(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0004】
現在、法的枠組の規制がますます強くなる中で、また環境保護への要求によって、熱機関の動作を改良するための、とりわけ熱機関から大気中に排出される既燃ガスの中にある汚染成分の含有量を削減するための、技術的解決法が模索されている。
【0005】
これらの汚染排出物を削減するため、熱機関は通例、既燃ガスを処理する手段を排気ライン内に有している。これらの手段は通例、触媒コンバーター、及び/または窒素酸化物トラップ、及び/または粒子フィルタの形態をとる。
【0006】
触媒コンバーターや窒素酸化物トラップは、所与の温度範囲(通例150°Cから250°Cの間)で最適に稼働する。しかし、機関の始動直後の周辺温度においては、発揮される性能は非常に乏しい。結果として、大気中に放出される汚染物質のほとんどは、機関の冷間始動フェーズに続く何分かの間に排出される。
【0007】
この触媒コンバーターまたは窒素酸化物トラップの性能を改良する1つの解決方法は、サイズを大きくすることによって、低温下での性能に基づいて設計することである。しかし、この種のコンポーネントの製造に用いられる貴重な材料の高コストを考慮すると、この方法で汚染排出物という事象を制限することは困難である。
【0008】
さらに、窒素酸化物トラップまたは粒子フィルタは、窒素酸化物または微粒子で次第に詰まってくるように設計されている。
【0009】
窒素酸化物の蓄積によってトラップの性能は低下し、微粒子の蓄積によって徐々に既燃ガスの放出が妨げられる。
【0010】
排気ライン内に燃料を噴射することによって、窒素酸化物を削減し既燃ガスの温度を上昇させて、微粒子を燃焼させることで、これらのコンポーネントを再生させる既知の方法も存在する。
【0011】
この再生は通例、機関の各サイクル内で余剰燃料をシリンダ内に噴射し、それによって既燃ガス内の未燃焼炭化水素の含有量を増加することで、実施される。このように、この燃料は、トラップ内に捕集されている窒素酸化物と反応させられ得る。この化学反応は高熱を伴うもので、既燃ガスが約650°Cという非常な高温でトラップを離れ、粒子フィルタに入るとすぐに、フィルタをブロックしている微粒子を燃焼させるという程である。
【0012】
この方法の欠点は、過剰な燃料消費の原因となることであり、それは費用がかかることが分かっている。
【0013】
さらに、文献FR2816664は、電動機モードと発電機モードのどちらでも動作可能な可逆電気機械に連結されたパワートレインを開示している。電気機械は、発電機モードでは、蓄電池に貯蔵される電流を供給するオルタネータであり、その一方電動機モードでは、蓄電池に貯蔵された電流によって電力供給され、パワートレインに追加のトルクを供給する。
【0014】
この文献に記載されている方法は、次のとおりである。
【0015】
再生中、最適な再生を保証する温度に既燃ガスが到達し得るように、熱機関から伝達されるトルクは、特定の値に設定されている。このトルクが、車両を所望の速度で推進するのに必要なトルクよりも大きい場合、可逆電気機械は発電機モードに入れられ、バッテリの再充電が可能になる。逆のケースでは、可逆電気機械は電動機モードに入れられ、駆動輪が所望のトルクを受け取ることが保証される。
【0016】
この方法は、以下の2つの理由によって、完全に満足できるものではない。
【0017】
第1の理由は、バッテリが満充電の場合、電気機械を発電機モードに入れることができず、熱機関が、車両を所望の速度で推進するのに必要なトルクよりも大きいトルクを伝達できないからである。
【0018】
