特許第6571315号(P6571315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571315
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】透明画素形成用感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20190826BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20190826BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20190826BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   G03F7/033
   G03F7/038 501
   G02F1/1335 505
【請求項の数】7
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-117729(P2014-117729)
(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公開番号】特開2015-22308(P2015-22308A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2017年3月2日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0085486
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0003280
(32)【優先日】2014年1月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュホ
(72)【発明者】
【氏名】キム サンミン
(72)【発明者】
【氏名】パク スルキ
【審査官】 岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−211975(JP,A)
【文献】 特開2011−128590(JP,A)
【文献】 特開2009−108135(JP,A)
【文献】 特開2012−058728(JP,A)
【文献】 特開2006−171160(JP,A)
【文献】 特開2008−181087(JP,A)
【文献】 特開2008−164885(JP,A)
【文献】 特開2006−215452(JP,A)
【文献】 特開2011−170177(JP,A)
【文献】 特開2007−264378(JP,A)
【文献】 特開2009−015219(JP,A)
【文献】 特開2009−300485(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0039195(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02F 1/1335
G03F 7/033
G03F 7/038
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤;および(D)溶剤を含む透明画素形成用感光性樹脂組成物であって、
前記透明画素形成用感光性樹脂組成物は着色剤を含まず、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂は、(A’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して反応性のアルカリ可溶性樹脂と、(A’’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して非反応性のアルカリ可溶性樹脂とが8:2〜1:7の重量比で混合されたものであり、
前記(A’’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して非反応性のアルカリ可溶性樹脂の分子量が10,000〜30,000であり、
前記(A’’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して非反応性のアルカリ可溶性樹脂は、(A’’3)分子中に不飽和結合とカルボン酸基を有する化合物と、(A’’4)エポキシ基と不飽和結合を有する脂肪族多環状化合物と、ビニルトルエンまたは(A’’5)前記(A’’3)〜(A’’4)と重合可能な不飽和結合を有するジカルボニルイミド誘導体との重合による共重合体であって、重合完了後、樹脂の分子鎖中に重合可能な不飽和二重結合がない共重合体であり、
前記(A’’4)エポキシ基と不飽和結合を有する脂肪族多環状化合物は、下記の一般式(1)で表される化合物、および下記の一般式(2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする、透明画素形成用感光性樹脂組成物。
【化1】
【化2】
前記一般式(1)および(2)において、Rは、それぞれ独立に、水素原子または水酸基で置換もしくは非置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、Xは、それぞれ独立に、単一結合またはヘテロ原子を含むか含まない炭素数1〜6のアルキレン基である。
【請求項2】
前記(A’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して反応性のアルカリ可溶性樹脂は、(A’1)1分子中に不飽和結合とカルボン酸基を有する化合物と、(A’2)前記(A’1)と重合可能な不飽和結合を有する化合物とを含む化合物の重合による共重合体と、(A’3)1分子中に不飽和結合とエポキシ基を有する化合物とをさらに重合させて得られる共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の透明画素形成用感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A’1)1分子中に不飽和結合とカルボン酸基を有する化合物は、アクリル酸、メタクリル酸およびクロトン酸を含むモノカルボン酸類;フマル酸、メサコン酸およびイタコン酸を含むジカルボン酸類と前記ジカルボン酸の無水物;およびω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートを含む両末端にカルボキシル基と水酸基を有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類からなる群より選択される1つ以上であり、
前記(A’2)の(A’1)と重合可能な不飽和結合を有する化合物は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびアミノエチル(メタ)アクリレートを含む不飽和カルボン酸の非置換もしくは置換アルキルエステル化合物;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレートおよびピネニル(メタ)アクリレートを含む脂環式置換基を含む不飽和カルボン酸エステル化合物;3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタンおよび3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−トリフルオロメチルオキセタンを含む熱硬化可能な置換基を含む不飽和カルボン酸エステル化合物;オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレートを含むグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステル化合物;ベンジル(メタ)アクリレートおよびフェノキシ(メタ)アクリレートを含む芳香環を有する置換基を含む不飽和カルボン酸エステル化合物;スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエンを含む芳香族ビニル化合物;酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルを含むカルボン酸ビニルエステル;および(メタ)アクリロニトリルおよびα−クロロアクリロニトリルを含むシアン化ビニル化合物からなる群より選択される1つ以上であり、
前記(A’3)1分子中に不飽和結合とエポキシ基を有する化合物は、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートおよびメチルグリシジル(メタ)アクリレートを含むシアン化ビニル化合物からなる群より選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項2に記載の透明画素形成用感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A’’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して非反応性のアルカリ可溶性樹脂は、(A’’1)分子中に不飽和結合とカルボン酸基を有する化合物と、(A’’2)前記(A’’1)と重合可能な不飽和結合を有する化合物とを含む化合物の重合による共重合体であって、重合完了後、樹脂の分子鎖中に重合可能な不飽和二重結合がない共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の透明画素形成用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A’’4)エポキシ基と不飽和結合を有する脂肪族多環状化合物は、ジシクロペンタン、トリシクロデカン、ノルボルナン、イソノルボルナン、ビシクロオクタン、シクロノナン、ビシクロウンデカン、トリシクロウンデカン、ビシクロドデカンおよびトリシクロドデカンからなる群より選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の透明画素形成用感光性樹脂組成物。
