(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571616
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】ロボットシミュレーション装置
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20190826BHJP
G05B 19/4069 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
B25J19/00 Z
G05B19/4069
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-173015(P2016-173015)
(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公開番号】特開2018-39060(P2018-39060A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 幸三
【審査官】
松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−100866(JP,A)
【文献】
特開2003−094367(JP,A)
【文献】
特開2003−150220(JP,A)
【文献】
特開2005−111618(JP,A)
【文献】
特開2015−044274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
G05B 19/18−19/416
G05B 19/42−19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールに備えられる1以上のハンドの種類を設定するツール情報設定部と、
前記ハンドの種類と該ハンドの3次元モデルおよびツール座標系とを対応づけて記憶するハンドモデル記憶部と、
ユーザによる入力に基づき、前記ツールの前記1以上の前記ハンドの各々のロボットの取付面に対する位置および姿勢を設定するハンド位置姿勢設定部と、
前記ツール情報設定部により設定された前記ハンドの種類に基づいて前記ハンドモデル記憶部から読み出した前記ハンドの3次元モデルを前記ハンド位置姿勢設定部により設定された前記ハンドの位置および姿勢で前記取付面に取り付けた前記ロボットの3次元モデルを生成し、ツール座標系を設定するロボットモデル生成部とを備え、
該ロボットモデル生成部により生成された前記ロボットの3次元モデルおよび前記ツール座標系を用いて、前記ツールが前記取付面に取り付けられた前記ロボットのシミュレーションを行い、
該シミュレーションの後に、前記1以上のハンドの各々の前記取付面に対する位置および姿勢がユーザによる入力に基づいて前記ハンド位置姿勢設定部によって変更されるロボットシミュレーション装置。
【請求項2】
前記ツールが、前記ハンドと該ハンドを前記ロボットに取り付けるための取付部材とを備え、
前記ハンド位置姿勢設定部が、前記取付部材の形状を設定する請求項1に記載のロボットシミュレーション装置。
【請求項3】
前記ハンドが、ハンド本体と、該ハンド本体に対して移動する1以上の爪とを備え、
前記ツール情報設定部が、前記爪の種類および大きさを設定する請求項1または請求項2に記載のロボットシミュレーション装置。
【請求項4】
前記ハンドが前記爪の動作を開始させる際に前記ロボットから出力される出力信号と、前記爪の動作完了時に前記ハンドから前記ロボットに入力される入力信号とを設定する信号設定部を備える請求項3に記載のロボットシミュレーション装置。
【請求項5】
前記ロボットの3次元モデルとは分離して前記ハンドの3次元モデルのシミュレーションを行う請求項1から請求項4のいずれかに記載のロボットシミュレーション装置。
【請求項6】
前記爪が前記ロボットの付加軸により駆動される請求項1から請求項3のいずれかに記載のロボットシミュレーション装置。
【請求項7】
前記ツール情報設定部が、複数の前記ツールの情報を設定可能であり、
