(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571531
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】1液低温硬化コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 161/28 20060101AFI20190826BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20190826BHJP
C08G 12/32 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
C09D161/28
C09D7/63
C08G12/32
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-556080(P2015-556080)
(86)(22)【出願日】2014年1月28日
(65)【公表番号】特表2016-511307(P2016-511307A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(86)【国際出願番号】US2014013290
(87)【国際公開番号】WO2014120644
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】61/758,411
(32)【優先日】2013年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518326445
【氏名又は名称】オルネクス ネザーランズ ビー.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー、クアン − ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブロガン、ジョン、コリン
(72)【発明者】
【氏名】リン、ロン − タン、ウィルソン
【審査官】
安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−124501(JP,A)
【文献】
特開平11−076937(JP,A)
【文献】
特表2007−533839(JP,A)
【文献】
特許第3314198(JP,B2)
【文献】
国際公開第2011/150164(WO,A1)
【文献】
特開2004−292577(JP,A)
【文献】
特開平07−331166(JP,A)
【文献】
特開平07−278487(JP,A)
【文献】
特開昭62−207373(JP,A)
【文献】
特開平02−142815(JP,A)
【文献】
特開平03−273072(JP,A)
【文献】
特開昭54−120641(JP,A)
【文献】
特開昭52−049385(JP,A)
【文献】
特開昭56−042683(JP,A)
【文献】
特開昭49−055737(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/129582(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアミノプラスト架橋剤樹脂A、活性水素官能基を有するバインダー樹脂B、及び触媒組成物Cを含むコーティング組成物であって、触媒組成物Cが有機スルホン酸C1とアミンC2との混合物であり、アミンC2が第1級、第2級、又は第3級であり、pKa値が10以下でなければならず、且つ、4−クロロアニリン、p−エチルアニリン、4−ピコリン、及びN−エチルアニリンからなる群から選択される、コーティング組成物。
【請求項2】
アミンC2のpKa値が4以上である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
少なくとも1種のアミノプラスト架橋剤樹脂Aが、少なくとも1種の少なくとも部分的にエーテル化された、メラミンとホルムアルデヒドとの反応生成物を含み、組み合わされたホルムアルデヒドの物質量n(CH2O)対メラミンの物質量n(Mel)の比が、4.5モル/モルから6.2モル/モルの範囲にあり、アミノプラスト架橋剤樹脂Aにおけるアルキルエーテル基の物質量n(RO)対メラミンの物質量n(Mel)の比が4モル/モルから6.0モル/モルの範囲にあり、そして、モノマーの質量分率が30%から65%の範囲にあり、これは、モノマーの質量m(1)対アミノプラスト架橋剤樹脂Aの質量m(A)の比として計算され、この際、溶媒、添加剤、及び触媒は除外される、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
少なくとも2種のアミノプラスト架橋剤樹脂A1及びA2がコーティング組成物中に存在する、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
アミノプラスト架橋剤樹脂の1種であるA1が、少なくとも1種の少なくとも部分的にエーテル化された、メラミンとホルムアルデヒドとの反応生成物を含み、組み合わされたホルムアルデヒドの物質量n(CH2O)対メラミンの物質量n(Mel)の比はが5.55モル/モルから6.2モル/モルの範囲にあり、アミノプラスト架橋剤樹脂Aにおけるアルキルエーテル基の物質量n(RO)対メラミンの物質量n(Mel)の比が5.0モル/モルから5.6モル/モルの範囲にあり、そして、モノマーの質量分率はが35%から55%の範囲にあり、これは、モノマーの質量m(1)対アミノプラスト架橋剤樹脂A1の質量m(A)の比として計算され、この際、溶媒、添加剤、及び触媒は除外される、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
アミノプラスト架橋剤樹脂の1種であるA2が、少なくとも1種の少なくとも部分的にエーテル化された、メラミンとホルムアルデヒドとの反応生成物を含み、組み合わされたホルムアルデヒドの物質量n(CH2O)対メラミンの物質量n(Mel)の比が5.75モル/モルから6.5モル/モルの範囲にあり、アミノプラスト架橋剤樹脂Aにおけるアルキルエーテル基の物質量n(RO)対メラミンの物質量n(Mel)の比が4.5モル/モルから5.9モル/モルの範囲にあり、そして、モノマーの質量分率が55%から95%の範囲にあり、これは、モノマーの質量m(1)対アミノプラスト架橋剤樹脂A2の質量m(A)の比として計算され、この際、溶媒、添加剤、及び触媒は除外される、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
