特許 6571627 導電モジュール及び電池パック

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6571627

(24)【登録日】2019年8月16日

(45)【発行日】2019年9月4日

(54)【発明の名称】導電モジュール及び電池パック

(51)【国際特許分類】

   H01M 2/10 20060101AFI20190826BHJP

   H01M 2/20 20060101ALI20190826BHJP

   H01M 2/30 20060101ALI20190826BHJP

   H01M 2/34 20060101ALI20190826BHJP

   H02H 7/18 20060101ALI20190826BHJP

【ＦＩ】

   H01M2/10 E

   H01M2/10 M

   H01M2/20 A

   H01M2/30 B

   H01M2/34 B

   H01M2/34 A

   H02H7/18

【請求項の数】5

【全頁数】23

(21)【出願番号】特願2016-225132(P2016-225132)

(22)【出願日】2016年11月18日

(65)【公開番号】特開2018-81878(P2018-81878A)

(43)【公開日】2018年5月24日

【審査請求日】2018年2月16日

(73)【特許権者】

【識別番号】000006895

【氏名又は名称】矢崎総業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001771

【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所

(72)【発明者】

【氏名】岡▲崎▼ 裕太郎

【審査官】 渡部 朋也

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１６−１１５６１５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１５−０４１５８６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１３−１１４９５６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１４−１２７２２９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１６−１１５４４２（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｈ０１Ｍ ２／１０

Ｈ０１Ｍ ２／２０

Ｈ０１Ｍ ２／３０

Ｈ０１Ｍ ２／３４

Ｈ０２Ｈ ７／１８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

配列された複数の電池セルの内の少なくとも１つを接続対象とし、その接続対象となる前記電池セルが有する２つの電極端子の内の１つに対して電気的に接続される第１導電部材と、
複数の前記電池セルの配列方向に延在させる導電体を有し、前記電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットの演算処理装置を前記第１導電部材に対して電気的に接続させる第２導電部材と、
前記第１導電部材の電気接続部に対して電気的に接続される第１電気接続部、前記第２導電部材の電気接続部に対して電気的に接続される第２電気接続部、及び、前記第１電気接続部と前記第２電気接続部との間に配置された可溶体を有する回路保護部材と、
前記第１導電部材と前記回路保護部材との間で前記第１導電部材の前記電気接続部と前記第１電気接続部とを電気的に接続させる第１電気接続構造体と、
前記第２導電部材と前記回路保護部材との間で前記第２導電部材の前記電気接続部と前記第２電気接続部とを電気的に接続させる第２電気接続構造体と、
前記回路保護部材並びに前記第１及び第２の電気接続構造体を収容する収容部材と、
を１つのモジュールとして備え、
前記第２電気接続構造体は、複数の前記電池セルの配列方向に対する交差方向に延在させ、かつ、前記第２導電部材の前記電気接続部を物理的且つ電気的に接続させる部位であり、複数の前記電池セルから成る集合体に対して前記配列方向に沿って配列される全ての前記モジュールのそれぞれの前記第２導電部材を前記交差方向に沿って並べて配置可能な連結部を有し、
前記連結部は、自らが属する前記モジュールの前記第２導電部材を複数の前記電池セルの配列方向に沿って直線的に延在させる位置に配置するものであり、複数の前記電池セルの配列方向に沿い且つ複数の前記電池セルから成る前記集合体の壁面に沿う平面を基準平面とし、前記配列方向に見て前記基準平面に対する直交方向で前記収容部材よりも突出させた位置に配置し、かつ、前記基準平面に沿って延在させることを特徴とした導電モジュール。

【請求項2】

前記連結部は、前記収容部材に対する自らの突出方向側に前記交差方向に沿う平面状の連結面を有し、自らが設けられている前記モジュールの前記第２導電部材の前記電気接続部を前記連結面に対して物理的且つ電気的に接続させることを特徴とした請求項１に記載の導電モジュール。

【請求項3】

前記第２電気接続構造体は、前記連結部としての第１連結部と、前記第２電気接続部を物理的且つ電気的に接続させる第２連結部と、を有する中継導電部材を備えることを特徴とした請求項１又は２に記載の導電モジュール。

【請求項4】

前記第２導電部材は、自らの前記電気接続部を有し、複数の前記電池セルの配列方向に延在させる導電部と、自らの前記電気接続部を少なくとも除いた前記導電部を覆う電気絶縁性の絶縁部と、を備えることを特徴とした請求項１，２又は３に記載の導電モジュール。

【請求項5】

配列された複数の電池セルと、
前記電池セルと前記電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットの演算処理装置との間を電気的に接続させる複数の導電モジュールと、
を備え、
前記導電モジュールは、
複数の前記電池セルの内の少なくとも１つを接続対象とし、その接続対象となる前記電池セルが有する２つの電極端子の内の一方に対して電気的に接続される第１導電部材と、
複数の前記電池セルの配列方向に延在させる導電性の部材であり、前記演算処理装置を前記第１導電部材に対して電気的に接続させる第２導電部材と、
前記第１導電部材の電気接続部に対して電気的に接続される第１電気接続部、前記第２導電部材の電気接続部に対して電気的に接続される第２電気接続部、及び、前記第１電気接続部と前記第２電気接続部との間に配置された可溶体を有する回路保護部材と、
前記第１導電部材と前記回路保護部材との間で前記第１導電部材の前記電気接続部と前記第１電気接続部とを電気的に接続させる第１電気接続構造体と、
前記第２導電部材と前記回路保護部材との間で前記第２導電部材の前記電気接続部と前記第２電気接続部とを電気的に接続させる第２電気接続構造体と、
前記回路保護部材並びに前記第１及び第２の電気接続構造体を収容する収容部材と、
を備え、
前記第２電気接続構造体は、複数の前記電池セルの配列方向に対する交差方向に延在させ、かつ、前記第２導電部材の前記電気接続部を物理的且つ電気的に接続させる部位であり、複数の前記電池セルから成る集合体に対して前記配列方向に沿って配列される全ての前記導電モジュールのそれぞれの前記第２導電部材を前記交差方向に沿って並べて配置可能な連結部を有し、
前記連結部は、自らが属する前記導電モジュールの前記第２導電部材を複数の前記電池セルの配列方向に沿って直線的に延在させる位置に配置するものであり、複数の前記電池セルの配列方向に沿い且つ複数の前記電池セルから成る前記集合体の壁面に沿う平面を基準平面とし、前記配列方向に見て前記基準平面に対する直交方向で前記収容部材よりも突出させた位置に配置し、かつ、前記基準平面に沿って延在させることを特徴とした電池パック。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、導電モジュール及び電池パックに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、電気自動車やハイブリッド車等の車両には、複数の電池セルを備えた電池パックが搭載されており、その電池セルの電池状態を監視するための電池監視ユニットが設けられている。そして、その監視に際しては、電池状態に関わる信号を電池監視ユニットの演算処理装置に送るべく、電池セル側と電池監視ユニット側とを電気的に接続させる導電モジュールが用いられる。その導電モジュールは、電池セルの電極端子側に対して電気的に接続される第１導電部材と、電池監視ユニット側に対して電気的に接続される第２導電部材と、第１導電部材と第２導電部材との間に介在させた可溶体を有する回路保護部材と、を備えている。例えば、下記の特許文献１及び２には、隣り合う電池セルの電極端子間を繋ぐ第１導電部材としてのバスバと、第２導電部材としての電線と、回路保護部材が内包されたヒューズユニットと、を備えたものが開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１５−２０７３９３号公報

【特許文献2】特開２０１６−１１５６１６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、電池パックにおいては、複数の電池セルが集合体として配列されており、複数の電池セルの電池状態を監視するべく、その配列方向に沿って導電モジュールが複数並べられている。それぞれの導電モジュールにおいて、第２導電部材としての電線は、回路保護部材側との接続箇所から複数の電池セルの配列方向に沿って同じ向きに引き出され、その引き出し方向に沿って配策された後、電池監視ユニット側に繋がれている。このため、第２導電部材は、その配索経路上に他の導電モジュールが存在している場合、これを避けるべく適宜曲げながら配策される。よって、従来の電池パックにおいては、その第２導電部材の曲げの分だけ体格の小型化が難しくなる。

