(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、上述のようにエリアを表す図形を地図上に重畳表示する場合、当該エリアを表す図形を一定の透過率の半透明の図形として地図上に配置することが一般的である。
しかし、エリアを表す図形を一定の透過率の半透明の図形として地図上に配置すると、地図の縮尺やデザインによっては、地図の利用に必要な地図の視認性を確保できなくなることがある。一方で、エリアを表す図形の透過率を充分に大きくすれば、地図の視認性を常に確保することができるが、このようにした場合には、エリアを表す図形を容易に識別できなくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、地図の視認が大きく妨げられない形態で、エリアを地図上で提示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、地図を表示する地図表示装置に、特定の属性を持つエリアを表すエリア情報を受信する情報受信部と、表示装置と、選択的に複数の異なる縮尺の地図のうちのいずれかの縮尺の地図を、前記表示装置に表示する地図表示部と、前記情報受信部が受信したエリア情報が表すエリアを表すエリア図形を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示するエリア表示部とを備えたものである。ここで、前記エリア表示部は、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図の縮尺に応じて、前記エリア図形の透過率を、当該縮尺が大きいほど大きくなるように設定すると共に、設定した透過率で前記エリア図形を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示する。
【0008】
このような地図表示装置によれば、エリア図形が重なる地図の部分についての視認性が大きく損なわれない範囲においてエリア図形の視認性をできるだけ維持しつつ、エリア図形を重ねて表示することによる視認性劣化の程度が大きい縮尺の大きい地図画像を表示する場合にも、エリア図形が重なる地図画像の部分についての視認性を確保することができる。
【0009】
また、前記課題達成のために、本発明は、地図を表示する地図表示装置に、特定の属性を持つエリアを表すエリア情報を受信する情報受信部と、表示装置と、現在位置を算出する現在位置算出部と、地図を前記表示装置に表示する地図表示部と、前記情報受信部が受信したエリア情報が表すエリアを表すエリア図形を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示するエリア表示部とを備えたものである。ここで、前記エリア表示部は、前記エリア図形の透過率を、当該エリア図形の前記地図上の表示位置と、前記地図上の前記現在位置算出部が算出している現在位置に相当する位置との距離に応じて、当該距離が小さいほど大きくなるように設定すると共に、設定した透過率で前記エリア図形を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示する。
【0010】
また、前記課題達成のために、本発明は、地図を表示する地図表示装置に、特定の属性を持つエリアを表すエリア情報を受信する情報受信部と、表示装置と、現在位置を算出する現在位置算出部と、地図を前記表示装置に表示する地図表示部と、前記情報受信部が受信したエリア情報が表すエリアを表すエリア図形を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示するエリア表示部とを備えたものである。ここで、前記エリア表示部は、前記エリア図形の各部分の透過率を、当該エリア図形の当該部分の前記地図上の表示位置と、前記地図上の前記現在位置算出部が算出している現在位置に相当する位置との距離に応じて、当該距離が小さいほど大きくなるように設定すると共に、前記エリア図形の各部分を当該部分に設定した透過率で、前記エリア図形を前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示する。
【0011】
これらの地図表示装置によれば、エリア図形の視認性をおおよそ維持しつつ、ユーザにとって最も重要であると推定される、地図の現在位置周辺の部分の視認がエリア図形によって大きく妨げられてしまうことを抑止することができる。
【0012】
