(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1の構成を示す図である。基板処理装置1は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板9に処理液を供給して処理を行う。
図1では、基板処理装置1の構成の一部を断面にて示す。処理液は、例えば、基板9の薬液処理に用いられる薬液(ポリマー除去液やエッチング液等)、あるいは、基板9の洗浄処理に用いられる洗浄液(純水に炭酸を溶解させた炭酸水等)である。
【0023】
基板処理装置1は、ハウジング11と、基板保持部31と、基板回転機構35と、カップ部4と、処理液供給部6とを備える。ハウジング11は、基板保持部31およびカップ部4等を収容する。
図1では、ハウジング11を破線にて示す。
【0024】
基板保持部31は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする略円板状の部材であり、水平状態の基板9の下方に配置される。基板保持部31は、基板9を保持する。基板回転機構35は、基板保持部31の下方に配置される。基板回転機構35は、中心軸J1を中心として基板9を基板保持部31と共に回転する。
【0025】
カップ部4は、中心軸J1を中心とする環状の部材であり、基板9および基板保持部31の径方向外側に配置される。カップ部4は、基板9および基板保持部31の周囲を全周に亘って覆い、基板9から周囲に向かって飛散する処理液等を受ける。カップ部4の底部には、図示省略の排出ポートが設けられる。カップ部4にて受けられた処理液等は、当該排出ポートを介してカップ部4およびハウジング11の外部へと排出される。
【0026】
図2は、処理液供給部6の構成を示す図である。処理液供給部6は、ノズル61と、処理液管路62と、供給バルブ63と、分岐管路64と、吸引部65と、吸引バルブ66とを備える。処理液管路62は、内部を処理液が通過可能な管路である。処理液管路62は、後述する検査管路671を除き、樹脂等の絶縁体により形成される。処理液管路62は、処理液供給源60に接続される。ノズル61は、基板9の中央部の上方に位置する。ノズル61は、処理液管路62に接続される。
図2に示す例では、処理液管路62は、ノズル61から上方へと重力方向に沿って延び、ノズル61の上方にて折り返されて下方へと延び、さらに、水平方向に延びて供給バルブ63に接続される。ノズル61は、処理液供給源60から処理液管路62を介して供給される処理液を、基板9の上面91に向けて吐出する。ノズル61は、例えば、樹脂により形成される。
【0027】
供給バルブ63は、ノズル61と処理液供給源60との間において処理液管路62上に設けられる。供給バルブ63は、処理液供給源60からノズル61への処理液の供給および停止(すなわち、処理液の供給の停止)を切り替える供給制御部である。供給バルブ63は、処理液供給源60からノズル61に供給される処理液の流量も制御可能である。具体的には、供給バルブ63が閉じられることにより、ノズル61からの処理液の吐出が停止され、供給バルブ63が開かれることにより、ノズル61から処理液が吐出される。また、供給バルブ63の開度が調整されることにより、ノズル61からの処理液の吐出量(すなわち、処理液管路62を流れる処理液の流量)が調整される。供給バルブ63は、例えば樹脂により形成される。処理液管路62を流れる処理液の流量は、処理液管路62上に設けられた流量計621により測定される。
【0028】
分岐管路64は、供給バルブ63とノズル61との間の分岐点640にて処理液管路62から分岐する。分岐管路64は、処理液管路62の検査管路671以外の部位と同様に、樹脂等の絶縁体により形成される。分岐管路64には吸引部65が接続される。吸引部65は、分岐管路64を介して、処理液管路62内の処理液を吸引する。吸引バルブ66は、分岐点640と吸引部65との間において分岐管路64上に設けられる。吸引バルブ66は、吸引部65による処理液の吸引および停止(すなわち、処理液の吸引の停止)を切り替える吸引制御部である。吸引バルブ66は、例えば樹脂により形成される。
【0029】
処理液管路62には、確認部67が設けられる。確認部67は、処理液管路62における処理液の存否、または、処理液管路62内の処理液の種類を確認する。確認部67は、検査管路671と、導電率取得部672と、判断部673とを備える。検査管路671は、処理液供給源60とノズル61とを接続する処理液管路62の少なくとも一部である。
図2では、検査管路671を太実線にて示す。
