特許第6571040号(P6571040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571040
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】ボンディングヘッドの落下防止機構
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   H01L21/52 F
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-82015(P2016-82015)
(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-191906(P2017-191906A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】末田 哲也
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−283117(JP,A)
【文献】 特開2004−103653(JP,A)
【文献】 特開2008−124382(JP,A)
【文献】 特開2013−125793(JP,A)
【文献】 特開平10−189645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/58
H01L 21/60−607
H01L 21/67−683
H05K 3/32−34
H05K 13/02−08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの電圧供給を受けてボンディングヘッドを上下動させる上下動手段を備え、ボンディングヘッドが、チップをピックアップするピックアップポジションと、ピックアップポジションよりも上下方向位置が高い位置で、チップをワークにボンディングするボンディングポジションとの間を往復動するダイボンダに付設されて、電源断時に、ボンディングヘッドのピックアップポジションでの自重落下及びボンディングポジションでの自重落下を防止するボンディングヘッドの落下防止機構であって、
前記ボンディングヘッドに設けられるヘッド側永久磁石と、
前記ピックアップポジションに前記ヘッド側永久磁石との間に反発力を発生させる永久磁石からなるピックアップ側反発手段と、
前記ボンディングポジションに前記ヘッド側永久磁石との間に吸引力を発生させる永久磁石又は磁性体からなるボンディング側吸引手段とを備えたことを特徴とするボンディングヘッドの落下防止機構。
【請求項2】
前記ピックアップ側反発手段は、第1磁石と、第1磁石と相対面する第2磁石とを備え、第1磁石と第2磁石とは異極が対面し、第1磁石と第2磁石とは、ボンディングヘッドの先端部がピックアップポジションに位置するときに、前記ヘッド側永久磁石を非接触で挟み込み、かつ、前記ヘッド側永久磁石と第1磁石とで同極が対面するとともに、前記ヘッド側永久磁石と第2磁石とで同極が対面するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載のボンディングヘッドの落下防止機構。
【請求項3】
前記ボンディング側吸引手段は、第3磁石と、第3磁石と相対面する第4磁石とを備え、第3磁石と第4磁石とは異極が対面し、第3磁石と第4磁石とは、ボンディングヘッドの先端部がボンディングポジションの上方に位置するときに、前記ヘッド側永久磁石を非接触で挟み込み、かつ、前記ヘッド側永久磁石と第3磁石とで異極が対面するとともに、前記ヘッド側永久磁石と第4磁石とで異極が対面するように配置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボンディングヘッドの落下防止機構。
【請求項4】
電源からの電圧供給を受けてボンディングヘッドを上下動させる上下動手段を備え、ボンディングヘッドが、チップをピックアップするピックアップポジションと、ピックアップポジションよりも上下方向位置が低い位置で、チップをワークにボンディングするボンディングポジションとの間を往復動するダイボンダに付設されて、電源断時に、ボンディングヘッドのピックアップポジションでの自重落下及びボンディングポジションでの自重落下を防止するボンディングヘッドの落下防止機構であって、
前記ボンディングヘッドに設けられるヘッド側永久磁石と、
前記ピックアップポジションに前記ヘッド側永久磁石との間に吸引力を発生させる永久磁石又は磁性体からなるピックアップ側吸引手段と、
