特許第6571401号(P6571401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571401
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/69 20060101AFI20190826BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/03 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20190826BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20190826BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20190826BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20190826BHJP
   B65D 83/68 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   A61K8/69
   A61K8/31
   A61K8/81
   A61K8/86
   A61K8/03
   A61K8/06
   A61Q19/00
   A61Q19/10
   A61Q1/14
   B65D83/68
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-116017(P2015-116017)
(22)【出願日】2015年6月8日
(65)【公開番号】特開2017-1976(P2017-1976A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横木 亜矢子
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−040367(JP,A)
【文献】 特開2012−046482(JP,A)
【文献】 特開2010−270060(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/155630(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0028808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99、9/00−72、47/00−69
A61Q 1/00−90/00
B05B 1/00−3/18、7/00−9/08
B65D 83/00−76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と油性溶媒と親油性液化ガスとを含むエアゾール組成物がエアゾール容器に充填されたエアゾール製品であり、
前記エアゾール組成物の液相は、水層を含む少なくとも3層に分離し、
前記水層は、
水と、乳化剤と、前記親油性液化ガスの一部とを含み、
前記水と前記親油性液化ガスとが乳化した乳化層からなり、
前記エアゾール容器は、前記液相を、順次1層ずつ外部に噴射する噴射機構を備え
前記親油性液化ガスは、ハイドロフルオロオレフィンを含む、エアゾール製品。
【請求項2】
前記親油性液化ガスが、ハイドロフルオロオレフィンである、請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項3】
前記乳化剤は、会合型増粘剤である、請求項1または2記載のエアゾール製品。
【請求項4】
前記エアゾール容器は、前記エアゾール組成物が充填される容器本体を備え、
前記容器本体は、透光性材料からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアゾール製品。
【請求項5】
少なくとも3層に分離した前記液相のうち、1の層を構成するエアゾール組成物が噴射された後、他の1の層を構成するエアゾール組成物が噴射される際に、噴射状態が変化する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアゾール製品。
【請求項6】
1回使い切り用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアゾール製品。
【請求項7】
前記噴射機構は、噴射時に前記液相のうち最下層となる層にて開口する取込口を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール製品に関する。より詳細には、本発明は、エアゾール組成物の液相が水層を含む少なくとも3層に分離しており、順次1層ずつ外部に均一な組成で噴射し得るエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾール容器に充填されるエアゾール組成物の液相が、複数の層を構成するエアゾール製品が知られている。特許文献1には、水性成分と、油性溶媒と、液化ガスとを含むエアゾール組成物が充填されたエアゾール製品が開示されている。このエアゾール製品は、エアゾール組成物の液相が3層以上に分離している。特許文献2には、液状油を含有する原液と、フッ素系液化ガスとを含むエアゾール組成物が開示されている。このエアゾール組成物は、エアゾール容器内において、原液と液化ガスとが分離し得る。特許文献3には、色の異なる2種類の内容物を二重容器に充填した二重エアゾール製品が開示されている。このエアゾール製品は、エアゾール組成物の残量が少なくなると、初期に吐出される内容物とは色の異なる内容物が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−46482号公報
【特許文献2】特開2012−232956号公報
