特許第6571211号(P6571211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571211回路支持体の位置的に正確な実装のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571211
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】回路支持体の位置的に正確な実装のための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20190826BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   H01L33/00 H
   H05K13/04 M
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-564051(P2017-564051)
(86)(22)【出願日】2016年6月2日
(65)【公表番号】特表2018-529215(P2018-529215A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】AT2016050173
(87)【国際公開番号】WO2016197166
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2018年1月9日
(31)【優先権主張番号】A50469/2015
(32)【優先日】2015年6月9日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ツォルン、ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】キースリンガー、ディートマー
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−537344(JP,A)
【文献】 特開2014−036202(JP,A)
【文献】 特開2000−183404(JP,A)
【文献】 特開平07−199007(JP,A)
【文献】 特開2015−031599(JP,A)
【文献】 特開2012−208122(JP,A)
【文献】 特開2012−019149(JP,A)
【文献】 特開2011−032340(JP,A)
【文献】 特開平03−231478(JP,A)
【文献】 米国特許第05768759(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第10012081(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
G06T 7/00−7/90
H01L 21/52,21/58
H05K 3/30,13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電子コンポーネント(1)を回路支持体(2)に位置的に正確に実装するための方法であって、該電子コンポーネントは、互いに別個に制御可能な少なくとも2つの発光面(3a,3b,3c)を含み、
前記方法によって前記電子コンポーネントにおける発光面(3a,3b,3c)の位置誤差が検出され、補正量(k)の計算によって補償され、当該方法は:
a)電子コンポーネント(1)の少なくとも2つの発光面(3a,3b,3c)の実際位置を、基準点を基準にして光学的に検出する工程、
b)発光面(3a,3b,3c)の幾何学的位置を特徴付ける少なくとも1つの実際量(Sist)を、電子コンポーネント(1)の少なくとも2つの発光面(3a,3b,3c)の実際位置に依存して計算する工程、
c)前記少なくとも1つの実際量(Sist)を少なくとも1つの目標量(Ssoll)と、少なくとも1つの補正量(k)を計算するために比較する工程、ただし前記目標量(Ssoll)は、基準点を基準にした発光面(3a,3b,3c)の位置および配向に関して前もって定めた値であり、そして
d)少なくとも1つの電子コンポーネント(1)を回路支持体(2)に、前記少なくとも1つの補正量(k)に依存して実装する工程、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記実際量(Sist)および目標量(Ssoll)を、デジタル計算ユニットに供給し、または補正量(k)が計算されるデジタル計算ユニットにより求め、前記補正量(k)はデジタル情報信号として、工程d)による実装のための実装装置に引き渡される、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記補正量(k)は少なくとも1つのベクトル量を含み、該ベクトル量の方向は、回路支持体(2)の実装面に対して平行に配向されている、ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
