(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
充電池を駆動源として自律走行する自律走行型掃除機と、前記充電池に電力を供給する充電台と、を備え、前記自律走行型掃除機の前記充電台への自律走行を行う自律走行型掃除機システムであって、
前記充電台は、
充電台本体と、
前記充電台本体から先端に行くに従い細くなる突出し部と、
前記突出し部の表面から突出する給電端子と、を備え、
前記自律走行型掃除機は、
前記給電端子に接続する受電端子を収容する凹部を備え、
前記自律走行型掃除機の前記充電台への接続時、
前記突出し部は、
前記凹部に嵌まり込み、当該凹部内を移動して前記受電端子を前記給電端子まで誘導するとともに、
前記充電台本体の底部よりも所定距離以上高い高床式の突出し部底部と、
前記突出し部底部から床面に接する位置まで傾斜し、かつ、前記自律走行型掃除機の前記充電台への接続時、当該自律走行型掃除機のサイドブラシの刷毛を纏めるように傾斜する傾斜面部と、を備える
ことを特徴とする自律走行型掃除機システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る自律走行型掃除機システムの全体構成図である。本実施形態は、自律走行しながら掃除する自律走行型掃除機の充電台への自動帰還システムに適用した例である。
なお、自律走行型掃除機100が主に進行する向きを前方、鉛直上向きを上方とし、
図1に示すように前後・上下・左右を定義する。
図1に示すように、自律走行型掃除機システム1は、自律走行しながら掃除する自律走行型掃除機100と、自律走行型掃除機100を帰還させるための帰還信号を出力する基地局であるとともに、自律走行型掃除機100を充電する充電装置である充電台200と、を備える。
充電台200は、部屋を区画する壁部の近傍など、掃除の妨げにならない位置に配置される。
【0012】
[自律走行型掃除機100]
図1は、本実施形態に係る自律走行型掃除機100を左前方から見下ろした斜視図である。
図2は、自律走行型掃除機100を左前方から見上げた斜視図である。
図3は、
図2の自律走行型掃除機100の前部の要部拡大図である。
図4は、自律走行型掃除機100の正面図である。
自律走行型掃除機100は、所定の掃除領域(例えば、室内)を自律的に移動しながら掃除する自走式電気掃除機である。
図1に示すように、自律走行型掃除機100は、上壁(および一部の側壁)である上ケース111と、底壁(および一部の側壁)である下ケース112(
図2参照)と、前部に設置されるバンパ113と、を含んで構成される本体110を備える。本体110は、各種モータや制御装置150(
図7参照)等を収容する筐体である。上ケース111には、集塵ケース114が着脱自在に収容されている。バンパ113は、外部から作用する押圧力に応じて内外方向(平面視で本体110の中心側を内側とする。)で移動可能に設置されている。バンパ113は、左右一対のバンパばね(図示せず)によって外方向に付勢されている。
【0013】
図2に示すように、本体110は、下ケース112に、下方に露出している駆動輪121と、走行モータ161,162(
図7参照)と、減速機構とを含んで構成される駆動機構を収容する2つの駆動機構収容部122と、補助輪123と、補助輪123を取り付ける補助輪取付部124と、サイドブラシ140を取り付けるサイドブラシ取付部141と、吸込部125と、排気口126と、充電池B(
図7参照)を収納する電池収容部127と、送風機163(
図7参照)と、センサ類(測距センサ152等:
図7参照)と、制御装置150(
図7参照)と、を備える。
【0014】
<駆動輪121>
駆動輪121は、駆動輪121自体が回転することで本体110を前進、後退、旋回させることができる車輪である。駆動輪121は、吸込部125の左右両側に配置されている。右側の駆動輪121は、複数段の歯車で構成された減速機(図示せず)を介し、走行モータ161の駆動力が作用するように設置されている。左側の駆動輪121についても同様である。走行モータ161,162(
図7参照)は、制御装置150(
図7参照)からの指令に応じて、同一のまたは異なる回転速度で駆動可能になっている。つまり、走行モータ161,162の回転速度をそれぞれ制御することで、自律走行型掃除機100を前進・後退・旋回させることができる。
駆動機構収容部122は、平面視で略円板状を呈する下ケース112の左右両側に形成されている。
【0015】
<補助輪123>
補助輪123は、本体110を床面から所定高さで保ちつつ自律走行型掃除機100を円滑に移動させるための補助的な車輪である。補助輪123は、本体110の移動に伴い床面との間で生じる摩擦力によって従動回転するように軸支されている。また、補助輪123は、向きが水平方向に360°回転自在に構成されている。補助輪123は、本体110の前方の左右方向の中央に設けられ、補助輪取付部124に取り付けられている。
【0016】
<吸込部125および排気口126>
吸込部125は、吸引口(図示せず)が形成されるとともに、床面上の塵埃を掻き込む掻取りブラシ131、および回転ブラシ132を収容する部材である。吸込部125は、回転ブラシ132を回転させる回転ブラシモータ164(
図7参照)を固定する部材でもある。掻取りブラシ131、および回転ブラシ132は、取り外し可能に吸込部125へ取り付けられる。
排気口126は、平面視で円形を呈する下ケース112の中心付近で、かつ駆動機構収容部123に挟まれた位置に複数形成されている。
【0017】
<電池収容部127>
電池収容部127は、下ケース112に形成された内部に充電池B(
図7参照)を収容する空間であり、下ケース112の中心よりも前側に形成されている。電池収容部127は、前方蓋128によって塞がれる。
【0018】
<底面凸部129>
補助輪123の後方で駆動輪121,121の前方には、底面凸部129が形成されている。底面凸部129は、本体110のほぼ中央の底部から突出するピラミッド状の凸部である。底面凸部129は、補助輪123と駆動輪121,121との間の隙間に棒状の異物が挟み込まれることを防止する。
【0019】
<送風機163>
送風機163(
図7参照)は、自身を駆動することで集塵ケース114内の空気を外部に排出して負圧を発生させ、床面から吸込部125を介して塵埃を吸い込む機能を有している。
吸込部125から下流側に向かう風路は、集塵ケース114、集塵フィルタ(図示せず)、送風機163、および排気口126で構成される。送風機163および回転ブラシモータ164(
図7参照)が駆動すると、床面の塵埃は吸込部125を介して吸引され、また掻取りブラシ131によって掻き込まれ、集塵ケース114に導かれる。集塵フィルタで塵埃が取り除かれた空気は、排気口126を介して排出される。
【0020】
<サイドブラシ140>
サイドブラシ140は、自身が回転駆動されることで本体110よりも外側にある塵埃を吸込部125に導くブラシであり、その一部が平面視で本体110から突き出している。サイドブラシ140は、平面視において120°間隔で放射状に延びる3束の刷毛を有し、吸込部125よりも前方において、下ケース112の左右の切欠に配置されている。
サイドブラシ140の刷毛は、先端に向かうにつれて床面に近づくように下方に傾斜しており、その先端付近は床面に接している。左右のサイドブラシ140は、それぞれサイドブラシ用モータ165,166(
図7参照)に連結される。サイドブラシ用モータ155,156が本体110底面から見てそれぞれ時計回り、反時計回りに駆動されることで、吸込部125の前方に塵埃を掻き集めるようになっている。
サイドブラシ取付部141は、電池収容部127の左右に形成されている。
【0021】
<凹部116>
図2ないし
