(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の搬送部材は前記シートをニップして搬送する圧接位置と前記シートとの圧接を解除して前記シートの移動を許容する解除位置とを有し、前記第2の搬送部材によって前記シートが前記第1の搬送部材の前記搬送方向と交差する方向に搬送される際には、前記第1の搬送部材を解除位置にシフトすることを特徴とする請求項1または2に記載のシート処理装置。
前記第1の搬送部材は少なくとも一対の搬送ローラからなり、前記圧接位置では前記搬送ローラで前記シートを圧接して移動可能とし、前記第2の搬送部材は、前記折り目を除くシート側部をシート厚さ方向から把持して牽引するグリッパ部材からなり、前記グリッパ部材で前記シートを牽引する際は、前記搬送ローラを解除位置に移動することを特徴とする請求項3に記載のシート処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像形成装置などから搬出される折りシート束に対して増し折りをする上述の装置には、それぞれ次の問題がある。
【0008】
まず、特許文献1のものは、互いに圧接状態の一対のローラを圧接状態で折りループに沿って移動している。この移動は複数回折りループを往復動しても、上記一対のローラは同じ位置を押圧することになり、折り位置は一直線上に重なるのみである。このため、押圧後にシート束が開いて広がってしまい、折りシート束の集積性をあまり向上させることができない。
【0009】
特許文献2に示すものは、一対の押えローラをシート幅よりも外側の待機位置では相互に離間させ、この離間状態でシート束の折りループがある内側に位置してから、これらのローラを圧接させで増し折りを開始している。従って、シートの幅方向端部を通過しているときは離間して通過するので、この端部に破れや押しつけのダメージを与えることを少なくできる。しかしながら、特許文献2に示す装置も、シート折りループに対する押えローラの押圧は、もっぱら同じ押圧力での同じ位置で押圧を繰り返すのみであるので、この場合の増し折りも一直線上に重なるのみで、押圧後にシート束が開いて広がってしまい、折りシート束の集積性を向上させることが難しかった。
また、上記の特許文献1及び2の装置ともにシートのループ部分を押圧する際は押えローラがシート幅を移動する間は必ずシートを停止することが必要であり、シートの押圧処理に比較的長い時間が掛っていた。
【0010】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであって、折りシートの折りループに対して増し折りのための押圧を行う際に、折りループの同じ位置を重ねて押圧するのではなく、シート折りループの厚さ方向で最初と次の押圧の位置を異ならせ、最後に押圧した際に、これまでの折れ線が折りシートを厚さ方向の内側に向けるとの着想に基づいてなされたものである。
これによれば、最初のシート折りループの厚さ方向からの押圧は、押圧部材が離間した状態の間にシートを幅方向に移動して折りループを押圧させ初期の折りを行う。そして、次の押圧は押圧部材の離間間隔を狭めてシートを幅方向に移動して最初の位置とは異なる新たなにループに折りを作るようにしている。これにより、折りループはシート厚さ方向の内側に向くように異なる位置で段階的な折りが作られることになる。
従って、シート束の折りがみずからが閉じ方向に向くことになり折りの完了後シート束が開くことが少なくなる。また、シートの排出移動過程で段階折りがシートの停止を最小限して実行できる。
これにより折りシート束の集積量を多くすることができるとともに、シート停止を最小限にして処理時間を短縮できるシート処理装置及びこれを備える画像形成装置の提供をその課題している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用する。
請求項1に記載の発明は、折り処理が施されたシートを所定の搬送方向に搬送する第1の搬送部材と、シートの折り目に沿って複数列設けられ、折り目を厚さ方向から押圧して増し折り処理を施す押圧ローラ対と、複数列の押圧ローラ対に対し、搬送方向と交差する前記折り目に沿った所定の移動方向にシートを移動させる第2の搬送部材と、押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士の間隔を移動方向の
上流側の列から
下流側の列に向かって段階的に狭くし、且つ移動方向の最後の列の押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士の間隔を無くす間隔規制部材と、最後の列の前記押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士を圧接する弾性部材とを備えたシート処理装置である。
これによれば、折り処理が施されたシートを、その厚さ方向から段階的に押圧するので、折り位置が異なり閉じ方向に折りが形成される。これにより集積時に折り処理されたシートが開いてしまうことを少なくでき集積性が向上する。また、シートの交差方向の搬送の過程でこの段階的な折を実行するので、シートを止めて行うものに比べ処理時間が短縮できる。
【0012】
請求項2の発明は、装置フレームと、折り処理が施されたシートを所定の搬送方向に搬送する第1の搬送部材と、
前記シートの折り目に沿って複数列設けられ、前記折り目を押圧して増し折り処理を施す押圧ローラ対と、
前記複数列の押圧ローラ対を支持し前記装置フレームに取り付けられた支持ユニットと、
前記支持ユニットに対し、前記搬送方向と交差する前記折り目に沿った所定の移動方向に前記シートを移動させる第2の搬送部材とを備え、
前記支持ユニットが、前記押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士の間隔を前記移動方向の
上流側の列から
下流側の列に向かって段階的に狭くし、且つ前記移動方向の最後の列の前記押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士の間隔を無くす間隔規制部材と、
前記最後の列の前記押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士を圧接する弾性部材と、を備えるシート処理装置である。
これによれば、折り処理が施されたシートの折り目を、その折り目の厚さ方向から段階的に押圧する押圧部材を支持して装置ユニットに取り付けられた支持ユニット内を通過させるので、折り位置が異なり閉じ方向に折りが形成される。これにより集積時に折り処理が施されたシートが開いてしまうことを少なくでき集積性が向上する。また、シートの交差方向の搬送の過程でこの段階的な折りを実行するので、シートを止めて行うものに比べ処理時間が短縮できる。
【0015】
請求項3の発明は、上記第1の搬送部材はシートをニップして搬送する圧接位置とシートとの圧接を解除してシートの移動を許容する解除位置とを有し、上記第2の搬送部材によってシートが第1の搬送部材の搬送方向と交差する方向に搬送する際は、第1の搬送部材を解除位置にシフトする請求項1
または2に記載のシート処理装置である。
これによれば、シートの搬送方向を交差する方向に変換する際に上流側の搬送手段のシートのニップを解除するので、交差する方向への引き継ぎ搬送がスムーズに行える。
【0016】
請求項
4の発明は、第1の搬送部材は少なくとも一対の
搬送ローラからなり、圧接位置ではこの
搬送ローラで
シートを圧接して移動可能とし、第2の搬送部材は、
折り目を除くシート側部をシート厚さ方向から把持して牽引するグリッパ部材からなり、このグリッパ部材で
シートを牽引する際は、上記
搬送ローラを解除位置に移動する請求項
3に記載のシート処理装置である。
これによれば、交差方向の変更前の搬送は
シートに離接する
搬送ローラで行い、交差方向への搬送はシート側部を把持するグリッパ部材で行うので、シートの引き継ぎ搬送が確実に行える。
【0017】
請求項5の発明は、装置フレームと、折り処理が施されたシートの折り目を先頭として、所定の搬送方向にシートを搬送する搬送ローラと、折り目を折り目の厚さ方向から押圧する一対の回転自在の押圧ローラ
対と、
押圧ローラ対を複数列支持し装置フレームに取り付けられた支持ユニットと、搬送ローラによって搬送されたシートの側方に位置し、折り目を除くシートの
側部をシート厚さ方向から把持し、搬送方向と交差する折り目に沿った所定の移動方向にシートを移動させるグリッパ部材と、を備え、支持ユニットが、押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士の間隔を移動方向の
上流側の列から
下流側の列に向かって段階的に狭くし、且つ移動方向の最後の列の押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士の間隔を無くす間隔規制部材と、
