【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
製造例で得られた積層樹脂の物性測定、および実施例ならびに比較例で得られた合成樹脂積層体の評価は以下のように行った。
【0039】
<重量平均分子量>
あらかじめ標準ポリスチレンをクロロホルムに溶かしてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した検量線を基準にして、スチレン−不飽和ジカルボン酸共重合体(a1)とビニル系単量体を含有する樹脂(a2)とポリカーボネート樹脂(B)を同様にGPCで測定した。両者の比較、すなわち、標準ポリスチレンとa1、標準ポリスチレンとa2、および標準ポリスチレンとBの比較により、a1、a2、およびBのそれぞれの樹脂の重量平均分子量を算出した。いずれの場合も、ポリスチレン換算の値である。
GPCの装置構成は以下の通りである。
装置:Wates 2690
カラム:Shodex GPC KF−805L 8φ×300mm 2連結
展開溶媒:クロロホルム
流速:1ml/min
温度:30℃
検出器:UV・・・486nm ポリカーボネート(B)
RI・・・スチレン−不飽和ジカルボン酸共重合体(a1)とビニル系単量体を含有する樹脂(a2)
【0040】
<吸水率>
JIS−K7209 A法に準処し吸水率測定を行った。まずプレス成型で作成した60mm×60mm×1.0mmの試験片を作成し、それを50℃のオーブンに入れて乾燥させた。24時間後、試験片をオーブンから取り出し、23℃に温調したデシケーター中で冷却した。1時間後、試験片の重量を測定し、その後23℃の水中に投入した。480時間後、水中から試験片を取り出し、表面の水分を拭き取った後、重量を測定した。水中投入後の重量と乾燥直後の重量の差を乾燥直後の重量で除し、その値に100を乗じることで、吸水率を算出した。
【0041】
<高温高湿曝露試験>
試験片を10cm×6cm四方に切り出した。試験片を2点支持型のホルダーにセットして温度23℃、相対湿度50%に設定した環境試験機に24時間以上投入して状態調整した後、反りを測定した(処理前)。次に試験片をホルダーにセットして温度85℃、相対湿度85%に設定した環境試験機の中に投入し、その状態で120時間保持した。さらに温度23℃、相対湿度50%に設定した環境試験機の中にホルダーごと移動し、その状態で4時間保持後に再度反りを測定した(処理後)。反りの測定には、電動ステージ具備の3次元形状測定機を使用し、取り出した試験片を上に凸の状態で水平に静置し、1mm間隔でスキャンし、中央部の盛り上がりを反りとして計測した。(処理後反り量)−(処理前反り量)を形状変化量として、形状安定性を評価した。
【0042】
<鉛筆引っかき硬度試験>
JIS K 5600−5−4に準拠し、表面に対して角度45度、荷重750gで樹脂(A)の表面に次第に硬度を増して鉛筆を押し付け、傷跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を鉛筆硬度として評価した。
【0043】
<ガラス転移温度測定>
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計Pyris1型を用いて、窒素雰囲気下、25℃で1分間保持後、10℃/分の昇温速度下で測定し、接線法を用いて得られたDSC曲線における2つの接線の交点をガラス転移温度として求めた。ガラス転移温度が110℃以上で合格とした。
【0044】
<各種材料例>
樹脂Aおよびポリカーボネート樹脂Bについて、下記に示す材料を例示するが、これに限定されるわけではない。
A1:スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体:電気化学工業(株)KX−378
A2:スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体:電気化学工業(株)KX−381
A3:ビニル系単量体を含有する樹脂:クラレ(株)製メチルメタクリレート樹脂パラペットHR−L
A4:ビニル系単量体を含有する樹脂:アルケマ(株)製アトグラスHT121
A5:ビニル系単量体を含有する樹脂:新日鉄化学(株)製MS800
B1:ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ユーピロンS−1000
【0045】
製造例1〔樹脂(A11)ペレットの製造〕
スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体(a1)としてKX−378(電気化学工業製、重量平均分子量:170,000、スチレン系単量体:不飽和ジカルボン酸無水物単量体:ビニル系単量体の比であるb1:b2:b3=65:15:20)25質量%と、ビニル系単量体を構成単位とする樹脂(a2)であるメチルメタクリレート樹脂としてパラペットHR−L(クラレ製)75質量%と、りん系添加剤PEP36(ADEKA製) 500ppm、およびステアリン酸モノグリセリド(製品名:H−100、理研ビタミン製)0.2%を仕込みブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機を用い、シリンダー温度260℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
得られたペレットは透明であり、ガラス転移温度は、110℃であり、吸水率は0.9%であった。
【0046】
製造例2〔樹脂(A12)ペレットの製造〕
製造例1で用いたスチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体KX−378を50質量%、メチルメタクリレート樹脂として、パラペットHR−Lを50質量%の比率で混合し、ペレット化した。ペレット化は製造例1と同様の条件で行った。ペレットは安定して製造できた。
得られたペレットは透明であり、ガラス転移温度は、118℃であり、吸水率は0.7%であった。
【0047】
製造例3〔樹脂(A13)ペレットの製造〕
