特許第6571460号(P6571460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日機装株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6571460-殺菌装置 図000002
  • 特許6571460-殺菌装置 図000003
  • 特許6571460-殺菌装置 図000004
  • 特許6571460-殺菌装置 図000005
  • 特許6571460-殺菌装置 図000006
  • 特許6571460-殺菌装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571460
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20190826BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   A61L2/10
   C02F1/32
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-176157(P2015-176157)
(22)【出願日】2015年9月7日
(65)【公開番号】特開2017-51289(P2017-51289A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年4月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】木内 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】越智 鉄美
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−045517(JP,A)
【文献】 特開2014−233712(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0129776(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/187523(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/058011(WO,A1)
【文献】 特開2010−264238(JP,A)
【文献】 米国特許第04141686(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流入口と、流出口とを有する処理室と、
前記処理室内を流れる流体に紫外光を照射する複数の光源と、を備え、
前記複数の光源は、前記複数の流入口のそれぞれに対応する位置に配置され、各光源に対応する流入口の近くを流れる流体に前記流出口の近くを流れる流体よりも高強度の紫外光を照射し、
前記処理室は、第1端面から第2端面に向けて長手方向に延びる形状を有し、
前記複数の光源は、前記第1端面に配置される第1光源と、前記第2端面に配置される第2光源と、を含むことを特徴とする殺菌装置。
【請求項2】
前記複数の流入口は、前記第1端面の近傍に設けられる第1流入口と、前記第2端面の近傍に設けられる第2流入口と、を含み、
前記流出口は、前記第1流入口と前記第2流入口の間に設けられることを特徴とする請求項に記載の殺菌装置。
【請求項3】
前記複数の流入口のそれぞれに接続され、前記処理室の長手方向と交差する方向に延びる複数の流入路をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の殺菌装置。
【請求項4】
前記複数の流入路は、前記処理室の長手方向と直交する方向に延びることを特徴とする請求項に記載の殺菌装置。
【請求項5】
前記複数の流入路は、前記第1流入口に接続される第1流入路と、前記第2流入口に接続される第2流入路と、を含み、
前記第1流入路は、前記第1流入路を通って前記処理室へ向かう流体が前記第1流入口から前記第1端面へ向かう速度成分を有するように、前記処理室の長手方向および前記長手方向と直交する方向の双方と交差する方向に延び、
前記第2流入路は、前記第2流入路を通って前記処理室へ向かう流体が前記第2流入口から前記第2端面へ向かう速度成分を有するように、前記処理室の長手方向および前記長手方向と直交する方向の双方と交差する方向に延びることを特徴とする請求項に記載の殺菌装置。
【請求項6】
前記流出口は、前記第1端面および前記第2端面からの距離が等しい位置に設けられ、
前記第1流入口および前記第2流入口は、前記流出口からの距離が等しい位置に設けられることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌装置に関し、特に、流体に紫外光を照射して殺菌する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光には殺菌能力があることが知られており、医療や食品加工の現場などでの殺菌処理に紫外光を照射する装置が用いられている。また、水などの流体に紫外光を照射することで、流体を連続的に殺菌する装置も用いられている。このような殺菌装置として、例えば、流路の途中に乱流板や乱流発生機構を設けることで液体を乱流状態とし、液体に対する紫外光の照射効率を高めた構造が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−33918号公報