図2に示す例では、検査管路671は処理液管路62の一部であり、重力方向に沿って延びる。具体的には、検査管路671は、ノズル61と供給バルブ63との間にて処理液管路62上に設けられ、ノズル61から供給バルブ63に向かって上方へと延びる。より詳細には、検査管路671は、ノズル61と処理液管路62の上述の折り返し点との間に設けられ、ノズル61から当該折り返し点に向かって上方へと延びる。
【0030】
図3は、検査管路671の一部を示す斜視図である。
図4は、確認部67の構成を示す図である。
図4では、検査管路671を長手方向に垂直に切断した断面を示す。検査管路671は、略円筒状の導電性チューブである。検査管路671の内径および外径はそれぞれ、例えば、4mmおよび6mmである。
【0031】
検査管路671は、周方向(すなわち、検査管路671の中心軸J2を中心とする周方向)に交互に配置される複数の導電部675と複数の絶縁部676とを有する。
図3では、図の理解を容易にするために、導電部675に平行斜線を付す。複数の導電部675は、間に絶縁部676を挟んで互いに離間して配置される。換言すれば、複数の導電部675はそれぞれ、検査管路671の周方向(以下、単に「周方向」ともいう。)の両側に位置する2つの絶縁部676に直接的に接続され、複数の導電部675と複数の絶縁部676とにより、略円筒状の検査管路671が構成される。
図3および
図4に示す例では、検査管路671は、4つの導電部675と、4つの絶縁部676とを有する。各絶縁部676は、略円筒状の部材を複数(例えば、4つ)におよそ等分割した部材である。
【0032】
複数の導電部675、および、複数の絶縁部676は、検査管路671の長手方向にそれぞれ延びる。各導電部675は、内側導電部677と、外側導電部678と、導電連結部679とを有する。内側導電部677および外側導電部678はそれぞれ、検査管路671の厚さ(すなわち、肉厚)に比べて薄い略板状である。内側導電部677は、検査管路671の内周面の一部を構成し、検査管路671の長手方向に延びる。外側導電部678は、検査管路671の外周面の一部を構成し、検査管路671の長手方向に延びる。
【0033】
導電連結部679は、内側導電部677と外側導電部678とを連結する略板状の部位である。導電連結部679は、内側導電部677と外側導電部678との間において検査管路671の長手方向に延びるとともに、
図4に示す断面において、中心軸J2を中心とする略径方向に広がる。導電連結部679の径方向内側の端部は、内側導電部677の周方向の略中央部に連続する。導電連結部679の径方向外側の端部は、外側導電部678の周方向の略中央部に連続する。導電連結部679は、周方向にて隣接する2つの絶縁部676の間に位置する。換言すれば、複数の導電連結部679により、略円筒状の絶縁管が複数の絶縁部676に分割される。
【0034】
検査管路671では、複数の内側導電部677が、検査管路671の内周面において長手方向にそれぞれ延びる。また、検査管路671の内周面では、周方向に隣接する各2つの内側導電部677の間に、絶縁部676の内面が露出する。検査管路671の内周面では、複数の内側導電部677と、複数の絶縁部676の内面とが、周方向に交互に配置される。換言すれば、複数の絶縁部676は、検査管路671の内周面において複数の導電部675の内側導電部677の間に位置し、検査管路671の長手方向にそれぞれ延びる。
【0035】
複数の外側導電部678は、検査管路671の外周面において長手方向にそれぞれ延びる。また、検査管路671の外周面では、周方向に隣接する各2つの外側導電部678の間に、絶縁部676の外面が露出する。検査管路671の外周面では、複数の外側導電部678と、複数の絶縁部676の外面とが、周方向に交互に配置される。換言すれば、複数の絶縁部676は、検査管路671の外周面において複数の導電部675の外側導電部678の間に位置し、検査管路671の長手方向にそれぞれ延びる。
【0036】
検査管路671を形成する主要材料は、例えば樹脂であり、複数の導電部675は、例えば導電性樹脂である。複数の導電部675は、例えば、カーボンが添加されたテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、いわゆる、導電性PFAである。複数の絶縁部676は、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)である。導電部675の体積抵抗率は、例えば、約5×10
2Ω・cmであり、絶縁部676の体積抵抗率は、例えば、1×10
18Ω・cmよりも大きい。検査管路671の耐熱温度は、例えば、約260度である。
【0037】
図3および
