(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1磁場遮蔽層はFe系合金の破片のうち、一部隣接する破片の間に形成された離隔空間の少なくとも一部に侵入している誘電体を含む、請求項1に記載の磁場遮蔽ユニット。
前記第1シートは複数個の第1磁場遮蔽層を含み、隣接した第1磁場遮蔽層の間には磁場遮蔽層間を接着させるための誘電層が介された、請求項1に記載の磁場遮蔽ユニット。
遮蔽ユニットの可撓性向上及び渦電流発生を減少させるために破砕させたFe系合金の破片で形成された第1磁場遮蔽層を備えて無線充電用アンテナ特性を向上させる第1シート、及び遮蔽ユニットの可撓性向上のために破砕させたフェライトの破片で形成された第2磁場遮蔽層を備えて近距離通信用アンテナ特性を向上させ、前記第1シートの一部厚さまたは全体厚さを収容するための収容部を備える第2シートを含み、前記Fe系合金の破片及び前記フェライトの破片の追加破片化を防止するために前記Fe系合金の破片及び前記フェライトの破片のうち、一部の破片は少なくとも一辺が直線でない湾曲形状を有し、
前記Fe系合金の破片のうち、少なくとも一辺が直線でない湾曲形状を有する破片の個数は、磁場遮蔽ユニットに備えられるFe系合金の破片全体個数対比15%以上であり、
前記フェライト破片のうち、少なくとも一辺が直線でない湾曲形状を有する破片の個数は、磁場遮蔽ユニットに備えられるフェライト破片の全体個数対比25%以上である、磁場遮蔽ユニット。
近距離通信用アンテナ及び無線充電用アンテナを含むアンテナユニット、及び前記アンテナユニットの一面に配置されてアンテナ特性を向上させ、前記アンテナユニットに向けるように磁束を集束させる請求項1乃至11のうち、いずれか一項に従う磁場遮蔽ユニットを含む、多機能複合モジュール。
前記アンテナユニットはマグネチック保安伝送用(MST)アンテナをさらに含み、磁場遮蔽ユニットの第1シートは前記マグネチック保安伝送用アンテナに対応するように備えられる、請求項13に記載の多機能複合モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付した図面を参考にして本発明の実施例に対して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明はさまざまな相異する形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書の全体を通じて同一または類似の構成要素に対しては同一な参照符号を付加する。
【0031】
本発明の一実施例に係る磁場遮蔽ユニット400は、
図1aに図示したように、第1シート100及び第1シートを収容するための貫通口で形成された収容部を備える第2シート200を含む。前記第1シート100及び第2シート200の上部及び下部には保護部材310、320が各々配置できる。
【0032】
また、
図1b及び
図1cに図示したように、第2シート202に第1シートを収容するために所定の深さに陥没した収容溝が形成され、前記収容溝の深さが
図1bのように第1シート102の厚さだけ形成されて第1シート102と第2シート202の上部に段差が形成されないように遮蔽ユニット402が形成されることができ、または
図1cのように、第2シート203に備えられる収容溝の深さが第1シート103の厚さより浅く形成されて第1シート103と第2シート203の上部に段差が形成されるように遮蔽ユニット403が形成されることもできる。
【0033】
前記第1シート100は10〜400kHzの周波数帯域を動作周波数として有するアンテナ特性を向上させる役割を遂行し、より好ましくは、無線充電用アンテナでありうる。また、前記周波数帯域を動作周波数として有する異種の機能を遂行するアンテナ、一例に、マグネチック保安伝送(Magnetic secure transmission)用アンテナでありうる。
【0034】
前記第1シート100は、
図1aに図示したように、第1磁場遮蔽層110を備えて、前記第1磁場遮蔽層110はFe系合金の破片110aで形成され、前記Fe系合金破片110a
1、110a
2の間の離隔空間Sの少なくとも一部S
1、S
3に侵入している誘電体110bを含むことができる。
【0035】
まず、前記磁場遮蔽層110は遮蔽ユニットの可撓性向上及び渦電流発生減少のために、破砕させたFe系合金の破片111で形成される。
図1aに図示したように、磁場遮蔽層110は破片化されたFe系合金破片110aで形成されるが、これは1つの単一な形体である時、例えばリ本シート形体である時に比べて比抵抗を格段に増加させて渦電流発生を抑制させる効果がある。磁性体の種類によって比抵抗値が相異し、フェライトのように比抵抗が格段に大きい磁性体は渦電流に従う磁気損失の虞が非晶質合金に比べては格段に少ない。これに反して、第1シートに含まれる磁性体であるFe系合金は比抵抗が格段に小さくて渦電流による磁気損失が非常に大きいことがある。しかしながら、リボンシートを破砕する場合、破片化されたFe系磁性体破片は、破片間に離隔空間の存在などにより比抵抗が格段に増加することによって、渦電流による磁気損失を格段に減少させることができるので、破片化によって発生できる透磁率の減少と、これによるアンテナのインダクタンス減少が補償できる。
【0036】
一方、破片化された破片110aで形成される磁場遮蔽層110は優れる可撓性を有することができる。これは、Fe系合金、例えばFe系合金のリボンシートは透磁率の調節のために熱処理工程を経たリボンシートの場合、脆性が強くて衝撃が加えられたり曲がったりする時、容易に破片化できる。
【0037】
しかしながら、本発明の一実施例に含まれる第1シート100は、Fe系合金リボンシートが初めから破砕されて破片状態で備えられるので、遮蔽ユニットの可撓性が格段に向上して、遮蔽ユニットの断面厚さが薄型化されても外力によりFe系合金破片にこれ以上クラックが発生する虞が抑制できる。
【0038】
また、本発明の一実施例に含まれるFe系合金は、鉄(Fe)の以外に珪素(Si)及び硼素(B)を含む3元素合金であって、3元素合金の基本組成に他の特性、例えば耐腐食性の向上のためにクロム(Cr)、非晶質特性をより向上させるために、コバルト(Co)などの元素をさらに付加することができる。
【0039】
また、前記Fe系合金は、鉄(Fe)、銅(Cu)、及びニオビウム(Nb)を含み、珪素(Si)及び硼素(B)をさらに含む5元素合金でありうる。前記銅は合金のFe系合金の耐食性を向上させ、結晶が生成されても結晶のサイズが大きくなることを防止すると共に、透磁率などの磁気的特性が改善できるようにする。
【0040】
前記Fe系合金破片は、Fe系合金リボンを破砕させて製造できるが、この際、前記Fe系合金リボン厚さが15〜35μmであり、これより厚さを増加させてリボンを製造することは合金の非晶質化を難しくすることがある。また、前記Fe系リボンは、透磁率などの磁気的特性を向上させるために熱処理過程をさらに経たものでありうるが、前記熱処理工程での処理温度と処理時間はFe系合金リボンの具体的組成比、目的とする透磁率の程度によって変わることがあるので、本発明はこれに対して特別に限定しない。一方、熱処理されたFe系リボンは脆性が強くなるにつれて、リボンが貯蔵、運搬工程投入過程で破られることがあり、これを防止するためにリボンの厚さは25〜30μmの厚さを有することがよい。
また、通常の磁場遮蔽部材に含まれる磁性体は透磁率が高いほど磁場遮蔽に有利であるが、一律的に磁性体の透磁率とアンテナ特性の関係が単純な比例関係と見ることはできないことによって、透磁率があまり高くても目的とする10〜400kHzを含む周波数帯域を動作周波数として有するアンテナ(Ex.無線充電)特性を向上させることができない。具体的に,10〜400kHzを含む周波数帯域で高い透磁率を保有したある一磁性体は、無線充電用アンテナと組合せ時、アンテナのインダクタンス特性を向上させると共に、インダクタンス特性の向上幅よりアンテナ比抵抗特性の増加幅をより大きく増加させることができる。この場合、むしろアンテナ特性の向上程度が微少であるので、目的とする水準にアンテナ特性を向上させることができない。したがって、磁場遮蔽ユニットが特定アンテナと組合わせた時、当該アンテナのインダクタンスを向上させて、比抵抗の増加を最小化することができる程度の適正な透磁率及び損失透磁率を保有するFe系合金が磁場遮蔽層に備えられることが好ましい。
【0041】
