(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、
図1から
図22を参照し、本発明の一実施形態に係る便器装置について説明する。ここで、本実施形態では、本発明に係る便器装置が水洗大便器であるものとして説明を行うが、本発明に係る便器装置は少なくとも局部洗浄装置と温風乾燥装置を備えていればよい。
【0026】
はじめに、本実施形態の水洗大便器Aは、
図1及び
図2に示すように、便器本体1と、便器本体1の後部側に設けられ、例えば使用者によるリモコン操作を検知して便器本体1内に洗浄水を吐出させる洗浄機構部2と、便座3a及び便蓋3bからなる便座部3とを備えて構成されている。
【0027】
さらに、水洗大便器Aは、
図1から
図3に示すように、用便後に局部を洗浄するための局部洗浄装置4を備えている。
【0028】
便器本体1は、便鉢のボウル部1aと、ボウル部1aの上部に設けられ、便器本体1の内側に突出しつつ外周縁を形成するリム部1bとを備えて形成されている。
【0029】
洗浄機構部2は、便器本体1の後部側に着脱可能に一体に設けられ、且つカバーケース6内に収容して設けられている。また、洗浄機構部2は、例えばリモコン操作によって洗浄水流路を開閉制御するコントロールバルブ、電磁バルブなどの開閉弁を備え、この開閉弁によって便器本体1のリム部1bに洗浄水を流すリム吐水、便器本体1のボウル部1a、封水部1cに洗浄水を流すジェット吐水の切替、吐水流量の制御が行えるように構成されている。
【0030】
なお、カバーケース6は、便器本体1の後部上面に設置されるベース(ベースプレート)6aと、ベース6aに組み付けられて収容空間を形成するカバー(外殻体)6bとを備えて構成されている。
【0031】
便座3a及び便蓋3bからなる便座部3は、
図1及び
図5に示すように、カバーケース6に着脱可能に接続し、横方向T1に延びる回動軸O1周り(上下方向)に回動自在に設けられている。
【0032】
局部洗浄装置4は、
図1から
図5に示すように、洗浄機構部2とともにカバーケース6内に収容して設けられ、例えばリモコン操作によって便器本体1内に進出する局部洗浄ノズル7、8と、カバーケース6に設けられたノズル開口部9を開閉し、局部洗浄時に局部洗浄ノズル7、8の便器本体1内への進出動作に応じてノズル開口部9を開き、局部洗浄ノズル8、9がカバーケース6内に退避するとともにノズル開口部9を閉じて、汚物、洗浄水の飛沫などが局部洗浄ノズル7、8にかかったり、内部に入り込むことを防止するためのシャッタ10とを備えている。
【0033】
また、本実施形態において、局部洗浄装置4は、局部洗浄時に、リモコン操作などに応じて便器本体1の内側に局部洗浄ノズル7、8が進出するとともに、局部洗浄ノズル7、8の先端部がシャッタ10の背面側を押圧してシャッタ10が回動して開く。そして、便器本体1の内側に進出した局部洗浄ノズル7、8の先端部から洗浄水が吐出して局部を洗浄するように構成されている。局部洗浄後は、局部洗浄ノズル7、8が退避するとともにシャッタ10の押圧状態が解除されて自動的にシャッタ10が回動しノズル開口部9を閉じるように構成されている。
【0034】
具体的に、本実施形態の局部洗浄装置4は、
図2から
図6に示すように、カバーケース6のベース6aの中央に配置されたノズルユニット11と、局部を洗浄するための温水をノズルユニット11に供給する温水供給ユニットと、温風によって洗浄後の局部を乾燥させるための温風乾燥ユニット(温風乾燥装置)12と、脱臭ユニット(脱臭装置)13とを備えている。
【0035】
ノズルユニット11は、
図5及び
図6に示すように、肛門洗浄用ノズルとビデ用ノズルの一対の局部洗浄ノズル(ツインノズル)7、8と一対の局部洗浄ノズル7、8を内包するノズルカバー15とを備えている。本実施形態の一対の局部洗浄ノズル7、8は、前方に向かうに従い漸次下方に傾斜し、互いに軸線O2方向を同方向に向けて平行に配設されている。また、各局部洗浄ノズル7、8は、下方に位置する先端部に洗浄水を吐出する吐出孔16を備え、後端側から供給されて内部を流通した洗浄水が吐出孔16から所定の方向に吐出するように構成されている。
【0036】
また、一対の局部洗浄ノズル7、8はそれぞれ、略円柱棒状に形成され、ベース6aの前面中央にノズル開口部9に対し、軸線O2方向(前後方向T2)に進退自在に設けられている。そして、これら一対の局部洗浄ノズル7、8はそれぞれ、洗浄時にノズル開口部9から前方に進出して便器本体1の内側に突出し、洗浄後にノズル開口部9を通じてノズルカバー15及びカバーケース6内に退避して保持される。
ここで、本実施形態では前後方向T2は略前後の方向を含むものとして説明を行う。
【0037】
例えば、一対の局部洗浄ノズル7、8はそれぞれ個別に、ラックピニオン機構によって軸線O2方向に進退する。すなわち、本実施形態では、各局部洗浄ノズル7、8の下面にラックが一体形成され、ラックをモータの回転軸に取り付けたピニオンに噛合して局部洗浄ノズル7、8が配設されている。
【0038】
