特許第6571107号(P6571107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571107無線通信システムにおいて端末間直接通信のための同期信号伝送方法及びそのための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571107
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】無線通信システムにおいて端末間直接通信のための同期信号伝送方法及びそのための装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 56/00 20090101AFI20190826BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20190826BHJP
   H04W 52/04 20090101ALI20190826BHJP
【FI】
   H04W56/00 130
   H04W92/18
   H04W52/04
【請求項の数】12
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-562555(P2016-562555)
(86)(22)【出願日】2015年4月14日
(65)【公表番号】特表2017-515381(P2017-515381A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】KR2015003710
(87)【国際公開番号】WO2015160167
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2018年4月16日
(31)【優先権主張番号】61/979,495
(32)【優先日】2014年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/986,061
(32)【優先日】2014年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/993,285
(32)【優先日】2014年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/010,998
(32)【優先日】2014年6月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ソ ハンピョル
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/166969(WO,A1)
【文献】 特表2008−520151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて端末が端末間直接通信のための同期信号を伝送する方法であって、
基地局から、前記同期信号を生成することに関連するシード値に関する情報を受信するステップであって、
前記シード値は、第1タイプシード値、第2タイプシード値及び第3タイプシード値を含み、
前記第1タイプシード値は、前記基地局のカバレッジ内部、及び、前記基地局の指示による前記同期信号の伝送に関連し、
前記第2タイプシード値は、前記基地局の前記カバレッジ内部、及び、前記基地局の前記指示のない前記同期信号の前記伝送に関連し、
前記第3タイプシード値は、前記基地局のカバレッジ外部、及び、前記基地局の前記指示のない前記同期信号の前記伝送に関連する、ステップと、
上位層を介して前記同期信号の電力パラメータを設定するステップと、
前記基地局から前記端末間直接通信のためのTPC(Transmit Power Control)命令を受信するステップと、
伝送パラメータ及び前記TPC命令に基づいて、前記同期信号の伝送電力を決定するステップと、
前記第1タイプシード値、前記第2タイプシード値及び前記第3タイプシード値の一つに基づいて前記同期信号を生成するステップと、
前記決定された伝送電力に基づいて、前記同期信号を伝送するステップとを含み、
前記TPC命令は、前記端末間直接通信のためのデータチャネルのためのものである、方法。
【請求項2】
前記電力パラメータは、前記端末間直接通信のための前記データチャネルとは独立に設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TPC命令は、前記電力パラメータの少なくとも1つに、無限大又は0に切り替えるように指示する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記TPC命令は、下りリンク制御情報を介して受信される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記端末は、前記基地局のカバレッジ内に位置する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記端末間直接通信のための前記データチャネルは、前記基地局のリソース割り当て情報に従って伝送される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
無線通信システムにおいて端末間直接通信を行う端末であって、
メモリと、
前記メモリと結合された少なくとも一つのプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、
基地局から、同期信号を生成することに関連するシード値に関する情報を受信し、
前記シード値は、第1タイプシード値、第2タイプシード値及び第3タイプシード値を含み、
前記第1タイプシード値は、前記基地局のカバレッジ内部、及び、前記基地局の指示による前記同期信号の伝送に関連し、
前記第2タイプシード値は、前記基地局の前記カバレッジ内部、及び、前記基地局の前記指示のない前記同期信号の前記伝送に関連し、
前記第3タイプシード値は、前記基地局のカバレッジ外部、及び、前記基地局の前記指示のない前記同期信号の前記伝送に関連し、
上位層を介して設定された前記同期信号の伝送パラメータ、及び基地局からの前記端末間直接通信のためのTPC(Transmit Power Control)命令に基づいて、前記端末間直接通信のための同期信号の伝送電力を決定し、
前記第1タイプシード値、前記第2タイプシード値及び前記第3タイプシード値の一つに基づいて前記同期信号を生成し、
前記決定された伝送電力に基づいて、前記同期信号を伝送するように設定され
前記TPC命令は、前記端末間直接通信のためのデータチャネルのためのものである、端末。
【請求項8】
力パラメータは、前記端末間直接通信のための前記データチャネルとは独立に設定される、請求項7に記載の端末。
【請求項9】
前記TPC命令は、電力パラメータの少なくとも1つに、無限大又は0に切り替えるように指示する、請求項7又は8に記載の端末。
【請求項10】
前記TPC命令は、下りリンク制御情報を介して受信される、請求項7〜9のいずれか一項に記載の端末。
【請求項11】
前記端末は、前記基地局のカバレッジ内に位置する、請求項7〜10のいずれか一項に記載の端末。
【請求項12】
前記端末間直接通信のための前記データチャネルは、前記基地局のリソース割り当て情報に従って伝送される、請求項7〜11のいずれか一項に記載の端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに係り、より詳細には、無線通信システムにおいて端末間直接通信のための同期信号伝送方法及びそのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明を適用できる無線通信システムの一例として、3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution;以下、「LTE」という。)通信システムについて概略的に説明する。
【0003】
図1は、無線通信システムの一例としてE−UMTSネットワーク構造を概略的に示す図である。E−UMTS(Evolved Universal Mobile Telecommunications System)は、既存のUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)から進展したシステムであり、現在3GPPで基礎的な標準化作業が進行中である。一般に、E−UMTSをLTE(Long Term Evolution)システムと呼ぶこともできる。UMTS及びE−UMTSの技術規格(technical specification)の詳細な内容はそれぞれ、「3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network」のRelease 7及びRelease 8を参照すればよい。
【0004】
図1を参照すると、E−UMTSは、端末(User Equipment;UE)、基地局(eNodeB;eNB)、及びネットワーク(E−UTRAN)の終端に位置して外部ネットワークに接続するアクセスゲートウェイ(Access Gateway;AG)を含んでいる。基地局は、ブロードキャストサービス、マルチキャストサービス及び/又はユニキャストサービスのために多重データストリームを同時に送信することができる。
