(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記管路は、前記冷水タンク側から前記温水タンクへの給水時、給水手段であり、前記温水タンクから前記冷水タンク側への高温水の循環時、該高温水の循環手段であることを特徴とする請求項1に記載のウォーターサーバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウォーターサーバーでは冷水タンクと温水タンクの間に設置された管路は、温水タンクへの給水だけでなく、滅菌のための高温水の循環にも用いられる。この管路は、エア溜まりを回避するため、単純な配管形態である。この管路がたとえば、温水タンクの中心に取り付けられても、温水タンクに対して冷水タンクの中心にずれがあれば、管路を曲げて各タンクの中心間で連結される。
【0006】
温水タンクには温水が溜められ、高温水循環時には加熱によって100〔℃〕に近い高温水に昇温される。このため、高温水循環に用いられる管路は温水タンクと同様にたとえば、ステンレスなどの金属で形成される。このような金属で形成された管路で温水タンクと冷水タンクを連通させると、金属の持つ熱伝導性や、水の対流などにより、温水タンクおよび冷水タンク間で互いの熱的影響を受ける。つまり、管路を通じ、冷水タンク側の冷水により温水タンク側の温水温度が低下し、温水タンク側の温水により冷水タンク側の冷水温度が上昇する。
【0007】
斯かる温度変化は、冷水タンク側の冷却装置、温水タンク側の加熱装置の発停に影響する。冷却装置は冷水温度を所定温度に維持するために発停し、加熱装置は温水温度を所定温度に維持するために発停する。このような発停の繰り返しはウォーターサーバーの消費電力を増加させ、省エネ化を妨げるという課題がある。
【0008】
熱的影響を軽減するために冷水タンクと温水タンクの間隔を拡大すればウォーターサーバーのコンパクト化を妨げるし、断熱部材を多用しても管路の熱伝導性や、水の対流の低減は困難である。管路を複雑化させると管路抵抗を増大させることになり、高温水循環時、循環を妨げるなど、循環特性を低下させるという課題もある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、係る課題に鑑み、温水タンクおよび冷水タンク間の管路による熱的影響を低減することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、係る課題に鑑み、ウォーターサーバーの温水タンクおよび冷水タンク間に連結される通水路などに好適な管路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一側面によれば、冷水、温水または炭酸水を給水するウォーターサーバーであって、前記冷水を溜める冷水タンクと、前記冷水タンクの下方に配置されて温水を溜める温水タンクと、前記冷水タンクと前記温水タンクを連結する管路とを備え、前記管路は、前記冷水タンクと前記温水タンクの間隔より長い管路長とし、
前記冷水タンクと接続して前記冷水タンクから前記温水タンク側に向かって鉛直方向に下降した第1の直管部と、前記温水タンクと接続して前記温水タンクから前記冷水タンクに向かって立ち上がった第2の直管部と、前記第1の直管部と前記第2の直管部の間に前記温水タンク側に傾斜させた迂回部を備え
、前記迂回部は、前記第1の直管部と連結し前記管路を湾曲させた第1の湾曲部と、直管形状を有して前記第1の湾曲部から下方に向かって傾斜した第1の斜管部と、前記第1の湾曲部より下方に位置し、前記管路を前記温水タンク側に湾曲させて前記第2の直管部と連結した第2の湾曲部と、前記第2の湾曲部と連結し、直管形状を有して前記第2の湾曲部に向かって下方に傾斜した第2の斜管部と、前記第1の斜管部と前記第2の斜管部との間に形成されて前記管路を湾曲させる第3の湾曲部とを有する。
【0012】
上記ウォーターサーバーにおいて、前記管路は、前記冷水タンク側から前記温水タンクへの給水時、給水手段であり、前記温水タンクから前記冷水タンク側への高温水の循環時、該高温水の循環手段である。
【0014】
上記ウォーターサーバーにおいて、前記管路は、前記冷水タンクと前記温水タンクを連結する給水管路、高温水循環時に通水状態とするバイパス管路の何れか一方または双方である。