【0005】

そこで、本発明は、電池パックの体格の小型化が可能な導電モジュールと、この導電モジュールが設けられた電池パックと、を提供することを、その目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記目的を達成する為、本発明に係る導電モジュールは、配列された複数の電池セルの内の少なくとも１つを接続対象とし、その接続対象となる前記電池セルが有する２つの電極端子の内の１つに対して電気的に接続される第１導電部材と、複数の前記電池セルの配列方向に延在させる導電体を有し、前記電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットの演算処理装置を前記第１導電部材に対して電気的に接続させる第２導電部材と、前記第１導電部材の電気接続部に対して電気的に接続される第１電気接続部、前記第２導電部材の電気接続部に対して電気的に接続される第２電気接続部、及び、前記第１電気接続部と前記第２電気接続部との間に配置された可溶体を有する回路保護部材と、前記第１導電部材と前記回路保護部材との間で前記第１導電部材の前記電気接続部と前記第１電気接続部とを電気的に接続させる第１電気接続構造体と、前記第２導電部材と前記回路保護部材との間で前記第２導電部材の前記電気接続部と前記第２電気接続部とを電気的に接続させる第２電気接続構造体と、前記回路保護部材並びに前記第１及び第２の電気接続構造体を収容する収容部材と、を１つのモジュールとして備える。そして、前記第２電気接続構造体は、複数の前記電池セルの配列方向に対する交差方向に延在させ、かつ、前記第２導電部材の前記電気接続部を物理的且つ電気的に接続させる部位であり、複数の前記電池セルから成る集合体に対して前記配列方向に沿って配列される全ての前記モジュールのそれぞれの前記第２導電部材を前記交差方向に沿って並べて配置可能な連結部を有する。

【0007】

そして、本発明に係る導電モジュールにおいて、前記連結部は、自らが属する前記導電モジュールの前記第２導電部材を複数の前記電池セルの配列方向に沿って直線的に延在させる位置に配置するものであり、複数の前記電池セルの配列方向に沿い且つ複数の前記電池セルから成る前記集合体の壁面に沿う平面を基準平面とし、前記配列方向に見て前記基準平面に対する直交方向で前記収容部材よりも突出させた位置に配置し、かつ、前記基準平面に沿って延在させることを特徴としている。

【0008】

ここで、前記連結部は、前記収容部材に対する自らの突出方向側に前記交差方向に沿う平面状の連結面を有し、自らが設けられている前記モジュールの前記第２導電部材の前記電気接続部を前記連結面に対して物理的且つ電気的に接続させることが望ましい。

【0009】

また、前記第２電気接続構造体は、前記連結部としての第１連結部と、前記第２電気接続部を物理的且つ電気的に接続させる第２連結部と、を有する中継導電部材を備えることが望ましい。

【0010】

また、前記第２導電部材は、自らの前記電気接続部を有し、複数の前記電池セルの配列方向に延在させる導電部と、自らの前記電気接続部を少なくとも除いた前記導電部を覆う電気絶縁性の絶縁部と、を備えることが望ましい。

【0011】

また、上記目的を達成する為、本発明に係る電池パックは、配列された複数の電池セルと、前記電池セルと前記電池セルの電池状態を監視する電池監視ユニットの演算処理装置との間を電気的に接続させる複数の導電モジュールと、を備える。前記導電モジュールは、複数の前記電池セルの内の少なくとも１つを接続対象とし、その接続対象となる前記電池セルが有する２つの電極端子の内の一方に対して電気的に接続される第１導電部材と、複数の前記電池セルの配列方向に延在させる導電性の部材であり、前記演算処理装置を前記第１導電部材に対して電気的に接続させる第２導電部材と、前記第１導電部材の電気接続部に対して電気的に接続される第１電気接続部、前記第２導電部材の電気接続部に対して電気的に接続される第２電気接続部、及び、前記第１電気接続部と前記第２電気接続部との間に配置された可溶体を有する回路保護部材と、前記第１導電部材と前記回路保護部材との間で前記第１導電部材の前記電気接続部と前記第１電気接続部とを電気的に接続させる第１電気接続構造体と、前記第２導電部材と前記回路保護部材との間で前記第２導電部材の前記電気接続部と前記第２電気接続部とを電気的に接続させる第２電気接続構造体と、前記回路保護部材並びに前記第１及び第２の電気接続構造体を収容する収容部材と、を備える。そして、前記第２電気接続構造体は、複数の前記電池セルの配列方向に対する交差方向に延在させ、かつ、前記第２導電部材の前記電気接続部を物理的且つ電気的に接続させる部位であり、複数の前記電池セルから成る集合体に対して前記配列方向に沿って配列される全ての前記導電モジュールのそれぞれの前記第２導電部材を前記交差方向に沿って並べて配置可能な連結部を有し、前記連結部は、自らが属する前記モジュールの前記第２導電部材を複数の前記電池セルの配列方向に沿って直線的に延在させる位置に配置するものであり、複数の前記電池セルの配列方向に沿い且つ複数の前記電池セルから成る前記集合体の壁面に沿う平面を基準平面とし、前記配列方向に見て前記基準平面に対する直交方向で前記収容部材よりも突出させた位置に配置し、かつ、前記基準平面に沿って延在させることを特徴としている。

【発明の効果】

【0012】

本発明に係る導電モジュールは、先に示したような配置の連結部を備えており、その連結部に対して、自らが持つ第２導電部材を連結させると共に、他の導電モジュールの第２導電部材を連結部の延在方向に沿って配列することができる。このため、それぞれの導電モジュールにおいては、第２導電部材を曲げなく配策することができる。従って、この導電モジュールは、電池パックの体格の小型化を図ることができる。また、本発明に係る電池パックは、そのような導電モジュールを備えているので、体格の小型化が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】図１は、実施形態の導電モジュール及び電池パックを示す斜視図である。

【図2】図２は、実施形態の導電モジュール及び電池パックを示す平面図である。

【図3】図３は、導電モジュール及びバスバの組付け前の状態を示す分解斜視図である。

【図4】図４は、電池セルと絶縁部材の組付け前の状態を示す分解斜視図である。

【図5】図５は、実施形態の導電モジュールを示す斜視図である。

【図6】図６は、実施形態の導電モジュールを別角度から見た斜視図である。

【図7】図７は、実施形態の導電モジュールを示す平面図である。

【図8】図８は、実施形態の導電モジュールを回路保護部品側から見た側面図である。

【図9】図９は、実施形態の導電モジュールを第１導電部材側から見た側面図である。

【図10】図１０は、導電モジュールの分解斜視図である。

【図11】図１１は、図２のそれぞれの導電モジュールを拡大した図である。

【図12】図１２は、収容部材の斜視図である。

【図13】図１３は、収容部材を別角度から見た斜視図である。

【図14】図１４は、電池側係合体の斜視図である。

【図15】図１５は、電池側係合体の平面図である。

【図16】図１６は、取付構造における係合状態を示す斜視図である。

【図17】図１７は、図７のＸ−Ｘ線断面図である。

【図18】図１８は、図７のＹ−Ｙ線断面の部分拡大図である。

【発明を実施するための形態】

【0014】

以下に、本発明に係る導電モジュール及び電池パックの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。

【0015】

［実施形態］
本発明に係る導電モジュール及び電池パックの実施形態の１つを図１から図１８に基づいて説明する。

【0016】

図１から図３の符号１は、本実施形態の電池パックを示す。符号１０は、その電池パック１の電池モジュールを示す。符号２０は、その電池モジュール１０を成すべく配列された複数の電池セル１１の保持構造体を示す。符号３０は、その電池セル１１の電池状態を監視する電池監視ユニット２００（図２）に対して電池セル１１を電気的に接続させる導電モジュールを示す。電池パック１は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載されるものであり、電池モジュール１０と保持構造体２０と導電モジュール３０とを備える。

【0017】

電池モジュール１０を成す電池セル１１は、セル本体１２と、２つの電極端子１３と、を備える（図４）。それぞれの電極端子１３は、外方に露出させた状態でセル本体１２の何れかの場所に各々設けたものであって、一方が正極となり、他方が負極となる。それぞれの電極端子１３は、例えば、セル本体１２の外壁面に設けた板状のものであったり、セル本体１２の外壁面から突出させた柱状の極柱であったりする。電池セル１１は、セル本体１２が複数の外壁面を有する場合、それぞれの電極端子１３が１つの外壁面に配置されていてもよく、電極端子１３が配置される外壁面を電極端子１３毎に分けてもよい。この電池モジュール１０においては、それぞれの電池セル１１の何れか一方の電極端子１３を一列に並べ、かつ、他方の電極端子１３も一列に並べた状態で、それぞれの電池セル１１を連ねて配列している。このため、この電池モジュール１０では、一列に並べられた電極端子１３から成る電極端子群１４が２箇所に設けられている（図１及び図２）。電池モジュール１０としては、例えば、それぞれの電極端子群１４において、正極と負極の電極端子１３が交互に配置される場合もあれば、同極のものが並べて配置される場合もある。