【特許文献3】特開2012−1232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエアゾール製品は、分離している液相を上下に振とうし、一時的に分散させてからエアゾール組成物を噴射することを想定している。すなわち、それぞれの層を順次噴射することは、想定されていない。また、このエアゾール製品は、エアゾール組成物の分散が一時的であり、均一に分散されない。そのため、エアゾール組成物は、不均一な状態で噴射され、最後まで均一な組成で噴射されない。特許文献2に記載のエアゾール組成物は、3層以上に分離するものではない。また、このエアゾール組成物は、分離している場合には、噴射前に攪拌される。そのため、特許文献2に記載のエアゾール組成物において、それぞれの層は、順次噴射されない。また、エアゾール組成物は、不均一な状態で噴射され、最後まで均一な組成で噴射されない。特許文献3に記載のエアゾール製品は、単にエアゾール組成物の残量を知らせるために異なる内容物が充填されているに過ぎない。また、このエアゾール製品は、内袋の外側に充填された噴射剤により、内袋を収縮させて内容物を噴射する。そのため、エアゾール組成物は、液化ガスを含んでいない。さらに、特許文献3に記載のエアゾール組成物は、3層以上に分離するものではない。
【0005】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、エアゾール組成物の液相が水層を含む少なくとも3層に分離しており、順次1層ずつ均一に外部に噴射し得るエアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明のエアゾール製品には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)水と油性溶媒と親油性液化ガスとを含むエアゾール組成物がエアゾール容器に充填されたエアゾール製品であり、前記エアゾール組成物の液相は、水層を含む少なくとも3層に分離し、前記水層は、水と、乳化剤と、前記親油性液化ガスの一部とを含み、前記水と前記親油性液化ガスとが乳化した乳化層を含み、前記エアゾール容器は、前記液相を、順次1層ずつ外部に噴射する噴射機構を備える、エアゾール製品。
【0008】
このような構成によれば、エアゾール組成物の液相は、水層を含む少なくとも3層に分離している。そのうち、水層は、水と乳化剤と親油性液化ガスの一部とを含む。水層には、水と親油性液化ガスとが乳化した乳化層が形成されている。また、エアゾール容器は、液相を、順次1層ずつ外部に噴射する噴射機構を備える。そのため、本発明のエアゾール製品は、それぞれの層を構成するエアゾール組成物を、順次均一に噴射することができる。また水層は水と乳化剤と親油性液化ガスの一部とを含み、水と親油性液化ガスとが乳化した乳化層が形成されているため、水層が噴射されるときは他の層と明確に異なる噴射状態になる。
【0009】
(2)前記親油性液化ガスは、ハイドロフルオロオレフィンである、(1)記載のエアゾール製品。
【0010】
このような構成によれば、ハイドロフルオロオレフィンは、3層以上に分離する液相のうち、最下層を形成しやすい。この場合、ハイドロフルオロオレフィンを主に含む層が水層の下方に形成されやすく、油性溶媒を主に含む層が水層の上方に形成されやすい。その結果、エアゾール組成物の液相は、3層以上に分離しやすい。
【0011】
(3)前記乳化剤は、会合型増粘剤である(1)または(2)記載のエアゾール製品。
【0012】
このような構成によれば、エアゾール組成物は、液相が少なくとも3層に分離しやすくなる。そのため、エアゾール製品は、それぞれの層を噴射するごとに噴射状態を容易に変化させ得る。
【0013】
(4)前記エアゾール容器は、前記エアゾール組成物が充填される容器本体を備え、前記容器本体は、透光性材料からなる、(1)〜(3)いずれかに記載のエアゾール製品。
【0014】
このような構成によれば、少なくとも3層に分離したエアゾール組成物の液相は、目視により観察され得る。そのため、エアゾール製品は、噴射時に順次1層ずつ噴射される様子や、次の層が噴射されるタイミング等が把握されやすい。その結果、エアゾール製品は、趣向性が優れるだけでなく、残量が直感的に把握されやすい。
【0015】
(5)少なくとも3層に分離した前記液相のうち、1の層を構成するエアゾール組成物が噴射された後、他の1の層を構成するエアゾール組成物が噴射される際に、噴射状態が変化する、(1)〜(4)のいずれかに記載のエアゾール製品。
【0016】
このような構成によれば、層が変わるたびに、噴射状態が変化し得る。そのため、エアゾール製品は、1の層が噴射され終わるタイミングが把握されやすい。
【0017】
(6)前記エアゾール製品は、1回使い切り用である、(1)〜(5)のいずれかに記載のエアゾール製品。
【0018】
このような構成によれば、エアゾール製品は、用法および用量を確定されやすい。そのため、エアゾール製品は、適正な用法および用量に基づいて設計され、かつ、使用され得る。
【0019】
(7)前記噴射機構は、噴射時に前記液相のうち最下層となる層にて開口する取込口を備える、(1)〜(6)のいずれかに記載のエアゾール製品。
【0020】
このような構成によれば、エアゾール製品は、液相のうち、最下層から順に取り込んで噴射し得る。そのため、エアゾール製品は、噴射されずに残存するエアゾール組成物の量を減らすことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、エアゾール組成物の液相が水層を含む少なくとも3層に分離しており、順次1層ずつ均一に外部に噴射し得るエアゾール製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態のエアゾール製品の模式的な断面図である。
図2図2は、第1層を噴射している状態のエアゾール製品の模式的な断面図である。