第2の理由は、熱機関によって伝達されるトルクを上昇させるために、シリンダ内に取り込む空気の圧力を上昇させるターボチャージャーが用いられるからである。このターボチャージャーを稼働させるためには、タービンを用い、それによって既燃ガスを膨張させることが必要である。この膨張は、既燃ガスの温度を、(望ましい上昇とは反対に)低下させる効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本書で用いられる用語「上流」及び「下流」は、大気からの外気の吸入地点から、大気への既燃ガスの出口までの、ガス流の方向に準じて使用される。
【0028】
図1は、可逆電気機械90に関連付けられた熱機関2(即ち「内燃機関」)、並びに熱機関2及び電気機械90を制御するように適合されたコンピュータ100を備える、自動車のパワートレイン1を概略的に示す。
【0029】
熱機関2は、4つのシリンダ11内に格納された4つのピストン(図示せず)に接続されたクランクシャフトが設けられた、エンジンブロック10を備える。このケースでは、機関は、圧縮点火(ディーゼル)エンジンである。機関はまた、制御点火(ガソリン)エンジンでもあり得る。エンジンが有するシリンダの数は、もっと多くても少なくてもよい。
【0030】
内燃機関2は、シリンダ11の上流に、外気を大気から取り込み且つ空気分配装置25に開口する吸気管20を有し、空気分配装置25は、エンジンブロック10の4つのシリンダ11のそれぞれに外気を分配するように配設される。
【0031】
この吸気管20は、外気の流れの方向に沿って、大気から取り込んだ外気を濾過するエアフィルタ21、エアフィルタ21によって濾過された外気を圧縮するメインコンプレッサ22、この圧縮された外気を冷却するメインエアクーラー23、及び、空気分配装置25に入る外気流を制御する、吸気バルブ24を備える。
【0032】
熱機関2は、シリンダ11に続いて、排気マニホールド81(シリンダ11内で既に燃焼したガスがその中へ通過する)から、既燃ガスが大気に排出される前に膨張するための排気消音器87へと延びる、排気管80を備える。熱機関2は、既燃ガスの流れの方向の順に、タービン82、及び既燃ガス処理用の手段83も、また備える。
【0033】
タービン82は、排気マニホールド81から出る既燃ガスの流動によって回転され、単一のトランスミッションシャフトのような機械的連結手段を用いて、メインコンプレッサ22を回転駆動するために使用され得る。
【0034】
このケースでは、タービン82をアンロードする手段もまた提供される。
【0035】
このケースでは、これらのアンロード手段は、タービン82のブレードの勾配を調整するステッピングモータによって形成される。前記勾配に応じて、既燃ガスの流動によってタービンブレードを回転駆動させることが可能であったりなかったりすることが分かる。
【0036】
変形例では、アンロード手段は、タービンを短絡させる配線(一般的には「ウェイストゲート配線」として知られる)を含み得る。この配線は、タービンと並列に接続され、通過する既燃ガスの流動を調整するためのバルブが設けられている。
【0037】
既燃ガス処理用の手段33は、種々の形態を採り得る。このケースでは手段33は、非限定的に、窒素酸化物トラップ84とそれに続く粒子フィルタ85とを備えていてよい。
【0038】
ディーゼルエンジンのケースでは、手段33は、例えば酸化触媒コンバーター及び、窒素酸化物用選択触媒還元装置(「SCR」とも呼ばれる)もまた含み得る。
【0039】
機関が制御点火タイプのもの(即ち、ガソリンエンジン)である場合、機関は、直噴エンジンであれば、粒子フィルタ機能を一体化している三元触媒コンバーターまたは、四元触媒コンバーターを含む可能性がより高い。
【0040】
このケースでは、通常動作モードで、窒素酸化物を捕集するために窒素酸化物トラップ84が用いられ得、既燃ガス中に浮遊する煤及び固形粒子を捕集するために粒子フィルタ85が用いられ得る。
【0041】
これら2つのコンポーネントの再生モード中、未燃焼炭化水素を既燃ガスと混合するための用意がなされ、これによって、炭化水素が窒素酸化物を水、二酸化炭素及び二酸化窒素に変換する。この発熱化学反応は、さらに、既燃ガスの温度上昇を可能にし、それによって、粒子フィルタ85内に捕集された煤及び粒子を燃焼させる。
