(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮像部は、前記部品の実装前に前記実装ヘッドが前記基板の実装位置に下降している時に前記部品の実装前画像を撮像し、前記部品の実装後に前記実装ヘッドが前記基板の実装位置から上昇している時に前記部品の実装後画像を撮像し、
前記制御部は、前記実装前画像と前記実装後画像とを比較することにより実装状態を判定する、請求項1に記載の部品実装装置。
前記制御部は、実装状態を判定するための前記実装位置の前記部品の実装の前後の少なくとも一方の画像を用いて、前記実装位置における前記基板の高さ情報を取得するように構成されている、請求項1または2に記載の部品実装装置。
前記制御部は、前記部品の実装前後の画像を比較するための画像の前記実装判定領域を決定するにあたり、前記実装位置における前記基板の高さ情報を用いて、前記部品の有無が判定可能な大きさに決定するように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の部品実装装置。
前記制御部は、実装状態を判定する前記部品に隣接する他の部品および基板特徴部が入らないように前記実装判定領域を決定するように構成されている、請求項6に記載の部品実装装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特開2014−93390号公報の電子部品実装装置では、全ての電子部品を基板に実装してから、カメラにより撮像した画像に基づいて電子部品の基板への実装判定が行われるため、一部の電子部品の実装不良がある場合でも、全ての電子部品を実装するまで、実装不良を検出することができないという不都合がある。このため、実装不良を直ちに検出することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品の基板への実装不良を直ちに検出することが可能な部品実装装置および部品実装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品実装装置は、基板の実装位置に対して部品を実装する実装ヘッドと、基板の実装位置を撮像可能な撮像部と、撮像部により撮像した実装位置の部品の実装前後の画像を比較して実装状態を判定する制御部とを備え、制御部は、部品の実装完了から次の部品の実装完了までの動作中に部品の実装前後の画像を比較して実装状態を判定するように構成されており、制御部は、実装ヘッドが部品を吸着した後に基板の実装位置に到達した時点から、部品の実装後に基板の実装位置からの上昇を完了する時点までの間に、実装位置における基板の高さ情報を取得して、取得した実装位置における基板の高さ情報を用いて部品の実装前後の画像を比較して実装状態を判定するように構成されており、実装ヘッドに吸着された部品の吸着状態を撮像する吸着状態撮像部をさらに備え、制御部は、実装位置における基板の高さに加えて、吸着状態撮像部により撮像した
所定の部品に対する吸着位置にも基づいて、
吸着位置を取得した上記所定の部品の実装前後の画像を比較するための画像の実装判定領域を決定するように構成されており、撮像部は、実装位置における基板の高さ情報を取得するための画像と、実装判定するための実装位置の
上記所定の部品の実装の前後の少なくとも一方の画像とを、共通に撮像するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように、部品の実装完了から次の部品の実装完了までの動作中に部品の実装前後の画像を比較して実装状態を判定する制御部を設ける。これにより、次の部品の実装完了までに、前の部品の実装状態を判定することができるので、部品の基板への実装不良を直ちに検出することができる。その結果、全ての部品を基板に実装してから実装状態を判定する場合と異なり、実装不良を検出するまでに複数の部品が基板に実装されることによる部品の実装ロスを抑制することができる。
【0009】
また、部品の実装位置の実際の高さ情報に基づいて、画像内の実装位置における部品の位置を精度よく取得することができる。その結果、部品の基板への実装状態の判定を精度よく行うことができる。また、実装ヘッドが上昇を完了する時点までに実装位置における基板の高さ情報を取得することにより、タクトタイムのロスを抑制しつつ、基板の高さ情報を取得することができる。
【0010】
また、実装位置の基板の高さに加えて、部品の吸着位置にも基づいて、実装判定領域を決定することができるので、部品の基板への実装判定の精度をより向上させることができる。
