(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜
図5を参照しながら本発明の実施形態に係る加湿装置1の一例を説明する。
【0017】
≪加湿装置≫
図1に示す加湿装置1は、室内の空気を加湿するための空気調和装置である。
図2は、加湿装置1の構成を模式的に示す図であり、
図2における各構成品の前後左右の配置位置は実際とは相違している。
図2に示すように、加湿装置1は、水を貯留する貯水槽3と、貯水槽3内の貯水を微細な水滴にする水破砕手段4と、その微細な水滴を装置本体2の吹出口2aから外部へ放出させる送風機Bと、を有しているものであればよく、加湿装置1の型式、構造、加湿方式、装置本体2の形状は特に限定されない。以下、その一例として貯水槽3内の貯水を破砕してナノミスト及び負イオンを発生させる水破砕手段4を備えた加湿装置1を例に挙げて説明する。
【0018】
加湿装置1は、装置本体2と、水を貯留する給水タンクT1と、給水タンクT1から供給された水を貯留する貯水槽3と、貯水槽3内の水から微細な水滴を発生させる水破砕手段4と、室内の空気を吸引して水破砕手段4に送る送風機Bと、水破砕手段4で生成された微細な水滴を気液分離する気液分離部5と、貯水槽3内の残水を貯留するための排水タンクT2と、排水タンクT2を取り外し自在に載置した引出トレー6と、引出トレー6の移動をガイドするスライドレール7と、を主に備えている。
【0019】
加湿装置1は、風邪、インフルエンザ対策、静電防止をする加湿器としての機能と、気中の匂いを消臭する消臭機能と、空気中のカビ等を抑制する除菌機能と、空気中に含まれる花粉、黄砂等の塵挨を除去する空気清浄機の機能と、負イオンを発生する負イオン発生機の機能と、水が無くなった給水タンクT1の排水、除菌、乾燥を行うクリーニング機能と、を有している。加湿装置1は、装置本体2の下面にロック機構付きのキャスター17を有する移動可能な床置式の装置である。加湿装置1は、例えば、水を加湿させる1時間あたり加湿量が1800mL/hの加湿能力を備え、適応床面積が82m
2で、最大加湿量で連続して8時間使用可能で、最長で16時間運転可能である。
【0020】
<装置本体>
図1に示すように、装置本体2は、骨格を形成するフレーム部材20と、前面側に設置された前面下パネル11、前面中パネル12、及び前面上パネル13と、上面に設置された上面パネル14と、左右側面に設置された側面パネル15と、後面に設置された後面パネル16と、を備えて成る。装置本体2は、上下方向に長い直方体に形成されている。
【0021】
図2に示すように、装置本体2には、装置本体2の下端部に水平に設けられた底板21と、底板21に載置された給水タンクT1の上方に水平に設けられた中ベース22と、水破砕手段4が載設される水破砕手段載設ベース23と、水破砕手段載設ベース23から下方向に延設された中仕切板24と、ミストモータ43が載設されたモータ載設ベース25と、操作部18の下方に配置された上ベース26と、が設けられている。底板21、中ベース22、水破砕手段載設ベース23、中仕切板24、モータ載設ベース25、及び、上ベース26は、装置本体2内に横設あるいは縦設された金属製板部材から成る。装置本体2内は、これらの部材によって、収容室1aと、送風機収容室1bと、水破砕手段空気供給路1cと、水破砕手段収容部1dと、ナノミスト負イオン送出流路1eと、上部空間1fと、に区画されている。
【0022】
図1に示すように、装置本体2のフレーム部材20は、例えば、左右下端部に前後方向に延設されて、前後左右にキャスター17が設けられたキャスターベース20aと、左右のキャスターベース20aの前後から上方向に延設された4本の支柱(図示省略)と、各支柱間に架設された複数の梁部材(図示省略)と、を備えて構成されている。
【0023】
前面下パネル11は、例えば、収容室1aの前側に前面が僅かに斜め上方向を向くように傾斜して設置されたパネル材であり、装置本体2の前面側の下部に配置されている。前面下パネル11には、引出トレー6の引出扉61が配置される引出トレー設置孔11aと、給水タンクT1への給水時に開放される給水扉11bが開閉自在に設けられた給水扉設置孔11cと、給水タンクT1内の水量を視認するための水量視認窓11dと、が設けられている。
前面下パネル11内の収容室1aには、給水タンクT1と、排水タンクT2とが独立した状態に配置されている。
【0024】
引出トレー設置孔11aは、例えば、前面下パネル11の右側に形成された上下方向に長い矩形の孔から成る。