【0005】
一つの基地局には一つ以上のセルが存在する。セルは、1.25、2.5、5、10、15、20MHzなどの帯域幅のいずれか一つに設定され、複数の端末に下り又は上り送信サービスを提供する。異なったセルは、互いに異なった帯域幅を提供するように設定されればよい。基地局は、複数の端末に関するデータ送受信を制御する。下りリンク(Downlink;DL)データについて、基地局は下りリンクスケジューリング情報を送信し、該当の端末にデータが送信される時間/周波数領域、符号化、データサイズ、HARQ(Hybrid Automatic Repeat and reQuest)関連情報などを知らせる。また、上りリンク(Uplink;UL)データについて、基地局は上りリンクスケジューリング情報を該当の端末に送信し、該当の端末が使用可能な時間/周波数領域、符号化、データサイズ、HARQ関連情報などを知らせる。基地局同士の間には、ユーザトラフィック又は制御トラフィックの送信のためのインターフェースを用いることができる。コアネットワーク(Core Network;CN)は、AG、及び端末のユーザ登録などのためのネットワークノードなどで構成可能である。AGは、複数のセルで構成されるTA(Tracking Area)単位に端末の移動性を管理する。
【0006】
無線通信技術は、WCDMAに基づいてLTEにまで開発されてきたが、ユーザと事業者の要求と期待は増す一方である。その上、他の無線接続技術の開発が続いており、将来、競争力を持つためには新しい技術進化が要求される。ビット当たりのコストの削減、サービス可用性の増大、柔軟な周波数バンドの使用、単純構造と開放型インターフェース、端末の適度な電力消耗などが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような議論に基づいて、以下では、無線通信システムにおいて端末間直接通信のための同期信号伝送方法及びそのための装置を提案しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例である、無線通信システムにおいて端末が端末間直接通信のための同期信号を伝送する方法は、上位層を介して前記端末間直接通信のための同期信号の電力パラメータを設定するステップと、基地局から前記端末間直接通信のためのTPC(Transmit Power Control)命令(Command)を受信するステップ;前記電力パラメータ及び前記TPC命令に基づいて、前記端末間直接通信のための同期信号の伝送電力を決定するステップと、前記決定された伝送電力によって、前記端末間直接通信のための同期信号を伝送するステップを含み、前記TPC命令は、前記端末間直接通信のデータチャネルのためのものであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の実施例である、無線通信システムにおいて端末間直接通信を行う端末は、他の端末又はネットワークと信号を送受信するための無線通信モジュールと、前記信号を処理するためのプロセッサを含み、前記プロセッサは、上位層を介して設定した前記端末間直接通信のための同期信号の電力パラメータ、及び基地局からの前記端末間直接通信のためのTPC(Transmit Power Control)命令(Command)に基づいて、前記端末間直接通信のための同期信号の伝送電力を決定し、前記決定された伝送電力によって、前記端末間直接通信のための同期信号を伝送するように前記無線通信モジュールを制御し、前記TPC命令は、前記端末間直接通信のデータチャネルのためのものであることを特徴とする。
【0010】
上記の実施例において、前記電力パラメータは、前記端末間直接通信のためのデータチャネルとは独立して設定されることが好ましく、前記TPC命令は、前記電力パラメータのうち少なくとも1つに対して、無限大又は0のうち1つの値へのスイッチングを指示することを特徴とする。また、前記TPC命令は、前記端末間直接通信のための物理制御チャネルを介して受信されてもよい。
【0011】
好ましくは、前記端末は、前記基地局のカバレッジ内に位置し、前記端末間直接通信のためのデータチャネルは、前記基地局のリソース割り当て情報によって伝送されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施例によれば、端末間直接通信のための同期信号をさらに効率的に送受信することができる。
【0013】
本発明で得られる効果は、以上に言及した効果に制限されず、言及していない別の効果は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者には明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】無線通信システムの一例としてE−UMTSネットワーク構造を概略的に示す図である。
図2】3GPP無線接続ネットワーク規格に基づく端末とE−UTRAN間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)のコントロールプレーン(Control Plane)及びユーザプレーン(User Plane)構造を示す図である。
図3】3GPPシステムに用いられる物理チャネル及びこれらのチャネルを用いた一般的な信号送信方法を説明するための図である。
図4】LTEシステムで用いられる無線フレームの構造を例示する図である。
図5】LTEシステムで用いられる下りリンク無線フレームの構造を例示する図である。
図6】LTEシステムで用いられる上りリンクサブフレームの構造を示す図である。
図7】端末間直接通信の概念図である。
図8】本発明に係るD2DSSの送信方法を例示する図である。
図9】本発明の実施例に係る通信装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付の図面を参照して説明された本発明の実施例から、本発明の構成、作用及び他の特徴が容易に理解されるであろう。以下に説明される実施例は、本発明の技術的特徴が3GPPシステムに適用された例である。
【0016】
本明細書ではLTEシステム及びLTE−Aシステムを用いて本発明の実施例を説明するが、これは例示に過ぎず、本発明の実施例は、上述した定義に該当するいかなる通信システムにも適用可能である。また、本明細書は、FDD方式を基準にして本発明の実施例について説明するが、これは例示に過ぎず、本発明の実施例は、H−FDD方式又はTDD方式にも容易に変形されて適用されてもよい。
【0017】
また、本明細書では、基地局をRRH(remote radio head)、eNB、TP(transmission point)、RP(reception point)、中継機(relay)などを含む包括的な名称として使うことができる。
【0018】
図2は、3GPP無線接続網規格に基づく端末とE−UTRANとの間の無線インターフェースプロトコル(Radio Interface Protocol)のコントロールプレーン及びユーザプレーンの構造を示す図である。コントロールプレーンとは、端末(UE)とネットワークとが呼を管理するために用いる制御メッセージが送信される通路のことを意味する。ユーザプレーンとは、アプリケーション層で生成されたデータ、例えば、音声データ又はインターネットパケットデータなどが送信される通路のことを意味する。
【0019】
第1層である物理層は、物理チャネル(Physical Channel)を用いて上位層に情報送信サービス(Information Transfer Service)を提供する。物理層は、上位の媒体接続制御(Medium Access Control)層とは送信チャネル(Transport Channel)を介して接続されている。該送信チャネルを通じて媒体接続制御層と物理層との間にデータが移動する。送信側の物理層と受信側の物理層との間には物理チャネルを通じてデータが移動する。該物理チャネルは、時間及び周波数を無線リソースとして活用する。具体的には、物理チャネルは、下りリンクにおいてOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式で変調され、上りリンクにおいてSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式で変調される。
【0020】
第2層の媒体接続制御(Medium Access Control;MAC)層は、論理チャネル(Logical Channel)を通じて、上位層である無線リンク制御(Radio Link Control;RLC)層にサービスを提供する。第2層のRLC層は、信頼できるデータ送信を支援する。RLC層の機能は、MAC内部の機能ブロックとしてもよい。第2層のPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層は、帯域幅の狭い無線インターフェースでIPv4やIPv6のようなIPパケットを効率的に送信するために、余分の制御情報を減らすヘッダー圧縮(Header Compression)機能を果たす。
【0021】
