特許第6571561号(P6571561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571561一酸化炭素および揮発性有機化合物の酸化のための銅およびマンガン含有の卑金属触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571561
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】一酸化炭素および揮発性有機化合物の酸化のための銅およびマンガン含有の卑金属触媒
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20190826BHJP
   B01J 23/889 20060101ALI20190826BHJP
   C07B 37/06 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B01D53/86 280
   B01J23/889 A
   B01D53/86 245
   C07B37/06
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-40996(P2016-40996)
(22)【出願日】2016年3月3日
(62)【分割の表示】特願2012-507261(P2012-507261)の分割
【原出願日】2010年4月14日
(65)【公開番号】特開2016-175069(P2016-175069A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2016年3月30日
(31)【優先権主張番号】12/427,375
(32)【優先日】2009年4月21日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハイ‐イン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】アーサー、ジェイ.ライニング
(72)【発明者】
【氏名】ポール、ジェイ.アンダーセン
(72)【発明者】
【氏名】リタ、アイエロ
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−191978(JP,A)
【文献】 特開平08−257362(JP,A)
【文献】 特開平10−151348(JP,A)
【文献】 国際公開第01/045833(WO,A1)
【文献】 特開平09−047661(JP,A)
【文献】 特開昭53−012768(JP,A)
【文献】 特開2002−054427(JP,A)
【文献】 特表平11−506695(JP,A)
【文献】 特開昭61−054240(JP,A)
【文献】 特開平01−297146(JP,A)
【文献】 特開平11−169728(JP,A)
【文献】 特開昭60−222145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/86
B01J 23/889
C07B 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製テレフタル酸の製造工程の排ガス中の一酸化炭素(CO)と、酢酸メチル、臭化メチル、ベンゼン、メチルエチルケトン、ブタン及びブテンの一以上を含む揮発性有機化合物(VOCs)とを酸化する方法であって、
水蒸気と、前記CO及び前記VOCsとを含有するガスを、触媒組成物と接触させることを含んでなるものであり、
前記触媒組成物が、マンガン(Mn)である少なくとも一種の卑金属助触媒と、及び銅(Cu)である少なくとも一種の卑金属触媒とを含んでなり、かつ、安定化された、アルミナとセリアを含んでなる酸化物担体材であって、前記セリアが、Zr安定化CeOである、酸化物担体材に担持されてなり、白金族金属(PGM)を含まないものであり、
アルミナに対する安定剤は、Laであり、
前記VOCsが、臭化メチルを含む、方法。
【請求項2】
前記接触が、325℃未満の温度で生じてなる、請求項1に記載された、方法。
【請求項3】
前記接触が、300℃未満の温度で生じてなる、請求項1に記載された、方法。
【請求項4】
前記接触が、250℃未満の温度で生じてなる、請求項1に記載された、方法。
【請求項5】
精製テレフタル酸の製造工程の排ガス中の一酸化炭素(CO)と、酢酸メチル、臭化メチル、ベンゼン、メチルエチルケトン、ブタン及びブテンの一以上を含む揮発性有機化合物(VOC)を酸化するための触媒組成物であって、
マンガン(Mn)である少なくとも一種の卑金属助触媒と及び銅(Cu)である少なくとも一種の卑金属触媒とを含んでなり、かつ、安定化された、アルミナとセリアを含んでなる酸化物担体材であって、前記セリアが、Zr安定化CeOである、酸化物担体材に担持され、白金族金属(PGM)を含まないものであり、
