特許第6571589号(P6571589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571589無線システム構築支援システム及び無線システム構築支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571589
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】無線システム構築支援システム及び無線システム構築支援方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20190826BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20190826BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20190826BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20190826BHJP
   H04B 17/24 20150101ALI20190826BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20190826BHJP
【FI】
   H04W24/02
   H04W16/18
   H04W84/18
   H04W88/06
   H04B17/24
   H04B17/309
【請求項の数】15
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-103550(P2016-103550)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-212545(P2017-212545A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2018年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】森部 博貴
(72)【発明者】
【氏名】中野 亮
(72)【発明者】
【氏名】角尾 晋一
【審査官】 新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−253927(JP,A)
【文献】 特開2008−306358(JP,A)
【文献】 特開2016−006943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
H04B 17/24
H04B 17/309
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信によるマルチホップネットワークを構成するために複数の無線機器を順次設置する無線システムの構築作業を支援する無線システム構築支援システムであって、
前記複数の無線機器を順次設置する作業を行う作業者に携行され、当該作業の進行に伴って変化する作業対象の前記無線機器と第2の無線通信によって通信可能に接続され得る移動端末と、
前記移動端末と広域通信によって通信可能に接続されるサーバ装置と、
を備え、
前記移動端末は、
前記第2の無線通信によって接続された前記無線機器から、当該無線機器とその他の前記複数の無線機器との間で前記第1の無線通信について計測された所定の通信指標の計測値を前記第2の無線通信で受信する計測値受信部と、
前記計測値受信部が受信した計測値を前記広域通信で前記サーバ装置に送信する計測値広域送信部と、
を有し、
前記サーバ装置は、
前記計測値広域送信部から送信される前記計測値を受信し、過去に受信した前記計測値とともに蓄積する計測値蓄積部と、
前記計測値蓄積部に蓄積された複数の前記計測値に基づいて前記無線システムの構成状況を算出し、当該算出の結果を前記移動端末で表示可能な形式の描画情報に変換する構成算出部と、
前記構成算出部によって生成された前記描画情報を前記広域通信で前記移動端末に送信する描画情報送信部と、
を有し、
前記移動端末は、前記描画情報送信部から送信された前記描画情報に基づいて前記無線システムの構成状況を教示する
ことを特徴とする無線システム構築支援システム。
【請求項2】
前記移動端末は所定の表示部をさらに備え、
前記移動端末は、前記描画情報に基づいた画像を前記所定の表示部に表示することによって前記無線システムの構成状況を教示する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線システム構築支援システム。
【請求項3】
前記複数の無線機器を順次設置する作業が複数の作業者によって並行して実行される場合に、前記移動端末がそれぞれの作業者に携行され、
前記サーバ装置の前記計測値蓄積部は、それぞれの前記移動端末の前記計測値広域送信部から送信される前記計測値を受信し、蓄積する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線システム構築支援システム。
【請求項4】
前記所定の通信指標はRSSI(Received Signal Strength Indicator)である
ことを特徴とする請求項1記載の無線システム構築支援システム。
【請求項5】
前記構成算出部は、前記計測値蓄積部に蓄積された複数の前記計測値に基づいて無線システム全体の構成状況を算出したうちから、所望の作業エリアに設置された前記無線機器による構成状況のみを抽出し、該抽出した結果を前記移動端末で表示可能な形式の描画情報に変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線システム構築支援システム。
【請求項6】
第1の無線通信によるマルチホップネットワークを構築する無線システムの構築作業において作業計画に従って順次設置される無線機器であって、設置済みの無線機器との間で前記第1の無線通信を確立し得る複数の無線機器と、
前記複数の無線機器を順次設置する作業を行う作業者に携行され、当該作業の進行に伴って変化する作業対象の前記無線機器と第2の無線通信によって通信可能に接続され得る移動端末と、
前記移動端末と広域通信によって通信可能に接続されるサーバ装置と、
を備え、
前記無線機器は、
前記移動端末からの指示に基づいて、他の前記無線機器との間で前記第1の無線通信について所定の通信指標を計測する計測部と、
前記計測部によって計測された計測値を前記第2の無線通信で前記移動端末に送信する計測値送信部と、
を有し、
前記移動端末は、
前記第2の無線通信によって接続された前記無線機器に、当該無線機器とその他の前記複数の無線機器との間で前記第1の無線通信について所定の通信指標の計測を指示する計測指示部と、
前記計測値送信部から送信された前記所定の通信指標の計測値を受信する計測値受信部と、
前記計測値受信部が受信した計測値を前記広域通信で前記サーバ装置に送信する計測値広域送信部と、
を有し、
前記サーバ装置は、
前記計測値広域送信部から送信される前記計測値を受信し、過去に受信した前記計測値とともに蓄積する計測値蓄積部と、
前記計測値蓄積部に蓄積された複数の前記計測値に基づいて前記無線システムの構成状況を算出し、当該算出の結果を前記移動端末で表示可能な形式の描画情報に変換する構成算出部と、
前記構成算出部によって生成された前記描画情報を前記移動端末に送信する描画情報送信部と、
を有し、
前記移動端末は、前記描画情報送信部から送信された前記描画情報に基づいて前記無線システムの構成状況を教示する
ことを特徴とする無線システム構築支援システム。
【請求項7】
前記移動端末は所定の表示部をさらに備え、
前記移動端末は、前記描画情報に基づいた画像を前記所定の表示部に表示することによって前記無線システムの構成状況を教示する
ことを特徴とする請求項6に記載の無線システム構築支援システム。
【請求項8】
前記複数の無線機器を順次設置する作業が複数の作業者によって並行して実行される場合に、前記移動端末がそれぞれの作業者に携行され、
前記サーバ装置の計測値蓄積部は、それぞれの前記移動端末の前記計測値広域送信部から送信される前記計測値を受信し、蓄積する
ことを特徴とする請求項6に記載の無線システム構築支援システム。
【請求項9】
前記所定の通信指標はRSSI(Received Signal Strength Indicator)である
ことを特徴とする請求項6記載の無線システム構築支援システム。
【請求項10】
前記構成算出部は、前記計測値蓄積部に蓄積された複数の前記計測値に基づいて無線システム全体の構成状況を算出したうちから、所望の作業エリアに設置された前記無線機器による構成状況のみを抽出し、該抽出した結果を前記移動端末で表示可能な形式の描画情報に変換する
ことを特徴とする請求項6に記載の無線システム構築支援システム。
【請求項11】
第1の無線通信によるマルチホップネットワークを構築するために複数の無線機器を順次設置する無線システムの構築作業を支援する無線システム構築支援システムによる無線システム構築支援方法であって、
前記無線システム構築支援システムは、
前記無線システムの構築作業において作業計画に従って順次設置され、設置済みの無線機器との間で前記第1の無線通信を確立し得る複数の無線機器と、
前記複数の無線機器を順次設置する作業を行う作業者に携行され、当該作業の進行に伴って変化する作業対象の前記無線機器と第2の無線通信によって通信可能に接続され得る移動端末と、
前記移動端末と広域通信によって通信可能に接続されるサーバ装置と、
を備え、
前記移動端末が、前記第2の無線通信によって接続された前記無線機器に、当該無線機器とその他の前記複数の無線機器との間で前記第1の無線通信について所定の通信指標の計測を指示する計測指示ステップと、
前記計測指示ステップで指示を受けた前記無線機器が、他の前記無線機器との間で前記第1の無線通信について所定の通信指標を計測する計測ステップと、
前記無線機器が、前記計測ステップで計測された計測値を前記第2の無線通信で前記移動端末に送信する計測値送信ステップと、
前記移動端末が、前記計測値送信ステップで送信された前記所定の通信指標の計測値を受信する計測値受信ステップと、