さらに前記補正量(k)は、回転軸(z)を中心に回転するための角度表示を含み、前記回転軸は回路支持体(2)の実装面に対して直交して配向されている、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、
少なくとも1つの実際量(Sist)は、発光面(3a,3b,3c)の可視のエッジの経過を特徴付ける情報を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、
少なくとも1つの実際量(Sist)は、発光面(3a,3b,3c)の仮想重心(S)を特徴付ける情報を含んでおり、該仮想重心(S)は、個々の発光面(3a,3b,3c)の幾何学的重心(S,S,S)の検出により、それらの実際位置を考慮して求められる、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、
少なくとも1つの実際量(Sist)は、仮想の矩形面の寸法および位置を特徴付ける情報を含んでおり、該仮想の矩形(R)の寸法並びに位置と配向は、面の重なり合いと大きさの比率が最適であるように選択される、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法であって、
前記目標量(Ssoll)は、基準点を基準にした位置表示を含んでおり、該基準点は電子コンポーネント(1)または電子コンポーネント(1)の回路支持体(2)に配置されている、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、
発光面(3a,3b,3c)は互いに離間している、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法であって、
少なくとも1つの電子コンポーネント(1)は、少なくとも3、4または5の複数の発光面(3a,3b,3c)を有している、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法であって、
前記電子コンポーネント(1)はLEDである、ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法であって、
発光面(3a,3b,3c)は、前記工程a)の間、外部光源によって照明される、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法であって、
発光面(3a,3b,3c)は、前記工程a)の間、光を放射するように励起される、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電子コンポーネントを回路支持体に位置的に正確に実装するための方法に関するものであり、前記電子コンポーネントは、互いに別個に制御可能な少なくとも2つの発光面を含む。
【0002】
さらに本発明は、少なくとも1つの電子コンポーネントを備える回路支持体に関するものであり、前記電子コンポーネントは、互いに別個に制御可能な少なくとも2つの発光面を有する。さらに本発明は、本発明による回路支持体を備える自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術から、電子コンポーネントを回路支持体に位置的に正確に実装するための方法が公知になっており、前記電子コンポーネントはそれぞれちょうど1つの発光面を有する。
【0004】
光技術における様々な発展により、互いに別個に制御可能な少なくとも2つ発光面により電子コンポーネントを構成することが可能になった。このようなコンポーネントは、例えば「OSLON Black Fiat(商品名)」(モデルKWH3L531.TE)の名称で取引される、製造業者OSRAM社のLED光源とすることができる。これにより、回路支持体に配置すべきであり、かつ例えばLEDマトリクス投光器で使用するために設けることができる電子コンポーネントの数を格段に低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US 5 173 759 A
【特許文献2】EP 1 872 624 A1
【特許文献3】EP 2 327 582 A2
【特許文献4】EP 2 807 905 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
