【実施例】
【0080】
実施例1
比較を目的とする本実施例は、
− 本発明による電解質(すなわち、1MのLiPF
6及び1質量%のコハク酸無水物(以後ASと記号で表す)を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質)を用いたリチウムイオン電池の性能と、
− 本発明に準拠していない電解質(すなわち、1MのLiPF
6及び1質量%の炭酸ビニレン(以後VCと記号で表す)を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質)を用いたリチウムイオン電池の性能とを比較する目的を有する。
【0081】
本実施例の提示は3つに分割される。
1°)本発明による電解質またその電解質を含む電池の作製
2°)本発明に準拠していない電解質またその電解質を含む電池の作製
3°)サイクル性能に関する結果
【0082】
1°)本発明による電解質またその電解質を含む電池の作製
a)成分の供給及び調製
エチルメチルスルホン(EMS)はTCI社(東京化成工業株式会社、日本)によって供給される。この溶媒を、質量分析と一体となったガスクロマトグラフィーによって確認される99.9%を超える純度を得るために蒸留する。
【0083】
次いで、エチルメチルスルホン(EMS)を、乾燥剤(分子ふるいとして)を含有するアルゴン下ガラス製バイアル内で調整する。H
2O濃度をカール−フィッシャー法によって定期的に測定する。H
2O濃度は20ppm未満である。
【0084】
その使用前に、その融点が高い(34℃程度)ため、エチルメチルスルホン(EMS)をあらかじめ60℃まで加熱する。
【0085】
「電池級」(すなわち、99.9%の純度)の炭酸ジメチル(DMC)はメルク(Merck)社のものである。溶媒は、その初期包装(すなわち、アルミニウム瓶)のままグローブボックス内において調整し、特別な処理を行うことなく使用する。
【0086】
コハク酸無水物(AS)がAlfa Aesar社によって供給される。添加剤は、その元の包装(すなわち、アルミニウム瓶)のままグローブボックス内において調整し、特別な処理を行うことなく使用する。
【0087】
塩LiPF
6はFluorochem社からである。この塩は、その元の包装(すなわち、プラスチック瓶)のままグローブボックス内において調整し、特別な処理を行うことなく使用する。
【0088】
b)電解質の開発
電解質の開発及び調製は、グローブボックス内乾燥アルゴン下で実現させる。
【0089】
第1段階において、溶媒EMS及びDMCを質量比率1:1に従って結び付ける。1Mの濃度が得られるまでLiPF
6塩を添加する。次に、電解質の総質量に基づき1質量%のコハク酸無水物の含有量が得られるように、コハク酸無水物を添加する。
【0090】
こうして得られる電解質をアルミニウムフラスコの中で調整し、その使用前に数時間保存する。
【0091】
この電解質は、誘電率が30近くであまり粘度が高くない(塩を含まない粘度が2mPa・s未満)解離混合物を形成する。
【0092】
ボタンセルにおける電気化学的評価前に電解質のH
2O含有量及びHF含有量(Schmidt−Oesten法によって測定される)を確認する。H
2O含有量は20ppm未満、HF含有量は50ppm未満である。
【0093】
c)電池の製造
2032型のボタンセルに電解質を導入する。
【0094】
ボタンセルの正極は、活物質LiNi
0.4Mn
1.6O
4、Super Pカーボン、Tenax繊維及びポリフッ化ビニリデン結合剤(PVDF)をそれぞれ、質量含有率:89%、3%、3%及び5%の量で含み、これらの含有量は、正極の総質量に基づき表される。正極は、直径が14mmのディスクとして生じ、この電極はアルミニウムの集電体によって支持される。
【0095】
ボタンセルの負極は、活物質Li
4Ti
5O
12、Super Pカーボン、Tenax繊維及びポリフッ化ビニリデン結合剤(PVDF)をそれぞれ、質量含有率:82%、6%、6%及び6%の量で含み、これらの含有量は、負極の総質量に基づき表される。負極は、直径が16mmのディスクとして出現し、この電極はアルミニウムの集電体によって支持される。
【0096】
正極及び負極は、その直径が16.5mmで厚さがそれぞれ20μm及び230μmであるディスクCelGard2400(登録商標)及びディスクViledon(登録商標)によって分離されている。2枚の上記ディスクで形成されるセパレータに、グローブボックス内でのボタンセルの組立時に電解質(150μm)を含浸させる。
【0097】
2°)本発明に準拠していない電解質の、またその電解質を含む電池の作製
コハク酸無水物(AC)を炭酸ビニレン(VC)に置き換えること以外は上記段落1°)と同様にして、電解質及びその電解質を含む電池を作製する。
【0098】
炭酸ビニレン(VC)はACros Organics社によって供給される。この炭酸ビニレンは、その元の包装(すなわち、ガラス瓶)のままグローブボックス内において調整し、特別な処理を行うことなく使用する。
【0099】
