特許第6571490号(P6571490)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571490フック装置およびこれを備える車両搭載用クレーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571490
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】フック装置およびこれを備える車両搭載用クレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/34 20060101AFI20190826BHJP
   B66C 23/88 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B66C1/34 E
   B66C23/88 M
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-211819(P2015-211819)
(22)【出願日】2015年10月28日
(65)【公開番号】特開2017-81694(P2017-81694A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】506002823
【氏名又は名称】古河ユニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】木谷 友彦
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−124792(JP,A)
【文献】 特開2000−103588(JP,A)
【文献】 実開昭61−157582(JP,U)
【文献】 実開平6−39884(JP,U)
【文献】 実開平6−32477(JP,U)
【文献】 中国実用新案第2931427(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/34
B66C 23/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身上面が平面をなしたトラニオンと、該トラニオンの中央部に鉛直軸回りに回動自在に支承されるフックと、前記トラニオンの左右両側に水平軸まわりに回転自在に取付けられるとともにワイヤロープが掛回されるシーブと、前記トラニオンの左右両端部それぞれに前記水平軸まわりに回動自在に嵌合されるサイドプレートと、該左右のサイドプレートの上端部相互を連結する連結板と、前記水平軸まわりでの前記サイドプレートとトラニオン相互の回動を規制する規制具とを備え、
前記規制具は、前記トラニオンの上面を、前記フックの鉛直軸の中心に対して点対称の位置をばねの力で押圧するように弾設される一対の押圧腕を有することを特徴とするフック装置。
【請求項2】
前記規制具は、一対のブリッジ板と、該一対のブリッジ板それぞれに装着される一対のねじりコイルばねとを備え、
前記ブリッジ板は、前記左右のサイドプレートの内側部の上端を連結する本体部と、該本体部から前記フックの鉛直軸の中心側に向けて張り出す第一腕部と、該第一腕部の先端から前記水平軸に沿って側方に張り出す第二腕部とを有し、
前記ねじりコイルばねは、自身全体が一本のばね材から形成されて、前記第一腕部に掛け止めされる掛け止め部と、該掛け止め部に基端側が連続して形成されて前記第二腕部を囲繞するように装着される円筒コイル部と、該円筒コイル部の先端側に連続して形成されて前記トラニオンの上面を押圧する前記押圧腕とを有することを特徴とする請求項1記載のフック装置。
【請求項3】
前記一対のねじりコイルばねは、前記サイドプレートに対して、前記フックが真下に位置する所定の相対位置にあるときに、当該フック装置の上方から見て、前記フックの鉛直軸における中心点に関して点対称をなすように配置され、
前記一対のねじりコイルばねのうち、一方のねじりコイルばねは、前記トラニオンの上面であって、前記フックの鉛直軸を境とし、前記トラニオンの水平な軸線の軸方向の片側において、当該水平な軸線の中央より左右どちらか半分の領域を、当該一方のねじりコイルばねの前記押圧腕の途中部分に形成された曲げ部から先端までの全長で押え付けており、
他方のねじりコイルばねは、前記フックの鉛直軸の中心点に関して点対称となる反対側であって、その片側上面の半分を、当該他方のねじりコイルばねの前記押圧腕の途中部分に形成された曲げ部から先端までの全長で押え付けるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載のフック装置。
