(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
ポリエーテルイミド(PEI)およびポリカーボネート(PC)を含むキャパシターフィルム用ポリマー組成物、ならびにその作製方法および使用方法が本明細書において開示されており、該ポリマー組成物は、本明細書においてより詳細に議論される、混和性ポリマーブレンドである。一実施形態では、ポリエーテルイミドは、ポリエーテルイミドスルホンをさらに含むことができ、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンは、混和性ポリマーブレンドを形成する。一実施形態では、ポリカーボネートは、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)を含む。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよびポリカーボネートは、混和性ポリマーブレンドを形成する。別の実施形態では、ポリエーテルイミド、ポリエーテルイミドスルホンおよびポリカーボネートは、混和性ポリマーブレンドを形成する。
【0011】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドスルホン(PEIS)およびポリカーボネート(PC)を含み、該ポリマー組成物が混和性ポリマーブレンドである。このような実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンおよびポリカーボネートは、混和性ポリマーブレンドを形成する。
【0012】
ポリエーテルイミドおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドは、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、互いに異なるビスフェノールカーボネート繰り返し単位およびアリレートエステル繰り返し単位を含み、上記高収率押出成形キャパシターフィルムは、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムが本明細書において開示されている。一実施形態では、ポリエーテルイミドは、ポリエーテルイミドスルホンをさらに含むことができる。
【0013】
一実施形態では、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム、例えば上述の段落において記載されているフィルムを製造する方法は、(a)ポリエーテルイミドおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップ、(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップを含む。このような実施形態では、該一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、さらに金属化されて巻かれ、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成することができる。別の実施形態では、本キャパシターフィルム(例えば、金属化キャパシターフィルム)は積層化されて、積層フィルムキャパシターを形成することができる。
【0014】
ポリエーテルイミドスルホンおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドスルホンは、芳香族二無水物と、ジアミノジフェニルスルホンを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、互いに異なるビスフェノールカーボネート繰り返し単位およびアリレートエステル繰り返し単位を含み、上記高収率押出成形キャパシターフィルムは、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムが本明細書において開示されている。
【0015】
一実施形態では、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム、例えば上述の段落において記載されているフィルムを製造する方法は、(a)ポリエーテルイミドスルホンおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップ、(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップを含む。このような実施形態では、本一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、さらに金属化されて巻かれ、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成することができる。別の実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、金属化キャパシターフィルム)は積層化されて、積層フィルムキャパシターを形成することができる。
【0016】
操作実施例以外、または特に示されている場合、本明細書および特許請求の範囲において使用される、成分の量、反応条件などを言及している、すべての数または表現は、すべての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解すべきである。様々な数の範囲が、本明細書において開示されている。これらの範囲は連続しているので、これらは、最小値と最大値との間の各値を含む。同じ性質または構成成分を列挙しているすべての範囲の端値は、独立して組み合わせることができ、列挙した端値を含む。特に明確に示されない限り、本出願において特定されている様々な数の範囲は、概数である。同じ構成成分または特性を対象とする、すべての範囲の両端値は、この端値を含み、かつ独立して組合せ可能である。用語「0超えからある量まで」とは、指定された構成成分が、0を超えるある量で、ならびに高い方の指定された量を含んで最大となる量で存在することを意味する。
【0017】
用語「a」、「an」および「the」は、量の限定を表すのではなく、むしろ、参照されている項目の少なくとも1つが存在することを表す。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、複数の指示物を含む。
【0018】
本明細書で使用する場合、「その組合せ」は、場合により列挙されていない同様の要素と一緒に、列挙された要素のうちの1種または複数を含み、例えば、指定される構成成分の1種または複数と、場合により、同じ機能を本質的に有する具体的に指定されていない1種または複数の他の構成成分との組合せを含む。本明細書で使用する場合、用語「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。
【0019】
本明細書全体にわたり、「一実施形態」、「別の実施形態」、「他の実施形態」、「一部の実施形態」などを言う場合、実施形態に関連して記載されている特定の要素(例えば、特徴、構造、特性および/または性質)が、本明細書に記載されている少なくとも1つの実施形態に含まれ、他の実施形態では、存在していてもよいか、または存在していなくてもよいことを意味する。さらに、記載されている要素は、様々な実施形態において、任意の好適な様式で組み合わされ得る。
【0020】
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。用語「ポリマー」は、本明細書で使用する場合、オリゴマー、ホモポリマーおよびコポリマーを含む。
【0021】
本出願における分子量はすべて、特に示さない限り、重量平均分子量を指す。このように言及されている分子量は、ダルトン(Da)で表される。
【0022】
化合物は、標準命名法を使用して、本明細書に記載されている。例えば、指示されている任意の基によって置換されていない位置はいずれも、示されている結合によって占有されている原子価、または水素原子を有するものと理解される。2つの文字または記号との間に存在しないダッシュ「−」が使用されて、置換基の結合点を示す。例えば、−CHOは、カルボニル基の炭素を介して結合している。
【0023】
用語「アルキル」には、分岐鎖および直鎖の両方のC
1〜30、あるいは分岐鎖および直鎖の両方のC
1〜18の、特定されている炭素原子数を有する飽和脂肪族炭化水素基を含む。アルキルの例には、以下に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、n−およびs−ヘキシル、n−およびs−ヘプチル、n−およびs−オクチル、デシル、ステアリルなどが含まれる。
【0024】
用語「アルケニル」は、直鎖または分岐鎖の、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合(例えば、エテニル(HC=CH
2))を有する一価の炭化水素基を意味する。
【0025】
用語「アルコキシ」は、酸素を介して連結している、直鎖または分岐アルキル基(例えば、C
1〜18)(すなわち、アルキル−O−)、例えばメトキシ、エトキシ、sec−ブチルオキシおよびノニルオキシ基を意味する。
【0026】
用語「アルキレン」は、直鎖または分岐鎖の、飽和二価脂肪族炭化水素基(例えば、メチレン(−CH
2−)またはプロピレン(−(CH
2)
3−))を意味する。
【0027】
用語「シクロアルキレン」は、二価の環式アルキレン基−C
nH
2n−xを意味し、xは、環化によって置きかえられた水素の数を表す。「シクロアルケニル」は、環中に1つまたは複数の環および1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有する一価の基を意味し、環員はすべて、炭素である(例えば、シクロペンチルおよびシクロヘキシル)。
【0028】
用語「アリール」は、特定されている数の炭素原子を含有する芳香族炭化水素基(例えば、芳香族部分)を意味し(例えば、6個の炭素原子からなる不飽和環)、この基は、1つまたは複数のアルキル基により場合により置換されていてもよく、例えば、フェニル、トリル、キシリル、トロポン、インダニル、インデニル、ナフチルなどを含む。
【0029】
用語「アリールオキシ」は、6個の炭素原子からなる不飽和環により置換されている酸素ラジカルを意味し、このラジカルは、1つまたは複数のアルキル基により場合により置換されていてもよく、例えば、フェノキシを含む。
【0030】
接頭語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードおよびアスタチノ(astatino)置換基をさらに1つ含む基または化合物を意味する。異なるハロ基(例えば、ブロモとフルオロ)の組合せが存在してもよい。一実施形態では、クロロ基のみ存在する。
【0031】
接頭語「ヘテロ」は、その化合物または基が、ヘテロ原子である少なくとも1つの環員(例えば、1個、2個または3個のヘテロ原子)を含み、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、SまたはPとすることができる。
【0032】
ASTM試験はすべて、特に示さない限り、Annual Book of ASTM Standardsの2003年版に基づいている。
【0033】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドを含む。別の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドスルホンを含む。さらに別の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンを含む。
【0034】
本明細書における開示の目的では、ポリエーテルイミドだけもしくはポリエーテルイミドスルホンだけのどちらか一方、またはポリエーテルイミドとポリエーテルイミドスルホンの両方を含むポリマー構成要素が、「ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン」とまとめて呼ばれる。記載されているポリマー(例えば、単一ポリマー構成成分、ポリマーブレンド、ポリマー混合物など)、特性、性質、特徴などのいずれかに関して本明細書で使用する場合、用語「ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン」は、特性値、性質、特徴などのいずれかが、ポリエーテルイミドだけ、またはポリエーテルイミドスルホンだけのどちらか一方、または組み合わせて使用される場合、ポリエーテルイミドとポリエーテルイミドスルホンの両方に該当することができる。
【0035】
一実施形態では、ポリエーテルイミド(PEI)およびポリエーテルイミドスルホン(PEIS)は、式I:
【化1】
(式中、aは、1超、例えば、約1〜約1,000以上、あるいは約10〜約1,000以上、またはあるいは約10〜約500とすることができる)
によって表すことができる。
【0036】
一実施形態では、式I中の基Vは、エーテル基を含有する四価リンカー(本明細書で使用する場合、「ポリエーテルイミド」)、またはエーテル基とアリーレンスルホン基との組合せ(本明細書で使用する場合、「ポリエーテルイミドスルホン」)とすることができる。このようなリンカーには、以下に限定されないが、(a)5〜50個の炭素原子を有する、置換または無置換の、単環式および多環式飽和基、不飽和基または芳香族基であって、エーテル基、アリーレンスルホン基、またはエーテル基とアリーレンスルホン基との組合せにより場合により置換されている、飽和基、不飽和基または芳香族基、(b)1〜30個の炭素原子を有する、置換または無置換の、直鎖もしくは分岐の飽和または不飽和アルキル基であって、エーテル基、またはエーテル基とアリーレンスルホン基との組合せ、およびアリーレンスルホン基により場合により置換されている、アルキル基、または(c)それらの組合せを含むことができる。リンカー基Vに好適なさらなる置換基(substitution)は、以下に限定されないが、エーテル、アミド、エステルなど、またはこれらの組合せを含む。
【0037】
一実施形態では、式I中の基Rは、以下に限定されないが、(a)6〜20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、およびこのハロゲン化誘導体、(b)2〜20個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖アルキレン基、(c)3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、または(d)式II:
【化2】
(式中、Q
1は、以下に限定されないが、−O−、−S−、−C(O)−、−SO
2−、−SO−、−C
y〜2y−などの二価部分(yは、1〜5の整数である)、およびペルフルオロアルキレン基を含めた、このハロゲン化誘導体を含む)により表される、二価の基などの、置換または無置換の二価有機基を含むことができる。
【0038】
式Iの一実施形態では、リンカーVは、以下に限定されないが、式III:
【化3】
(式中、Wは、−O−、−SO
2−を含めた二価部分、または式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位にあることができる)により表される、四価芳香族基を含む。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により−O−Z−O−基は二価の基である一方、Zもやはり二価の基であり、Zの二価はそれぞれ、−O−Z−O−基中の酸素原子に連結している。このような実施形態では、Zは、以下に限定されないが、基IVの式:
【化4】
(式中、Qは、以下に限定されないが、−O−、−S−、−C(O)−、−SO
2−、−SO−、−C
y〜2y−などの二価部分(yは、1〜5の整数である)、およびペルフルオロアルキレン基を含めた、このハロゲン化誘導体を含むことができる)により表される二価の基を含むことができる。
【0039】
一実施形態では、Zは、式IVa:
【化5】
(式中、Q
aは、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−SO
2−、−SO−または−C
y〜2y−、このハロゲン化誘導体とすることができ、yは、1〜5の整数とすることができる)により表される、二価の基とすることができる。
【0040】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、1つを超える(more than more than)構造単位、あるいは約10〜約1,000の構造単位、またはあるいは約10〜約500の構造単位を含み、構造単位は、式V:
【化6】
(式中、Tは、−O−、または式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位にあることができ、Zは、基IVの式および式IVaにより表される、二価の基として本明細書において既に記載されており、Rは、式IIにより表される二価の基として、本明細書において既に記載されている)により表すことができる。このようなZおよびRの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式VのZ基およびR基を記載することができる。一実施形態では、Zは、式IVaにより表すことができる。
【0041】
Tが式−O−Z−O−により表される、式Vの一実施形態では、Zは、6〜27個の炭素原子を有する二価芳香族炭化水素基、このハロゲン化誘導体、2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基、このハロゲン化誘導体、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、このハロゲン化誘導体、または式−(C
6H
10)
z−により表される基とすることができ、zは、1〜4の整数とすることができ、Rは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、またはこれらの組合せを含むジアミン残基とすることができる。
【0042】
別の実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、エーテル基およびスルホン基を含むポリイミドとすることができ、式I中のリンカーVおよび基Rの少なくとも50mol%は、二価アリーレンスルホン基を含む。例えば、基Rではなく、すべてのリンカーVは、アリーレンスルホン基を含有することができる。リンカーVではなく、すべてのR基は、アリーレンスルホン基を含有することができる。または、アリーレンスルホンは、リンカーVおよびR基のある部分中に存在することができるが、但し、アリールスルホン基を含有する、VおよびR基の総モル分率は、50mol%以上である条件とする。
【0043】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、1つ超えの構造単位、あるいは約10〜約1,000の構造単位、またはあるいは約10〜約500の構造単位を含み、構造単位は、式VI:
【化7】
(式中、Yは、−O−、−SO
2−、または式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−、−SO
2−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位にあることができ、Zは、基IVの式および式IVaにより表される二価の基として、本明細書において既に記載されており、Rは、式IIにより表される二価の基として、本明細書において既に記載されているが、但し、式VI中のYのモル数+Rのモル数の合計の50mol%超が、−SO
2−基を含有する条件とする)によって表すことができる。このようなZおよびRの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式VIのZ基およびR基を記載することができる。一実施形態では、Zは、式IVaにより表すことができる。
【0044】
一部の実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、例えば、基VIIの式:
【化8】
により表されるリンカーなどの、エーテル基、またはエーテル基およびスルホン基を含まない、リンカーVをさらに含むことができる。
【0045】
一実施形態では、基VIIの式により表されるイミド単位含有リンカーは、約0mol%〜約10mol%の総単位数、またはあるいは0mol%〜5mol%の総単位数の範囲の量で一般に、存在することができる。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン中に、さらなるリンカーVは存在しない。
【0046】
さらに別の実施形態では、ポリエーテルイミドは、式Vにより表される約10〜約500の構造単位を含み、ポリエーテルイミドスルホンは、式VIにより表される約10〜約500の構造単位を含む。
【0047】
ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンを調製する方法は、当業者に公知であり、一般に、特許文献1および特許文献2に記載されており、それらのそれぞれの全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0048】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンは、式VIIIまたは式IXにより表される、芳香族二無水物
【化9】
を、式Xにより表される有機ジアミン
【化10】
と反応させることによって調製することができ、式中、R、TおよびYは、式II、式Vおよび式VIについて、本明細書に既に記載されている。このようなR、TおよびYの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式VIII、式IXおよび式XのR基、T基およびY基を記載することができる。
【0049】
式VIIIにより表される、本開示における使用に好適な芳香族二無水物の非限定例は、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物など;またはこれらの組合せを含む。
【0050】
式IXにより表される、本開示における使用に好適なスルホン基含有芳香族二無水物の非限定例には、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物など;またはこれらの組合せが含まれる。
【0051】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、式VIIIおよび式IXにより表される、二無水物の組合せを使用して調製することができる。
【0052】
式Xにより表される、本開示における使用に好適なアミン化合物の非限定例は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4−メチルノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−ビス(b−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−b−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−b−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、ビス(p−b−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなど、またはこれらの組合せを含む。
【0053】
式Xにより表される、本開示における使用に好適なスルホン基含有アミン化合物の非限定例は、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDS)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン(BAPS)など、またはこれらの組合せを含む。
【0054】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、式Vにより表される構造単位を含み、Rはそれぞれ独立して、p−フェニレン、m−フェニレン、またはこれらの組合せとすることができ、Tは、式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’位にあることができ、Zは、式XI:
【化11】
により表される二価の基とすることができる。
【0055】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、式Vaにより表される構造単位:
【化12】
式Vbにより表される構造単位:
【化13】
またはこれらの組合せを含む。
【0056】
一実施形態では、Rがp−フェニレンであり、Tが式−O−Z−O−により表され、−O−Z−O−基の二価結合が3,3’位にあり、Zが式XIにより表される二価の基である、式Vにより表される構造単位は、式Vaにより表される構造単位を含む。
【0057】
一実施形態では、Rがm−フェニレンであり、Tが式−O−Z−O−により表され、−O−Z−O−基の二価結合が3,3’位にあり、Zが式XIにより表される二価の基である、式Vにより表される構造単位は、式Vbにより表される構造単位を含む。
【0058】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、1つ超えの構造単位、あるいは約10〜約1,000の構造単位、またはあるいは約10〜約500の構造単位を含み、構造単位は、式Va、式Vbまたはこれらの組合せによって表すことができる。
【0059】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、式VIにより表される構造単位を含み、R基の少なくとも50mol%は、基IVの式および式IVaによりそれぞれ独立して表すことができ、QおよびQ
aは、−SO
2−とすることができ、残りのR基は、それぞれ独立して、p−フェニレン、m−フェニレンまたはこれらの組合せとすることができ、Yは、式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’位にあることができ、Zは、式XIにより表される二価の基とすることができる。
【0060】
一態様では、ポリエーテルイミドスルホンは、ジアミノジフェニルスルホンを含むアミンの重合から誘導される繰り返し構造単位を含むことができる。
【0061】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、式VIaに表される繰り返し構造単位:
【化14】
(式中、構造単位は、n’回繰り返されることができ、n’は、1超、あるいは約10〜約1,000、またはあるいは約10〜約500とすることができる)を含むことができる。
【0062】
一実施形態では、Yが式−O−Z−O−により表され、−O−Z−O−基の二価結合が3,3’位にあり、Zが式XIにより表される二価の基であり、Rが式IVaにより表される二価の基であり、Q
aが−SO
2−であり、二価の基Rの二原子価のそれぞれが−SO
2−に対してパラ位(4,4’位)にある、式VIにより表される構造単位は、式VIaにおいて表される構造単位を含む。
【0063】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、例えば置換および無置換アニリン、置換および無置換ナフチル一級アミン、ならびに置換および無置換ヘテロアリールアミンなどの、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖され得、置換基は、C
6〜12アリール基、ハロゲン化C
6〜12アリール基、C
1〜12アルキル基、ハロゲン化C
1〜12アルキル基、スルホン基、C
1〜12エステル基、C
1〜12アミド基、ハロゲン、C
1〜12アルキルエーテル基、C
6〜12アリールエーテル基、および芳香族環に結合しているC
6〜12アリールケト基からなる群から選択することができる。結合している官能性は、分子量を制御するための芳香族一級モノアミンの機能を妨害するべきではない。芳香族モノアミンの好適な例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許文献3に、より詳細に記載されている。本開示における使用に好適な芳香族モノアミンの非限定例は、アニリン、クロロアニリン、ペルフルオロメチルアニリン、ナフチルアミンなど、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、芳香族モノアミンはアニリンを含む。
【0064】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの製造中に加えられる、芳香族モノアミンの量は、所望の分子量および様々な他の考慮点に依存し得る。一実施形態では、イミド反応中に存在する芳香族モノアミンの量は、芳香族ジアミン(例えば、フェニレンジアミン)の総モル数に対して、約0mol%〜約10mol%、あるいは約1mol%〜約10mol%、あるいは約2mol%〜約10mol%、あるいは約5mol%〜約9mol%、またはあるいは約6mol%〜約7mol%とすることができる。さらに、当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、一官能基性反応剤は、例えば、イミド化を開始する前またはその後などの任意の時点(例えば、芳香族ジアミン、芳香族二無水物、溶媒またはこれらの組合せに対して)、およびイミド化触媒の存在下または非存在下で加えることができる。さらに、当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、特定の量は、型通りの実験によって決定することができる。
