(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つのマイクロ入射光学系(31)と、該マイクロ入射光学系(31)に割り当てられた1つのマイクロ出射光学系(41)とは、1つのマイクロ光学系システムを構成し、該マイクロ光学系システムは、少なくとも1つのマイクロ光学系焦点(F1)を有すること
を特徴とする、請求項1又は2に記載のマイクロ投射ライトモジュール。
各マイクロ入射光学系(31)のマイクロ光学系焦点(F1)は、光出射方向において、該マイクロ入射光学系(31)に割り当てられたマイクロ出射光学系(41)の手前に位置し、マイクロ入射光学系(31)は、該マイクロ入射光学系(31)を通過する光を、垂直方向において、それぞれマイクロ出射光学系(41)の手前に位置するマイクロ光学系焦点(F1)へ集束し、更にマイクロ出射光学系(41)は、該マイクロ出射光学系(41)に割り当てられたマイクロ入射光学系(31)のマイクロ光学系焦点(F1)とそれぞれ一致する焦点を有すること
を特徴とする、請求項3又は4に記載のマイクロ投射ライトモジュール。
前記第1遮光装置(50)は、複数のマイクロ光学系焦点(F1)により規定されている平面内に位置し、前記第1遮光装置(50)は、互いに割り当てられたマイクロ入射光学系(31)とマイクロ出射光学系(41)の少なくとも1つの対のために、又は複数の対のために、又は全ての対のために、それぞれ少なくとも1つの光学的に有効な遮光縁部(51’、 52’、 53’、 54’、 55’)を備えた遮光部(51〜55)を有すること
を特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のマイクロ投射ライトモジュール。
垂直方向(V)に関して、遮光部(61〜65、71〜75)における下側の光学的に有効な遮光縁部(61’〜65’、71’〜75’)及び/又は遮光部(81〜89)における上側の光学的に有効な遮光縁部(81’〜89’)は、1つか又は2つ以上の湾曲された及び/又は直線状の部分を有し、又は三角形状か、台形状か、湾曲状か、若しくは円形状で構成されていること
を特徴とする、請求項12に記載のマイクロ投射ライトモジュール。
前記第2遮光装置(60)は、前記第1遮光装置(50)に関して、前記第2遮光装置(60、70、80)の遮光部(61〜65、71〜75、81〜89)が前記第1遮光装置(50)の遮光部(51〜55)に対して、垂直方向に、即ち垂直方向(V)に対して平行に、ずらされているように配設されていること
を特徴とする、請求項12又は13に記載のマイクロ投射ライトモジュール。
2つ以上のグループのマイクロ投射ライトモジュール(AA、AA1、AA2、SS1、BF1〜BF8、FL、ABL、SA1、SA2)が設けられており、各グループは、1つか又は2つ以上のマイクロ投射ライトモジュール(1)を含み、1つのグループのマイクロ投射ライトモジュール(AA、AA1、AA2、SS1、BF1〜BF8、FL、ABL、SA1、SA2)は、同じ配光(LVAA、LVAA1、LVAA2、LVSS1、LVBF1〜LVBF8、LVFL、LVABL、LVSA1、LVSA2)を発生させ、異なるグループのマイクロ投射ライトモジュール(AA、AA1、AA2、SS1、BF1〜BF8、FL、ABL、SA1、SA2)は、異なる配光(LVAA、LVAA1、LVAA2、LVSS1、LVBF1〜LVBF8、LVFL、LVABL、LVSA1、LVSA2)を発生させ、マイクロ投射ライトモジュールの各グループの光源は、他のグループの光源に依存せずに点灯制御可能であり、1つのグループのマイクロ投射ライトモジュール(AA、AA1、AA2、SS1、BF1〜BF8、FL、ABL、SA1、SA2)の投射装置(3)、又は全てのマイクロ投射ライトモジュールの投射装置(3)は、共通の構成部材(300)を構成すること
を特徴とする、請求項23に記載の照射装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)自動車投光器用のマイクロ投射ライトモジュールであって、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの投射装置とを含み、前記投射装置は、少なくとも1つの前記光源から出射する光を少なくとも1つの配光のかたちで自動車の前方の領域へ結像し、前記投射装置は、好ましくは1つのアレー内に配設された1つか又は2つ以上のマイクロ入射光学系を有する入射光学系と、好ましくは1つのアレー内に配設された1つか又は2つ以上のマイクロ出射光学系を有する出射光学系とを含み、各マイクロ入射光学系には、正に1つのマイクロ出射光学系が割り当てられており、マイクロ入射光学系は、実質的に1つのマイクロ入射光学系から出射する全ての光が該マイクロ入射光学系に割り当てられたマイクロ出射光学系だけに入射するように構成され、及び/又は、マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は、実質的に1つのマイクロ入射光学系から出射する全ての光が該マイクロ入射光学系に割り当てられたマイクロ出射光学系だけに入射するように互いに配設されており、マイクロ入射光学系により予め成形された光は、マイクロ出射光学系により、少なくとも1つの配光として自動車の前方の領域へ結像され、前記入射光学系と前記出射光学系の間には、第1遮光装置が配設されているという構成であり、前記入射光学系と前記出射光学系の間には、少なくとも1つの第2遮光装置が配設されていること。
(形態2)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、前記第2遮光装置は、前記第1遮光装置と前記出射光学系の間に配設されていることが好ましい。
(形態3)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、1つのマイクロ入射光学系と、該マイクロ入射光学系に割り当てられた1つのマイクロ出射光学系とは、1つのマイクロ光学系システムを構成し、該マイクロ光学系システムは、少なくとも1つのマイクロ光学系焦点を有することが好ましい。
(形態4)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、各マイクロ入射光学系は、該マイクロ入射光学系を通過する光を少なくとも1つのマイクロ光学系焦点へ集束することが好ましい。
(形態5)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、各マイクロ入射光学系のマイクロ光学系焦点は、光出射方向において、該マイクロ入射光学系に割り当てられたマイクロ出射光学系の手前に位置し、マイクロ入射光学系は、該マイクロ入射光学系を通過する光を、垂直方向において、それぞれマイクロ出射光学系の手前に位置するマイクロ光学系焦点へ集束し、更にマイクロ出射光学系は、該マイクロ出射光学系に割り当てられたマイクロ入射光学系のマイクロ光学系焦点とそれぞれ一致する焦点を有することが好ましい。
(形態6)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、各マイクロ光学系システムは、該マイクロ光学系システムを通過する光を水平方向において拡開することが好ましい。
(形態7)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、各マイクロ入射光学系は、集光光学系として構成されており、好ましくは、該集光光学系は、光を少なくとも1つの方向において、好ましくは水平方向において集光することが好ましい。
(形態8)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、各マイクロ出射光学系は、投射光学系として、又は球面レンズとして、又は非球面レンズとして、又はフリーフォームレンズとして構成されていることが好ましい。
(形態9)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、互いに割り当てられたマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の互いに向き合う境界面は、互いに合同に構成され、好ましくは平坦に構成され、好ましくは互いに合同に配設もされていることが好ましい。
(形態10)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、互いに割り当てられたマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の光学軸線は、互いに平行に延在し、好ましくは一致していることが好ましい。
(形態11)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、前記第1遮光装置は、複数のマイクロ光学系焦点により規定されている平面内に位置し、前記第1遮光装置は、互いに割り当てられたマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の少なくとも1つの対のために、好ましくは複数の対のために、特に全ての対のために、それぞれ少なくとも1つの、例えば正に1つの光学的に有効な遮光縁部を備えた遮光部を有することが好ましい。