また、前記破砕されたFe系合金破片の平均粒径は0.5〜700μmであり、好ましくは0.5〜650μm、より好ましくは0.5〜600μmでありうる。前記破片の粒径は破片の外部面に含まれる線の長さのうち、最も長い長さを意味する。前記外部面に含まれる線とは、線をなす全ての点が前記外部面に存在する場合を意味し、線をなす一部の点が外部面の外に存在する線の場合、前記外部面に含まれる線から除外される。この際、好ましくは前記Fe系合金破片の粒径分布は粒径が500μm未満である破片の個数が全体破片個数の60%以上、より好ましくは80%以上でありうる。仮に、粒径が500μm未満である破片の個数が全体破片個数の60%未満である場合に、Fe系合金自体の透磁率が高くて放射体のインダクタンス特性の向上を誘導しても放射体の比抵抗特性をさらに増加させて放射体特性向上の程度が非常に微少であり、渦電流による発熱の問題や磁気漏洩に従う磁場遮蔽能力の低下が発生することがある。特に、追加的な外力によるFe系合金の意図しない微細破片化及びこれに従う初度設計された物性の変更または物性の低下が誘発できる。
【0042】
次に、前述したFe系合金破片110aのうち、一部の隣接する破片間の離隔空間の少なくとも一部に侵入している誘電体110bについて説明する。
前記誘電体110bは隣接するFe系合金破片を部分的または全体的に絶縁させて発生する渦電流をより最小化させると共に、破砕されたFe系合金破片110aが磁場遮蔽層110の内部で移動できないように固定させ支持し、水分が侵入してFe系合金破片が酸化されることを防止し、磁場遮蔽層に外力が加えられたり曲がったりする時、破片110aの追加的な砕け、微細破片化されることを防止する緩衝材の役割を遂行することができる。
【0043】
前記誘電体110bは、
図1aに図示したように、第1のFe系合金破片111a
1と第2のFe系合金破片111a
2との間の離隔空間(S)のうちの一部の離隔空間S
1、S
3のみに誘電体110bが侵入しており、残りの離隔空間S
2には誘電体が存在しない状態の空いている空間として残っていることができる。または、他の一例に、
図2に図示したように、誘電体111bは隣接する破片間の離隔空間に全て侵入していることができる。
【0044】
前記誘電体110b、111bの材質は通常的に誘電体として知られた物質であって、Fe系合金破片を固定させる面で、接着性を備えた物質が好ましく、このような物性を発現する材質の場合、制限無しで使用できる。これに対する非制限的な例に、前記誘電体110b、111bは誘電体形成組成物が硬化されて形成されるか、または熱により溶融後に冷却されて形成、または常温で加圧により接着力を発現する組成物でありうる。硬化されて誘電体を形成する組成物に対する一例に、前記誘電体形成組成物は熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のうち、少なくとも1つ以上を含み、硬化剤を含むことができる。また、前記誘電体形成組成物は硬化促進剤、溶媒をさらに含むことができる。
【0045】
具体的に、前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AN)、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フェノキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトリルブタジエン樹脂などを1種以上含むことができる。
【0046】
また、前記熱硬化性樹脂は、フェノール系樹脂(PE)、ウレア系樹脂(UF)、メラミン系樹脂(MF)、不飽和ポリエステル系樹脂(UP)、及びエポキシ樹脂などを1種以上含むことができ、好ましくはエポキシ樹脂でありうる。前記エポキシ樹脂の場合、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水素添加ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、プロレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、トリスヒドロキシルフェニルメタン型、テトラフェニルメタン型などの多官能エポキシ樹脂などを単独または併用して使用することができる。
【0047】
前記熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂と混合して使用する場合、熱硬化性樹脂の含有量は熱可塑性樹脂100重量部に対し、熱硬化性樹脂を5〜95重量部混合することができる。
また、前記硬化剤は公知のものであれば特別な制限無しで使用することができ、これに対する非制限的な例に、アミン化合物、フェノール樹脂、酸無水物、イミダゾール化合物、ポリアミン化合物、ヒドラジド化合物、ジシアンジアミド化合物などを単独または2種以上混合して使用することができる。硬化剤は、好ましくは芳香族アミン化合物硬化剤、またはフェノール樹脂硬化剤から選択された1種以上の物質からなるが、芳香族アミン化合物硬化剤、またはフェノール樹脂硬化剤は、常温で長期間保管しても接着特性変化が少ないという長所を有する。芳香族アミン化合物硬化剤には、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンなどがあり、これらを単独または併用して使用することができる。また、フェノール樹脂硬化剤には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ポリ−p−ビニルフェノールt−ブチルフェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂などがあり、これらを単独または併用して使用することができる。硬化剤の含有量は熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のうち、少なくとも1つ以上の樹脂100重量部当たり20〜60重量部であることが好ましいが、硬化剤の含有量が10重量部未満の場合には熱硬化性樹脂に対する硬化効果が不足して耐熱性の低下が引き起こされ、一方、60重量部を超過すれば、熱硬化性樹脂との反応性が高まるようになって、磁場遮蔽ユニットの取扱性、長期保管性などの物性特性を低下させることができる。
【0048】
また、前記硬化促進剤は選択される熱硬化性樹脂及び硬化剤の具体的な種類により決定できるので、本発明ではこれに対して特別に限定せず、これに対する非制限的な例に、アミン系、イミダゾール系、燐系、硼素系、燐−硼素系などの硬化促進剤があり、これらを単独または併用して使用することができる。硬化促進剤の含有量は熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のうち、少なくとも1つ以上の樹脂100重量部当たり約0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部が好ましい。
【0049】
また、前述した誘電体組成物を通じて形成された誘電体110b、111bは後述する第1接着層140b及び第2接着層130bのうち、いずれか1つ以上の接着層の一部がFe系合金破片の間の離隔した空間に侵入して形成できるので、誘電体と第1接着層140b及び第2接着層130bのうち、いずれか1つ以上の接着層の組成は互いに同一でありうる。
【0050】
また、前記第1磁場遮蔽層110の厚さは前述したFe系合金破片の由来となるリボンシートの厚さであり、破片の離隔空間を始めとして一部の破片の上部や下部を覆う誘電体の厚さを考慮して第1磁場遮蔽層110の厚さは15〜50μmでありうるが、これに制限されるものではない。
【0051】
また、前記第1磁場遮蔽層の形状は適用されるアンテナの形状に対応する形状を有することができる。具体的に、形状が直四角形、正四角形の四角形の以外に、五角形などの多角形や円形、楕円形や部分的に曲線と直線が混在された形状でありうる。例えば、アンテナの形状(Ex.環形)に対応してそれと同一な形状(環状)を有することができる。この際、第1磁場遮蔽層のサイズは対応するアンテナサイズより約0.1〜2mm広い幅からなることが好ましいが、これに制限されるものではない。
【0052】
また、本発明の一実施例に係る磁場遮蔽ユニットに含まれる第1シート104は、
図3に図示したように、第1磁場遮蔽層を含んで複数個の磁場遮蔽層114A、114B、114Cを備え、前記複数個の磁場遮蔽層114A、114B、114Cのうち、隣接して配置される磁場遮蔽層114A/114B、114B/114Cの間には磁場遮蔽層間を接着させ、渦電流を減少させるために介された誘電層150a、150bをさらに含むことができる。
【0053】
場合によって、第1シートに単一の磁場遮蔽層のみ具備させる場合、無線充電やマグネチック保安伝送などの機能に適した水準の物性に及ばないことがある。これによって、磁場遮蔽層114A、114B、114Cを複数個に具備させて厚さ増加を通じて透磁率の高い磁性体を使用したような物性増加効果を達成することができる。