最後の列の押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士を圧接する弾性部材と、を備えるシート処理装置。
これによれば、シートの折り目を、搬送方向を交差する方向に変更し、折り目の厚さ方向から段階的に押圧する押えローラを支持して装置ユニットに取り付けられた支持ユニット内を交差方向への搬送過程で通過させたので、折り位置が異なり閉じ方向に折りが形成される。これにより集積時に折り処理が施されたシートが開いてしまうことを少なくでき集積性が向上する。また、シートの交差方向への搬送過程でこの段階的な折りを実行するので、シートを止めて行うものに比べ処理時間が短縮できる。
【0018】
請求項6の発明によれば、押圧ローラは、押圧ローラ対を構成する押圧ローラ同士の間隔を移動方向の
上流側の列から
下流側の列に向かって段階的に狭くなる少なくとも3列の押圧ローラが設けられている請求項5に記載のシート処理装置である。
これによれば、段階的に相互の間隔が狭くなる3列の押えローラからなるので、この中を通過する折り目に段階的な折りを実行することができる。
【0020】
請求項
7の発明は、シート上に画像形成する画像形成部と、この画像形成部からのシートに所定のシート処理を施すシート処理装置とを備え、このシート処理装置は上記請求項1ないし請求項
6の何れかに記載のシート処理装置を備えている画像形成装置である。
これによれば、これまで各請求項の発明で述べた効果を有する画像形成装置が提供できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記の解決手段を有することにより下記の効果を奏する。
すなわち、折り曲げループが生じた折りシートを、その厚さ方向から段階的に押圧するので、折り位置が異なり閉じ方向に折りが形成される。これにより集積時に折りシート束が開いてしまうことを少なくでき集積性が向上する。また、シートの交差方向の搬送の過程でこの段階的な折を実行するので、シートを止めて行うものに比べ処理時間が短縮できるシート処理装置及びこれを備える画像形成装置が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図示の実施の態様に基づいて本発明を詳述する。
図1に示す画像形成システムは画像形成装置Aとシート処理装置Bで構成され、シート処理装置Bには段階折りユニット50が組み込まれている。
【0024】
[画像形成装置の構成]
図1に示す画像形成装置Aは、給紙部1からシートを画像形成部2に送り、画像形成部2でシートに印刷した後、本体排出口3からシートを搬出する。給紙部1は複数のサイズのシートが給紙カセット1a、1bに収納してあり、指定されたシートを1枚ずつ分離して画像形成部2に給送する。画像形成部2は例えば静電ドラム4と、その周囲に配置された印字ヘッド(レーザ発光器)5と現像器6と、転写チャージャ7と定着器8が配置され、静電ドラム4上にレーザ発光器5で静電潜像を形成し、これに現像器6でトナーを付着し、転写チャージャ7でシート上に画像を転写し、定着器8で加熱定着する。このように画像形成されたシートは本体排出口3から順次搬出される。図示9は循環経路であり、定着器8から表面側に印刷したシートを、本体スイッチバック経路10を介して表裏反転した後、再び画像形成部2に給送してシートの裏面側に印刷する両面印刷の経路である。このように両面印刷されたシートは本体スイッチバック経路10で表裏反転された後、本体排出口3から搬出される。
【0025】
図示11は画像読取装置であり、プラテン12上にセットした原稿シートをスキャンユニット13で走査し、反射ミラー、集光レンズを経て光電変換素子14で電気的に読み取る。この画像データは画像処理部で例えばデジタル処理された後、データ貯蔵部17に転送され、前記レーザ発光器5に画像信号を送る。また、図示15は原稿送り装置であり、原稿スタッカ16に収容した原稿シートをプラテン12に給送するフィーダ装置である。
【0026】
上記構成の画像形成装置Aには制御部(コントローラ)が設けられ、コントロールパネル18から画像形成条件、例えばシートサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などのプリントアウト条件が設定される。一方、画像形成装置Aには上記スキャンユニット13で読み取った画像データ或いは外部のネットワークから転送された画像データがデータ貯蔵部17に蓄積され、このデータ貯蔵部から画像データはバッファメモリに転送され、このバッファメモリ19から順次、レーザ発光器5にデータ信号が移送されるように構成されている。
【0027】
[シート処理装置の構成]
上述の画像形成装置Aに連結されたシート処理装置Bは、
図2に示すようにケーシング20に上記第1排紙トレイ21と第2排紙トレイ22を備え、本体排出口3に連なる搬入口23を有するシート搬入経路P1が設けられている。
このシート搬入経路P1はケーシング20に略々水平方向の直線経路で構成されている。そしてこのシート搬入経路P1から分岐しシートを反転方向に移送する第1スイッチバック搬送路SP1と第2スイッチバック搬送路SP2が配置されている。そして第1スイッチバック搬送路SP1が経路下流側で、第2スイッチバック搬送路SP2が経路上流側でそれぞれシート搬入経路P1から分岐され、両搬送路は互いに距離を隔て配置されている。
【0028】
このような経路構成でシート搬入経路P1には搬入ローラ24と排紙ローラ25が配置されている。排紙ローラ25は正逆転可能となっている。またシート搬入経路P1には第2スイッチバック搬送路SP2にシートを案内する経路切換片(図示せず)が配置されソレノイドなどの作動手段に連結されている。またシート搬入経路P1には、搬入口23からのシートに、例えば1枚ずつ穿孔処理する1枚穿孔ユニット28が搬入ローラ24の下流側に設けられている。
【0029】
[第1スイッチバック搬送路SP1の構成]
図2に示されるように第1スイッチバック搬送路SP1は次のように構成されている。シート搬入経路P1の出口端に排紙ローラ25が設けられ、この排紙ローラ25のシートを積載支持する処理トレイ29が設けられている。この処理トレイ29の上方には正逆転ローラ30がトレイ上のシートと接する位置と離間した待機位置との間で昇降自在に配置されている。この正逆転ローラ30が連結され処理トレイ29上にシートが進入する際は同図時計方向に回転し、シート後端が排紙ローラ25から排紙されトレイ上に進入した後は反時計方向に回転するように制御される。従って処理トレイ29上に第1スイッチバック搬送路SP1が構成されている。この処理トレイ29の排紙方向後端部には、端面綴じステープル装置33が配置されている。このステープル装置33は処理トレイ29上に集積されたシート束の後端縁の1個所若しくは複数個所にステープル綴じする。綴じ処理されたシート束は第1排紙トレイ21排出される。
【0030】
[第2スイッチバック搬送路の構成]
前記シート搬入経路P1から分岐された第2スイッチバック搬送路SP2の構成について説明する。この第2スイッチバック搬送路SP2は、
図2に示すようにシートが排紙ローラ25にニップされた状態で正転から逆転してスイッチバック搬送されてくるシートを案内する搬送路である。この搬送路は、
図2に示すようにケーシング20に略々鉛直方向に配置され、経路入口に搬送ローラ36が、経路出口に出口搬送ローラ37が配置されている。また第2スイッチバック搬送路SP2の下流側にはこの搬送路から送られたシートを部揃えし一時集積する第2の処理トレイを構成するスタッカ部35が設けられている。図示のスタッカ部35はシートを移送する搬送ガイドで構成されている。このスタッカ部35には中綴じステープラ40と折りローラ45が配置されている。以下順次これらの構成について説明する。
【0031】
[スタッカ部の構成]
スタッカ部35は、シートの搬送をガイドするガイド部材で形成され、このガイド上にシートを積載収納するように構成されている。図示のスタッカ部35は第2スイッチバック搬送路SP2に連なり、ケーシング20の中央部に略々鉛直方向に配置されている。これによって装置を小型コンパクトに構成している。このスタッカ部35は内部に最大サイズシートを収納する長さ形状に形成され、特に図示のものは後述する中綴じステープラ40と折りローラ45(45a、45b)を配置する側に突出するように湾曲又は屈曲した形状に構成されている。
【0032】
上記スタッカ部35の搬送方向後端側には前述の第2スイッチバック搬送路SP2の出口端とオーバラップするスイッチバック進入路35aが連設されている。これは第2スイッチバック搬送路SP2の出口搬送ローラ37から送られる搬入(後続)シートの先端とこのスタッカ部35に支持されている積載済(先行)シートの後端をオーバラップさせることによって集積するシートのページ順位を確保するためである。また、スタッカ部35にはシートの搬入方向先端を規制するストッパ手段としての先端規制部材(以下、ストッパ38という)がガイド下流側に配置してあり、このストッパ38はスタッカ部35に沿って移動可能にガイドレールなどに支持され、図示しないシフト手段でシートをスタッカ部35に搬入する位置、集積方向の中程で綴じる位置及び折りローラ45で折る位置に移動するように構成されている。また、スタッカ部35の搬送方向中ほどには、シートを整合する整合部材39が設けられシートの搬入の都度に側縁を押圧して整合を行う。