前記移動端末が、計測値受信ステップで受信した計測値を前記広域通信で前記サーバ装置に送信する計測値広域送信ステップと、
前記サーバ装置が、前記計測値広域送信ステップで送信される前記計測値を受信し、過去に受信した前記計測値とともに蓄積する計測値蓄積ステップと、
前記サーバ装置が、前記計測値蓄積ステップで蓄積された複数の前記計測値に基づいて前記無線システムの構成状況を算出し、当該算出の結果を前記移動端末で表示可能な形式の描画情報に変換する構成算出ステップと、
前記サーバ装置が、前記構成算出ステップで生成された前記描画情報を前記移動端末に送信する描画情報送信ステップと、
前記移動端末が、前記描画情報送信ステップで送信された前記描画情報に基づいて前記無線システムの構成状況を教示する構成状況教示ステップと、
を備えることを特徴とする無線システム構築支援方法。
【請求項12】
前記移動端末は所定の表示画面を有し、
前記構成状況教示ステップにおいて前記移動端末は、前記描画情報に基づいた画像を前記所定の表示画面に表示させることによって前記無線システムの構成状況を教示する
ことを特徴とする請求項11に記載の無線システム構築支援方法。
【請求項13】
前記複数の無線機器を順次設置する作業が複数の作業者によって並行して実行される場合に、前記移動端末がそれぞれの作業者に携行され、
前記計測値蓄積ステップにおいて前記サーバ装置は、それぞれの前記移動端末から前記計測値広域送信ステップによって送信される前記計測値を受信し、蓄積する
ことを特徴とする請求項11に記載の無線システム構築支援方法。
【請求項14】
前記所定の通信指標はRSSI(Received Signal Strength Indicator)である
ことを特徴とする請求項11記載の無線システム構築支援方法。
【請求項15】
前記構成算出ステップにおいて前記サーバ装置は、前記計測値蓄積ステップで蓄積された複数の前記計測値に基づいて無線システム全体の構成状況を算出したうちから、所望の作業エリアに設置された前記無線機器による構成状況のみを抽出し、該抽出した結果を前記移動端末で表示可能な形式の描画情報に変換する
ことを特徴とする請求項11に記載の無線システム構築支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線システム構築支援システム及び無線システム構築支援方法に関し、マルチホップネットワークによる無線システムの構築を支援する無線システム構築支援システム及び無線システム構築支援方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交通や電力など広域に亘って展開される業種において、広域に設置される業種設備(例えば、配電系統における遠制開閉器子局など)の間で通信可能な無線システムの構築が求められている。このような要求に応える好適な無線システムの一例として、複数の無線機器から構成されるマルチホップネットワークによる無線システムが存在し、当該無線システムは、所望の設置場所に設置される複数の無線機器のほか、当該無線機器間での無線通信を確立するための中継器として設置される無線機器を備えて構成される。
【0003】
マルチホップネットワークによる無線システムを地理的に広域に亘って構築する場合、構築後に無線機器間で無線通信が確立できない事態が判明すると、無線機器の配置位置の再調整や中継器の追加等の措置が必要となり、様々なコストが発生してしまう。そこで、このような無線システムの構築においては、構築中に一組ごとの無線機器間で無線通信が確立するかを逐次確認しながら無線機器の設置を進めていく局所最適の方法が一般的であった。
【0004】
このように無線機器間で無線通信が確立するかを確認する手段としては、任意の無線機器2台からなる2点間で、RSSI(受信信号強度:Received Signal Strength Indicator)等の通信指標を計測する方法がある。例えば、特許文献1には、無線システム全体の通信状態の把握を目的に、無線機器が、周辺の無線機器に対して通信指標を計測する要求を送信し、要求を受信した周辺の無線機器は、計測した通信指標を含む応答を無線機器に送信、該応答を受信した無線機器は、周辺の無線機器の識別子情報と受信した通信指標を保存する、というプログラムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4924948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、マルチホップネットワークによる無線システムを構築する場合に特許文献1に開示されたプログラムを利用したとしても、その構築中の各時点において、特定の無線機器と該特定の無線機器が通信可能な他の無線機器との間の接続状況を確認できるのみであり、当該特定の無線機器が通信できない無線機器間での通信品質や接続状況を確認することはできず、構築中に無線システム全体の通信状況を把握することができるものではなかった。
【0007】
ここで例えば、無線システムの構築中にある設置場所で無線機器が無線通信を確立できずに孤立したとしても、次の設置場所に無線機器を設置することによって先の無線機器との間で無線通信が確立することがあり、このような場合には、先の無線機器の設置場所を変更したり中継器を追加したりしなくても、結果的には当初の計画通りで所望の無線システムを構築できることとなる。しかし、特許文献1に開示されたプログラムを利用した場合、構築中に無線システム全体の通信状況を把握することができない以上、局所最適な無線システムを構築することしかできず、無線機器の配置変更や中継器の追加といった本来は不要な作業が発生する可能性があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、無線システムの構築中に当該無線システム全体の通信状況を把握可能にすることによって、全体最適な無線システムの構築を支援可能な無線システム構築支援システム及び無線システム構築支援方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明においては、第1の無線通信によるマルチホップネットワークを構成するために複数の無線機器を順次設置する無線システムの構築作業を支援する無線システム構築支援システムが提供される。この無線システム構築支援システムは、前記複数の無線機器を順次設置する作業を行う作業者に携行され、当該作業の進行に伴って変化する作業対象の前記無線機器と第2の無線通信によって通信可能に接続され得る移動端末と、前記移動端末と広域通信によって通信可能に接続されるサーバ装置と、を備え、前記移動端末は、前記第2の無線通信によって接続された前記無線機器から、当該無線機器とその他の前記複数の無線機器との間で前記第1の無線通信について計測された所定の通信指標の計測値を前記第2の無線通信で受信する計測値受信部と、前記計測値受信部が受信した計測値を前記広域通信で前記サーバ装置に送信する計測値広域送信部と、を有し、前記サーバ装置は、前記計測値広域送信部から送信される前記計測値を受信し、過去に受信した前記計測値とともに蓄積する計測値蓄積部と、前記計測値蓄積部に蓄積された複数の前記計測値に基づいて前記無線システムの構成状況を算出し、当該算出の結果を前記移動端末で表示可能な形式の描画情報に変換する構成算出部と、前記構成算出部によって生成された前記描画情報を前記広域通信で前記移動端末に送信する描画情報送信部と、を有し、前記移動端末は、前記描画情報送信部から送信された前記描画情報に基づいて前記無線システムの構成状況を教示することを特徴とする。
【0010】
また、かかる課題を解決するため本発明においては、第1の無線通信によるマルチホップネットワークを構築する無線システムの構築作業において作業計画に従って順次設置される無線機器であって、設置済みの無線機器との間で前記第1の無線通信を確立し得る複数の無線機器と、前記複数の無線機器を順次設置する作業を行う作業者に携行され、当該作業の進行に伴って変化する作業対象の前記無線機器と第2の無線通信によって通信可能に接続され得る移動端末と、前記移動端末と広域通信によって通信可能に接続されるサーバ装置と、を備えた無線システム構築支援システムが提供される。この無線システム構築支援システムでは、前記無線機器は、前記移動端末からの指示に基づいて、他の前記無線機器との間で前記第1の無線通信について所定の通信指標を計測する計測部と、前記計測部によって計測された計測値を前記第2の無線通信で前記移動端末に送信する計測値送信部と、を有し、前記移動端末は、前記第2の無線通信によって接続された前記無線機器に、当該無線機器とその他の前記複数の無線機器との間で前記第1の無線通信について所定の通信指標の計測を指示する計測指示部と、前記計測値送信部から送信された前記所定の通信指標の計測値を受信する計測値受信部と、前記計測値受信部が受信した計測値を前記広域通信で前記サーバ装置に送信する計測値広域送信部と、を有し、前記サーバ装置は、前記計測値広域送信部から送信される前記計測値を受信し、過去に受信した前記計測値とともに蓄積する計測値蓄積部と、前記計測値蓄積部に蓄積された複数の前記計測値に基づいて前記無線システムの構成状況を算出し、当該算出の結果を前記移動端末で表示可能な形式の描画情報に変換する構成算出部と、前記構成算出部によって生成された前記描画情報を前記移動端末に送信する描画情報送信部と、を有し、前記移動端末は、前記描画情報送信部から送信された前記描画情報に基づいて前記無線システムの構成状況を教示することを特徴とする。
【0011】