図4に示す例では、複数の内側導電部677の周方向の幅(すなわち、検査管路671の内周面における複数の導電部675の周方向の幅)は、およそ同じである。検査管路671の内周面における複数の絶縁部676の周方向の幅も、およそ同じである。また、検査管路671の内周面では、複数の導電部675および複数の絶縁部676のそれぞれの周方向の幅も、およそ同じである。さらに、複数の外側導電部678の周方向の幅(すなわち、検査管路671の外周面における複数の導電部675の周方向の幅)も、およそ同じである。検査管路671の外周面における複数の絶縁部676の周方向の幅も、およそ同じである。また、検査管路671の外周面では、複数の導電部675および複数の絶縁部676のそれぞれの周方向の幅も、およそ同じである。
【0038】
図4に示す導電率取得部672は、検査管路671の複数の導電部675のうち少なくとも2つの導電部675に電気的に接続される。導電率取得部672は、当該少なくとも2つの導電部675間の導電率を取得する。
図4に示す例では、当該少なくとも2つの導電部675は、検査管路671の中心軸J2を挟んで互いに対向する2つの導電部675である。換言すれば、導電率取得部672は、中心軸J2を挟んで互いに反対側に位置する2つの導電部675に電気的に接続される。
【0039】
図4に示すように、導電率取得部672に接続される2つの導電部675が、検査管路671内の処理液71に接している場合、導電率取得部672により、間に処理液71が存在する(すなわち、処理液71により電気的に接続される)当該2つの導電部675間の導電率が取得される。一方、検査管路671内に処理液71が存在しない場合、導電率取得部672により、間に空気等のガスが存在する当該2つの導電部675間の導電率が取得される。空気等のガスの導電率は、処理液71の導電率よりも一般的に低い。したがって、当該2つの導電部675が処理液71に接している場合に比べて、導電率取得部672により取得される導電率は低い。検査管路671内に処理液71が存在する場合であっても、処理液71が液滴状のように微量であり、当該2つの導電部675の少なくとも一方が処理液71に接していない場合は、検査管路671内に処理液71が存在しない場合と同様に、導電率取得部672により、間に空気等のガスが存在する当該2つの導電部675間の導電率が取得される。
【0040】
なお、導電率取得部672では、導電率取得部672に電気的に接続される導電部675間の導電率が実質的に取得されるのであれば、当該導電部675間の電気抵抗や電位差、導電部675間に流れる電流等、他の測定値が測定されてもよい。
【0041】
導電率取得部672により取得された導電率は、判断部673へと送られる。判断部673では、導電率取得部672により取得された導電率に基づいて、検査管路671内における処理液71の存否、または、検査管路671内の処理液71の種類が判断される。以下の説明では、判断部673により、検査管路671内の処理液71の存否が判断されるものとして説明する。
【0042】
図5は、
図1に示す基板処理装置1における基板9の処理の流れを示す図である。基板処理装置1では、まず、基板9がハウジング11内に搬入され、基板保持部31により保持される。続いて、基板回転機構35による基板9の回転が開始される。次に、
図2に示す供給バルブ63が開かれ、回転中の基板9の上面91の中央部に、ノズル61からの処理液71(
図4参照)の供給が開始される(ステップS11)。このとき、吸引バルブ66は閉じられており、吸引部65による処理液71の吸引は行われない。
【0043】
図4に示す確認部67では、導電率取得部672に接続された2つの導電部675が、検査管路671内を流れる処理液71に接する。換言すれば、当該2つの導電部675が、検査管路671内を流れる処理液71を介して導通する。これにより、導電率取得部672により取得される当該2つの導電部675間の導電率が、検査管路671内に処理液71が流れていない場合に比べて高くなる。そして、判断部673により、検査管路671内に処理液71が存在すると判断される。
【0044】
図1に示すノズル61から回転中の基板9の上面91上に供給された処理液は、遠心力により上面91上を径方向外方へと移動し、基板9の外縁からカップ部4へと飛散する。カップ部4により受けられた処理液は、カップ部4の底部に設けられた図示省略の排出ポートを介してカップ部4およびハウジング11の外部へと排出される。基板処理装置1では、基板9の上面91に所定の時間だけ処理液が供給されることにより、基板9の上面91に対する液処理が行われる。当該所定の時間が経過すると、基板9への処理液の供給が停止され、基板9に対する液処理が終了する(ステップS12)。
【0045】
ステップS12において処理液の供給が停止される際には、