【請求項6】
透明画素形成用感光性樹脂組成物中の固形分に対して、
(A)アルカリ可溶性樹脂20〜85質量%;
(B)光重合性化合物10〜60質量%;および
(C)光重合開始剤0.1〜20質量を含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明画素形成用感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の透明画素形成用感光性樹脂組成物を用いて形成することを特徴とする、カラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細画素ピクセルの形成が容易であり、透明電極形成のためのコンタクトホールの実現が可能な透明画素形成用感光性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ産業は、CRTからPDP、OLED、LCDなどに代弁される平板ディスプレイへと急激な変化を遂げてきた。そのうち、液晶表示装置(LCD)は、ほぼすべての産業で画像表示装置として広く用いられてきており、その応用範囲は持続的に拡大している。一般的に、液晶表示装置は、光透過制御のための液晶と、この液晶駆動のための電気信号装置であるTFT array層と、ブラックマトリックスがパターン形成された基板上に赤色、緑色および青色の画素パターンを形成し、それぞれの画素パターンの間の平坦性を付与するためにオーバーコートが塗布されたカラーフィルタ層と、さらにTFT array層とカラーフィルタ層とを貼り合わせる段階でセルギャップ維持のためのカラムスペーサとから構成される。このように構成された液晶表示装置(LCD)は、携帯装備、産業機械、軍事、医療用途などのすべての産業分野で幅広く用いられている。
【0003】
しかし、液晶表示装置(LCD)の使用環境が屋内から屋外広告などの情報伝達媒体に使用されるに伴い、外部の太陽光による輝度低下の問題で視認性が急激に低下する問題が発生している。このような問題を解決するために、バックライトの明るさを向上させるか、カラーフィルタ層の赤色、緑色、青色画素の透過度を高める方法が用いられたが、消費電力の問題および着色材料の限界物性により十分な解決がなされておらず、他方では、赤色、緑色、青色から構成された画素ピクセルにバックライトの輝度損失がない空の空間を形成させる方法が提案された。
【0004】
しかし、前記の方法による透明層を有するカラーフィルタは、外部光による視認性の面では、輝度向上効果により相当部分改善させることができたが、周辺の着色材料層との段差が大きくなるにつれ、液晶駆動不良の原因とされていて、着色カラーピクセルと同じ厚さの透明画素ピクセルが要求されている。
【0005】
これにより、前記透明画素ピクセルを実現するために、大韓民国公開特許第2007−0007895号などに記載された従来の透明材料のうち、オーバーコートや感光性カラムスペーサなどを用いて透明画素層を製造したが、透明画素パターンの実現が難しく、特に、40um以下の微細コンタクトホール(Contact−hole)を生成させることができない問題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国公開特許第2007−0007895号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためのものであって、透明画素パターンの形成時、微細コンタクトホール(Contact−hole)が可能なだけでなく、テーパ引きずりが最小化され、優れた残膜率を示す透明画素形成用感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(A)アルカリ可溶性樹脂;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;および(D)溶剤を含む透明画素形成用感光性樹脂組成物であって、前記(A)アルカリ可溶性樹脂は、(A’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して反応性のアルカリ可溶性樹脂と、(A’’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して非反応性のアルカリ可溶性樹脂とが8:2〜1:7の重量比で混合されたものであり、前記(A’’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して非反応性のアルカリ可溶性樹脂の分子量が10,000〜30,000であることを特徴とする、透明画素形成用感光性樹脂組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記透明画素形成用感光性樹脂組成物を用いて形成した、カラーフィルタを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の透明画素形成用感光性樹脂組成物を用いて、カラーフィルタの透明画素ピクセルを形成すると、画素部の平坦性に優れ、微細画素ピクセルの形成が容易であり、透明電極形成のためのコンタクトホールの実現が可能なだけでなく、耐熱性および耐薬品性に優れ、高品質のカラーフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明によって製造された製造例のカラーフィルタ(Glass基板)と、比較製造例のカラーフィルタ(Glass基板)との写真を示した図である。
図2】従来のR、G、Bなどの着色感光性組成物を適用して形成された平坦性の水準(上の図)と、従来の透明感光性樹脂組成物を適用して形成された平坦性の水準(下の図)とを比較して示した図である。
図3】透明画素形成用感光性樹脂組成物の平坦性を評価する方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。下記の具体的な説明は、本発明の一実施形態に関する説明であるので、たとえ限定的な表現があっても、特許請求の範囲から定められる権利範囲を制限するものではない。
【0013】
本発明は、(A)アルカリ可溶性樹脂;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;および(D)溶剤を含む透明画素形成用感光性樹脂組成物およびこれを用いて形成されたカラーフィルタに関するものであって、前記(A)アルカリ可溶性樹脂は、(A’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して反応性のアルカリ可溶性樹脂と、(A’’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して非反応性のアルカリ可溶性樹脂とが8:2〜1:7の重量比で混合されたことを特徴とする。また、前記(A’’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して非反応性のアルカリ可溶性樹脂の分子量が10,000〜30,000であることを特徴とする。以下、本発明の構成要素別に詳細に説明する。
【0014】
(A)アルカリ可溶性樹脂
前記(A)アルカリ可溶性樹脂は、透明画素形成用感光性樹脂組成物を用いて形成された透明画素感光性樹脂層の非露光部をアルカリ可溶性にして除去できるようにし、露光領域を残留させる役割を果たす。特に、本発明は、(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して反応性のアルカリ可溶性樹脂と、(A’’)ラジカル光開始剤およびUV照射に対して非反応性のアルカリ可溶性樹脂とが混合されたことを特徴とし、8:2〜1:7の重量比で混合される場合、カラーフィルタの透明画素の形成時、微細画素ピクセルの形成が容易であり、透明電極形成のためのコンタクトホールの実現が可能になることを実験的に確認して、本発明を完成した。
【0015】
前記(A)アルカリ可溶性樹脂の混合比率は、(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂と、(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂とがそれぞれ8:2〜1:7であることが好ましく、より好ましくは7:3〜1:6である。反応性アルカリ可溶性樹脂の含有量が2より低ければ、現像残膜率が低下し、逆に8を超えると、硬化度が高くなり、コンタクトホールでテーパ引きずりが顕著に発生するだけでなく、耐熱性および耐薬品性が低下する問題が発生する。
【0016】
本発明に使用される(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂は、(A’1)、(A’2)および(A’3)のほか、他の単量体を追加して共に重合することも可能である。すなわち、前記(A’1)〜(A’3)化合物以外の他の単量体がさらに含まれて重合される場合も、本発明の範囲に含まれる。
【0017】