また、前記課題達成のために、本発明は、地図を表示する地図表示装置に、特定の属性を持つエリアを表すエリア情報を受信する情報受信部と、表示装置と、地図を前記表示装置に表示する地図表示部と、前記情報受信部が受信したエリア情報が表すエリアを表すエリア図形を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示するエリア表示部とを備えたものである。ここで、前記エリア表示部は、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図によって表されている特定のまたは全ての地物の、当該地図の前記表示装置に表示されている範囲内における密度に応じて、前記エリア図形の透過率を、当該密度が大きいほど大きくなるように設定すると共に、設定した透過率で前記エリア図形を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示する。
【0013】
このような地図表示装置によれば、エリア図形が重なる地図の部分についての視認性が大きく損なわれない範囲においてエリア図形の視認性をできるだけ維持しつつ、エリア図形を重ねて表示することによる視認性劣化の程度が大きい地図構成要素の密度が大きい地図画像を表示する場合にも、エリア図形が重なる地図画像の部分についての視認性を確保することができる。
【0014】
また、前記課題達成のために、本発明は、地図を表示する地図表示装置に、特定の属性を持つエリアを表すエリア情報を受信する情報受信部と、表示装置と、選択的に複数の異なるデザインのうちのいずれかのデザインの地図を、前記表示装置に表示する地図表示部と、前記情報受信部が受信したエリア情報が表すエリアを表すエリア図形を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示するエリア表示部とを備えたものである。ここで、前記エリア表示部は、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図のデザインに応じて定まる、各デザイン毎に異なる、前記エリア図形の透過率を設定すると共に、設定した透過率で前記エリア図形を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示する。
【0015】
このような地図表示装置によれば、地図のデザインによらずに、エリア図形に重なる地図の部分の視認性を所要の程度に維持しつつ、エリア図形の視認性をできるだけ向上することができる。
【0016】
ここで、以上の各地図表示装置の構成は組み合わせて適用するようにしてもよい。
すなわち、たとえば、前記エリア表示部において、前記エリア図形の透過率を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図の縮尺と、当該エリア図形の前記地図上の表示位置と、前記地図上の前記現在位置算出部が算出している現在位置に相当する位置との距離とに応じて、当該縮尺が大きいほど大きく、かつ、当該距離が小さいほど大きくなるように設定するようにしてもよい。
【0017】
または、前記エリア表示部において、前記エリア図形の各部分の透過率を、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図の縮尺と、当該エリア図形の当該部分の前記地図上の表示位置と、前記地図上の前記現在位置算出部が算出している現在位置に相当する位置との距離とに応じて、当該縮尺が大きいほど大きく、かつ、当該距離が小さいほど大きくなるように設定するようにしてもよい。
【0018】
または、前記エリア表示部において、前記縮尺や、距離や、縮尺と距離に応じて定まる前記エリア図形の透過率として、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図のデザインに応じて定まる、各デザイン毎に異なる透過率を設定するようにしてもよい。
【0019】
ここで、以上の各地図表示装置は、前記エリア表示部において、前記エリア図形を前記設定された透過率で表示する代わりに、当該エリア図形の前記設定された透過率を、当該エリア図形の模様のパターンによって擬似的に表現した形態で表示するように構成してもよい。
【0020】
また、以上の各地図表示装置には、現在位置を表すマークを、前記地図表示部が前記表示装置に表示している地図上に表示する現在位置表示部を設けるようにしてもよい。
また、以上の各地図表示装置において、前記エリア情報が表す前記特定の属性を持つエリアは、前記特定の気象状態が発生しているエリアや、特定の交通規制が実施されているエリアであってよい。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、地図の視認が大きく妨げられない形態で、エリアを地図上で提示することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1に、本第1実施形態に係る車載システムの構成を示す。
