(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係るクレジットカード利用通知システムを詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るクレジットカード利用通知システムを構成するコンピュータシステム全体の構成の例を示している。
【0019】
本実施形態に係るクレジットカード利用通知システムは、オーソリサーバ1、売上サーバ2、POSコンピュータ3、およびクライアントコンピュータ4を備え、それらがインターネットなどの公衆回線などを含むネットワーク5を介して相互に接続されている。
【0020】
オーソリサーバ1は、本発明に係るクレジットカード利用通知システムに従ったサービス(以下、「クレジットカード利用通知サービス」)を提供する事業者(以下、「サービス提供事業者」)の下に設置されたコンピュータデバイスである。オーソリサーバ1は、POSコンピュータ3から送信されたオーソリ要求電文に応じて、クレジットカード利用に対するオーソリ処理を実行する。オーソリ処理の結果、クレジットカード利用に対して承認/保留と判定した場合に、オーソリサーバ1は、オーソリ処理の結果をPOSコンピュータ3に送信し、クライアントコンピュータ4に利用通知電文を送信する。POSコンピュータ3がECサイト運営業者のコンピュータである場合には、クライアントコンピュータ4から送信されたカード情報などに基づいてオーソリ要求が生成され、生成されたオーソリ要求がオーソリサーバ1に送信される。オーソリ処理の結果は、ECサイト運営業者のコンピュータであるPOSコンピュータ3を通じてクライアントコンピュータ4に提示され、また、利用通知電文がクライアントコンピュータ4に送信される。
【0021】
売上サーバ2は、サービス提供事業者の下に設置されたコンピュータデバイスである。売上サーバ2は、POSコンピュータ3から送信された売上情報電文に応じて、クライアントコンピュータ4に売上通知電文を予め定められたタイミングで送信する。
【0022】
本実施形態では、オーソリサーバ1および売上サーバ2が別個のコンピュータデバイスとして実装されているが、それら2つが1つまたは複数のコンピュータデバイスとして実装され、双方の機能を実行してもよい。また、オーソリサーバ1と売上サーバ2とがデータおよび制御情報を交換することになるが、そのデータなどの交換は、ネットワーク5とは異なる図示しない別個の専用回線などを通じて行われてもよい。
【0023】
POSコンピュータ3は、サービス提供事業者と提携している加盟店に設置されたキャッシュレジスタ機器である。POSコンピュータ3は、クレジットカードに付された磁気ストライプなどを読み取ることによって取得したカード番号および決済金額などを含むオーソリ要求電文をオーソリサーバ1に送信する。POSコンピュータ3はまた、カード番号、加盟店識別番号および決済金額などを含む売上情報電文を売上サーバ2に送信する。
【0024】
クライアントコンピュータ4は、サービス提供事業者が発行したクレジットカードを利用し、クレジットカード利用通知サービスを受ける利用者が保持するコンピュータデバイスである。また、クライアントコンピュータ4は、オンライン決済などにおいてクレジットカードを利用する場合、ECサイト運営業者のコンピュータであるPOSコンピュータ3にカード情報を送信し、POSコンピュータ3がオーソリ要求電文をオーソリサーバ1に送信する。利用者は、クライアントコンピュータ4の表示部に表示された入出力インタフェースなどを通じて、所定の情報を入力して、オーソリサーバ1および売上サーバ2に記憶された自身の利用者情報を登録および更新する。また、クライアントコンピュータ4は、利用通知電文などを受信し、利用通知電文に対応する利用通知メールなどを入出力インタフェースに表示する。
【0025】
クライアントコンピュータ4は、携帯電話、タブレットコンピュータおよびPDA(Personal Digital Assistance)などの携帯型コンピュータデバイス、ならびにラップトップ型およびデスクトップ型コンピュータなどのパーソナルコンピュータなどの、通信機能を備えている任意のコンピュータデバイスを含んでもよい。
【0026】
次に、
