特許第6571513号(P6571513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571513
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/30 20060101AFI20190826BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20190826BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20190826BHJP
   H01G 11/76 20130101ALI20190826BHJP
【FI】
   H01M2/30 D
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
   H01M2/10 S
   H01G11/76
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-249870(P2015-249870)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2017-117574(P2017-117574A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】星野 元樹
(72)【発明者】
【氏名】長縄 伸之
(72)【発明者】
【氏名】垣村 宏明
(72)【発明者】
【氏名】川田 政夫
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 敦
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−168357(JP,A)
【文献】 特開2014−203745(JP,A)
【文献】 特開2016−018766(JP,A)
【文献】 特開2016−046234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/30
H01G 11/76
H01M 2/10
H01M 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一外部端子を有する蓄電素子と、
前記蓄電素子と隣り合う終端部材と、
第二外部端子、該第二外部端子と前記第一外部端子とを電気的に接続する導電部材、前記導電部材を保持する基台部、前記導電部材と前記基台部と前記終端部材とを貫通した状態で締結する金属製のリベット、及び前記リベットと前記導電部材における該リベットの貫通している穴の内周面との間に配置される絶縁部材を有する端子台と、を備え、
前記基台部は、
前記終端部材に固定され、且つ前記導電部材に対して前記終端部材が位置する側において該導電部材を支持する支持部と、
前記支持部との間に前記導電部材の少なくとも一部を挟み込む押さえ部と、を有する、蓄電装置。
【請求項2】
前記導電部材は、所定の方向に延び且つ前記支持部を介して前記終端部材に固定される第一部位と、前記所定の方向と交差する方向に前記第一部位から延びる第二部位と、を有し、
前記押さえ部は、前記第一部位の少なくとも一部を前記支持部との間に挟み込み、
前記第二外部端子は、前記第二部位から突出するネジ部を有する、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記導電部材の前記第二部位は、前記ネジ部が突出する方向視において非円形の輪郭を有し、
前記基台部は、前記ネジ部を回転軸とするトルクと交差する方向に広がり且つ前記導電部材の前記輪郭を構成する端面の少なくとも一部と面接触する当接面を有する、請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記端子台は、前記絶縁部材と前記リベットとの間で該リベットを囲む金属製の筒状部材を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記基台部と前記絶縁部材とが一体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記リベットは、前記導電部材と前記基台部と前記終端部材とを貫通する軸部と、前記軸部における該軸部の貫通方向に間隔をあけた位置で前記貫通方向と直交する面方向にそれぞれ広がり、且つその間に前記導電部材と前記基台部と前記終端部材とを挟み込む一対の大径部と、を有し、
前記絶縁部材は、
前記軸部の周囲を囲む第一筒部と、前記リベットの一方の大径部と該一方の大径部と隣り合う前記導電部材、前記基台部、又は前記終端部材との間において前記第一筒部の端部から広がる第一鍔部と、を有する第一部材と、
前記第一筒部と前記リベットの貫通している穴の内周面との間において該第一筒部を囲う第二筒部と、前記リベットの他方の大径部と該他方の大径部と隣り合う前記導電部材、前記基台部、又は前記終端部材との間において前記第二筒部の端部から広がる第二鍔部と、を有する第二部材と、を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
第一外部端子を有する蓄電素子と、
前記蓄電素子と隣り合う終端部材と、
第二外部端子、該第二外部端子と前記第一外部端子とを電気的に接続する導電部材、及び前記導電部材を保持する基台部、を有する端子台と、を備え、
前記基台部は、
前記終端部材に固定され、且つ前記導電部材に対して前記終端部材が位置する側において該導電部材を支持する支持部と、
前記支持部との間に前記導電部材の少なくとも一部を挟み込む押さえ部と、を有し、
前記第二外部端子は、前記導電部材から突出するネジ部を有し、
前記導電部材は、前記ネジ部と直交する面方向に広がる板状の部材であり、且つ前記ネジ部が突出する方向視において非円形の輪郭を有し、
前記基台部は、前記ネジ部を回転軸とするトルクと交差する方向に広がり且つ前記導電部材の前記輪郭を構成する端面の少なくとも一部と面接触する当接面を有し、
前記当接面は、前記板状の導電部材の周端面と全周に亘って面接触し且つ前記押さえ部と一体に構成される、蓄電装置。
【請求項8】
前記端子台は、
前記導電部材と前記基台部と前記終端部材とを貫通した状態で締結し且つ金属製のリベットと、