【0033】
[中綴じステープラの説明]
次に、このスタッカ部35の上方に位置する中綴じステープラ40は、ステープル針をシート束に打ち込むドライバーユニット41と打ち込まれたステープル針の脚部を互いに向き合う方向に折り曲げるクリンチャユニット42で構成され、それぞれのユニットはスタッカ部35を挟んで対向する位置に構成され、通常シート長さの2分の1となる図示Xの綴じ位置でシートを綴じる。尚、この中綴じステープラはシート束の綴じるスープル針として金属の針を用いるほか紙製からなる紙製針や針を使用しない圧着や切り込みをシートに入れて綴じてもよい。
【0034】
[折りローラの説明]
次に、折りローラ45の構成について説明する。上述の中綴じステープラ40の下流側に配置された折位置Yには、
図2に示すようにシート束を折り合わせる折りローラ45とこの折りローラ45のニップ位置にシート束を挿入する折りブレード46が備えられている。
図3を参照すると、折りローラ45は互いに圧接した上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bで構成され、この上圧接ローラ45a下圧接ローラ45bは略々最大シートの幅長さより多少長く形成されている。この折りローラ45は、図示されていない圧縮スプリングで互いに圧接方向に付勢されている。上記一対の折りローラ45はゴムローラなどの比較的摩擦係数の大きい材料で形成されている。
【0035】
上記の折りローラ45の圧接位置には、この位置に向かって侵入する折りブレード46が進退可能に配置されている。この折りブレード46は、シート束が中綴じステープラ40で中綴じされた後、この綴じ位置を折りローラ45に押し込むように移動し、この動作に連動して折りローラ45が圧接回転することにより中綴じシートを折り曲げて二つ折りにしていく。この途中で折りブレード46は元の位置に復帰して次のシート束の搬入に備える。折りブレードの移動位置は、折り位置Yとして
図2に示されており、この位置はシートが束として綴じ針で綴じられた位置Xに一致している。
【0036】
ここで、スタックされあるいはスタック中綴じされたシート束の折り処理手順を
図3により説明する。シートがストッパ38により係止され束となり、このストッパ38が上昇してシートの搬送方向中程の位置を中綴じステープラ40で綴じ処理を行う。綴じ処理後、今度は綴じられたシート束を下降してシート綴じ位置を折り位置になるようにストッパ38を停止する。この状態が
図3(a)に示されている。この位置は、折りローラ45の上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bの圧接位置に一致するように停止している。その後図示しない駆動モータにより上圧接ローラ45aと下圧接ローラが同じ方向に回転し、折りブレード46が圧接位置に押し込むように移動する。この状態は
図3(b)に示されている。
【0037】
次に、
図3(c)に示す様に、引き続き上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bが同じ方向に回転が継続され、折りブレード46が圧接位置手前で一旦停止する。今度は折りブレード46は、元の戻り方向に移動して退避する。その後さらに上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bが同じ方向に回転継続すると、
図3(d)に示す様に、折りシート束BSは一定のループBLを描いて折り処理される。このシート束は、折りブレード46で突いた折り目となる折りループ先端BL1、これを中心に上方に膨らんだ上方ループBL2、下方に膨らんだ下方ループBL3、ループを維持するようにシートを押圧するループ基端部BL4が形成され、この状態で一旦停止する。
【0038】
ところで、折り目でループが発生するのは、シート束自らが折り目位置で外側に開こうする力が働くためである。従って、折りシート束BSの枚数が多ければ多いほど開いて広がろうとする力が強く、このまま排出するとシート束が開いてしまうことになるので、本願のものは以下に述べるような順次にループ部分を折り込む段階折りを行っている。
尚、この折りローラ45はシートを折りこまない状態と折りシート束BSを折り込んだ状態とで、互いに圧接する上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bの軸間を測定することで折りシート束BSの厚さを検知することにも利用してもよい。
【0039】
[段階折りユニットの説明]
ここから、折り処理をおこなった折りシート束BSが開いてしまうのを防止するための本発明に係わるシート処理装置の一部となる段階折りユニット50について説明する。
段階折りユニット50は、
図2に示す様に上述した折りローラ45の下流側に配置されている。この段階折りユニット50の入り口部には折りループ側を先頭として折りローラ45によって送られて来る折りシート束BSを検出するシート束検出センサ(SEN3)44が設けられている。この下流側には折りシートをさらに下流側に搬送する相互に離接可能な第1の搬送部材(束搬送ローラ)としての中継ローラ48が位置している。この中継ローラ48の下流側には折りシート束BSの搬送をガイドする上ガイド板52aと下ガイド板52bからなるガイド板52が設けられている。この段階折りユニット50は、折りシート束搬送経路BPを有している。
【0040】
さらに、このガイド板52の側方には折りシート束BSをその厚さ方向から把持可能な第2の搬送部材としてのグリッパ部材51が位置している。このグリッパ部材51は、中継ローラ48によって搬送される折りシート束BSの搬送方向と交差する方向である図示手前方向に搬送する。また、中継ローラ48による折りシート束BSの終点となる位置の側方には、グリッパ部材51によって牽引されて搬送される折りシートに段階的に折り処理を行う押えローラ70を有する支持ユニット56が位置している。この支持ユニット56の下流側には処理された折りシート束BSを集積する第2排紙トレイ22が設けられている。
以下、中継ローラ48、グリッパ部材51、押えローラ70を支持する支持ユニット56の機構及び動作について個別に説明する。
【0041】
[中継ローラ(第1の搬送部材・束搬送ローラ)の説明]
図4により、折りループを有する折りシート束BSを折りローラ45から下流側に搬送する中継ローラ48について説明する。この中継ローラ48は折りシート束の厚さ方向の上方に配置された中継上ローラ48aと、下面側に配置された中継下ローラ48bからなり、シート幅方向にこの実施例にあっては3本のローラで構成されている(
図21参照)。中継ローラ48の駆動回転は束移送モータ163によってなされ、中継上ローラ48aは、タイミングベルト156、159を介して、中継下ローラ48bはタイミングベルト167を介して夫々駆動される。この中継上ローラ48aと、中継下ローラ48bとは等速移動するように設定されている。
また、中継上ローラ48aは、中継下ローラ48bに対して離接可能となっており、折りシート束BSをニップして搬送可能とする圧接位置と、折りシート束BSから離間し折りシート束BSのグリッパ部材51による移動を許容する圧接解除位置とに移動可能となっていて、中継ローラが相互に離間可能となっている。
【0042】
この中継上ローラ48aの移動は、駆動軸160に回転可能に支持された支持レバー158に取り付けられている。この駆動軸160には、この駆動軸160と一体的に構成された揺動レバー155が設けられ、この揺動レバー155の先端側と支持レバー158との間に押圧バネ157が配置してある。また、駆動軸160は揺動モータ153で回動可能とされている。従って、この揺動モータ153を駆動し駆動軸160を図示反時計方向に回転すると中継上ローラ48aは折りシート束BSを中継下ローラ48bに押し付ける方向に移動する。さらに揺動モータ153を駆動すると揺動レバー155が押圧バネ157を圧縮させ、この圧縮により中継上ローラ48aがより強い付勢力で折りシート束BSを付勢する。
【0043】
中継上ローラ48aを中継下ローラ48bから離間する場合は、今度は駆動軸160が図示時計方向に回転する方向に揺動モータ153を駆動する。すると揺動レバー155も時計方向に回動し押圧バネ157に係止された支持レバー158も同方向に移動して、中継上ローラ48aを折りシート束BSから離間した離間位置に上昇させる。この状態に中継上ローラ48aが位置すると折りシート束BSの拘束が解除されて後述する第2の搬送部材であるグリッパ部材51で交差方向に移動することができる。上記の揺動レバー155の位置は、これを検知する揺動位置センサ(SEN5)151で検知して位置決めを行う。
【0044】
