣り合う第2点間の距離はすべて0.9mmであり、第1距離である1.0mmより小さい。しかしながら、隣り合う1対の第1点と、近傍の第2点とで、直角二等辺三角形を構成し、直角を鋏む2辺の長さは0.9mmであり、斜辺の長さは1.15mmとなる。よって、距離Ls3は1.15mmであるが、第1距離より大きい。すなわち、当該実施形態に係る複数の接地ビアの配置は、第1の実施形態に係る第1乃至第4の特徴すべてを満たしている訳ではない。しかしながら、当該実施形態に係るプリント回路基板における複数の接地ビアは、当該実施形態に係る第1乃至第4の特徴すべてを満たしている。
【0112】
次に、第2距離について説明する。第2距離は、本発明に係る複数の接地ビアの配列を規定する基準値である。第2距離は、複数の接地ビアが第1接地層と第2接地導体層とを電気的に接続するよう正方格子状に配列される場合に、伝送する電気信号に対応する周波数を遮断周波数とする正方格子間距離である。すなわち、複数の接地ビアが正方格子状に配列される周期構造において、当該伝送線路を伝送する電気信号に対応する周波数を遮断周波数とする距離である。当該実施形態に係るプリント回路基板33において、各々のチャネルを伝送する電気信号のビットレートは50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかであり、かかるビットレート帯に対応できるよう、遮断周波数を56GHzとする。すなわち、当該伝送線路を伝送する電気信号に対応する周波数は56GHzである。
【0113】
図12は、接地ビアが正方格子状に配列される周期構造を示す模式図である。
図12に示すプリント回路基板42は、当該実施形態に係る第1伝送線路と同様の伝送線路を含んでおり、ここで、当該伝送線路は、当該実施形態(及び第1の実施形態)に係る第1伝送線路と同じ寸法をしている。
図12に示すプリント回路基板42は、
図5に示すプリント回路基板41と、複数の接地ビア202の配列が異なっており、2枚の接地導体層を接続する複数の接地ビア202が、正方格子状に等間隔に配置される。複数の接地ビア202による周期構造は、正方格子(square lattice)と呼ばれる二次元格子構造である。
【0114】
図13は、
図12に示す周期構造の中心間隔における遮断周波数の計算結果を示す図である。
図13は、
図6と同様に、ストリップ導体と上下それぞれの接地導体層との間隔(誘電体層の厚さ)が0.112mmの場合に加え、その約1/2倍(0.050mm)、約2倍(0.236mm)の場合もプロットされている。
図6と同様に、隣り合う接地ビア202の中心間隔(Via Pitch)を狭くするに従い、遮断周波数は急激な上昇を示している。これに対して、誘電体層の厚さを1/2倍〜2倍の範囲で変化させても、遮断周波数の変化は非常に小さい。
【0115】
図13より、遮断周波数をビットレートに対応する周波数F(56GHz)とするのに必要な複数の接地ビア202の中心間隔(Via Pitch)を求めることが出来る。かかる中心間隔(正方格子間距離)が第2距離(L2)である。遮断周波数が56GHzであるとき、第2距離(L2)は0.9mmである。また、遮断周波数が28GHzであるとき、第2距離(L2)は1.7mmである。
【0116】
実際のプリント回路基板において、接地導体層の領域は有限であり、配置される接地ビア202の個数も有限である。その場合の遮断周波数は、
図13に示す曲線より求まる遮断周波数より必ず高くなるという結果を得ている。よって、実際のプリント回路基板において、複数の接地ビア202の中心間隔を第2距離(L2)、すなわち0.9mmとする場合、
図13に示す遮断周波数、すなわち56GHzよりも、実際の遮断周波数は高くなる。また、実際のプリント回路基板において、複数の接地ビアの配置が正方格子状でない場合について考える。複数の接地ビアの配置が矩形格子(rectangular lattice)状である場合も、当該矩形(長方形)の一辺の長さがすべて第2距離(L2)以下の値であれば、その場合の遮断周波数は、
