特許第6571396号(P6571396)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571396
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】建設機械の油圧回路ユニット
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20190826BHJP
   F15B 11/04 20060101ALI20190826BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   F15B11/00 U
   F15B11/00 Q
   F15B11/04 E
   E02F9/22 C
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-111295(P2015-111295)
(22)【出願日】2015年6月1日
(65)【公開番号】特開2016-223551(P2016-223551A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】柿本 浩
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−127727(JP,A)
【文献】 特許第3643193(JP,B2)
【文献】 特開2000−170212(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/063749(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00−11/22
21/14
E02F 3/42−3/43
3/84−3/85
9/20−9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口を有する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプの前記吐出口から作動油が吐出される吐出流路と、
前記吐出流路を通して前記作動油が供給され、中立位置から第1の変位方向及び第2の変位方向に変位可能な制御弁と、
前記制御弁を通して前記作動油が供給されることにより作動される油圧モータであって、前記制御弁の前記中立位置から前記第1の変位方向への変位に対応して前記作動油が供給されることにより、第1の回転方向に向かって回転するとともに、前記制御弁の前記中立位置から前記第2の変位方向への変位に対応して前記作動油が供給されることにより、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に向かって回転し、前記第1の回転方向への回転及び前記第2の回転方向への回転のそれぞれによって旋回体を旋回させる油圧モータと、
前記制御弁から延設され、前記油圧モータに供給されない前記作動油が前記制御弁から流入するセンターバイパス流路と、
前記制御弁から前記センターバイパス流路に向かって前記作動油を流入させるバイパス開口であって、前記制御弁が前記中立位置に位置する状態では開状態であるとともに、前記制御弁が前記中立位置から前記第1の変位方向に変位した状態、及び、前記制御弁が前記中立位置から前記第2の変位方向に変位した状態のそれぞれでは、前記制御弁の前記中立位置からの変位量が大きくなるにつれて開口面積が小さくなるとともに、前記制御弁の前記中立位置からの前記変位量が最大になる状態でも開状態で保たれるバイパス開口と、
前記油圧モータに供給される前記作動油を前記制御弁に流入させる供給開口であって、前記制御弁が前記中立位置に位置する状態では閉状態になるとともに、前記制御弁が前記中立位置から前記第1の変位方向に変位した状態、及び、前記制御弁が前記中立位置から前記第2の変位方向に変位した状態のそれぞれにおいて、開状態となる供給開口と、
前記センターバイパス流路において前記制御弁より下流側に設けられ、前記制御弁より前記下流側で前記センターバイパス流路の開閉を切替え可能な開閉弁と、
前記制御弁が前記中立位置から前記第1の変位方向に変位した状態、及び、前記制御弁が前記中立位置から前記第2の変位方向に変位した状態のそれぞれにおいて、前記制御弁の前記中立位置からの前記変位を検出する変位検出部と、
前記制御弁が前記中立位置から前記第1の変位方向へ変位した状態、及び、前記制御弁が前記中立位置から前記第2の変位方向に変位した状態のそれぞれにおいて、前記吐出流路から前記制御弁を通して前記油圧モータに供給される前記作動油の油圧を検出する油圧検出部と、
前記変位検出部及び前記油圧検出部での検出結果に基づいて前記開閉弁を制御する制御部であって、前記制御弁の前記中立位置から前記第1の変位方向への前記変位量が基準変位量以上になった状態、及び、前記制御弁の前記中立位置から前記第2の変位方向への前記変位量が前記基準変位量以上になった状態のそれぞれでは、前記油圧検出部で検出される前記油圧が基準値以上の間は前記開閉弁において前記センターバイパス流路を開状態で保つとともに、前記油圧検出部で検出される前記油圧が前記基準値より小さい範囲まで下がったことに基づいて前記開閉弁において前記センターバイパス流路を閉状態に切替える制御部と、
を具備する、建設機械の油圧回路ユニット。
【請求項2】
前記油圧ポンプからの前記作動油の吐出量を調整する吐出調整部と、
前記開閉弁より前記下流側において前記センターバイパス流路から分岐し、前記吐出調整部へ向かって延設される制御流路であって、前記開閉弁を通過した前記作動油によって発生した油圧を前記吐出調整部に作用させることにより、前記油圧ポンプからの前記作動油の前記吐出量を減少させる制御流路と、
をさらに具備する、請求項1の建設機械の油圧回路ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に設けられる油圧回路ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作動油を吐出流路に向かって吐出する油圧ポンプを備える建設機械の油圧回路ユニットが開示されている。この油圧回路ユニットでは、吐出流路を通して制御弁に作動油が供給され、制御弁は、弁操作レバーでの操作に基づいて中立位置から変位可能である。油圧回路ユニットでは、制御弁を通してアクチュエータである油圧モータへ作動油が供給されるとともに、アクチュエータに供給されない作動油は制御弁からセンターバイパス流路に流入する。制御弁が中立位置に位置する状態では、油圧モータへの作動油の供給は遮断され、制御弁が中立位置から変位することにより油圧モータへ作動油が供給される。また、制御弁からセンターバイパス流路に作動油を流入させるバイパス開口は、制御弁が中立位置に位置する状態において開状態であり、制御弁の中立位置からの変位量が大きくなるにつれて開口面積が小さくなる。ただし、制御弁の中立位置からの変位量が最大になる状態でも、バイパル開口は開状態で保たれ、センターバイパス流路に作動油が流入する。