【特許文献2】特開2014−87544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乱流板や乱流発生機構を設ける場合、流路の構造が複雑化し、部品点数や製造コストの増加につながってしまう。より単純な流路構造を用いながら紫外光の照射効率を高められる装置であることが好ましい。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、シンプルな流路構造を用いながら殺菌能力を向上できる殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の殺菌装置は、複数の流入口と、流出口とを有する処理室と、処理室内を流れる流体に紫外光を照射する複数の光源と、を備える。複数の光源のそれぞれは、流出口よりも対応する流入口の近くを流れる流体に向けて紫外光を照射するよう配置される。
【0007】
この態様によると、処理室に複数の流入口が設けられるため、処理室への流入によって乱流状態となる場所を処理室内に複数設けることができる。また、乱流状態となる流入口の近くを流れる流体に紫外光を照射するように光源を配置するため、流体に対する紫外光の照射効率を高めることができる。このように、複数の流入口と、それぞれの流入口に対応して配置される複数の紫外光源とを組み合わせることで、処理室内の流体に対する紫外光の照射効率を高めて、殺菌能力を向上させることができる。
【0008】
処理室は、第1端面から第2端面に向けて長手方向に延びる形状を有してもよい。複数の光源は、第1端面に配置される第1光源と、第2端面に配置される第2光源と、を含んでもよい。
【0009】
複数の流入口は、第1端面の近傍に設けられる第1流入口と、第2端面の近傍に設けられる第2流入口と、を含んでもよい。流出口は、第1流入口と第2流入口の間に設けられてもよい。
【0010】
複数の流入口のそれぞれに接続され、処理室の長手方向と交差する方向に延びる複数の流入路をさらに備えてもよい。
【0011】
複数の流入路は、処理室の長手方向と直交する方向に延びてもよい。
【0012】
複数の流入路は、第1流入口に接続される第1流入路と、第2流入口に接続される第2流入路と、を含んでもよい。第1流入路は、第1流入路を通って処理室へ向かう流体が第1流入口から第1端面へ向かう速度成分を有するように、処理室の長手方向および長手方向と直交する方向の双方と交差する方向に延び、第2流入路は、第2流入路を通って処理室へ向かう流体が第2流入口から第2端面へ向かう速度成分を有するように、処理室の長手方向および長手方向と直交する方向の双方と交差する方向に延びてもよい。
【0013】
流出口は、第1端面および第2端面からの距離が等しい位置に設けられ、第1流入口および第2流入口は、流出口からの距離が等しい位置に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の殺菌装置によれば、シンプルな流路構造を用いて装置の殺菌能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施の形態に係る殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2図1の流路構造を概略的に示す外観斜視図である。
図3】変形例に係る殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図4】変形例に係る殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図5】第2の実施の形態に係る殺菌装置の構成を概略的に示す断面図である。
図6図5の流路構造を概略的に示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、実施の形態に係る殺菌装置10の構成を概略的に示す図であり、図2は、図1の流路構造20を概略的に示す外観斜視図である。殺菌装置10は、複数の光源(第1光源12、第2光源14)と、流路構造20とを備える。流路構造20は、処理室50と、複数の流入路(第1流入路52、第2流入路54)と、流出路56とを区画する。殺菌装置10は、第1流入路52または第2流入路54を通じて処理室50に流入する流体に対して第1光源12および第2光源14からの紫外光を照射し、紫外光照射によって殺菌された流体を流出路56から流出させる。
【0018】
