特許第6571388号(P6571388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571388
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20190826BHJP
   G01N 24/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   A61B5/055 370
   A61B5/055 360
   A61B5/055 340
   G01N24/00 580Y
【請求項の数】11
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-100529(P2015-100529)
(22)【出願日】2015年5月15日
(65)【公開番号】特開2016-214413(P2016-214413A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長島 正晃
(72)【発明者】
【氏名】待井 豊
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−319919(JP,A)
【文献】 特開2009−034479(JP,A)
【文献】 特開2015−085137(JP,A)
【文献】 特開平10−071132(JP,A)
【文献】 特開平08−056917(JP,A)
【文献】 特開2010−269136(JP,A)
【文献】 特開2008−114051(JP,A)
【文献】 特開2011−072390(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0009151(US,A1)
【文献】 特開2012−011060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01N 24/00 −24/14
G01R 33/20 −33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が置かれる静磁場内に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記傾斜磁場コイルの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルを用いて、一連のプロトコル群を含む1検査のタイムスケジュールを導出する導出部と、
前記タイムスケジュールに従って、前記プロトコル群に含まれるプロトコルを順次実行するシーケンス制御部と、
画質に関する希望条件の入力を操作者から受け付ける受付部と、
を備え、
前記導出部は、前記希望条件に応じて、前記タイムスケジュールを導出する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記導出部は、プロトコルに設定された撮像条件を当該プロトコルに対応する温度変化モデルに当てはめることにより、当該プロトコルと、当該プロトコルよりも1つ前に実行されるプロトコルとの間の待機時間を最適化する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記導出部は、前記プロトコル群に含まれるプロトコルのそれぞれの前記温度変化モデルに基づいて、前記プロトコルの実行順序を決定し、決定した実行順序で前記プロトコルが実行されるように前記タイムスケジュールを導出する、請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
被検体が置かれる静磁場内に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記傾斜磁場コイルの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルを用いて、一連のプロトコル群を含む1検査のタイムスケジュールを導出する導出部と、
前記タイムスケジュールに従って、前記プロトコル群に含まれるプロトコルを順次実行するシーケンス制御部と、
待機時間の上限値の入力を操作者から受け付ける受付部と、
を備え
前記導出部は、前記待機時間を前記上限値以下に抑えるよう、前記プロトコル群に含まれるプロトコルの実行順序を最適化する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
被検体が置かれる静磁場内に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記傾斜磁場コイルの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルを用いて、一連のプロトコル群を含む1検査のタイムスケジュールを導出する導出部と、
前記タイムスケジュールに従って、前記プロトコル群に含まれるプロトコルを順次実行するシーケンス制御部と、
前記傾斜磁場コイルに設けられ、前記静磁場の空間的な不均一を補正する金属シムと、
前記プロトコルの実行が開始される前に前記金属シムの温度を上昇させるプレヒートの実行時間の上限値を受け付ける受付部と、
を備え、
前記導出部は、前記温度変化モデルに基づいて、前記受付部により受け付けられたプレヒートの実行時間の上限値以下の時間だけ前記プレヒートが行われるように前記タイムスケジュールを導出する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記導出部は、前記温度変化モデルに基づいて、前記プレヒートの実行時間の候補を予測し、予測した前記プレヒートの実行時間の候補が示す時間が前記受付部により受け付けられたプレヒートの実行時間の上限値以上である場合には、前記受付部により受け付けられたプレヒートの実行時間だけ前記プレヒートが行われるように前記タイムスケジュールを導出し、予測した前記プレヒートの実行時間の候補が示す時間が前記受付部により受け付けられたプレヒートの実行時間の上限値未満である場合には、予測した前記プレヒートの実行時間の候補が示す時間だけ前記プレヒートが行われるように前記タイムスケジュールを導出する、請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
被検体が置かれる静磁場内に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記傾斜磁場コイルの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルを用いて、一連のプロトコル群を含む1検査のタイムスケジュールを導出する導出部と、
前記タイムスケジュールに従って、前記プロトコル群に含まれるプロトコルを順次実行するシーケンス制御部と、
前記傾斜磁場コイルに設けられ、前記静磁場の空間的な不均一を補正する金属シムと、
を備え、
前記導出部は、前記プロトコル群に含まれるプロトコルのそれぞれの前記温度変化モデルに基づいて、前記プロトコルのそれぞれについて当該プロトコルが実行された場合の前記金属シムの温度を予測し、予測した前記温度が低いプロトコルから順に実行されるように前記タイムスケジュールを導出する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
被検体が置かれる静磁場内に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記傾斜磁場コイルの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルを用いて、一連のプロトコル群を含む1検査のタイムスケジュールを導出する導出部と、
前記タイムスケジュールに従って、前記プロトコル群に含まれるプロトコルを順次実行するシーケンス制御部と、
前記傾斜磁場コイルに設けられ、前記静磁場の空間的な不均一を補正する金属シムと、
を備え、
前記導出部は、前記プロトコル群に含まれるプロトコルのそれぞれの前記温度変化モデルに基づいて、前記プロトコルのそれぞれについて当該プロトコルが実行された場合の前記金属シムの温度を予測し、予測した前記温度が高いプロトコルから順に実行されるように前記タイムスケジュールを導出する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
被検体が置かれる静磁場内に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記傾斜磁場コイルの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルを用いて、一連のプロトコル群を含む1検査のタイムスケジュールを導出する導出部と、
前記タイムスケジュールに従って、前記プロトコル群に含まれるプロトコルを順次実行するシーケンス制御部と、
前記傾斜磁場コイルに設けられ、前記静磁場の空間的な不均一を補正する金属シムと、
を備え、
前記導出部は、前記プロトコル群に含まれるプロトコルが実行された場合の実行開始時の前記金属シムの温度と実行完了時の前記金属シムの温度との差に基づいて、前記金属シムの温度を上昇させるプレヒートが行われるか否かを示す前記タイムスケジュールを導出する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
被検体が置かれる静磁場内に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記傾斜磁場コイルの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルを用いて、一連のプロトコル群を含む1検査のタイムスケジュールを導出する導出部と、
前記タイムスケジュールに従って、前記プロトコル群に含まれるプロトコルを順次実行するシーケンス制御部と、
前記傾斜磁場コイルに設けられ、前記静磁場の空間的な不均一を補正する金属シムと、
を備え、
現在の前記金属シムの温度と、前記温度変化モデルとに基づいて、前記プロトコルを実行させるタイミングを示す情報を表示部に表示させる表示制御部を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
被検体が置かれる静磁場内に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルと、
前記傾斜磁場コイルの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルを用いて、一連のプロトコル群を含む1検査のタイムスケジュールを導出する導出部と、
前記タイムスケジュールに従って、前記プロトコル群に含まれるプロトコルを順次実行するシーケンス制御部と、
前記プロトコルの実行が開始される前に前記傾斜磁場コイルの温度を低下させる制御の実行時間の上限値を受け付ける受付部と、
を備え、
前記導出部は、前記温度変化モデルに基づいて、前記制御の実行時間の候補を予測し、予測した前記制御の実行時間の候補が示す時間が前記受付部により受け付けられた制御の実行時間の上限値以上である場合には、前記受付部により受け付けられた制御の実行時間だけ前記制御が行われるように前記タイムスケジュールを導出し、予測した前記制御の実行時間の候補が示す時間が前記受付部により受け付けられた制御の実行時間の上限値未満である場合には、予測した前記制御の実行時間の候補が示す時間だけ前記制御が行われるように前記タイムスケジュールを導出する、磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数(Larmor frequency)のRF(Radio Frequency)パルスで磁気的に励起し、この励起に伴って発生するMR(Magnetic Resonance)信号から画像を再構成する磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置がある。