3°)サイクル性能に関する結果
段落1°)及び2°)で作製した電池を用い、充電容量及び放電容量の時間依存性変化を決定するために試験を行う。これらの試験は、C/5−D/5の条件下20℃で行う。
【0100】
結果は、サイクル数に対する容量C(mAh/g)の時間依存性変化を示す
図1に示す。曲線a)は、本発明による電池についての充電−放電曲線を示し、一方曲線b)は、本発明に準拠していない電池についての充電−放電曲線を示す。
【0101】
本発明による電池は、添加剤として炭酸ビニレンを含む電池と比較して、優れたサイクル性を有すると明らかに思われる。
【0102】
実際、30サイクル後の容量は、本発明による電池では約123mAh/gであるが、添加剤として炭酸ビニレンを含む電池では、90mAh/g未満の値しか得られない。
【0103】
実施例2
比較を目的とする本実施例は、
− 本発明による電解質(すなわち、1MのLiPF
6及び1%のコハク酸無水物(以後ASと記号で表す)を含む質量比率で、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物を含む電解質)を用いたリチウムイオン電池の性能と、
− 本発明に準拠していない電解質(すなわち、1MのLiPF
6を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質)を用いたリチウムイオン電池の性能とを比較する目的がある。
【0104】
本発明の電池は、実施例1の電池と同様にして作製する。
【0105】
本発明に準拠していない電池は、コハク酸無水物を添加しないこと以外は本発明による電池と同様にして作製する。
【0106】
これらの電池を用い、充電段階及び放電段階を含む最初のサイクル中の、上記電池の20℃における容量の時間依存性変化を決定することを目的として試験を行う。前記段階は20℃の開回路において14日間で中断され、
図2に示すように、(曲線a)は、容量C(mAh/g)に対する本発明の電池についての充電−放電U(V)、曲線b)は、容量C(mAh/g)に対する本発明に準拠していない電池の充電−放電U(V)である。
【0107】
この図を考慮すると、本発明の電池は、本発明に準拠していない電池に対して自己放電現象(すなわち、開回路におけるその期間中の容量の損失)を低減させる可能性をもたらすことが明らかなようである。後者についての容量の損失は40%程度である。
【0108】
理論に束縛されることなく、様々な現象に対する最初のサイクルにより電池の自己放電(例えば、電解質の劣化、電気化学的ボート現象)が生じるとすぐに、本発明の電池により効率的な電極−電解質界面が形成される。
【0109】
実施例3
比較を目的とする本実施例は、
− 本発明による電解質(すなわち、1MのLiPF
6及び1質量%のコハク酸無水物(以後ASと記号で表す)を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質)を用いた第1のリチウムイオン電池の性能と、
− 本発明による電解質(すなわち、1MのLiPF
6及び0.1質量%のコハク酸無水物(以後ASと記号で表す)を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質)を用いた第2のリチウムイオン電池の性能と、
− 本発明に準拠していない電解質(すなわち、1MのLiPF
6を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質)を用いたリチウムイオン電池の性能とを比較する目的がある。
【0110】
本発明による第1の電池は、実施例1の電池と同様にして作製する。
【0111】
本発明による第2の電池は、0.1質量%のコハク酸無水物しか添加しないこと以外は、実施例1の電池と同様にして作製する。
【0112】
本発明に準拠していない電池は、コハク酸無水物を添加しないこと以外は本発明による電池と同様にして作製する。
【0113】
これらの電池を用い、充電段階及び放電段階を含む最初のサイクル時の、上記電池の20℃における容量の時間依存性変化を決定することを目的として試験を行う。前記段階は20℃の開回路において14日間で中断され、
図3に示すように、(曲線a)は、本発明の第1の電池についての容量C(mAh/g)に対する充電−放電U(V)、曲線b)は、本発明による第2の電池の容量C(mAh/g)に対する充電−放電U(V)、曲線c)は、本発明に準拠していない電池についての容量C(mAh/g)に対する充電−放電U(V)である。
【0114】
この図を考慮すると、本発明の電池は、本発明に準拠していない電池に対して自己放電現象(すなわち、開回路におけるその期間中の容量の損失)を低減させる可能性をもたらすことが明らかなようである。このことは、少量のコハク酸無水物(例えば、0.1%)の添加からでさえ明らかであって、1%のコハク酸無水物の添加についてこの場合効率は同じである(
図3において曲線a)と曲線b)とは重畳している)。
【0115】
実施例4