互いに別個に制御可能な少なくとも2つの発光面がただ1つの電子コンポーネントに存在することにより、これまで公知の方法を適用してこのようなエレメントを取り付ける際に、この方法の前提条件、すなわち各電子コンポーネントがちょうど1つの発光面を有するという前提条件が満たされなくなるという問題が発生する。したがって前記方法を使用するためには、まず少なくとも2つの発光面の1つを、これまで知られていない確定すべき基準にしたがって選択しなければならない。しかしながらこの場合には、残った発光面が考慮されないままとなる。したがって少なくとも2つの発光面を有する電子コンポーネントを備えた回路支持体が従来のやり方で実装されると、コンポーネントないし発光面の最適の配向を保証できなくなる。しかしながら発光面の配向/位置におけるエラーは、とりわけ自動車投光器において使用する場合、自動車投光器の光像において許容できない不精度および結像エラーを引き起こし得る。
【0007】
したがって本発明の課題は、互いに別個に制御可能な少なくとも2つ発光面を含む少なくとも1つの電子コンポーネントを回路支持体に位置的に正確に実装するための方法を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明により以下の工程を有する冒頭に述べた形式の方法によって解決される、すなわち:
a)電子コンポーネントの少なくとも2つの発光面の実際位置を光学的に検出する工程、
b)発光面の幾何学的位置を特徴付ける少なくとも1つの実際量を、電子コンポーネントの少なくとも2つの発光面の実際位置に依存して計算する工程、
c)前記少なくとも1つ実際量を少なくとも1つの目標量と、少なくとも1つの補正量を計算するために比較する工程、そして
d)少なくとも1つの電子コンポーネントを回路支持体に、前記少なくとも1つの補正量に依存して実装する工程。
即ち、本発明の一視点により、少なくとも1つの電子コンポーネントを回路支持体に位置的に正確に実装するための方法であって、該電子コンポーネントは、互いに別個に制御可能な少なくとも2つの発光面を含み、前記方法によって前記電子コンポーネントにおける発光面の位置誤差が検出され、補正量の計算によって補償され、当該方法は:
a)電子コンポーネントの少なくとも2つの発光面の実際位置を、基準点を基準にして光学的に検出する工程、
b)発光面の幾何学的位置を特徴付ける少なくとも1つの実際量を、電子コンポーネントの少なくとも2つの発光面の実際位置に依存して計算する工程、
c)前記少なくとも1つの実際量を少なくとも1つの目標量と、少なくとも1つの補正量を計算するために比較する工程、ただし前記目標量は、基準点を基準にした発光面の位置および配向に関して前もって定めた値であり、そして
d)少なくとも1つの電子コンポーネントを回路支持体に、前記少なくとも1つの補正量に依存して実装する工程、
を有する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明により、互いに別個に制御可能な少なくとも2つの発光面を含む少なくとも1つの電子コンポーネントを回路支持体に位置的に正確に実装することが実現され、その際に電子コンポーネントにおける2つまたはそれ以上の発光面の位置誤差を検出し、補正量の計算によって補償することができる。
本発明では以下の形態が可能である。
(形態1)少なくとも1つの電子コンポーネントを回路支持体に位置的に正確に実装するための方法であって、該電子コンポーネントは、互いに別個に制御可能な少なくとも2つの発光面を含み、当該方法は:a)電子コンポーネントの少なくとも2つの発光面の実際位置を光学的に検出する工程、b)発光面の幾何学的位置を特徴付ける少なくとも1つの実際量を、電子コンポーネントの少なくとも2つの発光面の実際位置に依存して計算する工程、c)前記少なくとも1つの実際量を少なくとも1つの目標量と、少なくとも1つの補正量を計算するために比較する工程、そしてd)少なくとも1つの電子コンポーネントを回路支持体に、前記少なくとも1つの補正量に依存して実装する工程、を有する方法が提供される。
(形態2)前記実際量および目標量を、デジタル計算ユニットに供給し、または補正量が計算されるデジタル計算ユニットにより求め、前記補正量はデジタル情報信号として、工程d)による実装のための実装装置に引き渡されることが好ましい。
(形態3)前記補正量は少なくとも1つのベクトル量を含み、該ベクトル量の方向は、回路支持体の実装面に対して平行に配向されていることが好ましい。
(形態4)さらに前記補正量は、回転軸を中心に回転するための角度表示を含み、前記回転軸は回路支持体の実装面に対して直交して配向されていることが好ましい。
(形態5)少なくとも1つの実際量は、発光面の可視のエッジの経過、とりわけ傾きを特徴付ける情報を含むことが好ましい。
(形態6)少なくとも1つの実際量は、発光面の仮想重心を特徴付ける情報を含んでおり、該仮想重心は、個々の発光面の幾何学的重心の検出により、それらの実際位置を考慮して求められることが好ましい。