前記(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂に含まれる(A’1)成分は、1分子中に不飽和結合とカルボン酸基を有する化合物であって、重合が可能な不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物であれば制限されず、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。具体例として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類;フマル酸、メサコン酸、イタコン酸などのジカルボン酸類;および前記ジカルボン酸の無水物;ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどの両末端にカルボキシル基と水酸基を有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。前記化合物のうち、アクリル酸、メタクリル酸が、共重合反応性および現像液に対する溶解性に優れているので好ましい。
【0018】
前記(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂に含まれる(A’2)成分は、(A’1)と重合可能な不飽和結合を有する化合物であり、重合が可能な不飽和二重結合を有する化合物であれば制限なく使用できる。具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸の非置換もしくは置換アルキルエステル化合物;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、シクロヘプテニル(メタ)アクリレート、シクロオクテニル(メタ)アクリレート、メンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ピナニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ピネニル(メタ)アクリレートなどの脂環式置換基を含む不飽和カルボン酸エステル化合物;3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−トリフルオロメチルオキセタンなどの熱硬化可能な置換基を含む不飽和カルボン酸エステル化合物;オリゴエチレングリコールモノアルキル(メタ)アクリレートなどのグリコール類のモノ飽和カルボン酸エステル化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する置換基を含む不飽和カルボン酸エステル化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;および(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物などが挙げられる。これらの中でも、感度向上およびアウトガス減量のために、芳香族ビニル化合物が好ましい。これらは、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0019】
本明細書中に記載された(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび(または)メタクリレートを意味する。
【0020】
本発明で使用される(A’1)〜(A’2)を含む化合物を重合して得られる共重合体において、(A’1)〜(A’2)それぞれから誘導される構成成分の比率は、前記(A’1)〜(A’2)の構成成分の総モル数に対してモル分率で以下の範囲にあることが好ましい。
(A’1)から誘導される構成単位:2〜70モル%
(A’2)から誘導される構成単位:30〜98モル%
特に、前記構成成分の比率が以下の範囲であることがより好ましい。
(A’1)から誘導される構成単位:10〜60モル%
(A’2)から誘導される構成単位:40〜90モル%
前記構成比率が前記範囲にあれば、アルカリ可溶性および耐熱性の均衡が良好であるため、好ましい共重合体を得ることができる。
【0021】
本発明において、前記(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂の製造方法の一例として、(A’1)〜(A’2)の化合物を共重合させて得られる場合、以下のような方法で製造することができる。
【0022】
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコに、(A’1)〜(A’2)の総質量に対して0.5〜20倍量の溶剤を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置き換える。その後、溶剤を40〜140℃に昇温させた後、(A’1)〜(A’2)の所定量、(A’1)〜(A’2)の総質量に対して0〜20倍量の溶剤、およびアゾビスイソブチロニトリルやベンゾイルパーオキシドなどの重合開始剤を、(A’1)〜(A’2)の総モル数に対して0.1〜10モル%添加した溶液(室温または加熱下に撹拌溶解)を、滴下ロートから0.1〜8時間にわたって前記フラスコに滴下し、40〜140℃で1〜10時間さらに撹拌する。
【0023】
また、前記工程で重合開始剤の一部または全量をフラスコに入れてもよく、(A’1)〜(A’2)の一部または全量をフラスコに入れてもよい。また、分子量や分子量分布を制御するために、α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物を連鎖移動剤として使用することもできる。α−メチルスチレンダイマーやメルカプト化合物の使用量は、(A’1)〜(A’2)の総質量に対して0.005〜5質量%である。また、前記重合条件は、製造設備や重合による発熱量などを考慮して、投入方法や反応温度を適切に調整することもできる。
【0024】
本発明の透明画素形成用感光性樹脂組成物に含有される(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂は、一例として、(A’1)〜(A’2)の化合物を重合して得られる共重合体に(A’3)化合物をさらに反応させることによって得ることができる。前記共重合体に(A’3)を付加することにより、アルカリ可溶性樹脂に光/熱硬化性を付与し、耐熱性および耐薬品性を向上させることができる。
【0025】
前記(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂に含まれる(A’3)成分は、1分子中に不飽和結合とエポキシ基を有する化合物であり、具体的な一例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましく使用される。これらは、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0026】
前記(A’3)1分子中に不飽和結合とエポキシ基を有する化合物は、前記共重合体に含まれる(A’1)1分子中に不飽和結合とカルボン酸基を有する化合物のモル数を基準として5〜80モル%で反応させることが好ましく、特に10〜80モル%が良い。(A’3)の組成比が前記範囲内にあれば、露光感度および現像性に優れているので好ましい。
【0027】
本発明において、前記(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂は、(A’1)〜(A’2)を共重合して得られる共重合体と(A’3)とを、例えば、以下のような方法で反応させることによって製造することができる。
【0028】
フラスコ内の雰囲気を窒素から空気に置き換え、前記共重合体中の(A’1)から誘導される構成単位に対してモル分率で5〜80モル%の(A’3)、カルボキシル基とエポキシ基との反応触媒として、例えばトリスジメチルアミノメチルフェノールを、(A’1)〜(A’3)の総質量に対して0.01〜5質量%、および重合禁止剤として、例えばヒドロキノンを、総質量に対して0.001〜5質量%をフラスコ内に入れて、60〜130℃で1〜10時間反応することにより、前記共重合体と(A’3)とを反応させることができる。また、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量などを考慮して、投入方法や反応温度を適切に調整することもできる。
【0029】
本発明において、(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂は、そのポリスチレン換算の重量平均分子量が3,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、5,000〜50,000の範囲にあることがより好ましい。(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が3,000〜100,000の範囲にあれば、現像時に露光部の膜の減少が生じにくく、非露光部分の溶解性に良好な傾向があるので好ましい。
【0030】
(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂の酸価は、固形分基準で30〜150mgKOH/gの範囲が好ましい。酸価が30mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像液に対する溶解性が低くなり、基板に残渣を残す恐れがあり、酸価が150mgKOH/gを超える場合には、パターン食われが起こる可能性が高くなる。