流路構造20は、第1流入管22と、第2流入管24と、流出管26と、筐体28とを有する。流路構造20は、金属材料や樹脂材料で構成される。流路構造20は、紫外光に対する耐久性が高く、紫外光の反射率の高い部材で構成される。流路構造20は、例えば、アルミニウム(Al)や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂で構成される。特に、第1光源12および第2光源14からの紫外光が直接照射される筐体28の内壁面にこれらの材料を用いることが望ましい。
【0019】
筐体28は、側壁30と、第1端面壁38と、第2端面壁40とを有する。側壁30は、図2に示されるような円筒形状を有し、第1端面壁38から第2端面壁40に向けて長手方向に延在する。つまり、側壁30の両端部には、第1端面壁38および第2端面壁40が設けられる。筐体28は、側壁30と、第1端面壁38と、第2端面壁40とにより処理室50を区画する。したがって、処理室50は、筐体28に囲われた長手方向に延在する円柱形状の空間となる。処理室50は、第1流入路52や第2流入路54と比べて通水断面積が大きくなるように形成される。
【0020】
第1端面壁38には、第1光源12からの紫外光を透過させるための第1窓42が設けられる。第2端面壁40には、第2光源14からの紫外光を透過させるための第2窓44が設けられる。第1窓42および第2窓44は、例えば、石英(SiO2)やサファイア(Al)、非晶質のフッ素系樹脂などの紫外光の透過率が高い部材で構成される。
【0021】
側壁30には、第1流入口32と、第2流入口34と、流出口36とが設けられる。第1流入口32は、第1端面壁38の近傍に設けられ、第2流入口34は、第2端面壁40の近傍に設けられる。流出口36は、第1流入口32と第2流入口34の間の位置に設けられ、好ましくは、第1流入口32と第2流入口34のちょうど中間の位置に設けられる。
【0022】
第1流入管22は、第1流入口32に接続され、第2流入管24は、第2流入口34に接続されている。第1流入管22および第2流入管24は、筐体28の長手方向と交差する方向に延びており、図示されるように、長手方向と直交する径方向に延びている。第1流入管22および第2流入管24は、それぞれ別の流体源に接続されてもよいし、共通の流体源からの配管が分岐されて接続されてもよい。流出管26は、流出口36に接続され、流入管と同様に、筐体28の長手方向と直交する径方向に延びている。
【0023】
第1光源12および第2光源14は、紫外光を発するLED(Light Emitting Diode)を有し、その中心波長またはピーク波長が約200nm〜350nmの範囲に含まれる。第1光源12および第2光源14は、殺菌効率の高い波長である260nm〜270nm付近の紫外光を発するLEDを有することが好ましい。このような紫外光LEDとして、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いたものが知られている。
【0024】
第1光源12は、第1端面壁38の近くに配置され、第1窓42を通じて処理室50の内部に向けて紫外光を照射する。第2光源14は、第2端面壁40の近くに配置され、第2窓44を通じて処理室50の内部に向けて紫外光を照射する。第1光源12からの紫外光は、その少なくとも一部が側壁30の内面で反射され、処理室50の長手方向に第2端面壁40へ向かって進む。同様に、第2光源14からの紫外光は、その少なくとも一部が側壁30の内面で反射され、処理室50の長手方向に第1端面壁38へ向かって進む。
【0025】
以上の構成により、殺菌装置10は、第1流入路52および第2流入路54を通じて処理室50に流入する流体に対して第1光源12および第2光源14からの紫外光を照射して殺菌し、処理後の流体を流出路56から流出させる。このとき、第1流入路52を通じて流入する流体は、第1流入口32と対向する側壁30や第1端面壁38にぶつかり、第1端面壁38の近傍の第1端部領域58において乱流状態となる。同様に、第2流入路54を通じて流入する流体は、第2流入口34と対向する側壁30や第2端面壁40にぶつかり、第2端面壁40の近傍の第2端部領域60において乱流状態となる。第1光源12は、第1端部領域58において乱流状態となる流体に紫外光を照射し、第2光源14は、第2端部領域60において乱流状態となる流体に紫外光を照射する。処理室50に流入した流体は、流出口36の近傍の中央領域62に向かって徐々に層流状態へと移行し、流出口36および流出路56を介して、殺菌装置10の外へ流出する。
【0026】
本実施の形態によれば、複数の流入口を設けることで、処理室50の内部の複数の領域で乱流を発生させることができる。また、複数の乱流発生箇所に対応させて複数の光源を配置することで、乱流状態となる流体に強度の高い紫外光を照射できる。これにより、流入口を一つだけ設ける場合や、層流状態となる流出口の近傍に光源を設ける場合と比べて、流体に対する紫外光の照射効率を高めることができる。
【0027】