【0054】
前記第1シート104内に複数個に磁場遮蔽層114A、114B、114Cを備える場合、2〜12個の磁場遮蔽層を備えることが好ましく、3〜6個の磁場遮蔽層を備えることがより好ましいことがあるが、これに制限されるものではない。一方、磁場遮蔽層の積層個数を無制限増加させるとして目的とする水準の物性を達成するものではなく、仮に磁場遮蔽層の積層数が12個を超過する場合、アンテナの品質係数向上の幅が微少であり、厚さが厚くなって遮蔽ユニットの薄型化に好ましくないことがある。
【0055】
一方、前記誘電層150a、150bは誘電接着層であって、前記誘電接着層は前述した誘電体形成組成物を通じて形成できる。前記磁場遮蔽層114A、114B、114Cが複数個に備えられる場合、複数個のFe系合金リボンを前記誘電接着層150を介在させて積層させた後、リボンを破砕させて磁場遮蔽層が複数個に備えられた第1シート104を製造することができる。この場合、隣接するある一磁場遮蔽層114Aの下部部分と他磁場遮蔽層113Bの上部部分に含まれる誘電体は、2つの磁場遮蔽層114A、114Bの間に介される誘電接着層150aが一磁場遮蔽層114Aの下部部分と他磁場遮蔽層114Bの上部部分に位置するFe系破片の間の離隔空間に侵入して形成されたものでありうる。好ましくは、前記誘電接着層150a、150bの厚さは1〜10μmであり、粘着力は約700〜900g・f/inchでありうる。また、支持部材(図示せず)の両面に接着層が形成された両面型テープ、または支持部材無しで接着層のみで構成されることもできるが、第1シート104の薄型化の面で支持部材を含まないことがある。
【0056】
また、他の実施例は前記誘電層150a、150bが放熱接着層でありうるが、前記放熱接着層はアクリル系、ウレタン系、エポキシ系などの接着成分に、ニッケル、銀、炭素素材などの公知の放熱フィラーが混合されたものであることがあり、具体的な組成及び含有量は公知の組成及び含有量に従うことができるので、本発明ではこれを特別に限定しない。
【0057】
また、前記磁場遮蔽層114A、114B、114Cが複数個に備えられる場合、各々の磁場遮蔽層に含まれるFe系合金の組成は互いに同一または相異することができる。また、組成が同一であっても熱処理時間などの相異によって、各々の磁場遮蔽層の透磁率が互いに異なることがある。また、各々の磁場遮蔽層の厚さも目的によって互いに同一または相異するように構成させることができる。
【0058】
次に、前記第2シート200は第2磁場遮蔽層210を備え、前記磁場遮蔽層210は多数のフェライトの破片210aで形成される。
まず、前記第2磁場遮蔽層210は第2シート200の可撓性を向上させるために、フェライトシートを破砕させたフェライト破片210aで形成される。
【0059】
磁場遮蔽ユニットのスリム化、薄型化のためには、備えられる各シートの厚さ、延いては、備えられる磁性体の厚さが同時に非常に薄くならなければならないが、13.56MHzを動作周波数帯域として有するアンテナに適したフェライトは脆性が非常に強くてフェライトシートの厚さが薄くなる場合、非常に弱い外力にもクラックが発生するか、または微細破片に砕けるので、クラックが発生する前のシート状である時、透磁率よりクラック発生後、透磁率が格段に低下する問題点がある。
【0060】
また、非常に薄く具現された第2シートは、製造後、破けないように注意しなければならないので、保管、運送、及びこれを部品で工程に投入する過程で作業性を格段に減少させる問題点がある。また、フェライトシートにクラックが発生しないように非常に大きい努力を傾けて携帯用機器が製造された場合にも使用中に落としなどの衝撃によりフェライトシートにクラック、砕けが発生して目的とする水準の送受信効率や送受信距離を保証できないという問題がある。
【0061】
しかしながら、本発明の一実施例に係る遮蔽ユニットに含まれる一磁性体であるフェライト210aが初めから破砕されて破片状態で備えられることによって、第2シート200の可撓性が格段に向上して第2シート200の断面の厚さが薄型化されても外力によりフェライト破片にクラックがさらに発生することがある虞が根本的に封鎖できる。また、フェライトが破片状態で第2シート200に含まれ、かつ破片状態のフェライトを含む第2シート200が初めから13.56MHzを動作周波数帯域として有するアンテナの信号送受信効率及び送受信距離で優れる特性を発現できる程度の初期物性を保有し、前記初期物性を遮蔽ユニット300を取り付ける完成品の製造ステップ、延いては、完成品の使用段階でも持続的に維持させることができるので、通常の非破片化された磁性体を備える遮蔽ユニットで発生する意図しない破片化による物性の低下及びこれによるデータ送受信性能の顕著な低下の虞を除去することができる。
【0062】
前記フェライト破片210aの形状は非定形でありうる。また、前記フェライト破片の単一破片平均粒径は100〜2100μmでありうる。仮に、平均粒径が2100μmを超過する場合、追加的な破片の破損、切れの発生が増加して第2シート200の初期設計物性値の維持が難しいことがある問題点がある。また、仮に破片の平均粒径が100μm未満の場合、破砕前、フェライトの透磁率など、磁気的物性値が格段に高いものを選択しなければならないが、透磁率の高いフェライトを製造することは、製造上、限界があるので、目的とする水準に磁場遮蔽ユニットの初期物性を設計し難いという問題がある。一方、破片の平均粒径とは、4mm×4mm面積内の対角線基準線の上に分布する各々試片の対角線長さのうち、最も長い対角線を基準に測定された結果である。一方、湾曲形状を有するフェライト破片を含まなくても粒径が100μm未満であるので、追加微細破片化に従う物性変動がないことがあるが、粒径が小さ過ぎるので、磁場遮蔽ユニット自体が目的とする効果が発現できない。
【0063】
一方、前記第2シート200に備えられる第2磁場遮蔽層210を形成させるフェライトは破片化された状態で後述する磁場遮蔽ユニットの透磁率などの磁気的特性を発現することができる場合、組成、結晶種類、焼結粒子の微細構造に制限はないし、公知のフェライトを使用しても関係ない。但し、好ましくはフェライトの結晶構造はスピネル型でありうる。また、前記フェライトは、好ましくはNi−Zn−Cu系フェライトであり、より好ましくは破片化された以後にも目的とする水準の物性を発現するためにNi−Zn−Cu系フェライトは酸化亜鉛(ZnO)8〜40モル%、酸化銅(CuO)7〜17モル%、三酸化二鉄(Fe
2O
3)37〜50モル%、及び酸化ニッケル(NiO)11〜25モル%を含むフェライトでありうる。
【0064】
また、前記Ni−Zn−Cu系フェライトは四酸化三コバルト(Co
3O
4)をさらに含むNi−Zn−Cu−Co系フェライトであり、より好ましくは前記四酸化三コバルトを0.2〜0.35モル%で含むことができる。四酸化三コバルトをさらに含むことによって、近距離通信に一層適した物性を発現することができる利点がありうる。
【0065】
また、前記Ni−Zn−Cu系フェライトは、酸化マグネシウム(MgO)をさらに含むNi−Zn−Cu−Mg系フェライトであり、より好ましくは前記酸化マグネシウムを3〜12モル%さらに含むことができる。酸化マグネシウムをさらに含むことによって、マグネチック保安伝送に一層適した物性を発現することができる利点がありうる。
【0066】
一方、フェライトの組成と組成比はこれに制限されるものではなく、目的とする物性の程度によって変更して実施することができる。
また、前記第2磁場遮蔽層210の厚さはフェライト破片の由来となるフェライトシートまたはプレートの厚さであって、一例に、第2磁場遮蔽層210の厚さは30〜600μmでありうる。仮に、平均厚さが30μm未満の場合、目的とする水準に13.56MHzの動作周波数に適した磁気的特性が発現できないことがあり、600μmを超過する場合、遮蔽ユニットの薄膜化に好ましくない。
【0067】
また、前記第2磁場遮蔽層210の形状は磁場遮蔽ユニットが適用される適用先、具体的に、近距離通信用アンテナの形状に対応するように形状が直四角形、正四角形の四角形の以外に、五角形などの多角形や円形、楕円形や部分的に曲線と直線が混在された形状でありうる。この際、第2磁場遮蔽層210のサイズは対応するモジュールのアンテナサイズより約0.1〜2mm広い幅からなることが好ましいが、これに制限されるものではない。
【0068】