【0018】

この電池モジュール１０においては、それぞれの電極端子群１４毎に、電池セル１１の配列方向で隣り合う２つの電極端子１３が導電性のバスバ１５で連結されている（図１及び図２）。バスバ１５は、金属等の導電性材料で成形し、その隣り合う２つの電極端子１３の組み合わせ毎に設ける。このため、それぞれのバスバ１５は、その組み合わせ毎に２つの電極端子１３を物理的且つ電気的に接続させる。バスバ１５は、金属等の導電性材料で成形する。この例示のバスバ１５は、バスバ本体１５ａが矩形の平板状に形成されている（図３及び図５から図１０）。例えば、電極端子１３が板状の場合には、この電極端子１３に対して、バスバ１５が溶接（レーザ溶接等）で物理的且つ電気的に接続される。一方、電極端子１３が極柱の場合には、それぞれの電極端子１３が挿通される貫通孔をバスバ本体１５ａに形成し、このバスバ１５を電極端子１３に対してネジ止め等で固定することによって、その相互間を物理的且つ電気的に接続させる。尚、この電池モジュール１０においては、そのバスバ１５で連結されない電極端子１３が２つ存在しており、その内の一方が所謂総正極となり、その内の他方が所謂総負極となる。

【0019】

例えば、本実施形態の電池セル１１は、セル本体１２が方体を成している。このため、本実施形態の電池モジュール１０は、それぞれの電池セル１１によって仮想的に方体を成しており、複数の電池セル１１の配列方向に沿い且つ複数の電池セル１１から成る集合体の６つの壁面を有している。また、本実施形態の電池セル１１は、そのセル本体１２の１つの外壁面（第１外壁面１２ａ）にそれぞれの電極端子１３を極柱として設けている（図４）。ここでは、その第１外壁面１２ａにおける長手方向の両端部側にスタッドボルトを各々垂設し、そのそれぞれのスタッドボルトを各々電極端子１３として利用する。このため、本実施形態の電池モジュール１０は、方体を成す６つの壁面の内の１つに２つの電極端子群１４が設けられている。以下においては、その２つの電極端子群１４が設けられた壁面に沿う平面を基準平面とする。その基準平面は、それぞれの電極端子１３の延在方向に対する直交平面であり、これ故に、電池モジュール１０に導電モジュール３０を取り付ける際の取付方向に対する直交平面でもある。電池モジュール１０は、例えば、その電極端子群１４が設けられている壁面を車両の上方に向けて搭載される。

【0020】

この電池モジュール１０においては、隣り合う２つの電極端子１３の組み合わせ毎にバスバ１５が用意されている。そのバスバ１５は、その２つの電極端子１３としてのスタッドボルトをバスバ本体１５ａの２つの貫通孔１５ｂ（図３、図５から図７及び図１０）に各々挿通させ、その電極端子１３の雄ネジ部に雌ネジ部材１６（図１から図３）を締め付けていくことによって、それぞれの電極端子１３に対して物理的且つ電気的に接続する。尚、図中の電池モジュール１０は、配列された複数の電池セル１１の内の一部を抜粋したものである。このため、ここでは、隣り合う２つの電極端子１３の組み合わせの内の一方のみしか図示されていない場合、その電極端子１３に取り付けられるバスバ１５の図示を省略している。

【0021】

この電池モジュール１０においては、それぞれの電池セル１１について、集合体としての状態が保持構造体２０によって保たれている。その保持構造体２０は、複数の電池セル１１の配列方向で電池セル１１を個別に挟み込む複数の絶縁部材２０Ａを備える（図１及び図４）。その絶縁部材２０Ａは、電池セル１１を保持するものであると共に、この電池セル１１に対しての電気的な絶縁を図るものでもある。この絶縁部材２０Ａは、主として隣り合う電池セル１１の間を絶縁させるものであり、所謂セパレータと称されるものである。それぞれの電池セル１１は、各々２つの絶縁部材２０Ａに挟み込まれた状態で保持されている。ここでは、電池セル１１の配列方向に沿って、電池セル１１と絶縁部材２０Ａとが交互に配置されている。

【0022】

絶縁部材２０Ａは、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。例えば、この絶縁部材２０Ａは、電池セル１１の主壁面（隣り合う電池セル１１の間で対向する壁面等のように主だった大きさを有する壁面）を覆う略矩形の平板状の主板２１を有している（図４）。その主板２１は、隣り合う２つの電池セル１１で挟み込まれる。

【0023】

更に、この例示の絶縁部材２０Ａは、電池セル１１と絶縁部材２０Ａとを交互に積層した際に、自らの主板２１を挟み込んでいる２つの電池セル１１を保持することができるように成形する。例えば、この絶縁部材２０Ａには、セル本体１２の６つの外壁面の内、主板２１と対向する２つの外壁面以外の４つの外壁面（第１から第４の外壁面１２ａ−１２ｄ）を係止することによって、その電池セル１１を保持させる。この絶縁部材２０Ａには、セル本体１２の第１外壁面１２ａを係止することが可能な第１係止体２２と、セル本体１２の第２外壁面１２ｂを係止することが可能な第２係止体２３と、セル本体１２の第３外壁面１２ｃを係止することが可能な第３係止体２４と、セル本体１２の第４外壁面１２ｄを係止することが可能な第４係止体２５と、が設けられている（図４）。電池セル１１は、その第１から第４の係止体２２−２５によって、電池セル１１の配列方向に対する交差方向への相対的な動きが係止される。

【0024】

具体的に、この例示の絶縁部材２０Ａとしては、後述する電池側係合体７２を有するもの（絶縁部材２０Ａ１）と、その電池側係合体７２を有しないもの（絶縁部材２０Ａ２）と、が用意されている（図１から図４）。そして、この保持構造体２０においては、電池セル１１の配列方向に沿って、その絶縁部材２０Ａ１と絶縁部材２０Ａ２とを交互に配置している。

【0025】

この保持構造体２０においては、それぞれの電池セル１１が複数の絶縁部材２０Ａで一纏めにされており、その状態を保つべく、それぞれの電池セル１１を保持部材としての拘束部材（図示略）で外側から保持する。例えば、その拘束部材は、それぞれの電池セル１１の配列方向における両端の絶縁部材２０Ａを挟み込むコの字体に成形されたものであり、２箇所に配置される。この拘束部材は、金属材料等で成形し、そのコの字の内方に電池セル１１と絶縁部材２０Ａの集合体を圧入させる。

【0026】

導電モジュール３０は、電池セル１１と電池監視ユニット２００の演算処理装置２０１（図２）とを電気的に接続させるものである。電池パック１においては、電池モジュール１０（複数の電池セル１１から成る集合体）に対して、それぞれの電池セル１１の配列方向に沿って導電モジュール３０を複数配列する。それぞれの導電モジュール３０は、例えば、２つの電極端子群１４の内の少なくとも一方に並べて配置する。この例示では、一方の電極端子群１４に複数の導電モジュール３０を配列している。この導電モジュール３０は、第１導電部材３１と、第２導電部材３２と、回路保護部材３３（又は回路保護部品４０）と、収容部材３４と、を備える（図５から図１０）。この導電モジュール３０においては、第１導電部材３１と第２導電部材３２との間に回路保護部材３３を介在させ、これら３者を互いに電気的に接続させている。更に、この導電モジュール３０は、第１電気接続構造体５０と、第２電気接続構造体６０と、を備える（図１０）。導電モジュール３０は、これら第１導電部材３１、第２導電部材３２、回路保護部材３３（又は回路保護部品４０）、収容部材３４、第１電気接続構造体５０及び第２電気接続構造体６０を１つのモジュールとして備えるものである。以下に、この導電モジュール３０を成すそれぞれの構成についての説明を行う。