【0003】
また、油圧回路ユニットでは、センターバイパス流路において制御弁より下流側に開閉弁が設けられ、開閉弁によって、制御弁より下流側でセンターバイパス流路の開閉が切替えられる。弁操作レバーでの操作に基づいてパイロット管路を通して制御弁にパイロット油が供給されることにより、制御弁は中立位置から変位する。また、パイロット油はパイロット管路から絞りに供給される。絞りを通過したパイロット油が開閉弁に供給されることにより、開閉弁においてセンターバイパス流路が開状態から閉状態に切替わる。ここで、パイロット油が絞りを通過するには、時間を要する。このため、制御弁が中立位置から変位した時点から開閉弁においてセンターバイパス流路が閉状態になる時点まで、時間を要する。したがって、制御弁が中立位置から変位しても、油圧モータに急激に大量の作動油が供給されることが防止され、作動開始時等における油圧モータ(アクチュエータ)の急激な加速が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3643193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の油圧回路ユニットでは、パイロット油の温度、粘性等によってパイロット油が絞りを通過する時間が変化する。パイロット油が絞りを通過する時間が短くなることにより、制御弁が中立位置から変位してから開閉弁においてセンターバイパス流路が閉状態になるまでの時間も短くなる。この場合、制御弁が中立位置から変位すると、アクチュエータに急激に大量の作動油が供給され、アクチュエータが急激に加速する可能性がある。
【0006】
本発明は前記課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、制御弁が中立位置から変位した際に、アクチュエータに急激に大量の作動油が供給されることが確実に防止される油圧回路ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のある態様の建設機械の油圧回路ユニットは、吐出口を有する油圧ポンプと、前記油圧ポンプの前記吐出口から作動油が吐出される吐出流路と、前記吐出流路を通して前記作動油が供給され、中立位置から第1の変位方向及び第2の変位方向に変位可能な制御弁と、前記制御弁を通して前記作動油が供給されることにより作動される油圧モータであって、前記制御弁の前記中立位置から前記第1の変位方向への変位に対応して前記作動油が供給されることにより、第1の回転方向に向かって回転するとともに、前記制御弁の前記中立位置から前記第2の変位方向への変位に対応して前記作動油が供給されることにより、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に向かって回転し、前記第1の回転方向への回転及び前記第2の回転方向への回転のそれぞれによって旋回体を旋回させる油圧モータと、前記制御弁から延設され、前記油圧モータに供給されない前記作動油が前記制御弁から流入するセンターバイパス流路と、前記制御弁から前記センターバイパス流路に向かって前記作動油を流入させるバイパス開口であって、前記制御弁が前記中立位置に位置する状態では開状態であるとともに、前記制御弁が前記中立位置から前記第1の変位方向に変位した状態、及び、前記制御弁が前記中立位置から前記第2の変位方向に変位した状態のそれぞれでは、前記制御弁の前記中立位置からの変位量が大きくなるにつれて開口面積が小さくなるとともに、前記制御弁の前記中立位置からの前記変位量が最大になる状態でも開状態で保たれるバイパス開口と、前記油圧モータに供給される前記作動油を前記制御弁に流入させる供給開口であって、前記制御弁が前記中立位置に位置する状態では閉状態になるとともに、前記制御弁が前記中立位置から前記第1の変位方向に変位した状態、及び、前記制御弁が前記中立位置から前記第2の変位方向に変位した状態のそれぞれにおいて、開状態となる供給開口と、前記センターバイパス流路において前記制御弁より下流側に設けられ、前記制御弁より前記下流側で前記センターバイパス流路の開閉を切替え可能な開閉弁と、前記制御弁が前記中立位置から前記第1の変位方向に変位した状態、及び、前記制御弁が前記中立位置から前記第2の変位方向に変位した状態のそれぞれにおいて、前記制御弁の前記中立位置からの前記変位を検出する変位検出部と、前記制御弁が前記中立位置から前記第1の変位方向へ変位した状態、及び、前記制御弁が前記中立位置から前記第2の変位方向に変位した状態のそれぞれにおいて、前記吐出流路から前記制御弁を通して前記油圧モータに供給される前記作動油の油圧を検出する油圧検出部と、前記変位検出部及び前記油圧検出部での検出結果に基づいて前記開閉弁を制御する制御部であって、前記制御弁の前記中立位置から前記第1の変位方向への前記変位量が基準変位量以上になった状態、及び、前記制御弁の前記中立位置から前記第2の変位方向への前記変位量が前記基準変位量以上になった状態のそれぞれでは、前記油圧検出部で検出される前記油圧が基準値以上の間は前記開閉弁において前記センターバイパス流路を開状態で保つとともに、前記油圧検出部で検出される前記油圧が前記基準値より小さい範囲まで下がったことに基づいて前記開閉弁において前記センターバイパス流路を閉状態に切替える制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御弁が中立位置から変位した際に、アクチュエータに急激に大量の作動油が供給されることが確実に防止される油圧回路ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る油圧回路ユニットの構成を示す概略図である。
図2】第1の実施形態に係る油圧モータを作動させる際の制御部での処理を示すフローチャートである。
図3】第1の変形例に係る油圧モータを作動させる際の制御部での処理を示すフローチャートである。
図4】第2の変形例に係る油圧回路ユニットの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1及び図2を参照にして説明する。図1は、本実施形態の油圧回路ユニット1を示す図である。油圧回路ユニット1は、例えばパワーショベル、クレーン等の建設機械において、適用される。
【0011】
図1に示すように、油圧回路ユニット1は、エンジン2と、油が貯められる油タンク3と、エンジン2に連結されるメインポンプ(油圧ポンプ)5と、を備える。エンジン2が発動されることにより、メインポンプ5が作動される。また、メインポンプ5は、吐出口6を有し、容量(吐出量)が変化可能な容量可変ポンプである。油タンク3とメインポンプ5との間には、メイン供給流路7が延設されている。また、メインポンプ5の吐出口6からは、メイン吐出流路(吐出流路)8が延設されている。メインポンプ(油圧ポンプ)5が作動されることにより、油タンク3からメインポンプ5に油が供給され、メインポンプ5の吐出口6から油が作動油としてメイン吐出流路8に吐出される。
【0012】
