特許第6571232号(P6571232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571232影響調査システム、影響調査方法及び影響調査プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6571232
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】影響調査システム、影響調査方法及び影響調査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/48 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   G06F9/48 300Z
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-46294(P2018-46294)
(22)【出願日】2018年3月14日
【審査請求日】2018年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほ情報総研株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592052416
【氏名又は名称】株式会社 みずほ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】楠田 圭
(72)【発明者】
【氏名】浅海 直之
(72)【発明者】
【氏名】大仲 浩司
(72)【発明者】
【氏名】松橋 史晃
(72)【発明者】
【氏名】水戸 裕士
(72)【発明者】
【氏名】藤本 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】畔蒜 美樹
【審査官】 漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−064723(JP,A)
【文献】 特開2004−295731(JP,A)
【文献】 特開2006−099628(JP,A)
【文献】 特開2015−022396(JP,A)
【文献】 特開2011−103030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルを用いてジョブを実行するジョブ実行環境において、前記ファイルにおける項目がアウトプットファイルに与える影響を評価する制御部と記憶部とを備えた影響調査システムであって、
前記記憶部には、プログラムにおいて出力される項目情報を含む出力情報と、前記出力情報を導出する項目情報を含む入力情報とを紐付けて記録したジョブレポートと、
ジョブに用いられるプログラムへの入力ファイル及びアウトプットファイルのファイル特定情報が記録されたパラメータファイルとが記録され、
前記制御部が、
調査対象のファイル及び項目に関する情報を取得し、
前記パラメータファイルを用いて、前記調査対象のファイルを入力ファイルとして用いるすべてのプログラム及びアウトプットファイルを特定し、
前記特定したプログラムにおいてジョブレポートを用いて、前記調査対象の項目が記録された入力情報に紐付けられた出力情報を特定し、前記特定した出力情報を入力情報とする出力情報を順次検索し、出力段における出力項目を特定し、前記アウトプットファイル及び前記出力項目の特定情報を含めた影響範囲を出力することを特徴とする影響調査システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記プログラムを用いるジョブの稼働時期を含むジョブ定義情報を用いて、前記ジョブの稼働時期を特定し、前記影響範囲のアウトプットファイルに関連付けて前記稼働時期を出力することを特徴とする請求項1に記載の影響調査システム。
【請求項3】
前記制御部が、
前記影響範囲に含まれるすべてのアウトプットファイルを出力するプログラムを用いるジョブの稼働時期を特定し、
前記特定したすべての稼働時期の中で、最も早い時期を出力することを特徴とする請求項2に記載の影響調査システム。
【請求項4】
前記制御部が、
調査対象のプログラムに関する情報を取得し、
前記プログラムのジョブレポートを用いて影響範囲を特定して出力することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の影響調査システム。
【請求項5】
前記制御部が、
前記影響範囲に含まれるプログラムを用いるジョブの実行実績に基づいて、ジョブ実行の所要時間を算出し、
前記所要時間を用いて、前記影響範囲に含まれるプログラムを用いるジョブの実行時期を算出して、前記アウトプットファイルの出力時期を予測することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の影響調査システム。
【請求項6】
前記制御部が、
前記影響範囲に含まれるプログラムを用いるジョブの項目において、フィルタリング条件を取得し、
前記フィルタリング条件に基づいて、前記影響範囲を調整して出力することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の影響調査システム。
【請求項7】
アウトプットファイルについて、ユーザからの連絡履歴を記録する連絡履歴記憶部を備え、
前記制御部が、
前記連絡履歴記憶部に記録された連絡履歴に基づいて連絡頻度を算出して、前記連絡頻度によりアウトプットファイルのアクセス状況を算出し、
前記影響範囲に含まれ、前記アウトプットファイルを出力するために実行されるプログラムを用いるジョブについての影響度を出力することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の影響調査システム。
【請求項8】
前記制御部が、
前記連絡履歴記憶部に記録された連絡履歴において連絡が行なわれた連絡時期を特定し、前記連絡時期に基づいて、各アウトプットファイルのアクセス状況を算出し、
前記影響範囲の出力時期に対応する前記連絡時期に応じた影響度を出力することを特徴とする請求項7に記載の影響調査システム。
【請求項9】
前記制御部が、前記連絡履歴記憶部を用いて、前記連絡履歴において連絡を行なったユーザを特定し、前記ユーザへの各アウトプットファイルのアクセス状況を算出することを特徴とする請求項7又は8に記載の影響調査システム。
【請求項10】
項目毎にユーザが用いる項目名を記録したユーザ辞書記憶部を備え、
前記制御部が、
