(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して本発明の一態様を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0022】
本実施形態に係る内部熱交換器100は、
図1又は
図2に示すように、圧縮機2と凝縮器3と膨張装置4と蒸発器5とを有する車両用空調装置の冷凍サイクル1に装備される内部熱交換器において、板状部材を積層して構成され、凝縮器3から膨張装置4へ導かれる冷媒が流れる第1熱交換路111と蒸発器5から圧縮機2へ導かれる冷媒が流れる第2熱交換路112との間で冷媒の熱交換を行う熱交換部110と、凝縮器3から第1熱交換路111へ導かれる冷媒が流れる第1流入路121及び第2熱交換路112から圧縮機2へ導かれる冷媒が流れる第1流出路122が通る冷媒出入口部120と、第1熱交換路111から膨張装置4へ導かれる冷媒が流れる第2流出路132及び膨張装置4から第2熱交換路112へ導かれる冷媒が流れる第2流入路131が通る膨張装置接続部130と、を備え、膨張装置接続部130が、第1ねじ通し部133を有し、内部熱交換器100は、ねじ頭部141とねじ軸部142とを有する固定部材140によって膨張装置4に着脱可能に固定され、ねじ軸部142は、第1ねじ通し部133に挿通されるとともに、膨張装置4に設けられた第4ねじ通し部41に挿し込まれる。
【0023】
圧縮機2は、エンジン(図示せず)からの駆動力を受けて、又は電力によって駆動するモータ(図示せず)の駆動力を受けて、低温低圧の気化状態の冷媒を圧縮して、高温高圧の気化状態の冷媒にする。圧縮機2は、固定容量型であるか、又は可変容量型であってもよい。
【0024】
凝縮器3は、一般的に車両の先端部(前方)のエンジンルーム内でラジエータの前面に配置される。凝縮器3は、熱交換器であり、圧縮機2から吐出された高温高圧の気化状態の冷媒を、フロントグリルなどの車両の前面部に設けられたグリル開口部(不図示)から導入される車両前方の外気によって冷却し、高温高圧の液化状態の冷媒にする。グリル開口部から導入される外気は、車両の走行若しくは冷却ファン(不図示)の稼働のいずれか一方又は両方によって生成される。
【0025】
膨張装置4は、凝縮器3で凝縮された冷媒を、絞り作用によって減圧・膨張させて、低温低圧の霧状の冷媒(気液混合状の冷媒)とするとともに、冷媒の流量の調整を行う。
【0026】
膨張装置4は、
図2に示すように、第4ねじ通し部41と、蒸発器5に流入される冷媒が流れる流路42と、蒸発器5から流出された冷媒が流れる流路43とを有する。第4ねじ通し部41は、蒸発器5から流出された冷媒が流れる流路43と略平行に設けられることが好ましい。ここで、略平行とは、第4ねじ通し部41と流路43とが、交差せずに並列することをいう。第4ねじ通し部41は、膨張装置4に固定部材140を通すための障害物のない空間であり、例えば、
図2に示すように管状の孔であるか、U字若しくはV字などの溝(不図示)であるか、又は固定部材140が螺合される有底のねじ穴(不図示)であってもよい。
【0027】
膨張装置4の流路42,43には、それぞれ配管63,64が接続される。配管63,64は、例えば、ジョイント部72によって、膨張装置4に取り付けられる。配管63,64は、ジョイント部72の膨張装置4側となる表面から突出する嵌合部63a,64aを有することが好ましい。嵌合部63a,64aには、外周面にOリング(不図示)が取り付けられることが好ましい。そして、嵌合部63a,64aを流路42,43にそれぞれ軽圧入することによって、配管63,64を膨張装置4に取り付けることができる。
【0028】
蒸発器5は、熱交換器であり、膨張装置4で気液混合状となった冷媒を気化させ、そのときの蒸発熱によって蒸発器5を通過する送風空気を冷却除湿する。
【0029】
内部熱交換器100は、熱交換部110と、冷媒出入口部120と、膨張装置接続部130とを有する。
【0030】
熱交換部110は、所定形状にプレスされた板状部材101をその厚さ方向に複数枚積層させて、第1熱交換路111と第2熱交換路112とを、交互に並列した積層構造を有する。このような積層構造を有する内部熱交換器100は、プレート積層式内部熱交換器又はプレートタイプの内部熱交換器と呼ばれることもある。第1熱交換路111には、相対的に高温の冷媒が流れ、第2熱交換路112には、相対的に低温の冷媒が流れる。熱交換部110では、第1熱交換路111と第2熱交換路112との間で冷媒の熱交換が行われる。
【0031】
冷媒出入口部120は、熱交換部110に配管62,65を接続するための接続部である。第1流入路121は、配管62と第1熱交換路111との間の冷媒流路である。第1流出路122は、第2熱交換路112と配管65との間の冷媒流路である。
【0032】
配管62,65は、例えば、ジョイント部71によって、冷媒出入口部120に取り付けられる。配管62,65は、ジョイント部71の熱交換器100側となる表面から突出する嵌合部62a,65aを有することが好ましい。嵌合部62a,65aには、外周面にOリング(不図示)が取り付けられることが好ましい。そして、嵌合部62a,65aを第1流入路121又は第1流出路122にそれぞれ軽圧入することによって、配管62,65を冷媒出入口部120に取り付けることができる。