【0011】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、撮像部は、部品の実装前に実装ヘッドが基板の実装位置に下降している時に部品の実装前画像を撮像し、部品の実装後に実装ヘッドが基板の実装位置から上昇している時に部品の実装後画像を撮像し、制御部は、実装前画像と実装後画像とを比較することにより実装状態を判定する。このように構成すれば、実装の直前および直後に撮像した実装前画像および実装後画像が比較されるので、複数の部品の実装位置に対する画像のデータを保存するための記憶部を設ける必要がない。また、実装ヘッドの下降動作中および上昇動作中に撮像が行われるので、実装ヘッドの下降動作および上昇動作と撮像動作とを別個に行う場合に比べて、撮像動作のために別途追加的に時間がかかるのを防止することができる。
【0012】
上記実装位置における基板の高さ情報を取得する構成において、好ましくは、制御部は、実装状態を判定するための実装位置の部品の実装の前後の少なくとも一方の画像を用いて、実装位置における基板の高さ情報を取得するように構成されている。このように構成すれば、部品の実装の前後の少なくとも一方の画像に基づいて、部品の実装位置の実際の高さを精度よく取得することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、撮像部は、複数の方向から撮像可能に構成されている。このように構成すれば、複数の方向から撮像された画像に基づいて、部品の実装位置の実際の高さを容易に精度よく取得することができる。
【0014】
上記撮像部が複数の方向から撮像可能な構成において、好ましくは、撮像部は、複数のカメラを含むか、または、単一のカメラと、単一のカメラの視野を分割する光学系とを含む。このように構成すれば、複数のカメラ、または、単一のカメラの視野を分割する光学系により、基板の実装位置を複数の方向から容易に撮像することができる。
【0015】
上記実装位置における基板の高さ情報を取得する構成において、好ましくは、制御部は、部品の実装前後の画像を比較するための画像の実装判定領域を決定するにあたり、実装位置における基板の高さ情報を用いて、部品の有無が判定可能な大きさに決定するように構成されている。このように構成すれば、部品の実装位置の実際の高さに基づいて、実装判定領域を小さい領域に絞り込むことができるので、周辺部品の吹き飛ばしなどのノイズに起因する誤判定を抑制することができる。その結果、部品の基板への実装状態の判定を精度よく行うことができる。
【0016】
この場合、好ましくは、制御部は、実装状態を判定する部品に隣接する他の部品および基板特徴部が入らないように実装判定領域を決定するように構成されている。このように構成すれば、対象の部品に隣接する他の部品の影響および基板特徴部に起因する誤判定を抑制することができるので、部品の基板への実装判定をより精度よく行うことができる。
【0017】
この発明の第2の局面による部品実装方法は、基板の実装位置に対して部品を実装するステップと、基板の実装位置を部品の実装前に撮像するステップと、基板の実装位置を部品の実装後に撮像するステップと、部品の実装完了から次の部品の実装完了までの動作中に、撮像した実装位置の部品の実装前後の画像を比較して実装状態を判定するステップとを備え、実装状態を判定するステップは、実装ヘッドが部品を吸着した後に基板の実装位置に到達した時点から、部品の実装後に基板の実装位置からの上昇を完了する時点までの間に、実装位置における基板の高さ情報を取得して、取得した実装位置における基板の高さ情報を用いて部品の実装前後の画像を比較して実装状態を判定するステップと、実装位置における基板の高さに加えて、実装ヘッドに吸着された部品の吸着状態を撮像する吸着状態撮像部により撮像した
所定の部品に対する吸着位置にも基づいて、
吸着位置を取得した上記所定の部品の実装前後の画像を比較するための画像の実装判定領域を決定するステップとを含み、実装位置における基板の高さ情報を取得するための画像と、実装判定するための実装位置の
上記所定の部品の実装の前後の少なくとも一方の画像とを、共通に撮像する。
【0018】
この発明の第2の局面による部品実装方法では、上記のように、部品の実装完了から次の部品の実装完了までの動作中に、撮像した実装位置の部品の実装前後の画像を比較して実装状態を判定するステップを設ける。これにより、次の部品の実装完了までに、前の部品の実装状態を判定することができるので、部品の基板への実装不良を直ちに検出することが可能な部品実装方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、部品の基板への実装不良を直ちに検出することが可能な部品実装装置および部品実装方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(部品実装装置の構成)
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、部品実装装置100は、一対のコンベア2により基板PをX方向に搬送し、実装作業位置Mにおいて基板Pに部品31を実装する部品実装装置である。