図4に示すように、下ケース112の底面112aには、前方および床面に開口したU字形の凹部116が形成されている。凹部116は、下面視してU字形の底面116aと、底面116aに向かって三方から傾斜する傾斜面116bと、を有する。U字形の凹部116は、前方の開口部が後方よりも拡がっている。凹部116の底面116aには、充電台200の給電端子214に接続する受電端子145が設けられている。凹部116は、その内部に受電端子145を収容する。受電端子145は、自律走行型掃除機100が充電台200に帰還した際に、充電台200の突出し部213の上面に設けた給電端子214と接触し、これにより充電池B(
図7参照)に給電することができる(後記)。
【0022】
<中央受信器171および受信器172>
図1および
図4に示すように、本体110の前部には、充電台200から3つの帰還信号(後記:
図14ないし
図16)を受信する中央受信器171および受信器172が設置されている。
中央受信器171および受信器172は、本体110の幅方向に異ならせた位置に配置された2以上の受信素子である。
中央受信器171は、本体110の略中央に設置された広い指向性の受信器である。具体的には、中央受信器171は、指向性受信器であり、本体110の背面側の所定角度を除く、全周に亘って帰還信号を受光する。中央受信器171は、本体110の左右幅の略中央で、バンパ113上方に固定されている。中央受信器171の構成は、
図5により後記する。
【0023】
受信器172は、中央受信器171より右側もしくは左側(本実施形態では、左側)に中央受信器171から所定距離離隔して設置された狭い指向性の受信器である。具体的には、受信器172は、指向性受信器であり、本体110の高さ方向の中央位置より低い位置で、本体110の左右幅の略中央より右に所定距離(例えば、約30mm)離れた位置に、受信方向を略前向きにしてバンパ113に固定されている。受信器172の構成は、
図6により後記する。
【0024】
上記中央受信器171および受信器172は、いずれも指向性受信器であり、無指向性受信器ではない。すなわち、本実施形態では、指向性受信器のみを、それぞれ別体の受信器として持つ。したがって、自律走行型掃除機100は、無指向性受信器と指向性受信器(中央受信器171,受信器172)の両方を持たない構成となっている。自律走行型掃除機100は、広い指向性の中央受信器171によって、本体110の位置を把握し、狭い指向性の受信器172によって、本体110の方向を把握する。
【0025】
図5は、中央受信器171の構造を示す斜視図である。
図5に示すように、中央受信器171は、赤外線を受光する受光素子171aと、その受光素子171aを囲う略円筒形状の受光レンズ171bと、その受光レンズ171bの上面を覆う上面カバー171cと、略円筒形状の受光レンズ171bの背面(自律走行型掃除機100の正面と反対方向)を覆って背面からの受光を遮蔽する背面遮蔽部171dと、から構成される。受光素子171aは、バンパ113上面とほぼ同じ高さの位置に、受光方向を上向きに固定される。受光レンズ171bは、その胴部が赤外線を透過する樹脂材料で作られており、胴部外周のどの方向からの赤外線の帰還信号を取り込むことができる。また、受光レンズ171b内側は、下側がすぼんだすり鉢状の空間が設けられ、胴部外周から取り込んだ赤外線の帰還信号を、このすり鉢状の空間との境界面で下方に向けて反射させている。このように反射した帰還信号を受光レンズ171bの下方にある受光素子171aが受光する構造となっており、水平面において背面遮蔽部171dを除く、全方位(前方向、右方向、左方向)から帰還信号を受信できるようなっている。また、上面カバー171cは赤外線を通過させない樹脂で作られており、本体110の上方からの赤外線、例えば、照明光や他の機器のリモコン信号を遮断している。
【0026】
図6は、受信器172の構造を示す断面図である。
図6に示すように、受信器172は、受光方向を略水平にした受光素子172aと、バンパ113の外郭より後方に伸びる所定長さ(例えば、約20mm)のホーン状の筒172bと、から構成され、水平面および鉛直面に対する受信範囲が約30度となるような指向性を有する。
中央受信器171は、水平面において比較的広い方向からの帰還信号を受信するのに対し、受信器172は、中央受信器171より受信範囲が狭く、本体110の前方からの帰還信号のみを受信するように構成される。これにより、充電台200に対して、本体110が前向きか後ろ向きかを判別可能となる。受信器172が帰還信号を受信していれば前向きであり、中央受信器171のみが帰還信号を受信していれば後向きである。
【0027】
<制御装置150に接続される機器>
図7は、自律走行型掃除機100の制御装置150、および制御装置150に接続される機器を示す構成図である。
図7に示すように、自律走行型掃除機100は、制御装置150(制御部)、バンパセンサ151、測距センサ152、床面測距センサ153、走行モータ用エンコーダ154、走行モータ電流計測器155、送風機用電流計測器156、回転ブラシ用モータ電流計測器157、サイドブラシ用モータ電流計測器158、操作ボタン159、中央受信器171、受信器172、走行モータ(右)161、走行モータ(左)162、送風機163、回転ブラシ用モータ164、サイドブラシ用モータ(右)165、サイドブラシ用モータ(左)166、表示パネル167、および充電池Bを備える。
【0028】
<制御装置150>
制御装置150は、例えばマイコン(Microcomputer)であり、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)に展開し、CPU(Central Processing Unit)が各種処理を実行する。制御装置150は、操作ボタン159、および、後記センサ類から入力される信号に応じて演算処理を実行し、各駆動装置に指令信号を出力する。
制御装置150は、本体110の幅方向に異ならせた位置に配置された中央受信器171および受信器172がそれぞれ受信した充電台200から中央帰還信号と右側帰還信号と左側帰還信号とに基づいて、本体を充電台200へ帰還させる帰還制御を行う。
制御装置150は、中央帰還信号の伝送領域のうち、右側帰還信号および左側帰還信号の伝送領域とは重ならない領域を辿るように充電台200に帰還する。
【0029】
<センサ類>
バンパセンサ151は、バンパ113の後退(障害物との接触)を検知するマイクロスイッチである。バンパセンサ151は、バンパ113の裏側で、本体110の前側(下ケース111の周縁付近)に右側、左側に分かれて固定されている。例えば、バンパ113の右側(または中央付近)に障害物が接触した場合、右側のバンパ113が後退し、バンパセンサ151を作動させることで、検知信号が制御装置150に出力される。
【0030】
測距センサ152は、障害物までの距離を検出する赤外線センサである。測距センサ152は、赤外線を発光させる発光部(図示せず)と、赤外線が障害物で反射して戻ってくる反射光を受光する受光部(図示せず)と、を有している。この受光部によって検出される反射光の強さに基づいて、障害物までの距離が算出される。本実施形態では、下ケース112の周縁付近において正面前方に3個、さらにその左右両側の本体斜め前に1個ずつ、計5個の測距センサ152を設けている。本実施形態では、前方に3個の測距センサ152に加え、本体斜め前に1個ずつ測距センサ152を追加することで、本体110が充電台200に側面から近づく場合に、充電台200をより確実に検出できるようにする。なお、充電台200側の接触対策として、充電台200の側面は、白色系とすることで、測距センサ152の認識率を向上させている。バンパ113のうち少なくとも測距センサ152の近傍は、赤外線を透過させる樹脂またはガラスで形成されている。なお、測距センサ152として他の種類のセンサ(例えば、超音波センサ、可視光センサ)を用いてもよい。