第3層の最下部に位置する無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)層は、コントロールプレーンにのみ定義される。RRC層は、無線ベアラー(Radio Bearer)の設定(Configuration)、再設定(Re−configuration)及び解除(Release)に関連して、論理チャネル、送信チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。無線ベアラー(RB)とは、端末とネットワーク間のデータ伝達のために第2層により提供されるサービスのことを意味する。そのために、端末のRRC層とネットワークのRRC層とはRRCメッセージを互いに交換する。端末のRRC層とネットワークのRRC層間にRRC接続(RRC Connected)がある場合に、端末はRRC接続状態(Connected Mode)にあり、そうでない場合は、RRC休止状態(Idle Mode)にあるようになる。RRC層の上位にあるNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理(Session Management)と移動性管理(Mobility Management)などの機能を果たす。
【0022】
基地局(eNB)を構成する一つのセルは、1.25、2.5、5、10、15、20MHzなどの帯域幅のいずれか一つに設定され、複数の端末に下り又は上り送信サービスを提供する。互いに異なるセルは、互いに異なる帯域幅を提供するように設定することができる。
【0023】
ネットワークから端末にデータを送信する下り送信チャネルとしては、システム情報を送信するBCH(Broadcast Channel)、ページングメッセージを送信するPCH(Paging Channel)、ユーザトラフィックや制御メッセージを送信する下りSCH(Shared Channel)などがある。下りマルチキャスト又は放送サービスのトラフィック又は制御メッセージは、下りSCHを通じて送信されてもよく、別の下りMCH(Multicast Channel)を通じて送信されてもよい。一方、端末からネットワークにデータを送信する上り送信チャネルとしては、初期制御メッセージを送信するRACH(Random Access Channel)、ユーザトラフィックや制御メッセージを送信する上りSCH(Shared Channel)がある。送信チャネルの上位に存在し、送信チャネルにマッピングされる論理チャネル(Logical Channel)としては、BCCH(Broadcast Control Channel)、PCCH(Paging Control Channel)、CCCH(Common Control Channel)、MCCH(Multicast Control Channel)、MTCH(Multicast Traffic Channel)などがある。
【0024】
図3は、3GPPシステムに用いられる物理チャネル及びこれらのチャネルを用いた一般の信号送信方法を説明するための図である。
【0025】
端末は、電源が入ったり、新しくセルに進入したりした場合に、基地局と同期を取る等の初期セル探索(Initial cell search)作業を行う(S301)。そのために、端末は、基地局からプライマリ同期チャネル(Primary Synchronization Channel;P−SCH)及びセカンダリ同期チャネル(Secondary Synchronization Channel;S−SCH)を受信して基地局と同期を取り、セルIDなどの情報を取得すればよい。その後、端末は、基地局から物理放送チャネル(Physical Broadcast Channel)を受信し、セル内放送情報を取得できる。一方、端末は、初期セル探索段階で、下りリンク参照信号(Downlink Reference Signal;DL RS)を受信し、下りリンクチャネル状態を確認できる。
【0026】
初期セル探索を終えた端末は、物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDCCH)、及び該PDCCHに載せられた情報に基づいて物理下りリンク共有チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDSCH)を受信することによって、より具体的なシステム情報を取得できる(S302)。
【0027】
一方、基地局に最初に接続したり信号送信のための無線リソースがない場合には、端末は、基地局にランダムアクセス手順(Random Access Procedure;RACH)を行ってよい(S303乃至S306)。そのために、端末は、物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel;PRACH)を通じて特定シーケンスをプリアンブルとして送信し(S303及びS305)、PDCCH及び対応するPDSCHを通じて、プリアンブルに対する応答メッセージを受信すればよい(S304及びS306)。競合ベースのRACHについては、衝突解決手順(Contention Resolution Procedure)をさらに行ってもよい。
【0028】
上述の手順を行った端末は、その後、一般的な上りリンク/下りリンク信号送信手順として、PDCCH/PDSCH受信(S307)、及び物理上りリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel;PUSCH)/物理上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel;PUCCH)送信(S308)を行えばよい。特に、端末はPDCCHを通じて下りリンク制御情報(Downlink Control Information;DCI)を受信する。ここで、DCIは、端末に対するリソース割り当て情報のような制御情報を含んでおり、その使用目的によってフォーマットが異なっている。
【0029】
一方、端末が上りリンクを通じて基地局に送信する又は端末が基地局から受信する制御情報としては、下りリンク/上りリンクACK/NACK信号、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Index)、RI(Rank Indicator)などを含む。3GPP LTEシステムでは、端末は、これらのCQI/PMI/RIなどの制御情報をPUSCH及び/又はPUCCHを通じて送信してもよい。
【0030】
図4は、LTEシステムで用いられる無線フレームの構造を例示する図である。
【0031】
図4を参照すると、無線フレーム(radio frame)は10ms(327200×Ts)の長さを有し、10個の均等なサイズのサブフレーム(subframe)で構成されている。それぞれのサブフレームは1msの長さを有し、2個のスロット(slot)で構成されている。それぞれのスロットは0.5ms(15360×Ts)の長さを有する。ここで、Tsはサンプリング時間を表し、Ts=1/(15kHz×2048)=3.2552×10-8(約33ns)で表示される。スロットは時間領域において複数のOFDMシンボルを含み、周波数領域において複数のリソースブロック(Resource Block;RB)を含む。LTEシステムにおいて一つのリソースブロックは12個の副搬送波×7(6)個のOFDMシンボルを含む。データの送信される単位時間であるTTI(Transmission Time Interval)は一つ以上のサブフレーム単位に定めることができる。上述した無線フレームの構造は例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームに含まれるスロットの数、又はスロットに含まれるOFDMシンボルの数は様々に変更されてもよい。
【0032】
図5は、下りリンク無線フレームにおいて一つのサブフレームの制御領域に含まれる制御チャネルを例示する図である。
【0033】
図5を参照すると、サブフレームは14個のOFDMシンボルで構成されている。サブフレーム設定によって先頭の1乃至3個のOFDMシンボルは制御領域として用いられ、残り13〜11個のOFDMシンボルはデータ領域として用いられる。同図で、R1乃至R4は、アンテナ0乃至3に対する基準信号(Reference Signal(RS)又はPilot Signal)を表す。RSは、制御領域及びデータ領域を問わず、サブフレーム内に一定のパターンで固定される。制御チャネルは、制御領域においてRSの割り当てられていないリソースに割り当てられ、トラフィックチャネルもデータ領域においてRSの割り当てられていないリソースに割り当てられる。制御領域に割り当てられる制御チャネルには、PCFICH(Physical Control Format Indicator CHannel)、PHICH(Physical Hybrid−ARQ Indicator CHannel)、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)などがある。
【0034】