前記ロボットモデル生成部が、前記ツール情報設定部により設定されたいずれかの前記ツールを択一的に選択して前記ロボットのシミュレーションを行う請求項1から請求項6のいずれかに記載のロボットシミュレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシミュレーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットの動作を画面上でシミュレーションするロボットシミュレーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このロボットシミュレーション装置は、ハンドを取り付けたロボットのシミュレーションを実施しながら、ケース内に山積みされたワークをハンドによってケースから取り出す際に、ハンドとケースに干渉が生じないようにハンドの形状モデルを変更して、変更後のハンドの形状モデルから実際のハンドの寸法データを取得するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−334678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ハンドの設計には設計者のノウハウが必要であり、干渉を回避できるように変形された形状が必ずしもハンドの必要な機能を満足しているとは限らないという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、必要な機能を満足しかつ周辺機器との干渉を回避することができるツールの設計を簡易に行うことができるロボットシミュレーション装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、ツールに備えられる1以上のハンドの種類を設定するツール情報設定部と、前記ハンドの種類と該ハンドの3次元モデルおよびツール座標系とを対応づけて記憶するハンドモデル記憶部と、
ユーザによる入力に基づき、前記ツールの前記1以上の前記ハンドの各々のロボットの取付面に対する位置および姿勢を設定するハンド位置姿勢設定部と、前記ツール情報設定部により設定された前記ハンドの種類に基づいて前記ハンドモデル記憶部から読み出した前記ハンドの3次元モデルを前記ハンド位置姿勢設定部により設定された前記ハンドの位置および姿勢で前記取付面に取り付けた前記ロボットの3次元モデルを生成し、ツール座標系を設定するロボットモデル生成部とを備え、該ロボットモデル生成部により生成された前記ロボットの3次元モデルおよび前記ツール座標系を用いて、前記ツールが前記取付面に取り付けられた前記ロボットのシミュレーションを行い、該シミュレーションの
後に、前記1以上のハンドの各々の前記取付面に対する位置および姿勢が
ユーザによる入力に基づいて前記ハンド位置姿勢設定部によって変更されるロボットシミュレーション装置を提供する。
【0006】
本態様によれば、ツール情報設定部により、ツールに備えられる1以上のハンドの種類が設定され、ハンド位置姿勢設定部によりロボットの取付面に取り付けられるツールにおける各ハンドの位置および姿勢が設定されると、ハンドモデル記憶部に記憶されているハンドの3次元モデルおよびツール座標系が読み出され、ロボットモデル生成部において、設定された位置および姿勢で取付面にツールが取り付けられ、ツール座標系が設定されたロボットの3次元モデルが生成される。これにより、取付面にツールが取り付けられたロボットのシミュレーションが、ハンドのツール座標系を用いて行われる。
【0007】
すなわち、本態様によれば、必要情報を入力するだけで、予め記憶されているツールの3次元モデルおよびツール座標系が選択され、ロボットの取付面に所望の位置および角度でツールを取り付けたロボットのシミュレーションを簡易に行うことができる。したがって、入力する情報を変更して、種々のツールを装着したロボットについてシミュレーションを簡易に行って、ツール毎の干渉チェックやサイクルタイムの評価等を簡易に行うことができる。この場合に、予め記憶されているハンドの3次元モデルを用いるので、必要な機能を満たしたツールによるシミュレーションを行うことができる。
【0008】
上記態様においては、前記ツールが、前記ハンドと該ハンドを前記ロボットに取り付けるための取付部材とを備え、前記ハンド位置姿勢設定部が、前記取付部材の形状を設定してもよい。
このようにすることで、ハンド位置姿勢設定部により取付部材の形状を設定することによって、ロボットの取付面に取り付けるハンドの位置および姿勢を簡易に設定することができる。
【0009】
また、上記態様においては、前記ハンドが、ハンド本体と、該ハンド本体に対して移動する1以上の爪とを備え、前記ツール情報設定部が、前記爪の種類および大きさを設定してもよい。
このようにすることで、ハンドの動作時に、ハンド本体の可動部により移動させられる
1以上の爪を所望の種類および大きさに設定してシミュレーションを行うことができる。
【0010】
また、上記態様においては、前記ハンドが前記爪の動作を開始させる際に前記ロボットから出力される出力信号と、前記爪の動作完了時に前記ハンドから前記ロボットに入力される入力信号とを設定する信号設定部を備えていてもよい。