(形態12)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、前記第2遮光装置は、互いに割り当てられたマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の少なくとも1つの対のために、好ましくは複数の対のために、特に全ての対のために、それぞれ少なくとも1つの光学的に有効な遮光縁部を備えた遮光部を有し、少なくとも1つの光学的に有効な遮光縁部は、好ましくは、切妻形の延在形状を有し、好ましくは、前記第2遮光装置の全ての遮光部は、同じ遮光縁部を有するか、又は前記第2遮光装置の少なくとも2つの遮光部は、異なって形状構成された遮光縁部を有することが好ましい。
(形態13)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、垂直方向に関して、遮光部における下側の光学的に有効な遮光縁部及び/又は遮光部における上側の光学的に有効な遮光縁部は、1つか又は2つ以上の湾曲された及び/又は直線状の部分を有し、特に三角形状か、台形状か、湾曲状か、若しくは円形状で構成されていることが好ましい。
(形態14)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、前記第2遮光装置は、前記第1遮光装置に関して、前記第2遮光装置の遮光部が前記第1遮光装置の遮光部に対して、垂直方向に、即ち垂直方向に対して平行にずらされているように配設されていることが好ましい。
(形態15)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、前記第1遮光装置と前記第2遮光装置は、好ましくは水平方向において離間されており、及び/又は、同じに構成され、及び/又は、一部材式で構成されており、前記第2遮光装置は、前記第1遮光装置に対し、好ましくは水平方向の平面に関して鏡像的に配設されていることが好ましい。
(形態16)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、前記第1遮光装置は、前記出射光学系の方を向いた前記入射光学系の境界面上に配設されており、前記第2遮光装置は、前記入射光学系の方を向いた前記出射光学系の境界面上に配設されていることが好ましい。
(形態17)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、前記入射光学系と前記出射光学系は、互いに別個の2つの構成部材から構成されていることが好ましい。
(形態18)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、前記第1遮光装置は、前記入射光学系と、前記出射光学系と、前記第2遮光装置とは別個に構成された構成部材として構成されており、前記第2遮光装置は、前記入射光学系と、前記出射光学系とは別個に構成された構成部材として構成されていることが好ましい。
(形態19)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、前記入射光学系と、前記出射光学系と、前記第1遮光装置と、前記第2遮光装置とから成る前記投射装置は、一体的に構成されていることが好ましい。
(形態20)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、少なくとも1つの前記光源は、少なくとも1つの半導体ベースの光源を含み、2つ以上の光源においてこれらの光源は、好ましくは、互いに依存しないで点灯制御可能であり、少なくとも1つの半導体ベースの光源は、好ましくは、1つか又は2つ以上のLED及び/又はレーザダイオードを有し、1つか又は2つ以上のLED及び/又はレーザダイオードは、好ましくは、互いに依存しないで点灯制御可能であることが好ましい。
(形態21)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、少なくとも1つの前記光源と少なくとも1つの前記投射装置の間には、少なくとも1つの光線成形光学系装置、好ましくはコリメータが配設されており、少なくとも1つの前記光源は、該光源から放出される光を少なくとも1つの前記光線成形光学系装置へ入射し、前記光線成形光学系装置は、前記光線成形光学系装置から出射する光を実質的に平行に向けるように構成されていることが好ましい。
(形態22)前記マイクロ投射ライトモジュールにおいて、1つのマイクロ入射光学系と1つのマイクロ出射光学系から成る各マイクロ光学系システムには、好ましくは正に1つの発光ダイオードか又は正に1つのレーザダイオードを含む、正に1つの光源が割り当てられていることが好ましい。
(形態23)前記マイクロ投射ライトモジュールを1つか又は2つ以上含む、車両投光器用の照射装置。
(形態24)前記照射装置において、2つ以上のグループのマイクロ投射ライトモジュールが設けられており、各グループは、1つか又は2つ以上のマイクロ投射ライトモジュールを含み、1つのグループのマイクロ投射ライトモジュールは、同じ配光を発生させ、異なるグループのマイクロ投射ライトモジュールは、異なる配光を発生させ、マイクロ投射ライトモジュールの各グループの光源は、他のグループの光源に依存せずに点灯制御可能であり、好ましくは、1つのグループのマイクロ投射ライトモジュールの投射装置、特に全てのマイクロ投射ライトモジュールの投射装置は、共通の構成部材を構成することが好ましい。
(形態25)前記照射装置において、異なる配光を発生させるために2つ以上のグループが設けられており、各グループは、以下の配光、即ち、コーナリングライト配光、シティライト配光、カントリーライト配光、高速道路ライト配光、高速道路ライト用の追加光のための配光、カーブライト配光、ロービーム配光、ロービーム前域配光、遠域内の非対称ロービームのための配光、カーブライトモードにおける遠域内の非対称ロービームのための配光、ハイビーム配光、眩惑のないハイビーム配光のうち1つの配光から選択された配光を異なって構成することが好ましい。
(形態26)前記照射装置を1つ又は複数備えた車両投光器。
【0011】
本発明により、第2遮光装置は、第1遮光装置と出射光学系の間に配設されていることを提示することができる。
【0012】
特に、1つのマイクロ入射光学系と、該マイクロ入射光学系に割り当てられた1つのマイクロ出射光学系とが1つのマイクロ光学系システムを構成し、該マイクロ光学系システムが少なくとも1つのマイクロ光学系焦点を有すると有利であり得る。
【0013】
この際、各マイクロ入射光学系は、該マイクロ入射光学系を通過する光を少なくとも1つのマイクロ光学系焦点へ集束(合焦)することを提示することができる。
【0014】
更にまた、各マイクロ入射光学系のマイクロ光学系焦点は、光出射方向において、該マイクロ入射光学系に割り当てられたマイクロ出射光学系の手前に位置していると有利であり得る。
【0015】
更に、マイクロ入射光学系は、該マイクロ入射光学系を通過する光を、垂直方向において、それぞれ(光出射方向において)マイクロ出射光学系の手前に位置するマイクロ光学系焦点へ集束することを提示することができる。
【0016】
有利な一実施形態において、マイクロ出射光学系は、該マイクロ出射光学系に割り当てられたマイクロ入射光学系のマイクロ光学系焦点とそれぞれ一致する焦点を有することを提示することができる。
【0017】
つまり光は、マイクロ光学系システムの焦点へ集束され、引き続きマイクロ出射光学系を通過した後には、対応して適切に垂直方向において平行にされ、車両の前方の領域へ投射される。
【0018】
更に有利には、各マイクロ光学系システムは、該マイクロ光学系システムを通過する光を水平方向において拡開することを提示することができる。
【0019】
この際、各マイクロ光学系システムは、通過する光を、垂直方向において、好ましくはマイクロ入射光学系の後方でマイクロ出射光学系の手前に位置する所定のマイクロ光学系焦点へ集束する。この光は、更にマイクロ出射光学系を通過し、そして水平方向において、好ましくはマイクロ出射光学系の後方に位置する所定の焦点へ集束される。
【0020】
「手前」及び「後方」との概念は、マイクロ投射ライトモジュールにより放射される光の主伝播方向に関するものである。
【0021】
マイクロ入射光学系が集光光学系(収束光学系 Sammeloptik)として構成されていると目的に適い得る。
【0022】
更に、マイクロ入射光学系がフリーフォーム光学系(自由形状光学系)として構成されていることを提示することができる。
【0023】
マイクロ出射光学系が投射光学系(プロジェクション光学系)として構成されていると目的に適っている。
【0024】
更にまた、マイクロ出射光学系が、球面レンズ又は非球面レンズとして構成されていることを提示することができる。
【0025】
更に、マイクロ出射光学系は、フリーフォームレンズ(自由形状レンズ)として構成されると有利であり得る。
【0026】
本発明の具体的な特に有利な一実施形態では、互いに割り当てられたマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の互いに向き合う境界面が互いに合同(ないし等しい形態 kongruent)に構成され、好ましくは互いに合同に配設もされていることが提示される。
【0027】
この際「合同に構成される」とは、互いに割り当てられたマイクロ光学系(マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系)の境界面が、原則的に任意の空間的な配置構成において基本面と同じ形状を有するということを意味している。また「合同に」配設されているとは、それに加え、これらの基本面がこれらの基本面の1つに対して直角方向へ移動する場合に完全に等しい状態で互いに移行するように、これらの基本面が配設されていることを意味する。