給水扉11bは、5〜10L程度の大きさのポリジョッキ(図示省略)を使用して給水タンクT1に水を供給する際に開閉されるヒンジタイプの扉である。給水扉11bは、例えば、略正方形の金属板から成り、左端部が、ヒンジ部材(図示省略)等を介して給水扉設置孔11cの縁に軸支され、右端部が、給水扉設置孔11cの縁に係止及び離脱自在に装着されている。
給水扉設置孔11cは、給水扉11bが合致するように形成された略正方形の孔から成る。給水扉設置孔11cの近傍には、給水タンクT1の給水口T1a(
図2参照)が配置されている。
水量視認窓11dは、例えば、透明なアクリル板等から成り、前面下パネル11において、給水タンクT1が内設される位置の前側に設置されている。
【0025】
図1に示すように、前面中パネル12は、装置本体2の前面中央部に設置される金属製板部材から成り、送風機収容室1bの(
図2参照)の前面側を覆うように設置されている。前面中パネル12の上部には、室内の空気を取り入れるための吸込口12aが多数形成されている。
【0026】
前面上パネル13は、装置本体2の前面上部に設置される金属製板部材から成り、貯水槽3、水破砕手段4、及び、気液分離部5の前面側を覆うように設置されている(
図2参照)。前面上パネル13の上部には、加湿装置1を操作するための複数の制御スイッチ等が設けられた操作部18が取り付けられている。
【0027】
上面パネル14は、装置本体2の上面に設置される金属製板部材から成り、気液分離部5の上部に水平に配置されている(
図2参照)。上面パネル14には、送風機Bによって送られて来た空気を放出する吹出口2aと、吹出口2aを開閉するルーバー19と、が設けられている。
【0028】
図1に示すように、吹出口2aは、上面パネル14の前端部寄りの位置に形成された左右方向に長い矩形の孔から成る。
ルーバー19は、吹出口2aの後端部側にヒンジ部を介して開閉自在に設けられた左右方向に長い矩形の部材から成る。ルーバー19は、ルーバー駆動モータ19a(
図2参照)によってヒンジ部を中心として上下方向に回動して、吹出口2aを自動開閉するように構成されている。また、ルーバー19には、ナノミストと負イオンを含んだ風を左右方向に吹き出す方向を指向させる風向板19bが設けられている。
【0029】
側面パネル15は、装置本体2の左右側面全体にそれぞれ設置された金属製板部材から成る。後面パネル16は、装置本体2の後面全体に設置された金属製板部材から成る。
図1及び
図2に示すように、底板21は、装置本体2の水平な下面を形成する金属製板部材から成り、左右一対のキャスターベース20a上に架設されている。底板21上には、給水タンクT1と、トレー収容部材28と、トレー収容部材28に引出トレー6を介在して載置された排水タンクT2と、が配置されている。
【0030】
<給水タンク>
図2に示すように、給水タンクT1は、貯水槽3に供給する水(水道水)を貯留するためのタンクである。給水タンクT1は、ポリタンク等の樹脂製の容器から成り、装置本体2内の底板21上の左側寄りの位置に設置されている。給水タンクT1の上面には、ポリジョッキ等で給水する給水口T1aと、貯水槽3に送る給水路Paの吸水開口部、貯水槽3の所定位置以上に供給された水が戻されるオーバーフロー路Pbの排水開口部、及び、ドレンパン27に設けられたドレンパン排水ホース27aの排水開口部が配置された給排水口T1bと、が形成されている。排水タンクT2の容量は、例えば、20L程度である。
【0031】
<排水タンク>
排水タンクT2は、貯水槽3内の残水の排水を受けるポリタンク等の樹脂製の容器から成り、引出トレー6の上に取り外し自在に載置されている。排水タンクT2の上面には、貯水槽3に接続された排水路Pcの排水開口部が配置される排水供給口T2aと、排水タンクT2内の排水の水位を検出する水位検知センサS1が設置されるセンサ設置口T2bと、が形成されている。排水タンクT2の容量は、例えば、6L程度である。
【0032】
<トレー収容部材>
図3に示すように、トレー収容部材28は、トレー本体63及び連結部材62を摺動自在に収容する収容部材であり、上側及び前側が開放された略箱状の金属製部材から成る。トレー収容部材28は、平面視して略コ字状に折曲形成された周壁部28aと、周壁部28a内の下面に接合された底板部28bと、底板部28b上の後部寄りの中央部に接合された支持板部28cと、周壁部28aの後側上端部の鍔部28dに取り付けられたマグネットキャッチ9と、を有して構成されている。
【0033】