このようにすることで、ロボットの動作プログラムに記述された入出力信号によって、ロボットの動作中にハンド本体の可動部を動作させて爪を動作させるシミュレーションを行うことができる。
【0011】
また、上記態様においては、前記ロボットの3次元モデルとは分離して前記ハンドの3次元モデルのシミュレーションを行ってもよい。
このようにすることで、ツールはロボットの取付面に取り付けられてロボットの動作によって種々の方向に移動するので、ハンドの3次元モデルをロボットの3次元モデルとは分離してシミュレーションすることで、ハンドの動作を見易い位置で確認することができる。
【0012】
また、上記態様においては、前記爪が前記ロボットの付加軸により駆動されてもよい。
このようにすることで、ロボットを動作させる各駆動軸と同様の動作指令によってハンドを駆動させて、ツールを含むロボットのシミュレーションを行うことができる。
【0013】
また、上記態様においては、前記ツール情報設定部が、複数の前記ツールの情報を設定可能であり、前記ロボットモデル生成部が、前記ツール情報設定部により設定されたいずれかの前記ツールを択一的に選択して前記ロボットのシミュレーションを行ってもよい。
このようにすることで、複数のツールを設定しておき、いずれか1つのツールを選択して、その3次元モデルを取付面に取り付けた状態のロボットモデルによるシミュレーションを、設定されたツールを切り替えて実施することにより、干渉やサイクルタイム等を比較しながら評価することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、必要な機能を満足しかつ周辺機器との干渉を回避することができるツールの設計を簡易に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロボットシミュレーション装置を示すブロック図である。
【
図2】
図1のロボットシミュレーション装置に備えられたツール情報設定部によるハンドの数の入力画面例を示す図である。
【
図3】
図1のロボットシミュレーション装置に備えられたツール情報設定部によるハンドの種類の入力画面例を示す図である。
【
図4】
図1のロボットシミュレーション装置に備えられたツール情報設定部によるハンドの爪の寸法の入力画面例を示す図である。
【
図5】
図1のロボットシミュレーション装置に備えられた取付形状設定部による取付部材の形状の入力画面例を示す図である。
【
図6】
図1のロボットシミュレーション装置に備えられた模擬ロボット生成部によるツール座標系の設定例を示す図である。
【
図7】
図1のロボットシミュレーション装置の模擬ロボット生成部により生成されたハンド本体と取付部材とを組み合わせた3次元モデルの一例を示す図である。
【
図8】
図1のロボットシミュレーション装置の模擬ロボット生成部により生成された爪の3次元モデルの一例を示す斜視図である。
【
図9】
図1のロボットシミュレーション装置に備えられた信号設定部による入出力信号と爪の動作との対応関係を示す図である。
【
図10】(a)
図1のロボットシミュレーション装置の変形例であって、ロボット本体の付加軸によって駆動されるハンドの一例、(b)ハンド本体の一例および(c)爪の一例をそれぞれ示す斜視図である。
【
図11】
図1のロボットシミュレーション装置の他の変形例であって、複数のツールの3次元モデルを生成する場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るロボットシミュレーション装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るロボットシミュレーション装置1は、パーソナルコンピュータ等の計算機によって実現されるものである。
【0017】
このロボットシミュレーション装置1は、
図1に示されるように、ロボット本体20およびロボット本体20のアーム先端の取付面15に取り付けられるツール13を模擬する装置であって、ロボットの制御装置から出力されるハードウェア情報およびソフトウェア情報を読み込むロボット本体情報読込部2と、ロボット本体情報読込部2により読み込まれたハードウェア情報およびソフトウェア情報に基づいてロボット本体20の3次元モデルを生成するロボット本体モデル生成部(ロボットモデル生成部)3と、ツール13の情報を入力するツール情報入力部4と、ツール13を構成するハンド12の3次元モデルを記憶するハンドモデル記憶部5と、ツール情報入力部4により入力されたツール13の情報と、ハンドモデル記憶部5に記憶されたハンド12の3次元モデルと、ロボット本体モデル生成部3により生成されたロボット本体20の3次元モデルとに基づいて、ロボット本体20の取付面15にツール13を取り付けたロボットの3次元モデルを生成する模擬ロボット生成部6と、ツール13を動作させるための信号を設定する信号設定部7と、生成されたロボットの3次元モデルを用いて、ロボットのソフトウェア情報に含まれている動作プログラムを実行するプログラム実行部8と、実行結果を表示するモニタ9とを備えている。
