(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571447
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】車載用カメラ
(51)【国際特許分類】
G03B 17/55 20060101AFI20190826BHJP
G03B 17/56 20060101ALI20190826BHJP
G03B 17/02 20060101ALI20190826BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
G03B17/55
G03B17/56 H
G03B17/02
H04N5/225 700
H04N5/225 200
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-161266(P2015-161266)
(22)【出願日】2015年8月18日
(65)【公開番号】特開2017-40723(P2017-40723A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】望月 正孝
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄太
(72)【発明者】
【氏名】ランディープ シン
【審査官】
金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−278603(JP,A)
【文献】
特開2014−110529(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/137267(WO,A1)
【文献】
特開2009−100295(JP,A)
【文献】
特開2015−004828(JP,A)
【文献】
特開2013−255194(JP,A)
【文献】
特開2014−011565(JP,A)
【文献】
特開2008−211378(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0315133(US,A1)
【文献】
実開平03−058076(JP,U)
【文献】
特開2014−011758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/55
G03B 17/02
G03B 17/56
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、前記レンズを通して得られた画像情報を電子情報に変換する電子回路部とがケーシングの内部に収容された車載用カメラにおいて、
前記ケーシングは、前記レンズを臨ませた窓孔部が先端部に形成された主ケースと、前記主ケースの後端部に取り付けられて前記主ケースの後端部を閉じる副ケースとを有し、
前記電子回路部が熱伝達可能に接触させられた伝熱部材が前記主ケースの内部に配置され、
前記伝熱部材は、前記主ケースの内面に熱伝達可能に密着させられた熱伝達部を有し、
前記主ケースと前記副ケースとは、前記主ケースと前記副ケースとの間をシール材を介して連結され、
前記伝熱部材は、薄板状の密閉容器の内部に加熱されて蒸発しかつ放熱して凝縮する作動流体が封入されてなるベーパーチャンバーと、前記ベーパーチャンバーが埋め込まれるとともに前記ケーシングの内面に連結された金属製の保持板とを有し、
前記ベーパーチャンバーの内部に、前記作動流体を前記作動流体の蒸発が生じる箇所に還流させるための毛管力を生じさせるウイックが設けられている
ことを特徴とする車載用カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用カメラにおいて、
前記ケーシングの内部に収容された電源ユニットを更に備え、
前記伝熱部材は、前記電子回路部および前記電源ユニットの熱を前記主ケースに伝達するように構成され、
前記ベーパーチャンバーは、前記伝熱部材のうち前記電子回路部が接触させられる面側に埋め込まれており、かつ
前記ウイックは、前記ベーパーチャンバーの内面のうち前記電子回路部が接触させられる側の内面に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の車載用カメラ。
【請求項3】
レンズと、前記レンズを通して得られた画像情報を電子情報に変換する電子回路部とがケーシングの内部に収容された車載用カメラにおいて、
前記ケーシングは、前記レンズを臨ませた窓孔部が先端部に形成された主ケースと、前記主ケースの後端部に取り付けられて前記主ケースの後端部を閉じる副ケースとを有し、
前記電子回路部が熱伝達可能に接触させられた伝熱部材が前記主ケースの内部に配置され、
前記伝熱部材は、前記主ケースの内面に熱伝達可能に密着させられた熱伝達部を有し、
前記主ケースと前記副ケースとは、前記主ケースと前記副ケースとの間をシール材を介して連結され、
前記伝熱部材は、前記ケーシングの内面に連結されたステンレス製の保持板と、前記ステンレス製の二枚の保持板の間に挟み込まれて前記保持板と積層されて保持板に一体化されているグラファイトシートとによって構成されている
ことを特徴とする車載用カメラ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の車載用カメラにおいて、