【0027】

第１導電部材３１は、それぞれの電池セル１１の内の少なくとも１つを接続対象とし、その接続対象となる電池セル１１が有する２つの電極端子１３の内の一方に対して電気的に接続させる導電性の部材である。この第１導電部材３１は、その電極端子１３に対して直接的又は間接的に取り付けることで電気的に接続させる。例えば、電極端子１３に対して直接取り付ける第１導電部材３１としては、先に示したバスバ１５を用いることができる。この場合、第１導電部材３１は、先に示したように、電池セル１１の配列方向で隣り合う２つの電極端子１３に対して物理的且つ電気的に接続される。一方、第１導電部材３１は、そのバスバ１５に対して物理的且つ電気的に接続される導電体であってもよく、この場合、電池セル１１の配列方向で隣り合う２つの電極端子１３に対してバスバ１５を介して間接的に電気的に接続される。この第１導電部材３１とバスバ１５との間は、例えば、嵌合構造、溶接やネジ止め等を用いて接続される。また、第１導電部材３１は、１つの電極端子１３に対して物理的且つ電気的に接続される導電体であってもよく、この場合、例えば、１つの貫通孔を有する平板状に成形し、その貫通孔に電極端子１３を挿通させた上でネジ止めして、電極端子１３に直接取り付ける。また、第１導電部材３１は、電極端子１３と同電位の同電位部（例えば、電極端子１３に繋がっている導電性の部材等）に対して物理的且つ電気的に接続される導電体であってもよく、この場合、その１つの電極端子１３に対して同電位部を介して間接的に電気的に接続される。この第１導電部材３１と同電位部との間は、例えば、嵌合構造、溶接やネジ止め等を用いて接続される。

【0028】

この例示では、バスバ１５を第１導電部材３１として用いている。このため、バスバ１５については、この導電モジュール３０の構成の１つとして利用されるものをバスバ１５Ａと称する。そのバスバ１５Ａは、第１導電部材３１として利用するべく、回路保護部材３３側へと電気的に接続させるための電気接続部１５ｃを有している（図７及び図１０）。その電気接続部１５ｃについては、後で詳述する。

【0029】

第２導電部材３２は、電池監視ユニット２００の演算処理装置２０１を第１導電部材３１に対して電気的に接続させる導電体を有するものである。第１導電部材３１と演算処理装置２０１は、この第２導電部材３２や回路保護部材３３を介して電気的に接続される。この第２導電部材３２は、導電モジュール３０が電池モジュール１０に取り付けられた際に、それぞれの電池セル１１の配列方向に延在させる。例えば、この第２導電部材３２は、その電池モジュール１０への取り付けの後、それぞれの電池セル１１の配列方向に延在させる導電体としての導電部３２ａを備えている（図５から図７、図９及び図１０）。その導電部３２ａは、回路保護部材３３側へと電気的に接続させるための電気接続部３２ａ_１を有している。更に、この第２導電部材３２には、導電部３２ａを覆う電気絶縁性の絶縁部３２ｂが設けられている。その絶縁部３２ｂは、導電部３２ａにおいて、電気接続部３２ａ_１を少なくとも除いた部分を覆っている。この例示の第２導電部材３２としては、導電部３２ａとしての芯線を絶縁部３２ｂとしての被覆で覆った電線を用いる。この第２導電部材３２においては、端末の被覆が剥ぎ取られて剥き出しになった芯線部分を電気接続部３２ａ_１として利用する。

【0030】

回路保護部材３３は、第１導電部材３１と第２導電部材３２との間を直列接続させることで回路を保護するものである。この回路保護部材３３は、第１導電部材３１の電気接続部１５ｃに対して電気的に接続される第１電気接続部３３ａ、第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１に対して電気的に接続される第２電気接続部３３ｂ、及び、その第１電気接続部３３ａと第２電気接続部３３ｂとの間に配置された可溶体（図示略）を有する導電部材である（図１０）。回路保護部材３３は、金属等の導電性材料で成形する。

【0031】

この例示の回路保護部材３３は、第１電気接続部３３ａと第２電気接続部３３ｂとが各々露出された状態で絶縁性の内包部材４１に可溶体を内包させた回路保護部品４０として設けられている（図１０）。例えば、回路保護部材３３は、第１電気接続部３３ａと第２電気接続部３３ｂと可溶体とを同一平面上に配置した板ヒューズ状に成形される。この板ヒューズ状の回路保護部材３３においては、第１電気接続部３３ａと第２電気接続部３３ｂとが所謂雄タブ状に形成されている。内包部材４１は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この例示の内包部材４１は、略方体状に成形されている。例えば、回路保護部品４０は、回路保護部材３３と内包部材４１とを各々個別に成形し、これらを互いに組み付けることで成るヒューズユニットであってもよく、金型内に配置した回路保護部材３３に対して内包部材４１を一体成形させたヒューズユニットであってもよい。また、回路保護部品４０は、所謂アキシャルリード型のヒューズであってもよい。この例示の回路保護部材３３は、板ヒューズ状の回路保護部材３３を有するヒューズユニットとして構成しており、第１電気接続部３３ａと第２電気接続部３３ｂとを同一方向に向けて突出させている。

【0032】

導電モジュール３０は、第１導電部材３１と回路保護部材３３との間を電気的に接続させる第１電気接続構造体５０を備える。第１電気接続構造体５０は、その間で第１導電部材３１の電気接続部１５ｃと回路保護部材３３の第１電気接続部３３ａとを電気的に接続させるものであり、その電気接続部１５ｃと第１電気接続部３３ａとを直接的又は間接的に接続させることによって、第１導電部材３１と回路保護部材３３との間を電気的に接続させる。この第１電気接続構造体５０は、後述する収容部材３４に収容する。例えば、電気接続部１５ｃと第１電気接続部３３ａは、溶接や半田付け等で相互間を直に連結させることによって、互いを電気的に接続させることができる。この場合には、その連結部分が第１電気接続構造体５０となる。また、電気接続部１５ｃと第１電気接続部３３ａは、接続端子（以下、「第１接続端子」という。）５１を介して相互間を間接的に連結させることによって、互いを電気的に接続させることができる。この場合には、その第１接続端子５１を第１電気接続構造体５０が備えることになる。この例示では、後者を適用している（図１０）。

【0033】

第１接続端子５１は、金属等の導電性材料で成形する。例えば、この例示の第１接続端子５１は、第１導電部材３１の電気接続部１５ｃに対して物理的且つ電気的に接続させる電気接続部（以下、「第１連結部」という。）５１ａと、回路保護部材３３の第１電気接続部３３ａに対して物理的且つ電気的に接続させる電気接続部（以下、「第２連結部」という。）５１ｂと、を有している。

【0034】

第１連結部５１ａについて説明する。この例示の第１導電部材３１（バスバ１５Ａ）においては、バスバ本体１５ａから電気接続部１５ｃを突出させている。その電気接続部１５ｃは、バスバ本体１５ａと同一平面上で電池セル１１の配列方向に延在させた軸状のものであり、バスバ本体１５ａの１つの辺部（ここでは、長辺）からオフセットさせた位置に配置している。第１連結部５１ａは、そのような形状及び配置の電気接続部１５ｃに対して物理的且つ電気的に接続させる。例えば、第１連結部５１ａは、互いに向かい合わせたバレル片を少なくとも１組有しており、それぞれのバレル片で電気接続部１５ｃを外方から包み込むように加締めて、電気接続部１５ｃに圧着させることによって、この電気接続部１５ｃに対して物理的且つ電気的に接続させる。

【0035】

続いて、第２連結部５１ｂについて説明する。この例示の回路保護部材３３においては、先に示したように、第１電気接続部３３ａを雄タブ状に形成している。第２連結部５１ｂは、そのような雄端子として形成された第１電気接続部３３ａに対して物理的且つ電気的に接続させる。この例示の第２連結部５１ｂは、その第１電気接続部３３ａの挿抜が可能な雌端子として形成されており、第１電気接続部３３ａが挿入及び嵌合されることによって、この第１電気接続部３３ａに対して物理的且つ電気的に接続させる。

【0036】

第１接続端子５１は、先に示した基準平面と平行な平面上（例えば、バスバ本体１５ａと同一平面上）で、第１導電部材３１の電気接続部１５ｃに対する物理的な接続と、回路保護部材３３の第１電気接続部３３ａに対する物理的な接続と、が行われるように形成する。この例示の第１接続端子５１は、第２連結部５１ｂに対する第１電気接続部３３ａの挿抜方向が電気接続部１５ｃの軸線方向に沿うように、第１連結部５１ａと第２連結部５１ｂとを配置している。

【0037】

また、導電モジュール３０は、第２導電部材３２と回路保護部材３３との間を電気的に接続させる第２電気接続構造体６０を備える。第２電気接続構造体６０は、その間で第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１と回路保護部材３３の第２電気接続部３３ｂとを電気的に接続させるものであり、その電気接続部３２ａ_１と第２電気接続部３３ｂとを直接的又は間接的に接続させることによって、第２導電部材３２と回路保護部材３３との間を電気的に接続させる。この第２電気接続構造体６０は、後述する収容部材３４に収容する。