前記影響範囲に含まれる項目について、前記ユーザ辞書記憶部を用いて、ユーザが用いる項目名を特定し、前記影響範囲に含まれる項目について前記項目名に関連付けて出力することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の影響調査システム。
【請求項11】
ファイルを用いてジョブを実行するジョブ実行環境において、前記ファイルにおける項目がアウトプットファイルに与える影響を評価する制御部と記憶部とを備えた影響調査システムを用いて、影響調査を行なう方法であって、
前記記憶部には、プログラムにおいて出力される項目情報を含む出力情報と、前記出力情報を導出する項目情報を含む入力情報とを紐付けて記録したジョブレポートと、
ジョブに用いられるプログラムへの入力ファイル及びアウトプットファイルのファイル特定情報が記録されたパラメータファイルとが記録され、
前記制御部が、
調査対象のファイル及び項目に関する情報を取得し、
前記パラメータファイルを用いて、前記調査対象のファイルを入力ファイルとして用いるすべてのプログラム及びアウトプットファイルを特定し、
前記特定したプログラムにおいてジョブレポートを用いて、前記調査対象の項目が記録された入力情報に紐付けられた出力情報を特定し、前記特定した出力情報を入力情報とする出力情報を順次検索し、出力段における出力項目を特定し、前記アウトプットファイル及び前記出力項目の特定情報を含めた影響範囲を出力することを特徴とする影響調査方法。
【請求項12】
ファイルを用いてジョブを実行するジョブ実行環境において、前記ファイルにおける項目がアウトプットファイルに与える影響を評価する制御部と記憶部とを備えた影響調査システムを用いて、影響調査を行なうためのプログラムであって、
前記記憶部には、プログラムにおいて出力される項目情報を含む出力情報と、前記出力情報を導出する項目情報を含む入力情報とを紐付けて記録したジョブレポートと、
ジョブに用いられるプログラムへの入力ファイル及びアウトプットファイルのファイル特定情報が記録されたパラメータファイルとが記録され、
前記制御部を、
調査対象のファイル及び項目に関する情報を取得し、
前記パラメータファイルを用いて、前記調査対象のファイルを入力ファイルとして用いるすべてのプログラム及びアウトプットファイルを特定し、
前記特定したプログラムにおいてジョブレポートを用いて、前記調査対象の項目が記録された入力情報に紐付けられた出力情報を特定し、前記特定した出力情報を入力情報とする出力情報を順次検索し、出力段における出力項目を特定し、前記アウトプットファイル及び前記出力項目の特定情報を含めた影響範囲を出力する手段として機能させることを特徴とする影響調査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報処理が実行されるシステム内で利用される情報の影響範囲を予測するための影響調査システム、影響調査方法及び影響調査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業における業務管理のために複数のバッチジョブを連続して実行させる場合がある。この場合、各ジョブの先後関係を考慮する必要があり、このような先後関係を示したジョブネットワーク(ジョブネット)によりジョブの実行を管理している。このようなジョブネットにおいて障害が発生することもある。そこで、先行ジョブのスケジュールを変更した場合に、先行・後続関係を検索し、影響範囲を調査するためのジョブ運用管理システムが検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献に記載されたジョブ運用管理システムは、ジョブの定義と先行・後続の待ち合わせ条件を定義できるジョブ定義データベースと、このジョブ定義データベースに格納されたジョブ定義情報を読み出し、定義されたジョブの先行ジョブ、後続ジョブの先行・後続関係を検索する検索手段を備える。そして、検索手段が提供する検索画面において先行ジョブを検索条件として指定し、先行ジョブに後続関係を有するジョブ検索を実行して検索結果情報を保持し、検索結果を指定して再帰的に検索を行ない、先行ジョブに後続関係を有する後続ジョブを検索画面に表示する。
【0003】
また、ジョブ管理システムにおけるジョブの障害発生時に、影響範囲および影響度を特定し、回復の優先順位を計算するための技術も検討されている(例えば、特許文献2を参照。)。この文献に記載された技術においては、ジョブネットおよびジョブが保持しているユーザが指定した優先順位、開始予定時刻、終了期限時刻、親ジョブネット、後続ジョブネットの情報から、影響範囲および影響度を特定し、回復の優先順位を算出する。回復の優先順位および障害復旧の見込み時間を表示して、視覚的に影響度を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−257803号公報
【特許文献2】特開2015−64723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載された技術においては、ジョブネットの先後関係を用いて影響範囲を評価することができる。しかしながら、ジョブに用いるファイルの一部の項目に不備が生じる場合がある。この場合、この項目が含まれるファイルを入力ファイルとして用いるジョブネットの出力ファイルに含まれる項目に影響を与えることがある。この場合には、ジョブの先後関係の検討だけでは、適切な影響範囲を判定することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、影響調査システムは、ファイルを用いてジョブを実行するジョブ実行環境において、前記ファイルにおける項目がアウトプットファイルに与える影響を評価する制御部を備える。そして、前記制御部が、調査対象のファイル及び項目に関する情報を取得し、ジョブに用いられるプログラムに入力するファイル特定情報が記録されたパラメータファイルにおいて、前記調査対象のファイルを用いるすべてのプログラム及びアウトプットファイルを特定し、前記特定したプログラムにおいて出力される項目情報を含む出力情報と、前記出力情報を導出する項目情報を含む入力情報とを記録したジョブレポートを用いて、入力情報が記録されておらず、調査対象の項目が記録された出力情報から、この出力情報を導出する入力情報を順次検索し、出力段における出力項目を特定し、前記アウトプットファイル及び前記出力項目の特定情報を含めた影響範囲を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の情報処理が実行されるシステム内で利用される情報において、調査対象情報の影響範囲の把握を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のシステム概略図。