(形態7)少なくとも1つの実際量は、仮想の矩形面の寸法および位置を特徴付ける情報を含んでおり、該仮想の矩形の寸法並びに位置と配向は、面の重なり合いと大きさの比率が最適であるように選択されることが好ましい。
(形態8)前記目標量は、基準点を基準にした位置表示を含んでおり、該基準点は電子コンポーネントまたは電子コンポーネントの回路支持体に配置されていることが好ましい。
(形態9)発光面は互いに離間していることが好ましい。
(形態10)少なくとも1つの電子コンポーネントは、少なくとも3、4または5の複数の発光面を有しており、前記発光面は、好ましくは一列に配置されていることが好ましい。
(形態11)前記電子コンポーネントはLED、好ましくはSMD−LEDであることが好ましい。
(形態12)発光面は、前記工程a)の間、外部光源によって照明されることが好ましい。
(形態13)発光面は、前記工程a)の間、光を放射するように励起されることが好ましい。
(形態14)少なくとも1つの電子コンポーネントを備える回路支持体であって、前記電子コンポーネントは、互いに別個に制御可能な少なくとも2つの発光面を有し、少なくとも1つの電子コンポーネントの回路支持体への実装は、電子コンポーネントの少なくとも2つの発光面の実際位置に依存して、形態1から13のいずれか一に記載にしたがって行われる回路支持体が提供される。
(形態15)形態14による回路支持体を備える自動車投光器が提供される。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照番号はもっぱら理解を助けるためであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【0010】
電子コンポーネントの実際位置の光学的検出は、典型的にはカメラシステムおよび適切な画像処理アルゴリズムを使用して行われる。ここでは例えば電子コンポーネントまたは回路支持体に形成することのできる基準点を基準にして位置が検出される。ここで表現「面の(実際)位置」とは、面の寸法だけでなく、基準点を基準にした面の位置(Lage)ないし空間的配向として理解される。
【0011】
目標量とは、典型的には基準点を基準にした発光面の位置および配向に関して前もって定めた値である。目標量は例えば、基準点を基準にする発光面の幾何学的な目標位置および目標寸法から求められ、目標位置および目標寸法は例えばデータシートからあらかじめ既知であるか、または算出することができる。これに関する詳細は、図面の説明に続く。
【0012】
本方法の工程d)における実装は、電子コンポーネントが回路支持体に取り付けられる、とりわけこれにハンダ付けされる実際の取り付け位置に対して補正量を用いて、あらかじめ規定された取り付け位置が補正されるという意味において、補正量を考慮して行われる。補正量は、デジタル計算ユニットによって求められ、デジタル形式で実装装置に引き渡すことができる。
【0013】
したがって発光面の幾何学的位置を特徴付ける実際量および目標量をデジタル計算ユニットに供給し、または補正量が計算されるデジタル計算ユニットによって求めることができる。ここで補正量は、デジタル情報信号として工程d)による実装のために実装装置に引き渡される。
【0014】
好ましくは補正量は、少なくとも1つのベクトル量を含むことができる。このベクトル量の方向は、回路支持体の実装面に対して平行に配向されている。したがって互いに直交する軸x,yおよびzから成り、軸xとyが回路支持体の実装面に対して平行に配向されているデカルト座標系において、ベクトル量はxy平面における1つのベクトルの大きさと方向に関する表示を含む。したがって実装は、x方向とy方向で補正することができる。
【0015】
さらに補正量が、回転軸zを中心に回転するための角度表示を含むと有利であり得る。ここで回転軸zは、回路支持体の実装面に対して直交して配向されている。これによって回路支持体における電子コンポーネントの配向を変更することができる。そのための前提条件としてもちろん、目標量は電子コンポーネントの目標配向に関しての情報を含んでおり、したがって実際量と目標量との比較によって補正量を計算することができる。
【0016】
発光面の配向を簡単に検出するために、少なくとも1つの実際量は、発光面の可視のエッジの経過、とりわけ傾きを特徴付ける情報を含むことができる。この情報は、例えばエッジの複数のポイントの位置を含むことができ、複数のポイントは例えば通常のエッジ検出(例えば勾配フィルタリングによる)によって検出することができる。エッジの位置は、とりわけエッジの経過が照明システムの光像に直接的に影響する照明システムにおいて使用する場合に重要である。これは例えば、ロービーム機能を備え、かつ明暗境界を設定するために付加的な絞りは設けられておらず、明暗境界が光学システム、例えば反射器を基準にした発光面の位置によって設定される自動車投光器の場合である。規定どおりの明暗移行が重要であるさらなる光機能は、例えばコーナリングライト機能、フォグライト機能並びに適合型ハイビームである。