【0015】
上記ウォーターサーバーにおいて、前記迂回部は、給水解除時、管内水を前記温水タンク側に導き、管内空気を前記冷水タンク側に導く。
【0016】
上記
目的を達成するため、本発明の一側面によれば、冷水、温水または炭酸水を給水するウォーターサーバーであって、前記冷水を溜める冷水タンクと、前記冷水タンクの下方に配置されて温水を溜める温水タンクと、前記冷水タンクと前記温水タンクを連結する管路と、を備え、前記管路は、前記冷水タンクと前記温水タンクの間隔より長い管路長とし、前記温水タンク側に傾斜させるとともに、前記温水タンクから温水を流す温水供給路の周囲に配置され
た迂回部を備える。
【0017】
上記ウォーターサーバーにおいて、さらに、前記冷水タンクから前記冷水を受けて炭酸水を生成する炭酸水生成部とを備えてよい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の一側面によれば、冷水を溜める冷水タンクと、該冷水タンクの下方に配置されて温水を溜める温水タンクとを連結し、前記冷水または前記温水を流す管路であって、前記冷水タンクと前記温水タンクの間隔より長い管路長を備え、
前記冷水タンクと接続して前記冷水タンクから前記温水タンク側に向かって鉛直方向に下降した第1の直管部と、前記温水タンクと接続して前記温水タンクから前記冷水タンクに向かって立ち上がった第2の直管部と、前記第1の直管部と前記第2の直管部の間に中途部に前記温水タンク側に傾斜させた迂回部
とを備え
、前記迂回部は、前記第1の直管部と連結し前記管路を湾曲させた第1の湾曲部と、直管形状を有して前記第1の湾曲部から下方に向かって傾斜した第1の斜管部と、前記第1の湾曲部より下方に位置し、前記管路を前記温水タンク側に湾曲させて前記第2の直管部と連結した第2の湾曲部と、前記第2の湾曲部と連結し、直管形状を有して前記第2の湾曲部に向かって下方に傾斜した第2の斜管部と、前記第1の斜管部と前記第2の斜管部との間に形成されて前記管路を湾曲させる第3の湾曲部とを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0020】
(1) 冷水タンクと温水タンクを連結する管路から温水タンクおよび冷水タンク間の水の対流などによる熱的影響を抑制でき、加熱装置や冷却装置の発停数を抑え、ウォーターサーバーの省エネ化を図ることができる。
【0021】
(2) 管路抵抗を増大させることがなく、高温水循環時、循環特性を低下させることがなく、安定した高温水循環を行える。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、一実施の形態に係る冷水タンクおよび温水タンク間の管路を示している。
【0024】
ウォーターサーバーには冷水タンク2および温水タンク4が備えられ、これら冷水タンク2および温水タンク4が管路6によって連結されている。この管路6は、本発明の管路の一例である。冷水タンク2、温水タンク4および管路6は通水可能な金属材料としてたとえば、ステンレスで形成される。
【0025】
冷水タンク2の底面中央には連結部8が備えられ、この連結部8に管路6の一端が接続され、冷水タンク2側の給水管10と連結されている。管路6の他端側は、温水タンク4の天井中央からタンク内を貫通させ、温水タンク4の天井部に固着手段としてたとえば、溶接により固着されている。
【0026】
管路6の中間部には、水平方向に湾曲して迂回する迂回部12が備えられる。冷水タンク2の底外面と温水タンク4の天井外面間の間隔をタンク間隔D1、迂回部12の上下方向幅をD2とすれば、D2はD1の二分の一またはほぼ二分の一の位置に設定される。
【0027】
迂回部12には少なくとも一対の斜管部14a、14bが備えられ、各斜管部14a、14bは、冷水タンク2側から温水タンク4側に向かって傾斜する角度θ1、θ2を有する。
【0028】
この迂回部12を含む管路6のタンク間隔D1内の管路長をLとすると、この管路長Lは、タンク間隔D1より大きい(L>D1)路長を有する。
【0029】