図2】本実施形態の処理手順において使用される情報の説明図であって、(a)は定義情報管理テーブル、(b)はジョブレポート、(c)はパラメータファイル、(d)は辞書管理レコード、(e)は影響調査シートの説明図。
図3】本実施形態の処理手順の説明図。
図4】本実施形態のファイルに含まれる項目とジョブとの関係の説明図。
図5】他の実施形態の処理手順の説明図。
図6】他の実施形態の説明図であって、(a)はツリー表示、(b)は処理手順、(c)は他のツリー表示の説明図。
図7】他の実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図4を用いて、影響調査システムの一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態では、ファイル転送管理システム11、ジョブ運用管理システム12、データ統合支援システム13、影響調査システム20を用いる。
【0010】
ファイル転送管理システム11は、ネットワークを介して接続された情報処理システム間のファイル転送(集信、配信)を管理するコンピュータシステムである。本実施形態では、例えば、上流の第1システム(対顧系システムS1)から下流の第2システム(内部管理システムS2)へのファイル転送や、第2システムから、最終的な出力先(出力段)である第3システム(ユーザシステムS3)へのファイル転送を管理する。ここで、対顧系システムS1は、金融機関の顧客の口座管理や、取引市場において顧客取引の管理等を行なうコンピュータシステムである。内部管理システムS2は、金融機関の会計処理や報告書の作成を行なうコンピュータシステムである。ユーザシステムS3は、内部管理システムS2の出力(会計処理結果や報告書)を利用するユーザ部門のコンピュータ端末である。
【0011】
ジョブ運用管理システム12は、ファイル転送管理システム11によって受信したファイルを用いた各情報処理を管理するシステムである。各情報処理は、例えば、ジョブ実行環境におけるジョブネットにより実行される。本実施形態では、内部管理システムS2で実行されるジョブを管理する。
【0012】
データ統合支援システム13は、ジョブ運用管理システム12で用いられるデータ(テーブル等を含めて「ファイル」と呼ぶ)を管理するシステムである。データ統合支援システム13としては、複数のシステムに含まれているデータを抽出し、データの変換・加工を行ない、変換・加工したデータをデータウェアハウスに引き渡すETL(Extract/Transform/Load)ツールを用いる。
【0013】
図4を用いて、ファイルに含まれる項目とジョブとの関係を説明する。上流の対顧系システムS1から取得したファイル50aを取得した下流の内部管理システムS2は、ジョブJ1の実行により、ファイル50b,50cを生成する場合を想定する。この場合、ファイル50aに含まれる項目a1,a2は、ファイル50bの項目b1,項目b2、ファイル50cの項目c1,項目c2に影響する。
【0014】
また、対顧系システムS1から取得したファイル50dを用いたジョブJ2の実行により、ファイル50eが生成される場合、ファイル50dの各項目がファイル50eの各項目に影響する。そして、ファイル50c,50eを用いたジョブJ3の実行により、ファイル50f,50gが生成される場合、ファイル50c,50eの各項目がファイル50f,50gの各項目に影響する。
【0015】
そして、ファイル50b,50f,50gは、ファイル転送管理システム11により、それぞれの転送時期に、ユーザシステムS3に転送される。
ここで、ファイル50aに含まれる項目a2に問題がある場合、ユーザシステムS3に提供されるファイル50f,50gに影響を与えることになる。
【0016】
図1の影響調査システム20は、調査対象のファイルや項目の影響範囲を予測するコンピュータシステムである。本実施形態では、内部管理システムS2において取り扱うファイルや項目の影響範囲を予測する。この影響調査システム20は、制御部21、ファイル転送情報記憶部22、ジョブネット情報記憶部23、ジョブレポート情報記憶部24、パラメータ情報記憶部25、ユーザ辞書記憶部26、影響調査情報記憶部27を備える。
【0017】
制御部21は、制御手段(CPU、RAM、ROM等)を備え、後述する処理(情報取得段階、分析段階、出力制御段階等の各処理)を行なう。そのための影響調査プログラムを実行することにより、制御部21は、情報取得部211、分析部212、出力制御部213として機能する。
【0018】
情報取得部211は、ファイル転送管理システム11〜データ統合支援システム13から各種情報を取得し、ファイル転送情報記憶部22〜パラメータ情報記憶部25に記録する処理を実行する。本実施形態では、ファイル転送管理システム11から、集配信マスタ管理登録ファイルを取得し、ファイル転送情報記憶部22に記録する。また、ジョブ運用管理システム12から定義情報管理テーブルを取得し、ジョブネット情報記憶部23に記録する。また、データ統合支援システム13から、ジョブレポート及びパラメータファイルを取得し、それぞれジョブレポート情報記憶部24、パラメータ情報記憶部25に登録する。情報取得部211は、これらの登録処理を、後述する影響評価処理に先立って実行する。
【0019】
分析部212は、ファイル転送情報記憶部22〜パラメータ情報記憶部25に記録された情報を用いて、影響範囲を分析し、影響範囲シートを生成する処理を実行する。
出力制御部213は、生成した影響範囲シートを出力する処理を実行する。
【0020】
ファイル転送情報記憶部22には、対顧系システムS1、内部管理システムS2、ユーザシステムS3間で転送されるファイルの集配信マスタ管理登録ファイルが記録される。この集配信マスタ管理登録ファイルは、転送されるファイルのファイル名、ファイルID、転送条件、出力先システムID等に関する情報を含む。
ファイル名、ファイルIDは、ファイル転送管理システム11によって転送されるファイルを特定するための名称、識別子である。転送条件は、各ファイルを転送する条件(転送時期や転送トリガとなるイベント)である。出力先システムIDは、ファイルの転送先のシステム(例えば、出力段であるユーザシステムS3)を特定するための識別子である。
【0021】
図2(a)に示すように、ジョブネット情報記憶部23には、内部管理システムS2において実行されるジョブに関する定義情報管理テーブル230が記録される。この定義情報管理テーブル230には、ユニット定義毎にスケジュール定義、パラメータが記録される。ここでは、内部管理システムS2において実行されるルートジョブ(ジョブネット)や、ルートジョブを構成する構成ジョブを「ユニット」と呼ぶ。