【0033】
膨張装置接続部130は、熱交換部110に膨張装置4を接続するための接続部である。第2流出路132は、第1熱交換路111と膨張装置4の流路42との間の冷媒流路である。第2流入路131は、膨張装置4の流路43と第2熱交換路112との間の冷媒流路である。
【0034】
第2流出路132及び第2流入路131は、膨張装置接続部130の膨張装置4側となる表面から突出する嵌合部132a,131aを有することが好ましい。嵌合部132a,131aには、外周面にOリング(不図示)が取り付けられることが好ましい。そして、嵌合部132a,131aを膨張装置4の流路42,43にそれぞれ軽圧入することによって、膨張装置接続部130を膨張装置4に取り付けることができる。本発明は、
図2に示すように膨張装置接続部130を膨張装置4に直接的に接続する形態に限定されず、第2流出路132と流路42との間、及び流路43と第2流入路131との間に、それぞれ配管を介在(不図示)させてもよい。
【0035】
第1ねじ通し部133は、膨張装置接続部130に固定部材140を通すための障害物のない空間であり、例えば、
図2に示す管状の孔、
図8に示すU字状の溝又はV字状の溝(不図示)である。
【0036】
固定部材140は、内部熱交換器100を膨張装置4に着脱可能に固定するためのねじ状部材であり、例えば、ボルトである。ねじ頭部141の頂面には、工具で回すための穴141a又は溝(不図示)が設けられていることが好ましい。あるいは、ねじ頭部141の周囲を六角形(不図示)などとして、工具で回すことを可能とされることが好ましい。ねじ軸部142の一部又は全体には、ねじ溝142aが切られていることが好ましい。
【0037】
ねじ軸部142は、第1ねじ通し部133に挿通されるとともに、膨張装置4に設けられた第4ねじ通し部41に挿し込まれる。ねじ軸部142は、第4ねじ通し部41を貫通して、ジョイント部72に設けた第6ねじ通し部72aに挿し込まれ、第6ねじ通し部72aの内周面に設けられたねじ溝に螺合する。または、ねじ軸部142は、第4ねじ通し部41内に設けられた溝に螺合してもよい。
【0038】
本実施形態に係る車両用空調装置の冷凍サイクル1は、本実施形態に係る内部熱交換器100を備える。冷凍サイクル1は、
図1に示すように、圧縮機2と凝縮器3と膨張装置4と蒸発器5とを配管61〜65で接続した閉回路を有し、閉回路の内部を冷媒が循環する。内部熱交換器100は、閉回路上に配置される。冷媒は、例えば、R134aなどのフロン系物質、HFO−1234yf、又は二酸化炭素である。冷凍サイクル1は、内部を循環する冷媒がフロン系物質の場合、凝縮器3の内部、又は凝縮器3と内部熱交換器
100との間に、気体状の冷媒と液体状の冷媒とを分離するとともに、冷媒の一部を貯留するリキッドタンク(不図示)を備える。冷凍サイクル1は、内部を循環する冷媒が二酸化炭素の場合、蒸発器5と圧縮機2との間に、冷媒の一部を貯留するアキュムレータ(不図示)を備える。より好ましくは、内部熱交換器100と圧縮機2との間に、アキュムレータ(不図示)を備える。
【0039】
配管61は、圧縮機2の出口部と凝縮器3の入口部とを直接的又は間接的に接続する。配管62は、凝縮器3の出口部と第1流入路121の入口部とを直接的又は間接的に接続する。配管63は、膨張装置4の出口部と蒸発器5の入口部とを直接的又は間接的に接続する。配管64は、蒸発器5の出口部と第2流入路131の入口部とを直接的又は間接的に接続する。配管65は、第1流出路122の出口部と圧縮機2の入口部とを直接的又は間接的に接続する。
【0040】
冷凍サイクル1の構成要素のうち、圧縮機2及び凝縮器3がエンジンルームE内に配置され、内部熱交換器100、膨張装置4及び蒸発器5が車室R内に配置される。エンジンルームEと車室Rとは、ダッシュパネルDで区画される。車室R内には、HVACユニット(不図示)が配置される。HVACユニットは、ブロワ(不図示)、膨張装置4、蒸発器5、エアミックスドア(不図示)及びヒータコア(不図示)などを有し、車室R内に空調風を吹き出す。なお、ダッシュパネルDは、ファイアウォール又はトーボードと呼ばれることもある。
【0041】
ダッシュパネルDは、貫通孔91を有する。貫通孔91は、膨張装置4を出し入れ可能な大きさを有する。貫通孔91は、エンジンルームE内に配置される機器(例えば、圧縮機2又は凝縮器3)と車室R内に配置される機器(例えば、内部熱交換器100)とを接続させるための開口であるとともに、膨張装置4を出し入れするための開口である。車室R内において、ダッシュパネルDの近傍には内部熱交換器100が配置される。貫通孔91をエンジンルームE側から正面視したとき、内部熱交換器100は、貫通孔91の開口縁で囲まれた領域内に冷媒出入口部120が存在するように配置されることが好ましい。
【0042】
本実施形態に係る内部熱交換器は、膨張装置4への固定態様によって、第一例〜第五例の内部熱交換器100,200,300,400,500を包含する。各例の内部熱交換器について説明する。
【0043】
第一例の内部熱交換器100について