【0031】
床面用測距センサ153は、床面までの距離を計測する赤外線センサであり、下ケース112の下面前後左右4か所に設置されている(
図2参照)。床面用測距センサ153を設けることで、階段等の大きな段差があった場合に当該段差を検出し、自律走行型掃除機100が落下してしまうことを防止できる。例えば、床面用測距センサ153によって本体110の前側下方に30mm程度の段差が検知された場合、制御装置150は走行モータ161,162を制御して本体110を後退させ、進行方向を転換させる。
【0032】
走行モータ用エンコーダ154は、走行モータパルス出力より、走行モータ161,162の回転速度・回転角度を検出する検出器である。走行モータ用エンコーダ154によって検出される回転速度・回転角度と、減速機の減速比と、駆動輪121の径とに基づいて、制御装置150は本体110の移動速度・移動距離を算出する。
【0033】
走行モータ電流計測器155は、走行モータの電機子巻線に流れる電流を計測する計測器である。同様に、送風機用電流計測器156は、送風機163の電流値を計測する。回転ブラシモータ用電流計測器157は、回転ブラシモータ21の電流値を計測する。サイドブラシモータ用電流計測器158は、サイドブラシモータ42の電流値を計測する。それぞれの電流計測器は、計測した電流値を制御装置150に出力する。これにより、例えば回転ブラシ132(
図2参照)に異物が絡まり回転が停止した異常を検知でき、表示パネル167によりユーザに報知できる。
【0034】
操作ボタン159は、ユーザの操作に応じた操作信号を制御装置150に出力するボタンである。例えば、操作ボタン159は、電源ボタン、掃除の開始/終了ボタン、掃除モードを変更するための掃除モード選択ボタンを有する。
【0035】
<駆動装置>
走行モータ161,162は、制御装置150からの指令に応じて動作する走行モータ駆動装置により駆動する。この走行モータ駆動装置は、走行モータ161,162を駆動するインバータ、およびPWM制御によるパルス波形発生装置を備える。送風機163、回転ブラシ用モータ164、サイドブラシ用モータ165,166ついても同様に、送風機駆動装置、回転ブラシ用モータ駆動装置、サイドブラシ用モータ駆動装置の各駆動装置により駆動される。これら駆動装置は、本体110内の制御装置150に設置されている。
表示パネル167は、複数のLED(Light Emitting Diode)と、7セグメントディスプレイ(図示せず)と、を有しており、自律走行型掃除機100の運転状態等を表示する。
【0036】
<充電池B>
充電池Bは、充電することで再利用可能な二次電池である。充電池Bは、本体110内部の前側に収容されている。充電池Bからの電力は、各センサ類、各モータ、および制御装置150に供給される。
【0037】
[充電台200]
図8は、本実施形態に係る自走式電気掃除機100の充電台200を右前方から見下ろした斜視図である。
図9は、上記充電台200の本体ケースカバーを外して示した斜視図である。
図10は、上記充電台200を右下方から見上げた斜視図である。
図11は、上記充電台200の正面図、
図12は、その右側面図である。
図8に示すように、充電台200は、床面に対して略垂直に延びる本体ケース211(充電台本体)と、本体ケース211の前面および上面を覆う本体ケースカバー212と、本体ケース211の下部から床面に平行に前側に突き出す一対の突出し部213と、突出し部213の上面213aから突出する給電端子214と、左右の突出し部213の底部同士と本体ケース211の底部とを繋ぐベース板215と、突出し部213の底面213b(
図10および
図11参照)からベース板215に向かって傾斜する傾斜面部216(
図10および
図11参照)と、本体ケース211の右側面下部に取り付けられた電源コード差し込み口217(
図8ないし
図10参照)と、を備える。
本実施形態では、本体ケース211、突出し部213、ベース板215および傾斜面部216は、樹脂により一体形成されている。
【0038】
<本体ケース211>
本体ケース211は、床面に対して略垂直に延びる直方体形状であり、前面から上面にかけて大きなRがつけられている。本体ケース211は、薄型に形成されており、設置場所に大きなスペースを取らない。本体ケース211の前側に大きなRを付けているので、本体ケース211を薄型としても、踏みづらくしている。
本体ケース211の前側は、中身が見えないように黒色系とし、側面は白色系とすることで、測距センサ152(
図7参照)の認識率を高くしている。なお、本体ケース211の前側を白色系として、正面側の測距センサ152の認識率を高くすることも可能である。この場合、意匠性や審美性を高めるため、本体ケースカバー212を赤外線を透過させる半透過型の黒色系としてもよい。
【0039】
本体ケース211、突出し部213およびベース板215は、上から見ると略台形をしており、後ろ側(本体ケース211側)の幅が広く、前側(突出し部213の前側)が狭くなっている。この形状により、壁を背にして設置された充電台200に対して、壁際を走行している自律走行型掃除機100が接触した場合、充電台200に対し壁側に向かう力が生じ、充電台200を壁に押し付け、移動させ難くできる。
【0040】
<本体ケースカバー212>
本体ケースカバー212は、本体ケース211の前面および上面を覆う角部が湾曲した板部材である。本体ケース211を白色系とした場合、例えば赤外線を透過する材質で作製し、半透過型の黒色系カバーとしてもよい。
【0041】
<突出し部213>
突出し部213は、本体ケース211から先端に行くに従い細くなる。突出し部213は、給電端子214を突出させた上面部213aと、サイドブラシ140(
図1参照)の収納用に床面から浮き上がらせた高床式の底面部213bと、上面部213aと底面部213bを繋ぎ、先端に行くに従い細くなる先細り構造の側面部213cと、を有する。突出し部213は、断面視して台形形状であり、上面部213aが台形形状の上辺、底面部213bが台形形状の底辺、側面部213cが台形形状の側辺を形成する。側面部213cのうち、特に本体ケース211の左右側の側面部213cが上記先細り構造となっている。
【0042】
突出し部213は、自律走行型掃除機100が充電台200に帰還した際に、下ケース112の底面112aのU字形の凹部116(
図2および
図3参照)に組み合わされる。突出し部213は、先端に行くに従い細くなる先細り構造の側面部213cを有し、自律走行型掃除機100の充電台200への接続時、凹部116に嵌まり込み、凹部116内を移動(摺動)して受電端子145を給電端子214まで機構的に誘導する。
突出し部213は、自律走行型掃除機100が充電台200に帰還した際に、先端が下ケース112の底面112aのU字形の凹部116に一部でも係合する状態であればよい。あとは、自律走行型掃除機100の前進に伴って、突出し部213の側面部213cが、凹部116の内面に沿って本体ケース211方向に案内され、突出し部213の先端が凹部116の最奥に達したところで組み合わせが完了する。
【0043】
<給電端子214>
突出し部213は、自律走行型掃除機100の充電池B(
図7参照)を充電するときの給電端子214を備えている。給電端子214は、正極・負極の2極あり、突出し部213の左右幅の略中央を中心に左右に分かれて、突出し部213の上面213aから突出している。
給電端子214は、充電台200に自律走行型掃除機100が帰還した際に、下ケース112の底面112aに設けた受電端子145(
図2および
図3参照)と接触し、これにより充電池B(