【0017】
その代わりに、少なくとも1つの実際量は、発光面の仮想の重心を特徴付ける情報を含むことができる。この仮想の重心は、個々の発光面の幾何学的重心の検出により、それらの実際位置を考慮して求められる。
【0018】
本発明のさらなる一変形例では、少なくとも1つの実際量は、仮想の矩形面の寸法および位置を特徴付ける情報を含むことができる。ここで仮想の矩形の寸法並びに位置と配向は、面の重なり合いと大きさの比率が最適であるように選択される。
【0019】
実際量に関して最後に述べた2つの情報は、ハイビーム分布を形成するように構成された回路支持体を実装する際に使用するのに良く適する。すなわちここでは個々のエッジの経過はさほど重要ではなく、むしろ光像全体の均質性が特に重要である。個々の発光面の光像は、典型的には互いに少なくとも部分的に重なり合っており、そのため個々のエッジの経過はさほど重要ではない。この方法も、明暗境界が付加的な補助手段、例えば絞りによって形成される結像システムに取り付けられる回路支持体の実装に対して良く適する。
【0020】
とりわけ目標量は、基準点を基準にした位置表示を含むことができる。ここで基準点は、電子コンポーネントまたは電子コンポーネントの回路支持体に配置されている。ここで発光面の実際位置の光学的検出は、さらに基準点の検出を含んでおり、したがって基準点を基準にして位置を測定することができる。
【0021】
本発明の好ましい一形態では、発光面は互いに離間することができる。その代わりに、発光面をただ1つの変換面に配置することができる。ここで変換面の種々の領域は、互いに別個に制御可能なチップによって制御し、作動することができる。
【0022】
とりわけ少なくとも1つの電子コンポーネントは、少なくとも3,4または5の複数の発光面を有することができ、これらの発光面は好ましくは一列に配置されている。
【0023】
電子コンポーネントはLED、好ましくはSMD−LEDであると特に有利であり得る。
【0024】
発光面をより簡単に光学的に検出できるようにするため、発光面を工程a)の間、外部光源によって照明すると有利であり得る。
【0025】
とりわけ発光面は、工程a)の間、光を放射するように励起することができる。励起は、外部光源による十分な強度の照明によっても、または電子コンポーネントの作動によっても行うことができる。
【0026】
さらなる一視点において本発明は、少なくとも1つの電子コンポーネントを備える回路支持体に関するものである。ここで電子コンポーネントは、互いに別個に制御可能な少なくとも2つの発光面を有し、少なくとも1つの電子コンポーネントの回路支持体への実装は、電子コンポーネントの少なくとも2つの発光面の実際位置に依存して、冒頭に述べた本発明の方法にしたがって行われる、ことを特徴とする。
【0027】
さらに本発明は、本発明による回路支持体を備える自動車投光器に関する。
【0028】
本発明を以下、図面に示された例としての非限定的な実施形態に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一回路支持体の一部分における仮想の一電子コンポーネントの概略図である。
図2】電子コンポーネントの裏側を示す図である。
図3a】発光面がエラーを伴って配置された真の電子コンポーネントおよびエラーに対抗作用する措置を示す図である。
図3b】発光面がエラーを伴って配置された真の電子コンポーネントおよびエラーに対抗作用する措置を示す図である。
図4a図3による電子コンポーネントおよびエラーに対抗作用するさらなる措置を示す図である。
図4b図3による電子コンポーネントおよびエラーに対抗作用するさらなる措置を示す図である。
図5】発光面がエラーを伴って配置されたさらなる電子コンポーネントおよびエラーに対抗作用するさらなる措置を示す図である。
図6図5による電子コンポーネントおよびエラーに対抗作用するさらなる措置を示す図である。
【実施例】
【0030】
図1は、(仮想の)電子コンポーネント1が実装された一回路支持体2の一部分における仮想の(データシートから取り出された)一電子コンポーネント1の概略図である。電子コンポーネント1は、本例では互いに別個に制御可能な3つの発光面3a,3bおよび3cを有する。この仮想の例から目標量が前もって決定され、光学的に求められた実際量を、実際の実装過程の間にこの目標量によって調整することができる。
【0031】
