(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571283
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】ポータブルコンピューティング装置を置くと回転抵抗が増加する回転式取付部を備える台座
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20190826BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20190826BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
H05K5/02 V
F16M13/00 P
G06F1/16 312J
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-527969(P2018-527969)
(86)(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公表番号】特表2019-505876(P2019-505876A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】US2016068855
(87)【国際公開番号】WO2017164956
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年5月29日
(31)【優先権主張番号】15/075,992
(32)【優先日】2016年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マツモト、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】タナー、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、レイチェル エリザベス
【審査官】
豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−152837(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0200608(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0029185(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0338889(US,A1)
【文献】
特開2010−277592(JP,A)
【文献】
特開2011−248872(JP,A)
【文献】
特表2015−528155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
F16M 13/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブルコンピューティング装置用の台座であって、
前記ポータブルコンピューティング装置と通信するように構成されるキーボードと、
前記キーボードを取り囲む枠体と、
前記枠体に回転可能に取り付けられるシャフトであって、前記枠体への前記シャフトの回転可能な取り付けは、前記ポータブルコンピューティング装置に作用する重力よりも大きい摩擦を有するものである、前記シャフトと、
前記ポータブルコンピューティング装置を保持するように構成される取付部であって、その内部に前記シャフトが挿通されて前記シャフトが自由に回転できるシャフト凹部を画定する前記取付部と、
前記取付部への前記ポータブルコンピューティング装置の載置に応答して、前記取付部を前記シャフトに回転結合させるように構成されるシャフト係合要素と
を備える台座。
【請求項2】
前記シャフト係合要素は前記シャフトに回転結合されている、請求項1に記載の台座。
【請求項3】
前記シャフト係合要素は、前記シャフトの周りで回転できないが前記シャフトに沿って長手方向にスライドするように構成されている、請求項1に記載の台座。
【請求項4】
前記シャフト係合要素は、前記取付部への前記ポータブルコンピューティング装置の載置に応答して、前記シャフトに沿ってスライドするとともに前記取付部の取付部係合界面と係合することによって、前記取付部を前記シャフトに回転結合させるように構成される、請求項1に記載の台座。
【請求項5】
前記シャフトの周りで回転して、前記シャフト係合要素から延びるフィンを係合アクチュエータから離すとともに前記取付部係合界面に向けて押すことによって、前記シャフト係合要素を前記シャフトに沿ってスライドさせかつ前記取付部係合界面と係合させるように構成される前記係合アクチュエータを更に備える、請求項4に記載の台座。
【請求項6】
前記取付部係合界面は、取付部歯部を備え、
前記シャフト係合要素は、前記取付部歯部と噛み合うように構成されるシャフト係合歯部を備える、請求項5に記載の台座。
【請求項7】