【0028】
互いに割り当てられたマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の光学軸線が互いに平行に延在し、好ましくは一致していることは、特に有利である。このようにして個々の各マイクロ光学系システムの光像は、その位置に関して特に正確に結像され、それにより個々の光像を所望の全配光に重ね合わせることにより、例えばロービームに重ね合わせることにより、全配光は、光学的な観点において最適な状態で発生される。
【0029】
この際、光学系(マイクロ入射光学系ないしマイクロ出射光学系)の基本面(Grundflaechen)は、例えば、六角形、矩形、又は、好ましくは正方形で形成されていることが可能である。
【0030】
光像の品質に関して、第1遮光装置が、複数のマイクロ光学系焦点により規定されている平面内に位置すると有利であり得る。
【0031】
この際、第1遮光装置は、互いに割り当てられたマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の少なくとも1つの対(ペア)のために、好ましくは複数の対のために、特に全ての対のために、それぞれ少なくとも1つの、例えば正に1つの光学的に有効な遮光縁部(光学的な遮光エッジ)を備えた遮光部(開口部を有する遮光部 Blende)を有することを提示することができる。
【0032】
生産手間に関して、第1遮光装置の全ての遮光部が同じ遮光縁部を有すると目的に適い得る。
【0033】
光像形状構成に関して、第1遮光装置の少なくとも2つの遮光部は、異なって形状構成された遮光縁部を有することを提示することができる。
【0034】
目標を定めて結像誤差を補正するために、第2遮光装置が、互いに割り当てられたマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の少なくとも1つの対(ペア)のために、好ましくは複数の対のために、特に全ての対のために、それぞれ少なくとも1つの、例えば正に1つの光学的に有効な遮光縁部(光学的な遮光エッジ)を備えた遮光部(開口部を有する遮光部 Blende)を有すると有利であり得る。
【0035】
具体的な一実施形態では、第2遮光装置の全ての遮光部が同じ遮光縁部を有することを提示することができる。
【0036】
更にまた、第2遮光装置の少なくとも2つの遮光部が、異なって形状構成された遮光縁部を有すると特に有利である。
【0037】
投射装置の像面湾曲や歪みに起因する収差に関して、光学的に有効な遮光縁部の少なくとも1つ、好ましくは2つが、切妻形の延在形状を有すると有利であり得る。
【0038】
この際、光学的に有効な遮光縁部の少なくとも1つの切妻形の延在形状が、遮光開口部に関して外側に向けられていることは、有利であり得る。切妻縁部の延在形状が直線的な場合、遮光開口部は、数学的に見て、実質的に二次元の凸集合(Menge)として形成されている。切妻状の延在形状は、例えば、三角形の形状、又は湾曲切妻形の形状を有することが可能であり、或いは(頂部が)丸くされ、又は台形状であることが可能である。
【0039】
更にまた、垂直方向に関して、遮光部における下側及び/又は上側の光学的に有効な遮光縁部が、1つか又は2つ以上の湾曲された及び/又は直線状の部分(Segmente)を有し、特に三角形状か、台形状か、湾曲状(反った形状)か、円形状で構成されていると有利であり得る。
【0040】
ここで付言しておくべきであるが、本発明の意味において、下側及び/又は上側の光学的に有効な遮光縁部は、光学軸線から遮光部の外側に向かって切妻形で形成されていることが可能である。この際、形状としては、急勾配の山形状、平坦な山形状、又は通常の山形状であり得る。
【0041】
クロストーク(光の混信)と収差の減少について、第2遮光装置が、第1遮光装置に関して、第2遮光装置の遮光部が第1遮光装置の遮光部に対して、垂直方向に、即ち垂直軸線に対して平行にずらされているように配設されていると有利であり得る。
【0042】
マイクロ光学系システムのアパーチャ(開口部)の適合に関して、第1遮光装置と第2遮光装置が離間されていると有利である。この際、第2遮光装置は、結像誤差を補正することのできるアパーチャ遮光部の機能を担う。
【0043】
基本的に、投射装置は、上述したように、複数のマイクロ光学系システム、即ちそれぞれ1つのマイクロ入射光学系と1つのマイクロ出射光学系から成る複数の対(ペア)を有する。遮光装置を伴わない最も簡単な構成において、全てのマイクロ光学系システムは、合計として例えばハイビーム配光を構成する同じ配光(部分配光)を発生させる。この際、便宜上、正に1つのライトモジュールを用いて完全な配光が発生されることから出発する。しかし実際には、全配光を発生させるためには、2つか又はそれよりも多くの本発明によるライトモジュールが使用されることを提示することもできる。このことは、例えば、スペースが原因で投光器内の異なるポジションへ構成部材を分配することが必要である場合に有意義であり得る。
【0044】
減光された配光を発生させるため、例えば既知のように明暗境界を有するロービーム配光を発生させるために、各マイクロ光学系システムには、光線路内にともかく同じ遮光部が割り当てられていることを提示することができ、それにより全てのマイクロ光学系システムは、明暗境界を有する配光を発生させる。そして全ての配光の重ね合わせが、全配光として、減光された配光をもたらす。
【0045】
この場合、遮光部は、全ての他の場合もそうであるが、第1遮光装置を「構成する」個々の遮光部として(例えば光非透過性の層の形式、例えば蒸着層の形式などで)構成されていることが可能であるが、或いは、例えば、光を通過させるために対応の開口部が設けられた例えば平坦な薄片(フォイル)などのような遮光装置用構成部材であってもよい。この際、後続段落で更に詳細に説明する上記結像誤差が生じることになり、これらの結像誤差は、第2遮光装置を挿入することにより排除することができる。
【0046】
更にまた、様々な遮光部が設けられていることを提示することもでき、つまり1つの又は複数のマイクロ光学系システムには、第1遮光装置の第1遮光部と第2遮光装置の第2遮光部が割り当てられ、1つの又は複数の他のマイクロ光学系システムには、少なくとも、それぞれ、他の、第1遮光部と同じか又は第1遮光部とは異なる、第1遮光装置の遮光部(或いは遮光部なし)と、他の、第2遮光部と同じか又は第2遮光部とは異なる、第2遮光装置の遮光部(或いは遮光部なし)が割り当てられ、等々、を提示することもでき、それにより様々なマイクロ光学系システムが、結像誤差のない様々な配光を構成する。個々のマイクロ光学系システムの選択的な点灯(活性化)により、但しこれらのマイクロ光学系システムには、少なくともグループごとに別個に点灯制御可能な固有の光源が割り当てられていることが必要であるが、このようにして重なり合わせて稼働することもできる個々の様々な配光を発生させることが可能である。
【0047】
更に、第1遮光装置と第2遮光装置は、同じに構成(同一構成)されていることを提示することができる。
【0048】
この際、第2遮光装置が、第1遮光装置に対し、水平方向の平面に関して鏡像的に配設されていると目的に適い得る。
【0049】
また、第1遮光装置が第2遮光装置と一部材式で構成されていることを提像することもできる。
【0050】
入射光学系と、出射光学系と、第1遮光装置と、第2遮光装置とから成る投射装置が、一体的に構成されていると有利であり得る。
【0051】
更にまた、入射光学系と出射光学系から成る投射装置が、互いに別個の2つの構成部材から構成されていることを提示することができる。
【0052】
更に、第1遮光装置は、出射光学系の方を向いた入射光学系の境界面上に配設されていることを提示することができる。
【0053】
更に、第1遮光装置が、入射光学系と、出射光学系と、第2遮光装置とは別個に構成された構成部材として構成されていると有利である。
【0054】
有利な一実施形態において、第2遮光装置は、入射光学系の方を向いた出射光学系の境界面上に配設されていることが提示される。
【0055】
この際、第2遮光装置は、入射光学系と、出射光学系と、第1遮光装置とは別個に構成された構成部材として構成されていることを提示することができる。
【0056】
更に、少なくとも1つの光源は、少なくとも1つの半導体光源、例えば少なくとも1つの発光ダイオード及び/又は少なくとも1つのレーザダイオードを含むことを提示することができる。
【0057】
少なくとも1つの光源と少なくとも1つの投射装置の間には、少なくとも1つの光線成形光学系装置(前置光学系装置 Vorsatzoptikeinrichtung)が配設されており、少なくとも1つの光源が該光源から放出される光を該光線成形光学系装置へ入射し、該光線成形光学系装置は、該光線成形光学系装置から出射する光を実質的に平行に向けるように構成されていると目的に適っている。
【0058】
この際、光線成形光学系装置がコリメータ(コリメータレンズ)として構成されていると目的に適い得る。
【0059】
光源が、少なくとも1つの(半導体を基礎とした)半導体ベースの光源を有し、少なくとも1つの半導体ベースの光源が、1つか又は2つ以上のLED(発光ダイオード)及び/又はレーザダイオードを含むと特に有利であり、この際、少なくとも1つの半導体ベースの光源の1つか又は2つ以上のLED及び/又はレーザダイオードは、互いに依存しないで点灯制御可能である。