【0022】
ユニット定義データ領域には、各ユニット(ルートジョブ、構成ジョブ)を特定するための識別子に関するデータが記録される。例えば、構成ジョブのユニット名は、ルートジョブのユニット名に対して枝コードを付与することにより、両者を関連付ける。
【0023】
スケジュール定義データ領域には、各ユニットを実行するスケジュールが記録される。このスケジュールには、ルートジョブのユニットに対して、開始日、開始時刻、処理サイクル、休業日扱いが記録される。開始日は、スケジュールを開始する年月日であり、開始時刻は、ジョブを実行する時刻である。処理サイクルデータは、ルートジョブの実行周期である。休業日扱いは、稼働日が休日に該当する場合の実行要否を判定するための情報である。
パラメータデータ領域には、各ユニットにおいて用いられるプログラムを特定するための識別子(プログラムID)が記録される。
【0024】
図2(b)に示すように、ジョブレポート情報記憶部24には、各ジョブに関するジョブレポート240が記録される。このジョブレポート240は、ジョブプロパティ241、出力レコード242、入力レコード243を含んで構成される。
ジョブプロパティ241には、プログラム名、書込先名を特定するための情報が記録される。プログラム名は、各プログラムを特定するための識別子である。書込先名は、このプログラムの実行により出力されるアウトプットファイルを特定するための識別子(ファイル特定情報)である。
【0025】
出力レコード242や入力レコード243は、ジョブプロパティ241のプログラムにより出力されるデータ(出力情報)と、この出力情報を導出するためのデータ(入力情報)を特定するために用いられる。ここでは、出力情報に対して、この出力情報を導出するために用いられる入力情報が、順次、紐付けられている。具体的には、一つの出力レコード242に記録された第1情報を導出するための第2情報が入力レコード243に記録される。更に、第2情報が記録された出力レコード242に、この第2情報を導出するための第3情報が入力レコード243に記録される。このように、出力レコード242と入力レコード243とが紐付けられており、出力情報から入力情報を、順次、連鎖的に導出することができる。
【0026】
出力レコード242には、プログラムID、処理名、項目名、変数名が記録されるデータ領域が設けられている。プログラムIDは、プログラムを特定する識別子である。処理名は、このプログラムにおいて実行される処理を特定するための識別子である。項目名は、出力されるファイルに含まれる項目を特定するための識別子である。変数名は、この項目において用いられる変数である。
【0027】
入力レコード243には、導出元処理名、導出元項目名、導出元変数名に関するデータが記録されるデータ領域が設けられている。導出元処理名は、このプログラムにおいて実行される処理を特定するための識別子である。導出元項目名は、入力されるファイルに含まれる項目を特定するための識別子である。導出元変数名は、この項目において用いられる変数である。
【0028】
図2(c)に示すように、パラメータ情報記憶部25には、パラメータファイル250が記録される。このパラメータファイル250には、各ジョブのプログラムで用いられるファイルに関する情報が記録される。具体的には、パラメータファイル250には、プログラムIDを含むファイル名が付与されている。そして、パラメータファイル250には、このプログラムにおける入力ファイルID、入力項目ID、出力ファイルID、出力項目IDに関するデータが記録される。プログラムIDは、各プログラムを特定するための識別子である。入力ファイルID、入力項目IDは、このジョブに入力されるファイルや項目を特定するための識別子である。出力ファイルID、出力項目IDは、このプログラムで出力されるファイルや項目を特定するための識別子である。
【0029】
図2(d)に示すように、ユーザ辞書記憶部26には、辞書レコード260が記録される。この辞書レコード260には、項目ID、名称に関するデータが記録される。項目IDは、ファイルに含まれる各項目を特定する識別子である。名称はユーザ部門で使用されている各項目の名称である。
【0030】
図2(e)に示すように、影響調査情報記憶部27には、影響調査シート270が記録される。この影響調査シート270には、調査対象欄に対して、影響するプログラム毎に、プログラム情報欄、インプット情報欄、アウトプット情報欄が設けられている。更に、影響調査シート270には、影響範囲欄を設けておく。
【0031】
調査対象欄には、影響範囲を調査する調査対象ファイルや調査対象項目に関する情報が記録される。具体的には、調査対象ファイル情報(ファイル名称、ファイルID)、調査対象項目(項目名称、項目ID)が記録される。ファイル名称、ファイルIDは、それぞれ、調査対象のファイルの名称、ファイルを特定するための識別子である。項目名称、項目IDは、それぞれ、調査対象の項目の名称、項目を特定するための識別子である。
プログラム情報欄には、調査対象ファイルや調査対象項目が影響を与えるプログラムに関する情報が記録される。具体的には、プログラム名、プログラムID、ジョブID、ジョブサイクル、次回稼動日に関する情報が記録される。プログラム名、プログラムIDは、それぞれ、影響を受けるプログラムの名称、プログラムを特定するための識別子である。ジョブIDは、このプログラムを呼び出すジョブを特定するための識別子である。ジョブサイクルは、このジョブが実行される周期(例えば、日次)に関する情報である。次回稼動日は、このジョブが、次に実行される時期(年月日)に関する情報である。
【0032】
インプット情報欄には、このプログラムにおける入力されるファイルや項目に関する情報が記録される。具体的には、インプットファイル名、インプットファイルID、インプット項目、インプット項目IDに関する情報が記録される。インプットファイル名、インプットファイルIDは、それぞれ、入力されるファイル(入力ファイル)の名称、ファイルを特定するための識別子である。インプット項目、インプット項目IDは、それぞれ、入力ファイルに含まれる項目の名称、項目を特定するための識別子である。
アウトプット情報欄には、このプログラムから出力されるファイルや項目に関する情報が記録される。具体的には、アウトプットファイル名、アウトプットファイルID、アウトプット項目、アウトプット項目IDに関する情報が記録される。アウトプットファイル名、アウトプットファイルIDは、それぞれ、このプログラムにおいて出力されるファイル(アウトプットファイル)の名称、ファイルを特定するための識別子(ファイル特定情報)である。アウトプット項目、アウトプット項目IDは、それぞれ、アウトプットファイルに含まれる項目の名称、項目を特定するための識別子である。