前記ボンディングポジションに前記ヘッド側永久磁石との間に反発力を発生させる永久磁石からなるボンディング側反発手段とを備えたことを特徴とするボンディングヘッドの落下防止機構。
【請求項5】
前記ボンディング側反発手段は、第1磁石と、第1磁石と相対面する第2磁石とを備え、第1磁石と第2磁石とは異極が対面し、第1磁石と第2磁石とは、ボンディングヘッドの先端部がボンディングポジションに位置するときに、前記ヘッド側永久磁石を非接触で挟み込み、かつ、前記ヘッド側永久磁石と第1磁石とで同極が対面するとともに、前記ヘッド側永久磁石と第2磁石とで同極が対面するように配置されたことを特徴とする請求項4に記載のボンディングヘッドの落下防止機構。
【請求項6】
前記ピックアップ側吸引手段は、第3磁石と、第3磁石と相対面する第4磁石とを備え
、第3磁石と第4磁石とは異極が対面し、第3磁石と第4磁石とは、ボンディングヘッドの先端部がピックアップポジションの上方に位置するときに、前記ヘッド側永久磁石を非接触で挟み込み、かつ、前記ヘッド側永久磁石と第3磁石とで異極が対面するとともに、前記ヘッド側永久磁石と第4磁石とで異極が対面するように配置されたことを特徴とする請求項5に記載のボンディングヘッドの落下防止機構。
【請求項7】
前記ピックアップポジションとボンディングポジションとの間、かつ、ピックアップポジション及びボンディングポジションよりも上下方向位置が高い位置に、ボンディングヘッドの待機位置が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のボンディングヘッドの落下防止機構。
【請求項8】
前記上下動手段は、リニア機構であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のボンディングヘッドの落下防止機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディングヘッドの落下防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、多数個の素子を一括して造り込まれたウエハをダイシングして個々の半導体チップに分離し、これを一個ずつリードフレーム等の所定位置にボンディングするというチップボンディングの手法が採用されている。このチップボンディングにはダイボンダが用いられる(特許文献1)。
【0003】
ダイボンダは、図5に示すように、Z(上下)方向に上下動するボンディングヘッド100を有している。ボンディングヘッド100は、可動部110と、その先端部にチップを吸着保持可能なコレット101とを有し、ピックアップポジション102とボンディングポジション103との間の移動が可能となっている。
【0004】
ピックアップポジション102では、ピックアップ用ステージ(図示省略)を備え、このピックアップ用ステージに突き上げ針105が配置されている。ピックアップ用ステージには半導体ウエハ106が載置されている。半導体ウエハ106は、多数のチップ107に分割されて、粘着シート104に貼り付けられている。ボンディングポジション103では、送り手段(図示省略)により搬送されたリードフレーム108が待機している。ピックアップポジション102とボンディングポジション103とは、Z位置(上下位置)が相違しており、図5の図示例では、ピックアップポジション102はボンディングポジション103よりも低い位置となっている。
【0005】
チップ107をピックアップする際、矢印Aに示すように、ボンディングヘッド100は、ピックアップポジション102のチップ107の上方位置から下降して、コレット101をチップ107に接触させて吸着する。このとき、突き上げピン105が上昇して、この突き上げピン105にて粘着シートを介してチップ107を押し上げて、コレット101にて吸着しているチップ107を粘着シートから剥離させる。その後、矢印Bに示すように、ボンディングヘッド100は上昇し、矢印Cに示すように、ボンディングポジション103の上方位置にまでチップ107を搬送する。ボンディングヘッド100は、矢印Dに示すように下降して、リードフレーム108のボンディングポジション103でチップ107をボンディングする。
【0006】
前記したように、ボンディングヘッド100は上下動するものであり、その駆動手段としては、図6に示すようなリニア機構109が使用されることがある。この場合に使用されるリニア機構109は、公知公用の種々のものを適用でき、少なくともボンディングヘッド100の可動部110に内蔵されたリニアモータ111と、固定部114に固定されるリニアガイド113と、リニアガイド113に対してボール等の転がり部材(図示省略)を介して上下動するスライダ112(例えば4つ)とを備えている。