一方、本発明の一実施例に含まれる第2シート200はフェライトが破片状態で初めから含まれて第2磁場遮蔽層を形成するにもかかわらず、13.56MHzの周波数で複素透磁率の実数部(μ')が95以上を満たし、好ましくは125以上、より好ましくは140以上、より好ましくは180以上を満たすことができる。これを通じてフェライトの破片化により第2シート200の可撓性を格段に向上させたにもかかわらず、目的とする近距離通信が要求する物性は完全に満たすことができ、もし発生することがあるフェライト破片の追加的な破損があっても、それに従う物性の低下を勘案して目的とする近距離通信が要求する物性値を満たすことができる。
【0069】
仮に、前記周波数で複素透磁率の実数部が95未満の場合、目的とする水準の近距離通信効率が達成できず、もし発生することがあるフェライト破片の追加微細破片化によって近距離通信に必要な水準の物性値を満たさなくて、製品異常、不良を引き起こす問題点がありうる。また、より向上した近距離通信効率、通信距離の増大のために前記第2シート200は13.56MHzの周波数で以下の<数式2>に従う品質指数値が20以上であり、より好ましくは45以上でありうる。
【0070】
【数3】
前記品質指数の値が増加するということは、複素透磁率の実数部が増加し、虚数部には変化がないか、または複素透磁率の実数部は一定であるが、虚数部が減少するか、または複素透磁率の実数部の増加と虚数部の減少が同時に起こることを意味し、どの場合でも向上した近距離通信効率、通信距離を増大させることができる。仮に、13.56MHzの周波数で品質指数が20未満の場合、近距離通信効率の向上が微少であるか、または磁気損失のうち、渦電流損失による磁気損失、発熱が増加する問題がある。
【0071】
一方、前述した第1シート100、101、102、103、104及び第2シート200、201、202、203に備えられる磁性体破片、具体的に、組成が相異することによって、脆性などの機械的特性が相異し、周波数別透磁率が互いに相異することがある。これによって、磁性体の種類によって一定水準の可撓性を発現するための粒度分布が異なることがあり、追加的な微細破片化によって低下する磁気的特性の程度も相異することがある。本発明に従う磁場遮蔽ユニットは、磁性体別脆性などの機械的強度及び破片化された程度によって発現される磁気的特性の変化程度を考慮して互いに相異する周波数帯域を動作周波数とする各々のアンテナの特性を向上させ、遮蔽ユニットの可撓性を向上させるために、本発明に従う<数式1>の値が3〜35であり、好ましくは3〜25であり、より好ましくは3.3〜23.1でありうる。
【0072】
【数4】
仮に、<数式1>の値が3未満の場合、第2シートの磁気的特性が非常によくないで、目的とする水準に近距離通信効率、送受信距離が達成できないという問題があり、または第1シートの可撓性がよくないで、追加的微細破片化及びこれによって初度設計した磁気的特性の維持が難しく、第1シートで渦電流などに従う磁気的損失が顕著であるので、目的とする水準に無線充電効率及び送受信距離などが達成できないことがある。また、仮に<数式1>の値が35を超過する場合、第2シートの可撓性が顕著によくないで、追加的な微細破片化及びこれによって初度設計した磁気的特性を維持させることができないという問題があるか、または第1シートの磁気的特性が非常によくないで、目的とする水準に無線充電効率、送受信距離などが達成できないことがある。
【0073】
また、Fe系非晶質合金でも組成によって、より向上した無線充電効果の発現のための本発明に従う<数式1>の範囲が相異になることがある。具体的に、Fe系非晶質合金が鉄(Fe)、珪素(Si)、及び硼素(B)を含む3元素系合金の場合、好ましくは本発明に従う<数式1>の値は3.3〜15でありうる。また、Fe系非晶質合金が鉄(Fe)、珪素(Si)、硼素(B)、銅(Cu)、及びニオビウム(Nb)を含む5元素系合金の場合、好ましくは本発明に従う<数式1>の値は5〜23.1でありうる。前記の範囲を満たす場合、無線充電効率及び/又は近距離通信効率がさらに向上できる。
【0074】
一方、前述した第1シート100、101、102、103、104及び第2シート200、201、202、203に備えられる磁性体破片、具体的に前記Fe系合金の破片及び前記フェライトの破片のうち、一部の破片は
図4のように少なくとも一辺が直線でない湾曲形状を有する。これは、遮蔽ユニットが撓んだり曲がったりすることにより発生する意図しない追加的なFe系合金及び/又はフェライト破片の破損、切れ、砕けをさらに防止するためである。これを通じて遮蔽ユニットが撓む時、一辺が湾曲形状を有する破片によって隣接した破片とぶつかりや摩擦が減少して破片の追加的な砕けを防止することができ、これを通じて物性の低下を防止することができる利点がある。
【0075】
また、好ましくは前記Fe系合金の破片のうち、少なくとも一辺が直線でない湾曲形状を有する破片の個数は、磁場遮蔽ユニットに備えられるFe系合金の破片全体個数対比15〜90%でありうる。仮に、少なくとも一辺が湾曲形状を有する破片の個数が全体破片個数の15%未満の場合、可撓性向上が微少であることがあり、外部衝撃により初度に具備させた破片より微細化された破片が増加して遮蔽ユニットの透磁率減少など、物性の低下を引き起こすことがある問題がある。また、仮に少なくとも一辺が湾曲形状を有するFe系合金の破片の個数が全体破片個数の90%を超過する場合、湾曲形状を有する破片の個数が増加して可撓性が向上できるが、粒径が過度に小さくなることがあるので、目的とする効果が達成できないことがある。
【0076】
また、前記フェライト破片のうち、少なくとも一辺が直線でない湾曲形状を有する破片の個数は、磁場遮蔽ユニットに備えられるフェライト破片の全体個数対比25〜90%でありうる。仮に、少なくとも一辺が湾曲形状を有する破片の個数が全体破片個数の25%未満の場合、可撓性向上が微少であることがあり、外部衝撃により初度に具備させた破片より微細化された破片が増加して遮蔽ユニットの透磁率減少など、物性の低下を引き起こす問題がある。また、仮に少なくとも一辺が湾曲形状を有するフェライト破片の個数が全体破片個数の90%を超過する場合、湾曲形状を有する破片の個数が増加して可撓性が向上できるが、粒径が過度に小さくなることがあるので、目的とする効果が達成できないことがある。
【0077】
一方、破片の追加的な破損、切れをさらに防止するために、好ましくは第2シート200に備えられるフェライト破片210aは、以下の<数式3>に従う破片の一面の異形度が8.0以下である破片を10%以上含むことができる。
【0078】
【数5】
前記<数式3>で、破片の外接円直径とは、破片のある一面に存在するある2点間の距離のうち、有する長い距離を意味(
図5aのR
1、
図5bのR
2)し、この時に該当する破片の2つの点を過ぎる円が破片の外接円に該当する。また、破片の内接円の直径は破片のある一面に存在する2つの辺以上と接する内接円のうち、直径が最も大きい内接円の直径を意味(
図5aのR
1、
図5bのR
2)する。破片の一面の異形度が大きいということは、破片の一面の形状が長いか(
図5a参照)尖っている部分(
図5b参照)を含むことを意味し、このような形状であるほど追加的な破片の破損、切れが発生できることを意味する。
【0079】
これによって、第2シート200に含まれるフェライト破片のうち、異形度の大きい破片の個数が一定割合以下に含まれることが好ましいので、第2磁場遮蔽層210内の全体破片のうち、前記<数式3>に従う破片の一面の異形度が8.0以下である破片が10%以上含まれることができ、より好ましくはこれを満たす破片が15%以上、より好ましくは20%以上含まれることができる。仮に、異形度が8.0を超過する破片が10%未満の場合、追加的なフェライト破片の微細破片化によって透磁率など、物性の顕著な低下を誘発することができる問題があり、目的とする初期物性設計値を持続させることができないことがある。
【0080】
一方、破片に含まれるFe系合金に比べてフェライト破片が前述した<数式3>を満たすことがより好ましい理由は、Fe系合金よりフェライト破片が微細破片化による磁気的特性低下の程度がより甚だしいためであり、これによって第2シート200のフェライト破片の追加的微細破片化を防止することが初度設計物性値を満たすことに非常に重要である。
【0081】
一方、前記異形度はFe系合金シート及び/又はフェライトシートを破砕する装置の金属ボール及び/又は凹凸のスペックを適切に調節して特定異形度を有する破片を製造することができる。
【0082】
一方、前述した第1シート104は、
図1aのように内部に備えられる第1磁場遮蔽層110が1つである場合、その上部及び下部に各々第1接着層140b及び第2接着層130bをさらに備えることができ、