アルミナに対する安定剤は、Laである、触媒組成物。
【請求項6】
前記酸化物担体材が、ランタン(La)安定化Alである、請求項5に記載された、触媒組成物。
【請求項7】
前記酸化物担体材が、1:1モル比で存在するCeと及びZrとを含んでなる、請求項1から4のいずれか一項に記載された、方法。
【請求項8】
前記水蒸気は1.5モル%〜5モル%の量で前記ガス中に存在する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業工程および商業工程からの排ガスを処理するための方法および触媒組成物に関する。
【発明の背景】
【0002】
触媒酸化は、工業工程からの一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOC)の排ガスを抑制するために広く使用される。触媒の多くは担持貴金属で、それらが高い触媒活性、優れた熱安定性、および化学被毒への優れた耐性を有しているためである。多量の触媒を必要とする用途のため、貴金属酸化触媒の使用は、貴金属に対する多額の資本投資を必要とする。例えば、精製テレフタル酸(PTA)工程における排ガスの触媒酸化用の従来のユニットは、50g/ft白金(Pt)および30g/ftパラジウム(Pd)の充填で、300ftの貴金属触媒が必要であり、つまり約482oz.のPtおよび約289oz.のPdが必要である。従って、少なくとも貴金属触媒に匹敵する活性および耐性を有する別の触媒の開発への強い要望がある。
【本発明の要約】
【0003】
本発明の一の実施態様による一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOCs)を酸化する方法は、水蒸気および前記のCOとVOCs含有のガスを、一種以上のアルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、およびチタニアを含んでなる酸化物担体材に担持された少なくとも一種以上の卑金属助触媒及び少なくとも一種以上の卑金属触媒を含んでなる触媒組成物と接触させることを含んでなる。前記VOCは、酢酸メチル、メタン、臭化メチル、ベンゼン、メタノール、メチルエチルケトン、ブタンおよびブテンを含んでなる。
【0004】
本発明の別の実施態様による一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOCs)を酸化する方法は、水蒸気および前記のCOとVOCs含有のガスを、一種以上のアルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、およびチタニアを含んでなる酸化物担体材に担持された少なくとも一種の卑金属助触媒及び少なくとも一種の卑金属触媒から基本的に成る触媒組成物と接触させる工程を含んでなる。
前記VOCは、酢酸メチル、メタン、臭化メチル、ベンゼン、メタノール、メチルエチルケトン、ブタンおよびブテンを含んでなる。
【0005】
本発明の別の実施態様による一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOC)の酸化のための触媒組成物は、一種以上のアルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、およびチタニアを含んでなる酸化物担体材に担持された少なくとも一種の卑金属助触媒および少なくとも一種の卑金属触媒を含んでなる。
【0006】
本発明の別の実施態様による一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOC)の酸化のための触媒組成物は、一種以上のアルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、およびチタニアを含んでなる酸化物担体材に担持された少なくとも一種の卑金属助触媒および少なくとも一種の卑金属触媒から基本的に成る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付の図に関連して読まれる際、以下の詳細な説明から理解されよう。図に含まれるのは、以下の図である。
図1a図1aは、白金族金属系触媒と比較して、本発明の一の実施態様による銅系触媒に関するPTA製造工程の排ガスをシミュレートする出口温度および条件に対する臭化メチル転化率を示すグラフである。
図1b図1bは、白金族金属系触媒と比較して、本発明の一の実施態様による銅系触媒に関するPTA製造工程の排ガスをシミュレートする出口温度および条件に対するベンゼン転化率を示すグラフである。