図7参照)に給電することができる。給電端子214は、ばねで突出し部213の下方から押し上げられるように設けられ、上から力を加えると沈み込むようになっている。この構成により、充電時において、給電端子214は自律走行型掃除機100の受電端子145を押し上げるように受電端子145と接触し、端子間をしっかり接触させることができる。また、給電端子214の頭部には、受電端子145(
図2および
図3参照)に点接触する突起部214aを備える。給電端子214の頭部に1つの突起部214aが形成されているので、どのような状態であっても突起部214aは受電端子145と接触する。これにより、確実に給電を行うことができる。なお、突起部214aは、確実な点接触を確保するため1つであることが好ましい。さらに、受電端子145は、給電端子214より広く、充電台200の左右幅の中心と本体110の左右幅の中心が多少ずれても、充電池Bに電力を供給できる。
【0044】
<ベース板215>
図10および
図11に示すように、突出し部213は、正極と負極の2極の給電端子214に対応して2つに分岐し、当該分岐の基部は、ベース板215を形成する。換言すれば、左右の突出し部213の底部同士と本体ケース211の底部とを繋ぐベース板215が備えられている。ベース板215は、本体ケース211の底部に繋がり、本体ケース211の底部を構成している。ベース板215は、充電台本体である本体ケース111から前方に延設されており、自律走行型掃除機100の補助輪123の移動範囲は、自律走行型掃除機100の充電台200への接続時、ベース板215に当接しない範囲までとなっている。
図10に示すように、本体ケース211の底部の左右両側とベース板215の底部の前側には、滑り止め用のゴムシート218が貼付けられている。本体ケース211を安定して設置するためには、本体ケース211の底部はできるだけ広くすることが求められる。ただし、突出し部213は、補助輪123(
図1参照)の収納用に床面から浮き上がらせた高床式の底面部213bとなっていること、および給電端子214を下ケース112の底面112aに挿入する際、補助輪123の当接を回避すること、からベース板215の前方への迫出し長さには制約がある。本実施形態では、補助輪123に接触しない範囲でベース板215の底部をできるだけ広くとり、その底部の三角形の頂点付近にゴムシート218を貼付けている。
【0045】
突出し部213の前縁は、給電端子214付近が前側に出張っており、逆に2つの給電端子214間のベース板215においては本体ケース211側に奥まっている。この形状により、自律走行型掃除機100が自動で帰還するときに、本体110の補助輪123が突出し部213に接触すると補助輪123の向きが変わり、本体110の進行方向が変わり、給電端子214に受電端子145が接触できなくなることを防ぐ。すなわち、自律走行型掃除機100が充電台200に帰還しても、補助輪123が突出し部213にほぼ接触しないように、補助輪123が接近する突出し部213の前縁の一部を切り欠いた形状となっている。
【0046】
<傾斜面部216>
図10および
図11に示すように、突出し部213の底面部213bからベース板215に向かって傾斜する傾斜面部216が形成されている。傾斜面部216は、底面側から見て、ハの字形状となっている。傾斜面部216は、突出し部213の底部213aから床面に接する位置まで傾斜し、かつ、充電台200への接続時、本体110のサイドブラシ140の刷毛を纏めるように傾斜している。
これにより、自律走行型掃除機100が充電台200に帰還した際に、サイドブラシ140(
図1参照)の先端部は傾斜面部216に当接し、自律走行型掃除機100の前進に伴って傾斜面部216を摺動しながら下方に案内される。自律走行型掃除機100の充電台200への帰還が完了すると、サイドブラシ140の先端部は傾斜面部216の最奥(ベース板215の底面側)まで案内され、前記傾斜面部216の最奥と床面との間に位置することができる。自律走行型掃除機100は、次走行に備えて待機する。この間、サイドブラシ140の先端部は、突き出し部213の下側に隙間があることから、突き出し部213に接触して曲がることが抑制され、例えば前記傾斜面部216の最奥と床面との間で挟持された状態となっている。そのため、次走行に備えて待機している間に、サイドブラシ140が曲げられた状態に置かれて、いわゆるクセがつくことを抑制できる。また、傾斜面部216や底面部213bに接触することもできるため、掃除により、サイドブラシ140の刷毛が乱れたとしても、待機時には、その乱れを整えることができる。これにより、次回の運転時には、サイドブラシ140の先端部をしっかりと床面に接するようにすることができる。
【0047】
<電子基板220および赤外線LED>
図9に示すように、本体ケース211内部には、制御回路、赤外線LED231,232,233(帰還信号を伝送する素子)を発光させる発光回路、および自律走行型掃除機100の充電池Bに電力を供給するための充電回路を含む電子基板220が立設されている。
電子基板220の上部側には、帰還信号を送信する3個の赤外線LED231,232,233と、充電台200の通電状態を報知するパイロットランプ234と、が設置されている。パイロットランプ234を、本体ケース211の曲面部略中央に設けることで、斜め上からの視認性を向上させることができる。
また、電子基板220の下部側には、高電圧部品221が設置されている。高電圧部品221を電子基板220の下部側に配置することで、本体ケース211の重心をより低くし、充電台200を安定して設置することができる。
【0048】
図13(a)は、本体ケース211の要部斜視図、
図13(b)は、
図13(a)のA−A断面図である。
図9および
図13(a)に示すように、本体ケース211には、赤外線LED231,232,233の赤外線の帰還信号を出力するための開口部211a,211b,211cと、パイロットランプ234の発光を出力するための開口部211dと、が形成されている。赤外線LED231に対応する開口部211aは、狭い領域で伝送(
図14参照)するためスリット状に形成される。赤外線LED232,233に対応する開口部211b,211cは、広い領域で伝送(
図14参照)するため横長の開口部である。
【0049】
また、本体ケース211の内側(裏面側)には、電子基板220上に設置された赤外線LED231,232,233まで延びる仕切り筒211e,211g,211hが本体ケースカバー212と一体形成されている。仕切り筒211e,211g,211hは、赤外線の帰還信号29の伝送範囲を制限する。仕切り筒211e,211g,211hは、例えば黒色であり、赤外線の反射を抑え、意図しない方向に赤外線が広がるのを抑えている。本体ケース211と一体形成することで、発信部のガイド部品を減らすことができる。
【0050】
仕切り筒211e,211g,211hのうち、赤外線LED231に対応する仕切り筒211eの構造は下記の通りである。
図13(b)に示すように、仕切り筒211eは、本体ケースカバー212の内側(裏面側)から赤外線LED231の発光面まで突出するように形成された方形筒であり、内部にスリット211f(第1スリット)を有する。赤外線LED231から放出された赤外線の帰還信号は、スリット211f(第1スリット)でスリット状に遮光され、さらに本体ケースカバー212の開口部211a(第2スリット)でスリット状に遮光される。この2段階で配置されたスリットにより、赤外線LED231から放出された赤外線は、狭い領域で伝送される中央帰還信号(C信号)となる。これにより、簡素な構成により、狭い領域で伝送される中央帰還信号(C信号)を作成することができる。すなわち、赤外線LED231として特殊な発光素子を用いることなく、他の赤外線LED232,233と同様な汎用の発光素子を用いることができるので、コスト低減を図ることができる。また、仕切り筒211e,211g,211hは、本体ケースカバー212と一体形成されるので、別体で、遮光のための仕切り板を設けることがなく、組立コスト低減を図ることができる。