車載システムは自動車に搭載される装置であり、図示するように、車載システムは、ナビゲーション装置1と、操作部2と、表示装置3と、車両状態センサ4と、GPS受信機5と、情報受信装置6とを備えて構成される。
【0024】
ここで、車両状態センサ4は、角加速度センサや地磁気センサなどである方位センサや、車速パルスセンサなどである車速センサなどの、車両状態を検出する各種センサである。
【0025】
また、情報受信装置6は、交通情報や災害情報や気象情報を受信する受信装置である。ここで、情報受信装置6は、これら情報を、FM多重放送や、路側機との狭域通信を介して受信する。
【0026】
次に、ナビゲーション装置1は、地図を表す地図データを記憶したHDDなどの記憶装置11、現在状態算出部12、操作部2や表示装置3を用いたGUIをユーザに提供するGUI制御部13、ルート探索部14、メモリ15、制御部16、ナビゲーション画像生成部17を有する。
【0027】
但し、以上のナビゲーション装置1は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路であって良く、この場合、以上に示したナビゲーション装置1の各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、ナビゲーション装置1に提供されるものであって良い。
【0028】
さて、このような構成において、ナビゲーション装置1の現在状態算出部12は、以下の処理を繰り返し行う。
すなわち、現在状態算出部12は、車両状態センサ4やGPS受信機5の出力から推定される現在位置に対して、記憶装置11から読み出した地図データが示す、前回決定した現在位置の周辺の地図とのマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしい座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ15に設定する。
【0029】
また、制御部16は、ユーザの目的地設定要求に応じて、ユーザから操作部2、GUI制御部13を介して目的地の設定を受け付け、これをメモリ15にセットすると共に、ルート探索部14にルート設定処理の実行を開始させて、メモリ15にセットされた目的地までの誘導ルートを設定させる。
【0030】
また、制御部16は、メモリ15にセットされた現在位置が目的地近傍となったならば、目的地到着と判定し、メモリ15にセットされている目的地と誘導ルートをクリアする処理も行う。
【0031】
また、制御部16は、メモリ15にセットされた現在進行方位、または、北方向が上になるように表示方位に設定し、予め成されたユーザ設定や初期設定に応じて地図表示縮尺を設定する。
【0032】
ナビゲーション画像生成部17は、現在位置を基準とした現在位置周辺の、設定されている表示方位と設定された地図表示縮尺とに応じて定まる所定の大きさの地理的範囲を地図表示範囲として設定する。
【0033】
そして、ナビゲーション画像生成部17は、設定されている地図表示範囲中の地図データに基づき、地図表示範囲中の地図を設定されている地図図表示縮尺で表す地図画像を生成する。ここで、この地図画像の生成において、ナビゲーション画像生成部17は、地図図表示縮尺に応じて、地図画像が表す地図に含める道路や施設やその他の地図構成要素を選定する。すなわち、ナビゲーション画像生成部17は、道路や施設については、地図表示縮尺が小さくなるほど、より主要な道路や、より主要な施設やのみが地図画像に表れるように、地図図表示縮尺に応じて、地図画像が表す地図に含める道路や地物を選定する。より具体的には、たとえば、道路や、道路名や一方通行表示などの道路に付帯する地図構成要素について示せば、ナビゲーション画像生成部17は、地図表示縮尺が小さい場合には高速道路や国道などの主要道路と当該道路に付帯する地図構成要素のみを地図画像に含め、地図表示縮尺が中程度である場合には主要道路と当該道路に付帯する地図構成要素に加えて県道と主要な市町道と当該道路に付帯する地図構成要素を地図画像に含め、地図表示縮尺が大きい場合には細街路を含め地図データに登録されている全ての道路と当該道路に付帯する地図構成要素を地図画像に含める。また、施設について示せば、ナビゲーション画像生成部17は、地図表示縮尺が小さい場合にはランドマークとして周知の施設のみを地図画像に含め、地図表示縮尺が中程度である場合にはランドマークとして周知の施設に加えて駅や公園などの公共施設を地図画像に含め、地図表示縮尺が大きい場合には地図データに登録されている全ての施設を地図画像に含める。
【0034】