【0033】
影響範囲欄には、アウトプットファイル単位で、このアウトプットファイルが影響を与えるシステムに関する情報が記録される。具体的には、アウトプットファイル名、アウトプットファイルID、ジョブID、出力先システムIDに関する情報が記録される。アウトプットファイル名、アウトプットファイルIDは、それぞれ、出力段(ユーザシステムS3)に出力されるアウトプットファイルの名称、アウトプットファイルを特定するための識別子である。ジョブIDは、このアウトプットファイルを出力するジョブを特定するための識別子である。出力先システムIDは、アウトプットファイルが出力される出力段(ユーザシステムS3)を特定するための識別子である。
【0034】
図1の入力部31は、キーボード及びポインティングデバイス等で構成され、入力された各種情報を取得する。出力部32は、ディスプレイ等で構成され、各種情報を出力する。入力部31、出力部32は、影響調査システム20の管理者によって用いられる。
【0035】
(影響評価処理)
次に、図3を用いて、影響評価処理を説明する。
まず、影響調査システム20の制御部21は、調査対象の指定処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部21の分析部212は、出力部32に、影響調査画面を出力する。この影響調査画面には、調査対象ファイル(ファイル名称、ファイルID)や調査対象項目(項目名称、項目ID)を指定するための入力欄が設けられている。更に、影響調査画面には、調査結果欄が設けられている。この調査結果欄には、後述する影響調査シート270が出力される。そして、分析部212は、ユーザが入力部31を用いて、入力欄に入力した調査対象情報(ファイル名称〜項目ID)を取得する。この場合、分析部212は、取得した調査対象情報を、影響調査情報記憶部27の影響調査シート270の調査対象欄、インプット情報欄に記録する。
【0036】
次に、影響調査システム20の制御部21は、パラメータファイルの検索処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の分析部212は、取得した調査対象ID(ファイルID)をキーとして用いて、パラメータ情報記憶部25を検索し、調査対象IDが入力ファイルIDとして記録されたパラメータファイル250を抽出する。ここで、調査対象IDが複数のパラメータファイル250に入力ファイルIDとして記録されている場合には、すべてのパラメータファイル250を特定する。そして、分析部212は、抽出したパラメータファイル250に付与されたファイル名からプログラムIDを抽出する。そして、分析部212は、抽出したプログラムIDを影響調査シート270のプログラム情報欄に記録する。複数のパラメータファイル250を特定した場合には、影響調査シート270の異なるレコードに記録する。なお、分析部212は、調査対象IDが記録されたパラメータファイル250を抽出できない場合、出力部32にエラーメッセージを出力する。
【0037】
次に、影響調査システム20の制御部21は、出力ファイルの特定処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21の分析部212は、このパラメータファイル250に記録されている出力ファイルIDを特定する。ここで、ステップS1−2において、複数のパラメータファイル250を特定した場合には、それぞれに対応した出力ファイルIDを特定する。そして、分析部212は、特定した出力ファイルIDを、影響調査シート270のアウトプット情報欄に、アウトプットファイルIDとして記録する。
【0038】
次に、影響調査システム20は、出力ファイル毎に以下の処理を繰り返す。
ここでは、影響調査システム20の制御部21は、ジョブの特定処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21の分析部212は、パラメータファイル250のファイル名から抽出したプログラムIDを、定義情報管理テーブル230のパラメータデータ領域において検索する。そして、分析部212は、パラメータデータ領域にプログラムIDが記録されている定義情報管理テーブル230を特定し、この定義情報管理テーブル230のユニット定義データ領域に記録されているユニット名を特定する。
【0039】
次に、影響調査システム20の制御部21は、次回稼動日の特定処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21の分析部212は、特定した定義情報管理テーブル230において、枝コードを含まないユニット名によりルートジョブを特定し、このルートジョブに関連付けられているスケジュール定義情報の処理サイクルを取得する。次に、分析部212は、特定した処理サイクルに基づいて、カレンダから次回稼動日を算出する。そして、分析部212は、ジョブサイクル(処理サイクル)、次回稼動日を影響調査シート270のプログラム情報欄に記録する。
【0040】
次に、影響調査システム20の制御部21は、ジョブレポートの取得処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21の分析部212は、パラメータファイル250のファイル名から抽出したプログラムIDが出力レコード242に記録されたジョブレポート240を、ジョブレポート情報記憶部24から取得する。
【0041】
次に、影響調査システム20の制御部21は、ジョブレポートの検索処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部21の分析部212は、取得したジョブレポート240において、影響調査シート270に記録された調査対象欄のファイルID、項目IDをキーとして、出力レコード242を検索する。この場合、分析部212は、調査対象ファイルID、項目名称、項目IDが、処理名、項目名、変数名の各データ領域に記録され、入力レコード243が空欄の出力レコード242をスタートレコードとして特定する。そして、分析部212は、特定した出力レコード242(スタートレコード)の処理名、項目名、変数名が、導出元処理名、導出元項目名、導出元変数名として記録されている入力レコード243を特定する。更に、分析部212は、この入力レコード243から導出される出力レコード242を特定する。このように、スタートレコードから、連鎖的に出力レコード242を導出する入力レコード243を特定する。
【0042】