【0018】
ロボットの制御装置から読み込まれる情報には、当該ロボットの識別情報、各軸の加速度、最高速度および動作範囲等のパラメータおよび動作プログラムが含まれている。
ロボット本体モデル生成部3は、ロボットから読み込まれたハードウェア情報に基づいて、ロボットシミュレーション装置1上で動作するロボット本体20の3次元モデルを生成し、各軸の加速度、最高速度および動作範囲を設定するようになっている。
【0019】
ツール情報入力部4は、
図1に示されるように、ツール13に備えられるハンド12の数と種類を設定するツール情報設定部10と、ロボットの取付面15にハンド12を取り付ける取付部材16の形状を設定する取付形状設定部(ハンド位置姿勢設定部)11とを備えている。
ツール情報設定部10は、
図2に示されるように、異なる数のハンド12を有する複数種類のツール13をモニタ9上に表示してユーザに選択させることで、ツール13に備えられるハンド12の数を設定するようになっている。なお、ハンド12の数は、ユーザに数値入力させることにより設定してもよい。
【0020】
また、ツール情報設定部10は、
図3に示されるように、異なる種類のハンド12をモニタ9上に表示してユーザに選択させることで、ツール13に備えられるハンド12の種類を設定するようになっている。
ハンドモデル記憶部5には、ハンド12の種類を示す識別情報とハンド12の3次元モデルとが対応づけて記憶されており、ツール情報設定部10によりハンド12の種類が設定されると、ハンドモデル記憶部5に、当該種類に対応して記憶されているハンド12の3次元モデルが読み出されるようになっている。ハンドモデル記憶部5には、ハンド本体12aと該ハンド本体12aに適合する爪14の3次元モデルが別々に記憶されている。
【0021】
また、ツール情報設定部10は、ハンド12の種類が入力された後に、ハンド12に備えられる1以上の爪14の情報を設定するようになっている。ハンド12の種類が設定されることにより、ハンドモデル記憶部5に当該種類に対応して記憶されているハンド本体12aと、該ハンド本体12aに適合する爪14の3次元モデルが読み出されるようになっている。
【0022】
設定する爪14の情報としては、爪14の形状および寸法を挙げることができる。ハンドモデル記憶部5から読み出されたハンド本体12aに適合する爪14の形状を列挙してモニタ9に表示することで、所望の爪14の種類をユーザに選択させ、
図4に示されるように、選択された種類の爪14を特定するための寸法(長さL1、幅L2、厚さL3等)をユーザに入力させるようになっている。
【0023】
取付形状設定部11は、
図5に示されるように、取付面15からハンド本体12aまでを結ぶ単純化された形状の取付部材16の寸法AからEをユーザに設定させるようになっている。これにより、ロボットの取付面15に対するハンド本体12aの位置および姿勢を設定することができるようになっている。
【0024】
模擬ロボット生成部6は、
図7に示されるように、選択されたハンド本体12aの3次元モデルと設定された取付部材16とを組み合わせたツール13の3次元モデルを生成するとともに、
図8に示されるように、設定された爪14の3次元モデルをハンド本体12aの3次元モデルとは別個に生成する。また、模擬ロボット生成部6は、ロボット本体モデル生成部3により生成されたロボット本体20の3次元モデルの取付面15に、生成されたツール13の3次元モデルを取り付けたロボットの3次元モデルを生成するとともに、生成された爪14の3次元モデルをハンド本体12aに対して移動可能に組み合わせ、ツール座標系を設定するようになっている。模擬ロボット生成部6において、ツール座標系は、例えば、
図6に示されるように、ハンド12に備えられる2以上の爪14の中央位置に設定されるようになっている。
【0025】
信号設定部7は、
図9に示されるように、ハンド12の各爪14と、各爪14を作動開始させるための出力信号および作動終了をロボット本体20に知らせるための入力信号との対応関係を設定するようになっている。
図9においては3つの爪14(Claw1,Claw2,Claw3)の入出力信号と、移動距離および動作・動作時間が対応づけられている。
【0026】
このように構成された本実施形態に係るロボットシミュレーション装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係るロボットシミュレーション装置1を用いてツール13を取り付けたロボットのシミュレーションを行うには、ロボット本体情報読込部2によってロボットの制御装置からロボット本体20の情報を読み込む。