【0065】
一実施形態では、各反応剤の相対量、触媒のタイプおよび量、ならびに芳香族一級モノアミンのタイプおよび量、ならびに反応条件は、1.0個のアミン基あたり、約1.0〜約1.4モル当量の無水基、あるいは1.0個のアミン基あたり、約1.0〜約1.3モル当量の無水基、1.0個のアミン基あたり、あるいは約1.0〜約1.2モル当量の無水基、あるいは1.0個のアミン基あたり、約1.0〜約1.1モル当量の無水基、またはあるいは1.0個のアミン基あたり、約1.0〜約1.002モル当量の無水基を有するポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンがもたらされるよう選択することができる。
【0066】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、さらに架橋され得る。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンを架橋するための方法は、例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンを架橋するのに有効な波長および時間、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンに照射(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンを含む押出成形フィルム)するなどの、任意の公知のポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの架橋方法を含むことができる。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの架橋は、280nm超かつ400nm以下の波長の紫外線照射によって実現することができる。
【0067】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、分岐状ポリエーテルイミド、非分岐状ポリエーテルイミド、またはこれらの組合せとすることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエーテルイミドの分岐度は、ポリエーテルイミドの強度特性に影響を及ぼし、例えば、分岐状ポリエーテルイミドの含有率が高い程、強度が向上する。
【0068】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、分岐状ポリエーテルイミドスルホン、非分岐状ポリエーテルイミドスルホン、またはこれらの組合せとすることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエーテルイミドスルホンの分岐度は、ポリエーテルイミドスルホンの強度特性に影響を及ぼし、例えば、分岐状ポリエーテルイミドスルホンの含有量が高い程、強度が向上する。
【0069】
ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンは、単独でまたは組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドを含む。他の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドスルホンを含む。
【0070】
さらに他の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンを含む。このような実施形態では、ポリエーテルイミド:ポリエーテルイミドスルホンの重量比は、約99:1〜約30:70、あるいは約90:10〜約40:60、またはあるいは約80:20〜約60:40とすることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンは、混和性ポリマーブレンドを形成する。
【0071】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定すると、重量平均分子量(Mw)がモルあたり約20,000グラム(g/mol)またはダルトン(Da)〜約400,000Da、あるいは約10,000Da〜約400,000Da、あるいは約10,000Da〜約200,000Da、あるいは約10,000Da〜約80,000Da、またはあるいは約50,000Da〜約75,000Daであることを特徴とすることができる。一般に、Mwは、式1:
【数1】
(式中、N
iは、分子量M
iの分子数である)に従って計算することができる。
【0072】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、プロトン核磁気共鳴分光法によって決定すると、ポリマーの重量部に対して、約100ppm未満、あるいは約50ppm未満、またはあるいは約10ppm未満のベンジル位含有率を有することができる。ベンジル位プロトンの官能基は高温で反応して、溶融状態において分子量を変化させる反応を加速させることができる。別の実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ベンジル位プロトンを含まなくてもよく、実質的に含まなくてもよく、または本質的に含まなくてもよい。ベンジル位プロトンを本質的に含まないとは、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン生成物が、ベンジル位プロトンを含有するモノマーおよび/または末端封鎖剤(endcapper)に由来する構造単位を、約5mol%未満、あるいは約3mol%未満、またはあるいは約1mol%未満有することを意味する。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ベンジル位プロトンを含有するモノマーおよび/もしくは末端封鎖剤に由来する構造単位を、プロトン核磁気共鳴分光法により決定すると、ポリマーの重量部に対して0ppm、または0mol%有することができる。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ベンジル位プロトンを含まない。
【0073】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの重量部に対して、約1,000ppm以下、あるいは約0ppm〜約1,000ppm、またはあるいは約0ppm〜約500ppmの臭素または塩素含有率を有することができる。臭素または塩素の量は、原子吸収などの通常の化学分析によって決定することができる。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの重量部に対して、約1,000ppm以下、あるいは約0ppm〜約1,000ppm、またはあるいは約0ppm〜約500ppmの、臭素と塩素を足した全含有率を有することができる。
【0074】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、低いレベルの有機反応副生成物を有することができる。例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの重量部に対して、1,3−ビス(N−(4−クロロフタルイミド))ベンゼン、1,3−ビス(N−フタルイミド)ベンゼン、メタ−フェニレンジアミンおよびビス(フタルイミド)のそれぞれを、約0ppm〜約500ppm、あるいは約0ppm〜約250ppm、またはあるいは約0ppm〜約100ppmの含有率で有することができる。
【0075】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、6.7キログラム(kg)重量の負荷の下、340℃〜370℃において、米国試験材料協会(ASTM)D1238に準拠して測定すると、1分間あたり、約0.1グラム(g/分)〜約10g/分、あるいは約0.5g/分〜約9.5g/分、またはあるいは約1g/分〜約9g/分のメルトインデックスとなることを特徴とすることができる。
【0076】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、25℃においてm−クレゾール中で測定すると、1グラムあたり約0.2デシリットル(dl/g)以上、あるいは約0.2dl/g〜約0.8dl/g、あるいは約0.3dl/g〜約0.75dl/g、またはあるいは約0.35dl/g〜約0.7dl/gの固有粘度を特徴とすることができる。一般に、流体の粘度は、せん断応力または引張応力により徐々に変形することに対して、流体が抵抗する尺度を表す。本明細書で使用する場合、用語「固有粘度」は、溶質の濃度(例えば、溶液中のポリマーの濃度)に対する既知濃度のポリマー溶液の比粘度の比をゼロ濃度に外挿したものを表す。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、固有粘度(ポリマーの性質の標準測定値として広く認識されている)は、ポリマーの重量平均分子量に直接、比例する。固有粘度は、ASTM4603に準拠して決定することができる。
【0077】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec
−1の粘度と5,000sec
−1の粘度との比が、約11未満、あるいは約10未満、あるいは約9未満、またはあるいは約8未満であることを特徴とすることができる。
【0078】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上、あるいは約400,000psi(2,756MPa)〜約620,000psi(4,272MPa)、あるいは約420,000(2,893MPa)〜約600,000psi(4,134MPa)、またはあるいは約425,000psi(2,928MPa)〜約580,000psi(3,996MPa)の引張弾性率であることを特徴とすることができる。一般に、弾性率またはヤング率としても知られている引張弾性率は、材料の剛性の尺度である。
【0079】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、約150℃以上、あるいは約160℃超、あるいは約180℃超、あるいは約200℃超、あるいは約200℃〜約300℃、あるいは約200℃〜約290℃、またはあるいは約200℃〜約280℃のガラス転移温度(Tg)であることを特徴とすることができる。一般に、Tgは、ポリマーが、硬質なガラス状物質から軟質のゴム状物質に転移する温度領域を指す。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、1つのTg(複数のTg値とは対照的である)を特徴とすることができる。
【0080】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、例えば、ULTEM1000樹脂、ULTEM1010樹脂、ULTEM9011樹脂など、またはこれらの組合せを含む、ULTEM樹脂などの市販のポリエーテルイミドを含む。ULTEM樹脂は、アモルファスの熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂のファミリーである。ULTEM1000樹脂は、217℃のTgを有する、透明なアモルファスポリエーテルイミドプラスチックである。ULTEM1010樹脂(例えば、ULTEM1010K)は、217℃のTgを有する、透明な高流動性PEIである。ULTEM9011樹脂は、217℃のTgを有する、透明な高流動性PEIである。上記の樹脂の各々は、SABIC Innovative Plasticsから入手可能である。ポリエーテルイミド樹脂は、ASTM D5205においてさらに記載されている。
【0081】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、例えばULTEM XH6050樹脂などの市販のポリエーテルイミドスルホンを含み、このULTEM XH6050は、247℃のTgを有する透明な、流動性の高いポリエーテルイミドスルホンホモポリマーであり、SABIC Innovative Plasticsから入手可能である。
【0082】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、キャパシターフィルム用ポリマー組成物内に、キャパシターフィルム用ポリマー組成物の総重量に対して、約0.1重量パーセント(重量%)〜約99.9重量%、あるいは約1重量%〜約99重量%、あるいは約10重量%〜約90重量%、あるいは約25重量%〜約75重量%、あるいは約40重量%〜約60重量%、あるいは約45重量%〜約55重量%、あるいは約50重量%〜約99.9重量%、あるいは約50重量%〜約99重量%、あるいは約50重量%〜約90重量%、またはあるいは約50重量%〜約75重量%の量で存在することができる。一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、約50重量%のポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンを含む。
【0083】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなど、またはこれらの組合せを含むアミンの重合から誘導される単位を含むポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドを約15重量%未満、あるいは約10重量%未満、またはあるいは約5重量%未満含む。
【0084】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリカーボネートを含む。ポリカーボネートは、ホモポリマーまたはコポリマーとすることができる。一部の実施形態では、ポリカーボネートは、ポリカーボネートコポリマー;ポリカーボネートとシロキサンとのコポリマー;ポリカーボネートとポリカーボネート−エステルとのコポリマーなど、またはこれらの組合せとすることができる。一実施形態では、ポリカーボネートは、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)を含み、該ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、互いに異なるビスフェノールカーボネート繰り返し単位およびアリレートエステル繰り返し単位を含む。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「ポリカーボネート」および「ポリカーボネートポリマー」は、式XII:
【化15】
(式中、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜12アルキル基、C
1〜12アルケニル基、C
3〜8シクロアルキル基またはC
1〜12アルコキシ基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0〜4とすることができ、X
aは、2つのアリーレン基の間の架橋基とすることができ、
X
aは、単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(O)−、式−C(R
c)(R
d)−であるC
1〜11アルキリデン基とすることができ、R
cおよびR
dは、それぞれ独立して、水素、C
1〜10アルキル基、または式−C(=R
e)−の基であり、R
eは、二価C
1〜10炭化水素基とすることができる)により表されるビスフェノールカーボネート単位である、繰り返し単位を有する化合物を指す。本開示における使用に好適なX
a基の非限定例は、メチレン、エチリデン、ネオペンチリデン、イソプロピリデンなど、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、架橋基X
a、および各C
6アリーレン基のカーボネート酸素原子は、C
6アリーレン基に対して、互いに、オルト、メタまたはパラに配置することができる。一実施形態では、架橋基X
a、および各C
6アリーレン基のカーボネート酸素原子は、C
6アリーレン基に対して、互いにパラに配置することができる。
【0086】
一実施形態では、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜3アルキル基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0〜1とすることができ、X
aは、単結合、−O−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(O)−、式−C(R
c)(R
d)−により表されるC
1〜9アルキリデン基とすることができ、R
cおよびR
dは、それぞれ独立して、水素、C
1〜8アルキル基、または式−C(=R
e)−により表される基であり、R
eは、二価C
1〜9炭化水素基とすることができる。別の実施形態では、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、メチル基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して0〜1とすることができ、X
aは、単結合、式−C(R
c)(R
d)−により表されるC
1〜7アルキリデン基とすることができ、R
cおよびR
dは、それぞれ独立して、水素またはC
1〜6アルキル基とすることができる。一実施形態では、pおよびqは、それぞれ1であり、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜3アルキル基(例えば、メチル)であり、R
aおよびR
bは、各環上で酸素に対してメタに配置され得る。
【0087】
一実施形態では、式XIIにより表される、ビスフェノールカーボネート単位は、ビスフェノールAから誘導することができ、pおよびqは、どちらも0とすることができ、X
aはイソプロピリデンとすることができる。
【0088】
一実施形態では、ポリカーボネート単位は、式XIIIにより表される、ジヒドロキシ化合物:
【化16】
(式中、R
1は、架橋部分とすることができる)から生成することができる。一般に、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位は、式XIVにより表される、対応するビスフェノール化合物:
【化17】
(式中、R
aおよびR
b、pおよびqおよびX
aは、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位に関して、本明細書に既に記載されている)から生成することができる。このようなR
aおよびR
b、pおよびq、ならびにX
aの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用して、式XIVのR
aおよびR
b、pおよびq、ならびにX
aを記載することができる。
【0089】
式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位を生成するために、本開示における使用に好適なビスフェノール化合物の非限定例は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなど、またはこれらの組合せを含む。
【0090】
一実施形態では、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位を生成するために好適なビスフェノール化合物は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」または「BPA」)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパンなど、またはこれらの組合せを含む。
【0091】
一実施形態では、ポリカーボネートポリマーは、第2のタイプのカーボネート繰り返し単位をさらに含む(式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート繰り返し単位とは対照的であり、この単位とは異なる)コポリマーとすることができる。第2のタイプのカーボネート繰り返し単位はまた、ビスフェノールカーボネート単位(但し、ビスフェノールカーボネート単位は、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位とは異なる条件とする)またはアリレートエステル単位とすることもできる。一実施形態では、第2のタイプのカーボネート繰り返し単位は、式XV:
【化18】
(式中、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜12アルケニル基、C
3〜8シクロアルキル基またはC
1〜12アルコキシとすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0〜4の整数とすることができ、X
bは、ポリカーボネートコポリマー中の架橋基X
aと同じではない、C
2〜32架橋炭化水素基とすることができる)により表される、ビスフェノールカーボネート単位とすることができる。一実施形態では、架橋基X
b、および各C
6アリーレン基のカーボネート酸素原子は、C
6アリーレン基に対して、互いに、オルト、メタまたはパラに配置することができる。一実施形態では、架橋基X
b、および各C
6アリーレン基のカーボネート酸素原子は、C
6アリーレン基に対して、互いにパラに配置することができる。
【0092】
一実施形態では、X
bは、置換または無置換のC
3〜18シクロアルキリデン基、置換または無置換のC
3〜18シクロアルキレン基、式−C(R
c)(R
d)−により表される置換または無置換のC
12〜25アルキリデン基とすることができ、R
cおよびR
dは、それぞれ独立して、水素、C
1〜24アルキル基、C
4〜12シクロアルキル基、C
6〜12アリール基、C
7〜12アリールアルキレン基、C
1〜12ヘテロアルキル基もしくは環式C
7〜12ヘテロアリールアルキル基、または式−C(=R
e)−により表される基とすることができ、R
eは二価C
12〜31炭化水素基とすることができる。本開示における使用に好適なX
b基の非限定例は、シクロヘキシルメチリデン、1,1−エテン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンチリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデンなど、またはこれらの組合せを含む。
【0093】
一実施形態では、X
bは、式−C(R
c)(R
d)−により表される置換または無置換のC
5〜32アルキリデン基とすることができ、R
cおよびR
dは、それぞれ独立して、水素、C
4〜12シクロアルキル基、C
6〜12アリール基、C
7〜12アリールアルキレン基、C
1〜12ヘテロアルキル基、式−C(=R
e)−により表される置換または無置換の基とすることができ、R
eは、二価C
12〜31ヒドロカルビル基、置換もしくは無置換のC
5〜18シクロアルキリデン基、置換もしくは無置換のC
5〜18シクロアルキレン基、置換もしくは無置換のC
3〜18ヘテロシクロアルキリデン基、または式−B
1−G−B
2−により表される基とすることができ、B
1およびB
2は、同じまたは異なるC
1〜6アルキレン基とすることができ、Gは、C
3〜12シクロアルキリデン基またはC
6〜16アリーレン基とすることができる。
【0094】
一実施形態では、X
bは、式XVa:
【化19】
(式中、R
r、R
p、R
qおよびR
tは、それぞれ独立して、水素、酸素またはC
1〜12有機基とすることができ、Iは、直接結合、炭素または二価の酸素、硫黄または−N(Z)−とすることができ、Zは、水素、ハロゲン,ヒドロキシ、C
1〜12アルキル基、C
1〜12アルコキシ基またはC
1〜12アシル基とすることができ、hは、0〜2とすることができ、jは、1または2とすることができ、iは、0または1の整数とすることができ、kは、0〜3の整数であり、R
r、R
p、R
qおよびR
tのうちの少なくとも2つは、一緒になって、縮合脂環式環、芳香族環または複素芳香族環である)により表される、置換C
3〜18ヘテロシクロアルキリデン基とすることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、縮合環が芳香族である場合、式XVaにおいて表されている環は、この環が縮合している、炭素−炭素不飽和連結基を有する。kが1であり、iが0である場合、式XVaにおいて表される環は、4個の炭素原子を含有し、kが2である場合、式XVaにおいて表される環は、5個の炭素原子を含有し、kが3である場合、式XVaにおいて表される環は、6個の炭素原子を含有する。一実施形態では、R
r、R
p、R
qおよびR
tのうちの隣接する2つの基(例えば、R
qおよびR
tが一緒になって)は、芳香族基を形成する。別の実施形態では、R
qおよびR
tは、一緒になって、第1の芳香族基を形成し、R
rおよびR
pは一緒になって、第2の芳香族基を形成する。R
qおよびR
tが、一緒になって、芳香族基を形成する場合、R
pは、二重結合をしている酸素原子、すなわちケトンとすることができる。
【0095】
一実施形態では、ビスフェノールカーボネート単位を含む、第2のタイプのカーボネート繰り返し単位は、式XVb:
【化20】
(式中、R
a、R
b、pおよびqは、式XVにより表されるビスフェノールカーボネート単位に関して、本明細書に既に記載されている)により表される、フタルイミドカーボネート単位を含むことができる。このようなR
a、R
b、pおよびqの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式XVbにより表されるフタルイミドカーボネート単位を記載することができる。各R
3は、それぞれ独立して、C
1〜6アルキル基とすることができ、jは、0〜4であり、R
4は、水素、C
1〜6アルキル基、または1〜5つのC
1〜6アルキル基により場合により置換されているフェニル基とすることができる。一実施形態では、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜3アルキル基とすることができる。
【0096】
一実施形態では、フタルイミドカーボネート単位は、式XVc:
【化21】
(式中、R
5は、水素、最大で5つのC
1〜6アルキル基により場合により置換されているフェニル、またはC
1−4アルキル基とすることができる)により表すことができる。一実施形態では、R
5は、水素、フェニルまたはメチルとすることができる。一実施形態では、R
5がフェニルである、式XVcにより表されるカーボネート単位は、2−フェニル−3,3’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(N−フェニルフェノールフタレインビスフェノール、または「PPP−BP」としても知られている)(3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルイソインドリン−1−オンとしても知られている)から誘導することができる。
【0097】
他の実施形態では、ビスフェノールカーボネート繰り返し単位は、式XVdおよびXVe:
【化22】
(式中、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜12アルキル基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0〜4とすることができ、R
iは、C
1〜12アルキル基、1〜4つのC
1〜10アルキル基により場合により置換されているフェニル基、または1〜5つのC
1〜10アルキル基により場合により置換されているベンジル基とすることができる)により表される、イサチンカーボネート単位を含むことができる。一実施形態では、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、メチルとすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、R
iは、C
1〜4アルキル基またはフェニルとすることができる。
【0098】
X
bが置換または無置換のC
3〜18シクロアルキリデン基である式XVにより表されるビスフェノールカーボネート単位の非限定例は、式XVf:
【化23】
(式中、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜12アルキル基とすることができ、R
gは、C
1〜12アルキル基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0〜4とすることができ、tは、0〜10とすることができる)により表される、シクロヘキシリデン架橋されているアルキル置換ビスフェノールを含む。一実施形態では、R
aおよびR
bのそれぞれのうちの少なくとも1つは、シクロヘキシリデン架橋基に対してメタに配置することができる。一実施形態では、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜4アルキル基とすることができ、R
gは、C
1〜4アルキル基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であり、tは0〜5とすることができる。別の実施形態では、R
a、R
bおよびR
gは、それぞれ独立して、メチルとすることができ、rおよびsは、それぞれ独立して、0または1とすることができ、tは、0または3とすることができる。別の実施形態では、R
a、R
bおよびR
gは、それぞれ独立して、メチルとすることができ、rおよびsは、それぞれ独立して、0または1とすることができ、tは、0とすることができる。
【0099】