前記ケーシングの外面に着脱可能に取り付けられたヒートシンクを更に備えていることを特徴とする車載用カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて車両の前方や後方などの道路状況を撮像するカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたカメラは、例えば車両の後方監視を行うために使用されるカメラであって、第1ケースと第2ケースとによってケーシングが構成され、第1ケースの先端部にはレンズを外部に向けて臨ませる開口部が形成され、第2ケースは第1ケースの後端部に連結されてケーシングを閉じている。第1ケースと第2ケースとの間にはシールド部が設けられている。シールド部はケースの内部に隔壁部を形成するための部材であって、その周縁部分を第1ケースと第2ケースとの合わせ面の間に挟み付けることによりケースに対して固定されている。また、シールド部は、熱伝導性に優れた部材によって形成され、前記第1ケースの内部には、撮像素子や基板を有する撮像モジュールがシールド部に接触した状態に収容されている。また、第1ケースの内部には、レンズユニットを装着したレンズブラケットが収容されている。さらに、第2ケースの内部には、電源モジュールが前記シールド部に接触した状態で収容されている。シールド部は、特許文献1の記載によれば、放熱板であり、その周縁部分が第1ケースと第2ケースとに挟み付けられてこれら第1ケースと第2ケースとに熱的に接触していることにより、撮像モジュールや電源モジュールにおける電子部品の熱が、シールド部を介してケースの外部に放熱される、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2012/137267号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載用のカメラは、車室内に配置されているだけでなく、車外に取り付けられることもあるから、ケースは液密構造に構成する必要がある。上記の特許文献1に記載された構成では、外部への放熱のために、第1ケースと第2ケースとの間にシールド部の周縁部分を挟み込んでいるので、第1ケースとシールド部との間、およびシールド部と第2ケースとの間の2箇所をシールする必要がある。そのため、特許文献1に記載された構造ではシール箇所が多くなって、シール性の悪化や、部品点数もしくは製造工数の増大などの不都合があった。
【0005】
また、特許文献1に記載された構造では、放熱板であるシールド部から外部への放熱は、シールド部の周縁部分のうち第1ケースと第2ケースとの間で外部に露出している端面に限られるから、その放熱量が限られて放熱性能が必ずしも十分ではない不都合があった。また、特許文献1に記載された構造では、シールド部から第1ケースおよび第2ケースに熱が伝達されて外部に放熱される、とされているが、シールド部と第1ケースおよび第2ケースとの間の熱伝達は、第1ケースと第2ケースとがシールド部を挟み付けている部分に限られるから、シールド部から第1ケースと第2ケースとに対する熱伝達が十分には生じず、この点においても外部への放熱が制限されて、放熱性能が必ずしも十分ではない不都合があった。
【0006】
本発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、シール性もしくは防水性に優れるとともに放熱性に優れた車載用カメラを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するために、レンズと、前記レンズを通して得られた画像情報を電子情報に変換する電子回路部とがケーシングの内部に収容された車載用カメラにおいて、前記ケーシングは、前記レンズを臨ませた窓孔部が先端部に形成された主ケースと、前記主ケースの後端部に取り付けられて前記主ケースの後端部を閉じる副ケースとを有し、前記電子回路部が熱伝達可能に接触させられた伝熱部材が前記主ケースの内部に配置され、前記伝熱部材は、前記主ケースの内面に熱伝達可能に密着させられた熱伝達部を有し、前記主ケースと前記副ケースとは、前記主ケースと前記副ケースとの間をシール材を介して連結され連結され
、前記伝熱部材は、薄板状の密閉容器の内部に加熱されて蒸発しかつ放熱して凝縮する作動流体が封入されてなるベーパーチャンバーと、前記ベーパーチャンバーが埋め込まれるとともに前記ケーシングの内面に連結された金属製の保持板とを有し、前記ベーパーチャンバーの内部に、前記作動流体を前記作動流体の蒸発が生じる箇所に還流させるための毛管力を生じさせるウイックが設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、
前記ケーシングの内部に収容された電源ユニットを更に備え、前記伝熱部材は、前記電子回路部および前記電源ユニットの熱を前記主ケースに伝達するように構成され、前記ベーパーチャンバーは、前記伝熱部材のうち前記電子回路部が接触させられる面側に埋め込まれており、かつ前記ウイックは、前記ベーパーチャンバーの内面のうち前記電子回路部が接触させられる側の内面に設けられていてよい。
【0009】
また、本発