また、ナビゲーション画像生成部17は、生成した地図画像上の、メモリ15にセットされている現在位置に対応する位置に現在位置マークを描画しナビゲーション画像を生成する。ただし、ナビゲーション画像生成部17は、メモリ15に目的地や誘導ルートがセットされている場合、現在位置マークに加え、地図画像上で目的地の位置を示す目的地マークや地図画像上で誘導ルートを表す誘導ルート図形も、地図画像上に描画して、ナビゲーション画像を生成する。
【0035】
そして、ナビゲーション画像生成部17は、生成したナビゲーション画像を生成し、GUI制御部13を介して表示装置3に表示する。
図2に、このようにして表示装置3に表示されるナビゲーション画像を示す。
図示するようにナビゲーション画像200は、現在位置周辺の範囲である地図表示範囲内の地図を地図表示縮尺で表す地図画像201上に、現在位置を表す現在位置マーク202や、誘導ルートを表す誘導ルート図形203や、目的地を表す目的地マーク204が表示されたものとなる。
【0036】
以下、このような車載システムにおいて、情報受信装置6で受信した情報に基づいてエリアをナビゲーション画像200上で提示する動作について説明する。
さて、
図1において情報受信装置6が受信する交通情報や災害情報や気象情報にはエリア情報が含まれる。
図3aに示すように、エリア情報は、当該エリア情報の種別を表す情報種別、エリアの地理的範囲を座標で表すエリア座標データ、エリア情報が有効である期限を表す情報有効期限を含んでいる。
【0037】
ここで、エリア情報のエリア座標データが地理的範囲を表すエリアの種別としては、イベントなどによる進入禁止のエリア、大雨や強風などの特定の気象事象が発生もしくは予想されているエリアなどがあり、エリア情報のエリア座標データが地理的範囲を表すエリアの種別は、当該エリア情報の情報種別によって示される。
【0038】
ここで、制御部16は、情報受信装置6が、このようなエリア情報を受信したならば、受信したエリア情報をメモリ15に格納する。また、制御部16は、情報有効期限が過去となったエリア情報を記憶装置11から削除する処理も行う。
【0039】
次に、記憶装置11には、上述した地図データに加え、透過率テーブルが予め記憶されている。
図3bに示すように、透過率テーブルは、縮尺に対して透過率を登録したテーブルであり、各縮尺に対して登録される透過率は、縮尺が大きいほど大きくなるように設定されている。
【0040】
さて、ナビゲーション画像生成部17は、メモリ15に格納されたエリア情報が表すエリアをユーザに提示するためにエリア表示処理を行う。
以下、このエリア表示処理について説明する。
図4に、エリア表示処理の手順を示す。
図示するように、このエリア表示処理では、まず、記憶装置11に記憶されているエリア情報のうちから、現在ナビゲーション画像に含めている地図画像201が表す地図の地理的範囲と少なくとも一部が重なる地理的範囲を表すエリア座標データが登録されているエリア情報を抽出する(ステップ402)。
【0041】
次に、現在のナビゲーション画像200の地図表示縮尺に対応する透過率を、透過率テーブルを参照して求め、エリア図形描画透過率として設定する(ステップ404)。
そして、ステップ402で、抽出した各エリア情報について(ステップ406、410、412)、以下の処理を行う。
すなわち、エリア情報のエリア座標データが示す地理的範囲を地図画像201上で表す図形であるエリア図形を、エリア情報の情報種別に対応する描画色で地図画像201上に描画する。但し、エリア図形は、ステップ404で設定したエリア図形描画透過率が示す透過率で、エリア図形の下の地図画像201を透過して表すように地図画像201上に描画する(ステップ408)。
【0042】
なお、エリア情報の情報種別と描画色との対応は予め定めておく。
そして、抽出した全てのエリア情報についてエリア図形を描画したならば、所定期間の経過をまって(ステップ414)、地図画像201上の全てのエリア図形を消去し(ステップ416)、ステップ402からの処理に戻る。
【0043】
以上、ナビゲーション画像生成部17が行うエリア表示処理について説明した。
このようなエリア表示処理によれば、
図5に示すように、エリア図形500は、現在のナビゲーション画像200の地図画像201が表す地図の縮尺に応じて異なる透過率で表示されることになる。
【0044】
ここで、
図5aは地図の縮尺が1/2500の場合のナビゲーション画像200を、
図5bは地図の縮尺が1/5000の場合のナビゲーション画像200を、
図5cは地図の縮尺が1/10000の場合のナビゲーション画像200を、
図5dは地図の縮尺が1/25000の場合のナビゲーション画像200を表している。
【0045】
また、
図5aのエリア図形500の透過率は70%、
図5bのエリア図形500の透過率は65%、