図3のように、内部に備えられる第1磁場遮蔽層114A、114B、114Cが複数個の場合、最上部磁場遮蔽層114Aの上部及び最下部磁場遮蔽層114Cの下部に各々第1接着層144b及び第2接着層134bをさらに含むことができる。また、第2シート204は第2磁場遮蔽層210の上部及び下部に各々第1接着層240b及び第2接着層230bをさらに備えることができる。
【0083】
前記第1接着層140b、144b、240b及び第2接着層130b、134b、230bは、第1シート100、104及び第2シート200の上部及び下部にさらに備えられる保護部材310、320に第1シート100、104及び第2シート200が接着できるようにする役割を担当する。また、破片化されたFe系合金及び破片化されたフェライトが離脱、飛散することを防止すると共に、外部の水分の侵入を防いで合金やフェライトが酸化されることを防止することができる。
【0084】
一方、前記第1接着層140b、144b、240b及び第2接着層130b、134b、230bは、前述したFe系合金破片110aの間の離隔空間に侵入している誘電体110bの由来でありうる。即ち、シートまたはプレート形状のFe系非晶質合金及びフェライトの両面に第1接着層140b、144b、240b、及び第2接着層130b、134b、230bを形成させた後、後述する破砕工程(図参照)または以後の別途の加圧工程をさらに経る場合、第1接着層140b、144b、240b及び第2接着層130b、134b、230bは破片化されたFe系合金破片の離隔空間に侵入することができ、これを通じて別途に誘電体110bを具備させなくても磁性体破片の離隔空間に誘電体110bを形成させることができる。
【0085】
前記第1接着層140b、144b、240b及び第2接着層130b、134b、230bは、通常の接着層の場合、制限無しで使用できるが、好ましくは前述した誘電層形成組成物で形成されたものであり、これを通じて第1磁場遮蔽層110及び第2磁場遮蔽層210の商用性が増加して、より向上した接着力を発現することができる。また、前記第1接着層140b、144b、240b及び第2接着層130b、134b、230bの厚さは、各々独立的に1〜50μmでありうるが、これに制限されるものではない。また、前記第1接着層140b、144b、240b及び第2接着層130b、134b、230bは、支持部材(図示せず)の両面に接着層が形成された両面型テープであるか、または支持部材無しで接着層のみで構成されることもできる。また、前記第1接着層140b、144b、240b及び第2接着層130b、134b、230bは、粘着力が800〜1500g・f/inchでありうるが、これに制限されるものではない。
【0086】
前記保護部材310、320は、通常的な磁場遮蔽ユニットに備えられる保護フィルムであって、アンテナを備える回路基板に遮蔽ユニットを付着させる工程で硬化のために加えられる熱/圧力などを耐えることができるだけの耐熱性及び外部から加えられる物理的、化学的な刺激に対して磁場遮蔽ユニットを保護することができる程度の機械的強度、耐化学性が保証される材質である場合、制限無しで使用できる。これに対する非制限的な例に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、架橋ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン系樹脂、アセテート、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミドアマイド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、及びポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などがあり、これらを単独または併用することができる。また、前記保護基材は厚さが1〜100μm、好ましくは10〜30μmの厚さを有するものを使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0087】
以上、前述した本発明の一実施例に係る磁場遮蔽ユニット400、401、402、403は後述する製造方法により製造できるが、これに制限されるものではない。
まず、本発明に従う好ましい一製造例は、破砕前、第1シート及び第2シートを
図1の形状に製造した後、第1シート及び第2シートを同時に破砕させる方法(方法1)、または各々独立して破砕過程を経て製造された第1シート及び第2シートを
図1の形状に製造する方法(方法2)により製造できる。
【0088】
後述する製造方法は、方法2を基準に説明し、当業者は後述する方法2により方法1を容易に実施できるので、方法1に対する説明は省略する。
まず、方法2に従う(1)ステップにて、第1シート及び第2シートを各々製造する。
【0089】
前記第1シート100、104は(a−1)ステップであって、1枚のFe系非晶質リボンシート、または多数枚のシートが積層されたFe系非晶質リボン積層体の上部及び下部に各々第1接着層140b、144b及び第2接着層130b、134bを形成させて、破砕前、第1シートを製造するステップ及び(b−1)ステップであって、破砕前、第1シートを破砕させるステップを含んで製造できる。
【0090】
前記(a−1)ステップで、Fe系非晶質リボンシートはメルトスピニングによる急冷凝固法(RSP)のような公知の方法により製造できる。製造されたFe系非晶質合金リボンはシート状にカッティング後、透磁率の調節のために熱処理工程を経ることができる。この際、熱処理温度は目的とする非晶質合金の透磁率の程度によって異に選択できるが、多様な動作周波数範囲で一定水準以上の優れる物性を発現し、非晶質リボンの脆性の増加のために大気雰囲気または窒素雰囲気下で300〜600℃の温度で30分〜2時間の間熱処理できる。
【0091】
製造されたFe系非晶質リボンシートを1枚または目的によって多数枚を積層させることができるが、多数枚のリボンシートの積層時には各々のリボンシートの間に前述した誘電層形成組成物を通常の方法により塗布、乾燥させて、誘電層150a、150bを形成することができる。以後、1枚がリボンシートまたは多数枚のリボン積層体の上部及び下部に各々第1接着層及び第2接着層を形成させるが、この際、前記第1接着層及び第2接着層は通常の接着剤または前述した誘電体形成組成物を塗布、乾燥させて形成することができる。この際、第1接着層の上部には保護基材または離型基材がさらに備えられることができ、第2接着層の下部には離型基材がさらに備えられることができる。前記保護基材または離型基材は当業界で公知の基材を使用することができるので、本発明でこれを特別に限定しない。保護基材または離型基材は、後述する(b)ステップの破砕工程で非晶質合金の飛散、離脱を防止すると共に、第1接着層及び第2接着層を保護する役割を担当する。また、第1接着層の上部に保護基材が備えられる場合、前記保護基材は最終に製造される磁場遮蔽ユニットの上部保護部材320及び第1接着層140bの間に続けて備えられることができ、この際、上部保護部材320及び保護基材の間には別途の接着層がさらに備えられることができる。または、前記保護基材が最終の磁場遮蔽ユニットに備えられる場合、前記上部保護部材320が省略された形態の磁場遮蔽ユニットも具現可能である。
【0092】
次に、前記(b−1)ステップで、製造された破砕前の第1シートを破砕させる工程を遂行することができる。前記(b−1)ステップに対する一実施例は、破砕前、第1シートを
図6b及び
図6cのような破砕装置を通過させて、破砕前、第1シートに備えられるFe系合金シートまたはプレートを非定形の破片に砕くことができる。また、前記破砕工程で加えられる圧力及び/又は別途に第1シート100に圧力を加えてリボンシートまたはリボン積層体の両面に形成された接着層を破片化されたFe系合金の離隔空間に侵入させて誘電体を形成させることができ、これを通じて破片を固定、支持させると共に、破片を絶縁させて渦電流による磁気損失を最小化し、破片を緩衝させて外力により追加的な破片の損傷、破砕、微細破片化になることを防止し、水分の侵入を防いで磁性体が酸化されることを防止することができる。一方、破砕されたFe系合金間の離隔空間に接着層の侵入程度を一層高めるために、加圧工程を多数回さらに遂行することができる。
【0093】
具体的に、
図6b及び
図6cに図示したように、複数のボール30が転がり運動可能に挿入される複数の挿入溝22が複数に形成テーブル20を含む破砕装置に破砕前、第1シートを投入させて前記ボール30を通じてシートを破砕させて第1シート100を製造することができる。このように、本実施例に係るフレーク処理装置はボール30が複数の列に配列されるので、非晶質リボンは第1列ボール30aを通過しながら1次破砕され、第2列ボール30bを通過しながら2次破砕され、第3列ボール30cを通過しながら3次破砕され、第4列ボール30dを通過しながら4次破砕されるので、1回の工程で非晶質リボンのフレーク処理が完了するので、作業時間を減らすことができ、生産性を向上させることができる。