【0031】
(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂の分子量分布は1.0〜6.0であることが好ましく、1.5〜4.0であることがより好ましい。分子量分布が1.0〜6.0であれば、現像性に優れているので好ましい。
【0032】
本発明に使用される(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂は、(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂と同様の方法で製造できる。ただし、(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂の分子鎖中にUV照射とラジカル光開始剤による光重合が起こり得る不飽和二重結合のない状態で重合されなければならないため、(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂に含まれる(A’3)を共重合する過程が省略され、(A’’1)〜(A’’2)を共重合して製造されるか、(A’’3)〜(A’’5)を共重合して製造される。その方法的な例は、(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂の一般的な合成例と同じである。
【0033】
(A’’1)成分および(A’’2)成分は、それぞれ前記(A’1)成分および(A’2)成分として例示された物質を使用することができる。
【0034】
また、(A’’3)〜(A’’5)成分は、次の通りである。
(A’’3)分子中に不飽和結合とカルボン酸基を有する化合物
(A’’4)エポキシ基と不飽和結合を有する脂肪族多環状化合物
(A’’5)前記(A’’3)〜(A’’4)と重合可能な不飽和結合を有するジカルボニルイミド誘導体
本発明に使用される(A’’)反応性アルカリ可溶性樹脂は、前記(A’’3)、(A’’4)および(A’’5)のほか、他の単量体を追加して共に重合することも可能である。すなわち、前記(A’’3)〜(A’’5)化合物以外の他の単量体がさらに含まれて重合される場合も、本発明の範囲に含まれる。
【0035】
前記(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂に含まれる(A’’3)成分は、(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂に含まれる(A’1)と同じであり、前記(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂に含まれる(A’’4)エポキシ基と不飽和結合を有する脂肪族多環状化合物としては、例えば、ジシクロペンタン、トリシクロデカン、ノルボルナン、イソノルボルナン、ビシクロオクタン、シクロノナン、ビシクロウンデカン、トリシクロウンデカン、ビシクロドデカン、トリシクロドデカンなどが挙げられる。より好ましくは、前記エポキシ基と不飽和結合を有する脂肪族多環状化合物(A’’4)エポキシ基と不飽和結合を有する脂肪族多環状化合物は、下記一般式(1)で表される化合物、および下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
【0036】
【化1】
【0037】
【化2】
(前記一般式(1)および(2)において、Rは、それぞれ独立に、水素原子または水酸基で置換もしくは非置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、Xは、それぞれ独立に、単一結合またはヘテロ原子を含むか含まない炭素数1〜6のアルキレン基である)
【0038】
前記一般式(1)および(2)において、Rは、具体的には、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシ−イソプロピル基、2−ヒドロキシ−イソプロピル基、1−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基などの水酸基含有アルキル基であってよい。なかでも、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、または2−ヒドロキシエチル基であることが好ましく、特に、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
【0039】
前記一般式(1)および(2)において、Xは、具体的には、単一結合;メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基;オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、チオメチレン基、チオエチレン基、チオプロピレン基、アミノメチレン基、アミノエチレン基、アミノプロピレン基などのヘテロ原子含有アルキレン基であってよい。なかでも、Xは、単一結合、メチレン基、エチレン基、オキシメチレン基、またはオキシエチレン基であることが好ましく、特に、単一結合またはオキシエチレン基であることがより好ましい。
【0040】
前記一般式(1)で表される化合物および一般式(2)で表される化合物は、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができ、特に、一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される化合物とを任意の比率で混合して使用することもできる。
【0041】
前記(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂に含まれる(A’’5)ジカルボニルイミド誘導体としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミドなどが挙げられ、これらのうち、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなどが、共重合反応性およびアルカリ水溶液に対する溶解性の面で好ましい。
【0042】
本発明に使用される(A’’)非反応性バインダー樹脂は、(A’’3)、(A’’4)および(A’’5)を共重合させて得られる共重合体であり、それぞれから誘導される構成成分の比率が、前記共重合体を構成する構成成分の合計モル数に対してモル分率で以下の範囲にあることが好ましい。
(A’’3)から誘導される構成単位;2〜40モル%
(A’’4)から誘導される構成単位;2〜95モル%
(A’’5)から誘導される構成単位;1〜65モル%
また、前記構成成分の比率が以下の範囲であることがより好ましい。
(A’’3)から誘導される構成単位;5〜35モル%
(A’’4)から誘導される構成単位;5〜80モル%
(A’’5)から誘導される構成単位;1〜60モル%
前記構成比率が前記範囲にあれば、感光性樹脂組成物の保存安定性、その組成物から得られるパターンの現像性、耐溶剤性、耐熱性および機械強度が良好になる傾向がある。
【0043】
本発明において、(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂は、そのポリスチレン換算の重量平均分子量が10,000〜30,000の範囲にあることを特徴とする。本発明者は、(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂の分子量が10,000〜30,000の場合、現像残膜率、耐熱性、耐薬品性、平坦性に優れ、微細パターンの実現が可能な透明画素を形成できることを実験的に確認した。
【0044】
(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂の酸価は、固形分基準で30〜150mgKOH/gの範囲が好ましい。酸価が30mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像液に対する溶解性が低くなり、基板に残渣を残す恐れがあり、酸価が150mgKOH/gを超える場合には、パターン食われが起こる可能性が高くなる。
【0045】
(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂の分子量分布は、1.0〜6.0であることが好ましく、1.5〜4.0であることがより好ましい。分子量分布が1.0〜6.0であれば、現像性に優れているので好ましい。
【0046】
前記(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量は、透明画素形成用感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で通常20〜85質量%、好ましくは40〜75質量%の範囲である。(A)アルカリ可溶性樹脂の含有量が前記基準で20〜85質量%であれば、現像液への溶解性が十分で、非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、現像時に露光部の膜の減少が生じにくく、非露光部分の溶解性に良好な傾向があるので好ましい。
【0047】
(B)光重合性化合物
本発明の透明画素形成用感光性樹脂組成物に含有される(B)光重合性化合物は、光および後述する光重合開始剤の作用で重合可能な化合物であって、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0048】