図3図3は、第2層を噴射している状態のエアゾール製品の模式的な断面図である。
図4図4は、第3層を噴射している状態のエアゾール製品の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態のエアゾール製品は、水と油性溶媒と親油性液化ガスとを含むエアゾール組成物がエアゾール容器に充填されたエアゾール製品である。エアゾール組成物の液相は、水層を含む少なくとも3層に分離する。水層は、水と乳化剤と親油性液化ガスの一部とを含み、かつ、水と親油性液化ガスとが乳化した乳化層を含む。本実施形態のエアゾール製品は、このように3層以上に分離した液相を、順次1層ずつ外部に噴射するエアゾールバルブ(噴射機構の一例)を備える。なお、温度変化により液相の層の数が変化するエアゾール組成物の場合は、最も多く分離した際の層の数が少なくとも3層であればよい。本実施形態では、説明の明瞭化のため、一例として、25℃において少なくとも3層以上に液相が分離するエアゾール組成物について説明する。
【0024】
<エアゾール組成物>
エアゾール組成物は、エアゾール容器に加圧充填される内容物であり、エアゾール容器内において、気相と液相とを構成する。エアゾール組成物は、水と乳化剤と油性溶媒と親油性液化ガスとを含む。気相は、気化した親油性液化ガスから主に構成される。液相は、水と、油性溶媒と、液化している親油性液化ガスとから主に構成される。液相には、後述する任意成分が適宜配合されてもよい。液相を構成するエアゾール組成物は、少なくとも3層以上に分離する。以下、それぞれの構成について説明する。
【0025】
(水)
水は、水層を構成する主な液体成分である。水は、乳化剤および任意成分を溶解または分散させ、親油性液化ガスの液相と乳化し、水層を構成する。水としては、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等が例示される。
【0026】
水の含有量は、エアゾール組成物中10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、水の含有量は、エアゾール組成物中60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が10質量%未満である場合、液相は、3層以上に分離しにくい。また、水の含有量が60質量%を超える場合も、液相は、3層以上に分離しにくい。
【0027】
(乳化剤)
乳化剤は、水層を構成する成分である。乳化剤は、水層において、水と後述する親油性液化ガスの一部とを乳化させ、乳化層を形成するために配合されている。これにより、得られる水層は、液化ガスが包含されることとなる。そのため、水層を構成するエアゾール組成物は、たとえばフォーム状に噴射され得る。また、乳化剤により、水層は、適度な粘性が付与され得る。これにより、乳化層は、噴射前において比較的安定に形成され得る。
【0028】
乳化剤は、水層を構成し、水と親油性液化ガスとを乳化し得るものであれば特に限定されない。このような乳化剤としては、たとえば、会合型増粘剤、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのHLBが10〜19である非イオン性界面活性剤、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ラウリルベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等のシリコーン系界面活性剤、天然系界面活性剤等が好適に使用される。
【0029】
会合型増粘剤としては、疎水化変性されたアクリル酸ポリマー等が例示される。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル等が例示される。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテル等が例示される。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、POEモノラウレート、POEモノステアレート、POEモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、PEG−20ソルビタンココエート、POEソルビタンモノラウレート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、POEグリセリルモノステアレート、POEグリセリルモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットテトラステアレート、POEソルビットテトラオレエート等が例示される。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、デカグリセリルモノラウレート、デカグリセリルモノミリステート、デカグリセリルモノステアレート、デカグリセリルモノオレエート、デカグリセリルジオレエート、ヘキサグリセリルモノラウレート、ヘキサグリセリルモノステアレート、ヘキサグリセリルモノオレエート等が例示される。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、PEG−40水添ヒマシ油、PEG−60水添ヒマシ油、PEG−80水添ヒマシ油等が例示される。シリコーン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等が例示される。天然系界面活性剤としては、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、レシチン等が例示される。これらの中でも、水層に親油性液化ガスを取り込みやすく、乳化層を形成しやすい点から会合型増粘剤を用いることが好ましく、特に疏水化変性されたアクリル酸ポリマーが好ましい。疎水化変性されたアクリル酸ポリマーとしては、ストラクチャー2001(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20共重合体)、ストラクチャー3001(アクリレーツ/イタコン酸セテス−20共重合体)(いずれもアクゾノーベル(株)製)等が例示される。