前記リベットと前記導電部材における該リベットの貫通している穴の内周面との間に配置される絶縁部材と、を有する、請求項7に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記端子台は、前記導電部材と前記基台部とが一体化されたインサート成形品である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器、他の蓄電装置等との接続に用いられる端子台を備えた蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多数の電池セルを備えるバッテリシステムが知られている(特許文献1参照)。具体的に、このバッテリシステムは、電極端子を有する複数の電池セルが積層される電池ブロックと、電池ブロックの対向面にあって積層された電池セルを積層方向に挟着して固定する一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートを連結する連結具と、を備える。
【0003】
このバッテリシステムでは、出力ラインは、中継バスバを介して電池セルの電極端子に接続されている。詳しくは、エンドプレートに非回転状態で固定されたナットに止ネジがねじ込まれており、この止ネジとナットとによって中継バスバと出力ラインの接続端子とが接続されている。
【0004】
このようなバッテリシステムにおいて、出力ラインの接続端子との接続部位(止めネジとナット)の配置についての設計の自由度を高めるために、エンドプレート等に端子台を取り付けることが考えられる。この端子台は、図22に示すように、出力ライン800等が接続可能な外部端子(上述のバッテリシステムにおけるナット801及び止ネジ802に相当)と、電池セルの電極端子803と前記外部端子とを導通可能に接続する中継バスバ804と、前記外部端子及び中継バスバ804をエンドプレート805等に対して絶縁した状態で固定する基台部806とを、有する。この中継バスバ804の長さや形状等の設定によって、エンドプレート805や連結具等の設計を変更しなくても、出力ライン800の接続端子800Aとの接続部位の位置を所望する位置としたバッテリシステムが得られる。
【0005】
しかし、このような端子台を備えるバッテリシステムでは、例えば、振動の多い車両等に搭載されると、車両等の振動がエンドプレート805等を介して端子台に伝わり、中継バスバ804等が振動する場合がある。このように中継バスバ804が振動すると、該中継バスバ804に接続された電池セルの電極端子803等に前記振動が伝わって、中継バスバ804の周辺の部材(中継バスバ804が接続される電池セルの電極端子803等)に応力が生じる等の影響が及ぶことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−80353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、終端部材に取り付けられる端子台において出力端子と電気的に接続される導電部材の変位を抑えることができる蓄電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蓄電装置は、
第一外部端子を有する蓄電素子と、
前記蓄電素子と隣り合う終端部材と、
第二外部端子、該第二外部端子と前記第一外部端子とを電気的に接続する導電部材、前記導電部材を保持する基台部、前記導電部材と前記基台部と前記終端部材とを貫通した状態で締結する金属製のリベット、及び前記リベットと前記導電部材における該リベットの貫通している穴の内周面との間に配置される絶縁部材を有する端子台と、を備え、
前記基台部は、
前記終端部材に固定され、且つ前記導電部材に対して前記終端部材が位置する側において該導電部材を支持する支持部と、
前記支持部との間に前記導電部材の少なくとも一部を挟み込む押さえ部と、を有する。
【0009】
かかる構成によれば、基台部において、終端部材に対して固定された支持部(終端部材側)に導電部材が支持された状態でその少なくとも一部を押さえ部によって該支持部との間に挟み込まれているため、導電部材の変位(詳しくは、終端部材から離間する方向への変位)が効果的に抑えられる。
【0010】
さらに、かかる構成によれば、絶縁部材によってリベットと導電部材との間の絶縁性を維持しつつ、硬い金属製のリベットによって導電部材と基台部を終端部材に強固に締結することで導電部材の振動をより確実に抑えることができる。
【0011】
また、前記蓄電装置では、
前記導電部材は、所定の方向に延び且つ前記支持部を介して前記終端部材に固定される第一部位と、前記所定の方向と交差する方向に前記第一部位から延びる第二部位と、を有し、
前記押さえ部は、前記第一部位の少なくとも一部を前記支持部との間に挟み込み、
前記第二外部端子は、前記第二部位から突出するネジ部を有してもよい。
【0012】
かかる構成によれば、第二外部端子に外部からの接続端子等を接続するためにネジ部にナット等を締め付けたときに第二部位において生じたトルクによって該第二部位と連続する第一部位が傾く等によりその一部が支持部から離間しようとするが、第一部位が押さえ部によって支持部との間に挟み込まれているため、前記トルクに起因する第一部位の前記離間(がたつき等)を防ぐことができる。
【0013】
この場合、
前記導電部材の前記第二部位は、前記ネジ部が突出する方向視において非円形の輪郭を有し、
前記基台部は、前記ネジ部を回転軸とするトルクと交差する方向に広がり且つ前記導電部材の前記輪郭を構成する端面の少なくとも一部と面接触する当接面を有する、ことが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、第二外部端子に外部からの接続端子等を接続するためにネジ部にナット等を締め付けるときに第二部位(導電部材)においてネジ部を回転軸とするトルクが生じても、該トルクと交差する方向に広がる当接面が第二部位の周端面に面接触して前記トルクを受け止めることで、第二部位(導電部材)の前記トルクに起因する回転を防ぐことができる。
【0015】
また、前記蓄電装置では、
前記端子台は、前記絶縁部材と前記リベットとの間で該リベットを囲む金属製の筒状部材を有してもよい。
【0016】
かかる構成によれば、リベットにおける導電部材、基台部、及び終端部材を貫通している部位を囲むように金属製の筒状部材が配置されているため、その外側に配置されている絶縁部材にリベットからの応力が伝わるのが防がれ、これにより、前記応力によって絶縁部材が変形することを防ぐことができる。
【0017】
また、前記蓄電装置では、
前記基台部と前記絶縁部材とが一体であってもよい。
【0018】
かかる構成によれば、導電部材における穴(リベットが挿通される穴)の内周面と絶縁部材との間に隙間が形成されることが抑制され、これにより、リベットと導電部材との間の絶縁性が効果的に維持される。
【0019】
また、前記蓄電装置では、
前記リベットは、前記導電部材と前記基台部と前記終端部材とを貫通する軸部と、前記軸部における該軸部の貫通方向に間隔をあけた位置で前記貫通方向と直交する面方向にそれぞれ広がり、且つその間に前記導電部材と前記基台部と前記終端部材とを挟み込む一対の大径部と、を有し、
前記絶縁部材は、