単官能単量体の具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0049】
2官能単量体の具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0050】
その他の多官能単量体の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシレーテッドジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0051】
これらのうち、2官能以上の多官能単量体が好ましく使用される。特に好ましくは、5官能以上の多官能単量体を使用することができ、より好ましくは、下記の一般式(3)の水酸基価が70〜130mgKOH/gのジペンタエリスリトール(ポリ)アクリレートを使用することが好ましい。
【0052】
【化3】
(前記一般式(3)において、Rは、水素または炭素数2〜6のアクリロイル基である)
【0053】
前記(B)光重合性化合物は、透明画素形成用感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で通常10〜60質量%、好ましくは20〜50質量%の範囲で使用される。(B)光重合性化合物が前記基準で10〜60質量%の範囲であれば、画素部の強度、工程進行による残膜率、コンタクトホール特性が良好になる傾向があるので好ましい。
【0054】
(C)光重合開始剤
本発明の透明画素形成用感光性樹脂組成物に含有される(C)光重合開始剤は、制限されないが、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物およびオキシム化合物からなる群より選択される1種以上の化合物である。前記(C)光重合開始剤を含む透明画素形成用感光性樹脂組成物は高感度であり、この組成物を用いて形成される膜は、その画素部の強度やコンタクトホール特性が良好になる。
【0055】
また、(C)光重合開始剤に(C−1)光重合開始補助剤を併用すると、これらを含む透明画素形成用感光性樹脂組成物がより高感度となり、この組成物を用いてカラーフィルタを形成する時の生産性が向上するので好ましい。
【0056】
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0057】
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。また、下記の一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0058】
【化4】
式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基で置換もしくは非置換のフェニル基、炭素数1〜12のアルキル基で置換もしくは非置換のベンジル基、または炭素数1〜12のアルキル基で置換もしくは非置換のナフチル基を表す。
【0059】
前記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、2−メチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−プロピル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−ブチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)エタン−1−オン、2−メチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−エチル−2−アミノ(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−2−メチルアミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−ジメチルアミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−2−ジエチルアミノ(4−モルホリノフェニル)プロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0060】
前記ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール、4,4’,5,5’位のフェニル基がカルボアルコキシ基によって置換されているイミダゾール化合物などが挙げられる。これらのうち、2,2’ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾールが好ましく使用される。
【0061】
前記オキシム化合物としては、下記の式(5),(6),(7)などが挙げられる。
【0062】
【化5】
【0063】
【化6】
【0064】
【化7】
【0065】
また、本発明の効果を阻害しない程度であれば、この分野で通常使用されているその他の光重合開始剤などを追加的に併用することもできる。その他の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラセン系化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0066】
ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0067】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4’−ジ(N,N’−ジメチルアミノ)−ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0068】
チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0069】
アントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0070】
その他、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などをその他の光重合開始剤として挙げることができる。
【0071】
また、本発明において、(C)光重合開始剤に組み合わせて使用可能な(C−1)光重合開始補助剤としては、アミン化合物、カルボン酸化合物などからなる群より選択される1種以上の化合物が好ましく使用できる。
【0072】
光重合開始補助剤のうち、アミン化合物の具体例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称:ミヒラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族アミン化合物が挙げられる。アミン化合物としては、芳香族アミン化合物が好ましく使用される。
【0073】
カルボン酸化合物の具体例としては、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸などの芳香族ヘテロ酢酸類が挙げられる。
【0074】
本発明の透明画素形成用感光性樹脂組成物において、(C)光重合開始剤の含有量は、全体固形成分を基準として0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%であり、(C−1)光重合開始補助剤の使用量は、前記基準で通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%である。
【0075】
前記(C)光重合開始剤の使用量が前記範囲にあれば、透明画素形成用感光性樹脂組成物が高感度化され、画素部の強度や、この画素部表面での平滑性が良好になる傾向があるので好ましい。また、光重合開始補助剤(C−1)の使用量が前記範囲にあれば、透明画素形成用感光性樹脂組成物の感度効率性がより高くなり、この組成物を用いて形成されるカラーフィルタの生産性が向上する傾向があるので好ましい。
【0076】
(D)溶剤
本発明の透明画素形成用感光性樹脂組成物に含有される(D)溶剤は、特に制限されず、感光性樹脂組成物の分野で使用されている各種有機溶剤を使用することができる。
【0077】
前記(D)溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのプロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテートおよびメトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0078】
前記溶剤のうち、塗布性、乾燥性の面で、好ましくは、前記溶剤中において沸点が100℃〜200℃の有機溶剤が挙げられ、より好ましくは、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3−エトキシプロピオン酸エチルや、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。これら(D)溶剤は、それぞれ単独または2種類以上を混合して使用することができる。
【0079】
本発明の透明画素形成用感光性樹脂組成物中の(D)溶剤の含有量は、溶剤を含む透明画素形成用感光性樹脂組成物の全体量に対して質量分率で通常60〜90質量%、好ましくは70〜85質量%である。(D)溶剤の含有量が前記基準で60〜90質量%の範囲であれば、ロールコータ、スピンコータ、スリットアンドスピンコータ、スリットコータ(ダイコータともいう)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時、塗布性が良好になる傾向があるので好ましい。
