特許第6571451号(P6571451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日野自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6571451-排気浄化装置 図000002
  • 特許6571451-排気浄化装置 図000003
  • 特許6571451-排気浄化装置 図000004
  • 特許6571451-排気浄化装置 図000005
  • 特許6571451-排気浄化装置 図000006
  • 特許6571451-排気浄化装置 図000007
  • 特許6571451-排気浄化装置 図000008
  • 特許6571451-排気浄化装置 図000009
  • 特許6571451-排気浄化装置 図000010
  • 特許6571451-排気浄化装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571451
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/24 20060101AFI20190826BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20190826BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20190826BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   F01N3/24 NZAB
   F01N3/28 301V
   F01N3/08 B
   B01D53/94 222
   B01D53/94 400
   B01D53/94 241
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-167384(P2015-167384)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-44152(P2017-44152A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 智之
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−068415(JP,A)
【文献】 特開2007−002819(JP,A)
【文献】 実開昭61−062220(JP,U)
【文献】 実開昭61−021816(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/08
F01N 3/28
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気管の途中に備えたケーシングの内部に、排気ガスを浄化する浄化材を抱持し、該浄化材に対し排気ガスを反転させて導入するよう構成された排気浄化装置であって、
前記浄化材の入側端面を被包し且つ該浄化材における流れ方向と逆向きに導いた排気ガスを曲管部を介し反転させて前記浄化材の入側端面に対し斜め側方から分散させつつ導入するガス分散室を備え、
前記ガス分散室から前記ケーシングに至る経路の途中に、前記曲管部内で流れ方向に沿った面を成して排気流れを曲がり方向内側の排気流れと曲がり方向外側の排気流れとに分割する板状の分流部と、該分流部から曲がり方向内側に屈曲しつつ下流方向に延長され、前記ケーシングの曲がり方向外側の内壁よりも曲がり方向内側の位置で前記浄化材における流れ方向に沿った面を成す板状の誘導部と
前記分流部の流れ方向に関して左右から屈曲しつつ前記曲管部の曲がり方向内側の内壁に向かって延長される板状の支持部を備え、
該支持部と、前記分流部と、前記曲管部の内壁とで閉断面の流路を形成するよう構成された整流フィンを配したことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
前記分流部は、曲がり方向外側に向かって凸な断面形状を有していることを特徴とする請求項に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記誘導部は、曲がり方向外側に向かって凸な断面形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、排気管の途中に排気ガス中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタを備えると共に、該パティキュレートフィルタの下流側に酸素共存下でも選択的にNOxをアンモニアと反応させ得る選択還元型触媒を備え、該選択還元型触媒と前記パティキュレートフィルタとの間に還元剤として尿素水を添加してパティキュレートとNOxの同時低減を図ることが提案されている。
【0003】