図2を参照しながら説明する。第一例の内部熱交換器100では、冷媒出入口部120は、熱交換部110の一方側の表面に配置された板状部材101bに固定され、膨張装置接続部130は、熱交換部110の他方側の表面に配置された板状部材101aに固定され、冷媒出入口部120と膨張装置接続部130とは、熱交換部110を挟んで背中合わせに配置され、冷媒出入口部120が、第1ねじ通し部133に対して同一直線上となる位置に第2ねじ通し部123を有し、熱交換部110は、第2ねじ通し部123と第1ねじ通し部133との間に第3ねじ通し部113aを有し、ねじ軸部142は、第2ねじ通し部123及び第3ねじ通し部113aに挿通されることが好ましい。
【0044】
冷媒出入口部120及び膨張装置接続部130は、それぞれ、板状部材101b,101aに、例えばろう付けで接合される。
【0045】
第2ねじ通し部123は、冷媒出入口部120に固定部材140を通すための障害物のない空間であり、例えば、
図2に示す管状の孔、
図8に示すU字状の溝又はV字状の溝(不図示)である。
【0046】
第3ねじ通し部113aは、熱交換部110に固定部材140を通すための障害物のない空間である。第一例の内部熱交換器100では、熱交換部110は、板状部材101の積層方向(X−X´方向)に延在する溝部113を有し、第3ねじ通し部113aは、溝部113内の空間であることが好ましい。
【0047】
溝部113は、例えば、
図2に示すU字状の溝又はV字状の溝(不図示)である。第3ねじ通し部113aを溝状とすることで、第3ねじ通し部113aの両脇に板状部材101の積層構造があるため、固定部材140による締付け力が及ぶ部分の強度が確保される。このため、固定部材140の締め付けによる熱交換部の変形が起こりにくい。溝部113は、切欠きを有する板状部材101を、切欠きが重なるように積層させることによって形成される。
【0048】
第一例の内部熱交換器100を備える冷凍サイクル1における膨張装置4の組み付け手順の一例について説明する。組み付け作業は、エンジンルームE側から行われる。まず、膨張装置4の流路42,43が嵌合部63a,64aに嵌合されることで、膨張装置4がジョイント部72に取り付けられる。次いで、膨張装置接続部130の嵌合部132a,131aが膨張装置4の流路42,43に嵌合されることで、内部熱交換器100が膨張装置4に取り付けられる。次いで、嵌合部62a,65aが第1流入路121及び第1流出路122に嵌合されることで、ジョイント部71が内部熱交換器100に取り付けられる。最後に、固定部材140のねじ軸部142が、ジョイント部71に設けた第5ねじ通し部71a、第2ねじ通し部123、第3ねじ通し部113a、第1ねじ通し部133及び第4ねじ通し部41に挿通され、第6ねじ通し部72aの内周面に設けられたねじ溝に螺合される。このとき、ねじ頭部141は、第5ねじ通し部71aの開口縁に係止される。
【0049】
第一例の内部熱交換器100を備える冷凍サイクル1における膨張装置4の取り外し手順の一例について説明する。取り外し作業は、エンジンルームE側から行われる。まず、固定部材140が外される。次いで、嵌合部62a,65aを第1流入路121及び第1流出路122から引き抜き、内部熱交換器100からジョイント部71を外す。次いで、内部熱交換器100をエンジンルームE側に引っ張ることで、膨張装置接続部130の嵌合部132a,131aを膨張装置4の流路42,43から引き抜き、膨張装置4から内部熱交換器100を外す。次いで、内部熱交換器100の位置を上下左右のいずれかにずらして、膨張装置4をエンジンルームE側から見える状態にする。最後に、膨張装置4をエンジンルームE側に引っ張ることで、嵌合部63a,64aに嵌合された膨張装置4の流路42,43を開放し、ジョイント部72から膨張装置4を外す。
【0050】
第一例の内部熱交換器100によれば、次のような効果が得られる。まず、膨張装置4の組み付け及び取り外し作業を、エンジンルームE側から行うことが出来る。そして、1本の固定部材140で、ジョイント部71、内部熱交換器100、膨張装置4及びジョイント部72を固定することができるから、膨張装置4の着脱作業を1本の固定部材140を着脱するだけのより簡易な手順で行うことができる。
【0051】
冷凍サイクル1では、固定部材140が外されたとき、膨張装置4の落下を防止する工夫がなされていることが好ましい。膨張装置4の落下防止のための工夫は、例えば、
図2に示すように、膨張装置4のジョイント部72への取り付け構造が、膨張装置4の流路42,43が嵌合部63a,64aに嵌合される構造であることである。また、膨張装置4の外周に発泡ライニング(不図示)を設けてHVACのケース(不図示)に取り付けるか、又は、膨張装置4とジョイント部72との固定部材として、固定部材140とは別個の固定部材(不図示)を用いてもよい。固定部材140とは別個の固定部材は、例えば、膨張装置4の周囲を囲むグロメットが好適である。
【0052】
ここまで、固定部材140でジョイント部71、内部熱交換器100、膨張装置4及びジョイント部72が固定される形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、固定部材140で内部熱交換器100及び膨張装置4が固定され、ジョイント部71と内部熱交換器100との固定、及び、膨張装置4とジョイント部72との固定には、それぞれ別個の固定部材(不図示)が用いられてもよい。
【0053】
第二例、第三例の内部熱交換器200
,300について
図3、