これにより、リモコン操作などに応じてモータ及びピニオンが一方向に回転すると、局部洗浄ノズル7、8が軸線O2方向前方に進出移動し、ノズル開口部9を通じて便器本体1の内側に突出する。また、リモコン操作などに応じてモータ及びピニオンが他方向に回転すると、局部洗浄ノズル7、8が軸線O2方向後方に退避移動し、ノズル開口部9を通じて局部洗浄ノズル7、8がノズルカバー15及びカバーケース6内に収容される。
【0039】
ここで、本実施形態の局部洗浄装置4においては、
図2、
図3、
図6に示すように、一対の局部洗浄ノズル7、8がカバーケース6内に退避した状態でノズル開口部9を閉じて、汚物、洗浄水の飛沫などが局部洗浄ノズル7、8にかかったり、内部に入り込むことを防止し、
図1、
図4、
図5に示すように、局部洗浄ノズル7、8の進出とともに回動してノズル開口部9を開くシャッタ10がシャッタユニット(シャッタ開閉機構)17に具備されている。
【0040】
本実施形態のシャッタユニット17は、
図6から
図9に示すように、カバーケース6のベース6aのノズル開口部9に着脱可能に位置決め固定するためのシャッタベース20と、シャッタベース20に後端側を支持させて配設されるシャッタアーム21と、シャッタアーム21に着脱可能に且つ回動可能に接続して配設されるシャッタ受け22と、シャッタ受け22の前方に重ねて配設されるとともにシャッタアーム21に着脱可能に且つ回動可能に接続して配設されるシャッタ10とを備えて構成されている。
【0041】
シャッタベース20は、
図10、
図11、
図12、
図13(及び
図6から
図9)に示すように、シャッタユニット17の最後部に設けられる第1ベース23と、第1ベース23の前面に着脱可能に取り付けられる第2ベース24を備えている。
【0042】
また、第1ベース23は、本体部23aと、本体部23aの幅方向(横方向T1)両側部にそれぞれ設けられたアーム保持部23bとを備えている。
【0043】
第1ベース23の本体部23aは、下端から上端側に凹み、局部洗浄装置4のノズルカバー15を嵌合させる嵌合部(係合部)25を備えている。また、第1ベース23の本体部23aは、上端側の幅方向中央から両側部のそれぞれの側に所定の間隔をあけた位置に、背面から後方に延設された一対の凸部(係合部)26を備え、これら一対の凸部26の間にノズルカバー15に形成された凸部を係合させることにより、ノズルカバー15に係合するように構成されている。さらに、第1ベース23の本体部23aは、その上端の幅方向両側部側に背面から前面に貫通するネジ挿通孔27が設けられている(
図11参照)。
【0044】
第1ベース23の本体部23aの幅方向両側部にそれぞれ一体に配設されるアーム保持部23bは、断面略方形状の筒状に形成され、前面側と背面側にそれぞれ開口するように前面側から背面側に向かう前後方向T2に中心軸線方向を向けて延設されている。
【0045】
第2ベース24は、本体部24aと、カバーケース6のベース6aに係合するベース係合部(係合部)24bと、本体部24aの幅方向両側部にそれぞれ設けられたアーム挿通部24cとを備えて構成されている。
【0046】
第2ベース24の本体部24aは、幅方向中央を間にした左右に、前面から背面に貫通し、一対の局部洗浄ノズル7、8をそれぞれ挿通させて進退させるための一対のノズル挿通部28を設けて形成されている。また、第2ベース24の本体部24aは、その上端の幅方向両側に背面から前面側に凹み、背面に雌ネジの螺刻が施された雌ネジ孔が穿設されている。
【0047】
図10、
図11、
図13に示すように、第2ベース24の本体部24aの幅方向両側部にそれぞれ設けられたアーム挿通部24cは、前面側と背面側にそれぞれ開口するように前面側から背面側に向かう前後方向T2に延設されている。また、各アーム挿通部24cの前端側には、上面から下方に延び、また下面から上方に延び、同心円の円弧面状に形成された上方回動係止面31及び下方回動係止面32が設けられている。
【0048】
また、下方回動係止面32には、幅方向略中央に、この下方回動係止面32から下方に凹み、且つ後端から前端に延びるガイド溝33が形成されている。
【0049】
上記の第1ベース23と第2ベース24は、第1ベース23の前面に第2ベース24の背面を面接触させつつ所定の相対位置に配設した接合状態で互いに係合し、上下方向T3及び横方向T1の相対移動を規制した状態で保持される。
【0050】
そして、第1ベース23と第2ベース24は、互いに係合した接合状態でネジ挿通孔27と雌ネジ孔が連通し、第1ベース23の背面側からネジ挿通孔27にネジ34を挿通するとともに第2ベース24の雌ネジ孔に螺合させることによって着脱可能に接続される。
【0051】
また、第1ベース23と第2ベース24を接続した状態で、第1ベース23のアーム保持部23bと第2ベース24のアーム挿通部24cが互いの中心軸線を同軸上に配して連通するように配設される。
【0052】
また、
図6に示すように、第1ベース23と第2ベース24を接続してなるシャッタベース20は、カバーケース6のベース6a上の所定位置に配設すると、第2ベース24のアーム挿通部24cの上端側に設けられた雌ネジ孔29がベース6aに設けられたネジ挿通孔と連通し、ネジ挿通孔を通じて雌ネジ孔29にネジ30を締結することによってベース6aの所定位置に固定するように構成されている。