【0060】
この際「点灯制御可能」(ansteuerbar)とは、先ずは、点灯(オン)及び消灯(オフ)として理解される。それに加え「点灯制御可能」には、少なくとも1つの半導体ベースの光源の1つか又は2つ以上のLED及び/又はレーザダイオードの輝度調整(明暗調整)が可能であると理解することもできる。
【0061】
この際、2つ以上の光源においてこれらの光源が互いに依存しないで点灯制御可能であると有利であり得る。
【0062】
この際「互いに依存しない」とは、実際に全ての光源が互いに依存しないで点灯制御されることが可能であるか又は光源がグループごとに互いに依存しないで点灯制御されることが可能であると理解される。
【0063】
本発明の一実施形態において、1つのマイクロ入射光学系と1つのマイクロ出射光学系から成る各マイクロ光学系システムには、好ましくは正に1つの発光ダイオードか又は正に1つのレーザダイオードを含む正に1つの光源が割り当てられることが提示される。
【0064】
更に、2つ以上の光源グループが設けられていることを提示することができ、この際、各光源グループは、少なくとも1つの光源を含み、更にこの際、1つの光源グループの光源は、同じ色の光を放射し、更にこの際、異なる光源グループの光源は、異なる色の光を放射し、更にこの際、各光源グループは、該光源グループに固有に割り当てられた、少なくとも1つの投射装置の領域を照射し、更にこの際、異なるそれらの領域は、同じに構成(同一構成)され、ないし同じ配光を発生させるように構成されている。
【0065】
この際、第1遮光装置の位置及び/又は第2遮光装置の位置、及び/又は、入射光学系の形状(例えば、それぞれの入射光学系の厚さ、及び/又は、入射光学系を構成するマイクロ入射光学系の曲率)は、それぞれの光源グループへ適合されるべきであることが考慮される。上述したように、第1遮光装置は、好ましくは、投射装置の焦点面内に配設されている。入射光学系と出射光学系を構成する材料の光の分散(光の波長の屈折率の依存性)により、マイクロ光学系システムの焦点の位置は、各色(緑色、赤色、又は青色)に対して異なる。その結果、同じ投射装置、又は照射される投射装置の、例えば赤色光、緑色光、又は青色光で照射される部分の焦点面は、必ずしも一致するわけではない。このことは、第1遮光装置の位置と、場合により第2遮光装置の位置も、光源から放射された光の色へ適合されるのであれば、再び光像(放射された配光)において色収差(色縦収差及び/又は色横収差)をもたらすことになる。
【0066】
この際、3つの光源グループが設けられていると目的に適っており、この際、好ましくは、1つの光源グループは、赤色光を放射し、1つの光源グループは、緑色光を放射し、1つの光源グループは、青色光を放射する。
【0067】
冒頭に掲げた課題は、更に、少なくとも1つのマイクロ投射ライトモジュール、好ましくは2つ以上のマイクロ投射ライトモジュールを上述のように含む、車両投光器用の照射装置により解決される。
【0068】
この際、2つ以上のグループのマイクロ投射ライトモジュールが設けられていると有利であり得て、更にこの際、各グループは、1つか又は2つ以上のマイクロ投射ライトモジュールを含み、この際、1つのグループのマイクロ投射ライトモジュールは、同じ配光を発生させ、更にこの際、異なるグループのマイクロ投射ライトモジュールは、異なる配光を発生させる。
【0069】
マイクロ投射ライトモジュールの各グループの光源は、他のグループの光源に依存せずに点灯制御可能であると更なる利点が得られる。
【0070】
また、1つのグループのマイクロ投射ライトモジュールの投射装置は、共通の構成部材を構成することを提示することもできる。
【0071】
更に、全てのマイクロ投射ライトモジュールの投射装置は、共通の構成部材を構成することを提示することができる。
【0072】
製造に関して、共通の構成部材(単数ないし複数)が薄片(フォイル)の形式で構成されていると特に好都合であり得る。
【0073】
異なる配光を発生させるために2つ以上のグループが設けられていると目的に適い得て、この際、各グループは、以下の配光のうち1つの配光から選択された配光を異なって構成する:
【0074】
− コーナリングライト(Abbiegelicht)配光
− シティライト配光(市街地ライト配光)
− カントリーライト配光(幹線道路ライト配光)
− 高速道路ライト配光
− 高速道路ライト用の追加光のための配光
− カーブライト配光
− ロービーム配光
− ロービーム前域(Vorfeld)配光
− 遠域内の非対称ロービームのための配光
− カーブライトモードにおける遠域内の非対称ロービームのための配光
− ハイビーム配光
− 眩惑(まぶしさ)のないハイビーム配光
【0075】
その場合に限ることではないが特にレーザ光源を使用する場合において、照射装置が、2つ以上のライトモジュールを含むと更に有利であると分かっており、この際、各ライトモジュールは、少なくとも1つの光源グループを有し、この際、各光源グループは、少なくとも1つの光源を含み、更にこの際、1つの光源グループの光源は、同じ色の光を放射し、更にこの際、少なくとも2つの光源グループが設けられており、これらの光源グループは、異なる色の光を放射し、更にこの際、各光源グループは、該光源グループに固有に割り当てられた、各光源グループのライトモジュールの少なくとも1つの投射装置における領域を照射し、更にこの際、それらの異なる領域は、同じに構成(同一構成)され、ないし同じ配光(同一配光)を発生させるように構成されている。
【0076】
特に有利な一実施形態は、照射装置が、2つ以上のマイクロ投射ライトモジュールを含むことにより得られ、この際、各マイクロ投射ライトモジュールは、少なくとも1つの光源グループを有し、この際、各光源グループは、少なくとも1つの光源を含み、更にこの際、1つの光源グループの光源は、同じ色の光を放射し、更にこの際、少なくとも2つの光源グループが設けられており、これらの光源グループは、異なる色の光を放射し、更にこの際、各光源グループは、該光源グループに固有に割り当てられた、各光源グループのマイクロ投射ライトモジュールの少なくとも1つの投射装置における領域を照射し、更にこの際、それらの異なる領域は、同じに構成(同一構成)され、ないし同じ配光(同一配光)を発生させるように構成されている。
【0077】
白色光の発生に関して、3つのグループの光源グループが設けられていると特に有利であり、この際、好ましくは、光源グループの1つのグループは、赤色光を放射し、光源グループの1つのグループは、緑色光を放射し、光源グループの1つのグループは、青色光を放射し、更にこの際、これらの光源グループの各グループは、少なくとも1つの光源グループを含んでいる。
【0078】
本発明による照射装置(照明装置)は、投光器(特に前照灯)の構成部分とすることが可能であり、つまり異なる構造形式の1つ又は複数のライトモジュールを1つの投光器に組み合わせることが可能であり、或いは車両投光器は、当該照射装置により構成されている。
【0079】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0081】
図1は、自動車投光器用(特に自動車前照灯用)の本発明による一マイクロ投射ライトモジュール1を模式的に示している。マイクロ投射ライトモジュール1は、光源2と投射装置3を含み、投射装置3は、光源2から出射する光を少なくとも1つの配光のかたちで自動車の前方の領域へ結像する。図示された座標系は、光出射方向Zと、水平方向Hと、垂直方向Vを示しており、水平方向Hは、光出射方向Zに対して直角に位置し、また垂直方向Vに対しても直角に位置している。
【0082】
この際「水平」及び「垂直」との概念は、車両に取り付けられた車両投光器内に装着されているマイクロ投射ライトモジュールに関して述べられている。
【0083】
光源2は、好ましくは、例えば1つか又は2つ以上のLED(発光ダイオード)及び/又はレーザダイオードを有する少なくとも1つの(半導体を基礎とした)半導体ベースの光源である。
【0084】
光源2は、光源2の光を、例えばコリメータ(コリメータレンズ)である光線成形光学系(前置光学系 Vorsatzoptik)4へ入射し、光源成形光学系4は、光源2の光を、この光が投射装置3へ入射する前に、実質的に平行に配向する。
【0085】
この投射装置3は、
図1に図示されているように、複数のマイクロ入射光学系31のアレーから成る入射光学系30と、複数のマイクロ出射光学系41のアレーから成る出射光学系40とを含み、この際、各マイクロ入射光学系31には、正に1つのマイクロ出射光学系41が割り当てられている(対応して配設されている)。更にまた投射装置3は、第1遮光装置(Blendenvorrichtung)50と第2遮光装置60を含んでいる。
【0086】
この際、
図1の本発明によるライトモジュールにおけるマイクロ入射光学系31は、1つのマイクロ入射光学系31から出射する光が該マイクロ入射光学系31に割り当てられたマイクロ出射光学系41だけに入射するように構成されており、及び/又は、マイクロ入射光学系31とマイクロ出射光学系41は、1つのマイクロ入射光学系31から出射する光が該マイクロ入射光学系31に割り当てられたマイクロ出射光学系41だけに入射するように互いに配設されており、更にこの際、マイクロ入射光学系31により予め成形された光は、マイクロ出射光学系41により、少なくとも1つの配光LV1−LV5;GLV(
図3a、
図3b:第2遮光装置60を伴わない場合)として自動車の前方の領域へ結像される。
【0087】