図4をそれぞれ参照しながら説明する。第二例、第三例の内部熱交換器200,300について第一例の内部熱交換器100と共通する構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0054】
第二例の内部熱交換器200では、
図3に示すように、熱交換部210は、板状部材の積層方向(X−X´方向)における熱交換部210の両表層部分210A,210Bを、両表層部分210A,210Bに挟まれた内層部分210Cに対して同じ方向にそれぞれ突出させた突出部214A,214Bを有し、突出部214A,214Bのうち一方の突出部214Bには、冷媒出入口部120が固定され、他方の突出部214Aには、膨張装置接続部130が固定され、膨張装置接続部130が固定された突出部214Aは、第1ねじ通し部133につながる第1経路215を有し、冷媒出入口部120が固定された突出部214Bは、第2ねじ通し部123につながる第2経路216を有し、第3ねじ通し部213は、第1経路215内の空間、第2経路内216の空間、及び第1経路215と第2経路216との間の空間217からなることが好ましい。
【0055】
表層部分210Aは、熱交換部210の他方の表面に配置された板状部材101aを含む。
図3では、一例として、表層部分210Aが、板状部材101aと、板状部材101aに隣接する板状部材101cとからなる形態を示した。表層部分210Aの構成はこれに限定されず、板状部材101a,101cに加えて、板状部材101cよりも熱交換部210の内層側に配置された1枚以上の板状部材を更に含んでいてもよい。
【0056】
表層部分210Bは、熱交換部210の一方の表面に配置された板状部材101bを含む。
図3では、一例として、表層部分210Bが、板状部材101bと、板状部材101bに隣接する板状部材101dとからなる形態を示した。表層部分210Bの構成はこれに限定されず、板状部材101b,101dに加えて、板状部材101dよりも熱交換部210の内層側に配置された1枚以上の板状部材を更に含んでいてもよい。
【0057】
内層部分210Cは、両表層部分210A,210Bを構成する板状部材101a,101
b,101c,101d以外の板状部材からなる。
【0058】
突出部214A,214Bは、両表層部分210A,210Bを構成する板状部材101a,101b,101c,101dの端辺を、内層部分210Cを構成する板状部材の端辺よりも同じ方向に延在させた部分である。
【0059】
第1経路215及び第2経路216は、突出部214A,214Bに固定部材140を通すための障害物のない空間であり、例えば、
図3に示すように貫通孔であるか、又はU字若しくはV字などの溝(不図示)であってもよい。
【0060】
第二例の内部熱交換器200では、各板状部材101の外形を矩形などのシンプルな形状とすることができるため、熱交換部の構造がより簡単で生産性に優れる。
【0061】
第三例の内部熱交換器300では、
図4に示すように、熱交換部310が、板状部材の積層方向に延在する筒状空洞部313を有し、第3ねじ通し部が筒状空洞部313内の空間であることが好ましい。筒状空洞部313は、貫通孔を有する板状部材101を、貫通孔が重なるように積層させることによって形成される。第3ねじ通し部が板状部材101の積層構造に囲まれているため、固定部材140による締付け力が及ぶ部分の強度が確保される。このため、固定部材140の締め付けによる熱交換部の変形が起こりにくい。
【0062】
第二例、第三例の内部熱交換器200,300を備える冷凍サイクル1における膨張装置4の組み付け及び取り外し作業は、第一例の内部熱交換器100を備える冷凍サイクルと同様である。そして、第二例、第三例の内部熱交換器200,300によれば、第一例の内部熱交換器100と同様の効果が得られる。
【0063】
第四例の内部熱交換器400について
図5を参照しながら説明する。第四例の内部熱交換器400について第一例の内部熱交換器100と共通する構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0064】
第四例の内部熱交換器400では、冷媒出入口部420は、熱交換部410の一方側の表面に配置された板状部材101bに固定され、膨張装置接続部130は、熱交換部410の他方側の表面に配置された板状部材101aに固定され、熱交換部410は、第1ねじ通し部133に対して同一直線上となる位置に第3ねじ通し部413aを有し、第3ねじ通し部413aは、固定部材140を挿通可能であり、ねじ軸部142は、第3ねじ通し部413aに挿通され、かつ、ねじ頭部141は、第1ねじ通し部133の開口縁に係止されることが好ましい。
【0065】
第四例の内部熱交換器400では、冷媒出入口部420が第2ねじ通し部423を有することが好ましい。第一例の内部熱交換器100の第2ねじ通し部123は、内部熱交換器100と膨張装置4との固定に寄与する部分であったのに対して、第四例の内部熱交換器400の第2ねじ通し部423は、内部熱交換器400と膨張装置4との固定に寄与しない。具体的には、内部熱交換器400及び膨張装置4が固定状態であるとき、第2ねじ通し部423に、内部熱交換器400と膨張装置4とを固定する固定部材140は配置されない。
【0066】