【0007】
リニア機構109は、ダイボンダ本体の電源からの電圧供給を受けて作動するものであり、ダイボンダの電源断時には、リニア機構109も作動停止する(具体的には、リニアモータ111の動作が停止する)。ダイボンダは、ユーザの意図により電源断されたり、例えば停電等のようにユーザが意図することなく電源断されたりする。いずれの場合でも、ダイボンダが電源断されると、ボンディングヘッド100はいずれかの位置で停止することになる。
【0008】
電源断時に、ボンディングヘッド100がボンディングポジション102やピックアップポジション103の上方で停止した場合、ボンディングヘッド100を支持するものがなければ、可動部110が自重落下してチップ107やリードフレーム108上に落下すると、製品が損傷するおそれがある。このため、図6に示すように、可動部110を引張ばね115により吊下げて、電源断時の可動部110の自重落下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−68296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、可動部110をばね115により吊下げると、Zストローク全体にばねの張力が外乱として作用する。すなわち、図5に示すように、可動部110を、普段待機している待機位置116から下方にxだけ下降させるためには、可動部の質量+(ばね定数×x)の力が必要となる。特に、ピックアップポジション102では、Zストロークx1が大きいため、ピックアップ時に過大な吊り上げ力が発生し、モータの必要トルクが大きくなる。一方、ボンディングポジション103では、Zストロークx2が小さいため、ピックアップ時の吊り上げ力は小さくなり、モータの必要トルクも小さくなる。
【0011】
このように、ピックアップポジション102とボンディングポジション103とで上下方向が相違すると、ピックアップ時とボンディング時とのZストロークが異なるため、モータの必要トルクが相違する。特に、過大な吊り上げ力が発生するピックアップ時は、吊り上げ力から自重分を引いた分だけ余計にトルクを多く発生させるため非効率である。また、発熱はトルクの2乗に比例して大きくなるため、モータの発熱が必要以上に大きくなり、過大に発生した熱によって、全体が熱変形し、十分な位置決め精度を確保できないといった問題があった。
【0012】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、ボンディングヘッドの上下動を効率的に行いながら、電源断時のボンディングヘッドの自重落下による製品損傷を防止するボンディングヘッドの落下防止機構を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のボンディングヘッドの落下防止機構は、電源からの電圧供給を受けてボンディングヘッドを上下動させる上下動手段を備え、ボンディングヘッドが、チップをピックアップするピックアップポジションと、ピックアップポジションよりも上下方向位置が高い位置で、チップをワークにボンディングするボンディングポジションとの間を往復動するダイボンダに付設されて、電源断時に、ボンディングヘッドのピックアップポジションでの自重落下及びボンディングポジションでの自重落下を防止するボンディングヘッドの落下防止機構であって、前記ボンディングヘッドに設けられるヘッド側永久磁石と、前記ピックアップポジションに前記ヘッド側永久磁石との間に反発力を発生させる永久磁石からなるピックアップ側反発手段と、前記ボンディングポジションに前記ヘッド側永久磁石との間に吸引力を発生させる永久磁石又は磁性体からなるボンディング側吸引手段とを備えたものである。
【0014】
また、本発明のボンディングヘッドの落下防止機構は、電源からの電圧供給を受けてボンディングヘッドを上下動させる上下動手段を備え、ボンディングヘッドが、チップをピックアップするピックアップポジションと、ピックアップポジションよりも上下方向位置が低い位置で、チップをワークにボンディングするボンディングポジションとの間を往復動するダイボンダに付設されて、電源断時に、ボンディングヘッドのピックアップポジションでの自重落下及びボンディングポジションでの自重落下を防止するボンディングヘッドの落下防止機構であって、前記ボンディングヘッドに設けられるヘッド側永久磁石と、前記ピックアップポジションに前記ヘッド側永久磁石との間に吸引力を発生させる永久磁石又は磁性体からなるピックアップ側吸引手段と、前記ボンディングポジションに前記ヘッド側永久磁石との間に反発力を発生させる永久磁石からなるボンディング側反発手段とを備えたものである。