【0053】
シャッタアーム21は、
図13、
図14に示すように、軸線O3方向を横方向T1に向けて配設される軸部35と、軸部35の両端部側のそれぞれに前端側(一端側)を接続し、軸部35の軸線O3に直交する方向に且つ平行に延設される断面略方形状の一対のアーム部36とを備えて略コ字状に形成されている。なお、アーム部36は必ずしも断面略方形状で形成することに限定しなくてもよい。
【0054】
本実施形態では、シャッタアーム21の軸部35が、円柱棒状に形成されるとともに、外面から突出し、シャッタ受け22を保持するための係止片部35aを備えて形成されている。
【0055】
アーム部36の後端側(他端側)には、シャッタアーム21をカバーケース内の後方に付勢するようにベース6aとアーム部36にバネ部材(不図示)をアーム保持部23bの後端側の開口を通じて着脱可能に引っ掛けて接続するためのバネ接続部36aが突設されている。
【0056】
また、一対のアーム部36はそれぞれ、後端側に(バネ接続部36aよりも前端側)に、上面から上方に延び、また下面から下方に延び、同心円の円弧面状に形成された上方回動面37a及び下方回動面37bを備えた回動部37が設けられている。この回動部37の上方回動面37a及び下方回動面37bは、アーム挿通部24cの上方回動係止面31及び下方回動係止面32と同じ曲率半径の円弧面として形成されている。
【0057】
また、各アーム部36は、下面の幅方向略中央に、下面から下方に突出し、アーム部36の延設方向の前後方向T2に延びるリブ38を備えている。リブ38は、アーム部36の先端よりも回動部37側から、回動部37よりも先端側までの所定の長さ範囲に設けられている。また、このリブ38は、前端から突出長を一定にして後端側に延び、アーム部36の進退時にアーム部36の軸線O4方向(延設方向)の向きを一定に保持する支持突部38aと、支持突部38aから後端に向かうに従い突出長が小になる傾斜部38bとを備えて形成されている。
【0058】
シャッタ受け22は、
図8、
図9、
図15に示すように、正面視で横長の略矩形板状に形成されている。また、シャッタ受け22は、短手方向の上下方向略中央に、前面から背面側に凹み、長手方向の横方向一側端部から他側端部まで延びる回転軸嵌合部22aを備えている。シャッタ受け22の前面には、回転軸嵌合部22a上に僅かに突出する係止片部22bが回転軸嵌合部22aを挟んで上側と下側にそれぞれ複数設けられている。
【0059】
また、シャッタ受け22には、回転軸嵌合部22aよりも下方の両側端部側にそれぞれ、側端部から横方向T1に突出する回転規制部22cが設けられている。
【0060】
さらに、シャッタ受け22の背面には、ノズルユニット11の肛門洗浄用の一方の局部洗浄ノズル7が前方に進出した際にこの一方の局部洗浄ノズル7の先端部が当接する位置に第1当接回動部40、ビデ用ノズルの他方の局部洗浄ノズル8が前方に進出した際にこの他方の局部洗浄ノズル8の先端部が当接する位置に第2当接回動部41がそれぞれ設けられている。
【0061】
第1当接回動部40と第2当接回動部41はそれぞれ、シャッタ受け22の背面から後方に突出して形成されている。第1当接回動部40は、一方の局部洗浄ノズル7が当接する部分に下方に向かうに従い漸次背面に近づく傾斜面40aを備えて形成されている。第2当接回動部41は、他方の局部洗浄ノズル8が当接する部分が下方に向かうに従い漸次背面から後方に離れる逆傾斜面41aを備えて形成されている。
【0062】
シャッタ10は、
図5から
図8に示すように、横長の正面視略長方形状で形成されるとともに、ノズル開口部9を閉じた状態における上下方向中央部が前方に僅かに膨出するように湾曲する断面略円弧状に形成されている。
【0063】
次に、本実施形態の温水供給ユニットは、ノズルユニット11の各局部洗浄ノズル7、8に配管で接続されている。そして、温水供給ユニットは、制御基板からの動作指令に基づいて駆動し、所定の温度に調温された温水を洗浄水として局部洗浄ノズル7、8に供給するように構成されている。
【0064】
本実施形態の温風乾燥ユニット12は、
図16及び
図17に示すように、温風発生装置44及び温風ダクト45を備え、温風ダクト45がノズル開口部9に並んで開口する吹出口42に接続して設けられている。
【0065】
温風発生装置44は、温風ダクト45の途中に設けられたファン44aと、温風ダクト45のファン44aよりも吹出口42側に設けられたヒータ44bとを備え、ファン44aの駆動によって吸い込んだ空気(外気)が温風ダクト45を流通し、外気をヒータ44bで所定の温度に加熱するとともに吹出口42から前方の所定の方向、位置に吹き出すように構成されている。
【0066】
さらに、本実施形態の温風発生装置44は、吹出口42から吹き出す温風の左右方向の流向を調節する風向調節部48が吹出口42に設けられている。この風向調節部48は、例えば温風が当たって左右の所定の方向に温風を誘導する板状の部材などで構成されている。
【0067】
また、温風ダクト45のヒータ44bよりも吹出口42側にサーミスタ(温度検知装置)47が配設され、このサーミスタ47で温風の温度を検知し、ヒータ44bの駆動を制御するように構成されている。