周壁部28aは、底板部28bの左右及び後側から立設された縦断面視して溝形鋼形状に形成された金属製部材から成り、上端部及び下端部に鍔部28d,28e,28fを有している。周壁部28aの下端部には、下側の鍔部28fにねじ止めするなどして底板21に固定されている。周壁部28aの左右内壁には、スライドレール7のアウタレール部材71がそれぞれ取り付けられている。
【0034】
底板部28bは、トレー本体63が収容できるようにトレー本体63よりも左右の幅、及び、前後方向の長さが長く形成された矩形の金属製板部材から成る。底板部28bは、左右端部及び後端部が下側の鍔部28fに接合されている。
鍔部28d,28e,28fは、周壁部28aの上端部及び下端部を外方向に折曲形成された平面視して略帯状の補強部位である。
【0035】
支持板部28cは、装置本体2内の収容室1a内に押し込んだ状態の引出トレー6の底面を支持すると共に、引出トレー6の下面に設けられた弾性キャッチ機構8の突出部材82が当接される部位である。支持板部28cは、側面視してコ字状に折曲形成された当接部28gと、当接部28gの前後下端部を前後方向に水平に折り曲げて形成された一対の取付片28hと、を一体形成して成る。
【0036】
当接部28gは、平面視して矩形に形成された水平な板部であり、引出トレー6をトレー収容部材28上の奥側に押し込んだ際に、突出部材82が当接してクリック感を付与する高さの位置に設けられている。当接部28gの後端の角部は、収容室1a内に押し込まれた引出トレー6の突出部材82の下端部前側の傾斜面が圧接して、押込状態の引出トレー6を弾性的に保持する役目を果す。
一対の取付片28hは、底板部28bにスポット溶接等によって固定されている。
【0037】
<マグネットキャッチ>
図3に示すように、マグネットキャッチ9は、引出トレー6を押し込んだ状態で、引出トレー6の磁性体部位を吸引して引出トレー6を保持するマグネット支持機構である。
図4に示すように、マグネットキャッチ9は、例えば、マグネット92が装着されたマグネット支持部材91と、マグネット支持部材91内の前側に係合された略平板状のマグネット92と、マグネット92を押圧するばね部材93と、マグネット支持部材91を鍔部28d(
図3参照)にねじ止めする締結部材94と、を備えて構成されている。マグネットキャッチ9は、引出トレー6を後方側に吸引するように引出トレー6を摺動自在に支持するトレー収容部材28の後端部の鍔部28dの中央部に設置されている。なお、マグネットキャッチ9は、引出トレー6を磁力で吸引して支持するものであれば、構成、形状等は特に限定されず、市販のものでもよい。
【0038】
<弾性キャッチ機構>
図5(a)、(b)に示すように、弾性キャッチ機構8は、引出トレー6をトレー収容部材28に弾性支持させるための機構であって、コイルキャッチともいわれている。弾性キャッチ機構8は、トレー本体63の収容凹部63aに固定された機構本体81と、引出トレー6の移動を規制する出没自在に突出する突出部材82と、突出部材82を突出方向に付勢するばね部材83と、引出トレー6の移動開始後に突出部材82を没入方向に押圧して引出トレー6に移動負荷を与える支持板部28cと、この支持板部28cに隣接して配設され突出部材82を落とし込む凹部86と、トレー本体63の挿設孔63cの下側開口端に設けられた当金部材84と、機構本体81及び当金部材84をトレー本体63に固定するための締結部材85と、を備えて構成されている。
【0039】
機構本体81は、下側が開放された凹部81aと、凹部81aの開口端の左右縁から左右方向にそれぞれ延出された固定片81bと、を一体形成して成る。凹部81aは、ばね部材83及び突出部材82の係止部82aが収容される窪みである。固定片81bは、平面視して矩形の突出片から成り、締結部材85によってトレー本体63の収容凹部63a上の後側寄りの位置に固定されている(
図3参照)。
【0040】
突出部材82は、引出トレー6の下面に突出した状態に配置されて、ばね部材83によって引出トレー6の下方向に付勢され、支持板部28cに当接することで引出トレー6を弾性支持する部材である。突出部材82は、節度ピースや、節度部材ともいわれている部材である。突出部材82は、機構本体81の凹部81a内に上下動可能に収容された係止部82aと、係止部82aから下方向に突出形成されて引出トレー6を支持する突出部82bと、を一体形成した樹脂製の部材から成る。
係止部82aは、平面視して矩形に形成された板状部位から成る。
突出部82bは、縦断面視して略半楕円形状(略山形状)に形成されている。
【0041】
ばね部材83は、突出部材82をばね力で支持板部28cに押し付けて支持する方向(下方向)に付勢する部材であり、例えば、圧縮コイルばねから成る。