【0038】

ここで、複数の電池セル１１から成る集合体（電池モジュール１０）には、先に示したように、一方の電極端子群１４に複数の導電モジュール３０が電池セル１１の配列方向に沿って配列されている。そして、それぞれの導電モジュール３０においては、その配列方向で且つ演算処理装置２０１側に向けて第２導電部材３２を延出させている。第２電気接続構造体６０は、それぞれの導電モジュール３０の第２導電部材３２が、可能な限り電池パック１の体格の小型化の阻害要因とならないように構成する。このために、第２電気接続構造体６０は、第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１を物理的且つ電気的に接続させる連結部６０ａを有している（図１から図３及び図５から図１０）。その連結部６０ａは、少なくとも電池モジュール１０上で、それぞれの電池セル１１の配列方向に沿って、それぞれの第２導電部材３２を曲げなく配索できるように形成及び配置する。そこで、この連結部６０ａは、それぞれの電池セル１１の配列方向に対する交差方向に延在させる。更に、この連結部６０ａは、自らの延在方向（それぞれの電池セル１１の配列方向に対する交差方向）に沿って、その配列される全ての導電モジュール３０のそれぞれの第２導電部材３２を並べて配置することができるように形成する。それぞれの第２導電部材３２は、互いに間隔を空けて配列させることが望ましい。但し、それぞれの第２導電部材３２は、先に示したように電線であるので、お互いが電気的に絶縁されているのであれば、この限りではない。また更に、この連結部６０ａは、自らが属する導電モジュール３０の第２導電部材３２を複数の電池セル１１の配列方向に沿って直線的に延在させる位置に配置する。

【0039】

連結部６０ａに配置される第２導電部材３２の本数は、この連結部６０ａが属する導電モジュール３０の電池モジュール１０における配置場所によって異なる。例えば、演算処理装置２０１から最も離れた場所に配置される導電モジュール３０においては、自らが備える第２導電部材３２のみが連結部６０ａに配置されており、自身の第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１と連結部６０ａとが物理的且つ電気的に接続される（図１１）。また、この導電モジュール３０よりも１つだけ演算処理装置２０１側に寄せて配置される導電モジュール３０では、自らが備える第２導電部材３２と、演算処理装置２０１から最も離れた場所の導電モジュール３０の第２導電部材３２と、が自身の連結部６０ａにおいて延在方向（それぞれの電池セル１１の配列方向に対する交差方向）に並べて配置されている。この導電モジュール３０においては、自身の第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１と連結部６０ａとの間のみが物理的且つ電気的に接続される。また、演算処理装置２０１に最も近い場所に配置される導電モジュール３０では、自らが備える第２導電部材３２と、電極端子群１４上における他の全ての導電モジュール３０の第２導電部材３２と、が自身の連結部６０ａにおいて延在方向に並べて配置されている。この導電モジュール３０においては、やはり、自身の第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１と連結部６０ａとの間のみが物理的且つ電気的に接続される。つまり、本実施形態の導電モジュール３０は、その配置場所が演算処理装置２０１に近づくほど、自らが備えた連結部６０ａに配置される第２導電部材３２の本数が１本ずつ多くなる。その連結部６０ａには、自らが属する導電モジュール３０の第２導電部材３２が少なくとも配置され、この第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１が物理的且つ電気的に接続される。

【0040】

この例示の連結部６０ａは、自らが属する導電モジュール３０の第２導電部材３２を複数の電池セル１１の配列方向に沿って直線的に延在させるように、それぞれの電池セル１１の配列方向に見て収容部材３４よりも突出させた位置に配置する。ここでは、その配列方向に見て、基準平面に対する直交方向で収容部材３４よりも突出させた位置に配置している。更に、この連結部６０ａは、その基準平面に沿って延在させる。例えば、この連結部６０ａは、それぞれの電池セル１１の配列方向に見た際の収容部材３４に対する自らの突出方向側に、平面状の連結面６０ａ_１を有している（図１から図３及び図５から図１０）。その連結面６０ａ_１は、連結部６０ａの延在方向に沿う（つまり、基準平面に沿う）平面である。ここでは、それぞれの電池セル１１の配列方向に対する直交方向で且つ基準平面に沿って片状の連結部６０ａを延在させており、この連結部６０ａにおける一方の平面（ここでは、収容部材３４に対する連結部６０ａの突出方向側に存在している平面）を連結面６０ａ_１として利用する。その連結面６０ａ_１には、自らが属する導電モジュール３０の第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１が物理的且つ電気的に接続される。この例示の第２導電部材３２（電線）においては、先に示したように、端末の剥き出しの芯線部分が電気接続部３２ａ_１となる。このため、その電気接続部３２ａ_１は、連結面６０ａ_１に対して溶接や半田付け等で物理的且つ電気的に接続させる。

【0041】

具体的に、この例示の第２電気接続構造体６０は、その連結部６０ａとしての第１連結部６１ａと、回路保護部材３３の第２電気接続部３３ｂを物理的且つ電気的に接続させる第２連結部６１ｂと、を有する中継導電部材としての接続端子（以下、「第２接続端子」という。）６１を備えている（図１０）。つまり、この導電モジュール３０において、自らの電気接続部３２ａ_１と第２電気接続部３３ｂは、その第２接続端子６１を介して相互間を間接的に連結させ、互いを電気的に接続させる。第２接続端子６１は、更に、その第１連結部６１ａと第２連結部６１ｂとを繋ぐ第１及び第２の片部６１ｃ，６１ｄも有している。この第２接続端子６１は、金属等の導電性材料で成形する。

【0042】

この第２接続端子６１においては、第２連結部６１ｂと第１片部６１ｃとを収容部材３４の内方に収容させる一方で、第１連結部６１ａと第２片部６１ｄとを収容部材３４の外方に配置させる。第１片部６１ｃは、矩形の片状に形成された部分であり、対向する２つの辺部の内の一方に第２片部６１ｄを連接させ、その内の他方に第２連結部６１ｂを連接させる。第２接続端子６１は、第２連結部６１ｂと第１片部６１ｃとを収容部材３４の内方に収容した際に、その第１片部６１ｃにおける一方の辺部が収容部材３４の外方に突出されるように形成する（図７及び図９）。第２片部６１ｄは、矩形の片状に形成された部分であり、その第１片部６１ｃにおける一方の辺部から立設させる。この例示の第２片部６１ｄは、基準平面に対する直交方向で、かつ、第１導電部材３１の電極端子１３への取付方向とは逆向きに垂設させている。この第２片部６１ｄは、それぞれの電池セル１１の配列方向に見て、基準平面に対する直交方向で収容部材３４よりも突出する位置まで第１片部６１ｃから延出させる。第１連結部６１ａは、この第２片部６１ｄにおける延出方向側の端部に連接させる。

【0043】

第１連結部６１ａは、Ｌ字型の片状に形成された部分であり、そのＬ字の一方の片部における端部を第２片部６１ｄに連接させている。この第１連結部６１ａは、その平面が基準平面に沿うように配置する。この第１連結部６１ａを成すＬ字の一方の片部は、第２片部６１ｄに対して、第１片部６１ｃの配置されている側とは逆側に延出させる。そして、第１連結部６１ａを成すＬ字の他方の片部は、その一方の片部の延出方向側の端部から第１導電部材３１の配置される側に向けて延出させる。先に示したそれぞれの第２導電部材３２は、そのＬ字の他方の片部の延在方向に沿って配列される。

【0044】

この第２接続端子６１の第１連結部６１ａは、第２接続端子６１が収容部材３４の内方に収容され、かつ、導電モジュール３０が電池モジュール１０に取り付けられた際に、自らが属する導電モジュール３０の第２導電部材３２を複数の電池セル１１の配列方向に沿って直線的に延在させることが可能な位置に配置される。ここでは、それぞれの電池セル１１の配列方向に見て、基準平面に対する直交方向で収容部材３４よりも突出させた位置に第１連結部６１ａが配置される。その第１連結部６１ａにおいては、第２片部６１ｄの延出方向側の平面が基準平面に沿う平面になっており、この平面が先に示した連結面６０ａ_１となる。このため、それぞれの導電モジュール３０においては、電池モジュール１０に取り付けられた際に、連結面６０ａ_１から自らの第２導電部材３２が電池セル１１の配列方向に沿って配策される（図１１）。また、それぞれの導電モジュール３０（演算処理装置２０１から最も離れた場所の導電モジュール３０を除く）においては、電池モジュール１０に取り付けられた際に、自身よりも演算処理装置２０１から離れた場所の導電モジュール３０の第２導電部材３２が自らの収容部材３４上に配策される。そして、それぞれの第２導電部材３２は、少なくとも電池モジュール１０上で、それぞれの電池セル１１の配列方向に沿って、曲げなく配索することができる。このため、この導電モジュール３０は、電池パック１の体格の小型化に寄与するものとなる。例えば、この例示の導電モジュール３０は、収容部材３４に対して電池モジュール１０の幅方向（電池セル１１の各電極端子１３を繋ぐ方向）に第２導電部材３２を配策させず、電池モジュール１０の高さ方向（電池セル１１の各電極端子１３の延在方向）で収容部材３４上に第２導電部材３２を曲げなく配策することができる。従って、この例示の導電モジュール３０は、電池パック１の幅方向の体格の小型化を図ることができると共に、電池パック１の高さ方向の体格の小型化も図ることができる。

