特許第6571053号(P6571053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571053施設検索装置、施設検索方法、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムを記録した記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571053
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】施設検索装置、施設検索方法、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムを記録した記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/29 20190101AFI20190826BHJP
   G06F 16/248 20190101ALI20190826BHJP
【FI】
   G06F16/29
   G06F16/248
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-159330(P2016-159330)
(22)【出願日】2016年8月15日
(65)【公開番号】特開2018-28732(P2018-28732A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100188411
【弁理士】
【氏名又は名称】阪下 典子
(72)【発明者】
【氏名】太田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】田川 達司
【審査官】 吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−074207(JP,A)
【文献】 特開2007−109015(JP,A)
【文献】 特開2006−031209(JP,A)
【文献】 特開2012−141681(JP,A)
【文献】 特開2013−137683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00−16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に関する情報を格納する施設データベースと、検索クエリの入力を受け付ける入力受付部と、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索部と、該施設検索部で検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定部と、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力部と、を備える施設検索装置であって、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて格納する属性データベースと、
前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定部と、
前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できないとき、前記属性データベースを参照して、前記入力を受け付けた検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定部と、
前記施設検索部で検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアを付与する属性スコア付与部と、を備え、
前記出力順位決定部は、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力部は、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索部で検索された施設を出力する、
施設検索装置。
【請求項2】
前記第1のルールは形態素解析の手法である、請求項1に記載の施設検索装置。
【請求項3】
前記検索クエリが要素分解できないとは、前記検索クエリが、複数の形態素解析できない要素用語と該要素用語間に存在するスペース及び/又はカンマとから構成されていることを意味する、
請求項1又は2に記載の施設検索装置。
【請求項4】
前記属性スコア付与部は、前記特定部で特定された属性ごとに異なる属性スコアを付与する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の施設検索装置。
【請求項5】
前記入力を受け付けた検索クエリが複数の要素用語を含むとき、前記属性スコア付与部は、前記要素用語が入力された順に高い属性スコアを付与する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の施設検索装置。
【請求項6】
施設に関する情報を格納する施設データベースと、検索クエリの入力を受け付ける入力受付部と、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索部と、該施設検索部で検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定部と、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力部と、を備える施設検索装置であって、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて格納する属性データベースと、
前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定部と、
前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できるとき、該検索クエリを要素分解する要素分解部と、
前記属性データベースを参照して、前記要素分解された検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定部と、
前記施設検索部で検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアに1未満の係数を乗算して得られた属性スコアを付与する属性スコア付与部と、を備え、
前記出力順位決定部は、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力部は、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索部で検索された施設を出力する、
施設検索装置。
【請求項7】
施設に関する情報を施設データベースに格納する第1の格納ステップと、検索クエリの入力を受け付ける入力受付ステップと、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索ステップと、該施設検索ステップで検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定ステップと、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力ステップと、を備える施設検索方法であって、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて属性データベースに格納する第2の格納ステップと、
判定部が、前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定ステップと、
特定部が、前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できないとき、前記属性データベースを参照して、前記入力を受け付けた検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定ステップと、