【0030】
乳化剤の含有量は、エアゾール組成物中0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、乳化剤の含有量は、エアゾール組成物中10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。乳化剤の含有量が0.01質量%未満である場合、水層は、親油性液化ガスを取り込みにくい。また、乳化剤の含有量が10質量%を超える場合、液相は、3層以上に形成されにくくなる。
【0031】
(油性溶媒)
油性溶媒は、後述する油層を構成する主たる液体成分である。油性溶媒は単独で、または後述する親油性液化ガスや親油性の任意成分を溶解した状態で油層を構成する。油性溶媒としては、親水基を含まない親油性油分と親水基(水酸基、カルボキシル基等)を含む親水性油分とに大別され、親油性油分を用いることが好ましい。これにより、液相は、2層以上の油層が形成されやすく、噴射状態を変化させやすい。
【0032】
2層の油層が形成される場合、一方の油層を第一油層と、他方の油層を第二油層とすることができる。
【0033】
親油性油分としては、(ジ)メチルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル、ケロシン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、流動パラフィン、イソパラフィン等の炭化水素油、およびこれらの混合物等が例示される。特に炭化水素油は水よりも液密度が小さいため、親油性液化ガスとして液密度が水よりも大きいハイドロフルオロオレフィンを用いると水層を介して3層に分離するが、親油性液化ガスとの親和性に優れているため、最下層を形成する親油性液化ガス中に一部が分配されて噴射物は炭化水素油が氷結するシャーベット状になりやすく、噴射物の状態を変えやすい。
【0034】
親水性油分としては、メドウフォーム油、オリーブ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヤシ油などの油脂、エイコセン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル(エチルヘキサン酸セチル)、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシシステアリン酸エチルヘキシル、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジ−2−エチルへキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジラウリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジオレイン酸ジエチレングリコール、ジラウリン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジイソステアリン酸トリエチレングリコール、ジオレイン酸トリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、トリ2−エチルへキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油、およびこれらの混合物等が例示される。なお、液密度が1.06〜1.08(g/ml)であるコハク酸ジエトキシエチル等の液密度が水よりも大きいものを用いる場合は、水層よりも下に油層を形成し得る。また、温度変化により層の数が変化しやすい点から、エステル油を用いることが好ましく、エチルヘキサン酸セチル等の直鎖の高級アルコールと脂肪酸とのエステル油を用いることがさらに好ましい。
【0035】
油性溶媒の含有量は、エアゾール組成物中5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましい。また、油性溶媒の含有量は、エアゾール組成物中60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。油性溶媒の含有量が5質量%未満の場合、液相が3層以上に分離しにくくなる。また、油性溶媒の含有量が60質量%を超える場合も同様に、液相が3層以上に分離しにくくなる。
【0036】
(親油性液化ガス)
親油性液化ガスは、エアゾール容器内では蒸気圧を有する液体であり、一部が気化して気相を構成し、残部が液相を構成する。液相を構成する親油性液化ガスは、多くが油性溶媒とともに油層を構成し、一部が乳化剤によって水と乳化され、水層(乳化層)を構成する。
【0037】
親油性液化ガスとしては、ブタン、プロパンおよびこれらの混合物等の液化石油ガス、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン等のハイドロフルオロオレフィンおよびこれらの混合物等が例示される。
【0038】
液化石油ガスとハイドロフルオロオレフィンは油性溶媒に溶解して油層を形成しやすい。また、液化石油ガスは25℃においての液密度が0.5〜0.6(g/ml)であるため水層の上部に油層を形成しやすい。一方、ハイドロフルオロオレフィンは25℃においての液密度が1.1〜1.3(g/ml)であるため水層の下部に油層を形成しやすい。このように、液化石油ガスは油性溶媒よりも液密度が小さく、ハイドロフルオロオレフィンは油性溶媒よりも液密度が大きいため、油層の液密度を調整して、形成される層の位置や、水との分離速度を調整することができる。
【0039】