冷水タンク2の幅をW1、温水タンク4の幅をW2、冷水タンク2側中心O1からの迂回部12の張出幅をW3、温水タンク4側中心O2からの迂回部12の張出幅をW4とすると、W2/2<W1/2<W3である。したがって、この例では、迂回部12は冷水タンク2および温水タンク4の各側面から突出し、冷水タンク2側よりの突出幅ΔW1は、
ΔW1=W3−W1/2 ・・・(1)
であり、温水タンク4の側面よりの突出幅ΔW2は、
ΔW2=W4−W2/2 ・・・(2)
である。
【0031】
(1) 冷水タンク2および温水タンク4間を連結する管路6の中間に迂回部12を備え、この迂回部12によってタンク間管路長Lをタンク間隔D1より大きくしたので、冷水タンク2と温水タンク4との間の熱絶縁性が高められる。これにより、冷水タンク2側の冷水LWおよび温水タンク4側の温水HWの対流などによる互いの熱的影響を抑制できる。
【0032】
(2) このように熱的影響を抑制できるので、冷水タンク2側の冷水LWを冷却装置によって一定の冷水温度に維持し、温水タンク4側の温水HWを加熱装置によって一定の温水温度に維持する制御を行っても、冷却装置や加熱装置の発停を抑制し、斯かる発停による消費電力を低減できるので、ウォーターサーバーの省エネ化を図ることができる。
【0033】
(3) 迂回部12は単純なたとえば、湾曲路で構成できるので、このような迂回部12では管路6の流体抵抗を増大させることがなく、高温水VHWの循環時、循環特性の低下はなく、安定した高温水循環を行える。
【0034】
(4) 迂回部12を単純なたとえば、湾曲路とすれば、迂回部12を備えた管路6にあっても、管路長Lを長くするだけで、格別製造コストを増加させる不都合はない。
【0035】
(5) 冷水タンク2と温水タンク4の配置位置は迂回部12で吸収でき、冷水タンク2および温水タンク4の配置の自由度を拡大できる。
【0036】
(6) 迂回部12は斜管部14a、14bにより空気の滞留を防止でき、給水や温水の循環特性が高められる。
【実施例1】
【0037】
実施例1は
図1に示す一実施の形態をより具体化したものである。
図2のAは、この実施例1に係る冷水タンクおよび温水タンク間の管路を示し、
図2のBは
図2のAの矢印IIB方向から見た冷水タンク2および温水タンク4間の管路6を示している。
【0038】
管路6について、冷水タンク2側から温水タンク4側に向かって各部を形状により特定すると、第1の直管部16−11、第1の湾曲部16−21、第1の斜管部16−31、第2の湾曲部16−22、第2の斜管部16−32、第3の湾曲部16−23、第3の斜管部16−33、第4の湾曲部16−24、第2の直管部16−12が備えられる。
【0039】
直管部16−11は冷水タンク2から温水タンク4側に向かう鉛直方向に下降し、直管部16−12は温水タンク4から冷水タンク2側に向かう鉛直方向に立ち上がる。直管部16−11、16−12の各中心軸O1、O2はX軸方向にΔX、Y軸方向にΔYだけ変位している。
【0040】
湾曲部16−21は、直管部16−11と斜管部16−31との間に形成され、管路6を冷水タンク2の半径方向に湾曲させている。湾曲部16−22は斜管部16−31と斜管部16−32との間に形成され、管路6を斜管部16−31と直交方向に湾曲させている。湾曲部16−23は斜管部16−32と斜管部16−33との間に形成され、管路6を斜管部16−32と中心軸O2の方向に湾曲させている。
【0041】
湾曲部16−24は、斜管部16−33と直管部16−12の間に形成され、管路6を温水タンク4の天井面方向(つまり、既述の鉛直方向)に湾曲させている。
【0042】
係る構成では、
図2のBに示すように、迂回部12の斜管部16−31の一部、斜管部16−32の全部、斜管部16−33の一部が温水タンク4および冷水タンク2の投影範囲外に配置されている。
【0043】
そして、斜管部16−31、16−33は既述の斜管部14a、14bに対応しており、既述の傾斜角度θ1、θ2を以て傾斜している。
【0044】
図3は、
図2のBの矢印III で示す方向から見た冷水タンクおよび温水タンク間の管路を示している。斜管部16−32は
図3に示すように、迂回部12の上下方向幅D2の範囲内で、冷水タンク2側から温水タンク4側に向かって角度θ3で傾斜している。
【0045】