一実施形態では、式XVにより表されるビスフェノールカーボネート単位は、式XVgにより表されるアダマンチル単位および式XVhにより表されるフルオレニル単位:
【化24】
(式中、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜12アルキル基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、1〜4とすることができる)を含む、置換または無置換のC
3〜18シクロアルキリデン基とすることができる。一実施形態では、R
aおよびR
bのそれぞれのうちの少なくとも1つは、シクロアルキリデン架橋基に対してメタに配置することができる。一実施形態では、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜3アルキル基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1である。一実施形態では、R
aおよびR
bは、それぞれ、メチル基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1とすることができ、pおよびqが1である場合、メチル基は、シクロアルキリデン架橋基にたいして対してメタに配置している。
【0100】
一実施形態では、式XVa、XVb、XVc、XVd、XVe、XVf、XVgおよびXVhにより表される単位を含有するカーボネートは、高いガラス転移温度(Tg)および高い熱変形温度を有する、ポリカーボネートを生成するのに有用となり得る。
【0101】
一実施形態では、式XVにより表されるビスフェノールカーボネート単位は、式XVIにより表される、対応するビスフェノール化合物:
【化25】
(式中、R
a、R
b、p、qおよびX
bは、式XVにより表されるビスフェノールカーボネート単位に関して、本明細書に既に記載されている)から一般に生成することができる。このようなR
a、R
b、p、qおよびX
bの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用して、式XVIにより表されるビスフェノール化合物を記載することができる。
【0102】
式XVIにより表される、本開示における使用に好適なビスフェノール化合物の非限定例は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、2,7−ジヒドロキシカルバゾール、2,6−ジヒドロキシチアントレン 3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPP−BP)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(DMBPC)など、またはこれらの組合せを含む。
【0103】
一実施形態では、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位と式XVにより表されるビスフェノールカーボネート単位とのモル比は、Tg、衝撃強度、延性、流動性などの考慮点を含めたポリカーボネート組成物の所望の性質に応じて、約99:1〜約1:99、あるいは約90:10〜約10:90、あるいは約80:20〜約20:80、あるいは約70:30〜約30:70、またはあるいは約60:40〜約40:60の範囲とすることができる。式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位がビスフェノールA単位から誘導される場合、ビスフェノールA単位は、ポリカーボネートコポリマー中のビスフェノール単位の総モル数に対して、約50mol%〜99mol%の量で一般に存在することができる。さらに、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位が、ビスフェノールAから誘導される場合、式XVにより表されるおよびビスフェノール単位はPPP−BPから誘導され、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位と式XVにより表されるビスフェノールカーボネート単位とのモル比は、約99:1〜約50:50、またはあるいは約90:10〜約55:45とすることができる。
【0104】
一実施形態では、本明細書において開示されているポリカーボネートポリマーは、比較的少量で、例えば、ポリカーボネートコポリマー中のカーボネート単位のモルの総数に対して、約20mol%未満、約10mol%未満、または約5mol%未満の量で、他のカーボネート単位を含むことができる。一実施形態では、他のカーボネート単位は、例えば1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、2,7−ジヒドロキシカルバゾールおよび2,6−ジヒドロキシチアントレンなど、またはこれらの組合せなどの、1〜32個の炭素原子を有する、脂肪族または芳香族性ジヒドロキシ化合物から誘導することができる。一実施形態では、芳香族性ジヒドロキシ化合物は、式XVII:
【化26】
(式中、R
hはそれぞれ、独立して、ハロゲン原子、C
1〜10アルキル基などのC
1〜10ヒドロカルビル基、ハロゲン置換C
1〜10アルキル基、C
6〜10アリール基またはハロゲン置換C
6〜10アリール基とすることができ、nは、0〜4とすることができる)により表される、モノアリールジヒドロキシ化合物を含む。このような実施形態では、ハロゲンは、臭素となり得る。一実施形態では、式XVIIにより表されるモノアリールジヒドロキシ化合物は、ハロゲンを含まない。
【0105】
本開示における使用に好適な式XVIIにより表されるモノアリールジヒドロキシ化合物の非限定例は、レゾルシノール、置換レゾルシノール化合物、5−メチルレソルシノール、5−エチルレソルシノール、5−プロピルレソルシノール、5−ブチルレソルシノール、5−t−ブチルレソルシノール、5−フェニルレソルシノール、5−クミルレソルシノール、2,4,5,6−テトラフルオロレソルシノール、2,4,5,6−テトラブロモレソルシノール;カテコール;ヒドロキノン;置換ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−プロピルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6−テトラブロモヒドロキノン;など、またはこれらの組合せを含む。
【0106】
一実施形態では、ポリカーボネートコポリマーは、式XIIによりおよび式XVにより表されるビスフェノールカーボネート単位、および約10モル%未満の式XVIIにより表されるモノアリールジヒドロキシ化合物から誘導されるカーボネート単位、すなわち式XVIIa:
【化27】
(式中、R
hはそれぞれ独立して、ハロゲンまたはC
1〜10炭化水素基とすることができ、nは、0〜4とすることができる)により表されるモノアリールカーボネート単位を含む。一実施形態では、R
hはそれぞれ、独立して、C
1〜3アルキル基とすることができ、nは0〜1とすることができる。一実施形態では、R
hはそれぞれ、独立して、C
1〜3アルキル基とすることができ、nは0とすることができる。別の実施形態では、式XIIによりおよび式XVにより表されるビスフェノールカーボネート単位以外のカーボネート単位は、ポリカーボネートコポリマー中に存在する。
【0107】
一実施形態では、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート繰り返し単位および式XVIII:
【化28】
(式中、Ar
1は、少なくとも1つの芳香族基、例えば、フェニル、ナフタレン、アントラセンなど、またはこれらの組合せを含有するC
6〜32ヒドロカルビル基とすることができる)により表されるアリレートエステル繰り返し単位を含む。一実施形態では、Ar
1は、式XIIによりおよび式XVにより表されるビスフェノールカーボネート単位、式XVIIにより表されるモノアリールジヒドロキシ化合物、またはこれらの組合せに関連して上で記載されている芳香族ビスフェノールから誘導することができる。一実施形態では、式XVIIIにより表されるアリレートエステル単位は、イソフタル酸、テレフタル酸またはこれらの組合せ(本明細書において「フタル酸」と称される)と、本明細書において既に記載されている芳香族ビスフェノール、すなわち式XVIIにより表されるモノアリールジヒドロキシ化合物のいずれか、またはこれらの組合せとの反応により誘導することができる。一実施形態では、イソフタレートとテレフタレートとのモル比は、約1:99〜約99:1、あるいは約80:20〜約20:80、またはあるいは約60:40〜約40:60とすることができる。
【0108】
一実施形態では、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位および式XVIIIにより表されるアリレートエステル単位を含むポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、式XIXにより表される交互コポリマーまたはブロックコポリマー:
【化29】
(式中、R
1およびAr
1は、それぞれ、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位および式XVIIIにより表されるアリレートエステル単位について、本明細書において既に記載されている)とすることができる。このようなR
1およびAr
1の説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式XIXにより表されるコポリマーを記載することができる。
【0109】
一般に、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、カーボネートブロックおよびエステルブロックを含有するブロックコポリマーである。一実施形態では、コポリマー中(例えば、ポリ(カーボネート−アリレートエステル))の全エステル単位と全カーボネート単位の重量比は、ポリカーボネート組成物の所望の特性に応じて、例えば、約99:1〜約1:99、あるいは約95:5〜約5:95、あるいは約90:10〜約10:90、またはあるいは約90:10〜約50:50とさまざまとすることができる。コポリマー中のエステル単位中のイソフタレートとテレフタレートのモル比はまた、該ポリカーボネート組成物の所望の特性に応じて、例えば、約0:100〜約100:0、あるいは約92:8〜約8:92、またはあるいは約98:2〜約45:55と様々とすることができる。一実施形態では、全エステル単位と全カーボネートとの重量比は、約99:1〜約40:60、またはあるいは約90:10〜約50:40とすることができ、イソフタレートとテレフタレートとのモル比は、ポリカーボネート組成物の所望の特性に応じて、約99:1〜約40:50、またはあるいは約98:2〜約45:55とすることができる。
【0110】
一実施形態では、ポリカーボネートコポリマーは、式XVIIIにより表されるアリレートエステル単位を形成するために使用されるジヒドロキシ化合物から誘導される追加のカーボネート単位を、ポリカーボネートコポリマー中の単位の総モル数に対して、約20mol%未満、あるいは約10mol%未満、またはあるいは約5mol%未満の量で含む。一実施形態では、ポリカーボネートコポリマーは、フタル酸と、カーボネート単位を形成するために使用される、式XVIIにより表されるモノアリールジヒドロキシ化合物との反応から誘導される追加のアリレートエステル単位を、ポリカーボネートコポリマー中の単位の総モル数に対して、約20mol%未満、あるいは約10mol%未満、あるいは約5mol%未満、またはあるいは約1mol%未満の量で含む。一実施形態では、このような追加のカーボネート単位およびこのような追加のアリレートエステル単位の組合せは、ポリカーボネートコポリマー中、該ポリカーボネートコポリマー中の単位の総モル数に対して、約20mol%未満、あるいは約10mol%未満、あるいは約5mol%未満、またはあるいは約1mol%未満の量で存在することができる。
【0111】
一実施形態では、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位(例えば、ビスフェノールAカーボネート単位)およびビスフェノールアリレートエステル繰り返し単位を含む、ポリ(カーボネート)−co−(ビスフェノールアリレートエステル)とすることができる。このような実施形態では、ビスフェノールアリレート単位は、フタル酸残基、および例えば、式XIIIにより表されるビスフェノールなどの、ビスフェノールを含むことができる。一実施形態では、ビスフェノールアリレートエステル単位は、式XVIIIa:
【化30】
(式中、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜12アルキル基、C
1〜12アルケニル基、C
3〜8シクロアルキル基またはC
1〜12アルコキシ基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0〜4とすることができ、X
aは、2つのアリーレン基の間の架橋基とすることができ、X
aは、単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(O)−、式−C(R
c)(R
d)−により表されるC
1〜11アルキリデン基とすることができ、R
cおよびR
dは、それぞれ独立して、水素、C
1〜10アルキル基、または式−C(=R
e)−により表される基とすることができ、R
eは、二価C
1〜10炭化水素基とすることができる)により表すことができる。一実施形態では、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1とすることができ、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、各環上の酸素に対してメタに配置しているC
1〜3アルキル基とすることができ、X
aは、式−C(R
c)(R
d)−により表されるアルキリデンとすることができ、R
cおよびR
dは、それぞれ、C
1〜6アルキル基とすることができる。一実施形態では、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1とすることができ、R
aおよびR
bは、それぞれ、各環上の酸素に対してメタに配置されているメチル基とすることができ、X
aは、式−C(R
c)(R
d)−により表されるアルキリデンとすることができ、R
cおよびR
dは、それぞれ、C
1〜6アルキル基とすることができる。一実施形態では、ビスフェノールは、ビスフェノールAとすることができ、pおよびqは、どちらも0であり、X
aはイソプロピリデンである。
【0112】
一実施形態では、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、式XIXa:
【化31】
(式中、yおよびxは、それぞれ、アリレート−ビスフェノールAエステル単位およびビスフェノールAカーボネート単位を表す)により表される、ポリ(ビスフェノールAカーボネート)−co−(ビスフェノールA−フタレート−エステル)とすることができる。一般に、単位は、ブロックとして存在する。一実施形態では、コポリマー中でのエステル単位yの重量%とカーボネート単位xの重量%との比は、約50:50〜約99:1、あるいは約55:45〜約90:10、またはあるいは約75:25〜約95:5の範囲とすることができる。エステル単位が、イソフタレートとテレフタレートとのモル比が約45:55〜約55:45を有する、約35重量%〜約45重量%のカーボネート単位および約55重量%〜約65重量%のエステル単位を含む、式XIXaにより表されるコポリマーは、ポリ(カーボネート−エステル)(PCE)と呼ばれることが多い。エステル単位が、イソフタレートとテレフタレートとのモル比が約98:2〜約88:12を有する、約15重量%〜約25重量%のカーボネート単位および約75重量%〜約85重量%のエステル単位を含む、式XIXaにより表されるコポリマーは、ポリ(フタレート−カーボネート)(PPC)と呼ばれることが多い。
【0113】
別の実施形態では、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、式XIIにより表されるカーボネート単位および式XVIIIb:
【化32】
(式中、R
hはそれぞれ、独立して、ハロゲン原子、C
1〜10アルキル基などのC
1〜10ヒドロカルビル基、ハロゲン置換C
1〜10アルキル基、C
6〜10アリール基またはハロゲン置換C
6〜10アリール基とすることができ、nは、0〜4とすることができる)により表されるモノアリールアリレートエステル繰り返し単位を含有するポリ(カーボネート)−co−(モノアリールアリレートエステル)を含む。一実施形態では、R
hはそれぞれ、独立して、C
1〜4アルキル基とすることができ、nは0〜3、あるいは0〜1、またはあるいは0とすることができる。一実施形態では、ポリ(カーボネート)−co−(モノアリールアリレートエステル)コポリマーは、式XIXb:
【化33】
(式中、x:mのモル比は、約99:1〜約1:99、あるいは約80:20〜約20:80、またはあるいは約60:40〜約40:60とすることができ、R
1は、式XIIにより表されるビスフェノールカーボネート単位に関して、本明細書に既に記載されており、R
hおよびnは、式XVIIIbにより表されるモノアリールアリレートエステル単位に関して、本明細書に既に記載されている)によって表すことができる。このようなR
1、R
hおよびnの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式XIXbにより表されるポリ(カーボネート)−co−(モノアリールアリレートエステル)コポリマーを記載することができる。
【0114】
一実施形態では、式XVIIIbにより表されるモノアリール−アリレートエステル単位は、イソフタル酸およびテレフタル二酸(またはこの誘導体)の組合せとレゾルシノール(または、この反応性誘導体)との反応から誘導されて、式XVIIIc:
【化34】
(式中、mは、約4〜約100、あるいは約4〜約90、あるいは約5〜約70、あるいは約5〜約50、またはあるいは約10〜約30とすることができる)により表されるイソフタレート−テレフタレート−レゾルシノール(「ITR」)エステル単位をもたらすことができる。一実施形態では、ITRエステル単位は、ポリカーボネートコポリマー中、該コポリマー中のエステル単位の総モル数に対して、約95mol%以上、あるいは約99mol%超、またはあるいは約99.5mol%超の量で存在することができる。(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノール)−カーボネートコポリマー(「ITR−PC」コポリマー)は、例えば靭性、透明度、熱流特性および耐候性などの、多数の望ましい特徴を有することができる。ITR−PCコポリマーは、界面重合技法を使用して、商業規模で容易に製造することができ、この技法により、ITR−PCコポリマーの合成において、人工的可撓性および組成物特異性を可能にすることができる。
【0115】
一実施形態では、ポリ(カーボネート)−co−(モノアリールアリレートエステル)は、式XIXc:
【化35】
(式中、mは、約4〜約100、あるいは約4〜約90、あるいは約5〜約70、あるいは約5〜約50、またはあるいは約10〜約30とすることができ、x:mのモル比は、約99:1〜約1:99、またはあるいは約90:10〜約10:90とすることができる)により表される、ポリ(ビスフェノールAカーボネート)−co−(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル)とすることができる。一実施形態では、ITRエステル単位は、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)コポリマー中に、該コポリマー中のエステル単位の総モル数に対して、約95mol%以上、あるいは約99mol%超、またはあるいは約99.5mol%超の量で存在することができる。一実施形態では、追加のカーボネート単位、追加のエステル単位、またはこれらの組合せは、コポリマー中に、該コポリマー中の単位の総モル数に対して、約1mol%〜約20mol%の量で存在することができる。このような実施形態では、追加のカーボネート単位は、式XX:
【化36】
により表されるレゾルシノールカーボネート単位および式XVIIIaにより表されるビスフェノールエステル単位を含むことができ、式中、R
hは、それぞれ独立して、C
1〜10炭化水素基とすることができ、nは0〜4とすることができる、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜12アルキル基とすることができ、pおよびqは、それぞれ独立して、0〜4の整数とすることができ、X
aは、単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(O)−、または式−C(R
c)(R
d)−であるC
1〜13アルキリデン基とすることができ、R
cおよびR
dは、それぞれ独立して、水素、C
1〜12アルキル基、または式−C(=R
e)−により表される基とすることができ、R
eは、二価C
1〜12炭化水素基とすることができる。一実施形態では、ビスフェノールエステル単位は、式XXI:
【化37】
により表される、ビスフェノールAフタレートエステル単位とすることができる。
【0116】
一実施形態では、式XIXcにより表されるポリ(ビスフェノールAカーボネート)−co−(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル)は、約1mol%〜約20mol%のビスフェノールAカーボネート単位、約60mol%〜約99mol%のイソフタル酸−テレフタル酸−レゾルシノールエステル単位、および場合により約1mol%〜約20mol%のレゾルシノールカーボネート単位、イソフタル酸−テレフタル酸−ビスフェノールAフタレートエステル単位またはこれらの組合せを含む。別の実施形態では、式XIXcにより表されるポリ(ビスフェノールAカーボネート)−co−(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル)は、約70mol%〜約90mol%のビスフェノールAカーボネート単位、約10mol%〜約30mol%のイソフタル酸−テレフタル酸−レゾルシノールエステル単位、および場合により約1mol%〜約60mol%のレゾルシノールカーボネート単位、イソフタル酸−テレフタル酸−ビスフェノールAエステル単位またはこれらの組合せを含む。
【0117】
別の実施形態では、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)コポリマーは、シロキサン単位(「ジオルガノシロキサン単位」としても知られている)、例えばポリ(ビスフェノール−Aカーボネート)−co−ポリ(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル)−co−ポリ(シロキサン)コポリマーをさらに含む。便宜上、ポリ(ビスフェノール−Aカーボネート)−co−ポリ(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル)−co−ポリ(シロキサン)は、本明細書において、「ITR−PC−シロキサン」コポリマーと称される。一般に、ポリ(カーボネート−シロキサン)コポリマーはまた、「PC−シロキサン」または「PC−Si」コポリマーと呼ぶこともできる。一実施形態では、ITR−PC−シロキサンコポリマーは、式XIVにより表されるビスフェノール(例えば、ビスフェノール−A)から誘導される式XIIにより表されるカーボネート単位、式XVIIIbにより表されるモノアリールアリレートエステル単位およびシロキサン単位を含む。一実施形態では、ITR−PC−シロキサンコポリマーは、ビスフェノール−Aカーボネート単位、式XVIIIcにより表されるITRエステル単位、およびシロキサン単位を含み、該シロキサン単位は、式XXII:
【化38】
により表されるポリシロキサン単位とすることができ、式中、Rはそれぞれ独立して、C
1〜13一価ヒドロカルビル基とすることができる。一実施形態では、Rはそれぞれ独立して、C
1〜13アルキル基、C
1〜13アルコキシ基、C
2〜13アルケニル基、C
2〜13アルケニルオキシ基、C
3〜6シクロアルキル基、C
3〜6シクロアルコキシ基、C
6〜14アリール基、C
6〜10アリールオキシ基、C
7〜13アリールアルキル基、C
7〜13アリールアルコキシ基、C
7〜13アルキルアリール基、またはC
7〜13アルキルアリールオキシ基とすることができる。このような実施形態では、R基のそれぞれは、独立して、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素、またはこれらの組合せにより、完全にまたは部分的にハロゲン化され得る。一実施形態では、R基はハロゲンを含有しない。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、例示的なR基の組合せは、同一のコポリマー中に使用することができる。一実施形態では、ポリシロキサンは、最小限の炭化水素含有率を有するR基を含み、例えば、Rはメチル基とすることができる。
【0118】
式XXIIにおけるEの平均値は、ポリカーボネート組成物中の各構成成分のタイプおよび相対量、ポリマーが直鎖コポリマー、分岐コポリマーまたはグラフトコポリマーであるかどうか、組成物の上記の所望の特性などの考慮点に応じて、幅広く変動することができる。一実施形態では、Eは、約2〜約500、あるいは約2〜約200、あるいは約5〜約120、あるいは約10〜約100、あるいは約10〜約80、あるいは約2〜約30、またはあるいは約30〜約80の平均値を有することができる。一実施形態では、Eは、約16〜約50、あるいは約20〜約45、またはあるいは約25〜約45の平均値を有することができる。別の実施形態では、Eは、約4〜約50、あるいは約4〜約15、あるいは約5〜約15、あるいは約6〜約15、またはあるいは約7〜約10の平均値を有することができ、一実施形態では、ポリシロキサン単位は、式XXIIa:
【化39】
により表される構造単位とすることができ、式中、EおよびRは、式XXIIにより表されるポリシロキサン単位に関して、本明細書に既に記載されており、Rはそれぞれ、独立して、同一または異なることができ、Arはそれぞれ、独立して、同一または異なることができ、Arはそれぞれ、独立して、芳香族基を含有する置換または無置換のC
6〜30化合物とすることができ、結合は、芳香族基に直接、結合することができる。このような先のEおよびRの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式XXIIaにより表されるポリシロキサン構造単位を記載することができる。一実施形態では、式XXIIaにおけるAr基は、C
6〜30ジヒドロキシ芳香族化合物(例えば、本明細書に既に記載されているビスフェノール化合物)、式XVIIにより表されるモノアリールジヒドロキシ化合物、またはこれらの組合せから誘導することができる。本開示における使用に好適なC
6〜30ジヒドロキシ芳香族化合物の非限定例には、レゾルシノール(すなわち、1,3−ジヒドロキシベンゼン)、4−メチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、5−メチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4,6−ジメチル−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニルスルフィド)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパンなど、またはこれらの組合せが含まれる。一実施形態では、C
6〜30ジヒドロキシ芳香族化合物は、無置換とすることができる。一実施形態では、C
6〜30ジヒドロキシ芳香族化合物は、アルキル、アルコキシまたはアルキレン置換基などの非芳香族ヒドロカルビル置換基を含有しない。
【0119】
Arがレゾルシノールに由来する一実施形態では、ポリシロキサン単位は、式XXIIa−1:
【化40】
により表すことができる。
【0120】
ArがビスフェノールAに由来する別の実施形態では、ポリシロキサン単位は、式XXIIa−2:
【化41】
により表すことができる。
【0121】
一実施形態では、ポリシロキサン単位は、式XXIIa−1により表されるポリシロキサン単位、式XXIIa−2により表されるポリシロキサン単位、またはこれらの組合せを含むことができ、Eは、例えばEが約2〜約200の平均値を有することができるなどの、本明細書に既に記載されている平均値を有することができる。
【0122】
さらに別の実施形態では、ポリシロキサン単位は、式XXIIb:
【化42】
により表されるポリジオルガノシロキサン単位を含むことができ、式中、R
2はそれぞれ、独立して、C
1〜30ヒドロカルビレン基またはC
2〜14ヒドロカルビレン基(例えば、二価C
1〜30アルキレン基またはC
7〜30アリーレン−アルキレン基など)とすることができ、RおよびEは、式XXIIにより表されるポリシロキサン単位に関して本明細書に既に記載されている。このような先のEおよびRの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式XXIIbにより表されるポリジオルガノシロキサン単位を記載することができる。本明細書における本開示の目的として、「E−1」とは「Eマイナス1」を指し、具体的に式に関して、ポリシロキサン単位中のSi単位の数はEに保存されることが意図され、ここで、1個のSiは角括弧の繰り返しの外側に置かれている。[(E−1)+1(角括弧の外側のSi)]=E