アミノプラスト架橋剤樹脂A1の質量m(A1)対アミノプラスト架橋剤樹脂A2の質量m(A2)の比が5:5から9:1である、請求項3から6のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
アミノプラスト架橋剤樹脂の少なくとも1種が少なくとも2種の異なるアルキル基であるアルキルエーテル基を有する、請求項3から7のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
バインダー樹脂Bは、ヒドロキシル基−OH、カルボキシル基−COOH、又はカルボキサミド基−CONH2の少なくとも1種を有する、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
バインダー樹脂Bが、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル−アルキドハイブリッド又はアクリル−ポリエステルハイブリッド、ポリエーテルポリマー、ポリオレフィンポリマー、及び、ポリウレタンポリマーからなる群から選択されるヒドロキシ官能性ポリマーであり、ポリウレタンポリマーはポリエーテル−ポリウレタン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリカーボネート−ポリウレタン、及びポリオレフィン−ポリウレタンからなる群から選択される、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
有機スルホン酸触媒C1が、分子中に芳香族炭素原子に結合した少なくとも1種のスルホン酸基、−SO3Hを有する芳香族スルホン酸、及び分子中に脂肪族炭素原子に結合した少なくとも1種のスルホン酸基、−SO3Hを有する脂肪族スルホン酸からなる群から選択される、請求項1又は2記載のコーティング組成物。
【請求項12】
有機スルホン酸触媒C1が、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、及びジノニルナフタレンジスルホン酸からなる群から選択される、請求項11に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
第1ステップで、1個から6個の炭素原子を有する脂肪族の直鎖状又は分岐鎖状のアルコールから選択される有機溶媒に任意に溶解される有機スルホン酸C1を、第1級、第2級、又は第3級であり、pKa値が10以下でなければならず、且つ、4−クロロアニリン、p−エチルアニリン、4−ピコリン、及びN−エチルアニリンからなる群から選択されるアミンC2に混合することにより触媒組成物Cを製造し、
第2ステップで、触媒組成物Cをアミノプラスト架橋剤Aに混合して混合物ACを形成し、
第3ステップで、混合物ACを、バインダー樹脂B又はバインダー樹脂Bの不活性溶媒L溶液に混合すること
を含む、請求項1又は2に記載のコーティング組成物を製造する方法。
【請求項14】
アミンC2のpKa値が4以上である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
酸触媒C1及びアミンC2の量が、アミンC2中のアミン窒素原子の物質量n(N)と触媒C1中の酸性水素原子の物質量n(H)の比が1.0モル/モルと1.5モル/モルとの間であるように選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
● 基板を請求項1又は2に記載のコーティング組成物でコーティングして、前記基板上に塗膜を形成するステップ、及び
● 塗膜を加熱により硬化し、この際、硬化温度が50℃と100℃との間であるステップ
を含む、請求項1若しくは2に記載の、又は請求項13若しくは14に記載の方法によって製造されたコーティング組成物の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノプラスト樹脂架橋剤、活性水素官能基を有するバインダー樹脂、及び触媒を含むコーティング組成物を対象とする。更に、本発明は、コーティング組成物の製造方法、及び可撓性又は剛性基板上に塗膜を形成するためのその使用方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
イミノ基の含量が低い多くの完全にアルキル化又はエーテル化されたホルムアルデヒドメラミン架橋剤は、2包コーティングシステムとして配合される場合、特に低温焼付けコーティングの用途に使用される場合に、良好に機能する。しかし、そのような配合物には、2包システムは、有機スルホン酸から最も好ましく選択される酸触媒の存在下で、アミノプラスト樹脂架橋剤と活性水素官能性バインダー樹脂とを混合した後、これら2成分の化学反応及び粘度上昇のために、ポットライフが8時間未満しかないという欠点がある。ポットライフを延長するための一般的な方法は、塩(それ自体は触媒ではない)を形成することによって酸触媒をブロックするアミンを使用することである。使用直前にのみ混合するという必要性がなく、活性水素官能性バインダー樹脂、アミノプラスト樹脂架橋剤、及び触媒の既成の混合物を、基材上への塗布前に8時間を超えて貯蔵可能なポットライフを有し、部分的な反応のために時期尚早に粘度が上昇しゲル化して、使用に適さなくなることがない、コーティング組成物、いわゆる「1包コーティング組成物」を配合することが可能である。これらのアミン塩は加熱により開裂して、アミンは蒸発し、酸を再生させることができる。しかし、これらのアミン塩の開裂のための温度は、通常高温であり、例えば少なくとも120℃であるため、このようなコーティング組成物は、低温硬化の用途、例えば紙、厚紙、皮革、木材、又は熱可塑性部品等の基材へは適さない。
【0003】
低温焼付けメラミン−ホルムアルデヒド樹脂硬化コーティング組成物は、米国特許第7,619,019号に提案されている。これらのコーティング組成物は、60℃から135℃、特に105℃未満の温度で硬化し、プラスチック基材に耐久性コーティングを形成することができる。これらのコーティング組成物は、1種以上の低温硬化性アルキルエーテル化アミノプラスト樹脂、1種以上のヒドロキシル基含有バインダー樹脂、及び1種以上のスルホン酸触媒を含み、前記スルホン酸触媒は、1種以上の揮発性アミンと塩を形成することによりブロックされ、前記アミンは、好ましくは相対蒸発速度(RER:relative evaporation rate)が50から500の第2級アミンであり、特に好ましくはRERが157のジ−n−プロピルアミン、即ち(CH