図5cのエリア図形500の透過率は60%、
図5dのエリア図形500の透過率は50%となっている。
【0046】
このように、本実施形態によれば、エリア図形500は、地図の縮尺が大きくなるほど透過率が大きくなり、より透明な形態で地図画像201上に描画されることとなる。したがって、地図の縮尺が大きくなるほど、エリア図形500に重なる地図画像201の部分はより視認し易くなる。
【0047】
ここで、縮尺の大きい地図は、地図中に表れる道路や施設などの地図構成要素の密度が大きいため、エリア図形500を重ねて表示した地図の部分の視認性の劣化の程度が、縮尺の小さい地図に比べて大きい。一方、本第1実施形態では、表示している地図の縮尺が大きいほど、エリア図形500は大きな透過率で表示される。よって、本第1実施形態によれば、エリア図形500が重なる地図の部分についての視認性が大きく損なわれない範囲においてエリア図形500の視認性をできるだけ維持しつつ、縮尺の大きい地図画像201を表示する場合にも、エリア図形500が重なる地図画像201の部分についての視認性を確保することができる。
【0048】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
本第2実施形態は、第1の実施形態でエリア図形500の透過率を、ナビゲーション画像200に含めて表示している地図画像201が表す地図の縮尺に応じて変化させていたところを、表示している地図画像201が表す地図中の地図構成要素の密度に応じて変化させるようにしたものである。
【0049】
ここで、本第2実施形態は、上述した第1実施形態と、以下の点のみが異なる。
すなわち、本第2実施形態においては、
図3bに示した透過率テーブルに代えて、地図構成要素の密度と透過率との対応を、密度が大きいほど対応する透過率が大きくなるように記述した透過率テーブルを設ける。
【0050】
また、本第2実施形態においては、エリア表示処理のステップ404において、表示している地図画像201が表す地図中の地図構成要素(道路、施設、その他の地物を表す図形要素)の密度を算定し、透過率テーブルから算定した密度に対応する透過率を求め、求めた密度をエリア図形描画透過率に設定する。ここで、地図中の地図構成要素の密度としては、地図画像201が表す地図中に表れている道路の本数や、地図画像201が表す地図中に表れている施設の数や、当該道路の本数と施設の数の和または加重和や、地図画像201が表す地図中に表れている地図構成要素の総数などを用いることができる。
【0051】
ここで、地図中の地図構成要素の密度が大きい地図は、エリア図形500を重ねて表示した地図の部分の視認性の劣化の程度が、密度の小さい地図に比べて大きい。一方、本第2実施形態では、表示している地図の地図構成要素の密度が大きいほど、エリア図形500は大きな透過率で表示される。よって、本第2実施形態によれば、エリア図形500が重なる地図の部分についての視認性が大きく損なわれない範囲においてエリア図形500の視認性をできるだけ維持しつつ、地図構成要素の密度が大きい地図画像201を表示する場合にも、エリア図形500が重なる地図画像201の部分についての視認性を確保することができる。
【0052】
以上、本発明の第2実施形態について説明した。
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。
本第3実施形態は、第1の実施形態でエリア図形500の透過率を、ナビゲーション画像200に含めて表示している地図画像201が表す地図の縮尺に応じて変化させていたところを、エリア図形毎に、エリア図形500と現在位置とのナビゲーション画像200の地図画像201上の距離に応じて変化させるようにしたものである。
【0053】
ここで、本第3実施形態は、上述した第1実施形態と、以下の点のみが異なる。
すなわち、本第3実施形態においては、
図3bに示した透過率テーブルに代えて、
図6に示すように、エリア図形500と現在位置とのナビゲーション画像200の地図画像201上の距離Dと透過率との対応を登録した透過率テーブルを設ける。ここで、透過率テーブルには、距離Dが小さくなるほど、対応する透過率が大きくなるように、距離Dと透過率との対応を登録する。なお、図中のLは、地図画像201の縦の長さを表している。
【0054】
そして、本第3実施形態では、ナビゲーション画像生成部17は、
図4に示したエリア表示処理に代えて
図7に示すエリア表示処理を行う。
図示するように、本第3実施形態において、ナビゲーション画像生成部17は、エリア表示処理において、まず、記憶装置11に記憶されているエリア情報のうちから、現在ナビゲーション画像に含めている地図画像201が表す地図の地理的範囲と少なくとも一部が重なる地理的範囲を表すエリア座標データとが登録されているエリア情報を抽出する(ステップ702)。