更に、図面から全般的に見てとれるように、第1遮光装置50と第2遮光装置60は、入射光学系30と出射光学系40の間に配設されている。第1遮光装置50を用いることにより、更に後続段落で詳細に説明するが、投射装置3を通過する光流は、特定の形状を有する1つ又は複数の配光、例えば1つ又は複数の明暗境界を有する1つ又は複数の配光を発生可能とするために整形(縁取り)される。第2遮光装置60により、第1遮光装置50を使用して発生された配光を十分に補正することが可能である。つまり例えば第1遮光装置50(例えば
図3を参照)がロービーム配光を発生させるために配設されている場合に、第2遮光装置60、70、80(
図4、5、13〜15)は、とりわけ、明暗境界の変色(色ずれ)をもたらすことになり且つ人間の目には不快で紛らわしいと感じられる光像内の色収差(色縦収差及び/又は色横収差)を減少するために用いられる。
【0088】
念のためここで述べておくが、実質的に灰色で描写された第1遮光装置50と、実質的に黒色で描写された第2遮光装置60とを用いた
図1の描写は、遮光装置50、60の構成に関して何ら特別な意味をもつものではない。
図1は、純粋に模式的なものであり、単に第1遮光装置50と第2遮光装置60の存在と、それらの大凡の位置を示すべきものである。
【0089】
入射光学系30は、複数のマイクロ入射光学系31により構成されている唯一の構成部材である。この際、それらのマイクロ入射光学系31は、好ましくは間隔を置かずに互いに直接的に隣接しており、上述して
図1に示されているように1つのアレーを構成する。
【0090】
同様に出射光学系40は、複数のマイクロ出射光学系41により構成されている唯一の構成部材である。この際、それらのマイクロ出射光学系41は、好ましくは間隔を置かずに互いに直接的に隣接しており、上述して
図1に示されているように1つのアレーを構成する。
【0091】
更に、後続段落で更に説明するが、入射光学系と出射光学系は、場合によりそれぞれの遮光装置と共に一部材式で構成されていることが可能である。例えば、入射光学系を第1遮光装置と共に一部材式で構成し、出射光学系を第2遮光装置と共に一部材式で構成することが可能である。
【0092】
図2aと
図2cは、1つのマイクロ入射光学系31と、該マイクロ入射光学系31に割り当てられた1つのマイクロ出射光学系41とから成る1つのマイクロ光学系システムを示しており、これらのマイクロ入射光学系31とマイクロ出射光学系41は、上述したように、図示されたマイクロ入射光学系31からの光が専ら該マイクロ入射光学系31に割り当てられたマイクロ出射光学系41へ達するように構成され及び/又は配設されている。この際、マイクロ入射光学系31の光学軸線310は、マイクロ出射光学系41の光学軸線410と一致している。更に
図2aは、マイクロ入射光学系31とマイクロ出射光学系41の間の領域内にある第1遮光装置50の一部分と第2遮光装置60の一部分を示している。
【0093】
図2bと
図2dからマイクロ光学系システムを観察すると、
図2bでは、マイクロ入射光学系31が、該マイクロ入射光学系31を通過する光を垂直方向において所定のマイクロ光学系焦点F1へ集束(合焦)することが見てとれ、この際、マイクロ光学系焦点F1は、好ましくは、マイクロ入射光学系31とマイクロ出射光学系41から成るマイクロ光学系システムの焦点と一致している。つまり
図2bは、垂直方向の平面(即ち
図2aのA−A面)内に位置する光線、ないしこのA−A面内への光線の投射の様子を示している。
【0094】
つまり(ここでは非図示の)光線成形光学系から平行に出射する光線は、マイクロ入射光学系31により、光出射方向で見て、該マイクロ入射光学系31に割り当てられたマイクロ出射光学系41の手前に位置するマイクロ光学系焦点F1へ集束される。
【0095】
冒頭で既述したように、念のためここで今一度述べておくが、より簡単な表現として、ここでも、また全般的にこの全開示内容の枠内において他の箇所でも「1つの焦点への」集束(合焦)との表現が使われている。しかしこの際、実際には、即ち現実的には、それらの光線は、唯一の焦点に集束されるのではなく、前記の焦点を含む1つの焦点面へ結像される。この焦点面は、焦平面としてよいが、通常、この焦点面は、結像誤差(収差)と比較的高次の補正(但しこの補正は、光学軸線に対して大きな角度を成す光線の光伝播を観察することにより近軸近似と並んで考慮されるべきであるが)の結果、平面ではなく、湾曲して「形成」されていてもよく、即ちそれらの光線は、前記の焦点を含む1つの湾曲面へ結像される。この際、焦点面の湾曲は、発生される配光において誤差(収差)をもたらす(
図3aと
図3bを参照)。
【0096】
従って各マイクロ光学系システムは、入射光学系と出射光学系の間に位置し且つ好ましくは対応のマイクロ入射光学系の光が集束される焦点F1を有する。
【0097】
更にまたマイクロ出射光学系41は、マイクロ光学系焦点F1と一致し且つ該マイクロ出射光学系41に対応するマイクロ入射光学系31の焦点と一致する焦点を有する。つまり光は、焦点F1へ集束され、引き続き、対応のマイクロ出射光学系41を通過することにより、対応して適切に垂直方向において平行にされ、
図2bにおいて模式的に図示されているように、車両の前方の領域へ投射される。
【0098】
図2dは、更に水平方向における状況を示しており、即ち水平方向の平面内、例えば
図2cのB−B面内に位置する光線が観察され、ないしこの平面内への光線の投射の様子が観察される。
図2dから見てとれるように、マイクロ入射光学系31とマイクロ出射光学系41から成る各マイクロ光学系システムは、これらを通過する光を水平方向において拡開する。この際、各マイクロ光学系システムは、該マイクロ光学系システムを通過する光を水平方向において所定の焦点F2へ集束し、焦点F2は(主放射方向において)マイクロ出射光学系41の後方に位置している。つまり水平方向において光は、個々のマイクロ光学系システムの部分配光の所望の幅を達成するために散乱(拡開)される。
【0099】
ここで今一度付言しておくが、ここでは、理想的な光学システムについて説明されている。つまり実際には、多くの場合、マイクロ光学系システムの第1光学系(マイクロ入射光学系)も第2光学系(マイクロ出射光学系)もフリーフォーム(自由形状 Freiform)として実施されており、それにより上述したように1つの焦点面への結像が行われることになる。更にまた、光の少なくとも一部分SLは、マイクロ入射光学系31と該マイクロ入射光学系31に対応するマイクロ出射光学系41との間で(構成される)1つのマイクロ光学系システムから出射し、該マイクロ光学系システムに隣接するマイクロ光学系システム内へ散乱される(
図2b)。つまりマイクロ光学系システム(と隣接マイクロシステム)の間で所謂クロストーク(光の混信)が発生し、それにより誤差のある配光(
図3a、
図3bを参照)が発生される。上述のマイクロ光学系システムの本質的な特徴は、これらのマイクロ光学系システムが水平方向において、これらを通過する光を拡開することである。
【0100】
マイクロ入射光学系31は、好ましくは、垂直方向及び/又は水平方向において光を集光する集光光学系(収束光学系)として構成されている。この際、マイクロ入射光学系31は、例えばフリーフォーム光学系(自由形状光学系)として構成されていることが可能である。
【0101】
垂直方向V及び/又は水平方向Hにおいて集光する、マイクロ入射光学系、例えばレンズの使用は、マイクロ投射ライトモジュールのそれぞれの使用形態に依存する。つまり例えば、幅広の配光(例えばロービーム配光)を発生させるためには、光を垂直方向において集光し(
図2b)、水平方向Hにおいて実質的に非集束とするか(
図2d)又はむしろ拡開するマイクロ入射光学系31を使用することが可能である。この際、マイクロ出射光学系41は、それらの焦点が、垂直方向において、対応のマイクロ入射光学系31の焦点F1と一致するように配設されることが可能である。このことは、水平方向Hにおいてマイクロ光学系システムから出射する光が焦点F2で集束されることをもたらし、この際、これらの焦点F2は、実質的に水平方向の平面内に位置している。実質的に水平方向の平面内に位置する焦点F2(複数)がマイクロ出射光学系41の後方に僅かな間隔を置いて配設されていることにより、各マイクロ光学系システムは、例えば
図2dから見てとれるように、該マイクロ光学系システムを通過する光束を拡開する。この際「僅かな間隔」とは、ミリメートル範囲の大きさからセンチメートル範囲の大きさまで、例えば1mmから10cmまでの範囲内の大きさとして理解され、この僅かな間隔は、自動車構造において光技術的な測定が実行される間隔と比べ「僅か」である(自動車投光器から放射される配光は、通常、25メートルの間隔を置いて主放射方向に対して横向きに立設された測定スクリーンにおいて測定される)。例えばハイビーム部分配光のような幅の狭い配光を発生させるためには、水平方向においても垂直方向においても集光するマイクロ入射光学系を使用することが可能である。この際、各マイクロ入射光学系は、光を垂直方向においても水平方向においても、マイクロ出射光学系の手前に位置する所定の焦点へ集束するであろう。それにより水平方向においてマイクロ光学系システムを通過する光束の拡開を回避することが可能であり、例えばハイビーム配光の発生のために使用することのできる実質的に(上述の測定スクリーン上への投射において)楕円形状の配光を発生させることが可能である。
【0102】