第四例の内部熱交換器400の第2ねじ通し部423は、ジョイント部71と内部熱交換器400との固定に寄与することが好ましい。具体的には、ジョイント部71と内部熱交換器400との固定には、固定部材140とは別個の固定部材150が用いられ、固定部材150のねじ軸部151がジョイント部71の第5ねじ通し部71aに挿通されるとともに第2ねじ通し部423の内周面に設けられたねじ溝に螺合される。また、ねじ頭部151は、第5ねじ通し部71aの開口縁に係止される。
【0067】
第四例の内部熱交換器400では、第2ねじ通し部423は、
図5に示すように第1ねじ通し部133の延長線上に配置しないか、又は第1ねじ通し部133に対して同一線上となる位置に配置してもよい(不図示)。第2ねじ通し部423は、第1ねじ通し部133の延長線上に配置しないことがより好ましい。第2ねじ通し部423を第1ねじ通し部133に対して同一線上となる位置に配置する場合は、第2ねじ通し部423の大きさを固定部材140が挿通可能な大きさとする。
【0068】
第四例の内部熱交換器400の第3ねじ通し部413aは、固定部材140を着脱するための作業空間である。第四例の内部熱交換器400及び膨張装置4が固定状態であるとき、第3ねじ通し部413aに、内部熱交換器400と膨張装置4とを固定する固定部材140は配置されない。
【0069】
第3ねじ通し部413aは、第一例の内部熱交換器100と同様に、熱交換部410に設けられた溝部413内の空間であることが好ましい。本発明はこれに限定されない。第3ねじ通し部413aは、例えば、第二例の内部熱交換器200と同様に、第1経路215内の空間、第2経路内216の空間、及び第1経路215と第2経路216との間の空間217からなる(
図3に図示)か、又は、第三例の内部熱交換器300と同様に、筒状空洞部313内の空間(
図4に図示)であってもよい。
【0070】
第四例の内部熱交換器400は、ダッシュパネルDの貫通孔91(
図1に図示)をエンジンルームE側から正面視したとき、貫通孔91の開口縁で囲まれた領域内に、冷媒出入口部420及び第3ねじ通し部413aが存在するように配置されることが好ましい。
【0071】
第四例の内部熱交換器400では、
図6に示すように、第1ねじ通し部133は、板状部材101側の端部に座ぐり部133aを有し、ねじ軸部142は、第1ねじ通し部133に挿通され、かつ、ねじ頭部141は、座ぐり部133aに収容されることが好ましい。座ぐり部133aは、第1ねじ通し部133の端部を他の部分より拡径させた拡径部である。
【0072】
第四例の内部熱交換器400を備える冷凍サイクル1における膨張装置4の組み付け手順の一例について
図5を参照しながら説明する。まず、各構成部品を、第一例の内部熱交換器100を備える場合と同様に取り付ける。次いで、固定部材140が第3ねじ通し部413aに通される。そして、固定部材140のねじ軸部142が、第1ねじ通し部133及び第4ねじ通し部41に挿し込まれ、第4ねじ通し部41又は第6ねじ通し部72aの内周面に設けられたねじ溝に螺合される。このとき、ねじ頭部141は、第1ねじ通し部133の開口縁に係止される。また、固定部材140とは別個の固定部材150のねじ軸部152が、ジョイント部71の第5ねじ通し部71a及び第2ねじ通し部423に挿通され、第2ねじ通し部423の内周面に設けられたねじ溝に螺合される。このとき、ねじ頭部151は、第5ねじ通し部71aの開口縁に係止される。
【0073】
第四例の内部熱交換器400を備える冷凍サイクル1における膨張装置4の取り外し手順の一例について
図5を参照しながら説明する。まず、工具が第3ねじ通し部413aに挿し込まれて、固定部材140が外される。また、固定部材150が外される。そして、第一例の内部熱交換器100を備える場合と同様に、膨張装置4を取り外すことができる。
【0074】
第四例の内部熱交換器400によれば、次のような効果が得られる。固定部材140の締付け対象に熱交換部410が含まれないため、固定部材140の締め付けによる熱交換部410の変形を防止することができる。また、固定部材140の長さを短くすることができるため、エンジンルームE側からの作業を容易化することが可能となる。
【0075】
第五例の内部熱交換器500について
図7を参照しながら説明する。第五例の内部熱交換器500について第一例の内部熱交換器100と共通する構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0076】
第五例の内部熱交換器500では、冷媒出入口部520は、板状部材の一辺102側に配置され、膨張装置接続部530は、板状部材の一辺102側の向かいの辺103側に、第1ねじ通し部533の開口を一辺102側に向けて配置され、冷媒出入口部520と膨張装置接続部530とは、互いに、板状部材の積層方向(X−X´方向)の同じ側に配置され、ねじ軸部(図示せず)は、第1ねじ通し部533に挿通され、かつ、ねじ頭部(図示せず)は、第1ねじ
通し部533の開口縁に係止されることが好ましい。
【0077】
第五例の内部熱交換器500は、第一例〜第四例の内部熱交換器100,200,300,400と大きく異なる点は、第一例〜第四例の内部熱交換器100,200,300,400は、板状部材の板面をダッシュパネルDに対して略平行方向に向けて配置されるのに対して、第五例の内部熱交換器500は、板状部材の板面をダッシュパネルDに対して略直交方向に向けて配置される点である。