明は、レンズと、前記レンズを通して得られた画像情報を電子情報に変換する電子回路部とがケーシングの内部に収容された車載用カメラにおいて、前記ケーシングは、前記レンズを臨ませた窓孔部が先端部に形成された主ケースと、前記主ケースの後端部に取り付けられて前記主ケースの後端部を閉じる副ケースとを有し、前記電子回路部が熱伝達可能に接触させられた伝熱部材が前記主ケースの内部に配置され、前記伝熱部材は、前記主ケースの内面に熱伝達可能に密着させられた熱伝達部を有し、前記主ケースと前記副ケースとは、前記主ケースと前記副ケースとの間をシール材を介して連結され、前記伝熱部材は、前記ケーシングの内面に連結されたステンレス製の保持板と、前記ステンレス製の二枚の保持板の間に挟み込まれて前記保持板と積層されて保持板に一体化されているグラファイトシートとによって構成されていることを特徴としている。
そして、本発明においては、前記ケーシングの外面に着脱可能に取り付けられたヒートシンクを更に備えていてよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子回路部で発生した熱やケーシング内の熱は伝熱部材に伝達され、かつその伝熱部材を介してケーシングの主ケースに伝達される。伝熱部材は主ケースの内面に密着させられた熱伝達部を有し、広い面積で主ケースに熱を伝達するので、電子回路部あるいはケーシング内の熱は効率よく主ケースに伝達され、かつ主ケースから外部に放散させられる。その結果、カメラからの放熱特性が良好になり、電子回路部の操作不良や耐久性の低下を回避もしくは抑制することができる。また、ケーシングを構成している主ケースと副ケースとは、伝熱部材などが介在することがなく、シール材を介在させ
て連結されているから、ケーシングの密封性あるいは液密性が良好になり、またシール箇所が少なくなるので、シールが容易になるとともに、部品点数が少なくなって製造性が良好になり、かつ低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例を模式的に示す断面図である。
【
図3】伝熱部材を構成しているベーパーチャンバーを示す一部省略した断面図である。
【
図4】ベーパーチャンバーに替えてグラファイトシートを使用した伝熱部材の一例を示す断面図である。
【
図5】伝熱部材に使用される、ステンレスとグラファイトシートとからなるクラッド材の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に本発明の一実施例を模式的に示してある。ここに示す車載用カメラ1は、ケーシング2の内部に、レンズユニット3と電子回路部4と電源ユニット5とを収容して構成されている。ケーシング2は、主ケース2Aと副ケース2Bとによって構成されている。主ケース2Aは、断面形状が矩形もしくは方形あるいは円形の筒状体であって、先端部のほぼ中央部に、画像を取り込むための窓孔部6が形成されている。副ケース2Bは、主ケース2Aの後端部を閉じるためのものであり、主ケース2Aと副ケース2Bとは、Oリングやガスケットなどの適宜のシール材7を介して液密状態に連結されている。すなわち、主ケース2Aと副ケース2Bとの相互の合わせ面の間にはシール材7が介在されている。
【0013】
レンズユニット3は、画像を結ばせるためのレンズ3Aとレンズ3Aを保持しているブラケット3Bとを主体にして構成されている。レンズユニット3は、レンズ3Aを前記窓孔部6から外部に臨ませた状態で主ケース2Aの内部に収容されている。電子回路部4は、レンズ3Aによって得られた光学的な画像情報を電子情報に変換する撮像素子を基板に装着して構成されている。その電子回路部4は前記レンズユニット3の後端側に連結されている。なお、これらのレンズユニット3および電子回路部4は従来知られている構成のものであってよい。
【0014】
電子回路部4を熱伝達可能に接触させた伝熱部材8が設けられている。伝熱部材8は、放熱のための部材であって、筒状をなす主ケース2Aの内部を横断(区画)するように配置された板状の部材である。前記電子回路部4は伝熱部材8のほぼ中央部に接触させられており、その電子回路部4が接触させられている部分に対してほぼ直角に屈曲させられた熱伝達部8Aが伝熱部材8の周縁部に形成されている。この熱伝達部8Aは主ケース2Aに対して熱を伝達するための部分であり、主ケース2Aの内面に熱伝達可能に密着させられている。なお、隙間を埋めて熱抵抗を低減するために、熱伝達部8Aと主ケース2Aの内面との間にペースト状もしくは柔軟性のある熱伝導材料を充填してもよい。また、熱伝達部8Aは伝熱部材8の全周に形成されていてもよく、あるいは伝熱部材8の中心部に対して対称となる二箇所に設けてもよい。熱伝達部8Aは伝熱部材8の全周に設けた場合には筒状部となる。
【0015】
電源ユニット5は、前記伝熱部材8における前記電子回路部4が接触している面とは反対側の面に熱伝達可能に接触している。
【0016】
伝熱部材8は、電子回路部4および電源ユニット5の熱を主ケース2Aに伝達して電子回路部4および電源ユニット5の温度上昇を抑制するように構成されている。例えば伝熱部材8は、銅やアルミニウムなどの金属製の強度部材に熱伝達を補助する部材を一体化した構成とされている。その構成の一例を
図2に模式的に示してある。ここに示す例は、アルミニウムもしくはその合金あるいは銅やステンレスなどの金属製の保持板9に、熱伝達を補助する部材としてベーパーチャンバー10を一体化した例である。保持板9は断面形状が「コ」字状をなすように形成され、その内面側(すなわち前記電子回路部4が接触させられる面側)にベーパーチャンバー10が埋め込まれている。電子回路部4の発熱量が電源ユニット5の発熱量より多いからである。