油圧回路ユニット1は、制御弁10を備え、メイン吐出流路8は、メインポンプ5から制御弁10まで延設されている。メイン吐出流路8に吐出された作動油は、制御弁10に供給される。油圧回路ユニット1では、制御弁10からセンターバイパス流路11が延設されている。センターバイパス流路11は、バイパス開口12を有し、バイパス開口12で制御弁10に接続されている。また、センターバイパス流路11は、バイパス開口12を介してメイン吐出流路8と連通している。センターバイパス流路11の下流側には、メイン回収流路13が延設されている。メイン回収流路13は、油タンク3まで延設されている。
【0013】
メイン吐出流路8からは、中継供給流路15が分岐し、中継供給流路15は、制御弁10まで延設されている。中継供給流路15は、供給開口16を有し、供給開口16で制御弁10に接続されている。また、制御弁10からは、中継回収流路17が延設され、中継回収流路17は、メイン回収流路13に合流している。中継回収流路17は、回収開口18を有し、回収開口18で制御弁10に接続されている。
【0014】
油圧回路ユニット1は、アクチュエータとして油圧モータ20を備える。油圧モータ20は、例えば、建設機械において旋回体を旋回させる際に作動されるアクチュエータである。なお、ある変形例では、建設機械においてブーム(図示しない)を起伏させる際に作動されるシリンダー(図示しない)、パワーショベルにおいてバケット(図示しない)による掘削動作の際に作動されるシリンダー(図示しない)が、油圧モータ20の代わりに、又は、油圧モータ20に加えて、アクチュエータとして設けられてもよい。油圧回路ユニット1では、制御弁10から油圧モータ20まで第1のアクチュエータ流路21及び第2のアクチュエータ流路22が延設されている。
【0015】
制御弁10は中立位置を有し、中立位置から第1の変位方向(図1の矢印Y1の方向)及び第2の変位方向(図1の矢印Y2の方向)に変位可能である。制御弁10が中立位置に位置する状態では、バイパス開口12が開状態になり、メイン吐出流路8とセンターバイパス流路11との間が連通する。このため、制御弁10からバイパス開口12を通してセンターバイパス流路11に向かって作動油が流入する。また、制御弁10が中立位置に位置する状態では、供給開口16及び回収開口18が閉状態となる。このため、中継供給流路15及び中継回収流路17は、第1のアクチュエータ流路21及び第2のアクチュエータ流路22のいずれとも連通が遮断される。したがって、制御弁10が中立位置に位置する状態では、油圧モータ20に作動油が供給されず、油圧モータ20の作動が停止される。
【0016】
制御弁10が第1の変位方向又は第2の変位方向に中立位置から変位することにより、供給開口16及び回収開口18が開状態になる。これにより、油圧モータ20に作動油が供給され、油圧モータ20が作動される。制御弁10が中立位置から第1の変位方向へ変位することにより、制御弁10において、中継供給流路15が第1のアクチュエータ流路21と連通し、中継回収流路17が第2のアクチュエータ流路22と連通する。これにより、中継供給流路15から第1のアクチュエータ流路21を通して油圧モータ20に作動油が供給されるとともに、油圧モータ20から第2のアクチュエータ流路22を通して中継回収流路17に作動油が回収され、油圧モータ20が作動される。この際、油圧モータ20は、回転方向の一方である第1の回転方向に向かって回転する。一方、制御弁10が中立位置から第2の変位方向へ変位することにより、制御弁10において、中継供給流路15が第2のアクチュエータ流路22と連通し、中継回収流路17が第1のアクチュエータ流路21と連通する。これにより、中継供給流路15から第2のアクチュエータ流路22を通して油圧モータ20に作動油が供給されるとともに、油圧モータ20から第1のアクチュエータ流路21を通して中継回収流路17に作動油が回収され、油圧モータ20が作動される。この際、油圧モータ20は、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に向かって回転する。なお、中継供給流路15には、制御弁10から中継供給流路15を通してのメイン吐出流路8への作動油の逆流を防止するシャトル弁23が配置されている。
【0017】
制御弁10が第1の変位方向又は第2の変位方向に中立位置から変位した場合、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が大きくなるにつれてバイパス開口12の開口面積が小さくなる。ただし、制御弁10が中立位置から変位しても、バイパス開口12は開状態で保たれる。そして、制御弁10の第1の変位方向への変位量εaが最大になる状態、及び、制御弁10の第2の変位方向への変位量εbが最大になる状態において、バイパス開口12は開状態となる。したがって、制御弁10の第1の変位方向への変位量εaが最大になる状態、及び、制御弁10の第2の変位方向への変位量εbが最大になる状態においても、油圧モータ20に供給されない作動油が制御弁10からバイパス開口12を通してセンターバイパス流路11に向かって流入可能である。
【0018】
油圧回路ユニット1では、メインリリーフ流路25が、メイン吐出流路8から分岐し、メイン回収流路13に合流している。メインリリーフ流路25には、リリーフ弁(メインリリーフ弁)26が配置されている。リリーフ弁26は、所定の作動圧力P0を有する。メイン吐出流路8での油圧Pがリリーフ弁26の作動圧力P0より小さい間は、リリーフ弁26は作動されず、リリーフ弁26を作動油は通過しない。一方、メイン吐出流路8での油圧Pがリリーフ弁26の作動圧力P0以上になると、リリーフ弁26が作動され、メイン吐出流路8からメイン回収流路13に向かってリリーフ弁26を作動油が通過する。この際、リリーフ弁26で作動油が開放されることにより、作動油の圧力エネルギーが熱エネルギーに変換され、エネルギー損失が発生する。
【0019】
油圧回路ユニット1は、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pを検出する油圧検出部として圧力センサ27を備える。また、油圧回路ユニット1は、建設機械全体の制御を行う制御部30を備える。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)又はASIC(application specific integrated circuit)を備えるプロセッサ、及び、メモリ等の記憶媒体から構成されている。圧力センサ27からは、作動油の油圧Pの検出結果を示す検出信号(電気信号)が、制御部30に伝達される。
【0020】
油圧回路ユニット1は、エンジン2に連結されるサブポンプ(油圧ポンプ)31を備える。エンジン2が発動されることにより、サブポンプ31が作動される。また、サブポンプ31は、吐出口32を有する。メイン供給流路7からは、サブ供給流路33が分岐し、サブ供給流路33はサブポンプ31まで延設されている。また、サブポンプ31の吐出口32からは、サブ吐出流路35が延設されている。サブポンプ31が作動されることにより、油タンク3からサブポンプ31に油が供給され、サブポンプ31の吐出口32から油がパイロット油としてサブ吐出流路35に吐出される。