【0003】
かかる磁気共鳴イメージング装置は、例えば、傾斜磁場コイル内に設けられた金属シムの温度を、プロトコルが実行される前に上昇させて、金属シムの温度の変動を抑制する。これにより、RFパルスの中心周波数の変動が抑制され、画像の画質の劣化が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−269136号公報
【特許文献2】特開2010−104696号公報
【特許文献3】特開2008−114051号公報
【特許文献4】特開2012−30051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、金属シムの温度の時間的な変化による撮像への影響を抑えることができる磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の磁気共鳴イメージング装置は、傾斜磁場コイルと、導出部と、シーケンス制御部と、受付部とを備える。傾斜磁場コイルは、被検体が置かれる静磁場内に傾斜磁場を印加する。導出部は、傾斜磁場コイルの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルを用いて、一連のプロトコル群を含む1検査のタイムスケジュールを導出する。シーケンス制御部は、前記タイムスケジュールに従って、前記プロトコル群に含まれるプロトコルを順次実行する。受付部は、画質に関する希望条件の入力を操作者から受け付ける。前記導出部は、前記希望条件に応じて、前記タイムスケジュールを導出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るMRI装置の構成を示す機能ブロック図である。
図2図2は、傾斜磁場コイルの構造の一例を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示した傾斜磁場コイルの内部構造の一例を示す構造図である。
図4図4は、条件受付処理の流れの一例を示す図である。
図5図5は、条件設定画面の一例を示す図である。
図6A図6Aは、撮像制御処理の流れの一例を示す図である。
図6B図6Bは、撮像制御処理の流れの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態における撮像条件設定画面の一例を示す図である。
図8図8は、選択されたプロトコルが実行されることで傾斜磁場コイルを形成する3つのコイルのそれぞれに供給される電流の波形と、TRとの一例を示す図である。
図9図9は、温度上昇モデルの一例を示す図である。
図10図10は、温度下降モデルの一例を示す図である。
図11図11は、温度上昇係数の算出方法の一例を説明するための図である。
図12図12は、傾斜磁場コイルを形成する3つのコイルのそれぞれにプレヒート用の電流が供給された場合の鉄シムの温度の時間的な変化を示すプレヒート温度上昇モデルの一例を示す図である。
図13図13は、傾斜磁場コイルを形成する3つのコイルのそれぞれへの電流の供給が停止され、冷却システムにより傾斜磁場コイルに水が供給されて傾斜磁場コイルが冷却された場合の鉄シムの温度の時間的な変化を示す冷却温度下降モデルの一例を示す図である。
図14図14は、図6AのステップS204〜S213を実行した結果の一例を示す図である。
図15図15は、ステップS202で設定されたそのままの順番でプロトコルを実行した場合の結果と、ステップS215〜S220を実行して、実行するプロトコルの順番を並び替えた場合の結果の一例を示す図である。
図16図16は、ステップS202で設定されたそのままの順番でプロトコルを実行した場合の結果と、ステップS221〜S226を実行して、実行するプロトコルの順番を並び替えた場合の結果の一例を示す図である。
図17図17は、設定機能が行う他の処理について説明するための図である。
図18図18は、プレヒート判定処理の流れの一例を示す図である。
図19図19は、設定機能が行う他の処理について説明するための図である。
図20図20は、表示制御機能によりディスプレイに表示される、プロトコルが実行されるタイミングを示す情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(以下、適宜「MRI装置」)を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。
【0009】
図1は、実施形態に係るMRI装置100の構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、静磁場電源102と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御回路106と、送信コイル107と、送信回路108と、受信コイル109と、受信回路110と、シーケンス制御回路120と、計算機130と、温度センサ140とを備える。なお、MRI装置100に、図1に示す被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、図1に示す構成は一例に過ぎない。
【0010】
MRI装置100の傾斜磁場コイル103には、後述する冷却管103fを介して、冷却システム200が接続されている。
【0011】
静磁場磁石101は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。例えば、静磁場磁石101は、静磁場電源102から電流の供給を受けると励磁して、静磁場を発生する。なお、静磁場磁石101は、永久磁石であってもよい。
【0012】
静磁場電源102は、静磁場磁石101に電流を供給する。なお、静磁場磁石101が永久磁石である場合には、MRI装置100に、静磁場電源102を設けなくてもよい。
【0013】
傾斜磁場コイル103は、中空の円筒形状(円筒の軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス用傾斜磁場GSS、位相エンコード用傾斜磁場GPE、及び読み出し用傾斜磁場GROである。すなわち、傾斜磁場コイル103は、被検体Pが置かれる静磁場内に傾斜磁場を印加する。
【0014】
傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。例えば、傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103を形成する3つのコイルのそれぞれに、個別に電流を供給する。
【0015】
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御回路106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。
【0016】
寝台制御回路106は、計算機130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動するプロセッサである。
【0017】
送信コイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信回路108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0018】
送信回路108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル107に供給するプロセッサである。
【0019】
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、適宜「MR信号」)を受信する。受信コイル109は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信回路110へ出力する。
【0020】
なお、上述した送信コイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。
【0021】
受信回路110は、受信コイル109から出力されるMR信号を検出し、検出したMR信号に基づいてMRデータを生成するプロセッサである。具体的には、受信回路110は、受信コイル109から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信回路110は、生成したMRデータをシーケンス制御回路120へ送信する。なお、受信回路110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられてもよい。
【0022】
シーケンス制御回路120は、計算機130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行うプロセッサである。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路108が送信コイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路110がMR信号を検出するタイミング等が定義される。シーケンス制御回路120は、特許請求の範囲に記載されたシーケンス制御部の一例である。
【0023】
なお、シーケンス制御回路120は、傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路110からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機130へ転送する。
【0024】
計算機130は、MRI装置100の全体制御や、画像の生成等を行う。計算機130は、インタフェース回路131と、記憶回路132と、処理回路133と、入力回路134と、ディスプレイ135と、画像生成回路136とを備える。
【0025】
インタフェース回路131は、プロセッサにより実現される。インタフェース回路131は、シーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信し、シーケンス制御回路120からMRデータを受信する。また、インタフェース回路131は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶回路132に格納する。記憶回路132に格納されたMRデータは、処理回路133によってk空間に配置される。この結果、記憶回路132は、k空間データを記憶する。
【0026】
記憶回路132は、インタフェース回路131によって受信されたMRデータや、処理回路133によってk空間に配置されたk空間データ、画像生成回路136によって生成された画像データ等を記憶する。また、記憶回路132は、各種のプログラムを記憶する。また、記憶回路132は、後述する設定情報、撮像条件、対応表、プロトコル温度差情報、検査予約情報なども記憶する。記憶回路132は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
【0027】
入力回路134は、医師や診療放射線技師等の操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力回路134は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等によって実現される。入力回路134は、処理回路133に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号に変換して処理回路133へと出力する。