属性スコア付与部が、前記施設検索ステップで検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアを付与する属性スコア付与ステップと、を備え、
前記出力順位決定ステップでは、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力ステップでは、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索ステップで検索された施設を出力する、
施設検索方法。
【請求項8】
前記第1のルールは形態素解析の手法である、請求項7に記載の施設検索方法。
【請求項9】
前記検索クエリが要素分解できないとは、前記検索クエリが、複数の形態素解析できない要素用語と該要素用語間に存在するスペース及び/又はカンマとから構成されていることを意味する、
請求項7又は8に記載の施設検索方法。
【請求項10】
前記属性スコア付与ステップでは、前記特定ステップで特定された属性ごとに異なる属性スコアを付与する、請求項7〜9のいずれか一項に記載の施設検索方法。
【請求項11】
前記入力を受け付けた検索クエリが複数の要素用語を含むとき、前記属性スコア付与ステップでは、前記要素用語が入力された順に高い属性スコアを付与する、請求項7〜10のいずれか一項に記載の施設検索方法。
【請求項12】
施設に関する情報を施設データベースに格納する第1の格納ステップと、検索クエリの入力を受け付ける入力受付ステップと、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索ステップと、該施設検索ステップで検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定ステップと、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力ステップと、を備える施設検索方法であって、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて属性データベースに格納する第2の格納ステップと、
判定部が、前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定ステップと、
要素分解部が、前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できるとき、該検索クエリを要素分解する要素分解ステップと、
特定部が、前記属性データベースを参照して、前記要素分解された検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定ステップと、
属性スコア付与部が、前記施設検索ステップで検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアに1未満の係数を乗算して得られた属性スコアを付与する属性スコア付与ステップと、を備え、
前記出力順位決定ステップでは、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力ステップでは、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索ステップで検索された施設を出力する、
施設検索方法。
【請求項13】
コンピュータを、施設に関する情報を施設データベースに格納する第1の格納手段と、検索クエリの入力を受け付ける入力受付手段と、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索手段と、該施設検索手段で検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定手段と、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力手段、として機能させるコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて属性データベースに格納する第2の格納手段と、
前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できないとき、前記属性データベースを参照して、前記入力を受け付けた検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定手段と、
前記施設検索手段で検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアを付与する属性スコア付与手段、として機能させ、
前記出力順位決定手段は、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力手段は、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索手段で検索された施設を出力する、
コンピュータプログラム。
【請求項14】
前記第1のルールは形態素解析の手法である、請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記検索クエリが要素分解できないとは、前記検索クエリが、複数の形態素解析できない要素用語と該要素用語間に存在するスペース及び/又はカンマとから構成されていることを意味する、
請求項13又は14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記属性スコア付与手段は、前記特定手段で特定された属性ごとに異なる属性スコアを付与する、請求項13〜15のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記入力を受け付けた検索クエリが複数の要素用語を含むとき、前記属性スコア付与手段は、前記要素用語が入力された順に高い属性スコアを付与する、請求項13〜16のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
コンピュータを、施設に関する情報を施設データベースに格納する第1の格納手段と、検索クエリの入力を受け付ける入力受付手段と、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索手段と、該施設検索手段で検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定手段と、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力手段、として機能させるコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて属性データベースに格納する第2の格納手段と、
前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できるとき、該検索クエリを要素分解する要素分解手段と、
前記属性データベースを参照して、前記要素分解された検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定手段と、
前記施設検索手段で検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアに1未満の係数を乗算して得られた属性スコアを付与する属性スコア付与手段、として機能させ、
前記出力順位決定手段は、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力手段は、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索手段で検索された施設を出力する、
コンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか一項に記載のコンピュータプログラムを記録する記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設検索装置、施設検索方法、コンピュータプログラム及びコンピュータプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット及び移動体端末装置の普及と相まって、カーナビゲーション装置やスマートフォン等の移動体端末装置を利用した目的地検索が日常的に行われている。そして、この目的地検索は、一般に、目的地の地名や施設名を入力して行われている。これに関連する技術として、特許文献1では、施設データベースから目的地の候補となる施設を検索する検索部を備えるナビゲーション装置であって、複数の文字列の入力を受け付けたとき、夫々の文字列が属する検索分野を認識し、各文字列を検索キーとした検索について、その組合せパターンに予め割り当てられた優先順位に従い、優先度の高い検索項目から検索結果として提示するナビゲーション装置が開示されている。
本発明に関連する従来技術を開示する特許文献2〜4も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5400179号公報
【特許文献2】特開2011−209239号公報
【特許文献3】特許第5315485号公報
【特許文献4】特開2012−059126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、検索ユーザの意図、目的をより現実的に反映させるべく鋭意検討を重ねてきた結果、次のことに気がついた。検索ユーザが、検索クエリとして、「博多ラーメン」等一連の文字列を入力した場合には、博多ラーメンを提供する店舗を検索している可能性が高い。一方、「博多(スペース)ラーメン」等スペース等で区切られた文字列を入力した場合には、博多ラーメンを提供する店舗の他、博多に位置するラーメン店を検索している可能性が高い。すなわち、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」の場合には、検索ユーザはエリアを意図して「博多」、飲食店を意図して「ラーメン」を入力している可能性が高い。
そこで、本発明者らは、検索ユーザからの入力を受け付けた検索クエリについて施設検索して施設及び出力順位を決定するための一般スコアを取得する一方、該検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定し、要素分解できないときには、検索クエリを構成する文字列に相応する属性を特定し、該属性に相応する施設情報中に該文字列を含む施設に属性スコアを付与し、該属性スコアを一般スコアに反映させて出力順位を決定することで、検索ユーザの意図、目的を検索結果の出力順位に反映させることができることに想到した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
施設に関する情報を格納する施設データベースと、検索クエリの入力を受け付ける入力受付部と、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索部と、該施設検索部で検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定部と、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力部と、を備える施設検索装置であって、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて格納する属性データベースと、
前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定部と、
前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できないとき、前記属性データベースを参照して、前記入力を受け付けた検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定部と、
前記施設データベースを参照し、前記施設検索部で検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアを付与する属性スコア付与部と、を備え、
前記出力順位決定部は、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力部は、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索部で検索された施設を出力する、
施設検索装置。
【0006】
このように規定される第1の局面の施設検索装置によれば、入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定し、該判定の結果、該入力を受け付けた検索クエリが要素分解できないとき、属性識別用語と該属性識別用語に対応する属性と該属性に関する属性スコアとを関連付けて格納する属性データベースを参照して、該入力を受け付けた検索クエリと合致する該属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する。そして、施設データベースを参照し、該検索クエリに基づき施設検索部で検索された施設のうち、該特定された属性に関連する施設に該特定された属性スコアを付与する。検索された施設の出力順位を決定する一般スコアに上記付与された属性スコアを反映させて出力順位を決定し、該決定された出力順位に基づいて施設検索部で検索された施設を出力する。このようにして検索された施設の出力順位によれば、検索クエリを構成する要素用語の属性を反映することができるため、検索ユーザの意図、目的に沿った施設を検索結果の上位に出力することができる。
【0007】
ここで、前記第1のルールは形態素解析の手法とすることができる(第2の局面)。
形態素解析とは、形態素から構成される文字列を各形態素に分割する作業を意味する。
また、前記検索クエリが要素分解できないとは、前記検索クエリが、複数の形態素解析できない要素用語と該要素用語間に存在するスペース及び/又はカンマとから構成されていることを意味する(第3の局面)。
要素用語とは形態素解析できない形態素と同等単位であり、要素用語であるか否かの判定は、予め用意された形態素辞書に登録されている形態素と照合することにより判定することができる。要素用語である用語の例として、「博多」、「ラーメン」等が挙げられ、要素用語でない用語の例として「博多ラーメン」等が挙げられる。
要素用語と要素用語との間に存在する記号としては、スペース、カンマの他、ハイフン、アンダーバー、スラッシュ等であってもよい。
【0008】
また、前記入力を受け付けた検索クエリが複数の要素用語を含むとき、前記属性スコア付与部は、前記要素用語が入力された順に高い属性スコアを付与することができる(第5の局面)。
検索クエリが複数の要素用語を含むとき、検索ユーザの意図、目的は先に入力された要素用語により大きく反映されていると考えられる。そこで、検索クエリを構成する要素用語のうち、前方に位置する要素用語に基づいて付与される属性スコアの値により大きい1を超える係数を乗算する等して、前方の要素用語の属性をより大きく反映させた出力順位とすることで、検索ユーザの意図、目的をより大きく反映させる。
【0009】
前記属性スコア付与部は、前記特定部で特定された属性ごとに異なる属性スコアを付与することとしてもよい(第4の局面)。
例えば、属性データベース内に、属性ごとに異なる属性スコアを属性と関連付けて格納することにより、属性ごとに異なる属性スコアを付与することができる。例えば、属性「エリア」の属性スコアを大きく設定することによって、検索された施設のうち検索クエリに含まれるエリアに関する要素用語の影響をより大きく反映した出力順位で検索結果を提供することができる。他の例として、当該施設検索装置を備えるナビゲーション装置の現在位置が該エリアに関する要素用語と相応するとき、属性「エリア」の属性スコアを大きく設定する等してもよい。例えば、現在位置が「博多」であり、検索クエリが「博多(スペース)ラーメン」であるとき、検索ユーザは博多に位置するラーメン屋を検索している可能性が高いため、エリアに相応する施設住所に「博多」が含まれているラーメン屋が上位になるよう、属性「エリア」の属性スコアに1を超える係数を乗算する等することができる。
【0010】
この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