マイクロ出射光学系41は、通常、投射光学系(プロジェクション光学系)として、例えば球面レンズ又は非球面レンズとして構成されている。またマイクロ出射光学系41がフリーフォームレンズ(自由形状レンズ)として構成されていることを考慮することもできる。
【0103】
この際、ここで、
図8a〜
図8cを手短に参照すべきである:上述の説明と更なる説明では、各マイクロ入射光学系31と各マイクロ出射光学系41は、それぞれ唯一のレンズから構成されていることを前提としている。しかしまたマイクロ入射光学系31自体とマイクロ出射光学系41自体のいずれか一方又は両方をそれぞれ1つか又は2つ以上の「光学系」ないし光学要素から構成することを考慮することもできる。そのために1つのマイクロ光学系のこれらの「マイクロ−マイクロ光学系要素」の各々は、同じ焦平面をもたなくてはならない。例えば1つのマイクロ光学系又は両方のマイクロ光学系は、光学的に有効な異なる領域を備えたフレネルレンズとすることができる。しかし1つのマイクロ入射光学系の複数の光学領域(マイクロ−マイクロ光学系)の各々が、各マイクロ−マイクロ出射光学系へ光を放射しなくてはならないというわけではない。
【0104】
図8aは、1つのマイクロ光学系システムにおいて、マイクロ入射光学系31がフレネルレンズとして構成されており、マイクロ出射光学系41が「従来どおりの」レンズとして構成されている一例を示している。
【0105】
図8bは、マイクロ入射光学系31が「従来どおりの」レンズとして構成されており、マイクロ出射光学系41がフレネルレンズとして構成されている一例を示している。
【0106】
図8cは、マイクロ入射光学系31が「従来どおりの」レンズとして構成されており、マイクロ出射光学系41がマイクロ−マイクロレンズのアレーとして構成されている一例を示している。
【0107】
図8a〜
図8cは、マイクロ光学系と遮光装置について幾つかの想定可能なバリエーション、組み合わせ、又は他の細分化を示しているに過ぎない。この際、重要なのは、第2遮光装置60、70、80が光伝播方向において第1遮光装置50とマイクロ出射光学系41の間に配設されており、アパーチャ遮光部(開口遮光部)として作用する(よう構成される)ということである。つまり第2遮光装置60、70、80の位置は、光路内で自由に選択することはできない。第1遮光装置50は、照射野/視野遮光部である。この際、光像品質に関して、第1遮光装置をマイクロ光学系システムの焦点面内に又は中間像平面内に配置することは有利である。
【0108】
更に
図2aないし
図2cから見てとれるように、互いに割り当てられているマイクロ入射光学系31とマイクロ出射光学系41の互いに向き合う境界面31’、41’は、互いに合同(kongruent)に形成されており、好ましくは、互いに合同に配設もされている。
【0109】
更に境界面31’、41’が平坦に形成されていると目的に適っている。
【0110】
図示された例において、境界面31’、41’は、正方形で形成されているが、可能な他の形状は、矩形又は六角形である。
【0111】
互いに割り当てられているマイクロ入射光学系31とマイクロ出射光学系41の光学軸線310、410(
図2b、2d)は、有利には、互いに平行に延在し、この際、光学軸線310、410が一致していると特に有利である。
【0112】
第1遮光装置50は、複数のマイクロ光学系焦点F1により規定される平面内に位置する。この際、好ましくは、第1遮光装置50は、各マイクロ光学系システム(
図2a、2cを参照)のために、それぞれ1つの遮光部(開口部を有する遮光部)を有し、この際、該遮光部は、光学的に有効な1つ又は複数の遮光縁部(光学的な遮光エッジ)を有する。
【0113】
第2遮光装置60は、第1遮光装置50と出射光学系40の間に位置する。この際、好ましくは、第2遮光装置60は、各マイクロ光学系システム(
図2a、2cを参照)のために、それぞれ1つの遮光部(開口部を有する遮光部)を有し、この際、該遮光部は、光学的に有効な1つ又は複数の遮光縁部(光学的な遮光エッジ)を有し、散乱光SL(
図2b)を通過させない(カットする)ために設けられている。
【0114】
この際、
図2a、2cは、1つのマイクロ光学系システムを示しており、該マイクロ光学系システムには、光学的に有効な遮光縁部52’を有する第1遮光部52と、光学的に有効な更なる遮光縁部62’を有する第2遮光部62とが割り当てられている。該マイクロ光学系システムを通過する光は、先ず第1遮光縁部52’に対応して整形(縁取り)され、第1遮光縁部52’が光像内で明暗境界として結像される。更にこの光は、第2遮光縁部62’に対応して、個々のマイクロ光学系システムの間でクロストークが起こらず且つ焦点面の湾曲により発生する配光GLVの結像誤差(
図3a、3bを参照)が排除(解消)されるように整形(縁取り)される。
【0115】
第1遮光装置50と第2遮光装置60は、互いに割り当てられたマイクロ入射光学系31とマイクロ出射光学系41の少なくとも1つの対(ペア)のために遮光部(開口部を有する遮光部)を有する。しかし好ましくは、第1遮光装置50と第2遮光装置60は、複数の対のために、特に全ての対のために、それぞれ少なくとも1つの、例えば正に1つの光学的に有効な遮光縁部51’、52’、53’、54’、55’ないし61’、62’、63’、64’、65’を備えた遮光部51、52、53、54、55ないし61、62、63、64、65を有する(
図3、3b;4、4a)。
【0116】
図3には、従来技術から既知の第1遮光装置50が模式的に図示されている。
図3は、第1遮光装置50を前方から見た図として示しており、この際、第1遮光装置50は、異なる5つのタイプの遮光部51〜55を有する。これらの遮光部51〜55の各々は、光が通過可能な正に1つ(図示されたように)又は複数(非図示)の光透過性の開口部(切欠き部)51’’’〜55’’’を有する光非透過性の材料部51’’〜55’’から構成されている。遮光部の遮光縁部51’、52’、53’、54’、55’は、それぞれの部分光像において、光像を上側に向かって画成する(境界付ける)、上側に位置する明暗境界として結像される。
【0117】
これらの遮光部の各々は、正に1つのマイクロ光学系システムに割り当てられており、全てのマイクロ光学系システムが光で照射されると、全ての部分配光を重ね合わせたものとして、
図3aで模式的に図示されているような全配光GLVが得られる。図示された例において、図示された全配光GLVは、非対称の明暗境界を有するロービーム配光に関するものである。
【0118】
図3bは、遮光部51〜55のそれぞれ1つと、左側にそれらの遮光部と並んで模式的にそれらの遮光部により発生されたそれぞれの部分配光LV1〜LV5とを示している。
【0119】
この際、結像誤差(収差)により、並びに隣接したマイクロ光学系システムの間のクロストーク(光の混信)により、部分配光LV2、LV4、LV5には、結像誤差の部分領域X1、X2、X3、X4、X5、X6が発生していることを明らかに見ることができ、それらを重ね合わせたものが、全配光GLVにおいて結像誤差の大領域Y1、Y2、Y3の発生をもたらしている。
【0120】
図4は、本発明による第2遮光装置60を示しており、第2遮光装置60を用いることにより結像誤差が排除される。この際、第2遮光装置60は、前方から見た図として示されている。第2遮光装置60が有する、異なる5つのタイプの遮光部61〜65を見ることができる。これらの遮光部61〜65の各々は、光が通過可能な正に1つ(図示されたように)又は複数(非図示)の光透過性の開口部(切欠き部)61’’’、62’’’、63’’’、64’’’、65’’’を有する光非透過性の材料部61’’、 62’’、 63’’、 64’’、65’’から構成されている。それらの開口部により、第1遮光装置50を用いて既に整形された光像は、引き続き、発生された部分配光において結像誤差の部分領域X1〜X6がもはや存在せず且つその結果、発生された配光において結像誤差の大領域Y1、Y2、Y3も、もはや存在しないように、整形(縁取り)される。このことは、遮光縁部の形状構成により達成される。この際、遮光部における下側の遮光縁部62’、64’、65’の切妻形(三角形)の形状(
図4a)が特に有利であり、また全般的に中央部から外側に向かって斜めに上昇する形状が特に有利であると分かった。これらの遮光縁部は、それぞれの部分光像において、光像を上側に向かって画成する、上側に位置する明暗境界として結像される。この際、光非透過性の領域61’’〜65’’は、マイクロ光学系システムの間のクロストークが発生しないように、即ち散乱光SL(
図2dにおける光の部分SL)が1つのマイクロ光学系システムから隣接するマイクロ光学系システム内へ達しないように構成されて配設されている。それにより結像誤差Y2は、減少ないし排除される。
【0121】
図4aは、遮光部61〜65のそれぞれ1つと、左側にそれらの遮光部と並んで模式的にそれらの遮光部により発生された、(
図3b、3aに示す)結像誤差X1〜X6(従ってY1、Y2、Y3)を伴わないそれぞれの部分配光LV1’〜LV5’とを示している。
【0122】
図5は、本発明による第2遮光装置70の更なる一実施形態を示している。
図4と
図4aの第2遮光装置60と比較すると、
図5の第2遮光装置70の遮光部73a〜73d及び75a〜75fの少なくとも一部分は、それぞれ光透過性の開口部(切欠き部)73a’’’〜73d’’’及び75a’’’〜75f’’’を有する。この際、これらの遮光部73a〜73d及び75a〜75fは、それらの開口部73a’’’〜73d’’’及び75a’’’〜75f’’’を通過する光が部分配光LV3’’及びLV5’’(