この場合、選択還元型触媒への尿素水の添加は、パティキュレートフィルタと選択還元型触媒との間で行われることになるため、排気ガス中に添加された尿素水がアンモニアと炭酸ガスに加水分解されるまでの十分な反応時間を確保しようとすれば、尿素水の添加位置から選択還元型触媒までの距離を長くする必要があるが、パティキュレートフィルタと選択還元型触媒とを十分な距離を隔てて離間配置させると、車両への搭載性が著しく損なわれてしまう。
【0004】
このため、本発明と同じ出願人により図10に示す如きコンパクトな排気浄化装置が既に提案されており、ここに図示している排気浄化装置では、エンジンからの排気ガス1が流通する排気管2の途中に、排気ガス1中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタ3と、該パティキュレートフィルタ3の下流側に酸素共存下でも選択的にNOxをアンモニアと反応させ得る性質を備えた選択還元型触媒4の二種類の浄化材を、ケーシング5,6によりそれぞれ抱持して並列に配置している。そして、パティキュレートフィルタ3の出側端部と選択還元型触媒4の入側端部との間がS字構造の連絡流路7により接続され、パティキュレートフィルタ3の出側端部から排出された排気ガス1が逆向きに折り返されて隣の選択還元型触媒4の入側端部に導入されるようになっている。
【0005】
ここで、連絡流路7は、パティキュレートフィルタ3の出側端部を包囲し且つ該出側端部から出た直後の排気ガス1を略直角な向きに方向転換させつつ集合せしめるガス集合室7Aと、該ガス集合室7Aで集められた排気ガス1をパティキュレートフィルタ3における流れ方向と逆向きに抜き出すミキシングパイプ7Bと、該ミキシングパイプ7Bにより導かれた排気ガス1を曲管部11を介し反転させて選択還元型触媒4の入側端面に対し斜め側方から分散させつつ導入し得るよう該入側端部を包囲するガス分散室7CとでS字構造を成すように構成されており、ミキシングパイプ7Bの入側端部の中心位置には、該ミキシングパイプ7B内に尿素水を添加するためのインジェクタ8がミキシングパイプ7Bの出側端部側へ向けて装備されている。
【0006】
尚、ここに図示している例では、前記二種類の浄化材(パティキュレートフィルタ3、選択還元型触媒4)に加え、パティキュレートフィルタ3が抱持されているケーシング5内の前段に排気ガス1中の未燃燃料分を酸化処理する酸化触媒9を、選択還元型触媒4が抱持されているケーシング6内の後段に余剰のアンモニアを酸化処理するアンモニア低減触媒10を、それぞれ浄化材として装備している。
【0007】
そして、このような構成を採用すれば、パティキュレートフィルタ3により排気ガス1中のパティキュレートが捕集されると共に、その下流側のミキシングパイプ7Bの途中でインジェクタ8から尿素水が排気ガス1中に添加されてアンモニアと炭酸ガスに分解され、選択還元型触媒4上で排気ガス1中のNOxがアンモニアにより良好に還元浄化される結果、排気ガス1中のパティキュレートとNOxの同時低減が図られることになる。
【0008】
この際、パティキュレートフィルタ3の出側端部から排出された排気ガス1が連絡流路7により逆向きに折り返されてから隣の選択還元型触媒4の入側端部に導入されるようになっているので、尿素水の添加位置から選択還元型触媒4までの距離が長く確保され、尿素水からアンモニアが生成されるのに十分な反応時間が確保される。
【0009】
しかも、パティキュレートフィルタ3と選択還元型触媒4とが並列に配置され、これらパティキュレートフィルタ3と選択還元型触媒4との間に沿うように連絡流路7が配置されているので、その全体構成がコンパクトなものとなって車両への搭載性が大幅に向上されることになる。
【0010】
一方、このように選択還元型触媒4に対し排気ガス1を反転させて導入する形式では、排気ガス1が反転する際、その曲がり方向の外側に排気ガス1が偏って流れ易くなり、浄化材である選択還元型触媒4に対し排気ガス1が不均一に導入されて、本来発揮されるべき浄化性能が十分に引き出されない懸念がある。
【0011】
例えば、一般に触媒の浄化性能は温度に左右されるが、排気ガス1が選択還元型触媒4に対し偏って導入されると、選択還元型触媒4内に温度の偏りが発生する。そして、排気ガス1が多く流れる曲がり方向外側では排気ガス1によって十分に昇温されるために浄化性能が高くなる一方、排気ガス1の流れの少ない曲がり方向内側では浄化性能が相対的に低くなり、選択還元型触媒4のうちでも実質的に機能するのは曲がり方向外側のみといった事態が起こり得る。また、高温の排気ガス1が常に曲がり方向外側に偏って導入されることにより、曲がり方向外側において触媒性能の劣化が相対的に速く進む結果、選択還元型触媒4全体としての寿命が短くなってしまう問題もある。同様のことはアンモニア低減触媒10に関しても言え、選択還元型触媒4に偏って流入した排気ガス1が偏りを残したまま下流のアンモニア低減触媒10に導入される結果、やはり浄化性能や劣化速度に偏りが発生してしまう。
【0012】