【0045】

ところで、ここでは、第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１と第１連結部６１ａ（連結部６０ａ）とを溶接等で直接連結させるものとして例示した。しかしながら、これらの間の連結は、例えば、図示しないが、電気接続部３２ａ_１に設けた端子と第１連結部６１ａ（連結部６０ａ）に設けた端子とを互いに嵌合させることで行ってもよい。この場合、それぞれの端子は、電池パック１の体格の小型化を図るべく、それぞれの電池セル１１の配列方向に沿った嵌合方向で嵌合されているように構成することが望ましい。

【0046】

続いて、第２連結部６１ｂについて説明する。この例示の回路保護部材３３においては、先に示したように、第２電気接続部３３ｂについても雄タブ状に形成している。第２連結部６１ｂは、そのような雄端子として形成された第２電気接続部３３ｂに対して物理的且つ電気的に接続させる端子接続部として形成する。この例示の第２連結部６１ｂは、その第２電気接続部３３ｂの挿抜が可能な雌端子として形成されており、第２電気接続部３３ｂが挿入及び嵌合されることによって、この第２電気接続部３３ｂに対して物理的且つ電気的に接続させる。

【0047】

第２連結部６１ｂは、第１接続端子５１と同じように、基準平面と平行な平面上（例えば、バスバ本体１５ａと同一平面上）で、回路保護部材３３の第２電気接続部３３ｂに対する物理的な接続が行われるように形成する。この例示の第２接続端子６１において、第２連結部６１ｂは、第２電気接続部３３ｂとの挿抜方向が電池セル１１の配列方向に沿うように配置して、第１片部６１ｃに連接させる。

【0048】

この例示の第１電気接続構造体５０と第２電気接続構造体６０においては、基準平面と平行な同一平面上に第１接続端子５１と第２接続端子６１とを配置している。つまり、第１接続端子５１と第２接続端子６１は、導電モジュール３０が電池モジュール１０に取り付けられた際に、基準平面に沿って同一平面上で並べられ、かつ、各々の長手方向が電池セル１１の配列方向に沿うように配置されている。その上で、連結部６０ａとしての第１連結部６１ａは、その配列方向に見て、収容部材３４よりも突出させた位置に配置されている。

【0049】

収容部材３４は、回路保護部材３３と第１電気接続構造体５０と第２電気接続構造体６０とを収容する部材であり、これらを収容状態で直接的又は間接的に保持する。この収容部材３４は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。この例示では、その主体３４ａを方体状に成形している（図５から図１３）。この例示の収容部材３４は、導電モジュール３０が電池モジュール１０に取り付けられた際に、主体３４ａの６つの外壁面の内の２つが基準平面と平行になり、かつ、その内の４つが基準平面と交差（ここでは、直交）するように配置する。更に、この収容部材３４は、導電モジュール３０が電池モジュール１０に取り付けられた際に、その基準平面と交差する４つの外壁面の内の互いに対向する２つが電池セル１１の配列方向と直交するように配置する。

【0050】

収容部材３４には、回路保護部材３３を収容する収容室（以下、「保護体収容室」という。）３４ｂ（図１２）と、第１電気接続構造体５０を収容する収容室（以下、「第１接続体収容室」という。）３４ｃ（図１３）と、第２電気接続構造体６０を収容する収容室（以下、「第２接続体収容室」という。）３４ｄ（図１３）と、が形成されている。

【0051】

本実施形態の収容部材３４においては、導電モジュール３０が電池モジュール１０に取り付けられた際に、板ヒューズ状の回路保護部材３３の平面が基準平面と平行になるように保護体収容室３４ｂを形成する。例えば、この例示の保護体収容室３４ｂは、回路保護部品４０を直接収容し且つ保持するものとして形成し、板ヒューズ状の回路保護部材３３が内包部材４１を介して間接的に収容され且つ保持されるようにしている。このため、収容部材３４においては、回路保護部品４０が基準平面に沿って挿入されているように保護体収容室３４ｂを形成する。

【0052】

具体的に、収容部材３４においては、導電モジュール３０が電池モジュール１０に取り付けられた際に基準平面と交差する主体３４ａの４つの外壁面の内の１つに開口３４ｂ_１を設け（図５から図８、図１０及び図１２）、この開口３４ｂ_１から回路保護部品４０を保護体収容室３４ｂに向けて挿入させる。回路保護部品４０は、回路保護部材３３の第１及び第２の電気接続部３３ａ，３３ｂ側から挿入する。先に示したように、この例示の導電モジュール３０においては、第１接続端子５１と第２接続端子６１のそれぞれの長手方向が電池セル１１の配列方向に沿うように配置されており、その配列方向に沿って回路保護部品４０が挿入されている。このため、開口３４ｂ_１は、その配列方向と直交する主体３４ａの２つの外壁面の内の一方（電線としての第２導電部材３２の後述する引き出し方向とは逆側の外壁面）に設ける。

【0053】

第１接続体収容室３４ｃと第２接続体収容室３４ｄは、電池セル１１の配列方向と直交する主体３４ａの２つの外壁面の内の他方に、それぞれの開口３４ｃ_１，３４ｄ_１を設けている（図１３）。この第１接続体収容室３４ｃと第２接続体収容室３４ｄは、各々が保護体収容室３４ｂに連通しており、この保護体収容室３４ｂと共に、基準平面に沿う同一平面上に並べて配置されている。このため、第１接続体収容室３４ｃと第２接続体収容室３４ｄには、回路保護部品４０が保護体収容室３４ｂへと収容された際に、回路保護部材３３の第１電気接続部３３ａと第２電気接続部３３ｂが各々挿入される。

【0054】

この例示の収容部材３４においては、第１電気接続構造体５０の第１接続端子５１と第２電気接続構造体６０の第２接続端子６１とが基準平面に沿って各々同じ向きで挿入されているように、第１接続体収容室３４ｃと第２接続体収容室３４ｄとを形成する。

【0055】

例えば、この導電モジュール３０においては、予め、第１導電部材３１の電気接続部１５ｃに第１接続端子５１の第１連結部５１ａを圧着させておくと共に、第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１を第２接続端子６１の第１連結部６１ａ（連結部６０ａ）に溶接や半田付け等で接続させておく。そして、第１接続体収容室３４ｃには、第１接続端子５１を第１導電部材３１の電気接続部１５ｃと共に開口３４ｃ_１から挿入する。第１接続端子５１は、第２連結部５１ｂ側から挿入する。また、第２接続体収容室３４ｄには、第２接続端子６１の第２連結部６１ｂと第１片部６１ｃとを開口３４ｄ_１から挿入する。第２接続端子６１は、第２連結部６１ｂ側から挿入する。この第２接続端子６１においては、その第２接続体収容室３４ｄへの挿入に伴い、第１連結部６１ａと第２片部６１ｄとが収容部材３４の外方に配置される。その第１接続体収容室３４ｃと第２接続体収容室３４ｄにおいては、回路保護部品４０が保護体収容室３４ｂへと収容されることによって、回路保護部材３３の第１電気接続部３３ａが第１接続端子５１の第２連結部５１ｂに嵌合されると共に、回路保護部材３３の第２電気接続部３３ｂが第２接続端子６１の第２連結部６１ｂに嵌合される。このように、この例示の第１電気接続構造体５０は、回路保護部品４０が収容部材３４の保護体収容室３４ｂに収容されることによって、第１導電部材３１の電気接続部１５ｃと回路保護部材３３の第１電気接続部３３ａとが電気的に接続されるように構成している。また、この例示の第２電気接続構造体６０は、回路保護部品４０が収容部材３４の保護体収容室３４ｂに収容されることによって、第２導電部材３２の電気接続部３２ａ_１と回路保護部材３３の第２電気接続部３３ｂとが電気的に接続されるように構成している。