【0078】
板状部材が例えば長方形状であるとき、板状部材の一辺102は、一方の短辺であり、向かいの辺103は、他方の短辺であることが好ましい。
【0079】
冷媒出入口部520は、第2ねじ通し部523を有することが好ましい。第2ねじ通し部523は、内部熱交換器500と膨張装置との固定に寄与しない。具体的には、内部熱交換器500及び膨張装置が固定状態であるとき、第2ねじ通し部523に、内部熱交換器500と膨張装置とを固定する固定部材は配置されない。
【0080】
第2ねじ通し部523は、第1ねじ通し部533の延長線上に配置しないか、又は第1ねじ通し部533に対して同一線上となる位置に配置してもよい。第2ねじ通し部523を第1ねじ通し部533に対して同一線上となる位置に配置する場合は、第2ねじ通し部523の大きさを、内部熱交換器500と膨張装置4とを固定する固定部材が挿通可能な大きさとする。
【0081】
膨張装置接続部530は、第1ねじ通し部533の開口を一辺102側に向けて配置される。一辺102側は、エンジンルームE側である。第1ねじ通し部533の開口を一辺102側に向けて配置することで、エンジンルームE側から、固定部材の着脱作業を行うことができる。
【0082】
冷媒出入口部520と膨張装置接続部530とが、互いに、板状部材の積層方向(X−X´方向)の同じ側に配置されるとは、冷媒出入口部520及び膨張装置接続部530が、熱交換部510の一方側の表面に配置された板状部材101aの表面の延長面上にあるか、又は該延長面よりも熱交換部510側とは反対側の空間内にあることをいう。
【0083】
第五例の内部熱交換器500では、第1熱交換路の入口111a、第1熱交換路の出口111b、第2熱交換路の入口121a及び第2熱交換路の出口121bが熱交換部510の一方側の表面に配置された板状部材101aの表面上に開口し、冷媒出入口部520は、第1流入路121及び第1流出路122を、第1ねじ通し部533の延長線に略平行な方向に向けて配置され、膨張装置接続部530は、第2流出路132及び第2流入路131を、第1ねじ通し部533の延長線に略平行な方向に向けて配置され、内部熱交換器500は、熱交換部510と冷媒出入口部520とを接続する第1方向変換部材800と、熱交換部510と膨張装置接続部530とを接続する第2方向変換部材900とを備え、第1方向変換部材800は、第1流入路121と第1熱交換路の入口111aとの間を接続する第1接続路801と、第2熱交換路の出口121bと第1流出路122との間を接続する第2接続路802とを有し、第2方向変換部材900は、第1熱交換路の出口111bと第2流出路132との間を接続する第3接続路901と、第2流入路131と第2熱交換路の入口121aとの間を接続する第4接続路902とを有することが好ましい。
【0084】
第五例の内部熱交換器500では、第1流入路121及び第1流出路122は、第1ねじ通し部533の延長線に略平行な方向に向けて配置される。また、第2流出路132及び第2流入路131は、第1ねじ通し部533の延長線に略平行な方向に向けて配置される。ここで、略平行な
方向に向けて配置とは、第1流入路121及び第1流出路122を例にとって説明すると、第1流入路121及び第1流出路122が第1ねじ通し部533の延長線に交差せずに延在することをいう。略平行とは、厳密に平行な状態に加えて、第1ねじ通し部の延長線が、第1流入路121又は第1流出路122の中心軸に対して、例えば±5°の範囲で傾いている状態を含む。
【0085】
第五例の内部熱交換器500では、膨張装置接続部530は、膨張装置(不図示)に係合する爪部535を有し、第1ねじ通し部533と爪部535とは、膨張装置接続部530を膨張装置が配置される側Zから見たとき、膨張装置接続部530の重心を挟む関係を満たして配置されることが好ましい。爪部535は、膨張装置接続部530の膨張装置が配置される側Zの表面から膨張装置が配置される側Zに向けて延出した延出部534の先端部に設けられる。延出部534は、膨張装置接続部530と一体であるか、又は別体であってもよい。爪部535を膨張装置に係合させ、固定部材(不図示)を第1ねじ通し部533及び膨張装置の第4ねじ通し部に挿通させることで、膨張装置接続部530が膨張装置の両側面に固定される。その結果、内部熱交換器500を膨張装置に対してがたつきなく固定することができる。
【0086】
第1方向変換部材800は、熱交換部510側に配置される第1プレート810と、熱交換部510側とは反対側に配置される第2プレート820と、第1プレート810と第2プレート820との間に配置される中間プレート830とを有する。
【0087】
第1プレート810は、第1熱交換路の入口111aに通じる第1連通口813と、第2熱交換路の出口121bに通じる第2連通口814と、プレートを外方に膨出させて第1接続路801を形成する第1接続路形成用膨出部811と、プレートを外方に膨出させて第2接続路802を形成する第2接続路形成用膨出部812と、を有する。第2接続路形成用膨出部812の一方の端部812a及び他方の端部812bは、第1接続路形成用膨出部811の一方の端部811a及び他方の端部811bよりも、第1プレート810の一辺815側にある。