なお、この中継ローラ48は折りシート束BSのループ先端がシート束先端検出センサ(SEN4)129で検出されるシート束検出センサ(SEN3)44との距離d1分送るd1位置、これよりもβ1分上流側のd2位置、このd2位置よりもβ2分下流側のd3の位置に送るようになっており、これは束移送モータ163の送り量によって設定している。この引き継ぎ位置の変更により、折ループに対して小数枚と多数枚について段階折りを実行する場合と段階折りを実行しない場合を選択している。これらについては
図21以降で説明する。
[グリッパ部材の配置及び機構]
【0045】
次に、
図5から
図8までにより、折りローラ45で折ループが付与され、中継ローラ48で搬送されてきた折りシート束BSを折ループを残したシート厚さ方向から把持し、中継ローラ48の搬送方向と直交する方向に搬送する第2の搬送手段であるグリッパ部材51の配置関係及びその機構について説明する。
図5は押えローラ70を支持する支持ユニット56及びループが形成された折りシート束BSを中継ローラ48の搬送方向と交差方向に牽引するグリッパ部材51の移動機構を説明する斜視図である。
装置フレーム55には装置後方にリアフレーム53aと装置前方のフロントフレーム53cとこれらの間に、中フレーム53bが取り付けられている。このリアフレーム53a側には、折りシート束をガイドする上ガイド板52aと下ガイド板52bからなるガイド板52が位置している。
【0046】
グリッパ部材51は中継ローラ48で送られてきた折ループを有する折りシート束を中継ローラ48による搬送方向と交差する方向(
図5では左方向)に移動するように、折りシートのループを残してやや後方を把持する。グリッパ部材51には、折りシート束BSを把持したり把持を解除したりするグリッパ開閉カム200やこれを駆動するグリッパ開閉モータ181などを支持するギアフレーム179が取り付けられている。
また、このグリッパ部材51は、第2排紙トレイ上方に基位置された前ガイドレール57と後ガイドレール58に摺動可能に支持されている。このグリッパ部材51の牽引及び復帰は、装置に個設された右プーリ63と左プーリ64との間に張設された移動ベルト65の移動によってなされる。左プーリ64側には、追って説明するが、グリッパ部材移動モータ69、このモータの出力軸に取り付けられたモータ出力ギア67、伝達ギア66がモータギアユニット68に取り付けられて、左プーリ64を駆動回転する。従って、これらにより折りシート束の移動部材が構成される。
グリッパ部材51がシートを把持して、第2排紙トレイ上方に折りシート束BSを牽引する移動過程で、この折りシート束の先端ループ部をループ厚さ方向の上下から押圧する押えローラ70を支持する支持ユニット56が装置フレーム55に固定して設けられている。
【0047】
図6は
図5の把持位置にあるグリッパの断面を説明する図である。この位置は、グリッパ部材51のグリッパフレーム175を装置フレーム55に取り付けられたグリッパユニットホームポジションセンサ(SEN6)176により検出している位置となっている。このグリッパ部材51は、折りシート束BSの上方から押圧する上グリッパ171と下方から押圧する下グリッパ173とが開閉カム200で開閉動作を行うように構成されている。この
図6の解放状態で、中継ローラ48で搬送されてくる折ループを有する折りシート束BSの搬入を待っている。
【0048】
図7はグリッパ部材51が把持を解除して折りシート束BSを第2排紙トレイ22に放出する解除位置あることを説明する図である。図示の位置にシート束BSを把持したグリッパ部材51が移動すると上グリッパ171と下グリッパ173を解放し、シート束BSを第2排紙トレイに放出する。尚、この第2排紙トレイ22には、束排出センサ(SEN8)204が設けられていて、グリッパ部材51から第2排紙トレイ22への落下したこと及び第2排紙トレイ22が満杯か否かを確認する。
【0049】
図8は、
図7で示したグリッパ部材51を説明する図で、
図8(a)は解放状態を示す斜視図であり、
図8(b)はこの
図8(a)の解放状態を説明する機構図、
図8(c)はシート束を把持する状態を説明する機構図である。
まず、
図8(a)には、折りシート束を把持するために開閉可能な上グリッパ171と下グリッパ173を支持するアームフレーム177のアーム軸188に回動可能に取り付けられている。このアーム軸188には一端がアームフレーム177に係止され、他端が上グリッパ171に係止されたコイルばね189が設けられている。もう一本のコイルばね189も、下グリッパ173に同様に取り付けられている。このコイルばね189は、上グリッパ171と下グリッパ173を常時閉じ方向に付勢している。
上記のアームフレーム177の側部には、ギアフレーム179が設けられ、このギアフレーム179には、グリッパ開閉モータ181、グリッパ部伝達ギア185にモータ出力軸183を介して駆動伝達している。さらに、グリッパ部伝達ギア185から開閉カム200にカムギア187を介して駆動伝達している。上記のアームフレーム177とギアフレーム179とでグリッパフレーム175を構成する。
【0050】
図8(b)は、上グリッパ171と下グリッパ173がコイルばね189の弾性力に抗して開閉カム200によって解除されている開拡の状態を示している。この状態では、下グリッパ後端195側を開閉検知センサ(SEN7)186で解放状態にあることを検知している。この状態から、グリッパ開閉モータ181を駆動し、カム軸203を図示時計方向に回転するとこれに個設した開閉カム200も同方向に回転する。この開閉カム200の回転で、上グリッパ171と下グリッパ173は相互に近づく方向にコイルばね189で付勢される。
【0051】
図8(c)は、上グリッパ171と下グリッパ173とが開閉カム200により係止がなくなり、もっぱらコイルばね189の弾性力で上グリッパ171と下グリッパ173を付勢している状態を示している。この状態で折りシート束BSの側部側からこれを把持して、この折りシート束BSを交差方向に牽引することになる。
また、上グリッパ171の先端にはプレス上ゴム191、下グリッパ173にもその先端にはプレス下ゴム193が取り付けられており、把持したシートとの滑りや抜けを防止する処置がされている。また、グリッパ部材51が、折りシートBSの把持を解除し解放する場合には、開閉カム200を
図8(c)の状態から
図8(b)の位置に移動するように時計方向に回転させればよい。
【0052】
[支持ユニットの説明]
次に、上記のグリッパ部材51で牽引されてくる折りシート束BSの折ループ部分を押圧する押えローラ70を支持する支持ユニット56について、
図9と
図10を用いて説明する。この支持ユニット56は、中継ローラ48による搬送方向と交差する方向の排紙経路中に設けられ、
図9に示す様に装置フレーム55にユニットとして個設されている。
図9は第2排紙トレイ22側から見た斜視図で、
図10は、支持ユニット56の正面図である。支持ユニット56はこのユニットの背面側を構成するユニットベース板62aと上下に分割されたフロント上ベース板62bとフロント下ベース板62cと、この側方を先行ユニット側板95と後行ユニット側板96と、その上下をユニット天板59aと、ユニット底板59bで囲われている。尚、先行ユニット側板95には比較的大きく開口した先行側板開口97と後行ユニット側板には先行側板開口より狭く設定した後行側板開口98が設けられている。これらの開口はシートの折り目が支持ユニット56で挟まれて移動する際、スムーズな侵入ができるようになっている。
【0053】
この支持ユニット56の内部は、
図9によく示されているように先行ユニット側板95側から後行ユニット側板96に向かって、複数列配置、この実施例にあっては3列からなる押えローラ70対が設けられている。これらの押えローラ70はその列ごとに相互のローラ間の間隔が異なっている。すなわち、一列目のローラは第1上押えローラ71とシート折り目位置を中央としてほぼ等しい対向位置で所定間隔離れた位置に第1下押えローラ72が配置されている。このローラはそれぞれ第1上押えローラ軸78aと第1下押えローラ軸78bを有し、これらの軸は第1上押えローラブラケット86aと第1下押えローラブラケット86bによって支持されている。そして、第1上押えローラブラケット86aはユニット天板59aに昇降可能に、第1下押えローラブラケット86bはユニット底板59bに昇降可能に支持されている。
【0054】
また、この第1上押えローラブラケット86aとユニット天板59aとの間には双方を離間方向に付勢する第1上押えローラ押圧バネ91aが介在し、第1下押えローラブラケット86bとユニット底板59bとの間にも同様の第1下押えローラ押圧バネ91bが介在している。これによって、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72は常時近づく方向の付勢力が働いている。一方、第1上押えローラ軸78aを支持するユニットベース板62aとフロント上ベース板62bには第1上押えローラ軸長穴82aがそれぞれ設けられている。