【0068】
さらに、本実施形態の温風乾燥ユニット12においては、吹出口42に回動自在な蓋部材46が設けられ、この蓋部材46が温風を吹き出すとともに回動して吹出口42を開き、温風の吹き出しが停止するとともに吹出口42を閉じるように構成されている。
【0069】
次に、本実施形態の脱臭ユニット13は、脱臭ダクトと、脱臭ダクトの中途に設けられたファン(送風機)と、ファンよりも上流側の脱臭ダクト内に配置された脱臭カートリッジと、ファンよりも下流側に配置された除菌ユニットとを備えて構成されている。
【0070】
脱臭ダクトは、例えば、ノズル開口部9に並んで開口する吸込口に上流側の一端を接続し、下流側の他端を温風ダクト45のヒータ44bよりも下流側に接続して設けられている。すなわち、この場合には、温風ダクト45の下流側と脱臭ダクトの下流側が共用通路とされ、温風ダクト45と脱臭ダクトは吹出口42を兼用するように構成されている。また、脱臭ダクトと温風ダクト45の接続部には、通路切替え及び風量調整用のダンパが設けられ、このダンパの制御角度に応じて温風ダクト45と脱臭ダクトとの開口比率を調整できるように構成されている。
【0071】
脱臭カートリッジは、例えば、活性炭等の吸着型の脱臭剤を備え、通過する空気に含まれる臭気を脱臭剤によって取り除く。なお、脱臭剤は、脱臭が可能であれば特に限定する必要はない。例えば触媒であってもよく、光触媒のように紫外線等の光線を照射することによって物質を分解する分解型の脱臭剤であってもよい。
【0072】
除菌ユニットは、例えば、除菌イオンを発生させ、浮遊菌の繁殖を抑制し、且つ除菌するものであり、空気を電離させてプラスイオンとマイナスイオンを生じさせ、そのプラスイオンとマイナスイオンにより浮遊菌を取り囲んで不活化するものが好適である。
【0073】
そして、上記のように構成した本実施形態の水洗大便器Aでは、まず、
図10、
図11、
図13に示すように、シャッタベース20の第1ベース23の前面に第2ベース24の背面を面接触させつつ係合させ、第1ベース23と第2ベース24を接合状態にする。このとき、シャッタアーム21の各アーム部36を第1ベース23と第2ベース24の幅方向両側端部にそれぞれ設けられて互いに連通する一対のアーム保持部23b(及びアーム挿通部24c)の空間内に嵌め込むように配置しながら、第1ベース23と第2ベース24を係合させ、互いに連通する第1ベース23の本体部23aのネジ挿通孔27と第2ベース24の本体部24aの雌ネジ孔にネジ34を挿入して螺合させることによって、第1ベース23と第2ベース24を一体に接続する。
【0074】
このように第1ベース23と第2ベース24を接続すると、
図13、
図14、
図15に示すように、シャッタアーム21の軸部35がその軸線O3方向を横方向T1に向けて配設されるとともに、各アーム部36がアーム保持部23b及びアーム挿通部24cの空間内で、前後方向T2に進退自在に保持される。
【0075】
また、第1ベース23のアーム挿通部24cの上方回動係止面31、下方回動係止面32の上下の円弧面に、シャッタアーム21のアーム部36の後端側に設けられた回動部37の円弧面状の上方回動面37a、下方回動面37bが当接することによって、各アーム部36がアーム保持部23b及びアーム挿通部24cの空間内で、前後方向T2に進退自在に保持される。さらに、
図13、
図14、
図15、
図18に示すように、これら上方回動係止面31、下方回動係止面32と上方回動面37a、下方回動面37bが面接触しつつ摺動することによって、各アーム部36が上下方向に回動自在に保持される。
【0076】
また、各アーム部36に設けられたリブ38がアーム挿通部24cの下方回動係止面32に設けられたガイド溝33に係合することによって、各アーム部36が軸線O4方向に沿う前後方向T2に案内されて進退する。さらに、リブ38がガイド溝33に係合していることによって、シャッタアーム21がアーム部36の軸線O4方向をアーム保持部23b及びアーム挿通部24cの軸線方向に沿う前後方向T2に沿うように保持される。すなわち、リブ38がガイド溝33に係合していることによって、シャッタアーム21などの自重によってアーム部36が下方に傾くことがないようにしつつアーム保持部23b及びアーム挿通部24cの空間内で進退自在に保持される。
【0077】
ここで、本実施形態のリブ38は、後端側に、後端に向かうに従いその突出長が小となる傾斜部(R形状部)38bを備えて形成されている。これにより、アーム部36が前方に進出し、傾斜部38bのみがガイド溝33に係合した状態になると、アーム部36が前方に進出する従いアーム部36が下方に傾斜してゆく。そして、さらに前方に進出して傾斜部38bがガイド溝33から外れると、上方回動係止面31、下方回動係止面32と上方回動面37a、下方回動面37bが面接触し、各アーム部36が上下方向T3に回動自在に保持される。
【0078】