3−CH
2−CH
2−)
2NHである。しかし、この発明へと導いた実験において、この好ましいアミン、そして更に、好ましいとされる他の第2級アミン、例えばモルホリン(モル質量が87.12グラム/モル、20℃における蒸気圧が7mmHg、RER=87.12×7/ 11.6=52.6)又はN−メチルヘキシルアミン(モル質量が115.22グラム/モル、20℃における蒸気圧が5.5mmHg、RER=115.22×5.5/11.6=54.6)は、硬化時間が許容可能な短時間にはならないことがわかった。相対蒸発速度の定義にかつて使用していた旧単位である「mmHg」(化合物のモル質量(グラム/モル)と20℃における蒸気圧(mmHg)との積を11.6で割った値)は、1mmHg=133.32Pa=1.3332hPaとしてSI単位「Pa」(パスカル)に変換される。更に、この特許のクレーム1では揮発性アミンの物質量対非ブロック酸触媒の物質量の比(その明細書では「モル比」を示す)の範囲が0.02モル/モルから0.09モル/モルであることを請求するが、これによると、明らかに、粘度が上昇して望ましくなくなり、貯蔵中に硬化性を喪失して、貯蔵安定性が失われることがわかった。
【0004】
従って、本発明の目的は、アミノプラスト樹脂架橋剤、活性水素官能基を有するバインダー樹脂、及び低い硬化温度で使用可能な触媒システムを含む1包コーティング組成物を提供することであり、更に、室温で8時間を超えるポットライフを有することである。本発明に至った研究において、酸触媒をブロックするためにpKaが低いアミンを使用して、粘度変化及びゲル化、並びに架橋剤の組成変化を防止し、更に、硬化時間が短い1包コーティングシステムとして、アミノプラスト樹脂架橋剤、活性水素官能基を有するバインダー樹脂、及び酸触媒を組み合わせて配合することができることがわかった。この新規な1包コーティングシステムは、100℃未満の温度、特に、60℃から90℃の温度範囲で十分に硬化可能であり、この温度は、温度感受性基材、例えば熱可塑性ポリマー製の製品(以下、「プラスチック」という。)及び木材に対して好ましい範囲である。更に、これは、エネルギーコストを有意に節約するために、少なくとも100℃の硬化温度を必要とする、いわゆる高温焼付けコーティングシステムにとって代わることができる。
【0005】
本明細書で使用されるような低いpKaの範囲としては、アミン即ちアンモニウム化合物の共役酸の解離平衡を表す定数Kaの常用対数(−1を掛ける)について、4から10、好ましくは4.2から9.9、及び特に好ましくは4.5から9.8である。
【0006】
pKaが11.0のジ−n−プロピルアミンを配合したコーティングシステムは、90℃では十分には硬化しないことがわかったが、他のアミンでは、90℃未満で素早く硬化することがわかり、そのアミンは第2級アミノ基を有することに限定されず、RERは少なくとも50であった。有用なアミンとしては、第1級芳香族アミン、例えば4−エチルアニリン(RER=1及びpKa=4.6である)、又は第1級脂肪族アミン、例えば2−アミノ−2−メチルプロパノール(RER=8及びpKa=9.8である)を挙げることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、アミノプラスト樹脂架橋剤A、活性水素官能基を有するバインダー樹脂B、及び触媒組成物Cを含むコーティング組成物を対象とし、触媒組成物Cは、有機スルホン酸C1とアミンC2との混合物であり、アミンC2は第1級、第2級、又は第3級であり得、pKa値は10以下でなければならず、好ましくは4以上である。
【0008】
更に、本発明は、コーティング組成物の製造方法を対象とし、そのプロセスは、以下のステップを含む:
● 第1ステップでは、有機スルホン酸C1(これは、任意にアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、芳香族炭化水素系溶媒、例えばキシレン、ハイフラッシュナフサ、及びエステル、並びにケトン、から選択される有機溶媒に溶解される)を、アミンC2(これは、第1級、第2級、又は第3級であり得、pKa値が10以下でなければならず、好ましくは4以上である。)と混合することにより、触媒組成物を製造し、
● 任意の第2ステップでは、芳香族炭化水素又はそれらの混合物、脂肪族エステル、脂肪族エーテル、脂肪族ケトン、及び脂肪族直鎖状又は分岐鎖状アルコールからなる群から選択される不活性有機溶媒Lに溶解されたバインダー樹脂Bを用意し、触媒組成物Cをアミノプラスト架橋剤Aに混合して混合物ACを形成し、及び
● 第3ステップでは、混合物ACを、任意に先に定義したような溶媒Lの添加下でバインダー樹脂Bに、又は第2ステップの溶液であるバインダー樹脂Bの不活性溶媒L溶液に混合して1包コーティング組成物を形成する。
更に、本発明は、このように製造されるコーティング組成物の使用方法を対象とし、前記使用方法は、塗膜を有する基材(前記基材は金属、又は好ましくは熱感受性基材であることができる、)を提供するために、コーティング組成物の層を基材の少なくとも1面に形成し、コーティングされた基材を50℃から120℃以下の温度に曝すことにより層を硬化することによる。
本発明を以下に示す。
[発明1]
少なくとも1種のアミノプラスト架橋剤樹脂A、活性水素官能基を有するバインダー樹脂B、及び触媒組成物Cを含むコーティング組成物であって、触媒組成物Cが有機スルホン酸C1とアミンC2との混合物であり、アミンC2が第1級、第2級、又は第3級であることができ、且つpKa値が10以下でなければならず、好ましくは4以上である、コーティング組成物。
[発明2]
少なくとも1種のアミノプラスト架橋剤樹脂Aが、少なくとも1種の少なくとも部分的にエーテル化された、メラミンとホルムアルデヒドとの反応生成物を含み、組み合わされたホルムアルデヒドの物質量n(CH2O)対メラミンの物質量n(Mel)の比が、4.5モル/モルから6.2モル/モルの範囲にあり、アミノプラスト架橋剤樹脂Aにおけるアルキルエーテル基の物質量n(RO)対メラミンの物質量n(Mel)の比が4モル/モルから6.0モル/モルの範囲にあり、そして、モノマーの質量分率が30%から65%の範囲にあり、これは、モノマーの質量m(1)対アミノプラスト架橋剤樹脂Aの質量m(A)の比として計算され、この際、溶媒、添加剤、及び触媒は除外される、発明1に記載のコーティング組成物。
[発明3]
少なくとも2種のアミノプラスト架橋剤樹脂A1及びA2がコーティング組成物中に存在する、発明1に記載のコーティング組成物。