本実施の形態によれば、処理室50の内部に乱流板や乱流発生機構を設けることで乱流を発生させるのではなく、処理室50につながる流入口の位置や流入路の向きによって乱流状態を作り出しているため、流路構造20をシンプルな構造とすることができる。したがって、乱流発生機構を設けることによる部品点数の増加や製造コストの上昇を抑えつつ、流体に対する紫外光の照射効率を高めることができる。
【0028】
本実施の形態によれば、チューブ形状の処理室50の両端面から処理室50の長手方向に紫外光を照射する構成としているため、処理室50の内部の全体にわたって紫外光を照射させることができる。したがって、乱流状態となる処理室50の端部領域だけではなく、処理室50の中央領域にも紫外光を伝播させることができ、流体に対する紫外光の照射効率をより高めることができる。
【0029】
本実施の形態によれば、複数の流入路の通水断面積よりも処理室50の通水断面積を大きくしているため、処理室50の内部での流速を低下させて処理室50の滞留時間を長くすることができる。また、通水断面積に差を設けることで、流入口の近傍において乱流状態を発生させやすくすることができる。これらの作用により、流体に対する紫外光照射効率をより高めることができる。
【0030】
なお、流路構造20は、流出管26を中心として対称となる形状を有することが望ましい。より具体的には、流路構造20は、処理室50の長手方向に直交する平面であって流出管26の中心の位置を通る平面に対して、面対称となる形状を有することが望ましい。この場合、流出口36は、第1端面壁38および第2端面壁40からの距離が等しい位置に設けられ、第1流入口32および第2流入口34は、流出口36からの距離が等しい位置に設けられる。また、第1流入管22および第2流入管24は、通水断面積が等しくなるように形成される。このような対称構造を採用することにより、第1流入管22および第2流入管24から流入する流体の流れを均一化し、処理された流体を流出管26からスムーズに流出させることができる。
【0031】
(変形例1)
図3は、変形例に係る殺菌装置10の構成を概略的に示す断面図である。本変形例は、第1流入路52および第2流入路54が処理室50の長手方向および径方向の双方と交差する斜めの方向に延びるよう設けられている点で上述の実施の形態と異なる。以下、上述の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0032】
第1流入管22は、処理室50の径方向に対して角度θだけ傾いた方向に延びるようにして第1流入口32に取り付けられている。第1流入管22は、第1流入路52を通って処理室50に向かう流体が第1流入口32から第1端面壁38に向かう速度成分を有するように取り付けられている。したがって、第1流入管22は、筐体28から離れるにしたがって流出管26との距離が小さくなるようにして斜めに取り付けられている。
【0033】
第1流入管22を斜めに取り付けることにより、第1流入路52から処理室50に流入する流体が第1端面壁38の近くを通ってから流出口36に向かいやすくなる。第1端面壁38の近傍は、第1光源12からの紫外光強度が最も高い位置であるため、第1端面壁38のより近くを流体が通過するようにすることで、流体に対する紫外光の照射効率をより高めることができる。
【0034】
処理室50の径方向と第1流入管22の延在方向とのなす角度θは、任意の角度であってもよいが、例えば5度〜60度程度とすることが望ましく、10度〜45度程度とすることがより好ましい。このような角度値にすることで、第1端部領域58において乱流を生じさせやすくするとともに、流体を第1端面壁38の近傍を通過させてから流出口36に向かわせることができる。
【0035】
第2流入管24は、第1流入管22と同様に、処理室50の径方向に対して傾いた方向に延びるようにして第2流入口34に取り付けられている。第2流入管24は、第2流入路54を通って処理室50に向かう流体が第2流入口34から第2端面壁40に向かう速度成分を有するように取り付けられている。したがって、第2流入管24は、筐体28から離れるにしたがって流出管26との距離が小さくなるようにして斜めに取り付けられている。
【0036】
第2流入管24を斜めに取り付けることにより、第1流入管22と同様、第2流入路54から処理室50に流入する流体が第2端面壁40の近くを通ってから流出口36に向かいやすくなる。第2端面壁40の近傍は、第2光源14からの紫外光強度が最も高い位置であるため、第2端面壁40のより近くを流体が通過するようにすることで、流体に対する紫外光の照射効率をより高めることができる。
【0037】
処理室50の径方向と第2流入管24の延在方向とのなす角度は、任意の角度であってもよいが、例えば5度〜60度程度とすることが望ましく、10度〜45度程度とすることがより好ましい。このような角度値にすることで、第2端部領域60において乱流を生じさせやすくするとともに、流体を第2端面壁40の近傍を通過させてから流出口36に向かわせることができる。なお、第2流入管24の傾斜角は、第1流入管22の傾斜角と同じ角度にすることが望ましい。
【0038】
(変形例2)