当金部材84は、矩形の平板部材から成り、挿設孔63cに連通する貫通孔を中央部に有している。
締結部材85は、機構本体81と当金部材84とをトレー本体63に固定することが可能な固定具で有ればよく、例えば、ねじ部材から成る。
凹部86は、引出トレー6を収容室1a内の奥端部に押し込んだ際に、弾性キャッチ機構8の突出部材82が支持板部28cを乗り越えて落とし込まれる空間である。凹部86は、支持板部28cの後側側面と周壁部28aとによって空間である。
【0042】
なお、引出トレー6を収容室1a内の奥端部に押し込んだときの突出部材82の一例として、
図5(b)等では、突出部材82が、支持板部28cの後側角部28iに当接している状態を示しているが、突出部材82の下端部が凹部86内に落ち込んだ状態に配置されていれば、支持板部28cとの間に隙間がある非接触状態であってもよい。
【0043】
<引出トレー>
図2に示すように、引出トレー6は、載置した排水タンクT2を収容室1a内から引き出したり、押し込んだりして移動させるための金属製のタンク収容部材である。
図3に示すように、引出トレー6は、側面視して僅かに前下がりに斜めに配置された略垂直の引出扉61と、引出扉61の後側に設けられた連結部材62と、連結部材62から後方向に延設されたトレー本体63と、トレー本体63の左右側面に延設されたスライドレール7と、トレー本体63の下面に設けられた弾性キャッチ機構8と、を備えて構成されている。トレー本体63は、装置本体2内のトレー収容部材28内に上側に、スライドレール7を介在して摺動自在に載設されている。
【0044】
引出扉61は、斜めに配置された前面下パネル11(
図1参照)に合わせて、引出トレー6の前端に斜めに設けられた略板状の部材である。引出トレー設置孔11aの上部には、引出トレー6を引き出す際に手を掛けるための取っ手61aが設けられている。
【0045】
連結部材62は、引出扉61とトレー本体63との間に介在されて両者に接合された角筒状の部材である。連結部材62は、引出扉61の傾斜に合わせて側面視して略直角三角形に形成されている。なお、連結部材62は、引出扉61またはトレー本体63に一体形成しても構わない。
【0046】
トレー本体63は、引出扉61及び連結部材62によって上面開放の収容凹部63aを形成する箱状部材である。トレー本体63には、前記収容凹部63aと、収容凹部63aの外周を形成する周壁部63bと、弾性キャッチ機構8を設置するための挿設孔63cと、トレー本体63をトレー収容部材28の左右の鍔部28e上に載置するための段差部63d(
図5(a)参照)と、を有している。
【0047】
収容凹部63aは、排水タンクT2(
図2参照)が載置される部位であり、排水タンクT2を収容可能な大きさに形成されている。
周壁部63bは、収容凹部63aの周囲に立設された平面視してコ字状の部位である。
図5(b)に示すように、挿設孔63cは、突出部材82が上下動自在に挿入される矩形の貫通孔である。
図5(a)に示すように、段差部63dは、トレー本体63の左右側面に長さ方向に沿って延設された平らな面から成る。
【0048】
<スライドレール>
図3に示すように、スライドレール7は、引出トレー6を引き出したり、押し込んだりするときのガイドを構成するスライド機構である。スライドレール7は、例えば、トレー収容部材28の左右の周壁部28aに設けられたアウタレール部材71と、アウタレール部材71内に摺動自在に係合されて引出トレー6の左右の周壁部63bに設けられたインナスライダ72と、アウタレール部材71とインナスライダ72の間に介在されたボールリテーナ73及びボール74と、を備えている。なお、スライドレール7は、その構造は特に限定されず、市販されているものであっても構わない。
【0049】
アウタレール部材71は、縦断面視して縦断面視して略C字状に形成されて前後方向に延設された左右一対の部材から成る。
インナスライダ72は、左右のアウタレール部材71内にそれぞれ前後方向に摺動自在に係合されて、引出トレー6を摺動自在に支持する縦断面視して略C字状の部材である。
ボールリテーナ73は、ボール74を支持させるための部材であり、ボールリテーナ73の後部と周壁部63bとの間に介在されている。
ボール74は、アウタレール部材71に対してインナスライダ72をスムーズに摺動させるための鋼球である。
【0050】
<中ベース>
図2に示すように、中ベース22は、ドレンパン27と、送風機Bとが載設される金属製板部材から成る。中ベース22は、装置本体2内の中央部の下寄りの位置に水平に設置されて、装置本体2内を給水タンクT1及び排水タンクT2が収容される収容室1aと、送風機収容室1b及び水破砕手段空気供給路1cと、に区画している。