【0055】
従って、第1上押えローラ押圧バネ91aの付勢力は、この第1上押えローラ軸長穴82aによって規制されている。また、第1下押えローラ押圧バネ91bの付勢力も、第1下押えローラ軸長穴82bで規制され、第1下押えローラ72の上方への移動も規制されている。これにより
図10によく示されているように、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72とのローラ相互の間隔L1は常時一定に保たれている。本実施例においては、このL1は、略14ミリメートルに設定してある。また、第1上押えローラ押圧バネ91a及び第1下押えローラ押圧バネ91bは両ローラが接触した状態で各略4.0キログラムの荷重が与えられるように設定されている。
【0056】
また、2列目のローラ対も、
図9、
図10からよくわかるように1列目のローラと同様の構成となっている。
すなわち、二列目のローラは第2上押えローラ73とこれに対向位置で所定間隔離れた位置に第2下押えローラ74が配置されている。このローラはそれぞれ第2上押えローラ軸79aと第2下押えローラ軸79bを有し、これらの軸は第2上押えローラブラケット87aと第2下押えローラブラケット87bによって支持されている。そして、第2上押えローラブラケット87aは、ユニット天板59aに昇降可能に、第2下押えローラブラケット87bはユニット底板59bに昇降可能に支持されている。
【0057】
また、この第2上押えローラブラケット87aとユニット天板59aとの間には双方を離間方向に付勢する第2上押えローラ押圧バネ92aが介在し、第2下押えローラブラケット87bとユニット底板59bとの間にも同様の第2下押えローラ押圧バネ92bが介在している。
これによって、第2上押えローラ73と第2下押えローラ74は常時近づく方向の付勢力が働いている。一方、第2上押えローラ軸79aを支持するユニットベース板62aとフロント上ベース板62bには第2上押えローラ軸長穴83aがそれぞれ設けられている。従って、第2上押えローラ押圧バネ92aの付勢力は、この第2上押えローラ軸長穴83aによって規制され、第2上押えローラ73の下方への移動も規制されている。
【0058】
また、第2下押えローラ押圧バネ92bの付勢力も、第2下押えローラ軸長穴83bで規制され、第2下押えローラ74の上方への移動も規制されている。これにより
図10によく示されているように、第2上押えローラ73と第2下押えローラ74とのローラ相互の間隔L2は常時一定に保たれている。本実施例においては、このL2は、略7ミリメートルに設定してある。また、第2上押えローラ押圧バネ92a及び第2下押えローラ押圧バネ92bは両ローラの接触時で各略4.0キログラムの荷重が与えられるように設定されている。
【0059】
また、3列目のローラ対も、
図9、
図10からよくわかるように1列目2列目のローラと同様の構成となっているので、ここでの説明を省略するが、異なる点は次のとおりである。
一列目の第1上押えローラ71と第1下押えローラ72とは
図7に示す様に所定各間隔L1(本実施例では略14ミリメートル)、二列目の第2上押えローラ73と第2下押えローラ74とは同様に所定間隔L2(本実施例では略7ミリメートル)離間している。これは、第1上押えローラ軸長穴82a、第1下押えローラ軸長穴82b、第2上押えローラ軸長穴83a、第2下押えローラ軸長穴83bが間隔規制部材となって離間させている。従って、これによりローラ相互は所定以上狭くならないように位置規制されていることになる。
【0060】
しかし三列目の第3上押えローラ75と第3下押えローラ76とは常時圧接可能に弾性付勢されている。これは、ローラ間隔L3=0になるように、第3上押えローラ軸長穴84aと第3下押えローラ軸長穴84bを設定している。なお、第3上押えローラ押圧バネ93a及び第3下押えローラ押圧バネ93bはローラ接触位置で各略4.0キログラムの荷重が与えられるように設定されている。これより、折りシート束BSの折り目には両側に4キログラムを超える荷重が与えられながら、段階折りを行うことになる。
【0061】
さらに、三列目の第3上押えローラ75と第3下押えローラ76とは
図9及び同図の円形の二点破線で囲んで記載しているように、相互に圧接する上ローラ大径部75aと下ローラ大径部76aの第1領域R1(以下領域R1)と相互に多少の隙間を持って対向する上ローラ小径部75bと下ローラ小径部76bの第2領域R2(以下領域R2)とがシート束搬送方向上流から下流側に隣接して設定されている。この段付ローラは図示の様に一体形成して成形され回転自在となっている。この段付ローラとした理由は、移動してくるシート束の端部が、第3上押えローラ75と第3下押えローラ76との間に侵入する際隙間があれば衝撃を弱めることができるからである。
【0062】
以上の様に、本発明のシート束の押圧部材としての第1上押えローラ71、第2上押えローラ73、第3上押えローラ75夫々とこれに対向する位置(対向位置)に設けられた第1下押えローラ72、第2下押えローラ74、第3下押えローラ76は、一つにユニット化した支持ユニット56に複数配列(複数列配置/本実施例では3列配置)支持されて、装置フレーム55に個設してある。また、これらの押えローラ70はその移動方向に回転可能となっている。そして、その折りシート束は、相互の間隔が広い最初の列である第1押えローラ71とこれに対向する第2下押えローラ72から順に折り目方向にグリッパ部材51の牽引で移動し、最終列手前(本実施例では2列目)となる第2上押えローラ73、第2下押えローラ74ではローラ相互の間隔が狭くなる。
【0063】
そして、移動方向最終列である3列目(最後)の第3上押えローラ75と第3下押えローラ76の大径部の領域R1ではシート折目を4キログラムのバネ力で両側から押圧しながら押圧するようになっている。このよう押えローラ70はシート移動方向に順に間隔が狭くなるように複数列配列されている。
つまり、この実施例にあっては、1つのユニットに配列支持された3列のローラ列が段階的にその間隔を狭くし、シート折り目に沿って折りシート束BSの両側から押圧しながら折りシート束が移動する工程で段階的な折りが付与される。また、ローラ間の略中央を押圧位置として折ループ厚さ方向の表裏から(ループ位置の中央に向かって)押圧して順次上記折りループの段階折りを実行している。
【0064】
[グリッパ部材の移動・動作説明]
ここからは
図11から
図16より段階折りユニット50内の支持ユニット56へ折りシート束BSの折りループを移動して段階的な押圧を行うためのグリッパ部材51の移動・動作について説明する。
まず、
図11は、折りローラ45と中継ローラ48で移送された折ループが形成された折りシート束BSを直交方向に移動するためにグリッパ部材が開いた状態で待機している説明図である。この状態では、開閉カム200が起立し、上グリッパ171と下グリッパ173がコイルばね189に抗して開いている。この開いた状態の間に、折りシート束BSが折りループを先頭として搬送される。
【0065】
次に、
図12では、折ループが装置フレーム55に最接近した位置で停止され、今度はこの折りループを一部残したやや上流側の位置を上グリッパ171と下グリッパ173で把持する。この把持は、開閉カム200が横になるように移動して、折りシート束BSの側方をコイルばね189の弾性力で把持することになる。
図13は、グリッパ部材移動モータ69の駆動を開始させ、折りシート束BSを第2排紙トレイ22方向(図示矢印方向)にグリッパ部材51で牽引を開始した図である。この
図13示されるように、折りシート束BSの先端ループ部は押えローラ70を支持する支持ユニット56内への搬入を開始する。
【0066】
図14は、さら折りシート束BSを把持したままグリッパ部材51が第2排紙トレイ22上で移動を継続している図である。この状態では、折りシート束BSのループ部分は支持ユニット56の相互に圧接した領域を有する第3上押えローラと第3下押えローラの間を通過している。この移動は第2排紙トレイ22への搬送過程でなされるので、押えローラ70の押圧中であっても折りシート束BSを停止することなく行える。
【0067】
図15は、グリッパ部材51が折りシート束BSを把持したまま、さらに図示左方向に進み、折りシート束のループ部分も支持ユニット56の押えローラ70間を通過した状態を示したている。この位置に至ると折ループ部分には、3列の押えローラ70によって、段階折りが施されている。この点は後述する。
図16は、さらに図示左側に進み移動しながら、今度は開閉カム200をグリッパ開閉モータ181により起立状態にする。これにより上グリッパ171と下グリッパ173が解放する。この解放が行われると、図示の様にシ段階折りが行われたシート束BSは、第2排紙トレイ22に排出・落下される。
【0068】