図2を参照して、本発明に係るクレジットカード利用通知システムを構成するコンピュータデバイスの詳細な構成の例を説明する。
【0027】
図2に示すように、オーソリサーバ1は、通信部11、制御部12、主記憶部13、および補助記憶部14を備えており、それらの各要素がシステムバスを介して結合されている。
【0028】
通信部11は、ネットワーク5を介してそれぞれ接続された売上サーバ2、POSコンピュータ3、およびクライアントコンピュータ4との間で、制御情報およびデータなどを送受信する通信インタフェースである。
【0029】
制御部12は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、補助記憶部14に記憶されたプログラムを主記憶部13に読み出してを実行することによって、上記各構成要素を制御し、データの演算を実行する。つまり、制御部12は、本発明に係るクレジットカード利用通知システムが実行する処理の一部を実行する主要な構成要素である。
【0030】
主記憶部13は、メインメモリとも称され、制御部12から直接読み出される記憶領域であり、補助記憶部14に記憶されたプログラムを一時的に記憶する。
【0031】
補助記憶部14は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、上述したプログラムを記憶している。また、オーソリサーバ1は、DBMS(Database Management system)を実装しており、補助記憶部14は、後述する利用者データテーブルなどのデータベーステーブル14aを記憶している。
【0032】
売上サーバ2は、通信部21、制御部22、主記憶部23、および補助記憶部24を備えており、それらの各要素がシステムバスを介して結合されている。通信部21、制御部22、主記憶部23、および補助記憶部24は、オーソリサーバ1を構成する通信部11、制御部12、主記憶部13、および補助記憶部14とそれぞれ同様であるので、それらの詳細な説明は省略する。
【0033】
POSコンピュータ3は、通信部31、制御部32、主記憶部33、補助記憶部34、およびI/Oインタフェース35を備えており、それらの各要素がシステムバスを介して結合されている。POSコンピュータ3はまた、I/Oインタフェース35を介して接続されたリーダ36を備えている。通信部31、制御部32、主記憶部33、および補助記憶部34は、オーソリサーバ1を構成する通信部11、制御部12、主記憶部13、および補助記憶部14とそれぞれ同様であるので、それらの詳細な説明は省略する。なお、補助記憶部34には、各加盟店を識別する加盟店識別番号が記憶されている。
【0034】
I/Oインタフェース35は、USBなどの規格に従って、リーダ36などの周辺機器を接続するインタフェースであり、それらの周辺機器とデータを送受信する。
【0035】
リーダ36は、利用者が保持するクレジットカードに付された磁気ストライプを読み取って、エンコードされたカード番号などを制御部32に渡す磁気カードリーダを含む。また、リーダ36は、利用者が保持するクレジットカードにICチップが付されている場合は、そのICチップを読み取ってICチップに記憶されたカード番号などを制御部32に渡すICチップリーダを含む。
【0036】
クライアントコンピュータ4は、通信部41、制御部42、主記憶部43、補助記憶部44、および表示部45を備えており、それらの各要素がシステムバスを介して結合されている。通信部41、制御部42、主記憶部43、および補助記憶部44は、オーソリサーバ1を構成する通信部11、制御部12、主記憶部13、および補助記憶部14とそれぞれ同様であるので、それらの詳細な説明は省略する。
【0037】
表示部45は、オーソリサーバ1および/または売上サーバ2からWEBページをダウンロードすることによって、または制御部42が所定のプログラムを実行することによって表示される入出力インタフェースを表示するディスプレイスクリーンである。
【0038】
次に、
図3のフローチャートを参照して、本発明の一実施形態に係るクレジットカード利用通知システムが実行する処理の例を説明する。本実施形態では、利用者が加盟店においてクレジットカードを利用する例を説明する。
【0039】
まず、