前記係合アクチュエータは、前記取付部への前記ポータブルコンピューティング装置の載置に応答して、前記係合アクチュエータを前記シャフトの周りで回転させるように構成される磁石を備える、請求項5に記載の台座。
【請求項8】
前記フィンは、湾曲形状を有する、請求項5に記載の台座。
【請求項9】
前記取付部は、前記ポータブルコンピューティング装置が前記取付部へ載置されているときに前記ポータブルコンピューティング装置がレバーを押圧するのに応答して、前記係合アクチュエータを前記シャフトの周りで回転させるように構成される前記レバーを備える、請求項5に記載の台座。
【請求項10】
前記取付部は、前記ポータブルコンピューティング装置が前記取付部へ載置されているときに前記ポータブルコンピューティング装置がレバーを押圧するのに応答して、前記シャフト係合要素に、前記取付部を前記シャフトに回転結合させるように構成される前記レバーを備える、請求項1に記載の台座。
【請求項11】
前記台座は、前記ポータブルコンピューティング装置が前記取付部から取り外されるのに応答して、前記シャフト係合要素に、前記取付部を前記シャフトから切り離させるように構成されるばねを備える、請求項10に記載の台座。
【請求項12】
前記取付部は、前記ポータブルコンピューティング装置を保持するように構成されるスロットを画定する、請求項1に記載の台座。
【請求項13】
前記取付部は、取付部係合界面を備え、
前記シャフト係合要素は、前記シャフトに沿ってスライドして前記取付部係合界面と係合することによって、前記取付部を前記シャフトに回転結合するように構成されており、
前記台座は、前記取付部への前記ポータブルコンピューティング装置の載置に応答して前記シャフトの周りを回転することによって、前記シャフト係合要素を前記シャフトに沿ってスライドさせるとともに前記取付部係合界面と係合させるように構成される、係合アクチュエータを更に備える、請求項1に記載の台座。
【請求項14】
前記係合アクチュエータは、前記取付部への前記ポータブルコンピューティング装置の載置に応答して、前記係合アクチュエータを前記シャフトの周りで回転させるように構成される磁石を備える、請求項13に記載の台座。
【請求項15】
前記磁石は、前記係合アクチュエータの残りの部分よりも高密度の材料であって、前記取付部から前記ポータブルコンピューティング装置が取り外されたときに前記係合アクチュエータを反対方向に回転させる重力方向の力を生じる前記磁石の前記高密度の材料を備える、請求項14に記載の台座。
【請求項16】
ポータブルコンピューティング装置を取り付けるための台座であって、
前記台座は、
クランプに接続される枠体と、
前記枠体に支持されるキーボードと
を備え、
前記クランプは、前記クランプ内でシャフトが摩擦回転するように前記シャフトと摩擦係合しており、
前記シャフトは、
前記シャフトの第1端部に設けられ、前記クランプと摩擦係合する第1のシリンダ状部分と、
前記第1端部よりも前記シャフトの前記第1端部から遠くにある第2のシリンダ状部分であって、前記第2のシリンダ状部分は、取付部の一部によって取り囲まれており、シャフト係合要素が前記取付部の取付部係合界面と係合していないときに前記取付部が前記シャフトに対して自由回転するのを可能にする、前記第2のシリンダ状部分と、
前記第2のシリンダ状部分よりも前記シャフトの前記第1端部から遠くにある非シリンダ状部分であって、前記非シリンダ状部分は、シャフト係合要素によって取り囲まれており、前記非シリンダ状部分は、前記シャフト係合要素が前記第1端部に対して接離するスライドを可能にするが前記シャフト係合要素が前記非シリンダ状部分の周りで回転できないようにする、前記非シリンダ状部分と、
前記非シリンダ状部分よりも前記第1端部から遠くにある第3のシリンダ状部分であって、前記第3のシリンダ状部分は、係合アクチュエータによって取り囲まれており、前記係合アクチュエータが前記第3のシリンダ状部分の周りで自由回転するのを可能にする、前記第3のシリンダ状部分と
を備え、
前記取付部は、前記ポータブルコンピューティング装置を保持するように構成されており、前記取付部は、前記シャフトの前記第2のシリンダ状部分を取り囲むシリンダ状凹部を画定しており、前記取付部は、前記取付部係合界面を備えており、
前記係合アクチュエータは、前記取付部への前記ポータブルコンピューティング装置の取付に応答して、シャフト係合要素を前記取付部係合界面に向けて付勢するように構成されており、
前記シャフト係合要素は、前記係合アクチュエータが前記シャフト係合要素を前記取付部係合界面に向かって付勢するのに応答して、前記取付部係合界面と係合するとともに前記取付部を前記シャフトに回転結合させるように構成される、台座。
【請求項17】
前記係合アクチュエータは、前記取付部への前記ポータブルコンピューティング装置の取付に応答して、前記シャフトの前記第3のシリンダ状部分の周りで回転し、この係合アクチュエータの回転が、前記シャフト係合要素を前記取付部係合界面に向けて付勢するように構成されている、請求項16に記載の台座。
【請求項18】