次に、上記のように第1ベース23と第2ベース24を組み付けてシャッタベース20とシャッタアーム21を接続した段階で、シャッタアーム21の軸部35を回転軸嵌合部22aに嵌め込み、互いの係止片部22b、35aをそれぞれ係合させて、シャッタアーム21の軸部35にシャッタ受け22を着脱可能に取り付ける。また、係止片部22b、35aによってシャッタアーム21の軸部35の所定位置にシャッタ受け22が取り付けら、シャッタ受け22の側端部から横方向T1に突出する回転規制部22cがシャッタアーム21のアーム部36と上下方向T3に重なる位置に配される。
【0079】
これにより、
図8、
図9、
図13、
図14、
図15、
図18に示すように、シャッタ受け22は、シャッタアーム21の軸部35の軸線O3周りに回動自在に配設される。また、回動時にアーム部36に回転規制部22cが当接することで背面が前方に向くことがないようにその回転範囲(回転量)を規制した状態で配設される。
【0080】
ここで、シャッタ受け22(及びシャッタアーム21(軸部35))をポリエチレン樹脂などを用いて形成することによって、後述の局部洗浄ノズル7、8の当接時や、回動時に摩耗や異音が発生しないようにすることができる。
【0081】
次に、
図6、
図19、
図20に示すように、シャッタベース20の第1ベース23の本体部23aの嵌合部25をノズルカバー15に嵌合させ、且つシャッタベース20の第1ベース23の本体部23aの一対の係合凸部26の間にノズルカバー15の凸部を係合させて、シャッタユニット17(シャッタベース20、シャッタアーム21、シャッタ受け22)をベース6aのノズル開口部9に設置する。
【0082】
また、シャッタユニット17をベース6aのノズル開口部9に設置すると、第2ベース24のアーム挿通部24cの上端側に設けられた雌ネジ孔29とカバーケース6のベースのネジ挿通孔とが連通する。ネジ挿通孔を通じて雌ネジ孔29にネジ30を締結することにより、シャッタユニット17がベース6aの所定位置に固定される。
【0083】
そして、シャッタユニット17がベース6aの所定位置に固定されることで、シャッタベース20に嵌合、係合したノズルカバー15(ノズルユニット11)がシャッタユニット17によってその上下左右の位置を所定の位置に位置決めして保持される。さらに、このとき、シャッタベース20とノズルユニット11は、互いの接続部分に大きな隙間が生じないように、すなわち互いの接続面同士が面接触するようにして接続した状態で保持される。
【0084】
次に、シャッタ受け22の前面と背面を対向させるようにしてシャッタ10をシャッタアーム36の軸部35の両端側(アーム部36の先端側)に着脱可能に且つ軸線O3周りに回動自在に係合させて取り付ける。シャッタ10を取り付けた段階で、アーム部36の他端側(後端側)のバネ接続部36aに引っ掛けてバネ部材をベース6aとアーム部36に接続する。
【0085】
これにより、バネ部材によってシャッタアーム21をカバーケース6内の後方に付勢する力が作用し、各アーム部36がアーム挿通部24c及びアーム保持部23bの空間内の後方に退避して収容され、軸部35及びシャッタ受け22がシャッタベース20の前面に近接配置され、シャッタ10がシャッタ受け22とともにその背面をシャッタベース20の前面に対向させるようにして近接配置される。よって、この状態で、シャッタ10が前面を便器本体1の内側に向け、ノズル開口部9を閉塞する。
【0086】
また、本実施形態では、シャッタ10が横長に形成されており、ノズル開口部9とともに、温風乾燥ユニット12、脱臭ユニット13の吸込口43、吹出口42、44も同時に閉塞するように構成されている。
【0087】
次に、本実施形態の水洗大便器Aで用便後、局部洗浄装置4で局部の洗浄、局部の温風乾燥を行う方法について説明する。
【0088】
まず、用便後に、例えば使用者が肛門洗浄ボタンをリモコン操作すると、これを制御装置が検知するとともに動作指令を出し、モータ及びピニオンが一方向に回転して肛門洗浄用ノズルである一方の局部洗浄ノズル7が前方に進出する。
【0089】
このとき、
図6、
図8、
図9、
図18に示すように、シャッタ受け22の背面には、一方の局部洗浄ノズル7に対向する位置に下方に向かうに従い漸次背面に近づく傾斜面40aを備えた第1当接回動部40が設けられている。このため、一方の局部洗浄ノズル7が進出して第1当接回動部40の傾斜面40aに先端が当接し、さらに進出すると、第1当接回動部40の傾斜面40aが押圧され、
図8、
図21、
図22に示すように第1当接回動部40(傾斜面40a)の形状に応じてシャッタ受け22がその背面を下方に向けるように上方に回動する。
【0090】
そして、このシャッタ受け22に重ねてシャッタ10が設けられているため、シャッタ受け22に押圧されて従動し、シャッタ10もその背面を下方に向けるように上方に回動する。
【0091】
また、
図6、
図8、
図9、
図13、
図18、
図21、
図22に示すように、アーム部36にリブ38が設けられ、リブ38がアーム保持部23b及びアーム挿通部24cに形成されたガイド溝33に係合して案内されることで、一方の局部洗浄ノズル7の進出とともに前方に向けて好適にシャッタアーム21ひいてはシャッタ受け22、シャッタ10が進出する。
【0092】
そして、一方の局部洗浄ノズル7がさらに進出するとともに、アーム部36の回動部37の円弧面状の上方回動面37a、下方回動面37bがシャッタベース20の上方回動係止面31、下方回動係止面32に面接触し、アーム部36がその先端側を上げるように回動部37周りに円滑に回動する。