【請求項4】
前記サイドプレートが傾斜したときに、前記一対のねじりコイルばねの前記押圧腕が前記トラニオンを押圧する状態は、前記一対のねじりコイルばねのうち、前記一方のねじりコイルばねがその押圧腕の曲げ部よりも基端側の部分で前記トラニオンの上面の角を押圧し、前記他方のねじりコイルばねがその押圧腕の曲げ部で前記トラニオンの上面を押圧することを特徴とする請求項2または3に記載のフック装置。
【請求項5】
前記サイドプレートが傾斜したときに、前記一対のねじりコイルばねの押圧腕による前記トラニオンの上面を押圧する箇所は、前記一対のねじりコイルばねの押圧腕とも、前記サイドプレートが回転によって下がった側と同じ側であって、
前記トラニオンの上面を前記フックの中心軸を股いで左右から、一対のねじりコイルばねの協働により前記所定の相対位置に復帰する側に向けて付勢することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のフック装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のフック装置を備えることを特徴とする車両搭載用クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンにおいて荷を吊り下げるためのフック装置に係り、特に、車両搭載用クレーンに好適なフック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のフック装置は、上面が平面をなしたトラニオンと、トラニオン中央部に鉛直軸回りに回動自在に支承されるフックとを有する。トラニオンの上面は、支承するフックの貫通孔、スラスト軸受取付孔など、後加工が行い易いように平面に加工される。
トラニオンの左右両側には円筒状の嵌合部が設けられ、左右の嵌合部の基端側に、トラニオンの水平な軸線を中心として回転自在にシーブが取付けられ、左右両端の嵌合部の先端側には、それぞれサイドプレートが回動可能に嵌合される。
左右のサイドプレートの上端部は、連結板によって互いに連結される。左右のシーブには、ブーム先端部に設けられたシーブからのワイヤロープが掛回され、このワイヤロープによってフック装置がクレーンのブーム先端から吊下げられる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、車両搭載用クレーンでは、走行時に、フック装置のフックと車両側に設けたフック掛けとの間に、フック掛け用ワイヤロープを掛けてフック装置を固定する仕様がある。しかし、この種の車両搭載用クレーンでは、車両の走行中にサイドプレートが揺れ、トラニオンに対してサイドプレートが回動し、フック装置の上端部の連結板がワイヤロープに当たって連結板やワイヤロープが損傷するおそれがある。
そこで、例えば特許文献1に記載のフック装置では、左右のサイドプレートとトラニオンとの間に、トラニオンの側面を押えて相互の回動を規制する規制具を弾設している。同文献記載のフック装置によれば、規制具によりトラニオンの側面を押えるので、トラニオンに対するサイドプレートの回動を規制して、車両走行中のサイドプレートの揺れを少なくし、ワイヤロープや連結板の損傷を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−103588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のフック装置では、規制具は、トラニオンの側面を押えて、トラニオンに対するサイドプレートの回動を規制するので、規制機構が複雑化するとともに、サイドプレートの回動範囲での規制具自体との干渉を防止しなければならない。