親油性液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、親油性液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。親油性液化ガスの含有量が10質量%未満の場合、エアゾール製品は、エアゾール組成物を全量噴射することが難しくなる。一方、親油性液化ガスの含有量が80質量%を超える場合、液相は、3層以上に分離しにくくなる。
【0040】
(任意成分)
次に、本実施形態のエアゾール組成物に配合し得る任意成分について説明する。本実施形態のエアゾール組成物は、所望により、各種任意成分を配合し得る。任意成分は液相を構成するそれぞれの層に対する溶解性に応じて適宜選択し得る。これにより、たとえば溶解性の異なる複数の任意成分を別個に配合して同時に吐出することができる。
【0041】
上記油性溶媒や親油性液化ガスに溶解しやすい任意成分(以下、親油性任意成分という)としては、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、オクトクレリン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、パラアミノ安息香酸等の紫外線吸収剤、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、ハーブエキス等の害虫忌避剤、フタルスリン、アレスリン、ペルメトリンテフルスリン、ベンフルスリン等の殺虫成分、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、レチノール、dl−α−トコフェロール、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、フィロキノン、メナキノン等のビタミン類およびこれらの誘導体、グリチルリチン酸等の抗炎症剤、硝酸ミコナゾール、硝酸スルコナゾール、クロトリマゾール等の抗真菌剤、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェン等の消炎鎮痛剤、l−メントール、カンフル等の清涼化剤、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸メチル等の消臭成分、親油性香料などの油溶性有効成分、水添(スチレン/イソプレン)コポリマーと水添ポリデセンの混合物などの油溶性増粘剤等が例示される。
【0042】
親油性任意成分が配合される場合において、その含有量は、エアゾール組成物中0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましい。また、親油性任意成分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。親油性任意成分の含有量が0.01質量%未満である場合、任意成分を配合することによる効果が不充分になりやすい。一方、親油性任意成分の含有量が20質量%を超える場合、液相が3層以上に分離しにくくなる。
【0043】
水に溶解しやすい任意成分(以下、親水性任意成分という)としては、エタノール、プロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素等の保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、パラクロルメタクレゾール等の殺菌消毒剤、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル等の消臭成分、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム等のビタミン類、親水性香料などの水溶性有効成分、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマーなどの水溶性高分子、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム等のpH調整剤等が例示される。
【0044】
親水性任意成分が配合される場合において、その含有量は、エアゾール組成物中0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましい。また、親水性任意成分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。親水性任意成分の含有量が0.01質量%未満である場合、任意成分を配合することによる効果が不充分になりやすい。一方、親水性任意成分の含有量が20質量%を超える場合、液相が3層以上に分離しにくくなる。
【0045】
エアゾール組成物の圧力を調整するために、加圧剤として炭酸ガス、チッ素ガス、圧縮空気、酸素ガスなどの圧縮ガスを用いることができる。また、本実施形態のエアゾール製品の効果を損なわない範囲において、親水性液化ガス(たとえばジメチルエーテル等)が配合されてもよい。
【0046】
<エアゾール容器>
エアゾール容器は、上記成分を含むエアゾール組成物を加圧充填するための容器である。エアゾール容器内において、エアゾール組成物の液相は、3層以上に分離し得る。図1は、本実施形態のエアゾール製品1の模式的な断面図である。エアゾール製品1は、エアゾール組成物と、エアゾール組成物が加圧充填されたエアゾール容器2と、噴射部材3とを主に含む。
【0047】
(エアゾール容器2)
エアゾール容器2は、上記エアゾール組成物が加圧充填される容器本体4と、容器本体4に取り付けられるエアゾールバルブ5(噴射機構の一例)とを主に備える。以下、それぞれの構成について説明する。なお、エアゾール容器2および後述する噴射部材3の構成は特に限定されない。エアゾール容器2および噴射部材3は、いずれも上記エアゾール組成物を充填でき、適切に噴射できる構成であればよい。そのため、以下に示されるエアゾール容器2および噴射部材3の構成は例示であり、適宜設計変更を行うことができる。