【0051】
ドレンパン27は、上方から落下してきた水滴を受け止めるための略皿状の部材である。ドレンパン27の下面には、このドレンパン27に溜まった水を給水タンクT1内に送るためのドレンパン排水ホース27aが接続されている。
【0052】
<送風機>
送風機Bは、吸込口12aからフィルタFを介して室内の空気を吸引して水破砕手段4に送って、水破砕手段4で発生させたナノミスト及び負イオンを含んだ空気を装置本体2の吹出口2aから外部へ放出させるように空気を送るための送風モータ装置である。送風機Bは、型式及び形状等は特に限定されない。送風機Bは、例えば、略円筒状の案内筒を有するシロッコファンから成る。
【0053】
送風機収容室1bには、空気清浄用のフィルタFと、前記送風機Bと、が配置されている。送風機Bの上方には、送風機収容室1bと、水破砕手段収容部1dと、を区画する水破砕手段載設ベース23が配置されている。送風機Bの側方の上側寄りには、中仕切板24が配置されており、この中仕切板24と、装置本体2の外側パネルと、上ベース26と、貯水槽3の外周面と、で水破砕手段空気供給路1cを形成する中仕切板24が配置されている。水破砕手段載設ベース23は、前面中パネル12の上部から装置本体2内に水平に設けられている。中仕切板24は、水破砕手段載設ベース23の装置本体2内側の端部に、下方向に垂下した状態に連設されている。
【0054】
水破砕手段空気供給路1cには、給水タンクT1内の水を貯水槽3に供給する給水路Paと、貯水槽3のオーバーフローした水を給水タンクT1に戻すオーバーフロー路Pbと、貯水槽3内の水を排水タンクT2に送る排水路Pcと、が配置されている。
給水路Paには、給水タンクT1内の水を吸い上げるポンプPと、その水の流量を計測するフローセンサCと、が設けられている。
排水路Pcには、この排水路Pcを開閉するための二方弁から成る排水弁Vが設けられている。
【0055】
図2に示すように、排水弁Vは、常時閉弁状態に設定されて貯水槽3内の残水の排水を阻止するための弁であり、運転終了時等に開弁されて、貯水槽3内の残水が排水タンクT2側に流れるようになっている。
【0056】
<水破砕手段>
水破砕手段4は、貯水槽3内の貯水を破砕してナノミスト及び負イオンを発生させる装置から成る。水破砕手段4は、水を貯留する貯水槽3と、貯水槽3の開口部を閉塞するモータ載設ベース25と、貯水槽3内に配置された温水ヒータHと、運転時に先端が貯水槽3内の水に浸した状態になるように配置された回転体41と、回転体41の上部周辺に配置された多孔体42と、回転体41を回転駆動させるミストモータ43と、モータ軸44と、モータ載設ベース25から垂下した仕切45と、仕切45と貯水槽3の内壁等によって形成されたナノミスト負イオン送出流路1eと、サーモスタットS2と、水温センサS3と、安全サーミスタS4と、水位検知センサS5,S6と、を備えて構成されている。
【0057】
貯水槽3は、ポンプPによって給水タンクT1内から給水路Paを介して供給された水を、予め設定した所定水位だけ貯留するタンクである。貯水槽3内は、貯水槽3の開口部を閉塞したモータ載設ベース25から貯水槽3内の水面の上方まで垂下した仕切45によって、空気を加湿、消臭、除菌、空気清浄及び温風にする処理が行われる処理室3bと、処理室3b内の加湿された空気が送り出されるナノミスト負イオン送出流路1eと、の二つに区画されている。
【0058】
モータ載設ベース25は、貯水槽3の開口部上にミストモータ43を設置するための板部材である。モータ載設ベース25には、載設したミストモータ43のモータ軸44が回転自在に挿入される軸挿入孔と、送風機Bから送られて来た空気が流入する空気流入口3aと、が形成されている。
【0059】
温水ヒータHは、吹出口2aから吐出される空気を室内温度よりも少し高い温度の温風にするために、貯水槽3内の水を加熱して予め設定した温水に保温すること等を行う加熱装置である。温水ヒータHは、貯水槽3内に貯水された水の温度を検出する水温センサS3の検知温度によって、温水ヒータHがON/OFFされることで、貯水槽3の水を所定温度に維持している。
【0060】
図2に示すように、回転体41は、上方に向かって径が徐々に拡大するように形成された逆円錐形状の筒状の部材であり、上部全周に不図示の飛散口が多数形成されている。回転体41は、上面中央部から上方向に延設されたモータ軸44が設けられ、ミストモータ43によって回転駆動される。回転中の回転体41は、遠心力で貯水槽3の水を回転体41の外壁及び内壁を上方向に伝わって移動するように吸い上げて、回転体41の上部外壁から水を周囲に飛散させると共に、内壁の上部に押し上げられた水を飛散口(図示省略)から周囲に飛散させるように構成されている。