【0028】
ディスプレイ135は、処理回路133による制御の下、各種GUI(Graphical User Interface)や、画像生成回路136によって生成された画像等を表示する。
【0029】
画像生成回路136は、k空間データを記憶回路132から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成するプロセッサである。
【0030】
処理回路133は、MRI装置100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御するプロセッサである。例えば、処理回路133は、撮像条件の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信する。また、処理回路133は、受付機能133a、設定機能133b及び表示制御機能133cを実行する。
【0031】
ここで、例えば、処理回路133の構成要素である受付機能133a、設定機能133b及び表示制御機能133cの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路132に記憶されている。処理回路133は、各プログラムを記憶回路132から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路133は、図1の処理回路133内に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては、単一の処理回路133にて、受付機能133a、設定機能133b及び表示制御機能133cの各処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路133を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。
【0032】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central preprocess unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。なお、記憶回路132にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0033】
温度センサ140は、傾斜磁場コイル103の近傍に設けられ、傾斜磁場コイル103の温度を検知し、検知した温度を示す信号をインタフェース回路131に出力する。なお、後述する鉄シム103eは、傾斜磁場コイル103の温度が上昇することで、温度が上昇し、傾斜磁場コイル103の温度が低下することで、温度が低下する。傾斜磁場コイル103の温度と、鉄シム103eの温度とは、略同一になる。したがって、計算機130は、温度センサ140が検知した傾斜磁場コイル103の温度を、鉄シム103eの温度として扱うことができる。
【0034】
冷却システム200は、例えば、傾斜磁場コイル103に向けて、所定の温度(例えば、20度)に調整された水を後述する冷却管103fに流すことで、傾斜磁場コイル103内に水を流す。また、冷却システム200は、冷却管103fを介して、傾斜磁場コイル103内を流れた水が戻ってくると、戻ってきた水を所定の温度に冷やした上で、傾斜磁場コイル103に向けて、再び冷却管103fに流す。このようにして、冷却システム200は、傾斜磁場コイル103との間で水を循環させることで、傾斜磁場コイル103に電流が供給されておらず傾斜磁場コイル103が発熱していない場合には、傾斜磁場コイル103内に設けられた後述する鉄シム103eの温度が水の温度と同程度になるように、鉄シム103eの温度を制御する。なお、冷却システム200は、常時、所定の温度に調整された水を傾斜磁場コイル103に供給する。
【0035】
ここで、所定の温度に調整された水を傾斜磁場コイル103内に供給した場合であっても、傾斜磁場コイル103に電流が供給されて傾斜磁場コイル103が発熱しているときには、鉄シム103eの温度は、傾斜磁場コイル103の発熱の影響を受けて、水の温度以上になる。
【0036】
以上、実施形態に係るMRI装置100の全体構成について説明した。ここで、MRI装置において、撮像用のプロトコルが実行される前に傾斜磁場コイル内に設けられた鉄シムの温度を上昇させるプレヒートが実行された場合には、プレヒートの実行時間が操作者にとって長いように感じられることがある。そのため、操作者にとって、検査の開始から、プロトコルが実行されることにより撮像が行われるまでの時間が長く感じられてしまうという問題がある。すなわち、鉄シムの温度の時間的な変化による撮像への時間的な影響があるという問題がある。
【0037】
また、MRI装置が、複数のプロトコルのそれぞれを実行する直前の鉄シムの温度がどのような値であっても、撮像条件において定められた順番で複数のプロトコルを実行する場合について説明する。例えば、各プロトコルが飽和温度の昇順で実行されることが撮像条件として定められており、MRI装置が1番目のプロトコルを実行する際に既に鉄シムの温度が高くなっている場合について説明する。なお、飽和温度とは、例えば、プロトコルを実行した場合の鉄シムの変動する温度の上限値を指し、この上限値は、プロトコルの種類に応じて一意に定まる。このような場合には、MRI装置において、撮像条件として定められた順番で複数のプロトコルが実行された場合に、最後のほうに実行されるプロトコルがそのまま実行されると、鉄シムや傾斜磁場コイルの温度がMRI装置の許容温度を超えてしまう。このため、MRI装置では、最後の方に実行されるプロトコルを実行する前に待ち時間が発生することがある。そのため、検査の開始から、プロトコルが実行されることにより撮像が行われるまでの時間が長くなってしまうという問題がある。すなわち、この場合においても、鉄シムの温度の時間的な変化による撮像への時間的な影響があるという問題がある。
【0038】
また、MRI装置の撮像条件として、各プロトコルが飽和温度の降順で実行されることが定められている場合について説明する。このような場合には、MRI装置において、撮像条件として定められた飽和温度の降順で複数のプロトコルが実行されると、1番目に実行されたプロトコルの実行開始時の鉄シムの温度と実行完了時の鉄シムの温度との差が大きい。このため、例えば、1回のプロトコルの実行で複数の撮像が行われる場合には、再構成される画像の画質が劣化してしまうという問題がある。すなわち、鉄シムの温度の時間的な変化による撮像への画質的な影響があるという問題がある。
【0039】
そこで、上述した構成のもと、実施形態に係るMRI装置100は、詳細を以下に説明するように、鉄シムの温度の時間的な変化による撮像への各種の影響を抑えることができるように構成されている。
【0040】
次に、図1に示す傾斜磁場コイル103の構造の一例について説明する。図2は、傾斜磁場コイル103の構造の一例を示す斜視図である。図2の例に示すように、傾斜磁場コイル103は、傾斜磁場電源104から供給される電流によりX軸、Y軸、Z軸の方向に傾斜磁場を印加するメインコイル103aと、メインコイル103aの漏洩磁場をキャンセルするシールドコイル103bとを有する。
【0041】
ここで、メインコイル103aとシールドコイル103bとの間には、複数のシムトレイ挿入ガイド103cが形成されている。シムトレイ挿入ガイド103cには、ボア内の静磁場の空間的な不均一を補正する鉄シム103eを収納したシムトレイ103dが挿入される。なお、鉄シム103eは、特許請求の範囲に記載された金属シムの一例である。
【0042】
各シムトレイ挿入ガイド103cは、傾斜磁場コイル103の両端面に開口を形成する貫通穴であり、傾斜磁場コイル103の長手方向に全長にわたって形成されている。各シムトレイ挿入ガイド103cは、メインコイル103aおよびシールドコイル103bに挟まれた領域に、互いに平行となるように円周方向に等間隔に形成されている。そして、各シムトレイ挿入ガイド103cには、シムトレイ103dが挿入されている。
【0043】
シムトレイ103dは、非磁性かつ非電導性材料である樹脂にて作製され、概略棒状をなしている。シムトレイ103dには、所定の数の鉄シム103eが収納されている。そして、シムトレイ103dは、シムトレイ挿入ガイド103cに挿入されて、傾斜磁場コイル103の中央部に固定されている。
【0044】
また、図2では図示を省略しているが、傾斜磁場コイル103には、円筒形状に沿って、螺旋状に冷却管が埋設されている。図3は、図2に示した傾斜磁場コイル103の内部構造の一例を示す構造図である。なお、図3は、傾斜磁場コイル103の一部分を示しており、同図における上側が円筒形状の外側を示しており、下側が円筒形状の内側を示している。
【0045】
図3の例に示すように、傾斜磁場コイル103には、シムトレイ挿入ガイド103cの内側および外側、すなわち、シムトレイ挿入ガイド103cとメインコイル103aとの間、および、シムトレイ挿入ガイド103cとシールドコイル103bとの間に、螺旋状に冷却管103fが埋設されている。冷却管103fには、冷却システム200から送られる水が流入し、流入した水は、冷却管103fを通って傾斜磁場コイル103の内部を循環したうえで傾斜磁場コイル103の外へ流出する。こうして、水が冷却管103fを通って傾斜磁場コイル103の内部を循環することによって、傾斜磁場コイル103及び傾斜磁場コイル103内に設けられた鉄シム103eが冷却される。
【0046】
次に、図1に示す処理回路133によって実行される受付機能133a、設定機能133b及び表示制御機能133cの各処理機能について説明する。
【0047】
受付機能133aは、プロトコルの実行の態様を設定する際の各種の条件を受け付けるための条件設定画面をディスプレイ135に表示させて、操作者から各種の条件を受け付ける。例えば、受付機能133aは、実行対象のプロトコルを実行する前に、何もせずに待って、常時稼働している冷却システム200による鉄シム103eや傾斜磁場コイル103の温度を低下させる制御(以下、「待ち制御」と称する場合がある)、及び、プレヒートの実行時間を受け付ける。受付機能133aは、特許請求の範囲に記載された受付部の一例である。なお、ここでいうプレヒートとは、例えば、実行対象のプロトコルを実行する前に、鉄シム103eの温度を上昇させることを指す。なお、本実施形態におけるプレヒートでは、傾斜磁場コイル103にプレヒート用の電流が供給されることで、傾斜磁場コイル103が発熱し、傾斜磁場コイル103の発熱の影響を受けて鉄シム103eの温度が上昇される。したがって、冷却システム200に頼らずに、プレヒートを実行することができる。
【0048】
本実施形態に係るMRI装置100が実行する、プロトコルの実行の態様を設定する際の各種の条件を受け付ける処理(条件受付処理)の流れについて説明する。図4は、条件受付処理の流れの一例を示す図である。図5は、条件設定画面の一例を示す図である。例えば、受付機能133aは、入力回路134を介して、操作者から各種の条件を設定する指示を受け付けた場合に、図4の例に示す条件受付処理を実行する。
【0049】
図4の例に示すように、受付機能133aは、図5の例に示す条件設定画面20をディスプレイ135に表示させる(ステップS101)。
【0050】
条件設定画面20は、チェックボックス20a、テキストボックス20b、チェックボックス20c、ボタン20d、ボタン20eを有する。なお、チェックボックス20f及びチェックボックス20gは、チェックボックス20cがチェックされた場合のみ、チェックすることが可能な状態でディスプレイ135に表示される。