なお、実施例1では、斜管部16−32を直管形状により実現しているが、湾曲部16−22、16−23を一体化し、単一の湾曲部で形成してもよい。
【0046】
<実施例1の効果>
【0047】
(1) この実施例1によれば、一実施の形態で述べた効果を得ることができる。
【0048】
(2) この実施例1によれば、斜管部16−31、16−32、16−33の傾斜角度θ1、θ2、θ3により迂回部12での管路6の流体抵抗を増大させることがなく、高温水循環時、循環特性の低下はなく、安定した高温水循環を行える。
【0049】
(3) 迂回部12は冷水タンク2から温水タンク4側に下降する傾斜を持つ斜管部16−31、16−32、16−33を備えているので、空気は冷水タンク2側に自然通流し、冷水LWまたは温水HWは重力、対流現象により自然な流動が得られ、冷水や温水の循環特性が高められる。
【実施例2】
【0050】
図4は、実施例2に係るウォーターサーバーの一例を示している。このウォーターサーバー20には、既述の冷水タンク2、温水タンク4および管路6が備えられる。
【0051】
筐体22の上部には給水ボトル24が設置され、この給水ボトル24から水Wが冷水タンク2および温水タンク4に導入される。水Wはたとえば、飲料水である。
【0052】
冷水タンク2には弁機構26が備えられる。この弁機構26にはフロート部26−1と、開閉部26−2が備えられる。フロート部26−1は冷水タンク2内の水位により昇降する。開閉部26−3は、フロート部26−1の昇降により、供給口26−3を開閉する。従って、冷水タンク2の水位が低下すれば、開閉部26−3が開かれて給水ボトル24から水Wが冷水タンク2に給水され、冷水タンク2の水位が上昇すれば、開閉部26−3が閉じられて冷水タンク2への給水が停止される。これにより、給水ボトル24に水Wがあれば、弁機構26を以て冷水タンク2の水位が一定水位に維持される。
【0053】
この冷水タンク2には分離板28が備えられ、冷水LWと給水ボトル24側から落下する水Wがこの分離板28で分離される。この分離板28の中央には温水タンク4側に水Wを導く給水管10が連結されている。
【0054】
冷水タンク2には外壁部に冷却装置として、エバポレータ30が備えられる。エバポレータ30にはコンプレッサー32より冷媒が循環し、冷水タンク2側の熱を奪う。冷水タンク2内の冷水LWの温度が温度センサ34−1で検出される。この検出温度によってコンプレッサー32が制御され、冷水LWが一定の冷水温度に制御される。このコンプレッサー32の制御は、制御部36によって実行される。
【0055】
冷水タンク2の冷水LWの提供は冷水口38から行われる。冷水口38には冷水タンク2の底面側から冷水供給路40により給水され、冷水電磁弁42−1の開閉で給水またはその解除が行われる。冷水電磁弁42−1は、制御部36で制御され、冷水スイッチ44の押下中に開状態、その押下の解除で閉状態となる。
【0056】
温水タンク4には外壁部に加熱手段として、温水ヒーター46が備えられる。温水ヒーター46はたとえば、電熱ヒーターであり、発熱によって温水タンク4を加熱する。温水タンク4内の温水HWの温度は温度センサ34−2で検出される。この検出温度によって温水ヒーター46が制御され、温水HWが一定の温水温度に制御される。この温水ヒーター46の制御は、制御部36によって実行される。
【0057】
温水タンク4の温水HWの提供は温水口48から行われる。温水口48には温水タンク4の天井側から温水供給路50により給水され、温水電磁弁42−2の開閉で給水またはその解除が行われる。温水電磁弁42−2は、制御部36で制御され、温水スイッチ52の押下中に開状態、その押下の解除で閉状態となる。
【0058】
管路6は実施例1と同様であるので、その説明を割愛する。冷水タンク2と温水タンク4の間には管路6と並行してバイパス管路54が連結されている。このバイパス管路54にはバイパス弁42−3が備えられる。高温水循環時、バイパス弁42−3が制御部36開状態に制御されることにより、管路6およびバイパス管路54を高温水循環路として高温水VHWが温水タンク4側から冷水タンク2側に循環する。この高温水循環時、制御部36で制御される温水ヒーター46により、温水タンク4の温水HWは高温水VHWに昇温される。