図5a)を構成するように配設されており、この際、部分配光LV3’’及びLV5’’は、例えば、比較的大きな照度が必要とされる、全配光の中央部における所定の領域、即ち放射される配光の照度の所望の最大値の周りにある所定の領域(の照射)に寄与する。
【0123】
図5に図示された第2遮光装置70の実施形態は、特に有利であるが、それは、例えば、
図4の第2遮光装置60の使用は、光流の大部分が遮蔽され、その故、例えば法的に規定された光流値がHV点において達成されないであろうということになるためである。その理由は、部分配光LV3〜LV5の発生のために必要な光は、投射装置の焦点面ないし中間像平面内で強く集束されるということである。その後、更なる光線伝播は、光線の幾つかは光学軸線に対して大きな角度を成し得るように行われるので、第2遮光装置70の開口部73a’’’〜73d’’’及び75a’’’〜75f’’’は、十分な光量が通過されるために、極めて大きな開口部でなければならない。
【0124】
図4、4a、5、5aに図示された方式により、例えば、結像誤差のないロービーム配光を、本発明によるライトモジュールを用いて発生させることが可能であり、この際、結像誤差のないロービーム配光のために個々のマイクロ光学系システムは、それぞれ、結像誤差のない部分配光のかたちの所定の寄与分を発生させる。
【0125】
更にまたこのようなライトモジュールを用いることにより、結像誤差のない任意の全配光を発生させることができる。それぞれ少なくとも1つの固有の光源を用いて、第1遮光部及び第2遮光部を有する複数のマイクロ光学系システムをグループごとに照射することにより、目標を定めて、予め定められた(そして遮光縁部の形状により決定された)結像誤差のない部分配光を点灯ないし活性化(又は消灯)することが可能であり、それにより例えば動的な配光を発生させることができる。
【0126】
入射光学系(単数ないし複数)と出射光学系(単数ないし複数)の形状構成は、事情によっては、1つだけの画成された配光の形状を可能とする。好ましくは、上述したような基準化された遮光部の使用により、1つか又は2つ以上の部分配光を発生させることが可能であり、これらの部分配光は、適切な選択により所望の全配光を生じさせる。
【0127】
遮光部は、例えば、遮光装置を「構成する」個々の遮光部として構成されていることも可能であるが、好ましくは、図示されたように、例えば、光を通過させるために対応の開口部/切欠き部が設けられた平坦な薄片(フォイル)などのような遮光装置用構成部材であってもよい。
【0128】
第2遮光装置60、70の配設構成については、第2遮光装置が第1遮光装置50に関して正確に位置決めされていることが考慮されなくてはならない。つまり両方の遮光装置が取り付けられた状態において、第2遮光装置60、70の遮光部のタイプは、例えば
図2aと
図2cから見てとれるように、第1遮光装置50の所定のタイプに対応している。
図3、
図4、
図5に関して述べると、第1遮光装置50の第1遮光部列の複数の遮光部51は、第2遮光装置60、70の第1遮光部列の複数の遮光部61、71に対応しており、第1遮光装置50の第2遮光部列の複数の遮光部52は、第2遮光装置60、70の第2遮光部列の複数の遮光部62、72に対応しており、以下同様である。
【0129】
既に手短に上述したように、本発明の第1構成においては、
図6aに図示されているように、投射装置3は、入射光学系30と、出射光学系40と、第1遮光装置50と、第2遮光装置60、70から一体的に構成されていることを提示することができる。光学系本体としては、例えば、遮光装置の実現化のために目標を定めて適切に炭化されたプラスチック光学系に関するものである。そのような炭化(Verkohlung)は、例えばレーザ光線や電子光線などにより行うことが可能である。
【0130】
図6bに図示されている第2バリエーションでは、投射装置3は、2つの別個の構成部材、即ち典型的には互いに所定の間隔を置いて配設されている入射光学系31と出射光学系41から構成されていることが考慮される。この際、第1遮光装置50が出射光学系40の方を向いた入射光学系30の境界面31’上に配設され、第2遮光装置60、70が入射光学系30の方を向いた出射光学系40の境界面41’上に配設されていると目的に適っている。
【0131】
この際、1つの遮光装置は、境界面31’ないし41’の1つをコーティング(蒸着も含む)することにより、又は、引き続き目標(形状)を定めて例えばレーザ光線を用いて再び除去される吸収層を設けることにより生成されることが可能である。またそのように遮光装置の備えられた入射光学系に対して出射光学系を例えばツーコンポーネント射出成形を用いて設けることも想定可能であり、それにより最終的には再び1つの構成部材が得られる。
【0132】
しかしまたこの場合、
図6cに図示されているように、両方の遮光装置50、60ないし70が、入射光学系31と出射光学系41とは別個に構成された構成部材として構成されていることを考慮することもできる。この場合、遮光装置50、60、70は、例えば金属から成る精密なマスク(アパーチャマスク、レティクルマスク、格子板など)のかたちで挿入されることが可能である。
【0133】
図6a〜
図6cに図示されたバリエーションは、勿論組み合わせ可能である。例えば投射装置3の調節可能性(焦平面間の間隔、光学軸線の配向など)の理由から、第2遮光装置60、70を出射光学系41とは別個に構成し、しかし第1遮光装置50を入射光学系30と一部材式で構成するか、又は、第1遮光装置50を第2遮光装置60、70と一部材式で構成し、しかし入射光学系30と出射光学系40とは別個に構成することが有利であり得る。光像の鮮明さに関しては、第1遮光装置50が、複数のマイクロ光学系システムの焦点により規定されて投射装置3の焦点面を構成する面内に配設されていると有利である。この際、光像は、第1遮光装置50の形状により決定され、第2遮光装置60、70により補正され、結像誤差のない状態へもたらされる。
【0134】
更にここで、これまでの図面では、入射光学系30と出射光学系40の内面(内側の面)が平坦に構成され、それに対して外面(外側の面)は湾曲して図示されていることを述べておく。基本的には、入射光学系30と出射光学系40の一方の内面又は両方の内面が湾曲して構成されていることも可能であるが、このことは、二部材式か又は複数部材式の構成の場合にのみ可能である。
【0135】
一部材式の構成は、正確に行われなくてはならない製造の後には、問題なく取り付けることのできる唯一の安定した構成部材が得られるという利点を有する。
【0136】
所定の投射レンズを有する従来の投射システムにおいて、そのレンズは、60mmと90mmの間の典型的な直径を有する。本発明によるモジュールにおいて、個々のマイクロ光学系システムは、ほぼ2mm×2mm(垂直方向Vと水平方向Hにおいて)の典型的なサイズと、ほぼ6mm〜10mmの奥行(光出射方向Zにおける)を有し、それによりZ方向において、従来のモジュールと比べて本発明のモジュールは明らかに少ない奥行を有する。
【0137】
本発明によるライトモジュールは、僅かな構造上の奥行を有し、基本的に自由に形成可能であり、即ち例えば、第1部分配光を発生させるための第1ライトモジュールを、第2部分配光のための第2ライトモジュールとは別個に構成し、これらを相対的に自由に、即ち、垂直方向において、及び/又は水平方向において、及び/又は奥行に関して互いにずらして配設することが可能であり、それにより設計規定をより容易に達成することもできる。
【0138】
本発明によるライトモジュールの更なる利点は、確かに投射装置は極めて正確に製造されなければならないが、このことは、今日の生産方法では問題なく可能であり、この際、投射光学系に対して光源(単数ないし複数)を正確に位置決めしなくてもよいということである。正確な位置決めは、全てが実質的に同じ光像を発生させる複数のマイクロ入射光学系から成る1つのアレー全体を少なくとも1つの光源が照射するのであれば、二次的なことに過ぎない。他の表現によると、このことの意味は、「本来の」(eigentlich)光源が1つ又は複数の現実の光源(単数ないし複数)と複数のマイクロ入射光学系のアレーとから構成されていることに他ならない。この際、この「本来の」光源は、複数のマイクロ出射光学系と、場合によりこれらのマイクロ出射光学系に割り当てられた複数の遮光部を照射する。しかしマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は言わば1つのシステムを構成するという理由でこれらが既に最適の状態で互いに適合されているのであれば、現実の光源(単数ないし複数)の不正確な位置決めは、さほど重要なことではない。
【0139】
更に
図7は、車両投光器用の一照射装置(照明装置)を取り外した状態で示しており、該照射装置は、上述したような1つか又は2つ以上のマイクロ投射ライトモジュールを含んでいる。この際、複数のグループの異なるライトモジュールが設けられており、例えば、
図7では、ライトモジュールの複数のグループAA、AA1、AA2、SS1、BF1〜BF8、FL、ABL、SA1、SA2が図示されており、これらのライトモジュールは、共同で該照射装置を構成している。各グループAA、AA1、AA2、SS1、BF1〜BF8、FL、ABL、SA1、SA2は、1つか又は2つ以上のライトモジュールを含む。
【0140】
図示の例において、各グループは、正に1つのライトモジュールを含み、各グループは、それぞれの表記について、以下のように説明される:
【0141】
AA:遠域において結像誤差のない非対称のロービーム(遮光ビーム)LV
AAを発生させるためのライトモジュール
【0142】
AA1、AA2:遠域において結像誤差のない非対称のロービームLV
AA1、LV
AA2を発生させるためのカーブライトモジュール
【0143】
SS1:結像誤差のない対称の配光LV
SS1(ロービームの前域、シティライト)を発生させるためのライトモジュール
【0144】
BF1〜BF8:結像誤差と眩惑のないハイビーム(遠域ビーム)LV
BF1〜LV
BF8を発生させるためのライトモジュール;結像誤差のない個々の配光LV
BF1〜LV
BF8は、共同で、結像誤差のないハイビーム配光ないしその一部を発生させ、結像誤差のない個々の配光は、必要に応じて互いに依存せずに(独立して)消灯可能である。
【0145】
FL:結像誤差のないハイビームLV
FLを発生させるためのライトモジュール
【0146】
ABL:結像誤差のないコーナリングライト(Abbiegelicht)LV
ABLを発生させるためのライトモジュール
【0147】
SA1、SA2:結像誤差のない高速道路ライトLV
SA1、LV
SA2用の追加的な光部分を発生させるためのライトモジュール
【0148】
そのような照射装置において、ライトモジュールの各グループAA、AA1、AA2、SS1、BF1〜BF8、FL、ABL、SA1、SA2の複数の光源が他のグループの複数の光源に依存しないで点灯制御可能であると有利であり、それにより結像誤差のない個々の配光ないし部分配光は、互いに依存せずにオンオフ可能及び/又は照度調整可能(明暗調整可能)である。
【0149】
図7は、純粋に一模式図であり、
図7との関連において「ライトモジュール」を話題にしている。実際、
図7は、個々のマイクロ投射ライトモジュールの投射装置AA、AA1、AA2、SS1、BF1〜BF8、FL、ABL、SA1、SA2を単に且つ純粋に模式的に示しており、また
図7から見てとれるように、個々のライトモジュールの投射装置AA、AA1、AA2、SS1、BF1〜BF8、FL、ABL、SA1、SA2は、例えば湾曲状(弓形)の帯状部材(バンド)の形式の共通の構成部材300を構成している。これらの投射装置は、例えば所定の薄片(フォイル)上に配設されていることが可能である。
【0150】
従って本発明を用いることにより、マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系から成るレンズアレイを自由に形成することが可能であり、また2つ以上の本発明によるライトモジュールを、共通の投射装置用構成部材を介して1つの照射装置にまとめることが可能であり、この際、好ましくは、所定のライトモジュール(従って独立して点灯制御可能な光源)に割り当てられている投射装置用構成部材の複数領域において、マイクロ光学系システムは、同じに構成(同一構成)されている。
【0151】
図9aと
図9bは、2つの更なる実施形態を示している。この際、照射装置3の異なる領域、例えば正確に3つの異なる領域が、異なる色R、G、Bの光源2を用いて照射されることが提示され、それらの領域は、例えば、赤色光Rの領域、緑色光Gの他の領域、そして青色光Bの第3の領域である。
【0152】
この際、これらの異なる領域は、1つの投射装置3(
図9a)に属することが可能であるが、また異なる(
図9bに示されているように、2つ以上、例えば3つの)投射装置に属することも可能であり、つまり1つの投射装置か、又は2つ以上の投射装置、特に3つの投射装置に属することが可能である。この際、重要なことは、単純に各領域のマイクロ光学系システムが他の領域と同じ配光を発生させるということである。上述の色収差を考慮するために、
図9aの投射装置では、第1遮光装置が3つの部分遮光装置50R、50G、50Bを含むことが提示されており、この際、各部分遮光装置は、それぞれの色に対応する焦点面内に配設されている。つまり
図9aから見てとれるように、赤色光Rのためのマイクロ光学系システムの焦点は、光伝播方向で見て、緑色光Gのためのマイクロ光学系システムの焦点よりも更に前方に位置し、また緑色光Gのためのマイクロ光学系システムの焦点は、青色光Bのためのマイクロ光学系システムの焦点の前方に位置している。
【0153】
図9aに図示された実施形態は、異なる色の光を放射する全ての光源に対し、唯一の、好ましくは一部材式で構成された入射光学系が割り当てられているという利点を有する。またこの際、第1遮光装置及び/又は第2遮光装置は、色収差の補正のために使用することのできる3つの部分遮光装置を含むことを提示することもできる。
【0154】
図9bに図示された実施形態は、互いに一部材式で又は互いに別個に構成することのできる3つの投射装置3R、3G、3Bに関するものである。この際、1つの第1遮光装置50と1つの第2遮光装置60、70が設けられている。これらの投射装置は、この例において、それぞれの光源色に対応する3つの投射装置3R、3G、3Bの焦点面が一致するように構成されている入射光学系30R、30G、30Bの形状により異なっている。この作用は、例えば、入射光学系を構成するマイクロ入射光学系の厚さ及び/又は曲率を適合することにより達成することができる。マイクロ入射光学系の厚さ及び/又は曲率の変化により、マイクロ光学系システムの焦点距離が変化されるので、出射光学系40の方を向いた入射光学系の境界面31’と、焦点面との間の間隔は、
図9bに図示されているように、光の色R、G、Bに依存せずに固定可能である。この際、好ましくは一部材式で構成されている
図9bの第1遮光装置50は、投射装置3R、3G、3Bの互いに一致する焦点面内に配設されている。
図9bに図示された実施形態は、例えば、互いに別個に構成された3つの投射装置3R、3G、3Bにより可能とされる大きな設計自由度という利点を有する。
【0155】
そして、異なる領域から、結像誤差のない光像を重ね合わせることにより、全体として結像誤差のない白色の光像が得られる。
【0156】
この関連において光源としてレーザ光源を使用すると(これに関しては特に上記の説明も参照)レーザの高い光強度(輝度)に基づき、白色の配光を発生ために必要なマイクロ投射アレー(領域)は極めて僅かであり、それにより横方向において比較的小さいライトモジュールを作成することができる。
【0157】
最後に、第2遮光装置の遮光部は、異なって形成された下側(
図3aの結像誤差Y1、Y2を補正するため)及び/又は上側(
図3aの結像誤差Y3を補正するため)の光学的に有効な遮光縁部(光学的な遮光エッジ)をもち得ることを付言する。このことは、
図10〜
図15でテーマ(話題)とされている。
【0158】
図10は、下側の遮光縁部が、光学軸線から下側に向かって延在する三角形の切妻形として形成された第2遮光装置60の複数の遮光部の例を示している。
【0159】
図11は、下側の遮光縁部が、楕円の一部分(一楕円弧)、特に円の一部分(一円弧)として形成されている遮光部を表している。
【0160】
図12の遮光部は、下側の遮光縁部(図示された遮光部の各々のため)が3つの遮光縁部部分を含む下側の遮光縁部を有する。この際、2つの遮光縁部部分は、遮光開口部の内側の方に湾曲した楕円弧ないし円弧として形成されており、光学軸線を通って延在する垂直方向の中心線Mに関して鏡面対称に配設されている。第3の遮光縁部部分(頂部)は、直線部として形成されている。
【0161】
下側の遮光縁部の前述の構成は、
図3aの上述の結像誤差Y1、Y2の補正に寄与することができる。第2遮光装置60の下側の遮光縁部の正確な形状は、マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の間の光線路に対して適合されることが可能である。また下側の遮光縁部が、連続的に互いに移行する少なくとも2つの部分を有すると有利であり、この際、最初(左側から右側へ見て)の部分が(垂直方向Vに関して)下降部分であり、最後の部分が上昇部分である。
【0162】
図13は、上側の遮光縁部81’〜83’が台形状に形成されている第2遮光装置80の複数の遮光部の例を示している。下側の遮光縁部は、
図10の下側の遮光縁部と同じに形成されている。
【0163】
図14は、上側の遮光縁部84’、86’が楕円の一部分(一楕円弧)、特に円の一部分(一円弧)として形成されている遮光部を表している。更にまた
図14は、実質的に湾曲切妻形の延在形状を有する上側の遮光縁部85’を示している。この切妻形の(遮光開口部の外側の方に向けられた)延在形状は、急勾配の山形状、平坦な山形状、又は通常の山形状で形成されていることが可能である。
図14の下側の遮光縁部の延在形状は、
図11の下側の遮光縁部の延在形状と実質的に同じである。
【0164】
図15の遮光部は、その形状に関して
図12の下側の遮光縁部と実質的に同じである下側の遮光縁部を有する。上側の遮光縁部87’〜89’は、
図13におけるように台形状である。
【0165】
上側の遮光縁部の上述の構成は、
図3aの上述の結像誤差Y3の補正に寄与することができる。第2遮光装置60、70、80の上側の遮光縁部の正確な形状は、マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の間の光線路に対して適合されることが可能である。また上側の遮光縁部が、連続的に互いに移行する少なくとも2つの部分を有すると有利であり、この際、最初(左側から右側へ見て)の部分が(垂直方向Vに関して)上昇部分であり、最後の部分が下降部分である。