図4は、変形例に係る殺菌装置10の構成を模式的に示す断面図である。本変形例は、第1光源12からの紫外光を透過させる第1窓42と、第2光源14からの紫外光を透過させる第2窓44とが側壁30に設けられる点で上述の実施の形態と相違する。以下、上述の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0039】
第1窓42は、側壁30の第1端面壁38の近くに設けられ、例えば、第1流入口32と対向する位置に設けられる。第2窓44は、側壁30の第2端面壁40の近くに設けられ、例えば、第2流入口34と対応する位置に設けられる。第1光源12は、第1窓42の近傍に配置され、第1端部領域58に向けて紫外光を照射するように配置される。第2光源14は、第2窓44の近傍に配置され、第2端部領域60に向けて紫外光を照射するように配置される。
【0040】
本変形例においても、第1端面壁38の近傍の第1端部領域58と、第2端面壁40の近傍の第2端部領域60のそれぞれにて乱流を発生させるとともに、乱流状態の流体に向けて紫外光を照射できるため、流体に対する紫外光照射効率を高めることができる。なお、第1光源12や第2光源14の設けられる位置は、第1流入口32や第2流入口34と対向する位置でなくてもよく、第1流入口32や第2流入口34と周方向に角度がずれた位置に設けられてもよい。
【0041】
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態に係る殺菌装置110の構成を概略的に示す断面図であり、図6は、図5の流路構造を概略的に示す外観斜視図である。本実施の形態に係る殺菌装置110は、図5に示されるように四つの流入口131〜134を有し、図6に示されるように四本の流入管121〜124を有する点で上述の実施の形態と相違する。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
殺菌装置110は、複数の光源111〜118と、流路構造120とを備える。流路構造120は、処理室170と、複数の流入路171〜174と、一つの流出路176とを区画する。殺菌装置110は、複数の流入路171〜174を通じて処理室170に流入する流体に対して複数の光源111〜118からの紫外光を照射し、紫外光照射により殺菌された流体を流出路176から流出させる。
【0043】
流路構造120は、複数の流入管121〜124と、一つの流出管126と、筐体140とを有する。筐体140は、略直方体の箱形形状を有し、第1側壁141と、第2側壁142と、第3側壁143と、第4側壁144と、上面壁146と、下面壁148とを有する。本実施の形態に係る説明において、第1側壁141と第2側壁142が対向する方向をy方向とし、第3側壁143と第4側壁144が対向する方向をx方向とする。また、上面壁146と下面壁148が対向する方向をz方向とする。なお、これらの方向は、殺菌装置110の構造の理解を助けるために規定されるものであり、殺菌装置110が使用される際の方向を規定するものではない。
【0044】
上面壁146には、第1流入口131と、第2流入口132と、第3流入口133と、第4流入口134と、流出口136とが設けられる。第1流入口131は、第1側壁141と第3側壁143が接する第1コーナ161の近傍に設けられ、第2流入口132は、第1側壁141と第4側壁144が接する第2コーナ162の近傍に設けられる。第3流入口133は、第2側壁142と第3側壁143が接する第3コーナ163の近傍に設けられ、第4流入口134は、第2側壁142と第4側壁144が接する第4コーナ164の近傍に設けられる。流出口136は、上面壁146の中央付近に設けられる。したがって、複数の流入口131〜134は、流出口136を囲むようにして対角の位置にそれぞれ設けられる。
【0045】
筐体140の側壁141〜144には、複数の窓151〜158が設けられる。第1窓151は、第1側壁141のうち第1コーナ161の近傍に設けられ、第2窓152は、第3側壁143のうち第1コーナ161の近傍に設けられる。第3窓153は、第1側壁141のうち第2コーナ162の近傍に設けられ、第4窓154は、第4側壁144のうち第2コーナ162の近傍に設けられる。第5窓155は、第2側壁142のうち第3コーナ163の近傍に設けられ、第6窓156は、第3側壁143のうち第3コーナ163の近傍に設けられる。第7窓157は、第2側壁142のうち第4コーナ164の近傍に設けられ、第8窓158は、第4側壁144のうち第4コーナ164の近傍に設けられる。
【0046】