【0123】
R
2がC
7〜30アリーレン−アルキレン基である、式XXIIbの一実施形態では、ポリジオルガノシロキサン単位は、式XXIIb−1:
【化43】
によって表すことができ、式中、R
3はそれぞれ独立して、二価C
2〜8脂肪族基とすることができ、RおよびEは、式XXIIにより表されるポリシロキサン単位に関して、本明細書に既に記載されている。このような先のEおよびRの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式XXIIb−1により表されるポリジオルガノシロキサン単位を記載することができる。式XXIIb−1におけるMはそれぞれ、同一または異なることができ、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C
1〜8アルキルチオ基、C
1〜8アルキル基、C
1〜8アルコキシ基、C
2〜8アルケニル基、C
2〜8アルケニルオキシ基、C
3〜8シクロアルキル基、C
3〜8シクロアルコキシ基、C
6〜10アリール基、C
6〜10アリールオキシ基、C
7〜12アリールアルキル基、C
7〜12アリールアルコキシ基、C
7〜12アルキルアリール基またはC
7〜12アルキルアリールオキシ基とすることができ、nはそれぞれ独立して、0、1、2、3または4とすることができる。一実施形態では、Mは、ブロモまたはクロロ、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)またはアリール基(例えば、フェニル、クロロフェニル、トリル)とすることができ、R
3は、ジメチレン、トリメチレンまたはテトラメチレン基とすることができ、Rは、C
1〜8アルキル基、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロプロピル)、シアノアルキル基またはアリール基(例えば、フェニル、クロロフェニル、トリル)とすることができる。別の実施形態では、Rはメチル、メチルとトリフルオロプロピルとの組合せ、またはメチルとフェニルとの組合せとすることができる。さらに別の実施形態では、Mはメトキシとすることができ、nは0または1とすることができ、R
3は、二価C
1〜3脂肪族基とすることができ、Rはメチルとすることができる。
【0124】
一実施形態では、ポリシロキサン単位は、式XXIIb−2:
【化44】
により表されるオイゲノールによりキャップされているポリシロキサン単位とすることができ、式中、Eは、本明細書に既に記載されている平均値、あるいは約2〜約200、あるいは約2〜約100、あるいは約2〜約90、あるいは約2〜約80、あるいは約2〜約30、あるいは約20〜約100、またはあるいは約30〜約80を有することができる。
【0125】
別の実施形態では、ポリシロキサン単位は、式XXIIb−3または式XXIIb−4により表される、ポリシロキサン単位:
【化45】
を含むことができ、式中、Eは、本明細書に既に記載されている平均値、あるいは約2〜約200、あるいは約2〜約100、あるいは約2〜約90、あるいは約2〜約80、あるいは約2〜約30、あるいは約20〜100、またはあるいは約30〜約80を有することができる。
【0126】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ITR−PC−シロキサンコポリマーにおける式XXIIにより表されるポリシロキサン単位の相対量は、例えば、耐衝撃性、煙密度、放熱性および溶融粘度などの、コポリマー組成物(例えば、熱可塑性組成物)の所望の特性に依存する。一実施形態では、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、良好な耐衝撃性および/または透明度特性をもたらすことができるEの平均値を有するよう、ならびにコポリマー組成物中で、所望の重量%のシロキサン単位をもたらすよう、選択することができる。一実施形態では、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、シロキサン単位を、コポリマー組成物中のポリマーの総重量に対して、約0.3重量%〜約30重量%、あるいは約0.5重量%〜約25重量%、またはあるいは約0.5重量%〜約15重量%の量で含むことができ、該シロキサン単位は、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)のポリマー主鎖において共有結合しているポリシロキサン単位によってもたらすことができる。
【0127】
一実施形態では、ITR−PC−シロキサンコポリマーは、約1mol%〜約40mol%、またはあるいは約1mol%〜約20mol%のビスフェノール−Aカーボネート単位、約50mol%〜約95mol%の式XVIIIcにより表されるITRエステル単位、および約0.1重量%〜約10重量%のシロキサン単位をもたらすのに有効な量の式XXIIbにより表されるポリシロキサン単位を含むことができ、mol%は、コポリマー中の単位の総モル数に基づいており、重量%は、コポリマーの総重量に基づいている。
【0128】
一実施形態では、ITR−PC−シロキサンコポリマーは、約1mol%〜約40mol%、またはあるいは約1mol%〜約20mol%のビスフェノール−Aカーボネート単位、約50mol%〜約95mol%の式XVIIIcにより表されるITRエステル単位、および約0.1重量%〜約10重量%のシロキサン単位をもたらすのに有効な量の式XXIIb−1、式XXIIb−2、式XXIIb−3、式XXIIb−4により表されるポリシロキサン単位またはこれらの組合せを含むことができ、mol%は、コポリマー中の単位の総モル数に基づいており、重量%は、コポリマーの総重量に基づいている。一部の実施形態では、ポリシロキサン単位は、式XXIIb−1により表されるポリシロキサン単位を含むことができる。他の実施形態では、ポリシロキサン単位は、式XXIIb−2、式XXIIb−3、式XXIIb−4により表されるポリシロキサン単位、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0129】
一実施形態では、ITR−PC−シロキサンコポリマーは、約1mol%〜約40mol%、またはあるいは約1mol%〜約20mol%のビスフェノール−Aカーボネート単位、約50mol%〜約95mol%の式XVIIIcにより表されるITRエステル単位、および約0.1重量%〜約10重量%のシロキサン単位をもたらすのに有効な量の式XXIIb−2により表されるポリシロキサン単位を含むことができ、mol%は、コポリマー中の単位の総モル数に基づいており、重量%は、コポリマーの総重量に基づいている。
【0130】
一実施形態では、ITR−PC−シロキサンコポリマーは、約1mol%〜約20mol%のビスフェノール−Aカーボネート単位、約60mol%〜約90mol%の式XVIIIcにより表されるITRエステル単位、および約0.1重量%〜約10重量%のシロキサン単位をもたらすのに有効な量の式XXIIb−2、式XXIIb−3、式XXIIb−4により表されるポリシロキサン単位またはこれらの組合せを含むことができ、mol%は、コポリマー中の単位の総モル数に基づいており、重量%は、コポリマーの総重量に基づいている。
【0131】
一実施形態では、ITR−PC−シロキサンコポリマーは、約1mol%〜約20mol%のビスフェノール−Aカーボネート単位、約60mol%〜約90mol%の式XVIIIcにより表されるITRエステル単位、および約0.1重量%〜約10重量%のシロキサン単位をもたらすのに有効な量の式XXIIb−2により表されるポリシロキサン単位を含むことができ、mol%は、コポリマー中の単位の総モル数に基づいており、重量%は、コポリマーの総重量に基づいている。
【0132】
一実施形態では、PCは、界面重合および溶融重合などの方法により製造することができる。界面重合の反応条件は、さまざまとなることができるが、例示的な方法は、一般に、水性苛性ソーダまたは苛性カリ中に二価フェノール反応剤を溶解または分散させるステップ、得られた混合物を水混和性溶媒媒体に添加するステップ、およびpH条件の制御下、例えば、約pH8〜約pH12下で、三級アミンおよび/または相間移動触媒などの触媒の存在下で、上記反応剤をカーボネート前駆体に反応させるステップを含む。本開示における使用に好適な、水に非混和性の溶媒の非限定例には、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエンなど、またはこれらの組合せが含まれる。
【0133】
本開示における使用に好適なカーボネート前駆体の非限定例には、ハロゲン化カルボニル、臭化カルボニル、塩化カルボニル、ハロフォーメート、二価フェノールのビスハロフォーメート、ビスフェノールAのビスクロロフォーメート、ヒドロキノンのビスクロロフォーメート、グリコールのビスハロフォーメート、エチレングリコールのビスハロフォーメート、ネオペンチルグリコールのビスハロフォーメート、ポリエチレングリコールのビスハロフォーメートなど、またはこれらの組合せが含まれる。一実施形態では、カーボネート連結基を形成するための界面重合反応は、カーボネート前駆体としてホスゲンを使用することができ、ホスゲン化反応と呼ばれる。
【0134】
一実施形態では、三級アミンは、トリメチルアミン、トリブチルアミン、脂環式三級アミン、N,N−ジエチル−シクロヘキシルアミン、芳香族性三級アミン、N,N−ジメチルアニリンなど、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0135】
一実施形態では、相間移動触媒は、式(R
3)
4Q
+Xである触媒を含むことができ、R
3はそれぞれ、同一または異なることができ、R
3はそれぞれ、独立して、C
1〜10アルキル基とすることができ、Qは窒素またはリン原子とすることができ、Xは、ハロゲン原子、C
1〜8アルコキシ基またはC
6〜18アリールオキシ基とすることができる。本開示における使用に好適な相間移動触媒の非限定例は、[CH
3(CH
2)
3]
4NX、[CH
3(CH
2)
3]
4PX、[CH
3(CH
2)
5]
4NX、[CH
3(CH
2)
6]
4NX、[CH
3(CH
2)
4]
4NX、CH
3[CH
3(CH
2)
3]
3NXおよびCH
3[CH
3(CH
2)
2]
3NXを含み、Xは、Cl
−、Br
−、C
1〜8アルコキシ基またはC
6〜18アリールオキシ基とすることができる。一実施形態では、相間移動触媒は、ホスゲン化混合物中、ビスフェノールの重量に対して、約0.1重量%〜約10重量%、またはあるいは約0.5重量%〜約2重量%の有効量で使用することができる。
【0136】
代替的な実施形態では、溶融過程を使用して、ポリカーボネートを作製することができる。溶融重合は、回分法としてまたは連続法として、行うことができる。いずれの場合も、使用される溶融重合条件は、2つ以上の個別の反応段階、例えば、原料のジヒドロキシ芳香族化合物およびジアリールカーボネートがポリカーボネートオリゴマーに変換される第1の反応段階、および第1の反応段階において形成したポリカーボネートオリゴマーが高分子量ポリカーボネートに変換される第2の反応段階を含むことができる。このような「段階的」重合反応条件は、原料モノマーが第1の反応容器においてオリゴマー化され、第1の反応容器中で形成されたポリカーボネートオリゴマーが、1つまたは複数の下流の反応器に連続的に移送されて、この下流の反応器において、上記のポリカーボネートオリゴマーが高分子量ポリカーボネートに変換される、連続重合システムにおいて使用するのにとりわけ好適である。通常、オリゴマー化段階において生成するポリカーボネートオリゴマー(例えば、第1の反応段階)は、約1,000Da〜約7,500Daの数平均分子量(Mn)を特徴とすることができる。続く1つまたは複数の重合段階(例えば、第2の反応段階)では、ポリカーボネートのMnは、約8,000Da〜約25,000ダルトンまで高めることができる(ポリカーボネート標準品の使用により測定する)。一般に、Mnは、式2:
【数2】
に従って計算することができ、式中、N
iは、分子量M
iの分子数である。
【0137】
用語「溶融重合条件」は、エステル交換触媒の存在下で、ジヒドロキシ芳香族性化合物とジアリールカーボネートとの間の反応を行うのに必要な条件を意味することが理解される。通常、溶媒は、この方法では使用されず、反応剤(例えば、ジヒドロキシ芳香族化合物、ジアリールカーボネート)が溶融状態にある。一実施形態では、溶融重合中の反応温度は、約100℃〜約350℃、またはあるいは約180℃〜約310℃の範囲とすることができる。一実施形態では、溶融重合中の圧力は、反応の初期段階(例えば、第1の反応段階)では、大気圧、あるいは過圧、またはあるいはほぼ大気圧から約15torrとすることができ、後の段階では、減圧、例えば、約0.2torr〜約15torrとすることができる。一実施形態では、溶融重合中の反応時間は、約0.1時間〜約10時間とすることができる。
【0138】
一実施形態では、溶融(melp)重合に使用するのに好適なジアリールカーボネートエステルは、ジフェニルカーボネート、アリール基上に電子吸引性置換基を有する活性化ジフェニルカーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(メチルサリチル)カーボネート、ビス(4−メチルカルボキシルフェニル)カーボネート、ビス(2−アセチルフェニル)カルボキシレート、ビス(4−アセチルフェニル)カルボキシレートなど、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0139】
一実施形態では、ポリカーボネートの溶融重合に使用される触媒は、アルファ触媒またはベータ触媒を含む。ベータ触媒は、通常、揮発物であり、高温では分解する。したがって、ベータ触媒は、非常に低い温度での重合段階において使用するのが好ましい。アルファ触媒は、通常、熱的に一層安定であり、ベータ触媒ほど揮発性ではない。
【0140】
一実施形態では、アルファ触媒は、アルカリイオン源またはアルカリ土類イオン源を含むことができる。一実施形態では、アルカリイオンまたはアルカリ土類イオン源は、アルカリ金属水酸化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ土類水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、アルカリイオンまたはアルカリ土類イオン源は、カルボン酸の対応する塩(例えば、酢酸ナトリウム)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の誘導体(例えば、EDTA四ナトリウム塩、EDTAマグネシウム二ナトリウム塩)など、またはこれらの組合せをさらに含むことができる。本開示における使用に好適なアルファエステル交換反応触媒の非限定例は、非揮発性無機酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩、NaH
2PO
3、NaH
2PO
4、Na
2HPO
3、KH
2PO
4、CsH
2PO
4、Cs
2HPO
4;リン酸の混合塩、NaKHPO
4、CsNaHPO
4、CsKHPO
4など、またはこれらの組合せを含む。
【0141】
一実施形態では、ベータ触媒は、四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物など、またはこれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、四級アンモニウム化合物は、構造(R
4)
4N
+X
−により表される化合物とすることができ、R
4はそれぞれ、同一または異なることができ、R
4はそれぞれ独立して、C
1〜20アルキル基、C
4〜20シクロアルキル基またはC
4〜20アリール基とすることができ、X
−は、有機陰イオンまたは無機陰イオン、例えば、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、ギ酸イオン、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンとすることができる。本開示における使用に好適な有機四級アンモニウムの非限定例は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、ギ酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウムなど、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、四級アンモニウム化合物は、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む。一実施形態では、四級ホスホニウム化合物は、構造(R
5)
4P
+X
−により表される化合物とすることができ、R
5はそれぞれ独立して、C
1〜20アルキル基、C
4〜20シクロアルキル基またはC
4〜20アリール基とすることができ、X
−は、有機陰イオンまたは無機陰イオン、例えば、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、ギ酸イオン、炭酸イオンまたは炭酸水素イオンとすることができる。X
−が、炭酸イオンまたは硫酸イオンなどの多価陰イオンである場合、四級アンモニウムおよび/またはホスホニウム構造における正電荷および負電荷が適切にバランスがとられていることが理解される。例えば、R
4−R
5はそれぞれ、メチル基であり、X
−が炭酸イオンである場合、X
−は、2(CO
3−2)を表すものと理解される。本開示における使用に好適な有機四級ホスホニウム化合物の非限定例は、水酸化テトラメチルホスホニウム、酢酸テトラメチルホスホニウム、ギ酸テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム、酢酸テトラブチルホスホニウム(TBPA)、酢酸テトラフェニルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムフェノキシドなど、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、有機四級ホスホニウム化合物は、TBPAを含む。
【0142】
一実施形態では、使用されるアルファ触媒およびベータ触媒の量は、重合反応において使用されるジヒドロキシ化合物の総モル数に基づくことができる。重合反応において使用される、ベータ触媒(例えば、ホスホニウム塩)とすべてのジヒドロキシ化合物との比を言う場合、ジヒドロキシ化合物1モルあたりのホスホニウム塩のモル数を言うのが好都合であり、反応混合物に存在する、ホスホニウム塩のモル数を個々のジヒドロキシ化合物それぞれのモル数の合計により除算したものを意味する。一実施形態では、アルファ触媒は、使用されるジヒドロキシ化合物1モルあたり、約1×10
−2〜約1×10
−8、あるいは約1×10
−4〜約1×10
−7モルの金属をもたらすのに有効な量で使用することができる。一実施形態では、ベータ触媒(例えば、有機アンモニウム塩またはホスホニウム塩)の量は、反応混合物中のジヒドロキシ化合物の総モル数あたり、約1×10
−2〜約1×10
−5、あるいは約1×10
−3〜約1×10
−4モルとすることができる。
【0143】
一実施形態では、分岐状ポリカーボネートブロックは、重合中に分岐剤を添加することにより調製することができ、分岐剤は、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物およびハロホルミルから選択される官能基を少なくとも3つ含有する多官能性有機化合物を含むことができる。本開示における使用に好適な分岐剤の非限定例は、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、トリメリト酸トリクロリド、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビス−フェノール、トリス−フェノールTC(1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)−ベンゼン)、トリス−フェノールPA(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)アルファ、アルファ−ジメチルベンジル)フェノール)、4−クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸など、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、分岐剤は、ホスゲン化混合物の総重量に対して、約0.05重量%〜約5.0重量%の量でホスゲン化混合物に加えることができる。線状ポリカーボネートおよび分岐状ポリカーボネートを含む混合物を使用することができる。
【0144】
一実施形態では、すべてのタイプのポリカーボネート末端基が、ポリカーボネート組成物に有用なものとして企図されるが、但し、このような末端基は、該組成物の所望の特性に有意な悪影響を及ぼさない条件とする。一実施形態では、連鎖停止剤(キャップ剤とも呼ばれる)を重合中に含ませることができる。この連鎖停止剤は、分子量の成長速度を制限し、そうしてポリカーボネート中の分子量を制御する。一実施形態では、連鎖停止剤は、フェノール化合物、モノフェノール化合物、塩化モノカルボン酸、モノクロロフォーメート、これらの誘導体など、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0145】
連鎖停止剤として本開示における使用に好適なフェノール化合物の非限定例には、モノフェノール化合物、単環式フェノール、フェノール、C
1〜C
22アルキル置換フェノール、p−クミル−フェノール、p−および三級ブチルフェノール;ジフェノールのモノエーテル、p−メトキシフェノール;8〜9個の炭素原子を有する分岐鎖アルキル置換基を有するアルキル置換フェノール;モノフェノールUV吸収剤、4−置換−2−ヒドロキシベンゾフェノン;サリチル酸アリール;ジフェノールのモノエステル、モノ安息香酸レゾルシノール、2−(2−ヒドロキシアリール)−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシアリール)−1,3,5−トリアジン;その誘導体など、またはこれらの組合せが含まれる。
【0146】
連鎖停止剤として本開示における使用に好適なモノカルボン酸塩化物の非限定例には、単環式モノカルボン酸塩化物、塩化ベンゾイル、塩化C
1〜C
22アルキル置換ベンゾイル、塩化トルオイル、塩化ハロゲン置換ベンゾイル、塩化ブロモベンゾイル、塩化シンナモイル、塩化4−ナジミドベンゾイル;多環式モノカルボン酸塩化物、トリメリト酸無水物クロリド、塩化ナフトイル;単環式と多環式モノカルボン酸塩化物との組合せ;22個以下の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸の塩化物;官能基化脂肪族モノカルボン酸の塩化物、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル;モノクロロフォーメート、単環式モノクロロフォーメート、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸のアルキル置換フェニルエステル、クロロギ酸p−クミルフェニル、クロロギ酸トルエン;これらの誘導体など、またはこれらの組合せが含まれる。
【0147】
一実施形態では、ポリカーボネートは、本明細書に既に記載されている単位を含む分岐ポリカーボネートとすることができ、ポリカーボネートの総モル数に対して、約3mol%以上の部分が分岐剤から誘導され得、末端キャッピング基は、約8.3〜約11のPkaを有する末端キャッピング剤から誘導することができる。このような実施形態では、分岐剤は、トリメリト酸トリクロリド、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、またはこれらの組合せを含むことができ、末端封鎖薬剤は、フェノール、シアノ基、脂肪族基、オレフィン基、芳香族基、ハロゲン、エステル基、エーテル基などの置換基を含有するフェノール、またはこれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、末端封鎖薬剤は、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−メトキシフェノール、p−シアノフェノール、p−クミルフェノールなど、またはこれらの組合せを含む。
【0148】
一実施形態では、ポリ(カーボネート−シロキサン)コポリマーは、任意の好適な方法により製造することができる。ポリ(カーボネート−シロキサン)コポリマーを調製する方法は、それらのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許文献4および特許文献5により詳細に記載されている。
【0149】
一実施形態では、ITR−PC−シロキサンコポリマーは、任意の好適な方法により製造することができる。一実施形態では、アリレートエステル単位を含むポリカーボネートコポリマーは、一般に、ポリエステルブロックから調製することができ、ポリエステルブロックは、本明細書に既に記載されている界面重合により調製することができる。しかし、ジカルボン酸またはジオールそれ自体を利用するよりも、対応する酸ハロゲン化物、特に酸二塩化物および酸二臭化物などの酸またはジオールの反応性誘導体を使用することができる。例えば、イソフタル酸、テレフタル酸またはこれらの組合せを使用する代わりに、二塩化イソフタロイル、二塩化テレフタロイルまたはこれらの組合せを使用することができる。ポリエステルはまた、上記の溶融法の縮合(例えば、溶融重合)により、溶液相縮合により、またはエステル交換重合により得ることもでき、例えば、テレフタル酸ジメチルなどのジアルキルエステルは、酸触媒作用を使用して、ジヒドロキシ反応剤とエステル交換させて、ポリエステルブロックを生成することができる。分岐剤(例えば、3つ以上のヒドロキシル基を有するグリコール;三官能性または多官能性カルボン酸)が組み込まれる、分岐状ポリエステルブロックを使用することができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、組成物の最終使用に応じて、ポリエステルブロック上に酸およびヒドロキシル末端基を様々な濃度で有するのが望ましいものとなり得る。
【0150】
一実施形態では、アリレートエステル単位を含むポリカーボネートコポリマーは、ポリカーボネート標準品を用いて較正した架橋スチレン−ジビニルベンゼンカラムを使用するGPCによる測定すると、約2,000Da〜約100,000Da、あるいは約3,000Da〜約75,000Da、あるいは約4,000Da〜約50,000Da、あるいは約5,000Da〜約35,000Da、またはあるいは約17,000Da〜約30,000DaのMwを有することができる。GPC試料は、1ミリリットル(mg/ml)あたり1ミリグラムの濃度で調製し、1.0ml/分の流速で溶出した。
【0151】
一実施形態では、ポリカーボネートコポリマーは、25℃においてクロロホルム中で測定すると、約0.3dl/g〜約1.5dl/g、あるいは約0.4dl/g〜約1.25dl/g、またはあるいは約0.45dl/g〜約1.0dl/gの固有粘度を特徴とすることができる。
【0152】
一実施形態では、ポリ(カーボネート−シロキサン)は、1.2kgの重量負荷下、300℃においてASTM D1238に準拠して測定すると、10分あたり約1立方センチメートル(cc/10分)〜約50cc/10分、あるいは約1.5cc/10分〜約40cc/10分、またはあるいは約2cc/10分〜約30cc/10分のメルトボリュームフローレートを特徴とすることができる。
【0153】
一実施形態では、ポリカーボネートは、例えば、LEXAN FST樹脂、LEXAN FST3403樹脂、LEXAN FST9705樹脂など、またはこれらの組合せなどの市販のポリカーボネートを含む。LEXAN FST樹脂は、優れた難燃性能、煙性能および毒性能をもたらすポリカーボネート(PC)コポリマーである。LEXAN FST3403樹脂は、射出成形に好適な高流動性PCコポリマー樹脂である。LEXAN FST9705樹脂は、高粘度PCエステルであり、SABIC Innovative Plasticsから市販されている。
【0154】
一実施形態では、ポリカーボネートは、キャパシターフィルム用ポリマー組成物内に、該キャパシターフィルム用ポリマー組成物の総重量に対して、約0.1重量パーセント(重量%)〜約99.9重量%、あるいは約1重量%〜約99重量%、あるいは約10重量%〜約90重量%、あるいは約25重量%〜約75重量%、あるいは約40重量%〜約60重量%、またはあるいは約45重量%〜約55重量%、あるいは約0.1重量%〜約50重量%、あるいは約1重量%〜約50重量%、あるいは約10重量%〜約50重量%、またはあるいは約25重量%〜約50重量%の量で存在することができる。一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、約50重量%のポリカーボネートを含む。