【0015】
本発明のボンディングヘッドの落下防止機構によれば、ボンディングヘッドにヘッド側永久磁石を設けている。また、ピックアップポジションとボンディングポジションとで上下位置が相違しており、ピックアップポジションとボンディングポジションとのいずれか低い側(低位置側という)に、ヘッド側永久磁石との間に反発力を発生させる反発手段を設け、ピックアップポジションとボンディングポジションとのいずれか高い側(高位置側という)に、ヘッド側永久磁石との間に吸引力を発生させる吸引手段を設けている。これにより、電源断時に、ボンディングヘッドが低位置側で停止しても、ボンディングヘッドは反発力を付与されて浮上するため、自重落下することなく製品を傷つけることがない。また、電源断時に、ボンディングヘッドが高位置側で停止しても、ボンディングヘッドは吸引力を付与されて浮上するため、自重落下することなく製品を傷つけることがない。
【0016】
前記構成において、低位置側に設けられる永久磁石は、第1磁石と、第1磁石と相対面する第2磁石とを備え、第1磁石と第2磁石とは異極が対面し、第1磁石と第2磁石とは、ボンディングヘッドの先端部が低位置側に位置するときに、前記ヘッド側永久磁石を非接触で挟み込み、かつ、前記ヘッド側永久磁石と第1磁石とで同極が対面するとともに、前記ヘッド側永久磁石と第2磁石とで同極が対面するように配置されるようにしてもよい。
【0017】
前記構成において、高位置側に設けられる永久磁石は、第3磁石と、第3磁石と相対面する第4磁石とを備え、第3磁石と第4磁石とは異極が対面し、第3磁石と第4磁石とは、ボンディングヘッドの先端部が高位置側の上方に位置するときに、前記ヘッド側永久磁石を非接触で挟み込み、かつ、前記ヘッド側永久磁石と第3磁石とで異極が対面するとともに、前記ヘッド側永久磁石と第4磁石とで異極が対面するように配置されるようにしてもよい。
【0018】
前記構成において、前記ピックアップポジションとボンディングポジションとの間、かつ、ピックアップポジション及びボンディングポジションよりも上下方向位置が高い位置に、ボンディングヘッドの待機位置が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、ばねによりボンディングヘッドを吊下げることなく電源断時のボンディングヘッドの自重落下を防止できるため、ボンディングヘッドの上下動を効率的に行いながら、電源断時のボンディングヘッドの自重落下による製品損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のボンディングヘッドの落下防止機構を構成するボンディングヘッドを示す簡略正面図である。
図2】本発明のボンディングヘッドの落下防止機構の簡略平面図である。
図3】本発明のボンディングヘッドの落下防止機構を構成するダイボンダの簡略正面図である。
図4】本発明のボンディングヘッドの落下防止機構によりボンディングヘッドの落下防止を説明する図であり、(a)はピックアップ側反発手段、(b)はボンディング側吸引手段である。
図5】従来のボンディングヘッドを示す簡略正面図である。
図6】本発明のダイボンダの簡略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図1図4に基づいて説明する。
【0022】
本発明のボンディングヘッドの落下防止機構は、ダイボンダに付設されて、電源断時に、ボンディングヘッドのピックアップポジションでの自重落下及びボンディングポジションでの自重落下を防止するものである。
【0023】
ダイボンダは、図1に示すようなボンディングヘッド1を有している。ボンディングヘッド1は、図3に示すように、Z方向に上下動する可動部2と、可動部2の先端部に一体的に設けられて、チップ3を吸着保持可能なコレット4とを備えている。ボンディングヘッド1は、Z方向における上昇および下降と、ピックアップポジション5上とボンディングポジション6上との間の往復動とが可能とされる。ピックアップポジション5とボンディングポジション6とは、Z位置(上下位置)が相違し、図3の図示例では、ピックアップポジション5はボンディングポジション6よりも低い位置となっている。