前記軸部の周囲を囲む第一筒部と、前記リベットの一方の大径部と該一方の大径部と隣り合う前記導電部材、前記基台部、又は前記終端部材との間において前記第一筒部の端部から広がる第一鍔部と、を有する第一部材と、
前記第一筒部と前記リベットの貫通している穴の内周面との間において該第一筒部を囲う第二筒部と、前記リベットの他方の大径部と該他方の大径部と隣り合う前記導電部材、前記基台部、又は前記終端部材との間において前記第二筒部の端部から広がる第二鍔部と、を有する第二部材と、を有してもよい。
【0020】
かかる構成によれば、大径部と、該大径部と隣り合う部材(導電部材、基台部、又は終端部材)との間に絶縁部材(第一絶縁部材、又は第二絶縁部材)の鍔部が配置されているため、リベットと導電部材との間、リベットと終端部材との間の沿面距離を十分に確保することができる。
【0021】
また、本発明に係る蓄電装置は、
第一外部端子を有する蓄電素子と、
前記蓄電素子と隣り合う終端部材と、
第二外部端子、該第二外部端子と前記第一外部端子とを電気的に接続する導電部材、及び前記導電部材を保持する基台部、を有する端子台と、を備え、
前記基台部は、
前記終端部材に固定され、且つ前記導電部材に対して前記終端部材が位置する側において該導電部材を支持する支持部と、
前記支持部との間に前記導電部材の少なくとも一部を挟み込む押さえ部と、を有し、
前記第二外部端子は、前記導電部材から突出するネジ部を有し、
前記導電部材は、前記ネジ部と直交する面方向に広がる板状の部材であり、且つ前記ネジ部が突出する方向視において非円形の輪郭を有し、
前記基台部は、前記ネジ部を回転軸とするトルクと交差する方向に広がり且つ前記導電部材の前記輪郭を構成する端面の少なくとも一部と面接触する当接面を有し、
前記当接面は、前記板状の導電部材の周端面と全周に亘って面接触し且つ前記押さえ部と一体に構成される。
【0022】
かかる構成によれば、第二外部端子に外部からの接続端子等を接続するためにネジ部にナット等を締め付けるときに導電部材にネジ部を回転軸とするトルクが生じても、該トルクと交差する方向に広がる部位を有する当接面が非円形の輪郭を有する導電部材と全周に亘って当接(該導電部材の周端面に面接触)して前記トルクを受け止めることで、導電部材の前記トルクに起因する回転を防ぐことができる。
【0023】
しかも、押さえ部と当接面とが一体であるため、板状の導電部材の端面(即ち、厚さ方向の寸法の小さな周端面)と基台部の当接面とが該周端面の全周に亘って面接触しつつ、押さえ部が導電部材を支持部との間に確実に挟み込む。これにより、第二外部端子に外部からの接続端子等を接続するときに生じるトルクに起因する導電部材の回転がより確実に防がれる。
【0024】
また、前記蓄電装置では、
前記端子台は、
前記導電部材と前記基台部と前記終端部材とを貫通した状態で締結し且つ金属製のリベットと、
前記リベットと前記導電部材における該リベットの貫通している穴の内周面との間に配置される絶縁部材と、を有してもよい。
【0025】
かかる構成によれば、絶縁部材によってリベットと導電部材との間の絶縁性を維持しつつ、硬い金属製のリベットによって導電部材と基台部を終端部材に強固に締結することで導電部材の振動をより確実に抑えることができる。
【0026】
また、前記蓄電装置において、
前記端子台は、前記導電部材と前記基台部とが一体化されたインサート成形品であってもよい。
【0027】
かかる構成によれば、導電部材に押さえ部を確実に接触させることができるため、導電部材の変位をより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上より、本発明によれば、終端部材に取り付けられる端子台において出力端子と電気的に接続される導電部材の変位を抑えることができる蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、第一実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図2図2は、前記蓄電装置の分解斜視図である。
図3図3は、前記蓄電装置に用いられる蓄電素子の斜視図である。
図4図4は、前記蓄電素子の分解斜視図である。
図5図5は、前記蓄電装置における端子台及び終端部材の斜視図である。
図6図6は、端子カバーが開いた状態の前記端子台及び前記終端部材の斜視図である。
図7図7は、前記端子台及び前記終端部材の斜視図である。
図8図8は、前記終端部材の斜視図である。
図9図9は、前記端子カバーを外した状態の前記端子台、及び前記終端部材の平面図である。
図10図10は、図9におけるX−X線位置の断面図である。
図11図11は、図9におけるXI−XI線位置での前記端子台及びその周辺部位の断面図である。
図12図12は、第二実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図13図13は、前記蓄電装置の分解斜視図である。
図14図14は、前記蓄電装置における端子台及び終端部材の斜視図である。
図15図15は、前記端子台及び前記終端部材の斜視図である。
図16図16は、前記端子台及び前記終端部材の平面図である。
図17図17は、図16におけるXVII−XVII線位置の断面図である。
図18図18は、終端部材と他実施形態に係る端子台との接続部位の断面図である。
図19図19は、他実施形態に係る終端部材と端子台との接続部の断面図である。
図20図20は、他実施形態に係る終端部材と端子台との接続部の断面図である。
図21図21は、他実施形態に係る終端部材と端子台との接続部の断面図である。
図22図22は、従来のバッテリシステムの端子台周辺部位の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の第一実施形態について、図1図11を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0031】
蓄電装置は、図1及び図2に示すように、外部端子(第一外部端子)13を有する蓄電素子10と、該蓄電素子10と隣り合う終端部材30と、外部端子13に接続されるバスバ5と、終端部材30に取り付けられ且つ外部端子(第二外部端子)61を有する端子台(端子部)6と、を備える。また、蓄電装置1は、蓄電素子10と隣り合うスペーサ2A、2Bと、を備える。本実施形態の蓄電装置1では、終端部材30は、蓄電素子10及びスペーサ2A、2Bをひとまとめに保持する保持部材3に含まれる。即ち、蓄電装置1は、終端部材30を含み且つ蓄電素子10を保持する保持部材3を備える。この保持部材3は、金属等の導電性を有する部材によって構成されている。これに伴い、蓄電装置1は、蓄電素子10と保持部材3との間に配置されるインシュレータ4を備える。
【0032】
以下では、蓄電素子10の外部端子を「セル端子13」と称し、蓄電装置1の端子台6に設けられた外部端子を「モジュール端子61」と称する。
【0033】