【0059】
図5は、制御部36の一例を示している。この制御部36はコンピューターで構成される。この制御部36にはとプロセッサ56、メモリ部58、マルチタイマー60、入出力部(I/O)62が備えられる。
【0060】
プロセッサ56は、メモリ部58にあるプログラムを実行し、冷温水の制御を行う一方、既述の高温水循環の制御を行う。このプログラムには高温水循環プログラムが含まれる。
【0061】
メモリ部58は、記憶手段の一例であって、プロセッサ56で実行するプログラムや、スイッチに割り付けられる高温水循環の開始時点、高温水循環時間などのデータが格納される。このメモリ部58にはROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)が備えられ、ハードディスクや半導体メモリなどの記録媒体を用いればよい。
【0062】
マルチタイマー60はたとえば、電源投入時を契機に時間を計測し、システム内のクロックをカウントアップし、電源投入時点からの経過時間を連続して計測する。
【0063】
制御部36には操作パネル部64が接続されており、温度センサ34−1、34−2の検出信号、ロック解除スイッチ66、温水スイッチ44、冷水スイッチ52、省エネスイッチ68のオン・オフ信号はI/O62に入力される。I/O62からコンプレッサー32、冷水電磁弁42−1、温水電磁弁42−2、バイパス弁42−3、温水ヒーター46、ロック解除表示ランプ70−1、温水表示ランプ70−2、高温表示ランプ70−3、冷水表示ランプ70−4、弱冷表示ランプ70−5、繰返し設定表示ランプ70−6、省エネ中表示ランプ70−7、高温水循環表示ランプ70−8に対して制御出力が発せられる。
【0064】
<冷水タンク2の温度制御>
【0065】
図6は冷水タンクの温度制御の処理手順を示している。この温度制御において、温度センサ34−1の検出温度をT1、冷水LWの第1の基準温度をTL1、第2の基準温度をTL2とする。TL2>TL1とし、一例として、TL1=6.5〔℃〕、TL2=7〔℃〕とする。コンプレッサー32の駆動時間をt、基準駆動時間をtref1とし、一例としてtref1=7〔分〕とする。
【0066】
この温度制御では、T1>TL2であるかを判断する(S101)。T1>TL2であれば(S101のYES)、コンプレッサー32を駆動し(S102)、S101に戻る。T1>TL2でなければ(S101のNO)、T1<TL1であるかを判断する(S103)。
【0067】
T1>TL1であれば(S103のNO)、S101に戻る。T1<TL1であれば(S103のYES)、コンプレッサー32が駆動中であるかを判断する(S104)。コンプレッサー32が駆動中でなければ(S104のNO)、S101に戻る。
【0068】
コンプレッサー32が駆動中であれば(S104のYES)、T1<TL1になってからのコンプレッサー32の駆動時間tが、t>tref1であるかを判断する。つまり、コンプレッサー32の駆動時間tが、T1<TL1になってから基準時間tref1を超えているかを判断する(S105)。
【0069】
t<tref1であれば(S105のNO)、コンプレッサー32の駆動を継続する。t>tref1であれば(S105のYES)、コンプレッサー32の駆動を停止し(S106)、S101に戻る。
【0070】
斯かる温度制御により、冷水LWの検出温度T1が(TL1−α)<T1<TL2の範囲に制御される。この例では、冷水温度はおよそ5〔℃〕を超え、7〔℃〕未満の温度範囲に制御されることになる。
【0071】
<温水タンク4の温度制御>
【0072】
図7は、温水タンクの温度制御の処理手順を示している。この温度制御において、温度センサ34−2の検出温度をT2、温水HWの第1の基準温度をTH1、第2の基準温度をTH2とする。TH2>TH1とし、一例として、TH1=87〔℃〕、TH2=89〔℃〕とする。
【0073】
この温度制御では、T2>TH2であるかを判断する(S201)。T2>TH2であれば(S201のYES)、温水ヒーター46をOFFにし(S202)、S201に戻る。T2<TH2であれば(S201のNO)、T2<TH1であるかを判断する(S203)。
【0074】