また、かかる課題を解決するため本発明においては、第1の無線通信によるマルチホップネットワークを構築するために複数の無線機器を順次設置する無線システムの構築作業を支援する無線システム構築支援システムによる無線システム構築支援方法が提供される。ここで、上記無線システム構築支援システムは、前記無線システムの構築作業において作業計画に従って順次設置され、設置済みの無線機器との間で前記第1の無線通信を確立し得る複数の無線機器と、前記複数の無線機器を順次設置する作業を行う作業者に携行され、当該作業の進行に伴って変化する作業対象の前記無線機器と第2の無線通信によって通信可能に接続され得る移動端末と、前記移動端末と広域通信によって通信可能に接続されるサーバ装置と、を備える。そして、本発明に係る無線システム構築支援方法は、前記移動端末が、前記第2の無線通信によって接続された前記無線機器に、当該無線機器とその他の前記複数の無線機器との間で前記第1の無線通信について所定の通信指標の計測を指示する計測指示ステップと、前記計測指示ステップで指示を受けた前記無線機器が、他の前記無線機器との間で前記第1の無線通信について所定の通信指標を計測する計測ステップと、前記無線機器が、前記計測ステップで計測された計測値を前記第2の無線通信で前記移動端末に送信する計測値送信ステップと、前記移動端末が、前記計測値送信ステップで送信された前記所定の通信指標の計測値を受信する計測値受信ステップと、前記移動端末が、計測値受信ステップで受信した計測値を前記広域通信で前記サーバ装置に送信する計測値広域送信ステップと、前記サーバ装置が、前記計測値広域送信ステップで送信される前記計測値を受信し、過去に受信した前記計測値とともに蓄積する計測値蓄積ステップと、前記サーバ装置が、前記計測値蓄積ステップで蓄積された複数の前記計測値に基づいて前記無線システムの構成状況を算出し、当該算出の結果を前記移動端末で表示可能な形式の描画情報に変換する構成算出ステップと、前記サーバ装置が、前記構成算出ステップで生成された前記描画情報を前記移動端末に送信する描画情報送信ステップと、前記移動端末が、前記描画情報送信ステップで送信された前記描画情報に基づいて前記無線システムの構成状況を教示する構成状況教示ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線システムの構築中に当該無線システム全体の構成状況(無線機器の設置状況及び通信状況)を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る無線システム構築支援システムの構成を例示するブロック図である。
図2】無線機器のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図3】移動端末のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図4】サーバ装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図5】サーバ装置に蓄積される通信指標を含む計測値の一例を説明するための図である。
図6】通信指標計測処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】通信指標計測応答処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】無線システム構成取得処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9】無線システム構成生成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】無線システム構築支援処理の処理手順例を示すシーケンス図(その1)である。
図11】無線システム構築支援処理の処理手順例を示すシーケンス図(その2)である。
図12】無線システム構築支援処理の処理手順例を示すシーケンス図(その3)である。
図13】無線システム構築支援処理が行われたときの描画情報の表示例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0015】
(1)無線システム構築支援システムの概略的構成
図1は、本実施の形態に係る無線システム構築支援システムの構成を例示するブロック図である。
【0016】
図1に示すように、無線システム構築支援システム1は、複数の無線機器2(個別には、無線機器2a〜2d)によって構成されるマルチホップネットワークによる無線システムの構築を支援するためのシステムであって、広域通信網5を介して通信可能に接続される移動端末3及びサーバ装置4を備えて構成される。なお、無線システム構築支援システム1は複数の無線機器2を含む構成としてもよい。また図1には、無線機器2の間の無線通信を示す無線通信61(個別には無線通信61a〜61d)と、無線機器2と移動端末3との間の無線通信を示す無線通信62(個別には無線通信62a〜62d)と、広域通信網5を介して移動端末3とサーバ装置4との間で接続される広域通信63とが示されている。
【0017】
無線通信61は、中広域で通信可能なマルチホップルーティング形式の無線通信であって、本実施の形態においてそれぞれの無線機器2は無線通信61による無線通信機能を有している。無線通信61はマルチホップルーティング形式を採用しているため、一組の無線機器2の間で直接接続可能な場合に相互に通信可能となるだけでなく、直接接続できない無線機器2間であっても、他の無線機器2によって中継可能な限りにおいて、相互に通信可能にすることができる。
【0018】
具体的には例えば、図1では、無線機器2aと無線機器2bとの間が無線通信61によって直接接続可能であることを示すものとして、無線通信61aが示されている。同様に、無線機器2cと無線機器2dとの間及び無線機器2bと無線機器2dとの間も直接接続可能であることが示されている(無線通信61c,61d)。このように無線通信61によって一組の無線機器2の間が直接接続可能な場合、一般的な無線通信と同様、これらの無線機器2の間は相互に通信可能にされる。
【0019】
また図1では、無線機器2bと無線機器2cとの間は直接接続できないことが示されているが(無線通信61b)、無線機器2dが中継器の役割を果たして通信を仲介することによって、無線機器2bと無線機器2cとの間は相互に通信可能にされる(無線通信61d,61c)。
【0020】
無線通信62は、無線LAN(Local Area Network)やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信である。本実施の形態において、無線機器2及び移動端末3は、無線通信62による無線通信機能を有している。例えば図1では、無線機器2dからの上記近距離無線通信が可能な範囲内に移動端末3が存在する場合に、無線機器2dと移動端末3との間で無線通信62dによる直接接続が確立され、無線機器2dと移動端末3との間が相互に通信可能になることが示されている。また、移動端末3は、自身が移動することによって、他の無線機器2a〜2cとの間も無線通信62によって相互に通信可能となることができる(無線通信62a〜62c)。
【0021】
広域通信63は広域通信網5によって接続される通信であり、広域通信網5は、例えば、携帯電話網や広域公衆インターネット網あるいは広域閉域網等で構成される通信網である。本実施の形態において、移動端末3及びサーバ装置4は、広域通信63による通信機能を有している。なお、本実施の形態における広域通信63では、移動端末3と広域通信網5との間は無線通信による接続が必要であるが、サーバ装置4と広域通信網5との間は必ずしも無線通信でなくてもよく、光ファイバケーブル等を用いた有線通信であってもよい。
【0022】
本実施の形態に係る無線システム構築支援システム1では、図1に示した各構成が適宜通信可能に接続されることによって、複数の無線機器2a〜2dの間で計測された通信指標等の情報を移動端末3を介してサーバ装置4に送信可能にするとともに、サーバ装置4に蓄積された情報や当該情報に基づいて作成された情報等を移動端末3で受信可能にすることができる。以下、各装置(無線機器2,移動端末3,サーバ装置4)の構成を詳しく説明する。
【0023】
(2)各装置の構成
(2−1)無線機器2
前述したように、無線機器2は、中広域で通信可能なマルチホップルーティング形式の無線通信61と近距離で直接接続可能な無線通信62とによる無線通信機能を備えた通信機器である。なお、無線機器2a〜2dの設置位置は、例えば無線システムの構築計画のなかで予め定められている。
【0024】
そして、図1には無線機器2の機能構成が示されており、具体的には、無線機器2(2a〜2d)は、計測指示待機部21(21a〜21d)、計測送信部22(22a〜22d)、計測受信部23(23a〜23d)、計測値送信部24(24a〜24d)、計測待受部25(25a〜25d)、計測応答部26(26a〜26d)、及び計測値記憶部27(27a〜27d)を備えている。
【0025】
なお、これらの各機能構成は、図2に例示する無線機器2のハードウェア構成によって実現され、その詳細な対応は各機能構成の説明で後述する。図2は、無線機器のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【0026】
図2によれば、無線機器2は、無線機器2全体を制御する制御部201、永続的に各種データを保存可能な記憶部202、各種センサ等と接続可能な入力部203、中広域で他の無線機器2と通信可能な無線通信61を行う通信部204、及び移動端末3と近距離で直接接続可能な無線通信62を行う直接通信部205を備えている。
【0027】
より具体的には、制御部201は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成され、CPUがROM等に格納されたプログラムをRAMに読み出して実行する等によって無線機器2全体を制御する。すなわち、以下に詳述する無線機器2の各機能構成による機能もその多くは、所定のプログラムをCPUが読み出して実行することによる制御部201の制御によって実現される。また、記憶部202は、ROMやその他書き換え可能なメモリ等で構成され、制御部201による制御に従って各種データを蓄積・保存する。また、通信部204は、無線通信61の通信規格に対応する通信インタフェースであり、直接通信部205は、無線通信62の通信規格に対応する通信インタフェースである。
【0028】
以下では、無線機器2における各機能構成について詳しく説明する。
【0029】
計測指示待機部21は、所定の通信指標の計測を開始する指示(計測指示)を待ち受ける機能を有する(計測指示待機)。計測指示は、移動端末3(より具体的には、後述する計測指示部31)から無線機器2の計測指示待機部21に送信される。計測指示待機部21による計測指示待機の機能は、直接通信部205によって実現される。