【0094】
加圧ユニット40はボール30の上面にボール30の列と同一な個数に配置されて非晶質リボンを加圧する加圧ローラー42と、加圧ローラー42の両端が回転可能に支持され、第1隔壁(図示せず)及び第2隔壁(図示せず)に上下方向に直線移動可能に配置されるヒンジブラケット(図示せず)と、ベースフレーム(図示せず)に固定される駆動モータ(図示せず)と、駆動モータ(図示せず)の回転力を複数の加圧ローラー42に伝達する動力伝達部(図示せず)を含むことができる。
【0095】
一方、前記ボール30の形状は球形でありうるが、これに制限されるものではなく、三角形、多角形、楕円などであり、ボールの形状は1つ形状に構成されるか、またはさまざまな形状が混合されて構成されることもできる。
【0096】
次に、第2シート200は(a−2)ステップであって、フェライトシートまたはプレートの上部及び下部に各々第1接着層240b及び第2接着層230bを形成させて、破砕前、第2シート200aを製造するステップ、及び(b−2)ステップであって、破砕前、第2シート200aを破砕させるステップを含んで製造できる。
【0097】
前記(a−2)ステップで、フェライトシートまたはプレートは公知の方法により製造できるので、これに対する特別な制限はない。その一例に、Ni−Zn−Cu−Co系フェライトの製造方法を説明すると、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化銅、酸化コバルト、及び二酸化三鉄を所定の組成比になるように混合して原料混合物を収得する。この際、前記混合物は乾式混合や湿式混合を通じて混合されることができ、混合される原料の粒径は0.05〜5μmのものが好ましい。前記原料混合物に含まれる酸化ニッケル、酸化亜鉛などの成分は、その自体または前記成分を含有する複合酸化物形態であって、酸化コバルトの場合にもコバルトフェライト、四酸化三コバルトの形態に原料に含まれることができる。前記原料混合物は可塑を経て可塑材料に収得できる。可塑は原料の熱分解、成分の均質化、フェライトの生成、焼結による超微分の消失と適当な程度の粒子サイズへの粒子成長を促進させて原料混合物を後工程に適した形態に変換させるために実施される。このような可塑は好ましくは800〜1100℃の温度で、1〜3時間位実施することができる。可塑は大気雰囲気または大気より酸素分圧の高い雰囲気で実施してもよい。次に、収得された可塑材料の粉砕を実施して、粉砕材料を収得する。粉砕は可塑材料の凝集を崩して適当な程度の焼結性を有する分体にするために実施される。可塑材料が大きい塊りを形成している時には、粗粉碎を実施した後、ボールミルやアトライターなどを使用して湿式粉砕を実施することができる。湿式粉砕は粉砕材料の平均粒子直径が、好ましくは0.5〜2μm程度になるまで実施することができる。以後、収得された粉砕材料を通じてフェライトプレートやシートを製造することができる。当該フェライトシートを製造する方法は、公知の方法を使用することができるので、本発明ではこれを特別に限定しない。これに対する非制限的な例に、収得された粉砕材料を溶媒、バインダー、分散剤、可塑剤などの添加剤と共にスラリー化してペーストを製作する。そして、このペーストを使用して30〜350μmの厚さを有するフェライトシートを形成することができる。前記シートを所定の形状に加工した後、脱バインダー工程、焼成工程を経てフェライトシートが製造できる。前記焼成は好ましくは900〜1300℃の温度で、2〜5時間位実施することができ、この時の雰囲気は大気雰囲気または大気より酸素分圧の高い雰囲気で実施してもよい。一方、フェライトプレートを製造する実施例であって、フェライト粉末とバインダー樹脂を混合した後、粉末圧縮成形法、射出成形法、カレンダー法、押出法などの公知の方法により製造することができる。
【0098】
上記のように用意したフェライトシートまたはプレートの上部と下部に第1接着層240b及び第2接着層230bを形成させる。第1接着層240b及び第2接着層230bは、前述した第1シート製造方法のうち、(a−1)ステップの説明と同一であるので、具体的な説明を省略する。
【0099】
次に、(b−2)ステップであって、製造された破砕前、第2シートを破砕させる工程を遂行することができる。前記(b−2)ステップに対する一実施例は破砕前、第2シート200aを
図6aのような破砕装置を通過させて破砕前、第2シート200aに備えられるフェライトシートをフェライト破片に砕くことができる。一方、湾曲形状を有するフェライト破片の個数を増加させるために破砕工程の条件を変更することもできる。
【0100】
具体的に、
図6aに図示した破砕装置は、第1ローラー70と前記第1ローラー70と対応する第2ローラー60を備える破砕装置の流入部81に破砕前、第2シート200aを通過させて破砕前第2シート200aを破砕及び加圧させて吐出部80を通じて吐出される第2シート200を製造することができる。前記第1ローラー70はシリコンローラーであり、前記第2ローラー60は金属ローラーでありうるが、これに制限されるものではなく、フェライトシートの破砕に使用できるローラーであれば、制限無しで使用することができる。一方、前記湾曲形状を有する破片の個数を一層高めるために、第2ローラー60の直径を調節するか、または加える圧力の強さを調節することもできる。
【0101】
以後、磁場遮蔽ユニットを製造する好ましい(2)ステップであって、製造された第2シート200に収容部を形成させるステップを遂行することができる。前記収容部が貫通型の場合、目的とするサイズに第2シート200の内部を打抜きして貫通型収容部を形成させることができる。または、前記収容部が収容溝の場合、所定の深さに第2シート201、202を陥没させて収容溝を形成させることができる。第2シートの一定部分を陥没させる方法は、通常の方法を使用することができるので、本発明はこれに対して特別に限定しない。
【0102】
次に、磁場遮蔽ユニットを製造する好ましい(3)ステップであって、収容部が形成された第2シート200、201、202に収容部のサイズと合うように第1シート100、101、102を裁断して前記収容部に第1シート100、101、102を具備させて磁場遮蔽ユニットを製造することができる。この際、第1シート100及び第2シート200の第2接着層130b、230bを下部保護部材320に付着させて第1シート100及び第2シート200を固定及び支持させることができる。または、前記収容部が収容溝である場合、第1シート101、102に備えられた第2接着層130bを通じて第2シート201、202の収容溝の内部の下面に第1シート101、102を付着させることができ、第2シート201、202に備えられた第2接着層の下面に下部保護部材320をさらに配置させることができる。一方、前記下部保護部材320を形成させず、第2シート201、202に備えられた第2接着層をアンテナユニットとの接着のための接着層に使用することもできる。また、第1シート100、101、102及び第2シート200、201、202の第1接着層140b、240bの上部に上部保護部材310をさらに配置させることもできる。
【0103】
以上、前述した方法により製造された本発明の一実施例に係る磁場遮蔽ユニット400は、
図7aに図示したように、近距離通信用アンテナ520及び無線充電用アンテナ540を含むアンテナユニット500の一面に配置されて多機能複合モジュールを具現し、前記磁場遮蔽ユニット400は前記アンテナ特性を向上させ、前記アンテナユニットに向けるように磁束を集束させる役割を遂行する。
【0104】
前記アンテナユニット500は、基板510の外側に形成された近距離通信用アンテナ520及び前記近距離通信用アンテナ520の内側に配置される無線充電用アンテナ540を含むことができる。近距離通信用アンテナ520または無線充電用アンテナ540は、コイルが一定の内径を有するように巻かれたアンテナコイルであり、または基板上にアンテナパターンが印刷されたアンテナパターンであって、具体的なアンテナの形状、構造、サイズ、材質などは本発明で特別に限定しない。
【0105】
また、前記アンテナユニット500に備えられるアンテナが
図7aのような配置を有する場合、目的とする近距離通信及び無線充電機能の顕著な発現のために磁場遮蔽ユニット400に備えられる第1シート100及び第2シート200は各々のアンテナが使用する動作周波数で優れる磁気的特性を発現するシートが該当アンテナと対応するように配置されることができ、これによって、