PCFICHは物理制御フォーマット指示子チャネルで、サブフレームごとにPDCCHに用いられるOFDMシンボルの個数を端末に知らせる。PCFICHは、最初のOFDMシンボルに位置し、PHICH及びPDCCHに優先して設定される。PCFICHは4個のREG(Resource Element Group)で構成され、それぞれのREGはセルID(Cell IDentity)に基づいて制御領域内に分散される。一つのREGは4個のRE(Resource Element)で構成される。REは、1副搬送波×1 OFDMシンボルと定義される最小物理リソースを表す。PCFICH値は帯域幅によって1〜3又は2〜4の値を指示し、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)で変調される。
【0035】
PHICHは、物理HARQ(Hybrid−Automatic Repeat and request)指示子チャネルで、上りリンク送信に対するHARQ ACK/NACKを運ぶために用いられる。すなわち、PHICHは、UL HARQのためのDL ACK/NACK情報が送信されるチャネルを表す。PHICHは、1個のREGで構成され、セル特定(cell−specific)にスクランブル(scrambling)される。ACK/NACKは1ビットで指示され、BPSK(Binary phase shift keying)で変調される。変調されたACK/NACKは拡散因子(Spreading Factor;SF)=2又は4で拡散される。同一のリソースにマップされる複数のPHICHは、PHICHグループを構成する。PHICHグループに多重化されるPHICHの個数は、拡散コードの個数によって決定される。PHICH(グループ)は周波数領域及び/又は時間領域においてダイバーシチ利得を得るために3回反復(repetition)される。
【0036】
PDCCHは物理下りリンク制御チャネルで、サブフレームにおける先頭のn個のOFDMシンボルに割り当てられる。ここで、nは1以上の整数で、PCFICHによって指示される。PDCCHは一つ以上のCCEで構成される。PDCCHは、送信チャネルであるPCH(Paging channel)及びDL−SCH(Downlink−shared channel)のリソース割り当てに関する情報、上りリンクスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)、HARQ情報などを各端末又は端末グループに知らせる。PCH(Paging channel)及びDL−SCH(Downlink−shared channel)はPDSCHを通じて送信される。したがって、基地局と端末は一般に、特定の制御情報又は特定のサービスデータ以外は、PDSCHを通じてデータをそれぞれ送信及び受信する。
【0037】
PDSCHのデータがいずれの端末(一つ又は複数の端末)に送信されるものか、これら端末がどのようにPDSCHデータを受信してデコードしなければならないかに関する情報などは、PDCCHに含まれて送信される。例えば、特定PDCCHが「A」というRNTI(Radio Network Temporary Identity)でCRCマスクされており、「B」という無線リソース(例、周波数位置)及び「C」というDCIフォーマット、すなわち、伝送形式情報(例、伝送ブロックサイズ、変調方式、コーディング情報など)を用いて送信されるデータに関する情報が、特定サブフレームで送信されると仮定する。この場合、セル内の端末は、自身が持っているRNTI情報を用いて検索領域でPDCCHをモニター、すなわち、ブラインドデコードし、「A」のRNTIを持っている一つ以上の端末があると、これらの端末はPDCCHを受信し、受信したPDCCHの情報に基づいて「B」と「C」によって指示されるPDSCHを受信する。
【0038】
図6は、LTEシステムで用いられる上りリンクサブフレームの構造を示す図である。
【0039】
図6を参照すると、上りリンクサブフレームは、制御情報を運ぶPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)が割り当てられる領域と、ユーザデータを運ぶPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)が割り当てられる領域とに区別される。サブフレームにおいて中間部分がPUSCHに割り当てられ、周波数領域においてデータ領域の両側部分がPUCCHに割り当てられる。PUCCH上で送信される制御情報は、HARQに用いられるACK/NACK、下りリンクチャネル状態を示すCQI(Channel Quality Indicator)、MIMOのためのRI(Rank Indicator)、上りリンクリソース割り当て要求であるSR(Scheduling Request)などがある。一つの端末に対するPUCCHは、サブフレーム内の各スロットで互いに異なる周波数を占める一つのリソースブロックを使用する。すなわち、PUCCHに割り当てられる2個のリソースブロックはスロット境界で周波数ホッピング(frequency hopping)する。特に、図6は、m=0のPUCCH、m=1のPUCCH、m=2のPUCCH、m=3のPUCCHがサブフレームに割り当てられるとしている。
【0040】
以下、LTEシステムにおいて上りリンク送信電力制御方法について説明する。
【0041】
端末が自身の上りリンク送信電力を制御する方法には、開ループ電力制御(Open Loop Power Control;OLPC)と閉ループ電力制御(Closed Loop Power Control;CLPC))がある。このうち、前者は、端末の属しているセルの基地局からの下りリンク信号の減衰を推定し、それを補償する形態で電力制御をするための因子である。すなわち、端末から基地局までの距離が遠くなって下りリンクの信号減衰が大きくなると、上りリンクの送信電力をさらに上げる方式で上りリンク電力を制御する。そして、後者は、基地局で上りリンク送信電力を調節するために必要な情報(すなわち、制御信号)を直接伝達する方式で上りリンク電力を制御する。
【0042】
次の式1は、搬送波集成(Carrier Aggregation)技法を支援するシステムにおいて、サービングセルcでサブフレームインデックスi上でPUSCH及びPUCCHを同時に送信せず、PUSCHのみを送信する場合に、端末の送信電力を決定するためのものである。
【0043】
【数1】
【0044】
次の式2は、搬送波集成技法を支援するシステムにおいて、サービングセルcでサブフレームインデックスi上でPUCCH及びPUSCHを同時に送信する場合に、PUSCH送信電力を決定するためのものである。
【0045】
【数2】
【0046】
【数3】
【0047】
また、式1で、MPUSCH,c(i)は、サブフレームインデックスiに対して有効なリソースブロック数で表現されたPUSCHリソース割り当ての帯域幅を示すパラメータであり、基地局が割り当てる値である。PO_PUSCH,c(j)は、上位層から提供されたセル−特定ノミナルコンポーネント(nominal component)PO_NOMINAL_PUSCH,c(j)と上位層から提供された端末−特定コンポーネントPO_UE_PUSCH,c(j)との和で構成されたパラメータであって、基地局が端末に知らせる値である。
【0048】
上りリンクグラントに基づくPUSCH送信/再送信時にjは1であり、ランダムアクセス応答に基づくPUSCH送信/再送信時にjは2である。そして、PO_UE_PUSCH,c(2)=0及びPO_NOMINAL_PUSCH,c(2)=PO_PREPREAMBLE_Msg3であり、パラメータPO_PRE及びΔPREAMBLE_Msg3は、上位層からシグナルされる。
【0049】
α(j)は、経路損失補償因子(pathloss compensation factor)であって、上位層から提供され、基地局が3ビットで送信するセル−特定パラメータである。ここで、jが0又は1のとき、∈{0,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1}であり、jが2のとき、α(j)=1である。α(j)は、基地局が端末に知らせる値である。
【0050】
経路損失PLは、端末がdB単位に計算した下りリンク経路損失(又は、信号損失)推定値であり、PL=referenceSignalPower−higher layer filteredRSRPで表現され、ここで、referenceSignalPowerは、基地局が上位層で端末に知らせることができる。
【0051】
(i)は、サブフレームインデックスiに対して現在PUSCH電力制御調整状態を示す値であり、現在の絶対値又は蓄積された値で表現することができる。蓄積(accumulation)が上位層から提供されるパラメータに基づいてイネーブル(enable)されたり、又はTPC commandδPUSCH、cが、CRCが臨時(Temporary)C−RNTIでスクランブルされたサービングセルcに対するDCIフォーマット0と共にPDCCHに含まれると、f(i)=f(i−1)+δPUSCH、c(i−KPUSCH)を満たす。δPUSCH、c(i−KPUSCH)は、サブフレームi−KPUSCHでDCIフォーマット0/4又は3/3Aと共にPDCCHでシグナルされ、ここで、f(0)は、蓄積値のリセット(reset)後の最初の値である。
【0052】
PUSCHの値は、LTE標準で次のように定義されている。
【0053】
FDD(Frequency Division Duplex)ではKPUSCHの値が4である。TDDにおいてKPUSCHの値は、次の表1のとおりである。
【0054】