【0055】
そして、ステップ702で、抽出した各エリア情報について(ステップ704、712、714)、以下の処理を行う。
すなわち、まず、現在状態算出部12が算出している現在位置から、エリア情報のエリア座標データが表すエリアの地理的範囲までの最短距離を算定し、算定した最短距離に現在の地図表示縮尺を乗じた距離を、エリア図形500と現在位置とのナビゲーション画像200の地図画像201上の距離Dに設定する(ステップ706)。
【0056】
次に、算定した距離Dに対応する透過率を、透過率テーブルを参照して求め、エリア図形描画透過率として設定する(ステップ708)。
そして、エリア情報のエリア座標データが示す地理的範囲を地図画像201上で表す図形であるエリア図形500を、エリア情報の情報種別に対応する描画色で地図画像201上に描画する。但し、エリア図形500は、ステップ708で設定したエリア図形描画透過率が示す透過率で、エリア図形500の下の地図画像201を透過して表すように地図画像201上に描画する(ステップ710)。
【0057】
なお、エリア情報の情報種別と描画色との対応は予め定めておく。
そして、抽出した全てのエリア情報についてエリア図形500を描画したならば、所定期間の経過をまって(ステップ716)、地図画像201上の全てのエリア図形500を消去し(ステップ718)、ステップ702からの処理に戻る。
【0058】
以上、本第3実施形態において、ナビゲーション画像生成部17が行うエリア表示処理について説明した。
このような第3実施形態によれば、
図8aに示すように、エリア図形500は、現在位置とのナビゲーション画像200の地図画像201上での距離Dに応じて異なる透過率で表示されることになる。
【0059】
ここで、
図8aの現在位置に比較的近いエリア図形500aの透過率は70%、現在位置から比較的遠いエリア図形500bの透過率は50%となっている。
このように、本実施形態によれば、エリア図形500は、現在位置に近い位置に表示されるものほど透過率が大きくなり、より透明な形態で地図画像201上に描画されることとなる。したがって、エリア図形500の視認性をおおよそ維持しつつ、自動車を運転する上で最も重要となる地図画像201の現在位置周辺の部分の視認がエリア図形500によって妨げられてしまうことを抑止することができる。
【0060】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
ここで、以上の第3実施形態では、エリア図形500を単位として描画に用いる透過率を設定したが、これは、エリア図形500の各画素毎に描画に用いる透過率を設定するようにしてもよい。すなわち、この場合には、エリア図形500の各画素を、当該画素の描画位置と、地図画像201上の現在位置との距離に応じた透過率で描画するようにする。ここで、画素の描画位置と、地図画像201上の現在位置との距離に応じた透過率は、当該距離が小さいほど透過率が大きくなるように設定する。
【0061】
このようにしても、
図8bに示すように、エリア図形500は、現在位置に近い部分ほど透過率が大きくなり、より透明な形態で地図画像201上に描画されることとなるので、エリア図形500の視認性をおおよそ維持しつつ、自動車を運転する上で最も重要となる地図画像201の現在位置周辺の部分の視認がエリア図形500によって妨げられてしまうことを抑止することができる。
【0062】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本第4実施形態は、第3の実施形態でエリア図形500の透過率を、エリア図形500と現在位置とのナビゲーション画像200の地図画像201上の距離とに応じて変化させていたところを、エリア図形毎に、地図の縮尺と、エリア図形500と現在位置とのナビゲーション画像200の地図画像201上の距離との双方に応じて変化させるようにしたものである。
【0063】
ここで、本第4実施形態は、上述した第3実施形態と、以下の点のみが異なる。
すなわち、本第4実施形態においては、
図6に示した透過率テーブルに代えて、
図9aに示す透過率テーブルと、
図9bに示す係数テーブルとを設けたものである。
ここで、
図9aに示す透過率テーブルは
図3bに示した透過率テーブルと同様に縮尺に対して透過率を登録したテーブルであり、各縮尺に対して登録される透過率は、縮尺が大きいほど大きくなるように設定されている。また、
図9bに示した係数テーブルは、エリア図形500と現在位置とのナビゲーション画像200の地図画像201上の距離Dと係数との対応を登録した透過率テーブルを設ける。ここで、係数テーブルには、距離Dが小さくなるほど、対応する係数が大きくなるように、距離Dと係数との対応を登録する。