【0024】
X方向において、ピックアップポジション5とボンディングポジション6との間、かつ、ピックアップポジション5及びボンディングポジション6よりも上下方向位置が高い位置に、ボンディングヘッド1の待機位置15が設けられている。
【0025】
ボンディングヘッド1を上下動させる上下動手段は、本実施形態では図1に示すように、リニア機構7が使用される。すなわち、リニア機構7は、公知公用の種々のものを適用することができ、少なくともボンディングヘッド1の可動部110に内蔵されたリニアモータ8と、固定部10に固定されるリニアガイド11と、リニアガイド11に対してボール等の転がり部材(図示省略)を介して上下動するスライダ9(例えば4つ)とを備えている。
【0026】
図2に示すように、可動部2にはアーム12が設けられており、このアーム12先端部には、固定部材13を介してヘッド側永久磁石14が固定されている。ヘッド側永久磁石14は、アーム12から直交する方向に延びた板状の永久磁石であり、水平方向(Y方向)において、一方の面がS極をなし、他方の面がN極をなしている。なお、図2はボンディングヘッド1がピックアップポジション5の上方に位置する場合を示している。
【0027】
図3に示すように、ピックアップポジション5ではピックアップ用ステージ20を備え、このピックアップ用ステージ20に突き上げ針21が配置されている。ピックアップ用ステージ20には半導体ウエハ22が載置されている。半導体ウエハ22は、多数のチップ3に分割されて、粘着シート(図示省略)に貼り付けられている。
【0028】
ピックアップポジション5の近傍位置には、図2及び図4(a)に示すように、ピックアップ側反発手段23が設けられている。具体的には、水平方向位置としては、図2に示すように、ボンディングヘッド1がピックアップポジション5に位置するときに、ヘッド側永久磁石14が対面する位置であり、上下方向位置としては、図3に示すH1のいずれかの位置にピックアップ側反発手段23を設ける。
【0029】
ピックアップ側反発手段23は、図示省略の固定部に固定された永久磁石(第1磁石24)と、第1磁石24と相対面する永久磁石(第2磁石25)とを備えている。図2に示すように、第1磁石24と第2磁石25との隙間は、ヘッド側永久磁石14の板厚よりも大きなものとなっており、ボンディングヘッド1の先端部(コレット4)がピックアップポジション5に位置するときに、第1磁石24と第2磁石25とで、ヘッド側永久磁石14を非接触で挟み込むことが可能となっている。
【0030】
図4(a)に示すように、第1磁石24と第2磁石25とは異極が対面している。また、ボンディングヘッド1の先端部(コレット4)がピックアップポジション5に位置するときに、ヘッド側永久磁石14と第1磁石24とで同極が対面するとともに、ヘッド側永久磁石14と第2磁石25とで同極が対面するように第1磁石24と第2磁石25とを配置している。すなわち、第1磁石24において、第2磁石25に対面する磁局面をS極とし、第2磁石25において、第1磁石24に対面する磁局面をN極としている。
【0031】
ダイボンダの電源断時では、リニアモータ8の出力が停止される。この場合、電源断時に、ボンディングヘッド1がピックアップポジション5の付近で停止しても、図4(a)の矢印に示すように、ボンディングヘッド1はピックアップ側反発手段23から反発力を付与されて浮上する。すなわち、図3に示すように、ボンディングヘッド1は範囲H2及びH3では自重落下するが、範囲H1では反発力が作用しているため、ボンディングヘッド1は範囲H1で下降することができない。このように、範囲H1は反発力による浮上範囲となり、ボンディングヘッド1は落下しないため、製品を傷つけることがない。
【0032】
なお、反発力の大きさは、ボンディングヘッド1がチップ3をピックアップする際に、ボンディングヘッド1のチップ3に対する下降を妨げない(つまり、リニアモータ8の出力トルクよりも十分に小さい)ものとなるように、永久磁石の大きさを選択したり、ピックアップポジション5からの永久磁石の距離を調節したりして、反発力を設定する。
【0033】
図3に示すように、ボンディングポジションで6は、送り手段(図示省略)により搬送されたリードフレーム26が待機している。ボンディングポジション6の近傍位置には、図4(b)に示すように、ボンディング側吸引手段27が設けられている。具体的には、水平方向位置としては、ボンディングヘッド1がボンディングポジション6の上方に位置するときに、ヘッド側永久磁石14が対面する位置であり、上下方向位置としては、ボンディングヘッドの待機位置15の上下方向位置(Z位置)とほぼ同じ位置にボンディング側吸引手段27を設ける。