【0056】

ここで、第１導電部材３１の電気接続部１５ｃは、開口３４ｃ_１から自らの軸線方向に沿って僅かに突出させている。従って、第１導電部材３１のバスバ本体１５ａと収容部材３４は、収容部材３４に対する第１接続端子５１の挿入方向や回路保護部品４０の挿抜方向に対して直交方向で且つ基準平面に沿うように並べて配置される。

【0057】

ところで、保護体収容室３４ｂは、回路保護部材３３を直接収容し且つ保持するものとして形成することができる。また、第１接続体収容室３４ｃと第２接続体収容室３４ｄは、第１電気接続構造体５０と第２電気接続構造体６０と各々直接収容し且つ保持するものとして形成することができる。そして、この場合、収容部材３４は、回路保護部材３３と第１電気接続構造体５０と第２電気接続構造体６０とに対して一体成形されたものとして形成することができる。例えば、ここでは、回路保護部材３３に連結部６０ａを設ける。この場合、回路保護部材３３は、先の例示の第２電気接続部３３ｂと連結部６０ａとの間に、その間を繋ぐ片部等の繋ぎ部を介在させ、これらが一体となった一部品として形成する。この場合には、その繋ぎ部が第２電気接続構造体６０となり、その一部が第２接続体収容室３４ｄに収容される。この例示では、第１導電部材３１と回路保護部材３３とを第１電気接続構造体５０によって連結させ、連結部６０ａを露出させた回路保護部材３３と第１電気接続構造体５０とを金型内に配置して収容部材３４を一体成形する。ここでは、このようにしても、先の例示と同等の形状や配置の導電モジュール３０を形成することができ、先に示した位置関係で連結部６０ａを収容部材３４から突出させることができる。従って、この場合であっても、第２導電部材３２は、曲げることなく電池セル１１の配列方向に沿って配索することができる。

【0058】

本実施形態の導電モジュール３０は、以上示した第１導電部材３１と第２導電部材３２と回路保護部材３３（回路保護部品４０）と収容部材３４と第１電気接続構造体５０と第２電気接続構造体６０とを設け、これらを上記の如く配置している。このため、本実施形態の第１導電部材３１と収容部材３４は、それぞれを基準平面に沿って並ばせ、かつ、それぞれの短手方向を基準平面に直交させるように配置することができる。換言するならば、本実施形態の導電モジュール３０は、そのように第１導電部材３１と収容部材３４とを配置することによって、その収容部材３４に収容される回路保護部材３３（回路保護部品４０）と第１電気接続構造体５０と第２電気接続構造体６０（第２連結部６１ｂを除く）とについて、それぞれを基準平面に沿って並ばせ、かつ、それぞれの短手方向を基準平面に直交させるように配置することができる。従って、この導電モジュール３０は、電池モジュール１０に取り付けた際の低背化が可能になり、電池パック１の体格の小型化を図ることができる。更に、この導電モジュール３０は、連結部６０ａの配置に伴い先に示した第２導電部材３２の配索経路が可能になるので、これと相俟って、更なる電池パック１の体格の小型化が可能になる。

【0059】

ここで、本実施形態の導電モジュール３０は、第１導電部材３１を介して電池モジュール１０に取り付けられている。このため、この導電モジュール３０では、その取付点に対して収容部材３４が離れた位置に配置されている。そこで、本実施形態の導電モジュール３０は、収容部材３４にも電池モジュール１０に対する取付点を設ける。例えば、この導電モジュール３０の接続対象となる電池セル１１は、電池セル１１の配列方向で２つの絶縁部材２０Ａによって挟み込まれている。そして、この例示の導電モジュール３０においては、その接続対象となる隣り合う２つの電池セル１１に対して、バスバ１５Ａとしての第１導電部材３１と共に収容部材３４が積層されている。従って、本実施形態の導電モジュール３０には、接続対象となる電池セル１１を挟み込む絶縁部材２０Ａの内の少なくとも一方を取付対象とし、その取付対象となる絶縁部材２０Ａに対して収容部材３４を取り付ける取付構造７０を設ける（図１から図３）。この例示では、電池セル１１を挟み込む２つの絶縁部材２０Ａの内の一方を収容部材３４の取付対象とする。ここでは、収容部材３４の取付対象となる絶縁部材２０Ａを絶縁部材２０Ａ１と称し、収容部材３４の取付対象とならない絶縁部材２０Ａを絶縁部材２０Ａ２と称する。

【0060】

取付構造７０は、収容部材３４に設けた係合体（以下、「導電体側係合体」という。）７１（図５から図１０、図１２及び図１３）と、絶縁部材２０Ａ１に設けた係合体（以下、「電池側係合体」という。）７２（図４、図１４及び図１５）と、を有する。この取付構造７０は、導電体側係合体７１と電池側係合体７２とを互いに係合させることによって、収容部材３４と絶縁部材２０Ａ１とを固定させるものである。つまり、導電体側係合体７１とは、絶縁部材２０Ａ１の電池側係合体７２との間で係合することで収容部材３４を絶縁部材２０Ａ１に取り付けるもののことである。

【0061】

例えば、導電体側係合体７１と電池側係合体７２は、その内の一方を突出体として形成し、その内の他方を、その突出体を係止させることで収容部材３４と絶縁部材２０Ａ１との間の離脱方向への相対移動を抑える係止体として形成する。つまり、この例示の取付構造７０は、ロック機構として構成している。ここでは、導電体側係合体７１を突出体として形成し、電池側係合体７２を係止体として形成している。

【0062】

この例示の導電体側係合体７１は、主体３４ａの開口３４ｂ_１側の外壁面から電池セル１１の配列方向に向けて突出させた突出体であり、収容部材３４の電池モジュール１０への取付方向に対する逆側に被係止面７１ａを有している（図１２及び図１３）。尚、その収容部材３４の取付方向は、基準平面に対する直交方向に沿うものである。一方、電池側係合体７２は、絶縁部材２０Ａ１の主板２１における１つの辺部（第１係止体２２が配置されている辺部）の端面から基準平面に対する直交方向に向けて突出させた係止体である。この例示の電池側係合体７２は、コの字状に形成されたものであり、その主板２１の辺部から互いに間隔を空けて突出させた２本の脚部７２ａと、この２本の脚部７２ａの突出方向側の端部を繋ぐ連結部７２ｂと、を有している（図１４及び図１５）。この電池側係合体７２は、２本の脚部７２ａに可撓性を持たせ、連結部７２ｂを被係止面７１ａの係止部として利用する。

【0063】

この例示の取付構造７０においては、収容部材３４の電池モジュール１０への取り付けが進むに連れて、導電体側係合体７１が電池側係合体７２の連結部７２ｂに当接し、この導電体側係合体７１が電池側係合体７２を撓ませながら、電池側係合体７２の連結部７２ｂが導電体側係合体７１を乗り越える。ここでは、その乗り越えを容易にするべく、導電体側係合体７１に傾斜面７１ｂを設けている（図１２及び図１３）。この例示の傾斜面７１ｂは、電池側係合体７２を撓ませながら連結部７２ｂを被係止面７１ａまで案内する平面であり、その撓みを徐々に大きくしていくように形成している。取付構造７０においては、その電池側係合体７２の連結部７２ｂの乗り越えに伴い、導電体側係合体７１が電池側係合体７２のコの字の内方に入り込み、導電体側係合体７１と電池側係合体７２の連結部７２ｂとが基準平面に対する直交方向で互いに向かい合う（図１６）。従って、収容部材３４においては、絶縁部材２０Ａ１との間での離脱方向への相対移動が抑制されるので、その取付構造７０の設置されている部分が電池モジュール１０に対する取付点となる。

【0064】

このように、本実施形態の導電モジュール３０は、第１導電部材３１と収容部材３４の２箇所で電池モジュール１０に取り付けることができる。このため、この導電モジュール３０は、従来のような別部材のケースを介在させなくても、例えば外部入力に対する強度を確保しつつ、電池モジュール１０への取り付けを完結させることができる。従って、この導電モジュール３０は、電池パック１の体格の小型化を図ることができる。特に、この例示の導電モジュール３０は、先に示したように低背化が図られているので、電池パック１の体格の更なる小型化が可能になる。

【0065】

以上示したように、本実施形態の導電モジュール３０は、電池パック１の体格の小型化に寄与するものである。よって、電池パック１は、本実施形態の導電モジュール３０を適用することで、体格の小型化が可能になる。