T2>TH1であれば(S203のNO)、S201に戻る。T2<TH1であれば(S203のYES)、温水ヒーター46をONとし(S204)、S201に戻る。
【0075】
斯かる温度制御により、温水HWの検出温度T2がTH1<T2<TH2の範囲に制御される。この例では、温水温度は87〔℃〕を超え、89〔℃〕未満の温度範囲に制御されることになる。
【0076】
<高温水循環の制御>
【0077】
図8は、高温水循環制御の処理手順を示している。この温度制御において、温度センサ34−1の検出温度をT1、高温水基準温度をTVH、高温水基準循環時間をtref2とする。一例として、TVH=85〔℃〕、tref2=30〔分〕とする。
【0078】
この処理手順では、高温水循環モードに移行するとコンプレッサー32を停止し(S301)、温水ヒーター46をON状態にし、温水HWの加熱を開始する(S302)。
【0079】
バイパス弁42−3を開き、温水タンク4側から高温水VHWを冷水タンク2に循環させる高温水循環を行う(S303)。
【0080】
この高温水循環において、高温水温度および高温水循環時間を監視する。すなわち、高温水VHWの検出温度T1がT1≧TVHであり、その状態の高温水循環時間t≧tref2であるかを判断する(S304)。
【0081】
T1<TVH、t<tref2であれば(S304のNO)、S303に戻り、S303およびS304の処理を行う。T1≧TVHの状態がt≧tref2、つまりtref2時間連続すれば(S304のYES)、高温水循環を完了する。これにより、バイパス弁42−3を閉じ、通常動作状態に移行し(S305)、既述の冷水タンク2の温度制御(
図6)および温水タンク4の温度制御(
図7)を実行する。
【0082】
<実施例2の効果>
【0083】
(1) 管路6に迂回部12を備えることにより、冷水タンク2および温水タンク4間の熱的影響を軽減でき、コンプレッサー32や温水ヒーター46の発停数を低減できる。
【0084】
(2) 管路6に設けた迂回部12では高温水循環時の高温水VHWの循環を妨げることがない。
【0085】
(3) 管路6の管路長はたとえば、295〔mm〕から423〔mm〕程度に拡張し、この管路長はタンク間幅の171.5〔mm〕をたとえば、299.5〔mm〕程度に拡大し、両タンクの熱影響を低減でき、コンプレッサー32や温水ヒーター46の発停数を削減できる。つまり、駆動間の停止時間を延長し、インターバル時間が長くなることで、省エネ効果が得られる。
【0086】
(4) 管路6の迂回部12には温水タンク4に向かって下降する傾斜角度が設定され、冷水タンク2、温水タンク4間で通水が上下逆転することがなく、通水特性に何らの影響も与えない。
【実施例3】
【0087】
図9は、実施例3に係る管路6の迂回部12の配置を示している。温水タンク4には管路6とともに、バイパス管54の連結部72が配置されている。温水供給管50の端部には温水電磁弁42−2(
図4)の連結部74が備えられる。
【0088】
この実施例3では、管路6の迂回部12が温水供給管50を周回して配置され、温水供給管50と迂回部12の配管がコンパクト化されている。
【0089】
<実施例3の効果>
【0090】
迂回部12による冷水タンク2と温水タンク4間の熱的影響を回避できるとともに、温水供給管50と迂回部12の配管配置をコンパクト化でき、ウォーターサーバーの小型化や軽量化に寄与することができる。
【実施例4】
【0091】
図10、実施例4に係るウォーターサーバーの一例を示している。このウォーターサーバー76は、炭酸水の生成および給水機能を備えている。このウォーターサーバー76において、
図4に示すウォーターサーバー20と同一部分には同一符号を付し、その説明を割愛する。
【0092】
このウォーターサーバー76にはカーボネーションタンク78が備えられる。このカーボネーションタンク78には冷水タンク2から冷水LW、炭酸ガス供給源80から炭酸ガスGが供給されることにより、炭酸水GWが生成される。
【0093】
このようなウォーターサーバー76についても、管路6に迂回部12を備えてよく、斯かる構成とすれば、同様の効果が得られる。
【0094】
〔実験結果〕
【0095】