【0051】
チェックボックス20aは、ウェイクアップヒートモードを選択するためのものである。例えば、操作者が入力回路134を操作して、チェックボックス20aをチェックした場合には、ウェイクアップヒートモードが選択された状態となる。
【0052】
ここで、ウェイクアップヒートモードとは、例えば、MRI装置100の電源スイッチがオンされてMRI装置100が起動した場合において、MRI装置100の起動時には鉄シム103eの温度が低いため、鉄シム103eの温度を上昇させるプレヒートを実行するモードを指す。例えば、ウェイクアップヒートモードでは、MRI装置100が起動してから、最初にプロトコルを実行するまでの時間が十分にある場合には、鉄シム103eの温度を実行対象のプロトコルの飽和温度まで上昇させることができる。
【0053】
テキストボックス20bには、プレヒート又は上述の待ち制御を行う場合において、プレヒート又は待ち制御を開始してから終了するまでの時間の上限値(最大ヒート時間又は最大冷却時間)が、入力回路134を介して操作者から入力される。ここで、プレヒート又は待ち制御を開始してから終了するまでの時間は、プレヒート又は待ち制御を開始してからプロトコルの実行を開始するまでの時間でもあるので、操作者にとっては、プロトコルが実行されるのを待つ時間ともいえる。そのため、プレヒート又は待ち制御を開始してから終了するまでの時間は、「待ち時間」とも称される。これに伴い、最大ヒート時間又は最大冷却時間は、待ち時間の上限値とも言える。また、待ち時間の上限値は、最大待ち時間とも称される。例えば、操作者が、プレヒート又は待ち制御の時間が60秒以下の時間であれば、プレヒート又は待ち制御を行ってもよいと考えた場合には、テキストボックス20bに、最大待ち時間として「60」を入力する。
【0054】
チェックボックス20cは、プロトコル順序自動変更モードを選択するためのものである。例えば、操作者が入力回路134を操作して、チェックボックス20cをチェックした場合には、プロトコル順序自動変更モードが選択された状態となる。
【0055】
ここで、プロトコル順序自動変更モードとは、例えば、実施対象の検査において実行される複数のプロトコルの実行される順番を変更するモードである。
【0056】
そして、チェックボックス20cがチェックされた場合には、図5の例に示すように、操作者によって、チェックボックス20f及びチェックボックス20gがチェックされることが可能となる。ここで、チェックボックス20fは、チェックボックス20gがチェックされた状態では、チェックできないようになっている。また、チェックボックス20gは、チェックボックス20fがチェックされた状態では、チェックできないようになっている。したがって、操作者は、入力回路134を介して、チェックボックス20f及びチェックボックス20gのうち、一方のみチェックすることができる。なお、図5の例では、チェックボックス20fがチェックされた場合が示されている。
【0057】
チェックボックス20fは、再構成される画像の画質を優先させるモードを選択するためのものである。また、チェックボックス20gは、待ち時間の短縮を優先させるモードを選択するためのものである。
【0058】
ボタン(設定ボタン)20dは、「設定」と表記されており、条件設定画面20に入力された各種の条件を、記憶回路132に記憶された設定情報に設定するためのボタンである。
【0059】
ボタン(キャンセルボタン)20eは、「キャンセル」と表記されており、条件設定画面20を閉じるためのボタンである。
【0060】
受付機能133aは、入力回路134を介して操作者によりキャンセルボタン20eが押下されたか否かを判定する(ステップS102)。そして、キャンセルボタン20eが押下された場合(ステップS102;Yes)には、受付機能133aは、条件設定画面20を閉じて(ステップS105)、条件受付処理を終了する。
【0061】
一方、キャンセルボタン20eが押下されていない場合(ステップS102;No)には、受付機能133aは、入力回路134を介して操作者により設定ボタン20dが押下されたか否かを判定する(ステップS103)。そして、設定ボタン20dが押下された場合(ステップS103;Yes)には、受付機能133aは、ウェイクアップヒートモードが選択されたか否かを示す情報、最大待ち時間、プロトコル順序自動変更モードが選択されたか否かを示す情報、プロトコル順序自動変更モードが選択された場合に画質を優先させるモード又は待ち時間の短縮を優先させるモードのうちいずれのモードが選択されたかを示す情報を設定情報として設定し(ステップS104)、ステップS105に進む。また、受付機能133aは、設定ボタン20dが押下されていない場合(ステップS103;No)には、ステップS102に戻る。以上、条件受付処理の流れについて説明した。
【0062】
ステップS101〜105は、受付機能133aに対応するステップである。処理回路133が記憶回路132から受付機能133aに対応する所定のプログラムを読み出して実行することにより、受付機能133aが実現されるステップである。
【0063】
また、受付機能133aは、操作者から、実施対象の検査において実行されるプロトコル群及びプロトコル群に含まれる各プロトコルのパラメータを撮像条件として受け付けて、受け付けた撮像条件を記憶回路132に格納することにより撮像条件を設定する。
【0064】
例えば、受付機能133aは、撮像条件を受け付けるための撮像条件設定画面をディスプレイ135に表示させて、操作者による撮像条件の入力を、入力回路134を介して受け付ける。そして、受付機能133aは、受け付けた撮像条件を記憶回路132に格納するとともに、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。すなわち、受付機能133aは、記憶回路132にプリセットされた複数のプロトコル群の中から選択されたプロトコル群を、実施対象の検査にて実行予定のプロトコル群として設定する。また、受付機能133aは、操作者により設定された実行時間などの各種のパラメータも撮像条件として設定する。
【0065】
なお、本実施形態では、例えば、1つの検査を行う際に、1つ以上のプロトコルが設定される。また、1つのプロトコルでは、例えば、1つのパルスシーケンスに応じた撮像が行われる。
【0066】
図6A及び図6Bを参照して、本実施形態に係るMRI装置100が実行する、撮像条件を受け付け、受け付けた撮像条件に基づいて撮像を行う処理(撮像制御処理)の流れについて説明する。図6A及び図6Bは、撮像制御処理の流れの一例を示す図である。図7は、実施形態における撮像条件設定画面の一例を示す図である。例えば、受付機能133aは、入力回路134を介して、操作者から検査を実施する指示を受け付けた場合に、図6A及び図6Bの例に示す撮像制御処理を実行する。
【0067】
例えば、図6A及び図6Bの例に示すように、受付機能133aは、図7の例に示す撮像条件設定画面30をディスプレイ135に表示させる(ステップS201)。撮像条件設定画面30は、左から順に、領域31、領域32、領域33を含む。領域31には、撮像部位毎の選択を受け付ける人体模型図が表示される。領域32には、領域31において選択された撮像部位に対して予め設定されている撮像用のプロトコルの集合(プロトコル群)の総称の一覧が表示される。領域33には、領域32において選択されたプロトコル群に含まれるプロトコルの一覧が、各プロトコルのパラメータとともに表示される。この表示画面30上で、操作者は、例えば、階層構造に従って、領域31、領域32、領域33の順に選択することで、実施対象の検査において実行すべき所望のプロトコルを設定する。
【0068】
例えば、操作者が、領域31上で「胸部」に対応する矩形を選択すると、「胸部」に関連するプロトコル群の総称の一覧が領域32に表示される。続いて、操作者が、領域32上で、脂肪抑制を伴って胸部を画像化する目的のプロトコル群の総称である「Breast+Fatsat」を選択すると、このプロトコル群に含まれるプロトコルの一覧が、領域33に表示される。この一覧には、出力画像の画像データを収集するためのイメージングスキャンのプロトコルや、イメージングスキャンや画像生成の準備のために行われる準備スキャンのプロトコルが、それぞれ1つ又は複数含まれる。例えば、準備スキャンのプロトコルは、位置決め画像を収集するためのプロトコル、感度マップを収集するためのプロトコル、及び、シミングのためのプロトコル等が含まれる。また、各プロトコルに含まれる各パラメータには、初期値が設定されている。ここで、例えば、操作者が、領域33に表示された一覧の中から所望のプロトコルを選択すると、選択したプロトコルのパラメータを入力するためのウインドウが表示される。操作者は、入力回路134を介して、選択したプロトコルのパラメータとして実行時間などをウインドウに入力する。このように、プロトコル群は、プリセット情報として提供される。上述したような方法で、操作者は、検査ごとに撮像条件を入力する。
【0069】
そして、受付機能133aは、操作者により入力された検査ごとの撮像条件を受け付け、受け付けた撮像条件を設定する(ステップS202)。ここで、設定された撮像条件に含まれるプロトコル群のそれぞれのプロトコルは、順番に取り出されて、取り出されたプロトコルに従った各種のデータ収集を行う撮像等が行われる。
【0070】
そして、設定機能133bは、プロトコルを実行した場合の鉄シム103eの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルに基づいて、プロトコルの実行の態様を設定する。なお、あるプロトコルを実行した場合の鉄シム103eの温度の時間的な変化は、同一のプロトコルを実行した場合の傾斜磁場コイル103の温度の時間的な変化と略同一である。このため、MRI装置100は、あるプロトコルを実行した場合の鉄シム103eの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルを、このプロトコルを実行した場合の傾斜磁場コイル103の温度の時間的な変化を示す温度変化モデルとして扱うことができる。また、設定機能133bは、特許請求の範囲に記載された設定部の一例である。
【0071】
設定機能133bによるプロトコルの実行の態様の設定方法について、具体例を挙げて説明する。設定機能133bは、記憶回路132に記憶された設定情報を参照し、プロトコル順序自動変更モードが操作者により選択されたか否かを判定する(ステップS203)。
【0072】
プロトコル順序自動変更モードが操作者により選択されていない場合(ステップS203;No)には、受付機能133aは、温度センサ140が検知した現在の鉄シム103eの温度(現在温度)を示す信号をインタフェース回路131を介して取得し、取得した信号が示す鉄シム103eの現在温度を取得する(ステップS204)。
【0073】
設定機能133bは、ステップS202で設定された撮像条件に含まれる実行対象の未選択のプロトコルの中から、現在から最も早く実行されるプロトコルを1つ選択する(ステップS205)。
【0074】
そして、設定機能133bは、選択したプロトコルの実行が完了した時点での鉄シム103eの温度を予測する(ステップS206)。ここで、このような温度の予測の方法の一例について説明する。例えば、プロトコルの種類によって、プロトコルを実行した場合の鉄シム103eの温度の時間的な変化を示す温度変化モデルが一意に定まる。この温度変化モデルには、温度上昇モデルと、温度下降モデルとが含まれる。例えば、温度上昇モデルは、鉄シム103eの温度が、プロトコルの飽和温度よりも低い場合に、このプロトコルを実行したときの鉄シム103eの温度が時間の経過とともに上昇する変化を示すモデルである。また、温度下降モデルは、鉄シム103eの温度が、プロトコルの飽和温度よりも高い場合に、このプロトコルを実行したときの鉄シム103eの温度が時間の経過とともに下降する変化を示すモデルである。