【0030】
計測送信部22は、計測指示待機部21が移動端末3から計測指示を受けた場合に、周辺の無線機器2(例えば、無線機器2b〜2d)に対して、各無線機器2との間で所定の通信指標を計測するためのパケットを送信する機能を有する(計測送信)。計測送信部22による計測送信の機能は、制御部201及び通信部204によって実現される。
【0031】
計測受信部23は、計測送信部22が周辺の無線機器2に対して計測送信を実行したあとに、当該計測送信への応答パケットを周辺の無線機器2から受信する機能を有する(計測受信)。計測受信部23による計測受信の機能は、制御部201及び通信部204によって実現される。
【0032】
計測値送信部24は、計測受信部23が受信した応答パケットに基づいて算出した通信指標を含む計測値を移動端末3に送信する機能を有する(計測値送信)。なお、計測受信部23または計測値送信部24は、計測受信において受信した応答パケットに含まれる計測値に基づいて周辺の無線機器2との間の通信指標を算出し、計測値送信において、算出した通信指標を移動端末3に送信することができる。また、計測値送信によって計測値送信部24から送信された計測値は、移動端末3の計測値受信部32で受信される。計測値送信部24による計測値送信の機能は、制御部201及び直接通信部205によって実現される。
【0033】
計測待受部25は、他の無線機器2の計測送信部22(例えば、計測送信部22b〜22d)からの「計測送信」による通信を待ち受ける機能を有する(通信指標計測待機)。より具体的には、計測待受部25aは、「計測送信」によって計測送信部22b〜22dから送信される「所定の通信指標を計測するためのパケット」を待ち受ける。計測待受部25による通信指標計測待機の機能は、通信部204によって実現される。
【0034】
計測応答部26は、通信指標計測待機において計測待受部25が他の無線機器2の計測送信部22からの計測送信(通信指標を計測するためのパケット)を受信した場合に、当該計測送信への応答パケットとして、自身の無線機器2における当該通信指標を含む計測値を送信する機能を有する(通信指標計測応答)。計測応答部26によって送信された応答パケットは、計測送信の送信元の無線機器2における計測受信部23によって受信される。計測応答部26による通信指標計測応答の機能は、制御部201及び通信部204によって実現される。
【0035】
計測値記憶部27は、計測送信への応答パケット(通信指標を含む計測値)を計測受信部23が受信した場合に、当該受信した応答パケットに含まれる情報(例えば、計測値)を蓄積または保存する機能を有する(計測値保存)。計測値記憶部27による計測値保存の機能は、制御部201及び記憶部202によって実現される。
【0036】
(2−2)移動端末3
移動端末3は、無線システムの構築作業を行う作業員が保持する装置であって、具体的には例えば、スマートフォンやタブレット端末を利用することができる。移動端末3は、無線通信62及び広域通信63による通信機能を有するものであるが、具体的には例えば、Bluetoothデバイスを内蔵した移動端末3においてBluetoothで接続が確立された無線機器2との間で無線通信62が実現され、広域通信網5を介して接続される携帯電話通信によってサーバ装置4との間で広域通信63が実現される。
【0037】
なお、移動端末3は、無線システムの構築作業の進行によって作業員の作業場所が移動することに伴い、その居場所が変更される。例えば図1では、無線システムの構築作業が無線機器2a、無線機器2b、無線機器2c、そして無線機器2dの順に行われるとし、したがって移動端末3も上記無線機器2a〜2dの順に居場所が変更される。
【0038】
さらに図1には、移動端末3の機能構成が示されており、具体的には、移動端末3は、計測指示部31、計測値受信部32、計測値広域送信部33、描画情報受信部34、及び描画部35を備えている。
【0039】
なお、これらの各機能構成は、図3に例示する移動端末3のハードウェア構成によって実現され、その詳細な対応は各機能構成の説明で後述する。図3は、移動端末のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【0040】
図3によれば、移動端末3は、移動端末3全体を制御する制御部301、永続的に各種データを保存可能な記憶部302、広域通信網5に接続して広域通信63を行う広域通信部303、無線機器2と近距離で直接接続可能な無線通信62を行う直接通信部304、時刻情報を持つ計時部305、及び作業者等に向けて多様な情報を出力可能な表示部306を備えている。
【0041】
より具体的には、制御部301は、CPU、RAM及びROM等から構成され、CPUがROM等に格納されたプログラムをRAMに読み出して実行する等によって移動端末3全体を制御する。すなわち、以下に詳述する移動端末3の各機能構成による機能もその多くは、所定のプログラムをCPUが読み出して実行することによる制御部301の制御によって実現される。また、記憶部302は、ROMやその他書き換え可能なメモリ等で構成され、制御部301による制御に従って各種データを蓄積・保存する。また、広域通信部303は、広域通信63の通信規格に対応する通信インタフェースであり、直接通信部304は、無線通信62の通信規格に対応する通信インタフェースである。また、計時部305は計時機能を有するプロセッサ等であるが、制御部301自身が計時機能を有する場合には制御部301で代用されてもよい。また、表示部306は、制御部301の制御に従って画像や音声等が出力される液晶ディスプレイやスピーカ等に相当する。なお、計時部305は必ずしも移動端末3に備えられなくてもよい。
【0042】
以下では、移動端末3における各機能構成について詳しく説明する。
【0043】
計測指示部31は、無線機器2の計測指示待機部21に対して、他の無線機器2との通信指標を計測させる計測指示を送信する機能を有する(計測指示送信)。計測指示部31による計測指示送信の機能は、制御部301及び直接通信部304によって実現される。
【0044】
計測値受信部32は、無線機器2の計測値送信部24の「計測値送信」によって送信される「通信指標を含む計測値」を待ち受け、当該計測値を受信する機能を有する(計測値待機)。計測値受信部32による計測値待機の機能は、直接通信部304によって実現される。
【0045】
計測値広域送信部33は、計測値受信部32が受信した「通信指標を含む計測値」を広域通信63によってサーバ装置4に送信する機能を有する(計測値送信)。計測値広域送信部33によって送信された「通信指標を含む計測値」は、サーバ装置4の計測値広域受信部41によって受信される。計測値広域送信部33による計測値送信の機能は、制御部301及び広域通信部303によって実現される。
【0046】
描画情報受信部34は、サーバ装置4の描画情報送信部44から送信される描画情報を待ち受け、当該描画情報を受信する機能を有する(描画情報待機)。なお、詳細は後述するが、サーバ装置4では、無線機器2で計測された全ての計測値を含む情報が時刻情報と合わせて計測値蓄積部42に蓄積・保存され、構成算出部43がこれらの情報に基づいて所定の変換処理を行うことによって、移動端末3の描画部35に表示させるための情報(描画情報)を生成し、描画情報送信部44が当該描画情報を送信する。描画情報受信部34による描画情報待機の機能は、広域通信部303によって実現される。
【0047】
描画部35は、描画情報受信部34が受信した描画情報を用いて、現状の通信状況を示す無線システム構成を所定の表示手段に表示させる機能を有する(通信状況描画)。より具体的には、通信状況描画の処理では、作業者が構築中の無線システム全体における複数の無線機器2a〜2dの相互的な無線通信61の通信状況を視覚的に把握できるような画像表示が、WEBブラウザ等を介して表示部306に表示される(後に示す図13も参照)。描画部35による通信状況描画の機能は、制御部301及び表示部306によって実現される。
【0048】
(2−3)サーバ装置4
サーバ装置4は、広域通信63によって移動端末3と通信可能に接続される情報処理装置であって、無線システムを構築する事業者の管理下に置かれる。具体的には例えば、サーバ装置4としてパーソナルコンピュータや汎用コンピュータを利用することができる。
【0049】
そして図1には、サーバ装置4の機能構成が示されており、具体的には、サーバ装置4は、計測値広域受信部41、計測値蓄積部42、構成算出部43、及び描画情報送信部44を備えている。
【0050】
なお、これらの各機能構成は、図4に例示するサーバ装置4のハードウェア構成によって実現され、その詳細な対応は各機能構成の説明で後述する。図4は、サーバ装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【0051】
図4によれば、サーバ装置4は、サーバ装置4全体を制御する制御部401、永続的に各種データを保存可能な記憶部402、広域通信網5に接続して広域通信63を行う広域通信部403、及び時刻情報を持つ計時部404を備えている。
【0052】
より具体的には、制御部401は、CPU、RAM及びROM等から構成され、CPUがROM等に格納されたプログラムをRAMに読み出して実行する等によってサーバ装置4全体を制御する。すなわち、以下に詳述するサーバ装置4の各機能構成による機能もその多くは、所定のプログラムをCPUが読み出して実行することによる制御部401の制御によって実現される。また、記憶部402は、ROMやその他書き換え可能なメモリ等で構成され、制御部401による制御に従って各種データを蓄積・保存する。また、広域通信部403は、広域通信63の通信規格に対応する通信インタフェースである。また、計時部404は計時機能を有するプロセッサ等であるが、制御部401自身が計時機能を有する場合には、制御部401で代用されてもよい。
【0053】
以下では、サーバ装置4における各機能構成について詳しく説明する。
【0054】
計測値広域受信部41は、移動端末3の計測値広域送信部33の「計測値送信」によって送信される「通信指標を含む計測値」を待ち受け、当該計測値を受信する機能を有する(計測値待機)。計測値広域受信部41による計測値待機の機能は、広域通信部403によって実現される。