【0061】
多孔体42は、回転体41の上部外周に所定間隔を介して取り付けられて、回転体41と一体に回転する円筒状の部材であり、多数の孔から成る多孔部42aが形成されている。多孔体42は、例えば、全周壁に多数のスリットを有する円筒体、円筒状のパンチングメタル、あるいは、円筒状の金網等から成る。多孔体42は、ミストモータ43によって回転されたとき、回転体41の遠心力で外周方向に飛散した水が衝突するように設けられた衝突体でもある。多孔体42は、内壁面に衝突した水を破砕させたり、多孔部42aを通過させて外周面から水及び空気を飛散させたりすることによって、水の粒子を微細化してナノミストを生成すると共に、その水の粒子を10〜500nmの分子レベルまで微細化することによるレナード効果で負イオンを発生させるものである。
【0062】
ミストモータ43は、回転体41及び多孔体42を回転駆動させるための動力源である。ミストモータ43のモータ軸44は、回転体41及び多孔体42に連結されている。
仕切45は、貯水槽3内の水面の上方に回転体41及び多孔体42が配置されて、それらによってナノミストが生成される処理室3bと、そのナノミストが送り出されるナノミスト負イオン送出流路1eと、に二分する仕切板部材である。
【0063】
図2に示すように、ナノミスト負イオン送出流路1eは、処理室3b内で生成されたナノミストと負イオンとを、送風機Bの駆動で気液分離部5を介して吹出口2aから放出させるための流通路である。ナノミスト負イオン送出流路1eは、貯水槽3の内壁と、仕切45と、によって形成されて、上方の風路50を介して吹出口2aに連通している。
【0064】
サーモスタットS2は、温水ヒータHによる空焚きを防止するために電源を遮断するものであり、貯水槽3の下部に設けられている。
水温センサS3は、前記したように貯水槽3内の水温を検出して温水ヒータHを制御するセンサである。
安全サーミスタS4は、処理室3b内の温度が予め設定した温度を超えた場合に、音を発生させて警報すると共に、送風機Bを駆動させて送風によって貯水槽3内を冷却させるためのセンサである。
下側の水位検知センサS5は、貯水槽3内の水位を検出して、温水ヒータHが水から露出する前に温水ヒータHをOFFにするためのフロートセンサである。
上側の水位検知センサS6は、貯水槽3内の水位を検出して、ポンプPの駆動を制御するためのフロートセンサである。
上ベース26は、送風機Bからの風を水破砕手段4に送るための水破砕手段空気供給路1cと、操作部18等が設置される装置本体2の上部空間1fと、を区画する部材である。
【0065】
<気液分離部>
気液分離部5は、水破砕手段4で生成された微細な水滴中の比較的大きな水滴を除去するための部位である。気液分離部5は、ナノミスト負イオン送出流路1eの上部に連結された風路50と、風路50の内壁に突設されて風路50内の流路を蛇行するように形成するための水滴衝突板51と、送風サーミスタS7と、を備えて構成されている。
【0066】
風路50は、下端部がナノミスト負イオン送出流路1eに連結され、上端部がルーバー19に接続されて、上下方向に延設されている。
水滴衝突板51は、空気中の過大な水滴が衝突することによって、その水滴を貯水槽3内に落下させて戻すための板状部材であり、風路50の内壁に基端部が接合されている。
送風サーミスタS7は、設定した加湿レベルになるように温水ヒータHをON/OFFさせるセンサであり、気液分離部5に設けられている。
【0067】
[作用]
次に、各図を参照しながら本発明の実施形態に係る加湿装置の作用を説明する。
まず、
図1に示す加湿装置1を運転させる前の準備工程として、給水扉11bを開放し、供給する水量を水量視認窓11dで確認しながら、ポリジョッキ(図示省略)を使用して前面下パネル11の内側にある給水タンクT1に水を供給する給水工程を行う。
【0068】
次に、操作部18の運転スイッチをONする。すると、
図2に示すポンプPが作動して、給水タンクT1内の水を給水路Paを介して貯水槽3内に送り、所定の水量まで供給されると、下側の水位検知センサS5が所定水量の水位を検出して、ポンプPを停止させると共に、温水ヒータHをONさせる。そして、貯水槽3内の水温が所定温度に達すると、水温センサS3がそれを検知し、制御回路を介して温水ヒータHの通電をOFFすると共に、送風機B、ミストモータ43、及び、ルーバー駆動モータ19aを駆動させる。
【0069】