[発明4]
アミノプラスト架橋剤樹脂の1種であるA1が、少なくとも1種の少なくとも部分的にエーテル化された、メラミンとホルムアルデヒドとの反応生成物を含み、組み合わされたホルムアルデヒドの物質量n(CH2O)対メラミンの物質量n(Mel)の比はが5.55モル/モルから6.2モル/モルの範囲にあり、アミノプラスト架橋剤樹脂Aにおけるアルキルエーテル基の物質量n(RO)対メラミンの物質量n(Mel)の比が5.0モル/モルから5.6モル/モルの範囲にあり、そして、モノマーの質量分率はが35%から55%の範囲にあり、これは、モノマーの質量m(1)対アミノプラスト架橋剤樹脂A1の質量m(A)の比として計算され、この際、溶媒、添加剤、及び触媒は除外される、発明3に記載のコーティング組成物。
[発明5]
アミノプラスト架橋剤樹脂の1種であるA2が、少なくとも1種の少なくとも部分的にエーテル化された、メラミンとホルムアルデヒドとの反応生成物を含み、組み合わされたホルムアルデヒドの物質量n(CH2O)対メラミンの物質量n(Mel)の比が5.75モル/モルから6.5モル/モルの範囲にあり、アミノプラスト架橋剤樹脂Aにおけるアルキルエーテル基の物質量n(RO)対メラミンの物質量n(Mel)の比が4.5モル/モルから5.9モル/モルの範囲にあり、そして、モノマーの質量分率が55%から95%の範囲にあり、これは、モノマーの質量m(1)対アミノプラスト架橋剤樹脂A2の質量m(A)の比として計算され、この際、溶媒、添加剤、及び触媒は除外される、発明3に記載のコーティング組成物。
[発明6]
アミノプラスト架橋剤樹脂A1の質量m(A1)対アミノプラスト架橋剤樹脂A2の質量m(A2)の比が5:5から9:1である、発明2から5のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[発明7]
アミノプラスト架橋剤樹脂の少なくとも1種が少なくとも2種の異なるアルキル基であるアルキルエーテル基を有する、発明2から6のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
[発明8]
バインダー樹脂Bは、ヒドロキシル基−OH、カルボキシル基−COOH、又はカルボキサミド基−CONH2の少なくとも1種を有する、発明1に記載のコーティング組成物。
[発明9]
バインダー樹脂Bが、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル−アルキドハイブリッド又はアクリル−ポリエステルハイブリッド、ポリエーテルポリマー、ポリオレフィンポリマー、及び、ポリウレタンポリマーからなる群から選択されるヒドロキシ官能性ポリマーであり、ポリウレタンポリマーはポリエーテル−ポリウレタン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリカーボネート−ポリウレタン、及びポリオレフィン−ポリウレタンからなる群から選択される、発明8に記載のコーティング組成物。
[発明10]
有機スルホン酸触媒C1が、分子中に芳香族炭素原子に結合した少なくとも1種のスルホン酸基、−SO3Hを有する芳香族スルホン酸、及び分子中に脂肪族炭素原子に結合した少なくとも1種のスルホン酸基、−SO3Hを有する脂肪族スルホン酸からなる群から選択される、発明1記載のコーティング組成物。
[発明11]
有機スルホン酸触媒C1が、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、及びジノニルナフタレンジスルホン酸からなる群から選択される、発明10に記載のコーティング組成物。
[発明12]
アミンC2が4と10との間のpKa値を有する、発明1に記載のコーティング組成物。
[発明13]
アミンC2が、第1級芳香族アミン、アルキルアリール−アミン又はN−アルキルアリールアミンであり得る脂肪族−芳香族アミン、及び脂肪族アミンからなる群から選択される、発明12に記載のコーティング組成物。
[発明14]
アミンC2が、4−クロロアニリン、p−エチルアニリン、4−ピコリン、2,6−ルチジン、及び2,4,6−コリジン、N−エチルアニリン、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、及び2−メチル−2−アミノエタノールからなる群から選択される、発明12に記載のコーティング組成物。
[発明15]
第1ステップで、1個から6個の炭素原子を有する脂肪族の直鎖状又は分岐鎖状のアルコールから選択される有機溶媒に任意に溶解される有機スルホン酸C1を、第1級、第2級、又は第3級であることができ、且つpKa値が10以下でなければならず、好ましくは4以上であるアミンC2に混合することにより触媒組成物Cを製造し、
第2ステップで、触媒組成物Cをアミノプラスト架橋剤Aに混合して混合物ACを形成し、
第3ステップで、混合物ACを、バインダー樹脂B又はバインダー樹脂Bの不活性溶媒L溶液に混合すること
を含む、発明1に記載のコーティング組成物を製造する方法。
[発明16]
酸触媒C1及びアミンC2の量が、アミンC2中のアミン窒素原子の物質量n(N)と触媒C1中の酸性水素原子の物質量n(H)の比が1.0モル/モルと1.5モル/モルとの間であるように選択される、発明15に記載の方法。
[発明17]
● 基板を発明1に記載のコーティング組成物でコーティングして、前記基板上に塗膜を形成するステップ、及び
● 塗膜を加熱により硬化し、この際、硬化温度が50℃と100℃との間であるステップ
を含む、発明1に記載の、又は発明14に記載の方法によって製造されたコーティング組成物の使用方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ホットボックス貯蔵後の粘度変化が2倍未満であることを示す。
【
図2】表3の配合物1及び2の硬化のプロファイルを示す。
【
図3】4−ピコリンでブロックしたCYCAT(登録商標)500、600、及び4040触媒に基づく配合物の硬化応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
アミノプラスト架橋剤樹脂Aは好ましくは、少なくとも1種の少なくとも部分的にエーテル化された、アミノトリアジン、好ましくはメラミンと、ホルムアルデヒドとの反応生成物を含み、組み合わされたホルムアルデヒドの物質量n(CH