【0055】
計測値蓄積部42は、計測値広域受信部41が受信した「通信指標を含む計測値」を計時部404が取得する時刻情報と紐付けて記憶部402に蓄積・保存する機能を有する(計測値保存)。計測値蓄積部42による計測値保存の機能は、制御部401及び記憶部402によって実現される。
【0056】
ここで、計測値蓄積部42による計測値保存によって記憶部402に蓄積・保存される「通信指標を含む計測値」について具体例を示す。図5は、サーバ装置に蓄積される通信指標を含む計測値の一例を説明するための図である。図5に示すテーブル71は、複数の無線機器2間で計測された「通信指標を含む計測値」がまとめられたテーブルの一例であり、以下に、テーブル71の各欄について説明する。
【0057】
記録時刻欄711には、当該行の情報を記録した時刻(記録時刻)が計時部404によって取得されて記録される。例えば、図5のテーブル71のデータ欄の1行目では、記録時刻として「20150821082230」が記録されているが、これは2015年8月21日8時22分30秒に記録されたことを意味する。
【0058】
計測元欄712には、通信指標を計測した計測元の無線機器2の識別子が記録される。また、計測先欄713には、計測元の無線機器2が通信指標を計測した相手先(計測先)の無線機器2の識別子が記録される。なお、計測元欄712及び計測先欄713に記録される識別子は、複数の無線機器2を含む無線システム全体から対象の無線機器2を一意に特定可能にするために予め用意された識別子であって、例えば、図5のテーブル71のデータ欄の1行目を例にとれば、計測元は無線機器2b「node2b」であって、計測先は無線機器2a「node2a」を意味する。
【0059】
そして、通信計測値欄714には、計測元の無線機器2(例えば無線機器2b)と計測先の無線機器2(例えば無線機器2a)との間で計測された通信指標の計測値が記録される。なお、図5の例では、通信計測値欄714には、一例としてRSSIを通信指標とする計測値が記録されているが、本実施の形態による無線システム構築支援システム1では、通信指標はRSSIに限定されるものではなく、通信確立の有無や通信強度を測定可能な他の通信指標を用いてもよいし、またはこれらの複数種類の通信指標を組み合わせて測定するようにしてもよい。
【0060】
また、図5のテーブル71のデータ欄の2行目において、計測先欄713に「null」と記録されているのは、計測元から送信された通信指標の計測に対して応答がなかった(計測先の無線機器2が見つからなかった)ことを意味し、同2行目において通信計測値欄714に「null」と記録されているのは、通信指標の計測値が得られなかったことを意味する。
【0061】
次に、構成算出部43は、計測値蓄積部42による計測値保存によって蓄積・保存された全ての計測値に基づいて、複数の無線機器2のそれぞれについての当該無線機器2と他の無線機器2との通信状況等を組み合わせることによって「無線システムの構成状況」を算出し、当該算出の結果を移動端末3の描画部35で処理可能な形式の(無線機器2の通信可能な組み合わせを移動端末3の表示部306に表示させることができるような)描画情報に変換する(構成算出)。
【0062】
具体的には例えば、図1に例示した状況において、無線機器2bの他の無線機器2a,2c,2dとの通信状況は、無線機器2a,2dとは直接接続可能であり、無線機器2cとは直接接続不可であるものの無線機器2dを中継器とすれば間接接続可能である、といったことが判定される。このような判定結果を各無線機器2a〜2dについて集積することによって、複数の無線機器2を含む無線システム全体における現在の構成状況(無線システムの構成状況)が算出される。なお、無線機器2や移動端末3にGPSを取り付け、GPSで取得した位置情報を計測値とともにサーバ装置4に送信したり、設置計画で事前に定められた無線機器2の位置情報をサーバ装置4に読み込ませたりすることによって、構成算出部43で算出される「無線システムの構成状況」には、無線機器2の設置状況(無線機器2の設置位置や無線機器2間の位置関係等)を含めることができる。そして、「無線システムの構成状況」を示す情報を移動端末の描画部35で処理可能な形式に変換することによって、最終的に「描画情報」が生成される。なお、サーバ装置4で生成される描画情報は、送信先の移動端末3の周辺の特定の構成状況だけを描画するように変換・抽出する等のように、送信先の移動端末3に対応してカスタマイズされるようにしてもよい。このような構成算出部43による構成算出の機能は、制御部401及び記憶部402によって実現される。
【0063】
描画情報送信部44は、構成算出部43によって生成された描画情報を移動端末3に送信する機能を有する(描画情報送信)。描画情報送信部44による描画情報送信の機能は、制御部401及び広域通信部403によって実現される。
【0064】
(3)各装置による主な処理
以下では、(2)で説明した各装置によって実行される主な処理について説明する。
【0065】
(3−1)通信指標計測処理
図6は、通信指標計測処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。通信指標計測処理は、通信指標の計測要求を送信する側の無線機器2によって実行される処理である。
【0066】
図6によれば、まずステップS101において、計測指示待機部21が、移動端末3(計測指示部31)からの通信指標の計測を開始する指示を待ち受け、当該指示を受信すると、ステップS102の処理に進む。ステップS102では、計測送信部22が、他の無線機器2に対して通信指標を計測するためのパケットを送信する。
【0067】
次に、ステップS103では、計測受信部23が、ステップS102で送信したパケットに対する応答を待ち受け、応答パケットを受信した場合には、受信した応答パケットに基づいて通信指標の計測値を算出する。具体的には例えば、応答パケットから得られる情報(パケットの送信元、パケットの送受信に関する時刻、並びに通信強度等)を参照して、応答パケットの送信元の無線機器2との間における通信指標の計測値を算出する。なお、ステップS103において、一定時間待機しても他の無線機器2から応答がない場合には、計測受信部23は、計測値を応答なし(計測値「null」)とする。
【0068】
次いで、ステップS104において、計測値送信部24が、ステップS103で算出した通信指標を含む計測値を移動端末3に送信する。
【0069】
以上、ステップS101〜S104の処理によって、無線機器2は、他の無線機器2を計測先とする通信指標の計測を行うことができ、その計測値を移動端末3に送信することができる。そして、このような通信指標計測処理は、無線機器2が稼働している間、移動端末3(計測指示部31)から通信指標の計測開始の指示を受けるごとに繰り返し実行される。
【0070】
(3−2)通信指標計測応答処理
図7は、通信指標計測応答処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。通信指標計測応答処理は、他の無線機器2から通信指標の計測要求を受けた側の無線機器2によって実行される処理である。
【0071】
図7によれば、まずステップS111において、計測待受部25が、他の無線機器2の計測送信部22から通信指標を計測するためのパケット(計測要求)が送信されるのを待ち受け、当該パケットを受信した場合に、ステップS112の処理に進む。なお、他の無線機器2の計測送信部22からのパケットの送信は、図6のステップS102の処理に相当する。
【0072】
そして、ステップS112では、計測応答部26が、他の無線機器2からの計測要求に応答する応答パケットを送信する。ここで、「通信指標を計測するためのパケット」と「応答パケット」について、簡易な例で具体的に説明すると、「通信指標を計測するためのパケット」では、当該通信を受信した相手(送信パケットの受信側の無線機器2)に対して、受信した旨を返答することを要求する。そして、受信側の無線機器2は、当該要求に応えて、「通信指標を計測するためのパケット」を受信した旨を自身の無線機器2の識別子を添えて「応答パケット」として送信する。このとき、パケットの受信時刻や受信強度等を応答パケットに含めるようにしてもよい。
【0073】
さらに、計測応答部26は、応答パケットの送信時に、必要に応じて、自身の無線機器2で得られた別の無線機器2に関する通信指標の計測値を合わせて送信するようにしてもよい。
【0074】
以上、ステップS111〜S112の処理によって、無線機器2は、他の無線機器2から送信されてきた通信指標の計測要求に応答することができる。そして、このような通信指標計測応答処理は、無線機器2が稼働している間、他の無線機器2から通信指標の計測要求を受信するごとに繰り返し実行される。
【0075】
(3−3)無線システム構成取得処理
図8は、無線システム構成取得処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。無線システム構成取得処理は、移動端末3によって実行される処理であって、無線通信62によって移動端末3と通信が確立された無線機器2との間で行われる通信処理と、広域通信63を介してサーバ装置4との間で行われる通信処理とが含まれる。
【0076】
まず、移動端末3が図8に示す無線システム構成取得処理を開始する前提として、移動端末3が無線機器2の何れかとの間で無線通信62による通信が確立されている必要がある。本実施の形態においては、無線システムの構築作業の進行によって作業者の作業場所が変わることに伴って、作業者に保持される移動端末3もその位置を変える。そして、無線機器2の何れかに対する作業が行われるときには、当該無線機器2との間で無線通信62による通信が確立される(例えば、図1の場合、無線通信62dによって無線機器2dと通信可能に接続される)。なお、このような通信の確立に関する具体的な方法としては、例えば、作業者が移動端末3に搭載されたBluetoothデバイスを作動させて、近傍の無線機器2dとの接続を確立させるといった方法を採用すればよい。
【0077】