【0024】
部品実装装置100は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、支持部5と、一対のレール部6と、部品認識撮像部7と、撮像ユニット8と、制御部9とを備えている。なお、部品認識撮像部7は、請求の範囲の「吸着状態撮像部」の一例であり、撮像ユニット8は、請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0025】
一対のコンベア2は、基台1上に設置され、基板PをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2は、搬送中の基板Pを実装作業位置Mで停止させた状態で保持するように構成されている。また、一対のコンベア2は、基板Pの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0026】
部品供給部3は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部3には、複数のテープフィーダ3aが配置されている。
【0027】
テープフィーダ3aは、複数の部品31を所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き付けられたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ3aは、リールを回転させて部品31を保持するテープを送出することにより、テープフィーダ3aの先端から部品31を供給するように構成されている。ここで、部品31は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの電子部品を含む。
【0028】
ヘッドユニット4は、一対のコンベア2および部品供給部3の上方位置に配置されており、ノズル41(
図2参照)が下端に取り付けられた複数(5つ)の実装ヘッド42と、基板認識カメラ43とを含んでいる。
【0029】
実装ヘッド42は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成され、負圧発生機(図示せず)によりノズル41の先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ3aから供給される部品31を吸着して保持し、基板Pにおける実装位置(
図2参照)に部品31を装着(実装)するように構成されている。
【0030】
基板認識カメラ43は、基板Pの位置を認識するために、基板PのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Pにおける部品31の実装位置を正確に取得することが可能である。
【0031】
支持部5は、モータ51を含んでいる。支持部5は、モータ51を駆動させることにより、支持部5に沿ってヘッドユニット4をX方向に移動させるように構成されている。支持部5は、両端部が一対のレール部6により支持されている。
【0032】
一対のレール部6は、基台1上に固定されている。X1側のレール部6は、モータ61を含んでいる。レール部6は、モータ61を駆動させることにより、支持部5を一対のレール部6に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット4が支持部5に沿ってX方向に移動可能であるとともに、支持部5がレール部6に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット4はXY方向に移動可能である。
【0033】
部品認識撮像部7は、基台1の上面上に固定されている。部品認識撮像部7は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識撮像部7は、部品31の実装に先立って部品31の吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31を下側(Z2側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31の吸着状態を制御部9により取得することが可能である。
【0034】
撮像ユニット8は、ヘッドユニット4に取り付けられている。これにより、撮像ユニット8は、ヘッドユニット4がXY方向に移動することにより、ヘッドユニット4と共にXY方向に移動するように構成されている。また、
図3に示すように、撮像ユニット8は、部品31が実装位置に正常に実装されたか否かの判定(実装判定)を行うために、実装位置の部品31の実装前後の画像を撮像するように構成されている。また、撮像ユニット8は、基板Pの実装位置の高さを測定するための画像を撮像するように構成されている。撮像ユニット8は、複数のカメラ81と、照明82とを含んでいる。これにより、撮像ユニット8は、基板Pの実装位置を複数の方向(角度)から撮像することが可能である。