図13に示す曲線より求まる遮断周波数より必ず高くなるという結果を得ている。同様に、隣り合う4つの接地ビア202がなす四角形は、必ずしも正方形であるとは限らない。その場合であっても、接地ビアの全てが四角形を構成し、その四角形の四辺の長さがすべて第2距離(L2)以下の値であれば、
図13に示す曲線より求まる遮断周波数よりも、実際の遮断周波数は必ず高くなる。よって、複数の接地ビア202の中心間隔を第2距離(L2)を0.9mmとすれば、周波数が0からF=56GHzまでの周波数領域で、TEモード及びTMモードの電磁波を遮断することが出来る。以上、第2距離について説明した。
【0117】
発明者らは、さらなる種々の検討により、当該実施形態に係るプリント回路基板が、たとえ第1の実施形態に係る第1乃至第4の特徴をすべて満たしていない場合であっても、当該実施形態に係る第1乃至第4の特徴を有することにより、伝送線路に電気信号が伝搬する際に、信号ビアで発生する電磁波(TEモード及びTMモード)の伝搬を十分に遮断できることを見出している。その結果、信号ビアとのチャネルの信号ビアとの間のクロストークを十分に抑圧できる。なお、当該実施形態に係る複数の第1点及び複数の第2点は、正方格子の格子点にあり、非常に簡便な構成であり、当該実施形態に係る第1乃至第3の特徴を満たすよう条件を容易に設定することが出来る。
【0118】
図14は、当該実施形態に係るプリント回路基板33の信号ビア101のクロストーク特性を示す図である。ここで、プリント回路基板33は、
図7と同様に、2つのチャネルを有しており、2つのチャネルの信号ビア101の中心間距離D1は9mmである。各チャネルの信号ビア101の中心間距離D2(ストリップ導体114の長さ)は25mmである。
図14に示す3つの曲線は、
図8に示す曲線と同様に、近端クロストーク特性であり、複数の接地ビア(第1接地ビア102及び第2接地ビア103)の中心間隔(距離Ls1)を、0.9mm(第2距離(L2))とする場合に加えて、0.707mm及び1.0mmとする場合をそれぞれ表している。当該実施形態に係る中心間隔(距離Ls1)が0.9mmである場合、周波数0から56GHzの範囲で−50dB以下、周波数0から40GHzの範囲では−60dB以下と、非常に良好な特性が得られている。また、遠端クロストーク特性もほぼ同じ値が得られている。このように、当該実施形態に係るプリント回路基板31では、送信チャネル間、受信チャネル間、及び送信チャネル−受信チャネル間それぞれのクロストーク量を低減できる。さらに、第1接地ビア102、及び第2接地ビア103の配置領域(第2矩形)の面積を低減することが出来ており、ストリップ導体114の設計自由度が向上しており、高速化と高密度実装を両立する効果が得られる。当該実施形に係るプリント回路基板33は、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかとなる場合に、好適である。
【0119】
複数の接地ビアの中心間隔(距離Ls1)を0.9mmより小さくしてもよいのは言うまでもない。かかる中心間隔(距離Ls1)を0.707mmとする場合、第2距離(L2)を十分に下回っている。この場合、
図14が示す近端クロストーク特性は、周波数0から60GHzの範囲で−50dB以下、周波数0から40GHzの範囲では−60dB以下と非常に良好な特性が得られている。各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが56Gbit/sをさらに越える場合であっても、好適である。
【0120】
一方、複数の接地ビアの中心間隔(距離Ls1)を1.0mmと大きくする場合、第2距離(L2)を越えてしまう。この場合、
図14が示す近端クロストーク特性は、周波数53GHzから60GHzの範囲で−40dBを超え、最大で−20dBを示す。また周波数43GHzから53GHzの範囲では−50dBを超える場合もあり、最大で−40dBを示す。かかる場合、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが56Gbit/sとなる場合には適していない。すなわち、当該実施形態に係るプリント回路基板33の効果を裏付けるものとなっている。