【0048】
(容器本体4)
容器本体4は、エアゾール組成物を加圧状態で充填するための耐圧容器である。容器本体4は、汎用の形状であってよい。本実施形態の容器本体4は、上部に開口を有する有底筒状である。開口は、エアゾール組成物を充填するための充填口である。容器本体4は、開口に後述するエアゾールバルブ5を取り付けて閉止することによりエアゾール容器2となる。
【0049】
容器本体4の材質は特に限定されない。このような材質としては、アルミニウム、ブリキ等の金属、各種合成樹脂、耐圧ガラス等が例示される。本実施形態の容器本体4は、透光性材料からなることが好ましい。なお、本実施形態において「透光性」とは、容器本体4に収容されるエアゾール組成物の液相が分離している様子を目視で確認できる程度以上の透光性をいう。透光性材料としては、ポリエチレンテレフタレート等の各種合成樹脂、耐圧ガラス等が例示される。エアゾール製品1は、容器本体4が透光性材料からなる場合、少なくとも3層に分離したエアゾール組成物の液相を、目視により観察し得る。そのため、液相を構成するそれぞれの層が順次1層ずつ噴射される様子や、1の層が噴射された後に次の層が噴射されるタイミング等が把握されやすい。その結果、エアゾール製品1は、趣向性が高いだけでなく、残量が直感的に把握されやすい。
【0050】
(エアゾールバルブ5)
エアゾールバルブ5は、容器本体4の開口に取り付けられるマウンティングカップと、マウンティングカップの中央内部に支持される弁機構を有する。弁機構は、開口の外周部分がマウンティングカップの中央内部に支持される有底筒状のハウジング6を有する。ハウジング6の底面には、ハウジング6の内部と外部とを連通する連通孔が形成されている。ハウジング6の内部には、耐圧容器の内外を連通するステム孔7aを有するステム7と、ステム孔7aの周囲に取り付けられるステムラバー8と、ステム7とステムラバー8とを上方向へ付勢するスプリングとが設けられている。ステム7とステムラバー8とは、スプリングにより上方へ付勢されており、ステム孔7aは、ステムラバー8によって閉止されている。噴射部材3は、ステム7の上端に嵌合することにより取り付けられている。
【0051】
本実施形態のエアゾールバルブ5は、ハウジング6の底面に、ディップチューブ9を備える。ディップチューブ9は、ハウジング6に取り付けられる一端と、液相に浸漬される他端とを備える。ディップチューブ9の一端は、ハウジング6の連通孔に対応する位置に開口が形成されている。また、ディップチューブ9の他端には、液相を取り込むための取込口91が形成されている。取込口91は、液相のうち、最下層において開口する位置に形成されていることが好ましい。これにより、エアゾール製品1は、正立状態で使用される場合において、液相のうち、最下層から順に取り込んで噴射することができる。その結果、エアゾール製品1は、噴射されずに残存するエアゾール組成物の量を減らすことができる。なお、倒立状態で使用される場合には、ディップチューブ9は、省略されてもよい。この場合、エアゾール組成物の液相は、たとえばハウジング6の下端から取り込まれ得る。
【0052】
なお、容器本体4にエアゾール組成物を充填する方法は特に限定されない。一例を挙げると、容器本体4の開口から水等を充填し、エアゾールバルブ5により開口を閉止し、エアゾールバルブ5の弁機構から親油性液化ガス等を充填する方法が採用される。ほかにも、エアゾールバルブ5を固着する前に親油性液化ガスを充填するアンダーカップ充填が採用されてもよい。
【0053】
エアゾール組成物を充填した容器本体4の内圧としては、25℃において0.1〜0.6MPa程度である。
【0054】
<噴射部材3>
噴射部材3は、エアゾールバルブ5を経て取り込まれるエアゾール組成物を噴射するための部材である。噴射部材3は、エアゾール組成物が通過する噴射通路と、噴射通路の一端に形成された噴射孔31とを備える。噴射通路の他端はステム7内の通路と連通している。
【0055】
噴射孔31の断面積(直径)は特に限定されない。噴射孔31の断面積は、適用箇所や、目的とする噴射状態を得るために適宜調整される。たとえば、対象物までの距離が5〜20cmであり、腕、脚、頭髪などの人体に噴射する場合、噴射孔31の断面積は、0.07〜2.0mm2に調整されればよい。この場合、噴射ボタンは、メカニカルブレークアップ機構を備えてもよい。
【0056】
<エアゾール製品1の使用方法>
上記したエアゾール製品1の使用方法の一例について、図1に加えて図2図4を参照して説明する。図2は、第1層を噴射している状態のエアゾール製品の模式的な断面図である。図3は、第2層を噴射している状態のエアゾール製品の模式的な断面図である。図4は、第3層を噴射している状態のエアゾール製品の模式的な断面図である。なお、以下の説明では、明瞭化のために、液相が3層に分離している場合を例示する。液相は、4層以上に分離していてもよい。図1に示されるように、液相は、3層(第1層L1、第2層L2および第3層L3)に分離している。
【0057】
第1層L1は、親油性液化ガスおよび油性溶媒から主に構成される油層である。本実施形態において、第1層L1は、水層よりも比重が大きく、最下層を構成する。第2層L2は、水、乳化剤および親油性液化ガスの一部から主に構成される水層である。本実施形態において、第2層L2は、乳化剤によって、水と親油性液化ガスとが乳化されている。水層は、図1に示されるように下部の界面が第1層L1の上部の界面と接し、上部の界面が第3層L3の下部の界面と接する。第3層L3は、油性溶媒および/または水よりも液密度が小さい親油性液化ガスから主に構成される油層である。本実施形態において、第3層L3は、水層よりも比重が小さい。
【0058】
ディップチューブ9は、容器本体4の内底部に近接する位置に開口するよう長さが調整されている。これにより、ディップチューブ9の開口(取込口91)は、第1層L1において開口する。
【0059】