【表1】
【0055】
DRX状態の場合を除けば、毎サブフレームで端末は端末のC−RNTIをもってDCIフォーマット0/4のPDCCHを、又は端末のTPC−PUSCH−RNTIをもってDCIフォーマット3/3AのPDCCH及びSPS C−RNTIに対するDCIフォーマットをデコードしようと試みる。サービングセルcに対するDCIフォーマット0/4及びDCIフォーマット3/3Aが同一サブフレームで検出されると、端末は、DCIフォーマット0/4で提供されるδPUSCH、cを用いなければならない。サービングセルcのためにデコードされるTPC命令(command)がないか、DRXが発生するか、又はインデックスiのサブフレームがTDDにおいて上りリンクサブフレームでないサブフレームに対して、δPUSCH、cは0dBである。
【0056】
DCIフォーマット0/4と共にPDCCH上でシグナルされるδPUSCH、c蓄積値は、次の表2のとおりである。DCIフォーマット0に同伴するPDCCHが、SPS activationで認証(validation)されたり、リリース(release)されると、δPUSCH、cは0dBである。DCIフォーマット3/3Aと共にPDCCH上でシグナルされるδPUSCH、c蓄積値は、次の表2のSET1のいずれか一つであるか、上位層で提供されるTPC−インデックス(index)パラメータによって決定される次の表3のSET2のいずれか一つである。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
サービングセルcにおける送信最大電力
【数4】
に到達すると、サービングセルcに対して正(positive)のTPC命令(command)が蓄積されない。一方、端末が最低電力に到達すると、負(negative)のTPC命令が蓄積されない。
【0060】
次の式3は、LTEシステムにおける、PUCCHに対する上りリンク電力制御関連式である。
【0061】
【数5】
【0062】
上記の式3で、iは、サブフレームインデックス、cは、セル(cell)インデックスである。端末が2つのアンテナポート上でPUCCHを送信するように上位層によって設定されていると、ΔTxD(F’)の値は上位層によって端末に提供され、その他の場合には0である。以下に説明するパラメータは、セルインデックスcであるサービングセルに関する。
【0063】
ここで、PCMAX,c(i)は、端末の送信可能な最大電力を表し、P0_PUCCHは、セル−特定(cell−specific)パラメータの和で構成されたパラメータであって、基地局が上位層シグナリングを用いて知らせる。PLは、端末がdB単位に計算した下りリンク経路損失(又は、信号損失)推定値であって、PL=referenceSignalPower−higher layer filteredRSRPで表現される。h(n)は、PUCCHフォーマットによって変わる値であり、nCQIは、チャネル品質情報(CQI)に対する情報ビットの数であり、nHARQは、HARQビットの数を表す。ΔF_PUCCH(F)値は、PUCCHフォーマット1aに相対的な値であって、PUCCHフォーマット#Fに対応する値である。このΔF_PUCCH(F)値は、基地局が上位層シグナリングを用いて知らせる値である。g(i)は、インデックスiのサブフレームの現在PUCCH電力制御調整ステート(adjustment state)を表す。
【0064】
O_UE_PUCCH値が上位層で変更されるとき、g(0)=0であり、そうでないと、g(0)=ΔPrampupmsg2である。δmsg2は、ランダムアクセス応答で指示されるTPC命令(command)であり、ΔPrampupは、上位層で提供する最初のプリアンブルから最後のプリアンブルまでの総電力ランプ−アップ(ramp−up)に該当する。
【0065】
プライマリセルにおける送信最大電力PCMAX,C(i)に到達すると、プライマリセルに対して正(positive)のTPC命令が蓄積されない。一方、端末が最低電力に到達すると、負(negative)のTPC命令が蓄積されない。端末は、PO_UE_PUCCH値が上位層によって変更されたり、又はランダムアクセス応答メッセージを受信するとき、蓄積(accumulation)をリセットする。
【0066】
一方、次の表4及び表5は、DCIフォーマットにおけるTPC命令(Command)フィールドが示すδPUCCH値を表すものである。特に、表4は、DCIフォーマット3A以外のDCIが示すδPUCCH値であり、表5は、DCIフォーマット3Aが示すδPUCCH値である。
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
次の式4は、LTEシステムでのサウンディング参照信号(SRS)の電力制御関連式である。
【0070】
【数6】
【0071】
前記の式4で、iは、サブフレームインデックス、cは、セル(cell)インデックスである。ここで、PCMAX,c(i)は、端末の伝送可能な最大電力を示し、PSRS_OFFSET、c(m)は、上位層で設定される値であって、mが0である場合は、周期的(periodic)サウンディング参照信号を、mが1である場合は、非周期的(aperiodic)サウンディング参照信号を送信する場合に対応する。MSRS,cは、サービングセルcのサブフレームインデックスi上でのサウンディング参照信号の帯域幅であって、リソースブロックの個数で表現される。
【0072】
(i)は、サービングセルcのサブフレームインデックスiに対して、現在のPUSCH電力制御調整状態を示す値であり、PO_PUSCH,c(j)及びα(j)もまた、前記式1及び式2で説明した通りである。
【0073】
図7は、端末間直接通信を示す概念図である。
【0074】
図7を参照すると、UEが他のUEと直接無線通信を行うD2D(device−to−device)通信、すなわち、端末間直接通信では、eNBがD2D送受信を指示するためのスケジューリングメッセージを送信することができる。D2D通信に参加するUEは、eNBからD2Dスケジューリングメッセージを受信し、D2Dスケジューリングメッセージが指示する送受信動作を行う。ここで、UEはユーザの端末を意味するが、eNBのようなネットワークエンティティがUE間の通信方式によって信号を送受信する場合には、このエンティティも一種のUEと見なすことができる。以下では、UE間に直接接続されたリンクをD2Dリンクと呼び、UEがeNBと通信するリンクをNUリンクと呼ぶ。
【0075】
D2D通信でも、送信端と受信端は時間及び周波数同期を取らなければならない。そのために、少なくとも一部の送信UEは、時間/周波数同期の基準となる同期信号を送信することができる。この同期信号をD2DSS(D2D synchronization signal)と命名する。一部の送信UEは、隣接する他の送信UEが送信するD2DSSが検出される場合には、検出されたD2DSSに同期を取ることによって、自身は別途のD2DSSを送信せずとも、他の送信UEのD2DSSに同期を取っている受信UEとの通信が可能になるように動作することも可能である。
【0076】
上述したように、一部の送信UEが他の送信UEのD2DSSに同期を取る場合、全体的に送信されるD2DSSの個数自体を低減することができるので、UEの電力消耗やD2DSS間の干渉問題などを緩和することができる。そのために、本発明では、効果的にD2DSSを送信する方法を説明する。
【0077】
図8は、本発明に係るD2DSSの送信方法を例示する図である。特に、図8は、ネットワークにeNBが十分に設置されていないか、又は地震などの災難によってeNBが破壊され、少数のeNBが広い領域を担当するようになり、その結果、一部の領域ではeNBへの接続が不安定であるか、又は不可能になる場合を仮定する。
【0078】
(1)基本的にeNBと円滑な通信が可能なUE、例えば、図8のUE1に対しては、eNBが直接UE特定的信号を介してどのUEがD2DSSを送信するかを指定することができる。eNBは、UEのRRM(Radio Resource Management)測定報告を介して、どのUEがどの位置にあるかを概略的に把握できるので、適切な距離を置いてD2DSS送信UEを選択することができる。このように、eNBが個別UEのD2DSS送信を指示する方式を、D2DSS送信決定方式1と称する。
【0079】
D2DSS送信決定方式1では、eNBが個別UEに、D2DSS送信に使用するリソースの位置、及びD2DSSのシーケンス(sequence)生成に使用するシード値(seed value)を共に知らせることができる。追加的に、D2DSS送信に使用する伝送電力値或いは伝送電力を調節するパラメータを知らせることもできる。D2DSSの伝送電力を調節するパラメータを知らせる場合には、D2DSSの伝送電力は、通常のNUリンクの伝送電力とほぼ同一に前記式1のように表現することができる(もちろん、式1の一部のパラメータは省略可能である)。このような場合、eNBが個別UEにPO_PUSCH,c(j)、α(j)のようなパラメータ値を知らせることができる。
【0080】