【0088】
第2プレート820は、プレートを外方に膨出させて第1接続路801を形成する第1接続路形成用膨出部821と、プレートを外方に膨出させて第2接続路802を形成する第2接続路形成用膨出部822と、を有する。第2接続路形成用膨出部822の一方の端部822a及び他方の端部822bは、第1接続路形成用膨出部821の一方の端部821a及び他方の端部821bよりも、第2プレート820の一辺825側にある。
【0089】
中間プレート830は、第1プレート810の第1接続路形成用膨出部811と第2プレート820の第1接続路形成用膨出部821とを繋げる第1切欠き831と、第1プレート810の第2接続路形成用膨出部812と第2プレート820の第2接続路形成用膨出部822とを繋げる第2切欠き832とを有する。
【0090】
第1方向変換部材800は、第1プレート810と第2プレート820とを、第1プレート810の一辺815と第2プレート820の一辺825とが同じ側になるように配置し、第1プレート810と第2プレート820との間に中間プレート830を挟んで接合する。これによって、第1接続路801は、第1プレート810の第1接続路形成用膨出部811と、中間プレート830の第1切欠き831と、第2プレート820の第1接続路形成用膨出部821とが重ねられて形成される。また、第2接続路802は、第1プレート810の第2接続路形成用膨出部812と、中間プレート830の第2切欠き832と、第2プレート820の第2接続路形成用膨出部822とが重ねられて形成される。このとき、第1接続路801と第2接続路802とは立体交差しない。各プレートの接合方法は、特に限定されないが、例えばろう付けである。
【0091】
第1方向変換部材802の熱交換部510への固定は次のように行われる。第1プレート810の外表面が、熱交換部510の一方側の表面に配置された板状部材101aの表面に接合される。このとき、第1連通口813及び第2連通口814が、第1熱交換路の入口111a及び第2熱交換路の出口121bにそれぞれ重なるように接合される。これによって、第1方向変換部材800が熱交換部510に固定される。また、第1接続路801及び第2接続路802が、第1流入路121及び第1流出路122に接合される。これによって、第1方向変換部材800が冷媒出入口部520に固定される。
【0092】
第2方向変換部材900は、熱交換部510側に配置される第1プレート910と、熱交換部510側とは反対側に配置される第2プレート920と、第1プレート910と第2プレート920との間に配置される中間プレート930とを有する。
【0093】
第1プレート910は、第1熱交換路の出口111bに通じる第3連通口913と、第2熱交換路の入口121aに通じる第4連通口914と、プレートを外方に膨出させて第3接続路901を形成する第3接続路形成用膨出部911と、プレートを外方に膨出させて第4接続路902を形成する第4接続路形成用膨出部912と、を有する。第3接続路形成用膨出部911は、曲げ部911cを有し、第3接続路形成用膨出部911の第3連通口913につながる端部911aは、第3接続路形成用膨出部911の第2流出路132につながる端部911bよりも、第1プレート910の一辺915側にある。第4接続路形成用膨出部912の一方の端部912a及び他方の端部912bは、第3接続路形成用膨出部911の第2流出路132につながる端部911bよりも、第1プレート910の一辺915側にある。
【0094】
第2プレート920は、プレートを外方に膨出させて第3接続路901を形成する第3接続路形成用膨出部921と、プレートを外方に膨出させて第4接続路902を形成する第4接続路形成用膨出部922と、を有する。第4接続路形成用膨出部922は、曲げ部922cを有し、第4接続路形成用膨出部922の第2流入路131につながる端部922bは、第4接続路形成用膨出部922の第4連通口914につながる端部922aよりも、第2プレート920の一辺925側にある。また、第4接続路形成用膨出部922の第2流入路131につながる端部922bは、第3接続路形成用膨出部921の一方の端部921a及び他方の端部921bよりも、第2プレート920の一辺925側にある。
【0095】
中間プレート930は、第1プレート910の第3接続路形成用膨出部911と第2プレート920の第3接続路形成用膨出部921とを繋げる第1切欠き931と、第1プレート910の第4接続路形成用膨出部912と第2プレート920の第4接続路形成用膨出部922とを繋げる第2切欠き932と、第4連通口914と第4接続路形成用膨出部922と繋げる貫通孔933と、を有する。
【0096】
第2方向変換部材900は、第1プレート910と第2プレート920とを、第1プレート910の一辺915と第2プレート920の一辺925とが同じ側になるように配置し、第1プレート910と第2プレート920との間に中間プレート930を挟んで接合する。これによって、第3接続路901は、第1プレート910の第3接続路形成用膨出部911と、中間プレート930の第1切欠き931と、第2プレート920の第3接続路形成用膨出部921とが重ねられて形成される。また、第4接続路902は、第1プレート910の第4接続路形成用膨出部912と、中間プレート930の第2切欠き932と、第2プレート920の第4接続路形成用膨出部922とが重ねられて形成される。このとき、第3接続路901と第4接続路902とは立体交差する。各プレートの接合方法は、特に限定されないが、例えばろう付けである。