【0021】
油圧回路ユニット1は、制御弁10を中立位置から変位させる操作が入力される操作入力部である操作レバー36と、操作レバー36での操作入力に基づいて作動状態が切替わる操作弁37と、を備える。サブ吐出流路35は、サブポンプ31から操作弁37まで延設されている。サブ吐出流路35に吐出されたパイロット油は、操作弁37に供給される。また、油圧回路ユニット1では、油タンク3までサブ回収流路38が延設されている。
【0022】
油圧回路ユニット1では、サブリリーフ流路41が、サブ吐出流路35から分岐し、サブ回収流路38に合流している。サブリリーフ流路41には、リリーフ弁(サブリリーフ弁)42が配置されている。リリーフ弁42は、所定の作動圧力P´0を有する。サブ吐出流路35の油圧P´がリリーフ弁42の作動圧力P´0より小さい間は、リリーフ弁42は作動されず、リリーフ弁42をパイロット油は通過しない。一方、サブ吐出流路35の油圧P´がリリーフ弁42の作動圧力P´0以上になると、リリーフ弁42が作動され、サブ吐出流路35からサブ回収流路38に向かってリリーフ弁42をパイロット油が通過する。
【0023】
油圧回路ユニット1では、操作弁37と制御弁10との間に第1のパイロット流路45及び第2のパイロット流路46が延設されている。操作レバー36での操作入力に基づいて操作弁37の作動状態が切替わることにより、操作弁37での第1のパイロット流路45及び第2のパイロット流路46に対するサブ吐出流路35の連通状態が切替わる。操作弁37においてサブ吐出流路35が第1のパイロット流路45及び第2のパイロット流路46のいずれとも連通しない状態では、制御弁10にパイロット油が供給されず、制御弁10は中立位置で保持される。
【0024】
一方、操作弁37においてサブ吐出流路35が第1のパイロット流路45と連通する状態では、第1のパイロット流路45を通して制御弁10にパイロット油が供給され、制御弁10が中立位置から第1の変位方向(図1の矢印Y1の方向)へ変位する。この際、操作レバー26の変位量が大きくなると、第1のパイロット流路45でのパイロット油の油圧ρ´aが大きくなり、制御弁10の中立位置からの第1の変位方向への変位量εaも大きくなる。
【0025】
また、操作弁37においてサブ吐出流路35が第2のパイロット流路46と連通する状態では、第2のパイロット流路46を通して制御弁10にパイロット油が供給され、制御弁10が中立位置から第2の変位方向(図1の矢印Y2の方向)へ変位する。この際、操作レバー26の変位量が大きくなると、第2のパイロット流路46でのパイロット油の油圧ρ´bが大きくなり、制御弁10の中立位置からの第2の変位方向への変位量εbも大きくなる。
【0026】
油圧回路ユニット1は、第1のパイロット流路45及び第2のパイロット流路46でのパイロット油の油圧(ρ´a,ρ´b)を検出する油圧検出部として圧力スイッチ47を備える。また、制御部30は、制御弁10の中立位置からの変位を検出する変位検出部48を備える。変位検出部48は、例えば制御部30においてプロセッサを構成する電子回路から形成されている。圧力スイッチ47からは、パイロット油の油圧(ρ´a,ρ´b)の検出結果を示す検出信号(電気信号)が、変位検出部48に伝達される。変位検出部48は、圧力スイッチ47での検出結果に基づいて、制御弁10の中立位置からの変位を検出する。なお、圧力スイッチ47の近傍にはシャトル弁54が設けられ、第1のパイロット流路45又は第2のパイロット流路46での油圧を圧力スイッチ47に作用させ(導き)、圧力スイッチ47によって第1のパイロット流路45又は第2のパイロット流路46の油圧を検出可能にしている。
【0027】
第1のパイロット流路45又は第2のパイロット流路46でのパイロット油の油圧(ρ´a;ρ´b)が基準値ρ´ref以上になると、圧力スイッチ47はOFF状態からON状態に切替わる。圧力スイッチ47がON状態であることを検出することにより、変位検出部48は、制御弁10の中立位置からの第1の変位方向又は第2の変位方向への変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上であることを検出する。
【0028】
センターバイパス流路11では、制御弁10より下流側に開閉弁(センターカット弁)50が、設けられている。開閉弁50は、制御弁10より下流側においてセンターバイパス流路11の開閉を切替え可能である。油圧回路ユニット1には、第1のパイロット流路45及び第2のパイロット流路46からパイロット油が流入可能な中継パイロット流路51が設けられている。なお、シャトル弁54によって、第1のパイロット流路45又は第2のパイロット流路46からのパイロット油の油圧信号が中継パイロット流路51に伝わる。
【0029】
油圧回路ユニット1には、電磁弁52が設けられ、中継パイロット流路51は電磁弁52まで延設されている。サブ回収流路38は、電磁弁52から油タンク3に向かって延設されている。また、電磁弁52と開閉弁50との間には、第3のパイロット流路(追加パイロット流路)53が延設されている。制御部30には、電磁弁52への電力の供給を制御する電力制御部55が設けられている。電力制御部55は、例えば制御部30においてプロセッサを構成する電子回路から形成されている。
【0030】
電力制御部55から電磁弁52に電力が供給されていない状態では、電磁弁52において、サブ回収流路38が第3のパイロット流路53と連通し、中継パイロット流路51は第3のパイロット流路53と連通しない。このため、中継パイロット流路51から第3のパイロット流路53を通して開閉弁50にパイロット油が供給されず、開閉弁50においてセンターバイパス流路11は開状態になる。一方、電力制御部55から電磁弁52に電力が供給されている状態では、電磁弁52において、中継パイロット流路51が第3のパイロット流路53と連通する。このため、中継パイロット流路51から第3のパイロット流路53を通して開閉弁50にパイロット油が供給され、開閉弁50においてセンターバイパス流路11は閉状態になる。開閉弁50においてセンターバイパス流路11が閉状態になることにより、開閉弁50より下流側に作動油が流入しなくなる。
【0031】
電力制御部55は、圧力センサ27での作動油の油圧Pの検出結果、及び、変位検出部48での制御弁10の中立位置からの変位の検出結果に基づいて、電磁弁52への電力の供給を制御している。実際に、電力制御部55は、圧力センサ27で検出される作動油の油圧Pが基準値Pref以上であるか否か、及び、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上であるか否かに基づいて、電磁弁52への電力の供給を制御している。なお、作動油の油圧Pの基準値Prefは、リリーフ弁26の作動圧力P0より小さく、例えば作動圧力P0の80%以上95%以下の値に設定される。そして、作動油の油圧Pの基準値Prefは、制御部30の記憶媒体に記憶されている。電力制御部55による制御の詳細については、後述する。