図2a図2aは、本発明の異なる実施態様による担体材に関するPTA製造工程の排ガスをシミュレートする温度および条件に対する臭化メチル転化率を示すグラフである。
図2b図2bは、本発明の異なる実施態様による担体材に関するPTA製造工程の排ガスをシミュレートする温度および条件に対するベンゼン転化率を示すグラフである。
図2c図2cは、本発明の異なる実施態様による担体材に関するPTA製造工程の排ガスをシミュレートする温度および条件に対する一酸化炭素転化率を示すグラフである。
図3図3は、本発明の一の実施態様による銅系触媒対白金族金属系触媒に関する温度に対するメタノール転化率を示すグラフである。
図4図4は、本発明の一の実施態様による銅系触媒対白金族金属系触媒に関する温度および条件に対するメチルエチルケトン転化率を示すグラフである。
図5図5は、本発明の一の実施態様による銅系触媒対白金族金属系触媒に関するブタン転化率を示すグラフである。
図6図6は、本発明の一の実施態様による銅系触媒対白金族金属系触媒に関するブテン転化率を示すグラフである。
図7a図7aは、卑金属触媒として、それぞれ銅、鉄、コバルト、およびニッケルを含んでなる触媒組成物の実施態様に関する臭化メチル転化率を示すグラフである。
図7b図7bは、卑金属触媒として、それぞれ銅、鉄、コバルト、およびニッケルを含んでなる触媒組成物の実施態様に関するベンゼン転化率を示すグラフである。
【本発明の詳細な説明】
【0008】
本発明の態様は、一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOC)の酸化のための方法および触媒組成物を含む。一の実施態様による一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOCs)の酸化方法は、水蒸気および前記COとVOCsを含有するガスを、一種以上のアルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、およびチタニアを含んでなる酸化物担体材に担持された少なくとも一種の卑金属助触媒及び少なくとも一種の卑金属触媒を含んでなる触媒組成物と接触させることを含んでなり、前記VOCsは、一種以上の酢酸メチル、メタン、臭化メチル、ベンゼン、メタノール、メチルエチルケトン、ブタンおよびブテンを含んでなる。別の実施態様による一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOCs)の酸化方法は、水蒸気、COおよびVOCsを含有するガスを、一種以上のアルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、およびチタニアを含んでなる酸化物担体材に担持された少なくとも一種の卑金属触媒から基本的に成る触媒組成物と接触させることを含んでなり、前記VOCsは、一種以上の酢酸メチル、メタン、臭化メチル、ベンゼン、メタノール、メチルエチルケトン、ブタンおよびブテンを含んでなる。
【0009】
触媒による酸化は、工業工程および商業工程からのVOCおよびCOの排ガスを抑制するために広く使用される。一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOCs)の酸化方法は、少なくとも水蒸気、COおよびVOCsを含有するガスと接触させる触媒を使用する。ガスは、飽和炭化水素および不飽和炭化水素、芳香族炭化水素、これらのポリハロゲン化誘導体、例えば一種以上の硫黄原子、酸素原子、窒素原子、リン原子または臭素原子含有のハロカーボン、ダイオキシン、または炭化水素等のVOCを含んでもよい。ガスは、工業工程または商業工程から放出されてもよい。一の実施態様によるガスは、精製テレフタル酸(PTA)の製造工程の排ガスであってもよい。
【0010】
PTA製造の商業工程におけるテレフタル酸が、溶媒として酢酸を使用し、酸素によるp−キシレンの酸化により製造されてもよい。これは、臭化物助触媒を使用し、コバルトーマンガン等の触媒の存在下で生じてもよい。この生成品は、水溶液中、水素化により精製されてもよく、次に冷却されてもよい。精製テレフタル酸(PTA)の工程における排ガスは、酸素、窒素、窒素酸化物、臭化メチル、ベンゼン、メタン、一酸化炭素、酢酸メチルおよび水を含んでもよい。特に、従来のPTA工程は、30ppm臭化メチル、10ppmベンゼン、100ppmメタン、1000ppm一酸化炭素、500ppm酢酸メチル、1.5mol%水、4mol%酸素、および残余は窒素を包含してもよい。上述の構成物質に加えて、本発明の一の実施態様による触媒はまた、メチルエチルケトン、メタノール、ブタン、またはブテン等の他の揮発性有機化合物を酸化または転化してもよい。
【0011】