図3で説明する処理の前提として、利用者は、自身が保有するクライアントコンピュータ4の表示部45に表示される利用通知設定情報登録画面を通じて、利用通知設定情報を登録しているものとする。
図4に利用通知設定情報登録画面400の例を示す。
【0040】
図4に示すように、利用通知設定情報登録画面400は、カード利用通知有無選択ラジオボタン401、通知対象取引選択ラジオボタン402、および通知対象金額入力ボックス403を含む。
【0041】
カード利用通知有無選択ラジオボタン401は、利用者がクレジットカードを利用する際に、その利用したことの通知メールを受信するか否かを選択するラジオボタンである。カード利用通知有無選択ラジオボタン401で「受信する」を選択した利用者のみが、本実施形態に係るクレジットカード利用通知システムの処理対象となる。
【0042】
通知対象取引選択ラジオボタン402は、利用者がクレジットカードを利用する際の取引の全てについて通知メールを受信するか、または非対面取引(オンライン決済など、加盟店において店員によるPOSコンピュータ3を介さない取引)についてのみ通知メールを受信するかを選択するラジオボタンである。また、本発明の他の実施形態では、対面取引についてのみ通知メールを受信することを選択することも可能である。通知メールを受信することによって、利用者は、クレジットカードが利用されたことを迅速に把握することが可能となる。
【0043】
通知対象金額入力ボックス403は、通知メールを受信する条件となる、利用者がクレジットカードを利用した決済金額の上限額を指定する入力ボックスである。例えば、通知対象金額入力ボックス403の上欄「1回」に10000円を入力した場合、1回の取引での決済金額が10000円以上であった場合に通知メールを受信することになる。通知対象金額入力ボックス403の下欄「1ヶ月」に50000円を入力した場合、1ヶ月間の取引の決済金額合計が50000円以上となった場合に通知メールを受信することになる。
【0044】
利用通知設定情報登録画面400において上述した情報が入力されると、クライアントコンピュータ4の通信部は、入力された情報を含む利用通知設定情報電文(カード番号、月額限度額などの情報も含む)をオーソリサーバ1に送信する。送信された利用通知設定情報電文は、オーソリサーバ1および売上サーバ2によって共有されてよい。
【0045】
オーソリサーバ1の通信部11が利用通知設定情報電文を受信すると、制御部12が、受信した利用通知設定情報電文に基づいて補助記憶部14に記憶された利用者データテーブル500の対象のレコードを更新する。なお、利用者データテーブル500は、売上サーバ2の補助記憶部24にも同様に記憶される。利用者データテーブル500の例を
図5に示す。
【0046】
図5に示すように、利用者データテーブル500は、データ項目「カード番号」、「氏名」、「月額限度額」、「累計利用額」、「通知有無」、「通知対象取引」、「通知対象金額1」、「通知対象金額2」、「状態」、および「メールアドレス」を含む。データ項目「カード番号」、「氏名」、「月額限度額」および「メールアドレス」は、利用者がクレジットカードに加入した際に割り当てられた番号/登録した情報が設定される。
【0047】
データ項目「通知有無」、「通知対象取引」、「通知対象金額1」および「通知対象金額2」は、利用通知設定情報電文に含まれる情報が設定され、例えば、「通知有無」には「1:受信する」、「通知対象取引」には「1:全取引」、「通知対象金額1」には「10000(1回あたりの決済金額上限)」および「通知対象金額2」には「50000(1月あたりの決済金額上限)」が設定される。
【0048】
データ項目「累計利用額」は、該当の利用者が月ごとにクレジットカードを利用した取引の決済金額の合計が設定される。つまり、月ごとに、クレジットカードを利用するごとに本データ項目の値が加算される。
【0049】
データ項目「状態」は、該当のクレジットカードの有効/無効状態を示す値が設定され、例えば、「1:有効」が設定される。この「状態」には、例えば、利用者がクレジットカードを紛失し、カード利用停止の届出をした場合などに、例えば、「2:無効」が設定される。
【0050】
また、オーソリサーバ1の補助記憶部14には、