図2に示す供給バルブ63が閉じられ、処理液供給源60からノズル61への処理液の供給が停止される。また、吸引バルブ66が開かれ、ノズル61と供給バルブ63との間における処理液管路62内の処理液71が、吸引部65により分岐管路64を介して吸引される。検査管路671内の処理液71は、上述の折り返し点を越えて供給バルブ63側へと移動する。これにより、検査管路671内は、処理液71がほとんど存在しない状態となる。
【0046】
確認部67では、導電率取得部672に接続された2つの導電部675が、処理液71を介して導通することがないため、導電率取得部672により取得される当該2つの導電部675間の導電率が、検査管路671内に処理液71が流れている場合に比べて低くなる。そして、判断部673により、検査管路671内に処理液71は存在しないと判断される。
【0047】
基板9に対する液処理が終了すると、基板回転機構35による基板9の回転速度が増大する。基板9が比較的高速にて回転することにより、基板9の上面91上の処理液が径方向外方へと移動し、基板9の外縁から周囲へと飛散する。その結果、基板9上の処理液が除去される(ステップS13)。以下、ステップS13の処理を「乾燥処理」という。乾燥処理において基板9から飛散してカップ部4により受けられた処理液も、上記と同様に、排出ポートを介してカップ部4およびハウジング11の外部へと排出される。乾燥処理が終了した基板9は、ハウジング11外へと搬出される。基板処理装置1では、複数の基板9に対して順次、上述のステップS11〜S13が行われる。
【0048】
基板処理装置1では、ノズル61から基板9への処理液の供給中、および、ノズル61からの処理液の供給が停止している間、検査管路671内における処理液71の存否が、確認部67により継続的に確認される。基板処理装置1では、例えば、処理液71の供給中に、検査管路671内に処理液71が存在しないと確認部67により判断された場合、処理液71の供給不良が生じたものと判断されて基板9の液処理が中断される。処理液71の供給不良は、例えば、供給バルブ63の誤作動等により、処理液供給源60からの処理液71が処理液管路62に供給されていない場合に発生する。あるいは、処理液71の供給不良は、例えば、吸引バルブ66の誤動作等により、吸引部65による処理液管路62内の処理液71の吸引が行われ、処理液供給源60から処理液管路62に送出された処理液71がノズル61へと流れず、吸引部65により吸引されている場合に発生する。
【0049】
また、基板処理装置1では、例えば、基板9の乾燥処理中(すなわち、処理液71の供給停止中)に、検査管路671内に処理液71が存在すると確認部67により判断された場合、処理液71のリーク(液漏れ)が生じているものと判断されて基板9の乾燥処理が中断される。処理液71のリークは、例えば、供給バルブ63の誤動作等により、処理液供給源60からの処理液71が、処理液管路62において供給バルブ63よりもノズル61側へと流出し、検査管路671中を流れている場合に発生する。あるいは、処理液71のリークは、例えば、吸引部65や吸引バルブ66の誤作動等により、処理液管路62内の処理液71の吸引が正常に行われなかった場合(すなわち、サックバック異常が生じた場合)に発生する。
【0050】
上述のように、基板処理装置1では、確認部67が、検査管路671と、導電率取得部672と、判断部673とを備える。検査管路671は、処理液管路62の少なくとも一部であり、内周面において長手方向にそれぞれ延びるとともに周方向に交互に配置される複数の導電部675と複数の絶縁部676とを有する。導電率取得部672は、当該複数の導電部675のうち少なくとも2つの導電部675に電気的に接続され、当該少なくとも2つの導電部675間の導電率を取得する。判断部673は、導電率取得部672により取得された導電率に基づいて、検査管路671内における処理液の存否を判断する。
【0051】
このように、確認部67では、導電率取得部672に電気的に接続された少なくとも2つの導電部675と処理液との接触が、比較的長い検査管路671のいずれの位置において生じる場合であっても、処理液の存在を検出することができる。換言すれば、確認部67では、処理液の存否を、比較的長い検査管路671の全長に亘って判断することができる。したがって、処理液が流れる管路上の所定の液面検出位置においてのみ処理液の存在を検出する場合に比べて、処理液の存否確認の精度を向上することができる。
【0052】