2O)対アミノトリアジンの物質量n(Trz)の比が、メラミンの場合、4.5モル/モルから6.2モル/モルの範囲にあり、アミノプラスト架橋剤樹脂におけるアルキルエーテル基の物質量n(RO)対アミノトリアジンの物質量n(Trz)の比が、メラミンの場合、4モル/モルから6.0モル/モルの範囲にあり、モノマーの質量分率が30%から65%の範囲にあり、これは、モノマーの質量m(1)対架橋剤樹脂の質量m(CR)の比として計算され、この際、溶媒、添加剤、及び触媒は除外される。当該技術分野においては通常であるように、アミノトリアジン系アミノプラスト樹脂のモノマーは、その分子内に正確に1つのトリアジン環を有する化合物である。2つだけアミノ基を有するアミノトリアジン、例えばベンゾグアナミン又はアセトグアナミンの場合、これらの値は、上記値の2/3である。先に定義したように、少なくとも部分的にエーテル化された、アミノトリアジンとホルムアルデヒドとの反応生成物におけるイミノ基=NHの物質量n(=NH)は、アミノトリアジンとホルムアルデヒドの少なくとも部分的にエーテル化した前記反応生成物におけるトリアジン基の物質量の0.3%以下であると好ましい。イミノ基がこれより多く、例えば0.4%存在する場合、これは、明らかに硬化反応に悪影響を及ぼし、コーティング組成物の硬化に必要な時間を過度に延長する。
【0011】
組み合わされたホルムアルデヒドは、本発明との関係においては、以下の基の1つとしての、アミノプラスト形成分子(この場合、アミノトリアジン又は特にメラミン)に直接的に又は間接的に結合したホルムアルデヒド由来のメチレン基を意味する。
n+1分子のホルムアルデヒドを有する、オリゴアセタール(>N−CH
2−[O−CH
2]
n−O−H):
n+1分子のホルムアルデヒドを有する、アルコキシオリゴアセタール(>N−CH
2−[O−CH
2]
n−OR)、
1分子のホルムアルデヒドを有する、アルコキシメチル(>N−CH
2−OR<)、
2分子のホルムアルデヒドを有する、メチレンエーテルブリッジ(>N−CH
2−O−CH
2−N<)、
1分子のホルムアルデヒドを有する、メチレンブリッジ(>N−CH
2−N<)、
1分子のホルムアルデヒドを有する、N−メチロール基(>N−CH
2OH)、
【0012】
組み合わされたホルムアルデヒドの含量は、合計及び遊離ホルムアルデヒドの測定含量、及び窒素含量の分析的測定から計算され、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂の場合、酸素又は窒素原子に結合したメチレン基の物質量対メラミン−由来成分n(Mel)の物質量の比として表され、Melは、メラミン分子から全てのアミン系水素原子を除去することにより得られる6価の成分を表す。
【0013】
好ましい一実施態様では、アミノプラスト架橋剤樹脂は、先に定義したような反応生成物を2種以上含むことができ、これは、記載した3つの特徴の少なくとも1つが互いに異なっていてもよい。
【0014】
2種のアミノプラスト架橋剤樹脂の混合物を使用する場合、アミノプラスト架橋剤樹脂の1種であるA1は少なくとも1種の少なくとも部分的にエーテル化した、メラミンとホルムアルデヒドとの反応生成物を含むと好ましく、組み合わされたホルムアルデヒドの物質量n(CH
2O)対メラミンの物質量n(Mel)の比は、5.55モル/モルから6.2モル/モルの範囲内にあり、アミノプラスト架橋剤樹脂Aにおけるアルキルエーテル基の物質量n(RO)対メラミンの物質量n(Mel)の比は5.0モル/モルから5.6モル/モルの範囲にあり、そして、モノマーの質量分率は35%から55%の範囲であり、これは、モノマーの質量m(1)対アミノプラスト架橋剤樹脂A1の質量m(A)の比として計算され、溶媒、添加剤、及び触媒は除外される。
【0015】
第2のアミノプラスト架橋剤樹脂であるA2は、少なくとも1種の少なくとも部分的にエーテル化した、メラミンとホルムアルデヒドとの反応生成物を含み、組み合わされたホルムアルデヒドの物質量n(CH
2O)対メラミンの物質量n(Mel)の比は、5.75モル/モルから6.5モル/モルの範囲内にあり、アミノプラスト架橋剤樹脂Aにおけるアルキルエーテル基の物質量n(RO)対メラミンの物質量n(Mel)の比は4.5モル/モルから5.9モル/モルの範囲にあり、そして、モノマーの質量分率は55%から95%の範囲にあり、これは、モノマーの質量m(1)対アミノプラスト架橋剤樹脂A2の質量m(A)の比として計算され、溶媒、添加剤、及び触媒は除外される。
【0016】
これらのコーティング組成物において、2種のアミノプラスト架橋剤樹脂の混合物を使用する場合、アミノプラスト架橋剤樹脂A1の質量m(A1)対アミノプラスト架橋剤樹脂A2の質量m(A2)の比は、5:5から9:1であると好ましい。
【0017】
アミノプラスト架橋剤樹脂Aのアルコキシ基は、オキシ機能を有する直鎖状または分岐鎖状脂肪族の1価基であり、且つその基に1個から12個、好ましくは1個から6個の炭素原子を有し、好ましくは、メトキシ基CH
3O−、エトキシ基CH
3−CH
2−O−、n−プロポキシ基CH
3−CH
2−CH
2−O−、イソプロポキシ基(CH
3)
2CH−O−、n−ブトキシ基CH
3−CH
2−CH
2−CH
2−O−、及びイソブトキシ基(CH
3)
2CH−CH
2 −O−からなる群から選択される。アルコキシ基、例えばメチル、n−ブチル、又はイソ−ブチルは、1つのアミノプラスト樹脂分子中で全て同じであることができ、また、1つのアミノプラスト樹脂分子中に又はアミノプラスト樹脂分子の混合物中に、2種以上の異なるアルコキシ基を有する、いわゆる「混合エーテル」を使用することもできる。メチル基とエチル基、メチル基とn−ブチル基、及びメチル基とイソブチル基を含む混合エーテルが好ましい。
【0018】
バインダー樹脂Bは、活性水素官能性ポリマーであり、好ましくは、ヒドロキシル基−OH、カルボキシル基−COOH、又はカルボキサミド基−CONH
2を有し、特に好ましくは、バインダー樹脂Bは、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル−アルキドハイブリッド又はアクリル−ポリエステルハイブリッド、ポリエーテルポリマー、ポリオレフィンポリマー、又はポリウレタンポリマー等のヒドロキシ官能性ポリマーであり、前記ポリウレタンポリマーは、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリカーボネート−ポリウレタン、及びポリオレフィン−ポリウレタンからなる群から選択することができ、それらの形態は、有機溶媒における溶液であっても、また水性分散液であってもよい。