【0155】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、例えば、安定剤(例えば、抗酸化剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線(UV)吸収添加剤、消光剤、可塑剤、滑沢剤、潤滑油、帯電防止剤、難燃剤、抗ドリップ剤、照射安定剤、フルオロポリマー、顔料、色素、微粒子フィラー、ガラス、炭素繊維、雲母、タルク、追加のポリマー(例えば、アモルファスポリマー)、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、脂肪酸、シロキサン、ワックスなど、またはこれらの組合せなどの、ポリマー組成物の1つまたは複数の特性を改善するための添加剤をさらに含む。このような実施形態では、添加剤は、組成物の重量基準でフッ素が約10重量%を超えないよう、シリコーンが約5,000ppmを超えないよう、または他には、ポリマー組成物の所望の特性に有意に悪影響を及ぼさないよう、選択され得る。一実施形態では、添加剤は、約250Da未満の分子量を有する化合物を約1,000ppm未満もたらす量で、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中に存在することができる。
【0156】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、例えば、リン含有安定剤、有機リン化合物、二官能性リン含有化合物、ホスファイト、トリアリールホスファイト、ホスホナイト、アリールスルホネート、立体障害フェノールなど、またはこれらの組合せなどの抗酸化剤を含むことができる。他の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、安定剤、例えば、リン含有安定剤を含まない。一実施形態では、リン含有安定剤は、約300Da以上の重量平均分子量を特徴とすることができる。
【0157】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、2種以上のリン含有安定剤を含むことができる。このような実施形態では、リン含有安定剤は、同一タイプまたは異なるタイプとすることができる。例えば、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、2種のホスファイト、または1種のホスファイトと1種のホスホナイトを含むことができる。
【0158】
本開示における使用に好適なホスファイトおよびホスホナイトの非限定例は、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリトリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリス(tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル) 4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト]、2−エチルヘキシル(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト、5−ブチル−5−エチル−2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノキシ)−1,3,2−ジオキサホスフィラン、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニルジホスホナイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(PEPQ)など、またはこれらの組合せを含む。
【0159】
一実施形態では、リン含有安定剤は、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総重量に対して、約0.005重量%〜約3重量%、またはあるいは約0.01重量%〜約1.0重量%の量で存在することができる。
【0160】
一実施形態では、リン含有安定剤は、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総重量に対して、約0重量%〜約2重量%、あるいは約0重量%〜約1.0重量%、またはあるいは約0.5重量%〜約1.0重量%の量で存在することができ、リン含有安定剤は、約500Da以上の重量平均分子量を特徴とすることができる。
【0161】
一実施形態では、リン含有安定剤は、IRGAPHOS168を含み、これは、Ciba Chemical Co.から市販の、トリス−ジ−tert−ブチルフェニルホスファイトである。一実施形態では、リン含有安定剤は、DOVERPHOS S−9228を含み、これは、Dover Chemical Co.から市販されている。
【0162】
一実施形態では、抗酸化剤は、例えばアルキル化モノフェノール、アルキル化ビスフェノール、ポリフェノールなど、またはこれらの組合せなどの立体障害フェノールを含む。
【0163】
本開示における使用に好適なアルキル化モノフェノールの非限定例は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール;2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール;2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール;2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール;2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール;側鎖が直鎖または分岐状であるノニルフェノール;2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール;2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール;2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール;2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノールなど、またはこれらの組合せを含む。
【0164】
本開示における使用に好適なアルキリデンビスフェノールの非限定例は、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)−フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α、α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンなど、またはこれらの組合せを含む。
【0165】
一実施形態では、立体障害フェノールは、約300Da以上の分子量を特徴とすることができる。このような実施形態では、立体障害フェノールの分子量は、例えば、約300℃以上の温度などの、高い加工温度において、ポリマー溶融物中に立体障害フェノール部分を保持する一助となり得る。
【0166】
一実施形態では、立体障害フェノールは、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総重量に対して、約0.005重量%〜約2重量%、またはあるいは約0.01重量%〜約1.0重量%の量で存在することができる。
【0167】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、該組成物の特性、例えば、比誘電率、熱膨張係数などを調節するために、1種または複数の微粒子フィラーを含むことができる。他の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、微粒子フィラーを含まない。
【0168】
本開示における使用に好適な微粒子フィラーの非限定例には、シリカ粉末、ヒューズドシリカ、結晶性シリカ;窒化ホウ素粉末、ホウ素−シリケート粉末;アルミナ、酸化マグネシウム(マグネシア);シリケートスフィア(silicate sphere);粉塵;セノスフェア;アルミノシリケート(アルモスフェア(armosphere));天然ケイ砂;石英;珪岩;酸化チタン、チタン酸バリウム、バリウムストロンチウム、五酸化タンタル、トリポリ;珪藻土;合成シリカなど;またはこれらの組合せが含まれる。一実施形態では、微粒子フィラーは、シランにより表面処理されて、ポリマー組成物との接着性および分散性が改善され得る。
【0169】
一実施形態では、微粒子フィラーは、所望の物理特性をもたらすのに有効な量で、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中に存在することができる。一実施形態では、微粒子フィラーは、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総体積に対して、約0.1体積%〜約50体積%、あるいは約0.1体積%〜約40体積%、あるいは約5体積%〜約30体積%、あるいは約5体積%〜約20体積%の量で存在することができる。
【0170】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、少なくとも1つの追加のポリマーをさらに含むことができ、該追加のポリマーは、フッ素またはケイ素を該組成物の総重量に対して、約10重量%を超えてもたらさないよう、または他には該組成物の所望の特性に有意に悪影響を及ぼさないよう、選択される。
【0171】
本開示における使用に好適な追加のアモルファスポリマーの非限定例には、ポリ(フェニレンスルホン)、ポリ(スルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリカーボネート、ポリエーテルイミドシロキサンなど、これらのブレンド、これらのコポリマー、またはこれらの組合せが含まれる。
【0172】
一実施形態では、追加のポリマーは、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総重量に対して、約0重量%〜約12重量%、あるいは約0.1重量%〜約10重量%、またはあるいは約0.5重量%〜約5重量%の量で存在することができる。
【0173】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、約200℃を超える温度用途において使用するよう意図されている組成物の場合、例えば、フルオロ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)などのフルオロポリマー、および約200℃未満の温度用途において使用するよう意図されているキャパシターフィルムの摩擦係数を低下させるため、滑りを改善するためおよびキャパシターフィルムの加工の一助とするためのフィラーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)およびポリ(エテン−co−テトラフルオロエテン)(ETFE)をさらに含むことができる。
【0174】
一実施形態では、添加剤(いかなるフィラーも除外する)は、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総重量に対して、約0.005重量%〜約20重量%、またはあるいは約0.01重量%〜約10重量%の量で存在することができる。
【0175】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート、ならびに任意の任意選択の添加剤を合わせると(例えば、接触、ブレンド、混合など)、任意の好適な混合手段を使用することによって、キャパシターフィルム用ポリマー組成物を得ることができる。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート、ならびに任意の任意選択の添加剤は、緊密なブレンドを形成するための条件下で合わせることができ、このような条件は、一軸または二軸押出機、混合ボウル、または一緒に合わされる構成成分にせん断を適用することができる類似の混合装置もしくはブレンド装置での溶融混合を含むことができる。一部の実施形態では、二軸押出機は、一軸押出機よりも、二軸押出機の方が一層の強力な混合能力および自己拭き取り能力があるために好ましいものとなり得る。
【0176】
一実施形態では、押出機における少なくとも1つの通気導入口からブレンド組成物に真空を適用して、該組成物中の揮発性不純物を除去することが有利となり得る。一実施形態では、溶融前に、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート、ならびに任意の任意選択の添加剤を乾燥する(例えば、できる限り水が含まれない)のが有利となり得る。
【0177】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物の溶融加工は、ブレンドされていない構成成分を何も含まない緊密なポリマー混合物を得るのに十分な溶融を依然として可能にしながら、ポリマーの過剰分解を回避するため、約290℃〜約360℃の温度で行うことができる。一実施形態では、コンパウンディングは、機械中のポリマー組成物の滞留時間が短く、温度が慎重に制御され得、かつ摩擦熱が利用されて、その結果、構成成分間の緊密なブレンドを得ることができるのを確実とするよう実施することができる。
【0178】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物はまた、例えば、約1ミクロン〜約100ミクロン、あるいは約25ミクロン〜約100ミクロン、またはあるいは約40ミクロン〜約100ミクロンの細孔サイズまたはアパーチャーサイズを有するポリマーキャンドルフィルターまたはスクリーンフィルターなどの、任意の好適なポリマーフィルター装置を使用して溶融ろ過を行い、望ましくない黒色小片(black speck)または他の不均一な汚染物質、例えば、約1ミクロン超の直径を有する任意の粒子を除去することもできる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ろ過装置が、例えば、1ミクロンの細孔サイズまたはアパーチャーサイズを有する場合、このようなろ過装置は、1ミクロン以上のサイズの固体粒子のすべてを留め、1ミクロン未満のサイズを有する固体粒子を通過させる。さらに、当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、除去することができる固体粒子のサイズは、ろ過装置の細孔サイズまたはアパーチャーサイズに関して言及されたものであり、このような固体粒子の形状および関連する物理寸法に関するものではない。
【0179】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート、ならびに任意の任意選択の添加剤は、押出成形コンパウンダーに入れて、連続した糸状のものを製造し、これを冷却して、次にペレット(例えば、押出成形ペレット)に切断することができる。別の実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート、ならびに任意の任意選択の添加剤は、乾式ブレンドにより混合して、次に、ミルで流体にして粉砕または押出成形し、ペレットに切断することができる。さらに別の実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート、ならびに任意の任意選択の添加剤はまた、本明細書の後でより詳細に記載されている通り、混合して、直接、押出成形し、フィルムを形成することができる。さらに別の実施形態では、ポリマー組成物のペレットは溶融されて、次に、押出成形されてフィルムを形成することができる。
【0180】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、混和性ポリマーブレンドを含み、該ポリマー組成物は、示差走査熱量測定(DSC)により測定すると、約125℃〜約250℃、あるいは約130℃〜約240℃、あるいは約135℃〜約230℃、あるいは約150℃〜約220℃、またはあるいは約160℃〜約210℃、あるいは約170℃以上、あるいは約180℃以上、あるいは約190℃以上、あるいは約200℃以上、あるいは約210℃以上、またはあるいは約220℃以上のガラス転移温度(Tg)が1つあることを特徴とすることができる。
【0181】
一般に、混和性ポリマーブレンドは、2種以上のポリマーからなる混合物を指し、この場合、この混合ポリマーは、一緒に溶融すると、一相(例えば、1つのポリマーとして挙動する)として挙動する、すなわち、この混合ポリマーは1つのTgを示す。対照的に、非混和性ポリマーブレンドは、2種以上のポリマーからなる混合物を指し、この混合ポリマーは、一緒に溶融すると、相分離する、すなわち、この混合ポリマーは2つ以上のTgを示す。例えば、2つの混和性ポリマーの場合、一緒に混合すると、これらのポリマーは相分離し、これらの相は分散することができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、2つのポリマーが一緒に混合された場合、2つのポリマーの場合、これらのポリマーが混和性となって、混和性ポリマーブレンドを形成することができる、ある種の混合比のみ存在する。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびに本明細書において開示されているポリマーカーボネートは、任意の比で混合されて、混和性ポリマーブレンドを形成することができる。さらに、本明細書において開示されているポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンは、任意の比で混合されて、混和性ポリマーブレンドを形成することができる。
【0182】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、押出成形ペレットの外観を特徴とすることができ、この押出成形ペレットの外観は透明(例えば、曇りがない)である。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、2つの透明なポリマーがブレンドされた場合、得られたブレンドの外観は、これらのポリマーの混和性に依存する。一般に、2つの透明なポリマーが混合されて、混和性ポリマーブレンドが形成される場合、この混和性ポリマーブレンドは透明となり得る。さらに、2つの透明なポリマーが混合されて、非混和性ポリマーブレンドが形成された場合、この非混和性ポリマーブレンドは、該ポリマーが相分離するので、不透明で、濁りがある非透明なものとなり得る。
【0183】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、約1.25〜約1.35、あるいは約1.27〜約1.33、またはあるいは約1.28〜約1.31の比重であることを特徴とすることができる。一般に、比重は、水の密度に対する物質の密度の比を表し、この場合、物質の密度および水の密度は、同じ温度で測定される。ポリマーの密度は、一般に、g/ccで表され、ASTM D1505に準拠して決定することができる。
【0184】
一実施形態では、本明細書において開示されているポリカーボネートは、本明細書において開示されているポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの比重と比べて、比較的高い比重を有することができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、キャパシターフィルム用ポリマー組成物の比重は、対応するポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンそれ自体の比重よりも高く、ひいては、ブレンド(例えば、キャパシターフィルム用ポリマー組成物)内の自由体積を低下させ、その結果、電気性能を向上させる。さらに、当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、物質における自由体積は、このような物質から製造された誘電性フィルムにおける公知の故障機構である。一般に、物質の自由体積は、所与の分子が自由に動き回る物質内の体積と見なされる。
【0185】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、100sec
−1の粘度と5,000sec
−1の粘度の比が、約1〜約10、あるいは約2〜約9、またはあるいは約2.5〜約8.5であることを特徴とすることができる。
【0186】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、6.7キログラム(kg)の重量負荷下、295℃〜337℃においてASTM D1238に準拠して測定すると、10分あたり約1立方センチメートル(cc)(cc/10分)〜約40cc/10分、あるいは約2.5cc/10分〜約35cc/10分、あるいは約4.5cc/10分〜約13cc/10分、またはあるいは約20cc/10分〜約37cc/10分のメルトボリュームレートであることを特徴とすることができる。
【0187】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約100℃〜約225℃、あるいは約110℃〜約215℃、あるいは約115℃〜約200℃、あるいは約150℃以上、あるいは約160℃以上、あるいは約170℃以上、あるいは約180℃以上、あるいは約190℃以上、またはあるいは約200℃以上の熱変形温度または熱たわみ温度(HDT)を特徴とすることができる。物質のHDTは、一般に、この物質が特定されている負荷の元で変形する温度を指す。
【0188】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、フラットダイを使用する熱可塑性組成物に慣用的に使用されている押出機を使用して、押出成形することができる。一般に、押出キャストフィルム法は、押出機中でポリマー組成物を溶融して、溶融ポリマーを形成するステップ;小さなリップ間隔分離のフラットダイに該溶融ポリマーを運搬して、フィルム(例えば、押出成形フィルム)を形成するステップ;巻き取りローラー上に該フィルムを引っ張り、このフィルムを比較的高い巻き取り速度で延伸するステップ;およびフィルム中のポリマーの冷却/固化により、最終フィルムを形成するステップを含む。押出機は、一軸または二軸設計とすることができ、溶融ポンプも使用して、ダイを通るポリマーが一定の非脈動流をもたらすよう使用することができる。一実施形態では、ダイは、約100ミクロン〜約200ミクロンのダイリップ間隔を特徴とすることができる。一実施形態では、巻き取りローラーは、最大約200m/分の速度(例えば、巻き取り速度)で運転することができる。キャパシターフィルムは、フラットダイを通って押出成形することができ、フィルムが巻き取りローラーに引っ張られるにつれて、フィルムが、フィルムの移動方向に延伸されて(例えば、一軸延伸)、一軸延伸キャパシターフィルムを形成することができる。一実施形態では、押出機の設計はまた、フィルムを焼き戻し/アニーリングするために加熱ロールを追加して含み、こうして凍結した内部応力の発生を最小化することもできる。フィルムの縁を切りそろえ、このフィルムを張力制御式巻き取り機構を使用するロール上に巻き取ることができる。
【0189】
一部の実施形態では、市販の官能基化フィラーおよび/または実験的に官能基化されたフィラーが、ポリマー組成物中で均一に分散されて(例えば、ポリマー組成物にコンパウンドされて)、コンポジット材料を形成し、その後、該コンポジット材料を薄化フィルムに延伸することができる。このような実施形態では、ポリマー組成物にフィラーをコンパウンドして均一な分散液を得るのは、個別の押出機で、またはあるいはポリマーの溶融を行うために使用される同じ押出機で行った後、フィルムに延伸することができる。一実施形態では、ポリマー組成物にフィラーをコンパウンドするのは、ポリマーの溶融を行うために使用される同じ押出機で行った後、フィルムに延伸することができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、溶融ポリマーをダイに一定かつ均一な流れで正確に送り込むこと、フィルムを作製するために使用されるポリマーのレオロジー特性、ポリマー組成物と装置の両方が汚れていないこと、および巻き取り機構の機械的特性が、比較的小さな厚さ(例えば、約20ミクロン未満)を有する押出成形フィルムを首尾良く調製するのに寄与する。
【0190】
一実施形態では、押出キャストフィルム法を一段階法とすることができ、より大きなサイズの装置にまで規模を変えることが可能であり、いかなる溶媒の使用も必要としない。比較的高い分子量および/または高いガラス転移温度のポリマーの例でさえも、この押出成形法(例えば、押出キャストフィルム法)は、ポリマー組成物の熱的または機械的分解を引き起こす恐れがある過剰温度をもたらさない、ポリマーの環境を実現するよう、適切に設計され得る。一実施形態では、溶融ポリマー用のろ過装置の使用により、ゲルおよび黒色小片などの汚染物質を実質的に含まないフィルムを生成することができ、これらの汚染物質は、溶融ポリマーから適切に除去されない場合、得られるフィルムの絶縁性能に害をなす恐れがある。一実施形態では、押出キャストフィルム法によって生成されたフィルムは、フィルムの幅全体に均一な厚さの薄化フィルム(例えば、厚さが約50ミクロン未満、および一層薄い)、しわまたは表面の波打ちがほとんどなく平坦である(例えば、滑らか、しわのないなど)、および汚染物質混入が比較的ないものとすることができる。
【0191】
一実施形態では、溶融ポリマーは、溶融ポンプを使用して、フラットダイに運ぶことができる。一実施形態では、フィルムは、約250℃〜約500℃、またはあるいは約300℃〜約450℃の温度で押出成形することができる。一実施形態では、押出成形フィルムは、一軸延伸されて、誘電性フィルム基材を生成することができる。
【0192】
一実施形態では、キャパシターフィルムの形成は、キャパシターフィルム用ポリマー組成物の構成成分を合わせ、溶融し、緊密に混合して溶融ポリマーを形成するステップ、該溶融ポリマーをろ過して約1マイクロメートル超の粒子を除去し、ろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、該ろ過済み溶融ポリマーを約250℃〜約500℃、またはあるいは約275℃〜約400℃の温度でフラットダイに通して押出成形し、押出成形フィルムを形成するステップ、および該押出成形フィルムを一軸延伸して、誘電性フィルム基材(例えば、キャパシターフィルム、一軸延伸キャパシターフィルム)を形成するステップを含む。延伸後、このキャパシターフィルムは、本明細書の後でより詳細に記載される通り、金属化する、または保管もしくは輸送するために、巻き取りロールに巻き付けることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、キャパシターフィルムの組成物および製造方法は、所望の性能特性、特に電気特性を実現するために、さまざまとすることができる。
【0193】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、約10メートル以上、あるいは約100メートル超、またはあるいは約10,000メートル超のフィルム長さを有することができる。一実施形態では、キャパシターフィルムは、約300mm以上、あるいは約300mm超、またはあるいは約3,000mm超のフィルム幅を有することができる。
【0194】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、フィルムが押出成形され得る速度は、さまざまとなり得る。一実施形態では、キャパシターフィルムが押出成形され得る速度は、約10lbs/時(4.5kg/時)〜約1000lbs/時(500kg/時)とすることができる。
【0195】
一実施形態では、巻き取り速度(例えば、キャパシターフィルムが押出機のダイプレートから引き出すことができる速度)は、約10メートル/分(m/分)〜約300m/分、あるいは約50m/分〜約275m/分、またはあるいは約100m/分〜約250m/分の範囲とすることができる。
【0196】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、高収率押出成形フィルムを含み、該キャパシターフィルム(例えば、高収率押出成形キャパシターフィルム)は、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して(例えば、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中に存在している、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンおよびポリカーボネートの総重量)、例えば、押出成形前のキャパシターフィルム用ポリマー組成物中に存在している、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンおよびポリカーボネートの、約90重量%以上、あるいは約92重量%超、あるいは約94重量%超、あるいは約96重量%超、またはあるいは約98重量%超を含む。一実施形態では、キャパシターフィルムは、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを含む。
【0197】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、例えば第1のフィルム面および第2のフィルム面などの、2つの面(例えば、2つの対向する面)を有する。一実施形態では、キャパシターフィルムの少なくとも一方の面(例えば、第1のフィルム面、第2のフィルム面)は、金属化され得、金属層は、フィルムの少なくとも一部に堆積されて、金属化キャパシターフィルムを得ることができる。一実施形態では、キャパシターフィルムは、キャパシターフィルムの少なくとも一方の面(例えば、第1のフィルム面、第2のフィルム面)の少なくとも一部分が金属化され得、キャパシターフィルムの少なくとも一方の面は、滑らかな面とすることができる。一般に、キャパシターフィルムの滑らかな面は、本明細書の後でより詳細に記載されている通り、光学式形状測定法によって決定すると、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する面を指す。