【0051】
[帰還信号]
<3つの帰還信号>
図14は、充電台200が発信する3つの帰還信号を示す図である。
図14に示すように、充電台200は、赤外線LED231,232,233(
図9参照)がそれぞれ3つの赤外線の帰還信号、すなわち充電台200の中央の領域に向けた狭い領域の中央帰還信号(以下、C信号)と、充電台200の左の領域に向けた広い領域の左側帰還信号(以下、L信号)と、充電台200の右の領域に向けた広い領域の右側帰還信号(以下、R信号)と、を発信する。
図14のハッチング部は、3つの帰還信号(C信号、L信号、R信号)の伝送領域を示している。
図14のハッチング部に示すように、L信号は、左前方に向けて発信される広い領域の帰還信号であり、R信号は、右前方に向けて発信される広い領域の帰還信号である。これに対して、C信号は、充電台200の中央に向けて発信される狭い領域の帰還信号である。C信号の伝送領域とL信号の伝送領域、および、C信号の伝送領域とR信号の伝送領域とは、それぞれ一部重複する。しかし、L信号の伝送領域とR信号の伝送領域とが重複することはない。詳細については、
図16で後記する。
【0052】
次に、充電台200からの帰還信号の伝送について説明する。
<帰還信号のコード>
帰還信号は、高速で赤外線LED231,232,233を点滅させて(約50〜100ms間にON/OFFを数十回繰り返して)作られるコードである。充電台200は、このような帰還信号を3つの赤外線LED231,232,233より伝送する。なお、中央と、右側および左側の帰還信号のコードは異なっており、下記の通りである。
図15は、充電台200が発信する3つの帰還信号(C信号、L信号、R信号)の伝送パターンを示すタイミングチャートである。
図15に示すように、3つの帰還信号(C信号、L信号、R信号)は、1つが送信している間に、他の2つの送信を停止させることで、3つの帰還信号(C信号、L信号、R信号)が重ならないようにしている。帰還信号が重なると、自律走行型掃除機100が何れの帰還信号(C信号、L信号、R信号)でもない別のコードであると認識するおそれがあるため、上記のようにすることでこれを抑制している。
約80msのR信号を伝送した後、約40msの時間を空けて(約40ms間、全ての帰還信号の伝送を停止した後)、約80msのC信号を伝送させる。その後、40msの時間を空けて(約40ms間、全ての帰還信号の伝送を停止した後)、約80msのC信号を伝送させる。その後、40msの時間を空けて(約40ms間、全ての帰還信号の伝送を停止した後)、R信号から同様のタイミングで伝送を繰り返す。これにより、3つの帰還信号(C信号、L信号、R信号)を重ねることなく伝送することができる。
【0053】
このように、3つの帰還信号(C信号、L信号、R信号)をタイミングをずらして伝送している。1つの帰還信号について見れば、約80msの帰還信号のコードを約280ms間隔で伝送を繰り返している。すなわち、1つの帰還信号の伝送を停止している時間は280msであり、伝送している時間に対して時間が長い。これは、家庭内で使われる赤外線信号を用いたテレビ、エアコン、照明機器などの家庭用電化機器のリモコン操作を妨げないためである。具体的には、家庭用電化機器のリモコン信号のコードは一般的に約100〜130ms間隔で伝送されているため、3つの帰還信号のコードの伝送を停止している時間は、130ms以上確保していることが望ましい。
【0054】
図15に示すように、伝送パターンは、R信号とC信号とL信号とを順繰りに伝送させることが望ましい。順繰りに伝送させずに、1つの帰還信号を2回以上連続して伝送させると、3つの帰還信号の伝送を完了させるまでの時間が長くなるので(1サイクルの時間が長くなるので)、帰還信号を取り逃さないためにも、本体110の移動速度を低下させることが好ましい。本体110の移動速度を低下させると、充電台200に帰還するまでの時間が長くなり、充電池Bの電池残量をより低下させてしまうおそれがある。よって、3つの帰還信号を順繰りに伝送させることで、順繰りに伝送させない場合よりも充電台200に帰還するまでの時間を短くすることができ、充電池Bの電池残量の低下を抑えることができるため望ましい。
【0055】
[帰還信号]
<帰還信号の伝送領域>
図16は、充電台200が発信する帰還信号の伝送領域を示す図である。
図16に示すように、充電台200の中央の赤外線LED231(
図9参照)は、充電台200の正面前方の領域に向けてC信号を伝送し、右側の赤外線LED233(
図9参照)は、充電台200の左右幅の略中央から右側前方の領域に向けてR信号を伝送し、左側の赤外線LED232(
図9参照)は充電台200の左右幅の略中央から左側前方の領域に向けてL信号を伝送している。
充電台200周辺の領域は、C信号だけが伝送される中央領域B1、R信号だけが伝送される領域B2、L信号だけが伝送される領域B3、C信号とR信号の両方が伝送される領域B4、C信号とL信号の両方が伝送される領域B5、何れの信号も伝送されない領域B6の6領域に分けることができる。自律走行型掃除機100は、これらの帰還信号を受信し、コードを識別し、自律走行型掃除機100が充電台200に対してどの領域(位置)を走行しているかを判断し、進行方向を決める。特に、C信号だけが伝送される中央領域B1と、C信号とR信号の両方が伝送される領域B4と、C信号とL信号の両方が伝送される領域B5とは重要であり、後記するように、自律走行型掃除機100は、左右の信号が重複しないC信号のみが発信される中央領域B1を辿るように充電台200に帰還する。
【0056】
このように、本実施形態では、C信号だけが伝送される中央領域B1を作成し、C信号のみを受ける経路を追跡させる。すなわち、C信号とR信号、またC信号とL信号の重複した領域B4,B5によって規定される経路を追跡させない。なお、C信号がない従来技術においては、かかる制御自体が存在しない。
【0057】
ここで、C信号とR信号、C信号とL信号のそれぞれの伝送領域の一部が重なるように伝送させる。ただし、これら3つのC信号、R信号、L信号を同時に発信させると、信号自体が重なり合い、信号が乱れ、C信号でもR信号でもL信号でもなくなってしまう。2つの信号が重なった別信号は、どちらか一方の信号がHIGHのときはHIGHになり、両方の信号がLOWのときはLOWになる。そのため、この別信号は2つの信号の伝送タイミングによって異なる信号となる。2つの信号を毎回、同じタイミングで伝送していれば、この別信号は毎回同じコードの信号になるが、タイミングにずれが生じると信号(コード)が乱れ、異なるコードとなり、自律走行型掃除機100が帰還信号として認識できなくなる。特に、赤外線LED231,232,233の点滅が速い場合、発光タイミングが少しずれると全く異なる信号となってしまう。
信号が異なると、自律走行型掃除機100が帰還信号として認識できなくなるだけでなく、他の機器に対して、誤動作を引き起こすことも考えられる。赤外線を用いた家庭用電化機器の信号(例えば、リモコン信号)は、各社、各製品、各動作によって、リモコン信号のコードが割り当てられている。そのため、想定した信号のコードから異なると、他の家庭用電化機器のリモコン信号のコードと同じコードとなるおそれもあり、他の機器を誤動作させることも考えられる。
そこで、
図15を用いて述べたように、3つのC信号、L信号、R信号は、1つが送信している間に、他の2つの送信を停止させることで、3つのC信号、L信号、R信号が重ならないようにしている。
【0058】
以下、上述のように構成された自律走行型掃除機システム1の動作について説明する。
自律走行型掃除機100は、主に部屋A(