【0080】
(E)添加剤
本発明の透明画素形成用感光性樹脂組成物には、必要によって、充填剤、他の高分子化合物、硬化剤、顔料分散剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの(E)添加剤を併用することも可能である。
【0081】
前記充填剤の具体例は、ガラス、シリカ、アルミナなどが例示される。
【0082】
前記他の高分子化合物としては、具体的には、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0083】
前記硬化剤は、深部硬化および機械的強度を高めるために使用され、硬化剤としては、エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0084】
前記硬化剤において、エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、その他の芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、またはこのようなエポキシ樹脂の臭素化誘導体、エポキシ樹脂、およびその臭素化誘導体以外の脂肪族、脂環族または芳香族エポキシ化合物、ブタジエン(共)重合体エポキシ化物、イソプレン(共)重合体エポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレート(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0085】
前記硬化剤において、オキセタン化合物としては、例えば、カーボネートビスオキセタン、キシレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタンなどが挙げられる。
【0086】
前記硬化剤は、硬化剤と共に、エポキシ化合物のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合させることが可能な硬化補助化合物を含むことができる。硬化補助化合物としては、例えば、多価カルボン酸類、多価カルボン酸無水物類、酸発生剤などが挙げられる。
【0087】
カルボン酸無水物類として、エポキシ樹脂硬化剤として市販のものを用いることができる。そのエポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、商品名(アデカハードナーEH−700)(アデカ工業(株)製造)、商品名(リカシッドHH)(新日本理化(株)製造)、商品名(MH−700)(新日本理化(株)製造)などが挙げられる。前記硬化剤は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0088】
前記顔料分散剤としては、市販の界面活性剤を用いることができ、例えば、シリコーン系、フッ素系、エステル系、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、両性などの界面活性剤などが挙げられる。これらは、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用できる。前記界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類などがあり、これらのほか、商品名でKP(信越化学工業(株)製造)、ポリフロー(POLYFLOW)(共栄社化学(株)製造)、エフトップ(EFTOP)(トーケムプロダクツ社製造)、メガファック(MEGAFAC)(大日本インキ化学工業(株)製造)、フロラード(Flourad)(住友スリーエム(株)製造)、アサヒガード(Asahi guard)、サーフロン(Surflon)(以上、旭硝子(株)製造)、ソルスパース(SOLSPERSE)(ゼネカ(株)製造)、EFKA(EFKAケミカルズ社製造)、PB821(味の素(株)製造)などが挙げられる。
【0089】
これら顔料分散剤は、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができ、透明画素形成用感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で通常0.01〜15質量%で含まれるとよい。
【0090】
前記密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0091】
これら密着促進剤は、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができ、透明画素形成用感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で通常0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜2質量%を含む。
【0092】
前記酸化防止剤としては、具体的には、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
【0093】
前記紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0094】
前記凝集防止剤としては、具体的には、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0095】
本発明の透明画素形成用感光性樹脂組成物は、例えば、以下のような方法によって製造することができる。(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)溶剤を適切な比率で混合し、必要によって、使用されるその他の成分をさらに添加し、目的の透明画素形成用感光性樹脂組成物を得る。
【0096】
以下では、本発明にかかる透明画素形成用感光性樹脂組成物のパターン形成方法を説明する。
【0097】
本発明にかかる透明画素形成用感光性樹脂組成物のパターン形成方法は、前述の透明画素形成用感光性樹脂組成物を基材上に塗布する段階と、前記透明画素形成用感光性樹脂組成物の一部領域を選択的に露光する段階と、前記透明画素形成用感光性樹脂組成物の露光領域または非露光領域を除去する段階とを含んでなる。
【0098】
その一例として、以下のようにして基材上に塗布し、光硬化および現像を行ってパターンを形成し、ブラックマトリックス、または着色および透明画素(着色画像)として使用することができる。
【0099】
まず、この組成物を、基材(制限されず、通常は、ガラスあるいはシリコンウエハ)または先に形成された透明画素形成用感光性樹脂組成物の固形分を含む層の上に塗布し、予備乾燥することにより、溶剤などの揮発成分を除去して平滑な塗膜を得る。この時の塗膜の厚さは、大体1〜3μm程度である。このようにして得られた塗膜に、目的のパターンを得るために、マスクを介して特定の領域に紫外線を照射する。この時、露光部全体に均一に平行光線が照射され、マスクと基板とが正確に位置合わせされるように、マスクアライナやステッパなどの装置を用いることが好ましい。また、以後、硬化の終わった塗膜をアルカリ水溶液に接触させ、非露光領域を溶解させて現像することにより、目的のパターンを製造することができる。現像後、必要によって、150〜230℃で10〜60分などの後乾燥を行うことができる。
【0100】
パターン化露光後の現像に使用する現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤を含む水溶液である。アルカリ性化合物は、無機および有機アルカリ性化合物のいずれでもよい。無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸2水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
【0101】
また、有機アルカリ性化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。これら無機および有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0102】
アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の好ましい濃度は、0.01〜10質量%の範囲であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0103】
アルカリ現像液中の界面活性剤は、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、または陽イオン系界面活性剤のいずれも使用することができる。
【0104】
非イオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
【0105】
陰イオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類などが挙げられる。
【0106】
陽イオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアミン塩、または4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0107】
これら界面活性剤は、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0108】