蓄電素子10は、図3及び図4にも示すように、正極及び負極を含む電極体11と、電極体11を収容するケース12と、ケース12の外面上に配置された一対のセル端子13と、を備える。また、蓄電素子10は、電極体11とケース12との間に配置される絶縁部材15等も備える。
【0034】
ケース12は、開口を有するケース本体120と、ケース本体120の開口を閉じる蓋板121と、を有する。
【0035】
ケース本体120は、板状の閉塞部123と、閉塞部123の周縁に接続された筒状の胴部124と、を備える。
【0036】
胴部124は、間隔をあけて互いに対向する一対の第一壁125と、一対の第一壁125を挟んで互いに対向する一対の第二壁126と、を備える。第一壁125及び第二壁126のそれぞれは、矩形状である。第一壁125及び第二壁126は、互いの端縁を突き合わせた状態で隣り合う。隣り合う第一壁125及び第二壁126の端縁同士は、全長に亘って接続されている。これにより、胴部124は、角筒状となる。胴部124の一端は、閉塞部123によって閉塞され、胴部124の他端は、開口する。即ち、ケース本体120は、有底角筒形状を有する。本実施形態の胴部124は、扁平な角筒状に形成されている。
【0037】
蓋板121は、ケース本体120の開口を塞ぐ板状の部材である。具体的に、蓋板121は、法線方向視において、ケース本体120の開口周縁部に対応した輪郭形状を有する。即ち、蓋板121は、法線方向視において、一方向(一対の第二壁126が対向する方向)に長い矩形状の板材である。
【0038】
本実施形態のケース12では、蓋板121の周縁部がケース本体120の開口周縁部に重ねられて該ケース本体120の開口が塞がれ、この状態で、蓋板121とケース本体120との境界部が溶接されている。
【0039】
本実施形態の蓄電装置1は、上述のように、一方向に整列する複数の蓄電素子10を備える。複数の蓄電素子10のそれぞれは、ケース12の第一壁125を一方向に向けて整列している。
【0040】
尚、以下の説明では、蓄電素子10の整列する方向(第一方向)を直交座標におけるX軸方向とする。また、蓄電素子10の第二壁126の対向する方向(第二方向)を直交座標におけるY軸方向とし、蓋板121と閉塞部123との対向する方向(第三方向)を直交座標におけるZ軸方向とする。これに伴い、各図面に、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれに対応する直交座標軸を補助的に図示する。
【0041】
本実施形態の蓄電装置1は、2種類のスペーサ2A、2Bを備える。具体的に、蓄電装置1は、隣り合う二つの蓄電素子10の間に配置される内部スペーサ2Aと、複数の蓄電素子10のうちの最も端にある蓄電素子10と隣り合う外部スペーサ2Bと、を備える。
【0042】
内部スペーサ2Aは、図2に示すように、蓄電素子10(詳しくは、ケース本体120の第一壁125)に隣り合うベース20Aと、該ベース20Aと隣り合う二つの蓄電素子10の該ベース20Aに対する位置ずれを防止する規制部21Aと、を有する。
【0043】
内部スペーサ2Aのベース20Aは、蓄電素子10の間においてX軸方向と直交する方向(Y−Z面(Y軸及びZ軸を含む面)方向)に広がり、且つX軸方向の両側において隣り合う蓄電素子10の少なくとも一方との間に流体(例えば、蓄電素子10の温度調整用の流体)が流通可能な流路を形成する。また、ベース20Aは、X軸方向視において略矩形状の輪郭を有する。この輪郭は、X軸方向視において、蓄電素子10の第一壁125と略同じ大きさである。
【0044】
規制部21Aは、ベース20Aと隣り合う蓄電素子10におけるY軸方向の端部に沿って該ベース20AからX軸方向の両側に向けてそれぞれ延びている。具体的に、規制部21Aは、ベース20Aの各角部に形成される。即ち、内部スペーサ2Aは、複数(本実施形態の例では四つ)の規制部21Aを有する。これらの規制部21Aは、上述のように、ベース20Aに隣り合う二つの蓄電素子10の該ベース20Aに対するY−Z面方向の位置ずれを防止する。これにより、規制部21Aは、内部スペーサ2Aと隣り合う二つの蓄電素子10のY−Z面方向の相対移動を規制する。
【0045】
外部スペーサ2Bは、蓄電素子10を介して該内部スペーサ2Aと隣り合うように配置される。本実施形態の蓄電装置1は、一対の外部スペーサ2Bを備える。一対の外部スペーサ2Bのぞれぞれは、複数の蓄電素子10のうちの最も端にある蓄電素子10に隣り合う。即ち、外部スペーサ2Bは、X軸方向に整列する複数の蓄電素子10を挟み込むように一対設けられる。
【0046】
具体的に、外部スペーサ2Bは、Y−Z面方向に広がるベース20Bと、該ベース20Bに隣り合う蓄電素子10の位置ずれを規制する規制部21Bとを有する。本実施形態の外部スペーサ2Bのベース20Bは、保持部材3が含む終端部材30と対向する(隣り合う)。即ち、外部スペーサ2Bは、蓄電素子10と終端部材30との間に配置される。
【0047】
外部スペーサ2Bのベース20Bは、Y−Z面方向に広がるプレート状のベース本体201Bと、ベース本体201Bの一方の面から終端部材30に向けて突出し且つ終端部材30に当接する外部接触部202Bと、ベース20Bの他方の面から蓄電素子10に向けて突出し且つ該蓄電素子10に当接する内部接触部203B(図1参照)と、を有する。
【0048】
ベース20Bは、内部接触部203Bによって、該ベース20Bと隣り合う蓄電素子10との間に、前記流体を通過させるための流路を形成する。また、ベース20Bは、外部接触部202Bによって、ベース本体201Bと終端部材30との間に隙間を形成する。
【0049】
規制部21Bは、ベース20Bと隣り合う蓄電素子10に向かって延びる。規制部21Bは、ベース20B(詳しくは、ベース本体201B)の各角部に形成される。この規制部21Bは、上述のように、ベース20Bと隣り合う蓄電素子10の該ベース20Bに対するY−Z面方向の位置ずれを防止する。即ち、規制部21Bは、外部スペーサ2Bと、該外部スペーサ2Bと隣り合う蓄電素子10とのY−Z面方向の相対移動を規制する。
【0050】
保持部材3は、図1及び図2に示すように、各外部スペーサ2Bと隣り合う位置のそれぞれに配置される一対の終端部材30と、該一対の終端部材30のそれぞれを接続するフレーム31と、を備える。
【0051】
一対の終端部材30のそれぞれは、図5図8にも示すように、Y−Z面方向に広がる。一対の終端部材30のそれぞれは、蓄電素子10と対応する輪郭(本実施形態では矩形状の輪郭)を有する本体300と、本体300から外部スペーサ2Bのベース20Bに向けて突出し且つ該ベース20Bから延びる外部接触部202Bに当接する圧接部301と、端子台6が取り付けられる支持片302と、端子台6を支持するステー303と、を有する。本実施形態の終端部材30は、上述のように、金属製である。