【0035】
具体的には、撮像ユニット8は、
図5に示すように、基板面Pbに対してそれぞれの撮像方向が互いに異なる傾き角度(θHおよびθL)から撮像するように構成されている。また、撮像ユニット8のカメラ81は、基板面Pbに対する実装位置を含む鉛直面内(YZ面内)において隣接して配置されている。
【0036】
照明82は、カメラ81による撮像の際に発光するように構成されている。照明82は、カメラ81の周囲に設けられている。照
明82は、LED(発光ダイオード)などの光源を有している。
【0037】
撮像ユニット8は、
図4に示すように、部品31を吸着し、吸着された部品31を基板Pの実装位置に実装(搭載)する前、実装位置に向かって実装ヘッド42が下降している際に、部品31の実装前の実装位置を含む所定領域を撮像するように構成されている。また、撮像ユニット8は、部品31を基板Pの実装位置に実装(搭載)した後、実装位置から実装ヘッド42が上昇している際に、部品31の実装後の実装位置を含む所定領域を撮像するように構成されている。
【0038】
制御部9は、CPUを含んでおり、一対のコンベア2による基板Pの搬送動作、ヘッドユニット4による実装動作、部品認識撮像部7や撮像ユニット8による撮像動作などの部品実装装置100の全体の動作を制御するように構成されている。
【0039】
ここで、本実施形態では、制御部9は、撮像ユニット8により撮像した実装位置の部品31の実装前後の画像を比較して実装状態を判定するように構成されている。具体的には、制御部9は、部品31の実装完了から次の部品31の実装完了までの動作中に部品31の実装前後の画像を比較して実装状態を判定するように構成されている。次の部品31を吸着するまでに部品31の実装前後の画像を比較して実装状態が判定されることが好ましい。また、制御部9は、
図4に示すように、実装位置の部品31の実装(搭載)前の画像と、実装位置の部品31の実装(搭載)後の画像との差分画像を取得する。そして、制御部9は、取得した差分画像に基づいて、部品31の実装が正常に行われたか否かを判定する。なお、制御部9は、対象の部品31を基準として撮像した画像に実装判定領域を設定する。そして、制御部9は、設定した実装判定領域同士の差分画像を取得するように構成されている。
【0040】
また、制御部9は、撮像ユニット8が、部品31の実装前に実装ヘッド42が基板Pの実装位置に下降している時に部品31の実装前画像を撮像し、部品31の実装後に実装ヘッド42が基板Pの実装位置から上昇している時に部品31の実装後画像を撮像するように制御するように構成されている。また、制御部9は、実装前画像と実装後画像とを比較することにより実装状態を判定するように構成されている。
【0041】
具体的には、制御部9は、実装ヘッド42が部品31を吸着した後に基板Pの実装位置に到達した時点から、部品31の実装後に基板Pの実装位置からの上昇を完了する時点までの間に、実装位置における基板Pの高さ情報を取得するように構成されている。そして、制御部9は、取得した実装位置における基板Pの高さ情報を用いて部品31の実装前後の画像を比較して実装状態を判定するように構成されている。部品31の実装後の実装ヘッド42の上昇完了するまでの時間には、実装ヘッド42の上昇の後、水平方向移動を始めるまでの時間も含む。
【0042】
つまり、本実施形態では、制御部9は、撮
像ユニット8の複数の方向の撮像画像に基づいて、基板Pの実装位置の高さを取得するように構成されている。具体的には、制御部9は、
図5に示すように、基準面Psに対する基板Pの基板面Pbの高さをステレオマッチングにより取得するように構成されている。
【0043】
一方のカメラ81により傾き角度θHで対象物(基板面P
bの所定位置)が撮像され、他方のカメラ81により傾き角度θLで対象物が撮像される。そして、傾き角度θHによる撮像画像と、傾き角度θLによる撮像画像とをステレオマッチングすることにより、2つの撮像画像の間の視差p(pixel)を求める。ここで、カメラ81のカメラ分解能をR(μm/pixel)とすると、式(1)により距離A(μm)が求められる。
A=p×R/sin(θH−θL) ・・・(1)
【0044】
そして、式(1)により求めた距離Aを用いて、式(2)により基準面Psに対する基板面Pbの基板面高さhp(μm)が求めるられる。
hp=A×sin(θL) ・・・(2)
【0045】