図17参照)の中で使用され、部屋Aの中を「掃除走行制御」と「帰還走行制御」の2つの主な走行制御で自律走行する。「掃除走行制御」は、サイドブラシ140を回転させるとともに、床面上の塵埃を掻取りブラシ131で取り込み、送風機163で吸引して集塵ケース114に回収しながら、自律走行させている。
「掃除走行制御」による掃除が一定時間経過した、もしくは充電池Bの電池残量が所定の値以下に達した場合に、「掃除走行制御」から「帰還走行制御」に自動で移行する。もしくは、掃除モード選択ボタン(図示省略)により帰還走行モードが指示された場合に「帰還走行制御」を行う。
「帰還走行制御」は、
図17のように、自律走行型掃除機100を充電台200まで移動させる走行制御である。自律走行型掃除機100が充電台200に帰還することで、充電池Bは充電される。この「帰還走行制御」を行う上で、充電台200は自律走行型掃除機100を充電台200に誘導する帰還信号を送信している。この帰還信号を自律走行型掃除機100は受信し、制御装置150により充電台200の位置を推測し(もしくは、充電台200に対する自律走行型掃除機100の位置を推測し)、進行方向を決め、駆動輪121を駆動させる。
【0059】
図17は、「帰還走行制御」を説明する説明図である。「帰還走行制御」は、「帰還信号探索走行」と「帰還信号追従走行」とから構成される。
図17に示すように、自律走行型掃除機100は、部屋Aの中で使用される。充電台200は、部屋Aを区画する壁Wの近傍など、掃除の妨げにならない位置に配置されている。
図17の例では、自律走行型掃除機100は、一時的な探索走行後(
図17の細破線矢印参照)、壁Wを検知して壁際(壁遠)一周走行する(
図17の太破線矢印参照)。壁Wが途切れると、ランダムな探索走行(
図17の細破線矢印参照)を行い、再び、壁Wを捉えると、壁際(壁遠)走行を行う(
図17の太破線矢印参照)。そして、自律走行型掃除機100は、壁Wの近傍に設置された充電台200を見付けると、帰還信号追従走行に移行する(
図17の太実線矢印参照)。
【0060】
図18は、「帰還信号追従走行」を説明する説明図である。
図18中の太破線矢印は、自律走行型掃除機100の受信部(本体110先頭)の動きを示している。
<Step1>
自律走行型掃除機100は、帰還信号を受信すると、C信号の中央領域B1を受信するように移動する。
図18の場合、受信した状態から緩やかにカーブしながらC信号の中央領域B1に移動する(
図18の符号a参照)。
左位置・前向き/右位置・後向きでは、右曲がりとなる。右位置・前向き/左位置・後向きでは、左曲がりとなる。ここで、左位置とは、L信号を受信可能な領域にある場合を意味し、右位置とは、R信号を受信可能な領域にある場合を意味する。前向きとは、受信器172が信号を受信している場合を意味し、後向きとは、受信器172が信号を受信していない場合を意味する。
【0061】
<Step2>
自律走行型掃除機100は、本体110中心を中央領域B1に移動する(
図18の符号b参照)。具体的には、本体110幅の約半分の距離を前進させ、本体110中心を中央領域B1に移動する。
【0062】
<Step3>
自律走行型掃除機100は、その場で回転し、本体110先頭を中央領域B1に移動する(
図18の符号c参照)。その場で回転とは、本体の中心とは異なる位置を回転中心とした回転が好ましいが、本体の中心を回転中心とした回転でもよい。
なお、左位置では、右回り、右位置では左回りとなる。
【0063】
<Step4>
自律走行型掃除機100は、中央領域B1に沿って充電台200に移動する(
図18の符号d参照)。
各センサともC信号のみを受け付ける状態を維持するように制御する。なお、帰還信号と受信器の関係は、
図16で示している。例えば、C信号のみを受信可能な領域からL信号及びC信号を受信可能な領域に差し掛かったことを検知したら、進路を時計回りに90°以上かつC信号のみを受信可能な領域に至るまで変更するように移動し、C信号のみを受信可能な領域からR信号およびC信号を受信可能な領域に差し掛かったことを検知したら、進路を反時計回りに90°以上かつC信号のみを受信可能な領域に至るまで変更するように制御することができる。
【0064】
<Step5>
自律走行型掃除機100は、充電台200に所定距離(測距センサ152の検知可能範囲内、例えば80mm)まで近づいた場合、充電台200が目前にあると判定する。自律走行型掃除機100は少なくともこの時点で減速しており、充電台200の突出し部213と本体110の凹部116とのメカ的誘導により、受電端子145を給電端子214に接続する(
図18の符号e参照)。具体的には、本体110は単に前進するだけで、突出し部213が凹部116に嵌まり込み、突出し部213の上面213aから突出した受電端子145が、凹部116の底面116aに設置された給電端子214と接続され、給電される。
【0065】
<Step6>
自律走行型掃除機100は、充電台200に接続できなかった場合は、Uターンして、さきほど充電台200への接続を試みた位置よりも後方(例えば50cm以上離れた位置)から再度やり直す。
【0066】
[帰還走行制御]
自律走行型掃除機システム1における「帰還走行制御」を、
図19および
図20を用いて説明する。
図19は、「帰還走行制御」を示すフローチャートである。本フローは、自律走行型掃除機100の制御装置150が制御プログラムに従い所定タイミングで繰り返し実行する。
図20は、「帰還走行制御」の説明図である。
【0067】
「帰還走行制御」は、充電台200に自律走行型掃除機100を帰還させることが主目的であり、充電池Bの電池残量が極端に低下して、走行できなくなり、充電台200に帰還できなくなることを防ぐため、サイドブラシ140の回転速度、掻取りブラシ131の回転速度、送風機163の吸引力を低下または停止させ、消費電力を抑えて自律走行させる。
上述したように、「帰還走行制御」は、「掃除走行制御」による掃除が一定時間経過した、もしくは充電池Bの電池残量が所定の値以下に達した場合に、「掃除走行制御」から「帰還走行制御」に自動で移行し、動作を開始する。
【0068】
まず、ステップS1で帰還信号を受信したか否かを判別する。
帰還信号を受信した場合(ステップS1:Yes)、本フローを抜けて帰還信号追従走行(
図21参照)に移行する。
帰還信号を受信していない場合(ステップS1:No)、ステップS2で制御装置150は、自律走行型掃除機100を壁際走行させる(
図20の符号f参照)。
図20の例では、自律走行型掃除機100は、奥側の壁Wに設置された充電台200の帰還信号(C信号、L信号、R信号)を受信する位置になく、この位置で「帰還走行制御」が実行された。この場合、自律走行型掃除機100は、手前および右側の壁Wを辿って壁際走行する。ちなみに、「帰還走行制御」の壁際走行は、掃除中の壁際走行における壁との距離より遠い所を走行する。具体的には、充電台200の前後寸法より大きい距離離れて走行する。これにより、自律走行型掃除機100は、壁際に設置されている充電台200の前側を走行することになるため、通常の壁際走行と異なり、帰還時の壁際走行では、帰還信号を受信可能な位置を走行できる。
また、自律走行型掃除機100は、帰還時の壁際走行における壁からの離間距離(掃除機本体の壁側の端部から壁までの距離、または、帰還信号を受信するセンサの検知領域の端部から壁までの距離)が、充電台200の前後寸法よりも大きいことが好ましい。
【0069】
ステップS3で制御装置150は、帰還信号を受信して充電台200を検出する(
図20の符号g参照)。
ステップS4で制御装置150は、自律走行型掃除機100を後退させる(
図20の符号g参照)。
ステップS5で制御装置150は、自律走行型掃除機100を壁から離れる方向に回転、例えば90度回転させる(