【0121】
また、デジタル変調信号のビットレートが28Gbit/sの伝送に用いる場合には、第2距離(L2)は1.7mmである。距離Ls1,Ls2,Ls4は1.0mmである場合は、すべて第2距離(L2)以下との条件を十分に満たしている。
図14が示す近端クロストーク特性は、周波数0から28GHzの範囲で十分に低減されている。よって、複数の接地ビアの中心間隔(距離Ls1)が1.0mmである場合も、チャネルを通じて伝送されるデジタル変調信号のビットレートが28Gbit/sの場合に、好適である。
【0122】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係るプリント回路基板34は、複数の接地ビアの配列が第1の実施形態に係るプリント回路基板31と異なる点と、第1信号配線(ストリップ導体114)が第2の実施形態と同様に屈曲している点とを除いて、第1の実施形態と同じである。当該実施形態に係る複数の第2点は、第2多角形のすべての頂点に加えて、その辺上にも配置されている。なお、当該実施形態に係る第1信号配線(ストリップ導体114)は、第2の実施形態と同様に、複数の接地ビアを避けるように屈曲している。
【0123】
図15は、当該実施形態に係るプリント回路基板34の一部の平面を示す模式図である。
図15は、第1の実施形態に係る
図2に対応している。複数(ここでは4個)の第1接地ビア102(複数の第1点)の配置は、第1の実施形態と同じであり、複数の第1点は等間隔(0.707mm)に配置されている。ここで、距離Ls1は0.707mmである。
【0124】
図15に示す通り、複数の第2接地ビア103(第2接地ビア群)の構成が、第1の実施形態に係る複数の第2接地ビア103の構成と異なっている。複数(ここでは4個)の第1接地ビア102を取り囲むように、複数(ここでは8個)の第2接地ビア103(第2点)が配置されている。複数(ここでは8個)の第2点が等間隔で配置されており、隣り合う第2点を結ぶと正方形となる。隣り合う第2点の間の距離は等間隔であるので、距離Ls2は当該等間隔の値である。ここで、距離Ls2は1.0mmである。複数の第2点は、正方形の頂点に配置される4個の第2点と、各辺上(の中点)に配置される4個の第2点とである。
【0125】
当該実施形態において、距離Ls3は0.74mmとなる。なお、距離Ls3は、第1多角形(正方形)の1辺と、第2多角形(正方形)の近接する1辺の中点とを結ぶ三角形の斜辺の長さである。それゆえ、距離Ls1,Ls2,Ls3の値はすべて第1距離(L1)である1.0mm以下である。当該実施形態に係るプリント回路基板34は、第1の実施形態において説明した第1乃至第4の特徴をすべて有している。当該実施形に係るプリント回路基板34は、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかとなる場合に、好適であることが、電磁界解析ツールによる計算結果によって確認されている。
【0126】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係るプリント回路基板35は、複数の接地ビアの配列が第1の実施形態に係るプリント回路基板31と異なる点と、第1信号配線(ストリップ導体114)が第2の実施形態と同様に屈曲している点とを除いて、第1の実施形態と同じである。当該実施形態に係る第1多角形は、第2多角形に内接している。なお、当該実施形態に係る第1信号配線(ストリップ導体114)は、第2の実施形態と同様に、複数の接地ビアを避けるように屈曲している。
【0127】
図16は、当該実施形態に係るプリント回路基板35の一部の平面を示す模式図である。
図16は、第1の実施形態に係る
図2に対応している。複数(ここでは4個)の第1接地ビア102(複数の第1点)の配置は、第1の実施形態と同じであり、複数の第1点は等間隔(0.707mm)に配置されている。ここで、距離Ls1は0.707mmである。
【0128】