また、基板処理装置1では、光学センサにより処理液を検出する場合と異なり、高温の処理液からの湯気や処理液中の気泡による検出精度の低下を抑制することができる。また、処理液管路62は光を透過する材料にて形成される必要もなく、処理液による検査管路671の変色により、処理液の検出精度が低下するおそれもない。したがって、基板処理装置1では、光学センサにより処理液を検出する場合に比べて、処理液の存否確認の精度を向上することができる。さらに、導電性チューブである検査管路671は比較的高い耐熱性を有するため、超音波センサや静電容量センサを処理液管路62に取り付けて処理液を検出する場合に比べて、比較的高温の処理液の存否も精度良く確認することができる。
【0053】
基板処理装置1では、上述のように、確認部67の判断部673により、検査管路671内の処理液の種類が判断されてもよい。この場合、例えば、処理液の種類とその導電率(または、導電率の範囲)との関係を示す情報が、予め判断部673に記憶される。そして、当該情報と、導電率取得部672により取得された検査管路671内の処理液71の導電率とに基づいて、処理液の種類が判断部673により判断される。
【0054】
基板処理装置1の確認部67では、上記と同様に、導電率取得部672に電気的に接続された少なくとも2つの導電部675と処理液との接触が、比較的長い検査管路671のいずれの位置において生じる場合であっても、処理液の種類を判断することができる。換言すれば、確認部67では、処理液の種類を、比較的長い検査管路671の全長に亘って判断することができる。したがって、処理液の種類確認の精度を向上することができる。その結果、基板処理装置1において処理液管路62等の配管が誤って接続された場合等、処理液管路62内を意図しない処理液が流れた場合、処理液の供給ミスを精度良く検出することができる。
【0055】
ところで、半導体基板の液処理では、様々な種類の処理液や比較的高温の処理液が使用される。また、半導体基板の液処理では、半導体基板に供給される処理液に不純物が混入することを避ける必要がある。基板処理装置1では、上述のように、確認部67の検査管路671を形成する主要材料が樹脂であり、複数の導電部675は導電性樹脂である。このため、検査管路671は、比較的高い耐薬品性、および、比較的高い耐熱性を有する。また、検査管路671の一部が、検査管路671内を流れる処理液に不純物として溶出することが抑制される。したがって、基板処理装置1の確認部67は、半導体基板である基板9に供給される処理液の存否または処理液の種類の確認に特に適している。
【0056】
確認部67では、上述のように、検査管路671の複数の絶縁部676が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体により形成され、複数の導電部675が、カーボンが添加されたテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体により形成される。このように、比較的高い耐熱性を有する材料により導電部675および絶縁部676が形成されるため、確認部67は、比較的高温の処理液の存否、または、比較的高温の処理液の種類の確認に特に適している。
【0057】
基板処理装置1は、上述のように、ノズル61と、供給バルブ63と、分岐管路64と、吸引部65とをさらに備える。また、検査管路671は、供給バルブ63とノズル61との間にて処理液管路62上に設けられる。そして、判断部673が、検査管路671内における処理液の存否を判断することにより、処理液管路62への処理液のリーク(すなわち、供給バルブ63からの液漏れ、または、吸引部65によるサックバック異常)を検出することができる。その結果、ノズル61から基板9等への意図しない処理液の落下を防止することができる。
【0058】
また、確認部67では、検査管路671が重力方向に沿って延びるため、処理液管路62への処理液のリークが生じた場合、検査管路671に到達した処理液は、検査管路671の下端から上方に向かって溜まっていく。このため、検査管路671における処理液の存否確認を容易かつ高精度に行うことができる。さらに、検査管路671の下端に溜まる処理液が少量である場合であっても、当該処理液が、検査管路671の内周面に全周に亘って接触する。これにより、確認部67では、少量の処理液の存在も精度良く検出することができる。
【0059】
基板処理装置1では、検査管路671は、
図6に示すように、処理液管路62の水平方向に延びる部位に設けられてもよい。この場合も、