特に、このようなD2DSSのためのパラメータは、NUリンクのためのパラメータ及びD2Dリンクの他のチャネル(例えば、D2Dデータチャネル)のパラメータとは別途に設定することができ、ただし、TPC命令(command)によって決定される閉ループパラメータであるf(i)は、D2Dデータチャネルのものと同一に使用してもよい。換言すれば、TPCの適用対象が、D2Dデータチャネルだけでなく、D2DSS及びこれと関連する同期チャネルも含まれるということである。一例として、D2DSSのためのパラメータのうち開ループパラメータは、D2Dデータチャネルの開ループパラメータとは別個に設定し、閉ループパラメータであるf(i)は、D2Dデータチャネルと同一に使用することができる。したがって、瞬間的にD2Dの電力が不足する場合、D2Dデータ、D2DSS及び関連する同期チャネルの電力を共に高めることができるので、追加的なシグナリングオーバーヘッドなしに、瞬間的な状況変化に対処できるようになる。
【0081】
特に、この場合、f(i)は、0及び無限大に近い非常に大きい値のうち1つにeNBのTPCによって決定されてもよく、この動作を式1に適用する場合、次式5及び式6のように表現することができる。特に、式5の場合、f(i)が0である場合を示し、式6は、f(i)が無限大に近い非常に大きい値である場合を示す。
【0082】
【数7】
【0083】
【数8】
【0084】
又は、D2DSSの伝送電力は、D2Dデータチャネルの伝送電力において一定のオフセットを付与した形態で定められてもよく、勿論、このオフセット値はeNBがシグナリングすることができる。
【0085】
(2)一方、UEがeNBから遠ざかると、eNBが非常に高い信頼性のために伝送する基礎的な情報(例えば、システム情報を介して放送される情報)のみが受信可能であり、UE特定的な信号を安定的に送受信しにくい地域に位置することもある。図8のUE2がそのような場合である。このような場合にも、D2D送信UEは、eNBが提供する同期信号に同期を取ることが好ましい。これは、eNBが、UEよりはさらに安定した同期を維持することができ、既に放送される情報を受信したということは、当該eNBとの同期は安定的であることを意味するためである。したがって、このような送信UEのうち少なくとも一部は、eNBに同期を取った状態で、他のUEとの同期の基準となり得るD2DSSを送信しなければならない。ただし、この環境では、UE特定的な信号を介するD2DSS送信決定方式1を使用することは適していないため、他の方式を使用しなければならない。
【0086】
一つの方法として、eNBは、D2DSSとして使用可能なリソース、及び/又は1つ又はそれ以上のD2DSSのシーケンス生成に使用するシード値を、システム情報などを介して放送し、これを受信したUEが、事前に定められた規則に従ってD2DSSを送信するか否かを自ら判断するようにすることができる。これをD2DSS送信決定方式2と称する。D2DSS送信決定方式2のより具体的な動作の一例として、UEは、まず、他のUEが送信するD2DSSがあるかを確認し、他のUEが送信するD2DSSが検出されないか、又は検出されても一定の条件を満足しない場合には、eNBが知らせたリソース及びシード値を用いてD2DSSを送信する。特に、D2DSS送信決定方式2の場合には、D2DSSの確率的送信も可能である。すなわち、直ちにD2DSSを送信するものではなく、一定の確率でD2DSSの送信を試みることによって、隣接する2つのUEが同時にD2DSSを送信する場合を減らすことができる。逆に、他のUEが送信するD2DSSがあるかを確認する過程で、他のUEが送信した前記一定の条件を満足するD2DSSが検出される場合、D2DSS送信を中断するように動作することができる。
【0087】
上述したD2DSS送信決定方式2において、他のUEのD2DSSが検出されてもD2DSSの送信を試みる条件の一例として、他のUEのD2DSSが一定水準以下の品質、例えば、受信電力が一定水準以下に検出された場合を挙げることができる。この条件は、一定距離だけ離れたUEであればD2DSSの送信を許容するためである。他の条件の一例として、検出されたD2DSSが、eNBとの同期を取っていないUEによって後述するD2DSS送信決定方式3を用いて送信された場合を挙げることができる。これは、eNBに同期を取っている、D2DSS送信決定方式2に従うUEに高い優先順位を付与するようにすることによって、究極的には、D2DSS送信決定方式3を用いたUEが、D2DSS送信決定方式2に従うUEに同期を取るようにするためである。
【0088】
すなわち、D2DSS送信決定方式1やD2DSS送信決定方式2を用いて送信されたD2DSSが(一定水準以上の品質に)検出された場合には、D2DSS送信の試みを中断することを意味する。このとき、UEが検出したD2DSS送信決定方式1やD2DSS送信決定方式2によって検出されるD2DSSは、自身が接続しているセルで提供したリソース及びシード値を使用しているD2DSSに制限されてもよい。これは、隣接セルで伝送しているD2DSSは、たとえ検出されても、自身と同期が完璧に合わないことがあるため、依然として別途のD2DSSを送信することが好ましいためである。
【0089】
(3)UEが、eNBからさらに遠ざかってeNBからの同期を取得することが不可能な場合には(ただし、eNBからの同期を取得することが不可能であるか否かは、eNB信号の受信品質に対する条件で示されてもよい)、eNBが知らせるD2DSSリソースやシード値を使用することが不可能になる。このときには、eNBとの同期を取っていない状態でD2DSSを送信しなければならず、これを、D2DSS送信決定方式3と称することができる。D2DSS送信決定方式3は、eNBがD2DSSリソースやシード値を放送するという点を除けば、UEが自らD2DSSを送信するか否かを判断するという点でD2DSS送信決定方式2と似ている。すなわち、D2DSS送信決定方式3でも、UEは、まず、他のUEが送信するD2DSSがあるかを確認し、他のUEが送信するD2DSSが検出されないか、又は検出されても一定の条件を満足しない場合には、eNBが知らせたリソース及びシード値を用いてD2DSSを送信する。このときには、確率的送信も可能であり、直ちにD2DSSを送信するものではなく、一定の確率でD2DSSの送信を試みることによって、隣接する2つのUEが同時にD2DSSを送信する場合を減らすことができる。
【0090】
一方、確率的にD2DSSの送信中断を決定するということは、各UEが、毎D2DSSの送信時点で一定の確率で継続してD2DSSを送信するか否かを決定する形態であってもよく、或いは、未来にD2DSSを送信する時点を確率的に選択する形態であってもよい。逆に、他のUEが送信するD2DSSがあるかを確認する過程で、他のUEが送信し、所定の条件を満足するD2DSSが検出されると、D2DSSの送信を中断するように動作することができる。
【0091】
上述によれば、UEは、他のUEが送信したD2DSSを検出する場合、どのような方式によって送信されたD2DSSであるかを区分することができなければならない。これは、D2DSSのシード値をD2DSS送信決定方式に連動させることによって解決することができる。一例として、D2DSSに使用可能なシード値全体を3つの集合に区分し、各集合に一つのD2DSS送信決定方式を連動することである。これによれば、特定のD2DSS送信決定方式を用いる場合には、連動するD2DSSのシード値を使用するようにすることができる。もちろん、一つのD2DSS送信決定方式に2つ以上のシード値が連動している状況であれば、連動するシード値のうち1つを確率的に選択して使用することができる。特に、UEがD2DSS送信決定方式3を用いるようになる場合には、必ずD2DSS送信決定方式3に連動するシード値を使用しなければならず、残りのD2DSS送信決定方式では、eNBが適宜指定することも可能である。
【0092】
又は、動作の便宜上、D2DSSのシード値全体は、カバレッジ内部のUE、すなわち、D2DSS送信決定方式1及びD2DSS送信決定方式2に従うUEが使用するシード値の集合と、カバレッジ外部のUE、すなわち、D2DSS送信決定方式3に従うUEが使用するシード値の集合との2つの段階のみに区分されてもよい。この場合、D2DSS送信決定方式1とD2DSS送信決定方式2との区分は、eNBが指定する設定によって行われてもよい。すなわち、eNBは、D2DSS送信決定方式1のUEとD2DSS送信決定方式2のUEが使用するD2DSSのシード値を別途に指定することができ、この情報がシステム情報の一種として放送されれば、全UEがこれを区分できるようになる。
【0093】
以下では、上述したD2DSS送信決定方式を切り替える方法について説明する。
【0094】
まず、D2DSS送信決定方式1とD2DSS送信決定方式2との間の切り替えのために、eNBの信号品質を基準とすることができる。一例として、eNBが伝送する参照信号の受信電力が一定水準以上である場合にはD2DSS送信決定方式1を用い、それ以下の場合には、D2DSS送信決定方式2に切り替えるように動作することができる。もちろん、瞬間的な受信電力の変化による頻繁な方式変更を防止するために、信号品質が一定時間の間基準以上である場合や以下である場合に方式を切り替えるように動作することもでき、eNBは、システム情報などを介して、切り替えの基準となるeNB信号品質値を知らせることができる。具体的に、D2DSS送信決定方式1からD2DSS送信決定方式2への切り替えについて、以下の方式(a)及び(b)のうち1つを考えることができる。