【0052】
支持片302は、本体300の輪郭を構成する四つの辺(端縁)のうちの蓄電素子10の蓋板121と対応する辺から、X軸方向及びY軸方向に延び且つY軸方向に長い板状の部位である。
【0053】
ステー303は、本体300における支持片302が延びている辺(端縁)の近傍から延びるL字状の板状部材である。ステー303の先端部(屈曲している位置より先端側の部位)には、Z軸方向からみて矩形状の内周面304によって画定された穴305が設けられている。即ち、ステー303は、先端部において、Z軸方向に貫通する穴305を画定する内周面304を有する。
【0054】
フレーム31は、図1及び図2に示すように、X軸方向に延び、一対の終端部材30同士を接続する。本実施形態の保持部材3では、フレーム31は、一対の終端部材30(本体300)のY軸方向の両端同士をそれぞれ接続する。即ち、保持部材3は、一対のフレーム31を有する。
【0055】
具体的に、フレーム31は、Z軸方向における蓄電素子10の蓋板121と対応する位置においてX軸方向に延びる第一接続部310と、Z軸方向における蓄電素子10の閉塞部123と対応する位置においてX軸方向に延びる第二接続部311と、を有する。また、フレーム31は、Z軸方向に延び且つ第一接続部310と第二接続部311とのX軸方向の端部同士を接続する一対の支持部312を有する。また、フレーム31は、Z軸方向に延び且つ第一接続部310と第二接続部311とのX軸方向の中間部位同士を接続する補強部313を有する。このように、第一接続部310と第二接続部311との端部同士を一対の支持部312が接続することによって、フレーム31は、枠体状に形成される。
【0056】
インシュレータ4は、絶縁性を有する材料で構成されている。このインシュレータ4は、導電性を有するフレーム31と、複数の蓄電素子10との間に配置される。具体的に、インシュレータ4は、X軸方向に延び、且つ第一接続部310と複数の蓄電素子10との間に配置される第一絶縁部40と、X軸方向に延び、且つ第二接続部311と前記複数の蓄電素子10との間に配置される第二絶縁部41と、を有する。また、インシュレータ4は、Z軸方向に延び、且つ、支持部312と蓄電素子10との間に配置される一対の第三絶縁部42を有する。さらに、インシュレータ4は、Z軸方向に延び、且つ補強部313と蓄電素子10との間に配置される第四絶縁部43を有する。一対の第三絶縁部42のそれぞれは、第一絶縁部40と第二絶縁部41とのX軸方向の端部同士を接続する。また、第四絶縁部43は、X軸方向における補強部313と対応する位置において第一絶縁部40と第二絶縁部41とを接続する。
【0057】
バスバ5は、金属等の導電性を有する部材によって構成された薄板状の部材である。本実施形態のバスバ5は、蓄電素子10のセル端子13同士を接続する中間バスバ51と、蓄電素子10のセル端子13と端子台6とを接続する端部バスバ52とを有する。
【0058】
端子台6は、図5図11にも示すように、外部機器、他の蓄電装置等と接続されるモジュール端子61と、モジュール端子61とセル端子13とを電気的に接続する導電部材62と、導電部材62を保持し且つ絶縁性を有する基台部63と、を有する。また、端子台6は、蓄電装置1の不使用時等にモジュール端子61が人や他の部材等と接触するのを防ぐために該モジュール端子61を覆う端子カバー64も有する。本実施形態の端子台6は、インサート成形によって形成されている。このため、端子台6において、導電部材62と基台部63とが一体となっている。
【0059】
導電部材62は、導電性を有する板状の部材である。本実施形態の導電部材62は、Y軸方向から見てL字状の板状の部材、即ち、中間位置で屈曲している板状の部材である。具体的に、導電部材62は、所定の方向(本実施形態の例ではX軸方向)に延び且つ基台部63を介して終端部材30に固定される第一部位621と、第一部位621から前記所定の方向と交差する方向(本実施形態の例ではZ軸方向)に延びる第二部位622と、を有する。
【0060】
第一部位621は、X−Y面(X軸とY軸とを含む面)方向に広がる板状の部位である。本実施形態の第一部位621は、Y軸方向に長い板状の部位である(図9参照)。この第一部位621では、一部が基台部63に覆われ、基台部63に覆われていない部位には、端部バスバ52が接続(本実施形態の例では、溶接)されている(図1参照)。
【0061】
第二部位622は、第一部位621のX軸方向の端縁から延び且つY−Z面方向に広がる板状の部位である。この第二部位622は、X軸方向視において非円形の輪郭を有する。この輪郭は、第二部位622の周端面(端面)によって構成される。具体的に、第二部位622は、モジュール端子61が突出する矩形状の部位6221と、矩形状の部位6221の先端(Z軸方向の先端)から延び且つ矩形状の部位6221よりY軸方向の寸法の小さな差込片6222と、を有する(図10参照)。矩形状の部位6221の中央部からモジュール端子61が突出している。
【0062】
モジュール端子61は、導電部材62(本実施形態の例では、第二部位622)から突出するネジ部611を有する。具体的に、モジュール端子61は、X軸方向に延びるネジ部611と、ネジ部611の一端においてY−Z面方向に広がる頭部612と、を有する。このモジュール端子61は、金属等の導電性を有する部材によって構成されている。
【0063】
基台部63は、終端部材30に固定され、且つ導電部材62に対して終端部材30が位置する側において該導電部材62を支持する支持部630と、支持部630との間に導電部材62の少なくとも一部を挟み込む押さえ部635と、を有する。本実施形態の基台部63は、支持部630と押さえ部635とが一体成形された樹脂製である。
【0064】
支持部630は、導電部材62の第一部位621を支持する第一支持部631と、導電部材62の第二部位622を支持する第二支持部632とを有する。
【0065】
第一支持部631は、導電部材62の第一部位621が嵌り込む凹部633を有する。この凹部633は、Z軸方向において終端部材30側から第一部位621と面接触するように該第一部位621を支持する支持面6331と、支持面6331の周縁から立設され且つ第一部位621の周端面(端面)6210の少なくとも一部と面接触する当接面6332と、を有する。本実施形態の当接面6332は、第二部位622との接続部位を除いた第一部位621の周縁の全域において、第一部位621の周端面6210と面接触している。
【0066】