本実施例は、実施例1で定義する本発明による電解質を含む電池の自己放電に、貯蔵前のサイクリングが及ぼす影響を実証することを目的とする。
【0116】
本実施例では2つの試験
− 電池を充電すること、電池を開回路に14日間置くこと、その後電池を放電することで構成される第1の試験(充電段階及び放電段階を示す
図4の曲線a)U(V)対容量C(mAh/g)参照)と、
− 充電−放電4サイクル、電池の充電、電池を開回路に14日間置くこと、その後の電池の放電を行うことで構成される第2の試験(
図4の曲線b)U(V)対容量C(mAh/g))とを進める。
【0117】
これらの試験は、充電ではC/5の条件を、放電ではD/5の条件を伴って20℃で行う。
【0118】
これらの試験の結果を
図4に示す。
− 曲線a)、第1の試験の充電段階及び放電段階については、これらの充電過程が共に、電池を開回路に14日間置くことによって中断されている。
− 曲線b)、第2の試験の充電段階及び放電段階については、これらの充電過程が共に、電池を開回路に14日間置くことによって中断されている(充電−放電4サイクル過程はこの図には示されていない)。
【0119】
開回路に電池を置く前の電池の予備サイクル過程により、とりわけ、電極−電解質界面の改善によって、自己放電をより効率的に低減させる可能性がもたらされるように思われる。
【0120】
実施例5
本実施例は、実施例1で定義する本発明による電解質を含む電池のサイクル性能を実証することを目的とする。
【0121】
このために、該当する電池を、C/5−D/5の条件下、30回の充電−放電サイクルにかけた。
【0122】
充電−放電曲線は
図5に示す。
図5は、30サイクルの間の電位U(LTOに対するV)対時間t(秒で表す)の時間依存性変化を示し、各サイクルの曲線は上昇段階(これが充電段階に相当する)と下降段階(これが放電段階に相当する)とを含む。
【0123】
各曲線が同一の形状を有し、本発明による電解質を含む電池の優れたサイクル性能が認証される。
【0124】
さらに、30サイクル後の電池のクーロン効率は99.3%である。
【0125】
実施例6
本実施例は、
1°)無水物添加剤を含む(1種又は複数種の)スルホン溶媒に基づく電解質が、同じ(1種又は複数種の)スルホン溶媒を含むが添加剤を含まない電解質に対して、とりわけ、特定数のサイクル過程後の容量の損失に関して優れた性能を有することを、また
2°)無水物添加剤を含む(1種又は複数種の)スルホン溶媒に基づく電解質が、炭酸エステル型の電解質用の従来の添加剤を含む同じ(1種又は複数種の)スルホン溶媒を含む電解質と比較して、とりわけ、特定数のサイクル過程後の容量の損失に関して優れた性能を有することを実証する目的がある。
【0126】
項目1°)を実証するために、下記電解質を試験した。
− 1MのLiPF
6を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質、及び同じ成分と、加えて1質量%のコハク酸無水物を含む電解質、
− 1MのLiPF
6を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジエチル(以後DECと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質、及び同じ成分と、加えて1質量%のコハク酸無水物を含む電解質、
− 1MのLiPF
6を含む、テトラメチレンスルホン(以後TMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質、及び同じ成分と、加えて1質量%のコハク酸無水物を含む電解質、
− 1MのLiPF
6を含む、炭酸エチレン(以後ECと記号で表す)、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)、炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)の混合物(質量比率が1:1:3)を含む電解質、及び同じ成分と、加えて1質量%のコハク酸無水物を含む電解質、並びに
− 1MのLiPF
6を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)、メチルイソプロピルスルホン(以後MISと記号で表す)、炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)の混合物(質量比率が2:3:5)を含む電解質、及び同じ成分と、加えて1質量%のコハク酸無水物を含む電解質。
【0127】
電解質は試験を適用する前に調製する。
【0128】
1MのLiPF
6を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質、及び同じ成分と、加えて1質量%のコハク酸無水物を含む電解質は、実施例1及び2で説明したことに従って調製する。
【0129】
1MのLiPF