【0075】
図8は、プロトコルが実行されることで傾斜磁場コイル103を形成する3つのコイルのそれぞれに電流が供給されたときのスライス用傾斜磁場GSS、位相エンコード用傾斜磁場GPE及び読み出し用傾斜磁場GROのそれぞれの磁場強度の時間的な変化の一例を示す図である。図9は、温度上昇モデルの一例を示す図である。図10は、温度下降モデルの一例を示す図である。
【0076】
例えば、設定機能133bは、図8の例に示すように磁場強度が時間的に変化させるために傾斜磁場コイル103を形成する3つのコイルのそれぞれに供給される電流の波形と、TR(Repetition Time)とに基づいて、公知の方法で、図9の例に示すような、下記の式(1)が示す温度上昇モデルを導出する。
T=Tmax(1−exp(−t/τ)) (1)
【0077】
ここで、Tmaxは飽和温度を示し、τは時定数を示し、tは時間を示し、Tは時間tにおける鉄シム103eの温度を示す。すなわち、設定機能133bは、3つのコイルGSS、GPE、GROのそれぞれに供給される電流の波形と、TRとに基づいて、Tmax及びτを算出することで、上述の式(1)が示す温度上昇モデルを導出する。
【0078】
また、設定機能133bは、公知の方法で、図10の例に示すような温度下降モデルを導出する。なお、図10の例におけるTminは、上述したTmaxと同程度の温度であり、温度下降モデルにおける鉄シム103eの温度の下限値である。
【0079】
そして、設定機能133bは、記憶回路132に記憶された撮像条件を参照し、選択したプロトコルの実行時間を取得する。そして、設定機能133bは、鉄シム103eの現在温度が、選択したプロトコルにおける飽和温度(Tmax)以下である場合には、上述の式(1)が示す温度上昇モデルにおいて、鉄シム103eの現在温度に対応する時間から、取得したプロトコルの実行時間だけ進めたときの温度Tを、プロトコルの実行が完了した時点での鉄シム103eの温度として予測する。
【0080】
また、設定機能133bは、鉄シム103eの現在温度が、選択したプロトコルにおける飽和温度より大きい場合には、導出した温度下降モデルにおいて、鉄シム103eの現在温度に対応する時間から、取得したプロトコルの実行時間だけ進めたときの温度Tを、プロトコルの実行が完了した時点での鉄シム103eの温度として予測する。
【0081】
そして、設定機能133bは、予測した鉄シム103eの温度(予測温度)と、取得した鉄シム103eの現在温度との差の絶対値が、所定値α以下であるか否かを判定する(ステップS207)。このような所定値αとしては、例えば、実験的に求められた、再構成される画像の画質の劣化が許容できる範囲における予測温度と現在温度との差の絶対値の最大値が採用される。
【0082】
すなわち、予測温度と現在温度との差の絶対値が所定値α以下である場合には、再構成される画像の画質の劣化が許容できる範囲であるため、プレヒートによる鉄シム103eの温度を上昇させる制御や冷却システム200による鉄シム103eの温度を低下させる制御(上述の待ち制御)による待ち時間を待つことなく、選択されたプロトコルを実行することにより撮像を行うことができる。
【0083】
予測温度と現在温度との差の絶対値が所定値α以下である場合(ステップS207;Yes)には、設定機能133bは、ステップS212に進む。一方、予測温度と現在温度との差の絶対値が所定値αよりも大きい場合(ステップS207;No)には、設定機能133bは、温度変化係数を算出する(ステップS208)。
【0084】
ここで、温度変化係数の具体的な算出方法について説明する。温度変化係数には、温度上昇係数と温度下降係数とが含まれる。例えば、設定機能133bは、鉄シム103eの現在温度が、選択したプロトコルにおける飽和温度以下である場合には、温度変化係数として温度上昇係数を算出する。図11は、温度上昇係数の算出方法の一例を説明するための図である。図11の例には、選択されたプロトコルの温度上昇モデルの一例が示されている。例えば、設定機能133bは、鉄シム103eの現在温度が選択したプロトコルにおける飽和温度以下であり、鉄シム103eの現在温度が22度である場合には、図11の例に示すように、温度上昇モデルにおいて、22度に対応する時間から3時相分だけ時間が進んだ場合の温度「40度」を特定する。なお、1時相は、画像が再構成されるタイミングに対応する。
【0085】
そして、設定機能133bは、特定した温度「40度」から現在温度「22度」を減じて温度「18度」を算出する。そして、設定機能133bは、算出した「18度」を「3時相」で割って、1時相あたりの温度の変化「6度」を温度上昇係数として算出する。なお、設定機能133bが、温度上昇係数を算出する際に、現在温度から3時相分だけ時間が進んだ場合の温度を特定する例について説明したが、現在温度に対応する時間から3時相以外の所定数の時相分だけ時間が進んだ場合の温度を特定してもよい。
【0086】
また、設定機能133bは、鉄シム103eの現在温度が、飽和温度より大きい場合には、温度変化係数として温度下降係数を算出する。例えば、設定機能133bは、温度下降モデルにおいて、現在温度に対応する時間から所定数の時相分だけ時間が進んだ場合の温度を特定する。そして、設定機能133bは、特定した温度から現在温度を減じて(特定した温度−現在温度)を算出する。そして、設定機能133bは、算出した(特定した温度−現在温度)を上述の所定数の時相で割って、1時相あたりの温度の変化を温度下降係数として算出する。
【0087】
次に、設定機能133bは、算出した温度変化係数の絶対値が所定値β以下であるか否かを判定する(ステップS209)。このような所定値βとしては、例えば、実験的に求められた、再構成される画像の画質の劣化が許容できる範囲における温度変化係数の絶対値の最大値が採用される。例えば、図11の例では、鉄シム103eの温度「62度」から、この温度「62度」に対応する時間から3時相分だけ前の時間に対応する温度「57度」を減じて温度「5度」を算出し、算出した温度「5度」を「3時相」で割った1時相あたりの温度の変化「1.67度」を所定値βとする場合が示されている。
【0088】
すなわち、予測温度と現在温度との差の絶対値が所定値αより大きく、かつ、温度変化係数の絶対値が所定値βより大きい場合には、再構成される画像の画質の劣化が許容できる範囲でないため、プレヒートによる鉄シム103eの温度を上昇させる制御や、上述の待ち制御を行う必要があると考えられる。
【0089】
温度変化係数の絶対値が所定値β以下である場合(ステップS209;Yes)には、設定機能133bは、ステップS212に進む。一方、温度変化係数の絶対値が所定値βより大きい場合(ステップS209;No)には、設定機能133bは、最適時間を算出する(ステップS210)。
【0090】
ここで、最適時間の具体的な算出方法について説明する。最適時間には、最適プレヒート時間と、最適冷却時間とが含まれる。例えば、設定機能133bは、鉄シム103eの現在温度が、選択したプロトコルにおける飽和温度以下である場合には、最適時間として最適プレヒート時間を算出する。図12は、傾斜磁場コイル103を形成する3つのコイルのそれぞれにプレヒート用の電流が供給された場合の鉄シム103eの温度の時間的な変化を示すプレヒート温度上昇モデルの一例を示す。なお、プレヒート温度上昇モデルは、3つのコイルのそれぞれにプレヒート用の電流が供給された場合の傾斜磁場コイル103の温度の時間的な変化をも示す。プレヒート温度上昇モデルは、特許請求の範囲に記載された温度変化モデルの一例である。図12の例に示すように、プレヒート温度上昇モデルでは、時間が経過するにつれて、温度Tmax_heatに、鉄シム103eの温度が近づく。例えば、図12の例において、鉄シム103eの現在温度に対応する時間がt1であり、時間t2から時間t3までの間における1時相あたりの温度の変化が上述の所定値βである場合について説明する。なお、時間t3は、時間t2から3時相分だけ進んだ時間である。この場合には、設定機能133bは、時間t2と時間t1との間の時間theatを最適プレヒート時間の候補として予測する。すなわち、設定機能133bは、プレヒート温度上昇モデルに基づいて、最適プレヒート時間の候補を予測する。
【0091】
そして、設定機能133bは、記憶回路132に記憶された設定情報を参照し、最適プレヒート時間の候補である時間theatと、設定情報が示す最大ヒート時間とを比較する。そして、設定機能133bは、時間theatが、最大ヒート時間以上である場合には、最大ヒート時間を最適プレヒート時間とする。一方、設定機能133bは、時間theatが、最大ヒート時間未満である場合には、時間theatを最適プレヒート時間とする。このようにして、設定機能133bは、最適時間として最適プレヒート時間を算出する。
【0092】
すなわち、設定機能133bは、最適プレヒート時間として、操作者にとっての待ち時間の上限値である最大ヒート時間以下の時間を算出する。また、以上のことから、設定機能133bは、選択したプロトコルの温度上昇モデルに基づいて、受付機能133aにより受け付けられた最大ヒート時間以下の時間だけプレヒートが行われるようにプロトコルの実行の態様を設定する。また、以上のことから、設定機能133bは、予測した最適プレヒート時間の候補が示す時間が、受付機能133aにより受け付けられた最大ヒート時間以上である場合には、最大ヒート時間だけプレヒートが行われるようにプロトコルの実行の態様を設定する。また、以上のことから、設定機能133bは、予測した最適プレヒート時間の候補が、受付機能133aにより受け付けられた最大ヒート時間未満である場合には、予測した最適プレヒート時間の候補が示す時間だけプレヒートが行われるようにプロトコルの実行の態様を設定する。
【0093】
また、例えば、設定機能133bは、鉄シム103eの現在温度が、選択したプロトコルにおける飽和温度より大きい場合には、最適時間として最適冷却時間を算出する。図13は、傾斜磁場コイル103を形成する3つのコイルのそれぞれへの電流の供給が停止され、冷却システム200が傾斜磁場コイル103に常時供給している水により傾斜磁場コイル103が冷却された場合の鉄シム103eの温度の時間的な変化を示す冷却温度下降モデルの一例を示す。なお、冷却温度下降モデルは、傾斜磁場コイル103が冷却された場合の傾斜磁場コイル103の温度の時間的な変化をも示す。冷却温度下降モデルは、特許請求の範囲に記載された温度変化モデルの一例である。図13の例に示すように、冷却温度下降モデルでは、時間が経過するにつれて、温度Tmin_coolに、鉄シム103eの温度が近づく。例えば、図13の例において、鉄シム103eの現在温度に対応する時間がt4であり、時間t5から時間t6までの間における1時相あたりの温度の変化の絶対値が上述の所定値βである場合について説明する。なお、時間t6は、時間t5から3時相分だけ進んだ時間である。この場合は、設定機能133bは、時間t5と時間t4との間の時間tcoolを最適冷却時間の候補として予測する。すなわち、設定機能133bは、冷却温度下降モデルに基づいて、最適冷却時間の候補を予測する。
【0094】
そして、設定機能133bは、記憶回路132に記憶された設定情報を参照し、最適冷却時間の候補である時間tcoolと、設定情報が示す最大冷却時間とを比較する。そして、設定機能133bは、時間tcoolが、最大冷却時間以上である場合には、最大冷却時間を最適冷却時間とする。一方、設定機能133bは、時間tcoolが、最大冷却時間未満である場合には、時間tcoolを最適冷却時間とする。このようにして、設定機能133bは、最適時間として最適冷却時間を算出する。