また、本実施形態では、制御部9は、取得した基板Pの実装位置の高さに基づいて、部品31の実装前後の画像を比較するための画像の実装判定領域を決定するように構成されている。制御部9は、基板Pが基準面よりも高い位置にある場合、実装判定領域を画像中において実装位置がずれる方向(たとえば、上方向)にずらして設定するとともに、基板Pが基準面よりも低い位置にある場合、実装判定領域を画像中において実装位置がずれる方向(たとえば、下方向)にずらして設定する。また、制御部9は、実装動作中に基板Pの実装位置の高さを取得して、取得した基板Pの実装位置の高さに基づいて、実装判定領域を決定するように構成されている。
【0046】
具体的には、制御部9は、実装状態を判定するための実装位置の部品31の実装の前後の少なくとも一方の画像を用いて、実装位置における基板Pの高さ情報を取得するように構成されている。また、制御部9は、部品31の実装(装着)前に実装ヘッド42が基板Pの実装位置に下降している時に撮像を行う制御、および、部品31の実装(装着)後に実装ヘッド42が基板Pの実装位置から上昇している時に撮像を行う制御を行うように構成されている。
【0047】
また、制御部9は、実装領域の周辺の周辺領域を含まず、部品31の有無が判定可能な大きさに実装判定領域を決定するように構成されている。具体的には、制御部9は、部品31の実装前後の画像を比較するための画像の実装判定領域を決定するにあたり、実装位置における基板Pの高さ情報を用いて、部品31の有無が判定可能な大きさに決定するように構成されている。
【0048】
詳しくは、制御部9は、実装状態を判定する部品31に隣接する他の部品31および基板特徴部が入らないように実装判定領域を決定するように構成されている。基板特徴部は、たとえば、パターン、シルク、電極、半田などを含む。
【0049】
また、制御部9は、実装位置における基板Pの高さに加えて、部品認識撮像部7により撮像した部品31に対する吸着位置にも基づいて、実装判定領域を決定するように構成されている。具体的には、制御部9は、ノズル41に対する部品31の吸着位置のずれ量に基づいて、実装判定領域を調整する。また、制御部9は、実装状態を判定するための実装位置の部品31の実装前の画像を用いて、基板Pの実装位置の高さを取得するように構成されている。具体的には、制御部9は、部品31の実装前または実装後に撮像する画像を、2つのカメラ81により撮像し、実装位置の高さを取得するために用いる。また、制御部9は、2つのカメラ81により撮像した画像のうち、少なくとも一方を用いて、実装判定を行う。
【0050】
(吸着動作時の制御処理)
次に、
図6を参照して、部品実装装置100の制御部9による吸着動作時の制御処理についてフローチャートに基づいて説明する。
【0051】
ステップS1において、実装ヘッド42(ノズル41)の下降中に撮像ユニット8により供給位置の部品31の撮像が行われる。ステップS2において、実装ヘッド42(ノズル41)が下降端に到着したら、撮像ユニット8により部品31の撮像が行われる。つまり、実装ヘッド42(ノズル41)により、部品31が吸着される時に撮像が行われる。ステップS3において、実装ヘッド42(ノズル41)の上昇中に撮像ユニット8により部品31の供給位置の撮像が行われる。つまり、正常に部品31が実装ヘッド42(ノズル41)に吸着された場合は、対象の部品31が供給位置にない状態の画像が撮像される。
【0052】
ステップS4において、撮像された画像に基づいて部品認識が行われる。ステップS5において、部品認識に成功したか否かが判断される。部品認識に成功すれば、吸着動作時の制御処理が終了される。一方、部品認識に失敗すれば、ステップS6に進み、エラーにより運転が停止される。ステップS7において、下降中・下降端・上昇中における撮像画像が出力される。その後、吸着動作時の制御処理が終了される。なお、他の実装ヘッド42(ノズル41)に対しての吸着動作を引き続き行う場合、ステップS1〜S7の処理が繰り返される。
【0053】
(装着動作時の制御処理)
次に、
図7を参照して、部品実装装置100の制御部9による装着動作時の制御処理についてフローチャートに基づいて説明する。
【0054】
ステップS11において、部品認識撮像部7により撮像された画像に基づいて、実装ヘッド42(ノズル41)に吸着された部品31の認識が行われる。ステップS12において、部品31の認識結果に基づいて、実装判定領域(検出枠)の補正データが取得される。つまり、ノズル41に対する部品31の吸着位置のずれ量に基づいて、実装判定領域を調整するための補正データが取得される。
【0055】
ステップS13において、実装ヘッド42(ノズル41)の下降中に撮像ユニット8により基板Pの実装位置の撮像が行われる。つまり、基板Pの実装位置に対象の部品31が装着(実装)されていない状態の画像が撮像される。ステップS14において、撮像された画像に基づいて、ステレオマッチングが行われて、基板Pの実装位置の高さが計測される。ステップS15において、実装ヘッド42(ノズル41)の上昇中に撮像ユニット8により基板Pの実装位置の撮像が行われる。つまり、正常に部品31が装着された場合は、基板Pの実装位置に対象の部品31が装着(実装)された状態の画像が撮像される。