図2に示されるように、噴射部材3が押し下げられると、ステムラバー8が下方に撓み、ステム孔7aが開放される。これにより、容器本体4内と外部とが連通する。エアゾール組成物は、容器本体4内に加圧充填されているため、外部との圧力差にしたがって、エアゾールバルブ5内に取り込まれ、その後、噴射孔31から外部に噴射される。この際、取込口91は第1層L1において開口しているため、第1層L1を構成するエアゾール組成物が、最初に噴射される。噴射されるエアゾール組成物は、気相を構成する親油性液化ガスと外部との圧力差に加え、親油性液化ガスが気化する際の容積の増大によって、たとえばスプレー状に噴射され得る。なお、親油性液化ガス中に油性溶媒が含まれる場合は、噴射されたエアゾール組成物は、親油性液化ガスの気化熱により、油性溶媒が冷却されて凍結し得る。
【0060】
第1層L1が噴射されるにしたがって、液相の液面の位置が下がる。これにより、図3に示されるように、取込口91は、第1層(図示せず)に代えて、第2層L2において開口することとなる。その結果、第1層に続いて、第2層L2を構成するエアゾール組成物が噴射される。第2層L2は、水、乳化剤および親油性液化ガスの一部から主に構成される。そのため、噴射されるエアゾール組成物は、気相を構成する親油性液化ガスと外部との圧力差に加え、水層において乳化された一部の親油性液化ガスが気化する際の容積の増大によって、たとえばフォーム状に噴射され得る。
【0061】
同様に、第2層L2が噴射されるにしたがって、液相の液面の位置がさらに下がる。これにより、図4に示されるように、取込口91は、第2層(図示せず)に代えて、第3層L3において開口することとなる。その結果、第2層に続いて、第3層L3を構成するエアゾール組成物が噴射される。第3層L3は、油性溶媒および/または水よりも液密度が小さい親油性液化ガスから主に構成される。なお、任意成分の種類にもよるが、第3層L3に液化ガスが配合されていない場合、第3層L3は、容器本体4の気相を構成する親油性液化ガスと外部との圧力差によって、噴射される。そのため、噴射されるエアゾール組成物の噴射状態は、たとえば粘性液体状(ゲル状)である。また、液化ガスが配合されている場合は噴射状態はスプレー状になる。
【0062】
このように、本実施形態のエアゾール製品1は、少なくとも3層に分離した液相のうち、1の層(たとえば第1層L1)を構成するエアゾール組成物が噴射された後、他の1の層(たとえば第2層L2)を構成するエアゾール組成物が噴射される際に、噴射状態が変化する。そのため、たとえば第1層L1が噴射され終わるタイミングは、適切に把握されやすい。
【0063】
また、本実施形態のエアゾール製品1は、液相を構成するそれぞれの層に異なる任意成分を配合し得る。そのため、それぞれの層を構成するエアゾール組成物が噴射される際に、その噴射状態を変更し得るだけでなく、所望の効果も変更し得る。具体的に一例を挙げると、第1層L1を構成するエアゾール組成物は、親油性液化ガスと油性溶媒とを主に含んでおり、かつ、スプレー状に噴射し得る。そのため、第1層L1を構成するエアゾール組成物が噴射されることにより、エアゾール製品1は、適用箇所(たとえば頭皮等)に対して、冷感や刺激を付与し得る。また、第2層L2は、水を主体としつつ、親油性液化ガスも含んでおり、フォーム状に噴射され得る。そのため、第2層L2を構成するエアゾール組成物が噴射されることにより、エアゾール製品1は、適用箇所(たとえば頭皮等)を洗浄し得る。さらに、第3層L3は、油性溶媒から主に構成され、かつ、粘性液体状に噴射され得る。そのため、第3層L3を構成するエアゾール組成物が噴射されることにより、エアゾール製品1は、適用箇所(たとえば頭皮等)に艶を与え得る。
【0064】
ところで、エアゾール製品1の効果がより適切に奏されるためには、第1層L1から第3層L3を構成するそれぞれのエアゾール組成物が順次噴射されるだけでなく、その用量が適切であることが好ましい。そこで、本実施形態のエアゾール製品1は、1回使い切り用であることが好ましい。この場合、エアゾール組成物の用法および用量は、適正に確定されやすい。たとえば、上記した「冷感および刺激の付与」、「洗浄」および「艶出し」の効果を奏するためには、エアゾール組成物の配合にもよるが、たとえば、エアゾール組成物が1〜20mLとなるよう用量が確定されることが好ましい。これにより、用法を「1回の吐出」に規定すれば、上記「冷感および刺激の付与」、「洗浄」および「艶出し」の効果が、1回の操作で安定して奏され得る。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明した。本発明は、たとえば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0066】
(1)上記実施形態では、噴射機構にディップチューブが設けられ、ディップチューブの他端に取込口が形成されている場合について例示した。これに代えて、本発明は、ディップチューブが省略されてもよい。この場合、エアゾール製品は、たとえば倒立状態で使用する場合に好適である。すなわち、上下が反転された倒立状態では、エアゾール組成物の液相は、ハウジングが浸漬されるよう容器本体内を移動する。その結果、ハウジングの連通孔は、液相の最下層において開口し得る。したがって、連通孔は、最下層の取込口として機能し、最下層から順次1層ずつ取り込むことができる。
【0067】
(2)上記実施形態では、3層以上に分離する液相のうち、最上層および最下層以外の中間層が、図1において水層として例示されるように、上部の界面が第3層の下部の界面と接し、下部の界面が第1層の上部の界面と接するよう形成される場合について例示した。これに代えて、中間層は、球状に形成されてもよい。この場合、第1層の上部の界面は、球状の中間層だけでなく、第3層の下部の界面と接してもよい。
【0068】