6を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジエチル(以後DECと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質、及び同じ成分と、加えて1質量%のコハク酸無水物を含む電解質は、炭酸ジメチルを炭酸ジエチルに置き換えること以外は、実施例1及び2の実施態様と同様にして調製する。
【0130】
1MのLiPF
6を含む、テトラメチレンスルホン(以後TMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質、及び同じ成分と、加えて1質量%のコハク酸無水物を含む電解質は、エチルメチルスルホンをテトラメチレンスルホンに置き換えること以外は、実施例1及び2の実施態様と同様にして調製する。
【0131】
1MのLiPF
6を含む、炭酸エチレン(以後ECと記号で表す)、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)、炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)の混合物(質量比率が1:1:3)を含む電解質、及び同じ成分と、加えて1質量%のコハク酸無水物を含む電解質は、炭酸エチレンを添加すること以外は、実施例1及び2の実施態様と同様にして調製する。
【0132】
1MのLiPF
6を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)、メチルイソプロピルスルホン(以後MISと記号で表す)、炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)の混合物(質量比率が2:3:5)を含む電解質、及び同じ成分と、加えて1質量%のコハク酸無水物を含む電解質は、メチルイソプロピルスルホンを添加すること以外は、実施例1及び2の実施態様と同様にして調製する。
【0133】
実施例1で説明した電池と同じ性質のリチウムイオン電池について、これらの異なる電解質を試験する。20℃における最初の放電と30回目の放電との間の容量の損失の百分率を、条件C/5−D/5でそれぞれ決定する。クーロン効率も決定する。
【0134】
結果を以下の表に示す。
【0135】
この表を考慮すると、溶媒の少なくとも1種がスルホン溶媒である溶媒の混合物を含む電解質では、無水物添加剤の添加により、かなりの回数のサイクル過程後の電池の容量の損失を低減させる可能性がもたらされると明らかに思われる。
【0136】
クーロン効率に関しては、無水物添加剤が存在するかどうかにかかわらず同じ桁数のままである。これにより、この添加剤は今回の基準に悪影響を及ぼさないことが確認される。
【0137】
項目2°)を実証するために、1MのLiPF
6及び1質量%のコハク酸無水物を含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質、並びに1MのLiPF
6及び1質量%の炭酸ビニレンを含む、エチルメチルスルホン(以後EMSと記号で表す)と炭酸ジメチル(以後DMCと記号で表す)との混合物(質量比率が1:1)を含む電解質を試験した。
【0138】
後者については、容量の損失が30%で、これにより、炭酸ビニレン添加剤と比較して電解質における無水物添加剤の効率が確認される。
【0139】
実施例7
本実施例は、
1°)無水物添加剤を含む(1種又は複数種の)スルホン溶媒に基づく電解質が、同じ(1種又は複数種の)スルホン溶媒を含むが添加剤を含まない電解質と比較して、とりわけ、特定数のサイクル過程後の容量の損失に関して優れた性能を有することを、また
2°)無水物添加剤を含む(1種又は複数種の)スルホン溶媒に基づく電解質が、炭酸エステル溶媒を含むだけの電解質と比較して、とりわけ、自己放電及び不可逆性に関して優れた性能を有することを実証する目的がある。
【0140】
項目1°)を実証するために、実施例6の項目1°)の電解質と同じ電解質を、加えてAs0.1%を含むEMS/DMCでLiPF
6が1Mの電解質と共に使用する。
【0141】
これらの電解質は、実施例6の電解質と同様に電池に組み込まれる。20℃で、開回路に置いて14日後の充電容量C
充電14OCV(mAh/g)、開回路に置いて14日後の放電容量C
放電14OCV(mAh/g)、自己放電パーセント%
自己、及び第1の充電過程の容量と開回路に置いて14日後の第2の充電過程の容量との間の不可逆性パーセント%
不可逆がそれぞれ決定された。
【0142】
結果は以下の表に記載されている。
【0143】
無水物添加剤の導入により、自己放電の性能が大幅に改善され、とりわけ、スルホン溶媒を含む二元混合物により自己放電現象が約半分に低減される。
【0144】
項目2°)を実証するために、1MのLiPF
6及び1質量%のコハク酸無水物を含む炭酸エステル溶媒の混合物EC/DMC(質量比率が1:1)を含む電解質を試験した。EMS/DMC電解質に対して、自己放電パーセントは明らかにより著しく(24対16)、これにより炭酸エステル溶媒を含むだけの電解質と比較して、(1種又は複数種の)スルホン溶媒に基づく電解質における無水物添加剤の添加の効率が実証される。