次に、図8の各処理を説明する。前提の一例として、移動端末3は無線通信62dによって無線機器2dと通信可能に接続されているとする。このとき、ステップS121において、計測指示部31が、無線通信62dによる通信が確立された無線機器2dに向けて、通信指標の計測を開始する指示を送信する(計測指示送信)。
【0078】
次に、ステップS122では、計測値受信部32が、ステップS121において無線機器2dに向けて行った計測指示送信に対する応答を待機し、当該応答を受信した場合にはステップS123の処理に進む。より具体的には、図6のステップS104で説明したように、計測値送信部24によって送信される通信指標を含む計測値を受信した場合に、ステップS123の処理に進む。ステップS123では、計測値広域送信部が、ステップS122の計測値待機で受信した通信指標を含む計測値を、広域通信63によってサーバ装置4に送信する。
【0079】
その後、ステップS124では、描画情報受信部34が、サーバ装置4の描画情報送信部44から送信される描画情報を待ち受け、当該描画情報を受信する機能を有する。そして、ステップS125では、描画部35が、ステップS124で描画情報受信部34が受信した描画情報を用いて、現状の通信状況を示す無線システム構成を所定の表示手段に表示する。なお、後述する図13には、移動端末3の描画部35が描画情報を用いて所定の表示手段に表示する無線システム構成の具体的な一例が示されている。
【0080】
以上、ステップS121〜S125の処理によって、移動端末3は、無線通信62によって通信可能な無線機器2との間で、通信指標の計測指示及びその応答受信を行うとともに、無線機器2から取得した「通信指標を含む計測値」を広域通信63によってサーバ装置4に送信することができる。さらに、移動端末3は、このようにしてサーバ装置4に蓄積される「通信指標を含む計測値」に基づいて生成される「描画情報」をサーバ装置4から受信して表示手段に表示(描画)することによって、現状の通信状況を示す無線システム構成を移動端末3の操作者(例えば作業者)に教示することができる。なお、本実施の形態では、移動端末3において無線システム構成を作業者に教示する方法の一例として、描画情報に基づく表示手段への表示を採用しているが、本発明に係る無線システム構築支援システム1では、他の教示方法を採用してもよく、例えば、描画情報に基づく無線システム構成を印刷して出力したり、無線システム構成の内容を音声で報知したり、さらにはこれらの教示方法を組み合わせてもよい。
【0081】
そして、このような無線システム構成取得処理は、移動端末3と何れかの無線機器2a〜2dとの間で無線通信62による通信が確立されているときに、作業者が移動端末3において所定の開始操作を行うなどしてステップS121の計測指示送信が行われるごとに繰り返し実行される。
【0082】
(3−4)無線システム構成生成処理
図9は、無線システム構成生成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。無線システム構成生成処理は、サーバ装置4によって実行される処理である。
【0083】
図9によれば、まずステップS131において、計測値広域受信部41が、計測値送信(図8のステップS123)によって移動端末3から送信される「通信指標を含む計測値」を待ち受け、当該計測値を受信する。
【0084】
次に、ステップS132では、計測値蓄積部42が、ステップS131で計測値広域受信部41が受信した「通信指標を含む計測値」を計時部404が取得する時刻情報と紐付けて記憶部402に蓄積・保存する計測値保存処理を行う。
【0085】
そして、ステップS133では、構成算出部43が、ステップS132で蓄積・保存された全ての計測値に基づいて、複数の無線機器2のそれぞれについて、当該無線機器2と他の無線機器2との通信状況を組み合わせて無線システムの構成状況を算出し、当該算出した結果を示す情報を移動端末3の描画部35で処理可能な形式の描画情報に変換する構成算出処理を行う。
【0086】
最後に、ステップS134では、描画情報送信部44が、ステップS133において構成算出部43によって生成された描画情報を移動端末3に送信する。
【0087】
以上、ステップS131〜S134の処理によって、サーバ装置4は、移動端末3と複数の無線機器2との間の「通信指標を含む計測値」を移動端末3から取得して蓄積する一方で、蓄積した計測値に基づいて、構築中の無線システム全体における現在の通信状況(より具体的には、無線機器2間における無線通信61による通信確立の状況)を教示するための「描画情報」を生成し、移動端末3に送信することができる。そして、このような無線システム構成生成処理は、移動端末3から送信された「通信指標を含む計測値」を受信するごとに繰り返し実行される。
【0088】
(4)無線システム構築支援システムにおける無線システム構築支援処理
図10図12は、無線システム構築支援処理の処理手順例を示すシーケンス図(その1〜その3)である。以下では、図10図12を参照しながら、本実施の形態に係る無線システム構築支援システム1において無線システム構築の支援が行われる流れを簡単に説明する。
【0089】
ここで、図10図12に示すシーケンス図は、図6図9を参照しながら(3−1)〜(3−4)で説明した各構成装置(無線機器2、移動端末3、サーバ装置4)によって実行される処理について、各構成装置間での相関関係を把握できるようにしたものである。さらに言えば、これらの各処理については、(2−1)〜(2−3)における機能構成の説明でも詳述している。したがって以下では、個々の処理について重複する説明は適宜省略する。
【0090】
また、図10図12に示す無線システム構築支援処理の全体的な流れとして、図10では、無線システムの構築作業を進めるなかで、作業者が無線機器2a,2bの設置を終えて、無線機器2bに近接しているときに実行可能な処理が示されている。そしてその後、無線機器2cの設置終了後に無線機器2cに近接しているときに実行される処理が図11に示され、さらにその後、無線機器2dの設置終了後に無線機器2dに近接しているときに実行される処理が図12に示されている。このとき、図10では、移動端末3と無線機器2bとの間で無線通信62(無線通信62b)による通信が確立され、同様に、図11では移動端末3と無線機器2cとの間で無線通信62(無線通信62c)による通信がさらに確立され、図12では移動端末3と無線機器2dとの間で無線通信62(無線通信62d)による通信が確立されているものとする。
【0091】
図10に示した処理の流れを説明する。
【0092】
まず、無線機器2bに対して無線システムの構築作業を行う作業者が、無線機器2bと他の無線機器2a,2c,2dとの間での通信指標を計測するための所定の操作を移動端末3に対して行うことによって、移動端末3の計測指示部31が無線機器2bに対して計測指示送信を行う(ステップS1001)。この計測指示送信は、図8のステップS121の計測指示送信処理に相当する。
【0093】
ステップS1001の計測指示送信は、計測指示待機の処理を行う無線機器2bの計測指示待機部21bによって受信され(ステップS1002)、当該受信を契機として、計測送信部22bが他の無線機器2に対する計測送信を行う(ステップS1003)。この計測指示待機は図6のステップS101の計測指示待機処理に相当し、計測送信は図6のステップS102の計測送信処理に相当する。
【0094】
なお、ステップS1002の時点では、無線システムの構築作業は無線機器2a,2bまでしか進行していないことから、無線通信61を利用した無線機器2bからの計測送信は無線機器2aでのみ受信可能である。言い換えれば、無線機器2bと無線機器2c,2dとの間では無線通信61は確立していないため、無線機器2bからの計測送信は無線機器2c,2dでは受信されない。
【0095】
ステップS1003の計測送信は、通信指標計測待機の処理を行う無線機器2aの計測待受部25aによって受信され(ステップS1004)、当該受信を契機として計測応答部26aが通信指標計測応答を行い、無線機器2bに応答パケットを返信する(ステップS1005)。通信指標計測待機は図7のステップS111の通信指標計測待機処理に相当し、通信指標計測応答は図7のステップS112の通信指標計測応答処理に相当する。
【0096】
ステップS1005の通信指標計測応答は、計測受信の処理を行う無線機器2bの計測受信部23bによって受信され(ステップS1006)、当該受信に基づいて、計測値送信部24bが計測値送信の処理を行い、通信指標を含む計測値を移動端末3に送信する(ステップS1007)。この計測受信は図6のステップS103の計測受信処理に相当し、計測値送信は図6のステップS104の計測値送信処理に相当する。
【0097】
ステップS1007の計測値送信は、計測値待機の処理を行う移動端末3の計測値受信部32によって受信され(ステップS1008)、計測値広域送信部33が計測値送信の処理を行うことによってサーバ装置4に転送される(ステップS1009)。この計測値待機は図8のステップS122の計測値待機処理に相当し、計測値送信は図8のステップS123の計測値送信処理に相当する。
【0098】
図10のステップS1001〜S1008までの処理が行われることによって、移動端末3は、移動端末3と無線通信62で通信可能に接続された無線機器2bから、無線機器2bと他の無線機器2a,2c,2dとの間の無線通信61による通信状況を示す情報(通信指標を含む計測値)を収集することができる。具体的には、無線機器2aから受信した応答パケットに基づいて、無線通信61によって無線機器2bと無線機器2aとの間がどの程度の通信指標で通信が確立しているかが示される。また、無線機器2c,2dからの応答パケットが受信できないことから、無線機器2bと無線機器2c,2dとの間は無線通信61によって通信が確立していないことが示される。そして、ステップS1009では、移動端末3は、このようにして収集した無線機器2間での無線通信61による通信状況の情報をサーバ装置4に送信する。
【0099】