【0042】
図1に示すように、必要に応じ、熱機関2は高圧既燃ガス再循環ラインもまた備え得る。それによって、機関からの汚染排出物の排出、特に窒素酸化物の排出を削減するため、排気ライン80内に流入する既燃ガスの一部を採取し次いでシリンダ11内に再噴射することが可能になる。
【0043】
この再循環ラインは、「Exhaust Gas Recirculation − High Pressure」を表す英語の略語に従って、一般にEGR−HPライン40と呼ばれている。再循環ラインは、排気マニホールド81とタービン82との間にある排気ライン80上の地点から続いていて、吸気バルブ24と空気分配装置25との間で吸気ライン20に開口している。
【0044】
このEGR−HPライン40は、第2の冷却装置42、続いて流動調整バルブ41を備える。
【0045】
必要に応じ、熱機関2は、低圧既燃ガス再循環ラインもまた備える。
【0046】
この再循環ラインは、「Exhaust Gas Recirculation − Low Pressure」を表す英語の略語に従って、一般にEGR−LPライン30と呼ばれている。再循環ラインは、粒子フィルタ85の出口にある排気ライン80上の地点から続いていて、エアフィルタ21とメインコンプレッサ22との間で吸気ライン20に開口している。
【0047】
このEGR−HPライン30は、熱交換器31、続いて流動調整バルブ32を備える。
【0048】
熱機関2はまた、燃料をシリンダ11内に噴射する噴射ライン60も備える。
【0049】
この噴射ライン60は、燃料をタンク61から取り出し、次いで加圧下で分配レール63に送達するように配設された、噴射ポンプ62を備える。この噴射管60は、4つの噴射装置64をさらに備える。噴射装置64の注入口は分配レール63と連通し、その排出口は4つのシリンダ61のそれぞれに開口している。
【0050】
さらに、シリンダ内に噴射された一定量の空気及び燃料によって、熱機関2が(本書の残りの箇所で「熱トルクCt」と呼ばれる)トルクを発現させることが可能になる。
【0051】
可逆電気機械90は、熱機関2のクランクシャフトに連結されている。
【0052】
図1に示すように、電気機械90は、スターターオルタネータによって形成されている。
【0053】
このケースでは、電気機械90は、ベルト92によってエンジンブロック10のクランクシャフトに直接連結されている。
【0054】
変形例では、電気機械90は、エンジンブロックに間接的に連結され得る。このように、電気機械90は、ギアボックスのシャフトまたはパワートレイン1のアクセサリベルトのうちの1つに連結され得る。
【0055】
連結の形態に関わらず、この電気機械90は、コンピュータ100によって制御される制御ユニット91の制御下で、電動機モードまたは発電機モードのうちのどちらかで稼働可能である。
【0056】
発電機モードでは、電気機械90は、蓄電池50内に貯蔵される電流を供給するオルタネータである。このモードでは、電気機械90は、熱トルクCtから抵抗電気トルクCeを取り込む。
【0057】
一方、電動機モードでは、電気機械90は、蓄電池50内に貯蔵された電流によって電気供給される。電気機械90は、熱トルクCtに加算されて車両の車輪に伝達される、電気推進トルクCeを供給する。
【0058】
本発明の有利な具体的特徴によると、熱機関2の吸気ライン20は、エアフィルタ21とメインエアクーラー23との間に位置する電動コンプレッサ26をさらに備える。
【0059】
このケースでは、この電動コンプレッサ26は、メインコンプレッサ22の上流、且つ吸気ライン20とEGR−LPライン30との交点の下流に位置している。
【0060】
示されていない変形例では、電動コンプレッサ26は、メインコンプレッサ22の下流に位置していてよい。
【0061】