第二支持部632は、第一支持部631のX軸方向の端部から終端部材30のステー303に沿ってZ軸方向に延びている。この第二支持部632は、X軸方向の終端部材30側から第二部位622を支持している。また、第二支持部632は、ネジ部611を回転軸とするトルクと交差する方向に広がり且つ導電部材62の第二部位622の輪郭を構成する周端面(端面)6220の少なくとも一部と面接触する当接面6320を有している。本実施形態の第二支持部632は、第二部位622における第一部位621との接続部位を除く周端面(端面)6220の全域と面接触する当接面6320を有している。また、第二支持部632の先端部(Z軸方向における第一支持部631とは反対側の端部)は、第二部位622の差込片6222を覆い、ステー303の先端部に設けられた穴305内に該差込片6222と共に挿入されている(図10参照)。また、第二支持部632は、導電部材62の第二部位622から突出するネジ部611(モジュール端子61)が間に位置するように互いに対向する一対の側壁部6321を有する(図9参照)。一方の側壁部6321のX軸方向の端縁部において、端子カバー64が前記端縁部に沿って延びる所定の軸(本実施形態の例では、Z軸方向に延びる軸)Cを回転中心に回動可能に取り付けられている(図5及び図6参照)。この端子カバー64が閉じた状態(一対の側壁部6321の端縁間に掛け渡された状態:図5参照)では、一対の側壁部6321と該端子カバー64とによってモジュール端子61が囲われる。一方、端子カバー64が開いた状態(所定の軸Cを回転中心にして回動した状態:図6参照)では、モジュール端子61の先端側が開放された状態となる。
【0067】
押さえ部635は、第一支持部631との間に第一部位621の一部を挟み込んでいる。本実施形態の押さえ部635は、第一支持部631との間に、第一部位621におけるY軸方向の一方(Y軸方向における終端部材の中心側)の端部とX軸方向の外側の端部とを挟み込んでいる。
【0068】
以上のような支持部630と押さえ部635とを有する基台部63は、金属製のリベット65によって終端部材30の支持片302に固定されている(図9及び図11参照)。即ち、リベット65は、基台部63(詳しくは、第一支持部631)と終端部材30(詳しくは、支持片302)とを貫通した状態で、これら基台部63と終端部材30とを締結している。本実施形態のリベット65は、基台部63における導電部材62が配置されていない部位を貫通している。
【0069】
以上の蓄電装置1によれば、基台部63において終端部材30に対して固定された支持部630(詳しくは、第一支持部631)に導電部材62(詳しくは、第一部位621)が支持された状態でその少なくとも一部を押さえ部635によって該支持部630との間に挟み込まれているため、導電部材62の変位(詳しくは、終端部材30から離間する方向への変位)が効果的に抑えられる。
【0070】
本実施形態の蓄電装置1は、終端部材30を含み且つ蓄電素子10を保持する保持部材3を備えている。このように、蓄電装置1が保持部材3を備えることで、終端部材30だけでなく該終端部材30を含む保持部材3の各部位に伝わった振動等も端子台6に伝わる。このため、蓄電装置1が搭載された機器等の振動等が端子台6により伝わり易くなるが、導電部材62の少なくとも一部(本実施形態の例では、第一部位621の一部)が押さえ部635によって支持部630との間に挟み込まれているため、前記振動等に起因する導電部材62の変位がより効果的に抑えられる。
【0071】
本実施形態の蓄電装置1では、導電部材62がX軸方向に延びる第一部位621と第一部位621からZ軸方向に延びる第二部位622とを有し、モジュール端子61のネジ部611が第二部位622から突出している。また、基台部63において、押さえ部635が第一部位621の少なくとも一部を支持部630との間に挟み込んでいる。このため、モジュール端子61に外部からの接続端子等を接続するためにネジ部611にナット等を締め付けたときに第二部位622において生じたトルクによって該第二部位622と連続する第一部位621が支持部630に対して傾いてその一部が支持部630から離間しようとする。しかし、第一部位621が押さえ部635によって支持部630との間に挟み込まれているため、前記トルクに起因する第一部位621の前記離間(がたつき等)を防ぐことができる。
【0072】
本実施形態の蓄電装置1では、導電部材62の第二部位622が、X軸方向視において非円形の輪郭を有し、基台部63の第二支持部632が、ネジ部611を回転軸とするトルクと交差する方向に広がり且つ第二部位622(導電部材62)の前記輪郭を構成する周端面6220と面接触する当接面6320を有している。このため、モジュール端子61に外部からの接続端子等を接続するためにネジ部611にナット等を締め付けるときに第二部位622にネジ部611を回転軸とするトルクが生じても、該トルクと交差する方向に広がる当接面6320が第二部位622の周端面6220に面接触して前記トルクを受け止める。その結果、第二部位622(導電部材62)の前記トルクに起因する回転を防ぐことができる。
【0073】
次に、本発明の第二実施形態について図12図17も参照しつつ説明する。尚、本実施形態に係る蓄電装置は、第一実施形態の蓄電装置1とは端子台の構成のみが異なっているため、以下では、上記第一実施形態の蓄電装置1と同様の構成には同一符号を用いて詳細な説明を省略し、異なる構成である端子台についてのみ詳細に説明する。
【0074】
蓄電装置は、図12及び図13に示すように、セル端子(第一外部端子)13を有する蓄電素子10と、蓄電素子10と隣り合うスペーサ2A、2Bと、蓄電素子10及びスペーサ2A、2Bをひとまとめに保持し且つ終端部材30を有する保持部材3と、セル端子13に接続されるバスバ5と、終端部材30に取り付けられる端子台(端子部)206と、を備える。また、蓄電装置1は、蓄電素子10と保持部材3との間に配置されるインシュレータ4を備える。
【0075】
端子台206は、図14図17にも示すように、モジュール端子61と、モジュール端子61とセル端子13とを電気的に接続する導電部材262と、導電部材262を保持する基台部263と、を有する。本実施形態の端子台206は、インサート成形によって形成されている。このため、端子台206において、導電部材262と基台部263とが一体となっている。
【0076】
導電部材262は、導電性を有する板状の部材である。本実施形態の導電部材262は、X−Y面方向に広がる板状の部材であり、Y軸方向に長い。この導電部材262では、一部が基台部263に覆われ、基台部263に覆われていない部位には、端部バスバ52が接続(本実施形態の例では、溶接)されている(図12参照)。また、導電部材262からモジュール端子61のネジ部611が突出している。本実施形態のネジ部611は、導電部材262の中央部からZ軸方向に突出している。この導電部材262は、図16に示すように、ネジ部611が突出する方向視において非円形の輪郭を有する。この輪郭は、導電部材262の周端面(端面)2620によって構成される。
【0077】