また、選択還元型触媒4の場合、流入する排気ガス1にはインジェクタ8から噴射された還元剤が含まれている。排気ガス1の偏りに伴い、この還元剤が選択還元型触媒4に対し偏って供給されると、部分的に選択還元型触媒4の浄化性能を超える量の還元剤が供給されるということが起こり得、分解されずに残った余剰量の還元剤によって選択還元型触媒4の腐食の進行を招いてしまう。また、選択還元型触媒4の曲がり方向外側にはこのように過剰な量の還元剤が供給され得る一方、曲がり方向内側には相対的に少ない量の還元剤しか供給されず、本来の浄化性能に対して見合った量の還元剤を適切に供給することが難しい。このため、浄化性能が十分に発揮できないことに加え、還元剤の消費量の増大にも繋がる虞がある。このように、排気浄化装置に装備される浄化材一般に関して、排気ガス1はなるべく偏りなく均一に導入されることが様々な観点から望ましい。
【0013】
こうした問題に対処するため、図10に示した例の場合、ガス分散室7Cには、選択還元型触媒4の入側端面に対し離間する方向へ反り且つ曲管部11から排気ガス1の導入方向へ離れるに従い選択還元型触媒4の入側端面に近接するようにした窪み部12が形成されており、この窪み部12により排気ガス1の流れが抑え込まれ、曲がり方向の外側に相対的に多くの排気ガス1が偏って流れてしまう傾向が是正されるようにしてある。
【0014】
また、曲管部11の直前位置に窪み部13が形成されており、この窪み部13により曲管部11の直前位置で曲がり方向内側の部分を一旦外側に振ることで屈曲部分の曲率を小さくして曲がり具合を緩やかなものとし、排気ガス1の流れを極力円滑に曲げて選択還元型触媒4の入側端面へと導けるようにしてある。
【0015】
尚、14はセンサであり、ここに示した例では、ケーシング6の選択還元型触媒4の直前における曲がり方向外側と、アンモニア低減触媒10の直後における曲がり方向外側の位置にそれぞれ設置してある。センサ14としては、排気圧を測定する圧力センサや、排気温度を測定する温度センサ、排気中に含まれるパティキュレートやNOx等の各種物質を検出するPMセンサやNOxセンサ等、各種の型式のものが想定される。
【0016】
この種の排気浄化装置に関連する先行技術文献としては、下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2009−68415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来構造の如く曲管部11に窪み部12や窪み部13を備えて排気ガス1の流れを誘導しても、実際のエンジンの設計や排気流路の形状等によっては反転後の排気流れの偏りを完全に解消するまでには至らず、選択還元型触媒4に流れる排気ガス1の主流が依然として選択還元型触媒4の中心より曲がり方向外側に流れてしまう場合があった。よって、窪み部12や窪み部13を備えることによって排気流れの偏りは是正されているとしても、これだけでは未だ十分とは言えず、さらなる改善が望まれていた。
【0019】
また、図10に示した例では、ケーシング6における選択還元型触媒4の直前及びアンモニア低減触媒10の直後におけるそれぞれ曲がり方向外側の位置にセンサ14を備えているが、この配置は上述した排気ガス1の偏りによる。すなわち、センサ14を用いて排気ガス1に関する各種の計測を精度良く行うためには、センサ14に対し一定量の排気ガス1を安定して供給することが効果的であるが、排気ガス1の主流が上述の如く曲がり方向外側を流れる以上、センサ14の流路に対する設置位置も曲がり方向外側とする必要がある。一方、センサ14を取り付けるにあたっては、センサボスを溶接するためにある程度のスペースを要するし、さらに複数のセンサ14を設置する場合には、該センサ14同士が干渉しないよう互いに離間させる必要もある。すなわち、排気ガス1の流れが流路内で偏っている結果、センサ14の取り付けに適した箇所は限られており、その限られた取付箇所を複数のセンサ14間で取り合うことになる。こうした制約のため、図10に示した例では、二個のセンサ14を選択還元型触媒4の直前とアンモニア低減触媒10の直後とにそれぞれ設置し、両センサ14を排気ガス1の多く流れる曲がり方向外側に配置しつつ、二個のセンサ14同士を互いに離して配置するようにしている。
【0020】
このような配置にあっては、選択還元型触媒4の直前にセンサ14を設置するため、この位置に浄化材の収容されないスペースを確保する必要がある。すなわち、この位置において、センサ14の設置に必要な分だけケーシング6を延長せざるを得ず、排気浄化装置の全長が長くなってしまい、コンパクト化を阻害する要因となっていた。