施設に関する情報を格納する施設データベースと、検索クエリの入力を受け付ける入力受付部と、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索部と、該施設検索部で検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定部と、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力部と、を備える施設検索装置であって、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて格納する属性データベースと、
前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定部と、
前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できるとき、該検索クエリを要素分解する要素分解部と、
前記属性データベースを参照して、前記要素分解された検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定部と、
前記施設検索部で検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアに1未満の係数を乗算して得られた属性スコアを付与する属性スコア付与部と、を備え、
前記出力順位決定部は、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力部は、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索部で検索された施設を出力する、
施設検索装置。
【0011】
このように規定される第6の局面の施設検索装置によれば、入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定し、該判定の結果、該入力を受け付けた検索クエリが要素分解できるとき、該検索クエリを要素分解し、属性識別用語と該属性識別用語に対応する属性と該属性に関する属性スコアとを関連付けて格納する属性データベースを参照して、該要素分解された検索クエリと合致する該属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する。そして、施設データベースを参照し、該検索クエリに基づき施設検索部で検索された施設のうち、該特定された属性に関連する施設に該特定された属性スコアに1未満の係数を乗算して得られた属性スコアを付与する。検索された施設の出力順位を決定する一般スコアに上記付与された属性スコアを反映させて出力順位を決定し、該決定された出力順位に基づいて施設検索部で検索された施設を出力する。入力された検索クエリが各要素用語に要素分解できる場合であっても、要素分解できない場合に比べ度合いは低いものの、検索ユーザは各要素用語の属性を意識しながら該要素用語を入力している場合もある。上記のようにして検索された施設の出力順位によれば、要素分解できる場合にも各要素用語の属性を施設の出力順位に反映させつつも、要素分解できない場合に比べ低めに反映させることができる。
【0012】
また、この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
施設に関する情報を施設データベースに格納する第1の格納ステップと、検索クエリの入力を受け付ける入力受付ステップと、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索ステップと、該施設検索ステップで検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定ステップと、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力ステップと、を備える施設検索方法であって、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて属性データベースに格納する第2の格納ステップと、
判定部が、前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定ステップと、
特定部が、前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できないとき、前記属性データベースを参照して、前記入力を受け付けた検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定ステップと、
属性スコア付与部が、前記施設検索ステップで検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアを付与する属性スコア付与ステップと、を備え、
前記出力順位決定ステップでは、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力ステップでは、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索ステップで検索された施設を出力する、
施設検索方法。
このように規定される第7の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0013】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の方法において、前記第1のルールは形態素解析の手法である。
このように規定される第8の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0014】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第7又は第8の局面に規定の方法において、前記検索クエリが要素分解できないとは、前記検索クエリが、複数の形態素解析できない要素用語と該要素用語間に存在するスペース及び/又はカンマとから構成されていることを意味する。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0015】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第7〜第9のいずれかの局面に規定の方法において、前記属性スコア付与ステップでは、前記特定ステップで特定された属性ごとに異なる属性スコアを付与する。
このように規定される第10の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0016】
この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
第7〜第10のいずれかの局面に規定の方法において、前記入力を受け付けた検索クエリが複数の要素用語を含むとき、前記属性スコア付与ステップでは、前記要素用語が入力された順に高い属性スコアを付与する。
このように規定される第11の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0017】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、
施設に関する情報を施設データベースに格納する第1の格納ステップと、検索クエリの入力を受け付ける入力受付ステップと、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索ステップと、該施設検索ステップで検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定ステップと、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力ステップと、を備える施設検索方法であって、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて属性データベースに格納する第2の格納ステップと、