尚、この第2排紙トレイ22への排出が行われたことは、束排出センサ(SEN8)204が、ON・OFFすることによって排出が検出できる。また、グリッパ部材51が解放後、この検出ができないときは、開閉カム200を回転させて、上グリッパ171と下グリッパ173を開閉させて振動させて排出を確認する。この動作を行っても、ON・OFFしないときは、シート束の引っ掛かりが生じているか、あるいは満杯としてエラー表示する。
【0069】
[段階折り生成過程の説明]
次に、
図17から
図19により、グリッパ部材51によって牽引される折りシート束BSのループ部分に段階折りが施される状態を説明する。これらの図は、説明のため支持ユニット56が個設される装置フレーム55を透明にして、この装置フレーム55から支持ユニット56の押えローラ70と折ループの係合関係を示している。また、
図20により押えローラ70によって折り線が形成された折りループへの押圧状態についても説明する。
【0070】
まず、折りシート束BSの折りループが所定の大きさ(本実施例にあってはループの上下方向が、例えば略22ミリメートル)になると、折りローラ45及び中継ローラ48を停止させて折りシート束をグリッパ部材51で把持し、それまでの搬送方向と交差する方向に移動する。この移動により折りシート束の折ループ部分が支持ユニット56を通過する。交差方向への移動を開始した状態が、
図17に示されており、支持ユニット56への挿入が始まる直前の状態を示している。この状態は先に説明した
図13のやや前の状態に対応している。
【0071】
次に、グリッパ部材51が折りシート束BSを把持しながら、さらに第2排紙トレイ22上に移動した状態が
図18に示されている。この状態は先に説明した
図14の状態に対応している。
これらは、折りシート束BSの押圧部材としての第1上押えローラ71と第1下押えローラ72で折りシート束BSの折りループ厚さ方向(折り目で折りシート束BS搬送方向と交差する上下方向)から押えられながら、折りローラ45でループが生じた箇所を折り目方向(シート幅方向)に沿って折りシート束を移動して複数の折り目を付けている。
【0072】
すなわち、第1段階の第1上押えローラ71と第1下押えローラ72の間隔を折りループよりもやや狭い間隔 (本実施例にあってはループ高さ22ミリメートルに対して略14ミリメートル) に規定して、折りローラ45によって付けられた折り目に沿って移動して第1段階の折り目をつける。これが、
図20(a)の実線矢印が示す第1折り線100であり、
図20(d)では折りシート束BSに薄いラインで第1折り線100としてあらわれている。これは、
図20(a)の様に折りループとなった部分に第1上押えローラ71と第1下押えローラ72で押えられた部分が集中荷重を受けシート束が座屈し折り生じ、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72の間での幅方向へのシート束移動により第1折り線100となって現れるからである。
【0073】
次に、第2段階はシート束の押圧部材としての第2上押えローラ73と第2下押えローラ74の間隔は、第1段階で押圧形成したループよりもやや狭い間隔
(本実施例にあっては略7ミリメートル) で規定してあり、折りローラ45によって付けられた折り目に沿って移動して第2段階の折り目をつける。これが、これが、
図20(b)に示す第1折り線100よりも背側に位置する実線矢印が示す第2折り線101であり、
図20(d)では折りシート束BSに薄いラインで第2折り線101としてあらわれている。これも、折りループとなった部分に第2上押えローラ73と第2下押えローラ74で押えられた部分が集中荷重を受けシート束に座屈し折り生じ、第2上押えローラ73と第2下押えローラ74との間での幅方向へのシート束移動により第2折り線101となって現れるからである。
【0074】
最終の段階としてシート束の押圧部材としての第3上押えローラ75と第3下押えローラ76は、第3上押えローラ押圧バネ93aと第3下押えローラ押圧バネ93bとの弾性力で押圧している。この最終列階では、第1段階、第2段階のように第3上押えローラ75と第3下押えローラ76の間隔をあけていない。(本実施例にあっての規制間隔は大径ローラで0ミリメートルの圧接状態)。従って、最終列階での押圧は折りシート束BSの押圧した厚さの位置を、第3上押えローラ75と第3下押えローラ76で押圧されて折ループが移動する。この最終列の押えローラ70の折り目は、折りシート束BSに
図20(c)の実線矢印が示す最終折り線102であり、
図20(d)では折りシート束BSに比較的濃いラインで最終折り線102として表れている。
なお、折りシート束BSの幅方向端部には、折りローラ45及び押えローラ70の圧接状態からシートに乗り上げる際の端部折り目103が形成されている。これは略圧接状態の第3上押えローラ75と第3下押えローラ76で押えられる部分は折り目を強化された最終折り線102として現れている。
【0075】
以上のように、各押えローラ70を異なる間隔で座屈させて順次折り目が形成されるようにし、これにより第1段階の薄いラインである第1折り線100、第2段階の薄いラインである第2折り線101、及び最終列階の折りシート束BS厚さに応じて生じた比較的濃いラインである最終折り線102の各ライン位置で、折りシート束BSの閉じ方向(折り目を通過する搬送方向の線)側への折り方向が向くことにより、排出後も折りシート束BSが開いてしまい、整列性や集積性が低下することを防止できる。
【0076】
[最終列の段付ローラの説明]
ここで、
図9及び
図10でも触れてきた支持ユニット56の最終列に位置する第3上押えローラ75とこれに対向する第3下押えローラ76が段付ローラとなっている構成を説明する。
これは、折りシート束BSの幅方向端部を第3上押えローラ75とこれに対向する第3下押えローラ76が圧接状態でシートが突入する際、比較的枚数の多い厚みのあるシート端部であると、この第3上押えローラ75とこれに対向する第3下押えローラ76がシート端部に当接して衝突状態となり、このシート端部を毀損、破損等のダメージが生じる。あるいは、この衝突の衝撃が大きいと折りローラ45や中継ローラ48に保持されている折りシート束BSの位置がずれたり、外れたりしてしまう場合がある。
【0077】
そこで、この実施例では、
図9に二点破線で囲まれるように最終列の第3上押えローラ75が、上ローラ大径部75aとシート搬送方向上流側に連なる上ローラ小径部75bから構成され、第3下押えローラ76が、下ローラ大径部76aと下ローラ小径部76bから構成されている。これらは上ローラ大径部75aと下ローラ大径部76aとが圧接する領域R1と、相互に多少の隙間を持って対向する上ローラ小径部75bと下ローラ小径部76bとの領域R2が設定されている。この上押えローラ75と下押えローラ76はそれぞれ段付のローラとして一体成形されている。
【0078】
従って、
図10に示す様に上ローラ大径部75aと下ローラ大径部76aの領域R1は相互に圧接しているので、L3は0となっており、上ローラ小径部75bと下ローラ小径部76bの領域R2はL4として、この実施例にあっては約2ミリメートルに設定されている。このL4は取り扱うシートの枚数や厚さにもよるが、約2〜4ミリメートルの範囲にあればよい。これは比較的枚数の多い、この実施例にあっては15枚(折り枚数で30枚…約3ミリメートル越)を越える場合は、シートの折り目を上ローラ小径部75bと下ローラ小径部76bの領域R2内に位置するようし、枚数の少ない、この実施例にあっては15枚以下の場合は、相互に圧接している上ローラ大径部75aと下ローラ大径部76aの領域R1内に折り目が位置するようにしている。このようにすることにより、枚数の多い厚い端部を容易に乗り上げることができ、シート端部に与えるダメージを少なくできる。
【0079】
[全体配置及び折りシートの領域設定の説明]
次に、
図21により折ループを有する折りシート束BSを折りローラ45、中継ローラ48を経て交差する方向にグリッパ部材51で移動する全体配置を説明する。また、合わせて、折りシート束BSの折り部先端(背)を圧接している上ローラ大径部75aと下ローラ大径部76aの領域R1に位置させるか、あるいは上ローラ小径部75bと下ローラ小径部76bの対向した隙間がある領域R2の範囲に位置させるか、さらにはこれらの段階折りを行うことなく直接第2排紙トレイ22に排出するかを選択することの機構について説明する。
【0080】
図4でも説明したが、
図21(a)は、折りローラ45から交差方向への折りシート束BSの移動を説明するための平面図である。折りローラ45でスタッカ部35に集積された一部のシート束が折りループを有する折りシート束BSに形成されつつ搬送される。このループ先端BL1を折りローラ直後に位置するシート束検出センサ(SEN3)44で検出する。その後、折りシート束BSに圧接・離間可能な中継ローラ48により、折りシート束BSを挟持して下流側に搬送する。上記のシート束検出センサ(SEN3)44からd1分搬送するとその搬送が停止される。この停止位置は、シート束先端検出センサ(SEN4)129でも確認の検出がなされる。また、この停止位置の側方には押えローラ70配置された位置であり、さらには上ローラ大径部75aと下ローラ大径部76aの領域R1に位置対応している。この位置は折りシート束BSの折り枚数が少ない場合、本実施例にあっては15枚の場合としている。