製造例1で用いたスチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体KX−378を75質量%、メチルメタクリレート樹脂として、パラペットHR−Lを25質量%の比率で混合し、ペレット化した。ペレット化は製造例1と同様の条件で行った。ペレットは安定して製造できた。
得られたペレットは透明であり、ガラス転移温度は、121℃であり、吸水率は0.6%であった。
【0048】
製造例4〔樹脂(A14)ペレットの製造〕
スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体としてKX−381(電気化学工業製、重量平均分子量:185,000、b1:b2:b3=55:20:25)25質量%と、メチルメタクリレート樹脂としてパラペットHR−Lを75質量%と、りん系添加剤PEP36(ADEKA製) 500ppm、およびステアリン酸モノグリセリド(製品名:H−100、理研ビタミン製)0.2%を仕込みブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機を用い、シリンダー温度260℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
得られたペレットは透明であり、ガラス転移温度は、114℃であり、吸水率は0.9%であり、鉛筆硬度は2Hであった。
【0049】
製造例5〔樹脂(A15)ペレットの製造〕
スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体(a1:後述の表1中のB)としてKX−381(電気化学工業製、重量平均分子量:185,000、b1:b2:b3=55:20:25)50質量%と、メチルメタクリレート樹脂(a2:後述の表1中のA)としてパラペットHR−Lを50質量%と、りん系添加剤PEP36(ADEKA製) 500ppm、およびステアリン酸モノグリセリド(製品名:H−100、理研ビタミン製)0.2%を仕込みブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機を用い、シリンダー温度260℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
得られたペレットは透明であり、ガラス転移温度は、121℃であり、吸水率は0.8%であり、鉛筆硬度はHであった。
【0050】
製造例6〔樹脂(A16)ペレットの製造〕
スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体(a1:後述の表1中のB)としてKX−381(電気化学工業製、重量平均分子量:185,000、b1:b2:b3=55:20:25)75質量%と、メチルメタクリレート樹脂(a2:後述の表1中のA)としてパラペットHR−Lを25質量%と、りん系添加剤PEP36(ADEKA製) 500ppm、およびステアリン酸モノグリセリド(製品名:H−100、理研ビタミン製)0.2%を仕込みブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機を用い、シリンダー温度260℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
得られたペレットは透明であり、ガラス転移温度は、127℃であり、吸水率は0.7%であり、鉛筆硬度はHであった。
製造例7〔樹脂(A17)ペレットの製造〕
スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体としてKX−381(電気化学工業製、重量平均分子量:185,000、b1:b2:b3=55:20:25)50質量%と、メチルメタクリレートースチレン樹脂としてエスチレンMS800(新日鉄化学製)を50質量%と、りん系添加剤PEP36(ADEKA製) 500ppm、およびステアリン酸モノグリセリド(製品名:H−100、理研ビタミン製)0.2%を仕込みブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機を用い、シリンダー温度260℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
得られたペレットは透明であり、ガラス転移温度は、114℃であり、吸水率は0.5%であった。
【0051】
製造例9〔高硬度層に被覆する光硬化性樹脂組成物(C11)の製造〕
撹拌翼を備えた混合槽に、トリス(2−アクロキシエチル)イソシアヌレート(Aldrich社製)60質量部と、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名:215D)40質量部と、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン社製、商品名:DAROCUR TPO)1質量部と、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Aldrich社製)0.3質量部と、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバ・ジャパン社製、商品名:TINUVIN234)1質量部からなる組成物を導入し、40℃に保持しながら1時間撹拌して光硬化性樹脂組成物(C11:後述の表2参照)を得た。
【0052】
製造例10〔基材層に被覆する光硬化性樹脂組成物(C12)の製造〕
撹拌翼を備えた混合槽に、1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名:ビスコート#260)40質量部と、6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業社製、商品名:U−6HA)40質量部と、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比が1/2/4である縮合物20質量部と、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン社製、商品名:DAROCUR TPO)2.8質量部と、ベンゾフェノン(Aldrich社製)1質量部と、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(チバ・ジャパン社製、商品名:TINUVIN234)1質量部からなる組成物を導入し、40℃に保持しながら1時間撹拌して光硬化性樹脂組成物(C12)を得た。