PTAの工程は、約2mol%蒸気/水を有してもよい。触媒および担体は安定していなくてはならなく、および水蒸気のある環境で効果的に機能できなければならない。ゼオライト等の特定の触媒および担体が、熱水条件下で、特にある期間にわたって分解することは周知である。しかし本発明の触媒組成物は水蒸気含有のガス中で耐性があり、効果的に機能することができ、例えば1.5mol%〜5mol%の水蒸気で約400℃以上の温度、または別の方法として約200℃〜約400℃、約200℃〜約325℃、約200℃〜約300℃、約200℃〜約250℃、または別の方法として、約325℃以下、約300℃以下、または約250℃以下である。
【0012】
水蒸気、COおよびVOCsを含有するPTAからの排ガス等のガスが、本発明の実施態様による触媒組成物と接触される際、前記一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOCs)は酸化される。工程廃液は再び加熱され、過剰酸素の存在下で触媒床を通過されてもよく、およびその流れの中の汚染構成材は二酸化炭素(CO)、水(HO)および臭化水素に酸化される。触媒の下流からの臭化水素は、腐食スクラバーを介してガスを通過することにより、廃液から容易に除去される、従って大気に排ガスを排出する前に、廃液から汚染物質を除去する。本発明の実施態様は、図1aと図1b等で示されるように、比較白金族金属触媒と少なくとも同等およびより効果的に臭化メチル、ベンゼンおよび一酸化炭素を転化することを示した。
【0013】
ガスが、メタノール、メチルエチルケトン、ブタンまたはブテン等、他のVOCsを含有する際、本発明の実施態様による卑金属触媒はまた、図3−6等で示されるように、触媒床温度があるレベルに達する限り、白金族金属参照触媒に匹敵する転化を実現できた。
【0014】
触媒組成物は、少なくとも一種の卑金属触媒を含んでなる。この少なくとも一種の卑金属触媒は、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)から選択されてもよい。本発明の一の実施態様における、この少なくとも一種の卑金属触媒は銅である。担体(本明細書の下記に示された)に担持され、およびマンガン等の少なくとも一種の卑金属助触媒で促進されたこの少なくとも一種の卑金属触媒の発見が、貴金属の必要性を排除する。この卑金属触媒は、硝酸塩または酢酸塩の形態で添加されてもよい。とりわけ、例えば硝酸銅の形態で銅は、担体に含浸され、またはペレットまたはモノリスに被覆されてもよい。本発明の触媒は、従来の工業用貴金属触媒と比較して、優れた活性(例えばこれらが高い活性触媒である)および耐性を示す。PTA排ガス排出抑制に対するこれらの触媒は、低温でCOおよびVOCsを、同程度の温度でのPGM触媒より転化することができる。これらの触媒はまた優れた耐性および寿命を示す。
【0015】
触媒組成物は、少なくとも一種の卑金属助触媒を含んでなる。本明細書で使用されるように、「助触媒」または「促進された」は、触媒に添加される際、触媒の活性を増加させる基質を意味することが理解される。この少なくとも一種の卑金属触媒の助触媒は、ネオジム(Nd)、バリウム(Ba)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、ジルコニア(Zr)、モリブデン(Mo)、すず(Sn)、タンタル(Ta)、またはストロンチウム(Sr)から選択されてもよい。一の実施態様におけるこの少なくとも一種の卑金属触媒の助触媒はMnである。この少なくとも一種の卑金属触媒の助触媒は、例えば、硝酸塩水溶液または酢酸塩の形態で添加されてもよい。例えば、Mnを使用する際、Mnは、Mn硝酸塩の形態で添加されてもよい。この少なくとも一種の卑金属触媒の助触媒および少なくとも一種の卑金属触媒、例えば銅等が、酸化物担体材に水溶液から含浸されてもよく、酸化物担体材を含んでなるウオッシュコートに添加されてもよく、または前もってウオッシュコートで被覆された担体に含浸されてもよい。
【0016】
一の実施態様における銅はこの少なくとも一種の卑金属触媒であり、およびマンガンはこの少なくとも一種の卑金属助触媒である。特別な理論に束縛されることなく、少なくとも一種の酸化物担体材に担持された活性触媒構成材としてCuおよびMnの組合せを使用することにより、CuおよびMnは、触媒の活性を増加させることを示し、およびMnは更に触媒の耐性を改善することが確信される。更におよび著しく、Mnは、低下した温度で触媒活性の改善を示すと思われる。図1aおよび図1bを参照して、Cu:Mn触媒は、325℃以下等、低下した温度で優れたVOCの転化を示す。
【0017】