ヒドロキシ−官能性ポリエステル又は、ヒドロキシアルキルアクリレート及びヒドロキシアルキルメタクリレートから成る群から選択されるヒドロキシ官能性オレフィン系不飽和モノマー、及び任意にオレフィン系不飽和カルボン酸、及び任意に更にオレフィン系不飽和モノマーに基づくアクリル樹脂、及び更に、ポリエステルとアクリル樹脂のハイブリッド、例えばオレフィン系不飽和モノマー、特にアクリルモノマーを予め形成されたポリエステルの存在下で重合させることにより得られるものを使用するのが好ましい。特に、第1級ヒドロキシル基を有するようなヒドロキシ官能性樹脂が好ましく、ポリマー中に存在する全てのヒドロキシル基の少なくとも50%の部分が第1級であると特に好ましい。第2加熱サイクルにおける示差走査熱量測定によって通常の方法で測定されるこれらのヒドロキシ官能性ポリマーのガラス転移点は、好ましくは45℃以下である。これらのヒドロキシ官能性ポリマーは、先に定義したような有機溶媒L又は2以上のそのような溶媒の混合物における溶液の形態で好ましく使用できる。
【0019】
本発明の基礎となる実験において、触媒組成物Cを含む本発明の架橋剤樹脂組成物Aと上記ヒドロキシ官能性バインダーポリマーBとの組合せにより、約55℃から100℃まで、特に55℃から90℃まで、又は60℃から80℃までの温度範囲で既に満足のいく硬化応答が得られることが見いだされた。硬化温度がこのように低いので、熱感受性基材のコーティングが可能になるが、勿論、任意の他の基材に使用することができ、低い硬化温度を可能にすることにより、エネルギーの節約に貢献できる。
【0020】
従って、本発明のコーティング組成物の使用方法には、以下のステップが含まれる:
● 10以下のpKa値を有するアミンC2を有機スルホン酸C1に混合して触媒組成物を得、
● バインダー樹脂B、好ましくはヒドロキシ官能性ポリマーを、好ましくは先に定義したような不活性溶媒Lにおける溶液の形態で準備し、
● これに、触媒組成物Cを添加して、BとCの混合物を形成し、
● このBとCの混合物を少なくとも1種の上記のようなアミノプラスト架橋剤樹脂Aと攪拌下で混合して、コーティング組成物を準備し、及び
● 基材を前記コーティング組成物でコーティングして、前記基材上に塗膜を形成し、並びに
● 前記塗膜を、50℃と100℃の間の硬化温度に加熱して硬化させる。
【0021】
より高い硬化温度を使用してそれにより架橋速度を高めることは勿論可能であるが、硬化温度を100℃を超えない値に制限することは特に有利であり、その理由は、これにより、温度感受性基材、特に木材、加工木材又は工業用木材、紙、厚紙、織物、及び皮革、並びにプラスチック、特に熱変形温度が高くない熱可塑性材料と共に使用するために、本発明にかかる架橋剤組成物を使用可能になるからである。勿論、このコーティング組成物を、温度感受性ではない他の基材をコーティングするために使用することは、本発明に係るコーティング組成物によりもたらされるより低い硬化温度によって、一般的な工業用コーティング又は自動車OMEコーティングの分野等において、エネルギーを節約することに寄与できるので、有用でもある。
【0022】
コーティング組成物の製造は、通常、以下のステップを含む。即ち、好ましくはヒドロキシル官能性バインダー樹脂Bを、好ましくは溶液の形態で投入するステップ、及びこれにアミノプラスト架橋剤樹脂A(以下、「架橋剤A」ともいう。)、又は複数のこのような架橋剤Aの混合物を混合するステップ、並びに任意に、前記架橋剤の添加前、添加中、添加後に、更に添加剤、若しくは顔料、又はその両方を混合するステップである。触媒組成物Cは、好ましくは、バインダー樹脂Bと一緒に投入することができ、若しくはバインダー樹脂Bに混合することができ、あるいは架橋剤Aに添加することができ、又は架橋剤Aとバインダー樹脂Bを混合した後に添加することができる。
【0023】
有機スルホン酸触媒C1は、分子中に脂肪族又は芳香族の炭素原子に結合した少なくとも1種のスルホン酸基、−SO
3Hを有する脂肪族及び/又は芳香族スルホン酸であり得る。メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、及びジノニルナフタレンジスルホン酸、又はこれらの混合物が特に好ましい。
【0024】
好ましいアミンC2は、4と10の間のpKa値を有するものであり、特に第1級芳香族アミン、例えば4−クロロアニリン(RER=0.5;pKa=4.0);脂肪族−芳香族アミン、例えばアルキルアリール−アミン又はN−アルキルアリールアミン、例示するとp−エチルアニリン(RER=1;pKa=4.6)、4−ピコリン(RER=32;pKa=6.0)、2,6−ルチジン(RER=22;pKa=6.6)、及び2,4,6−コリジン(RER=19;pKa=7.4)、及びN−エチルアニリン(RER=3;pKa=5.1);並びに脂肪族アミン、例えばエタノールアミン(RER=2;pKa=9.5)、N−メチルエタノールアミン(RER=3.4;pKa=9.95)、及び2−メチル−2−アミノエタノール(RER=8;pKa=9.8)が好ましい。アミンC2は、相対蒸発速度RERの値が50未満、特に好ましくは45以下、及び特に好ましくは40以下であると更に好ましい。
【0025】
架橋剤樹脂組成物中のアルコキシメチル基の物質量対ヒドロキシ官能性バインダー樹脂におけるヒドロキシル基の物質量の比の好ましい範囲は、1.2モル/モルから2.5モル/モルである。
【0026】
本発明の主な利点は以下の通りである:
● 現在のOEM硬化温度である120℃から140℃から、現在のシステムと比べて硬化に必要なエネルギー量を有意に節約できるレベルである60℃から90℃に低下させること、
● 2包ウレタンシステムにより主にコーティングされる種々のプラスチック基材等の熱感受性基材への適用、木材及び加工木材への適用、及び織物、皮革、紙及び厚紙への適用、
● ポリイソシアネートを使用する必要性の排除、及びこれによる毒性問題の回避、
● イソシアネート架橋剤に基づく2包コーティングシステムと比較した場合の使い易さ。
【0027】
適用分野には、自動車OEMクリアコート、プラスチックコーティング、木材コーティング、および一般工業用コーティングが含まれる。
【0028】
本発明は、下記の実施例により更に説明されるが、それによって発明の範囲を限定する意図はない。
以下の物理化学特性を、実施例及び明細書において使用する:
【0029】
ヒドロキシル価wOHは、DIN EN ISO4629(DIN 53 240)に準拠して、実験対象の試料と同じ数のヒドロキシル基を有する水酸化カリウムの質量mKOHと、この試料の質量mB(溶液若しくは分散液の場合は試料における固体の質量)との比として定義され、慣用単位は「mg/g」である。