【0053】
比較製造例1〔樹脂(D11)ペレットの製造〕
スチレン−不飽和ジカルボン酸系共重合体としてKX−378(電気化学工業製、重量平均分子量:170,000、b1:b2:b3=65:15:20)10質量%と、メチルメタクリレート樹脂としてパラペットHR−L(クラレ製)90質量%と、りん系添加剤PEP36(ADEKA製) 500ppm、およびステアリン酸モノグリセリド(製品名:H−100、理研ビタミン製)0.2%を仕込みブレンダーで20分混合後、スクリュー径26mmの2軸押出機を用い、シリンダー温度260℃で溶融混錬して、ストランド状に押出してペレタイザーでペレット化した。ペレットは安定して製造できた。
得られたペレットは透明であり、ガラス転移温度は、100℃であり、吸水率は1.2%であった。
【0054】
実施例1
軸径40mmの単軸押出機と、軸径75mmの単軸押出機と、各押出機と連結したマルチマニホールドダイとを有する多層押出装置を用いて合成樹脂積層体を成形した。軸径40mmの単軸押出機に製造例1で得た樹脂(A11)を連続的に導入し、シリンダー温度240℃、吐出量4.0kg/hの条件で押し出した。また軸径75mmの単軸押出機にポリカーボネート樹脂(B1:表2参照)(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000、上記式[1]の芳香族ポリカーボネート、質量平均分子量:33,000)を連続的に導入し、シリンダー温度270℃、吐出量63.0kg/hで押し出した。各押出機で押し出された樹脂をマルチマニホールド内部で積層し、シート状にしてTダイから押し、上流側から温度130℃、120℃、190℃とした3本の鏡面仕上げロールで鏡面を転写しながら冷却し、(A11)と(B1)の積層体(E1)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A11)から成る層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は200μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は2Hであった。
【0055】
実施例2
実施例1で得た積層体(E1)の(A11)から成る高硬度層上に、製造例9で得た光硬化性樹脂組成物(C11)を、硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布し、PETフィルムで覆って圧着した。また、(B1)から成る基材層上に製造例10で得た光硬化性樹脂組成物(C12)を、硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布し、PETフィルムで覆って圧着した。続いて、光源距離12cm、出力80W/cmの高圧水銀灯を備えたコンベアでラインスピード1.5m/分の条件で紫外線を照射し硬化させてPETフィルムを剥離し、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を備えた積層体(E2)を得た。高温高湿暴露試験の結果は9μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は4Hであった。40mm単軸押出機の吐出量を7.0kg/h、75mm単軸押出機の吐出量を60.0kg/hとした以外は、実施例1と同様にして(A11)と(B1)の積層体(E2)を得た。
得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A11)から成る高硬度層の厚みは中央付近で100μmであった。高温高湿暴露試験の結果は300μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は4Hであった。
【0056】
実施例3
樹脂(A11)の代わりに樹脂(A12)を使用した以外は、実施例1と同様にして(A12)と(B1)の積層体(E4)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A12)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は100μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果はHであった。
【0057】
実施例4
40mm単軸押出機の吐出量を7.0kg/h、75mm単軸押出機の吐出量を60.0kg/hとした以外は、実施例3と同様にして(A12)と(B1)の積層体(E4)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A11)から成る高硬度層の厚みは中央付近で100μmであった。高温高湿暴露試験の結果は150μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は2Hであった。
【0058】
実施例5
実施例4で得た積層体(E4)の(A12)から成る高硬度層上に、製造例9で得た光硬化性樹脂組成物(C11)を、硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布し、PETフィルムで覆って圧着した。また、(B1)から成る基材層上に製造例10で得た光硬化性樹脂組成物(C12)を、硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布し、PETフィルムで覆って圧着した。続いて、光源距離12cm、出力80W/cmの高圧水銀灯を備えたコンベアでラインスピード1.5m/分の条件で紫外線を照射し硬化させてPETフィルムを剥離し、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を備えた積層体(E5)を得た。高温高湿暴露試験の結果は200μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は4Hであった。