【0032】
センターバイパス流路11では、開閉弁(センターカット弁)50より下流側に絞り56が、設けられている。センターバイパス流路11からは、絞り56を通してメイン回収流路13に作動油が流入する。また、油圧回路ユニット1では、メインポンプ(油圧ポンプ)5からの作動油の吐出量を調整する吐出調整部57が設けられている。吐出調整部57は、メインポンプ5の容量を変化させることにより、メインポンプ5からの作動油の吐出量を変化させる。本実施形態では、吐出量調整部57は、吐出量調整部57を制御する制御圧力が高くなると、メインポンプ5からの吐出量を少なくする、いわゆるネガティブ制御を行う。
【0033】
油圧回路ユニット1では、開閉弁50より下流側で、かつ、絞り56より上流側において、制御流路58がセンターバイパス流路11から分岐している。制御流路58は、吐出調整部57に向かって延設されている。センターバイパス流路11において開閉弁50を通過した作動油が絞り56を通過する際には、(絞り56での作動油の通過流量に応じた)油圧が発生する。絞り56で発生した油圧(制御圧力)が制御流路58を介して吐出調整部57に伝わることにより(作用することにより)、メインポンプ5からの作動油の吐出量が減少する。
【0034】
次に、本実施形態の油圧回路ユニット1の作用及び効果について説明する。図2は、アクチュエータである油圧モータ20を作動させる際の制御部30での処理を示すフローチャートである。図2に示すように、油圧モータ20の作動を開始する前の油圧モータ20の作動が停止している状態においては、制御部30の電力制御部55は、電磁弁52に電力を供給しない(ステップS101)。そして、油圧モータ20の作動を開始する際には、制御部30の変位検出部48が、圧力スイッチ47がON状態であるか否かを判断する(ステップS102)。これにより、第1のパイロット流路45又は第2のパイロット流路46でのパイロット油の油圧(ρ´a;ρ´b)が基準値ρ´ref以上であるか否かが判断され、制御弁10の中立位置からの第1の変位方向又は第2の変位方向への変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上であるか否かが判断される。圧力スイッチ47がOFF状態である限り(ステップS102−No)、電力制御部55は、電磁弁52に電力が供給されない状態を維持する。
【0035】
そして、操作レバー36での操作入力によって圧力スイッチ47がON状態になった場合は(ステップS102−Yes)、制御部30は、圧力スイッチ47のON状態への切替わり時から所定の時間T0経過したか否かを判断する(ステップS103)。圧力スイッチ47のON状態への切替わり時から時間T0経過する前においては(ステップS103−No)、電力制御部55は、電磁弁52に電力が供給されない状態を維持する。
【0036】
そして、圧力スイッチ47のON状態への切替わり時から時間T0経過すると(ステップS103−Yes)、制御部30は、圧力センサ27で検出されるメイン吐出流路8での作動油の油圧Pが基準値(作動油基準値)Prefより小さいか否かを判断する(ステップS104)。作動油の油圧Pが基準値Pref以上である場合には(ステップS104−No)、電力制御部55は、電磁弁52に電力が供給されない状態を維持する。このため、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上である際においても、圧力センサ(油圧検出部)27で検出される作動油の油圧Pが基準値Pref以上の間は、電磁弁52において中継パイロット流路51と第3のパイロット流路との間の連通が遮断され、開閉弁50にパイロット油は供給されない。このため、圧力センサ27で検出されるメイン吐出流路8での作動油の油圧Pが基準値Pref以上の間は、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が開状態で保たれる。
【0037】
そして、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが基準値Prefより小さい範囲まで下がると(ステップS104−Yes)、電力制御部55は、電磁弁52に電力が供給される状態に切替える(ステップS105)。これにより、電磁弁52において中継パイロット流路51と第3のパイロット流路との間が連通し、開閉弁50にパイロット油が供給される。したがって、圧力センサ(油圧検出部)で検出される油圧Pが基準値Prefより小さい範囲まで下がったことに基づいて、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が閉状態に切替えられる。
【0038】
電磁弁52に電力が供給される状態に切替えられると(ステップS105)、変位検出部48は、圧力スイッチ47がOFF状態であるか否かを判断する(ステップS106)。これにより、第1のパイロット流路45又は第2のパイロット流路46でのパイロット油の油圧(ρ´a;ρ´b)が基準値ρ´refより小さいか否かが判断され、制御弁10の中立位置からの第1の変位方向又は第2の変位方向への変位量(εa;εb)が基準変位量εrefより小さいか否かが判断される。圧力スイッチ47がON状態である限り(ステップS106−No)、電力制御部55は、電磁弁52に電力が供給されている状態を維持する。すなわち、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが基準値Prefより小さくなった後に再び油圧Pが基準値Pref以上になった場合でも、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上である限り、開閉弁50にパイロット油が供給され、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が閉状態で維持される。
【0039】
そして、圧力スイッチ47がOFF状態になった場合は(ステップS106−Yes)、電力制御部55は、電磁弁52に電力が供給されない状態に切替える(ステップS107)。これにより、電磁弁52において中継パイロット流路51と第3のパイロット流路との間の連通が遮断され、開閉弁50にパイロット油が供給されなくなる。したがって、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εrefより小さくなったことに基づいて、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が開状態に切替えられる。そして、作業を続行する場合は(ステップS108−No)、ステップS102に戻り、前述の処理が行われる。
【0040】