前記係合アクチュエータは、前記取付部への前記ポータブルコンピューティング装置の載置に応答して、前記係合アクチュエータを回転させるように構成される磁石を備える、請求項17に記載の台座。
【請求項19】
前記磁石は、前記係合アクチュエータの他の部分よりも高密度の材料を備える、請求項18に記載の台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の説明は、ポータブルコンピューティング装置が載置される台座に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルコンピューティング装置は、タッチスクリーンを有するが別個のキーボードを有さない「タブレット」式に製造されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
台座が、キーボードと、ポータブルコンピューティング装置を受け取るための取付部とを備えることがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ポータブルコンピューティング装置用の台座は、キーボード、枠体、シャフト、取付部、およびシャフト係合要素を備えることができる。キーボードは、ポータブルコンピューティング装置と通信するように構成することができる。枠体はキーボードを取り囲むことができる。シャフトは、枠体に回転可能に取り付けられることができる。枠体に対するシャフトの回転可能な取り付けは、ポータブルコンピューティング装置に作用する重力よりも大きい摩擦を有することができる。取付部は、ポータブルコンピューティング装置を保持するように構成することができる。取付部は、シャフトが貫通するシャフト凹部を画定することができ、このシャフト凹部内でシャフトは自由に回転する。シャフト係合要素は、取付部へのポータブルコンピューティング装置の載置に応答して、取付部をシャフトに回転結合させるように構成されることができる。
【0005】
ポータブルコンピューティング装置用の台座は、キーボード、枠体、シャフト、取付部、シャフト係合要素、および係合アクチュエータを備えることができる。キーボードは、ポータブルコンピューティング装置と通信するように構成することができる。枠体はキーボードを取り囲むことができる。シャフトは、枠体に回転可能に取り付けられることができ、この回転可能な取り付けは、ポータブルコンピューティング装置に作用する重力より大きい摩擦を有する。取付部は、ポータブルコンピューティング装置を保持するように構成することができる。取付部は、シャフトが貫通するシャフト凹部を画定することができ、このシャフト凹部内でシャフトは自由に回転する。取付部は、取付部係合界面を備えることができる。シャフト係合要素は、シャフトに沿ってスライドしかつ取付部係合界面に係合することによって、取付部をシャフトに回転結合させるように構成されることができる。係合アクチュエータは、取付部へのポータブルコンピューティング装置の載置に応答してシャフトの周りで回転することによって、シャフト係合要素をシャフトに沿ってスライドさせて取付部係合界面と係合させるように構成することができる。
【0006】
ポータブルコンピューティング装置を取り付けるための台座は、枠体、キーボード、クランプ、シャフト、取付部、係合アクチュエータ、およびシャフト係合要素を備えることができる。枠体はクランプに接続され得る。キーボードは枠体によって支持され得る。クランプはシャフトと摩擦係合し得る。この摩擦係合によりシャフトはクランプ内で摩擦回転することができる。シャフトは、第1のシリンダ状部分、第2のシリンダ状部分、非シリンダ状部分、および第3のシリンダ状部分を備えることができる。第1のシリンダ状部分はシャフトの第1端部にあり、第1のシリンダ状部分はクランプと摩擦係合することができる。第2シリンダ状部分は、第1端部よりもシャフトの第1端部から遠くに設けられてよい。第2のシリンダ状部分は、取付部の一部によって取り囲まれることができ、シャフト係合要素が取付部の取付部係合界面と係合していないときに取付部がシャフトに対して自由回転するのを可能にする。非シリンダ状部分は、第2のシリンダ状部分よりもシャフトの第1の端部部分から遠くに設けられてよい。非シリンダ状部分は、シャフト係合要素によって取り囲まれることができる。非シリンダ状部分は、シャフト係合要素が第1端部に対して接離するスライドを可能にするが非シリンダ状部分の周りでシャフト係合要素が回転できないように構成することができる。第3のシリンダ状部分は、非シリンダ状部分よりも第1端部から遠くに設けることができる。第3のシリンダ状部分は、係合アクチュエータによって取り囲まれることができ、係合アクチュエータが第3のシリンダ状部分の周りで自由回転するのを可能にする。取付部は、ポータブルコンピューティング装置を保持するように構成することができる。取付部は、シャフトの第2のシリンダ状部分を取り囲むシリンダ状凹部を画定することができる。取付部は、取付部係合界面を備えることができる。係合アクチュエータは、取付部へのポータブルコンピューティング装置の取付に応答して、シャフト係合要素を取付部係合界面に向かって付勢するように構成されてもよい。シャフト係合要素は、係合アクチュエータがシャフト係合要素を取付部係合界面に向けて付勢することに応答して、取付部係合界面に係合し、取付部をシャフトに回転結合させるように構成されることができる。