この少なくとも一種の卑金属助触媒およびこの少なくとも一種の卑金属触媒が、酸化物担体材に担持される。この酸化物担体材は、一種以上のアルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、およびチタニアを含んでもよい。この酸化物担体材は、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)およびチタニア(TiO)、またはこれらの混合物またはこれらとペロブスカイト、酸化ニッケル(NiO)、二酸化マンガン(MnO)、酸化プラセオジウム(III)(Pr)等、他の酸化物材料との混合物であってもよい。従って、酸化物担体材は、複合酸化物またはこれら2種以上の混合酸化物を含んでもよい(CeZrO混合酸化物、TiZrO混合酸化物、TiSiO混合酸化物、およびTiAlO酸化物、xはTiO〜Alの比率に依存する)。この酸化物担体材は、担体機能としてだけでなく、結合機能として働いてもよい。例えば、アルミナは、アルミナとCeZrO混合酸化物中で担体および結合剤の両方として機能してもよい。酸化物担体材は、スラリーにされてもよく、または一種以上である場合、酸化物担体材は水と共にスラリーにされ、ウオッシュコートを形成してもよい。
【0018】
酸化物担体材はまた安定化されてもよい。安定剤は、ジルコニア(Zr)、ランタン(La)、アルミニウム(Al)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、これらの酸化物、これら2種以上の複合酸化物または混合酸化物、またはバリウム(Ba)等少なくとも一種のアルカリ土類金属から選択されてもよい。各々酸化物担体材が安定化される場合、この安定剤は同じまたは異なってもよい。一の実施態様における酸化物担体材は、AlおよびCeOである。酸化物担体材がAlである場合、アルファー、ガンマー、ベーター、デルター、またはシータ−Al等でもよい。一の実施態様による酸化物担体材は、La−安定化AlおよびZr−安定化CeOである。別の実施態様における担体材は、20モル%La−安定化Alおよび80モル%Zr−安定化CeOを含んでなる。別の実施態様における担体材は約1:1モル比で存在するCeおよびZrを含んでなる。例えば、混合されたZr−安定化CeOにおいて、約50%Ceおよび約50%Zrが存在する。よりとりわけ、この担体材は正確に1:1モル比でCeとZrを含んでもよい。
【0019】
酸化物担体材に担持された少なくとも一種の卑金属助触媒および少なくとも一種の卑金属触媒を含んでなる触媒組成物の製造において、以下の方法が使用されてもよい。ウオッシュコートが製造されてもよい。酸化物担体材は粉砕されても、されなくてもよい。粉砕される場合、この酸化物担体材は、約20μm以下の粒径に、またはよりとりわけ15μm以下の範囲で粉砕されてもよい。酸化物担体材は、水を使用してスラリーへ形成されてもよい。ウオッシュコートは、例えば多重パスまたは多重被覆で基質に塗付されてもよい。次に担体は、銅等少なくとも一種の卑金属触媒、およびマンガン等少なくとも一種の卑金属助触媒の水溶液で含浸されてもよい。水溶液は硝酸銅および硝酸マンガンを包含してもよい。別の方法としてマンガン塩または銅塩等の塩を、塗付前にウオッシュコートに直接添加してもよい。
【0020】
本発明の一の有利な態様は、触媒が、貴金属がない場合効果的に機能できることであり、およびある実施態様においては、貴金属含有の従来の触媒より効果的に機能できる。従って、触媒組成物は白金族金属(PGMs)を含まなくてもよい。例えば、本発明の実施態様におけるCu系触媒は、いかなる白金族金属を使用することなく、COおよびVOCsの驚くほど効果的な転化を示した。事実、ある実施態様におけるCu系触媒は、PGM触媒より優れた活性および耐性を有した。図1aおよび図1bを参照すると、銅系触媒は、工業用の白金/パラジウム触媒と比較して、優れた活性を示した。触媒中の貴金属量のこの減少は、触媒組成物の製造における著しいコスト削減をもたらす。
【0021】
別の実施態様による一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOCs)の酸化のための触媒組成物は、一種以上のアルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、およびチタニアを含んでなる酸化物担体材に担持された少なくとも一種の卑金属助触媒および少なくとも一種の卑金属触媒を含んでなる。別の実施態様による一酸化炭素(CO)および揮発性有機化合物(VOCs)の酸化のための触媒組成物は、一種以上のアルミナ、シリカ、ジルコニア、セリア、およびチタニアを含んでなる酸化物担体材に担持された少なくとも一種の卑金属助触媒および少なくとも一種の卑金属触媒から基本的に成る。「基本的に〜から成る」は、白金族金属等の特定の他の請求されていない置換基を除くことを意味する。
【0022】