【0198】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、フィルムの所期の使用に応じて、様々な金属が、キャパシターフィルムを金属化するために使用され得る。本開示における使用に好適な金属(例えば、導電性金属)の非限定例には、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、亜鉛、チタン、クロム、バナジウム、タンタル、ニオブ、黄銅など、またはこれらの組合せが含まれる。
【0199】
一実施形態では、ポリマー組成物を含むキャパシターフィルムの金属化の方法は、真空金属蒸着、高温真空蒸着、化学蒸着、原子層堆積、金属スパッタリング、プラズマ処理、電子ビーム処理、化学的酸化反応または還元反応、無電解湿式化学蒸着など、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、キャパシターフィルムは、無電解めっきにより両面が金属化され得る。別の実施形態では、パターン化された金属層が、例えば、インクジェット印刷により、キャパシターフィルムの表面に形成され得る。
【0200】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、金属層の厚さは、金属化フィルムの所期の使用によって決定される。一実施形態では、キャパシターフィルム上で堆積される金属層は、約1オングストローム〜約1,000ナノメートル、あるいは約1オングストローム〜約500ナノメートル、あるいは約1オングストローム〜約10ナノメートル、あるいは約1オングストローム〜約3,000オングストローム、あるいは約1オングストローム〜約2,820オングストローム、あるいは約1オングストローム〜約2,000オングストローム、またはあるいは約1オングストローム〜約1,000オングストロームの金属層の厚さであることを特徴とすることができる。
【0201】
一実施形態では、キャパシターフィルム上に堆積させた金属層は、導電性金属を含む。このような実施形態では、金属層は、ASTM D257に準拠して測定すると、金属層の抵抗率が、約0.1〜約1,000オーム/スクエア、あるいは約0.1〜約500オーム/スクエア、またはあるいは約0.1〜約100オーム/スクエアであることを特徴とすることができる。
【0202】
一実施形態では、金属化されることになるキャパシターフィルムの表面は、例えば、金属層の粘着性を増強するため、前処理され得る。本開示における使用に好適なフィルムの前処理法の非限定例は、洗浄、火炎処理、プラズマ放電、コロナ放電など、またはこれらの組合せを含む。
【0203】
一実施形態では、1つまたは複数の付加の層が、金属層上に、例えば、クリアコート(例えば、耐ひっかき性をもたらすよう、ポリ(メタクリル酸メチル)および/またはポリ(メタクリル酸エチル))および/またはポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルイミドスルホン、ポリカーボネート、またはこれらの組合せ)のフィルムの別の層に堆積させて、ラミネートを形成することができる。
【0204】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、示差走査熱量測定(DSC)により測定すると、約125℃〜約250℃、あるいは約130℃〜約240℃、あるいは約135℃〜約230℃、あるいは約150℃〜約220℃、あるいは約160℃〜約210℃、あるいは約170℃以上、あるいは約180℃以上、あるいは約190℃以上、あるいは約200℃以上、あるいは約210℃以上、またはあるいは約220℃以上のTg(例えば、1つのTg)であることを特徴とすることができる。
【0205】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、それぞれ、キャパシターフィルムの1つのガラス転移温度をもたらすのに有効な量で、キャパシターフィルム用ポリマー組成物(例えば、混和性ポリマーブレンド)中に存在することができる。
【0206】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、透明(例えば、曇りがない)であるフィルムの外観を特徴とすることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、フィルムが透明な混和性ポリマーブレンドから調製される場合、得られたフィルムの外観は透明となり得る。フィルムの外観は、フィルム表面の目視検査によって評価することができる。
【0207】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、それぞれ、混和性ポリマーブレンドをもたらすのに有効な量で、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中に存在することができる。
【0208】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約100℃〜約225℃、あるいは約110℃〜約215℃、あるいは約115℃〜約200℃、あるいは約150℃以上、あるいは約160℃以上、あるいは約170℃以上、あるいは約180℃以上、あるいは約190℃以上、またはあるいは約200℃以上のHDTであることを特徴とすることができる。
【0209】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、1kHz、23℃および50%相対湿度(RH)において誘電分光分析により測定すると、約0%〜約2%、あるいは約0.1%〜約1.5%、あるいは約0.1%〜約1%、またはあるいは約0.1%〜約0.5%の誘電正接(Df)であることを特徴とすることができる。Dfはまた、損率または誘電損率とも称することができ、一般に、誘電体による熱としての消散力を指す。Dfは、ASTM D150に準拠して測定することができる。RHは、一般に、所与の温度における水蒸気の分圧と平衡水蒸気圧との比として定義することができる。
【0210】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、1kHz、23℃および50%RHにおいて誘電分光分析により測定すると、約0%〜約1%、あるいは約0.1%〜約0.75%、またはあるいは約0.1%〜約0.5%の誘電正接(Df)であることを特徴とすることができる。
【0211】
一実施形態では、キャパシターフィルムのDfは、温度の上昇につれて、本質的に変化しないままであり得、例えば、温度の上昇または低下によるいかなるDfの変化も、このようなキャパシターフィルムを含むキャパシターの物理特性および/または電気特性に悪影響を及ぼして干渉することはない。一実施形態では、キャパシターフィルムのDfは、約0℃〜約200℃、あるいは約0℃〜約185℃、あるいは約0℃〜約175℃、あるいは約0℃〜約170℃、またはあるいは約0℃〜約150℃の温度では、本質的に変化しないままである。
【0212】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、1kHz、23℃および50%RHにおいてASTM D150に準拠して測定すると、約2〜約5、あるいは約3〜約5、あるいは約2.5〜約4.5、またはあるいは約3〜約4の比誘電率(Dk)であることを特徴とすることができる。一般に、Dkは、キャパシター誘電体として使用する場合、電荷を貯蔵する物質の能力を指す。Dkは、比で測定されるので、無次元値である。
【0213】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、キャパシターフィルムを生成するために使用されるポリマー組成物のTgまで、あるいはキャパシターフィルムを生成するために使用されるポリマー組成物のTgより約10℃低い温度まで、またはあるいはキャパシターフィルムを生成するために使用されるポリマー組成物のTgより約20℃低い温度まで、安定なDk値であることを特徴とすることができる。一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、約250℃まで、約240℃まで、あるいは約230℃まで、あるいは約220℃まで、あるいは約210℃まで、あるいは約200℃まで、あるいは約190℃まで、あるいは約180℃まで、あるいは約175℃まで、あるいは約170℃まで、またはあるいは約150℃まで、安定なDk値であることを特徴とすることができる。
【0214】
一実施形態では、キャパシターフィルムのDkは、温度の向上につれて、本質的に変化しないままであり得、例えば、温度の上昇または低下によるいかなるDkの変化も、このようなキャパシターフィルムを含むキャパシターの物理特性および/または電気特性に悪影響を及ぼして干渉することはない。一実施形態では、キャパシターフィルムのDkは、約0℃〜約200℃、あるいは約0℃〜約185℃、あるいは約0℃〜約175℃、あるいは約0℃〜約170℃、またはあるいは約0℃〜約150℃の温度では、本質的に変化しないままである。一部の実施形態では、キャパシターフィルムのDkは、約0℃からキャパシターフィルムを生成するために使用されるポリマー組成物のおよそのTgまでの温度範囲内、またはあるいは約0℃〜約200℃、あるいは約0℃〜約190℃、あるいは約0℃〜約170℃、またはあるいは約0℃〜約150℃の温度範囲内の最高のDk値に対して、約20%未満、あるいは約10%未満、またはあるいは約10%未満まで変動し得る。
【0215】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、しわのない少なくとも1つの領域(例えば、しわのない領域)があることを特徴とすることができ、しわのない領域は、十分に平坦で滑らかであり、その結果、キャパシターフィルムの表面が金属化されて、この金属化フィルムは、有利には、一貫した表面モルホロジーを有する。
【0216】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、約50ミクロン未満、あるいは約40ミクロン未満、あるいは約30ミクロン未満、あるいは約20ミクロン未満、あるいは約15ミクロン未満、またはあるいは約10ミクロン未満のフィルム厚さであることを特徴とすることができる。一実施形態では、キャパシターフィルムは、約0.1ミクロン〜約50ミクロン、あるいは約0.1ミクロン〜約20ミクロン、あるいは約0.1ミクロン〜約15ミクロン、あるいは約0.1ミクロン〜約10ミクロン、またはあるいは約0.1ミクロン〜約7ミクロンのフィルム厚さであることを特徴とすることができる。
【0217】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、フィルムの厚さは、しわのない領域全体に均一で、さまざまとなり得る。一般に、キャパシターフィルムのしわのない領域の平坦性は、特定のエリア全体にわたるフィルムの厚さのばらつきを測定することにより決定することができる。本明細書における開示の目的として、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対してフィルム厚さの約+/−10%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−9%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−8%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−7%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−6%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−5%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−4%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−3%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−2%未満、またはあるいは、フィルム厚さの約+/−1%未満となる、フィルム厚さのばらつきがあることを特徴とする場合、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、「平坦」と見なすことができる。一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−1%未満のフィルム厚さのばらつきであることを特徴とすることができる。
【0218】
一般に、フィルムの表面のしわのない領域の滑らかさは、光学式形状測定法によって表面の平均表面粗さ(Ra)を測定することにより定量することができる。一般に、表面の粗さは、表面の不規則性を定義することを言う。Raは、このような表面の不規則性の個々の高さおよび深さの平均をもたらす。本明細書における開示の目的として、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さ対して、約+/−3%未満、あるいは約+/−2%未満、あるいは約+/−1%未満のRaであることを特徴とする場合、しわがないと見なすことができる。一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、光学式形状測定法により測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満のRaであることを特徴とすることができる。
【0219】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきであること、および光学式形状測定法によって測定すると、フィルムの平均厚さに対して、約+/−3%未満のRaであることを特徴とすることができる。
【0220】
一般に、キャパシターフィルムは、フィルム表面積を特徴とすることができ、該フィルム表面積は、第1のフィルム面面積および第2のフィルム面面積を含めた、キャパシターフィルムの総面積を表す。
【0221】
一実施形態では、しわのない領域は、広いフィルム表面積全体に生成することができる。一実施形態では、フィルムの全表面積の少なくとも約80%、あるいは少なくとも約85%、あるいは少なくとも約90%、あるいは少なくとも約95%、またはあるいは少なくとも約97%は、しわがないものとすることができる。
【0222】
別の実施形態では、しわのない領域は、少なくとも約1平方メートル(m
2)、あるいは少なくとも約2m
2、あるいは少なくとも約3m
2、あるいは少なくとも約5m
2、あるいは少なくとも約10m
2、あるいは少なくとも約20m
2、あるいは少なくとも約50m
2、またはあるいは少なくとも約100m
2の、連続したしわのない領域を有することができる。
【0223】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、大きなサイズのしわのない領域により、金属化キャパシターフィルムをロール形態で、製造、保管および輸送することができるという製造上のかなりの利点がもたらされる。
【0224】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、約1メートル(m)〜約10,000m、あるいは約10m〜約1,000m、またはあるいは約100m〜約10,000m、またはあるいは約100m〜約500mのフィルム長さであることを特徴とすることができる。一実施形態では、キャパシターフィルムは、約100mm〜約3,000mm、あるいは約200mm〜約2,000mm、あるいは約300mm〜約3,000mm、またはあるいは約100mm〜約1,000mmのフィルム幅であることを特徴とすることができる。
【0225】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、少なくとも約10mのフィルム長さおよび少なくとも約300mmのフィルム幅を有することができ、フィルムの全表面積の少なくとも約80%、あるいは少なくとも約85%、あるいは少なくとも約90%、あるいは少なくとも約95%、またはあるいは少なくとも約97%が、しわのないものとすることができる。
【0226】
別の実施形態では、キャパシターフィルムは、約10m〜約10,000mのフィルム長さおよび約300mm〜約3,000mmのフィルム幅を有することができ、フィルムの全表面積の少なくとも約80%、あるいは少なくとも約85%、あるいは少なくとも約90%、あるいは少なくとも約95%、またはあるいは少なくとも約97%が、しわのないものとすることができる。
【0227】
一実施形態では、しわのない領域は、キャパシターフィルムが金属化されて、該領域全体に実質的に均質な破壊強度(BDS)のある金属化キャパシターフィルムをもたらすよう、十分に滑らかで平坦とすることができる。一実施形態では、しわのない領域は、キャパシターフィルムが金属化されて、本明細書の後でより詳細に記載される通り、少なくとも300ボルト/マイクロメートル(V/ミクロン)のBDSを有する金属化キャパシターフィルムをもたらすよう、十分に滑らかで平坦とすることができる。
【0228】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、非金属化キャパシターフィルム)は、10ミクロンのフィルムについて、23℃および50%RHにおいて、ASTM D149に準拠して測定すると、約100V/ミクロン〜約1,500V/ミクロン、あるいは約200V/ミクロン〜約1,250V/ミクロン、あるいは約300V/ミクロン〜約1,000V/ミクロン、あるいは約500V/ミクロン〜約800V/ミクロン、またはあるいは約600V/ミクロン〜約800V/ミクロンのBDSであることを特徴とすることができる。一般に、BDSは、物質が破壊するまで耐えることができる、最大電場(例えば、エネルギー密度)を表す。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、電気特性(例えば、Dk、BDSなど)の改善により、以下の理論式(3)に基づくエネルギー密度が有意に向上する:
エネルギー密度=1/2
*εo
*Dk
*BDS
2 (3)
(式中、線形法則およびべき法則は、それぞれ、エネルギー密度とDkとBDSとの間の関係を記載したものであり、εoは、自由空間の誘電率を表す定数である)。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、高温および高い周波数において、他の特性、すなわちDkおよびDfに影響を及ぼすことなく、物質のBDSを高めるのはとりわけ困難である。BDSの25%の向上により、エネルギー密度が56%向上する一方、Dkの変化は直線的に変動することに留意すべきである。
【0229】
一実施形態では、約0℃〜約200℃、あるいは約0℃〜約190℃、あるいは約0℃〜約170℃、またはあるいは約0℃〜約150℃のキャパシターフィルムのBDSの差異は、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約40%未満、あるいは約30%未満、あるいは約20%未満、またはあるいは約10%未満のBDS値となり得る。
【0230】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、非金属化キャパシターフィルム)は、1kHzおよび約0℃〜約200℃、あるいは約0℃〜約190℃、あるいは約0℃〜約170℃、またはあるいは約0℃〜約150℃において、23℃におけるキャパシタンス値に対して、約+/−5%未満、あるいは約+/−4%未満、またはあるいは約+/−3%未満のキャパシタンス差を有することができる。一般に、キャパシタンスとは、材料が電荷を貯蔵する能力を指す。
【0231】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、金属化表面(例えば、アルミニウム表面)および/またはキャパシターフィルムそれ自体の動摩擦係数が、ASTM D1894に準拠して測定すると、約0.75未満、あるいは約0.6未満、またはあるいは約0.5未満となることを特徴とすることができる。一般に、動摩擦係数もしくは滑り摩擦係数、または摩擦係数とも呼ばれる動摩擦係数は、どれくらい大きな摩擦力が2つの固体間、例えば2つの固体表面間に存在するかの尺度である。
【0232】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、金属化表面(例えば、アルミニウム表面)および/またはキャパシターフィルムそれ自体の静摩擦係数が、ASTM D1894に準拠して測定すると、約0.75未満、あるいは約0.6未満、またはあるいは約0.5未満となることを特徴とすることができる。一般に、静摩擦係数は、どちらの表面も動かない場合に、どれくらい大きな摩擦力が2つの固体間、例えば2つの固体表面間に存在するかの尺度である。
【0233】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、20ミクロンの厚さを有する試験片を使用してASTM D1938に準拠して測定すると、約0.4N/mm〜約3.5N/mm、あるいは約0.5N/mm〜約3.0N/mm、またはあるいは約1N/mm〜約2.5N/mmの縦方向(MD)のトラウザー引裂強度があることを特徴とすることができる。一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、20ミクロンの厚さを有する試験片を使用してASTM D1938に準拠して測定すると、約0.4N/mm〜約3.5N/mm、あるいは約0.5N/mm〜約3.0N/mm、またはあるいは約1N/mm〜約2N/mmの横方向(TD)のトラウザー引裂強度があることを特徴とすることができる。トラウザー引裂強度とは、試験片全体にかかる一定の引き裂き速度での引き裂きを伝播するのに必要な平均力を試験片の厚さで除算したものを指し、1mm未満の厚さを有するフィルムに使用される。引き裂きは、MDまたはTDのどちらかに伝播され得る。
【0234】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、約1.35未満、あるいは約1.30未満、またはあるいは約1.25未満の炭素/(酸素+水素)(C/(O+H))比であることを特徴とすることができる。例えば、ポリエーテルイミド(PEI)のC/(O+H)比は、約1.23であり、ポリエーテルイミドスルホン(PEIS)の場合、約1.11であり、ITR−PC−Siの場合、約1.10であり、ポリエチレンナフタレート(PEN)の場合約1.00であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合、約0.83であり、ポリフェニレンスルホン(PPSU)の場合、約0.92であり、ポリプロピレン(PP)の場合、約0.50である。さらに、例えば、誘電性能が乏しいことが知られている材料である、ポリフェニレンスルフィド(PPS)は、C/(O+H)比が約1.50を有する。C/(O+H)比は、チャーの形成に関すると、清浄工程の面で重要となり得る。一般に、自己回復としても公知の清浄は、ピンホール、フィルム傷または外部電圧過渡(external voltage transient)により引き起こされる欠陥を取り除くことを指す。破損の間のアークによって生じる熱は、不具合点周辺のフィルムの金属化薄膜をかなり蒸発させ、それにより、短絡状態が除かれて隔離される。清浄工程に由来する熱は、チャー形成をもたらす恐れがある。理論によって拘泥されることを望むものではないが、PPSの場合のように、C/(O+H)比が高すぎる場合、例えば1.5となる場合、炭素(例えば、チャー)は、厚い層として堆積し、絶縁抵抗率を高め、電力が一層容易に消散される恐れがあり、これは望ましいことではない。
【0235】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、本質的に溶媒不含とすることができ、すなわち、キャパシターフィルムの総重量に対して、約1,000ppm未満、あるいは約750ppm未満、あるいは約500ppm未満、またはあるいは約250ppm未満の溶媒(例えば、約250Da未満のMwを有する化合物)を含有する。
【0236】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、拡大せずに、0.3mの距離で見た場合、少なくとも約3m
2のエリアにわたり、または少なくとも約9m
2のエリアにわたり、観察可能な小片またはゲルを有し得ない。
【0237】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、100cm
2のエリアにおいて、約20ミクロン超の直径を有する、2つ未満、またはあるいは1つ未満の炭化封入体(carbonized inclusion)を含む。
【0238】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、100cm
2のエリアにおいて、約20ミクロン超の直径を有する、2つ未満、またはあるいは1つ未満のゲルエリアを含む。
【0239】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、50×の拡大で見た場合、少なくとも約3m
2のエリアにわたり、または少なくとも約9m
2のエリアにわたり、観察可能な空隙を有し得ない。
【0240】
一実施形態では、混和性ポリマーブレンドを含む一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、ポリエーテルイミドおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を含み、該ポリエーテルイミドは、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、該ポリエーテルイミドは、置換または無置換の芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、互いに異なるビスフェノールカーボネート繰り返し単位およびアリレートエステル繰り返し単位を含み、上記高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含み、キャパシターフィルムは、約0.1ミクロン〜約20ミクロンのフィルム厚さを有しており、ポリエーテルイミドは、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、約20,000Da〜約400,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエーテルイミドは、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec
−1の粘度と5,000sec
−1の粘度との比が約10未満であり、ポリエーテルイミドは、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有しており、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、ポリカーボネート標準品を使用するGPCによって測定すると、約2,000Da〜約100,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、25℃においてクロロホルム中で測定すると、約0.3dl/g〜約1.5dl/gの固有粘度を有しており、キャパシターフィルムは、約175℃を超えるガラス転移温度を有しており、キャパシターフィルムは、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約150℃以上の熱変形温度を有しており、キャパシターフィルムは、1kHz、23℃および50%RHにおいてASTM D150に準拠して測定すると、約3〜約5の比誘電率を有しており、キャパシターフィルムは、1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、約0.1%〜約0.5%の誘電正接を有しており、キャパシターフィルムは、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約500V/ミクロン〜約800V/ミクロンの破壊強度を有しており、キャパシターフィルムは、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有しており、キャパシターフィルムは、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する。このような実施形態では、ポリエーテルイミドは、ポリエーテルイミドスルホンをさらに含むことができる。
【0241】
一実施形態では、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム、例えば、上の段落において記載されているフィルムを製造する方法は、(a)ポリエーテルイミドおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップであって、該ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、ITR−PC−シロキサンコポリマーを含み、該ITR−PC−シロキサンコポリマーは、約1mol%〜約20mol%のビスフェノール−Aカーボネート単位、約60mol%〜約90mol%の式XVIIIcにより表されるITRエステル単位、および約0.1重量%〜約10重量%のシロキサン単位をもたらすのに有効な量の式XXIIb−2により表されるポリシロキサン単位を含み、mol%は、コポリマー中の単位の総モル数に基づいており、重量%は、コポリマーの総重量に基づいている、ステップ、(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、さらに金属化されて巻かれ、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成するステップを含む。