【0059】
実施例6
樹脂(A11)の代わりに樹脂(A13)を使用した以外は、実施例1と同様にして(A13)と(B1)の積層体(E6)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A12)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は90μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果はHであった。
【0060】
実施例7
樹脂(A11)の代わりに樹脂(A14)を使用した以外は、実施例1と同様にして(A14)と(B1)の積層体(E7)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A12)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は200μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は2Hであった。
【0061】
実施例8
樹脂(A11)の代わりに樹脂(A15)を使用した以外は、実施例1と同様にして(A15)と(B1)の積層体(E8)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A12)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は120μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は2Hであった。
【0062】
実施例9
実施例8で得た積層体(E8)の(A15)から成る高硬度層上に、製造例9で得た光硬化性樹脂組成物(C11)を、硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布し、PETフィルムで覆って圧着した。また、(B1)から成る基材層上に製造例10で得た光硬化性樹脂組成物(C12)を、硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布し、PETフィルムで覆って圧着した。続いて、光源距離12cm、出力80W/cmの高圧水銀灯を備えたコンベアでラインスピード1.5m/分の条件で紫外線を照射し硬化させてPETフィルムを剥離し、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を備えた積層体(E9)を得た。高温高湿暴露試験の結果は200μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は4Hであった。
【0063】
実施例10
樹脂(A11)の代わりに樹脂(A16)を使用した以外は、実施例1と同様にして(A16)と(B1)の積層体(E10)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A12)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は100μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果はHであった。
【0064】
実施例11
樹脂(A11)の代わりに樹脂(A17)を使用した以外は、実施例1と同様にして(A18)と(B1)の積層体(E11)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A17)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は80μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は2Hであった。
【0065】
実施例12
実施例11で得た積層体(E11)の(A17)から成る高硬度層上に、製造例9で得た光硬化性樹脂組成物(C11)を、硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布しPETフィルムで覆って圧着した。また、(B1)から成る基材層上に製造例10で得た光硬化性樹脂組成物(C12)を、硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布し、PETフィルムで覆って圧着した。続いて、光源距離12cm、出力80W/cmの高圧水銀灯を備えたコンベアでラインスピード1.5m/分の条件で紫外線を照射し硬化させてPETフィルムを剥離し、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を備えた積層体(E12)を得た。高温高湿暴露試験の結果は150μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は3Hであった。
【0066】
実施例13
樹脂(A11)の代わりに樹脂(A1)を使用した以外は、実施例1と同様にして(A1)と(B1)の積層体(E13)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A1)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は40μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果はHであった。
【0067】
実施例14