【0021】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、選択還元型触媒等の浄化材に対し排気ガスを反転させて導入する際、浄化材に導入される排気ガスの流れを均一化し、浄化材の浄化性能を十全に発揮させ得る排気浄化装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、排気管の途中に備えたケーシングの内部に、排気ガスを浄化する浄化材を抱持し、該浄化材に対し排気ガスを反転させて導入するよう構成された排気浄化装置に関し、前記浄化材の入側端面を被包し且つ該浄化材における流れ方向と逆向きに導いた排気ガスを曲管部を介し反転させて前記浄化材の入側端面に対し斜め側方から分散させつつ導入するガス分散室を備え、前記ガス分散室から前記ケーシングに至る経路の途中に、前記曲管部内で流れ方向に沿った面を成して排気流れを曲がり方向内側の排気流れと曲がり方向外側の排気流れとに分割する板状の分流部と、該分流部から曲がり方向内側に屈曲しつつ下流方向に延長され、前記ケーシングの曲がり方向外側の内壁よりも曲がり方向内側の位置で前記浄化材における流れ方向に沿った面を成す板状の誘部と、前記分流部の流れ方向に関して左右から屈曲しつつ前記曲管部の曲がり方向内側の内壁に向かって延長される板状の支持部を備え、該支持部と、前記分流部と、前記曲管部の内壁とで閉断面の流路を形成するよう構成された整流フィンを配したことを特徴とする排気浄化装置にかかるものである。
【0023】
而して、このようにすれば、排気ガスの主流が内側の排気流れと外側の排気流れとに分割されて内側の排気流れが曲がり方向内側へと誘導され、排気ガスの一部が浄化材に対し曲がり方向内側へ強制的に流入させられる。これにより、浄化材の曲がり方向内側にあたる部分にも確実に排気ガスを誘導することができる。また、分流部によって排気ガスの主流から分割された内側の排気流れが前記流路に流入し、分流部に沿った方向から左右に逸れることなく誘導部まで確実に到達する。
【0025】
本発明の排気浄化装置において、前記分流部は、曲がり方向外側に向かって凸な断面形状を有していることが好ましく、このようにすれば、分流部と曲管部の曲がり方向外側の内壁との間の距離を、排気流れの左右方向に関して均一化することができる。こうすることにより、分流部と曲管部の曲がり方向外側の内壁との間を流れる外側の排気流れを安定させることができる。
【0026】
本発明の排気浄化装置において、前記誘導部は、曲がり方向外側に向かって凸な断面形状を有していることが好ましく、このようにすれば、分流部に沿って流れてきた内側の排気流れが誘導部に衝突する際、内側の排気流れが前記誘導部の両脇から左右に逸れて曲がり方向外側に流れてしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の排気浄化装置によれば、以下の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0028】
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、浄化材の曲がり方向内側にあたる部分にも排気ガスを誘導するので、浄化材に導入される排気ガスの流れを均一化し、浄化材の浄化性能を十全に発揮させることができる。また、内側の排気流れが分流部に沿った方向から左右に逸れることなく誘導部まで到達するので、内側の排気流れの曲がり方向内側への誘導をより確実に行うことができる。
【0030】
II)本発明の請求項に記載の発明によれば、分流部と曲管部の曲がり方向外側の内壁との間を流れる外側の排気流れを安定させ、整流フィンを設置したことによる排気抵抗の増加を極力抑制することができる。
【0031】
III)本発明の請求項に記載の発明によれば、内側の排気流れが誘導部の両脇から左右に逸れて曲がり方向外側に流れてしまうことを防止するので、内側の排気流れの曲がり方向内側への誘導をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施による排気浄化装置の一例(第一実施例)を示す概略断面図である。
図2】本発明の第一実施例に用いる整流フィンの形態の一例を示す斜視図である。
図3】本発明の作動を説明する概念図である。
図4】本発明の第一実施例に用いる整流フィンの形態の別の一例を示す斜視図である。
図5】本発明の第一実施例に用いる整流フィンの形態の別の一例を示す斜視図である。
図6】本発明の第一実施例に用いる整流フィンの形態の別の一例を示す斜視図である。
図7】本発明の第二実施例に用いる整流フィンの形態の一例を示す斜視図である。
図8】本発明の第二実施例に用いる整流フィンの形態の別の一例を示す斜視図である。
図9】本発明の第二実施例を示す概略断面図である。
図10】従来の排気浄化装置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0034】
図1図6は本発明の実施による排気浄化装置の形態の一例(第一実施例)を示すものであって、図中、図10と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0035】