【0034】
ボンディング側吸引手段27は、図示省略の固定部に固定された永久磁石(第3磁石28)と、第3磁石28と相対面する永久磁石(第4磁石29)とを備えている。第3磁石28と第4磁石29との隙間は、ヘッド側永久磁石14の板厚よりも大きなものとなっており、ボンディングヘッド1の先端部(コレット4)がボンディングポジション6の上方に位置するときに、第3磁石28と第4磁石29とで、ヘッド側永久磁石14を非接触で挟み込むことが可能となっている。
【0035】
図4(b)に示すように、第1磁石24と第2磁石25とは異極が対面している。また、ボンディングヘッド1の先端部(コレット4)がボンディングポジション6の上方に位置するときに、ヘッド側永久磁石14と第3磁石28とで異極が対面するとともに、ヘッド側永久磁石14と第4磁石29とで異極が対面するように第3磁石28と第4磁石29とを配置している。すなわち、第3磁石28において、第4磁石29に対面する磁局面をN極とし、第4磁石29において、第3磁石28に対面する磁局面をS極としている。
【0036】
ダイボンダの電源断時では、リニアモータ8の出力が停止される。この場合、電源断時に、ボンディングヘッド1がボンディングポジション6の付近で停止しても、図4(b)の矢印に示すように、ボンディングヘッド1はボンディング側吸引手段27から吸引力を付与されて浮上する。すなわち、図3に示すように、範囲H3では吸引力が作用しているため、ボンディングヘッド1は範囲H3では下降することができない。このように、範囲H3は吸引力による浮上範囲となり、ボンディングヘッド1は落下しないため、製品を傷つけることがない。
【0037】
なお、この吸引力の大きさは、ボンディングヘッド1がチップ3をボンディングする際に、ボンディングヘッド1のリードフレーム26に対する下降を妨げない(つまり、リニアモータ8の出力トルクよりも十分に小さい)ものとなるように、永久磁石の大きさを選択したり、ボンディングポジション6からの永久磁石の距離を調節したりして、吸引力を設定する。
【0038】
前記のように構成することによって、ばねによりボンディングヘッド1を吊下げることなく電源断時のボンディングヘッド1の自重落下を防止できるため、ボンディングヘッド1の上下動を効率的に行いながら、電源断時のボンディングヘッド1の自重落下による製品損傷を防止することができる。
【0039】
前記実施形態では、ピックアップポジションはボンディングポジションよりも低い位置であったが、ピックアップポジションがボンディングポジションよりも高い位置であってもよい。この場合、ピックアップポジションの近傍に、ヘッド側永久磁石との間に吸引力を発生させるピックアップ側吸引手段を設けるとともに、ボンディングポジションに、ヘッド側永久磁石との間に反発力を発生させるボンディング側反発手段を設ける(図示省略)。
【0040】
具体的には、ピックアップ側吸引手段は、第3磁石と第4磁石とを備え、ボンディングヘッドの先端部(コレット)がピックアップポジションの上方に位置するときに、ヘッド側永久磁石1と第3磁石とで異極が対面するとともに、ヘッド側永久磁石1と第4磁石とで異極が対面するように第3磁石と第4磁石とを配置する。また、ボンディング側反発手段は、第1磁石と第2磁石とを備え、ボンディングヘッドの先端部(コレット)がボンディングポジションに位置するときに、ヘッド側永久磁石1と第1磁石とで同極が対面するとともに、ヘッド側永久磁石1と第2磁石とで同極が対面するように第1磁石と第2磁石とを配置する。
【0041】
前記各実施形態において、ボンディング側吸引手段(ピックアップ側吸引手段)は、永久磁石ではなく、強磁性体であってもよい。図4に示すS極がN極であり、N極がS極であってもよい。
【0042】
前記実施形態は、上下動手段としてリニア機構を用いたが、ボールねじ機構であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ボンディングヘッド
3 チップ
5 ピックアップポジション
6 ボンディングポジション
7 リニア機構
14 ヘッド側永久磁石
23 ピックアップ側反発手段
24 第1磁石
25 第2磁石
26 リードフレーム
27 ボンディング側吸引手段
28 第3磁石
29 第4磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6