触媒組成物は、当技術分野で一般的に周知なように、実質的に不活性基質材に担持されてもよい。この基質は一般的に適切な形態なら何でもよい。例えば、この基質が、セラミック構造またはハニカム構造等のフロースルーモノリスを備えてもよい、またはこの基質は泡状でもよく、またはこの基質はペレット、流動床粒子の形態でもよく、または球体または短い押出部分等の粒子を含んでもよい。この触媒は基質に被覆されてもよく、またはこの触媒は押し出され、自己担持されたペレットまたはビーズを形成してもよい。当技術分野で周知のように、ペレット触媒等の触媒は、必要に応じて且つ使用される限り、補充および交換されてもよい。
【0023】
本発明は、例えば、様々な工業工程および商業工程からしばしば排出されたCO、炭化水素、ハロカーボン、およびVOC排ガスの酸化のための触媒組成物を提供する。触媒は、温度および流量が抑制される適切な酸化装置に配置されてもよい。水、COおよびVOCs等を含有する廃液の流れが触媒と接触するにつれて、廃液の構成材は、一般的にCO、HOおよびハロカーボンに関してはハロアシッドまたはハロゲンガスに転化される。
【0024】
触媒組成物は、工業工程、商業工程または発電工程からの排ガスに通常遭遇される広範囲の温度を通して使用されてもよいことが理解される。触媒、酸化物担体材および担体は、この広範囲の温度を通しておよび特に高いガス温度で安定すべきである。上述されるように、この組成物はまた安定しなければならなく、および水蒸気含有のガスにおいて効果的に機能できなくてはならない。本発明の触媒組成物は、PTA製造工程の排ガスに通常遭遇される等、これらの環境に耐え、効果的に働くことができる。
【0025】
本発明の実施態様による組成物はまた、何週間もの熟成後さえ、非常に耐久性があることが示された。熟成は、例えば高温、湿度への持続的曝露およびVOCsへの曝露を含んでもよい。代表的な熟成環境は、約1.5mol%含水率および100ppmの臭化メチルを有し、約500℃の温度を含んでもよい。この触媒は、2週間〜35週間以上熟成されてもよい。再度図1aと図1bを参照すると、本発明の実施態様におけるCu系触媒は、著しい熟成後でさえ、匹敵するPGM系触媒より活性だったことは明らかである。
【実施例】
【0026】
本発明は、具体的な実施態様を参照しながら本明細書において図示および説明されるが、本発明が示された詳細に限定される意図はない。むしろ、様々な修正が、特許請求の範囲に相当する精神と範囲内で、および本発明から逸脱すること無く、詳細になされてもよい。
【実施例1】
【0027】
酸化物、アルミナを15ミクロン以下の名目粒径に粉砕しスラリーを形成した。このスラリーを1平方インチ当り400セルを有するセラミックモノリス基質にウオッシュコートし、この基質の1立方インチ当り2.75gの充填を実現した。このブロックを60℃で乾燥し、500℃で焼成した。続いて、このブロックを硝酸銅および硝酸マンガンの水溶液の混合物で含浸した。目標充填は、この基質の1立方インチ当りCuOの0.22gおよびMnOの0.45gだった。このブロックを60℃で乾燥し、2時間500℃で焼成した。
【実施例2】
【0028】
La安定化アルミナおよびCeZrOの混合酸化物を<15ミクロンの名目粒径に別々に粉砕し、スラリーを形成した。これら2種のスラリーを一緒に混合し、20mol%La安定化アルミナおよび80mol%CeZrOの混合酸化物を含有したウオッシュコートを形成した。このウオッシュコートを1平方インチ当り400セルを有するセラミックモノリス基質に被覆し、この基質の1立方インチ当り2.75gの充填を実現した。乾燥および焼成後、このブロックを、実施例1に上述された方法に従って、CuとMnで含浸した。
【実施例3】
【0029】
この実施例は、CeZrO混合酸化物に取って代わってTiZrO混合酸化物を使用した以外、実施例2と同様だった。
【実施例4】
【0030】
この実施例は、CeZrO混合酸化物に取って代わってTiSiO混合酸化物を使用した以外、実施例2と同様だった。
【実施例5】
【0031】
この実施例は、CeZrO混合酸化物に取って代わってTiAlO混合酸化物を使用した以外、実施例2と同様だった。
【実施例6】
【0032】
この実施態様において、第一酸化物、La安定化アルミナを<15ミクロンの名目粒径に粉砕した。第二酸化物、CeZrO混合酸化物を<15ミクロンの名目粒径に別々に粉砕した。この別々に粉砕した酸化物を混合しスラリーにした。Mn酢酸塩結晶が完全に溶解し均一のウオッシュコートを形成するまでMn酢酸塩結晶を添加し混合した。この最終ウオッシュコートは17mol%La安定化アルミナ、69mol%CeZrOの混合酸化物および14mol%MnOを含有した。このウオッシュコートを1平方インチ当り400セルを有するモノリス基質に塗布し、この基質の1立方インチ当り3.2gの充填を実現した。このブロックを60℃で乾燥し、500℃で焼成した。続いてこのブロックを硝酸銅の水溶液で含浸し、この基質の1立方インチ当りCuOの0.22gのCu充填を実現した。このブロックを60℃で乾燥し、2時間500℃で焼成した。