【0030】
酸価wACは、DIN EN ISO 3682(DIN 53 402)に準拠して、実験対象の試料を中和するために必要な水酸化カリウムの質量mKOHと、この試料の質量mB、又は溶液若しくは分散液の場合は試料中の固体の質量との比として定義され、慣用単位は「mg/g」である。
【0031】
モル質量平均は、ポリスチレン標準に対して校正して、サイズ排除(又はゲル浸透)クロマトグラフィーによって、簡便に決定できる。モル質量測定は、テトラヒドロフラン(20ml)に溶解された架橋剤樹脂試料(0.5g)を使用して行い、溶出速度は1ml/分であった。
【0032】
溶液又は分散液中の固体の質量分率wSは、試料B中の固体の質量mSと、試料の質量mBとの比として定義され、この場合は、試料の質量mBは、固体の質量mSと溶媒又は分散剤Vの質量mVの合計である。
【0033】
動的粘度は、DIN EN ISO 3219に準拠して、23℃及び100s
−1のせん断速度で測定する。
【0034】
ガラス転移点は、示差走査熱量測定によって簡便に測定され、第2加熱サイクル中に、変曲点(単数又は複数)における温度を記録する。
【0035】
メラミン系架橋剤樹脂(「箔固体」)に対する固体の質量分率wSは、前記箔を箔自体の上を覆って折り畳み、これにより試料を圧縮して広げ、直径が4cmから7cmの薄膜とした約1gの質量mBを有する試料Bの質量損失Δmを測定することによって決定される。前記箔を広げて、45℃の空気循環炉内に45分間置き、その時間の最後にそれを取り出し、重さを再秤量し、質量損失をwS=(mB−Δm)/mBとして決定する。
【0036】
mの個々の化合物jを含む混合物中の化合物iの、又は、mの種々の部分jを含む化合物中の部分iの物質量分率xi(「モル分率」とも称される)(jは1〜mの自然数である)は、下記の式で定義され、ここで、njは、SI基本単位「モル」を有する化合物又は部分jの物質量である。
【数1】
【0037】
同様に、メラミンホルムアルデヒド樹脂において、特徴的な量は、−CH
2−基として、N−メチロール官能基>N−CH
2−OHに又はアセタール基−O−CH
2−O−又はアルコキシメチルエーテル基R−O−CH
2−に、又はメチレン基>N−CH
2−N<に存在する組み合わされたホルムアルデヒドの物質量n(CH
2)対メラミン由来部分、C
3N
3(N<)
3の物質量n(Mel)の比、又はアルキルエーテル又はアルコキシ基、n(RO)の物質量対メラミン由来部分、C
3N
3(N<)
3の物質量n(Mel)の比である。これらは、
13C−NMR分光法により、及び滴定(遊離ホルムアルデヒド)により、それぞれ測定できる。他のアミノトリアジン系アミノプラスト樹脂では、メラミンは適当なアミノトリアジンによって置き換える必要がある。
強度は、溶液L中の溶質Sの質量分率wSであり、溶質の質量msを溶液の質量mLで除算することによって測定され、通常は「%」{1%=1kg/(100kg)=1cg/g}で記載する。
【0038】
IR分光法によって「%」又は「cモル/モル」で測定されるイミノ基含量は、イミノ基(>N−H)の物質量n(NH)と、架橋剤樹脂中のトリアジンの物質量n(C
3N
3)の比である。
【実施例】
【0039】
例1 架橋剤樹脂の合成
1.1 HMMMの製造
混合物を、126gのメラミンと、質量分率が55%のホルムアルデヒドと35%のメタノールと10%の水とを含有する545gの混合物と、質量分率が10%の水酸化ナトリウムを有する5gの水酸化ナトリウム水溶液とから製造し、撹拌器及び還流凝縮器を備えた反応容器中に投入し、撹拌下で83℃に加熱し、穏やかに還流を行った。当該溶液は、透明且つ均質になった。87℃に加熱した後、当該混合物は、15分後に濁った。500gのメタノールを添加し、そして、加熱還流を更に10分間継続した。周囲温度(23℃)に冷却した後、沈殿物をろ過により収集し、235gの固形物を得、分析の結果、それは、ヘキサメチロールメラミン(「HMM」)であった。固体のHMMを別の反応容器に移し、950gのメタノール及び50gの硝酸を添加した。反応混合物を周囲温度で15分間撹拌し、そして、最後に、150gの粉末炭酸水素ナトリウム及び20gの炭酸ナトリウムを添加することにより中和した。メタノールを減圧蒸留により除去した。キシレンを添加し、得られた懸濁液をろ過し、固体残渣を単離し、更にキシレンで洗浄し、そして、乾燥した。202gのヘキサメトキシメチルメラミン(「HMMM」)を得た。
【0040】
1.2 HMMMのオリゴマー化
ヘキサメトキシメチルメラミン(100g)及びメタノール(6.2g)を混合した。この混合物に、濃硝酸を少量ずつ添加し、pHを1.5に調整した。反応温度を撹拌下で65℃に上げ、反応混合物をこれらの条件で2時間保持した。その後、反応の進行を、2時間後、モノマーの質量分率が50%未満になるまで、ゲル浸透クロマトグラフィーで監視した。その後、混合物を40℃に冷却し、混合物のpHを25%の濃水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりpH9に調整した。その後、揮発性成分(主にメタノール及び水)を、15hPaの減圧下且つ105℃への加熱下で(その後、この温度と圧力を20分間保持した。)除去した。20分間保持した。その後、沈殿物をろ過により除去した。オリゴマー化樹脂の収量は、92gであり、その特性は以下のとおりであった。
遊離ホルムアルデヒドの質量分率:0.08%;
イミノ基含量:0.16%,
モル質量(数平均):540g/モル;
モル質量(質量平均):945g/モル;
n(CH
2)/n(Mel)=5.81モル/モル;
n(OR)/n(Mel)=5.23モル/モル。
【0041】
例2 アクリル樹脂に基づく溶媒系コーティング組成物
等質量のキシレン及びブタノールの混合物中のコポリマー溶液であって、このコポリマーがメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びアクリル酸の共重合により作られ、水酸基価が80mg/gであり、その全てが第1級ヒドロキシル基であり、酸価が12mg/g、ガラス転移点が18℃、及び固形分の質量分率が65%であるコポリマー溶液。コーティング組成物は、表1の配合表(成分の質量はgで表す。)を使用して、このアクリル系コポリマーから製造された。
【表1】
【0042】