図6に示す加盟店データテーブル600が記憶されている。加盟店データテーブル600は、サービス提供事業者と提携している全ての加盟店の情報を記憶したデータベーステーブルであり、業種コード(例えば、書店、コンビニエンスストア、貴金属店など、加盟店の業種示す値が設定される)および住所などの情報を有している。
【0051】
さらに、オーソリサーバ1の補助記憶部14には、
図7に示す利用履歴データテーブル700が記憶されている。利用履歴データテーブル700は、利用者の過去の利用履歴に関する情報を記憶したデータベーステーブルであり、後述するクレジットカードが不正利用であるか否かを判定するために使用される。
【0052】
図7に示すように、利用履歴データテーブル700は、データ項目「利用者番号」、「平均決済金額」、「最大決済金額」、「利用都道府県(北海道、青森など全都道府県)」、および「利用業種」を含む。
【0053】
データ項目「平均決済金額」および「最大決済金額」はそれぞれ、該当の利用者がクレジットカードを使用した取引の平均決済金額および最大決済金額であり、クレジットカードを利用する都度、それらの値が更新される。
【0054】
データ項目「利用都道府県」は、利用者がクレジットカードを利用した加盟店が属する都道府県ごとの使用頻度を表している。例えば、利用者が加盟店でクレジットカードを利用する都度、その加盟店の住所が属する都道府県の項目に1が加算される(加盟店データテーブル600のデータ項目「住所」に基づいて参照する)。
【0055】
データ項目「利用業種」は、利用者がクレジットカードを利用した加盟店が属する業種ごとの使用頻度を表している。例えば、利用者が加盟店でクレジットカードを利用する都度、その加盟店が属する業種の項目に1が加算される(加盟店データテーブル600のデータ項目「業種番号」に基づいて参照する)。この「利用業種」は、予め定義された全業種について使用頻度を管理してもよく、または、特定の業種(例えば、貴金属店など統計的に高額決済になる傾向があり、もしくは不正利用がされやすい業種)のみについて使用頻度を管理してもよい。
【0056】
本実施形態では、利用履歴データテーブル700は、利用者ごとのデータレコードを有しているが、利用者ごと、かつ年/月ごとにデータレコードを有してもよい。
【0057】
このような状態で、利用者が加盟店においてクレジットカードを利用すると、クレジットカードに付された磁気ストライプがPOSコンピュータ3のリーダ36によって読み取られ、POSコンピュータ3に決済金額が入力される。そして、磁気ストライプにエンコードされたカード番号および決済額が制御部32によって取得される(ステップS301)。次に、制御部32がカード番号、決済金額、および補助記憶部34に記憶された加盟店識別番号を含むオーソリ要求電文を生成し、通信部31がオーソリ要求電文をオーソリサーバ1に送信する(ステップS302)。
【0058】
オーソリサーバ1の通信部11がオーソリ要求電文を受信すると、制御部12は、オーソリ要求電文に含まれるカード番号に基づいて、利用者データテーブル500から該当の利用者データレコードを取得する(ステップS303)。
【0059】
次に、制御部12は、ステップS303で受信したオーソリ要求電文に含まれる決済金額と、ステップS303で取得した利用者データレコードに含まれるデータ項目「月額限度額」および「状態」とに基づいて、当該クレジットカードの有効性を判定する(ステップS304)。
【0060】
ここで、本ステップでの有効性の判定では、ステップS303で取得した利用者データレコードに含まれるデータ項目「状態」が「1:有効」であり、オーソリ要求電文に含まれる決済金額がデータ項目「月額限度額」以内であり、かつ当該決済金額をデータ項目「累計利用額」に設定された値に加算した額が月額限度額以内であるか否かが判定される。判定の結果、全ての条件を満たす場合は、クレジットカードが「有効」と判定される。一方で、全ての条件のうちのいずれかを満たさない場合は、クレジットカードの利用が「非承認」と判定される。本実施形態では、上述した条件を満たすか否かによってクレジットカードの有効性を判定しているが、この条件は例示的なものにすぎず、様々な基準に基づいて有効性が判定されてもよい。
【0061】