【実施例7】
【0033】
この実施態様における第一酸化物、La安定化アルミナを<15ミクロンの名目粒径に粉砕した。第二酸化物、CeZrO混合酸化物を<15ミクロンの名目粒径に別々に粉砕した。この別々に粉砕した酸化物を混合しスラリーにした。Mn酢酸塩結晶が完全に溶解し均一のスラリーを形成するまで、Mn酢酸塩結晶を添加し混合した。続いてCu酢酸塩結晶が完全に溶解し均一のウオッシュコートを形成するまで、Cu酢酸塩結晶を上記のスラリーに添加し混合した。最終ウオッシュコートは16mol%La安定化アルミナ、64mol%CeZrOの混合酸化物、13mol%MnOおよび7mol%CuOを含有した。このウオッシュコートを1平方インチ当り400セルを有するモノリス基質に塗布し、この基質の1立方インチ当り3.42gの充填を実現した。このブロックを60℃で乾燥し、2時間500℃で焼成した。
【実施例8】
【0034】
図1aおよび図1bを参照すると、Cu系触媒を、実施例2または実施例6と同様に、Mnで促進されたAlおよびCeZrO酸化物に担持されたCuを含有し、製造した。この組成物は白金族金属を全く含有しなかった。工業用Pt50Pd30触媒(Pt50g/ftおよびPd30g/ft)を比較例(50:30:0/80)として使用した。この比率はPt:Pd:Rhに関し、およびこの比率の後の値は、g ft−3での全PGM充填である。
【0035】
図1aと図1bは、白金族金属系触媒と比較して、銅系触媒に関するPTA製造工程の排ガスをシミュレートする出口温度および条件に対する臭化メチル転化率およびベンゼン転化率をそれぞれ示す。
【0036】
この試験条件は、PTA製造工程の排ガスにおける条件をシミュレートし、気体時空間速度(GHSV)は25、000h−1に相当し、圧力低下は150psigに相当し、およびガス混合物は30ppm臭化メチル、10ppmベンゼン、100ppmメタン、1000ppmCO、500ppm酢酸メチル、1.5mol%HO、4.0mol%Oおよび残余としてNを含んだ。熟成条件は、2週間、34週間および35週間それぞれを、550℃で、1.5mol%水、100ppm臭化メチル、および残余として空気を有して行い、図1aおよび図1bに示した。
【0037】
図1aおよび図1bで明確に示したように、Cu系触媒は、より新しい触媒(2週間の熟成)および長期の熟成後(34週間または35週間の熟成)の両方に関して工業用Pt50Pd30触媒よりも優れた活性を示した。従って、この組成物は、何週間の熟成後でさえ非常に耐久性があり、活性を維持すると思われる。
【実施例9】
【0038】
図2a、図2bおよび図2cを参照すると、Cu系触媒を、Al単独または他の特定された酸化物と共にAlに担持されたCuを含有し、製造し、およびMnで促進した。これらのCu系触媒は白金族金属を全く含有しなかった。図2a、図2bおよび図2cは、異なる担体材に関するPTA製造工程の排ガスをシミュレートする温度および条件に対する臭化メチル転化率、ベンゼン転化率およびCO転化率をそれぞれ示す。この担体材は、(1)Al単独;(2)20mol%Al+80mol%CeZrO混合酸化物;(3)20mol%Al+80mol%TiZrO混合酸化物;(4)20molAl+80mol%TiSiO混合酸化物および(5)20mol%Al+80mol%TiAlO混合酸化物を包含した。
【0039】
この試験条件は、PTA製造工程の排ガスにおける条件をシミュレートし、GHSVは25、000h−1に相当し、圧力低下は150psigに相当し、およびガス混合物は30ppm臭化メチル、10ppmベンゼン、100ppmメタン、1000ppmCO、500ppm酢酸メチル、1.5mol%HO、4.0mol%Oおよび残余としてNを含んだ。熟成条件は、1.5%水、100ppm臭化メチル、および残余として空気を有し、2週間、550℃で行った。
【0040】
図2a、図2bおよび図2cで明確に示されるように、全ての特定された酸化物は、酸化物に担持されたCu:Mnの優れた触媒活性を示した。従って、
酸化物担体材に担持されたCu:Mnは、広範囲の温度を通して効果的である。Al+CeZrO担体に担持されたCu:Mnの触媒活性が最も活性的な触媒だったことがまた明らかである。
【実施例10】
【0041】
図3を参照すると、Cu系触媒を、Mnで促進されたAlおよびCeZrO酸化物に担持されたCuを含有し、製造した。このCu系触媒は白金族金属を全く含有しなかった。工業用白金系触媒を比較例として使用した。図3は、白金族金属系触媒に対する銅系触媒に関する出口温度に応じて、メタノール転化率を示す。
【0042】