どのような配置であれ、このケースでは、電動コンプレッサ26は、電気機械90が接続されているものと同じ蓄電池50によって電流供給される電動モータによって、回転される。
【0062】
パワートレイン1の様々な要素、とりわけタービン82のブレードの勾配、噴射器64、制御ユニット91、及び電動コンプレッサ26の電動モータを制御するため、プロセッサ(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、アナログ/デジタル変換器(A/D)並びに、様々な入力及び出力インターフェースを備えるコンピュータ100が設けられている。
【0063】
コンピュータ100は、入力インターフェースによって、熱機関2の動作に関する様々なセンサからの入力信号を受け取ることができる。
【0064】
こうして、コンピュータ100はランダムアクセスメモリ内に以下の要素を継続的に保存する。
− 熱機関2の速度N及び瞬間負荷、
− 排気ライン80内の既燃ガスの温度(このケースでは、窒素酸化物トラップ84と粒子フィルタ85との間に設置されたセンサによる)、
− 既燃ガス内に存在する酸素分子の比率(このケースでは、粒子フィルタ85の下流に設置されたプローブによる)、
− 粒子フィルタ85の出力と入力との間の圧力差(このケースでは、このフィルタのすぐ上流とすぐ下流とに設置された2つのセンサによる)。
【0065】
この負荷は、車両の駆動輪を駆動するために熱機関2によって供給される、(Nmで表される)熱トルクCtに等しい。
【0066】
速度Nは、クランクシャフト12の回転速度に等しく、毎分回転数で表される。
【0067】
テストベンチであらかじめ規定され読み取り専用メモリ内に保存されたマップによって、コンピュータ100は、機関の各動作条件用の出力信号を生成することができる。
【0068】
具体的には、このマップは、熱機関2によって供給される熱トルクCtが、窒素酸化物トラップ84を通過する既燃ガスの速度N及び温度Bを測定することによって決定されることを可能にする。
【0069】
このマップはまた、速度Nを測定することによって、及び目標温度θ
0が与えられることによって、窒素酸化物トラップ84内で既燃ガスが目標温度θ
0に到達するために熱機関2によって供給されなければならない熱トルクC
tを決定することを可能にする。
【0070】
このマップはまた、圧力設定点CP、即ち外気がシリンダ内に入る前に到達しなければならない圧力の値を決定するためにも用いられ得る。この圧力設定点CPは、メインコンプレッサ22のみによって到達され得るか、または電動コンプレッサ26のみによって到達され得るか、または両方のコンプレッサを組み合わせて用いることによって到達され得る。
【0071】
最後に、コンピュータ100はその出力インターフェースによって、機関の様々な要素に対して出力信号を送信することが可能である。このように、コンピュータ100は特に、外気の圧力が前記圧力設定点CPと等しくなるようにして、タービン82のブレードの方向と電動コンプレッサ26の回転速度とを制御することが可能である。
【0072】
通常、自動車の運転者がイグニッションをオンにすると、コンピュータ100が起動されて電気機械90及び燃料噴射装置64を動作させ、それによって機関が始動する。
【0073】
機関が始動すると、吸気ライン20によって大気から取り入れられた外気がエアフィルタ21で濾過され、必要に応じてEGR−LPライン30からの既燃ガスと混合され、必要に応じてメインコンプレッサ22によって圧縮され、メインエアクーラー23によって冷却され、必要に応じてEGR−HPライン40からの既燃ガスと混合され、次いでシリンダ11内で燃焼される。
正常動作モードでは、電動コンプレッサ26は、外気を圧縮するためには用いられない。
【0074】
既燃ガスは、シリンダ11を出ると、タービン82内で膨張し、窒素酸化物トラップ84内及び粒子フィルタ85内で処理及び濾過され、次いで排気消音器87内でさらに膨張した後に、大気中に放出される。