【0056】
ステップS16において、下降中(部品31装着前)に撮像した画像と、上昇中(部品31装着後)に撮像した画像とを重ねる位置合わせが行われる。ステップS17において、実装判定領域(検出枠)の部品認識結果分の位置補正が行われる。そして、ステップS18において、実装判定領域(検出枠)の高さ測定結果分の位置補正が行われる。これにより、対象の部品31が映っていると推定される画像上に実装判定領域(検出枠)が設定される。
【0057】
ステップS19において、実装判定領域(検出枠)内の差分画像が生成される。つまり、下降中(部品31装着前)に撮像した画像の実装判定領域と、上昇中(部品31装着後)に撮像した画像の実装判定領域との差分により画像が生成される。ステップS20において、生成された差分画像に基づいて、搭載OK/NG判定(実装判定)が行われる。つまり、差分画像の所定の位置に対象の部品31があれば、搭載OK(部品31が正常に実装された)と判定される。また、差分画像の所定の位置に対象の部品31がなければ、搭載NG(部品31が正常に実装されていない)と判定される。
【0058】
ステップS21において、部品31の搭載が成功したか(部品31が正常に実装されたか)否かが判断される。部品31の搭載が成功すれば、装着動作時の制御処理が終了される。一方、部品31の搭載に失敗すれば、ステップS22に進み、エラーにより運転が停止される。ステップS23において、下降中/上昇中における撮像画像が出力される。その後、装着動作時の制御処理が終了される。なお、他の実装ヘッド42(ノズル41)による装着を引き続き行う場合、ステップS11〜S23の処理が繰り返される。
【0059】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0060】
本実施形態では、上記のように、部品31の実装完了から次の部品31の実装完了までの動作中に部品31の実装前後の画像を比較して実装状態を判定する制御部9を設ける。これにより、次の部品31の実装完了までに、前の部品31の実装状態を判定することができるので、部品31の基板Pへの実装不良を直ちに検出することができる。その結果、全ての部品31を基板Pに実装してから実装状態を判定する場合と異なり、実装不良を検出するまでに複数の部品31が基板Pに実装されることによる部品31の実装ロスを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、撮像ユニット8を、部品31の実装前に実装ヘッド42が基板Pの実装位置に下降している時に部品31の実装前画像を撮像し、部品31の実装後に実装ヘッド42が基板Pの実装位置から上昇している時に部品31の実装後画像を撮像するように構成する。また、制御部9を、実装前画像と実装後画像とを比較することにより実装状態を判定するように構成する。これにより、実装の直前および直後に撮像した実装前画像および実装後画像が比較されるので、複数の部品31の実装位置に対する画像のデータを保存するための記憶部を設ける必要がない。また、実装ヘッド42の下降動作中および上昇動作中に撮像が行われるので、実装ヘッド42の下降動作および上昇動作と撮像動作とを別個に行う場合に比べて、撮像動作のために別途追加的に時間がかかるのを防止することができる。
【0062】
また、本実施形態では、制御部9を、実装ヘッド42が部品31を吸着した後に基板Pの実装位置に到達した時点から、部品31の実装後に基板Pの実装位置からの上昇を完了する時点までの間に、実装位置における基板Pの高さ情報を取得して、取得した実装位置における基板Pの高さ情報を用いて部品31の実装前後の画像を比較して実装状態を判定するように構成する。これにより、部品31の実装位置の実際の高さ情報に基づいて、画像内の実装位置における部品31の位置を精度よく取得することができる。その結果、部品31の基板Pへの実装状態の判定を精度よく行うことができる。また、実装ヘッド42が上昇を完了する時点までに実装位置における基板Pの高さ情報を取得することにより、タクトタイムのロスを抑制しつつ、基板Pの高さ情報を取得することができる。
【0063】
また、本実施形態では、制御部9を、実装状態を判定するための実装位置の部品31の実装の前後の少なくとも一方の画像を用いて、実装位置における基板Pの高さ情報を取得するように構成する。これにより、部品31の実装の前後の少なくとも一方の画像に基づいて、部品31の実装位置の実際の高さを精度よく取得することができる。
【0064】
また、本実施形態では、撮像ユニット8を、複数の方向から撮像可能に構成する。これにより、複数の方向から撮像された画像に基づいて、部品31の実装位置の実際の高さを容易に精度よく取得することができる。