判定部が、前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定ステップと、
要素分解部が、前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できるとき、該検索クエリを要素分解する要素分解ステップと、
特定部が、前記属性データベースを参照して、前記要素分解された検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定ステップと、
属性スコア付与部が、前記施設検索ステップで検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアに1未満の係数を乗算して得られた属性スコアを付与する属性スコア付与ステップと、を備え、
前記出力順位決定ステップでは、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力ステップでは、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索ステップで検索された施設を出力する、
施設検索方法。
このように規定される第12の局面の発明によれば、第6の局面と同等の効果を奏する。
【0018】
更に、この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、
コンピュータを、施設に関する情報を施設データベースに格納する第1の格納手段と、検索クエリの入力を受け付ける入力受付手段と、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索手段と、該施設検索手段で検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定手段と、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力手段、として機能させるコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて属性データベースに格納する第2の格納手段と、
前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できないとき、前記属性データベースを参照して、前記入力を受け付けた検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定手段と、
前記施設検索手段で検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアを付与する属性スコア付与手段、として機能させ、
前記出力順位決定手段は、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力手段は、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索手段で検索された施設を出力する、
コンピュータプログラム。
このように規定される第13の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0019】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第13の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記第1のルールは形態素解析の手法である。
このように規定される第14の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0020】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、
第13又は第14の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記検索クエリが要素分解できないとは、前記検索クエリが、複数の形態素解析できない要素用語と該要素用語間に存在するスペース及び/又はカンマとから構成されていることを意味する。
このように規定される第15の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0021】
この発明の第16の局面は次のように規定される。即ち、
第13〜第15のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記属性スコア付与手段は、前記特定手段で特定された属性ごとに異なる属性スコアを付与する。
このように規定される第16の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0022】
この発明の第17の局面は次のように規定される。即ち、
第13〜第16のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記入力を受け付けた検索クエリが複数の要素用語を含むとき、前記属性スコア付与手段は、前記要素用語が入力された順に高い属性スコアを付与する。
このように規定される第17の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0023】
この発明の第18の局面は次のように規定される。即ち、
コンピュータを、施設に関する情報を施設データベースに格納する第1の格納手段と、検索クエリの入力を受け付ける入力受付手段と、前記入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を前記施設データベースから検索する施設検索手段と、該施設検索手段で検索された施設を一般スコアに基づいて出力順位を決定する出力順位決定手段と、前記決定された出力順位で前記検索された施設を出力する検索結果出力手段、として機能させるコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、
属性識別用語と、該属性識別用語に対応する属性と、該属性に関する属性スコアとを関連付けて属性データベースに格納する第2の格納手段と、
前記入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する判定手段と、
前記判定の結果、前記入力を受け付けた検索クエリが要素分解できるとき、該検索クエリを要素分解する要素分解手段と、
前記属性データベースを参照して、前記要素分解された検索クエリと合致する前記属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する特定手段と、
前記施設検索手段で検索された施設のうち、前記特定された属性に関連する施設に前記特定された属性スコアに1未満の係数を乗算して得られた属性スコアを付与する属性スコア付与手段、として機能させ、
前記出力順位決定手段は、前記一般スコアに前記付与された属性スコアを反映させて前記出力順位を決定し、
前記検索結果出力手段は、前記決定された出力順位に基づいて前記施設検索手段で検索された施設を出力する、
コンピュータプログラム。
このように規定される第18の局面の発明によれば、第6の局面と同等の効果を奏する。
【0024】
第13〜第18のいずれかの局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第19の局面として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施の形態の施設検索装置1の構成を示すブロック図である。
図2図2は、(A)施設データベース3に格納される施設テーブル、(B)属性データベース5に格納される属性テーブルの一例である。
図3図3は、本発明の実施の形態の施設検索装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、図3に示すステップ5の詳細動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、図3に示すステップ7の詳細動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施例のナビゲーション装置51の構成を示すブロック図である。