【0242】
一実施形態では、混和性ポリマーブレンドを含む一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、ポリエーテルイミドスルホンおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を含み、該ポリエーテルイミドスルホンは、芳香族二無水物と、ジアミノジフェニルスルホンを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、互いに異なるビスフェノールカーボネート繰り返し単位およびアリレートエステル繰り返し単位を含み、上記高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含み、キャパシターフィルムは、約0.1ミクロン〜約20ミクロンのフィルム厚さを有しており、ポリエーテルイミドスルホンは、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、約20,000Da〜約400,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエーテルイミドスルホンは、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec
−1の粘度と5,000sec
−1の粘度との比が約10未満であり、ポリエーテルイミドスルホンは、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有しており、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、ポリカーボネート標準品を使用するGPCによって測定すると、約2,000Da〜約100,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、25℃においてクロロホルム中で測定すると、約0.3dl/g〜約1.5dl/gの固有粘度を有しており、キャパシターフィルムは、約175℃を超えるガラス転移温度を有しており、キャパシターフィルムは、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約150℃以上の熱変形温度を有しており、キャパシターフィルムは、1kHz、23℃および50%RHにおいてASTM D150に準拠して測定すると、約3〜約5の比誘電率を有しており、キャパシターフィルムは、1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、約0.1%〜約0.5%の誘電正接を有しており、キャパシターフィルムは、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約500V/ミクロン〜約800V/ミクロンの破壊強度を有しており、キャパシターフィルムは、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有しており、キャパシターフィルムは、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する。
【0243】
一実施形態では、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム、例えば、上の段落において記載されているフィルムを製造する方法は、(a)ポリエーテルイミドスルホンおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップであって、該ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、ITR−PC−シロキサンコポリマーを含み、ITR−PC−シロキサンコポリマーは、約1mol%〜約20mol%のビスフェノール−Aカーボネート単位、約60mol%〜約90mol%の式XVIIIcにより表されるITRエステル単位、および約0.1重量%〜約10重量%のシロキサン単位をもたらすのに有効な量の式XXIIb−2により表されるポリシロキサン単位を含み、mol%は、コポリマー中の単位の総モル数に基づいており、重量%は、コポリマーの総重量に基づいている、ステップ、(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、さらに金属化されて巻かれ、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成するステップを含む。
【0244】
一実施形態では、本明細書において開示されているキャパシターフィルムは、いかなるアモルファスフィルム用途にも使用することができるが、特に金属化に好適である。一実施形態では、金属化キャパシターフィルムは、いかなる金属化フィルム用途にも使用することができるが、特に、例えば、キャパシターまたは短絡材料として、電子用途に好適である。高いエネルギー密度(例えば、約1J/cm
3超)、高電圧(例えば、約150V超)、非極性のキャパシターは、円筒形状に巻かれるか(例えば、巻回型金属化キャパシターフィルム)、または積層化されて長方形もしくは正方形の形状に圧縮された(例えば、積層フィルムキャパシター、ダイス型フィルムキャパシター)金属化ポリマーフィルムを使用して作製することができる。
【0245】
一実施形態では、本明細書において開示されているキャパシターフィルムは、以下に限定されないが、例えば、キャパシター(例えば、自動車用インバーター用キャパシター、自動車用コンバーター用キャパシターなど)などの、電子物品を含めた、様々な物品に形成することができる。
【0246】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、押出成形されて、次に、真空チャンバ中、移動しているポリマーフィルム上に、真空蒸着によって銅またはアルミニウムなどの導電性金属を、約1オングストローム〜約1,000ナノメートル、あるいは約1オングストローム〜約3,000オングストローム、またはあるいは約1オングストローム〜約1,000オングストロームの金属層の厚さまで噴霧することにより金属化することができる。キャパシターフィルム上の金属層の抵抗率は、約0.1オーム/スクエア〜約100オーム/スクエアの範囲とすることができる。ポリマーフィルムは、金属化工程が行われる前に、適切にマスクされて、該フィルムの幅の縁に金属化されていないマージンを設けることができ、その結果、金属化フィルムの交互層(キャパシターが組み立てられている場合)は、端の金属化が最終的に適用される場合、キャパシターの電極が短絡するのを防止するため、反対側の縁に金属化されていない領域をもたせることができる。
【0247】
一実施形態では、キャパシターは、2つの積層化されている金属化ポリマーフィルムを筒状に巻くことによって製造することができる。次に、電気ワイヤを各金属層に接続することができる。一実施形態では、金属化フィルムの2つの個々のロールを、キャパシター巻き付け器に置き、マンドリル(このマンドリルは、続いて取り外してもよい)に一緒に強く巻くことができ、その結果、層が、ポリマー組成物/金属化層/ポリマー組成物/金属化層という順序で配置されて、キャパシターの典型的な構造、すなわち、対向する両面に2つの金属層を有する誘電体が複製される。一実施形態では、キャパシターは、巻回型金属化キャパシターフィルムを含む。フィルムの2つのロールは、対向する両面に金属化されていないマージンを設けて巻くことができる。
【0248】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、キャパシターを巻く程度は、所望のキャパシターの物理的サイズまたは所望のキャパシタンスに依存する。2つのロールをきつく巻くと、そうでないと、早すぎる故障を引き起こす恐れのある、いかなる捕捉空気も除去する一助となる。個々のキャパシターは、HEPAフィルターを取り込んだ少なくともクラス100のクリーンルーム環境中で加工されて、誘電フィルム層間の接触点の、異物粒子による汚染の可能性を低減し、かつ誘電体における水分の取込みを低減することができる。電気的な巻き付けを使用して、各キャパシターにかかる張力を均一に良好に維持することができる。次に、このキャパシターに、この縁でテープを施し、両面の開放トレイに固定して、フィルム層が巻き付けられないのを防止して、円筒の縁または両端を導電性元素、例えば導電性金属により噴霧するのが可能になる。直流(DC)を適用した場合、亜鉛の含有率が高いはんだを用いて第1の噴霧を、次いで、90%のスズ、10%の亜鉛からなる通常の、より軟らかい端部噴霧はんだ(end spray solder)を使用することができる。第1の噴霧は、金属表面をこすって、溝を作り、誘電性フィルム上で金属化と良好な接触を達成する。端部噴霧を組み合わせると、最終的な終端との良好な接着接触をさらに助ける。続いて、次に、導電性(例えば、アルミニウム)鉛を各端部にめっきし、最終的な終端を形成することができる。一方の終端は、缶の底部に点溶接することができる一方、もう一方の終端は、蓋に平行溶接することができる。キャパシターには、真空充填装置で液体含浸物(例えば、イソプロピルフェニルスルホン)を満たして閉じることができる。
【0249】
別の実施形態では、電子物品は、巻回型金属化一軸延伸押出成形フィルム(例えば、金属化キャパシターフィルム、巻回型金属化キャパシターフィルム)から作製されたキャパシターを含むことができる。
【0250】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、他のキャパシターの構成が可能である。例えば、キャパシターは、積層構成で配置されている少なくとも第1および第2の電極、および該第1と第2の電極との間に配置されているキャパシターフィルムであって、それらの電極のそれぞれと少なくとも一部が接触して配置されているキャパシターフィルムを含む、平坦構成を有することができる。追加のキャパシターフィルムおよび電極層が、交互層中に存在することができる。一実施形態では、電子デバイスを形成するための多層物品は、ポリマー組成物層/金属層/誘電層を含むことができ、この場合、誘電層は、本明細書において開示されているキャパシターフィルム、または他の誘電性材料とすることができる。追加の層(例えば、追加の交互誘電層/金属層)が、場合により存在することができる。
【0251】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、金属化キャパシターフィルム)は積層されて、積層フィルムキャパシターを形成することができる。金属化キャパシターフィルムは、積層前に、接着剤(例えば、ワックス)によりコーティングされ得る。金属化キャパシターフィルムを積層する際、金属化されていないキャパシターフィルムまたは金属化されていないシートを金属化キャパシターフィルムの積層体の上部および/または底部に適用することができ、得られた積層体は、さらに圧縮して加熱され、金属化キャパシターフィルムのシートが互いに結合するのが促進され、これにより、積層フィルムキャパシターを形成することができる。一実施形態では、積層フィルムキャパシターは、さらにダイス型にされて(例えば、裁断する、立方体に裁断する、切断する、ポーションにする、分割するなど)、ダイス型フィルムキャパシターを形成することができる。一実施形態では、少なくとも1つの導電性層は、ダイス型フィルムキャパシターに適用することができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、積層フィルムキャパシターおよびダイス型フィルムキャパシターは、高エネルギー密度キャパシターである。
【0252】
一実施形態では、本明細書において開示されているポリマー組成物を含むキャパシターフィルムを含むキャパシターは、自動車用インバーターおよび/またはコンバーター(例えば、ハイブリッド電気自動車用のインバーター、ハイブリッド電気自動車用のコンバーター、電気自動車用のインバーター、電気自動車用のコンバーターなど)の一部とすることができる。
【0253】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、有利には、例えば、二軸配向ポリ(プロピレン)(BOPP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの他のポリマーから生成されるフィルムと比較して、電気特性(例えば、BDS、Dk、Df)の改善を示すことができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、薄化フィルムへと溶融加工することに加え、高温での容量を維持しながら、適切な電気特性の組合せを得て、高いエネルギー密度を実現することはかなり困難である。本明細書において開示されているキャパシターフィルム用ポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート組成物)からなる材料により作製された誘電性フィルムは、新規であり有用でもあるという、このような考察によるものである。したがって、フィルム、および該フィルムから作製されたキャパシターは、電子産業にとって、構成成分を製造する現在の材料および方法よりも利点をもたらす。
【0254】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、有利には、約170℃まで安定なDkを示すことができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、キャパシターフィルムの電気特性は、キャパシターフィルムのTgまで一般に、安定である。
【0255】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、有利には、無溶媒法で生成することができ、この無溶媒法により、このようなキャパシターフィルムを工業規模で信頼性高く製造することが可能となる。従来のキャパシターフィルムの場合、溶媒−キャストフィルムから溶媒を除去するのは難しいものとなり得る。本明細書において開示されている押出成形キャパシターフィルムは、溶媒なしに加工することができ、費用と製造の利点の両方をもたらし、環境に一層優しいものとなる。一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、有利には、約20ミクロン未満の均一なフィルム厚さに溶融押出成形することにより加工され得る。
【0256】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン構成成分それ自体と比較した場合、加工温度において、溶融流動レオロジーの改善を有利にも示すことができる。一般に、ポリカーボネートは、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンと比較した場合、低い粘度を有しており、したがって、ポリカーボネートは、一緒にブレンドされると、その粘度を低下させることにより、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの加工性を改善する。
【0257】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、従来のキャパシターフィルムと比べて、可撓性、薄さおよび比誘電率の安定性などの、他の有利な物理的および電気的性質を維持しながら、有利にもDkとBDSの両方の向上を示すことができる。一部の実施形態では、本明細書において開示されているキャパシターフィルムは、高いBDS(約600V/ミクロン超)、高いDk(約3超)および低いDf(約1%未満)を有することができる。
【0258】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、自動車産業(例えば、電気自動車のインバーターおよび/またはコンバーター、DC−DCコンバーター、AC−DCインバーター、フィルター、回路隔離など)において、ならびに高い作動温度および高いエネルギー密度の誘電性材料が要求される任意の電気/電子用途において有利にも使用することができる。本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリカーボネート組成物)から生成されたキャパシターフィルムのさらなる利点は、本開示を鑑みる当業者には明白となり得る。
【実施例】
【0259】
主題は一般的に記載されているので、以下の実施例は、本開示の特別な実施形態として、およびこの実施および利点を実証するために提示されている。実施例は、例示によって示されていること、および後に続く特許請求の範囲の詳述を決して限定することを意図するものではないことが理解される。以下の試験手順を使用して、様々なキャパシターフィルムおよびポリマー組成物を評価した。
【0260】
キャパシターフィルムのガラス転移温度(Tg)は、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン(対照/比較)の場合、300℃まで、本明細書において開示されているキャパシターフィルム用ポリマー組成物から作製されたキャパシターフィルムの場合、250℃まで、およびポリカーボネート(対照/比較)の場合、200℃まで、20℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定した。結果を第2のスキャンで報告した。
【0261】
フィルムの試料のトラウザー引裂強度は、ASTM D1938に準拠して、縦方向(MD)および横方向(TD)で測定した。
【0262】
押出成形フィルムの動的および静摩擦係数は、アルミニウム表面上で、ASTM D1894に準拠して測定した。
【0263】
フィルムの透明度は、フィルム表面の目視評価によって観察した。キャパシターフィルムは、目視によるヘイズまたは不透明性がなかった。
【0264】
各材料の押出成形薄化フィルムは、GALDEN HTオイル中で、ASTM D149試験方法を使用して、絶縁破壊強度(BDS)に関する試験を行い、ここで、GALDEN HTは、55℃〜270℃の範囲の沸点を有する一連の誘電性流体であり、Ideal Vacuum Products、LLCから市販されている。このオイルは、ホットプレート/抵抗コイルを使用して、試験温度にした。電極は、3インチの真鍮板の底部電極上に、1/4インチのステンレス鋼製ボールからなった。材料が電気的に短絡し、破損を引き起こした電圧がLabviewコンピューターソフトウェアにより記録されるまで、Trek 30/20±30kV DCの高圧出力電源を使用して、500V/sでこの真鍮板に勾配を設けた。BDSは、20℃、50℃、100℃、135℃および150℃で測定した。報告値は、各温度において、20個を超える試料の平均を表し、ワイブル統計解析を報告した。
【0265】
比誘電率(Dk)および誘電正接(Df)は、以下の方法によってフィルム試料上で測定した。厚さ100nmの金を、上部電極として、電子ビーム蒸着によって10mmの円形シャドーマスクにより、各々のタイプの材料のうちの5つの試料に堆積させた。底部電極は、試料の底部全体のエリアにわたる100nmの厚さの金からなった。Agilent E4980A Precision LCR計測器を使用して、適用したバイアス場におけるキャパシタンスおよび誘電正接を測定した。Dkは、電極の直径(10mmの直径の円板状電極を電気試験のすべてに使用した)およびフィルム厚さを使用して計算した。フィルム厚さは、Heidenhain Metro厚さゲージを使用して、正確に±0.2μmと計算した。炉の温度は、−40℃〜150℃とさまざまとし、LCR計測器は、それぞれの温度において、100Hz〜1GHzの範囲の周波数で変化させた。デジタルマルチメーターに接続した炉の内部の熱電対により、炉の温度を確認した。
【実施例1】
【0266】
ポリエーテルイミド(PEI)および/またはポリエーテルイミドスルホン(PEIS)、ならびにポリカーボネート(PC)を含むキャパシターフィルム用ポリマー組成物の特性を検討した。より詳細には、表1に概略されている試料を、まずコンパウンドしてペレットにし、次にフィルムに押出成形した。
【表1】
【0267】
ULTEM1010Kは、構造Vbを特徴とするPEIである。Lexan FSTは、構造XIXcおよび構造XXを特徴とするポリカーボネートであり、1%Siは、構造XXIIにより表されるポリシロキサン単位であって、さらに構造XXIIb−2を特徴とするポリシロキサン単位によってもたらされた。PEI/PEISブレンドは、60:40のPEI:PEISの重量比を有しており、この場合、PEIは、構造Vbを特徴とし、PEISは、構造VIaを特徴とする。PEPQ安定剤は、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトである。ホスファイト安定剤は、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトとした。
【0268】
押出成形された材料の特性が、表2に示されている。
【表2】
【0269】
樹脂ブレンド(例えば、キャパシターフィルム用ポリマー組成物)は、二軸を使用して容易にコンパウンドしてペレット形態にした後、溶融押出成形し、厚さ10ミクロンおよび20ミクロンを有するフィルムにした。温度および周波数の関数としての性能の向上は驚くべきものであり、絶縁破壊強度(BDS)、比誘電率(Dk)および誘電正接(Df)という材料特性を予見するものではなかった。特性の改善は、式(3)に基づくエネルギー密度をかなり向上し、ここでは、線形法則およびべき法則は、それぞれ、DkとBDSに関する関係を説明するものである。
【実施例2】
【0270】
ポリエーテルイミド(PEI)および/またはポリエーテルイミドスルホン(PEIS)、ならびにポリカーボネート(PC)を含むキャパシターフィルム用ポリマー組成物に由来する、実施例1に記載されている通り調製したフィルム試料の電気特性を検討した。より具体的には、平均破壊強度(BDS)を検討した。
【0271】
組成物、温度およびフィルム厚さの関数として試験した物質の平均BDS値が、表3および表4に示されており、
図1および
図2にグラフで示されている。
【表3】
【表4】
【0272】
試料#1および試料#2を含む、比較試料Aからの10ミクロンの厚いフィルムのBDSの向上は、室温〜150℃で、27V/ミクロン〜181V/ミクロンの範囲にあった。BDS性能が5%から30%まで向上したことを示し、したがって、エネルギー密度は、10%〜69%に向上した(式(3)において2乗に向上)。さらに、各試料材料に関して、特定の温度において最大値が得られ、50℃から100℃の間の範囲であったことが留意された。最大値に到達した後に、温度の増加に伴って、材料のBDSが低下するのは一般的なことではない。しかし、2つの異なるレベルでなる樹脂ブレンドは、試料#1および試料#2の場合に実証される類似の結果をもたらすことは予期されない。組成物による非線形応答は予期されず、予測もされなかった。20ミクロンの厚いフィルムの場合、同様の結果となり、それぞれ、25重量%および50重量%のLEXAN FST樹脂からなるブレンドでは、BDSが3%〜34%増加した。LEXAN FST樹脂に等価なフィルム(試料B)が、BDSについて試験した他の物質のすべてよりも優れている場合でさえも、このようなLEXAN FST樹脂フィルムは、最低温度性能(Tg=140℃)を有する、高くかつ望ましくないDfを有し、試料#1および#2と比べて、用途が限られる。
【0273】
平均BDSに対するV/ミクロン対温度を示す、表3および表4に報告されているデータの、
図1および
図2におけるグラフ表示は、組成物に及ぼすBDSの依存性を示している。さらに、これらのデータは、構成物の重量平均ではなかった、ULTEM1010K樹脂へのLEXAN FST樹脂の添加により工程が改善されることを強く示唆している。
【実施例3】
【0274】
ポリエーテルイミド(PEI)および/またはポリエーテルイミドスルホン(PEIS)、ならびにポリカーボネート(PC)を含むキャパシターフィルム用ポリマー組成物に由来する、実施例1に記載されている通り調製したフィルム試料の電気特性を検討した。より具体的には、比誘電率(Dk)および誘電正接(Df)を検討した。
【0275】
DkおよびDfは、7〜20ミクロンの厚さのフィルムについて、温度および周波数の関数として検討し、これらのデータは、表#5(Dk)および表#6(Df)に示されている。
【表5】
【表6】
【0276】
試料Aに関するDkは、それぞれ、20℃〜150℃および100Hz〜1MHzの範囲にわたり、温度および周波数の向上に伴って、3.07〜2.99に向上した。対照的に、試料#1のDkは、同様の傾向を実証したが、同じ試験条件下では、平均で5.4%向上し、3.23〜3.16の範囲となった。このDkの向上は、LEXAN FST樹脂の添加に起因するものであり、同じ温度および周波数範囲にわたり、3.46〜3.52の範囲のDkを特徴とする。高いDkの有意性は、式(3)において概略されている通り、Dkのより高いエネルギー密度への直接的な変換となる。
【0277】
対照的に、試料#1のDfは試料Aに対して向上しており、それぞれ、0.185%〜0.665%対0.153%〜0.34%の範囲となった。エネルギーは、熱の形成時に失われ、電気装置の加熱を引き起こすので、Dfの向上は一般に、望ましいものではないと考えられる。試験試料のそれぞれにおいて、対象の周波数の範囲にわたる用途に対して<1%未満を発揮する物質がブレンドされる。
【0278】
表7は、試験試料に対するキャパシターフィルムの特性の一部をまとめており、高温および高エネルギーキャパシターにおける誘電性能を改善するために、ULTEM樹脂にLEXAN FST樹脂を添加するのが有用であることが示されている。
【表7】
【0279】
本出願からのいかなる米国国内段階での出願のために、本開示に言及されているすべての刊行物および特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれており、上記は、そのような刊行物において記載されている構成物および方法を記載および開示する目的として、本開示の方法に関連して使用される。本明細書において議論されているいずれの刊行物および特許も、本出願の出願日以前にそれらが開示されていることを単に提示しているに過ぎない。本明細書において、先行発明によって本発明者らがこのような開示を先行するものであると認めることを承認すると解釈すべきではない。
【0280】
米国特許商標庁以前のいかなる出願においても、37C.F.R.§1.72の要件を満足させるため、および37C.F.R.§1.72(b)、「米国特許庁および公衆が概観することにより、技術的開示の性質および主旨を迅速に決定できることである」(to enable the United States Patent and Trademark Office and the public generally to determine quickly from a cursory inspection the nature and gist of the technical disclosure)」に明記されている目的のために、本出願の要約が提示されている。したがって、本出願の要約は、特許請求の範囲を解釈するため、または本明細書において開示されている主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものではない。さらに、本明細書において使用され得るいかなる見出しも、特許請求の範囲を解釈するため、または本明細書において開示されている主題の範囲を限定するために使用されていることをやはり意図するものではない。構成的または予測的なものとして他で示されている実施例を記載する過去形の文章のいかなる使用も、該構成的または予測的実施例が、実際に行われたことを反映していると意図するものではない。
【0281】
本開示は、さらに、以下の実施例により例示され、該実施例は、その範囲に限定を課すものとして、決して解釈されるべきではない。それどころか、手段には、様々な他の態様、実施形態、修正およびその等価物でなければならず、本明細書における説明を一読した後で、本発明の主旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に示唆され得ることが明確に理解される。
【0282】
開示の追加
以下は、本発明による、非限定的な具体的実施形態である。
【0283】
第1の実施形態は、ポリエーテルイミドおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドは、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、互いに異なるビスフェノールカーボネート繰り返し単位およびアリレートエステル繰り返し単位を含み、上記高収率押出成形キャパシターフィルムは、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムである。
【0284】
第2の実施形態は、約0.1ミクロン〜約50ミクロンの厚さを有する、第1の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0285】
第3の実施形態は、約0.1ミクロン〜約20ミクロンの厚さを有する、第1から第2の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0286】