基台部263は、終端部材30に固定され、且つ導電部材262に対して終端部材30が位置する側において該導電部材262を支持する支持部2630と(図17参照)、支持部2630との間に導電部材262の少なくとも一部を挟み込む押さえ部2635と(図16参照)、を有する。本実施形態の基台部263は、支持部2630と押さえ部2635とが一体成形された樹脂製である。
【0078】
支持部2630は、導電部材262が嵌り込む凹部2633を有する。この凹部2633は、Z軸方向において終端部材30側から導電部材262と面接触するように該導電部材262を支持する支持面26331と、導電部材262に生じるネジ部611を回転軸とするトルクと交差する方向に広がり且つ周端面2620の少なくとも一部と面接触する当接面26332と、を有する。本実施形態の当接面26332は、支持面26331の周縁から立設され且つ導電部材262の周端面2620と全周に亘って面接触している。
【0079】
押さえ部2635は、支持部2630との間に導電部材262の一部を挟み込んでいる。本実施形態の押さえ部2635は、支持部2630との間に、導電部材262におけるY軸方向の一方(Y軸方向における終端部材30の中心側)の端部と、他方の端部(モジュール端子61のネジ部611を挟んで反対側の端部)とを挟み込んでいる。
【0080】
以上のような支持部2630と押さえ部2635とを有する基台部263は、金属製のリベット65によって終端部材30の支持片302に固定されている(図16参照)。即ち、リベット65は、基台部263と終端部材30(支持片302)とを貫通した状態で、これら基台部263と終端部材30とを締結している。本実施形態のリベット65も、第一実施形態と同様に、基台部263における導電部材262が配置されていない部位を貫通している。
【0081】
以上の蓄電装置1では、導電部材262がネジ部611を周方向に囲う非円形の周端面2620を有し、基台部263がネジ部611を回転軸とするトルクと交差する方向に広がり且つ周端面2620における前記トルクと公差する方向に広がる部位の少なくとも一部と面接触する当接面26332を有している。このため、モジュール端子61に外部からの接続端子等を接続するためにネジ部611にナット等を締め付けるときに導電部材262にネジ部611を回転軸とするトルクが生じても、該トルクと交差する方向に広がる当接面26332が導電部材262の周端面2620に面接触して前記トルクを受け止めることで、導電部材262の前記トルクに起因する回転を防ぐことができる。
【0082】
しかも、本実施形態の蓄電装置1では、端子台206が、導電部材262と基台部263とが一体であるインサート成形品であるため、板状の導電部材262の周端面(即ち、厚さ方向の寸法の小さな周端面)2620と基台部263の当接面26332とが該周端面2620の全周に亘って確実に面接触している。これにより、モジュール端子61に外部からの接続端子等を接続するときに生じるトルクに起因する導電部材262の回転がより確実に防がれる。
【0083】
尚、本発明の蓄電装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0084】
上記第一及び第二実施形態の端子台6、206では、リベット65が、基台部63、263と終端部材30(支持片302)とを貫通した状態で、これら基台部63、263と終端部材30とを締結しているが、この構成に限定されない。例えば、図18に示すように、リベット65が、導電部材62、262と基台部63、263と終端部材30とを貫通してこれら導電部材62、262と基台部63、263と終端部材30とを締結する構成でもよい。この場合、リベット65と、導電部材62、262における該リベット65の貫通している穴の内周面625との間に、絶縁部材70が配置される。かかる構成によれば、絶縁部材70によってリベット65と導電部材62、262との間の絶縁性を維持しつつ、硬い金属製のリベット65によって導電部材62、262と基台部63、263を終端部材30に強固に締結することができる。その結果、蓄電装置1において、導電部材62、262の振動をより確実に抑えることができる。
【0085】
この場合(リベット65が、導電部材62、262と基台部63、263と終端部材30とを貫通すると共に、絶縁部材70が配置される場合)、図19に示すように、端子台6、206は、絶縁部材70とリベット65との間において、該リベット65を囲む(詳しくは、リベット65の基台部63、263等を貫通する軸状の部位を周方向に囲う)金属製の筒状部材71を有してもよい。図19に示す例では、筒状部材71は、円筒状である。このように、リベット65における導電部材62、262、基台部63、263、及び終端部材30を貫通している部位を囲むように金属製の筒状部材71が配置されることで、その外側に配置されている絶縁部材70にリベット65からの応力(リベット65をかしめる際に生じる応力等)が伝わるのを防ぐことができる。これにより、前記応力によって絶縁部材70が変形することを防ぐことができる。
【0086】
また、筒状部材71が配置される場合、図20に示すように、基台部63、263と絶縁部材70とは、一体であってもよい。この場合、端子台6、206は、導電部材62、262と基台部63、263と絶縁部材70とが一体化されたインサート成形品であってもよい。かかる構成によれば、導電部材62、262における穴の内周面625と絶縁部材70との間に隙間が形成されることを抑制できる。その結果、リベット65と導電部材62、262との間の絶縁性を効果的に維持することができる。尚、筒状部材71が配置されていない構成であっても、基台部63、263と絶縁部材70とが一体であってもよい。
【0087】
また、筒状部材71の具体的な形状は、限定されない。例えば、絶縁部材70は、図21に示すように、複数(図21に示す例では二つ)の部材によって構成されてもよく、筒状の部位以外の部位(図21に示す例では鍔状の部位等)を有していてもよい。この絶縁部材70は、例えば具体的には、以下の通りである。
【0088】
リベット65は、導電部材62、262と基台部63、263と終端部材30とを貫通する軸部651と、軸部651における該軸部651の貫通方向に間隔をあけた位置で前記貫通方向と直交する面方向にそれぞれ広がり、且つその間に導電部材62、262と基台部63、263と終端部材30とを挟み込む一対の大径部652と、を有する。
【0089】
絶縁部材70は、第一部材75と第二部材76とによって構成される。
【0090】
第一部材75は、リベット65の軸部651の周囲を囲む第一筒部751と、リベット65の一方(図21に示す例では上方)の大径部652と該一方の大径部652と隣り合う導電部材62、262、基台部63、263、又は終端部材30(図21に示す例では、基台部63、263)との間において第一筒部751の端部から広がる第一鍔部752と、を有する。また、図21に示す例では、第一部材75は、第一鍔部752からリベット65の大径部652を囲うように立ち上がる(立設される)第一起立部753も有している。