【0097】
また、第3接続路901が、第4接続路902よりも車両の下方側に配置されることが好ましい。膨張装置のエレメント部4a(
図2に図示)を車両の上方に向けて配置することができ、膨張装置4の良好な作動性を確保することができる。
【0098】
第五例の内部熱交換器500では、第1熱交換路の入口111aと第2熱交換路の入口121aとが板状部材の一辺104側に配置され、第2熱交換路の出口121bと第1熱交換路の出口111bとが板状部材の一辺104側の向かいの辺105側に配置され、第2方向
変換部材900は、第3接続路901と第4接続路902とを立体交差させて、第1流入路121及び第2流出路132を一辺104側に配置し、かつ、第2流入路131及び第1流出路122を向かいの辺105側に配置する交差部を有し、交差部は、第1ねじ通し部533の延長線上に配置されないことが好ましい。
【0099】
板状部材が例えば長方形状であるとき、板状部材の一辺104は、一方の長辺であり、向かいの辺105は、他方の長辺であることが好ましい。
【0100】
第3接続路901と第4接続路902とを立体交差させるとき、交差部は、第1プレート910の第3接続路形成用膨出部911及び第2プレート920の第4接続路形成用膨出部922である。第3接続路形成用膨出部911及び第4接続路形成用膨出部922がそれぞれ曲げ部911c,922cを有することで、第3接続路901と第4接続路902とが立体交差して、第1流入路121及び第2流出路132が一辺104側に配置され、かつ、第2流入路131及び第1流出路122が向かいの辺105側に配置される。その結果、内部熱交換器500を備える仕様と内部熱交換器500を備えない仕様とで、配管62,63,64,65(
図1に図示)のレイアウトを共通とすることができる。また、交差部(第3接続路形成用膨出部911及び第4接続路形成用膨出部922)が、第1ねじ通し部533の延長線上に配置されないことで、エンジンルーム側からの固定部材の着脱作業の作業空間が確保される。
【0101】
図7では、第1接続路801と第2接続路802とが立体交差せず、第3接続路901と第4接続路902とが立体交差する形態を示したが、これに限定されず、第1接続路801と第2接続路802とが立体交差し、第3接続路901と第4接続路802とが立体交差しない形態としてもよい。第2方向変換部材900の構成を第1方向変換部材800に応用することで、第1接続路801と第2接続路802とを立体交差させることができる。
【0102】
第2方向変換部材900の熱交換部510への固定は次のように行われる。第1プレート910の外表面が、熱交換部510の一方側の表面に配置された板状部材101aの表面に接合される。このとき、第3連通口913及び第4連通口914が、第1熱交換路の出口111b及び第2熱交換路の入口121aにそれぞれ重なるように接合される。これによって、第2方向変換部材900が熱交換部510に固定される。また、第3接続路901及び第4接続路902が、第2流出路132及び第2流入路131に接合される。これによって、第2方向変換部材900が膨張装置接続部530に固定される。
【0103】
第1方向変換部材800及び第2方向変換部材900によって、冷媒の流れ方向を、熱交換部510の積層方向(X−X´方向)に沿った方向からそれに交差する方向(Y−Y´方向)に変更することができる。
【0104】
第五例の内部熱交換器500を備える冷凍サイクルにおける膨張装置の組み付け手順の一例について説明する。まず、各構成部品を、第四例の内部熱交換器400を備える場合と同様に取り付ける。次いで、固定部材が、エンジンルームE側から第1ねじ通し部533へ向けて板状部材101aの板面に沿って通される。そして、固定部材140(
図5に図示)のねじ軸部が、第1ねじ通し部533及び第4ねじ通し部41(
図5に図示)に挿し込まれ、第4ねじ通し部41又は第6ねじ通し部72a(
図5に図示)の内周面に設けられたねじ溝に螺合される。このとき、ねじ頭部は、第1ねじ通し部533の開口縁に係止される。また、
図5に示す第四例の内部熱交換器400と同様に、ジョイント部71(
図5に図示)と冷媒出入口部520とが、固定部材140(
図5に図示)とは別個の固定部材150(
図5に図示)で締結される。
【0105】
第五例の内部熱交換器500を備える冷凍サイクルにおける膨張装置の取り外し手順の一例について説明する。まず、膨張装置接続部530と膨張装置4(
図5に図示)とを固定する固定部材140(
図5に図示)が外される。また、ジョイント部71(
図5に図示)と冷媒出入口部520とを固定する固定部材150(
図5に図示)が外される。そして、第四例の内部熱交換器
400を備える場合と同様に、膨張装置4を取り外すことができる。
【0106】
第五例の内部熱交換器500によれば、次のような効果が得られる。固定部材の締付け対象に熱交換部510が含まれないため、固定部材の締め付けによる熱交換部510の変形を防止することができる。また、固定部材の長さを短くすることができるため、エンジンルームE側からの作業を容易化することが可能となる。