本第一実施例の基本的な構成は図10に示す従来のものと同様であり、図1に示す如く、排気ガス1が流通する排気管2の途中に、パティキュレートフィルタ3とその下流側の選択還元型触媒4の二種類の浄化材をケーシング5,6の内部にそれぞれ抱持して並列に配置すると共に、パティキュレートフィルタ3の後端部と選択還元型触媒4の前端部との間をS字構造の連絡流路7により接続し、パティキュレートフィルタ3の後端部から排出された排気ガス1が前方に折り返され、隣の選択還元型触媒4の前端部に導入されるようにしている。連絡流路7は、ガス集合室7A、ミキシングパイプ7B、ガス分散室7CによりS字構造を成しており、ガス分散室7Cは、選択還元型触媒4における流れ方向と逆向きに導いた排気ガス1を曲管部11を介し反転させ、選択還元型触媒4の入側端面に対し斜め側方から分散させつつ導入するようになっている。さらに、パティキュレートフィルタ3が抱持されているケーシング5内の前段には酸化触媒9が、選択還元型触媒4が抱持されているケーシング6内の後段にはアンモニア低減触媒10が、それぞれ浄化材として装備されている。ガス分散室7Cには窪み部12が形成され、曲管部11の直前位置には窪み部13が形成されている。
【0036】
そして、本第一実施例においては、ガス分散室7Cからケーシング6に至る経路の途中に整流フィン15を備え、排気ガス1の流れを誘導するようにしている。
【0037】
この整流フィン15は、例えば図2に示す如き形状の部材であり、曲管部11の途中で排気ガス1の流れ方向に沿った面を成して排気ガス1の流れを曲がり方向内側の排気流れ1aと曲がり方向外側の排気流れ1bとに分割する(図1参照)板状の分流部15aと、該分流部15aから曲がり方向内側に屈曲しつつ下流方向に延長され、ケーシング6の曲がり方向外側の内壁よりも曲がり方向内側の位置で選択還元型触媒4における流れ方向に沿った面を成す(図1参照)板状の誘導部15bを備えてなる。また、整流フィン15は分流部15aの流れ方向に関して左右から屈曲しつつ曲がり方向内側に延長される(図1参照)板状の支持部15c,15cを備えており、該支持部15c,15cの先端に各々備えたフランジ15d,15dを曲管部11の曲がり方向内側の内壁11aに溶接することにより、分流部15aや誘導部15bを流路内に支持するようになっている(図1参照)。そして、整流フィン15の分流部15aと支持部15c,15c、曲管部11の内壁11aとで、曲管部11の曲がり方向内側に閉断面の流路を形成している。
【0038】
尚、溶接にあたっては、曲管部11の内壁11aをなす部材に必要に応じて図1に示す如く平面を形成し、フランジ15dを溶接するための座面とすることもできる。
【0039】
また、この整流フィン15は一枚の板材を屈曲させることで全体を成型することができ、分流部15aの成す面と、誘導部15bの成す面は、この屈曲成型により曲線状に滑らかに繋がっている。
【0040】
また、本第一実施例の場合、二個のセンサ14がケーシング6のアンモニア低減触媒10の直後における曲がり方向外側及び内側の位置に、それぞれ設置されている。
【0041】
上述の整流フィン15を備えた本第一実施例の作動を、図3を参照して説明する。
【0042】
ミキシングパイプ7B(図1参照)の出側からの排気ガス1の流れは、ガス分散室7Cに流入して曲管部11に沿って向きを曲げられ、反転して下流の選択還元型触媒4へと送り込まれる。この際、曲管部11において、排気ガス1の主流は曲がり方向外側に沿って流れようとする。
【0043】
ここで、流路内に備えた整流フィン15の分流部15aにより、排気ガス1の主流は分流部15aの曲がり方向内側の面に沿った内側の排気流れ1aと、曲管部11の曲がり方向外側の内壁11bに沿った外側の排気流れ1bとに分割される。そして、内側の排気流れ1aは、分流部15aに沿って流れた後、誘導部15bに衝突して向きを変更され、ケーシング6の長手方向に沿って選択還元型触媒4に流入する。この際、分流部15aの成す面と誘導部15bの成す面とが上述の如く曲線状に滑らかに連続しているので、分流部15aに沿って流れてきた内側の排気流れ1aは、誘導部15bに沿った流れへとスムーズに向きを変更される。
【0044】
そして、誘導部15bの成す面はケーシング6の曲がり方向外側の内壁よりも曲がり方向内側に位置しているので、内側の排気流れ1aは選択還元型触媒4に対し、相対的に曲がり方向内側に向かって流入することになる。
【0045】
ここで、本第一実施例においては、分流部15aの流れ方向に関して左右から曲がり方向内側に向かって支持部15c,15cを延長し、分流部15aと支持部15c,15c及び曲管部11の内壁11aにより閉断面の流路を形成している。このため、分流部15aによって排気ガス1の主流から分割された内側の排気流れ1aは前記流路に流入し、分流部15aに沿った方向から左右に逸れることなく、誘導部15bまで確実に到達することになる。
【0046】
曲管部11において内側の排気流れ1aとして主流から分割される排気ガス1の量や、内側の排気流れ1aを選択還元型触媒4に誘導する位置については、分流部15aや誘導部15bの位置を変えることで調整することができる。すなわち、分流部15aと、曲管部11の曲がり方向外側の内壁11bとの距離L1が短いほど、排気ガス1の全流量に対する内側の排気流れ1aの割合は大きくなるし、また、誘導部15bと、ケーシング6の曲がり方向内側の内壁との距離L2が短いほど、選択還元型触媒4への内側の排気流れ1aの誘導位置が、より曲がり方向内側になる。こうして、整流フィン15の設置に際し、実際の曲管部11や選択還元型触媒4における排気流れの分布に合わせて距離L1とL2を調整することにより、選択還元型触媒4に対しなるべく均一に排気ガス1が流入するよう、排気流れの最適化を図ることができる。