(3)上記実施形態では、「冷感および刺激の付与」、「洗浄」および「艶出し」の効果が順次奏されるエアゾール製品について例示した。これに代えて、本発明は、所望する効果に合わせてそれぞれの層に含まれる成分の配合割合や任意成分の種類を選択することができる。たとえば、第1層のエアゾール組成物が奏する効果を「クレンジング効果」とする場合、任意成分として油性溶媒が選択されればよく、第2層のエアゾール組成物が奏する効果を「洗浄効果」とする場合、任意成分として洗浄成分(乳化剤)が選択されればよく、第3層のエアゾール組成物が奏する効果を「保湿効果」とする場合、任意成分としてグリセリンなどの多価アルコールや油性溶媒が選択されればよい。この場合、「クレンジング効果」と「洗浄効果」と「保湿効果」とが順次得られるメイク落としから保湿までを行うことができるエアゾール製品が得られる。
【0069】
(4)上記実施形態では、第1層として油層が形成され、第2層として水層が形成され、第3層として油層が形成される場合について例示した。本発明は、水層と油層との位置(順序)が特に限定されない。それぞれの層の位置は、配合される水、油性溶媒および親油性液化ガス、ならびに任意成分の種類、配合割合によって適宜決定され得る。一例を挙げると、第1層が水層であり、第2層および第3層が油層であってもよい。液相が4層以上に分離する場合も同様である。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0071】
(実施例1)
以下の表1に記載された配合に基づいて、それぞれの材料をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。耐圧容器にエアゾールバルブを固着し、親油性液化ガスとしてハイドロフルオロオレフィン(HFO−1234ze 0.41MPa(25℃))を充填した。エアゾールバルブに噴射部材を取り付け、図1に示されるエアゾール製品を製造した。
【0072】
(実施例2〜5)
表1に記載された配合に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりエアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について、層の数を測定し、その後、噴射状態を確認した。結果を表3に示す。
【0073】
【表1】
(*1)ネオチオゾール(ケロシン 中央化成(株)製)
(*2)パイオニアゲル 12PAO(Hansen&Rosenthal KG社製)
(*3)SO−10、HLB4.3(日光ケミカルズ(株)製)
(*4)STRUCTURE2001(アクゾノーベル(株)製)
(*5)TL−10、HLB16.9(日光ケミカルズ(株)製)
(*6)PBC−44、HLB12.5(日光ケミカルズ(株)製)
(*7)トリエタノールアミン(大倉ケミテック(株)製)
【0074】
(実施例6〜8、比較例1〜2)
表2に記載された配合に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりエアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について、層の数を測定し、その後、噴射状態を確認した。結果を表3に示す。
【0075】
【表2】
(*8)液化石油ガス(LPG(ノルマルブタンとイソブタンとプロパンの混合物、25℃での蒸気圧:0.40MPa))
【0076】
実施例1〜8および比較例1〜2で得られたそれぞれのエアゾール製品について、以下の評価方法により、層の数を測定し、その後、噴射状態を確認した。結果を表3に示す。
【0077】
(液層の数)
製造したエアゾール製品を25℃の恒温室にて正立状態で1時間静置し、その後、液相の層の数を目視により測定した。
【0078】
(振とう後の状態)
製造したエアゾール製品を25℃の恒温室にて正立状態で1時間静置した後に上下に10回振とうし、その後、外観を目視により以下の評価基準に基づいて評価した。
〈評価基準〉
○:1分以内に3層に分離した
△:1日以内に3層に分離した。
×:1日を超えても、3層に分離しなかった。
【0079】
(噴射物の状態)
製造したエアゾール製品を25℃の恒温室にて正立状態で1時間静置し、その後、振とうせずに噴射した際の噴射状態の変化を、以下の評価基準に基づいて評価した。
<評価基準>
○1:シャーベット→フォーム→粘性液と、噴射した層が変わる際に、噴射状態が変化した。また、同じ層を噴射している間は、エアゾール組成物は、均一に噴射された。
○2:シャーベット→フォーム→スプレーと、噴射した層が変わる際に、噴射状態が変化した。また、同じ層を噴射している間は、エアゾール組成物は、均一に噴射された。
○3:スプレー→フォーム→粘性液と、噴射した層が変わる際に、噴射状態が変化した。また、同じ層を噴射している間は、エアゾール組成物は、均一に噴射された。
△:噴射した層が変わる際に、一度だけ噴射状態が変化した。
×1:噴射した層が変わる際に、噴射状態が変化しなかった。
×2:噴射状態が安定せずに、不均一な中身が噴射された。
【0080】
【表3】
【0081】
表3に示されるように、水層に配合される乳化剤を使用して液相が3層に分離した実施例1〜8のエアゾール製品は、振とう後に比較的短時間で層が分離した。また、これらのエアゾール製品は、噴射すると、層が変わる際に噴射状態が変化した。
【0082】
一方、水層に配合される乳化剤を使用しなかった比較例1のエアゾール製品は、3層に分離したが、噴射状態が安定せず、不均一に噴射された。水層に配合される乳化剤を使用しなかった比較例2のエアゾール製品は、3層に分離せず、噴射時において噴射状態が変化しなかった。
【符号の説明】
【0083】
1 エアゾール製品
2 エアゾール容器
3 噴射部材
31 噴射孔
4 容器本体
5 エアゾールバルブ
6 ハウジング
7 ステム
7a ステム孔
8 ステムラバー
9 ディップチューブ
91 取込口
L1 第1層
L2 第2層
L3 第3層
図1
図2
図3
図4