図20の符号h参照)。この回転の回転中心の位置は、本体中心またはこれより壁から離れた位置であれば特に制限されない。
ステップS6で制御装置150は、自律走行型掃除機100を、壁際走行していた方向に向けて旋回、例えば75度旋回(
図20の符号i参照)させて帰還信号追従走行(
図21参照)に移行する。
【0070】
[帰還信号追従走行]
図21は、「帰還信号追従走行」を示すフローチャートである。
図22は、「帰還信号追従走行」の説明図である。
【0071】
「帰還信号追従走行」は、
図19のステップS6で自律走行型掃除機100の本体110を75度旋回させて帰還信号の領域に入った場合(帰還信号の受信)、また
図22の符号fに示すように、本体110を壁際走行している際、帰還信号を受信する場合(
図22の符号j参照)がある。あるいは、掃除終了一定時間経過後や充電池Bの電池残量が少ない時などで、「帰還走行制御」に移行する際、自律走行型掃除機100が帰還信号の領域に既に存在している場合がある。
まず、ステップS11で制御装置150は、本体110を緩やかに円弧を描くようにC信号の中央領域に移動させる(
図22の符号k参照)。
ステップS12で制御装置150は、本体110幅の約半分の距離を前進させ、本体110の中央付近をC信号まで移動させる(
図22の符号l参照)。
ステップS13で制御装置150は、その場で回転し、本体110が充電台の正面を向くようにする(
図22の符号m参照)。このときのその場での回転は、回転中心が本体中心と一致することが好ましい。
【0072】
ステップS14で制御装置150は、C信号のみが送信される領域から出ないように車輪を制御しながら前進させる(
図22の符号n参照)。すなわち、C信号のみが送信される領域から出たら戻るように制御する。具体的には、前記
図18の符号dに示すように、中央領域B1に沿って、C信号のみが送信される領域から出たら戻るように充電台200に移動させる。
ステップS15で制御装置150は、本体110の測距センサ152(
図7参照)で充電台200までの距離を計測し、充電台200との距離が所定の距離まで近づいたら前進する。
ステップS16で制御装置150は、受電端子145(
図2参照)が給電端子214(
図8参照)に接続されたか否かを判別する。
給電端子214に接続された場合(ステップS16:Yes)、帰還制御を終了する。
給電端子214に接続されない場合(ステップS16:No)、修正工程(
図23参照)に移行する。
【0073】
上述した「帰還信号追従走行」について補足して説明する。
中央受信器171または受信器172が充電台200からの帰還信号を受信していない状態においては、本体110を超信地旋回させて進行方向を変える走行パターンを行う。そのときの走行速度は、走行中に帰還信号を取り逃さないためにも、掃除走行制御時の最高速度より遅い速度で走行させる。
走行している間に、中央受信器171または受信器172が充電台200からの帰還信号を受信した場合、直進動作(
図22の符号j参照)から大きな円弧を描くように本体110を前進させる動作(
図22の符号k参照)に変更し、中央領域B1(
図18参照)に、本体110を移動させる。このとき本体110がR信号を受信している場合は、左側に大きな円弧を描くように本体110を移動させ、L信号を受信している場合は、右側に大きな円弧を描くように本体110を移動させる。ただし、中央受信器171のみが帰還信号を受信している場合は、本体110が充電台200に対して後を向いている状態であり、本体110を超信地旋回させ、右側受信器172Rもしくは左側受信器172Lが帰還信号を受信する状態にした後に、前記大きな円弧を描く前進動作に移行させる。また、前記大きな円弧を描く前進動作において、C信号とL信号またはC信号とL信号の両方を受信できる領域B4,B5(
図18参照)は狭いため、帰還信号を取り逃さないためにも、前進速度をさらに遅くさせる方が望ましい。
【0074】
その後、本体110の正面が充電台200の正面、すなわち中央領域B1(
図18参照)の範囲から外れないように、中央受信器171がC信号のみを受信した状態を保つように充電台200に向かって前進させる。この走行制御は、充電台200の給電端子214と本体110の受電端子145を接触させるために必要であり、本体110が充電台200近傍まで近づいたときに、充電台200の正面からずれ、給電端子214と受電端子145は接触しなくなることを防ぐ。
上述したように、接続時には、メカ的誘導を導入することで、高精度帰還制御を用いることなく、給電端子214の接続を迅速かつ確実に行うことができる。
【0075】
自律走行型掃除機100は、上記帰還走行制御を行いながら充電台200に向かって前進していると、充電台200近傍で本体110の底面が充電台200の突出し部213に乗り上げる。そして、本体110の底面に設けた受電端子145と充電台200の給電端子214が接して電気的導通が確認されると、自律走行型掃除機100は走行を停止させるとともに、サイドブラシ140、掻取りブラシ131の回転、送風機163の運転を停止させ、帰還走行制御を終了させる。その後、充電台200は本体110の充電池Bへ電力を供給し始める。
【0076】
上記帰還走行制御において、左右の信号が重複しないC信号のみが発信される中央領域B1は重要であり、その中央領域B1で帰還信号の誤判定を起こさないことが求められる。そのため、本実施形態では、
図15に示すようにC信号、R信号、L信号を重複させずに、交互に伝送させることで、帰還信号の乱れを抑えて誤判定を防ぐようにしている。そして、本体110を、左右の信号が重複しないC信号のみが発信される中央領域B1を辿るように充電台200に帰還させる。
【0077】
[修正工程]
図23は、帰還制御の修正工程を示すフローチャートである。
図24は、帰還制御の修正工程の説明図である。
「帰還信号追従走行」において、充電台200の給電端子214(
図8参照)と本体110の受電端子145(
図2参照)を接触できなかった場合に実行される。
まず、ステップS21で制御装置150は、
図24(a)の矢印に示すように、本体110を左右に揺動させる。本体110を左右に揺動させることで、本体110および駆動輪121等の床面との位置関係を微妙に変化させて、同じ状態での修正工程を繰り返すことを防ぎ、修正工程の実効を図る。なお、この本体110の向きを変えるときに、本体110を後退させてもよい。
【0078】
ステップS22で制御装置150は、受電端子145(
図2参照)が給電端子214(
図8参照)に接続されたか否かを判別する。
給電端子214に接続された場合(ステップS22:Yes)、帰還制御を終了する。
給電端子214に接続されない場合(ステップS22:No)、ステップS23で制御装置150は、本体110を所定距離(例えば、200mm)後退させ、その後、
図24(b)の矢印に示すように、本体110を帰還信号追従走行させる。
【0079】
ステップS24で制御装置150は、再び、受電端子145が給電端子214に接続されたか否かを判別する。
給電端子214に接続された場合(ステップS24:Yes)、帰還制御を終了する。
給電端子214に接続されない場合(ステップS24:No)、ステップS25で制御装置150は、本体110を所定距離(例えば、100mm)後退させる。
ステップS26で制御装置150は、
図24(c)に示すように、本体110をその場で180度回転させる。
ステップS27で制御装置150は、
図24(c)の矢印に示すように、本体110を所定距離(例えば、500mm)前進させる。180度回転させた後の前進であるので、本体110は充電台200から離れることになる。
【0080】
ステップS28で制御装置150は、
図24(d)に示すように、本体110をその場で180度回転させる。