【0007】
添付の図面および以下の説明には1つまたは複数の実装例の詳細が記載されている。本明細書、図面、および特許請求の範囲から他の特徴が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1B】例示的な実施形態の台座の取付部にポータブルコンピューティング装置が置かれてある台座の図。
【
図2A】例示的な実施形態の台座の構成要素を示す図。
【
図2C】例示的な実施形態の台座のいくつかの構成要素の分解図。
【
図2D】例示的な実施形態の台座へのポータブルコンピューティング装置の挿入方向を示す図。
【
図2E】例示的な実施形態の取付部にポータブルコンピューティング装置が置かれたときの、係合アクチュエータの回転方向とシャフト係合要素のスライド方向とを示す図。
【
図2F】例示的な実施形態の取付部包囲体に回転結合されるシャフト係合要素を示す図。
【
図2G】例示的な実施形態の取付部からポータブルコンピューティング装置を取り外したときの、係合アクチュエータの回転方向とシャフト係合要素のスライド方向とを示す図。
【
図2H】一実施形態の取付部からポータブルコンピューティング装置を取り外した後の、元の位置への係合アクチュエータの戻りを示す図。
【
図3】例示的な実施形態の取付部へのポータブルコンピューティング装置の載置に応答してレバーがシャフト係合要素を取付部に回転結合させる例示的な台座のいくつかの構成要素を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ポータブルコンピューティング装置用の台座(base)は、キーボードを支持する枠体(frame)と、その枠体に回転可能に取り付けられる取付部とを備えることができる。取付部にポータブルコンピューティング装置が置かれていない場合には、取付部は枠体に対して自由に回転できる。この自由回転によって、ポータブルコンピューティング装置のユーザは、使用中でない台座を容易に設定変更(reconfigure)できるようになる。取付部にポータブルコンピューティング装置を置いたときに、取付部と枠体との間の回転摩擦が増加するように、取付部の内部で摩擦要素が係合してよい。この回転摩擦は、ポータブルコンピューティング装置が取付部に載置されているときにポータブルコンピューティング装置に作用する重力および/またはトルクよりも大きくてよい。このようにポータブルコンピューティング装置に作用する重力および/またはトルクよりも回転摩擦が大きいことによって、ユーザがその摩擦に打ち勝つのに十分な力をポータブルコンピューティング装置に加えて取付部を回転させるまで、取付部は枠体に対して特定の位置に留まることができ、ポータブルコンピューティング装置を枠体およびキーボードに対してユーザの望む角度に維持できる。
【0010】
図1Aは、例示的な実施形態の台座100の図である。台座100は、枠体102に回転可能に取り付けられる取付部(mount)108を備えることができる。回転可能な取付部は、枠体102によって画定されるシリンダ状凹部(cylindrical recess)と取付部108によって画定される回転凹部(rotational recess)とを通って延在するシャフト106を備えることができる。例示的な実施形態では、シャフト106は、枠体102においてシリンダ状凹部を画定する部分としっかりと係合されてよい。この係合は、シャフト106の周りでの枠体102の回転摩擦を生成する。(
図1Aには図示しない)ポータブルコンピューティング装置が取付部108に置かれていないとき、取付部108はシャフト106に対して自由に回転でき、取付部108が枠体102に対して自由に回転できるようになっている。ポータブルコンピューティング装置が取付部108に置かれると、取付部108はシャフト106に回転結合して(rotationally couple)、シャフト106に対する取付部108の回転が防止され、その結果、枠体102がシャフト106の周りで回転するのと同じ摩擦で取付部108は枠体102の周りで回転するようになる。
【0011】
取付部108はスロット110を画定してよい。このスロット110は、シャフト106が取付部108および/または枠体102を貫通する方向とほぼ平行な方向に、例えば5度以内の方向に、取付部108を貫通することができる。スロット110は、タブレットコンピュータ(
図1Bに示す)などのポータブルコンピューティング装置を受け取るように構成されてよい。取付部108においてスロット110を画定する部分は、ユーザがポータブルコンピューティング装置をスロット110から取り外すまで、スロット110内でポータブルコンピューティング装置を保持するようにポータブルコンピューティング装置と摩擦力をもって係合してよい。取付部108は、磁石のような吸引力を持たない材料でおよび/またはプラスチックのような非磁性の材料で形成されてよい。