【0065】
また、本実施形態では、撮像ユニット8は、複数のカメラ81を含む。これにより、複数のカメラ81により、基板Pの実装位置を複数の方向から容易に撮像することができる。
【0066】
また、本実施形態では、制御部9を、部品31の実装前後の画像を比較するための画像の実装判定領域を決定するにあたり、実装位置における基板Pの高さ情報を用いて、部品31の有無が判定可能な大きさに決定するように構成する。これにより、部品31の実装位置の実際の高さに基づいて、実装判定領域を小さい領域に絞り込むことができるので、周辺部品の吹き飛ばしなどのノイズに起因する誤判定を抑制することができる。その結果、部品31の基板Pへの実装状態の判定を精度よく行うことができる。
【0067】
また、本実施形態では、制御部9を、実装状態を判定する部品31に隣接する他の部品31および基板特徴部が入らないように実装判定領域を決定するように構成する。これにより、対象の部品31に隣接する他の部品31の影響および基板特徴部に起因する誤判定を抑制することができるので、部品31の基板Pへの実装判定をより精度よく行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、実装ヘッド42に吸着された部品31の吸着状態を撮像する部品認識撮像部7を設け、制御部9を、実装位置における基板Pの高さに加えて、部品認識撮像部7により撮像した部品31に対する吸着位置にも基づいて、実装判定領域を決定するように構成する。これにより、実装位置の基板Pの高さに加えて、部品31の吸着位置にも基づいて、実装判定領域を決定することができるので、部品31の基板Pへの実装判定の精度をより向上させることができる。
【0069】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0070】
たとえば、上記実施形態では、撮像ユニットが複数のカメラを含み、実装位置を複数の方向から撮像可能である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図8に示す変形例のように、撮像ユニット8aは、カメラ81aと、照明82と、光学系83とを含んでいてもよい。この場合、レンズやミラーを含む光学系83により、単一のカメラ81aの視野を分割させて、実装位置を複数の方向から撮像可能である構成であってもよい。
【0071】
また、1つのカメラを移動させながら撮像することにより、実装位置を複数の方向から撮像するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、制御部が、部品の実装前に実装ヘッドが基板の実装位置に下降している時に撮像を行う制御、および、部品の実装後に実装ヘッドが基板の実装位置から上昇している時に撮像を行う制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部が、部品の実装前に実装ヘッドが基板の実装位置に下降している時に撮像を行う制御、および、部品の実装後に実装ヘッドが基板の実装位置から上昇している時に撮像を行う制御のうち少なくとも一方を行う構成であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、実装ヘッドの上昇中に画像撮像を行う前に実装位置の高さの計測する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、実装ヘッドの上昇中に画像撮像を行った後に実装位置の高さの計測してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、撮像ユニット(撮像部)による撮像結果に基づいて、部品の実装位置における基板の高さを取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、変位センサや、距離センサに基づいてして、部品の実装位置における基板の高さを取得してもよい。この場合、変位センサや距離センサは、実装ヘッドまたは実装ヘッド近傍に設けてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、制御部が、実装位置の部品の実装(搭載)前の画像と、実装位置の部品の実装(搭載)後の画像との差分画像に基づいて、部品の実装が正常に行われたか否かを判定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、実装位置の部品の実装(搭載)前の画像と、実装位置の部品の実装(搭載)後の画像との画像間の相関をとって、実装前後の画像を比較してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。