送風機Bは、室内の空気を吸込口12a、フィルタFを介して吸引して、水破砕手段空気供給路1c、空気流入口3a、貯水槽3の処理室3b、ナノミスト負イオン送出流路1e、気液分離部5を介して吹出口2aから室内に送り戻す。このとき、ルーバー19は、開放されている。
【0070】
一方、回転体41は、ミストモータ43の駆動によって回転し、所定温度に加熱された貯水槽3内の貯水を、回転の遠心力で外壁及び内壁を伝わって上昇するように吸い上げて、上部の飛散口(図示省略)から外周の多孔体42に向けて飛散させる。その飛散した水は、回転体41の上部外周にある多孔体42の多孔部42aに衝突して破砕されたり、多孔部42aを通過して貯水槽3の内壁及び仕切45に衝突して破砕されたりすることによって、微細化されて、ナノミストに生成される。また、これと同時にレナード効果で負イオンが発生される。
【0071】
送風機Bによって貯水槽3の空気流入口3aから処理室3b内に送られた空気が、多孔体42から遠心力で略シャワー状に発生されたナノミストを通過する際に、空気中の菌及び匂いの元となる塵挨、花粉等が水に溶け込んだ状態で、貯水槽3内の水面に振り落とされて貯水される。
【0072】
また、ナノミストと負イオンが、処理室3b内を下方に向かって流れてナノミスト負イオン送出流路1e内に入り込む際に、大きくて重いナノミストは、貯水槽3内の水面に落下して除去される。その後、微細なナノミストのみと負イオンが、ナノミスト負イオン送出流路1eを介して上部の気液分離部5に送られる。気液分離部5では、残存している大きくて重いナノミストが水滴衝突板51に衝突することによって水滴衝突板51に付着し、付着した水滴同士が結合して肥大化されると、自重で貯水槽3内の水面に落下して貯留される。
【0073】
気液分離部5を通過したナノミストは、適温に加熱されて温かく微細化された負イオンを含んだ粒子のみとなって、ルーバー19によって吹出口2aから風向板19b(
図1参照)で設定された吹出方向へ放出される。室内に放出されたミストは、室内を循環する際に空気中の微細な塵、挨等を取り込んで再び加湿装置1内に吸い込まれる。これにより、室内の加湿と空気清浄を行うことができる。
【0074】
吹出口2aから放出されるナノミスト及び負イオンは、室内の空気中の隅々まで行き渡り、汚れた空気や細菌を抑制し、臭いまでも分解するもので、脱臭効果、除塵効果、除菌効果、加湿効果、空気清浄効果がある。吹出口2aから放出される空気は、大きなナノミストを除去した微細なナノミストを含んだサラサラで潤いのある空気が放出される。
【0075】
なお、貯水槽3内の加熱された貯水は、水破砕手段4によってナノミストとして放出されるので減少する。貯水槽3の水位が低下した場合は、上側の水位検知センサS6がその水位を検出してポンプPを駆動させることによって、低下した水位分の水が自動的に貯水槽3内に補水される。このため、貯水槽3内には、温水ヒータHで適温に加熱された水が適量貯留されている。
【0076】
加湿装置1の運転が終了した場合は、排水弁Vを開弁して貯水槽3の残水を排水タンクT2に送る。また、給水タンクT1内の水が無くなった場合には、高温除菌運転した後、貯水槽3内の水を排水タンクT2に排水して、送風機Bで乾燥して運転を停止させる。なお、排水タンクT2内に送られた水の水量は、水位検知センサS1で検出されるので、その水量を知ることができる。
【0077】
図2に示すように、排水タンクT2は、引出トレー6の収容凹部63a内に収容されている。引出トレー6は、装置本体2内に押し込んだ位置状態になっている場合、マグネットキャッチ9によって後方側に磁力で引き寄せられているので、装置本体2内に押し込んだ状態に保持されている。このため、引出トレー6は、キャスター17を転動させて移動させても、移動中に引出トレー6が装置本体2から外方向に移動するのを抑制することができる。
【0078】
また、装置本体2内に押し込んだ引出トレー6は、下面に設けた弾性キャッチ機構8の突出部材82の下端部が、トレー収容部材28の逆凹状に形成された当接部28gの後側上端部に弾性的に押圧した状態で当接している。このため、装置本体2内に押し込んだ引出トレー6は、突出部材82の突出部82bが、
図5(b)に示す突出部82b’の位置状態にあることによって、トレー収容部材28の当接部28gの後側角部28iに当接しているため、引出方向及び押込方向にガタツキなく支持されている。つまり、引出トレー6は、弱い力で引き出そうとしたり、引出方向に外力が加わったりしても、ばね部材83に付勢された突出部材82の突出部82bが、支持板部28cの後側角部28iに当接しているので、比較的弱い力では引き出すことができないようになっている。