【0012】
枠体102は、キーボード104を取り囲んでよい。キーボード104は、英数字キー、記号キー、および/または修飾キーなどの複数のキーを有してよい。キーボード104は、ユーザからの入力を受け付け、その入力をポータブルコンピューティング装置に供給してよい。キーボード104は、非限定的な例として、IEEE802.15(ブルートゥース(登録商標))、近距離無線通信(NFC)、または無線周波数識別(RFID)といった無線インターフェースによってポータブルコンピューティング装置と通信してよい。他の例示的実装例では、キーボード104は、キーボード104から枠体102および取付部108を通ってスロット110内へと延在する電線などの有線インターフェースを介してポータブルコンピューティング装置と通信することができ、この有線インターフェースはスロット110内でコンピューティング装置と結合されてよい。
【0013】
図1Bは、例示的な実施形態の台座100の取付部108にポータブルコンピューティング装置120が載置されている状態の台座100の図である。この例では、タブレットコンピューティング装置であり得るポータブルコンピューティング装置120が台座100のスロット110に差し込まれている。ポータブルコンピューティング装置120はディスプレイ122を備えることができ、このディスプレイ122は、ユーザからの触覚入力を受け付けるとともに処理するタッチスクリーンを備えることができるが、物理的キーのあるハードキーボードを備えなくてよい。ポータブルコンピューティング装置120は、キーボードなどの他のコンポーネントが取り付けられる折畳み部分または回転部分を有さない単一の剛体的な一体構造体で構成されてよい。ポータブルコンピューティング装置120は、ユーザによってスロット110から取り外されるまで、ポータブルコンピューティング装置120がスロット110内にとどまるように取付部108のスロット110に摩擦嵌めされてもよい。
【0014】
取付部108のスロット110へのポータブルコンピューティング装置120の差込みに応答して、取付部108は、摩擦機構に係合および/またはシャフト106に回転結合し、当該摩擦機構によっておよび/または取付部108とシャフト106との回転結合によって、枠体102に対する取付部108のおよび/またはポータブルコンピューティング装置120の回転に反対するおよび/または抵抗する摩擦が生じる。この摩擦は、ユーザがこの摩擦に打ち勝つのに十分な力および/または圧力を加えてポータブルコンピューティング装置120および/または取付部108を枠体102に対して回転させるまで、ポータブルコンピューティング装置120および/または取付部108を枠体102に対して特定の位置に留めることができる。
【0016】
台座100は、シャフト106の一部を取り囲むクランプ202を備えることができる。クランプ202は、枠体102(
図2Aに示さない)と一体であってもよいし、クランプ202を貫通する孔204を通って延在するボルトなどの締結具を介して枠体102に取り付けられてもよい。クランプ202は、ユーザが摩擦に打ち勝つのに十分な力を加えるまでクランプ202とシャフト106との相対回転に抗する摩擦を生成するように、シャフト106の前記一部の周りにしっかりと巻き付けられてよい。
【0017】
台座100は、クランプ202と取付部108との間に1つ以上のシャフト要素206A、206Bを備えることができる。
図2Aは、締結具によってシャフト要素206Bに結合され得るシャフト要素206Aを示しているが、クランプ202と取付部108との間の1つ以上のシャフト要素は、シャフト106と連続的な単一の一体構造体で形成されてもよい。シャフト要素206A、206B(
図2Bに関して後述するシャフト要素206C、206D)は、シャフト106の構成要素とみなすこともできる。
【0018】
台座100はブッシング207を備えることができる。ブッシング207は、シャフト要素206A、206Bと取付部108との間に配置され得る。シャフト要素206A、206Bと取付部108との間にブッシング207を配置することにより、シャフト要素206A、206Bと取付部108とが相対回転したときにそれらの擦れを抑制でき、シャフト要素206A、206Bや取付部108の損傷を抑制できる。
【0019】
取付部108は、取付部包囲体(mount enclosure)208を備えることができる。取付部包囲体208の一部は、スロット110の一部を画定する壁や側面の一部を構成してよい。取付部包囲体208は、スロット110に隣接してもよい。取付部包囲体208はシリンダ状部分を画定してよく、シャフト106(および/またはシャフト要素206C)はこのシリンダ状部分を貫通し、シャフト106は台座100の摩擦機構が係合していないときにこのシリンダ状部分の内部で自由に回転してよい。
【0020】