【0075】
熱機関2は、このようにして自動車の駆動輪を駆動する熱トルクCtを生成し得る。
【0076】
上記のように、電気機械90は、自動車の駆動輪を駆動する電気トルクCeを生成するためか、または駆動輪の駆動から電気トルクCeを引き出すためか、のどちらにも用いられることができる。
【0077】
運転者が自動車のアクセルペダル(図示せず)を踏下すると、この動きはコンピュータ100によってトルク設定点Cに変換され、トルク設定点Cは車両の車輪に伝達される。このとき、トルク設定点Cは、熱トルクの形態か、または電気トルクの形態か、またはこの2つの組合せの形態によって取得され得る。全ての場合において、トルク設定点Cの値は、熱トルク値Ctと電気トルク値Ceとの代数和に等しくなければならず、後者は、電気機械90の電動機モードにおいては正の値を取り、発電機モードにおいては負の値を取る。
【0078】
既知の方法では、熱機関2(この場合はディーゼルエンジン)は、希薄混合気で駆動し、熱トルクCtを生成する。この熱トルクCtは、量がコンピュータ100によって明確に規定され、比率が化学量論比よりも小さい外気(既燃ガスが加えられていてもよい)と燃料との混合物の、機関2内における燃焼に由来する。したがって、熱機関2は既燃ガス中にある窒素酸化物を排出する。
【0079】
この排出を制限するために、窒素酸化物トラップ84が用いられ得る。上記のように、窒素酸化物トラップ84はシーケンシャルに動作する。
【0080】
機関の正常動作モード、すなわち希薄混合気で駆動する場合において、窒素酸化物トラップは、熱機関2から排出される窒素酸化物の多かれ少なかれ主要な割合を、処理せずに貯蔵する。
【0081】
再生モードでは(例えば、窒素酸化物トラップ84または粒子フィルタ85の最大貯蔵能力に到達したときには)、コンピュータ100は、トラップ内に燃料を噴射することによってトラップが貯蔵能力を取り戻すという形態で、再生(すなわち「パージ」)のシーケンスを開始する。通常、シリンダ11内に濃厚混合気を噴射することによって、燃料が窒素酸化物トラップ84内に噴射される。熱トルクCtの生成には関与しない燃料は、こうしてシリンダ11から出て窒素酸化物トラップ84内に流入し、トラップ内の窒素酸化物を低減させる。
【0082】
上記のように、この高熱化学反応は、粒子フィルタ85を通過する既燃ガスの温度を上昇させるために用いられ得、それによってこのフィルタ内に捕集された煤粒子が燃焼され、その結果粒子フィルタ85が貯蔵能力を回復することも可能になる。
【0083】
窒素酸化物トラップ84の再生は、効率εで行われる。
図2に示すように、この効率εは、窒素酸化物トラップ84を通過する既燃ガスの温度θの関数である。効率は、温度の特定の値θ
0の場合に最大になる。この温度は目標温度θ
0と呼ばれる。
【0084】
したがって、目標温度θ
0と等しいか、少なくとも近接している温度において再生シーケンスを行うことが、有利である。これは、この温度において、窒素酸化物トラップ84を再生させるのに必要な燃料の量が最小であり、車両の燃料消費を制限することが可能だからである。
【0085】
この場合、この目標温度θ
0は、コンピュータ100の読み出し専用メモリ内に保存された定数であると考えられる。変形形態では、目標温度θ
0は、例えば熱機関2の速度Nに依存する変数であることができる。その場合、その値はマップ内に保存される。
【0086】
窒素酸化物トラップ84及び粒子フィルタ85の再生シーケンスは、以下のように実施される。
【0087】
コンピュータ100は、(フィルタの上流と下流とで測定した圧力の差を用いて)粒子フィルタ85の目詰まり度を継続的にモニタリングし、(トラップの下流に置かれた酸素分子プローブを用いて)窒素酸化物トラップの目詰まり度を継続的にモニタリングする。
【0088】