ステップS304での有効性の判定においてクレジットカードの利用が「非承認」と判定された場合(ステップS305でNo)、カード利用が非承認であることを示す非承認電文をPOSコンピュータ3に送信して(ステップS306)処理を終了する。一方で、クレジットカードが「有効」と判定された場合(ステップS305でYes)、制御部12は、ステップS303で受信したオーソリ要求電文に含まれる加盟店識別番号に基づいて、加盟店データテーブル600から該当の加盟店データレコードを取得する(ステップS307)。
【0062】
次に、制御部12は、ステップS303で受信したオーソリ要求電文に含まれるカード番号に基づいて、利用履歴データテーブル700から該当の利用履歴データレコードを取得する(ステップS308)。
【0063】
次に、制御部12は、ステップS303で受信したオーソリ要求電文に含まれる決済金額、ステップS307で取得した加盟店データレコードに含まれるデータ項目「住所」および「業種番号」、ならびにステップS308で取得した利用履歴データテーブル700に含まれる各データ項目に基づいて、表1に示す基準に従って、クレジットカードの利用が不正利用であるか否かを判定する(ステップS309)。なお、表1に示した判定基準は単なる例示であって、カードの不正利用を判断するための様々な条件を設定可能である。
【0065】
条件1および2では、該当のクレジットカードを利用した取引の決済金額が、過去の平均決済金額/最大決済金額と比較して一定の額以上を上回るか否かが判定される。これは、統計的に、過去の使用履歴では存在しないような高額決済である場合は、不正利用である可能性があるからである。
【0066】
条件3では、該当のクレジットカードを利用した加盟店が属する業種が、過去にほとんどまたは全く使用されていない業種であるか否かが判定される。これは、統計的に、過去の使用履歴では存在しないような業種に属する加盟店でのクレジットカード利用である場合は、不正利用である可能性があるからである(例えば、宝石店などの高額決済になる傾向がある業種に属する加盟店での利用が過去に全く存在しないにも関わらず、宝石店に属する加盟店で利用された場合)。
【0067】
条件4では、該当のクレジットカードを利用した加盟店が位置する都道府県が、過去にほとんどまたは全く使用されていない都道府県であるか否かが判定される。これは、統計的に、過去の使用履歴では存在しないような都道府県に位置する加盟店でのクレジットカード利用である場合は、不正利用である可能性があるからである(例えば、沖縄県に位置する加盟店での利用が過去に全く存在しないにも関わらず、沖縄県に位置する加盟店で利用された場合)。本発明の他の実施形態では、ある都道府県で対面利用によるカード利用があった後に、距離的に離れた別の都道府県で対面利用によるカード利用があった場合にも、不正利用であると判断することも可能である。
【0068】
表1に示す条件1乃至4のいずれか、またはいずれかの組み合わせを満たした場合、クレジットカードの利用が「不正利用」と判定される。一方で、条件1乃至4のいずれも満たさない場合、クレジットカードの利用が「正常利用」と判定される。この不正利用判定条件は例示的なものにすぎず、過去の統計から不正利用である可能性がある様々な条件に基づいて判定されてもよい。
【0069】
ステップS309での不正利用の判定において「正常利用」と判定された場合(ステップS310でYes)、クレジットカードの利用が「承認」と判定される(ステップS311)。
【0070】
一方で、クレジットカードの利用が「不正利用」と判定された場合(ステップS310でNo)、クレジットカードの利用が「保留」と判定される(ステップS312)。この場合、オーソリサーバ1の通信部11は、POSコンピュータ3に保留電文を送信する(ステップS313)。この場合、ステップS316に遷移する。
【0071】
また、制御部12は、少なくとも、カード番号、決済金額、および業種番号(または都道府県)を含む保留状態データを生成し(図示せず)、補助記憶部14に記憶する。この保留状態データは、クレジットカードの利用ごとに管理される保留状態となったことを示すデータであり、データベーステーブルであってもよく、またはデータファイルであってもよい。
【0072】