<実験1> 実験1は、管路長Lの相違がコンプレッサー32のOFF周期に影響することを検証した。この実験1では、管路6に迂回部12を備えた製品(=実施品)と、迂回部12のない製品(=従来品)について、コンプレッサー32の発停による電力値を測定した。迂回部12の傾斜角度θ3(
図3)をθ3=5〔度〕とした。
【0096】
図11のAは、横軸に経過時間、縦軸に電力値をとり、実施品の測定結果を示している。
図11のBは従来品の測定結果を示している。
【0097】
コンプレッサー32が発停を繰り返し、Toff1は、実施品のコンプレッサー32のOFF周期、Toff2は従来品のコンプレッサー32のOFF周期である。Toff1=36分42秒、Toff2=35分12秒であり、Toff1>Toff2である。実施品ではコンプレッサー32のOFF周期が長くなり、その分だけ消費電力が低減されるから、省エネ化が図られることが確認された。
【0098】
<実験2> 実験2は、管路長の相違が温水ヒーター46のOFF周期に影響することを検証した。実施品および従来品は実験1と同様である。
【0099】
図12のAは、横軸に経過時間、縦軸に電力値をとり、実施品の測定結果を示している。
図12のBは従来品の測定結果を示している。
【0100】
温水ヒーター46は発停を繰り返し、温水ヒーター46のOFF周期について、実施品では8分32秒、従来品は7分24秒であった。実施品では、OFF周期が従来品に比較して長く、その分だけ消費電力が低減されるから、省エネ化が図られることが確認された。
【0101】
<実験3> 実験3は、管路6の傾斜角度と、高温水循環の所要時間の関係を検証した。
図13のAは、横軸に傾斜角度θ、縦軸に高温水循環の所要時間をとり、管路6の迂回部12の傾斜角度に対する高温水循環の所要時間を実施品1、2、3、4について測定した。
【0102】
図13のBは、横軸に傾斜角度、縦軸に高温水循環のバラツキ(σ)をとり、実施品および従来品について、管路6の傾斜角度と高温水循環時間のバラツキを示している。
【0103】
従来品の高温水循環の所要時間のバラツキと同等以上の標準偏差を担保するには、傾斜角度θを3度以上とすればよいことが確認された。
【0104】
<実験4> 実験4は、管路6の傾斜角度θ3がコンプレッサー32のOFF周期に影響することを検証した。この実験4では、管路6の傾斜角度θ3=5度、θ=10度に設定し、コンプレッサー32の発停を計測した。
図14のAは、横軸に経過時間、縦軸に電力値をとり、管路6の傾斜角度θ=5度に設定した場合のコンプレッサーの発停による電力値、
図14のBは、管路6の傾斜角度θ=10度に設定した場合のコンプレッサーの発停による電力値を示している。ToffAは、管路6の傾斜角度θ=5°の場合のコンプレッサーのOFF周期、ToffBは、管路6の傾斜角度θ=10°の場合のコンプレッサーのOFF周期である。ToffA=36分42秒、ToffB=35分10秒であった。傾斜角度の増加がコンプレッサー32の発停に影響し、傾斜角度θが小さければ、消費電力を低減できることが確認された。
【0105】
<実験5> 実験5は、管路6の傾斜角度θ3が温水ヒーター46のOFF周期に影響することを検証した。この実験5では、管路6の傾斜角度をθ=5度、θ=10度に設定し、コンプレッサー32の発停を計測した。
図15のAは、横軸に経過時間、縦軸に電力値をとり、管路6の傾斜角度θ=5度に設定した場合の温水ヒーター46の発停、
図15のBは、管路6の傾斜角度θ=10度に設定した場合の温水ヒーター46の発停を示している。
【0106】
温水ヒーター46のOFF周期は、管路6の傾斜角度θ=5度では8分32秒であるのに対し、傾斜角度θ=10度では8分30秒であった。温水ヒーター46のOFF周期については管路6の傾斜角度の多寡は影響していないことが確認された。
【0107】
以上の実験結果から明らかなように、管路6を迂回部12によって水平方向に延長し、迂回部12に少なくとも5°程度の傾斜を設定することにより、コンプレッサー32や温水ヒーター46の発停数を抑え、高温水循環時、高温水循環を安定して行うことができる。
【0108】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。