図7に示すように、検査管路671の内周面における複数の導電部675と複数の絶縁部676のそれぞれの周方向の幅がおよそ同じであり、導電率取得部672に電気的に接続された少なくとも2つの導電部675が、検査管路671の中心軸J2を挟んで互いに対向する2つの導電部675である。当該2つの導電部675は、上下方向においておよそ同じ高さに位置する。このため、確認部67では、検査管路671の流路断面(すなわち、処理液が流れる流路の中心軸J2に垂直な断面)のうちおよそ半分以上に亘って処理液71が存在する場合、処理液71が当該2つの導電部675に接し、処理液71の存在が検出される。一方、検査管路671の流路断面に占める処理液71の割合が比較的小さい(すなわち、流路断面の半分にも満たない)場合には、処理液71が当該2つの導電部675とは接しないため、処理液71の存在が検出されない。このように、基板処理装置1では、検査管路671内の処理液の量がある程度以上多い場合のみ処理液を検出し、処理液の僅かな液滴が検査管路671の内周面に付着している場合等には処理液を検出しないようにすることができる。その結果、乾燥処理の際等に検査管路671内の液滴をリークと誤判断して不要な処理中断が生じることを抑制することができる。
【0060】
図4に示す例では、確認部67において、導電率取得部672は2つの導電部675に接続されるが、導電率取得部672は、検査管路671の複数の導電部675のうち、3つ以上の導電部675に接続されてもよい。換言すれば、導電率取得部672に電気的に接続される少なくとも2つの導電部675は、3つ以上の導電部675であってもよい。そして、導電率取得部672により、当該3つ以上の導電部675において周方向に隣接する各2つの導電部675間の導電率が取得される。
【0061】
図8は、導電率取得部672が3つ以上の導電部675に電気的に接続される確認部の一例を示す図である。
図8では、
図4と同様に、確認部67aの検査管路671を長手方向に垂直に切断した断面を示す。
図8に例示する処理液供給部6aの確認部67aでは、導電率取得部672は、検査管路671の4つの導電部675の全てに接続される。
【0062】
導電率取得部672は、例えば、4本の導線721と、共通導線722と、3つの電池723と、3つのLED724とを備える。4本の導線721は、4つの導電部675にそれぞれ電気的に接続される。共通導線722は、4本の導線721の先端を電気的に接続する。3つの電池723は、共通導線722上において、4本の導線721と共通導線722との4つの接点のそれぞれの間に配置される。3つのLED724は、共通導線722上において、4本の導線721と共通導線722との4つの接点のそれぞれの間に配置される。
【0063】
図8に例示する確認部67aでは、検査管路671内に処理液71が存在しない場合、いずれのLED724も点灯しない。また、周方向に隣接する各2つの導電部675が処理液71に接触すると、当該各2つの導電部675の間に配置されるLED724が点灯する。これにより、導電率取得部672において、当該各2つの導電部675間の導電率(詳細には、導電率の変化)が実質的に取得される。判断部673は、導電率取得部672のLED724の点灯または消灯を感知することにより、導電率取得部672により取得された導電率に実質的に基づいて、検査管路671内における処理液71の存否を判断する。また、判断部673では、点灯したLED724の数が多い場合、検査管路671の流路断面のうち処理液71が占める割合が大きいと判断される。
【0064】
このように、確認部67aでは、導電率取得部672に電気的に接続される少なくとも2つの導電部675が3つ以上の導電部675であり、導電率取得部672により、当該3つ以上の導電部675において周方向に隣接する各2つの導電部675間の導電率が取得される。これにより、検査管路671内の処理液71が、周方向に隣接するいずれの2つの導電部675に接触する場合であっても、処理液71の存在を検出することができる。すなわち、処理液の存否確認の精度を向上することができる。また、LED724の点灯数に基づいて、検査管路671内の処理液71のおよその量を取得することもできる。
【0065】
確認部67aでは、LED724に代えて電流計等を設け、検査管路671内の処理液71の導電率を測定することにより、検査管路671内の処理液71の種類を精度良く確認することもできる。この場合も、導電率取得部672が3つ以上の導電部675に電気的に接続されることにより、処理液71の種類確認の精度を向上することができる。
【0066】
図9は、基板処理装置1の他の好ましい処理液供給部の構成例を示す図である。
図9に示す処理液供給部6bでは、確認部67bの検査管路671が、処理液管路62の供給バルブ63とノズル61との間のおよそ全長に亘って設けられる。換言すれば、処理液管路62の供給バルブ63とノズル61との間の部位が、およそ全長に亘って