【0091】
第二部材76は、第一筒部751とリベット65の貫通している穴の内周面625との間において該第一筒部751を囲う第二筒部761と、リベット65の他方(図21に示す例では下方)の大径部652と該他方の大径部652と隣り合う導電部材62、262、基台部63、263、又は終端部材30(図21に示す例では、終端部材30)との間において第二筒部761の端部から広がる第二鍔部762と、を有する。また、図21に示す例では、第二部材76は、第一部材75と同様に、第二鍔部762からリベット65の大径部652を囲うように立ち上がる(立設される)第二起立部763も有している。
【0092】
かかる構成によれば、大径部652と、該大径部652と隣り合う部材(導電部材62、262、基台部63、263、又は終端部材30)との間に絶縁部材70の鍔部(第一部材75の第一鍔部752、又は第二部材76の第二鍔部762)が配置されているため、リベット65と導電部材62、262との間、リベット65と終端部材30との間の沿面距離を十分に確保することができる。しかも、第一部材75が第一起立部753を有し、且つ第二部材76が第二起立部763を有する場合、前記沿面距離がより大きくなる。
【0093】
また、基台部63、263の終端部材30への具体的な固定方法は、限定されない。例えば、上記第一及び第二実施形態の蓄電装置1では、基台部63、263が終端部材30にリベット65によって固定されているが、他の固定部材、固定方法によって固定されてもよい。例えば具体的には、基台部63、263は、ボルト及びナットを用いて終端部材30に固定されてもよい。
【0094】
上記第一及び第二実施形態の蓄電装置1では、端子台6、206がインサート成形によって形成されているが、この構成に限定されない。基台部63、263が形成された後、該基台部63、263の凹部633、2633に導電部材62、262を嵌め込むことによって端子台6、206を形成してもよい。
【0095】
端子台6、206の基台部63、263が押さえ部635、2635及び当接面6332、26332を備える場合、端子台6、206は、導電部材62、262と、基台部63、263の押さえ部635、2635及び当接面6332、26332とが一体化されたインサート成形品であってもよい。基台部63、263に導電部材62、262を嵌め込む構成の場合、導電部材62、262と押さえ部635、2635との間又は導電部材62、262と当接面6332、26332との間に隙間を形成しないと嵌め込むことが困難となる。一方、上記の構成(インサート成形品)によれば、導電部材62、262と押さえ部635、2635との間及び導電部材62、262と当接面6332、26332との間に隙間が形成されることを抑制できる。その結果、導電部材62、262の変位及びネジ部611を回転軸とするトルクに起因する導電部材62、262の回転を効果的に抑えることができる。
【0096】
導電部材62、262の具体的構成は、限定されない。導電部材62、262の形状(輪郭、折り曲げの角度、折り曲げられる箇所の数等)は、モジュール端子61のネジ部611が貫通する部位と、端部バスバ52が接続される部位とが確保された状態で、適宜設定される。
【0097】
上記第一及び第二実施形態の蓄電装置1では、端子台6、206において支持部630、2630と押さえ部635、2635とが一体であるが、別体であってもよい。
【0098】
上記第一及び第二実施形態の蓄電装置1では、導電部材62、262と端部バスバ52とが一体であってもよい。
【0099】
上記第一及び第二実施形態の蓄電装置1では、モジュール端子61がネジ部611を有するが、モジュール端子61は、ネジ部611を有さず、溶接等によって出力端子と接続されてもよい。
【0100】
上記第二実施形態の端子台206では、基台部263の当接面26332が、導電部材262の周端面2620と全周に亘って面接触しているが、この構成に限定されない。導電部材262が非円形の周端面2620を有し、且つ、基台部263の当接面26332がネジ部611を回転軸とするトルクと交差する方向に広がっていれば、該当接面26332は、導電部材262の周端面2620の一部(複数箇所を含む)のみと面接触していてもよい。かかる構成によっても、モジュール端子61に外部からの接続端子等を接続するためにネジ部611にナット等を締め付けるときに導電部材262にネジ部611を回転軸とするトルクが生じても、該トルクと交差する方向に広がる当接面26332が導電部材262の周端面2620に面接触して前記トルクを受け止める。これにより、導電部材262の前記トルクに起因する回転を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0101】
1…蓄電装置、10…蓄電素子、11…電極体、12…ケース、120…ケース本体、121…蓋板、123…閉塞部、124…胴部、125…第一壁、126…第二壁、13…外部端子(セル端子)、15…絶縁部材、2A…内部スペーサ、20A…ベース、21A…規制部、2B…外部スペーサ、20B…ベース、201B…ベース本体、202B…外部接触部、203B…内部接触部、21B…規制部、3…保持部材、30…終端部材、300…本体、301…圧接部、302…支持片、303…ステー、304…内周面、305…穴、31…フレーム、310…第一接続部、311…第二接続部、312…支持部、313…補強部、4…インシュレータ、40…第一絶縁部、41…第二絶縁部、42…第三絶縁部、43…第四絶縁部、5…バスバ、51…中間バスバ、52…端部バスバ、6、206…端子台、61…外部端子(モジュール端子)、611…ネジ部、612…頭部、62、262…導電部材、2620…周端面、621…第一部位、6210…周端面、622…第二部位、6220…第二部位の周端面(端面)、6221…矩形状の部位、6222…差込片、625…内周面、63、263…基台部、630、2630…支持部、631…第一支持部、632…第二支持部、6321…側壁部、633、2633…凹部、6331、26331…支持面、6320、6332、26332…当接面、635、2635…押さえ部、64…端子カバー、65…リベット、70…絶縁部材、71…筒状部材、75…第一部材、751…第一筒部、752…第一鍔部、753…第一起立部、76…第二部材、761…第二筒部、762…第二鍔部、763…第二起立部、800…出力ライン、800A…接続端子、801…ナット、802…止ネジ、803…電極端子、804…中継バスバ、805…エンドプレート、806…基台部、C…所定の軸
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