【0066】

ところで、この導電モジュール３０においては、収容部材３４に収容及び保持された第１接続端子５１を介して第１導電部材３１と収容部材３４とが連結されており、その第１接続端子５１が第１導電部材３１と収容部材３４との間の連結構造を兼ねている。この導電モジュール３０においては、第１導電部材３１と収容部材３４との間の連結構造を複数箇所に設けることによって、外部入力等に伴い作用する負荷を分散させ、耐久性を向上させることができる。この例示の導電モジュール３０は、その第１接続端子５１を介した連結構造の他に、第１導電部材３１と収容部材３４とを連結させる連結構造８０を設けている（図６から図１０、図１７及び図１８）。

【0067】

その連結構造８０は、第１導電部材３１と収容部材３４とを直接連結させるものであり、その第１導電部材３１と収容部材３４との間に設ける。この連結構造８０は、第１導電部材３１に設けた第１連結係合体８１と、収容部材３４に設けた第２連結係合体８２と、を備える。この例示の連結構造８０は、バスバ本体１５ａにおける電気接続部１５ｃ側の辺部を収容部材３４側で挟持させることによって、第１導電部材３１と収容部材３４とを連結させる。第１導電部材３１においては、そのバスバ本体１５ａの辺部を第１連結係合体８１として利用する（図１０）。一方、収容部材３４においては、主体３４ａに第２連結係合体８２を設ける。

【0068】

具体的に、この連結構造８０は、第１接続端子５１と共に第１導電部材３１の電気接続部１５ｃを第１接続体収容室３４ｃに挿入していったときに、その第１連結係合体８１としてのバスバ本体１５ａの辺部を第２連結係合体８２で挟持させる。このために、第２連結係合体８２は、主体３４ａにおいて、バスバ本体１５ａが配置される側の外壁面からバスバ本体１５ａに向けて突出させる。この例示の第２連結係合体８２は、基準平面に対する直交方向で互いに間隔を空けて配置した第１及び第２の片部８２ａ，８２ｂを有する（図８から図１０、図１７及び図１８）。

【0069】

第１片部８２ａと第２片部８２ｂは、それぞれに基準平面に沿う平面を有するものであり、バスバ本体１５ａが配置される側の主体３４ａの外壁面からバスバ本体１５ａに向けて各々突出させている。この第１片部８２ａと第２片部８２ｂは、収容部材３４に取り付けられたバスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）を間に挿入させるものであり、その挿入が可能になる位置まで突出させる。また、この第１片部８２ａと第２片部８２ｂは、その挿入が可能となるように、基準平面に対する直交方向における互いの間隔をバスバ本体１５ａの板厚よりも広げておく。これにより、バスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）は、電気接続部１５ｃの第１接続体収容室３４ｃへの挿入と共に、第１片部８２ａと第２片部８２ｂとの間に挿入されていく。この例示の第１片部８２ａと第２片部８２ｂは、バスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）の略全体を覆うことができるように、第１導電部材３１の収容部材３４に対する取付方向に沿って延在させている。

【0070】

この第１片部８２ａと第２片部８２ｂには、挿入されたバスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）を挟持するべく、その辺部に向けて突出させた挟持部８２ｃ，８２ｄが各々設けられている（図１７）。それぞれの挟持部８２ｃ，８２ｄは、基準平面に対する直交方向で、かつ、互いに向かい合うように突出させたものであり、その直交方向における互いの間隔がバスバ本体１５ａの板厚と同等の大きさとなるように形成する。例えば、この例示の挟持部８２ｃ，８２ｄは、第１導電部材３１の収容部材３４に対する取付方向に沿って延在させた突出体であり、その延在方向に対する直交断面が突出方向側を頂点とする弧状断面となるように形成している。それぞれの挟持部８２ｃ，８２ｄは、第１片部８２ａと第２片部８２ｂとの間にバスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）が挿入されていくにつれて、その辺部を徐々に挟持していく。

【0071】

この連結構造８０においては、その挟持部８２ｃ，８２ｄの組み合わせを少なくとも１組設ければよい。ここでは、そのバスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）の挿入方向に対する直交方向の内、基準平面に沿う方向で、互いに間隔を空けて２組設けている。

【0072】

この連結構造８０には、第１導電部材３１の収容部材３４への収容が完了したときに、その収容状態を保持する保持機構８３が設けられている（図７及び図１８）。その保持機構８３は、第１導電部材３１と収容部材３４との間に設ける。この例示では、バスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）に貫通孔８３ａを設けると共に（図１０及び図１８）、その貫通孔８３ａに挿入される爪部８３ｂを第２連結係合体８２に設ける（図１８）。

【0073】

この例示の貫通孔８３ａは、矩形に形成している。この貫通孔８３ａは、バスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）において、電気接続部１５ｃの自由端側寄り（つまり、その辺部における第１片部８２ａと第２片部８２ｂとの間への挿入方向側の端部）に配置する。

【0074】

この例示の爪部８３ｂは、第１片部８２ａに、第１導電部材３１の収容部材３４への収容が完了したときの貫通孔８３ａの位置に合わせて配置する。例えば、第１片部８２ａには、バスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）における第１片部８２ａと第２片部８２ｂとの間への挿入方向に沿い、かつ、その挿入方向に対する直交方向の内の基準平面に沿う方向で互いに間隔を空けて配置された２つの切欠きが形成されており、その２つの切欠きに挟まれた可撓片部８２ａ_１を設けている（図６、図７、図１０、図１３及び図１８）。その可撓片部８２ａ_１は、可撓性を有するものであり、第１片部８２ａにおいて、第１及び第２の接続体収容室３４ｃ，３４ｄの開口３４ｃ_１，３４ｄ_１側に自由端が配置されるように形成されている。爪部８３ｂは、その可撓片部８２ａ_１の自由端から突出させ、第１片部８２ａと第２片部８２ｂとの間に配置する。

【0075】

ここで、爪部８３ｂには、第１片部８２ａと第２片部８２ｂとの間に挿入されてきたバスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）における端部が当接する。この爪部８３ｂは、そのバスバ本体１５ａの辺部によって可撓片部８２ａ_１ごと押動され、このバスバ本体１５ａの辺部の平面上に乗り上げる。このため、爪部８３ｂには、当接後におけるバスバ本体１５ａからの押動力を可撓片部８２ａ_１の撓み方向への力に変換するための傾斜面８３ｂ_１を設けている（図１８）。

【0076】

この連結構造８０においては、電気接続部１５ｃの第１接続体収容室３４ｃへの挿入と共に、バスバ本体１５ａの辺部（第１連結係合体８１）がそれぞれの挟持部８２ｃ，８２ｄで挟持されながら、第１片部８２ａと第２片部８２ｂとの間に挿入されていく。そして、この連結構造８０においては、その挿入の進行と共に、バスバ本体１５ａの辺部における端部が爪部８３ｂの傾斜面８３ｂ_１に当接する。この連結構造８０では、その挿入が更に進むことで、バスバ本体１５ａの辺部が爪部８３ｂを押し上げて、この爪部８３ｂがバスバ本体１５ａの辺部の平面上に乗り上げる。その爪部８３ｂは、バスバ本体１５ａの辺部の平面上を摺動しながら、可撓片部８２ａ_１の撓みの解消と共に貫通孔８３ａに入り込む。このように、第１導電部材３１と収容部材３４は、この連結構造８０によっても連結されるので、その間の剛性を高めることができる。そして、この導電モジュール３０は、その連結構造８０の配置されている箇所と、第１接続端子５１を介した連結構造の配置されている箇所と、で外部入力等に伴い作用する負荷を分散させることができる。従って、この導電モジュール３０は、実施形態の導電モジュール３０と同様の効果が得られると共に、負荷の分散に伴う耐久性（耐振動性能）の向上が可能になる。

【符号の説明】

【0077】

１ 電池パック
１０ 電池モジュール
１１ 電池セル
１３ 電極端子
１５，１５Ａ バスバ
１５ｃ 電気接続部
２０Ａ，２０Ａ１，２０Ａ２ 絶縁部材
３０ 導電モジュール
３１ 第１導電部材
３２ 第２導電部材
３２ａ 導電部
３２ａ_１ 電気接続部
３２ｂ 絶縁部
３３ 回路保護部材
３３ａ 第１電気接続部
３３ｂ 第２電気接続部
３４ 収容部材
４０ 回路保護部品
５０ 第１電気接続構造体
６０ 第２電気接続構造体
６０ａ 連結部
６０ａ_１ 連結面
６１ 第２接続端子（中継導電部材）
６１ａ 第１連結部
２００ 電池監視ユニット
２０１ 演算処理装置

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】