そのため、規制具を装着するために、回動範囲での無駄なスペースを要し、また、そのスペース確保のためにフック装置が大型化するという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、トラニオンに対するサイドプレートの回動を規制するとともに、サイドプレートの回動範囲に対応する干渉防止スペースが不要であり、コンパクトに構成し得る規制具を備えるフック装置およびこれを備える車両搭載用クレーンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るフック装置は、自身上面が平面をなしたトラニオンと、該トラニオンの中央部に鉛直軸回りに回動自在に支承されるフックと、前記トラニオンの左右両側に水平軸まわりに回転自在に取付けられるとともにワイヤロープが掛回されるシーブと、前記トラニオンの左右両端部それぞれに前記水平軸まわりに回動自在に嵌合されるサイドプレートと、該左右のサイドプレートの上端部相互を連結する連結板と、前記水平軸まわりでの前記サイドプレートとトラニオン相互の回動を規制する規制具とを備え、前記規制具は、前記トラニオンの上面を、前記フックの鉛直軸の中心に対して点対称の位置をばねの力で押圧するように弾設される一対の押圧腕を有することを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る車両搭載用クレーンは、本発明の一態様に係るフック装置を備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明の一態様に係るフック装置において、前記規制具は、一対のブリッジ板と、該一対のブリッジ板それぞれに装着される一対のねじりコイルばねとを備え、前記ブリッジ板は、前記左右のサイドプレートの内側部の上端を連結する本体部と、該本体部から前記フックの鉛直軸の中心側に向けて張り出す第一腕部と、該第一腕部の先端から前記水平軸に沿って側方に張り出す第二腕部とを有し、前記ねじりコイルばねは、自身全体が一本のばね材から形成されて、前記第一腕部に掛け止めされる掛け止め部と、該掛け止め部に基端側が連続して形成されて前記第二腕部を囲繞するように装着される円筒コイル部と、該円筒コイル部の先端側に連続して形成されて前記トラニオンの平らな上面を押圧する前記押圧腕とを有することは好ましい。
【0008】
また、本発明の一態様に係るフック装置において、前記一対のねじりコイルばねは、前記サイドプレートに対して、前記フックが真下に位置する所定の相対位置にあるときに、当該フック装置の上方から見て、前記フックの鉛直軸における中心点に関して点対称をなすように配置され、前記一対のねじりコイルばねのうち、一方のねじりコイルばねが押える前記トラニオンの上面は、前記フックの鉛直軸を境とし、前記トラニオンの水平な軸線の軸方向の片側であって、当該水平な軸線の中央より半分の領域を、当該一方のねじりコイルばねの前記押圧腕の途中部分に形成された曲げ部から先端までの全長で押え付けており、他方のねじりコイルばねは、前記フックの鉛直軸の中心点に関して点対称となる反対側であって、その片側上面の半分を、当該他方のねじりコイルばねの前記押圧腕の途中部分に形成された曲げ部から先端までの全長で押え付けるように配置されていることは好ましい。
【0009】
また、本発明の一態様に係るフック装置において、前記サイドプレートが傾斜したときに、前記一対のねじりコイルばねの前記押圧腕が前記トラニオンを押圧する状態は、前記一対のねじりコイルばねのうち、前記一方のねじりコイルばねがその押圧腕の曲げ部よりも基端側の部分で前記トラニオンの上面の角を押圧し、前記他方のねじりコイルばねがその押圧腕の曲げ部で前記トラニオンの上面を押圧することは好ましい。
また、本発明の一態様に係るフック装置において、前記サイドプレートが傾斜したときに、前記一対のねじりコイルばねの押圧腕による前記トラニオンの上面を押圧する箇所は、前記一対のねじりコイルばねの押圧腕とも、前記サイドプレートが回転によって下がった側と同じ側であって、前記トラニオンの上面を前記フックの中心軸を股いで左右から、一対のねじりコイルばねの協働により前記所定の相対位置に復帰する側に向けて付勢することは好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、規制具は、トラニオンの平らな上面を、フックの鉛直軸の中心に対して点対称の位置をばねの力で押圧するように弾設される一対の押圧腕を有するので、点対称の位置をばねの力で押圧する一対の押圧腕による押圧力によって、トラニオンに対するサイドプレートの回動を規制することができる。そして、一対の押圧腕は、トラニオンの平らな上面を押圧するので、サイドプレートの回動範囲に対応する干渉防止スペースが不要であり、コンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一態様に係るフック装置を装備した車両搭載用クレーンの一実施形態を説明する図であり、同図は、走行時におけるフック装置の格納状態を示している。