図7bのように第1シート100は無線充電用アンテナ540に対応できるように幅と長さを備えて第2シート200に収容できる。
【0106】
具体的に、アンテナが使用する動作周波数で優れる磁気的特性を発現するシートということは、一例に、前記第1シート100は低周波帯域である10〜400kHzの周波数帯域で前記第2シート200より相対的に高い透磁率を有するか、及び/又は10〜400kHzの周波数帯域で前記第2シート200より相対的に大きい飽和磁場を有する。この際、前記第1シート100は10〜400kHzの周波数帯域で第2シート200より相対的に高い透磁率を有するので、無線充電時、転送される10〜400kHz周波数の電力信号により生成される交流磁場が相対的に高い透磁率を有する第1シート100側に誘導されることによって、前記第1シート100側に配置された無線充電用アンテナに無線電力信号が高い効率で受信できるように誘導できるようになる。
【0107】
また、第2シート200は13.56MHzの周波数帯域で透磁率実数部及び虚数部の値が高いので、近距離無線通信(NFC)がなされる場合、RFリーダー器に設けられたアンテナから発生した13.56MHzの周波数帯域で透磁率実数部/虚数部の値が高い第2シート200を通じてアンテナの品質係数が高まるので、前記第2シート200側に配置されたNFC用アンテナ側に高周波信号が高い効率で受信できるように誘導することができるようになる。
【0108】
一方、前記アンテナユニット500は、
図8に図示したように、マグネチック保安伝送用アンテナ530をさらに備えることができ、この際、前記マグネチック保安伝送用アンテナ530の動作周波数が10〜400kHzの場合、前記マグネチック保安伝送用アンテナ530は前記周波数帯域で優れる磁気的特性を発現する第1シート100に対応するように組合わせることができる。
【0109】
また、本発明の一実施例に係る多機能複合モジュールは、受信用モジュールとして携帯機器に備えられることができ、これを通じて無線充電効率、データ受信効率、及び充電距離、またはデータ受信距離が格段に向上できる。
【0110】
発明の実施のための形態
以下の実施例を通じて本発明をより具体的に説明するが、以下の実施例が本発明の範囲を制限するものではなく、これは本発明の理解を助けるためのものとして解釈されるべきである。
【0111】
<実施例1>
(1)第1シートの製造
1)第1磁場遮蔽層の製造
メルトスピニングによる急冷凝固法(RSP)によりFe
73.5Si
13.5B
9Cu
1Nb
3非晶質合金リボンを製造後にシート形状にカッティングした厚さが24μmであるリボンシート1枚を560℃、N
2雰囲気で1時間無磁場熱処理してリボンシートを製造した。リボンシートの一面に厚さが7μmであり、一面に粘着層が形成されたPET保護部材(国際ラテック、KJ−0714)を付着させた後、
図6b及び
図6cに図示したような破砕装置を3回通過させて第1磁場遮蔽層を製造した。金属ボールは直径3mmの球形状であり、各金属ボール間の間隔は0.5mmの破砕装置を使用した。
【0112】
2)第1シートの製造
前記製造した第1磁場遮蔽層を
図3に図示したように3層構造で積層して第1シートを製造した。以後、第1シートを45mm×48mmに裁断した。
【0113】
(2)第2シートの製造
平均粒径が0.75μmであるフェライト粉末(Fe
2O
3 48.75モル%、NiO 14.79モル%、ZnO 24.99モル%、CuO 11.22モル%、Co
3O
4 0.25モル%)100重量部に対してポリビニルブチラル樹脂5重量部、溶媒としてトルエンとエタノールを5:5で混合した溶剤50重量部をボールミルで混合、溶解、分散させた。以後、フェライト混合物を通常的なテープキャスティング(Tape casting)方法によりシート形状に製造した後、500℃で10時間脱脂させ、940℃で2.2時間の間焼成及び冷却して最終厚さが80μmであるフェライトシートを製造した。
【0114】
以後、前記フェライトシートの一面に離型フィルムが付着された厚さが10μmである両面テープ(支持基材PET、K1コーポレーション、VT−8210C)を付着させ、他面に厚さが7μmであり、一面に粘着層が形成されたPET保護部材(国際ラテック、KJ−0714)を付着させた後、
図6aのような破砕装置を通過させて第2シートを製造した。第1ローラーは直径100mmのシリコンローラーを使用し、第2ローラーは直径36mmの炭素鋼S45C材質のローラーを使用した。
【0115】
以後、前記第2シートを75mm×80mmに裁断し、裁断した第2シートに貫通型収容部を形成させるために第2シートの内部を打抜きして45mm×48mmの貫通型収容部を形成させた。
【0116】
(3)磁場遮蔽ユニット製造
貫通型収容部を形成させた第2シートの収容部に裁断した第1シートを具備させて磁場遮蔽ユニットを製造した。
【0117】
<実施例2〜7及び比較例1〜5>
実施例1と同一に実施して製造し、かつ以下の<表1>のように破砕条件を異にして磁場遮蔽ユニットを製造した。
【0118】
<実施例8>
第1磁場遮蔽層製造ステップで、Fe
91.6Si
2B
6Co
0.2Ni
0.2非晶質合金を使用したことを除外すれば、実施例1と同一に実施して磁場遮蔽シートを製造した。
【0119】
<実施例9>
第2シート製造ステップで、平均粒径が0.75μmであるフェライト粉末(Fe
2O
3 48.5モル%、NiO 4.1モル%、ZnO 28.8モル%、CuO 10.3モル%、MgO 8.2モル%)を使用したことを除外すれば、実施例1と同一に実施して磁場遮蔽シートを製造した。
【0120】
<実験例1>
実施例及び比較例に従う磁場遮蔽ユニットに対して以下の物性を評価して以下の<表1>に示した。
【0121】
1.破片の粒径分布測定
実施例に従って製造された各々の磁場遮蔽ユニットの第1シート及び第2シートを分離した後、第1シート及び第2シートの一面に備えられた粘着性保護フィルムを剥離した後、光学顕微鏡で破片の粒径を測定してFe系合金の破片とフェライト破片の平均粒径を測定し、500μm未満である破片の個数及び全体破片個数をカウンティングした後、全体破片個数に対比した粒径500μm未満の破片割合を測定して5個試料平均破片割合を計算した。
【0122】
2.無線電力信号伝送効率及びデータ信号伝送距離評価
図7aのような形状を有するアンテナユニットであって、EPCB 510の両面に厚さ50μmの銅箔で近距離通信用アンテナ520及び無線電力伝送用アンテナ540を具現させた。具体的に、前記近距離通信用アンテナ520は厚さ50μmの銅箔を4ターンして内側53mm×63mm、外側59mm×65mmになるように形成させ、VSWR(定在波比、Voltage Standing Wave Ratio))が1.5、共振周波数は13.56MHzであった。また、前記無線電力伝送用アンテナ540は
図7aとは異なり、形状のみ円形に変更して厚さ50μmの銅箔を11ターンして内径が23mm、外径を43mmに形成させ、200kHzでインダクタンス(Ls)が8.8μH、抵抗(Rs)が0.589Ωであった。
【0123】
製造されたアンテナユニットの近距離通信アンテナに磁場遮蔽ユニットの第2シートが対応するように、無線電力伝送用アンテナに磁場遮蔽ユニットの第1シートが対応するように前記アンテナユニットの一面に磁場遮蔽ユニットを配置させて多機能複合モジュールを製造した。製造された各々の多機能複合モジュールに対して以下の物性を評価した。
【0124】
2−1.無線電力信号伝送効率
無線電力信号送信モジュールに備えられた無線電力送信アンテナに200kHz正弦波信号を増幅して入力させた後、無線電力受信アンテナの出力端子に50Ωの負荷抵抗が接続された複合モジュールをアラインさせて無線電力受信アンテナを介して発生する電流をオシロスコープを通じて測定して電力伝送効率を測定した。この際、比較例の電力伝送効率を100%に基準して実施例の電力伝送効率を相対的に評価した。
【0125】
2−2.データ信号伝送距離
複合モジュールの近距離通信用アンテナにケーブルを介してNFCリーダー/ライターを連結した。また、NFC用ICチップと複合モジュールに備えられた近距離通信用アンテナと同一なアンテナが接続NFCカードを製造した。以後、前記NFCリーダー/ライターを通じて13.56MHzのデータ信号を出力させた後、前記NFCカードを複合モジュールの近距離通信用アンテナの鉛直方向に位置させた後、通信可能な最大道を測定した。この際、比較例の通信可能な最大距離を100%に基準して実施例の通信可能な最大距離を相対的に評価した。