【0093】
このとき、リブ38の支持突部38aがガイド溝33に係合していることによって、アーム部36が前方に進出するときのアーム部36ひいてはシャッタ受け22、シャッタ10が下がってしまうことない。これにより、第1当接回動部40の傾斜面40aを一方の局部洗浄ノズル7の先端部で押圧しながら進出し、アーム部36の回動部37の上方回動面37a、下方回動面37bがシャッタベース20の上方回動係止面31、下方回動係止面32に面接触し、確実にアーム部36を回動部37周りに円滑に回動させることができる。
【0094】
すなわち、本実施形態の水洗大便器Aにおいては、一方の局部洗浄ノズル7が進出すると、自動的に、シャッタ10がアーム部36とともに回動部37周りに上方に回動し、且つその背面を下方に向けるようにシャッタアーム21の軸部35の軸線O3周りにシャッタ受け22とともに回動する。
【0095】
このようにしてノズル開口部9が開き、便器本体1の内側に進出した一方の局部洗浄ノズル7の先端部から温水供給ユニットの駆動によって洗浄水の温水が吐出し、局部を洗浄することができる。また、この洗浄時には、ノズル開口部9の上方に且つ一方の局部洗浄ノズル7の上方に、前面を上方に向けてシャッタ10が覆い被さるように配されている。このため、汚物、洗浄水の飛沫などがシャッタ10で遮られ、局部洗浄ノズル7、8やノズル開口部9、その内部にかかったり、入り込むことが防止される。
【0096】
一方の局部洗浄ノズル7によって局部洗浄が完了すると、自動的にあるいは使用者のリモコン操作に応じた制御などによって、モータ及びピニオンが他方向に回転して肛門洗浄用ノズルである一方の局部洗浄ノズル7が後方に退避する。また、一方の局部洗浄ノズル7が後方に退避すると、シャッタアーム21のアーム部36がバネ部材によって後方に付勢されているため、自動的にシャッタアーム21が後方に退避する。
【0097】
さらに、一方の局部洗浄ノズル7が後退し、後方に退避する際には、アーム部36のリブ38の後端側に傾斜部38bが設けられているため、この傾斜部38bが好適にガイド溝33に再係合し、シャッタアーム21が好適に後方に退避する。そして、一方の局部洗浄ノズル7がノズル開口部9を通じてカバーケース6に収容されるとともに、第1当接回動部40の当接、押圧状態が解除され、シャッタアーム21とともにシャッタ受け22、シャッタ10が後方に退避しつつ回動する。これにより、シャッタ10がノズル開口部9を閉じて元の状態に戻る。
【0098】
一方、例えば使用者がビデ洗浄ボタンをリモコン操作すると、これを制御装置が検知するとともに動作指令を出し、モータ及びピニオンが一方向に回転して肛門洗浄用ノズルである一方の局部洗浄ノズル7が前方に進出し、上記と同様に第1当接回動部40の傾斜面40aを押圧してシャッタ受け22、シャッタアーム21を前方に進出させつつ上方に回動させ、背面が下方を向くようにシャッタ10を上方に回動させてノズル開口部9が開く。
【0099】
このビデ洗浄の際には、一方の局部洗浄ノズル7がシャッタ10を開き、シャッタ10の下方に配された状態で止まり、それ以上便器本体1の内側に進出しないようにする。
【0100】
一方の局部洗浄ノズル7でシャッタ10を開いた段階で、ビデ洗浄用ノズルである他方の局部洗浄ノズル8が前方に進出し、シャッタ10に当接することなく便器本体1の内側の所定位置まで進出する。便器本体1の内側に進出した他方の局部洗浄ノズル8の先端部から温水供給ユニットの駆動によって洗浄水の温水が吐出し、局部を洗浄することができる。また、この洗浄時には、ノズル開口部9の上方に且つ一方の局部洗浄ノズル7及び他方の局部洗浄ノズル8の上方に、前面を上方に向けてシャッタ10が覆い被さるように配されている。このため、洗浄水、汚物、洗浄水の飛沫などがシャッタ10で遮られ、局部洗浄ノズル7、8やノズル開口部9、その内部に飛沫がかかったり、入り込むことが防止される。
【0101】
他方の局部洗浄ノズル8によって局部洗浄が完了すると、自動的にあるいは使用者のリモコン操作に応じた制御などによって、モータ及びピニオンが他方向に回転してビデ洗浄用ノズルである他方の局部洗浄ノズル8が後方に退避し、ノズル開口部9を通じてカバーケース6内の元の位置に戻る。
【0102】
これとともに、一方の局部洗浄ノズル7が後方に退避する。このとき、シャッタアーム21のアーム部36がバネ部材によって後方に付勢されているため、自動的にシャッタアーム21が後方に退避する。
【0103】
さらに、一方の局部洗浄ノズル7が後退し、後方に退避する際には、アーム部36のリブ38の後端側に傾斜部38bが設けられているため、この傾斜部38bが好適にガイド溝33に再係合し、シャッタアーム21が好適に後方に退避する。そして、一方の局部洗浄ノズル7がノズル開口部9を通じてカバーケース6に収容されるとともに、第1当接回動部40の当接、押圧状態が解除され、シャッタアーム21とともにシャッタ受け22、シャッタ10が後方に退避しつつ回動する。これにより、シャッタ10がノズル開口部9を閉じて元の状態に戻る。