個々の位置表示は、軸x,yおよびzから成るデカルト座標系に関連するものであり、軸xとyは発光面の平面に対して平行に配向されており、軸zは紙平面に直立する。座標系とその位置(Lage)の選択は、発光面3a,3bおよび3cの位置を一義的に設定できるのであれば当業者により自由に決定することができる。したがって同様にデカルト座標系x’,y’,z’を使用することができ、その原点は電子コンポーネント1のケーシングの1つの角に置かれる。このような角は、しばしば特に簡単に光学的検出方法と後続の画像処理アルゴリズムによって識別することができる。選択された座標系の原点は、位置表示に対する基準点を形成する。
【0032】
発光面3a,3bおよび3cは、図示の実施例では、一辺の長さがlの正方形である。これら発光面は一列に配置されており、互いに離間している。例として示した電子コンポーネント1は、冒頭に述べた「OSLON Black Fiat(商品名)」シリーズのモデルであり、この電子コンポーネントのケーシングはx方向とy方向に2から10mmの長さの辺slを有し、発光面3a,3bおよび3cの列の幅bは約1.5から9mmである。
【0033】
発光面3a,3bおよび3cはそれぞれ中心ないし重心S,SおよびSを有し、これらは座標系x,y,zのゼロ点を基準にしてオフセットされている。したがって3つ全ての重心S,SおよびSはy軸方向にオフセットyl(例えば0.1から0.6mmの間、これらの値はデータシートから取り出される)を有している。さらに重心SとSは、座標系x,yおよびzのゼロ点に対してx方向およびその反対方向にずらされている。個々の発光面3a,3bおよび3cの位置および/または重心S,SおよびSから、全体重心S(特許請求の範囲では仮想重心とも称される)が算出される。この全体重心は、図示の電子コンポーネント1のデータは目標値に相当するので(公差なし)目標重心Ssollと一致する。この目標重心Ssollは、目標量として本発明の方法において使用することができる。
【0034】
図2は、電子コンポーネント1の裏側を示す。そこにはアノードA1〜A3およびカソードK1〜K3のコンタクト面が示されており、これらはただ1つのチップ、好ましくはLEDチップに割り当てられており、かつ発光面3a,3bおよび3cを制御するように構成されている。電子コンポーネント1を回路支持体2に実装した後、カソード面およびアノード面と回路支持体にある対応の面との十分な接触接続を形成しなければならない。そのためにコンタクト面を例えばはんだペーストにより被覆し、とりわけプリントすることができ、リフローハンダ法において電子コンポーネント1と堅固に接続することができる。
【0035】
図3aと3bは真の電子コンポーネント1を示し、この電子コンポーネントでは発光面3a,3bおよび3cが、データシートから取り出された目標位置(破線の面3a’,3b’,3c’により示されている)に配置されておらず、それに対して偏差を有する。全ての発光面3a,3b,3cはy軸の方向にずれを有する。さらに第1の発光面3aは、x軸の方向とは反対方向に外側にずれている。発光面3a,3b,3cの個々の重心S,S,Sは、データシートによる電子コンポーネント1(図1参照)とは異なり共通のライン上に配置されていない。そして図3aは、ずれた発光面3a,3b,3cに所属する実際量(この場合は位置)を求めるための可能性を示し、この実際量は、目標量Ssoll、すなわち全体重心の所望の位置と比較することができる。
【0036】
この目的のために閉じた幾何学的形状が設定され、その形状のコーナ点は個々の発光面の重心により形成される。この例では、重心S1,S2,S3は概略的に示した三角形を形成する。この三角形の重心は、図3aに示した重心線により幾何学的に、または数学的に求めることができ、発光面3a,3b,3cの全体重心に相当し、実際量Sistとして使用することができる。そして本発明の方法の工程c)に対応して、実際量Sistは目標量Ssollと比較することができ、そこから補正量kが求められる。この例では目標量は目標重心全体のx位置およびy位置に関しての座標を含んでおり、実際量は実際重心全体のx位置およびy位置についての座標を含んでいる。SsollとSistの座標の差を形成することにより、ベクトルの形で補正量を計算することができ、この補正量は、回路支持体2における電子コンポーネント1の実装位置を補正するために使用することができる。
【0037】
この過程は例として図3aに示されている。この図では、あらかじめ定めた実装位置P1が実際の実装位置P2に向かって、補正量kのベクトルだけ電子コンポーネントをスライドすることにより補正されている。これにより補正された全体重心Sist,korrは位置Psollと一致する。この過程は、本発明の方法の工程d)に相当する。
【0038】