図3に示す導電性チューブにより形成されて検査管路671となっている。これにより、処理液管路62において、供給バルブ63とノズル61との間のいずれの位置に処理液71が存在する場合であっても、当該処理液71を検出することができる。その結果、処理液管路62への処理液のリーク(すなわち、供給バルブ63からの液漏れ、または、吸引部65によるサックバック異常)を、さらに精度良く検出することができる。
【0067】
図10は、基板処理装置1の他の好ましい処理液供給部の構成例を示す図である。
図10に示す処理液供給部6cでは、確認部67と同様の構造を有するもう1つの確認部67cが設けられる。確認部67cは、検査管路671cと、導電率取得部672cと、判断部673cとを備える。検査管路671cは、分岐管路64の少なくとも一部であり、分岐管路64上において吸引バルブ66と分岐点640との間に設けられる。
図10に示す例では、検査管路671cは、分岐管路64の吸引バルブ66と分岐点640との間のおよそ全長に亘って設けられる。検査管路671cは、検査管路671と同様に、内周面において検査管路671cの長手方向にそれぞれ延びるとともに周方向に交互に配置される複数の導電部と複数の絶縁部とを有する。導電率取得部672cは、検査管路671cの複数の導電部のうち少なくとも2つの導電部に電気的に接続され、当該少なくとも2つの導電部間の導電率を取得する。判断部673cは、導電率取得部672cにより取得された導電率に基づいて、検査管路671c内における処理液の存否を判断する。
【0068】
処理液供給部6cでは、もう1つの確認部67cが、分岐管路64上において吸引バルブ66と分岐点640との間に設けられて処理液の存否を確認する。これにより、吸引バルブ66の誤動作等に起因する処理液の供給不良やリークを検出することができる。換言すれば、処理液の供給不良やリークの原因を容易に判断することができる。
【0069】
例えば、基板9の液処理の際に、吸引バルブ66の誤作動等により、処理液供給源60から処理液管路62に送出された処理液が吸引部65により吸引されて供給不良が生じている場合、処理液管路62上の確認部67により供給不良が検出されるとともに、分岐管路64上の確認部67cにより、分岐管路64における意図しない処理液の存在が検出される。その結果、処理液の供給不良が、吸引バルブ66の誤作動等に起因して生じた吸引部65による処理液の意図しない吸引によるものであると判断される。
【0070】
また、例えば、基板9の乾燥処理の際に、吸引バルブ66の誤作動等により、処理液管路62内の処理液が十分に吸引されずにサックバック異常が生じている場合、処理液管路62上の確認部67によりサックバック異常が検出されるとともに、分岐管路64上の確認部67cにより、分岐管路64における意図しない処理液の存在が検出される。その結果、サックバック異常が、吸引バルブ66の誤作動等に起因して生じたものであると判断される。
【0071】
図11は、検査管路の他の例を示す縦断面図である。
図11では、検査管路671dの一部について、中心軸J2を含む断面を示す。検査管路671dは、複数の導電部675と絶縁部676とを備える。検査管路671dの内周面では、複数の導電部675および複数の絶縁部676(実際には、1つの絶縁部676の複数の部位)が長手方向に交互に配置される。検査管路671dの内周面では、導電部675および絶縁部676は、中心軸J2を中心とする周方向の全周に亘って設けられる。複数の導電部675は、導電率取得部672と電気的に接続される。なお、導電率取得部672は、必ずしも、全ての導電部675に接続される必要はなく、複数の導電部675のうち少なくとも2つの導電部675に電気的に接続される。
【0072】
各導電部675は、内側導電部677と、外側導電部678と、導電連結部679とを有する。内側導電部677および外側導電部678はそれぞれ、検査管路671の厚さ(すなわち、肉厚)に比べて薄い略板状である。内側導電部677は、検査管路671の内周面の一部を構成し、周方向の全周に亘って設けられる。外側導電部678は、検査管路671の外周面の一部を構成し、周方向の全周に亘って設けられる。導電連結部679は、内側導電部677と外側導電部678とを連結する略板状の部位である。導電連結部679は、周方向の一部において内側導電部677と外側導電部678とを電気的に接続する。
【0073】
確認部67dでは、検査管路671dの複数の導電部675のうち、導電率取得部672に電気的に接続された2つの導電部675(例えば、長手方向において絶縁部676を挟んで隣接する2つの導電部675)に亘って処理液が存在する場合、判断部673により、導電率取得部672により取得された導電率に基づいて当該処理液の存在が検出される。確認部67dでは、比較的長い検査管路671dにおいて処理液の存否を判断することができるため、上記と同様に、処理液の存否確認の精度を向上することができる。また、判断部673により処理液の種類が判断される場合も同様に、処理液の種類確認の精度を向上することができる。検査管路671dは、確認部67,67a〜67cにおいて検査管路671,671cに代えて利用されてもよい。