【0095】
(a)D2DSS送信決定方式1を用いてD2DSSを送信していたUEが、eNBとの距離が遠ざかって受信電力が基準値以下になることを発見すると、D2DSS送信決定方式1によるD2DSSの送信を中断し、D2DSS送信決定方式2に切り替えるように動作する。この動作は、D2DSS送信決定方式1とD2DSS送信決定方式2との区分を明確にする場合に効果的である。このとき、UEは、自身がD2DSS送信決定方式2に切り替えるという事実をeNBに報告するように動作することができ、これに基づいて、eNBが、D2DSSの送信を持続するか否かを指示することもできる。
【0096】
(b)D2DSS送信決定方式1を用いてD2DSSを送信していたUEが、eNBとの距離が遠ざかって受信電力が基準値以下になることを発見しても、eNBとの同期を維持することが可能な状況であれば、依然として、既存のD2DSSの送信を続ける。この動作は、D2DSSの送信方式の切り替えを最小化するという点で有利であり、この場合には、D2DSS送信決定方式1とD2DSS送信決定方式2とのD2DSSシード値を区分しなくてもよい。このような動作を適用する場合に、上述したeNBの信号品質に対する基準は、D2DSSを送信していないUEがD2DSSの送信を試みるときにのみ制限的に適用されると見ることができる。ただし、この場合にも、UEは、自身がD2DSS送信決定方式2に切り替えるという事実をeNBに報告することができ、これに基づいて、eNBが、D2DSSの送信を中断するか否かを指示することもできる。
【0097】
これと同様に、D2DSS送信決定方式2からD2DSS送信決定方式1への切り替えの具体的な動作として、以下の方法(c)及び(d)のうち1つを選択することができる。
【0098】
(c)D2DSS送信決定方式2を用いてD2DSSを送信していたUEが、受信電力が基準値以上になることを発見すると、D2DSS送信決定方式2によるD2DSSの送信を中断し、D2DSS送信決定方式1に切り替えるように動作する。この切り替え過程において、UEは、自身がD2DSS送信決定方式1に従ってD2DSSを送信することを要求する信号をeNBに伝送することができ、特に、他のUEが送信するD2DSSを受信できない場合に、そのような報告を行うことができる。ここで、他のUEが送信するD2DSSは、D2DSS送信決定方式1に従って送信されたD2DSS或いはeNBに同期を取ったD2DSSに限定されてもよい。
【0099】
好ましくは、D2DSSを送信することを要求する信号を受信したeNBは、D2DSS送信決定方式1によるD2DSSの送信を当該UEに指示する。又は、当該UEが検出した他のUE送信のD2DSS情報(例えば、検出したD2DSSのリソース位置、シード値、受信電力強度など)を報告することができる。これに基づいて、eNBは、当該UEがD2DSSを送信することが適切であるか否かを判断することができる。もちろん、このようなeNBへの報告は、新たにD2Dを開始しようとすると共に、D2DSS送信決定方式1を使用しようとするUEもまた行うことができる。
【0100】
(d)D2DSS送信決定方式2を用いたD2DSSの送信中、受信電力が基準値以上になることを発見しても、依然として、既存のD2DSSの送信を維持することができる。ただし、eNBに、自身が送信しているD2DSSのリソース位置及びシード値、伝送電力などの情報を報告し、もし、eNBがD2DSSの送信中断を命令するか、又は他のD2DSSの送信方式をD2DSS送信決定方式1として指示する場合、これによって、既存のD2DSSの送信は中断する。
【0101】
以上の方式を説明するにおいて、D2DSS送信決定方式1とD2DSS送信決定方式2との間の切り替えの条件として、eNB信号の受信品質を使用したが、本発明がこれに限定されるものではなく、それ以外の他の条件が適用される場合にも適用可能である。一例として、UEがeNBとの接続を樹立してRRC_CONNECTED状態にあれば、UE特定的シグナリングが可能なD2DSS送信決定方式1を用い、eNBとの接続が樹立されていないRRC_IDLE状態にあれば、UE特定的シグナリングが不可能であるため、D2DSS送信決定方式2を用い、どのような状態に切り替えるかによって、D2DSS送信決定方式も共に変更することができる。
【0102】
他の一例として、D2DSS送信決定方式はD2Dデータ伝送方式に連動することができる。具体的には、eNBの個別的な指示を必要とするD2DSS送信決定方式1は、eNBの個別的な指示に基づいてD2Dデータ信号の送信リソースが割り当てられる場合に使用する一方、eNBの個別的な指示を必要としないD2DSS送信決定方式2は、eNBの個別的な指示なしにUEが自らD2Dデータ信号の送信リソースを決定する場合に使用することができる。特に、D2DSS送信決定方式とD2Dデータ送信方式が共に切り替わってもよく、もし、D2DSS送信決定方式に応じて可用D2DSSシード値が異なる場合であれば、他のUEは、D2DSSを検出することによって、どのようなD2Dデータ送信方式でD2Dデータが送信されるかも把握することができる。
【0103】
一方、上述したように、2つのUEが非常に近い位置で(例えば、D2DSSの受信電力が特定基準値以上である場合)それぞれD2DSSを送信することは好ましくなく、この場合には、2つのうち1つのUEのみがD2DSSを送信し、残りのUEは、これに同期を取ることが適切である。このとき、他のUEに同期を取ったUEは、これに合わせてD2DSSを送信することによって、同期を中継する動作を行うこともできる。一つのUEがD2DSSを送信しているときに新たなUEが現れれば、D2DSS送信決定方式2やD2DSS送信決定方式3を用いる場合、新たなUEがD2DSS送信の前に既存のD2DSSを検出する段階で、既に送信されているD2DSSを発見し、自身のD2DSSの送信を行わない。すなわち、既存にD2DSSを送信していたUEに優先権を付与することである。
【0104】
しかし、一つのUEがD2DSSを送信しているときに他のD2DSS送信UEが移動して近接する場合、2つのUEが同時にD2DSSの送信を中断し、一時的にD2DSSの不在が発生するという問題が発生し得る。この場合には、2つのUEが確率的にD2DSS送信中断を決定することによって、先に一つのUEがD2DSSの送信を中断する場合、他のUEはD2DSSの送信を持続するように動作することができる。すなわち、一つのUEが確率的に先にD2DSSの送信を中断すると、他のUEはこれを観察することができるので、自身のD2DSSの送信は持続することである。自身のD2DSS送信を先に中断したUEは、残っているUEのD2DSSに同期を取り、これを中継するためのD2DSSを送信することもでき、このとき、D2DSSの送信タイミング及びその他のD2DSS送信パラメータが変化し得るため、依然として既存の自身が送信していたD2DSSは中断することになる。
【0105】
このとき、確率的にD2DSS送信中断を決定するということは、各UEが毎D2DSSの送信時点で一定の確率で継続してD2DSSを送信するか否かを決定する形態であってもよく、或いは、未来にD2DSSを送信する時点を確率的に選択する形態であってもよく、或いは、UEのIDやD2DSSのシーケンス生成のシード値のように確率的に設定される値が大きいか又は小さいかによって、D2DSS送信中断UEを決定してもよい。前記確率的に設定される値を端末のセッティング時から指定する場合、各端末の設定値が重複しないようにするために確率的に選択して設定値を入力するものと見ることもできる。
【0106】
もちろん、この場合は、2つのUEのD2DSSが同一の優先順位を有する場合を想定したものであり、例えば、上述したD2DSS送信決定方式のうち同一のものを使用するか、又はその他にD2DSSの選択に作用する優先順位が同一である場合に該当し、もし、あるUEのD2DSSの優先順位が低い場合、自動的に低い優先順位のD2DSSの伝送が中断される。一例として、生成された時間が古いD2DSSに優先順位を付与する場合、各D2DSSの生成された後の経過時間は優先順位を示し、生成された後の経過時間が同一である場合にのみ制限的に、このような確率的なD2DSS送信中断動作が行われてもよい。他の例として、UEが他のUEのD2DSSに同期を取り、これを多重ホップ中継する場合においても、ホップ数の少ないD2DSSが優先権を有するようになり、この場合には、同じホップ数のD2DSSが観察された場合にのみ制限的に確率的なD2DSS送信中断動作が行われてもよい。
【0107】
類似の動作をD2DSS送信決定方式1でも適用するために、UEは、他のUEの送信D2DSSの受信電力が特定の基準値以上になる場合には(さらに、そのようなD2DSSが、自身が送信するD2DSSと同一の優先順位を有する場合には)、これをeNBに報告するように動作することができ、eNBは、これを考慮して、当該UEのD2DSS送信を中断するように指示することができる。
【0108】