【0047】
一方、外側の排気流れ1bは、上記従来構造(図10参照)における排気ガス1の流れと同様、曲管部11の曲がり方向外側の内壁11bに沿って流れ、選択還元型触媒4に対し相対的に曲がり方向外側に偏って流入することになる。
【0048】
このように、本第一実施例においては、流路内に設置した整流フィン15によって排気ガス1の流れを分割し、内側の排気流れ1aを選択還元型触媒4に対し曲がり方向内側へ強制的に流入させるようになっている。これにより、選択還元型触媒4に対する排気ガス1の流れの均一化が図られて選択還元型触媒4の浄化材としての性能が十全に発揮される。
【0049】
すなわち、選択還元型触媒4に導入される排気ガス1が均一化される結果、選択還元型触媒4内における温度の偏りが少なくなり、全体が高温に維持されるため、全体の浄化性能が高く保たれる。また、選択還元型触媒4全体が高温の排気ガス1に均一に曝されることになり、選択還元型触媒4中の一部において相対的に劣化が進むということがないので、選択還元型触媒4全体としての寿命を長く保つことにもなる。
【0050】
さらに、排気ガス1の流れに偏りがあった従来構造(図10参照)と比較すると、同等の触媒性能を発揮させるのに必要な触媒が少なくて済むことになり、材料として高価な貴金属を使用する選択還元型触媒4の製造コストを下げることができるほか、排気浄化装置の軽量化やコンパクト化にも資する。
【0051】
同様に、アンモニア低減触媒10に関しても、やはり内部に導入される排気ガス1が均一化され、浄化性能や劣化速度の偏りが抑えられる。
【0052】
また、排気流れの均一化に伴い、還元剤の添加も均一化されるので、選択還元型触媒4の浄化性能に見合った量の還元剤を均一に添加することができる。このため、還元剤の添加量を適量にして消費量を抑えることができると同時に、部分的に過剰な量の還元剤が選択還元型触媒4に添加されることによる腐食の進行も防止できる。
【0053】
整流フィン15の設置には、センサ14の配置に関する自由度を高める効果もある。上記従来構造(図10参照)の場合、排気ガス1の流れの偏りに合わせ、センサ14を曲がり方向外側に配置せざるを得なかったが、本第一実施例の場合、排気ガス1をケーシング6内において曲がり方向の外側と内側とにかかわらず均一に流すことができるようになっている。このため、センサ14を曲がり方向の外側と内側のいずれに配置しても計測を好適に実施することができ、例えば図1に示す如く、二個のセンサ14をケーシング6のアンモニア低減触媒10の直後における曲がり方向外側及び内側の位置にそれぞれ設置するといったことが可能となる。よって、図10に示す従来構造の如く、選択還元型触媒4の上流側にセンサ14を設置するスペースを確保するといった必要がなく、排気浄化装置全体の更なるコンパクト化を図ることができる。
【0054】
図4は本第一実施例に用いる整流フィン15として考え得る別の形状を示したものである。ここに示した整流フィン15は、分流部15a及び誘導部15bが、曲がり方向外側に向かって凸な横断面を有する曲面状をなしている。曲管部11の曲がり方向外側の内壁11bは円弧状の横断面をなしているので、図4に示す如き形状に分流部15aを形成すれば、外側の排気流れ1bの流路の厚み、すなわち分流部15aと内壁11bとの間の距離を、排気流れの左右方向(図1及び図3において紙面と直交する方向)に関して均一化することができる。こうすることにより、分流部15aと内壁11bとの間を流れる外側の排気流れ1bが安定し、気流の乱れの発生が抑えられて排気抵抗の増加が抑制される。すなわち、分流部15aをこのような形状にすることで、整流フィン15を設置することによる排気抵抗の増加を極力抑制するようになっている。
【0055】
また、誘導部15bも曲がり方向の外側に向かって凸な形状で構成されているので、分流部15aに沿って流れてきた内側の排気流れ1aが誘導部15bに衝突する際、内側の排気流れ1aが誘導部15bの両脇から左右に逸れて曲がり方向外側に流れてしまうことを防止することができる。これにより、内側の排気流れ1aは、より確実に曲がり方向内側の選択還元型触媒4に向かって誘導されることになる。
【0056】
さらに、本形状においては分流部15aと誘導部15bが一体の滑らかな連続面をなして形成されているので、分流部15aに沿って流れてきた内側の排気流れ1aはそのまま誘導部15bに沿った流れへとスムーズに変えられ、下流の選択還元型触媒4に向かって無理なく誘導されるようになっている。
【0057】
ただし、整流フィン15をこうした曲面形状に成型することには手間やコストがかかるため、例えば図5に示す如く、分流部15aや誘導部15bを横断面が曲がり方向外側に凸なハット形となるよう構成することもできる。この形状であれば、図2に示した整流フィン15と同様に一枚の板材を切り抜いて屈曲することで簡単に成型できる一方、図4に示した形状と同じような作用効果を得ることができる。
【0058】