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0109】
以下では、本発明にかかるカラーフィルタを説明する。
【0110】
本発明にかかるカラーフィルタは、前述の透明画素形成用感光性樹脂組成物を所定のパターンに形成後、露光、現像して形成される画素を含むことを特徴とする。
【0111】
透明画素形成用感光性樹脂組成物のパターン形成方法は、前述の通りで詳細な説明は省略する。前述のように、透明画素形成用感光性樹脂組成物溶液の塗布、乾燥、得られる乾燥塗膜へのパターン化露光、そして、現像という各操作を経て、透明画素形成用感光性樹脂組成物に相当する画素またはブラックマトリックスが得られ、また、このような操作をカラーフィルタに要する単位画素の数だけ繰り返すことによってカラーフィルタを得ることができる。カラーフィルタの構成および製造方法は、本技術分野でよく知られているので、その通りで詳細な説明は省略する。
【0112】
本発明の透明画素形成用感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタは、面内の画素間の膜厚さの差が少なく、例えば、1〜4μmの膜厚さで、面内の膜厚さの差を0.15μm以下、ひいては0.05μm以下とすることができる。したがって、このようにして得られるカラーフィルタは、平滑性に優れ、これをカラー液晶表示装置に組み立てることにより、優れた品質の液晶表示装置を高い歩留まりで製造することができる。また、前記カラーフィルタを用いると、優れた品質の撮像素子を製造することができる。
【0113】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明が実施例によって限定されるものではないことはいうまでもない。また、以下の実施例、比較例において、含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、質量基準である。
【0114】
<合成例>
合成例1−1:反応性アルカリ可溶性樹脂A’の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意し、一方、N−ベンジルマレイミド84.2部、メタクリル酸38.7部、トリシクロデシルメタクリレート22部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)40部を投入後、撹拌混合して、モノマー滴下ロートを用意し、n−ドデカンチオール6部、PGMEA24部を入れて、撹拌混合して、連鎖移動剤滴下ロートを用意した。次に、フラスコにPGMEA395部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素にした後、撹拌しながら、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下ロートから滴下開始した。滴下は、90℃を維持しながら、それぞれ2hの間進行させ、1h後に110℃に昇温して3h維持した後、ガス導入管を導入させ、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート14.2部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部をフラスコ内に投入して、110℃で8時間反応を継続し、その後、室温まで冷却しながら、固形分29.1重量%、重量平均分子量32,000、酸価が114mgKOH/gの樹脂A’を得た。
【0115】
合成例1−2:反応性アルカリ可溶性樹脂A’の合成(A1−a)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意し、一方、N−ベンジルマレイミド45部、メタクリル酸45部、トリシクロデシルメタクリレート10部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)40部を投入後、撹拌混合して、モノマー滴下ロートを用意し、n−ドデカンチオール6部、PGMEA24部を入れて、撹拌混合して、連鎖移動剤滴下ロートを用意した。以後、フラスコにPGMEA395部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素にした後、撹拌しながら、フラスコの温度を90℃まで昇温した。次に、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下ロートから滴下開始した。滴下は、90℃を維持しながら、それぞれ2hの間進行させ、1h後に110℃に昇温して3h維持した後、ガス導入管を導入させ、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート10部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部をフラスコ内に投入して、110℃で8時間反応を継続し、その後、室温まで冷却しながら、固形分29.1重量%、重量平均分子量32,000、酸価が114mgKOH/gの樹脂A’を得た。
【0116】
合成例2−1:非反応性アルカリ可溶性樹脂A’’の合成
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)300部を投入後、撹拌しながら、75度まで加熱する。フラスコに、3,4−エポキシ−8−(アクリロイルオキシ)トリシクロイル[5.2.1.02,6]デカン(EDCPA)13.7重量部、アクリル酸(AA)10.9重量部、ビニルトルエン26.5重量部をPGMEA170重量部に溶かした溶液を、滴下ロートを用いて5時間滴下させた。一方、重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル30重量部をPGMEA200重量部に溶解させた溶液を、別の滴下ロートを用いて5時間にわたって滴下させた。重合開始剤の滴下が完了した後、約4時間温度を維持し、その後、室温まで冷却しながら、固形分37.6重量%、重量平均分子量10,740、酸価111mgKOH/gの樹脂A’’を得た。
【0117】
合成例2−2:非反応性アルカリ可溶性樹脂A’’の合成(A2−a)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)300部を投入後、撹拌しながら、75度まで加熱する。フラスコに、3,4−エポキシ−8−(アクリロイルオキシ)トリシクロイル[5.2.1.02,6]デカン(EDCPA)76.8重量部(60mol%)、メタアクリル酸(MAA)10.0重量部(20mol%)、N−シクロヘキシルマレイミド19.2重量部(20mol%)をPGMEA170重量部に溶かした溶液を、滴下ロートを用いて5時間滴下させた。一方、重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル20重量部をPGMEA200重量部に溶解させた溶液を、別の滴下ロートを用いて5時間にわたって滴下させた。重合開始剤の滴下が完了した後、約4時間温度を維持し、その後、室温まで冷却しながら、固形分37.6重量%、重量平均分子量15,740、酸価121mgKOH/gの樹脂A’’を得た。
【0118】
合成例2−3および比較合成例1〜4:非反応性アルカリ可溶性樹脂A’’の合成
合成方法は、前記合成例2−1の方法と同様にし、分子量調節のためにアゾビスイソブチロニトリルの含有量を調節し、合成例2−3を下記の表1のように製造し、分子量が本願発明の範囲を超える比較合成例1および2と、N−シクロヘキシルマレイミドを含まない比較合成例3および4を製造した。下記の表1に反応単量体のモル%と合成結果を示した。
【0119】
【表1】
【0120】
分子量の評価
前記(A)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定については、GPC法を用いて以下の条件で行った。
装置:HLC−8120GPC(東ソー(株)製造)
カラム:TSK−GELG4000HXL+TSK−GELG2000HXL(直列接続)
カラムの温度:40℃
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
注入量:50μl
検出器:RI
測定試料の濃度:0.6質量%(溶媒=テトラヒドロフラン)
校正用標準物質:TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−1、A−2500、A−500(東ソー(株)製造)
【0121】
固形分
重合体溶液をアルミニウムカップに約1g秤量して入れて、アセトン約3gを添加して溶解させた後、常温で自然乾燥させた。そして、熱風乾燥器(エスペック株式会社製造、商品名:PHH−101)を用いて、真空下、160℃で3時間乾燥させた後、デシケータ内で放冷させ、重量を測定した。その重量の減少量から重合体溶液の固形分を計算した。
【0122】
酸価
樹脂溶液3gを静秤して、アセトン90g/水10gの混合溶媒に溶解させ、チモールブルーを指示薬として、0.1NのKOH水溶液を滴定液として使用し、自動滴定装置(平沼産業社製造、商品名:COM−555)によって重合体溶液の酸価を測定し、溶液の酸価と溶液の固形分から固形分1gあたりの酸価を求めた。
【0123】
<実施例および比較例>
実施例1〜7および比較例1〜5:透明画素形成用感光性樹脂組成物の製造