なお、クレジットカードの利用が「保留」と判定された場合、その状態で、保留状態データに含まれるカード番号と同一のクレジットカード番号であり、決済金額と同額またはその一定範囲内の決済金額であり、かつ同一または類似の業種番号に属する加盟店でのクレジットカードの利用が後にされた場合は、同様に不正利用と判定される。
【0073】
ステップS311でクレジットカードの利用が「承認」と判定された場合、オーソリサーバ1の通信部11は、ステップS311でクレジットカードの利用が「承認」と判定されたことを条件に、クレジットカード利用が承認されたことを示す承認電文をPOSコンピュータ3に送信する(ステップS314)。
【0074】
承認電文を受信したPOSコンピュータ3の制御部32は、ステップS301で取得されたカード番号、決済金額、補助記憶部34に記憶された加盟店識別番号、および支払回数などを含む売上情報電文を売上サーバ2に送信する(ステップS315)。この処理によって、売上サーバ2によって、利用者によるクレジットカードを使用した取引の売上情報が記録され、利用者の利用明細として管理される。なお、この売上情報の記録は、従来のクレジットカードサービスを提供する事業者によるシステムで実行されるものと同一であるので、本明細書では、その詳細な説明は省略する。
【0075】
次に、制御部12は、表2に示す項目を含む利用通知電文を生成し、通信部11が、ステップS303で取得した利用者データレコードに含まれるデータ項目「メールアドレス」に示される宛先であるクライアントコンピュータ4に送信する(ステップS316)。
【0077】
ステップS316における利用通知電文は、利用通知設定情報登録画面400において入力された利用通知設定情報に従って送信される。例えば、ステップS303で取得した利用者データレコードに含まれるデータ項目「通知対象取引」に「2:非対面取引のみ」が設定されている場合は、非対面取引(オンライン決済であり、加盟店の利用は対象外)のときのみ利用通知電文が送信される。「通知対象金額1」に「10000」が設定されている場合は、決済金額が10000円以上である場合のみ利用通知電文が送信される。「通知対象金額2」に「50000」が設定されている場合は、該当月の決済金額合計が50000円以上である場合のみ利用通知電文が送信される。
【0078】
なお、オーソリ要求電文は、例えば、ISO8583などの金融取引に関する電子メッセージの標準規格に従っており、例えば、ISO8583で規定する「POS入力モード」などによって、利用者のクレジットカード利用が非対面取引であるか否かを判定することができる。後述する売上情報電文についても同様である。
【0079】
ステップS315で利用通知電文がクライアントコンピュータ4に送信されると、クライアントコンピュータの制御部42がメーラを起動することによって、表示部45に、
図8に示す利用通知メールが表示される。なお、本発明の一実施形態では、メーラ以外にもメッセージを受信可能なアプリケーション等を利用することが可能である。
【0080】
クレジットカードの利用が「正常利用」と判定された場合、カード利用速報として、利用者がクレジットカードを使用した取引の決済金額などが表示される(
図8(a)に示す利用通知メール801)。クレジットカードの利用が「不正利用」と判定された場合、カード保留通知として、利用者がクレジットカードを使用した取引の決済金額および保留状態であることを示すメッセージなどが表示される(
図8(b)に示す利用通知メール802)。
【0081】
なお、保留状態において利用者の本人確認がされると、上述した保留状態データが削除され、保留状態データに含まれるカード番号と同一のクレジットカード番号であり、決済金額と同額またはその一定範囲内の決済金額であり、かつ同一または類似の業種番号に属する加盟店でのクレジットカードの後の利用が承認される。なお、本発明の他の実施形態では、保留状態データは、削除されることなく、フラグに値を設定することなどにより、保留状態データを無効化するようにすることもできる。
【0082】
具体的には、利用者は、自身のクライアントコンピュータ4を使用して、
図8(b)に示すURLのサイトにアクセスする(このアクセスの際に、カード番号(または利用者ごとに割り当てられた利用者番号)およびパスワードを入力することによって認証がされる)する。アクセスすると、クライアントコンピュータ4の表示部には、