第4の実施形態は、ポリエーテルイミドが、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、約20,000Da〜約400,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエーテルイミドが、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec
−1の粘度と5,000sec
−1の粘度との比が約11未満であり、ポリエーテルイミドが、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有しており、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)が、ポリカーボネート標準品を使用するGPCによって測定すると、約2,000Da〜約100,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)が、25℃においてクロロホルム中で測定すると、約0.3dl/g〜約1.5dl/gの固有粘度を有している、第1から第3の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムであって、約170℃を超えるガラス転移温度を有しており、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約150℃以上の熱変形温度を有しており、1kHz、23℃および50%相対湿度(RH)においてASTM D150に準拠して測定すると、約3〜約5の比誘電率を有しており、1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、約0%〜約1の誘電正接を有しており、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約500V/ミクロン〜約800V/ミクロンの破壊強度を有しており、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有しており、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する、キャパシターフィルムである。
【0287】
第5の実施形態は、ポリエーテルイミドが、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、約20,000Da〜約400,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエーテルイミドが、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec
−1の粘度と5,000sec
−1の粘度との比が約10未満であり、ポリエーテルイミドが、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有しており、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)が、ポリカーボネート標準品を使用するGPCによって測定すると、約2,000Da〜約100,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)が、25℃においてクロロホルム中で測定すると、約0.3dl/g〜約1.5dl/gの固有粘度を有している、第1から第4の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムであって、約190℃を超えるガラス転移温度を有しており、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約170℃以上の熱変形温度を有しており、1kHz、23℃および50%RHにおいてASTM D150に準拠して測定すると、約3〜約5の比誘電率を有しており、1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、約0.1%〜約0.5%の誘電正接を有しており、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約600V/ミクロン〜約800V/ミクロンの破壊強度を有しており、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有しており、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する、キャパシターフィルムである。
【0288】
第6の実施形態は、ASTM D1894に準拠して測定すると、金属化表面上の、アルミニウム上の、および/またはそれ自体上の動摩擦係数が約0.75未満である、第1から第5の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0289】
第7の実施形態は、ASTM D1894に準拠して測定すると、金属化表面上の、アルミニウム上の、および/またはそれ自体上の静摩擦係数が約0.75未満である、第1から第6の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0290】
第8の実施形態は、1kHzにおけるキャパシターフィルムの比誘電率が、約0℃〜約170℃で本質的に変化しないままであり、該比誘電率は、約0℃〜約170℃の温度範囲内で、最高の比誘電率の値に対して、約20%未満変動する、第1から第7の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0291】
第9の実施形態は、1kHzにおけるキャパシターフィルムの誘電正接が、約0℃〜約170℃で本質的に変化しないままであり、約0.1%〜約1%である、第1から第8の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0292】
第10の実施形態は、キャパシターフィルムの誘電正接が、23℃および50%RHにおいて、1kHz〜100kHzで測定すると、約0.1%〜約1%である、第1から第9の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0293】
第11の実施形態は、約0℃〜約170℃の該キャパシターフィルムの破壊強度差が、ASTM D149に準拠して測定すると、23℃における破壊強度値の約40%未満である、第1から第10の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0294】
第12の実施形態は、1kHzおよび約0℃〜約170℃におけるキャパシタンス差が、23℃におけるキャパシタンス値に対して、約+/−5%未満である、第1から第11の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0295】
第13の実施形態は、約170℃以上の1つのガラス転移温度を有する、第1から第12の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0296】
第14の実施形態は、100cm
2のエリアにおいて、約20ミクロンより大きな直径を有する、2つ未満の炭化封入体を含む、第1から第13の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0297】
第15の実施形態は、約10m〜約10,000mのフィルム長さおよび約300mm〜約3,000mmのフィルム幅を有する、第1から第14の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムであって、該フィルムの全表面積の少なくとも約80%にしわがない、キャパシターフィルムである。
【0298】
第16の実施形態は、約1.25未満の炭素/(酸素+水素)(C/(O+H))比を有する、第1から第15の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0299】
第17の実施形態は、20ミクロンの厚さを有する試験片を使用し、ASTM D1938に準拠して測定すると、約0.5N/mm〜約3.0N/mmの縦方向のトラウザー引裂強度を有する、第1から第16の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0300】
第18の実施形態は、20ミクロンの厚さを有する試験片を使用し、ASTM D1938に準拠して測定すると、約0.5N/mm〜約3.0N/mmの横方向のトラウザー引裂強度を有する、第1から第17の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0301】
第19の実施形態は、該キャパシターフィルムの総重量に対して、約1000ppm未満の溶媒を含む、第1から第18の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0302】
第20の実施形態は、ポリエーテルイミドが、式V:
【化46】
(式中、Tは、−O−、または式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位にあり、Zは、6〜27個の炭素原子を有する二価芳香族炭化水素基、このハロゲン化誘導体、2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基、このハロゲン化誘導体、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、このハロゲン化誘導体、式−(C
6H
10)
z−により表される基であり、zは、1〜4の整数であり、Rは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、またはこれらの組合せを含むジアミン残基である)により表される、第1から第19の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0303】
第21の実施形態は、Zが、式IVa:
【化47】
(式中、Q
aは、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−SO
2−、−SO−または−C
y〜2y−、このハロゲン化誘導体であり、yは、1〜5の整数である)
により表される二価の基である、第20の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0304】
第22の実施形態は、zが、式XI:
【化48】
により表される、第20または第21の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0305】
第23の実施形態は、ポリエーテルイミドが、1.0個のアミン基あたり、約1.0〜約1.4モル当量の無水基を含む、第1から第22の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0306】
第24の実施形態は、置換または無置換芳香族一級モノアミンが、置換および無置換アニリン、置換および無置換ナフチル一級アミン、ならびに置換および無置換ヘテロアリールアミンを含み、置換基が、C
6〜12アリール基、ハロゲン化C
6〜12アリール基、C
1〜12アルキル基、ハロゲン化C
1〜12アルキル基、スルホン基、C
1〜12エステル基、C
1〜12アミド基、ハロゲン、C
1〜12アルキルエーテル基、C
6〜12アリールエーテル基、および芳香族環に結合しているC
6〜12アリールケト基からなる群から選択される、第1から第23の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0307】
第25の実施形態は、置換または無置換芳香族一級モノアミンがアニリンを含む、第1から第24の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0308】
第26の実施形態は、ポリエーテルイミドがポリエーテルイミドスルホンをさらに含む、第1から第25の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0309】
第27の実施形態は、ポリエーテルイミド:ポリエーテルイミドスルホンの重量比が約99:1〜約30:70である、第26の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0310】
第28の実施形態は、ポリエーテルイミドが、混和性ポリマーブレンド中に、約0.1重量%〜約99.9重量%の量で存在する、第1から第27の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0311】
第29の実施形態は、ポリエーテルイミドが、混和性ポリマーブレンド中に、約50重量%〜約99.9重量%の量で存在する、第1から第28の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0312】
第30の実施形態は、ポリエーテルイミドが、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むアミンの重合から誘導される単位を含むポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドを約15重量%未満含む、第1から第29の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0313】
第31の実施形態は、ビスフェノールカーボネート繰り返し単位が、式XII:
【化49】
(式中、R
aおよびR
bは、それぞれ独立して、C
1〜12アルキル基、C
1〜12アルケニル基、C
3〜8シクロアルキル基またはC
1〜12アルコキシ基であり、pおよびqは、それぞれ独立して、0〜4であり、X
aは、2つのアリーレン基の間の架橋基であり、X
aは、単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(O)−、式−C(R
c)(R
d)−であるC
1〜11アルキリデン基であり、R
cおよびR
dは、それぞれ独立して、水素、C
1〜10アルキル基、または式−C(=R
e)−の基であり、R
eは、二価C
1〜10炭化水素基である)
により表される、第1から第30の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0314】
第32の実施形態は、アリレートエステル繰り返し単位が、式XVIII:
【化50】
(式中、Ar
1は、少なくとも1つの芳香族基を含有するC
6〜32ヒドロカルビル基である)
により表される、第1から第31の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0315】
第33の実施形態は、少なくとも1つの芳香族基が、フェニル、ナフタレン、アントラセンまたはこれらの組合せを含む、第32の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0316】
第34の実施形態は、アリレートエステル繰り返し単位が、式XVIIIc:
【化51】
(式中、mは約4〜約100である)
により表されるイソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル単位を含む、第1から第33の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0317】
第35の実施形態は、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)が、式XXII:
【化52】
(式中、Rはそれぞれ独立して、C
1〜13一価ヒドロカルビル基である)
により表されるシロキサン単位をさらに含む、第1から第34の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0318】
第36の実施形態は、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)が、混和性ポリマーブレンド中に、約0.1重量%〜約99.9重量%の量で存在する、第1から第35の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0319】
第37の実施形態は、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)が、混和性ポリマーブレンド中に、約0.1重量%〜約50重量%の量で存在する、第1から第36の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0320】
第38の実施形態は、ポリエーテルイミドおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)がそれぞれ、混和性ポリマーブレンド中にキャパシターフィルムの1つのガラス転移温度をもたらすのに有効な量で存在する、第1から第37の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0321】
第39の実施形態は、ポリエーテルイミドおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)がそれぞれ、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中に混和性ポリマーブレンドをもたらすのに有効な量で存在する、第1から第38の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0322】
第40の実施形態は、混和性ポリマーブレンドが、リン含有安定剤を、該混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、約0重量%〜約2重量%の量でさらに含み、該リン含有安定剤は、約500Da以上の重量平均分子量を有する、第1から第39の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0323】
第41の実施形態は、第1から第40の実施形態のいずれかに記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを含む物品である。
【0324】
第42の実施形態は、金属化キャパシターフィルムを形成させるために、フィルムの少なくとも一部分上に堆積させた金属層をさらに含む、第41の実施形態に記載の物品である。
【0325】
第43の実施形態は、金属層が導電性金属を含む、第42の実施形態に記載の物品である。
【0326】
第44の実施形態は、導電性金属が、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、亜鉛、チタン、クロム、バナジウム、タンタル、ニオブ、黄銅またはこれらの組合せを含む、第43の実施形態に記載の物品である。
【0327】
第45の実施形態は、金属層が、約1オングストローム〜約3,000オングストロームの金属層の厚さを有する、第42から第44の実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0328】
第46の実施形態は、金属層が、約1オングストローム〜約2,820オングストロームの金属層の厚さを有する、第42から第45の実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0329】
第47の実施形態は、金属層が、約0.1〜約100オーム/スクエアの金属層の抵抗率を有する、第42から第46の実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0330】
第48の実施形態は、金属層が、真空金属蒸着、高温真空蒸着、化学蒸着、原子層堆積、金属スパッタリング、プラズマ処理、電子ビーム処理、化学的酸化反応または還元反応、無電解湿式化学蒸着、またはこれらの組合せにより、フィルムの少なくとも一部に堆積される、第42から第47の実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0331】
第49の実施形態は、金属化キャパシターフィルムが巻かれて、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成する、第42から第48の実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0332】
第50の実施形態は、第49の実施形態に記載の巻回型金属化フィルムを含むキャパシターである。
【0333】
第51の実施形態は、第50の実施形態に記載のキャパシターを含む、電子物品である。
【0334】
第52の実施形態は、第50の実施形態に記載のキャパシターを含む、自動車用インバーターである。
【0335】
第53の実施形態は、第50の実施形態に記載のキャパシターを含む、自動車用コンバーターである。
【0336】
第54の実施形態は、ポリエーテルイミドおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドは、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、互いに異なるビスフェノールカーボネート繰り返し単位およびアリレートエステル繰り返し単位を含み、上記高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含み、約0.1ミクロン〜約20ミクロンのフィルム厚さを有する、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムである。
【0337】
第55の実施形態は、ポリエーテルイミドがポリエーテルイミドスルホンをさらに含む、第54の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0338】
第56の実施形態は、ポリエーテルイミドスルホンおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドスルホンは、芳香族二無水物と、ジアミノジフェニルスルホンを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリ(カーボネート−アリレートエステル)は、互いに異なるビスフェノールカーボネート繰り返し単位およびアリレートエステル繰り返し単位を含み、上記高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムである。
【0339】
第57の実施形態は、約0.1ミクロン〜約20ミクロンのフィルム厚さを有する、第56の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0340】
第58の実施形態は、ポリエーテルイミドスルホンが、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、約20,000Da〜約400,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエーテルイミドスルホンが、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec
−1の粘度と5,000sec
−1の粘度との比が約11未満であり、ポリエーテルイミドスルホンが、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有しており、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)が、ポリカーボネート標準品を使用するGPCによって測定すると、約2,000Da〜約100,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリ(カーボネート−アリレートエステル)が、25℃においてクロロホルム中で測定すると、約0.3dl/g〜約1.5dl/gの固有粘度を有する、第56または第57の実施形態に記載のキャパシターフィルムであって、約170℃を超えるガラス転移温度を有しており、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約150℃以上の熱変形温度を有しており、1kHz、23℃および50%相対湿度(RH)においてASTM D150に準拠して測定すると、約3〜約5の比誘電率を有しており、1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、約0%〜約1の誘電正接を有しており、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約500V/ミクロン〜約800V/ミクロンの破壊強度を有しており、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有しており、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する、キャパシターフィルムである。
【0341】
第59の実施形態は、第1から第58の実施形態のいずれかに記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを製造する方法であって、
(a)混和性ポリマーブレンドを押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および
(b)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップ
を含む、方法である。
【0342】
第60の実施形態は、第1から第59の実施形態のいずれかに記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを製造する方法であって、
(a)ポリエーテルイミドおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップ、
(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、
(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、
(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および
(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップ
を含む、方法である。
【0343】
第61の実施形態は、フィルムの少なくとも一部分上に金属層を堆積させて、金属化キャパシターフィルムを形成させるステップをさらに含む、第60の実施形態に記載の方法である。
【0344】
第62の実施形態は、金属化キャパシターフィルムを巻いて、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成するステップをさらに含む、第61の実施形態に記載の方法である。
【0345】
第63の実施形態は、金属化キャパシターフィルムを積層し、積層フィルムキャパシターを形成するステップをさらに含む、第61または第62の実施形態に記載の方法である。
【0346】
第64の実施形態は、積層フィルムキャパシターをダイス型に裁断し、ダイス型フィルムキャパシターを形成するステップをさらに含む、第63の実施形態に記載の方法である。
【0347】
第65の実施形態は、第56の実施形態に記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを製造する方法であって、
(a)混和性ポリマーブレンドを押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および
(b)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップ
を含む、方法である。
【0348】
第66の実施形態は、第56の実施形態に記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを製造する方法であって、
(a)ポリエーテルイミドスルホンおよびポリ(カーボネート−アリレートエステル)を合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップ、
(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、
(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、
(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および
(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップ
を含む、方法である。
【0349】
本開示の実施形態が示されて、説明されているが、その修正は、本発明の主旨および教示から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載されている実施形態および実施例は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。明細書において開示されている本発明の多数の変形および修正が考えられ、本発明の範囲内にある。
【0350】
したがって、保護の範囲は上で説明されている記載によって限定されるものではないが、特許請求の範囲の主題と等価なすべてのものを含めたそうした範囲に従う、特許請求の範囲によってのみ限定される。あらゆる請求項が、本発明の実施形態として、本明細書に組み込まれている。したがって、特許請求の範囲は、さらなる説明であり、本発明の詳細説明に追加されるものである。本明細書において引用されている特許、特許出願および刊行物のすべての開示は、参照により本明細書に組み込まれている。