制御弁10が中立位置に位置する状態では、アクチュエータである油圧モータ20に作動油は供給されず、油圧モータ20の作動が停止している。この状態から、操作レバー36での操作入力によって制御弁10が中立位置から第1の変位方向又は第2の変位方向へ基準変位量εref以上の変位量(εa;εb)変位することにより、油圧モータ20に作動油が供給され、油圧モータ20の作動が開始される。この際、油圧モータ20が作動開始してからある程度の時間が経過するまでは、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが高くなることがある。本実施形態、制御弁10が中立位置から変位量(εa;εb)が最大になる場合でも、センターバイパス流路11のバイパス開口12が開状態で保たれる。このため、制御弁10の中立位置から変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上になった場合でも、制御弁10が中立位置に位置する場合に比べバイパス開口12の開口面積が小さくなるが、制御弁10からバイパス開口12を通して作動油がセンターバイパス流路11に流入可能である。
【0041】
また、前述の制御が行われるため、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが基準値Pref以上の場合は、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が開状態になる。したがって、制御弁10が中立位置から基準変位量εref以上変位しても、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが高い場合は、メイン吐出流路8から作動油の一部が、制御弁10及びセンターバイパス流路11を通して開閉弁50より下流側に流入する。このため、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが高い場合でも、作動開始において油圧モータ20に急激に大量の作動油が供給されることが、防止される。これにより、油圧モータ20及び油圧モータ20の作動によって動作する旋回体等の急激な加速が防止され、油圧モータ20が適切に作動を開始する。
【0042】
そして、油圧モータ20が作動開始してからある程度の時間が経過すると、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが小さくなる。本実施形態では、圧力センサ27で検出される油圧Pが基準値Prefより小さい範囲まで下がったことに基づいて、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が閉状態に切替えられる。開閉弁50においてセンターバイパス流路11が遮断されることにより、開閉弁50より下流側に作動油が流入しなくなる。これにより、メインポンプ5からメイン吐出流路8に吐出された作動油は、全量が油圧モータ20に供給される。したがって、油圧モータ(アクチュエータ)20が作動している状態において作動速度を確保することができる。
【0043】
例えば、開閉弁(50)に絞り等を通過させてパイロット油を供給し、制御弁(10)にパイロット油が供給された時点から開閉弁(50)にパイロット油が供給される時点まで時間差を有する構成では、パイロット油の温度、粘性の影響が大きくなる。このため、パイロット油の温度、粘性の影響によってパイロット油が絞りを通過する時間が短くなることにより、制御弁(10)が中立位置から変位してから開閉弁(50)においてセンターバイパス流路(11)が閉状態になるまでの時間も短くなる。この場合、制御弁(10)が中立位置から変位すると、油圧モータ(20)に急激に大量の作動油が供給され、油圧モータ(20)が適切に作動されない。
【0044】
これに対し、本実施形態では、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pに基づいて開閉弁50でのセンターバイパス流路11の開閉が切替えられる。このため、メイン吐出流路8での油圧Pが高い場合は、開閉弁50でセンターバイパス流路11が確実に開状態になり、開閉弁50より下流側に作動油が流入する。このため、メイン吐出流路8での油圧Pが高くなっても、油圧モータ20に急激に大量の作動油が供給されることが防止される。そして、油圧モータ20が作動し始め、メイン吐出流路8での油圧Pがある程度まで低下すると、開閉弁50が閉じられ、メイン吐出流路8に吐出された作動油の全てが油圧モータ20に供給される。このため、制御弁10が中立位置から基準変位量εref以上の変位量(εa;εb)変位した際には、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pに基づいて油圧モータ20への供給量が適切に調整され、油圧モータ20が適切に作動される。
【0045】
また、運転手の上半身が揺れることにより操作レバー(操作入力部)36での操作入力が不安定になった際に、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εrefの近傍で振動する(変動する)ことがある。この場合、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)は、基準変位量εrefより小さい状態と基準変位量εref以上の状態との間で経時的に繰返し変化する。本実施形態では、メイン吐出流路8での油圧Pが基準値Pref以上の際に、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εrefより小さい状態から基準変位量εref以上の状態に切替わっても、開閉弁50においてセンターバイパス流路11は開状態で維持される。このため、操作レバー(操作入力部)36での不安定な操作入力によって制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εrefの近傍で振動した際においても、油圧モータ20に急激に大量の作動油が供給されることが防止される。これにより、油圧モータ20の急激な加速が緩和され、油圧モータ20の作動によって動作する旋回体等の急激な加速が緩和される。したがって、操作レバー(操作入力部)36での不安定な操作入力によって制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εrefの近傍で振動した際においても、旋回体の旋回において急激な加速及び急激な減速が経時的に繰り返されるハンチング現象の発生が抑制される。
【0046】
また、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが基準値Pref以上の間は、開閉弁50より下流側に作動油が流入し、絞り56によって発生した油圧が制御流路58を通して吐出調整部57に作用する(伝わる)。これにより、メインポンプ5からの作動油の吐出量が減少する。したがって、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが基準値Pref以上の間は、作動油の流量(流れ)が少なく制御されている。