図9に示す保留解除画面900が表示される。この状態で、利用者が保留解除ボタン901を押下することによって、クライアントコンピュータ4の通信部41がオーソリサーバ1に保留解除電文(カード番号および決済金額を含む)を送信し、オーソリサーバ1で保留状態データが削除される。
【0083】
このように、クレジットカードの利用を保留状態にすることによって、不正利用をさらに効果的に防止するとともに、所定の認証(つまり、本人確認)を通じて保留解除画面900から簡易に保留解除することができる。
【0084】
次に、ステップS317では、売上サーバ2の通信部21がステップS314で送信された売上情報電文を受信すると、制御部22は、売上情報電文に含まれるカード番号に基づいて、利用者データテーブル500から該当の利用者データレコードを取得する。
【0085】
次に、制御部22は、ステップS317で受信した売上情報に含まれる決済金額などの情報、およびステップS317で取得した利用者データレコードに含まれる累積利用額などの情報に基づいて、売上通知電文を生成し、通信部21が、ステップS317で取得した利用者データレコードに含まれるデータ項目「メールアドレス」に示される宛先であるクライアントコンピュータ4に送信する(ステップS318)。
【0086】
ステップS318における売上通知電文は、会員番号、利用者氏名、利用日時、決済金額、累計利用額、利用加盟店名、支払方法、および支払日などを含む。送信される条件としては、上述した利用通知電文と同様に、利用通知設定情報登録画面400において入力された利用通知設定情報に従って送信される。
【0087】
ステップS318で売上通知電文がクライアントコンピュータ4に送信されると、クライアントコンピュータの制御部42がメーラを起動することによって、表示部45に、
図10に示す売上通知メール1000が表示される。なお、本発明の一実施形態では、メーラ以外にもメッセージを受信可能なアプリケーション等を利用することが可能である。
【0088】
以上のように、本実施形態に係るクレジットカード利用通知システムが実行する処理の例を説明した。本発明に係るクレジットカード利用通知システムによれば、オーソリ処理においてクレジットカードの利用が承認された場合および保留状態の場合、ならびにオーソリ処理において承認が通知されたことに応答して売上情報が通信された場合にカード利用通知がされるので、利用者にとって必要となる情報のみを通知することによって、不正利用がされたことを適切に把握することができる。
【0089】
また、本発明に係るクレジットカード利用通知システムによれば、通知対象金額入力ボックス403に1回ごとの金額が入力された場合には、それぞれの取引の金額情報が通信され、かつ当該金額条件を満たした場合に通知が行われ、また、通知対象金額入力ボックス403に入力された1ヶ月間の取引の決済金額合計よりも1ヶ月間のオーソリ(承認)/売上の金額が上回った場合に通知が行われる。
【0090】
また、保留状態に関しては、カードの有効性のみでなく、不正利用である可能性がある利用を判定し、その事実を利用者に通知するので、不正利用がされたことをさらに適切に把握することができる。
【0091】
さらに、クレジットカードの利用によって月ごとの累積利用金額が上限を上回るタイミングでその事実を利用者に通知するので、利用者に該当月でクレジットカードを過度に利用してしまったことを通知することができる。
【0092】
なお、本実施形態では、利用者が加盟店でクレジットカードを利用する例を説明したが、加盟店を介さず、オンライン決済(つまり、非対面取引)での利用も本実施形態に含まれる。この場合、加盟店に設置されたPOSコンピュータ3に代わって、オンライン決済を運営する業者のPOSコンピュータ3からオーソリ要求電文および売上情報電文がオーソリサーバ1および売上サーバ2にそれぞれ送信される。
【0093】
上記説明した処理の実行順序は例示的なものにすぎず、説明した順序とは異なる順序で実行されてもよい。また、入力項目における上述した属性判定ルールについても上述したものに限定されず、入力項目の属性に応じて様々な属性抽出ルールが使用されてもよい。