図16に示す通り、複数の第2接地ビア103(第2接地ビア群)の構成が、第1の実施形態に係る複数の第2接地ビア103の構成と異なっている。複数(ここでは4個)の第2接地ビア103それぞれが配置される複数(ここでは4個)の第2点は、第2多角形の頂点それぞれに配置されている。第2多角形は正方形であり、第2多角形の各辺の中点それぞれに頂点が配置されるように、第1多角形(正方形)が第2多角形(正方形)に内接している。よって、複数(ここでは4個)の第2点が等間隔で配置されており、距離Ls2(隣り合う第2点の間の距離のうち最大値)は当該等間隔の値である。ここで、距離Ls2は1.0mmである。
【0129】
当該実施形態において、隣り合う1対の第1点と近傍の第2点とで構成する三角形は、隣り合う1対の第1点で斜辺を構成する直角二等辺三角形であり、距離Ls3は0.5mmである。それゆえ、距離Ls1,Ls2,Ls3の値はすべて第1距離(L1)である1.0mm以下である。当該実施形態に係るプリント回路基板35は、第1の実施形態において説明した第1乃至第4の特徴をすべて有している。当該実施形に係るプリント回路基板35は、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかとなる場合に、好適であることが、電磁界解析ツールによる計算結果によって確認されている。加えて、複数の接地ビアの総数が8個と少なく、また、第2多角形の面積も他の実施形態と比較して最も狭くなっており、接地ビアの数や接地ビアが配置される領域(第2多角形)の面積をさらに低減することが出来ている。
【0130】
なお、当該実施形態に係る複数の接地ビアにおいて、距離Ls4は、距離Ls3に等しく、0.5mmである。よって、当該実施形態に係るプリント回路基板35を、第3の実施形態に係る第1乃至第4の特徴に該当するか考察する。この場合、第2矩形に第1矩形が内接している。遮蔽周波数F=56GHzとすると、第2距離(L2)は0.9mmとなるとなるので、距離Ls2が第2距離以下という条件を満たしていないが、遮蔽周波数F=28GHzとすると、距離Ls1,Ls2,Ls4はすべて第2距離(L2=1.7mm)以下となっており、条件を満たしている。
【0131】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態に係るプリント回路基板36は、複数の接地ビアの配列が第1の実施形態に係るプリント回路基板31と異なる点を除いて、第1の実施形態と同じである。当該実施形態において、距離Ls1,Ls2,Ls3がすべて第1距離(L1)と等しい。なお、第2信号配線(ストリップ導体104)と第1信号配線(ストリップ導体114)は、平面視して、一直線上に延伸している。
【0132】
図17は、当該実施形態に係るプリント回路基板36の一部の平面を示す模式図である。
図17は、第1の実施形態に係る
図2に対応している。複数(ここでは4個)の第1点がなす第1多角形は、第1の実施形態と同様に正方形であり、複数(ここでは4個)の第1点は当該正方形の頂点に配置されている。正方形の一辺の長さ(隣り合う第1接地ビア102の中心間距離)が1.0mmと長くなっており、それゆえ、距離Ls1は1.0mmである。
【0133】
複数(ここでは8個)の第2点がなす第2多角形は、1辺の長さが交互に1.0mm、0.707mmとなってなる八角形である。第1多角形(正方形)の1辺と、第2多角形の短い方の辺とが平行に配置されており、かかる辺の垂直二等分線は一致している。ここで、距離Ls2は、八角形の長い方の辺の長さである1.0mmである。当該実施形態では、長さが距離Ls3となる辺を含む三角形は、
図17に網掛けとともに示す三角形であり、距離Ls3は1.0mmである。
【0134】
図18は、当該実施形態に係るプリント回路基板36の信号ビア101のクロストーク特性を示す図である。ここで、プリント回路基板36は、
図7と同様に、2つのチャネルを有しており、2つのチャネルの信号ビア101の中心間距離D1は9mmである。各チャネルの信号ビア101の中心間距離D2(ストリップ導体114の長さ)は25mmである。