【0095】
すなわち、設定機能133bは、最適冷却時間として、操作者にとっての待ち時間の上限値である最大冷却時間以下の時間を算出する。また、以上のことから、設定機能133bは、冷却温度下降モデルに基づいて、受付機能133aにより受け付けられた最大冷却時間以下の時間だけ待ち制御が行われるようにプロトコルの実行の態様を設定する。また、以上のことから、設定機能133bは、予測した最適冷却時間の候補が、受付機能133aにより受け付けられた最大冷却時間以上である場合には、最大冷却時間だけ冷却が行われるようにプロトコルの実行の態様を設定する。また、以上のことから、設定機能133bは、予測した最適冷却時間の候補が示す時間が、受付機能133aにより受け付けられた最大冷却時間未満である場合には、予測した最適冷却時間の候補が示す時間だけ冷却が行われるようにプロトコルの実行の態様を設定する。
【0096】
そして、設定機能133bは、最適時間分だけプレヒートを行わせるようにシーケンス制御回路120を制御するか、または、最適時間分だけ何もせずに待って、常時稼働している冷却システム200による傾斜磁場コイル103の冷却だけを行わせるように制御する(ステップS211)。例えば、設定機能133bは、鉄シム103eの現在温度が、選択したプロトコルにおける飽和温度以下である場合には、傾斜磁場コイル103を形成する3つのコイルのそれぞれにプレヒート用の電流が最適時間分だけ供給されるようなシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路120に送信する。
【0097】
また、例えば、設定機能133bは、鉄シム103eの現在温度が、Tmaxより大きい場合には、最適時間分だけ何もせずに待つ。ここで、冷却システム200は、MRI装置100の動作とは無関係に傾斜磁場コイル103の冷却を行っている。このため、最適時間分だけ何もせずに待っていても、冷却システム200による傾斜磁場コイル103の冷却が行われる。
【0098】
そして、設定機能133bは、選択したプロトコルを実行するように、シーケンス制御回路120を制御する(ステップS212)。具体例を挙げて説明すると、設定機能133bは、選択したプロトコル及び選択したプロトコルのパラメータを用いてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路120に送信する。これにより、シーケンス制御回路120は、シーケンス情報に基づいて撮像を行う。すなわち、シーケンス制御回路120は、設定機能133bにより設定されたプロトコルの態様に従って、設定機能133bにより選択されたプロトコルを実行する。
【0099】
なお、設定機能133bは、シーケンス情報を生成する際に、鉄シム103eの温度とRFパルスの中心周波数の基準周波数からのずれとの対応表を参照し、ステップS206において予測したプロトコルの実行が完了した時点での鉄シム103eの温度に対応する中心周波数の基準周波数からのずれを用いて、中心周波数を補正し、補正した中心周波数を用いてシーケンス情報を生成する。ここで、かかる対応表は、記憶回路132に予め記憶されている。
【0100】
そして、設定機能133bは、ステップS202で設定された撮像条件に含まれる実行対象のプロトコルの中に、未選択のプロトコルがあるか否かを判定する(ステップS213)。未選択のプロトコルがない場合(ステップS213;No)には、設定機能133bは、撮像制御処理を終了する。
【0101】
一方、未選択のプロトコルがある場合(ステップS213;Yes)には、設定機能133bは、ステップS204に戻って、次に実行するプロトコルに対して同様の処理を行う。そして、設定機能133bは、上述したような処理を全てのプロトコルに対して行う。これにより、全てのプロトコルに対して、実行前に、最適時間分だけプレヒートや待ち制御を行うか否かが判定され、判定結果に応じた制御が行われる。
【0102】
図14は、図6AのステップS204〜S213を実行した結果の一例を示す図である。図14の例には、1つの検査において実行される3つのプロトコルと各プロトコルのパラメータとが撮像条件としてステップS202で設定されて、ステップS204〜S213が実行された結果の時間tと鉄シム103eの温度Tとの関係を示すグラフが示されている。
【0103】
図14のグラフが示すように、3つのプロトコルのうち、1番目に実行されるプロトコルが時間t8から時間t9まで実行されるが、このプロトコルが実行される前に、時間t7から時間t8までの時間t14分だけプレヒートが行われる。このようにプレヒートが行われるため、プレヒートを行わない場合よりも、1番目のプロトコルの実行の開始時点での鉄シム103eの温度と、1番目のプロトコルの実行の完了時点での鉄シム103eの温度との差が小さくなる。そのため、温度の変化に起因する鉄シム103eの透磁率の変化も小さくなり、RFパルスの中心周波数の変動が小さくなる。よって、脂肪抑止の妨げや画像中のアーチファクトの発生が抑えられる。したがって、画像の画質の劣化を抑制することができる。すなわち、鉄シム103eの温度の時間的な変化による撮像への画質的な影響を抑えることができる。
【0104】
そして、プレヒートが行われる時間t14は、操作者により設定された最大ヒート時間以下の時間である。すなわち、プレヒートが行われる時間は、長くとも、最大ヒート時間である。これにより、プレヒートの時間が増大するのを抑制することができる。そのため、操作者にとって、検査の開始から、プロトコルが実行されることにより撮像が行われるまでの時間が長く感じられてしまうような事態の発生を抑制することができる。すなわち、鉄シム103eの温度の時間的な変化による撮像への時間的な影響を抑えることができる。また、傾斜磁場コイル103の温度の時間的な変化による撮像への時間的な影響を抑えることができる。
【0105】
また、図14のグラフが示すように、2番目に実行されるプロトコルが時間t10から時間t11まで実行され、3番目に実行されるプロトコルが時間t12から時間t13まで実行される。そして、2番目のプロトコルが実行される前に、時間t9から時間t10までの時間t15分だけプレヒートが行われる。また、3番目のプロトコルが実行される前に、時間t11から時間t12までの時間t16分だけプレヒートが行われる。そのため、この場合においても、画像の画質の劣化を抑制することができる。すなわち、鉄シム103eの温度の時間的な変化による撮像への画質的な影響を抑えることができる。
【0106】
そして、プレヒートが行われる時間t15、t16は、操作者により設定された最大ヒート時間以下の時間である。そのため、この場合においても、プレヒートが行われる時間は、長くとも、最大ヒート時間である。これにより、この場合においても、プレヒートの時間が増大するのを抑制することができる。また、操作者にとって、検査の開始から、プロトコルが実行されることにより撮像が行われるまでの時間が長く感じられてしまうような事態の発生を抑制することができる。すなわち、鉄シム103eの温度の時間的な変化による撮像への時間的な影響を抑えることができる。
【0107】
図6Aの説明に戻り、プロトコル順序自動変更モードが操作者により選択された場合(ステップS203;Yes)には、設定機能133bは、記憶回路132に記憶された設定情報を参照し、画質を優先させるモード又は待ち時間の短縮を優先させるモードのうちいずれのモードが操作者により選択されたかを判定する(ステップS214)。
【0108】
画質を優先させるモードが操作者により選択された場合(ステップS214;画質)には、設定機能133bは、は、ステップS202で設定された撮像条件に含まれる実行対象の未選択の検査の中から、現在から最も早く実施される検査を1つ選択する(ステップS215)。
【0109】
そして、設定機能133bは、選択した検査において実行される複数のプロトコルを選択する(ステップS216)。
【0110】
次に、設定機能133bは、選択した複数のプロトコルのそれぞれについて、単独で実行された場合の鉄シム103eの温度を予測する(ステップS217)。例えば、設定機能133bは、選択した複数のプロトコルのそれぞれについて、鉄シム103eの温度が所定の基準温度(例えば、20度)である場合にプロトコルの実行が開始され、撮像条件が示す実行時間分だけプロトコルが実行され、プロトコルの実行が完了された時点での鉄シム103eの温度を予測する。
【0111】
ここで、このような温度の予測の方法の一例について説明する。例えば、設定機能133bは、選択した複数のプロトコルのそれぞれについて、上述した温度上昇モデルの導出方法と同様の方法で、温度上昇モデルを導出する。そして、設定機能133bは、選択した複数のプロトコルのそれぞれについて、温度上昇モデルにおいて、鉄シム103eの所定の基準温度に対応する時間から、撮像条件が示すプロトコルの実行時間だけ進めたときの温度Tを、プロトコルの実行が完了した時点での鉄シム103eの温度として予測する。このようにして、設定機能133bは、選択した複数のプロトコルのそれぞれについて、単独で実行された場合の鉄シム103eの温度を予測する。
【0112】
そして、設定機能133bは、選択した複数のプロトコルを、予測した温度の昇順に並び替える(ステップS218)。そして、設定機能133bは、並び替えた順番でプロトコルを実行するように、シーケンス制御回路120を制御する(ステップS219)。具体例を挙げて説明すると、設定機能133bは、選択した複数のプロトコルのそれぞれについて、当該プロトコルと、当該プロトコルが実行される順番と、当該プロトコルのパラメータとを用いてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路120に送信する。これにより、シーケンス制御回路120は、シーケンス情報に基づいて撮像を行う。なお、設定機能133bは、シーケンス情報を生成する際に、各プロトコルの実行が完了した時点での鉄シム103eの温度を予測し、上述した対応表を参照し、各プロトコルについて予測した温度に対応する中心周波数の基準周波数からのずれを用いて、中心周波数を補正し、補正した中心周波数を用いてシーケンス情報を生成する。
【0113】
以上のことから、設定機能133bは、複数のプロトコルのそれぞれの温度上昇モデルに基づいて、複数のプロトコルが実行される順番を決定し、決定した順番で複数のプロトコルが実行されるように複数のプロトコルの実行の態様を設定する。また、以上のことから、シーケンス制御回路120は、設定機能133bにより設定された複数のプロトコルの実行の態様に従って、複数のプロトコルを実行する。
【0114】
また、以上のことから、設定機能133bは、複数のプロトコルのそれぞれの温度上昇モデルに基づいて、複数のプロトコルのそれぞれについて当該プロトコルが実行された場合の鉄シム103eの温度を予測し、予測した温度が低いプロトコルから順に実行されるように複数のプロトコルの実行の態様を設定する。
【0115】
そして、設定機能133bは、ステップS202で設定された撮像条件に含まれる検査の中に、未選択の検査があるか否かを判定する(ステップS220)。未選択の検査がある場合(ステップS220;Yes)には、設定機能133bは、ステップS215に戻る。一方、未選択の検査がない場合(ステップS220;No)には、設定機能133bは、撮像制御処理を終了する。
【0116】