また、この配置は上記支持ユニット56が中継ローラ48によるシート搬送方向にd1分搬送した折シート束BSの終端のシート側部に設けられていることを示している。
【0081】
上記で停止中のシート側部を、既に
図6、
図8、
図12で説明したグリッパ部材51が把持し、図示左方向の交差方向(本実施例では直交方向)に牽引して引き継ぎ移動する。この移動過程で、図示破線で示したように先端側の折ループBLは、支持ユニット56に支持された押えローラ70によって押圧され、上述のように、上ローラ大径部75aと下ローラ大径部76aの領域R1を通過して段階折りが実行される。
【0082】
また、折りループに段階折りを実行しない場合は、中継ローラ48で距離d1分送るd1位置よりもβ1分上流側であり、d2位置(シート束検出センサ(SEN3)44からd2分搬送した位置)すなわち、上記支持ユニットの側部に到達しない上流位置でグリッパ部材51に、引き継ぐ。この位置で引き継ぐことにより、折りシート束BSの折ループ側方位置には支持ユニット56が位置しないので、段階折り処理されることなく第2排紙トレイに排出される。この排出を行うことにより、グリッパ部材51を高速で移動することができ、全体の処理スピードを上げることが可能となる。
【0083】
一方、折りシート束BSが多数枚(本実施例にあっては、15枚を超える場合)であっても、段階折りを実行するときは、上記のd2位置よりもβ2分下流側のd3位置(シート束検出センサ(SEN3)44からd3分搬送した位置)に送り引き継ぐようになっている。この位置では、押えローラ70の第3上押えローラ75の上ローラ小径部75bと第3下押えローラ76の下ローラ小径部76bに挟持される領域R2である多数枚の押圧位置に対応している。多数枚の場合に、この小径部で押圧するのは、折りシート束の最終段である最終段が完全に圧接した状態であると、シート束侵入時の衝撃が大きく、折りシート束が曲がったり、グリッパ部材51から離脱したりするのを防ぐためである。
【0084】
また、折りシート束の第2排紙トレイの交差方向にグリッパ部材51により方向を変えて移動する場合は、
図4でも説明したように中継ローラ48の中継上ローラ48aと中継下ローラ48bを離間させて、グリッパ部材51による折りシート束の移動の抵抗にならないようにしている。尚、グリッパ部材51の移動の際、中継ローラは離間せずに、圧接力をかなり低減することでも良い。
以上のように、本実施例にあっては、中継ローラ48からグリッパ部材51の引き継ぎ位置(把持位置)を変更可能とすることによって、小数枚から多数枚までの段階折りの実行、あるいは段階折りを実行しない場合が、簡単に選択可能となる。
【0085】
次に
図22から
図23の各フローチャート図により
図21に示した所定枚数を越える多数枚と、所定枚数以下の少数枚、及び段階折りを実行しない場合を各ステップ(S)に従って説明する。
各ステップ(S)の説明を行う前に、ここでシート処理条件としてコントロールパネル18への指定する各処理モードについて触れておく。すなわち、(1)画像形成がされたシートを第1排紙トレイ21に収容する「プリントアウトモード」。(2)本体排出口3からのシートを束状に部揃ええしてー端面綴じステープル装置33で綴じ後第1排紙トレイ21に収納する「ステープル綴じモード」(3)本体排出口3からのシートを第2の処理トレイであるスタッカ部35で束状に部揃えしてこのシート束の中程を中綴じステープラ40で綴じ後、冊子状に折り畳んで第2排紙トレイ22に収納する「中綴じ折りモード」。(4)中綴じして冊子状に折り畳んだシート束の折り目のループを段階折りして、第2排紙トレイに22に収納する「段階折りモード」がある。さらにこの「段階折りモード」には、薄いシート束(本実施例では15枚以下)段階折りと厚いシート束(本実施例では15枚を超える)段階折りに分かれている。
【0086】
まず、コントロールパネル18に「段階折りモード」で、段階折りを実行するか否かを指定すると段階折りモードに移行する。指定しないと段階折りを実行せず中綴じのみで第2排紙トレイに排出する上記の「中綴じ折りモード」となる(S301)。「段階折りモード」が指定されるとシート束は折りローラ45と折りブレード46により二つ折りにされ、中継ローラ48を有する段階折りユニット50に至るが、この過程で折りのシート枚数が15枚(二つ折り枚数で30枚)以下か、15枚を超えるかを判断する(S302)。この場合枚数ではなく厚さによって多数枚と小数枚を区別してもよい。これらの判断は、特に図示していなが、折りローラ45の上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bがシート束を折り込んだ際の間隔の測定や画像形成装置Aからのシート束の枚数情報によって設定すればよい。以下、シート束が小数枚の場合と多数枚の場合を分けて説明する。
【0087】
[小数枚の場合]
折りシート束BSが15枚以下の場合は、折りローラ45を回転する折りモータ126を駆動回転させる(S303)。この駆動回転後折りローラ45の直後にあるシート束検出センサ(SEN3)44が折りシートの先端を検出することになる(S304)。この検出から所定時間後に中継ローラ48の中継上ローラ48aで折りシート束BSを圧接するように
図4に示した揺動モータ153を駆動して停止する(S305)。これにより中継ローラ48でシート束のニップが行われ、これと同時に束移送モータ163駆動を回転して、シート束を下流側に搬送する。(S306)。この搬送は、既に説明したようにシート束検出センサ(SEN3)44で検出された時から最も長いd1分を移動したか否かを確認する(S307)。この移動は、折りローラ45及び中継ローラ48の移動量を検出することで行っている。さらに、ここではシート束先端検出センサ(SEN4)129が折りループ先端を検出したか否かも確認している(S308)。この確認は、搬送距離d1が最も長くしかも比較的薄いシート束であり、途中で曲がる恐れもあるので、ローラ搬送の量と実際の折りシートの先端端検出を行って確実性を向上させている。このシート束先端検出センサ(SEN4)129がシート束を検出すると折りローラ45を駆動する折りモータ126及び中継ローラ48を駆動する束移送モータ163を停止さる(S309)。
【0088】
次に
図23に移って説明する。上記折りモータ126と束移送モータ163が停止すると、今度は
図8に示されるグリッパ開閉モータ181の駆動を開始する(S310)。
図8(b)と
図8(c)に示されるように下グリッパ後端195を検出している開閉検知センサ(SEN7)186がONからOFFになり、このOFF以降の時間が所定時間になると、開閉カム200が
図8(c)の状態になったと判断する(S311)。この状態となると既に
図8で説明したように、アーム軸188に巻回された2本のコイルばね189により、上グリッパ171と下グリッパ173は、折ループを一部残したやや上流側のシート束BS側部を把持して、グリッパ部材51による牽引を開始可能とする。
【0089】
この状態になると、
図4に示した中継ローラ48のシート押圧を解除するように揺動モータ153を逆転する(S313)。これにより、中継上ローラ48aはシート束BSから離間する方向(図示上方)に移動する。この移動は、揺動レバー155が揺動位置センサ(SEN5)151に検出されるまで行われる(S314)。この検出が行われると揺動モータ153の駆動を停止する(S315)。この状態では中継ローラ48は、折りシート束BSから完全に離間し、グリッパ部材51による移動を妨げない。その後、グリッパ部材51を例えば
図5に示されるように第2排紙トレイ22方向に移動するように、グリッパ部材移動モータ69の駆動を開始する(S316)。このグリッパ部材移動モータ69が所定時間駆動すると、折りシート束BSはグリッパ部材51により第2排紙トレイ上方に移動する。この移動は、
図6及び
図7にあるクリッパユットホームポジションセンサ(SEN6)からグリッパフレーム175が離脱しONからOFFになってから所定時間経過を判断して行われる(S317)。グリッパ部材51が
図7の折りシート束BSを排出する解放位置に至ると、今グリッパ開閉モータ181を駆動する(S318)。この駆動によりグリッパ部材51は
図8(b)の状態となり、折りシート束を第2排紙トレイに排出する。
【0090】
その後を
図24で説明する。
図8も参照すると、グリッパ開閉検知センサ(SEN7)486がONする(S319)と、上グリッパ171と下グリッパ173が解放したとしてグリッパ開閉モータ181を停止する(S320)。この開閉が完了すると、グリッパ部材移動モータ69の駆動を停止する。これによりグリッパ部材51は第2排紙トレイ22上での移動を停止する(S321)。この後、第2排紙トレイ22に設けられた束排出センサ(SEN8)204が、OFF→ON→OFFをおこなったことを確認する。これは、