【0104】
次に、上記のように、肛門洗浄用の一方の局部洗浄ノズル7やビデ洗浄用の他方の局部洗浄ノズル8で洗浄を行った後に、自動的に、あるいは使用者のリモコン操作に応じて、温風乾燥ユニット12が駆動し、温風によって局部を乾燥させる。
【0105】
この温風乾燥時に、本実施形態の水洗大便器Aにおいては、まず、肛門洗浄用の一方の局部洗浄ノズル7やビデ洗浄用の他方の局部洗浄ノズル8で洗浄を行った後、所定時間が経過した段階、あるいは使用者が温風乾燥ボタンをリモコン操作などした段階で、これを制御装置が検知する。これとともに制御装置が動作指令を出し、モータ及びピニオンが一方向に回転してビデ洗浄用ノズルである他方の局部洗浄ノズル8が前方に進出する。
【0106】
このとき、
図6、
図13、
図15、
図16、
図17、
図18に示すように、シャッタ受け22の背面には、他方の局部洗浄ノズル8に対向する位置に、下方に向かうに従い漸次背面から離れる逆傾斜面41aを備えた他方の当接回動部41が設けられている。このため、他方の局部洗浄ノズル8が進出して他方の当接回動部41の逆傾斜面41aに先端が当接し、さらに進出すると、他方の当接回動部41の逆傾斜面41aが押圧され、逆傾斜面41aの形状に応じてシャッタ受け22が背面を上方に向けるように下方に回動する。
【0107】
また、アーム部36にリブ38が設けられ、リブ38がアーム挿通部24cに形成されたガイド溝33に係合して案内されることで、他方の局部洗浄ノズル8の進出とともに前方に向けて好適にシャッタアーム21ひいてはシャッタ受け22、シャッタ10が進出する。
【0108】
他方の当接回動部41の逆傾斜面41aを押圧しながら他方の局部洗浄ノズル8がさらに進出すると、アーム部36の回動部37の円弧面状の上方回動面37a、下方回動面37bがシャッタベース20の上方回動係止面31、下方回動係止面32に面接触するとともに、リブ38が傾斜部38bに沿って徐々にガイド溝33から外れて落ち、アーム部36がその先端側を下げるように回動部37周りに円滑に回動する。
【0109】
これにより、他方の局部洗浄ノズル8が進出すると、自動的に、シャッタ10がアーム部36とともに回動部37周りに下方に回動し、且つ背面を上方に向けるようにシャッタアーム21の軸部35の軸線O3周りにシャッタ受け22とともに回動する。
【0110】
また、このとき、シャッタ受け22に側端部から横方向T1に突出する回転規制部22cが設けられているため、回転規制部22cがアーム部36に下側から当接することによって、シャッタ受け22ひいてはシャッタ10のそれ以上の回動が規制され、背面を上方に向けた状態でシャッタ10(シャッタ受け22)が保持される。
【0111】
なお、温風乾燥時にシャッタ10を開動させる際には、他方の局部洗浄ノズル8がシャッタ10を開き、シャッタ10の上方に先端部が配された状態で止まり、それ以上便器本体1の内側に進出しないようにする。
【0112】
本実施形態では、背面が上方を向くようにシャッタ10を下方に回動して開いた段階で、温風乾燥ユニット12が駆動し、ノズル開口部9の側近に開口する吹出口42から温風を吹き出す。
【0113】
そして、吹出口42から吹き出した温風が吹出口42に設けられた風向調節部48に当たることでその左右方向の送風方向が調整される。このようにして温風がシャッタ10の背面の所定位置に当たり、シャッタ10の背面で反射して、温風が局部側に向けて送風・放射される。
【0114】
これにより、本実施形態の水洗大便器Aにおいては、従来の温風ノズルで洗浄後の局部を乾燥させる場合と比較し、人体に対して温風が吹き付けられる範囲が広くなり、温風によって人体に付着した洗浄水が効率的に乾燥する。
【0115】
ここで、背面を上方に向けて配設されたシャッタ10に対し、シャッタ10の前後方向T2中央よりも便器本体1の内側の前方側の部分(閉じた状態におけるシャッタ10の上下方向T3上方側の部分)に吹出口42から吹き出した温風の風流束の中心が当たるようにすることが好ましい。このようにすると、シャッタ10の後方側(便器本体1の後方側)に温風が逃げてロスが生じることが抑止される。
【0116】
さらに、
図16、
図17に示すように、温風が当たるシャッタ10の背面部分を凹円弧状の滑らかな凹曲面形状で形成しておくことが好ましい。この場合においても、シャッタの背面に当たった温風を滑らかな背面部分で効果的に人体局部側に反射するため、シャッタの後方側(便器本体1の後方側)に温風が逃げてロスが生じることが抑止される。
【0117】
さらに、他方の局部洗浄ノズル8を進出させて背面が上方を向くようにシャッタ10を開いた状態で、他方の局部洗浄ノズル8を所定の進退量で前後に繰り返し進退させ、シャッタを搖動(スイング)させるようにしてもよい。この場合には、搖動するシャッタ10の背面に向けて温風を吹き出すことにより、シャッタ10の背面に当たって反射する温風の送風範囲が大きく広がり、効率的且つ効果的に人体に付着した洗浄水が乾燥することになる。
【0118】
そして、局部の乾燥が完了した段階で、自動的にあるいは使用者のリモコン操作に応じた制御などによって、モータ及びピニオンが他方向に回転してビデ洗浄用ノズルである他方の局部洗浄ノズル8が後方に退避し、ノズル開口部9を通じてカバーケース6内の元の位置に戻る。