あるいは図6に示す如く、分流部15aは図2に示した形状と同様の平板状とする一方、誘導部15bは分流部15aよりも流れ方向に対し左右に張り出して該張り出し分を曲がり方向内側に屈曲させ、横断面がハット形となるよう形成することもできる。逆に、図示は省略するが、分流部15aのみを曲がり方向外側に凸な横断面を有する形状とすることもできる。このように、分流部15aや誘導部15bの形状としては、成型の容易さやコスト、作用効果等を勘案して適当なものを選択すれば良い。
【0059】
以上のように、上記本第一実施例においては、排気管2の途中に備えたケーシング6の内部に、排気ガス1を浄化する浄化材(選択還元型触媒)4を抱持し、該浄化材(選択還元型触媒)4に対し排気ガス1を反転させて導入するよう構成された排気浄化装置に関し、浄化材(選択還元型触媒)4の入側端面を被包し且つ浄化材(選択還元型触媒)4における流れ方向と逆向きに導いた排気ガス1を曲管部11を介し反転させて浄化材(選択還元型触媒)4の入側端面に対し斜め側方から分散させつつ導入するガス分散室7Cを備え、該ガス分散室7Cからケーシング6に至る経路の途中に、曲管部11内で流れ方向に沿った面を成して排気流れを曲がり方向内側の排気流れ1aと曲がり方向外側の排気流れ1bとに分割する板状の分流部15aと、該分流部15aから曲がり方向内側に屈曲しつつ下流方向に延長され、ケーシング6の曲がり方向外側の内壁よりも曲がり方向内側の位置で浄化材(選択還元型触媒)4における流れ方向に沿った面を成す板状の誘導部15bとを備えた整流フィン15を配しているので、排気ガス1の主流が内側の排気流れ1aと外側の排気流れ1bとに分割されて内側の排気流れ1aが曲がり方向内側へと誘導され、排気ガス1の一部が浄化材(選択還元型触媒)4に対し曲がり方向内側へ強制的に流入させられる。これにより、浄化材(選択還元型触媒)4の曲がり方向内側にあたる部分にも排気ガス1を誘導するので、浄化材(選択還元型触媒)4に導入される排気ガス1の流れを均一化し、浄化材(選択還元型触媒)4の浄化性能を十全に発揮させることができる。
【0060】
また、本第一実施例において、整流フィン15は、分流部15aの流れ方向に関して左右から屈曲しつつ曲管部11の曲がり方向内側の内壁11aに向かって延長される板状の支持部15c,15cを備え、該支持部15c,15cと、分流部15aと、曲管部11の内壁11aとで閉断面の流路を形成するよう構成されているので、分流部15aによって排気ガス1の主流から分割された内側の排気流れ1aが前記流路に流入し、分流部15aに沿った方向から左右に逸れることなく誘導部15bまで確実に到達する。
【0061】
また、本第一実施例において、分流部15aは、曲がり方向外側に向かって凸な断面形状を有して構成することができ、このようにすれば、分流部15aと曲管部11の曲がり方向外側の内壁11bとの間の距離を、排気流れの左右方向に関して均一化することができる。こうすることにより、分流部15aと曲管部11の曲がり方向外側の内壁11bとの間を流れる外側の排気流れ1bを安定させ、整流フィン15を設置したことによる排気抵抗の増加を極力抑制することができる。
【0062】
また、本第一実施例において、誘導部15bは、曲がり方向外側に向かって凸な断面形状を有して構成することができ、このようにすれば、分流部15aに沿って流れてきた内側の排気流れ1aが誘導部15bに衝突する際、内側の排気流れ1aが誘導部15bの両脇から左右に逸れて曲がり方向外側に流れてしまうことを防止し、内側の排気流れ1aの曲がり方向内側への誘導をより確実に行うことができる。
【0063】
図7図9は本発明の実施による排気浄化装置の形態の別の一例(第二実施例)を示すものであって、図中、図1図6及び図10と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0064】
本第二実施例の場合、整流フィン15における支持部15c,15cの設置位置が上記第一実施例(図2図4〜6参照)とは異なっている。図7に示した整流フィン15では、分流部15a及び誘導部15bの形状は図5に示した第一実施例の整流フィン15と同様であるが、分流部15aの流れ方向に関して左右両側から延長される板状の支持部15c,15cが、図5に示した例とは逆に曲がり方向外側に向かって屈曲している。
【0065】
また、図8に示した整流フィン15の場合、分流部15a及び誘導部15bの形状は図4に示した整流フィン15と同様であるが、支持部15c,15cは分流部15aではなく、誘導部15bの左右両側から延長されている。延長する向きは図7に示した整流フィン15の場合と同じく、曲がり方向外側である。
【0066】
こうした構成は、整流フィン15の取り付けを考慮したものである。すなわち、上記第一実施例として挙げた図2図4図6の如き形状の整流フィン15を曲がり方向内側の内壁11aに溶接する場合には、図1に示す如く、内壁11aに部分的に平面を設けて溶接座面とすることが考えられるが、曲管部11の曲がり方向内側の内壁11aは、この座面を設ける以前に、小さい曲げ半径により強く屈曲した形状となっている。このため、内壁11aに対しさらに変形を加えて平面を形成することは技術的に難しいか、あるいはコストが嵩んでしまう場合がある。また、溶接用の工具を使用するスペース上の制約の面からも、内壁11aに対し溶接を施すことが難しい場合があることも考えられる。