次に、影響調査システム20の制御部21は、最後まで到達かどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21の分析部212は、特定した出力レコード242の処理名、項目名、変数名が、導出元処理名、導出元項目名、導出元変数名として記録された入力レコード243を特定できない場合には、最後まで到達と判定する。
【0043】
最後まで到達でないと判定した場合(ステップS1−8において「NO」の場合)、影響調査システム20の制御部21は、ジョブレポートの検索処理(ステップS1−7)を繰り返す。
【0044】
一方、最後まで到達と判定した場合(ステップS1−8において「YES」の場合)、影響調査システム20の制御部21は、アウトプット項目の記録処理を実行する(ステップS1−9)。具体的には、制御部21の分析部212は、最後に到達した出力レコード242の項目名、変数名を、影響調査シート270のアウトプット情報欄において、アウトプット項目、アウトプット項目IDとして記録する。
【0045】
次に、影響調査システム20の制御部21は、アウトプットファイルの特定処理を実行する(ステップS1−10)。具体的には、制御部21の分析部212は、ステップS1−6において取得したジョブレポート240のジョブプロパティ241に記録されたプログラム名及び書込先名を取得する。そして、分析部212は、取得したプログラム名及び書込先名を、それぞれ影響調査シート270のプログラム情報欄のプログラム名、アウトプット情報欄のアウトプットファイル名として記録する。
更に、分析部212は、ファイル転送情報記憶部22を用いて、アウトプットファイルのファイル名、ファイルIDに関連付けられた転送条件(転送時期)、出力先システムIDを特定する。そして、分析部212は、アウトプットファイル名、アウトプットファイルID、ジョブID、出力先システムIDを、それぞれ影響調査シート270の影響範囲欄に記録する。
【0046】
そして、影響調査システム20は、特定したすべての出力ファイルについて終了するまで上記処理を繰り返す。
次に、影響調査システム20の制御部21は、影響調査シートの出力処理を実行する(ステップS1−11)。具体的には、制御部21の出力制御部213は、影響調査情報記憶部27に記録された影響調査シート270を、リスト形式で影響調査画面の調査結果欄に出力する。この場合、出力制御部213は、ユーザ辞書記憶部26を用いて、項目IDをユーザ項目名に変換可能な形態で出力する。
【0047】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態によれば、影響調査システム20の制御部21は、パラメータファイルの検索処理(ステップS1−2)、出力ファイルの特定処理(ステップS1−3)を実行する。これにより、調査対象ファイルや項目を用いるプログラム(ジョブ)を特定し、このプログラムの出力ファイルを特定することができる。
【0048】
(2)本実施形態によれば、影響調査システム20の制御部21は、ジョブの特定処理(ステップS1−4)、次回稼動日の特定処理(ステップS1−5)を実行する。これにより、調査対象ファイルや項目が影響を与えるジョブの実行時期を特定することができる。
【0049】
(3)本実施形態によれば、影響調査システム20の制御部21は、ジョブレポートの取得処理(ステップS1−6)、ジョブレポートの検索処理(ステップS1−7)を実行する。最後まで到達でないと判定した場合(ステップS1−8において「NO」の場合)、影響調査システム20の制御部21は、ジョブレポートの検索処理(ステップS1−7)を繰り返す。これにより、調査対象が影響を与えるファイルや項目を順次、特定することができる。
【0050】
(4)本実施形態によれば、影響調査システム20の制御部21は、アウトプットファイルの特定処理を実行する(ステップS1−10)。これにより、調査対象が影響を与える出力段のファイルを特定することができる。
【0051】
(5)本実施形態によれば、影響調査システム20の制御部21は、影響調査シートの出力処理を実行する(ステップS1−11)。これにより、調査対象のファイルや項目が影響を与えるファイルやプログラム、ジョブを特定することができる。
【0052】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、調査対象ファイルや調査対象項目の影響範囲を出力する。これに加えて、問題があるファイルや項目に関連するジョブの復旧状況を予測するようにしてもよい。この場合には、影響調査システム20に、稼働実績記憶部や復旧実績記憶部を設ける。更に、制御部21に、影響範囲を考慮して復旧を支援するための復旧支援部を設ける。
【0053】
図5に示す稼働実績記憶部には、ジョブIDに関連付けて稼働実績時間を記録する。ジョブIDは、各ジョブを特定するための識別子である。稼働実績時間は、単位データ量に対して処理に要した所要時間である。
【0054】
復旧情報記憶部には、ファイルID、障害種別に関連付けて復旧方法候補、復旧所要時間を記録する。ファイルIDは、各ファイルを特定するための識別子である。障害種別は、障害の種類を特定するための識別子である。復旧方法候補は、ファイルにおいて生じた障害の種類に応じた復旧方法の候補であり、例えば、「上流での再作成」、「下流での部分修正」等を記録しておく。復旧所要時間は、復旧方法に応じて復旧に要した所要時間の統計値である。
【0055】
次に、図5を用いて、復旧予測処理を説明する。
ここでは、影響調査システム20の制御部21は、復旧方法候補の特定処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の復旧支援部は、障害が発生したファイルのファイルIDに関連付けられた復旧方法候補を復旧情報記憶部から取得する。
【0056】
次に、影響調査システム20の制御部21は、取得した復旧方法候補毎に以下の処理を繰り返す。
ここでは、影響調査システム20の制御部21は、影響範囲のファイル、項目の特定処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の復旧支援部は、分析部212に分析依頼を行なう。この分析依頼には、障害が発生したファイルID、項目IDを含める。この場合、分析部212は、調査対象として、分析依頼のファイルID、項目IDを用いて、影響評価処理(図3)を実行する。そして、分析部212は、影響評価処理により生成した影響範囲シートを出力部32に出力する。
【0057】