図2図1のフック装置の説明図であり、同図では、トラニオン軸の軸線に沿った断面を示すとともに、フックの基端部分をその軸線に沿った破断面にて示している。
図3図2のフック装置の左側面図である。
図4図2のフック装置を右側面から見たときの、フック中心に沿った断面を示す図である。
図5図2のA−A断面図である。
図6】規制具を構成するブリッジ板の説明図であり、同図(a)は平面図、(b)は(a)の右側面図である。
図7】規制具を説明する斜視図であり、同図(a)は規制具を構成する各部品を分解した状態を示し、(b)は、各部品を組立てた状態を示している。
図8図1のフック装置の動作を説明する図であり、同図は、フックに対してサイドプレートが同図反時計方向に回動した状態を示している。
図9図1のフック装置の動作を説明する図であり、同図は、フックに対してサイドプレートが同図時計方向に回動した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一態様に係るフック装置の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0013】
まず、フック装置を装備した車両搭載用クレーンの一実施形態について説明する。
図1に示すように、この車両搭載用クレーン50は、車両60の運転室61後部のシャシフレーム62上にベース51が連結固定されている。ベース51上には、コラム52が旋回自在に設けられ、このコラム52の上端部に、多段伸縮ブームであるブーム53が起伏自在に枢支されている。
また、コラム52には、上部にウインチ54が設けられており、このウインチ54からワイヤロープ8をブーム53の先端部53sに導いて、ブーム53の先端部53sのシーブ55を介してフック装置1に掛け回すことにより、フック装置1がブーム53の先端部53sから吊下されている。ここで、この車両搭載用クレーン50は、車両60の走行時には、フック装置1のフック3と車両側に設けたフック掛け63との間にフック掛け用ワイヤロープ64を掛け渡してフック装置1を固定している。
【0014】
以下、上記フック装置1について詳しく説明する。
図2に示すように、フック装置1は、上面が平らなトラニオン2と、トラニオン2の中央部に支承されるフック3とを有する。フック3は、スラスト軸受4を介して鉛直軸Cf回りに回動自在に且つフック抜止5によって下方へ抜落ちないようにトラニオン2の中央部に基端部が支承されている。トラニオン2は、支承するフック3の貫通孔、スラスト軸受4取付孔などの後加工を行い易いように、平滑な上面になるよう平面加工を施している。
トラニオン2の左右両側には円筒状の嵌合部15がそれぞれ設けられ、左右の嵌合部15の基端側にシーブ7がそれぞれ取付けられている。各シーブ7は、ラジアル軸受6を介してトラニオン2の水平な軸線Ctを中心として回転自在に支持されている。左右のシーブ7には、上記ブーム53の先端部53sに設けられたシーブ55からのワイヤロープ8が掛回され、このワイヤロープ8によってフック装置1がクレーンのブーム13の先端から吊下げ可能になっている。
【0015】
トラニオン2の左右両端の嵌合部15の先端側には、それぞれサイドプレート9が回動可能に嵌合されている。嵌合部15の左右両端面には、図3にも示すように、サイドプレート9の側方への抜出しを防止する抜止板10が抜止ボルト11でそれぞれ取付けられている。
左右のサイドプレート9には、シーブ7の内側を覆う内側部29が一体に形成されている。また、左右のサイドプレート9の上端部は、連結板12によって互いに連結されている。さらに、左右のサイドプレート9の内側部29の上端は、一対のブリッジ板30で互いに連結されている。
【0016】
本明細書では、図2図4に示す、サイドプレート9に対してフック3が真下に位置する通常の状態を、トラニオン2とサイドプレート9の「所定の相対位置」と呼ぶ。この「所定の相対位置」においては、通常、トラニオン2は下方に連結されたフック3が鉛直方向に垂下される方向を向き、サイドプレート9は連結板12が真上にくる位置にある。
なお、トラニオン2とサイドプレート9とが互いに回動可能に嵌合されているのは、フック3に吊荷側のワイヤロープを玉掛けする際に、フック装置1全体を傾けるのは大変なので、サイドプレート9に対してフック3のみを傾動できるようにして、玉掛け作業を行い易くするためである。
【0017】