図15は、ステップS202で撮影条件として設定されたそのままの順番でプロトコルを実行した場合の結果と、ステップS215〜S220を実行して、実行するプロトコルの順番を並び替えた場合の結果の一例を示す図である。
【0117】
図15の上側に示すグラフについて説明する。図15の上側に示すグラフは、ステップS202で撮像条件として設定されたプロトコルの順番を並び替えずに、撮像条件として設定された3つのプロトコルを実行した場合の時間tと鉄シム103eの温度Tとの関係の一例を示す。なお、ここでは、ステップS202において、1つの検査において実行される3つのプロトコルが単独で実行された場合に、実行が完了された時点での鉄シム103eの温度が高い順に実行されるような順番が撮像条件として設定された場合を想定する。
【0118】
図15の上側のグラフが示すように、3つのプロトコルのうち、単独での実行が完了された時点での鉄シム103eの温度が最も高いプロトコルAが、時間t17から時間t18までの間実行される。また、3つのプロトコルのうち、単独での実行が完了された時点での鉄シム103eの温度がプロトコルAの次に高いプロトコルBが、時間t18から時間t19までの間実行される。そして、3つのプロトコルのうち、単独での実行が完了された時点での鉄シム103eの温度が最も低いプロトコルCが、時間t19から時間t20までの間実行される。
【0119】
ここで、図15の上側のグラフから、プロトコルAの実行が開始された時間t17での鉄シム103eの温度と、プロトコルAの実行が完了した時間t18での鉄シム103eの温度との差が大きいことが分かる。したがって、プロトコルAが、実行中に多くの撮像を行うようなプロトコルである場合には、プロトコルの実行の開始間際の時点での撮像におけるRFパルスの中心周波数と、完了間際の時点でのRFパルスの中心周波数との差が大きくなり、再構成される画像の画質が劣化してしまう。例えば、プロトコルAが、飽和温度が55度程度であり、実行時間が20分程度であり、2秒おきに1枚の画像の撮像を行うfMRI(functional Magnetic resonance imaging)である場合には、画像の画質が劣化してしまう。
【0120】
そこで、本実施形態では、画質を優先させるモードが操作者により選択された場合には、画像の画質の劣化を抑制するために、複数のプロトコルを、予測した温度の昇順に並び替える。
【0121】
図15の下側には、プロトコルA、プロトコルB、プロトコルCの順番を並び替えて、プロトコルC、プロトコルB、プロトコルAの順番で実行した場合の時間tと鉄シム103eの温度Tとの関係を示すグラフが示されている。
【0122】
図15の下側のグラフが示すように、プロトコルCが、時間t17から時間t22までの間実行される。また、プロトコルBが、時間t22から時間t23までの間実行される。そして、プロトコルAが、時間t24から時間t25までの間実行される。
【0123】
ここで、プロトコルBの実行が完了した時点で、すぐにプロトコルAの実行が開始されずに、時間t23から時間t24までの時間t26だけ待って、プロトコルAの実行が開始されている。この理由について説明する。例えば、プロトコルBの実行が完了した時点で、鉄シム103eの温度が高くなっており、傾斜磁場コイル103の冷却期間を設けずに、すぐに、プロトコルAの実行時間分だけプロトコルAを実行してしまうと、MRI装置100の許容温度Tを超えてしまう可能性がある。
【0124】
そこで、設定機能133bは、待ち時間である時間t26を算出し、プロトコルBの実行が完了してから時間t26分だけ何もせずに待って、常時稼働している冷却システム200による傾斜磁場コイル103の冷却だけを行わせるように制御する。すなわち、設定機能133bは、図15の下側のグラフに示すようなタイミングで各プロトコルを実行するようなシーケンス制御情報を生成し、生成したシーケンス制御情報をシーケンス制御回路120に送信する。これにより、待ち時間t26は発生するものの、MRI装置100の許容温度Tを超えずに、画像の画質の劣化を抑制することができる。すなわち、鉄シム103eの温度の時間的な変化による撮像への画質的な影響を抑えることができる。
【0125】
ここで、待ち時間t26を算出する方法の一例について説明する。例えば、設定機能133bは、まず、鉄シム103e(傾斜磁場コイル103)の現在温度を取得する。そして、設定機能133bは、プロトコルAの温度上昇モデルにおいて、撮像条件が示すプロトコルAの実行時間だけ実行しても、許容温度Tを超えない場合のプロトコルAの実行開始時点の温度Tstartを特定する。そして、設定機能133bは、冷却温度下降モデルにおいて、傾斜磁場コイル103の現在温度に対応する時間から、温度Tstartに対応する時間までの時間を、待ち時間の候補として算出する。
【0126】
そして、設定機能133bは、記憶回路132に記憶された設定情報を参照し、待ち時間の候補と、設定情報が示す最大冷却時間とを比較する。そして、設定機能133bは、待ち時間の候補が、最大冷却時間以上である場合には、最大冷却時間を待ち時間t26とする。一方、設定機能133bは、待ち時間の候補が、最大冷却時間未満である場合には、待ち時間の候補を待ち時間t26とする。このようにして、設定機能133bは、冷却温度下降モデルに基づいて、待ち時間t26を算出し、時間t23から待ち時間t26だけ待ってプロトコルAを実行するというプロトコルの実行態様を設定する。すなわち、設定機能133bは、冷却温度下降モデルに基づいて、実行対象のプロトコルAを撮像条件が示す所定のプロトコルAの実行時間だけ実行させた場合に、傾斜磁場コイル103の温度が所定の許容温度Tを超えないときの待ち時間t26であって、受付機能133aにより受け付けられた傾斜磁場コイル103の温度を低下させる制御の実行時間以下の待ち時間だけ傾斜磁場コイル103の温度を低下させる制御が行われるようにプロトコルAの実行の態様を設定する。
【0127】
図6Aの説明に戻り、待ち時間の短縮を優先させるモードが操作者により選択された場合(ステップS214;待ち時間)には、設定機能133bは、図6Bに示すように、ステップS202で設定された撮像条件に含まれる実行対象の未選択の検査の中から、現在から最も早く実施される検査を1つ選択する(ステップS221)。
【0128】
そして、設定機能133bは、選択した検査において実行される複数のプロトコルを選択する(ステップS222)。
【0129】
次に、設定機能133bは、選択した複数のプロトコルのそれぞれについて、ステップS217と同様に、単独で実行された場合の鉄シム103eの温度を予測する(ステップS223)。
【0130】
そして、設定機能133bは、選択した複数のプロトコルを、予測した温度の降順に並び替える(ステップS224)。そして、設定機能133bは、ステップS219と同様に、並び替えた順番でプロトコルを実行するようなシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路120に送信してシーケンス制御回路120を制御する(ステップS225)。これにより、シーケンス制御回路120は、シーケンス情報に基づいて撮像を行う。なお、設定機能133bは、シーケンス情報を生成する際に、上述した方法と同様の方法で、中心周波数を補正し、補正した中心周波数を用いてシーケンス情報を生成する。
【0131】
以上のことから、設定機能133bは、複数のプロトコルのそれぞれの温度上昇モデルに基づいて、複数のプロトコルが実行される順番を決定し、決定した順番で複数のプロトコルが実行されるように複数のプロトコルの実行の態様を設定する。また、以上のことから、シーケンス制御回路120は、設定機能133bにより設定された複数のプロトコルの実行の態様に従って、複数のプロトコルを実行する。
【0132】
また、以上のことから、設定機能133bは、複数のプロトコルのそれぞれの温度上昇モデルに基づいて、複数のプロトコルのそれぞれについて当該プロトコルが実行された場合の鉄シム103eの温度を予測し、予測した温度が高いプロトコルから順に実行されるように複数のプロトコルの実行の態様を設定する。
【0133】
そして、設定機能133bは、ステップS202で設定された撮像条件に含まれる検査の中に、未選択の検査があるか否かを判定する(ステップS226)。未選択の検査がある場合(ステップS226;Yes)には、設定機能133bは、ステップS221に戻る。一方、未選択の検査がない場合(ステップS226;No)には、設定機能133bは、撮像制御処理を終了する。以上、撮像条件を受け付けて、受け付けた撮像条件に基づいて撮像を行う撮像制御処理の流れについて説明した。
【0134】
ステップS201〜202は、受付機能133aに対応するステップである。処理回路133が記憶回路132から受付機能133aに対応する所定のプログラムを読み出して実行することにより、受付機能133aが実現されるステップである。また、ステップS203〜226は、設定機能133bに対応するステップである。処理回路133が記憶回路132から設定機能133bに対応する所定のプログラムを読み出して実行することにより、設定機能133bが実現されるステップである。
【0135】
図16は、ステップS202で撮影条件として設定されたそのままの順番でプロトコルを実行した場合の結果と、ステップS221〜S226を実行して、実行するプロトコルの順番を並び替えた場合の結果の一例を示す図である。
【0136】
図16の上側に示すグラフについて説明する。図16の上側に示すグラフは、ステップS202で撮像条件として設定されたプロトコルの順番を並び替えずに、撮像条件として設定された3つのプロトコルを実行した場合の時間tと鉄シム103eの温度Tとの関係を示す。なお、ここでは、ステップS202において、1つの検査において実行される3つのプロトコルが単独で実行された場合に、実行が完了された時点での鉄シム103eの温度が低い順に実行されるような順番が撮像条件として設定された場合を想定する。
【0137】
図16の上側のグラフが示すように、3つのプロトコルのうち、単独での実行が完了された時点での鉄シム103eの温度が最も低いプロトコルDが、時間t27から時間t28までの間実行される。また、3つのプロトコルのうち、単独での実行が完了された時点での鉄シム103eの温度がプロトコルDの次に低いプロトコルEが、時間t28から時間t29までの間実行される。そして、3つのプロトコルのうち、単独での実行が完了された時点での鉄シム103eの温度が最も高いプロトコルFが、時間t30から時間t31までの間実行される。なお、図16の例では、図15の例で説明した待ち時間t26が発生する理由と同様の理由で待ち時間t32が発生する。
【0138】
ここで、図16の上側のグラフから、プロトコルD、プロトコルE、プロトコルFを順に実行した場合には、待ち時間t32が発生するため、検査全体の時間が増大してしまうことが分かる。したがって、プロトコルFが、比較的大きな飽和温度を有し、短時間で飽和温度に達してしまうようなプロトコルである場合には、鉄シム103eの温度がMRI装置100の許容温度Tを超えないようにするために待ち時間が発生するため、検査全体の時間が増大してしまう。例えば、プロトコルFが、飽和温度が80度程度であり、実行時間が30秒程度であり、1回の実行で1枚の画像の撮像を行う水脂肪分離法のプロトコルである場合には、待ち時間が発生するため、検査全体の時間が増大してしまう。
【0139】
そこで、本実施形態では、待ち時間の短縮を優先させるモードが操作者により選択された場合には、検査全体の時間の増大を抑制するために、複数のプロトコルを、予測した温度の降順に並び替える。
【0140】