「キシレン」は、市販の混合物を指し、その混合物には、質量分率が40%から65%のm−キシレン、15%から20%のo−キシレン、及び15%から25%のエチルベンゼン、並びに質量分率が20%未満のp−キシレンが含まれる。更に、Exxon Mobile Chemicalから「(登録商標)Solvesso100」の商品名で以前に市販された「Aromatic(登録商標)100」は、アルキル基中に9個又は10個の炭素原子を有するジアルキル及びトリアルキルベンゼンの混合物であり、CAS番号は64742−95−6である。Dow Corning塗料添加剤#57は、シリコーングリコールコポリマーに基づくスリップ性、光沢性を有する湿潤性添加剤である。CYCAT(登録商標)600触媒は、イソプロパノールに溶解されたドデシルベンゼンスルホン酸であり、酸の質量分率は70%である。
【0043】
既製の配合物は、各場合において少なくとも20日間のホットボックス(50℃)安定性を有する。
図1(添付)に示されるように、ホットボックス貯蔵後の粘度変化は2倍未満であった。
【0044】
添付の
図2は、表3の配合物1及び2の硬化のプロファイルを示す。両方とも、95℃未満で硬化を開始し、配合物1については70℃で既に硬化を開始し、最終的な硬度には100℃で20分間硬化した後に到達した。
【0045】
他のスルホン酸触媒、例えばCYCAT500(ジノニルナフタレンジスルホン酸)及びCYCAT4040(p−トルエンスルホン酸)もまた良好に機能する。表2には、これら2つのスルホン酸に基づく配合物を示す(成分の質量はgで表す。)。
【表2】
【0046】
図3(添付)は、4−ピコリンでブロックしたCYCAT(登録商標)500、600、及び4040触媒に基づく配合物の硬化応答を示す。全てのこれらのアミンでブロックしたスルホン酸コーティングシステムは、低温で非常に良好に硬化する。「CRS」は、冷間圧延鋼板である。
【0047】
本発明の1包低温硬化システムもまた、プラスチック基板に対して良好に機能する。プラスチックを攻撃し得る全ての溶媒、例えば、エステル、ケトン、及び芳香族溶媒をアルコール溶媒で置換した配合物を使用した。配合物5(成分の質量はgで表す。)は表3に例示される。
【表3】
【0048】
表4は、プラスチックコーティングの性能を示す。塗膜は、40℃で実施された10日間のクリーブランド湿度試験に合格した。塗膜は最良5Bの接着性を維持する。5日間のポストキュアの後、塗膜は、過酷な試験である「WaterBABIES(登録商標)日焼け止めローション45SPF試験」(日焼け止めローションの層で20時間覆われる。)にも合格した。塗膜が僅かに膨潤しただけで5Bの接着性を維持した。
【表4】
【0049】
表5(配合物の成分の質量はgで表す。)に記載されるような更なる配合物について、アミンにおける塩基性の影響を比較するために試験した:
【表5】
【0050】
No.11の配合物(ジ−n−プロピルアミンを使用)は比較試験である。結果を表6に記載する:
【表6】
【0051】
以下の結論を導くことができる。
● 4.6から11.0のpKaを有するアミンについても調べた。全て最初の実験は、「例2のアクリル樹脂」/「例1.2の架橋剤樹脂」/「DDBSA」=82.4/17.6/1.0の固体の質量比に基づいて、電気泳動堆積「ED」でプライミングされた、乾燥フィルム厚さが1.2ミル(30マイクロメートル)である冷間圧延鋼板(「CRS」)に適用され、最初に30分間80℃で焼付けされて行われた。我々がわかったことは、4−ピコリンでブロックされたDDBSAを配合されたコントロールシステムが完全に硬化し、200を超えるMEK摩擦抵抗を有することのみであった。pKa範囲の条件に従っていないアミンを使用したアミンブロックDDBSAシステムはいずれも、MEK摩擦溶媒抵抗が10を超えなかった。30分間で90℃まで硬化スケジュールを高めることにより、モルホリンを配合されたシステム及びAMPシステムは、適切に硬化され、ダブルMEK摩擦溶媒抵抗が200であり、それは4−ピコリンコントロールシステム程は良好ではなかった。ブロッキングアミンがN−メチルモルホリン(MEK摩擦抵抗は50である)、ジメチルエタノールアミン(MEK摩擦抵抗は10未満である。)、及びジ−n−プロピルアミン(MEK摩擦抵抗は10未満である)である配合物でコーティングされた試験板は、適切に硬化しなかった。更に、N−メチルモルホリン、DMEA、及びDPAフィルムには深刻なしわの問題があった。
● このポリオールメラミンコーティング配合物に対するクレーム1の条件に従うアミンを使用する場合の予期しない利点は、N−メチルモルホリン、及びN、N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)システムに関して分かったようにフィルムにしわが形成されるという傾向がなくなることである。
● ジ−n−プロピルアミン(DPA)は、米国特許第7,619,019号B2において優先的に使用されたアミンである。これは、強塩基性(pKa=11.0)であり、且つ揮発性(RER=157)であるため、適切に硬化できず、更にフィルムにしわが形成される問題が生し得ると懸念される。これは、低温硬化コーティングシステムには全く適さない。更に、揮発性アミン対ブロックされていない酸触媒のモル比(物質量比)が、この特許のクレーム1で請求されるように、0.02モル/モルから0.09モル/モルの場合、不満足な結果に至ることが分かった。
【0052】
得られた知識に基づいて、pKaが低い他のアミンを更に検討した。4−クロロアニリン、4−エチルアニリン、及びN−エチルアニリンのpKa値は、それぞれ4.0、4.6及び5.1である。それらのRER値は5未満である。RER値が極端に低いこれらのブロッキングアミンは、低温硬化コーティング配合物には適さないとこれまで考えられていたが、その理由は、これらのアミンは当該膜から蒸発せず、このような低温硬化スケジュールでは硬化応答をかなり低下させるものと考えられていたからであらる。アミンが膜から蒸発しない場合、耐湿性が劣る原因となる塩を形成し得る。驚くべきことに、配合物の(表7、配合物の成分の質量はgで表す。)全ては、4−ピコリンを含む配合物と同様に又はそれより遥かに良好に硬化する。そして、全ての配合物はRERが非常に低いアミンから構成されており、同様に優れた2週間の60℃におけるクリーブランド耐湿性を有する(表8)。このことは、RERが、酸触媒をフロックするアミンを選択するのに重要な要因ではないことを意味し、RERが30未満と低い場合に塗膜に対する結果が予期せず良好となる。このことは、米国特許第7,619,019号B2から判断されるような、当業界が信じてきたものとは正反対である。
【表7】
【表8】