図7図7は、本発明の他の実施の形態の施設検索装置71の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この発明の実施の形態の施設検索装置を説明する。
図1に、施設検索装置1の概略構成を示す。適宜、図2に示すテーブルを用いて、以下に説明する。
図1に示すように、この施設検索装置1は、施設データベース3、属性データベース5、入力受付部7、施設検索部9、判定部11、特定部13、属性スコア付与部15、出力順位決定部17及び検索結果出力部19を備えている。
【0027】
施設データベース3には、施設に関する情報が格納されている。当該施設に関する情報としては、施設名称、施設住所、施設ジャンル等が挙げられ、各情報は施設を識別するための識別情報に関連付けられて格納されている。施設ジャンルとしては、飲食店、病院、駅、景勝地等が挙げられる。また、施設ジャンルは、飲食店等上位ジャンルだけでなく下位ジャンルであってもよい。例えば、上位ジャンル「飲食店」に対して、牛丼屋、ラーメン屋、カフェ等下位ジャンルが挙げられる。施設ジャンルとして上位ジャンル及び下位ジャンルの両方が関連付けられていてもよく、またそのうちの一方が関連付けられていてもよい。当該施設に関する情報は、図2(A)に示すような施設テーブルの形式で格納されていてもよく、具体的には、施設ID001に対して、施設名称「博多ラーメン那古野」、施設住所「名古屋市中村区名駅南○−○○」、施設ジャンル「ラーメン」が関連付けられている。
【0028】
属性データベース5には、属性識別用語と該属性識別用語に対応する属性と該属性に関する属性スコアが関連付けて格納されており、例えば、図2(B)に示すような属性テーブルの形式で格納されている。属性としては、エリア、施設ジャンル等が挙げられる。属性「エリア」に対応する属性識別用語として、例えば、「博多」、「福岡」、「名古屋」等が挙げられ、属性「施設ジャンル」に対応する属性識別用語として、例えば、「ラーメン」、「鉄板焼」等が挙げられる。また、属性に関連付けられる情報として、属性に対応する施設情報の種類が挙げられる。例えば、属性「エリア」には施設データベース中の施設情報として「施設住所」が、属性「施設ジャンル」には施設情報として「施設ジャンル」が関連付けられている。さらに、属性データベース5には、属性スコアが属性と関連付けて格納される。例えば、属性「エリア」に対して属性スコア「30」、属性「施設ジャンル」に対して属性スコア「5」等属性毎に異なる属性スコアが関連付けられて格納される。また、属性スコアは、属性「エリア」、「施設ジャンル」の属性識別用語毎に異なる値であってもよい。例えば、大分類「福岡」に対して中分類「博多」、小分類「天神」がある場合には、より小さい分類の属性識別用語により大きい属性スコアを付与することができる。例えば、「福岡」に属性スコア「10」、「博多」に「30」、「天神」に「100」を付与することができる。同様に大分類「飲食店」に比べ小分類の「ラーメン」に大きい属性スコアを付与することができる。
【0029】
入力受付部7は、ユーザによる検索クエリの入力を受け付ける。当該検索クエリは、ユーザが検索時に入力する単語やフレーズ等の複合語であり、検索条件等検索データベースに対する要求や問い合わせを文字列にしたものである。当該文字列としては、漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベット、数字、記号等が挙げられ、これらのうちの1つ、あるいは2つ以上を組み合わせたものが挙げられる。当該文字列は、表示画面において各文字に割り当てられた文字キーを夫々タッチすることによって、又はキーボード等の入力部を用いることによってその入力を受け付けることができる。この例において、例えば、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」の入力を受け付けたとする。
【0030】
施設検索部9は、入力受付部7で入力を受け付けた検索クエリに対応する施設を施設データベース3から検索する。当該検索の方法としては、特に限定されず、定法により施設を検索することができる。例えば、検索クエリを構成する文字列と施設データベース中に格納されている施設名称や施設住所、施設ジャンル等のキーワードを構成する文字列とを比較し、完全一致、前方一致、部分一致等しているか否かで、検索クエリに対応する施設を検索することができ、検索結果としての施設には定法による出力順位を決定するための一般スコアが関連付けられている。当該一般スコアは、例えば、完全一致、前方一致、部分一致等の一致の程度や、該一致している文字列の長短に応じて、より一致の程度が高い施設に高い一般スコアが付与される。例えば、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」に対する検索結果として、例えば、検索クエリの構成単語「博多」及び「ラーメン」をともにその施設名称に含む施設「博多ラーメン那古野」(一般スコア100)、構成単語「ラーメン」(文字列4文字)を含む施設「ラーメン多々」(一般スコア90)、構成単語「博多」(文字列2文字)を含む施設「博多軒」(一般スコア75)がヒットしたとする。この検索結果によれば、一般スコアの大きい順、すなわち、「博多ラーメン那古野」、「ラーメン多々」、「博多軒」の順に出力されることになる。
【0031】
判定部11は、入力受付部7で入力を受け付けた検索クエリが第1のルールに基づいて要素分解できるか否か判定する。当該第1のルールとして、例えば、形態素解析の手法を採用することができる。この場合、判定部11は、検索クエリが、複数の形態素解析できない要素用語と該要素用語間に存在するスペース及び/又はカンマから構成されているとき、該検索クエリを要素分解できないと判定する。具体的に、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」について、判定部11は、スペースに基づいて構成単語「博多」及び構成単語「ラーメン」に区切り、区切られた構成単語が夫々形態素解析可能か否か判定する。構成単語「博多」、「ラーメン」はともに形態素解析不可能な要素用語であるため、判定部11は、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」は要素用語「博多」と要素用語「ラーメン」と両要素用語間に存在するスペースとから構成されているため、該検索クエリは要素分解できないと判定する。一方、判定部11が要素分解できると判定する例として、検索クエリが「博多」と「ラーメン」とをスペースなしに繋がれた「博多ラーメン」又は「博多ラーメン(スペース)とんこつ」である場合を挙げることができる。判定部11は、検索クエリにスペース(又はカンマ)を含まない「博多ラーメン」や、検索クエリにスペースを含むが該スペースに基づいて区切られた用語の少なくとも一つの用語「博多ラーメン」が「博多」と「ラーメン」とに形態素解析できる検索クエリ「博多ラーメン(スペース)とんこつ」を、夫々要素分解できると判定する。
【0032】
特定部13は、判定部11の判定の結果、入力受付部7で入力を受け付けた検索クエリが要素分解できないとき、属性データベース5を参照して、該入力を受け付けた検索クエリと合致する属性識別用語に対応する属性を特定する。特定部13は、入力を受け付けた検索クエリとして、該検索クエリを構成する各要素用語を用い、該各要素用語と合致する属性識別用語に対応する属性を特定する。具体的に、要素用語「博多」と「ラーメン」とから構成されている検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」の場合、図2(B)に示す属性テーブルを参照して、要素用語「博多」と合致する属性識別用語「博多」に関連付けられた属性「エリア」、要素用語「ラーメン」と合致する属性識別用語「ラーメン」に関連付けられた属性「施設ジャンル」を特定する。すなわち、特定部13は、検索クエリを構成する要素用語「博多」に対し属性「エリア」、要素用語「ラーメン」に対し属性「施設ジャンル」と特定する。
【0033】