台座100は、シャフト係合要素(shaft engagement element)210を備えることができる。シャフト係合要素210は、前記シャフト(および/またはシャフト要素206D)に沿ってクランプ202および/または取付部包囲体208に向かっておよび/または取付部包囲体208から離れる方向にスライドできるが、前記シャフトの周りで回転できない。取付部108へのスロット110へのポータブルコンピューティング装置120(
図2Aには図示せず)の差込みに応答して、シャフト係合要素210は取付部包囲体208に向かってスライドして当該取付部包囲体208と嵌合する。シャフト係合要素210と取付部包囲体208との嵌合によって、シャフト係合要素210が取付部包囲体208と回転可能に連結し、シャフト係合要素210に対する取付部包囲体208の回転が抑制されることとなる。シャフト係合要素210はシャフト106(および/またはシャフト要素206D)の周りで回転できないので、取付部係合要素208とシャフト係合要素210との嵌合によって、取付部包囲体208と、取付部108全体は、シャフト106に回転結合することとなる。シャフト106がクランプ202および枠体102に摩擦係合しているので、シャフト係合要素210への取付部包囲体208の嵌合によって、枠体102およびキーボードに対する取付部108の回転に反対するおよび/または抵抗する摩擦が増加し、この摩擦に打ち勝つのに十分な力をユーザがポータブルコンピューティング装置120および/または取付部108に加えて、ポータブルコンピューティング装置120および/または取付部108を枠体102およびキーボード104に対して回転させるまで、取付部108およびポータブルコンピューティング装置120は枠体102およびキーボード104に対して所定の位置にとどまることとなる。
【0021】
台座100は、係合アクチュエータ(engagement actuator)212を備えることができる。係合アクチュエータ212は、取付部108のスロット110へのポータブルコンピューティング装置120の差込みに応答して、シャフト係合要素210を取付部包囲体208に向けて付勢して、シャフト係合要素210を取付部包囲体208と嵌合させる。例示的な実施形態では、係合アクチュエータ212は、シャフト106の周りを自由に回転できる。係合アクチュエータ212は、取付部108のスロット110へのポータブルコンピューティング装置120の差込みに応答して、シャフト106の周りを回転してよい。シャフト106の周りの係合アクチュエータ212の回転によってシャフト係合要素210が取付部包囲体208に向けて付勢されてよい。
【0022】
図2Aに示す例では、シャフト係合要素210はフィン215を備えることができる。フィン215は、係合アクチュエータ212に向かってシャフト係合要素210から離れるとともにように延在し、係合アクチュエータ212によって画定される係合スロット216内へと延在することができる。フィン215および係合スロット216の各々は、湾曲していてもよいし、湾曲形状部分を含んでもよい。取付部108のスロット110へのポータブルコンピューティング装置120の差込みに応答して、係合アクチュエータ212が回転すると、係合アクチュエータ212において係合スロット216を画定する一部であって、シャフト係合要素210から離れた位置にある一部が、フィン215に圧力および/または力を付与するようになり、フィン215およびシャフト係合要素210を係合アクチュエータ212から離して取付部包囲体208に向けて付勢し、シャフト係合要素210を取付部包囲体208と嵌合させることとなる。
【0023】
例示的な実施形態では、係合アクチュエータ212は磁石218を備えることができる。磁石218は、取付部108のスロット110へのポータブルコンピューティング装置120の差込みに応答して、係合アクチュエータ212を回転させることができる。スロット110へのポータブルコンピューティング装置120の差込みに応答して、磁石218は、ポータブルコンピューティング装置120の金属部分および/または(磁石218と反対の極性を有する)磁性部分へと引き寄せられ、係合アクチュエータ212を、スロット110内のポータブルコンピューティング装置120に向かって回転させることとなる。
【0024】
磁石218は、係合アクチュエータ212の他の部分よりも高い密度を有してよく、および/または係合アクチュエータ212の他の部分よりも密な材料で形成されてもよい。磁石218の密度が高いと、ポータブルコンピューティング装置120をスロット110から取り外すときに、ポータブルコンピューティング装置120がスロット110に置かれているときに係合アクチュエータ212を回転させる方向とは反対方向に、係合アクチュエータ212を回転させるような、重力および/または重力方向の力を生じることができる。
【0025】
図2Bは、例示的な実施形態の台座100の内部構造を示す図である。この例では、取付部包囲体208に挿通されるシャフト要素206Cはシリンダ形状である。取付部108の構成要素であるとみなせるシャフト要素206Cのシリンダ形状によって、台座100の摩擦要素が係合していないときに、取付部包囲体208および/または取付部108がシャフト106および/またはシャフト要素206Cの周りを自由に回転できるようになる。