【0127】
【表2】
前記<表1>及び<表2>を通じて確認できるように、本発明に従うFe系合金の破片の平均粒径及び前記フェライトの破片の平均粒径に対する<数式1>の値3〜35を満たす実施例1〜9がこれを満たさない比較例1〜5に比べて無線電力伝送効率及びデータ信号伝送距離が優れた。
【0128】
また、実施例1、比較例4、及び実施例5から見ることができるように、フェライト破片の平均粒径範囲とFe系破片の平均粒径範囲のうち、いずれか1つでも満たさない場合、各破片に対応する効果だけでなく、他の破片に対応する効果まで減少することが分かった。具体的に、比較例4はFe系破片の平均粒径を満たさないので、追加破片化が発生するにつれて、無線電力伝送効率が減少し、同時にデータ信号伝送距離も実施例1に比べて減少したことを確認することができる。また、比較例5はフェライト破片の平均粒径が小さ過ぎることによって、データ信号伝送距離が減少し、同時に無線電力伝送効率も実施例1に比べて減少したことを確認することができる。これによって、各破片の粒径を全て満たす時、シナジー効果によって無線電力伝送効率及びデータ信号伝送距離が同時に向上できることが分かる。
【0129】
また、粒径が500μm未満の破片の個数が60%以上である実施例1に比べて、Fe系合金の破片の粒径が500μm未満の破片の個数が60%未満である比較例4は適正粒径を示す破片の個数が少なくて無線電力伝送効率がよくなかったし、同時にデータ信号伝送距離も減少した。これによって、Fe系合金の破片の粒径が500μm未満である破片の個数が60%以上を満たすことによって、無線電力伝送効率及びデータ信号伝送距離が同時に向上できることを確認することができる。
【0130】
一方、3元素系のFe系合金破片を含む実施例8及び酸化マグネシウム(MgO)を含むフェライト破片を含む実施例9に従う多機能複合モジュールは、本発明に従う実施例1の多機能複合モジュールと有意差がない水準の無線電力伝送効率及びデータ信号伝送距離を示すことによって、本発明に従う磁場遮蔽ユニット及び/又は多機能複合モジュールが前記実施例1〜7のFe系合金及び/又はフェライトに限定されず、優れる効果を示すことができることを確認することができる。
【0131】
一方、比較例によって製造した多機能複合モジュールは、シート状のFe系合金及びフェライトを含むことによって、相互間のシナジー効果が発生せず、これによって相対的に電力伝送効率及びデータ信号伝送距離が顕著によくないことを確認することができる。
【0132】
3.可撓性評価
実施例及び比較例に従って製造された磁場遮蔽シートの可撓性を評価するために、前記実験方法と同一な条件で実験を進行し、かつアンテナユニットと磁場遮蔽シートを分離し、分離した磁場遮蔽シートの両側端が触れ合うように100回曲げたり伸ばしたりした後、磁場遮蔽シート上にアンテナユニットを配置して電力伝送効率及び通信可能な最大距離を測定した。曲げる前の電力伝送効率及び通信可能な最大距離を各々100%に基準して曲げた後の電力伝送効率及び通信可能な最大距離を相対的に評価して以下の<表3>に示した。
【0133】
【表3】
前記<表3>を通じて分かるように、本発明の湾曲形状を有する破片を含む実施例1、実施例3、及び実施例4が、多機能複合モジュールを曲げた後にも優れる電力伝送効率及びデータ信号伝送距離を示すことが分かる。
【0134】
比較例1に従って製造した多機能複合モジュールは曲げる段階で多過ぎた破片化が発生することによって電力伝送効率及びデータ信号伝送距離が急激に減少することを確認することができる。
【0135】
<実施例10〜13>
実施例1と同一に実施して製造し、かつ以下の<表4>のように破砕条件及び各層の構成を異にして磁場遮蔽ユニットを製造した。
【0136】
<実験例2>
湾曲形状を有する破片の割合に従う効果を測定するために、実施例1、実施例10〜13、及び比較例1に従う磁場遮蔽ユニットに対して以下の物性を評価して以下の<表4>に示した。
【0137】
1.湾曲形状を有する破片割合測定
実施例1、実施例10〜13に従って製造された各々の磁場遮蔽ユニットの第1シート及び第2シートを分離した後、第1シート及び第2シートの一面に備えられた粘着性保護フィルムを剥離した後、光学顕微鏡で全体破片個数対比湾曲形状を有する破片個数をカウンティングしてその割合を計算した。
【0138】
2.無線電力信号伝送効率及びデータ信号伝送距離評価
図7aのような形状を有するアンテナユニットとしてEPCB 510の両面に厚さ50μmの銅箔で近距離通信用アンテナ520及び無線電力伝送用アンテナ540を具現させた。具体的に、前記近距離通信用アンテナ520は厚さ50μmの銅箔を4ターンして内側53mm×63mm、外側59mm×65mmになるように形成させ、VSWR(定在波比、Voltage Standing Wave Ratio))が1.5、共振周波数は13.56MHzであった。また、前記無線電力伝送用アンテナ540は
図7aとは異なり、形状のみ円形に変更して厚さ50μmの銅箔を11ターンして内径が23mm、外径を43mmに形成させ、200kHzでインダクタンス(Ls)が8.8μH、抵抗(Rs)が0.589Ωであった。
製造されたアンテナユニットの近距離通信アンテナに磁場遮蔽ユニットの第2シートが対応するように、無線電力伝送用アンテナに磁場遮蔽ユニットの第1シートが対応するように前記アンテナユニットの一面に磁場遮蔽ユニットを配置させて多機能複合モジュールを製造した。製造された各々の多機能複合モジュールに対して以下の物性を評価した。
【0139】
2−1.無線電力信号伝送効率
無線電力信号送信モジュールに備えられた無線電力送信アンテナに200kHz正弦波信号を増幅して入力させた後、無線電力受信アンテナの出力端子に50Ωの負荷抵抗が接続された複合モジュールをアラインさせて無線電力受信アンテナを介して発生する電流をオシロスコープを通じて測定して電力伝送効率を測定した。以後、前記実験方法と同一な条件で実験を進行し、かつアンテナユニットと磁場遮蔽シートを分離し、分離した磁場遮蔽シートの両側端が触れ合うように100回曲げたり伸ばしたりした後、磁場遮蔽シート上にアンテナユニットを配置して電力伝送効率を測定した。曲げる前の電力伝送効率を100%に基準して曲げた後の電力伝送効率を相対的に評価した。
【0140】
2−2.データ信号伝送距離
複合モジュールの近距離通信用アンテナにケーブルを介してNFCリーダー/ライターを連結した。また、NFC用ICチップと複合モジュールに備えられた近距離通信用アンテナと同一なアンテナが接続されたNFCカードを製造した。以後、前記NFCリーダー/ライターを通じて13.56MHzのデータ信号を出力させた後、前記NFCカードを複合モジュールの近距離通信用アンテナの鉛直方向に位置させた後、通信可能な最大距離を測定した。以後、前記実験方法と同一な条件で実験を進行し、かつアンテナユニットと磁場遮蔽シートを分離し、分離した磁場遮蔽シートの両側端が触れ合うように100回曲げたり伸ばしたりした後、磁場遮蔽シート上にアンテナユニットを配置して通信可能な最大距離を測定した。曲げる前の通信可能な最大距離を100%に基準して曲げた後の通信可能な最大距離を相対的に評価した。
【0141】
【表4】
前記<表1>を通じて確認できるように、Fe系合金の破片のうち、湾曲形状を有する破片の個数が全体Fe系合金の破片個数対比15%以上である実施例1、実施例10、及び実施例13が、これを満たさない実施例11、実施例12、及び比較例1に比べて多機能複合モジュールを100回曲げた後にも電力伝送効率が優れることを確認することができる。また、フェライト破片のうち、湾曲形状を有する破片の個数が全体フェライト破片個数対比25%以上である実施例1、実施例10、及び実施例12が、これを満たさない実施例11、実施例13、及び比較例1に比べて多機能複合モジュールを100回曲げた後にもデータ信号伝送距離が優れることを確認することができる。
【0142】
これによって、湾曲形状を有する破片の割合が前記条件を満たさない場合、多機能複合モジュールを曲げる過程で、各々のFe系合金の破片及び/又はフェライト破片の追加破片化が発生することによって、電力伝送効率及び/又はデータ信号伝送距離が減少することが分かる。
【0143】
以上、本発明の一実施例に対して説明したが、本発明の思想は本明細書に提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同一な思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などにより他の実施例を容易に提案することができるが、これもまた本発明の思想範囲内に入るということができる。