図18に示す曲線は、近端クロストーク特性であり、周波数0から60GHzのほとんどの範囲で−50dB以下、最大でも−46dBであり、周波数0から35GHzの範囲で−60dB以下、以下と、非常に良好な特性が得られている。当該実施形に係るプリント回路基板36は、距離Ls1,Ls2,Ls3がすべて第1距離(L1)と等しい場合であるが、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかとなる場合に、好適である。
【0135】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態に係るプリント回路基板37は、複数の接地ビアの配列が第1の実施形態に係るプリント回路基板31と異なる点を除いて、第1の実施形態と同じである。当該実施形態に係る複数の第1点及び複数の第2点は、正方格子の格子点にある。なお、第2信号配線(ストリップ導体104)と第1信号配線(ストリップ導体114)は、平面視して、一直線上に延伸している。
【0136】
図19は、当該実施形態に係るプリント回路基板37の一部の平面を示す模式図である。
図19は、第1の実施形態に係る
図2に対応している。複数の第1接地ビア102(複数の第1点)及び複数の第2接地ビア103(複数の第2点)は、間隔0.707mmの正方格子状に配置されている。複数(ここでは4個)の第1接地ビア102(複数の第1点)の配置は、第1の実施形態と同じであり、複数の第1点は等間隔(0.707mm)に配置される正方形(第1多角形)である。
【0137】
図19に示す通り、複数の第2接地ビア103(第2接地ビア群)の構成が、第1の実施形態に係る複数の第2接地ビア103の構成と異なっている。第2多角形は八角形であり、複数(ここでは8個)の第2点は、第2多角形の頂点それぞれに配置されている。すなわち、第2多角形は、4×4に並ぶ正方格子の外縁の正方形の1辺上にある2点をそれぞれ結んだ八角形である。すなわち、
図19に示す複数の接地ビアの構成は、
図10に示す第3の実施形態にかかる複数の接地ビア(4×4の正方格子)から四隅に配置されるの4個の第2接地ビア103を削除した構成に相当しているが、正方格子の格子間距離(距離Ls1)は異なっている。
【0138】
当該実施形態において、第2多角形は、第6の実施形態に係る第2多角形と合同であり、1辺の長さが交互に1.0mm、0.707mmとなってなる八角形である。距離Ls2は1.0mmである。また、当該実施形態では、長さが距離Ls3となる辺を含む三角形は、
図19に網掛けとともに示す三角形であり、距離Ls3は、正方形の1辺が直角をはさむ2辺の長さが正方格子間距離(距離Ls1)となる直角二等辺三角形の斜辺の長さであり、1.0mmである。
【0139】
当該実施形態において、距離Ls1,Ls2,Ls3の値はすべて第1距離(L1)である1.0mm以下である。当該実施形態に係るプリント回路基板37は、第1の実施形態において説明した第1乃至第4の特徴をすべて有している。当該実施形に係るプリント回路基板37は、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかとなる場合に、好適であることが、電磁界解析ツールによる計算結果によって確認されている。
【0140】
なお、正方格子の格子間距離を第3の実施形態と同様に0.9mmとする場合、距離Ls1=0.9mm、距離Ls2=Ls3=1.27mmとなり、距離Ls1,Ls2,Ls3すべてが第1距離(L1)である1.0mm以下であるとの条件を満たさなくなるので、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが56Gbit/sとなる場合には適していない。しかしながら、デジタル変調信号のビットレートが28Gbit/sの伝送に用いる場合には、第1距離(L1)は1.8mmである。よって、複数の接地ビアの中心間隔(距離Ls1)が0.9mmである場合も、チャネルを通じて伝送されるデジタル変調信号のビットレートが28Gbit/sの場合に、好適である。