樹脂(A11)の代わりに樹脂(A2)を使用した以外は、実施例1と同様にして(A2)と(B1)の積層体(E14)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A2)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は80μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果はHであった。
【0068】
実施例15
実施例14で得た積層体(E14)の(A2)から成る高硬度層上に、製造例9で得た光硬化性樹脂組成物(C11)を、硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布し、PETフィルムで覆って圧着した。また、(B1)から成る基材層上に製造例10で得た光硬化性樹脂組成物(C12)を、硬化後の塗膜厚さが3〜8μmとなるようバーコーターを用いて塗布し、PETフィルムで覆って圧着した。続いて、光源距離12cm、出力80W/cmの高圧水銀灯を備えたコンベアでラインスピード1.5m/分の条件で紫外線を照射し硬化させてPETフィルムを剥離し、高硬度層および基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を備えた積層体(E15)を得た。高温高湿暴露試験の結果は100μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は3Hであった。
【0069】
比較例1
樹脂(A11)の代わりに樹脂(A3)を使用した以外は、実施例1と同様にして(A3)と(B1)の積層体(F1)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A3)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は1000μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は3Hであった。
【0070】
比較例2
樹脂(A11)の代わりに樹脂(A4)を使用した以外は、実施例1と同様にして(A4)と(B1)の積層体(F2)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A4)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は1200μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は3Hであった。
【0071】
比較例3
樹脂(A11)の代わりに、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(A5)(新日鐵化学製MS樹脂。商品名:MS800)を、ポリカーボネート(B1)(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000、質量平均分子量:27,000)を使用して、軸径32mmの単軸押出機のシリンダー温度を220℃に、ロール温度を上流から130℃、140℃、190℃とした以外は、実施例1と同様にして(A5)と(B1)の積層体(F3)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(A3)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。さらに実施例3と同様にして積層体(F3)の高硬度層及び基材層上にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を備えた積層体(F4)を得た。高温高湿暴露試験の結果は500μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は3Hであった。
【0072】
比較例4
樹脂(A11)の代わりに、ポリカーボネート(B1)(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−1000、質量平均分子量:27,000)を使用して、軸径32mmの単軸押出機のシリンダー温度を260℃に、ロール温度を上流から130℃、140℃、190℃とした以外は、実施例1と同様にして(B1)と(B1)の積層体(F5)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mmであり、鉛筆引掻き硬度試験の結果は、2Bであった。さらに実施例3と同様にして積層体(F5)にそれぞれ(C11)および(C12)から成るハードコート層を備えた積層体(F6)を得た。高温高湿暴露試験の結果は100μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果はHBであった。
【0073】
比較例5
樹脂(A11)の代わりに樹脂(D11)を使用した以外は、実施例1と同様にして(D11)と(B1)の積層体(F7)を得た。得られた積層体の全体厚みは1.0mm、(D11)から成る高硬度層の厚みは中央付近で60μmであった。高温高湿暴露試験の結果は700μmであり、鉛筆引っかき硬度試験の結果は3Hであった。
【0074】
実施例及び比較例にあるように、ポリカーボネートを主成分とする基材層の片面にi)スチレン系単量体単位45〜70質量%、不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位10〜30質量%、ビニル系単量体10〜35質量%である特定のスチレン−不飽和ジカルボン酸共重合体25〜100質量%とii)ビニル系単量体を構成単位とする樹脂75〜0質量%をポリマーアロイした樹脂組成物を積層した樹脂積層体は、ビニル系単量体を構成単位とする樹脂単独を、ポリカーボネート樹脂を主成分とする基材層に積層させてなる比較例の樹脂積層体と比較して、高い表面硬度および耐熱性を有し、且つ高温高湿環境下での寸法安定性を有する。
【0075】
表1および2より、本発明の合成樹脂積層体は、高温や高湿な環境における形状変化量(反り量)が小さくて形状安定性に優れ、かつ表面硬度、耐候性および耐熱性にも優れていることが確認された。
【表1】
【表2】