図16の下側には、プロトコルD、プロトコルE、プロトコルFの順番を並び替えて、プロトコルF、プロトコルE、プロトコルDの順番で実行した場合の時間tと鉄シム103eの温度Tとの関係を示すグラフが示されている。
【0141】
図16の下側のグラフが示すように、プロトコルFが、時間t27から時間t33までの間実行される。また、プロトコルEが、時間t33から時間t34までの間実行される。そして、プロトコルDが、時間t34から時間t35までの間実行される。
【0142】
ここで、図16の下側のグラフから、プロトコルFの実行が開始された時間t27での鉄シム103eの温度と、プロトコルFの実行が完了した時間t33での鉄シム103eの温度との差が大きいことが分かる。したがって、プロトコルFが、実行中に多くの撮像を行うようなプロトコルである場合には、画像の画質が劣化してしまうが、一方、待ち時間の発生が抑制されるため、検査全体の時間の増大を抑制することができる。すなわち、鉄シム103eの温度の時間的な変化による撮像への時間的な影響を抑えることができる。
【0143】
また、プロトコルF、プロトコルE、プロトコルDの順番で実行する場合において、プロトコルFが、実行中に1回のみ撮像を行うようなプロトコルである場合には、そもそもRFパルスの中心周波数のずれが生じず、画像の画質が劣化しない。例えば、プロトコルFが、上述した水脂肪分離法のプロトコルである場合には、プロトコルF、プロトコルE、プロトコルDの順番で実行しても、画像の画質の劣化を抑制することができ、かつ、検査全体の時間の増大を抑制することができる。すなわち、鉄シム103eの温度の時間的な変化による撮像への画質的な影響及び時間的な影響を抑えることができる。
【0144】
次に、設定機能133bが行う他の処理について説明する。図17は、設定機能133bが行う他の処理について説明するための図である。
【0145】
例えば、設定機能133bは、MRI装置100の電源スイッチがオンされてMRI装置100が起動すると、記憶回路132に記憶された設定情報を参照し、ウェイクアップモードが操作者により選択されたか否かを判定する。そして、設定機能133bは、ウェイクアップモードが操作者により選択されている場合には、MRI装置100の起動時には鉄シム103eの温度が低いため、鉄シム103eの温度を上昇させるプレヒートを実行するように制御する。
【0146】
例えば、ウェイクアップモードが操作者により選択されており、図17の例の左側に示すように、午前8時にMRI装置100が起動した場合について説明する。この場合には、設定機能133bは、記憶回路132に記憶された撮像条件を参照し、現在から最も早く実行されるプロトコル「fMRI」を特定する。そして、設定機能133bは、図17の例の右側に示すように、fMRIの実行が開始される午前9時までプレヒートを行うように制御する。これにより、fMRIの実行が開始されるときには、鉄シム103eの温度が上昇しているので、画像の画質の劣化を抑制することができる。すなわち、鉄シム103eの温度の時間的な変化による撮像への画質的な影響を抑えることができる。
【0147】
また、設定機能133bは、実行対象のプロトコルが、プレヒートが必要なプロトコルであるか否かを判定し、判定結果に応じて、プレヒートを行うか否かを制御するプレヒート判定処理を行うこともできる。ここで、設定機能133bは、実行対象のプロトコルが、実行開始時における鉄シム103eの温度と、実行完了時における鉄シム103eの温度との差が所定値より大きいようなプロトコルであるか否かを判定することにより、プレヒートが必要なプロトコルであるか否かを判定することができる。図18は、プレヒート判定処理の流れの一例を示す図である。
【0148】
ここで、記憶回路132には、予めプロトコル温度差情報が記憶されている。プロトコル温度差情報には、MRI装置100が備えられた病院内で実施された過去の検査において測定された実行開始時における鉄シム103eの温度と、実行完了時における鉄シム103eの温度との差が、プロトコルの種類ごとに登録されている。
【0149】
図18の例に示すように、設定機能133bは、記憶回路132に記憶された撮像条件を参照し、現在から最も早く実行されるプロトコルを1つ選択する(ステップS301)。
【0150】
そして、設定機能133bは、記憶回路132に記憶されたプロトコル温度差情報を参照し、選択したプロトコルの種類に対応する実行開始時における鉄シム103eの温度と実行完了時における鉄シム103eの温度との差を特定する(ステップS302)。
【0151】
次に、設定機能133bは、特定した差が所定値γ以上であるか否かを判定する(ステップS303)。ここで、所定値γとして、例えば、実験的に求められた、プレヒートが必要になるときの、プロトコルの実行開始時における鉄シム103eの温度と実行完了時における鉄シム103eの温度との差の最小値が採用される。
【0152】
特定した差が所定値γ以上である場合(ステップS303;Yes)には、設定機能133bは、プレヒートを実行するように制御し(ステップS304)、プレヒート判定処理を終了する。例えば、設定機能133bは、傾斜磁場コイル103を形成する3つのコイルのそれぞれにプレヒート用の電流が供給されるようなシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路120に送信し、プレヒート判定処理を終了する。
【0153】
また、特定した差が所定値γ未満である場合(ステップS303;No)も、設定機能133bは、プレヒート判定処理を終了する。
【0154】
すなわち、設定機能133bは、プロトコルが実行された場合の実行開始時における鉄シム103eの温度と実行完了時における鉄シム103eの温度との差に基づいて、鉄シム103eの温度を上昇させるプレヒートが行われるか否かを示すプロトコルの実行の態様を設定する。
【0155】
以上、プレヒート判定処理の流れについて説明した。プレヒート判定処理を実行する設定機能133bによれば、実行対象のプロトコルの種類に応じて、プレヒートが必要な種類のプロトコルに対してプレヒートを行うように制御するので、プレヒートを適切に行うことができる。
【0156】
なお、ステップS301〜304は、設定機能133bに対応するステップである。処理回路133が記憶回路132から設定機能133bに対応する所定のプログラムを読み出して実行することにより、設定機能133bが実現されるステップである。
【0157】
また、設定機能133bは、記憶回路132に記憶された検査予約情報を参照し、検査が行われていない時間を特定し、特定した時間にプレヒートを行うこともできる。なお、検査予約情報には、検査が実施される時間帯が、検査毎に登録されている。
【0158】
図19は、設定機能133bが行う他の処理について説明するための図である。図19の例の左側に示すように、設定機能133bは、検査予約情報を参照し、検査が行われていない午前12から午後1時(13時)までの休憩時間を特定する。そして、設定機能133bは、図19の例の左側に示すように、特定した休憩時間に、プレヒートを実行するように制御する。
【0159】
ここで、設定機能133bは、特定した時間にプレヒートを行うか否かについて、図18を用いて説明したプレヒート判定処理を行うことにより判定し、そして、設定機能133bは、判定結果に応じてプレヒートを実行するように制御してもよい。
【0160】
図1の説明に戻り、表示制御機能133cは、現在の鉄シム103eの温度と、現在から最も早く実行されるプロトコルと、このプロトコルの温度上昇モデルとに応じて、このプロトコルが実行されるタイミングを示す情報をディスプレイ135に表示させる。なお、表示制御機能133cは、特許請求の範囲に記載された表示制御部の一例である。
【0161】
図20は、表示制御機能133bによりディスプレイ135に表示される、プロトコルが実行されるタイミングを示す情報の一例を示す図である。図20の例では、プロトコルが実行されるタイミングを示す情報として、領域34、領域35及び領域36のそれぞれに青色の画像、黄色の画像、赤色の画像が表示される。
【0162】
例えば、表示制御機能133cは、記憶回路132に記憶された撮像条件を参照し、現在から最も早く実行されるプロトコルを選択する。そして、表示制御機能133cは、最適プレヒート時間を算出する。なお、表示制御機能133cは、先の図6のステップS210において設定機能133bが最適プレヒート時間を算出した方法と同様の方法で、最適プレヒート時間を算出する。
【0163】
そして、表示制御機能133cは、最適プレヒート時間が、第1の閾値以上である場合には、今すぐには撮像が行えないため、図20の例に示すように、領域34cに赤色の画像を表示させる。
【0164】
また、表示制御機能133cは、最適プレヒート時間が、第1の閾値未満であり、第1の閾値よりも小さい第2の閾値以上である場合には、少し待てば撮像が行えるため、図20の例に示すように、領域34bに黄色の画像を表示させる。
【0165】
また、表示制御機能133cは、最適プレヒート時間が、第2の閾値未満である場合には、すぐに撮像が行えるため、図20の例に示すように、領域34aに青色の画像を表示させる。
【0166】
したがって、操作者は、領域34a〜34cに表示された画像の色を確認するだけで、容易にプロトコルの実行タイミングを把握することができる。
【0167】
そして、表示制御機能133cは、上述した処理を所定時間(例えば、2秒)ごとに実行して、プロトコルが実行されるタイミングを示す情報をリアルタイムでディスプレイ135に表示させる。
【0168】
以上、実施形態に係るMRI装置100について説明した。MRI装置100によれば、上述したように、鉄シム103eの温度の時間的な変化による撮像への影響を抑えることができる。
【0169】
なお、図15の下側のグラフが示す例において、設定機能133bが、冷却システム200による冷却だけを行わせる時間t26を算出する例について説明した。これは、プロトコルBの実行が完了した時点で、鉄シム103eの温度が高くなっており、傾斜磁場コイル103の冷却期間を設けずに、すぐに、プロトコルAの実行時間分だけプロトコルAを実行してしまうと、MRI装置100の許容温度Tを超えてしまう可能性があるからである。しかしながら、実施形態はこれに限られない。例えば、設定機能133bは、プロトコルBの実行が完了した時点で、プロトコルAの実行時間分だけプロトコルAを実行するのではなく、許容温度Tを超えない時間だけプロトコルAを実行してもよい。
【0170】
例えば、設定機能133bは、プロトコルAの温度上昇モデルにおいて、プロトコルBの実行が完了した時点での鉄シム103eの温度に対応する時間から、許容温度Tを超えない温度に対応する時間までの時間を、上述した許容温度Tを超えない時間として算出すればよい。そして、設定機能133bは、プロトコルBの実行が完了した時点から、算出した時間分だけプロトコルAを実行すればよい。このように、設定機能133bは、撮像条件として設定された実行時間分だけ実行した場合に許容温度Tを超えてしまうようなプロトコルであっても、実行する時間を調整することで、実行することができる。
【0171】
以上述べた少なくとも1つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置によれば、鉄シム103eの温度の時間的な変化による撮像への影響を抑えることができる。
【0172】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0173】
100 MRI装置
133a 受付機能
133b 設定機能
133c 表示制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20