【0074】
上述の基板処理装置1では、様々な変更が可能である。
【0075】
例えば、基板処理装置1において基板9に処理液が供給される際には、ノズル61が基板9の上方において水平に往復移動してもよい。基板処理装置1における基板9の処理では、複数種類の処理液が、基板9に対して順次供給されてもよい。また、基板9の回転が停止された状態で、基板9に処理液が供給されてもよい。
【0076】
処理液供給部6,6a〜6cでは、検査管路671は、供給バルブ63とノズル61との間において処理液管路62上に設けられるのであれば、必ずしも重力方向に沿って延びる必要はなく、例えば、ノズル61から離れた位置において略水平に延びてもよい。また、検査管路671では、複数の導電部675および複数の絶縁部676の周方向の位置が、検査管路671の長手方向の一方側から他方側に向かうに従って時計回り(または反時計回り)に漸次変化してもよい。換言すれば、複数の導電部675および複数の絶縁部676が、検査管路671の長手方向に沿って螺旋状に配置されてもよい。これにより、検査管路671が例えば略水平に延びる場合であっても、検査管路671内の処理液が複数の導電部675の全てに接触する可能性を高くすることができる。その結果、処理液の存否確認、または、処理液の種類確認の精度を向上することができる。
【0077】
処理液供給部6,6a〜6cでは、検査管路671とノズル61との間において、処理液管路62に除電部が設けられてもよい。除電部としては、例えば、処理液管路62を接地(アース)するアース線が利用される。これにより、処理液が検査管路671を通過することにより仮に帯電する可能性がある場合であっても、基板9に供給される処理液の帯電を防止または抑制することができる。
【0078】
検査管路671では、複数の導電部675と複数の絶縁部676とが、検査管路671の内周面において長手方向にそれぞれ延びるとともに周方向に交互に配置されるのであれば、外側導電部678および導電連結部679は導電部675から省略されてもよい。また、検査管路671では、導電部675および絶縁部676のそれぞれの数は、2以上であれば適宜変更されてよい。検査管路671cにおいても同様である。
【0079】
基板処理装置1では、
図10に示すもう1つの確認部67cに代えて、吸引バルブ66の開閉を監視するバルブ監視センサが吸引バルブ66に設けられることにより、吸引バルブ66の誤作動等が検出されてもよい。
【0080】
処理液供給部6,6a〜6cでは、供給バルブ63に代えて、他の様々な構造の供給制御部が処理液管路62上に設けられ、当該供給制御部により、処理液供給源60からノズル61への処理液の供給および停止が切り替えられてよい。また、吸引バルブ66に代えて、他の様々な構造の吸引制御部が分岐管路64上に設けられ、当該吸引制御部により、吸引部65による処理液の吸引および停止が切り替えられてもよい。
【0081】
確認部67,67a〜67cは、基板処理装置1において、処理液供給部6,6a〜6c以外の部位にて利用されてもよい。例えば、確認部67,67a〜67cは、処理液が貯溜される貯溜タンクの液面センサとして利用される。この場合、上下方向に沿って延びる処理液管路62の下端部が貯溜タンクの底部に接続され、処理液管路62のうち、処理液の液面を検出したい上下方向の範囲に検査管路671が設けられる。そして、検査管路671内に処理液が存在することが確認されることにより、貯溜タンク内の処理液の液面が、検査管路671の下端よりも上方に位置することが確認される。当該液面センサでは、複数の検査管路671が互いに電気的に絶縁されつつ上下方向に離間して配列されてもよい。
【0082】
上述の基板処理装置では、半導体基板以外に、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、FED(field emission display)等の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。あるいは、上述の基板処理装置は、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
【0083】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。