【0064】
また、本第4実施形態においては、
図7のエリア表示処理のステップ708において、現在のナビゲーション画像200の地図表示縮尺に対応する透過率を、透過率テーブルを参照して求めると共に、算定した距離Dに対応する係数を係数テーブルを参照して求め、地図表示縮尺に対応する透過率に求めた係数を乗じた透過率をエリア図形描画透過率として設定する。
【0065】
このような第4実施形態によれば、エリア図形500は、ナビゲーション画像200の地図画像201の縮尺と、現在位置とのナビゲーション画像200の地図画像201上での距離Dに応じて異なる透過率で表示されることになる。
【0066】
すなわち、
図9c、dに示すように、エリア図形500の透過率は、地図画像201の縮尺が大きいほど大きくなると共に、エリア図形500と現在位置との地図画像201上での距離Dが小さいほど大きくなる。
【0067】
なお、
図9cは、地図の縮尺が1/2500の場合のナビゲーション画像200を、
図9dは地図の縮尺が1/25000の場合のナビゲーション画像200を表している。また、
図9cの1/2500の地図画像201中のエリア図形500cの透過率は70%、エリア図形500dの透過率は84%となっており、
図9dの1/25000の地図画像201中のエリア図形500eの透過率は55%、エリア図形500fの透過率は66%となっている。
【0068】
以上のように、本第4実施形態によれば、エリア図形500の地図画像201上の位置が同じであれば、地図画像201の縮尺が大きいほどエリア図形500の透過率は大きくなり、同じ地図画像201上のエリア図形500であれば、現在位置との地図画像201上での距離Dが小さいほどエリア図形500の透過率は大きくなる。
【0069】
以上、本発明の第4の実施形態について説明した。
ここで、以上の各実施形態は、ナビゲーション画像生成部17が、ユーザの設定や、昼夜の時間帯などに応じてナビゲーション画像200のデザインや配色を変更する機能を備えているものである場合には、さらに、ナビゲーション画像200のデザインや配色に応じて、以上のように設定したエリア図形描画透過率を補正するようにしてもよい。
【0070】
すなわち、たとえば、表示するナビゲーション画像200のデザインを、
図10aに示すコントラストが強い配色のデザインと、
図10bに示すコントラストが弱い配色のデザインとの間で、ユーザの設定や、昼夜の時間帯などに応じて切り替える場合には、各実施形態において上述のようにして設定されたエリア図形描画透過率を、
図10aに示すコントラストが強い配色のデザインのナビゲーション画像200を表示しているときには、
図10bに示すコントラストが弱い配色のデザインのナビゲーション画像200を表示しているときよりも小さくなるように補正する。より具体的には、たとえば、
図10aに示すコントラストが強い配色のデザインのナビゲーション画像200を表示しているときには、各実施形態において上述のようにして設定されたエリア図形描画透過率の0.9倍の透過率をエリア図形500の描画に用いる透過率とし、
図10bに示すコントラストが弱い配色のデザインのナビゲーション画像200を表示しているときには、各実施形態において上述のようにして設定されたエリア図形描画透過率の1.1倍の透過率をエリア図形500の描画に用いる透過率とする。
【0071】
このようにすることにより、ナビゲーション画像200のデザインによらずに、エリア図形500に重なる地図画像201の部分の視認性を所要の程度に維持しつつ、エリア図形500の視認性をできるだけ向上することができるようになる。
【0072】
また、以上の各実施形態においては、エリア図形500の各透過率における半透明性の表現を、エリア図形500のパターン(模様)によって擬似的に行うようにしてもよい。
図11a1は比較的大きい透過率を擬似的に表現するためのパターンであり、
図11b1は比較的小さい透過率を擬似的に表現するためのパターンである。ここで、図示するように、これらのパターンは、図形(図では線)を間隔を空けて繰り返し配置したパターンであり、図形が配置されていない部分には何も描画されない。また、より大きい透過率を擬似的に表現するためのパターンは、パターンを構成する図形の密度が、より小さいパターンとなっている。
【0073】
これらのようなパターンを用いても、
図11a2に
図11a1のパターンをエリア図形500のパターンとして用いた場合を、
図11b2に
図11b1のパターンを用いたエリア図形500のパターン場合を用いた場合を示したように、エリア図形500の各透過率における半透明性を擬似的に表現することができる。