ここで、このフック装置1は、上記トラニオン2の軸線Ctまわりでの、サイドプレート9とトラニオン2相互の回動を規制する規制具40を備える。本実施形態の規制具40は、図2および図4に示すように、一対のブリッジ板30と、一対のブリッジ板30にそれぞれ装着される一対のねじりコイルばね16とを有する。各ねじりコイルばね16は、押圧腕16cをそれぞれ有し、一対のねじりコイルばね16は、図5に示すように、その押圧腕16cが、トラニオン2の平滑な上面2tを、フック3の鉛直軸Cfの中心Oに対して点対称の位置をばねの力で押圧するように弾設されている。
【0018】
詳しくは、各ブリッジ板30は、図5に示すように、左右のサイドプレート9の内側部の上端を連結する矩形状の本体部33と、本体部33からフック3の鉛直軸Cfの中心O側に向けて斜め上方に張り出す第一腕部31と、第一腕部31の先端から水平な軸線Ctに沿って側方(互いに反対の側)に鉤状に張り出す第二腕部32とをそれぞれ有する(図6の併せて参照)。各ブリッジ板30は、二本の取付ボルト36によってサイドプレート9の内側部の上端に本体部33が固定されている。
各ねじりコイルばね16は、全体が一本のばね用線材から形成されており、図5および図7に示すように、ブリッジ板30の第一腕部31に掛け止めされる略コ字状の掛け止め部16aと、掛け止め部16aに基端側が連続して形成されて、ブリッジ板30の第二腕部32を囲繞するように装着される円筒コイル部16bと、円筒コイル部16bの先端側に連続して形成されてトラニオン2の平滑な上面2tを弾性的に押圧する押圧腕16cとを有する。
【0019】
円筒コイル部16bは、第二腕部32により、トラニオン2の上面2tよりも高い位置に支持されており、押圧腕16cは、トラニオン2の上面2tよりも高い位置から下方に向けて、トラニオン2の軸線Ctの方向と直交するように張り出している。
そして、押圧腕16cは、サイドプレート9の回動時において、その全長に渡ってトラニオン2の上面2tを順次に押圧可能なように、図7に示すように、途中部分に僅かな曲げ部16dを有して形成されている。これにより、各ねじりコイルばね16は、押圧腕16cにより、「所定の相対位置」においては、図4に示すように、押圧腕16cの曲げ部16dから先端までの全長に渡ってトラニオン2の上面2tを押圧する。
【0020】
また、図8および図9に示すように、サイドプレート9の傾動時には、各ねじりコイルばね16のうち一方は、押圧腕16cの曲げ部16dよりも基端側のある一点でトラニオン2の上面2tの角を押圧し、もう一方は、押圧腕16cの曲げ部16dの一点でトラニオン2の上面2tを押圧する。
このように、各ねじりコイルばね16は、押圧腕16cにより、回動時の姿勢変化に追従して、トラニオン2の上面2tをその全長に渡って押圧できるため、広い接触面積でバランス良くトラニオン2の上面2tを押圧可能である。
【0021】
特に、本実施形態の左右一対のねじりコイルばね16は、図5に示すように、サイドプレート9に対して、フック3が真下に位置する「所定の相対位置」では、上方から見て、フック3の鉛直軸Cfにおける中心点Oに関して点対称をなすように配置されている。
これにより、左右のねじりコイルばね16のうち、一方のねじりコイルばね16が押えるトラニオン2の上面2t部分は、フック3の鉛直軸Cfを境とし、トラニオン2の水平な軸線Ctの軸方向の片側で、軸線Ctの中央より左右どちらか半分の領域を押圧腕16cの曲げ部16dから先端までの全長で押え付け、他方のねじりコイルばね16は、フック3の鉛直軸Cfの中心点Oに関して点対称となる反対側であって、その片側上面の半分を押圧腕16cの曲げ部16dから先端までの全長で押え付けるように配置される。
【0022】
次に、このフック装置1の作用・効果について説明する。
図1に示したように、この車両搭載用クレーン50は、車両60の走行時には、フック装置1のフック3と車両側に設けたフック掛け63との間にフック掛け用ワイヤロープ64を掛け渡してフック装置1を固定している。
ここで、車両60の走行中にサイドプレート9が揺れ、トラニオン2に対してサイドプレート9が回動しようとしたとき、本実施形態のフック装置1によれば、トラニオン2に対するサイドプレート9の回動は、規制具40が備える一対のねじりコイルばね16による押圧力で規制される。
つまり、本実施形態の規制具40は、トラニオン2とサイドプレート9の間に作用する押圧力が、一対のねじりコイルばね16の復帰力によって現状位置に回復させる間は、サイドプレート9がトラニオン2の動きに追随して動くので、サイドプレート9がトラニオン2に対して傾くことはなく、「所定の相対位置」に保たれる。