ステップS29で制御装置150は、
図24(d)の矢印に示すように、本体110を帰還信号追従走行させる。
ステップS30で制御装置150は、再度、受電端子145が給電端子214に接続されたか否かを判別する。
給電端子214に接続された場合(ステップS30:Yes)、帰還制御を終了する。
給電端子214に接続されない場合(ステップS30:No)、上記ステップS21に戻って給電端子214に接続されるまで修正工程を繰り返す。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係る自律走行型掃除機システム1は、充電池Bを駆動源として自律走行する自律走行型掃除機100と、充電池Bに電力を供給する充電台200と、を備える。充電台200(
図9ないし
図12参照)は、本体ケース211から先端に行くに従い細くなる突出し部213と、突出し部213の表面から突出する給電端子214と、を備え、自律走行型掃除機100は、給電端子214に接続する受電端子145を収容する凹部116を備える。自律走行型掃除機100の充電台200への接続時、突出し部213は、凹部116に嵌まり込み、凹部116内を移動(摺動)して受電端子145を給電端子214までメカ的に誘導する。
【0082】
この構成により、自律走行型掃除機100の充電台200への接続時、本体110は単に前進するだけで、突出し部213が凹部116(
図2および
図3参照)に嵌まり込み、その後、突出し部213が凹部116内を移動(摺動)して凹部116の所定位置まで案内する。そして、突出し部213の上面213aから突出した受電端子145が、凹部116の底面116aに設置された給電端子214と接続され、給電される。また、給電端子214に設けられた突起部214aが、受電端子145と点接触するので、給電端子214と受電端子145との位置関係に拘わらず確実に給電を行うことができる。
このように、最終接続時には、メカ的誘導を導入することで、高精度帰還制御を用いることなく、給電端子214の接続を迅速かつ確実に行うことができる。ちなみに、高精度帰還制御によって帰還性能を高めようとすると、高精度の位置取得や制御精度向上(制御資源の高度化)が要求され、低コスト化の妨げとなる。本実施形態では、接続時のメカ的誘導強化によって、帰還性能を向上させることができる。帰還性能の向上は、具体的には一発で帰還できることにつながる。
【0083】
本実施形態は、充電台200の底面両脇を削除し、床面との間に隙間を設けるサイドブラシ退避構造において、下記の特徴を有する。すなわち、充電台200の突出し部213(
図8ないし
図10参照)は、本体ケース211の底部よりも所定距離以上高い高床式の突出し部底部213bと、部底部213bから床面に接する位置まで傾斜し、かつ、本体110の充電台200への接続時、本体110のサイドブラシ140(
図1および
図2参照)の刷毛を纏めるように傾斜する傾斜面部216(
図10参照)と、を備える。
この構成により、充電台200への接続時にサイドブラシ140が曲がった状態で保管されることを防止することができる。また、外方から旋回して収容されるサイドブラシ140は、床面と傾斜面部216との間で、刷毛を纏めるように挟み込まれるので、刷毛の乱れを整えることができる。これにより、サイドブラシ140の刷毛の浮きを抑え、次回の運転時にはしっかりと床面に接するようにできる。
【0084】
従来では、壁際走行時に充電台側面に接触し、約30mm移動することもあった。本実施形態では、本体110の正面前方に3個、本体斜め前に1個ずつの5個の測距センサ152を用いる。特に本体斜め前に測距センサ152を設けることで、本体110が充電台200に側面から近づく場合に、充電台200をより確実に検出できるようにする。また、充電台200の側面は、白色系とすることで、測距センサ152の認識率を向上させている。これらにより、本体110が充電台200に側面から近づく場合の認識率を高めて、壁際走行時に充電台200の側面に本体110が接触することを防止することができる。
【0085】
本実施形態では、充電台200の突出し部213は、正極と負極の2極の給電端子214に対応して2つに分岐し、分岐の基部はベース板215である。ベース板215は、充電台本体である本体ケース111から前方に延設されており、自律走行型掃除機100の補助輪123の移動範囲は、自律走行型掃除機100の充電台200への接続時、ベース板215に当接しない範囲までとなっている。これにより、本体110の小型化を図ることができる。また、補助輪123に接触しない範囲でベース板215の底部をできるだけ広くとり、その底部の三角形の頂点付近にゴムシート218を貼付けているので、充電台200を安定して設置することができる。
【0086】
本実施形態では、本体ケース211の前側に大きなRを付けているので、本体ケース211を薄型としても、踏みづらくすることができる。
【0087】
本実施形態では、充電台200の通電状態を報知するパイロットランプ234を、本体ケース211の曲面部略中央に設けることで、斜め上からの視認性を向上させることができる。
【0088】
本実施形態では、本体ケース211内に収容する高電圧部品221を電子基板220の下部側に配置することで、本体ケース211の重心をより低くし、充電台200を安定して設置することができる。
【0089】
本実施形態では、本体ケース211の前側は、中身が見えないように黒色系とし、側面は白色系とすることで、測距センサ152の認識率を高くすることができる。
【0090】
本実施形態では、C信号とR信号とL信号とを互いにタイミングをずらして発信するので、帰還信号の乱れを抑えて誤判定を防ぐことができる。他の機器との混信を生じにくくすることができる。
【0091】
本実施形態では、C信号が伝送される領域の一部にR信号が伝送される領域の一部が重なるように伝送するとともに、C信号が伝送される領域の一部にR信号が伝送される領域の一部が重なるように伝送するので、3信号で6領域を作り出すことができ、詳細に制御することが可能になる。すなわち、6領域B1〜B6を用いることで、より精密な誘導が可能となり帰還性能の向上を図ることができる。
【0092】
本実施形態では、C信号の伝送領域の面積は、R信号の伝送領域とL信号の伝送領域が共に重ならない領域の面積より狭いので、移動距離の短い経路に誘導することが可能となり帰還性能の向上を図ることができる。
【0093】
本実施形態では、自律走行型掃除機100は、C信号の伝送領域のうち、R信号およびL信号の伝送領域が重ならない領域を辿るように充電台200に帰還するので、最も移動距離の短い経路を追従走行することで帰還性能の向上を図ることができる。
【0094】
本実施形態では、自律走行型掃除機100は、本体110の幅方向に異ならせた位置に配置された中央受信器171および受信器172と、中央受信器171および受信器172がそれぞれ受信した充電台200からC信号とR信号とL信号とに基づいて、本体110を充電台200へ帰還させる帰還制御を行う制御装置150と、を備える。これにより、2つの受信器が3つの帰還信号をそれぞれ検出するので、12通りの受信状態を作り出すことができ、より詳細に制御することが可能になる。帰還性能の向上を図ることができる。
【0095】
本実施形態では、本体110の略中央に設置された広い指向性の中央受信器171と、中央受信器171より右側もしくは左側に所定距離離隔して設置された狭い指向性の受信器172と、を備える。これにより、簡素な構成で受信部を構成することができる。
【0096】
本発明は上記の実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【0097】
上記した実施形態例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。