【0026】
図2Bに示す例では、シャフト係合要素210を貫通するシャフト要素206Dは、平坦外側部分といった、非シリンダ形状の少なくとも1つの部分を有する。シャフト要素206Dは、例えば、角柱形状であってもよい。シャフト要素206Dの非シリンダ形状は、シャフト係合要素が取付部包囲体208に向かって近づくまたは遠ざかるスライド移動を可能にする一方で、シャフト係合要素210がシャフト要素206Dの周りで回転するのを防止し、シャフト係合要素210をシャフト106に回転結合させることができる。
【0027】
図2Cは、例示的な実施形態の台座100のいくつかの構成要素の分解図である。
図2Cに示すように、クランプ202は、シャフト106の一部を取り囲み、ユーザが摩擦に打ち勝つのに十分な力を加えるまで、クランプ202内でのシャフト106の回転に抵抗するようにシャフト106に摩擦係合する。
【0028】
シャフト106は、シャフト要素206A、206B、206C、206D、206Eを備えることができる。シャフト要素206A、206Bは、孔を貫通してシャフト要素206A、206Bの反対側のねじ付きナットによって固定されるねじ付きボルトのような締結具によって互いに連結されてよい。シャフト要素206Cが取付部包囲体208によって画定されるシャフト凹部214の内側にあるときに、取付部包囲体208がシャフト要素206Cの周りを自由に回転できるように、シャフト要素206Cは、シリンダ形状であってよい。シャフト係合要素210がシャフト要素206Dの周りで回転しないように、シャフト要素206Dは、非シリンダ形状であるか、および/または1つまたは複数の平坦または非円形部分を有してよい。シャフト係合要素210がシャフト要素206Eの周りを自由に回転できるように、シャフト要素206Eはシリンダ形状であってよい。例示的な実施形態では、シャフト106の端部は、シャフトの第1のシリンダ状部分とみなすことができ、シャフト要素206Cはシャフトの第2のシリンダ状部分とみなすことができ、シャフト要素206Dはシャフトの非シリンダ状部分とみなすことができ、シャフト要素206Eは、シャフトの第3のシリンダ状部分とみなすことができる。ブッシング207は、取付部包囲体208および/または取付部108に対するシャフト要素206Bの擦れを防止する。
【0029】
取付部108は、取付部包囲体208を備えることができる。取付部包囲体208はシャフト凹部214を画定してよい。シャフト凹部214は、シャフト要素206Cがシャフト凹部214内で自由に回転できるようにシリンダ形状であってよい。シャフト凹部214はスロット110に対しほぼ平行に、例えば5度以内で、延在してよい。
【0030】
取付部包囲体208は、取付部係合界面(mount engagement interface)217を備えることができる。取付部係合界面217は、取付部包囲体208においてクランプ202とは反対側の端部であってよい。取付部係合界面217は、スロット110へのポータブルコンピューティング装置120(
図2Cに図示せず)の差し込みに応答して摩擦係合機構が作動したときに、シャフト係合要素210のシャフト係合界面(shaft engagement interface)220と噛み合って、取付部108および/またはシャフト106に対してシャフト係合要素210が回転するのを防止する。取付部係合界面217は、シャフト係合要素210のシャフト係合界面220と噛み合う、歯部(取付部歯部とみなすことができる)、尾根部、または他の非平滑構造を備えることができる。
【0031】
シャフト係合要素210は、シャフト係合界面220を備えることができる。シャフト係合界面220は、取付部包囲体208の取付部係合界面217と噛み合う、歯部(シャフト係合歯部とみなすことができる)、尾根部、または他の非平滑構造を備えることができる。シャフト係合界面220は、取付部包囲体の取付部係合界面217と噛み合うかおよび/または係合して、摩擦係合構造が作動したときに、シャフト係合要素210が取付部包囲体208、取付部108および/またはシャフト106に対して回転するのを防止する。係合アクチュエータ212は、スロット110へのポータブルコンピューティング装置120の差込みに応答して回転することによって、シャフト係合要素210を取付部包囲体208に向かって移動させて、シャフト係合界面220を取付部係合界面217と噛み合わせる。
【0032】
図2Dは、例示的な実施形態の台座100の取付部108へのポータブルコンピューティング装置120(
図2Dには図示せず)の挿入方向225を示す。ポータブルコンピューティング装置120は、スロット110の底部226に向かう挿入方向225においてスロット110内へと差し込まれ得る。取付部108の底部226と、当該底部226に沿って広がる平面に対してほぼ直交(例えば85度〜95度で)する取付部108の側面227,228とによって、スロット110は画定され得る。取付部108の底部226から側面227,228の頂部まで測定したときの取付部108の高さは、取付部108および台座100の寸法および/または厚さを小さく保つように、6〜7ミリメートルであってよく、および/または5〜8ミリメートルであってよい。