そして、ステップS1009の計測値送信によって移動端末3の計測値広域送信部33から広域通信63によって送信された「通信指標を含む計測値」は、計測値待機の処理を行う計測値広域受信部41によってサーバ装置4側で受信される(ステップS1010)。この計測値待機は図9のステップS131の処理に相当する。
【0100】
ステップS1010において「通信指標を含む計測値」を受信したサーバ装置4では、計測値蓄積部42による計測値保存(ステップS1011)、及び構成算出部43による構成算出(ステップS1012)が行われ、ステップS1012の処理によって生成された描画情報が、描画情報送信部44による描画情報送信の処理によって移動端末3に送信される(ステップS1013)。ステップS1011〜S1013の処理は、図9のステップS132〜S134の処理に相当し、前述の(2−3)でもこれらの処理について説明している。
【0101】
そして、ステップS1014では、ステップS1013でサーバ装置4から送信された描画情報が、描画情報待機の処理を行う移動端末3の描画情報受信部34によって受信され、当該受信した描画情報を用いて、描画部35が現在の(構築中の)無線システムにおける無線機器2間の通信状況を表示手段に表示させる通信状況描画を行う(ステップS1015)。この描画情報待機は図8のステップS124の描画情報待機処理に相当し、通信状況描画は図8のステップS125の通信状況描画処理に相当する。
【0102】
図10のステップS1009〜S1015の処理が行われることによって、移動端末3は、サーバ装置4から構築中の無線システムにおける無線機器2間の通信状況をリアルタイムに取得し、自身の表示手段に表示することができる。
【0103】
以上、図10のステップS1001〜1015に示した処理を経て、移動端末3では、所定の通信指標の計測によって無線機器2bと他の無線機器2a,2c,2dとの通信状況を取得するとともに、サーバ装置4に蓄積された通信指標の計測値に基づいた描画情報をサーバ装置4から取得して表示手段(表示画面)に表示することができる。
【0104】
この結果、サーバ装置4の表示画面には無線機器2a,2bの構築作業が終了したときの無線システム全体の通信状況が表示され、より具体的には、無線機器2a,2bの設置が完了したことが表示されるとともに、無線機器2aと無線機器2bとの間で無線通信61aによる通信が確立されたことが表示される。
【0105】
図10のときと同様に、図11に示した処理の流れを簡単に説明する。
【0106】
図11では、移動端末3は無線機器2cとの間で無線通信62cによる通信が確立されているため、移動端末3から無線機器2cに対して計測指示送信が行われる(ステップS1016)。これを受けて無線機器2cでは、計測指示待機(ステップS1017)、計測送信(ステップS1018)、計測受信(ステップS1019)、そして計測値送信(ステップS1020)が行われる。これらの処理は、図10に示したステップS1002,S1003,S1006,S1007と同様である。
【0107】
ただし、図11に示す作業段階では、無線機器2cは無線機器2a,2bとの間で無線通信61による通信が確立しておらず(例えば、図1に例示した無線通信61b)、無線機器2dの作業も開始されていないことも含めると、他の無線機器2の何れとも無線通信61による通信が行われない状況にある。したがって、ステップS1018の計測送信において無線機器2cから他の無線機器2(2a,2b,2d)に対して所定の通信指標を計測するためのパケットが送信されても、他の無線機器2の何れも当該パケットを受信しないことから応答パケットも返送されない。その結果、ステップS1019における計測受信では、所定の待機時間が経過してタイムアウトすることになり、ステップS1020では、受信した計測値がない(他の無線機器2の何れとも通信が確立されず、孤立している)旨を示す情報が計測値送信として移動端末3に送られる。
【0108】
そして、ステップS1020の計測値送信は、計測値待機の処理を行う移動端末3の計測値受信部32によって受信され(ステップS1021)、計測値広域送信部33が計測値送信の処理を行うことによってサーバ装置4に転送される(ステップS1022)。すなわち、ステップS1022の計測値送信では、無線機器2cの孤立を示す情報がサーバ装置4に送られる。
【0109】
そして、ステップS1022の計測値送信を受信したサーバ装置4では(ステップS1023)、「無線システム構成生成処理」(図9参照)が行われる。具体的には、ステップS1024で受信内容が保存され、ステップS1025でこれまでに蓄積された計測値等に基づいて、構築中の無線システム全体における現在の通信状況を教示するための描画情報が生成され、ステップS1026で描画情報が移動端末3に送信される。
【0110】
そして、ステップS1026の描画情報送信は、描画情報待機の処理によって移動端末3で受信され(ステップS1027)、通信状況描画の処理によって移動端末3の表示手段に表示される(ステップS1028)。図10の処理を経て図11のステップS1028の処理が行われることによって、移動端末3の表示画面には、無線機器2a〜2cまでの構築作業が終了したときの無線システム全体の通信状況が表示される。
【0111】
具体的には、無線機器2a,2b,2cの設置が完了したことが表示されるとともに、無線機器2aと無線機器2bとの間で無線通信61aによる通信が確立された一方で、無線機器2cが孤立している(無線機器2aと無線機器2cとの間、並びに無線機器2bと無線機器2cとの間では無線通信61aによる通信が確立されていない)ことが表示される。
【0112】
図10図11のときと同様に、図12に示した処理の流れを簡単に説明する。
【0113】
図12では、移動端末3は無線機器2dとの間で無線通信62dによる通信が確立されているため、移動端末3から無線機器2dに対して計測指示送信が行われる(ステップS1029)。これを受けて無線機器2dでは、計測指示待機(ステップS1030)、計測送信(ステップS1031)、計測受信(ステップS1036)、そして計測値送信(ステップS1037)が行われる。これらの処理は、図10に示したステップS1002,S1003,S1006,S1007と同様である。
【0114】
ここで、図12に示す作業段階では、無線機器2dは無線機器2cとの間だけでなく、無線機器2bとの間でも無線通信61による通信が確立しているとする(図1に例示した無線通信61c,61dを参照)。したがって、図11の作業段階では無線機器2cは孤立した通信状態にあったが、図12の作業段階では、無線機器2dが中継器としての役割を果たすことによって、無線機器2bと無線機器2cとの間も無線通信61によって間接的に通信が確立され、無線機器2cの孤立が解消されている。
【0115】
かくして、ステップS1031の計測送信において無線機器2dから他の無線機器2(2a,2b,2c)に対して所定の通信指標を計測するためのパケットが送信されると、当該パケットは無線機器2b,2cで受信される(ステップS1034,S1032)ことから、無線機器2b,2cのそれぞれにおいて通信指標の計測が行われ、通信指標計測応答が無線機器2dに返信される(ステップS1035,S1033)。そして、ステップS1037の計測値送信では、無線機器2bで計測された「通信指標を含む計測値」と無線機器2cで計測された「通信指標を含む計測値」とが移動端末3に送信される。
【0116】
そして、移動端末3側では、計測値待機によって無線機器2dからの「通信指標を含む計測値」を受信し(ステップS1038)、当該受信した情報を計測値送信によってサーバ装置4に送信する(ステップS1039)。
【0117】
そして、ステップS1039の計測値送信を受信したサーバ装置4では(ステップS1040)、「無線システム構成生成処理」(図9参照)が行われる。具体的には、ステップS1041で受信内容が保存され、ステップS1042でこれまでに蓄積された計測値等に基づいて、構築中の無線システム全体における現在の通信状況を教示するための描画情報が生成され、ステップS1043で描画情報が移動端末3に送信される。特に、ステップS1042の処理が行われると、無線機器2cの孤立というそれまでの構成が更新され、無線機器2cが無線機器2dを介して無線機器2bと通信可能(さらには無線機器2aとも通信可能)な現在の構成が得られる。
【0118】
そして、ステップS1043の描画情報送信は、描画情報待機の処理によって移動端末3で受信され(ステップS1044)、通信状況描画の処理によって移動端末3の表示手段に表示される(ステップS1045)。
【0119】
図13は、無線システム構築支援処理が行われたときの描画情報の表示例を説明するための図である。図10図12に示した無線システム構築支援処理の各処理が行われることによって、図12のステップS1045では、複数の無線機器2に対する無線システムの構築作業が進むなかで、無線機器2dまでの作業終了時の無線システム全体の通信状況が移動端末3の表示手段(表示画面72)に描画情報として表示されることとなる。
【0120】
具体的には、図13に示したように、無線機器2aと無線機器2bとの間で無線通信61aによる通信が確立され、無線機器2bと無線機器2dとの間で無線通信61dによる通信が確立され、無線機器2cと無線機器2dとの間で無線通信61cによる通信が確立されていることが表示画面72に表示される。無線通信61によるこのような通信状況が表示されることによって、作業者は、無線システムにおいて無線機器2a〜2dが孤立することなく、直接的または間接的に互いに通信可能であることを表示画面72から容易に把握することができる。
【0121】
なお、図13の表示例は、無線システムの通信状況を教示する最も簡易な表示形式の一例であって、本実施の形態による無線システム構築支援システム1では、描画情報の表示形式は上記の表示例に限定されるものではない。
【0122】
例えば、表示画面72において、通信不可能な構成間について破線の接続線で表示するようにしたり、通信可能な構成間について通信強度(例えば通信指標の計測値)に応じて異なる表示態様(接続線の太さや色の変更、通信強度の追加表示等)の接続線で表示するようにしたりしてもよい。状況を認識し易い表示態様とすることによって、作業者が専門知識を有していなくても無線システムの構成状況を容易に把握させることができる。
【0123】