属性スコア付与部15は、前記施設データベースを参照して、施設検索部9で検索された施設のうち、特定部13で特定された属性に関連する施設に属性スコアを付与する。当該属性スコアの付与の方法として、例えば、検索された施設の施設名称、施設住所、施設ジャンルを参照し、要素用語が該要素用語に対して特定された属性に関連する施設情報中に含まれているとき、属性スコアを付与する。当該付与する属性スコアは、属性ごとに同じであってもよく、また、属性ごとに異なっていてもよい。検索された施設「ラーメン多々」を用い、属性「エリア」に属性スコア「30」、属性「施設ジャンル」に属性スコア「5」を付与する場合について具体的に説明すると、施設「ラーメン多々」の施設住所「福岡市博多区△−△△」、施設ジャンル「ラーメン」を参照し、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」を構成する一方の要素用語「博多」が、該要素用語「博多」の属性「エリア」に関連する施設情報としての施設住所中に含まれているため、施設「ラーメン多々」に第1の属性スコア「30」を付与する。検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」を構成する他方の要素用語「ラーメン」が、該要素用語「ラーメン」の属性「施設ジャンル」に関連する施設情報としての施設ジャンル中に含まれているため、施設「ラーメン多々」に第2の属性スコア「5」を付与する。すなわち、属性スコア付与部15は、施設「ラーメン多々」に対して、属性スコア「35」を付与する。他の具体例として、検索された施設「博多ラーメン那古野」について説明すると、この場合、要素用語「博多」をその施設住所中に含んでいないため第1の属性スコア「0」、要素用語「ラーメン」をその施設ジャンル中に含んでいるため第2の属性スコア「5」となり、合計「5」の属性スコアが付与されることとなる。また、検索された施設「博多軒」については、要素用語「博多」をその施設住所中に含んでいるため第1の属性スコア「30」、要素用語「ラーメン」をその施設ジャンル中に含んでいるため第2の属性スコア「5」となり、合計「35」の属性スコアが付与される。
他の例として、属性スコア付与部15は、検索クエリを構成する要素用語のうち、入力された要素用語の入力順位に応じて、該要素用語の属性スコアに異なる係数を乗算してもよい。例えば、先に入力された要素用語の属性スコアに対してより大きい値の係数を乗算する等して、先に入力された要素用語の属性を出力順位へ大きく影響させることができる。検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」の例において、検索クエリの前方の要素用語「博多」の属性スコア「30」に係数2を乗算することにより、例えば、施設「ラーメン多々」の属性スコアはエリアに関する属性スコア「60」と施設ジャンルに関する属性スコア「5」とを足した「65」が付与されることとなる。
【0034】
出力順位決定部17は、一般スコアに属性スコア付与部15で付与された属性スコアを反映させて、該施設検索部9で検索された施設の出力順位を決定する。例えば、一般スコアに属性スコアを加えた合計スコアの大きい順に高い出力順位を決定することができる。具体的に、検索された施設「博多ラーメン那古野」の合計スコアは一般スコア100に属性スコア5を加えた「105」となる。他の施設「ラーメン多々」の合計スコアは「125」、施設「博多軒」の合計スコア「110」となる。したがって、出力順位は合計スコアの大きい順に第1位「ラーメン多々」、第2位「博多軒」、第3位「博多ラーメン那古野」と決定される。属性スコアをより大きく反映させるべく、属性スコアに1を超える値を乗算した値を一般スコアに加えて合計スコアを求めてもよい。
検索結果出力部19は、出力順位決定部17で決定された出力順位で、施設検索部9で検索された施設を出力する。
【0035】
図3を用いて、図1に示す装置1の動作の一例を説明する。この例において、判定部11は、検索クエリが、複数の形態素解析できない要素用語と該要素用語間に存在するスペースとから構成されているとき、該検索クエリを要素分解できないと判定している。
まず、ステップ1では、入力受付部7は、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」の入力を受け付ける。
ステップ3では、施設検索部9は、施設データベース3を参照して、ステップ1の検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」に対応する施設を定法により検索する。この例において、例えば、上記と同様、施設「博多ラーメン那古野」(一般スコア100)、施設「ラーメン多々」(一般スコア90)、施設「博多軒」(一般スコア75)がヒットしたとする。
ステップ5では、判定部11は、ステップ1の検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」が形態素解析の手法により要素分解できるか否か判定する。この例において、要素分解できるか否かは、スペースで区切られた「博多」及び「ラーメン」の夫々について要素分解できるか否か判定する。上記の他、判定部11は、一つの要素用語で構成される検索クエリについても、該検索クエリを要素分解できないと判定することができる。この場合には、ステップ1で入力を受け付けた検索クエリを構成する一つの構成単語について、ステップ55及び57を実行して、検索クエリが要素分解不可能であることを判定する。
【0036】
図4を用いて、判定部11で実行されるステップ5の詳細動作の一例を説明する。
ステップ51では、検索クエリ中にスペースが存在するか否か判定する。ステップ51においてYesの場合、ステップ53へ進む。この例において、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」中にスペースが存在しているため、ステップ53へ進む。
ステップ53では、検索クエリをスペースに基づいて区切る。この例において、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」を構成単語「博多」及び「ラーメン」に区切る。
【0037】
ステップ55では、ステップ53で区切られた両構成単語「博多」及び「ラーメン」について、夫々形態素解析可能であるか否か判定する。ステップ55においてNoの場合、すなわち、全ての構成単語が形態素解析不可能である場合、ステップ57へ進む。この例において、構成単語「博多」及び「ラーメン」はともに形態素解析不可能であるため、ステップ57へ進む。
ステップ57では、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」を要素分解不可能と判定する。
【0038】
図3に戻り、ステップ7では、特定部13は、属性データベース5を参照して、ステップ1で入力を受け付けた検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」、すなわち、検索クエリを構成する各要素用語と合致する属性識別用語に対応する属性を特定する。
図5を用いて、特定部13で実行されるステップ7の詳細動作の一例を説明する。
ステップ71では、ステップ1の検索クエリを構成する要素用語の一つを選択する。この例において、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」を構成する要素用語の一つとして要素用語「博多」を選択する。
【0039】
ステップ73では、属性データベース5を参照して、ステップ71で選択された要素用語に対応する属性識別用語を特定する。この例において、要素用語「博多」に対応する属性識別用語として属性識別用語「博多」を特定する。
ステップ75では、属性データベース5において、ステップ73で特定された属性識別用語「博多」に関連付けられた属性として属性「エリア」を特定する。
検索クエリを構成する他の要素用語n+1について、ステップ73及びステップ75を実行する(ステップ77、78)。この例において、他の要素用語として要素用語「ラーメン」に対応する属性識別用語として属性識別用語「ラーメン」が特定され、該属性識別用語「ラーメン」に関連付けられた属性として属性「施設ジャンル」が特定される。