【0079】
そして、排水タンクT2内の残水は、雑菌等が増えるのを防止するため、加湿装置1の使用後に、排水タンクT2内の残水を排水する。このため、加湿装置1は、運転を終了する毎に貯水槽3内の残水の排出が行われる。排水処理を行う場合は、
図1に示す取っ手61aを手で持って引出トレー6を引き出す。引出トレー6は、
図5(b)に示すように、支持板部28cの後側角部28iに当接していた突出部82b’が、支持板部28cの後側角部28iを乗り越えて当接部28gの上面を摺動して当接部28g上から離間されると、スライドレール7にガイドされてスムーズに引き出すことができる。
【0080】
使用者等は、
図1に示すように、引き出した引出トレー6上の排水タンクT2を把持して引き上げて排水タンクT2内の残水を洗面所等に廃棄する。
残水の廃棄作業が終了したら、引き出された状態の引出トレー6上に排水タンクT2を載置して引出トレー6を装置本体2内に押し込む。すると、引出トレー6は、
図2に示すように、マグネットキャッチ9によってトレー収容部材28の後端側に磁力で引き付けられる。さらに、この引出トレー6を装置本体2に押し込んだ状態は、弾性キャッチ機構8の突出部材82が当接部28gの後側の角部に弾性的に当接していることによって、引出トレー6を予め設定した所定位置に保持することができるので、引出トレー6が引出時以外のときに、前側に移動するのを抑制することができる。
【0081】
このため、加湿装置1は、装置本体2を移動させるなどして、引出トレー6に引出方向の外力が負荷されても、マグネットキャッチ9と弾性キャッチ機構8との二つの機構で、引出トレー6を移動し難くすることができる。また、引出トレー6の引出方向の移動は、下面を弾性キャッチ機構8で弾性的に押圧して支持し、後端部をマグネットキャッチ9の磁力で吸引して、二つの機構で支持しているため、引出トレー6の移動を適度な弾性力及び吸引力で抑制することができる。
【0082】
これにより、加湿装置1の残水の排水作業が完了する。
このように本発明の加湿装置1は、塵、雑菌等の混入した残水を廃棄する際、排水タンクT2を取り外し自在に載置した引出トレー6の引き出し、及び、押し込みがスライドレール7によってガイドされて移動がスムーズである。このため、引出トレー6の引出時の引出操作の操作性、及び、押戻時の押し戻し操作の操作性が良好で、残水の廃棄作業が行い易い。
【0083】
また、加湿装置1は、前記したように、キャスター17を転動させて移動させる際や、引出トレー6に引出方向の外力が負荷された際に、引出トレー6がマグネットキャッチ9によって後端側に磁力で引き付けられると共に、ばね部材83に付勢された突出部材82が、当接部28gの後側角部28iに弾性的に当接していることで、引出トレー6がガタついたり、不意に引出トレー6が引き出された状態になったりすることがない。
【0084】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0085】
例えば、前記実施形態では、ポリジョッキを使用して給水タンクT1に水を供給する場合を説明したが、蛇口にバルブ付きのホースを取り付けて、ホースによって水道水を給水タンクT1に供給してもよい。
【0086】
また、前記実施形態では、引出トレー6を支持する機構として、弾性キャッチ機構8と、いわゆるマグネットキャッチ9と、を使用した場合を説明したが、弾性キャッチ機構8のみ、または、マグネットキャッチ9のみであってもよい。
また、弾性キャッチ機構8は、その一例として、いわゆるコイルキャッチを使用した場合を説明したが、ドアキャッチ等の他のキャッチ機構を使用してもよい。
【0087】
また、弾性キャッチ機構8は、
図3に示す実施形態とは反対に、装置本体2、突出部材82、及びばね部材83をトレー収容部材28の底板部28bに取り付けて、支持板部28cを引出トレー6の収容凹部63aの下面に取り付けてもよい。
【0088】
また、マグネットキャッチ9は、押し込んだ状態の引出トレー6を保持するものであればよく、例えば、ボールキャッチや、ローラキャッチ、プッシュキャッチ、スプリングキャッチ、ジュラコンキャッチ等の他のキャッチ機構であってもよい。
【0089】
また、前記実施形態では、
図3に示すように、マグネットキャッチ9をトレー収容部材28に取り付けた場合を説明したが、マグネットキャッチ9は、引出トレー6を後側に寄せ付けるものであればよく、装置本体2に取り付けてもよい。また、マグネットキャッチ9は、引出トレー6の後端部に取り付けて、磁力でトレー収容部材28の後端部側に吸引されるようにしてもよい。