また、表示画面72における複数の無線機器2の表示配置について、作業者が各無線機器2の配置を指定可能にしてもよいし、無線機器2の位置情報(無線システムの構築計画や実際の配置位置から取得できる)に基づいて、実際の配置に基づいた位置関係で各無線機器2を表示するようにしてもよい。なお、作業者による所定の指定を受付可能にする場合には、移動端末3が専用のGUI等の入力手段を備えることが好ましい。
【0124】
描画情報の表示形式に関する上記のバリエーション(多様性)は、サーバ装置4の構成算出部43による構成算出処理を行うためのプログラムや、移動端末3の描画部35による通信状況描画処理を行うためのプログラム等にこれらのバリエーションのための機能を盛り込むことによって実現することができる。
【0125】
また、表示画面72において、必ずしも無線システムに含まれる全ての無線機器2に関する構成状況を表示するのではなく、例えば作業者や作業管理者(監督者)によって指定された範囲内の無線機器2間の通信状況を表示するようにしてもよい。具体的には例えば、移動端末3またはサーバ装置4において、無線システムの構成状況の表示に関する所望の表示範囲を指定可能にし、このような指定が行われた場合に、サーバ装置4での描画情報の生成時に情報を制限することによって、または、移動端末3での描画時に表示範囲を制限することによって、作業者に割り当てられた作業エリア(例えば、当該作業者が設置する無線機器2のみを対象とする範囲)内の無線システムの構成状況を抽出して表示することができる。このように表示範囲を制限することによって、作業者自身が注視すべき対象が明瞭になり、作業者が作業判断をし易くなるように支援することができる。
【0126】
(5)本実施の形態による効果
以上に説明してきたように、本実施の形態の無線システム構築支援システム1によれば、無線システムの構築作業において作業者が構築計画に沿って複数の無線機器2を設置していくなかで、無線機器2を設置するごとに、移動端末3の操作を契機として無線機器2間の無線通信61について通信指標を含む計測値を取得し、取得した複数の計測値をサーバ装置4に送信することによって、複数の無線機器2間での計測値をサーバ装置4に蓄積することができる。そして、サーバ装置4において複数の無線機器からの計測値が効果的に変換されることによって、無線システムの現在の構成状況を示す描画情報を生成可能にし、生成された描画情報を移動端末3に送ることによって、作業者が保持する移動端末3の表示画面において、現在の無線システム全体の構成状況(無線通信61による通信状況や無線機器2の設置状況)を表示することができる。この現在の無線システム全体の構成状況には、他の無線機器2同士の通信状況や、何れの無線機器2とも無線通信61による通信が確立されていない孤立した無線機器2の状況も含まれる。
【0127】
本実施の形態の無線システム構築支援システム1によれば、上記したように無線システム全体の構成状況が作業者の手元でリアルタイムに表示可能にされることによって、無線システムの構築作業の各時点で、無線システム全体において無線通信61の接続が確立したか否かを容易に把握することができるため、それぞれの無線機器2の設置段階で必ずしも全ての無線通信61の接続が確立しなくても、全体最適な観点から無線システムの構築作業を進めることができるよう支援することができる。
【0128】
具体的な例で補足すると、例えば、図13で例示した無線機器2cのように、無線機器2cの設置時点では無線通信61の接続が確立せずに孤立するものの、その後に構築計画に沿って設置された無線機器2dによって中継されることで無線通信61の接続が確立するような場合、従来は、一組の無線機器間で通信が確立できなかったときにはそのたびに当該通信を確立するという局所最適の観点で無線システムの構築作業を行っていたため、無線機器2cの設置時点で無線機器2cにおける無線通信61の接続が確立するまでは次の無線機器の設置作業に進むことができず、完成後の無線システム全体でみると無駄な中継器の追加設置や無線機器の設置変更等が行われる可能性があった。これに対して、本実施の形態の無線システム構築支援システム1の場合、無線機器2cが孤立していたとしても、中継器の役割を果たすことに期待できる無線機器2dの設置計画がその後に予定されているような場合には、無線機器2dの設置に進んだうえで、無線システム全体の構成状況を再度確認することができるため、全体最適の観点で無線システムの構築作業を支援することができる。
【0129】
すなわち、本実施の形態の無線システム構築支援システム1によれば、無線システムの構築作業の途中で、局所最適の観点に基づく追加作業(中継器の追加設置や無線機器の設置変更等)が発生し得るという作業制約を無くすことができ、作業者は全体最適の観点に基づいた無線システムの構築作業を進めることができる。
【0130】
また、本実施の形態の無線システム構築支援システム1によれば、無線システムの構築中の各時点において、無線システム全体で無線通信が確立しているかの通信状況をサーバ装置4に集約できるだけでなく、無線システム全体の構成状況を示す描画情報がサーバ装置4で算出及び生成されて移動端末3に送信されることから、複数の作業者がそれぞれ移動端末3を携行して無線機器2の設置作業を並行して進めることができる。このような場合、それぞれの作業者の移動端末3から送信される「無線機器2に関する通信状況(計測値)」がサーバ装置4に蓄積されることは、移動端末3が1台である(作業者が1人である)ときと何ら変わりはなく、複数の作業者が並行して作業を行う場合であっても、各作業者の移動端末3で無線システム全体の構成状況を共有することができる。かくして、無線システム構築支援システム1によれば、複数の作業者が無線機器2を設置する作業を並行して行う場合であっても、このような並行作業が行われる場合でも全体最適の観点で無線システムの構築を進めることを支援でき、無線システムの構築に要する期間の短期化を図ることを支援できる。
【0131】
また、本実施の形態の無線システム構築支援システム1によれば、無線機器2を設置するごとに、当該無線機器2だけでなく他の設置済の無線機器2までを含む複数の無線機器2における通信指標を含む計測値をサーバ装置4に集約し、集約した情報に基づいて生成された無線システム構成の情報が移動端末3の表示画面上に視覚的に表示されることで、作業者は現在の無線システム構成の状況を容易に把握することができる。したがって、無線システム構築支援システム1によれば、作業者が無線に関する専門的な知識を求められることなく、移動端末3の表示画面の表示を確認しながら無線システムの構築作業を行うことを可能にするよう支援することができる。
【0132】
また、本実施の形態に係る無線システム構築支援システム1では、作業管理者が携行する移動端末(移動端末3と同じ装置であってよい)に対しても、作業者が携行する移動端末3と同様にサーバ装置4から描画情報を送信し、現在の無線システムの構成状況を教示可能にすることによって、構築作業を全体的に管理する作業管理者(監督者等)にしても以下のような支援効果を奏する。
【0133】
すなわち、無線システム構築支援システム1によれば、1ホップ分の通信指標の計測結果を足し合わせていく(蓄積していく)ため、複数の無線機器2間の通信指標をマルチホップで毎回計測する場合よりも早く、無線システムによって構成されるネットワークの全体像を把握することができる。無線システムによって構成されるネットワークの全体像を従来よりも想起に把握できることによって、事前の作業計画による想定やシミュレーションと実際の状況との比較で乖離が生じた場合には、作業管理者が早めの対策を執り行うことができるため、手戻りによる工数の増大を抑制し、適切なタイミングで事前の作業計画を柔軟に見直すことを支援することができる。
【0134】
具体的には例えば、設置段階で孤立状態の無線機器(例えば無線機器2c)があった場合に、作業管理者は、その後の所定段階までは、作業計画に沿って設置される無線機器(例えば無線機器2d)が中継器となって無線機器2cの孤立状態が解消されることに期待すれば、作業計画を変更することなく作業者の作業を進めさせる。しかし、所定段階まで進んでも無線機器2cの孤立状態が解消されなかった場合には、作業者が無線機器2cから離れすぎてしまわないうちに、作業管理者は当該時点におけるネットワークの全体像に基づいて作業計画を変更し、無線機器2cの近辺に中継器の無線機器を追加設置させることができる。このように柔軟な作業計画の変更が支援されることによって、手戻り工数の増大を抑制することができる。
【0135】
さらに、無線システム構築支援システム1は、複数の作業者による並行作業が行われる場合でも、各作業者の作業によって構築されたネットワーク同士が想定通りに接続するかを確認するといったような、事前の想定と現実の作業結果との比較をリアルタイムで実行できるようにするため、随時、作業管理者による見直しの対策検討を支援することができる。
【0136】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0137】
1 無線システム構築支援システム
2(2a〜2d) 無線機器
21(21a〜21d) 計測指示待機部
22(22a〜22d) 計測送信部
23(23a〜23d) 計測受信部
24(24a〜24d) 計測値送信部
25(25a〜25d) 計測待受部
26(26a〜26d) 計測応答部
27(27a〜27d) 計測値記憶部
201 制御部
202 記憶部
203 入力部
204 通信部
205 直接通信部
3 移動端末
31 計測指示部
32 計測値受信部
33 計測値広域送信部
34 描画情報受信部
35 描画部
301 制御部
302 記憶部
303 広域通信部
304 直接通信部
305 計時部
306 表示部
4 サーバ装置
41 計測値広域受信部
42 計測値蓄積部
43 構成算出部
44 描画情報送信部
401 制御部
402 記憶部
403 広域通信部
404 計時部
5 広域通信網
61(61a〜61d) 無線通信
62(62a〜62d) 無線通信
63 広域通信
71 テーブル
72 表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13