次に、影響調査システム20の制御部21は、関連ジョブの特定処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の復旧支援部は、特定した影響範囲のファイルがアウトプット情報欄に記録されている影響調査シート270において、プログラム情報欄のプログラムIDを特定する。そして、復旧支援部は、ジョブネット情報記憶部23の定義情報管理テーブル230を用いて、プログラムIDに関連付けられたジョブ(関連ジョブ)を特定する。これにより、アウトプットファイルの出力に必要な関連ジョブを特定することができる。
【0058】
次に、影響調査システム20の制御部21は、関連ジョブ毎に、以下の処理を繰り返す。
ここでは、影響調査システム20の制御部21は、復旧完了時刻の予想処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の復旧支援部は、稼働実績記憶部を用いて、関連ジョブの稼働実績時間を取得する。そして、復旧支援部は、復旧対象のジョブに用いられるデータ量により、ジョブの実行所要時間を予測する。この場合、復旧支援部は、復旧時に実行するジョブについて、実行所要時間に基づいてジョブが実行される稼働時間帯を特定したジョブスケジュールを生成する。そして、復旧支援部は、生成したジョブスケジュールの各時間帯におけるジョブ輻輳状況を特定する。この場合、復旧支援部は、ジョブ輻輳状況を用いて、稼働時間帯を調整する。具体的には、ジョブが輻輳し、ジョブ実行環境のリソースが不足する場合には、ジョブスケジュールにおいて実行所要時間を長くするように補正する。
そして、すべての関連ジョブについて終了するまで繰り返す。
【0059】
次に、影響調査システム20の制御部21は、出力時刻の予測処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の復旧支援部は、ユーザシステムS3に転送するファイルを作成するジョブの終了時刻(最終復旧完了時刻)を特定する。
【0060】
次に、影響調査システム20の制御部21は、出力段の時限に間に合うかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21の復旧支援部は、このファイルについて、ファイル転送情報記憶部22に記録された転送条件から転送時期を取得する。そして、最終復旧完了時刻とファイル転送時刻とを比較する。
【0061】
最終復旧完了時刻がファイル転送時刻よりも遅く、出力段の時限に間に合わないと判定した場合、復旧支援部は、この復旧方法候補に対して利用不可フラグを記録する。
そして、すべての復旧方法候補について、上記処理を繰り返す。
次に、影響調査システム20の制御部21は、ナビゲーション表示処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部21の復旧支援部は、出力部32にナビゲーション画面を出力する。このナビゲーション画面には、復旧方法候補毎に最終復旧完了時刻、利用不可フラグを含める。なお、複数の障害が同時期に発生した場合には、出力時限が近いジョブの復旧方法候補から順番に出力する。
【0062】
また、復旧のためのリソースや担当者の勤務状況を考慮して、復旧作業開始時刻を設定してもよい。この場合には、影響調査システム20を、下流システムのリソース状況情報や、復旧に関わる担当者の勤務情報に接続させておく。そして、影響調査システム20が、リソース管理システムから、下流システムのリソース状況情報や、復旧に関わる担当者の勤務情報を取得する。次に、復旧に利用可能なリソースの空き時刻や、担当者の出勤時刻に基づいて、ジョブスケジュールにおけるジョブの開始時刻を特定し、この開始時刻からジョブの稼働時間帯を算出する。
【0063】
・上記実施形態では、影響調査シートの出力処理を実行する(ステップS1−11)。この場合、リスト形式で影響範囲のジョブやファイルを出力する。出力形式はリスト形式に限定されるものではない。
【0064】
例えば、図6(a)に示すように、ツリー表示600で出力するようにしてもよい。ここでは、出力段のファイルを出力するまでに実行されるジョブJ10〜J17を、先行・後続関係で繋げたツリーを生成し、出力部32に出力する。
【0065】
また、このツリー表示600において、特定の条件を設定することにより、この条件によって影響を受けるジョブと、影響を受けないジョブとを識別できるように表示してもよい。
【0066】
図6(b)を用いて、フィルタ処理を説明する。
まず、影響調査システム20の制御部21は、フィルタリング条件の入力処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21の出力制御部213は、出力部32に条件設定画面を出力する。この条件設定画面には、ジョブにおいて用いられる変数の条件を入力するための設定欄が設けられている。条件としては、ファイルに含まれる項目及び項目値(上限値、下限値、範囲等)や稼働サイクル(実行時期)を用いる。そして、出力制御部213は、条件設定画面に入力された条件を取得する。
【0067】
次に、影響調査システム20の制御部21は、フィルタリング処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部21の出力制御部213は、取得した条件に基づいて、影響評価処理(図3)において、影響範囲の中で、条件に応じて実行されるジョブを特定する。
【0068】
次に、影響調査システム20の制御部21は、調整した影響範囲の出力処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の出力制御部213は、ツリー表示の中で、影響を受けるジョブと影響を受けないジョブとを識別できるように表示する。
【0069】
例えば、図6(c)に示すように、ジョブJ10に後続するジョブJ11,J12の中で、条件が設定された場合、ジョブJ11が影響を受ける場合を想定する。更に、ジョブJ13に後続するジョブJ14,J15の中で、条件が設定された場合、ジョブJ14が影響を受ける場合を想定する。この場合には、ツリー表示610の中で、条件設定によって影響を受けるジョブJ10,J11,J13,J14と、影響を受けないジョブJ12,J16,J17とを識別して出力する。更に、出力制御部213が、ツリー表示において、影響を受ける各ジョブJ10,J11,J13,J14に関連付けて、各ジョブの次回稼動日(実行時期)を表示するようにしてもよい。
【0070】
・上記実施形態では、影響調査シートの出力処理を実行する(ステップS1−11)。ここで、ユーザ部門におけるインパクトを予測して出力するようにしてもよい。
この場合には、図7に示すように、影響調査システム20に、問い合せ実績記憶部、アクセス実績記憶部、影響情報記憶部を設ける。ここで、問い合せ実績記憶部、アクセス実績記憶部が、ユーザ部門からの連絡履歴を記録する連絡履歴記憶部として機能する。