上述したD2DSSを検出したUEが確率的に自身のD2DSS送信を中断する動作は、特定のUEが、自身が送信しているD2DSSと同一のD2DSSを検出し、その検出されたD2DSSと自身の送信D2DSSとが同期していない場合にも有用に適用することができる。具体的に説明すると、UE AがD2DSS Xを送信しているとき、他のUE Bが送信する同一のシーケンスのD2DSS Xを検出することができる。この状況は、最初は2つのUEが遠く離れて互いを感知できない状況で同一にD2DSS Xを選択して送信したが、時間が経過するにつれて2つのUEが近づく場合に発生し得る。このとき、2つのUEが送信するD2DSS Xは同期していないことが一般的であり、具体的には、D2DSSのシンボル境界(symbol boundary)が一定水準(例えば、CP長(length)或いはCP長から遅延拡散(delay spread)を除いた分に該当する時間の長さ)以上の差があるか、又はD2DSSと連動する同期チャネルを介して指示されたフレーム番号(frame number)が異なる場合に、2つのD2DSSは同期していないことを把握することができる。
【0109】
このように、UE AとUE Bとが同期していないと共に、同一のD2DSSを送信するという事実を把握した場合、2つのUEのうち一方が他方に同期を取るように動作することが好ましい。これは、第3のUEの立場では、同一のD2DSSシーケンスが同期していない状況になるため、どのシーケンスをいつ使用しなければならないかが不明確になるためである。このとき、どのUEがD2DSSの送信を中断し、他方に同期を取るかを決定する動作は、上述した確率的送信中断動作に従うことができる。自身のD2DSS送信を中断し、他のUEのD2DSSに同期を取ったUEは、その同期によってD2DSSを再び送信することによって、D2DSSを中継する動作を取ることができる。もちろん、2つのUEが送信する同一のD2DSS Xが互いに同期していると判明される場合には、2つのUEが非常に近いため、D2DSSの受信電力が上述した一定水準以下になる場合を除けば、別途の動作を行わずに、各UEのD2DSS送信を持続することも可能である。
【0110】
一方、上述したように、D2DSSと連動する同期チャネルを介して指示されたフレーム番号が一致するか否かに基づいて、2つのD2DSSが同期しているか否かを判断する方法は、2つのD2DSSが異なるシーケンスを使用する場合にも有用である。一般的に、フレーム番号を表す際にMビットを使用する場合、偶然に同じフレーム番号を使用する確率は1/2Mになるため、非常に低いといえる。もちろん、これに、偶然に2つのD2DSSのサブフレーム境界(subframe boundary)が上述した一定水準以内である確率が追加されると、さらに低くなる。したがって、UEは、たとえ、検出した2つのD2DSSのシーケンスが異なっても、サブフレーム境界が一定誤差以内であり、フレーム番号が一致すれば、2つのD2DSSが同期しているものと見なすことができ、2つのD2DSSから推定された周波数補正値を平均することができる。もちろん、D2DSSに連動する同期チャネルがフレーム番号以外の他の情報を伝達する場合、これらが一致するか否かを共に使用して、同期化しているか否かを決定することができるが、このときには、個別D2DSSや同期チャネルに特定的な情報、例えば、D2DSSや同期チャネルが伝送されたサブフレームインデックスのような情報は、別途に処理されなければならない。例えば、2つのD2DSS及び同期チャネルが2つのサブフレームだけ離隔して伝送されると、同期チャネルに含まれたサブフレームインデックスに対して2だけの差がある場合が、むしろ同期しているものと見なすべきである。
【0111】
一方、D2DSS送信決定方式2とD2DSS送信決定方式3との区分がない動作も設計可能である。これは、2つの動作がいずれも、UEが、D2DSSを送信するか否かを自発的に決定するという点で共通点があるためである。すなわち、D2DSS送信決定方式2を使用する条件に置かれたUEは、まるで自身がカバレッジ外部にあるUEのように、カバレッジ外部で使用するD2DSSシード値を用いてD2DSSを送信する。すると、D2DSS送信決定方式1を使用できる条件に置かれたUEが、これを把握すると、その事実をeNBに報告し、カバレッジ内部で使用するシード値を用いてD2DSSを送信し、最初にD2DSSを送信したUEは、これから、この新たに受信されたD2DSSを多重ホップ中継を介して他のUEに伝送することができる。このような動作のために、eNBは、D2DSS送信決定方式2の条件でカバレッジ外部で使用するD2DSSシード値でD2DSSを伝送できるリソース領域を指定することができる。
【0112】
図9は、本発明の一実施例に係る通信装置のブロック構成図である。
【0113】
図9を参照すると、通信装置900は、プロセッサ910、メモリ920、RFモジュール930、ディスプレイモジュール940、及びユーザインターフェースモジュール950を備えている。
【0114】
通信装置900は説明の便宜のために示されたもので、一部のモジュールは省略されてもよい。また、通信装置900は必要なモジュールをさらに備えてもよい。また、通信装置900において一部のモジュールはより細分化したモジュールに区分されてもよい。プロセッサ910は、図面を参照して例示した本発明の実施例に係る動作を実行するように構成される。具体的には、プロセッサ910の詳細な動作は、図1乃至図8に記載された内容を参照すればよい。
【0115】
メモリ920は、プロセッサ910に接続し、オペレーティングシステム、アプリケーション、プログラムコード、データなどを格納する。RFモジュール930は、プロセッサ910に接続し、基底帯域信号を無線信号に変換したり、無線信号を基底帯域信号に変換する機能を果たす。そのために、RFモジュール930は、アナログ変換、増幅、フィルタリング及び周波数アップ変換又はこれらの逆過程を行う。ディスプレイモジュール940は、プロセッサ910に接続し、様々な情報をディスプレイする。ディスプレイモジュール940は、特に制限されるものではなく、LCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic Light Emitting Diode)のような周知の要素を用いることができる。ユーザインターフェースモジュール950は、プロセッサ910に接続し、キーパッド、タッチスクリーンなどのような周知のユーザインターフェースの組合せで構成可能である。
【0116】
以上説明してきた実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素又は特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施することもでき、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替わってもよい。特許請求の範囲において明示的な引用関係にない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正により新しい請求項として含めたりできるということは明らかである。
【0117】
本文書で基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。すなわち、基地局を含む複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局又は基地局以外の他のネットワークノードによって行われ得ることは明らかである。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)などの用語にしてもよい。
【0118】
本発明に係る実施例は、様々な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。ハードウェアによる具現では、本発明の一実施例は、一つ又はそれ以上のASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
【0119】
ファームウェアやソフトウェアによる具現では、本発明の一実施例は、以上で説明された機能又は動作を実行するモジュール、手順、関数などの形態で具現されてもよい。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶され、プロセッサによって駆動可能である。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、公知の様々な手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
【0120】
本発明は、本発明の特徴から逸脱しない範囲で別の特定の形態に具体化できるということが当業者にとって自明である。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制限的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的な解釈によって決定しなければならず、本発明の同等な範囲内における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
上述したような無線通信システムにおいて端末間直接通信のための同期信号伝送方法及びそのための装置は、3GPP LTEシステムに適用される例を中心に説明したが、3GPP LTEシステム以外にも、様々な無線通信システムに適用することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9