【0040】
図3に戻り、ステップ9では、属性スコア付与部15は、施設データベースを参照して、ステップ3で検索された施設のうち、ステップ7で特定された属性に関連する施設に属性スコアを付与する。例えば、施設データベース3を参照して、ステップ3で検索された施設について、属性「エリア」に対応する施設住所中に要素用語「博多」を含む施設について属性スコア「30」を付与し、属性「施設ジャンル」に対応する施設ジャンル中に要素用語「ラーメン」を含む施設について属性スコア「5」を付与する。この例において、施設「ラーメン多々」について、上述の通り、合計「35」の属性スコアを付与する。
【0041】
ステップ11では、出力順位決定部17は、ステップ3で検索された施設の一般スコアにステップ9で付与された属性スコアを加算して、該検索された施設の出力順位を決定する。この例において、上述の通り、合計スコアの大きい順に第1位「ラーメン多々」、第2位「博多軒」、第3位「博多ラーメン那古野」の出力順位が決定される。
ステップ13では、検索結果出力部19は、ステップ3で検索された施設をステップ11で決定された出力順位で出力する。
【0042】
図6に、実施例のナビゲーション装置51を示す。図6において、図1と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
ナビゲーション装置51は、図1に示す施設検索装置1が備える各構成、すなわち、施設データベース3、属性データベース5、入力受付部7、施設検索部9、判定部11、特定部13、属性スコア付与部15及び出力順位決定部17に加えて、制御部510、メモリ部511、入力部512、出力部513、インターフェース部514及び現在位置特定部515を備えている。
【0043】
制御部510はCPU、バッファメモリその他の装置を備えたコンピュータ装置であり、ナビゲーション装置51を構成する他の要素を制御する。
メモリ部511にはコンピュータプログラムが保存され、このコンピュータプログラムはコンピュータ装置である制御部510に読み込まれて、これを機能させる。このコンピュータプログラムは、ナビゲーション装置の記憶装置としての内蔵ハードディスク又は内蔵メモリ、ナビゲーション装置に差し替え可能な記憶媒体としてのSD(登録商標)メモリカード、メモリスティック、スマートメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)、DVD等の汎用的な媒体へ保存できる。
【0044】
入力部512は、例えば、ユーザの指令の入力に用いられる。具体的には、検索クエリの入力や検索結果の選択等に用いられる。入力部512として、マウス、ライトペン又はディスプレイの表示内容と協働するタッチパネル等のポインティングデバイスやキーボード又はマイクロホン等の音声入力装置を用いることができる。
出力部513はディスプレイを含み、入力画面、検索結果、施設の詳細情報を表示する際に機能する。他にも、出力部513によって出力される情報の他、一般的なナビゲーション装置において出力される目的地検索のための検索画面、地図、現在位置特定部で特定された車両の位置、案内経路、その他の情報を表示する。この出力部513は、検索結果出力部19を備えている。検索結果出力部19の機能については、上述の通りである。
【0045】
インターフェース部514はナビゲーション装置51を無線ネットワーク等へ連結させる。
現在位置特定部515は、GPS装置やジャイロ装置によりナビゲーション装置51の現在の位置情報を特定する。併せて、現在時刻を特定することもできる。
【0046】
この例において、属性スコア付与部15は、例えば、特定部13で特定された属性「エリア」に対応する要素用語が、現在位置特定部515で特定される位置と同等である場合又は該位置と近接する場合に、属性「エリア」に対して付与する属性スコアに1を超える値(例えば、2)を乗算することができる。例えば、検索クエリ「博多(スペース)ラーメン」、現在位置で示される行政区「博多区」の場合、要素用語「博多」と現在位置「博多区」は同等であるため、属性「エリア」に対して付与する属性スコア「30」を2倍した「60」を付与することができる。
現在位置と同等の要素用語が検索クエリに含まれている場合、検索ユーザは、該現在位置付近に位置する施設を検索したいという要求を有している可能性が高い。上述のように属性スコアを付与すれば、施設住所中に要素用語「博多」を含む施設の出力順位を大きく上げることができ、検索ユーザの要求に沿うことが可能となる。
【0047】
図7に示すのは、上記入力された検索クエリが要素分解できる場合に、要素分解された各要素用語の属性を検索結果の出力順位に反映させる施設検索装置であって、各要素用語の属性を、要素分解できない場合に比べて程よく出力順位に反映させることが可能な施設検索装置である。図7において、図1及び図6と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図7に示すように、この施設検索装置71は、施設データベース3、属性データベース5、入力受付部7、施設検索部9、判定部11、要素分解部73、特定部75、属性スコア付与部77、出力順位決定部17及び検索結果出力部19を備えている。
要素分解部73は、判定部11の判定の結果、入力受付部7で入力を受け付けた検索クエリが要素分解できるとき、該検索クエリを要素分解する。判定部11において、検索クエリが要素分解できると判定される場合の例として、検索クエリの少なくとも一部が形態素解析可能な「博多ラーメン」や「博多ラーメン(スペース)たろう」が挙げられる。検索クエリを要素分解する方法としては、例えば、検索クエリ「博多ラーメン」を「博多」及び「ラーメン」、検索クエリ「博多ラーメン(スペース)たろう」を「博多」、「ラーメン」及び「たろう」のように各形態素に分解する方法が挙げられる。
【0048】
特定部75は、属性データベース5を参照して、要素分解部73で要素分解された検索クエリと合致する属性識別用語に対応する属性及び該属性の属性スコアを特定する。特定部75は、要素分解された検索クエリとして、要素分解された各要素用語を用い、該要素用語と合致する属性識別用語に対応する属性を特定する。属性及び属性コストの具体的な特定方法は、特定部13と同様である。例えば、検索クエリ「博多ラーメン(スペース)たろう」を要素分解して得られた要素用語「博多」、「ラーメン」、「たろう」のうち、「博多」に対して属性「エリア」、「ラーメン」に対して属性「施設ジャンル」と特定する。要素用語「たろう」について、属性テーブル中の属性識別用語に挙げられていない場合には、「たろう」に対する属性は特定されない。
属性スコア付与部77は、施設検索部9で検索された施設のうち、特定部75で特定された属性に関連する施設に特定された属性スコアに1未満の係数を乗算して得られた属性スコアを付与する。当該属性スコアの付与の方法は、特定部75で特定された属性スコアに対して1未満の係数(例えば、0.5)を乗算する以外は、属性スコア付与部15と同様である。
【0049】
以上、本発明の実施の形態及び実施例について説明してきたが、これらのうち、2つ以上の実施の形態(実施例)を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態(実施例)を部分的に実施しても構わない。さらには、これらのうち、2つ以上の実施の形態(実施例)を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【0050】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 71 施設検索装置
3 施設データベース(施設DB)
5 属性データベース(属性DB)
7 入力受付部
9 施設検索部
11 判定部
13 75 特定部
15 77 属性スコア付与部
17 出力順位決定部
19 検索結果出力部
51 ナビゲーション装置
73 要素分解部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7