下記の表2に記載されているように、それぞれ成分を混合した後、全体固形分が18重量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈した後、十分に撹拌して、実施例1〜7および比較例1〜5の透明画素形成用感光性樹脂組成物を得た。
【0124】
【表2】
【0125】
(A)アルカリ可溶性樹脂
(A’)反応性:合成例1−1
(A’’)非反応性:合成例2−1
(B)光重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製造)
(C)光重合開始剤:1,2−オクタンジオール、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE01;Ciba Specialty Chemical社製造)
(D)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
実施例8〜11および比較例6〜12:透明画素形成用感光性樹脂組成物の製造
下記の表3および表4に記載されているようにそれぞれ成分を混合した後、全体固形分が18重量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈した後、十分に撹拌して、画素形成用カラーレス感光性樹脂組成物を得た。
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
(B)光重合性化合物:水酸基が90mgKOH/gのジペンタエリスリトールポリアクリレート(KAYARAD;日本化薬(株)製造)
(C)光重合開始剤:1,2−オクタンジオール、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE01;Ciba Specialty Chemical社製造)
(D)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
<カラーフィルタ(Glass基板)の製造例>
製造例1〜11および比較製造例1〜12:カラーフィルタの製造
前記実施例1〜11および比較例1〜12で製造された透明画素形成用感光性樹脂組成物を用いて、それぞれ前記製造例1〜11および比較製造例1〜12のカラーフィルタを製造した。
【0128】
すなわち、前記実施例1〜11および比較例1〜12で製造された透明画素形成用感光性樹脂組成物をスピンコーティング法でガラス基板上に塗布した後、加熱板上に置き、100℃の温度で3分間維持して薄膜を形成させた。次に、前記薄膜上に、横×縦50um×50um〜10um×10umまでの正方形パターンと、1μm〜100μmのライン/スペースパターンを有する試験フォトマスクを載せ、試験フォトマスクとの間隔を300μmにして紫外線を照射した。
【0129】
この時、紫外線光源は、ウシオ電機(株)製の超高圧水銀ランプ(商品名USH−250D)を用いて、大気雰囲気下、50mJ/cmの露光量(365nm)で光照射し、特別な光学フィルタは用いなかった。前記紫外線の照射された薄膜を、pH10.5のKOH水溶液現像溶液に80秒間浸漬して現像した。この薄膜が被せられたガラス板を、蒸留水を用いて洗浄した後、窒素ガスを噴射して乾燥し、230℃の加熱オーブンで25分間加熱して、カラーフィルタを製造した。前記製造されたカラーフィルタのフィルム厚さは3.0μmであった。
【0130】
<実験例>
残膜率の測定
前記それぞれの透明画素形成用感光性樹脂組成物をスピンコーティング法でガラス基板上に塗布した後、加熱板上に置き、100℃の温度で3分間維持して薄膜を形成させた後、フォトマスクのない全面露光で50mJ/cmの紫外線を照射した後、パターンの膜厚さを膜厚測定装置(DEKTAK6M;Veeco社製造)を用いて測定した。厚さ測定の完了した基板を、再びpH10.5のKOH水溶液現像溶液に80秒間浸漬して現像した後、厚さを測定した。
【0131】
残膜率(%)=現像後の厚さ(um)/現像前の厚さ(um)
残膜率が85%以下の場合は、膜硬度の劣化および工程マージンに影響が大きいと判断した。
【0132】
コンタクトホールサイズおよびテーパ引きずりの観察
前記例で製造された基板を置き、フォトマスクの40um×40umの正方形コンタクトホールを観察して、コンタクトホールのサイズを測定し、テーパ引きずりを観察した後、写真を撮った。
OM装備:ECLIPSE LV100POLニコン社製造
テーパ引きずりの評価基準
O:テーパ引きずりがない状態
△:一方の辺のテーパ引きずりが2um以下
X:一方の辺のテーパ引きずりが3um以上
前記カラーフィルタのコンタクトホールサイズ、テーパ引きずり、露光/現像残膜率を下記のように測定および評価し、その結果を下記の図1および表5〜7に示した。
【0133】
【表5】
【0134】
図1および前記表5を参照すれば、本発明の(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂と、(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂とを8:2〜1:7で混合して使用する場合、製造例1〜7のように、テーパ引きずりがないか最小化され、外観上、綺麗なコンタクトホールを得ることができ、残膜率も85%以上と満足すべき結果を得ることができる。その他の比率では、比較製造例1〜5のようにコンタクトホールが詰まるか、コンタクトホールが綺麗に形成されても、残膜率が過度に低いか、あるいはテーパ引きずりが大きく発生することが分かる。
【0135】
耐熱性の測定
前記透明画素が形成されたカラーフィルタをさらに230℃の加熱オーブンで120分間加熱し、透明画素パターンの厚さを測定した。
耐熱性(%)=追加bake後の厚さ(um)/追加bake前の厚さ(um)
耐熱性が96%以下の場合は、LCD panelの作製時、表面シワの影響があり得る。
【0136】
耐薬品性の測定
前記透明画素が形成されたカラーフィルタを、耐薬品性評価溶剤N−Methyl−2−pyrrolidone(NMP)に、60℃の条件で30分間浸漬させた後、透明画素パターンの厚さを測定した。
耐薬品性(%)=浸漬後の厚さ(um)/浸漬前の厚さ(um)
耐薬品性が110%以上の場合は、塗膜の膨れ上がり現象がひどく、工程不良および表面シワの問題を起こすことがある。
【0137】
微細パターンの測定
前記透明画素が形成されたカラーフィルタのうち、100μmのライン/スペースパターンマスクを介して得られたパターンの大きさを、OM装備(ECLIPSE LV100POLニコン社製造)によりパターンの大きさを測定した。
微細パターン(Δum)=(ライン/スペースパターンマスクsize、100μm)−(測定された画素パターンsize)
微細パターンの値が10umより大きければ、微細画素の実現が難しくなり、マイナス値を有すると、工程不良を引き起こすことがある。
【0138】
平坦性の評価
前記例で製造された基板を置き、1次コーティングされた青色パターンにおいて、ラインサイズ50um、スペースサイズは100umの部分の全体厚さプロファイルを評価する(図2および図3参照)。膜厚測定装備はDEKTAK6M(Veeco社製造)を用いて測定した。
【0139】
測定した膜厚さのグラフデータを、下記のような方法で平坦性を計算する。スペースの中央部分を基準点にして、表面と基準線との厚さの差であるx値が、基準厚さ(基準点から)5%以下のスペースの長さのみを測定する。
平坦性(%)=(X値が基準厚さ5%以下のスペース長さ)/全体スペース長さ
平坦性が80%以下の場合には、画素上部の液晶駆動に影響を与え、光特性が低下することがある。
【0140】
表面異常の評価
前記例で製造された基板について目視判断した。
表面異常の有無:良好水準−表面異物観察されず、不良水準−表面白化現象観察。
【0141】
前記表面の状態が白化現象を呈すると、透明画素形成用途として効用価値がなくなる。前記カラーフィルタの現像残膜率、耐熱性、耐薬品性、微細パターン、平坦性、表面異常に対する評価結果を下記の表6および表7に示した。
【0142】
【表6】
【0143】
【表7】
【0144】
本発明の(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂と、(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂とを8:2〜1:7で混合して使用する場合、実施例8〜11のように、現像残膜率、耐熱性、耐薬品性に優れた結果が得られ、その他の比率においては、比較例6および7のように、微細パターンの変化が大きいか、マスクパターンの大きさに比べて小さいパターンが形成される問題があった。また、非反応性バインダー(A’’)の単量体中にジカルボニルイミド誘導体がない場合、比較例11のように十分な平坦性を確保できないか、平坦性確保のために分子量を高める場合、比較例12のように表面異常によって良好なパターンを作ることができなかった。
【0145】
一方、ジカルボニルイミド誘導体が含まれても、分子量の小さい比較例8は、平坦性が不足し、比較例9は、分子量が高すぎて微細パターンの変化が大きい問題があった。
【0146】
本発明によれば、(A’)反応性アルカリ可溶性樹脂と、(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂とを8:2〜1:7で混合し、この時の(A’’)非反応性アルカリ可溶性樹脂の単量体が(A’’3)、(A’’4)、(A’’5)で重合された共重合体であり、分子量が10,000〜30,000の場合、現像残膜率、耐熱性、耐薬品性、平坦性に優れ、微細パターンの実現が可能な透明画素を形成することができた。
図1
図2
図3