【0047】
また、開閉弁50でセンターバイパス流路11を閉状態に切替える基準となるメイン吐出流路8の油圧Pの基準値Prefは、リリーフ弁(メインリリーフ弁)26の作動圧力P0より小さい値に設定されている。そして、前述のように、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが基準値Pref以上の間において、作動油の流量が少なく制御される。このため、リリーフ弁26で開放される(リリーフ弁26を通過する)作動油の量が小さくなり、リリーフ弁26で作動油の圧力エネルギーが熱エネルギーに変換されることによるエネルギー損失が低減される。
【0048】
また、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが基準値Prefの近傍で振動し(変動し)、メイン吐出流路8での油圧Pが、基準値Prefより小さい状態と基準値Pref以上の状態との間で経時的に繰返し変化することがある。本実施形態では、メイン吐出流路8での作動油の油圧Pが基準値Prefより小さくなり、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が閉状態になった後において、再び油圧Pが基準値Pref以上になった場合でも、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上である限り、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が閉状態で維持される。このため、メイン吐出流路8での油圧Pが基準値Prefの近傍で振動した際においても、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上である限り、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が閉状態で維持され、開閉弁50より下流側に作動油が流入しない。したがって、メイン吐出流路8での油圧Pが基準値Prefの近傍で振動した際において、油圧モータ20への作動油の供給量の急激な増加が防止されるとともに、油圧モータ20への作動油の供給量の急激な減少が防止される。これにより、メイン吐出流路8での油圧Pが基準値Prefの近傍で振動した際においても、旋回体の旋回において急激な加速及び急激な減速が経時的に繰り返されるハンチング現象の発生が抑制される。
【0049】
(変形例)
なお、第1の変形例では、油圧モータ20を作動させる際に、図3で示す処理が制御部30によって行われる。本変形例でも、第1の実施形態と同様に、ステップS101〜S103の処理が行われる。ただし、本変形例では、モード切替えボタン等の操作によって切替えられる建設機械のモードが検出される。すなわち、本変形例では、圧力スイッチ47がON状態になり(ステップS102−Yes)、圧力スイッチ47のON状態への切替わり時から時間T0経過すると(ステップS103−Yes)、制御部30は、建設機械(パワーショベル)のモードがクレーンモードであるか否かを判断する(ステップS109)。クレーンモードでない場合は(ステップS109−Yes)、制御部30は、建設機械(パワーショベル)のモードがハイパワーモードであるか否かを判断する(ステップS110)。そして、ハイパーモードでない場合は(ステップS110−Yes)、第1の実施形態と同様に、ステップS104〜S108の処理が行われる。
【0050】
ステップS109において建設機械がクレーンモードであると判断された場合は(ステップS109−No)、電力制御部55は、電磁弁52へ電力が供給されていない状態を維持し(ステップS111)、開閉弁50においてセンターバイパス流路11を開状態で維持する。そして、変位検出部48は、圧力スイッチ47がOFF状態であるか否かを判断する(ステップS112)。圧力スイッチ47がOFF状態になると(ステップS112−Yes)、電磁弁52へ電力が供給されていない状態を維持したまま、ステップS108に進む。そして、作業を続行する場合は(ステップS108−No)、ステップS102に戻る。
【0051】
建設機械のクレーンモードでは、吊り上げられた荷重を安定して移動する必要があるため、旋回体を低速で動作させる必要がある。このため、アクチュエータである油圧モータ20を低速で作動させる必要があり、油圧モータ20への作動油の供給量を小さく保つ必要がある。本変形例では、建設機械のクレーンモードの際に開閉弁50においてセンターバイパス流路11が常に開状態で維持されるため、メイン吐出流路8に吐出された作動油が常に開閉弁50より下流側に流入し、油圧モータ20への作動油の供給量を小さく保たれる。これにより、クレーンモードでは、油圧モータ20を常に低速で安定して作動させることが可能となる。また、クレーンモードでは、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が常に開状態で維持されるため、急激に大量の作動油が油圧モータ20に供給されることが防止される。これにより、油圧モータ20の急激な加速が緩和されるため、油圧モータ20の作動によって動作する旋回体等の急激な加速が緩和され、旋回体の旋回において急激な加速及び急激な減速が経時的に繰り返されるハンチング現象の発生が抑制される。
【0052】
ステップS110において建設機械がハイパワーモードであると判断された場合は(ステップS110−No)、電力制御部55は、電磁弁52に電力が供給される状態に切替え(ステップS113)、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が閉状態に切替えられる。そして、変位検出部48は、圧力スイッチ47がOFF状態であるか否かを判断する(ステップS114)。圧力スイッチ47がON状態である限り(ステップS114−No)、電力制御部55は、電磁弁52に電力が供給されている状態を維持する。圧力スイッチ47がOFF状態になった場合は(ステップS114−Yes)、電力制御部55は、電磁弁52に電力が供給されない状態に切替える(ステップS107)。これにより、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が開状態に切替えられる。そして、作業を続行する場合は(ステップS108−No)、ステップS102に戻る。
【0053】
建設機械のハイパワーモードは、旋回体等の動作において駆動力が大きくなる際に用いられるため、ハイパワーモードでは、アクチュエータである油圧モータ20への作動油の供給量を大きくし、油圧モータ20を作動させる駆動力を大きくする必要がある。本変形例では、建設機械のハイパワーモードの際に開閉弁50においてセンターバイパス流路11が常に閉状態で維持されるため、メイン吐出流路8に吐出された作動油の全てが常に油圧モータ20に供給される。また、ハイパワーモードでは、開閉弁50より下流側に作動油が流入しないため、絞り56による油圧(圧力)は発生しない。このため、ハイパワーモードでは、メインポンプ5からの作動油の吐出量が大きくなり、リリーフ弁26のオーバーライド特性により、リリーフ弁26の作動圧力(リリーフ圧力)P0は高くなる。したがって、ハイパワーモードでは、油圧モータ20への作動油の供給量が大きく保たれ、油圧モータ20を作動させる駆動力が大きくなる。このため、旋回体等の動作において駆動力が大きくなる際でも、適切に旋回体を動作させることができる。