複数の光源111〜118のそれぞれは、複数の窓151〜158に対応して設けられる。第1光源111は、第1窓151に近接して設けられ、第1流入口131の近くを流れる流体に向けて紫外光を照射するよう配置される。第2光源112は、第2窓152に近接して設けられ、第1流入口131の近くを流れる流体に向けて紫外光を照射するよう配置される。第3光源113は、第3窓153に近接して設けられ、第2流入口132の近くを流れる流体に向けて紫外光を照射するよう配置される。第4光源114は、第4窓154に近接して設けられ、第2流入口132の近くを流れる流体に向けて紫外光を照射するよう配置される。第5光源115は、第5窓155に近接して設けられ、第3流入口133の近くを流れる流体に向けて紫外光を照射するよう配置される。第6光源116は、第6窓156に近接して設けられ、第3流入口133の近くを流れる流体に向けて紫外光を照射するよう配置される。第7光源117は、第7窓157に近接して設けられ、第4流入口134の近くを流れる流体に向けて紫外光を照射するよう配置される。第8光源118は、第8窓158に近接して設けられ、第4流入口134の近くを流れる流体に向けて紫外光を照射するよう配置される。
【0047】
複数の流入管121〜124および流出管126のそれぞれは、上面壁146と直交するz方向に延びるようにして筐体140に取り付けられる。第1流入管121は、第1流入口131に接続され、第2流入管122は、第2流入口132に接続され、第3流入管123は、第3流入口133に接続され、第4流入管124は、第4流入口134に接続される。流出管126は、流出口136に接続される。複数の流入管121〜124は、それぞれ通水断面積が等しくなるように構成される。一方、流出管126は、流入管121〜124と比べて通水断面積が大きくなるように構成される。
【0048】
以上の構成によれば、殺菌装置110は、殺菌処理の対象となる流体を複数の流入路171〜174を通じて処理室170に流入させて、複数の流入口131〜134の近傍において乱流を生じさせる。また、複数の光源111〜118からの紫外光を複数の流入口131〜134の近傍を流れる流体に向けて照射させることにより、乱流状態の流体に強度の高い紫外光が照射されるようにする。紫外光の照射により殺菌処理が施された流体は、処理室170の中央付近に設けられる流出口136および流出路176を通じて殺菌装置110の外へ流出する。
【0049】
本実施の形態によれば、筐体140の複数のコーナ161〜164の近傍において乱流を生じさせるとともに、複数のコーナ161〜164の近傍に配置した複数の光源111〜118から強度の高い紫外光を乱流状態の流体に照射することができる。したがって、上述の実施の形態と同様、処理室170の内部の流体に対する紫外光の照射効率を高めることができる。
【0050】
なお、流路構造120は、流出管126を中心として対称となる形状となることが望ましい。例えば、流路構造120は、流出管126の中心を通るyz平面に対して面対称となる形状を有してもよく、第1コーナ161の近傍と第2コーナ162の近傍とが対応する形状を有し、第3コーナ163の近傍と第4コーナ164の近傍とが対応する形状を有してもよい。同様に、流路構造120は、流出管126の中心を通るxz平面に対して面対称となる形状を有してもよく、第1コーナ161の近傍と第3コーナ163の近傍とが対応する形状を有し、第2コーナ162の近傍と第4コーナ164の近傍とが対応する形状を有してもよい。流路構造120を対称構造とすることで、複数の流入路171〜174を通じて処理室170に流れ込む流体をスムーズに流出路176から流出させることができる。
【0051】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0052】
上述の第1の実施の形態では、処理室50が円柱形状となる場合について示した。さらなる変形例においては、処理室を角柱形状としてもよく、長手方向に対向する両端面の形状が三角形、四角形、六角形、八角形となるようにしてもよい。
【0053】
上述の第1の実施の形態では、複数の光源が処理室の端面に配置される場合について示し、上述の変形例では、複数の光源が側壁に配置される場合について示した。さらなる変形例においては、複数の光源を処理室の端面と側壁の双方に配置することとしてもよい。
【0054】
上述の第2の実施の形態では、処理室170が直方体形状となる場合について示した。さらなる変形例においては、処理室を円柱形状にしてもよいし、上面壁および下面壁が三角形、六角形または八角形となるような角柱形状にしてもよい。また、処理室170に接続される複数の流入路の本数が4本の場合を示したが、処理室に接続される流入路の本数はこれに限られず、3本にしてもよいし、5本以上としてもよい。この場合、複数の流入路が流出路を中心として対称配置となるように流路構造を形成することが望ましい。
【0055】
上述の実施の形態に係る殺菌装置は、流体に紫外光を照射して殺菌処理を施すための装置として説明した。変形例においては、紫外光の照射により流体に含まれる有機物を分解させる浄化処理に本殺菌装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…殺菌装置、12…第1光源、14…第2光源、32…第1流入口、34…第2流入口、36…流出口、38…第1端面壁、40…第2端面壁、50…処理室、52…第1流入路、54…第2流入路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6