図3において、この試験条件は、50、000h−1に相当するGHSVを含み、およびガス混合物は1000ppmメタノール、1000ppmCO、5mol%HO、15mol%Oおよび残余としてNを含んだ。図3に明確に示されるように、温度が300℃に達する際、Cu:Mn触媒は100%メタノール転化を実現できる。
【実施例11】
【0043】
図4を参照すると、Cu系触媒を、Mnで促進されたAlおよびCeZrO酸化物に担持されたCuを含有し、製造した。このCu系触媒は白金族金属を全く含有しなかった。工業用白金系触媒を比較例として使用した。図4は、白金族金属系触媒に対する銅系触媒に関する出口温度に応じて、メチルエチルケトン(MEK)転化率を示す。
【0044】
図4において、この試験条件は、50、000h−1に相当するGHSVを含み、およびガス混合物は250ppmメチルエチルケトン、1000ppmCO、5mol%HO、15mol%Oおよび残余としてNを含んだ。図4で示されるように、温度が300℃に達する際、Cu:Mn触媒は白金系参照触媒に匹敵する。この理由は、両方の触媒が約100%MEK転化を実現したためである。従って、本発明のCu系触媒は、いかなる白金族金属を使用することなく、MEKの著しく効果的な転化を示した。
【実施例12】
【0045】
図5を参照すると、Cu系触媒を、Mnで促進されたAlおよびCeZrO酸化物に担持されたCuを含有し、製造した。このCu系触媒は白金族金属を全く含有しなかった。工業用白金系触媒を比較例として使用した。図5は、白金族金属系触媒に対する銅系触媒に関するブタン転化率を示す。
【0046】
図5において、この試験条件は、50、000h−1に相当するGHSVを含み、およびガス混合物は250ppmブタン、1000ppmCO、5mol%HO、15mol%Oおよび残余としてNを含んだ。図5で示されるように、Cu:Mn触媒は白金系触媒と同程度に機能した。従って、本発明の少なくとも一種の卑金属触媒、例えばCu系触媒は、いかなる白金族金属を使用することなく、ブタンの効果的な転化を示した。
【実施例13】
【0047】
図6を参照すると、Cu系触媒を、Mnで促進されたAlおよびCeZrO酸化物に担持されたCuを含有し、製造した。このCu系触媒は白金族金属を全く含有しなかった。工業用白金系触媒を比較例として使用した。図6は、白金族金属系触媒に対する銅系触媒に関するブテン転化率を示す。
【0048】
図6において、この試験条件は、50、000h−1に相当するGHSVを含み、およびガス混合物は250ppmブテン、1000ppmCO、5mol%HO、15mol%Oおよび残余としてNを含んだ。図6で示されるように、Cu:Mn触媒は白金系触媒ほど効果的に機能しなかったが、より高い温度で、とりわけ300℃以上で、ブテンの転化において優れた活性を維持した。
【実施例14】
【0049】
この実施例は、各場合において硝酸銅に取って代わって硝酸鉄、硝酸コバルトまたは硝酸ニッケルを使用した以外は、実施例2と同様であった。とりわけ、La安定化アルミナおよびCeZrO混合酸化物を<15ミクロンの名目粒径に別々に粉砕しスラリーを形成した。これら2種のスラリーを一緒に混合し、20mol%La安定化アルミナおよび80mol%CeZrOの混合酸化物を含有したウオッシュコートを形成した。このウオッシュコートを1平方インチ当り400セルを有するセラミックモノリス基質に被覆し、この基質の1立方インチ当り2.75gの充填を実現した。このブロックを乾燥しおよび焼成した後、このブロックを、実施例1で上述された方法に従って、硝酸Cu(または硝酸Fe、硝酸Coあるいは硝酸Niをそれぞれ置換する)および硝酸Mnの水溶液の混合物で含浸した。
【0050】
図7aおよび図7bを参照すると、図7aは、銅、鉄、コバルト、またはニッケルそれぞれの卑金属助触媒および卑金属触媒を有する触媒に関する臭化メチル転化率を示す。図7bは、銅、鉄、コバルト、またはニッケルそれぞれの卑金属助触媒および卑金属触媒を有する触媒に関するベンゼン転化率を示す。この銅系触媒が臭化メチルおよびベンゼンの転化において、最高の活性を示したことは明らかであるが、鉄、コバルト、およびニッケル系触媒もまた臭化メチルおよびベンゼンの転化において優れた活性を維持する。
【0051】
本明細書の望ましい実施態様が本明細書で図示および説明されるが、そのような実施態様は、ほんの一例として示されることが理解されよう。多くの変化、変更および置換は、本発明の精神から逸脱することなく、当業者によってなされるだろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の精神と範囲内でのそのような変化をすべてカバーすることを目的とする。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b