【0054】
また、図4に示す第2の変形例では、油圧回路ユニット1において中継パイロット流路51、電磁弁52及び第3のパイロット流路53が設けられず、開閉弁50にパイロット油が供給されない。本変形例では、開閉弁50が電磁弁であり、電力制御部55は、開閉弁50への電力の供給を制御している。電力制御部55から開閉弁50に電力が供給されていない状態では、開閉弁50においてセンターバイパス流路11は開状態になる。一方、電力制御部55から開閉弁50に電力が供給されている状態では、開閉弁50においてセンターバイパス流路11は閉状態になる。
【0055】
本変形例でも、油圧モータ20を作動させる際には、制御部30は図2で示す処理と同様の処理を行う。したがって、本変形例でも第1の実施形態と同様に、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上である際においても、圧力センサ(油圧検出部)27で検出される作動油の油圧Pが基準値Pref以上の間は、開閉弁50に電力が供給されない状態が維持され、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が開状態で保たれる。そして、圧力センサ(油圧検出部)で検出される油圧Pが基準値Prefより小さい範囲まで下がったことに基づいて、開閉弁50に電力が供給される状態に切替えられ、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が閉状態に切替えられる。
【0056】
また、前述の実施形態等では、第1のパイロット流路45及び第2のパイロット流路46でのパイロット油の油圧(ρ´a,ρ´b)を検出する油圧検出部として圧力スイッチ47が設けられているが、ある変形例では、代わりに圧力センサが設けられてもよい。この場合、制御部30の記憶媒体に、第1のパイロット流路45及び第2のパイロット流路46でのパイロット油の油圧(ρ´a,ρ´b)において基準となる基準値ρ´refが記憶されている。そして、第1のパイロット流路45又は第2のパイロット流路46でのパイロット油の油圧(ρ´a;ρ´b)が基準値ρ´ref以上になることにより、変位検出部48は、制御弁10の中立位置からの第1の変位方向又は第2の変位方向への変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上であることを検出する。
【0057】
また、前述の実施形態等では、圧力センサ27によってメイン吐出流路8での作動油の油圧Pが検出されるが、ある変形例では、代わりに、制御弁10から第1のアクチュエータ流路21又は第2のアクチュエータ流路22を通して油圧モータ(アクチュエータ)20に供給される作動油の油圧ρを検出する圧力センサが油圧検出部として設けられてもよい。この場合、メイン吐出流路8での油圧Pの基準値Prefの代わりに、制御弁10と油圧モータ20との間での油圧ρの基準値ρrefが制御部30の記憶媒体に記憶されている。そして、制御弁10の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量εref以上である際においても、制御弁10から油圧モータ20に供給される作動油の油圧ρが基準値ρref以上の間は、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が開状態で保たれる。そして、圧力センサ(油圧検出部)で検出される制御弁10と油圧モータ20との間の油圧ρが基準値ρrefより小さい範囲まで下がったことに基づいて、開閉弁50においてセンターバイパス流路11が閉状態に切替えられる。
【0058】
前述の実施形態等では、油圧回路ユニット(1)は、吐出口(6)を有する油圧ポンプ(5)と、油圧ポンプ(5)の吐出口(6)から作動油が吐出される吐出流路(8)と、吐出流路(8)を通して作動油が供給され、中立位置から変位可能な制御弁(10)と、制御弁(10)を通して作動油が供給されることにより作動されるアクチュエータ(20)と、制御弁(10)から延設され、アクチュエータ(20)に供給されない作動油が制御弁(10)から流入するセンターバイパス流路(11)と、を備える。制御弁(10)からセンターバイパス流路(11)へは、バイパス開口(12)を通して作動油が流入し、バイパス開口(12)は、制御弁(10)が中立位置に位置する状態では開状態であるとともに、制御弁(10)の中立位置からの変位量(εa;εb)が大きくなるにつれて開口面積が小さくなる。制御弁(10)の中立位置からの変位量(εa;εb)が最大になる状態でも、バイパス開口(12)は開状態で保たれる。アクチュエータ(20)に供給される作動油は、供給開口(16)を通して制御弁(10)に流入し、供給開口(16)は、制御弁(10)が中立位置に位置する状態では閉状態になるとともに、制御弁(10)が中立位置から変位することにより開状態となる。センターバイパス流路(11)において制御弁(10)より下流側には、制御弁(10)より下流側でセンターバイパス流路(11)の開閉を切替え可能な開閉弁(50)が、設けられている。制御弁(10)の中立位置からの変位は、変位検出部(48)によって検出され、吐出流路(8)での作動油の油圧(P)又は制御弁(10)からアクチュエータ(20)に供給される作動油の油圧(ρ)が、油圧検出部(27)によって検出される。制御部(30)は、変位検出部(48)及び油圧検出部(27)での検出結果に基づいて開閉弁(50)を制御する。制御部(30)は、制御弁(10)の中立位置からの変位量(εa;εb)が基準変位量(εref)以上である際において、油圧検出部(27)で検出される油圧(P;ρ)が基準値(Pref;ρref)以上の間は開閉弁(50)においてセンターバイパス流路(11)を開状態で保つとともに、油圧検出部(27)で検出される油圧(P;ρ)が基準値(Pref;ρref)より小さい範囲まで下がったことに基づいて開閉弁(50)においてセンターバイパス流路(11)を閉状態に切替える。
【0059】
以上、本発明の実施形態等について説明したが、本発明は前述の実施形態等に限るものではなく、発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形ができることは、もちろんである。
【符号の説明】
【0060】
1…油圧回路ユニット、5…メインポンプ、6…吐出口、8…メイン吐出流路、10…制御弁、11…センターバイパス流路、12…バイパス開口、16…供給開口、20…油圧モータ、27…圧力センサ、30…制御部、48…変位検出部、50…開閉弁。
図1
図2
図3
図4