図4a,4b,5および6による例は、本発明の別の、場合により代わりの視点に関するものであり、本発明の方法が広範囲に適用可能であり、図3aと3bの変形例に制限されるものではないことを示す。
【0039】
図4aは図3aによる電子コンポーネント1を示し、発光面3a,3b,3cの位置を補正するための別の可能性が示されている。ここでは個々の重心S1,S2,S3の間の補償直線が設定され、x軸(またはy軸)を基準にする補償直線の傾きαが確定され、電子コンポーネント1の位置が図4bにしたがい、図3bの電子コンポーネント1のスライド、およびz軸を中心にする角度αだけの付加的な回転により補正される。したがって補正量kは、この例ではx方向およびy方向におけるスライドの座標を含むベクトル量と、角度表示、すなわち軸zを中心にする回転を指示する角度αとを含む。
【0040】
図5は、発光面3a,3b,3cがエラーを伴って配置された真の電子コンポーネント1およびエラーに対抗作用するためのさらなる措置を示す図である。ここでは発光面3a,3b,3cのエッジe1,e2,e3が光学的に検出される。そのためにはエッジe1,e2,e3の少なくとも2つの点の位置を確定しなければならない。エッジの位置と経過は平均化することができ、図4aと4bによる方法と同じように補償直線を計算することができる。この補償直線の傾きαは、電子コンポーネント1の実際の実装位置の補正に使用することができる。発光面3a,3b,3cのエッジe1,e2,e3の配向の補正は、とりわけ自動車投光器モジュールに対して重要である。自動車投光器モジュールでは、個々の光源が投光器の光像中に鮮明に結像される。これは例えばロービーム、適応型ハイビーム、コーナリングライトおよびフォグライトモジュールにおいて明暗境界を遵守する場合であり、ここではロービーム光分布が、反射鏡を基準にする光源の位置並びに反射鏡に関連する光源の位置によって設定される。
【0041】
図6は、図5による電子コンポーネント1および発光面3a,3b,3cのエラーのある位置に対抗作用するさらなる措置を示す図である。このために実際量Sistは、仮想の矩形面Rの寸法と位置を特徴付ける情報を含み、ここで仮想の矩形Rの寸法並びに位置と配向は、面の重なり合いと大きさの比率が最適であるように選択される。この方法の最も簡単な一変形例では、図1の電子コンポーネント1の発光面3a,3b,3cの位置と寸法に基づいて矩形Rが決定され、そのようにして得られた矩形Rが、発光面3a,3b,3cとの面の重なり合いが最大であるように位置決めされ、配向される。重心の位置および矩形Rの配向はさらに、電子コンポーネント1の実装位置の補正のために使用することができる。
【0042】
本特許出願の枠内でしばしば使用される「特徴付ける情報」とは、該当する情報を特徴的に示すのに適切なパラメータまたはフィールドを単に意味するものであり、これらは該当する情報を再現し、一義的に設定するのに適する。仮想の矩形面Rの位置および配向を特徴付ける情報は、例えば矩形Rの長さ、幅、位置および配向についての記載が指示されているフィールドによって与えることができる。
【0043】
発光面3a,3b,3cの全体重心Sの位置を改善することは、明暗境界が例えば絞りのような付加的な補助エレメントによって設定される、特にハイビーム機能ないしさらなる全ての機能に対して重要である。
【0044】
図1から6に示された実施例は、3つの発光面3a,3bおよび3cを備える一電子コンポーネント1を開示する。発光面の数はもちろん図示の数から異なって良い。同様に発光面の幾何形状も図示の形状から異なって良い。発光面3a,3b,3cを簡単に識別するために、工程a)の間にこれらの発光面を外部光源によって照明することができ、これにより周囲の面に対する発光面3a,3b,3cのコントラストを改善することができる。この外部光源は、好ましくは青色光を発光面3a,3b,3cに照射する。迅速な光学的検出が重要であるか(例えば迅速な実装のために)否かに応じて、外部光源から照射される光の波長と強度は、発光面3a,3bおよび3cが光を放射するよう励起されるように選択することができる。
【0045】
この教えを考慮すれば当業者は、本発明の図示しない別の実施形態に到達することができる。したがって本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。本発明ないし実施形態の個々の視点も採用することができ、互いに結び付けることができる。重要なのは本発明の基礎とする思想であり、この思想は当業者により、本明細書の知識において多種多様に実施することができ、それにもかかわらずそのまま維持される。
【符号の説明】
【0046】
1 電子コンポーネント
2 回路支持体
3a,3b,3c 発光面
x,y,z 軸
A1〜A3 アノード
K1〜K3 カソード
図1
図2
図3
図4
図5-6】