これらの目詰まり度の一方または他方が、読み出し専用メモリ内に保存された所定の閾値を超えた場合、コンピュータ100は、窒素酸化物トラップ84及び粒子フィルタ85を再生させる。
【0089】
図3は、本発明による再生方法の種々のステップを示す。
【0090】
第1のステップ200で、コンピュータ100は、速度N、蓄電池50の充電レベルCB、及び窒素酸化物トラップ84内の既燃ガスの温度θを測定する。コンピュータ100はまた、アクセルペダルの踏下度合を考慮に入れながら、目標温度θ
0及び、車両の車輪に伝達されるトルク設定点Cを取得する。
【0091】
第2のステップ300で、コンピュータ100は、読み出し専用メモリ内に保存されたマップによって、既燃ガスの目標温度θ
0への到達を可能にする最適熱トルクCt
0を決定する。
【0092】
ここで方法は、温度θが目標温度θ
0と比較される第1のテストステップ400を含む。温度θが目標温度θ
0を下回る場合、方法は、第2のテストステップ500を実行する。そうでない場合は、方法は第3のテストステップ700を実行する。
【0093】
温度の測定値θが目標温度θ
0を下回る場合には、目標温度に到達するために熱トルクCtを上昇させなければならないことが分かる。車両の必要分を超過する量の熱トルクは、ここで、電気機械90によって吸収される。電気機械90は、蓄電池50を充電する。
【0094】
反対に、温度θが目標温度θ
0を上回る場合には、目標温度に到達するために熱トルクCtを低下させなければならない。ついで、電気機械90によって、蓄電池50内に貯蔵されている電流を使用して、車両の必要を満たすための追加トルクが供給される。
【0095】
最初に、温度の測定値θが目標温度θ
0を下回るケースを検討する。
【0096】
第2のテストステップ500で、コンピュータ100は、充電池の充電レベルCBと最低充電閾値CBminとを比較する。最低充電閾値CBminは、それを下回っているときに中に貯蔵されている電流が使用されると蓄電池が損傷する危険がある値である。
【0097】
充電レベルCBが最低充電閾値CBminを下回っているかまたは等しい場合、方法はステップ600へと続く。そうでない場合は、方法は第4のテストステップ900へと続く。
【0098】
ステップ600で、コンピュータ100は、車輪に伝達されるトルク設定点Cよりも大きい最適熱トルクCt
0で熱機関2を稼働させる。コンピュータ100によって制御される制御ユニット91は、電気機械90を発電機モードで稼働させ、トルク設定点Cと最適熱トルクCt
0との差に等しい負の電気トルクCeを引き出す。その結果、再生用に供給された余剰の燃料は失われず、蓄電池50内に貯蔵される電気エネルギーに変換される。
【0099】
このステップ600では、電動コンプレッサ26は静止したままである。メインコンプレッサ22のみが、外気を圧縮するのに使用される。
【0100】
第4のテストステップ900で、コンピュータ100は、外気の圧力設定点CPと、メインコンプレッサ22のみによって到達し得る最高圧力閾値CPmaxとを比較する。
【0101】
圧力設定点CPが最高圧力閾値CPmaxを下回っているかまたは等しい場合、方法はステップ910へと続く。そうでない場合は、方法はステップ920へと続く。
【0102】
ステップ910及び920で、コンピュータ100は、車輪に伝達されるトルク設定点Cよりも大きい最適熱トルクCt
0で熱機関2を稼働させる。コンピュータ100によって制御される制御ユニット91は、電気機械90を発電機モードで稼働させ、(ステップ600のように)電気トルクCeを引き出す。
【0103】
違いは、ステップ910では、タービン82が完全にアンロードされ、それによって、圧力設定点CPのレベルにまで外気を圧縮するために、電動コンプレッサ26のみが使用されるという点である。
【0104】
ステップ920では、電動コンプレッサ26は、最大能力まで使用され、タービン82は部分的にアンロードされる。それによって、メインコンプレッサ22は外気の圧縮に関与する。したがってこのステップでは、圧縮設定点CPのレベルへの外気の圧縮を可能にするのは、2つのコンプレッサの組合せである。