【0071】
問い合せ実績記憶部には、問い合せ実績情報が記録される。この問い合せ実績情報は、ユーザ部門から問い合わせを受けた場合に記録される。この問い合せ実績情報には、問い合せ日時、問い合せ部署、ファイルID、項目ID、問い合せ内容に関する情報が含まれる。問い合せ日時は、問い合わせを受けた年月日及び時刻である。問い合せ部署は、問い合せを行なったユーザ部門の部署を特定するための識別子である。ファイルID、項目IDは、問い合せ対象のファイルや項目を特定するための識別子である。問い合せ内容は、ファイルや項目についての質問内容である。
【0072】
アクセス実績記憶部には、アクセス実績情報が記録される。このアクセス実績情報は、ユーザシステムS3からアクセスがあった場合に記録される。このアクセス実績情報には、アクセス日時、アクセス部署、ファイルID、項目IDに関する情報が含まれる。アクセス日時は、アクセスした年月日及び時刻である。アクセス部署は、アクセスを行なったユーザ部門の部署を特定するための識別子である。ファイルID、項目IDは、アクセス対象のファイルや項目を特定するための識別子である。
【0073】
影響情報記憶部には、各ファイルや項目の影響度を評価した影響評価情報が記録される。この影響評価情報は、後述するインパクト評価を行なった場合に記録される。この影響評価情報には、ファイルID、項目ID、時期・時間帯、影響度、影響部署に関する情報が含まれる。ファイルID、項目IDは、ファイルや項目を特定するための識別子である。時期・時間帯は、ファイル、項目に障害が発生する可能性がある時期(暦日)・時間帯である。影響度は、ファイル、項目に障害が発生した場合のインパクトの大きさを表わす指標である。影響部署は、ファイル、項目に障害が発生した場合に影響を受けるユーザ部門の部署を特定するための識別子である。
【0074】
そして、影響調査システム20の制御部21は、インパクト評価処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部21の分析部212は、「問い合せ」状況、「アクセス」状況を用いたマトリクス評価を行なう。例えば、問い合せ実績記憶部、アクセス実績記憶部に記録されたファイルや項目について、時期・時間帯毎に問い合わせ頻度やアクセス頻度を算出する。そして、各ファイルや項目について、時期・時間帯毎に問い合わせ頻度及びアクセス頻度を変数として用いて重み付けした影響度を算出する。ここでは、問い合わせ頻度が高い程及びアクセス頻度が高い程、高い影響度を算出する。そして、分析部212は、ファイルID、項目ID、時期・時間帯に関連付けて影響度を影響情報記憶部に記録する。更に、分析部212は、問い合せ実績記憶部、アクセス実績記憶部から、この時期・時間帯に問い合せやアクセスを行なった問い合わせ部署やアクセス部署を取得し、影響部署として影響情報記憶部に記録する。
【0075】
次に、影響調査システム20の制御部21は、ステップS1−1と同様に、調査対象の指定処理を実行する(ステップS4−2)。
そして、影響調査システム20の制御部21は、影響範囲の出力処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部21の分析部212は、調査対象として取得したファイルIDや項目ID、アウトプットファイルの出力時期が時期・時間帯に含まれる影響評価情報を特定する。そして、分析部212は、出力部32に、影響情報記憶部に記録された影響度を出力する。これにより、ユーザ部門の業務に影響がある出力段の項目の評価に基づいて、各ジョブや項目を評価することができる。この場合にも、ユーザ辞書記憶部26を用いて、項目IDを名称に変更してもよい。
【0076】
・上記実施形態では、影響調査システム20の制御部21は、調査対象の指定処理を実行する(ステップS1−1)。ここでは、調査対象としてファイルや項目を指定する。調査対象はファイルや項目に限定されるものではない。例えば、プログラムを調査対象として指定するようにしてもよい。この場合には、調査対象として指定されたプログラムIDを用いて、ステップS1−4以降の処理を実行する。また、調査対象としてジョブを指定するようにしてもよい。この場合、ジョブネット情報記憶部23において、指定されたジョブ識別子がユニット定義データ領域に記録された定義情報管理テーブル230を用いて、パラメータデータ領域からプログラムIDを取得する。そして、このプログラムIDを用いて、ステップS1−4以降の処理を実行する。例えば、更改予定のプログラムやジョブを指定して、このプログラムやジョブから出力されるファイルや項目により、影響範囲を予測することができる。
【0077】
・上記実施形態では、影響調査システム20の制御部21は、影響調査シートの出力処理を実行する(ステップS1−11)。この場合、分析部212が、次回稼動日の中で早い順番にプログラムを並べ替えて、プログラム情報欄、インプット情報欄、アウトプット情報欄を出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
S1…対顧系システム、S2…内部管理システム、S3…ユーザシステム、11…ファイル転送管理システム、12…ジョブ運用管理システム、13…データ統合支援システム、20…影響調査システム、21…制御部、211…情報取得部、212…分析部、213…出力制御部、22…ファイル転送情報記憶部、23…ジョブネット情報記憶部、24…ジョブレポート情報記憶部、240…ジョブレポート、25…パラメータ情報記憶部、250…パラメータファイル、26…ユーザ辞書記憶部、27…影響調査情報記憶部。
【要約】
【課題】複数の情報処理が実行されるシステム内で利用される情報の影響範囲を予測するための影響調査システム、影響調査方法及び影響調査プログラムを提供する。
【解決手段】影響調査システム20の制御部21が、ジョブに用いられるプログラムに入力するファイル特定情報が記録されたパラメータファイルにおいて、調査対象のファイルを用いるすべてのプログラム及びアウトプットファイルを特定し、特定したプログラムにおいて出力される項目情報を含む出力情報と、出力情報を導出する項目情報を含む入力情報とを記録したジョブレポート情報記憶部を用いて、入力情報が記録されておらず、調査対象の項目が記録された出力情報から、この出力情報を導出する入力情報を順次検索し、出力段における出力項目を特定し、アウトプットファイル及び出力項目の特定情報を含めた影響範囲を出力する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7