【0033】
図2Eは、例示的な実施形態の取付部108にポータブルコンピューティング装置120(
図2Eには図示せず)が載置されたときの、係合アクチュエータ212の回転方向230Aおよびシャフト係合要素210のスライド方向240Aを示す。ポータブルコンピューティング装置120がスロット110に差し込まれるかおよび/または磁石218の近位に配置されるのに応答して、係合アクチュエータ212に含まれる磁石218が、ポータブルコンピューティング装置120に含まれる金属および/または1つ以上の磁石に引き寄せられて、係合アクチュエータ212を回転方向230Aに回転させることとなる。係合アクチュエータ212のこの回転は、シャフト係合要素210をシャフト要素206Dに沿って取付部108に向けてスライド方向240Aに強制的にスライドさせ、シャフト係合界面220(
図2Eには示されていない)を取付部係合界面217(
図2Eには示されていない)と噛み合わせ、シャフト係合要素210を取付部108および/またはシャフト106に回転結合させることとなる。
【0034】
図2Fは、例示的な実施形態の取付部包囲体208に回転結合されるシャフト係合要素210を示す。シャフト係合要素210は、
図2Eに関して上述したように、係合アクチュエータ212がシャフト係合要素210を取付部108に向けて付勢した後に、取付部包囲体208に回転結合されてよい。
【0035】
図2Gは、ポータブルコンピューティング装置120(
図2Gには図示せず)が取付部108から取り外されたときの、係合アクチュエータ212の回転方向230Bおよびシャフト係合要素210のスライド方向240Bを示す。この例では、ポータブルコンピューティング装置120に向かう磁石218(
図2Gには図示せず)の磁気吸引力がもはや存在しないとき、磁石218を引くように作用する重力によって、係合アクチュエータ212は、ポータブルコンピューティング装置120が取付部108上に置かれたときの回転方向230Aとは反対の回転方向230Bに回転され得る。係合アクチュエータ212が回転方向230Bへ回転すると、係合アクチュエータ212は、シャフト係合要素210をシャフト要素206Dに沿ってスライド方向240Bとは反対のスライド方向240Bに引っ張り、取付部筐体208から遠ざかり、シャフト係合要素210と取付部包囲体208との係合が解除され、取付部108はシャフト106に対して自由に回転できるようになる。
【0036】
図2Hは、ポータブルコンピューティング装置120(
図2Hには図示せず)が例示的な実施形態の取付部108から取り外された後に、元の位置に戻った係合アクチュエータ212を示す。係合アクチュエータ212が当該係合アクチュエータ212の元の位置(
図2A、
図2B,
図2C)に戻るように回転してシャフト係合要素210が取付部108から外れた後、取付部108はシャフト106の周りを自由に回転できる。取付部108がシャフト106の周りで自由に回転できると、取付部108は重力によって下方向250に引き下げられる。
【0037】
図3は、例示的な台座100のいくつかの構成要素を示しており、取付部108へのポータブルコンピューティング装置120(
図3には示されていない)の載置に応答して、レバー302によりシャフト係合要素210が取付部108に回転結合する。例示的な実施形態に関連する。この例示的な台座100は、上述した台座100の特徴のうちの任意の組み合わせを有してよい。
【0038】
図3に示す例では、ポータブルコンピューティング装置120は、レバー302に圧力を付与できる。レバー302は、取付部108に回転可能に取り付けられてよく、レバー302の一部は、スロット110が空である場合やポータブルコンピューティング装置がスロット110の内側にない場合に、スロット110内に延在し得る。レバー302は、係合アクチュエータ212を回転させることによって圧力に応答し、上述のようにシャフト係合要素210を取付部包囲体208と係合および/または回転係合させるようになる。
【0039】
係合アクチュエータ212は、ばね304を備えることができる。ばね304は、ポータブルコンピューティング装置120が取付部108から取り外されるとともにレバー302からを押圧力が解放された後に、係合アクチュエータ212を当該係合アクチュエータ212の元の位置に戻す。係合アクチュエータ212が元の位置に戻ることによって、シャフト係合要素210が取付部包囲体208から引き離され、取付部108がシャフト係合要素210およびシャフト106から離れ、取付部108が
図2Gに関連して上述したように、シャフト106に連結されることとなる。
【0040】
上記した実施形態の特定の特徴を本明細書に記載したように例示したが、様々な修正や置換や変更や等価物が当業者であれば想定できる。したがって、添付した特許請求の範囲は、本発明の複数の実施形態の技術的思想の範囲に含まれるそうしたすべての修正および変更を包含するものとして意図されていると理解されたい。