【0105】
このステップ910、920では、余剰熱トルクCtによって、さらなる外気のシリンダ11内への噴射が要求されることが分かる。本発明では、この目的のため、メインコンプレッサ22は可能な限りわずかしか使用されない。なぜならばメインコンプレッサはタービン82に連結されており、タービン82が既燃ガスの膨張を引き起こす結果、既燃ガスの温度が低下し、所望の目的の達成が妨げられるからである。
【0106】
また、ステップ910及び920で、コンピュータ100が最適熱トルクCt
0で熱機関2を稼働させ、制御ユニット91が電気機械90を発電機モードで稼働させ、電気トルクCeを引き出すことも分かる。
【0107】
これは、蓄電池50が満充電のときには不可能である。なぜなら、同時に電動コンプレッサ26が蓄電池50によって供給されているからである。この結果、バッテリを過充電する危険は存在しない。
【0108】
電流が、蓄電池を通って流れず、電動コンプレッサ26に供給される電流の強度を調節可能な制御ユニット91を経由して、電気機械90から電動コンプレッサに直接流れるように用意がなされてもよい。
【0109】
ここで、第3のテストステップ700が検討される。このテストステップ700では、蓄電池50の充電レベルCBが、最低充電閾値CBminと比較される。
【0110】
充電レベルCBが最低充電閾値CBminを上回る場合、方法は、こちらもコンピュータ100によって熱機関2が最適トルクC
0で稼働させられるステップ800へと続く。ステップ600との違いは、このトルクがトルク設定点Cを下回ることである。したがって、制御ユニット91は、トルク設定点Cと熱トルクCtとの差に等しい正の電気トルクCeを供給することによって、電気機械90を電動機モードで稼働させる。
【0111】
蓄電池50を余りにも速く放電させるのを避けるため、この場合には電動コンプレッサ26を停止するように用意がなされてもよい。こうして、メインコンプレッサ22のみが、外気を圧縮するのに使用される。変形形態では、タービン82が既燃ガスを過剰に膨張させることを防ぐため、バッテリ充電量CBが所定の許容可能閾値を上回る場合には、電動コンプレッサ26を(単独でまたはメインコンプレッサ22と組み合わせて)使用するように用意がなされてよい。
【0112】
しかし、充電量CBが最低充電閾値CBminを下回るかそれと等しい場合は、再生シーケンスが終了するまで何の行動も取られない。
【0113】
本発明は、いかなる形でも記載され示された実施形態に限定されず、当業者は、本発明の原理に従って本発明を任意の形に変形することができる。
【0114】
したがって、本発明はパワートレインの他の具体的な動作態様に完全に適用可能である。
【0115】
例として、自動車が冷間始動するときには、窒素酸化物トラップ84が最適に稼働しないことが知られている。これは、窒素酸化物トラップが所与の温度範囲内で動作するように設計されているからである。したがって、窒素酸化物トラップが効率的に窒素酸化物を捕集するには、この温度範囲の最低温度に到達するまで待機することが必要である。
【0116】
窒素酸化物トラップをこの最低温度に到達させるため、上記のステップ400及び下記のステップが実行され得る。なぜならば、目標温度θ
0は、この最低温度に等しいからである。
【0117】
こうして、熱機関2は、車両の駆動輪を駆動するのに必要なトルクCよりも大きい熱トルクCtを発現させるように稼働させられ、それによって既燃ガスの温度はより迅速に上昇し、窒素酸化物トラップ84がより速く加熱される。ここで再び、タービン82が既燃ガスを膨張させ冷却するのを防ぐため、及び蓄電池50の充電レベルCBが最高充電閾値CBmaxを超過しないことを保証するため、好ましくは電動コンプレッサ26を使用して外気が冷却される。