【0023】
トラニオン2とサイドプレート9との間に、一対のねじりコイルばね16の復帰力を保持する力より大きい力が作用すると、図8、9に示すように、一旦、サイドプレート9をトラニオン2に対して回動させることができる。よって、玉掛け作業の際には、フック3を急激に傾ければ、フック装置1全体を傾けることなく玉掛けを行うことができる。
そして、一対のねじりコイルばね16の復帰力に抗して保持する力を解除すれば、変形したねじりコイルばね16の弾性力により、直ちに「所定の相対位置」に復帰する。従って、車両14の走行中のサイドプレート9の揺れが少なくなり、連結板12やワイヤロープ8の損傷が防止される。
【0024】
ここで、サイドプレート9が傾斜した場合は、図8および図9に示すように、左右一対のねじりコイルばね16の押圧腕16cがトラニオン2を弾性的に押圧する状態は、左右のねじりコイルばね16のうち、一方のねじりコイルばね16が押圧腕16cの曲げ部16dよりも基端側のある一点で、トラニオン2の上面2tの角を押圧し、他方のねじりコイルばね16が押圧腕16cの曲げ部16dの一点で、トラニオン2の上面2tを押すようになる。
【0025】
但し、2本のねじりコイルばね16の押圧腕16cによる上面2tの押圧ポイントは、左右のねじりコイルばね16とも、サイドプレート9が回転によって下がった側と同じ側で、トラニオン2の上面2tをフック3の中心軸Cfを股いだ左右から付勢する。例えば、図9に示すように、サイドプレート9が回転して右肩下がりになった場合、同じ側のトラニオン2の右側の上面2tを、左右から2つのねじりコイルばね16が協働して付勢する。よって、「所定の相対位置」に復帰するための力を効率良く付与することができる。
【0026】
サイドプレート9がもとの「所定の相対位置」に戻ると、上述のとおり、左右のねじりコイルばね16のうち一方がフック3の鉛直軸Cfを境とした軸方向の片側で、トラニオン2の水平な軸線Ctの中心より片側半分を押圧腕16cの全長(曲げ部16dよりも先端側の部分)で押え、他方が、フック3の鉛直軸Cfの中心点に関して点対称となる反対側の片側半分を押圧腕16cの全長(曲げ部16dから先端までの全長部分)で押え付ける。
【0027】
このように、本実施形態の規制具40によれば、一対のブリッジ板30同士の間の位置に一対のねじりコイルばね16を取り付け、トラニオン2の上面2tを上方から、フック3の鉛直軸Cfの中心Oに対して点対称の位置を押さえるので、トラニオン2に対するサイドプレート9の回動を規制するとともに、サイドプレート9の回動範囲に対応する干渉防止スペースが不要である。また、本実施形態の規制具40は、部品点数が少なく簡素な構造なので、コンパクトに規制具40およびフック装置1を構成することができる。
【0028】
また、規制具40をトラニオン2の上方からトラニオン2の上面2tを押さえるように設けると、サイドプレート9とフック3との間の狭いスペースに規制具を設ける場合に比べて、規制具40の組立を容易に行うことができる。また、取付けのためスペースを拡げてフック装置1自体の大型化を招くおそれもない。
特に、トラニオンタイプのフック装置では、その構造上、トラニオン2の上方にあたる左右のシーブ間にはスペースが空いているので、本実施形態の規制具40は、そのスペースを有効に活用することができるので、効率上最適である。
なお、本発明に係るフック装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、規制具の押圧腕として、ねじりコイルばね16を用いた例で説明したが、これに限定されず、ねじりコイルばね16に代えて板ばねを用いてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 フック装置
2 トラニオン
3 フック
4 スラスト軸受
5 フック抜止
6 ラジアル軸受
7 シーブ
8 ワイヤロープ
9 サイドプレート
10 抜止板
12 連結板
15 嵌合部
16 ねじりコイルばね
29 内側部
30 ブリッジ板
31 第一腕部
32 第二腕部
33 本体部
34 掛止部
36 取付ボルト
40 規制具
50 車両搭載用クレーン
51 ベース
52 コラム
53 ブーム
54 ウインチ
55 シーブ
60 車両
61 運転室
62 シャシフレーム
63 フック掛け
64 フック掛け用ワイヤロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9