【0027】
これにより、ロボット本体情報読込部2により読み込まれたハードウェア情報に基づいて、ロボット本体モデル生成部3により、ロボット本体20の3次元モデルが生成される。
次いで、ユーザがツール情報入力部4によってツール13に備えられるハンド12の数および種類を入力する。これにより、入力された種類に対応するハンド12の3次元モデルが入力された数だけハンドモデル記憶部5から読み出される。
【0028】
ツール13に備えられるハンド12の種類が設定されると、設定された種類に対応してハンドモデル記憶部5に記憶されているハンド本体12aの3次元モデルと該ハンド本体12aに適合する爪14の3次元モデルとが読み出され、読み出された爪14の候補がモニタ9に表示されるので、ユーザがいずれかの爪14を選択すると、その爪14の寸法をユーザに入力させる画面が表示される。これに応じて、ユーザが爪14の寸法を入力することにより、所望の形状および大きさの爪14を有するハンド12の3次元モデルが生成される。
【0029】
そして、ユーザが取付形状設定部11によって取付面15からハンド本体12aまでを結ぶ単純化された形状の取付部材16の寸法を設定すると、取付部材16の形状によって決定された取付面15に対する位置および姿勢で1以上のハンド本体12aがロボット本体20に固定され、ハンド本体12aに対して爪14が移動するロボットの3次元モデルが生成され、ハンド12の爪14の間に原点を有するツール座標系が設定される。
【0030】
次いで、ユーザは、信号設定部7により、ハンド12の各爪14と、各爪14を作動開始させるための出力信号および作動終了をロボット本体20に知らせるための入力信号との対応関係を設定する。これにより、ロボットの動作プログラムの各実行行に記述されている出力信号に対応してハンド12の爪14を動作させることができ、ハンド12の爪14の動作終了が入力信号として入力されたことを検出して次の実行行に移行することができるようになる。
【0031】
この後に、プログラム実行部8により、ロボットの制御部から読み込んだソフトウェア情報に含まれている動作プログラムを作動させること、および、モニタ9上においてロボットの3次元モデルを動作プログラムに従って動作させ、ロボットのシミュレーションを行うことができる。ロボットのシミュレーション結果としては、例えば、サイクルタイム、最大負荷、干渉有無および到達可不可が出力される。ユーザはサイクルタイムや最大負荷が、所定の基準より大きかったり、干渉が発生したり、動作範囲が足りなかったりする場合には、取付部材16の形状を変更したり、ハンド12の種類を変更したりして、全ての条件に適合するハンド12の位置および姿勢を評価することができる。
【0032】
このように、本実施形態に係るロボットシミュレーション装置1によれば、周辺機器との干渉が発生した場合にハンド12の形状モデルを変形するのではなく、予め用意されたハンドモデルを用いてその位置や姿勢を変更してシミュレーションを行うので、周辺機器との干渉を回避しつつツール13の必要な機能を損なわないようにツール13を設計することができるという利点がある。
【0033】
なお、本実施形態においては、信号設定部7により設定された入出力信号によって、動作プログラムに記述された出力信号によりハンド12の爪14を動作させることとしたが、
図10(a)から(c)に示されるように、ハンド本体12aとしてロボット本体20の付加軸により動作する方式のものを採用し、ロボット本体20の他の駆動軸の作動指令と同様に、付加軸への作動指令によって爪14を駆動するハンド12を採用してもよい。
【0034】
また、本実施形態においては、1以上のハンド12を有する単一のツール13の3次元モデルを生成して、ロボット本体20の取付面15に取り付けた状態のロボットの動作のシミュレーションを実施することとしたが、これに代えて、
図11に示されるように、2以上のツール13の3次元モデルを生成して、ツール13を交換しながらシミュレーションを行うことにしてもよい。これにより、サイクルタイム、最大負荷、干渉有無および到達可不可等のシミュレーション結果をツール13間で比較して評価することができるという利点がある。
【符号の説明】
【0035】
1 ロボットシミュレーション装置
3 ロボット本体モデル生成部(ロボットモデル生成部)
5 ハンドモデル記憶部
7 信号設定部
10 ツール情報設定部
11 取付形状設定部(ハンド位置姿勢設定部)
12 ハンド
12a ハンド本体
13 ツール
14 爪
15 取付面
16 取付部材