【0067】
そこで、本第二実施例では、図7図8に示す如く、分流部15aまたは誘導部15bの左右両側から曲管部11の曲がり方向外側の内壁11bに向かって延びる支持部15cを整流フィン15に備え、支持部15cの先端に備えたフランジ15dを、図9に示す如く内壁11bに対して溶接するようにしている(図9では、整流フィン15として図7に示す形状のものを図示している)。この場合、フランジ15dの溶接座面とするための平面は、曲管部11の内壁11bをなす部材に形成することになるが、曲がり方向外側の部材は、曲がり方向内側の部材のように強く屈曲してはいないため、平面を形成する加工が容易である。また、溶接の作業にあたっても溶接用の工具等を差し込みやすく、比較的容易に溶接を実施することができる。
【0068】
このように、本第二実施例では、支持部15cを曲がり方向外側に向かって延長し、フランジ15dを曲がり方向内側の内壁11aではなく外側の内壁11bに溶接するように構成した結果、流路内に整流フィン15を備えるにあたり、上記第一実施例と比較して簡単に取り付けることができるようになっている。ただし、本第二実施例の場合、分流部15aや誘導部15bに関しては上記第一実施例と同様の位置(図1参照)に備えることができるものの、支持部15c,15cが分流部15aや曲管部11の内壁11aとで閉断面の流路を形成するようにはなっていないため、内側の排気流れ1aを前記流路に流入させて確実に誘導部15bへと導くという作用は得ることができない。
【0069】
以上のように、上記本第二実施例においては、排気管2の途中に備えたケーシング6の内部に、排気ガス1を浄化する浄化材(選択還元型触媒)4を抱持し、該浄化材(選択還元型触媒)4に対し排気ガス1を反転させて導入するよう構成された排気浄化装置に関し、浄化材(選択還元型触媒)4の入側端面を被包し且つ浄化材(選択還元型触媒)4における流れ方向と逆向きに導いた排気ガス1を曲管部11を介し反転させて浄化材(選択還元型触媒)4の入側端面に対し斜め側方から分散させつつ導入するガス分散室7Cを備え、該ガス分散室7Cからケーシング6に至る経路の途中に、曲管部11内で流れ方向に沿った面を成して排気流れを曲がり方向内側の排気流れ1aと曲がり方向外側の排気流れ1bとに分割する板状の分流部15aと、該分流部15aから曲がり方向内側に屈曲しつつ下流方向に延長され、ケーシング6の曲がり方向外側の内壁よりも曲がり方向内側の位置で浄化材(選択還元型触媒)4における流れ方向に沿った面を成す板状の誘導部15bとを備えた整流フィン15を配しているので、排気ガス1の主流が内側の排気流れ1aと外側の排気流れ1bとに分割されて内側の排気流れ1aが曲がり方向内側へと誘導され、排気ガス1の一部が浄化材(選択還元型触媒)4に対し曲がり方向内側へ強制的に流入させられる。これにより、浄化材(選択還元型触媒)4の曲がり方向内側にあたる部分にも排気ガス1を誘導するので、浄化材(選択還元型触媒)4に導入される排気ガス1の流れを均一化し、浄化材(選択還元型触媒)4の浄化性能を十全に発揮させることができる。
【0070】
また、本第二実施例において、分流部15aは、曲がり方向外側に向かって凸な断面形状を有して構成することができ、このようにすれば、分流部15aと曲管部11の曲がり方向外側の内壁11bとの間の距離を、排気流れの左右方向に関して均一化することができる。こうすることにより、分流部15aと曲管部11の曲がり方向外側の内壁11bとの間を流れる外側の排気流れ1bを安定させ、整流フィン15を設置したことによる排気抵抗の増加を極力抑制することができる。
【0071】
また、本第二実施例において、誘導部15bは、曲がり方向外側に向かって凸な断面形状を有して構成することができ、このようにすれば、分流部15aに沿って流れてきた内側の排気流れ1aが誘導部15bに衝突する際、内側の排気流れ1aが誘導部15bの両脇から左右に逸れて曲がり方向外側に流れてしまうことを防止し、内側の排気流れ1aの曲がり方向内側への誘導をより確実に行うことができる。
【0072】
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、整流フィンによって排気ガスの流れを誘導される浄化材としては選択還元型触媒だけでなく、三元触媒やパティキュレートフィルタのような他の種類のものをも想定し得ること、また、添加される還元剤は尿素水に限らず燃料等であっても良いこと等、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
1 排気ガス
1a 内側の排気流れ
1b 外側の排気流れ
2 排気管
4 浄化材(選択還元型触媒)
6 ケーシング
7C ガス分散室
11 曲管部
11a 内壁
15 整流フィン
15a 分流部
15b 誘導部
15c 支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10