図16に示したように折りシート束BSが第2排紙トレイ22に排紙されたことを意味している。この確認がされず、束排出センサ(SEN8)204が、OFF→ONでON状態のままであると、折りシート束BSに何らかの引っかかりが生じたと判断する(S322)。
【0091】
この状態が発生するとグリッパ開閉モータ181の駆動をON/OFFする(S323)。この動作によって、束排出センサ(SEN8)204が、OFF→ON→OFFとなれば正常として次のステップに進む。束排出センサ(SEN8)204が依然としてOFFしない場合は、特に図示していないがエラー表示を行う。尚、上記のグリッパ開閉モータ181の駆動をON/OFFは一回あるいは2回行うことを適宜に設定し、その後に束排出センサ(SEN8)204の状態を検出して第2排紙トレイ22への排出を確認している。このような設定により折りシート束BSにグリッパ部材51による振動を与えて引っかかりを解消すれば、エラーを少なくすることができる。第2排紙トレイ22の排紙が正常になされると、次シート束があるか否かを判断する(S324)。次シート束の処理がある場合には、
図22にある1Aに戻って、これまで説明した動作を繰り返す。
【0092】
[多数枚の場合]
次に、折りシート束が多数枚のときの処理について説明する。この多数枚の処理も、これまで説明した少数枚処理とおおむね同じあるので、相違する点のみを説明する。相違点は
図22にあるように、シート束検出センサ(SEN3)44で検出された時からd1分の次に長いd3分を移動したか否かを確認している(S355)こと。また、少数枚の場合は、シート束先端検出センサ(SEN4)129が折りループ先端を検出したか否かを確認したが、ここでは比較的厚い折りシート束であるので、この検出を省略したことである。もちろん、この省略をせずにd3の位置にセンサ追加して検出してもよい。他は同じ処理を行うので、ここでの説明を省く。
【0093】
[段階折りを実行しない場合]
これまで、説明した段階折りを実行せず、中綴じ折りモードを行う場合も、
相違点は
図22に示されるように、シート束検出センサ(SEN3)44で検出された時から最も短いd2分を移動したか否かを確認している(S404)こと。また、少数枚の場合は、シート束先端検出センサ(SEN4)129が折りループ先端を検出したか否かを確認したが、ここでは比較的搬送距離が短いので、この検出を省略したことである。ここでも、この省略をせずにd2の位置にセンサ追加して検出してもよい。他は上記段階折りと同じ処理を行うので、ここでの説明を省く。
以上説明したように、折りローラ45及び中継ローラ48の送り方向と交差するフロント方向に搬送方向を変更する際、グリッパ部材51への引き継ぎ位置を少数枚の段階折りを行うd1位置、多数枚の段階折りを行うd3位置、段階折りを行うことなく排出するd3位置に夫々対応位置にすることにより、所望のシート処理が行える。
【0094】
[制御構成の説明]
これまで、説明した段階折りユニット50を備えるシート処理装置B及びこのシート処理装置を含む画像形装置Aの制御構成を
図25のブロック図により説明する。画像形成部2を備える画像形成装置制御部110は、コントロールパネル18に設けられた入力手段111から所望の処理を入力する。この入力はモード設定手段によって、シート処理装置Bの制御ユニットとしてのシート処理装置制御部115を制御する。
本実施例のシート処理装置Bは、既に説明したように「プリントアウトモード」、「ステープル綴じモード」、「中綴じ束折りモード」、「段階折りモード」を有している。さらに、「段階折りモード」には、薄いシート束(本実施例では15枚以下)段階折りと厚いシート束(本実施例では15枚を超える)段階折りに分かれていて、指定の処理モードで動作するようになっている。
【0095】
シート処理装置Bは、上記の指定されたモードによって動作可能とされるシート処理装置制御部115と、動作プログラムを格納したROMと、制御データを記憶したRAMを備えている。そして、このシート処理装置制御部115は、この装置内のシート搬送を制御するシート搬送制御部116と、1枚ごとにシートに1枚穿孔ユニット28で押圧処理を行う1枚穿孔制御部117と、処理トレイ29でシートの集積制御を行う処理トレイ制御部118と、この処理トレイ29にシート束として集積されたシートの端面側を綴じ、綴じ後排出する端面綴じ制御部119を備えている。
【0096】
シート束のシート搬送方向の1/2付近を綴じる中綴じたり中折りする場合、シートのスタッカ部35にシート束を集積するスタッカ部制御部120で制御される。このスタッカ部制御部120は、1枚ずつスタッカ部35に搬入してくるシートの先端を規制するストッパ38や整合部材39で整列してシート束を生成する。さらに、シート束の中程にステープル針等を打ち込むように中綴じステープラを制御する中綴じ制御部121と中綴じされたシート束を折りブレード46で折りローラ45に押し込んで中折りを施すように制御するシート中折り制御部122を備える。このシート中折り制御部122は折りローラ45を駆動する折りモータ126を制御する。
【0097】
折りローラ45によって折ループが付いたシート束BSを中継ローラ48で下流側に搬送するが、この搬送制御は折りシート移動制御部123で制御される。この折りシート移動制御部には、折りローラ45直後で折りシート束を検出するシート束検出センサ(SEN3)44、折りシート束BSの終点を検出するシート束先端検出センサ(SEN4)129、中継ローラ48の揺動する側の中継上ローラ48aの位置を検出する揺動位置センサ(SEN5)151、さらには特に図示していないが、折りローラ45と連携して中継ローラ48の回転量を検出して折りシート束の移動量を検出するセンサに接続されている。また、これらのセンサの入力に応じて、折りシート移動制御部123は中継ローラ48の圧接離間を行う揺動モータ153、この中継ローラの移動を行う束移送モータ163の駆動を制御している。
【0098】
上記の中継ローラ48で搬送されてきた折りシート束BSを、この中継ローラ48の搬送方向と交差する方向(この実施例にあってはフロントに向かう直交方向)に搬送するグリッパ部材51をグリッパユニット制御部124で制御する。また、このグリッパ部材51への引き継ぎ位置によりループ部を列方向の間隔が異なる押えローラ70間を通過させるように折りシート束BSを牽引して、既に
図17から
図19と
図20で説明した段階折りを実行する。
この為、グリッパユニット制御部124には、グリッパ部材51がホームポジションにあることを検出するグリッパユニットホームポジションセンサ(SEN6)176、グリッパ部材51の上グリッパ171と下グリッパ173が開いているか否かを検出する開閉検知センサ(SEN7)186、第2排紙トレイ22にグリッパ部材51からの放出が完了したか否かを検出する束排出センサ(SEN8)204に接続されて各信号が入力される。
一方このグリッパユニット制御部124の出力側には、グリッパ部材51をそれまでの搬送方向と交差する方向に移動ベルト65を介して移動するグリッパ部材移動モータ69とグリッパ部材51の上グリッパ171と下グリッパ173とを閉じた把持位置と開いた解放位置に移動するように開閉カム200を回動するグリッパ開閉モータ181が接続してある。
なお、上記実施例の制御ユニットとしてのシート処理装置制御部115はシート処理装置B内に内装したことを予定したが、画像形成部2に設置してもいいし、これらの外部に設置してもよい。
【0099】
本発明に特に関連する、折りシートに段階折りを実行するか、さらには実行する場合が薄いシート束と厚いシート束のシートの各引継位置の制御は、これまで機構の説明、
図11から
図16までの各動作状態説明図及び
図22と
図24のフローチャート図で説明したので、ここでの説明は省略するが、段階折りの実行は
図20の手順で実行するように支持ユニット56に対して折りシート束BSのループ部を通過させる。
【0100】
以上で説明した実施形態によれば、中継ローラ48により搬送された折りシート束BSをグリッパ部材51で引継いで牽引し、この交差方向の上流側から下流側への搬送過程でループ部分が支持ユニット56を通過する。これにより押えローラ70は最初に折りシート束のループ部分を比較的広い間隔で押圧し、次列の段で次に狭い間隔で折り目を押圧する。最後の列の押圧は、小数枚の比較的薄い折りシート束BSは上ローラ大径部75aと下ローラ大径部76aの圧接状態で押圧する(領域R1)。多数枚の比較的厚い折りシート束BSは、上記のローラ大径部よりもそれぞれα分径の小さい上ローラ小径部75bと下ローラ小径部76bで隙間を持って押圧する(領域R2)。このように構成すれば、比較的厚い端部を容易にローラ間に挿入でき、シート端部に与えるダメージを少なくできる。また、交差方向への排出過程でループ部分を押圧するので、シートを停止することなく段階折りが実行できる。