【0119】
このとき、アーム部36のリブ38の後端側に傾斜部38bが設けられているため、アーム部36が下がった状態で退避しても、傾斜部38bが好適にガイド溝33に再係合して案内されるとともに傾斜部38bによって徐々にアーム部36が持ち上がってゆき、シャッタアーム21が好適に後方に退避する。そして、他方の局部洗浄ノズル8がノズル開口部9を通じてカバーケース6に収容されるとともに、他方の当接回動部41の当接、押圧状態が解除され、シャッタアーム21とともにシャッタ受け22、シャッタ10が後方に退避しつつ回動する。これにより、シャッタ10がノズル開口部9を閉じて元の状態に戻る。
【0120】
したがって、本実施形態の水洗大便器(便器装置)Aにおいては、局部洗浄時にノズル開口部9ひいては局部洗浄ノズル7、8の上方に、温風乾燥時にノズル開口部9ひいては局部洗浄ノズル7、8の下方に、シャッタ10が正逆二方向に回動してノズル開口部9を開閉するように構成したことによって、温風乾燥時に、下方に回動したシャッタ10の上方側を向く背面に向けて温風を吹き出し、シャッタ10の背面で反射させて局部側に温風を送風することが可能になる。
【0121】
そして、このようにシャッタ10で反射させて温風を局部側に送風することで、従来と比較し、温風を吹出口42から一定の方向に吹き出してもシャッタ10の背面で反射することで局部側の広範囲に温風を送風することが可能になる。
【0122】
また、温風乾燥時のシャッタ10の回動角度を調節・制御することで、シャッタ10の背面で反射する温風の送風方向を容易に調節・制御することができ、任意の乾燥位置を容易に設定することが可能になる。
【0123】
これにより、本実施形態の水洗大便器Aによれば、従来よりも、局部洗浄後に、人体に付着した洗浄水を温風で効率的且つ効果的に乾燥させることが可能になる。
【0124】
また、本実施形態の水洗大便器Aにおいては、温風乾燥時に上方側を向くシャッタ10の背面の温風が当たる部分を滑らかな凹曲面状に形成することによって、シャッタ10の背面に吹き付けた温風を、この背面の形状に沿って好適に局部側に導き、送風することができる。
【0125】
これにより、局部側から大きく外れて送風されてしまう温風のロスを減らし、より効率的且つ効果的に人体に付着した洗浄水を乾燥させることが可能になる。
【0126】
さらに、温風乾燥時に、背面を上方側に向けるように回動したシャッタ10が正逆回動して搖動(スイング)することによって、シャッタ10の背面に向けて吹き付けた温風を、搖動するシャッタ10によって広範囲に送風することができる。
【0127】
これにより、さらに効率的且つ効果的に人体に付着した洗浄水を乾燥させることが可能になる。また、便座3aに座った使用者によって局部の位置差異がある場合であっても、搖動するシャッタ10によって広範囲に温風を送風することで、確実に洗浄水を乾燥させることが可能になる。
【0128】
また、本実施形態の水洗大便器Aにおいては、局部洗浄ノズル8の進出によってシャッタ10を回動させるため、温風乾燥時には局部洗浄ノズル8がシャッタ10の上下方向中央よりも上方を当接/押圧してシャッタ10を回動させ、背面を上方に向けた状態で保持することになる。そして、この状態のシャッタ10に対し、シャッタ10の中央よりも便器本体1の内側部分に温風の風流束の中心が当たるように吹出口42から温風を吹き出すことで、背面を上方に向けた状態でシャッタ10を保持する局部洗浄ノズル8に対し、温風の吹き付けによってシャッタ10から作用する負荷を軽減することが可能になる。
【0129】
さらに、風向調節部48を温風の吹出口42に設け、この風向調節部48によって温風の左右の流向を調節してシャッタ10の背面に温風を当てることができ、シャッタ10によって温風の左右の送風方向を調節することを不要にできる。これにより、シャッタ10の背面の温風を受ける部分の面に風向調節用のリブ等を設ける必要がなく、この温風を受ける面を滑らかな面状で形成することができ、シャッタ10の清掃がしやすくなる。
【0130】
また、温風が吹き出すとともに蓋部材46が吹出口42を開き、シャッタ10の背面で反射させて局部側に温風を送風することができる。また、温風の吹き出しが停止すると、蓋部材46が吹出口42を閉じ、吹出口42を通じて内部に汚物や洗浄水の飛沫などが入り込むことを防止できる。
【0131】
以上、本発明に係る便器装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0132】
例えば、シャッタ10を搖動(スイング)させる場合に、この手段を限定する必要はなく、本実施形態のように局部洗浄ノズル8の進退によってシャッタ10を搖動させることに限定する必要はない。すなわち、例えばモータの正逆回転駆動を制御し、このモータでシャッタ10を搖動させるようにしてもよく、シャッタ10を搖動させる手段は適宜選定すればよい。
【0133】
また、本実施形態では、温風の吹出口42を開閉するシャッタがノズル開口部9を開閉するシャッタ10と併用されているものとしたが、温風の吹出口42を開閉するシャッタは個別に設けられてもよい。