【0017】
ベーパーチャンバー10は
図3に示すように、厚さが0.4mm程度の薄板状の密閉容器10Aに、加熱されて蒸発しかつ放熱して凝縮する水などの作動流体を封入した熱輸送素子であり、
図2および
図3に示す例では断面形状が「コ」字状をなすように形成されていて、前記保持板9の内面側に埋め込まれて一体化されている。
【0018】
なお、ベーパーチャンバー10の中央部に前記電子回路部4が熱伝達可能に接触させられていてその部分で作動流体の蒸発が生じるようになっているから、作動流体を蒸発の生じる箇所に還流させるための毛管力を生じるウイック10Bをベーパーチャンバー10の内部に設けてもよい。ウイック10Bは、メッシュや細線束あるいは多孔質焼結体などから構成され、液相の作動流体が浸透することにより毛管力を生じさせる。作動流体の凝縮は前記熱伝達部8A側で生じ、また作動流体の蒸発は電子回路部4が接触している箇所で生じるから、熱伝達部8A側で凝縮した作動流体を浸透させて蒸発の生じる箇所に還流させるために、ウイック10Bはベーパーチャンバー10の内面の全体、あるいは
図3に示すように、電子回路部4が接触させられる側の内面に設けることが好ましい。
【0019】
本発明に係る上記構成の車載用カメラ1においては、電子回路部4および電源ユニット5で発生した熱は伝熱部材8を介して主ケース2Aに伝達され、主ケース2Aの外面から外部に放散させられる。熱伝達部8Aが
図3に示すベーパーチャンバー10を備えている場合には、電子回路部4および電源ユニット5から伝達された熱によって作動流体が蒸発し、その蒸気が主ケース2A側の熱伝達部8Aに向けて流動する。そして、熱伝達部8Aにおいて主ケース2Aに熱を伝達して作動流体が凝縮する。このように、作動流体がその潜熱として熱を輸送するので、電子回路部4および電源ユニット5から多量の熱が主ケース2Aに運ばれる。特に、電子回路部4がベーパーチャンバー10に直接接触しているから、電子回路部4の熱がベーパーチャンバー10の作動流体に、より積極的に伝達され、電子回路部4の発熱量が多いとしても電子回路部4の温度上昇が抑制される。また、熱伝達部8Aは、主ケース2Aの内面に添わせた広い面積を有する部分であるから、伝熱部材8と主ケース2Aとの間の熱抵抗が小さくなっている。結局、伝熱部材8自体の熱伝導率が高く、かつ伝熱部材8と主ケース2Aとの間の熱抵抗が小さいことにより、電子回路部4および電源ユニット5から外部への放熱特性が良好になっている。そのため、電子回路部4および電源ユニット5の温度が高くなることが防止もしくは抑制され、車載用カメラ1の動作不良や耐久性の低下を未然に防止もしくは抑制することができる。
【0020】
なお、外部に対する放熱は、主ケース2Aの外面あるいはケーシング2の外面で生じる。したがって、放熱量を増大させる場合には、例えば
図1に鎖線で示してあるように、ヒートシンク11をケーシング2の外面に取り付けることが好ましい。その場合、車載用カメラ1の汎用性を損なわないようにするために、ヒートシンク11はケーシング2に対して着脱できる構成とすることが好ましい。
【0021】
また、上述した本発明に係る車載用カメラ1では、電子回路部4および電源ユニット5からの放熱を促進するための伝熱部材8をケーシング2の内部に設けてあっても、主ケース2Aと副ケース2Bとをシール材7を介して直接連結した構成になっている。そのため、シール箇所が一箇所になって確実かつ容易にシールすることが可能になり、いわゆるシール不全を未然に回避もしくは抑制することができる。また、シール箇所が少ないことにより、部品点数を少なくして工数やコストを削減し、低廉化を図ることができる。
【0022】
なお、本発明は上述した具体例に限定されない。
図4に伝熱部材8の他の例を模式的に示してある。ここに示す例は、熱伝達を補助する部材として、上記のベーパーチャンバー10に替えてグラファイトシート10Cを用いた例である。
図4に示す伝熱部材8は、断面形状が「コ」字状をなす保持板9の内面側(すなわち前記電子回路部4が接触させられる面側)に、グラファイトシート10Cが一体に取り付けられている。伝熱部材8を
図4に示す構成とする場合、ステンレスとグラファイトとを積層したクラッド材を
図4に示す形状に加工してもよい。また、クラッド材を使用する場合、
図5に部分断面図として示すようにステンレス9Bの間にグラファイトシート10Cを挟み込んで積層したクラッド材を使用してもよい。
【0023】
これら
図4や
図5に示すようにグラファイトシート10Cを使用した構成であっても、伝熱部材8の実質的な熱伝導率が大きくなり、また伝熱部材8と主ケース2Aとの間の熱抵抗が小さくなるので、上述した
図1ないし
図3に示す例と同様に、放熱特性を向上させて電子回路部4および電源ユニット5の温度上昇を抑え、その動作不良や耐久性の低下を防止もしくは抑制することができる。
【符号の説明】
【0024】
1…車載用カメラ、 2…ケーシング、 2A…主ケース、 2B…副ケース、 3…レンズユニット、 3A…レンズ、 3B…ブラケット、 4…電子回路部、 5…電源ユニット、 6…窓孔部、 7…シール材、 8…伝熱部材、 8A…熱伝達部、 9…保持板、 10…ベーパーチャンバー、 10B…密閉容器、 10C…グラファイトシート。