【0141】
[第8の実施形態]
本発明の第8の実施形態に係るプリント回路基板38は、複数の接地ビアの配列が第1の実施形態に係るプリント回路基板31と異なる点を除いて、第1の実施形態と同じである。当該実施形態に係る複数の第1点及び複数の第2点は、正三角格子の格子点にある。なお、なお、第2信号配線(ストリップ導体104)と第1信号配線(ストリップ導体114)は、平面視して、一直線上に延伸している。
【0142】
図20は、当該実施形態に係るプリント回路基板38の一部の平面を示す模式図である。
図20は、第1の実施形態に係る
図2に対応している。複数の第1点及び複数の第2点が、格子間距離1.0mmの正三角格子状に配置されている。複数(ここでは3個)の第1接地ビア102それぞれが配置される複数(ここでは3個)の第1点は、第1多角形の頂点それぞれに配置されている。第1多角形は正三角形であり、複数の第1点は等間隔(1.0mm)に配置されている。よって、距離Ls1は1.0mmである。
【0143】
図20に示す通り、複数(ここでは9個)の第2点が、複数(ここでは9個)の第2接地ビア103それぞれに配置されている。第2多角形は六角形であり、正三角形の三隅から、相似比1/4の正三角形を除いた形状である。すなわち、第2多角形は、1辺の長さが交互に2.0mm、1.0mmとなってなる六角形である。複数の第2点は、六角形の頂点に配置される6個の第2点と、長い方の辺上(の中点)に配置される3個の第2点である。複数(ここでは9個)の第2点が等間隔で配置されており、距離Ls2は1.0mmである。当該実施形態では、長さが距離Ls3となる辺を含む三角形は、
図20に網掛けとともに示す正三角形であり、距離Ls3は1.0mmである。それゆえ、距離Ls1,Ls2,Ls3の値はすべて第1距離(L1)である1.0mmと等しい。当該実施形態に係るプリント回路基板38は、第1の実施形態において説明した第1乃至第4の特徴をすべて有している。当該実施形に係るプリント回路基板38は、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかとなる場合に、好適であることが、電磁界解析ツールによる計算結果によって確認されている。なお、当該実施形態に係る複数の第1点及び複数の第2点は、正三角格子の格子点にあり、非常に簡便な構成であり、第1の実施形態に係る第1乃至第3の特徴を満たすよう条件を容易に設定することが出来る。
【0144】
当該実施形態において、格子間距離を1.0mmとしているが、さらに、格子間距離が0.866mmである場合も実験的に検証しており、格子間距離を少なくとも0.866mmまで縮小してもよい。かかる場合、クロストーク特性をさらに良好にすることが出来る。各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが56Gbit/sをさらに越える場合であっても、好適である。加えて、接地ビアの数や接地ビアが配置される領域(第2多角形)の面積をさらに低減することが出来ている。
【0145】
以上、本発明の実施形態に係るプリント回路基板、光モジュール、及び伝送装置について説明した。本発明は上記実施形態に限定されることはなく、第1伝送線路を含む伝送線路構造に広く適用することが出来る。本発明に係るプリント回路基板は、伝送装置や光モジュールに備えられるプリント回路基板としたが、他の装置に備えられるプリント回路基板であってもよい。また、本発明の実施形態に係るプリント回路基板は、各チャネルを通じて伝送されるデジタル電気信号のビットレートが50Gbit/s乃至56Gbit/sのいずれかとなる場合(又は、シンボルレートが50Gbaud乃至56Gbaudのいずれかとなる場合)に好適であり、その場合は、第1距離は1.0mmであり、第2距離は0.9mmである。しかし、伝送されるデジタル電気信号のビットレート(又はシンボルレート)が50Gbit/s(又は50Gbaud)より小さい場合はもちろん、56Gbit/s(又は56Gbaud)を越える場合であっても、作製精度や各部位のサイズが許す限り、本発明を適用することが出来る。